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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】在庫管理システム及び在庫管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20230320BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
G06Q10/087
B65G1/137 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020136983
(22)【出願日】2020-08-14
(65)【公開番号】P2022032790
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2020-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】520144288
【氏名又は名称】村田 博雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101823
【弁理士】
【氏名又は名称】大前 要
(74)【代理人】
【識別番号】100181412
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 康浩
(72)【発明者】
【氏名】村田 博雄
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-252369(JP,A)
【文献】国際公開第2002/039403(WO,A1)
【文献】特開平02-150960(JP,A)
【文献】特開2003-114710(JP,A)
【文献】特開2002-163501(JP,A)
【文献】特開2003-012154(JP,A)
【文献】特開2005-104710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を一意に特定するための商品コードを用いて、複数の拠点に保有する商品の在庫数を一元管理する在庫管理システムであって、
各装置の動作を制御し、且つ、データベースにアクセスし、その内容を書き換え制御可能な制御装置と、
受注データの入力を受け付ける入力受付装置と、を備え、
前記在庫管理システムは、前記入力受付装置に入力された受注データが商品コードを特定可能な情報と、商品の受注数と、受注拠点を特定可能な情報と、の全てを含むか否かを判定し、全てを含んでいると判定できない場合には、入力の受付を拒否するように処理し、
前記制御装置は、
前記入力受付装置による上記の3つの情報全てを含んだ前記受注データの入力の受け付けを検知すると、
前記受注データの情報から、必要に応じてデータベースを参照して、商品コードと、受注拠点情報と、を取得し、
前記商品コードと、前記商品の受注数と、前記受注拠点情報と、の情報を用いて、前記データベースに記憶された当該受注拠点の前記商品コードに対応する商品の在庫数を前記受注数分減少させ、且つ、
減少後の当該拠点での前記商品コードに対応する商品の在庫数が、前記データベースに記憶された当該拠点での当該商品についての発注点を下回ったと判定した場合には、当該商品について、前記データベースに記憶された当該拠点での発注数量分、発注装置に発注させ、
前記発注装置は、発注の発注先が他の自社拠点である場合には、前記発注にかかるデータが、商品コードと、商品の受注数と、受注拠点情報としての他の自社拠点情報と、を含んだ他の自社拠点情報についての受注データとして、前記入力受付装置に入力する、在庫管理システム。
【請求項2】
請求項に記載の在庫管理システムにおいて、
前記制御装置は、前記受注データから配送が要であると判定すると、
前記データベースに記憶された受注拠点及び商品の両方に関連付けられた配送元拠点情報を参照し、
配送元拠点が受注拠点と異なっている場合には、前記受注拠点に代えて配送元拠点を在庫数の減少を行う対象の拠点として決定し、在庫数の減少の制御を行う、在庫管理システム。
【請求項3】
請求項に記載の在庫管理システムにおいて、
前記制御装置は、前記受注データの発送先住所と前記データベースに記憶された配送業者の配送エリア、前記受注データの前記配送希望日時と前記データベースに記憶された配送業者の配送スケジュールとを照合して、前記発送先住所を配送エリアに含み、前記配送希望日時のスケジュールに空きのある配送業者を抽出する、在庫管理システム。
【請求項4】
請求項に記載の在庫管理システムにおいて、
前記制御手段は、前記受注データから配送に追加で求められる付加的な用件の有無とその内容とを判定し、且つ、
付加的な用件が有る場合に、前記制御手段は、付加的な用件の内容と、前記データベースに記憶された前記付加的な用件に必要な条件に関する情報、及び配送業者ごとのに保有する条件に関する情報と、をさらに参照して、付加的な用件と配送の両方を行うことのできる配送業者を抽出する、在庫管理システム。
【請求項5】
制御装置と入力受付装置とを備える在庫管理システムで実行される在庫管理方法であって、
前記在庫管理システムが、前記入力受付装置に入力された受注データが、少なくとも商品コードを一意に特定可能な情報と、当該商品の受注数と、受注拠点を一意に特定可能な情報と、の全ての情報を含むかどうかを判別し、いずれかが含まれない場合には入力の受付を拒否する情報判別ステップと、
前記入力受付装置が、上記の3つの情報全てを含んだ受注データの入力を受け付ける入力受付ステップと、
入力の受付を検知した前記制御装置が、前記受注データの情報から、必要に応じてデータベースを参照して、商品コードと、受注拠点情報と、を取得し、前記商品コードと、前記商品の受注数と、前記受注拠点情報と、の情報を用いて、データベースに記憶された当該受注拠点の前記商品コードに対応する商品の在庫数を前記受注数分減少制御する在庫数減少ステップと、
前記在庫数減少ステップの後、前記制御装置が、減少制御後の前記商品コードに対応する商品の在庫数とデータベースに記憶された発注点とを対比し、発注点を下回っているかを判定する在庫数判定ステップと、
発注点を下回っている場合には、前記制御装置が、前記在庫数判定ステップの後、当該商品を前記発注数量分、発注装置に発注させる発注ステップと、
を備え、
発注の発注先が他の自社拠点である場合には、前記発注ステップによる発注データが、商品コードと、商品の受注数と、受注拠点情報としての他の自社拠点情報と、を含んだ受注データとして取り扱われて、他の自社拠点情報についての前記入力受付ステップ以降の処理が行われる、在庫管理方法。
【請求項6】
請求項に記載の在庫管理方法において、
前記入力受付ステップの後、前記受注データの配送の要否情報から前記制御装置が配送の要否を判定する配送要否判定ステップと、
配送要である場合に、前記在庫数減少ステップの前に、前記制御装置は、前記データベースに記憶された拠点及び商品それぞれに関連付けられた配送元拠点情報を参照して、前記在庫数減少ステップで在庫数の減少を行う対象の拠点を決定する在庫数減少拠点決定ステップと、をさらに備え、
前記在庫数減少ステップは、前記在庫数減少拠点決定ステップで決定された拠点が前記受注拠点と異なる場合には、前記受注拠点に代えて当該異なる拠点での当該商品の在庫数を前記受注数分減少制御するステップである、在庫管理方法。
【請求項7】
請求項に記載の在庫管理方法において、
前記配送要否判定ステップの後、前記制御装置が配送要であると判定した場合に、前記制御装置は、受注データの配送先住所及び配送希望日時に関する情報と、前記データベースに記憶された配送業者情報と、配送業者ごとの配送エリア及び配送スケジュールと、を照合して、前記発送先住所を配送エリアに含み、前記配送希望日時のスケジュールに空きのある配送業者を抽出する配送業者抽出ステップをさらに備える、在庫管理方法。
【請求項8】
請求項に記載の在庫管理方法において、
前記制御装置が、受注データの内容から、付加的な用件があるか否かを判定する付加的な用件有無判定ステップと、
前記配送要否判定ステップ及びの前記付加的な用件有無判定ステップ後、前記制御装置が配送要且つ付加的な用件要であると判定した場合に、前記制御装置は受注データの配送先住所及び配送希望日時に関する情報、及び付加的な用件に必要な条件に関する情報と、前記データベースに記憶された配送業者情報、配送業者ごとの配送エリア及び配送スケジュール、及び配送業者ごとの条件に関する情報と、を照合して、前記発送先住所を配送エリアに含み、前記配送希望日時のスケジュールに空きがあり、付加的な用件が可能な配送業者を抽出する配送業者抽出ステップをさらに備える、在庫管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の拠点が保有する商品の在庫を個別に一元管理できる在庫管理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫内の在庫は、倉庫への入庫及び倉庫からの出庫によって刻々と変化していく。
【0003】
このような倉庫内の在庫は、出庫する商品の種類と数、及び入庫する商品の種類と数を、出庫あるいは入庫の都度、ハンディ端末などを用いて倉庫内作業者が入力して管理していた。
【0004】
たとえば、特許文献1は、旧在庫数と出庫数との差分を実際の在庫数として、日ごとに処理する在庫管理装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-86055
【0006】
複数の店舗を持つ小売企業などでは、それぞれの店舗が保有する在庫の管理とともに、在庫・物流の拠点となるDC(ディストリビューション・センター)、配送センター、デポ、ECサイト用倉庫などの在庫を一元的に管理する必要がある。しかしながら、倉庫内作業者の多忙さによる入力遅れ等によって適正な在庫をリアルタイムに一元管理することができない。
【0007】
また、近年の労働力不足と物流量の増加とを鑑みると、上記の問題を解決するために倉庫内人員に余裕を持たせて確保することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上に鑑み完成されたものであり、倉庫内作業者の負担を増大させることなく、複数の拠点を有する事業者の在庫を、商品ごとに適正に一元管理できる在庫管理システム及び在庫管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための在庫管理システムにかかる本発明は、次のように構成されている。
商品を一意に特定するための商品コードを用いて、複数の拠点に保有する商品の在庫数を一元管理する在庫管理システムであって、各装置の動作を制御し、且つ、データベースにアクセスし、その内容を書き換え制御可能な制御装置と、受注データの入力を受け付ける入力受付装置と、を備え、前記在庫管理システムは、前記入力受付装置に入力された受注データが商品コードを特定可能な情報と、商品の受注数と、受注拠点を特定可能な情報と、の全てを含むか否かを判定し、全てを含んでいると判定できない場合には、入力の受付を拒否するように処理し、前記制御装置は、前記入力受付装置による上記の3つの情報全てを含んだ前記受注データの入力の受け付けを検知すると、前記受注データの情報から、必要に応じてデータベースを参照して、商品コードと、受注拠点情報と、を取得し、前記商品コードと、前記商品の受注数と、前記受注拠点情報と、の情報を用いて、前記データベースに記憶された当該受注拠点の前記商品コードに対応する商品の在庫数を前記受注数分減少させ、且つ、減少後の当該拠点での前記商品コードに対応する商品の在庫数が、前記データベースに記憶された当該拠点での当該商品についての発注点を下回ったと判定した場合には、当該商品について、前記データベースに記憶された当該拠点での発注数量分、発注装置に発注させ、発注装置は、発注の発注先が他の自社拠点である場合には、発注にかかるデータが、商品コードと、商品の受注数と、受注拠点情報としての他の自社拠点情報と、を含んだ他の自社拠点情報についての受注データとして、前記入力受付装置に入力する、在庫管理システム。
【0010】
本発明の構成では、受注データを用いて、データベースに記憶された在庫数の減少操作を行っている。このため、倉庫作業者が実際の出庫を確認して在庫数減少のための入力を行う作業が不要となる。これにより倉庫内作業者の作業量を減少させることができるとともに、実際に販売可能な在庫数(倉庫内の実在数-受注済みの在庫数)のリアルタイムな反映が可能となる。つまり、各店頭などで、販売可能な在庫数をリアルタイムに把握した状態での営業・販売活動を行うことができる。
【0011】
また、販売担当者が店舗の倉庫にある正確な在庫数をPOS端末でリアルタイムに把握できるため、例えば在庫数を超過するような数量の受注を受け付ける前に、他の店舗などの在庫数を確認しつつ、一部ないし全部の数量を時間をおいて、又は後日に、店頭あるいは配送での引き渡しに変更するように顧客と交渉することも可能となる。
【0012】
また、当該拠点での当該商品の在庫数が発注点を下回った場合には、あらかじめ定めた特定の発注数分の数量が自動発注される。このため、発注業務に割く作業人員を不要とすることができるので、人件費の低コスト化ができる。また、従業員の作業負担が減って余力ができる結果、業務への集中力の向上、人間関係の改善などの波及効果も生じ得る。
【0013】
この発注数は、特定の値であってもよく、在庫数の目標値と発注時点の在庫数との差分から算出される値であってもよい。なお、メーカー等から仕入れ可能な数量は、ダース単位、箱単位、パレット単位などの制約がある場合が多く、この場合には制約に従った数量とする。他方、自社の他の拠点への発注の場合、任意に数量を設定してもよい。
【0014】
また、この自動発注の発注先が自社の別拠点(例えばDC、配送センター)である場合には、この発注のデータが当該別拠点での受注データとして取り扱われて、発注先拠点での在庫数の減少、発注点の確認等が自動的に連鎖して行われる。よって、ある拠点で売り上げが生じると、その拠点の適正在庫数のみならず、DC、配送センターなど、関連する拠点の適正在庫数までもが一連で管理され、発注点を下回った場合には自動発注がなされる。つまり、事業者が保有する商品在庫の自動的な最適化を行うことができる。
【0015】
また、発注した商品の入荷予定日などをデータベースに記憶することにより、将来的な在庫数も管理することが可能となる。
【0016】
発注の様式は特に限定されないが、他社への発注には他社に様式に合わせたりしてもよく、自社他拠点への発注には自社内向け発注に適した様式を採用したりしてもよい。
【0017】
ここで、「商品を一意に特定する」とは、大量にある商品群の中から1つの商品を確実に特定できることを意味する。例えば、自社で商品ごとに付与した自社商品コード、JANコード、メーカーの品番などは、商品を一意に特定できるものである。それゆえ、JANコード、メーカーの品番などは、商品コードを一意に特定する情報ともなる。また、商品コードとしてJANコード、メーカーの品番などを使用してもよい。なお、自社商品コードを使用する場合、店員などがコードから商品内容を容易に判断できるなど、使い勝手性を高めることができる。
【0018】
制御手段が上記の制御を行うためには、受注データは、商品コードを特定できる情報(自社商品コード、JANコード、メーカーの品番)、受注数、及び受注拠点を特定できる情報(自社で付与した拠点コード、拠点名称、拠点住所や電話番号など)を含んでいる必要がある。
【0019】
制御装置の制御のために受注データが含むべき情報(必須の情報)は、これらが含まれない受注データを入力受付装置に送信しようとするときに、エラーとなって送信できなくなる構成とすることができる。これにより、これらの情報を確実に含んだ受信データの入力を受け付けることができる。また、制御装置や入力受付装置が、これらの必須情報の有無を判定して、ない場合にはエラーとして受付拒否する構成であってもよい。
【0020】
本発明システムに用いる制御装置は、受注データの入力を受けることができ、データベースの参照や書き換えが可能で、発注装置の動作を制御可能なものであれば、どのようなものを用いてもよい。例えば中央処理装置や演算装置の単独であってもよく、これらを含んだサーバやシステムであってもよい。
【0021】
入力受付装置は、受注データの入力を受け付けるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば制御装置と同様に中央処理装置や演算装置の単独であってもよく、これらを含んだサーバやシステムであってもよく、制御装置が兼ねる構成であってもよい。
【0022】
データベースやその管理方法などはどのような構成であってもよく、公知のデータベース、管理方法などを適宜使用できる。また、制御装置が直接データベースの参照や書き換えを行う構成であってもよく、制御装置が間接的に(他の装置等を介して)参照や書き換えを行う構成であってもよい。
【0023】
発注装置はどのような構成であってもよく、例えば制御装置と同様に中央処理装置や演算装置の単独であってもよく、これらを含んだサーバやシステムであってもよい。また、本発明の制御装置が兼ねる構成であってもよい。
【0024】
受注データは、本システムにどのように入力されてもよく、例えば各小売拠点のPOS(Point of sale)端末で入力されたデータ、電話注文やFAX注文を入力したもの、ECサイトでの販売データ(EC-POSデータ)などが、制御装置に送られて自動入力される構成であってもよい。
【0025】
上記構成において、前記制御装置は、前記データベースに記憶された、商品及び拠点の両方に関連付けられた、前回発注日、第1の発注間隔、及び前記第1の発注間隔よりも短い第2の発注間隔の情報を取得し、且つ、前回発注日から第1の発注間隔を経過した後においても発注が行われないか、又は前回発注日から第2の発注間隔を経過する前に発注が行われたかを判別し、これらの場合には異常報告を行う構成とすることができる。
【0026】
第1の発注間隔は、これよりも発注間隔が長い場合には異常と判定する基準であり、第2の発注間隔は、これよりも発注間隔が短い場合には異常と判定する基準である。これらの具体的な値は、商品の売れ行き予測から、適正な在庫数、発注点や発注数などとともに任意に設定すればよい。これらの値は、拠点ごとに異なっていてもよく、同じであってもよい。
【0027】
そして、発注間隔が異常に(第1の発注間隔よりも)長い場合や異常に(第2の発注間隔よりも)短い場合には、設定していた適正な在庫数の値などが適正ではなかった可能性が高い。このため、このような場合を自動的に検知して速やかに異常できる構成としておくと、適切な在庫数などの再検討、返品や納入業者等との交渉などを、速やかに行うことができるようになる。
【0028】
異常報告の方法としては、在庫管理等の担当者に通知が行える方法であればどのようなものであってもよく、例えばメッセージの送信や端末画面への表示、音やバイブレーションによる伝達など、公知の方法を適宜使用できる。
【0029】
上記構成において、前記制御装置は、前記受注データから配送が要であると判定すると、前記データベースに記憶された受注拠点及び商品の両方に関連付けられた配送元拠点情報を参照し、配送元拠点が受注拠点と異なっている場合には、前記受注拠点に代えて配送元拠点を在庫数の減少を行う対象の拠点として決定し、在庫数の減少の制御を行う構成とすることができる。
【0030】
商品によっては、配送用の在庫が拠点引き渡し用の在庫と別の場所で管理されることがある。この場合、配送が要であると判定した場合に、受注拠点での当該商品の配送元拠点情報を利用して、在庫数減少対象の拠点(受注拠点であるのか、異なる拠点であるのか)を決定して、適切な拠点での在庫数の減少処理を行うことがよい。
【0031】
上記構成において、前記制御装置は、前記受注データの発送先住所と前記データベースに記憶された配送業者の配送エリア、前記受注データの前記配送希望日時と前記データベースに記憶された配送業者の配送スケジュールとを照合して、前記発送先住所を配送エリアに含み、前記配送希望日時のスケジュールに空きのある配送業者を抽出する構成とすることができる。
【0032】
配送の有無の情報とともに、配送先住所及び配送希望日時に関する情報が受注データに含まれる場合、これを配送業者の決定のための情報として利用できる。つまり、配送先住所及び配送希望日時と、配送業者ごとの配送エリア及び配送スケジュールを照合すれば、配送先を配送エリアに含んでいる業者のスケジュールを確認し、空きのある業者を抽出できる。これにより配送業者の選定作業が容易となる。また、抽出された配送業者の中から、価格、スケジュールの余裕度などに基づいた優先順位表などを利用して、自動的に決定する構成としてもよい。
【0033】
上記構成において、前記制御手段は、前記受注データから配送に追加で求められる付加的な用件の有無とその内容とを判定し、且つ、付加的な用件が有る場合に、前記制御手段は、付加的な用件の内容と、前記データベースに記憶された前記付加的な用件に必要な条件に関する情報、及び配送業者ごとのに保有する条件に関する情報と、をさらに参照して、付加的な用件と配送の両方を行うことのできる配送業者を抽出する構成とすることができる。
【0034】
配送先に引き取り商品(買い替え、期限切れ商品の返品、廃棄処理などのための引き取り)がある場合や、設置工事が必要な場合、冷蔵や冷凍での輸送、大型品や重量物の輸送、他の製品の修理など、配送商品に関連する付加的な用件がある場合には、これを付加的な用件込みの配送を行うことが効率的であり、コスト削減につながる。しかしながら、付加的な用件の種類によっては、廃棄物運搬許可などの特別な許可、電気工事士免許や監理技術者資格などの資格免許、冷蔵庫など専用のハードウェア、複数人での作業等、特別な条件が必要になる場合がある。上記のような構成を採用すると、このような特別な条件等を踏まえた配送業者が動抽出されるため、好ましい。
【0035】
なお、商品の在庫、発注点、発注間隔などの情報は、拠点ごとにそれぞれ任意に設定するものであり、日付、広告掲載の有無などによって期間限定的に変更してもよく、売上状況から再設定してもよい。
【0036】
上記課題を解決するための在庫管理方法にかかる本発明は、次のように構成されている。
制御装置と入力受付装置とを備える在庫管理システムで実行される在庫管理方法であって、前記在庫管理システムが、前記入力受付装置に入力された受注データが、少なくとも商品コードを一意に特定可能な情報と、当該商品の受注数と、受注拠点を一意に特定可能な情報と、の全ての情報を含むかどうかを判別し、いずれかが含まれない場合には入力の受付を拒否する情報判別ステップと、前記入力受付装置が、上記の3つの情報全てを含んだ受注データの入力を受け付ける入力受付ステップと、入力の受付を検知した前記制御装置が、前記受注データの情報から、必要に応じてデータベースを参照して、商品コードと、受注拠点情報と、を取得し、前記商品コードと、前記商品の受注数と、前記受注拠点情報と、の情報を用いて、データベースに記憶された当該受注拠点の前記商品コードに対応する商品の在庫数を前記受注数分減少制御する在庫数減少ステップと、前記在庫数減少ステップの後、前記制御装置が、減少制御後の前記商品コードに対応する商品の在庫数とデータベースに記憶された発注点とを対比し、発注点を下回っているかを判定する在庫数判定ステップと、発注点を下回っている場合には、前記制御装置が、前記在庫数判定ステップの後、当該商品を前記発注数量分、発注装置に発注させる発注ステップと、を備え、発注の発注先が他の自社拠点である場合には、発注ステップによる発注データが、商品コードと、商品の受注数と、受注拠点情報としての他の自社拠点情報と、を含んだ受注データとして取り扱われて、他の自社拠点情報についての入力受付ステップ以降の処理が行われる、在庫管理方法。
【0037】
上記構成において、前記発注ステップの後に、前記データベースに記憶された前記商品についての前回発注日に関する情報を読み出して、前記制御装置が前回発注日と今回発注日との発注間隔を決定する発注間隔決定ステップと、前記発注間隔決定ステップの後、前記発注間隔と、前記データベースに記憶された第1の発注間隔及び第2の発注間隔のそれぞれと、を対比する発注間隔対比ステップと、前記制御装置が、前記発注間隔対比ステップにおいて前記発注間隔が前記第1の発注間隔よりも長い、又は前回発注間隔が前記第2の発注間隔よりも短いと判定した場合に、ユーザに異常報告する異常報告ステップと、をさらに備える構成とすることができる。
【0038】
上記構成において、前記制御装置が、当該商品が所定期間内に発注しなかったか否かを判定する発注なし商品判定ステップと、発注なし商品判定ステップの後、発注なし商品についての前回発注日までの日数を算出する発注なし日数決定ステップと、前記発注なし日数決定ステップの後、発注なし日数と、前記データベースに記憶された第1の発注間隔とを対比する発注なし日数対比ステップと、前記制御装置が、前記発注間隔対比ステップにおいて前記発注なし日数が前記第1の発注間隔よりも長い場合と判定した場合に、ユーザに異常報告する異常報告ステップと、をさらに備える構成とすることができる。
【0039】
上記構成において、前記入力受付ステップの後、前記受注データの配送の要否情報から前記制御装置が配送の要否を判定する配送要否判定ステップと、配送要である場合に、前記在庫数減少ステップの前に、前記制御装置は、前記データベースに記憶された拠点及び商品それぞれに関連付けられた配送元拠点情報を参照して、前記在庫数減少ステップで在庫数の減少を行う対象の拠点を決定する在庫数減少拠点決定ステップと、をさらに備え、前記在庫数減少ステップは、前記在庫数減少拠点決定ステップで決定された拠点が前記受注拠点と異なる場合には、前記受注拠点に代えて当該異なる拠点での当該商品の在庫数を前記受注数分減少制御するステップである構成とすることができる。
【0040】
上記構成において、前記制御装置が配送要であると判定した場合に、前記配送要否判定ステップの後、前記制御装置が、受注データの配送先住所及び配送希望日時に関する情報と、前記データベースに記憶された配送業者情報と、配送業者ごとの配送エリア及び配送スケジュールと、を照合して、使用に適した配送業者を抽出する配送業者抽出ステップをさらに備える構成とすることができる。
【0041】
上記構成において、前記配送要否判定ステップの後、前記制御装置が配送要であると判定した場合に、前記制御装置は、受注データの配送先住所及び配送希望日時に関する情報と、前記データベースに記憶された配送業者情報と、配送業者ごとの配送エリア及び配送スケジュールと、を照合して、前記発送先住所を配送エリアに含み、前記配送希望日時のスケジュールに空きのある配送業者を抽出する配送業者抽出ステップをさらに備える構成とすることができる。
【0042】
上記構成において、前記制御装置が、受注データの内容から、付加的な用件があるか否かを判定する付加的な用件有無判定ステップと、前記配送要否判定ステップ及びの前記付加的な用件有無判定ステップ後、前記制御装置が配送要且つ付加的な用件要であると判定した場合に、前記制御装置は受注データの配送先住所及び配送希望日時に関する情報、及び付加的な用件に必要な条件に関する情報と、前記データベースに記憶された配送業者情報、配送業者ごとの配送エリア及び配送スケジュール、及び配送業者ごとの条件に関する情報と、を照合して、前記発送先住所を配送エリアに含み、前記配送希望日時のスケジュールに空きがあり、付加的な用件が可能な配送業者を抽出する配送業者抽出ステップをさらに備える構成とすることができる。
【0043】
これらの方法より、上記本発明の在庫管理システムを好適に運用することができる。
【発明の効果】
【0044】
上記で説明したように、本発明によると、保有する在庫を一元管理でき、しかも在庫数を最適に保つことのできる在庫管理方法、在庫管理システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、実施の形態1に係る在庫管理システムを示すブロック図である。
図2図2は、本発明にかかるデータベースの構成図である。
図3図3は、受注伝票の記載例を示す図である。
図4図4は、実施の形態1に係る在庫管理システムの動作フローを示す図である。
図5図5は、実施の形態2に係る在庫管理システムの動作フローを示す図である。
図6図6は、実施の形態2に係る在庫管理システムの別の動作フローを示す図である。
図7図7は、実施の形態3に係る在庫管理システムの動作フローを示す図である。
図8図8は、実施の形態4の変形例に係る在庫管理システムの動作フローを示す図である。
図9図9は、実施の形態5に係る在庫管理システムの動作フローを示す図である。
図10図10は、実施の形態6に係る在庫管理システムの動作フローを示す図である。
図11図11は、実施の形態7に係る在庫管理システムの動作フローを示す図である。
図12図12は、実施の形態8に係る在庫管理システムの動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
(実施の形態1)
以下に、本発明を実施するための形態を、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る在庫管理システムのブロック図である。
【0047】
本実施の形態にかかる在庫管理システム100は、図1に示すように、入力受付装置101と、制御装置102とを備えている。
【0048】
入力受付装置101は、POS端末105やEC-POS106と接続されて、これらの端末によって入力された受注データを受け付けるものである。入力受付装置は、入力を受け付けて処理する手段を備えていればその構成は特に限定されず、CPUなどの処理装置やサーバ等であってもよく、制御装置が兼ねる構成であってもよい。
【0049】
制御装置102は、各装置の動作を制御し、且つ、データベース103にアクセスし、その内容を書き換え制御可能なものである。制御装置は、これらの機能を備えていればその構成は特に限定されず、CPUなどの処理装置やサーバ等であってもよい。
【0050】
(データベース)
データベース103は、商品コードとその商品内容、各拠点における在庫数などを様々に関連付けして記憶するものである。このほか、従業員情報や取得資格に関する情報、取引業者、配送業者やその従業員、取得資格に関する情報、配送会社の配送エリアや許認可に関する情報など、さまざまなデータが関連付けて記憶されているものとすることができる。そのハードウェア構成などは公知のデータベースと同様でよい。
【0051】
(発注装置)
発注装置104は、発注先への発注を行うものである。そのハードウェア構成は特に限定されず、制御装置と同様のものであってもよく、例えば制御装置が発注装置を兼ねるものであってもよい。また、発注系のシステムから構成されていてもよい。
【0052】
(POS端末等)
POS端末105やEC-POS106は、入力受付装置101に、入力データを送信するものであり、少なくとも商品コードを特定するための情報、当該商品の受注数と、受注拠点を特定するための情報などが含まれた入力データを送信できるものであればどのようなものであってもよい。例えば通常のPOSレジ、EC対応のPOSシステムなど、公知のものを用いることができる。POS端末等は、データベースにアクセス可能であると、その場で在庫確認ができるために便利である。
【0053】
入力受付装置101、制御装置102、データベース103、発注装置104、POS端末105、EC-POS106などの接続方法は特に限定されず、有線によるネットワーク(LAN、WAN、VPNなど)や無線によるネットワーク(携帯電話回線、無線LAN、Bluetoothなど)を1以上利用することができる。
【0054】
(データベースに記憶されるもの)
データベース103には、商品を一意に特定するための商品コード、拠点を一意に特定するための拠点コード、などが記憶される。
【0055】
(商品コード)
商品コードとしては、商品を一意に特定できるコードであればどのようなものであってもよく、JAN(Japanese Article Number)コードを用いることができる。このような世界共通のコードの他に、自社商品コードを別途付与してもよい。
【0056】
(自社商品コード)
JANコードは、GS1事業者コードと、商品アイテムコードと、チェックデジットと、から構成されるが、自社商品コードを用いる場合には、取引事業者数がJANコードに比べて極めて少なくなるために事業者に関するコード部分を短くできる。このため、例えば商品分類(例えば大分類、中分類、小分類など)に関するコード、サイズに関するコード、色に関するコード、チェックデジットなど、独自に付与できるようになる。このようなコードは、店員などがコード記載から商品内容を容易に判断できるようにもなる。
【0057】
(拠点コード)
拠点コードは、自社商品コードと同様に、独自に設定すればよい。例えば都道府県や市町村に関するコード、店舗、DCなどの種別に関するコードを含んだものを付与すればよい。
【0058】
データベースの構成の一例を、図2を用いて説明する。図2は、本発明に係るデータベースの構成図の一例を示すものである。データベースは、商品、在庫などの情報を関連付けて記憶している。データベースのデータモデルは公知のどのようなものを採用してもよいが、ここではリレーショナルモデルを例として説明する。なお、これらは単なる例示であって、この構成に限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更・増減等すればよい。
【0059】
図2に示すように、データベースは商品テーブルを備えている。この商品テーブルには、独自設定した商品コードをキーとして、商品名、商品カテゴリ、メーカー名、商品カラー、価格、JANコード、メーカー品番などの、商品に関連する各種の情報が関連付けて記憶されている。
【0060】
データベースはまた、在庫テーブルを備えている。この在庫テーブルには、商品コードと拠点コードとをキーとして、拠点ごとの商品在庫情報(在庫数、発注点、発注数量、第1、第2の発注間隔、発注日時、発注先など)が記憶される。たとえば、売り切りで在庫補充しない商品、セール中商品には発注間隔などを設定しないものとしてもよく、季節性商品には日付に応じて発注間隔や発注量が変化する設定としてもよく、期間限定商品や広告の品などの場合に、売り切りとして発注点などを設定しないものとしてもよい。
【0061】
データベースはさらに、受注テーブル、発注テーブル、顧客テーブル、拠点テーブル、配送テーブル、取引業者テーブル、人員テーブル、エリアテーブル、付加的な用件テーブルなどを備えていてもよい。
【0062】
受注テーブルには、受注コードをキーとして、商品名、数量、受注拠点名、配送要否、付加的要件要否、顧客氏名、受注日時などが記憶される。
【0063】
発注テーブルには、発注コードをキーとして、商品名、数量、発注元拠点名、発注先拠点名、発注日時などが記憶される。
【0064】
拠点テーブルには、拠点コードをキーとして、拠点名、郵便番号や住所、配送可能商品、拠点分類(店舗、DCなど)、電話番号やe-mailアドレスなどが記憶される。
【0065】
顧客テーブルには、顧客コードをキーとして、氏名、郵便番号、住所、受注コード、電話番号やe-mailアドレスなどが記憶される。
【0066】
配送テーブルには、配送コードをキーとして、受注コード、配送業者名、配送顧客名、配送日時、付加的用件要否、付加的用件名、配送元拠点名などが記憶される。
【0067】
取引業者テーブルには、業者コードをキーとして、業者名、郵便番号、住所、可能付加用件コード、可能作業名、配送スケジュール、電話番号やe-mailアドレス、配送エリアのコードなどが記憶される。
【0068】
人員テーブルには、人員コードをキーとして、氏名、所属業者名、免許情報などが記憶される。
【0069】
エリアテーブルには、エリアコードをキーとして、エリア名、郵便番号などが記憶される。エリアコードは、配送エリアを示すコードで、配送エリア内となる住所(郵便番号)が1ないし複数関連付けられる。
【0070】
付加的な用件テーブルには、付加的な用件コードをキーとして、付加的用件名、許認可の要否、免許の要否などが記憶される。
【0071】
これらのテーブルは、さまざまに関連付けられて記憶されている。図2は単なる例示であり、テーブルの種類やその内容、これらの関係性などに限定されるものではない。
【0072】
また、これらのデータのうち、在庫数については、あらかじめ棚卸などによって実数を把握して入力する。また、業者や個人の情報などは、正式なものを入力しておく。また、その他については、あらかじめ設定しておくなどすればよい。変更があった場合には、速やかに内容を変更する。
【0073】
受注データの内容の一例を、図3を用いて説明する。図3は、本発明に係る受注データの内容例を示すものである。受注データは例えば、受注日時、受注コードなどの受注を特定するための情報(右上)と、販売商品についての情報(左上)と、お客様に関する情報(左中)と、配送、工事などの情報(左下)が含まれている。
【0074】
なお、これらは単なる例示であって、この構成に限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更・増減等すればよい。
【0075】
例えば、店舗のPOS端末でJANコードを読み取ると、データベースからJANコードに対応する自社コードが参照されて入力される。お客様情報は、例えば会員カードの会員コードの読み取りによって、データベースから対応する住所、顧客氏名(お客様名)等が自動入力される。なお、配送等がない商品に関しては、客様名、住所等の情報なくてもかまわない場合があるので、お客様情報の一部を空欄であってもかまわない(エラーが出ない)構成としてもよい。
【0076】
次に、本発明の在庫管理方法を、図4を用いて説明する。図4は、実施の形態に係る在庫管理方法のフローを示す図である。
【0077】
(受注データ受付ステップS101)
商品コード(あるいはこれを一意に特定できる情報)と、数量と、受注拠点(あるいはこれを一意に特定できる情報)と、の情報を含んだ受注データを、入力受付装置101が受け付ける。これによりフローが開始する。商品コードを一意に特定できる情報、受注拠点一意に特定できる情報が入力された場合には、データベースと照合して、商品コード、拠点コードを得る。
【0078】
たとえば、これらの情報(必須の情報)が含まれない受注データを入力受付装置に送信しようとすると、エラーとなって送信できなくなる構成とすることにより、これらの情報を確実に含んだ受信データの入力を受け付けることができる。必須な情報はこれだけに限定されることはなく、適宜設定することが可能であり、後述する実施の形態2以降で使用する情報などを、必須な情報に含めるように設定してもよい。また、制御装置や入力受付装置が、これらの必須情報の有無を判定し、必須な情報を含まない場合にエラーとして受付拒否する構成であってもよい。
【0079】
(在庫数減少ステップS102)
制御装置102が、受注データの商品コード、拠点コードを用いてデータベース103に記憶された在庫テーブルの受注拠点の受注商品の在庫数情報にアクセスし、発注にかかる数だけ減少処理する。
【0080】
なお、商品コードを一意に特定できる情報、受注拠点を一意に特定できる情報を受け取った場合には、データベースから商品コード、拠点コードを特定した後に行う。
【0081】
(在庫数判定ステップS103)
制御装置102が、減少後の在庫数が、データベース103に記憶された発注点未満か否かを判定する。発注点未満の場合にはS104、発注点以上の場合に終了に進む。
【0082】
(発注ステップS104)
制御装置102がデータベース103にアクセスして発注数情報を読み出し、発注商品とその数量(データベースの発注数)を指定して、発注装置104に発注させるように制御する。
【0083】
この発注が、自社の異なる拠点に対する発注である場合には、この発注データが当該他の拠点での受注データとなって受け付けられる。よって、この異なる拠点についてステップS101~S104が自動的に行われることになる。
【0084】
(実施の形態2)
本実施の形態は、実施の形態1で示した自動発注の間隔情報を用いて、設定した発注点などの値が適正でない可能性を自動検知するものである。これより、在庫数のさらなる適正化を図れる。
【0085】
次に、本発明の在庫管理方法を、図5を用いて説明する。図5は、実施の形態2に係る在庫管理方法のフローを示す図である。なお、ステップS201~S204は、ステップS101~S104と同様であるために、その説明を省略する。
【0086】
(発注間隔決定ステップS205)
制御装置102が、データベース103にアクセスし、今回の発注日情報を追記するとともに、データベース103に記憶された前回発注日と今回発注日との情報から、発注間隔を決定する。
【0087】
(第2の発注間隔判定ステップS206)
制御装置102がデータベース103にアクセスし、ステップS205で決定した発注間隔が、データベース103に記憶された第2の発注間隔未満かどうかを判定する。第2の発注間隔未満の場合にはS208、以上の場合にS207に進む。
【0088】
(第1の発注間隔判定ステップS207)
制御装置102がデータベース103にアクセスし、ステップS205で決定した発注間隔が、データベース103に記憶された第1の発注間隔以上かどうかを判定する。第1の発注間隔よりも長い場合にはS208、以上の場合に終了に進む。
【0089】
(異常報告ステップS208)
在庫管理システムの制御装置102は、システム利用者に、商品の発注間隔が異常(長すぎ、あるいは短すぎ)であることを異常報告する。この報告方法はどのようなものであってもよく、権限を有する者のメールアドレスに送信、PC画面に表示、POS端末に表示などの公知の方法から、1つ以上を採用すればよい。
【0090】
異常報告を受けた者は、その内容を分析して在庫数や発注数、発注間隔などの適正化を行ったり、メーカーと返品や価格などの交渉を行ったりという対応を行うことができる。
【0091】
なお第2の発注間隔判定ステップ、第1の発注間隔判定ステップの先後はどちらでもよく、同時でもよい。
【0092】
なお、発注間隔が長すぎることに対する異常報告は、上記のように発注を待ってから行うこともできるが、この方法では異常報告が遅すぎることとなり得る。このため、以下のように定期的に(例えば毎日)、所定期間(例えば当日)に発注がなかった全商品に対して)判定を行う方法を採用することができる。
【0093】
(開始 ステップS301)
たとえば、毎日決まった時間に、在庫管理システムの処理が開始する。この時間は、例えば営業終了後の時間とすることにより、通常の在庫数減少処理や発注とバッティングすることが防止できる。
【0094】
(発注なし商品判定ステップS302)
制御装置102が、データベース103にアクセスし、ある商品について所定期間(例えば当日)、発注があったか否かを判定する。発注した場合にはS306、発注していない場合にS303に進む。
【0095】
(発注なし日数決定ステップS303)
制御装置102が、データベース103にアクセスし、ある商品についての前回発注日の情報と本日の情報とから、発注なし日数を決定してS304に進む。
【0096】
(商品抽出ステップS304)
制御装置102が、発注なし日数とデータベースの第1の発注間隔とを比較する。発注なし日数が第1の発注間隔より長い場合にはS305、第1の発注間隔以下の場合にS306に進む。
【0097】
(異常報告ステップS305)
システム利用者に、商品の発注間隔が長すぎることを異常報告して、ステップS307に進む。この報告方法は異常報告ステップS207と同様の方法を採用できる。
【0098】
(未処理商品有無判定ステップS306)
制御手段が発注日数の判定が行われていない商品があるか否かを判定する。ある場合には、発注日数の判定が行われていない商品がゼロになるまで、ステップS302~306が繰り返される。発注なし商品判定ステップS302が行われていない商品がゼロになると、この日の処理は終了する。
【0099】
実施の形態2、3で示した警告方法は、例えば広告商品が広告期間内に所望の数売れなかった場合などに応用可能である。この場合には、広告効果の検討、ライバル店舗の影響の検討など、早期に行うことが可能になる。
【0100】
(実施の形態3)
本実施の形態では、店舗受け取りの情報を用いて、在庫数を減少させる拠点を決定するものである。これにより、適切な拠点での在庫数減少処理が可能となり、在庫管理の正確性が高まる。
【0101】
(受注データ受付ステップS401)
商品コードと、数量と、配送の有無関する情報と、を含んだ受注データをECサイトで受け付ける。
【0102】
(店舗受け取り有無判定ステップS402)
制御装置102が、受注データから店舗受け取りか否かを判定する。店舗受け取りの場合にはS404、店舗受け取りでない(配送の)場合にはS403に進む。
【0103】
(EC用倉庫在庫減少ステップS403)
S102と同様に、制御装置102が、配送倉庫の在庫数を減少処理する。
【0104】
(店舗在庫減少ステップS404)
S102と同様に、制御装置102が、店舗の在庫数を減少処理する。
【0105】
ステップS405,S406は、実施の形態1のステップS103,S104と同様であるため、その説明を省略する。
【0106】
(実施の形態4)
本実施の形態では、配送があるのか否かの情報を用いて、在庫数を減少させる拠点を決定するものである。この形態は、配送商品の場合には、店舗とは異なる拠点から発送する場合に、適切な拠点での在庫数減少処理が可能となり、在庫管理の正確性が高まる。
【0107】
(受注データ受付ステップS501)
商品コードと、数量と、配送の有無関する情報と、を含んだ受注データを受け付ける。
【0108】
(配送要否判定ステップS502)
制御装置102が、受注データから発送の有無を判定する。ある場合にはS503、ない場合にはS504に進む。
【0109】
(倉庫決定ステップS503)
制御装置102が、データベースの受注拠点の当該商品の配送商品情報にアクセスし、当該受注拠点から配送される商品か、違うのか(配送倉庫からの配送か)を判定する。配送倉庫である場合にはS505、当該拠点である場合にはS504に進む。
【0110】
(店舗在庫減少ステップS504)
S102と同様に、制御装置102が、データベースの店舗の在庫数を減少処理する。
【0111】
(配送倉庫在庫減少ステップS505)
制御装置102が、データベースの配送倉庫(店舗ではない)の在庫数を減少処理する。
【0112】
発注点を下回っているか否かの判定ステップS506,発注ステップS507は、実施の形態1のステップS103,S104と同様であるため、その説明を省略する。
【0113】
(実施の形態5)
本実施の形態では、商品の配送がある場合に、受注データから配送業者の抽出までを自動的に行うものである。これにより、配送業者決定が簡便化されるので、作業人員の作業量を減らして余裕を持たせることができる。
【0114】
(受注データ受付ステップS601)
商品コードと、数量と、付加的な用件の有無とその内容に関する情報と、を含んだ受注データを受け付ける。
【0115】
(配送要否判定ステップS602)
制御装置102が、受注データから発送の有無を判定する。ある(要の)場合にはS603、ない場合には終了に移行する。
【0116】
(配送業者抽出ステップS603)
制御装置102が、受注データの配送先住所及び配送希望日時に関する情報と、データベースに記憶された配送業者情報と、配送業者ごとの配送エリア及び配送スケジュールと、を照合して、発送先住所を配送エリアに含み、配送希望日時のスケジュールに空きのある配送業者を抽出する。このとき、配送エリアは、データベースのエリアコード(配送エリアに関するコード)と配送先住所(郵便番号)の対比によって行うものとすることができる。
【0117】
例えば、まず配送先住所の郵便番号と配送業者の配送エリアコードに含まれる郵便番号とを対比して、配送先住所を配送エリアに含んだ配送業者を抽出する。この後、抽出された配送業者のスケジュールと、配送希望日時とを対比して、スケジュールに空きがある配送業者をさらに絞り込む構成としてもよい。
【0118】
(実施の形態6)
本実施の形態では、商品の配送と同時に付加的な用件(回収や設置工事、冷蔵冷凍輸送など)を行うことで、配送業者の効率性と業者抽出の正確性を高めるものである。
【0119】
(受注データ受付ステップS701)
商品コードと、数量と、付加的な用件の有無とその内容に関する情報と、を含んだ受注データを受け付ける。
【0120】
(配送要否判定ステップS702)
実施の形態4のステップS602同様に制御装置102が、受注データから発送の有無を判定する。ある場合にはS703、ない場合には終了に進む。
【0121】
(付加的な用件有無判定ステップS703)
制御装置102が、受注データから付加的な用件の有無を判定する。ある場合にはS704、ない場合にはS706に進む。
【0122】
(特別な条件有無判定ステップS704)
制御装置102が、付加的な用件の内容の情報を用いて、データベース103に記憶された付加的な用件の条件と照合し、付加的な用件を行う配送業者に特別な条件が必要か否かを判定する
【0123】
付加的な用件にはその種類それぞれに付加的な用件コードが付けられてデータベースに記憶されている。このステップでは、特別な条件が必要な場合に、その付加的な用件コードを特定する。特別な条件が必要な場合にはS705、不要である場合にはS706に進む。
【0124】
(配送業者抽出(付加的な用件有)ステップS705)
制御装置102が、受注データの配送先住所及び配送希望日時に関する情報、及び必要とする付加用件コードと、データベースに記憶された配送業者情報、配送業者ごとの配送エリア及び配送スケジュール、及び配送業者の可能な付加用件コードと、を照合して、発送先住所を配送エリアに含み、配送希望日時のスケジュールに空きがあり、付加的な用件を満たす配送業者を抽出する。配送業者の可能な付加用件コードは、配送業者が保有する許認可やハードウェア情報、雇用する人員が保有する免許情報などによって決定される。
【0125】
(配送業者抽出(付加的な用件無)ステップS706)
制御装置102が、受注データの配送先住所及び配送希望日時に関する情報、データベースに記憶された配送業者情報及び配送業者ごとの配送エリア及び配送スケジュール、を照合して、発送先住所を配送エリアに含み、配送希望日時のスケジュールに空きがある配送業者を抽出する。この時、条件等を全く有していない業者を優先的に抽出してもよい。
【0126】
また、実施の形態5と同様に配送業者をプレ抽出した後に、付加的な用件の有無を判定し、抽出された配送業者の中から、配送業者が可能な付加的用件コードを参照して、配送業者を抽出する構成であってもよい。
【0127】
(実施の形態7)
今までの実施の形態では、在庫数は計算による理論的な値であり、万引き、商品の取り違えなどによって実際の倉庫在庫数とは違う値となっている可能性がある。また、賞味期限や販売期限がある商品では、定期的に期限切れの商品を在庫から除いて管理する必要がある。したがって、定期的に棚卸を行い、実数を把握しておくことが適正な運営上好ましい。この場合のデータベースの在庫数の取り扱いは、次のようになる。棚卸の間隔は業種、在庫の種類などによって適宜設定すればよい。
【0128】
(実数受付ステップS801)
倉庫作業用のハンディターミナルなどによる、在庫の実数(出荷先が確定した在庫は除く)の入力を受け付ける。
【0129】
(在庫差異判定ステップS802)
制御装置102が、入力された実数とデータベースの在庫数とに差異があるかを判定する。ある場合にはS803、ない場合には終了する。
【0130】
(在庫書き換えテップS803)
制御装置102が、データベースの在庫数を実数と一致するように書き換える。
【0131】
(実施の形態8)
本実施の形態では、受注がキャンセルになった場合の在庫数の処理について説明する。多量のキャンセルがあった場合など、変更後の在庫数が過剰となっている場合には、速やかに以上の報告を行う必要がある。
【0132】
(キャンセル受付ステップS901)
入力受付装置が、受注データを特定可能な情報を含んだキャンセル処理情報の入力を受け付ける。
【0133】
(在庫判定ステップS902)
制御装置102が、キャンセルとなった商品が、通常在庫として使用可能かを判定する。通常在庫のものはステップS903、通常在庫ではないものはステップS906に移行する。たとえば、倉庫から出庫することなくキャンセルとなった商品は、通常在庫として使用可能と判定し、開封済みとなった商品や、一度でも顧客のもとに渡った商品などは、品質を確保できないおそれがあるために通常在庫としては組み入れないようにする。この通常在庫にするか否かの判断基準は、商品の特性、包装の状態などによって適宜設定できる。
【0134】
(在庫数増加ステップS903)
制御装置102が、キャンセルとなった受注データの商品コード、拠点コードを用いてデータベース103に記憶された在庫テーブルの受注拠点の受注商品の在庫数情報にアクセスし、キャンセルにかかる数だけ増加処理する。
【0135】
(在庫数判定ステップS904)
制御装置102が、増化後の在庫数が適正かどうかを、発注点+発注数+αとの大小関係で判定する。発注点+発注数が、適正な在庫数の上限であり、商品ごとにαの数値(許容できる上限在庫越えの数値)を設定しておく。キャンセル後の在庫のほうが多い場合には、S904に移行し、キャンセル後の在庫のほうが同等以下の場合には、増化後の在庫数に問題はないと判断して終了する。なお、極端に多量のキャンセルが起きた場合を除いて、異常報告を行わない構成とすることができる。
【0136】
(異常報告判定ステップS905)
異常報告ステップS207と同様にして、在庫数の異常を報告する。
【0137】
(通常外在庫増加ステップS906)
制御装置102が、キャンセルとなった受注データの商品コード、拠点コードを用いて、当該拠点の通常外在庫数をキャンセルにかかる数だけ増加処理する。
【0138】
(異常報告判定ステップS907)
異常報告ステップS207と同様にして、通常外在庫の発生を異常として報告する。この報告を受けた担当者は、通常外在庫となった商品について、例えばメーカーへの返品、廃棄、見切り品や中古品などとして取り扱う、などの処理を行う。
【産業上の利用可能性】
【0139】
以上に説明したように、本発明によると、在庫のリアルタイム把握が可能な在庫管理システムを実現でき、倉庫担当者や配送業者の負荷を低減できる。よって、本発明の産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0140】
100 在庫管理システム
101 入力受付装置
102 制御装置
103 データベース
104 発注装置
105 POS端末
106 EC-POS
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12