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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】湯水混合栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/044 20060101AFI20230320BHJP
   E03C 1/042 20060101ALI20230320BHJP
   F16K 11/078 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
E03C1/044
E03C1/042 C
F16K11/078 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021511053
(86)(22)【出願日】2019-04-05
(86)【国際出願番号】 JP2019015137
(87)【国際公開番号】W WO2020202551
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】592243553
【氏名又は名称】株式会社タカギ
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 聡
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-227672(JP,A)
【文献】特開2004-92217(JP,A)
【文献】特開2018-184769(JP,A)
【文献】特開2014-145392(JP,A)
【文献】特開2008-88678(JP,A)
【文献】特開2001-304437(JP,A)
【文献】特開2012-2346(JP,A)
【文献】登録実用新案第3216595(JP,U)
【文献】国際公開第2013/072909(WO,A1)
【文献】特開平8-14422(JP,A)
【文献】特開2014-214581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00- 1/10
F16K 11/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓本体と、
前後回動し且つ左右回動するレバーハンドルと、
前記水栓本体の内部に収容されるバルブ組立体とを備えており、
前記バルブ組立体が、
湯供給孔、水供給孔及び排出孔を有する固定弁体と、
流路形成凹部を有しており、前記固定弁体上で動く可動弁体と、
前記レバーハンドルに連動し、前後回動してレバー傾斜位置が変化すると共に左右回動してレバー左右位置が変化する傾斜レバーと、
前記固定弁体の下側に配置され、湯導入孔、水導入孔及び吐出孔を有する下ケースと、
前記下ケースに固定されており、前記下ケースと共に前記バルブ組立体の外面を構成する上ケースと、
前記下ケースと前記水栓本体との間をシールする下シール部材と、
前記固定弁体と前記下ケースとの間において、前記湯供給孔と前記湯導入孔との間、前記水供給孔と前記水導入孔との間、及び、前記排出孔と前記吐出孔との間をシールするインナーシール部材と、
前記バルブ組立体において露出しており、前記傾斜レバーから付与される回転力により左右回動するクリック回転体と、
を有しており、
前記クリック回転体が、第1クリック係合部を有しており、
前記上ケースが、第2クリック係合部を有しており、
前記第1クリック係合部と前記第2クリック係合部との係合に起因して左右クリックが生じ、
前記傾斜レバーが、前記クリック回転体に前記回転力を伝達する第1当接部と、前記第1当接部とは異なる位置において前記クリック回転体に前記回転力を伝達する第2当接部とを有している湯水混合栓。
【請求項2】
水栓本体と、
前後回動し且つ左右回動するレバーハンドルと、
前記水栓本体の内部に収容されるバルブ組立体とを備えており、
前記バルブ組立体が、
湯供給孔、水供給孔及び排出孔を有する固定弁体と、
流路形成凹部を有しており、前記固定弁体上で動く可動弁体と、
前記レバーハンドルに連動し、前後回動してレバー傾斜位置が変化すると共に左右回動してレバー左右位置が変化する傾斜レバーと、
前記固定弁体の下側に配置され、湯導入孔、水導入孔及び吐出孔を有する下ケースと、
前記下ケースに固定されており、前記下ケースと共に前記バルブ組立体の外面を構成する上ケースと、
前記下ケースと前記水栓本体との間をシールする下シール部材と、
前記固定弁体と前記下ケースとの間において、前記湯供給孔と前記湯導入孔との間、前記水供給孔と前記水導入孔との間、及び、前記排出孔と前記吐出孔との間をシールするインナーシール部材と、
前記バルブ組立体において露出しており、前記傾斜レバーから付与される回転力により左右回動するクリック回転体と、
を有しており、
前記クリック回転体が、第1クリック係合部を有しており、
前記上ケースが、第2クリック係合部を有しており、
前記第1クリック係合部と前記第2クリック係合部との係合に起因して左右クリックが生じ、
前記傾斜レバーが、前記レバー傾斜位置に関わらず前記クリック回転体の上側に位置するクリック抜け止め部を有している湯水混合栓。
【請求項3】
水栓本体と、
前後回動し且つ左右回動するレバーハンドルと、
前記水栓本体の内部に収容されるバルブ組立体とを備えており、
前記バルブ組立体が、
湯供給孔、水供給孔及び排出孔を有する固定弁体と、
流路形成凹部を有しており、前記固定弁体上で動く可動弁体と、
前記レバーハンドルに連動し、前後回動してレバー傾斜位置が変化すると共に左右回動してレバー左右位置が変化する傾斜レバーと、
前記固定弁体の下側に配置され、湯導入孔、水導入孔及び吐出孔を有する下ケースと、
前記下ケースに固定されており、前記下ケースと共に前記バルブ組立体の外面を構成する上ケースと、
前記下ケースと前記水栓本体との間をシールする下シール部材と、
前記固定弁体と前記下ケースとの間において、前記湯供給孔と前記湯導入孔との間、前記水供給孔と前記水導入孔との間、及び、前記排出孔と前記吐出孔との間をシールするインナーシール部材と、
前記バルブ組立体において露出しており、前記傾斜レバーから付与される回転力により左右回動するクリック回転体と、
を有しており、
前記クリック回転体が、第1クリック係合部を有しており、
前記上ケースが、第2クリック係合部を有しており、
前記第1クリック係合部と前記第2クリック係合部との係合に起因して左右クリックが生じ、
前記傾斜レバーが、前記レバー傾斜位置の限界において前記上ケースに当接する過倒防止部を有している湯水混合栓。
【請求項4】
水栓本体と、
前後回動し且つ左右回動するレバーハンドルと、
前記水栓本体の内部に収容されるバルブ組立体とを備えており、
前記バルブ組立体が、
湯供給孔、水供給孔及び排出孔を有する固定弁体と、
流路形成凹部を有しており、前記固定弁体上で動く可動弁体と、
前記レバーハンドルに連動し、前後回動してレバー傾斜位置が変化すると共に左右回動してレバー左右位置が変化する傾斜レバーと、
前記固定弁体の下側に配置され、湯導入孔、水導入孔及び吐出孔を有する下ケースと、
前記下ケースに固定されており、前記下ケースと共に前記バルブ組立体の外面を構成する上ケースと、
前記下ケースと前記水栓本体との間をシールする下シール部材と、
前記固定弁体と前記下ケースとの間において、前記湯供給孔と前記湯導入孔との間、前記水供給孔と前記水導入孔との間、及び、前記排出孔と前記吐出孔との間をシールするインナーシール部材と、
前記バルブ組立体において露出しており、前記傾斜レバーから付与される回転力により左右回動するクリック回転体と、
を有しており、
前記クリック回転体が、第1クリック係合部を有しており、
前記上ケースが、第2クリック係合部を有しており、
前記第1クリック係合部と前記第2クリック係合部との係合に起因して左右クリックが生じ、
前記上ケースが、前記レバー傾斜位置の限界において前記傾斜レバーに当接する過倒防止当接面を有している湯水混合栓。
【請求項5】
水栓本体と、
前後回動し且つ左右回動するレバーハンドルと、
前記水栓本体の内部に収容されるバルブ組立体とを備えており、
前記バルブ組立体が、
湯供給孔、水供給孔及び排出孔を有する固定弁体と、
流路形成凹部を有しており、前記固定弁体上で動く可動弁体と、
前記レバーハンドルに連動し、前後回動してレバー傾斜位置が変化すると共に左右回動してレバー左右位置が変化する傾斜レバーと、
前記固定弁体の下側に配置され、湯導入孔、水導入孔及び吐出孔を有する下ケースと、
前記下ケースに固定されており、前記下ケースと共に前記バルブ組立体の外面を構成する上ケースと、
前記下ケースと前記水栓本体との間をシールする下シール部材と、
前記固定弁体と前記下ケースとの間において、前記湯供給孔と前記湯導入孔との間、前記水供給孔と前記水導入孔との間、及び、前記排出孔と前記吐出孔との間をシールするインナーシール部材と、
前記バルブ組立体において露出しており、前記傾斜レバーから付与される回転力により左右回動するクリック回転体と、
を有しており、
前記クリック回転体が、第1クリック係合部を有しており、
前記上ケースが、第2クリック係合部を有しており、
前記第1クリック係合部と前記第2クリック係合部との係合に起因して左右クリックが生じ、
前記水栓本体が、ネジ結合の軸力によって前記バルブ組立体を上側から押さえるバルブ固定部材を更に有しており、
前記バルブ組立体が、前記バルブ固定部材に当接し且つ前記ネジ結合が緩む方向への前記バルブ固定部材の回転を規制するラチェットプレートを更に有しており、
前記クリック回転体が、前記レバー左右位置に関わらず前記ラチェットプレートの上側に位置するラチェット抜け止め部を有している湯水混合栓。
【請求項6】
水栓本体と、
前後回動し且つ左右回動するレバーハンドルと、
前記水栓本体の内部に収容されるバルブ組立体とを備えており、
前記バルブ組立体が、
湯供給孔、水供給孔及び排出孔を有する固定弁体と、
流路形成凹部を有しており、前記固定弁体上で動く可動弁体と、
前記レバーハンドルに連動し、前後回動してレバー傾斜位置が変化すると共に左右回動してレバー左右位置が変化する傾斜レバーと、
前記固定弁体の下側に配置され、湯導入孔、水導入孔及び吐出孔を有する下ケースと、
前記下ケースに固定されており、前記下ケースと共に前記バルブ組立体の外面を構成する上ケースと、
前記下ケースと前記水栓本体との間をシールする下シール部材と、
前記固定弁体と前記下ケースとの間において、前記湯供給孔と前記湯導入孔との間、前記水供給孔と前記水導入孔との間、及び、前記排出孔と前記吐出孔との間をシールするインナーシール部材と、
前記バルブ組立体において露出しており、前記傾斜レバーから付与される回転力により左右回動するクリック回転体と、
を有しており、
前記クリック回転体が、第1クリック係合部を有しており、
前記上ケースが、第2クリック係合部を有しており、
前記第1クリック係合部と前記第2クリック係合部との係合に起因して左右クリックが生じ、
前記傾斜レバーが、レバー軸と、前記レバー軸に取り付けられたレバーキャップとを有している湯水混合栓。
【請求項7】
前記レバーハンドルを前記傾斜レバーに固定する止めネジを更に有しており、
前記レバーキャップが、前記レバー軸を覆うカバー部を有しており、
前記止めネジが、前記カバー部を介して前記レバー軸を押圧している請求項に記載の湯水混合栓。
【請求項8】
前記上ケースと前記水栓本体との間をシールする上シール部材と、
前記傾斜レバーに連動するレバー連動部と前記上ケースとの間をシールするレバーシール部材とを更に有する請求項1から7のいずれか1項に記載の湯水混合栓。
【請求項9】
前記傾斜レバーが、球面部を有しており、
前記レバーシール部材が、前記球面部と前記上ケースとの間をシールしている請求項に記載の湯水混合栓。
【請求項10】
前記傾斜レバーが前記クリック回転体に直接当接し、この当接により前記クリック回転体に前記回転力が付与される請求項1から9のいずれか1項に記載の湯水混合栓。
【請求項11】
前記クリック回転体が、固定されることなく、前記上ケースの上部を構成する円筒部に被さって載せられている請求項1から10のいずれか1項に記載の湯水混合栓。
【請求項12】
前記バルブ組立体が、前記可動弁体をスライド可能に支持すると共に、前記傾斜レバーの左右回動により前記可動弁体と共に回動する回動体を更に有している請求項1から11のいずれか1項に記載の湯水混合栓。
【請求項13】
前記回動体が、前記バルブ組立体において露出していない請求項12に記載の湯水混合栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、湯水混合栓に関する。
【背景技術】
【0002】
固定弁体と、この固定弁体上を摺動する可動弁体とを有するシングルレバー式の湯水混合栓が知られている。特開2008-127739号公報は、吐水量が零以外になる操作レバーの上下回動位置において操作レバーを一定以上の抵抗力で係止する係止片と係止用切欠きとを備えたシングルレバー式の湯水混合栓を開示する。この湯水混合栓では、係止片と係止用切欠きとの係合及び/又はその係合解除に伴い、クリックが生じうる。すなわち、この湯水混合栓では、操作レバーの左右回動に伴いクリック(左右クリック)が生じうる。この湯水混合栓では、止水状態では左右クリックが生じず、吐水状態でのみ左右クリックが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-127739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
左右クリック機構を設けると、水栓の構造は制約されうる。この制約は少ないのが好ましい。
【0005】
本開示は、左右クリック機構を有し、水栓構造の自由度を高めうる湯水混合栓に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、湯水混合栓は、水栓本体と、前後回動し且つ左右回動するレバーハンドルと、前記水栓本体の内部に収容されるバルブ組立体とを備えている。前記バルブ組立体が、湯供給孔、水供給孔及び排出孔を有する固定弁体と、流路形成凹部を有しており、前記固定弁体上で動く可動弁体と、前記レバーハンドルに連動し、前後回動してレバー傾斜位置が変化すると共に左右回動してレバー左右位置が変化する傾斜レバーと、前記固定弁体の下側に配置され、湯導入孔、水導入孔及び吐出孔を有する下ケースと、前記下ケースに固定されており、前記下ケースと共に前記バルブ組立体の外面を構成する上ケースと、前記下ケースと前記水栓本体との間をシールする下シール部材と、前記固定弁体と前記下ケースとの間において、前記湯供給孔と前記湯導入孔との間、前記水供給孔と前記水導入孔との間、及び、前記排出孔と前記吐出孔との間をシールするインナーシール部材と、前記バルブ組立体において露出しており、前記傾斜レバーから付与される回転力により左右回動するクリック回転体と、を有している。前記クリック回転体が、第1クリック係合部を有している。前記上ケースが、第2クリック係合部を有している。前記第1クリック係合部と前記第2クリック係合部との係合に起因して左右クリックが生ずる。
【0007】
他の態様では、湯水混合栓は、水栓本体と、前後回動し且つ左右回動するレバーハンドルと、前記水栓本体の内部に収容されるバルブ組立体とを備えている。前記バルブ組立体が、湯供給孔、水供給孔及び排出孔を有する固定弁体と、流路形成凹部を有しており、前記固定弁体上で動く可動弁体と、前記レバーハンドルに連動し、前後回動してレバー傾斜位置が変化すると共に左右回動してレバー左右位置が変化する傾斜レバーと、前記固定弁体の下側に配置され、湯導入孔、水導入孔及び吐出孔を有する下ケースと、前記下ケースに固定されており、前記下ケースと共に前記バルブ組立体の外面を構成する上ケースと、前記下ケースと前記水栓本体との間をシールする下シール部材と、前記固定弁体と前記下ケースとの間において、前記湯供給孔と前記湯導入孔との間、前記水供給孔と前記水導入孔との間、及び、前記排出孔と前記吐出孔との間をシールするインナーシール部材と、を有している。前記傾斜レバーが、前記バルブ組立体において上側に露出するレバー露出部を有している。前記レバー露出部が、内部が空洞であって何も挿入されていない貫通孔を有している。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面では、左右クリックを備えた水栓の設計自由度が向上しうる。他の側面では、バルブ組立体の取り出しが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る湯水混合栓の斜視図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、図1の湯水混合栓に用いられているバルブ組立体の斜視図である。図2(a)では、傾斜レバーが止水位置にある。図2(b)では、傾斜レバーが最大吐水位置にある。
図3図3(a)は図2(a)のバルブ組立体を含むバルブ近傍部の側面図であり、図3(b)は図3(a)のb-b線に沿った断面図であり、図3(c)は図3(a)のc-c線に沿った断面図である。
図4図4(a)は図2(b)のバルブ組立体を含むバルブ近傍部の側面図であり、図4(b)は図4(a)のb-b線に沿った断面図であり、図4(c)は図4(a)のc-c線に沿った断面図である。
図5図5は、前記バルブ組立体の分解斜視図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、レバーキャップの斜視図である。図6(a)は斜め上方から見た斜視図であり、図6(b)は斜め下方から見た斜視図である。
図7図7は、クリック回転体の斜視図である。
図8図8(a)及び図8(b)は、クリック回転体を構成する金属部材の斜視図である。図8(a)は斜め上方から見た斜視図であり、図8(b)は斜め下方から見た斜視図である。
図9図9(a)はバルブ組立体が収容部に配置された状態を示す断面図であり、図9(b)はバルブ組立体が収容部から取り出された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面が参照されつつ、実施形態が詳細に説明される。なお以下では、「水」及び「湯」との文言が用いられる。湯供給孔からの液体と水供給孔からの液体とを区別する観点から、必要に応じて、「湯」と「水」とが使い分けられる。一方、湯供給孔からの液体と水供給孔からの液体とを総称して「水」としている記載もある。
【0011】
本願では、実施形態における通常の使用状態を考慮して、「上」、「下」、「上側」、「下側」等の文言が用いられる。使用状態、水栓の仕様、水栓が取り付けられる設備の仕様等により、水栓の姿勢は変化しうる。この場合、上記文言は、水栓の当該姿勢に沿って適切に解釈される。
【0012】
特に説明しない限り、本願において「径方向」とは、上ケースの径方向を意味する。特に説明しない限り、本願において「周方向」とは、上ケースの周方向を意味する。
【0013】
図1は、一実施形態に係る湯水混合栓10の斜視図である。湯水混合栓10は、水栓本体12、レバーハンドル14、吐出部16、湯導入管18、水導入管20及び吐出管22を有する。吐出部16は、ヘッド24を有する。ヘッド24は、切替レバー26を有する。この切替レバー26の操作により、シャワー吐出と通常吐出との切り替えが可能である。湯水混合栓10は、例えば、キッチン、洗面台等で使用される。
【0014】
ヘッド24は、切替ボタン28と表示部30を有する。吐出部16には、浄水カートリッジ(図示されず)が内蔵されている。切替ボタン28により、浄水カートリッジにより浄化された水が通る浄水流路と、浄水カートリッジにより浄化されない水が通る原水流路とが切り換えられる。浄水流路に切り換えられると、浄水が吐出される。原水流路に切り換えられると、原水が吐出される。表示部30は、吐水が浄水か原水かを表示する。
【0015】
レバーハンドル14の前後回動(上下回動)により、吐出量が調整される。本実施形態では、レバーハンドル14を上側に動かすほど吐出量が増加し、レバーハンドル14を最も下側にすると止水される。レバー左右位置に拘わらず、レバーハンドル14が最も下側にあるとき、止水状態となる。逆に、レバーハンドル14を下側に動かすほど吐出量が増加してもよい。レバーハンドル14の左右回動により、湯と水との混合割合が変化する。レバー左右位置により、吐水温度が調整される。なお、吐出量を調整するときのレバーハンドル14の動きは、前後回動というよりも上下回動である。ただし、このレバーハンドル14の回動に伴う傾斜レバー46の動きは前後回動である。このため、文言を統一して分かりやすくする観点から、本願では、レバーハンドル14の上記回動を前後回動と称する。
【0016】
図2(a)及び図2(b)は、バルブ組立体38の斜視図である。図2(a)は止水状態における斜視図であり、図2(b)は吐水状態における斜視図である。図2(b)は、吐水量が最大の状態(最大吐水状態)を示している。
【0017】
図3(a)は止水状態におけるバルブ組立体38及びその近傍の側面図である。図3(b)は図3(a)のb-b線に沿った断面図である。図3(c)は図3(a)のc-c線に沿った断面図である。
【0018】
図4(a)は吐水状態(最大吐水状態)におけるバルブ組立体38及びその近傍の側面図である。図4(b)は図4(a)のb-b線に沿った断面図である。図4(c)は図4(a)のc-c線に沿った断面図である。
【0019】
バルブ組立体38は、湯水混合栓10の水栓本体12に内蔵されている。水栓本体12は、側面壁部12aと、底部12bとを有する。側面壁部12aと底部12bとは、バルブ組立体38を収容する収容部13を形成している。また水栓本体12は、バルブ組立体38を上側から押さえるバルブ固定部材12cを有する。バルブ固定部材12cは雄ネジ部を有しており、この雄ネジ部が側面壁部12aの内面に設けられた雌ネジ部とネジ結合されている。バルブ固定部材12cは、バルブ組立体38を上側から押さえることで、バルブ組立体38を収容部13に固定している。
【0020】
図5は、バルブ組立体38の分解斜視図である。図5が示すように、バルブ組立体38は、上シール部材40、上ケース42、回動体44、傾斜レバー46及びレバーシール部材48を有する。傾斜レバー46は、レバー軸46aと、レバーキャップ46bとを有する。レバー軸46aは、上部50、球面部52及び下部54を有する。球面部52は上部50と下部54との間に位置する。上部50には、レバーハンドル14が固定される。
【0021】
傾斜レバー46に対するレバーハンドル14の固定には、止めネジ53が用いられている(図3(b)参照)。図示されないが、レバーハンドル14には傾斜レバー46の上部50に対応した形状のレバー挿入部とネジ孔とが設けられている。このレバー挿入部に傾斜レバー46(上部50)が挿入された状態で、前記ネジ孔に止めネジ53がねじ込まれている。この止めネジ53の軸力F1により、止めネジ53の先端が傾斜レバー46を押圧している。この押圧により、レバーハンドル14が傾斜レバー46に固定されている。同時に、この止めネジ53の押圧は、レバー軸46aに対するレバーキャップ46bの固定にも寄与している。止めネジ53は、レバーキャップ46bのカバー部144を介してレバー軸46aを押圧している。この結果、止めネジ53が押圧する部分において、レバーキャップ46bがレバー軸46aに強く押し当てられている。結果として、レバー軸46aに対するレバーキャップ46bの固定力が高められている。
【0022】
レバー軸46aは、貫通孔55を有している。貫通孔55は、上部50に設けられている。
【0023】
更に、バルブ組立体38は、クリック回転体56を有する。クリック回転体56は、上ケース42の上部(後述の小径円筒部120)に被せられている。
【0024】
更に、バルブ組立体38は、ラチェットプレート58を有する。ラチェットプレート58は、上ケース42の上向き面に固定されている。ラチェットプレート58は金属製である。
【0025】
更に、バルブ組立体38は、可動弁体60、固定弁体62、インナーシール部材64、下シール部材66及び下ケース68を有する。インナーシール部材64は、湯孔シール部64aと、水孔シール部64bと、排出孔シール部64cとを有する。本実施形態では、湯孔シール部64a、水孔シール部64b及び排出孔シール部64cが互いに分離している。湯孔シール部64a、水孔シール部64b及び排出孔シール部64cが繋がっていてもよい。この場合、インナーシール部材64は、3つの環状部を有する一体部材とされうる。
【0026】
下ケース68は、湯導入孔70、水導入孔72及び吐出孔74を有する。下ケース68の下側の底部12bには、これら湯導入孔70、水導入孔72及び吐出孔74のそれぞれに対応した開口が設けられており、これらの開口のそれぞれに、湯導入管18、水導入管20及び吐出管22が接続されている。下シール部材66は、下ケース68の各孔70,72,74と、底部12bの各開口との接続部をシールしている。
【0027】
固定弁体62は、下ケース68の上側に位置する。固定弁体62は、インナーシール部材64で下方から支持されつつ、このインナーシール部材64により可動弁体60に押し付けられている。下ケース68には、固定弁体62の回転を防止する係合凸部76と、上ケース42を下ケース68に固定するための係合凸部77とが設けられている。固定弁体62には、係合凸部76と係合する係合凹部78が設けられている。
【0028】
固定弁体62は、湯供給孔80、水供給孔82及び排出孔84を有する。湯供給孔80は、固定弁体62を貫通している。湯供給孔80は、下ケース68の湯導入孔70に接続されている。インナーシール部材64(湯孔シール部64a)は、この接続のシール性を担保している。水供給孔82は、固定弁体62を貫通している。水供給孔82は、下ケース68の水導入孔72に接続されている。インナーシール部材64(水孔シール部64b)は、この接続のシール性を担保している。排出孔84は、固定弁体62を貫通している。排出孔84は、下ケース68の吐出孔74に接続されている。インナーシール部材64(排出孔シール部64c)は、この接続のシール性を担保している。
【0029】
可動弁体60は、上側部材86と、下側部材88とを有する。上側部材86は、下側部材88に固定されている。この固定は、上側部材86の凸部90と、下側部材88の凹部92との係合によって達成されている。本実施形態では、上側部材86と下側部材88とが互いに別部材である。別部材とすることで、上側部材86と下側部材88とのそれぞれにおいて、最適な材質及び製法が選択されうる。可動弁体60は全体として一体的に成形されていてもよい。
【0030】
図3(b)及び図4(b)が示すように、可動弁体60(下側部材88)の下面には、流路形成凹部94が形成されている。流路形成凹部94は、下方に向かって開口している。流路形成凹部94の上方は閉じている。なお、本実施形態では、下側部材88に形成された有底の凹部が流路形成凹部94であるが、この凹部に変えて貫通孔が設けられてもよい。例えば、この貫通孔の上側の開口がOリング等のパッキンを用いて別体で塞がれることで、流路形成凹部が構成されうる。
【0031】
図3(b)及び図4(b)が示すように、固定弁体62の上面には、第1摺動面PL1が設けられている。第1摺動面PL1は、平面である。前述した80、82及び84が存在していない部分に、第1摺動面PL1が形成されている。一方、下側部材88(可動弁体60)の下面には、第2摺動面PL2が設けられている。流路形成凹部94が形成されていない部分に、第2摺動面PL2が設けられている。第1摺動面PL1と第2摺動面PL2との面接触により、摺動合わせ面PL3が形成されている。この摺動合わせ面PL3は、水密性を発揮する。
【0032】
図5が示すように、上側部材86の上面には、傾斜レバー46(レバー軸46a)の下部54と係合するレバー係合凹部98が設けられている。傾斜レバー46の下部54は、このレバー係合凹部98に挿入されている。前述の通り、レバーハンドル14は傾斜レバー46に固定されている。レバーハンドル14が前後回動すると、傾斜レバー46も前後回動する。この前後回動により、傾斜レバー46のレバー傾斜位置が変化する。レバーハンドル14が左右回動すると、傾斜レバー46も左右回動する。この左右回動により、傾斜レバー46のレバー左右位置が変化する。
【0033】
傾斜レバー46の動きに連動して、可動弁体60が固定弁体62の上を摺動する。傾斜レバー46の左右回動に連動して、可動弁体60は回転する。傾斜レバー46の前後回動に連動して、可動弁体60は移動し、可動弁体60の流路形成凹部94も移動する。
【0034】
流路形成凹部94が湯供給孔80及び/又は水供給孔82と排出孔84とに重複することで、吐水状態が達成される。吐水状態は、混合吐出状態、湯吐出状態及び水吐出状態を含む。流路形成凹部94が湯供給孔80及び水供給孔82に重複しているとき、混合吐出状態が達成される。混合吐出状態では、湯供給孔80からの湯と水供給孔82からの水とが混合されて吐出される。流路形成凹部94が、湯供給孔80のみに重複し、水供給孔82に重複していないとき、湯吐出状態が達成される。湯吐出状態では、湯供給孔80からの湯のみが吐出され、水供給孔82からの水は吐出されない。流路形成凹部94が、水供給孔82のみに重複し、湯供給孔80に重複していないとき、水吐出状態が達成される。水吐出状態では、水供給孔82からの水のみが吐出され、湯供給孔80からの湯は吐出されない。流路形成凹部94が湯供給孔80及び水供給孔82に重複していないとき、止水状態が達成される。
【0035】
湯供給孔80は、固定弁体62の外縁に至る連通路を有していない。水供給孔82は、固定弁体62の外縁に至る連通路を有していない。排出孔84は、固定弁体62の外縁に至る連通路を有していない。湯水混合栓10は、ドライ摺動型である。一般に湯水混合栓は、水中摺動型とドライ摺動型とに分類される。水中摺動型は、摺動合わせ面を水没させて使用する湯水混合栓である。水中摺動型の湯水混合栓は、摺動合わせ面の周囲の空間に水を供給する水供給路を有している。前記連通路は、この水供給路の例である。湯水混合栓10は、摺動合わせ面PL3の周囲の空間に水を供給する水供給路を有さない。湯水混合栓10では、摺動合わせ面PL3により、摺動合わせ面PL3の周囲の空間への水漏れが規制されている。ドライ摺動型では、摺動合わせ面PL3を故意に水没させることはない。
【0036】
図5が示すように、回動体44は、球面支持部102と、係合部104と、円周外面105とを有する。図3(b)及び図4(b)が示すように、球面支持部102は、球面の凹面であり、傾斜レバー46の球面部52と面接触している。係合部104は、可動弁体60(の上側部材86)のスライド係合部106に、スライド可能に取り付けられている。回動体44は、所定の角度範囲で回転可能な状態で、上ケース42に支持されている。回動体44は、上ケース42の内部に収容されている。回動体44の全体が、上ケース42の内側に位置する。
【0037】
図3(b)及び図4(b)が示すように、レバーシール部材48は、回動体44の上端面と上ケース42とに挟まれることで、固定されている。傾斜レバー46の球面部52は、レバーシール部材48に密着している。
【0038】
レバーハンドル14の左右回動に伴い、傾斜レバー46が左右回動する。傾斜レバー46と共に回動体44が回転し、可動弁体60も回転する。傾斜レバー46の左右回動に伴い、レバーシール部材48も回転する。傾斜レバー46の左右回動において、レバーシール部材48は、球面部52と共に回転し、球面部52と摺動しない。なお、レバーシール部材48は、傾斜レバー46の左右回動に伴い回転しなくてもよい。あらゆるレバー左右位置において、球面部52はレバーシール部材48に密着している。
【0039】
レバーハンドル14の前後回動に連動して、傾斜レバー46は前後回動する。傾斜レバー46の前後回動では、傾斜レバー46の傾きが変化する。傾斜レバー46の前後回動に伴い、可動弁体60は回動体44に対してスライド移動する。傾斜レバー46の前後回動に伴い、レバーシール部材48は球面部52と摺動する。
【0040】
傾斜レバー46の前後回動より、傾斜レバー46の傾きが変化する。本願では、傾斜レバー46の傾きにより変化する傾斜レバー46の前後位置が、レバー傾斜位置とも称される。あらゆるレバー傾斜位置において、レバーシール部材48は球面部52に密着している。レバー傾斜位置は、止水位置と最大吐水位置とを有する。止水位置は、止水状態におけるレバー傾斜位置である。最大吐水位置は、吐水量が最大の状態におけるレバー傾斜位置である。
【0041】
シール性の観点からは、レバーシール部材48に密着するシール面は球面部52であるのが好ましい。追従性の高いシール部材を用いれば、シール面は球面部以外とされうる。
【0042】
図5が示すように、レバーシール部材48は、無端の環状部材である。レバーシール部材48は、環状のパッキンである。レバーシール部材48は、内周面48aと、外周面48bとを有する。更に、レバーシール部材48は、上面48cと下面48dとを有する。外周面48bは、凹みを有している。図3(b)及び図4(b)が示すように、外周面48bは小径円筒部120(上ケース42)の内面に密着している。内周面48aは、球面部52に密着している。上面48cは、上ケース42(シール支持部126)に密着している。下面48dは、回動体44に密着している。
【0043】
シール性の観点から、球面部52は高い精度で成形されているのが好ましい。この観点から、球面部52は、レバー軸46aに形成されているのが好ましい。レバー軸46aの材質を金属とすることで、球面部52の材質を金属とすることができる。金属の場合、研磨によって高精度の球面を形成することができ、表面を鏡面とすることもできる。
【0044】
レバーシール部材48は、傾斜レバー46に連動するレバー連動部と上ケース42との間をシールしている。本実施形態では、レバー連動部が球面部52である。レバーシール部材48にシールされるレバー連動部は球面部52に限定されない。このレバー連動部は、傾斜レバー46の一部であってもよいし、傾斜レバー46以外であってもよい。例えば、レバーシール部材48にシールされるレバー連動部は、回動体44であってもよい。すなわち、レバーシール部材48は、上ケース42と回動体44との間、及び、回動体44と上側部材86との間をシールしていてもよい。
【0045】
図5が示すように、上ケース42は、小径円筒部120と、大径円筒部122と、連結部124とを有する。小径円筒部120は、上ケース42の上部を構成している。小径円筒部120は、大径円筒部122の上側に位置する。連結部124は、上ケース42の半径方向に延在している。連結部124は、小径円筒部120と大径円筒部122とを繋いでいる。連結部124は、上向き面である。
【0046】
ラチェットプレート58は、上ケース42の上向き面(連結部)124に配置されている。ラチェットプレート58は、上向き面124と略同じ大きさの環状部材である。図5が示すように、ラチェットプレート58は、環状の基部58aと、基部58aの周方向における複数箇所(5箇所)から延びる歯止め部58bとを有する。歯止め部58bは、基部58aの周方向において等間隔で配置されている。各歯止め部58bは、基部58aから斜め上側に延びており、その上端は自由端である。全ての歯止め部58bは、周方向に対して等価に形成されている。
【0047】
基部58aは係合部58c(凸部)を有している。係合部58cが上ケース42の係合部132(凹部)と係合した状態で、ラチェットプレート58は上向き面124の上に置かれる。この係合により、上ケース42に対するラチェットプレート58の回転が防止される。
【0048】
図3(b)及び図4(b)が示すように、ラチェットプレート58は、バルブ固定部材12cの底面に当接する。図示されないが、バルブ固定部材12cの底面には、ラチェットギヤが形成されている。ラチェットギヤは、下方に突出する複数の歯が周方向に多数並ぶことで形成されている。歯のそれぞれは、周方向の一方側に位置する比較的緩やかな斜面と、周方向の他方側に位置する比較的急な斜面とを有している。これら2つの斜面が、歯の頂点で交差しつつ終端している。このラチェットギヤとラチェットプレート58とで、バルブ固定部材12cの回転方向を締め付け方向のみに規制するラチェット機構が構成されている。バルブ固定部材12cが緩み方向に回転しようとすると、歯止め部58bがラチェットギヤの歯に係合し、当該回転が規制される。より詳細には、歯止め部58bの先端が前記比較的急な斜面に当接して、バルブ固定部材12cの緩み方向への回転が規制される。バルブ固定部材12cが締め付け方向に回転するときは、歯止め部58bは前記歯の頂点によって押し下げられ、当該回転は規制されない。
【0049】
前述の通り、バルブ固定部材12cは雄ネジ部を有しており、この雄ネジ部が側面壁部12aの内面に設けられた雌ネジ部とネジ結合されている(図3(b)及び図4(b)参照)。前記締め付け方向はネジ結合を締め付ける方向であり、前記緩み方向は前記ネジ結合を緩める方向である。バルブ固定部材12cを締め付け方向に回転させると、バルブ固定部材12cが下方に移動し、バルブ組立体38への押圧力が高まる。バルブ固定部材12cを緩み方向に回転させると、バルブ固定部材12cが上方に移動し、バルブ組立体38への押圧力が低下する。前記ラチェット機構は、前記緩み方向へのバルブ固定部材12cの回転を規制する。すなわち、前記ラチェット機構は、前記ネジ結合が緩む方向への前記バルブ固定部材12cの回転を規制している。
【0050】
上ケース42は、シール支持部126を有する。シール支持部126は、小径円筒部120に設けられている。小径円筒部120は環状である。シール支持部126は、小径円筒部120の内面から、小径円筒部120の半径方向内側に向かって突出している。シール支持部126の下面にレバーシール部材48の上面48cが接触している。
【0051】
大径円筒部122は、シール配置部128を有する。シール配置部128は、周溝である。シール配置部128は、大径円筒部122の外周面に設けられている。シール配置部128は、大径円筒部122の上部に設けられている。シール配置部128に、上シール部材40が配置される。
【0052】
大径円筒部122は、係合孔130を有する。この係合孔130が、下ケース68の係合凸部77と係合している。この係合により、上ケース42は、下ケース68に固定されている。
【0053】
図6(a)及び図6(b)は、レバーキャップ46bの斜視図である。図6(a)は斜め上側から見た斜視図であり、図6(b)は斜め下側から見た斜視図である。
【0054】
レバーキャップ46bは、レバー軸46aに取り付けられて用いられる。レバーキャップ46bは、キャップ上部140とキャップ下部142とを有する。キャップ上部140は、カバー部144を有する。カバー部144の内部は空洞である。図3(b)及び図4(b)が示すように、カバー部144の内部に、レバー軸46a(上部50)が挿入されている。
【0055】
カバー部144はレバー軸46aを覆っている。カバー部144の内面の断面形状は、カバー部144に挿入される部分におけるレバー軸46aの断面形状に対応している。カバー部144の内面の寸法は、カバー部144に挿入される部分におけるレバー軸46aの寸法よりも(僅かに)小さい。レバー軸46aは、カバー部144に圧入されている。レバー軸46aはカバー部144の内側に嵌め込まれている。この嵌め込みにより、カバー部144はレバー軸46aに固定されている。更に前述の通り、止めネジ53により、当該固定が一層強固とされている。
【0056】
カバー部144は、貫通孔146を有する。この貫通孔146については、後述される。
【0057】
キャップ下部142は、鍔部150と、底面形成部152と、突出延在部154とを有する。鍔部150は、カバー部144の中心軸に対して垂直な方向に延びている。鍔部150は、外側に向かって延びている。鍔部150は、側面150aと底面150bとを有する。突出延在部154は、斜め下方に延びている。突出延在部154は、カバー部144の中心軸に対して傾斜した方向に延びている。突出延在部154は、側面154aと先端154bとを有する。
【0058】
レバーキャップ46bの内部は空洞である。この空洞は、キャップ上部140とキャップ下部142とを貫通している。この空間は下方に開放されており、キャップ上部140の内側へのレバー軸46aの挿入を可能としている。
【0059】
図7は、クリック回転体56の斜視図である。クリック回転体56は、基部162と、円筒形成部164と、中央開口166と、下方延在部168とを有する。基部162は、その中央部が中央開口166によって欠落した環状部である。中央開口166は、クリック回転体56を上下方向に貫通する貫通孔を構成している。中央開口166に傾斜レバー46が挿通される。
【0060】
円筒形成部164は、基部162の周縁から下方に延びている。円筒形成部164は、周方向において部分的に欠落している。下方延在部168は、基部162の周縁から下方に延びている。下方延在部168は、円筒形成部164が周方向において欠落した部分に設けられている。下方延在部168は、円筒形成部164の一部であってもよい。本実施形態でも、下方延在部168は円筒形成部164の一部である。下方延在部168の両側において、円筒形成部164は欠落している。
【0061】
クリック回転体56は、クリック係合部170を有する。本実施形態では、クリック係合部170は、円筒形成部164の径方向内側に向かって突出する係合凸部である。クリック係合部170は、下方延在部168に設けられている。本願において、クリック回転体56に設けられたクリック係合部170は、第1クリック係合部とも称される。
【0062】
クリック回転体56は、第1レバー当接面180を有する。本実施形態では、2つの第1レバー当接面180が設けられている。2つの第1レバー当接面180は、中央開口166に面している。第1レバー当接面180は、傾斜レバー46の両側(右側及び左側)に位置する。
【0063】
クリック回転体56は、上向き曲面182を有する。本実施形態では、2つの上向き曲面182が設けられている。上向き曲面182は、傾斜レバー46の両側(右側及び左側)に位置する。
【0064】
クリック回転体56は、第2レバー当接面184を有する。第2レバー当接面184は、第1レバー当接面180とは異なる位置にある。本実施形態では、2つの第2レバー当接面184が設けられている。第2レバー当接面184は、傾斜レバー46の両側(右側及び左側)に位置する。
【0065】
本実施形態では、クリック回転体56は、複数の部材を組み合わせることで構成されている。クリック回転体56は、金属部材190と樹脂部材192とを有する。樹脂部材192は、右側樹脂部材192aと左側樹脂部材192bとを有している。右側樹脂部材192aと左側樹脂部材192bとは、互いに鏡像の関係にある。クリック回転体56は、全体として一体成形されていてもよい。
【0066】
なお本願において、「右側」及び「左側」は、傾斜レバー46に対して両側に位置する部分を互いに区別することのみを目的として用いられている。「右側」及び「左側」は、絶対的な意味ではなく、相対的な意味で用いられている。
【0067】
図8(a)及び図8(b)は金属部材190の斜視図である。図8(a)は斜め上方から見た斜視図であり、図8(b)は斜め下方から見た斜視図である。
【0068】
金属部材190は、全体として板材により形成されている。金属部材190は、前述した基部162と円筒形成部164とを有している。金属部材190は、下方延在部168を有している。金属部材190は、第1クリック係合部170を有している。
【0069】
樹脂部材192は、前述した第1レバー当接面180と上向き曲面182と第2レバー当接面184とを有している。右側樹脂部材192aが、右側の第1レバー当接面180a、右側の上向き曲面182a及び右側の第2レバー当接面184aを有している。左側樹脂部材192bが、左側の第1レバー当接面180b、左側の上向き曲面182b及び左側の第2レバー当接面184bを有している。
【0070】
図示されないが、右側樹脂部材192aは上下方向の間隔を有するスリットを有しており、このスリットに金属部材190の基部162が挿入されている。この結果、金属部材190の基部162が右側樹脂部材192aに挟み込まれる。また、このスリット内にある壁部が金属部材190の係合部194に差し込まれている。これらの構造により、右側樹脂部材192aは金属部材190に固定されている。左側樹脂部材192bも同じように金属部材190に固定されている。
【0071】
このようなクリック回転体56は、上ケース42の上部を構成する円筒部(小径円筒部120)に被せられている(図2(a)、図2(b)、図3(b)及び図4(b)参照)。クリック回転体56の基部162が小径円筒部120の上に載置される。クリック回転体56の円筒形成部164は小径円筒部120に沿って小径円筒部120の外側に配置される。円筒形成部164が小径円筒部120にガイドされることで、クリック回転体56は回転する。クリック回転体56の回転中心は、上ケース42(小径円筒部120)の中心線に等しい。傾斜レバー46はクリック回転体56の中央開口166を貫通している。
【0072】
クリック回転体56が回転すると、クリック係合が生じる。図2(b)及び図5が示すように、小径円筒部120の外周面には、クリック係合部200が設けられている。上ケース42に設けられたクリック係合部200は、第2クリック係合部とも称される。この第2クリック係合部200は、凸部である。クリック回転体56が所定の回転位置に達したとき、第2クリック係合部200と、クリック回転体56の第1クリック係合部170とが接触する。更にクリック回転体56の回転が進行すると、第1クリック係合部170が第2クリック係合部200に乗り上げる。このとき、クリック回転体56において、下方延在部168は弾性変形する。この弾性変形は、クリック係合部170が円筒形成部164の径方向外側に変位するような変形である。更にクリック回転体56の回転が進行すると、第1クリック係合部170が第2クリック係合部200を乗り越える。このとき、下方延在部168の前記弾性変形が一気に解消され、クリックが生じる。このように、第1クリック係合部170とクリック係合部200との係合に起因してクリックが生ずる。
【0073】
このクリックは、音であってもよいし、レバーハンドル14を持つ手に伝わる感覚(振動等)であってもよい。好ましくは、このクリックは、音(クリック音)及び振動を含む。クリック回転体56の回転は、傾斜レバー46の左右回動により生ずる。このため、このクリックは左右クリックと称される。左右クリックは、レバー左右位置が特定の位置にあることを使用者に伝達する。
【0074】
なお、左右クリックが生じるときのレバー左右位置は限定されない。上記実施形態では、左右クリックが生じるときのレバー左右位置は、正面位置よりも若干(10°未満)湯側の位置である。この左右クリックは、湯の混合の有無を使用者に告知しうる。2つの第1クリック係合部170は、同一のレバー左右位置で同時に作動する。このためクリック音がより一層大きくなる。
【0075】
[密閉構造]
図4(b)等が示すように、バルブ組立体38は、弁体周囲空間S1を有する。この湯水混合栓10では、弁体周囲空間S1が密閉空間とされている。弁体周囲空間S1は、複数のシール部材によって密閉されている。弁体周囲空間S1は、摺動合わせ面PL3の周囲の空間を含む。弁体周囲空間S1は、インナーシール部材64の周囲の空間を含む。弁体周囲空間S1は、バルブ組立体38と収容部13との間の空間を含む。これらの空間は、部材間の隙間によって繋がっている。弁体周囲空間S1は、摺動合わせ面PL3及びインナーシール部材64から漏れた漏れ水が貯留されうる空間である。
【0076】
弁体周囲空間S1の上側は、レバーシール部材48と上シール部材40とで密閉されている。上シール部材40は、上ケース42と水栓本体12との間をシールしている。本実施形態では、上シール部材40は、上ケース42(大径円筒部122)と側面壁部12aとの間をシールしている。レバーシール部材48は、レバー連動部(球面部52)と上ケース42との間をシールしている。上シール部材40及びレバーシール部材48は、摺動合わせ面PL3よりも上側に位置している。バルブ組立体38の内側に位置するレバーシール部材48と、バルブ組立体38の外側に位置する上シール部材40とで、弁体周囲空間S1の上側の密閉が実現されている。
【0077】
弁体周囲空間S1の下側は、インナーシール部材64及び下シール部材66で密閉されている。インナーシール部材64は、固定弁体62と下ケース68との間をシールしている。下シール部材66は、下ケース68と水栓本体12との間をシールしている。本実施形態では、下シール部材66は、下ケース68と底部12bとの間をシールしている。インナーシール部材64及び下シール部材66は、摺動合わせ面PL3よりも下側に位置している。バルブ組立体38の内側に位置するインナーシール部材64と、バルブ組立体38の外側に位置する下シール部材66とで、弁体周囲空間S1の下側の密閉が実現されている。
【0078】
このように、バルブ組立体38と、水栓本体12の収容部13との間は、上側では上シール部材40でシールされ、下側では下シール部材66でシールされている。更に、レバー連動部は、レバーシール部材48でシールされている。また、固定弁体62と下ケース68との間は、インナーシール部材64でシールされている。これらのシール部材により、弁体周囲空間S1は密閉されている。
【0079】
ドライ摺動型の湯水混合栓10では、摺動合わせ面PL3からの水の流出は望まれていない。しかし、摩耗やグリースの流出などの影響で、摺動合わせ面PL3からの水漏れは生じうる。また、劣化により、各シール部からの水漏れが生じる。通常のドライ摺動の湯水混合栓では、弁体周囲空間S1は密閉されていない。このため、漏れ水は、弁体周囲空間S1を満たした後、水栓本体12の外部に溢れ出す。溢れ出した漏れ水は、湯水混合栓10の外壁を伝って流れ落ち、水栓根元部に溜まる。水栓根元部とは、水栓本体12と水栓設置部(流し台など)との境界部を意味する。溜まった水は、この水栓根元部を腐食させる。
【0080】
本開示の湯水混合栓10では、弁体周囲空間S1が密閉されている。このため、漏れ水が外部に流出しない。
【0081】
上記密閉により、弁体周囲空間S1が外部から遮断される。このため、湯水混合栓10を洗浄する際に用いられる洗浄水が弁体周囲空間S1の内部に侵入することが防止される。また、洗剤の侵入が防止される。この結果、グリースの流出が抑制される。
【0082】
吐水の温度が高い場合、弁体周囲空間S1内の空気及びその周辺部材が暖められて膨張する。この膨張に起因する高い空気圧は、可動弁体60を押し下げる。この結果、吐水時における、摺動合わせ面PL3からの水漏れが抑制される。
【0083】
漏れ水が増加するにつれて、密閉された弁体周囲空間S1内の圧力が上昇する。この圧力によりシール部材の内側と外側との圧力差が小さくなると、水漏れが抑制される。また、この圧力がシール部材の内側の圧力と同じになると、シール部材の内側と外側との圧力差がなくなり、水漏れが生じない。また、弁体周囲空間S1内の圧力が上昇すると、シール部材は内側と外側とから押圧されて薄くなり、上下方向に延びようとするので、シール圧が高まる。摺動合わせ面PL3からの水漏れについても、弁体周囲空間S1の圧力が漏れ水圧と同じになれば、水漏れが防止される。このように、弁体周囲空間S1が密閉された構造は、内圧の上昇によって漏れ水を抑制しうる。
【0084】
上シール部材40の形状は限定されない。上記実施形態のように、側面壁部12aの内周面と上ケース42の外周面との間をシールする場合、上シール部材40は環状であるのが好ましい。この環状シールとして、Oリング及びリップパッキンが例示される。上記実施形態では、Oリングが用いられている。
【0085】
レバーシール部材48の形状は限定されない。上記実施形態のように、傾斜レバー46の球面部52をシールする場合、レバーシール部材48は環状であるのが好ましい。
【0086】
インナーシール部材64の形状は限定されない。前述の通り、インナーシール部材64は、上記実施形態のように3つの環状シールであってもよいし、3つの環状部を有して一体化されていてもよい。分離した3つの環状シールが用いられる場合、各環状シールは円筒形状であってもよい。上記実施形態でも、湯孔シール部64a、水孔シール部64b及び排出孔シール部64cは円筒形状である(図参照)。インナーシール部材64は、固定弁体62と下ケース68との間で圧縮されて用いられる。インナーシール部材64の存在に起因して、固定弁体62と下ケース68との間には隙間が確保されている。インナーシール部材64は、この隙間を維持しつつ、固定弁体62を上側(可動弁体60側)に押圧している。この押圧力は、摺動合わせ面PL3における接触圧を高め、摺動合わせ面PL3からの漏れ水を抑制している。
【0087】
下シール部材66の形状は限定されない。下シール部材66は、3つの環状シールであってもよいし、上記実施形態のように、3つの環状部を有して一体化されていてもよい。
【0088】
[引き抜き容易構造]
図2(a)等が示すように、傾斜レバー46は、貫通孔210を有する。貫通孔210は、傾斜レバー46を貫通している。貫通孔210は、前述した貫通孔55及び貫通孔146が同軸で配置されることによって形成されている。
【0089】
傾斜レバー46は、バルブ組立体38において上側に露出するレバー露出部212を有している。貫通孔210は、レバー露出部212に設けられている。貫通孔210の内部は空洞である。貫通孔210には何も挿入されていない。貫通孔210は、バルブ組立体38を引き抜くために設けられている。貫通孔210は、バルブ組立体38を引き抜く以外の用途では利用されない。
【0090】
図9(a)及び図9(b)は、バルブ組立体38の引き抜き工程を示す断面図である。バルブ組立体38が交換される場合、使用済みのバルブ組立体38は水栓本体12から取り出される。この場合、先ず、レバーハンドル14が傾斜レバー46から取り外される。次に、バルブ固定部材12cが取り外される。この結果、バルブ組立体38は、図9(a)で示される状態となる。この状態では、バルブ組立体38は収容部13に収まっている。バルブ組立体38を引き上げるのに持つことができるのは、傾斜レバー46のレバー露出部212のみである。
【0091】
ただし、この引き上げは容易ではない。長期の使用により、シール部は固着する。図9(a)の状態では、下シール部材66において固着が生じうる。バルブ組立体38を引き上げるのには、この固着力を超える上向き力Fが必要である。しかしながら、傾斜レバー46の露出部は細く且つ短い。傾斜レバー46の露出部は、持ちにくい。よって、バルブ組立体38は引き上げにくい。
【0092】
更に、バルブ組立体38は、下シール部材66に加えて、上シール部材40を有する。この上シール部材40でも、固着が生じうる。よって、更なる上向き力Fが必要となる。
【0093】
この引き上げの困難性を解決するため、本実施形態では、貫通孔210が設けられている。この貫通孔210に工具又は紐などを通すことで、バルブ組立体38を容易に引き上げることができる(取り出し容易効果)。工具として、例えば六角レンチが挙げられる。
【0094】
貫通孔210の断面形状は、円形であってもよいし、円形以外であってもよい。上述の引き上げを容易とする観点から、貫通孔210の断面の最長横断長さは、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、3mm以上がより好ましい。傾斜レバー46の寸法及び強度を考慮すると、貫通孔210の断面の最長横断長さは、5mm以下が好ましく、4.5mm以下がより好ましく、4mm以下がより好ましい。例えば、貫通孔210の断面形状が円である場合、前記最長横断長さは、当該円の直径を意味する。例えば、貫通孔210の断面形状が正方形である場合、前記最長横断長さは、当該正方形の対角線の長さである。
【0095】
[水栓構造の自由度が高い左右クリック機構]
上記実施形態では、傾斜レバー46から付与される回転力により、クリック回転体56が回転(左右回動)する。傾斜レバー46が直接クリック回転体56に当接し、この当接で回転力が付与される。したがって、回動体44によってクリック回転体56を回転させる必要がない。回動体44を上側に露出させる必要がないので、バルブ組立体38の設計自由度が向上する。この結果、例えば、上シール部材40を用いた密封構造が可能となる。
【0096】
[露出したクリック回転体]
クリック機構がバルブ組立体38の内側に位置すると、クリック音が聞こえにくくなる。これに対して、クリック回転体56は、バルブ組立体38において露出している。すなわち、図2(a)及び図2(b)が示すように、バルブ組立体38では、クリック機構を構成するクリック回転体56が露出している。このため、耳に届くクリック音が大きくなり、左右クリックの明瞭性が高まる(クリック音増大効果1)。
【0097】
上記密閉構造は、遮音性が高い。この密閉構造の中にクリック機構を設けても、クリック音が遮蔽されてしまい、クリック音が小さくなる。上記実施形態では、密閉構造を採用しつつ、クリック機構を露出させている。このためクリック音を大きくすることができる(クリック音増大効果2)。
【0098】
上記実施形態では、回動体44ではなく、傾斜レバー46が、クリック回転体56に回転を伝達する。このため、回動体44を露出させることなく、左右クリックに係るクリック回転体56を露出させることができる(傾斜レバー回転伝達効果)。
【0099】
[2つの当接部による回動伝達の確実性]
上記実施形態では、傾斜レバー46の回転(左右回動)は、2つの当接部によって伝達される。即ち、傾斜レバー46は、クリック回転体56に回転力を伝達する第1当接部214と、前記第1当接部214とは異なる位置においてクリック回転体56に回転力を伝達する第2当接部216とを有している。第1当接部214は、クリック回転体56に直接当接して、クリック回転体56に回転力を伝達する。第2当接部216は、クリック回転体56に直接当接して、クリック回転体56に回転力を伝達する。
【0100】
上記実施形態では、第1当接部214は、突出延在部154の側面154aである(図2(a)及び図2(b)参照)。この第1当接部214は、第1レバー当接面180(図7参照)に当接してクリック回転体56に回転力を伝達する。上記実施形態では、第2当接部216は、鍔部150の側面150aである(図2(a)及び図2(b)参照)。この第2当接部216は、第2レバー当接面184(図7参照)に当接してクリック回転体56に回転力を伝達する。2つの当接部により、傾斜レバー46に回転力が確実にクリック回転体56に伝達される(安定回転効果)。
【0101】
なお、この回転伝達は、いずれの回転方向においても達成される。図7を参照して、傾斜レバー46の左右回転が第1方向である場合、クリック回転体56において回転力を受ける面は、右側の第1レバー当接面180aと左側の第2レバー当接面184bである。傾斜レバー46の左右回転が第2方向である場合、クリック回転体56において回転力を受ける面は、左側の第1レバー当接面180bと右側の第2レバー当接面184aである。回転力を受ける面が傾斜レバー46の左側と右側とに分散されることで、より安定的で確実な回転伝達が可能となる(左右分散効果)。なお、前記第1方向の回転とは、左回転又は右回転のいずれか一方を意味する。前記第2方向の回転とは、前記第1方向とは逆の回転を意味する。
【0102】
上述の通り、クリック回転体56は、第1レバー当接面180及び第2レバー当接面184において回転力を受ける。第1レバー当接面180における回転力の作用点が、第1作用点と称される。第2レバー当接面184における回転力の作用点が、第2作用点と称される。上述の通り、これらの作用点は、傾斜レバー46の左側と右側とに分散している。また、これらの作用点は、周方向においても分散している。この周方向における分散は、安定的で確実な回転伝達に寄与する(周方向分散効果)。クリック回転体56の回転中心線に対する周方向において、第1作用点と第2作用点の位相差は、110°以上であるのが好ましく、120°以上であるのがより好ましく、130°以上であるのがより好ましく、140°以上であるのがより好ましい。この位相差は、180°以下である。上記実施形態では、第1作用点と第2作用点の位相差は、レバー傾斜位置によって変化するが、最大で151.5°である。
【0103】
[全てのレバー傾斜位置における回転伝達性]
上述の通り、図2(a)は止水状態を示し、図2(b)は吐水状態を示す。図2(b)では、吐水量が最大である。図2(a)及び図2(b)は、それぞれ、レバー傾斜位置の限界である。レバー傾斜位置の可動範囲は、図2(a)の位置から図2(b)の位置までの間である。
【0104】
図2(a)のレバー傾斜位置において、傾斜レバー46の回転(左右回動)はクリック回転体56に伝達される。この回転伝達は、前述の通り、2つの当接部(第1当接部214及び第2当接部216)によって達成される。図2(b)のレバー傾斜位置においても、傾斜レバー46の回転(左右回動)はクリック回転体56に伝達される。この回転伝達も、2つの当接部(第1当接部214及び第2当接部216)によって達成される。全てのレバー位置において、傾斜レバー46の回転は、2つの当接部(第1当接部214及び第2当接部216)によって、クリック回転体56に伝達される。レバー傾斜位置に関わらず、傾斜レバー46が回転するとクリック回転体56が回転する(全レバー位置効果)。レバー傾斜位置に関わらず、左右クリックが生ずる。
【0105】
第1当接部214に関して、突出延在部154の側面154aと第1レバー当接面180とは、レバー傾斜位置に関わらず当接しうる。よって、レバー傾斜位置に関わらず、傾斜レバー46の第1当接部214から回転力が伝達される。更に、第2当接部216に関して、鍔部150の側面150aと第2レバー当接面184とは、レバー傾斜位置に関わらず当接しうる。よって、レバー傾斜位置に関わらず、傾斜レバー46の第2当接部216から回転力が伝達される。
【0106】
本実施形態では、傾斜レバー46の第1当接部214(側面154a)と第2当接部216(側面150a)とが互いに異なる面である。第1当接部214及び第2当接部216が、同一平面内の異なる位置であってもよい。
【0107】
[密閉構造における回転伝達]
前述の通り、バルブ組立体38は、密閉構造を有する。図3(b)及び図4(b)が示すように、回動体44は、レバーシール部材48の下側に位置する。バルブ組立体38において回動体44は露出していない。回動体44は密閉部の内側に位置する。上述の通り、本実施形態では、傾斜レバー46がクリック回転体56に回転を伝達する。このため、回動体44によってクリック回転体56に回転を伝達する必要がない。よって、回動体44を上側に露出させる必要がなく、容易に密閉構造を構成することができる(密閉構造容易効果)。
【0108】
[クリック回転体56に対する抜け止め]
前述の通り、クリック回転体56は小径円筒部120の上に載せられている。クリック回転体56は小径円筒部120に案内されて回転するが、単に載せられているだけで、固定されていない。この非固定の状態は、クリック回転体56の回転に加え、クリック回転体56の微細な振動を容易とする。この微細な振動は、発生するクリック音の音圧を高める(クリック音増大効果3)。しかし、固定されていないため、クリック回転体56は容易に小径円筒部120から抜けて脱落しうる状態にある。
【0109】
本実施形態では、クリック回転体56の抜けが効果的に防止されている。図6が示す通り、傾斜レバー46(レバーキャップ46b)は、鍔部150及び底面形成部152を有している。これらの部分の少なくとも一部は、クリック回転体56(上向き曲面182)の上側に位置している(図2(a)、図2(b)、図3(c)及び図4(c)参照)。全てのレバー傾斜位置において、傾斜レバー46(レバーキャップ46b)のいずれかの部分が、クリック回転体56の上側に位置する。すなわち、傾斜レバー46(レバーキャップ46b)は、レバー傾斜位置に関わらずクリック回転体56の上側に位置するクリック抜け止め部220を有している。本実施形態では、鍔部150及び底面形成部152がクリック抜け止め部220である(図3(c)、図4(c)及び図6(b)参照)。
【0110】
クリック抜け止め部220である底面形成部152は、上向き曲面182の上側に位置する。底面形成部152は、上向き曲面182に沿った曲面を有している(図3(c)及び図4(c)参照)。底面形成部152と上向き曲面182との間の隙間の上下方向距離は、レバー傾斜位置に関わらず一定である。
【0111】
クリック抜け止め部220とクリック回転体56の上面(上向き曲面182等)との間には(僅かな)隙間が設けられている。よって、クリック抜け止め部220はクリック回転体56と接触せず、クリック抜け止め部220がレバー操作力を増大させることはない。何らかの理由でクリック回転体56が上方に変位すると、クリック回転体56がクリック抜け止め部220に当たり、クリック回転体56の抜けが防止される(クリック回転体抜け止め効果)。
【0112】
[傾斜レバー46の過倒防止]
レバーハンドル14の操作力が過剰である場合、レバー傾斜位置の限界において傾斜レバー46に過剰な負荷が作用しうる。本実施形態では、これに対応する構成が設けられている。図6(a)及び図6(b)が示すように、レバーキャップ46b(傾斜レバー46)は、突出延在部154を有する。図3(b)が示すように、レバー傾斜位置が止水位置にあるとき、突出延在部154が上ケース42(小径円筒部120)に当接している。より詳細には、突出延在部154の先端154bが上ケース42(小径円筒部120)に当接している。この当接により、傾斜レバー46が過度に倒れることが防止されている(過倒防止効果1)。止水位置は、レバー傾斜位置の限界である。突出延在部154は、レバー傾斜位置の限界において上ケース42に当接する過倒防止部222である。
【0113】
レバー傾斜位置の限界は、止水位置及び最大吐水位置である。止水位置では、上述の通り、過倒防止部222が上ケース42に当接する。図5が示すように、上ケース42は、内側角部42bを有する。この内側角部42bは、シール支持部126の上面と小径円筒部120の内周面とが交差して形成された角部である。この内側角部42bに、過倒防止部222の先端(先端154b)が当接する。内側角部42bは、過倒防止部222を安定的に支持する。
【0114】
過倒防止部222は、あらゆるレバー左右位置において機能する。図5が示すように、内側角部42bは、周方向の所定範囲に拡がっている。内側角部42bは、あらゆるレバー左右位置において過倒防止部222に当接しうる。
【0115】
最大吐水位置では、上ケース42が傾斜レバー46(レバー軸46a)に当接する(図4(b)参照)。上ケース42は、レバー傾斜位置の限界において傾斜レバー46(レバー軸46a)に当接する過倒防止当接面42aを有する。この当接により、傾斜レバー46が過度に倒れることが防止されている(過倒防止効果2)。過倒防止当接面42aは、最大吐水位置の傾斜レバー46に面接触できるように配向(傾斜)している。
【0116】
過倒防止当接面42aは、あらゆるレバー左右位置において機能する。図5が示すように、過倒防止当接面42aは、周方向の所定範囲に拡がっている。過倒防止当接面42aは、あらゆるレバー左右位置において傾斜レバー46(レバー軸46a)に当接しうる。
【0117】
[ラチェットプレート58に対する抜け止め]
前述の通り、ラチェットプレート58は、上ケース42の上向き面124に載せられている(図5図2(a)、図2(b)参照)。単に載せられているだけなので、ラチェットプレート58がバルブ組立体38から抜けるおそれがある。バルブ組立体38が水栓本体12に取り付けられているときには、バルブ固定部材12cがあるので、ラチェットプレート58はバルブ組立体38から抜けることはない。しかし、バルブ組立体38単独の状態、あるいは、バルブ固定部材12cが外された状態では、ラチェットプレート58の抜けが懸念される。
【0118】
上記実施形態では、クリック回転体56が、ラチェット抜け止め部226を有している。バルブ組立体38では、下方延在部168が、ラチェット抜け止め部226を兼ねている。ラチェット抜け止め部226(下方延在部168)は、ラチェットプレート58の上側に位置している。ラチェットプレート58が上側に変位すると、下方延在部168の下端にラチェットプレート58が当たり、ラチェットプレート58の変位を阻止する。ラチェット抜け止め部226(下方延在部168)は、ラチェットプレート58の抜けを防止する(ラチェットプレート抜け止め効果)。
【0119】
傾斜レバー46の左右回動により、クリック回転体56は回転する。クリック回転体56が回転すると、下方延在部168の周方向位置も移動する。下方延在部168の周方向位置に関わらず、下方延在部168はラチェットプレート58の上側に位置する。すなわち、ラチェット抜け止め部226(下方延在部168)は、レバー左右位置に関わらずラチェットプレート58の上側に位置する。よって、レバー左右位置に関わらず、ラチェットプレート58の抜けが防止される。
【0120】
[傾斜レバー46の構造]
傾斜レバー46は、全体として一体成形されていてもよい。上記実施形態では、傾斜レバー46がレバー軸46aとレバーキャップ46bとを組み合わせることで構成されている。この場合、レバー軸46aとレバーキャップ46bとのそれぞれにおいて、最適な材質及び製法を選択することができる。レバーキャップ46bを樹脂製とすることで、複雑な形状であっても容易に形成することができる。よって、第1当接部214、第2当接部216、クリック抜け止め部220及び過倒防止部222を有するレバーキャップ46bを容易に形成することができる。この観点から、レバーキャップ46bが第1当接部214及び第2当接部216を有するのが好ましい。この観点から、レバーキャップ46bがクリック抜け止め部220を有するのが好ましい。この観点から、レバーキャップ46bが過倒防止部222を有するのが好ましい。
【0121】
レバー軸46aとレバーキャップ46bとを用いることで、バルブ組立体38の組み立てが容易とされうる。バルブ組立体38の製造方法(組み立て工程)は、次の第1工程及び第2工程を含みうる。
(1)レバーキャップ46bが取り付けられていない状態のレバー軸46aに、クリック回転体56の中央開口166を下方から通過させる第1工程。
(2)前記第1工程により前記中央開口166の上側に突出したレバー軸46aに、上側からレバーキャップ46bを取り付ける第2工程。
【0122】
この第1工程及び第2工程では、レバーキャップ46bを中央開口166に通過させることなく、レバーキャップ46bをクリック回転体56の上側に配置することができる。また、レバーキャップ46bは、上側からレバー軸46aに取り付けることができる。よって、このクリック抜け止め部220がクリック回転体56の上側に位置する構成が容易に実現されうる(組み立て容易効果)。この観点からも、レバーキャップ46bがクリック抜け止め部220を有するのが好ましい。
【0123】
上ケースの材質として、樹脂及び金属が例示される。この樹脂には、繊維強化樹脂も含まれる。バルブ固定部材による押圧力に耐える観点から、剛性及び強度が高い材質が好ましい。この観点から、PPS樹脂が特に好ましい。PPS樹脂とは、ポリフェニレンスルフィド樹脂である。
【0124】
レバーキャップ46bの材質として、樹脂(繊維強化樹脂を含む)及び金属が例示される。薄肉部に対する成形性の観点から、樹脂が好ましく、PP(ポリプロピレン)が特に好ましい。上記実施形態では、PPが用いられた。
【0125】
レバー軸46aの材質として、樹脂(繊維強化樹脂を含む)、金属及びセラミックが例示される。操作力に対する強度の観点から、金属が好ましい。レバー軸は水がかかる位置にあることから、錆をも考慮すると、ステンレス鋼がより好ましい。上記実施形態では、SUS304が用いられた。
【0126】
クリック回転体56の材質として、樹脂及び金属が例示される。クリック音の観点から、基部162及び下方延在部168は金属であるのが好ましい。よって、クリック回転体が全体として一体成形される場合、クリック回転体の材質は金属であるのが好ましい。錆を考慮すると、この金属はステンレス鋼であるのが好ましい。上記実施形態では、SUS304が用いられた。
【0127】
上記実施形態では、クリック回転体56は、金属部材190と樹脂部材192とからなる。この場合、クリック係合に伴う弾性変形に係る部分(下方延在部168及び基部162)を金属とすることができ、且つ、複雑な形状を有する部分を成形性の高い樹脂で形成することができる。また、上記実施形態では、樹脂部材192が右側樹脂部材192aと左側樹脂部材192bとに分離している。この構成により、金属部材190を環状としながら、高い成形性を要する部分のみを樹脂で作製することができる。生産性の観点から、金属部材190は、絞り加工によって作製されるのが好ましい。
【0128】
クリック回転体56は、組み立てにより作製されている。即ち、クリック回転体56は、金属部材190と樹脂部材192とを組み立てることで作製されている。組み立てを省く観点から、クリック回転体56は、2色成形により作製されてもよい。ただし、上記実施形態では、2色成形は採用されていない。金属部材190は薄いため、2色成形を行うと、樹脂部を成形する際の圧力により基部162に変形(うねり)が生じる。この結果、2色成形では、最終成形品に変形や樹脂のはみ出し等の不具合が生じうる。この観点から、組み立てが好ましい。
【0129】
レバーシール部材48の材質として、樹脂及びゴム(弾性ゴム)が例示される。球面部52に対する密着性の観点から、ゴムが好ましい。好ましいゴムとして、シリコーンゴム、ニトリルゴム(NBR)及びエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)が挙げられる、上記実施形態では、ゴム(EPDM)が用いられた。
【0130】
上シール部材40の材質として、樹脂及びゴム(弾性ゴム)が例示される。シール性の観点から、ゴムが好ましい。上記実施形態では、ゴムが用いられた。
【0131】
インナーシール部材64の材質として、樹脂及びゴム(弾性ゴム)が例示される。シール性の観点から、ゴムが好ましい。上記実施形態では、ゴムが用いられた。
【0132】
下シール部材66の材質として、樹脂及びゴム材(加硫ゴム)が例示される。シール性の観点から、ゴムが好ましい。上記実施形態では、ゴムが用いられた。
【0133】
上述した実施形態に関して、以下の付記を開示する。
[付記1]
水栓本体と、
前後回動し且つ左右回動するレバーハンドルと、
前記水栓本体の内部に収容されるバルブ組立体とを備えており、
前記バルブ組立体が、
湯供給孔、水供給孔及び排出孔を有する固定弁体と、
流路形成凹部を有しており、前記固定弁体上で動く可動弁体と、
前記レバーハンドルに連動し、前後回動してレバー傾斜位置が変化すると共に左右回動してレバー左右位置が変化する傾斜レバーと、
前記固定弁体の下側に配置され、湯導入孔、水導入孔及び吐出孔を有する下ケースと、
前記下ケースに固定されており、前記下ケースと共に前記バルブ組立体の外面を構成する上ケースと、
前記下ケースと前記水栓本体との間をシールする下シール部材と、
前記固定弁体と前記下ケースとの間において、前記湯供給孔と前記湯導入孔との間、前記水供給孔と前記水導入孔との間、及び、前記排出孔と前記吐出孔との間をシールするインナーシール部材と、
前記バルブ組立体において露出しており、前記傾斜レバーから付与される回転力により左右回動するクリック回転体と、
を有しており、
前記クリック回転体が、第1クリック係合部を有しており、
前記上ケースが、第2クリック係合部を有しており、
前記第1クリック係合部と前記第2クリック係合部との係合に起因して左右クリックが生ずる湯水混合栓。
[付記2]
前記上ケースと前記水栓本体との間をシールする上シール部材と、
前記傾斜レバーに連動するレバー連動部と前記上ケースとの間をシールするレバーシール部材とを更に有する付記1に記載の湯水混合栓。
[付記3]
前記傾斜レバーが、球面部を有しており、
前記レバーシール部材が、前記球面部と前記上ケースとの間をシールしている付記2に記載の湯水混合栓。
[付記4]
前記傾斜レバーが、レバー軸と、前記レバー軸に取り付けられたレバーキャップとを有している付記1から3のいずれか1項に記載の湯水混合栓。
[付記5]
前記レバーハンドルを前記傾斜レバーに固定する止めネジを更に有しており、
前記レバーキャップが、前記レバー軸を覆うカバー部を有しており、
前記止めネジが、前記カバー部を介して前記レバー軸を押圧している付記4に記載の湯水混合栓。
[付記6]
前記傾斜レバーが、前記クリック回転体に前記回転力を伝達する第1当接部と、前記第1当接部とは異なる位置において前記クリック回転体に前記回転力を伝達する第2当接部とを有している付記1から5のいずれか1項に記載の湯水混合栓。
[付記7]
前記傾斜レバーが、前記レバー傾斜位置に関わらず前記クリック回転体の上側に位置するクリック抜け止め部を有している付記1から6のいずれか1項に記載の湯水混合栓。
[付記8]
前記傾斜レバーが、前記レバー傾斜位置の限界において前記上ケースに当接する過倒防止部を有している付記1から7のいずれか1項に記載の湯水混合栓。
[付記9]
前記上ケースが、前記レバー傾斜位置の限界において前記傾斜レバーに当接する過倒防止当接面を有している付記1から8のいずれか1項に記載の湯水混合栓。
[付記10]
前記水栓本体が、ネジ結合の軸力によって前記バルブ組立体を上側から押さえるバルブ固定部材を更に有しており、
前記バルブ組立体が、前記バルブ固定部材に当接し且つ前記ネジ結合が緩む方向への前記バルブ固定部材の回転を規制するラチェットプレートを更に有しており、
前記クリック回転体が、前記レバー左右位置に関わらず前記ラチェットプレートの上側に位置するラチェット抜け止め部を有している付記1から9のいずれか1項に記載の湯水混合栓。
[付記11]
水栓本体と、
前後回動し且つ左右回動するレバーハンドルと、
前記水栓本体の内部に収容されるバルブ組立体とを備えており、
前記バルブ組立体が、
湯供給孔、水供給孔及び排出孔を有する固定弁体と、
流路形成凹部を有しており、前記固定弁体上で動く可動弁体と、
前記レバーハンドルに連動し、前後回動してレバー傾斜位置が変化すると共に左右回動してレバー左右位置が変化する傾斜レバーと、
前記固定弁体の下側に配置され、湯導入孔、水導入孔及び吐出孔を有する下ケースと、
前記下ケースに固定されており、前記下ケースと共に前記バルブ組立体の外面を構成する上ケースと、
前記下ケースと前記水栓本体との間をシールする下シール部材と、
前記固定弁体と前記下ケースとの間において、前記湯供給孔と前記湯導入孔との間、前記水供給孔と前記水導入孔との間、及び、前記排出孔と前記吐出孔との間をシールするインナーシール部材と、
を有しており、
前記傾斜レバーが、前記バルブ組立体において上側に露出するレバー露出部を有しており、
前記レバー露出部が、内部が空洞であって何も挿入されていない貫通孔を有している湯水混合栓。
【0134】
本願には、請求項(独立形式請求項を含む)に係る発明に含まれない他の発明も記載されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成及びそれらの組み合わせは、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。
【0135】
上記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成をそなえなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。
【符号の説明】
【0136】
10・・・湯水混合栓
14・・・レバーハンドル
16・・・吐出部
18・・・湯導入管
20・・・水導入管
22・・・吐出管
38・・・バルブ組立体
40・・・上シール部材
42・・・上ケース
42a・・・過倒防止当接面
44・・・回動体
46・・・傾斜レバー
46a・・・レバー軸
46b・・・レバーキャップ
48・・・レバーシール部材
53・・・止めネジ
56・・・クリック回転体
58・・・ラチェットプレート
60・・・可動弁体
62・・・固定弁体
64・・・インナーシール部材
66・・・下シール部材
68・・・下ケース
120・・・上ケースの小径円筒部
122・・・上ケースの大径円筒部
144・・・レバーキャップのカバー部
150・・・レバーキャップの鍔部
154・・・レバーキャップの突出延在部
162・・・クリック回転体の基部
164・・・クリック回転体の円筒形成部
168・・・下方延在部
170・・・第1クリック係合部
180・・・第1レバー当接面
182・・・上向き曲面
184・・・第2レバー当接面
190・・・クリック回転体の金属部材
192・・・クリック回転体の樹脂部材
200・・・第2クリック係合部
212・・・レバー露出部
214・・・第1当接部
216・・・第2当接部
220・・・クリック抜け止め部
222・・・過倒防止部
226・・・ラチェット抜け止め部
S1・・・弁体周囲空間
PL1・・・第1摺動面
PL2・・・第2摺動面
PL3・・・摺動合わせ面
図1
図2
図3
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図7
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図9