(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】ジョイナー及びその配置方法
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20230320BHJP
E04F 13/072 20060101ALI20230320BHJP
E06B 1/62 20060101ALI20230320BHJP
E06B 1/64 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
E04F13/08 W
E04F13/072
E06B1/62 A
E06B1/64 A
E06B1/64 B
(21)【出願番号】P 2022097737
(22)【出願日】2022-06-17
【審査請求日】2022-08-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 株式会社住宅資材センター、株式会社ハウゼコ、及びポラス株式会社が、2022年度グッドデザイン賞(公益財団法人日本デザイン振興会主催)に2022年5月25日に応募
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504088854
【氏名又は名称】株式会社住宅資材センター
(73)【特許権者】
【識別番号】592114080
【氏名又は名称】株式会社ハウゼコ
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100175385
【氏名又は名称】葛西 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100206195
【氏名又は名称】山本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】平塚 潤
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 誠
(72)【発明者】
【氏名】神戸 睦史
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-090820(JP,A)
【文献】特開平04-001386(JP,A)
【文献】特開平11-241476(JP,A)
【文献】特開2014-227734(JP,A)
【文献】特表2019-513928(JP,A)
【文献】実開昭62-166947(JP,U)
【文献】登録実用新案第3132917(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/30
19/02
E06B 1/00- 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具と壁材との取り合い部に形成される目地部に配置され
て前記目地部に充填される目地材を支持するための、前記目地部に沿って延びる長尺状の形態を有するジョイナーであって、
前記建具へ取り付けた状態において、
前記建具の側面に当接
する平坦な取付面を有する取付部と、
前記取付部の一端から、前記
建具から前記壁材へ向かう方向へ延び
、前記建具の側面と前記壁材の側端面との間に配置されるバックアップ部と、
前記取付部の他端から、前記取付部に対し鋭角を成して前記
建具から前記壁材へ向かう方向へ延びる傾斜部とを備える、
ジョイナー。
【請求項2】
前記取付部の前記取付面に両面テープが配置されている、請求項1記載のジョイナー。
【請求項3】
前記バックアップ部の外面とこれに連なる前記取付面の一部とを含む範囲にボンドブレークテープが配置され、
前記取付面における残余の範囲に前記両面テープが配置されている、
請求項2記載のジョイナー。
【請求項4】
建具と壁材との取り合い部に形成される目地部に、請求項1記載のジョイナーを配置する方法であって、
前記建具の前記側面に、前記側面に対し直交する方向へ延びる位置決め部が設けられ、
前記取付部と前記傾斜部とで形成される角部を前記建具の前記側面と前記位置決め部との境界部に当接させる工程と、
前記傾斜部の外面を前記位置決め部に当接させて、前記取付面を前記建具の側面に対し傾斜して離隔させた状態とする工程とを含む、
ジョイナーの配置方法。
【請求項5】
建具と壁材との取り合い部に形成される目地部に、請求項2又は請求項3記載のジョイナーを配置する方法であって、
前記建具の前記側面に、前記側面に対し直交する方向へ延びる位置決め部が設けられ、
前記取付部と前記傾斜部とで形成される角部を前記建具の前記側面と前記位置決め部との境界部に当接させる工程と、
前記傾斜部の外面を前記位置決め部に当接させて、前記取付面を前記建具の側面に対し傾斜して離隔させた状態とする工程と、
前記角部を基準として前記取付部を回動させて、前記両面テープの粘着面を前記建具の前記側面に貼り付ける工程とを含む、
ジョイナーの配置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面の目地部に配置されるジョイナー及びその配置方法に関し、特に建具と壁材との取り合い部に配置されるジョイナー及びその配置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家屋やビルディング等を建設するにあたり、壁に窓を設ける場合、窓枠を構成するサッシ等の建具と壁面を構成するサイディング等の壁材との取り合い部に形成される目地部には、通常、防水のため、シーリングやコーキング等の目地材が充填される。その際、目地材の背面側を支持すると共に目地深さを調節する目的で、ジョイナーと呼ばれる部材を目地部に配置することが従来行われている。このような建具と壁材との取り合い部に配置される従来ジョイナーが、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
図5は、特許文献1に記載された従来のジョイナーを用いて構築された壁面構造を示す断面図である。
【0004】
図5を参照して、特許文献1に記載の従来ジョイナー5は、目地部に沿って延びる長尺状の形態を有し、平板状の固定部5aとその一端縁部に設けられたコ字型の支持部5bとから成り、従って断面が略ひしゃく形状を呈する部材である。
【0005】
この従来ジョイナー5を用いた壁面構造の構築手順は、壁下地1に形成した開口1aにサッシ4を配置し、上記の従来ジョイナー5を壁下地1とサッシ4との取り合い部に配置して取り付ける。
【0006】
ここで従来ジョイナー5の取付手順を説明すると、先ず固定部5aを壁下地1の表面に配置すると共に、支持部5bをサッシ4の側面に粘着剤から成る止水材6を介して当接させることで、従来ジョイナー5の位置決めを行う。次いで、平板状の固定部5aをビス等で壁下地1に固定すると共に、その上を覆うように防水テープ9を貼り付ける。
【0007】
引き続き、壁下地1に固定した取付金具(不図示)で壁材7を壁下地1の表面側に取り付ける。この時、壁材7の側端面を従来ジョイナー5の支持部5bの側面に当接させて、壁材7とサッシ4との間に目地部となる離隔を確保する。最後に、サッシ4、従来ジョイナー5の支持部5b、及び壁材7で囲まれた目地部にコーキング等の目地材8を充填して、目的とする壁面構造を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1記載の従来ジョイナー5を取り付ける際の位置決めは、固定部5aを壁下地1の表面に配置すると共に、支持部5bをサッシ4の側面に止水材6を介し当接させて行うが、このとき止水材6として粘着剤を用いると、一度位置決め作業を行えば、支持部5bがサッシ4に粘着剤で貼り付いてしまうことになる。即ち従来ジョイナー5は、位置決め作業が慎重さを要するため簡単ではなく、しかも位置決め作業後に位置の修正を行うのが難しいという問題があった。
【0010】
又、従来ジョイナー5の取り付けには、平板状の固定部5aをビス等で壁下地1に固定する作業が必要であるため、施工者の作業負担が大きいという問題がある。しかも、この作業負担は、ジョイナーが長くなればなるほどビス打ちの必要数が増えるため増大する。
【0011】
更に、従来ジョイナー5の固定部5aは、壁下地1にビス等で固定するため、ある程度の幅寸法が必要であり、これが従来ジョイナー5の小型化、軽量化の支障となっていた。
【0012】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、ジョイナーの取付時の作業負担を軽減できるジョイナー及びその配置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、建具と壁材との取り合い部に形成される目地部に配置されて前記目地部に充填される目地材を支持するための、前記目地部に沿って延びる長尺状の形態を有するジョイナーであって、建具へ取り付けた状態において、建具の側面に当接する平坦な取付面を有する取付部と、取付部の一端から、建具から壁材へ向かう方向へ延び、建具の側面と壁材の側端面との間に配置されるバックアップ部と、取付部の他端から、取付部に対し鋭角を成して建具から壁材へ向かう方向へ延びる傾斜部とを備えるものである。
【0014】
このように構成すると、バックアップ部が目地材の背面側を支持する。取付部の取付面が建具の側面に取り付けられる。取付部と傾斜部とで形成される鋭角の角部が、ジョイナーを取り付ける際の基準位置に当接する。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、取付部の取付面に両面テープが配置されているものである。
【0016】
このような構成すると、両面テープにより、取付部の取付面が建具の側面に取り付けられる。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、バックアップ部の外面とこれに連なる取付面の一部とを含む範囲にボンドブレークテープが配置され、取付面における残余の範囲に両面テープが配置されているものである。
【0018】
このように構成すると、取付面における目地材に近接する領域にボンドブレークテープが配置される。
【0019】
請求項4記載の発明は、建具と壁材との取り合い部に形成される目地部に、請求項1記載のジョイナーを配置する方法であって、建具の側面に、側面に対し直交する方向へ延びる位置決め部が設けられ、取付部と傾斜部とで形成される角部を建具の側面と位置決め部との境界部に当接させる工程と、傾斜部の外面を位置決め部に当接させて、取付面を建具の側面に対し傾斜して離隔させた状態とする工程とを含むものである。
【0020】
このように構成すると、ジョイナーの取付面を建具に接触させずに、取付部と傾斜部とで形成される角部を基準として、ジョイナーが位置決めされる。
【0021】
請求項5記載の発明は、建具と壁材との取り合い部に形成される目地部に、請求項2又は請求項3記載のジョイナーを配置する方法であって、建具の側面に、側面に対し直交する方向へ延びる位置決め部が設けられ、取付部と傾斜部とで形成される角部を建具の側面と位置決め部との境界部に当接させる工程と、傾斜部の外面を位置決め部に当接させて、取付面を建具の側面に対し傾斜して離隔させた状態とする工程と、角部を基準として取付部を回動させて、両面テープの粘着面を建具の側面に貼り付ける工程とを含むものである。
【0022】
このように構成すると、ジョイナーの取付面に配置した両面テープの粘着面を建具に接触させずに、取付部と傾斜部とで形成される角部を基準として、ジョイナーが位置決めされる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、取付部と傾斜部とで形成される角部を所定の基準位置に当接させるという簡単な作業で、建具の側面に対するジョイナーの取付位置を正確に決めることができるから、位置決め作業の負担が軽減される。又、ジョイナーの形態がコンパクトになるから、軽量化及びコストダウンを図れる。
【0024】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、ジョイナーを位置決めする際に、取付面を建具に接触させない姿勢に維持することで、両面テープが誤って建具の側面に貼り付くのを防止できる。これにより、位置決め作業後にジョイナーの位置の修正が可能となる。又、ジョイナーを建具に取り付ける作業が釘打ちよりも容易になるから、施工能率が向上する。
【0025】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明の効果に加えて、目地材が取付面に接触するのを防止して、ジョイナーと目地材とが一体化するのを回避できる。これにより、目地材の2面接着状態が維持されるので、目地材の長寿命化を図れる。
【0026】
請求項4記載の発明によれば、位置決めの際にジョイナーの取付面を建具と接触させないから、ジョイナー又は建具に粘着剤等が配置されている場合に、両者をくっつかせることがない。これにより、ジョイナーの位置決め作業の実行後に、位置の修正が可能となるから、位置決め作業時の作業者の負担が軽減される。
【0027】
請求項5記載の発明によれば、位置決めの際に両面テープの粘着面を建具と接触させないから、ジョイナーと建具とをくっつかせることがない。これにより、ジョイナーの位置決め作業を行った後に、位置の修正が可能となる。位置決め完了後は、取付部を回動させるだけでジョイナーを建具に固定できるから、取付作業が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施の形態によるジョイナーを示すものであって、(A)は取付面側から見た中間省略した斜視図、(B)は取付面の背面側から見た中間省略した斜視図である。
【
図2】
図1に示すジョイナーの拡大した側面図である。
【
図3】
図1に示すジョイナーを用いて構築した壁面構造の一例を示す断面図である。
【
図4A】
図1のジョイナーの配置方法を説明する図であって、ジョイナーの角部を、建具の側面と位置決め部との境界部に当接させる工程を示す断面図である。
【
図4B】
図1のジョイナーの配置方法を説明する図であって、ジョイナーの傾斜部の外面を位置決め部に当接させて、取付面を建具の側面に対し傾斜して離隔させた状態とした工程を示す断面図である。
【
図4C】
図1のジョイナーの配置方法を説明する図であって、ジョイナーの角部を基準として取付部を回動させて、両面テープの粘着面を建具の側面に貼り付けた工程を示す断面図である。
【
図5】特許文献1に記載された従来のジョイナーを用いて構築された壁面構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は本発明の実施の形態によるジョイナーを示すものであって、(A)は取付面側から見た中間省略した斜視図、(B)は取付面の背面側から見た中間省略した斜視図であり、
図2は
図1に示すジョイナーの拡大した側面図である。
【0030】
本例のジョイナー10は、例えばガルバリウム鋼板(登録商標)等の金属板の折り曲げ加工により成形された長尺状の形態を有する部材であって、建具20へ取り付けた状態において、建具20の側面に当接する平坦な取付面12aを有する取付部12と、取付部12の一端から、建具20から壁材40へ向かう方向へ延びるバックアップ部11と、取付部12の他端から、取付部12に対し鋭角を成して建具20から壁材40へ向かう方向へ延びる傾斜部13とを備える。従って本例のジョイナー10は、長手方向に直交する方向の断面が、C字形に近い形態を呈するものとなっている。
【0031】
又、本例のジョイナー10では、バックアップ部11の外面とこれに連なる取付面12aの一部とを含む範囲にボンドブレークテープ15が配置され、取付面12aにおける残余の範囲に両面テープ16が配置されている。このように、取付面12aにおける目地材に近接する領域をボンドブレークテープで覆うことによって、後述する目地材が取付面12aに接触するのを防止することができる。
【0032】
本例では、バックアップ部11と取付部12とが成す角度が直角に設定される。これに対し取付部12と傾斜部13とが成す角度αは、90度未満の鋭角に設定され、好ましくは10~80度の範囲に設定される。本例ではα=80度である。取付部12と傾斜部13との成す角度αを鋭角とすることで、ジョイナー10を位置決めする際に、建具の側面に対し取付部12を(90-α)度傾斜して離隔させた姿勢に維持できるので、両面テープ16の粘着面が誤って建具にくっつくのを防止できる。又、両面テープ16の粘着面を建具の側面に当接させる際には、ジョイナー10の変位がわずかでよいから、施工能率が良い。
【0033】
ところで、バックアップ部11、取付部12、及び傾斜部13それぞれの幅寸法(ジョイナー10の長手方向とは直交する方向の長さ)は、ジョイナー10が適用される目地部の大きさや、壁材の寸法等の施工条件に応じ、適宜設定される。本例では、バックアップ部11、取付部12、及び傾斜部13の幅寸法をそれぞれ8mm、16mm、9mmとしたが、これらの数値は一例であり限定されない。
【0034】
図3は
図1に示すジョイナーを用いて構築した壁面構造の一例を示す断面図である。
【0035】
本例のジョイナー10は、例えば窓を有する壁面構造Wを構築する際に使用される。
図3を参照して、この壁面構造Wは、壁下地22に開口22aが形成され、この開口22a内に、窓枠となるサッシ等の建具20が配置される。建具20の側面20aには、この側面20aに対し直交する方向へ延びる位置決め部21が設けられる。位置決め部21は、壁下地22の表面に取り付けられて、建具20の側面20aに当接するように配置される部材から成るものでもよいが、建具20と一体に成形されるものでもよい。そして本例のジョイナー10が、建具20と位置決め部21との取り合いに配置され取り付けられる。更に、壁下地22に固定した取付金具(不図示)でサイディング等の壁材40が取り付けられる。その際、壁材40は、側端面40aをジョイナー10のバックアップ部11の端縁に当接させるように配置され、壁材40と建具20との間に離隔を確保する。そして、建具20、ジョイナー10のバックアップ部11、及び壁材40で囲まれた目地部30に、コーキング等の目地材31が充填され、目的とする壁面構造Wが構築される。
【0036】
図4A~
図4Cは
図1のジョイナーの配置方法を説明する図であって、
図4Aはジョイナーの角部を、建具の側面と位置決め部との境界部に当接させる工程を示す断面図であり、
図4Bはジョイナーの傾斜部の外面を位置決め部に当接させて、取付面を建具の側面に対し傾斜して離隔させた状態とした工程を示す断面図であり、
図4Cはジョイナーの角部を基準として取付部を回動させて、両面テープの粘着面を建具の側面に貼り付けた工程を示す断面図である。
【0037】
上述の壁面構造Wを構築するに際し、本例のジョイナー10は、次のような手順で、所定位置に取り付けられる。
図4Aを参照して、壁下地22の開口22a内に建具20が配置され、建具20の側面20aに位置決め部21が設けられた状態で、本例のジョイナー10を建具20と位置決め部21との取り合い部に配置するが、その前に、先ず両面テープ16の粘着面17を露出させておく。そして、この状態で、取付部12と傾斜部13とで形成される角部14を、建具20の側面20aと位置決め部21との境界部23に当接させる。次いで、
図4Bを参照して、傾斜部13の外面が位置決め部21に当接した状態となるように、ジョイナー10の姿勢を保持する。これにより、取付面12aが建具20の側面20aに対し、(90-α)度の角度で傾斜して離隔した状態となる。これらの作業は、角部14の外隅形状を境界部23の内隅形状に合わせるだけなので、両者の位置合わせを容易に行うことができる。しかも、この位置決め作業の間、両面テープ16の粘着面17を建具20と接触させないから、ジョイナー10が建具20に誤ってくっついてしまうことがない。これにより、位置決め作業を一度行った後に、ジョイナー10の位置を修正することが可能となる。
【0038】
図4Cを参照して、上述のようにして位置決め作業が完了したならば、角部14を中心としてジョイナー10を回動させ、取付部12の粘着面17を建具20の側面20aに圧接させる。これによりジョイナー10が建具20に対し所定の位置に固定されることとなる。
【0039】
再び
図3を参照して、ジョイナー10の取り付けが完了したならば、壁下地22に固定した取付金具(不図示)を用いて壁材40を取り付けた後、建具20と壁材40との取り合い部に形成される目地部30にコーキング等の目地材31を充填する。
【0040】
本例のジョイナー10は、バックアップ部11の外面とこれに連なる取付面12aの一部とを含む範囲にボンドブレークテープ15が配置され、バックアップ部11の外面と共に、取付面12aにおける目地材31に近接する領域がボンドブレークテープ15によって覆われた構成となっている。これにより、目地部30に充填した目地材31が、取付面12aと建具20の側面20aとの隙間に浸入したとしても、目地材31とジョイナー10との接触を防止することができる。即ち、ジョイナー10と目地材31とが一体化するのを回避して、目地材31の2面接着状態を維持することができるから、目地材31の長寿命化を図れる。
【0041】
取付面12aにおけるボンドブレークテープ15の貼り付け幅L(
図2参照)は、目地材31が浸入する可能性の有る長さ以上であって、両面テープ16の配置範囲を不必要に狭めないことが望ましく、例えば10mm以下の範囲で設定するとよい。
【0042】
以上を要するに、本例のジョイナー10によれば、角部14を基準として建具20に対する取り付け位置を正確に決めることができるため、位置決め作業が容易である。位置決めの際に両面テープ16の粘着面17を建具20に接触させないから、位置決め作業後にジョイナー10の取付位置を修正することが可能である。ジョイナー10の建具20に対する固定作業は、従来の釘打ちよりも遥かに容易なので、施工能率が向上する。このように本例のジョイナー10は、施工時の作業負担を軽減する効果を発揮するものである。又、特許文献1に記載されるような従来ジョイナーと比較して、本例のジョイナー10は形態が簡素化され小型化されるので、軽量化及びコストダウンを図れるという効果を発揮する。更に、ボンドブレークテープ15を取付面12aの一部にも配置したので、ジョイナー10と目地材31との一体化が阻止され、目地材31の長寿命化を図れる等、本例のジョイナー10は多くの優れた利点を有するものである。
【0043】
尚、上記の実施の形態では、ジョイナーはガルバリウム鋼板の折り曲げ加工で成形したが、他の表面加工を施した鋼板で成形してもよく、鋼板以外の、アルミニウム、銅、又はこれらの合金等の非鉄系金属を用いてもよい。折り曲げ加工法以外に、押し出し加工法や引き抜き加工法を用いてもよい。
【0044】
又、上記の実施の形態では、ジョイナーの各部の幅寸法は、(取付部)>(傾斜部)>(バックアップ部)という大小関係となっていたが、バックアップ部又は傾斜部の幅寸法が最大となるように形成してもよい。又、これらの幅寸法の比率は適宜変更してもよい。
【0045】
更に、上記の実施の形態では、ジョイナーの取付対象となる建具は、窓を形成するためのサッシであったが、建築物の出入口を構成するためのドア枠であってもよい。或いはジョイナーの取付対象となる建具が、枠部材以外の、出隅部材や入隅部材であってもよい。
【0046】
更に、上記の実施の形態では、ボンドブレークテープをジョイナーの取付面の一部にも配置したが、ボンドブレークテープはバックアップ部だけに配置して、取付面を覆わない構成としてもよい。或いは、ジョイナーの取付面の一部に貼り付けたボンドブレークテープの上に、両面テープを重ね貼りしてもよい。
【0047】
更に、上記の実施の形態では、ボンドブレークテープと両面テープとの間に隙間を設けているが、両者が連続するように配置してもよい。
【0048】
更に、上記の実施の形態では、ジョイナーの取付面に両面テープを配置したが、これを省略してもよい。この場合、建具の側面に両面テープを配置してもよい。或いは、ジョイナーの建具に対する取り付けを、接着剤や釘打ちで行ってもよい。
【0049】
更に、上記の実施の形態では、ジョイナーの角部を位置決め部に直接当接させているが、壁材と壁下地との間隔が大きい場合などには、ジョイナーと位置決め部材との間に、所定厚みを有する位置調整部材を挿入してもよい。これにより、ジョイナーの取付位置を、目地部の奥行方向に調整することが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
10…ジョイナー
11…バックアップ部
12…取付部
12a…取付面
13…傾斜部
14…角部
15…ボンドブレークテープ
16…両面テープ
17…粘着面
20…建具
20a…側面
21…位置決め部
22…壁下地
22a…開口
23…境界部
30…目地部
31…目地材
40…壁材
40a…側端面
L…貼り付け幅
W…壁面構造
α…角度
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【要約】
【課題】 位置決め作業後の修正が可能であり、取付作業が簡単なジョイナー及びその配置方法を提供する。
【解決手段】 ジョイナー10はバックアップ部11、平坦な取付面を有する取付部12、取付部に対し鋭角を成す傾斜部13を備え、取付面に両面テープが配置される。ジョイナーにおける取付部と傾斜部とで形成される角部を、建具20の側面20aとこの側面に対し直交する方向へ延びる位置決め部21との境界部に当接させた後、傾斜部の外面を位置決め部に当接させて取付面を建具の側面から離隔させた状態とする。次いで角部を基準として取付部を回動させて、両面テープの粘着面を建具の側面に貼り付ける。位置決め作業が容易であり、位置決め作業後にジョイナーの取付位置を修正が可能である。ジョイナー固定作業は従来の釘打ちよりも遥かに容易になる。従来ジョイナーと比較して形態が簡素化、小型化され、軽量化及びコストダウンを図れる。
【選択図】
図3