(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】牽引車の補助台車
(51)【国際特許分類】
B60P 3/12 20060101AFI20230320BHJP
B60P 3/06 20060101ALI20230320BHJP
B60S 13/00 20060101ALN20230320BHJP
【FI】
B60P3/12
B60P3/06
B60S13/00
(21)【出願番号】P 2018076212
(22)【出願日】2018-04-11
【審査請求日】2021-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】515025402
【氏名又は名称】株式会社あかつき
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 幸司
【審査官】藤井 浩介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0274945(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0090028(US,A1)
【文献】実開昭51-052410(JP,U)
【文献】特開2000-076905(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0001432(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0120093(US,A1)
【文献】特開平01-148634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/00
B60S 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被牽引車を牽引する牽引車の補助台車であって、
前記被牽引車の後輪を載置する載置部と、当該載置部を支持する外側車輪を有し、
前記外側車輪は、補助台車の左右両外側に配置された車輪であって、被牽引車の左右の後輪同士の間隔よりも大きい間隔で配置されており、
前記左右の外側車輪における牽引車の進行方向に並ぶ位置に照明装置が配置されており、
前記照明装置が発した光が、牽引車の進行方向の前方側及び後方側から視認可能であり、前記照明装置によって外側車輪が照らされ
ており、
前記照明装置の発光する部位の少なくとも一部が、前記外側車輪の上端よりも高い位置に配置され、且つ、他の一部が前記外側車輪と牽引車の進行方向で並ぶ位置に配置されていることを特徴とする牽引車の補助台車。
【請求項2】
前記照明装置の発光する部位の少なくとも一部が、前記外側車輪の上端よりも高い位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の牽引車の補助台車。
【請求項3】
前記照明装置は、支持部材と発光する部位を有する照明器具を有しており、
前記支持部材は、載置部側に固定されていて載置部の左右外側に張り出しており、
前記支持部材の自由端側には装着部が設けられており、
前記装着部は、前記照明器具を着脱可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の牽引車の補助台車。
【請求項4】
前記補助台車は、牽引車の進行方向に間隔を置いて配置された複数の外側車輪を有しており、
前記照明装置は、牽引車の進行方向に並んだ外側車輪同士の間に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の牽引車の補助台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障車等の被牽引車を牽引する牽引車の補助台車に関する。関連する発明は、牽引車の補助台車に装着されて使用される照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、故障車等の被牽引車の前輪は、牽引車(レッカー車)の車体と一体の前輪載置部上に載置される。また、被牽引車の後輪が使用できない場合には、当該後輪は、牽引車に常備された補助台車上に載置される。補助台車は、被牽引車の後輪を載置する載置部と、載置部を支持する車輪を備えている。また、補助台車は、接続部材を介して牽引車の車体と接続されており、牽引車と共に走行する。
【0003】
このような牽引車の補助台車が、例えば特許文献1に開示されている。すなわち、特許文献1には、被牽引自動車の前輪を牽引用リヤカーに積載し、後輪を後輪用牽引リヤカー(補助台車)上に積載し、被牽引自動車の前後の車輪を使用せずに走行する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されているような後輪用牽引リヤカー(補助台車)は、進行方向に向かって被牽引車の後輪よりも左右方向に突出した車輪を有している。この突出した車輪は、昼間等の明るい環境下では周囲から比較的容易に視認することができる。そのため、対向車等の周囲の車両の運転手は、この突出した車輪を避けて走行することができ、周囲の車両が当該車輪に接触する恐れはない。
【0006】
ところが、一般に牽引車によって故障車等の被牽引車を牽引する場合、必ずしも補助台車が使用されるとは限らない。すなわち、故障車の後輪が使用できる場合には、故障車の後輪を接地した状態で故障車を牽引する場合もある。そのため、牽引車の周囲の車両の運転手には、補助台車が使用されているか否かを確認するということに意識が及びにくいという事情がある。また、補助台車は牽引車の車体から進行方向後方へ離れているため、補助台車は見落とされやすいという事情もある。さらに、夜間等の暗い環境下では、補助台車及び補助台車の車輪は見えにくい。
【0007】
その結果、対向車が牽引車とすれ違う際に、対向車の運転手が補助台車の車輪の存在に気付かず、対向車が補助台車の車輪に接触する恐れがある。また、後続車が牽引車を追い越す際に、後続車の運転手が補助台車の車輪の存在に気付かず、後続車が補助台車の車輪に接触する恐れがある。
【0008】
そこで本発明は、夜間等の暗い環境下や、トンネル内等の暗い場所であっても、牽引車の周囲の車両の運転手に、補助台車の車輪の存在を認識され易い牽引車の補助台車を提供することを目的としている。また、本発明は、このような補助台車に設置して使用される照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、被牽引車を牽引する牽引車の補助台車であって、前記被牽引車の後輪を載置する載置部と、当該載置部を支持する外側車輪を有し、前記外側車輪は、補助台車の左右両外側に配置された車輪であって、被牽引車の左右の後輪同士の間隔よりも大きい間隔で配置されており、前記左右の外側車輪における牽引車の進行方向に並ぶ位置に照明装置が配置されており、前記照明装置が発した光が、牽引車の進行方向の前方側及び後方側から視認可能であり、前記照明装置によって外側車輪が照らされており、前記照明装置の発光する部位の少なくとも一部が、前記外側車輪の上端よりも高い位置に配置され、且つ、他の一部が前記外側車輪と牽引車の進行方向で並ぶ位置に配置されていることを特徴とする牽引車の補助台車である。
【0010】
請求項1に記載の発明の補助台車は、被牽引車を牽引する牽引車の補助台車であって、被牽引車の後輪を載置する載置部と、当該載置部を支持する外側車輪を有するものであり、外側車輪は、補助台車の左右両外側に配置された車輪であって、被牽引車の左右の後輪同士の間隔よりも大きい間隔で配置されている。そして、左右の外側車輪における牽引車の進行方向に並ぶ位置には、照明装置が配置されている。すなわち、照明装置は、補助台車の外側車輪よりも左右の外側にはみ出さない。そのため、補助台車の車幅が大きくならず、通行の妨げになりにくい。
また、照明装置が発した光が、被牽引車の進行方向の前方側及び後方側から視認可能であるので、夜間や悪天候等による暗い環境下や、トンネル内などの暗い場所においても、対向車の運転手や後続車の運転手は、補助台車の存在を認識し易く、外側車輪の位置を容易に把握することができる。すなわち、補助台車を見落としにくい。
さらに、狭い場所で牽引車が対向車とすれ違う際や、後続車が牽引車を追い越す際に、補助台車の外側車輪が対向車や後続車に接触する事態を回避し易い。
照明装置が発した光は、例えば、直接、又は補助台車の車体等に反射して間接的に対向車や後続車から視認できる。
ここで言う「外側車輪の間隔」とは、外側車輪の幅方向の中心同士の間隔を意味している。外側車輪の幅方向とは、牽引車の進行方向を向いて左右の方向である。
また、「左右の外側車輪における牽引車の進行方向に並ぶ位置」とは、牽引車の進行方向を向いて、左右の各外側車輪と重なる位置である。特に、照明装置が、左右の各外側車輪の中心と一致しているのが好ましいが、各外側車輪の中心と左右方向(車幅方向)にずれていても差し支えはない。また、照明装置(発光する部位)が、各外側車輪よりも左右方向外側に若干はみ出していてもよい。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記照明装置の発光する部位の少なくとも一部が、前記外側車輪の上端よりも高い位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の牽引車の補助台車である。
【0012】
請求項2に記載の発明では、照明装置の発光する部位の少なくとも一部が、外側車輪の上端よりも高い位置に配置されているので、対向車や後続車から照明装置の発光する部位が見え易い。よって、対向車や後続車の運転手は、補助台車の存在に容易に気付き、外側車輪の位置を容易に把握することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記照明装置は、支持部材と発光する部位を有する照明器具を有しており、前記支持部材は、載置部側に固定されていて載置部の左右外側に張り出しており、前記支持部材の自由端側には装着部が設けられており、前記装着部は、前記照明器具を着脱可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の牽引車の補助台車である。
【0014】
請求項3に記載の発明では、照明装置は、支持部材と発光する部位を有する照明器具を有しており、支持部材は、載置部側に固定されていて載置部の左右外側に張り出している。すなわち、支持部材は、載置部側に片持ち状に固定されている。
また、支持部材の自由端側には装着部が設けられており、装着部は、照明器具を着脱可能である。例えば、支持部材に対して照明器具を磁力や、ボルト・ナット等の締結要素で着脱可能に装着することができる。すなわち、照明器具は、取り換えることができる。例えば、消耗した照明器具を新規なものに交換したり、異なる発光色の照明器具に交換することができる。
【0015】
補助台車が、牽引車の進行方向に間隔を置いて配置された複数の外側車輪を有している場合には、照明装置は、牽引車の進行方向に並んだ外側車輪同士の間に配置するのが好ましい(請求項4)。すなわち、照明装置を牽引車の進行方向に並んだ外側車輪同士の間に配置すると、牽引車の進行方向の前側及び後ろ側の外側車輪の両方を照らすことができる。この場合においても、外側車輪と照明装置が進行方向に並んでおり、照明装置は補助台車の車幅より外側に逸脱しない。
【0016】
本発明に関連する発明は、被牽引車を牽引する牽引車の補助台車用の照明装置であって、前記補助台車は、被牽引車の左右の後輪を載置する載置部と、被牽引車の左右の後輪の間隔よりも大きい間隔の左右の外側車輪を有するものであり、支持部材と照明器具とを有しており、前記支持部材は、載置部側に固定されており、前記照明器具は支持部材に着脱可能であり、前記左右の外側車輪における牽引車の進行方向に並ぶ位置に、前記支持部材に装着された照明器具を配置可能であり、前記照明器具が発した光が、牽引車の進行方向の前方側及び後方側から視認可能であることを特徴とする牽引車の補助台車用の照明装置である。
【0017】
関連発明の照明装置は、被牽引車を牽引する牽引車の補助台車に装着されるものであり、補助台車は、被牽引車の左右の後輪を載置する載置部と、被牽引車の左右の後輪の間隔よりも大きい間隔の左右の外側車輪を有するものである。
照明装置は、支持部材と照明器具とを有しており、支持部材は載置部側に固定されており、照明器具は支持部材に着脱可能であり、左右の外側車輪における牽引車の進行方向に並ぶ位置に、支持部材に装着された照明器具を配置可能である。そのため、照明装置を設けたことによって補助台車の車幅が大きくなることはない。
また、照明器具が発した光が、牽引車の進行方向の前方側及び後方側から視認可能であるので、牽引車と対向する車両の運転手や牽引車に後続する車両の運転手は、補助台車の存在を認識すると共に、外側車輪の位置を把握し易い。
【0018】
関連発明は、前記照明器具の発光する部位の少なくとも一部が、前記外側車輪の上端よりも高い位置に配置されていることが好ましい。
【0019】
好ましい様相では、照明器具の発光する部位の少なくとも一部が、外側車輪の上端よりも高い位置に配置されているので、照明器具の発光する部位が、対向車側や後続車側から直接見え易い。よって、牽引車の周囲の車両の運転手(例えば、対向車の運転手や後続車の運転手)は、照明器具に照らされた補助台車の外側車輪の位置を把握し易い。
【0020】
また、牽引車の補助台車の載置部が左右に配置されており、各載置部が、被牽引車の左右の後輪を各々載置するものであり、各載置部の左右両側に車輪が配置されている場合には、照明装置は、各載置部における左右方向の外側の車輪と、牽引車の進行方向に並ぶ位置に配置するのが好ましい。すなわち、載置部を支持する車輪のうちの補助台車の外側に配置された車輪に対して、照明装置が牽引車の進行方向に並んでいるのが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の牽引車の補助台車では、牽引車の周囲の車両の運転手が、補助台車の存在を認識し易く、外側車輪の位置を容易に把握することができる。また、本発明の牽引車の補助台車に装着される照明装置によって、牽引車の周囲の車両の運転手が、補助台車の存在を認識し易くなり、外側車輪の位置を容易に把握することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】車両が牽引車で牽引されている状態を示す側面図である。
【
図2】
図1の牽引車の補助台車の斜視図であり、(a)は、車幅の大きい被牽引車を牽引する場合の状態を示し、(b)は、車幅の小さい被牽引車を牽引する場合の状態を示す。
【
図3】(a)は、
図2(a)のA-A矢視図であり、(b)は、(a)のB-B矢視図である。
【
図4】照明装置の斜視図であり、(a)は、照明装置が載置部材に取り付けられる前であって、支持部と照明器具が分離している状態を示しており、(b)は、(a)の状態から照明装置が載置部材に装着された状態を示しており、(c)は、(b)の状態から照明装置が載置部材に固定された状態を示しており、(d)は、(c)の状態から支持部に照明器具が装着された状態を示し、(e)は、(d)の照明装置を下方側から見た状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら説明する。
以下では、前(前方)とは牽引車1の進行方向を指し、後(後方)はその逆方向を指しているが、便宜上、牽引車1の進行方向を前後方向と称することもある。また、左右方向とは、牽引車1の進行方向を向いて左右の方向を指している。
【0024】
図1に示すように、牽引車1は、被牽引車50の車輪(前輪51、後輪52)を地面から浮かせた状態で被牽引車50を牽引(搬送)することができる。
【0025】
牽引車1は、車体1a、前輪載置部1b、補助台車2を有している。前輪載置部1bは、車体1aと一体的に設けられている。すなわち、前輪載置部1bは車体1aと近接している。また、前輪載置部1bは車輪を有しておらず、近接した車体1aの車輪で前輪載置部1bに作用する荷重は支持されている。
【0026】
前輪載置部1bと補助台車2は、接続部材3によって接続されている。接続部材3は、剛性を有する細長い部材である。接続部材3の一端(前端)は前輪載置部1bと接続されており、他端(後端)は補助台車2に接続されている。
【0027】
そして牽引車1は、
図1に示すように、被牽引車50の前輪51を前輪載置部1bに載置し、後輪52を補助台車2に載置し、被牽引車50を牽引することができる。牽引車1における前輪載置部1bと接続部材3は、従来公知のものが採用されているため、詳細な説明は省略する。
【0028】
以下、本実施形態に係る補助台車2の構造について説明する。
補助台車2は、固定部5と可動部6a、6bを有している。
【0029】
図2に示すように、固定部5は、左右方向に延びる部材であり、長尺状の支持部材7と連結部材8を有している。
支持部材7は、断面が四角形の管状部材であり、剛性を有している。支持部材7の中央部分には、連結部材8が固定されている。すなわち、支持部材7と連結部材8は、一体化されていて相対移動しない。
【0030】
連結部材8は、断面が略コの字を呈する部材である。すなわち、連結部材8は、上下に離間して対向する一対のフランジ部と、フランジ部同士を接続する接続部(ウェブ)を有している。連結部材8の後側に接続部が設けられており、前側に各フランジ部が設けられている。連結部材8における接続部には、図示しない固定手段によって支持部材7が一体固着されている。
【0031】
また、各フランジ部は、後端の接続部から前方へ延びている。各フランジ部の前端付近には、軸8aが設けられている。すなわち、軸8aは、上側のフランジ部と下側のフランジ部に固定されている。
【0032】
離間して対向する両フランジ部の間には、接続部材3の他端部(後端部)が配置されている。軸8aは、この接続部材3の他端を貫通している。すなわち、連結部材8と接続部材3は、軸8aによって相対回動可能に連結されている。
【0033】
次に、可動部6a、6bについて説明する。
図2(a)に示すように、固定部5の右側には可動部6aが配置されており、左側には可動部6bが配置されている。可動部6a、6bは、左右対称形であり、以下では右側の可動部6aについて説明し、左側の可動部6bについては、重複する説明を省略する。
【0034】
可動部6aは、車輪9a、10a(外側車輪)、載置部材11a(載置部)、照明装置15を有している。
【0035】
車輪9a、10aは、牽引車1の進行方向(前後方向)に並んで配置されており、車輪9aは前側に配置されており、車輪10aは後ろ側に配置されている。
車輪9aは車軸16aを有している。車軸16aには、保持部材18aが取り付けられている。保持部材18aは、断面が四角形の略筒形状の部材である。保持部材18aの対向する一対の側壁が、車軸16aによって貫通されている。
【0036】
保持部材18aにおける車軸16aよりも下方の空間には、載置部材11aの後述の本体部材20aを挿通させて固定することができる。
【0037】
車輪9aと同様に、車輪10aは、車軸17aを有している。車軸17aには、保持部材19aが取り付けられている。保持部材19aは、断面が四角形の略筒形状の部材である。保持部材19aの対向する一対の側壁が、車軸17aによって貫通されている。
【0038】
保持部材19aにおける車軸17aよりも下方の空間には、載置部材11aの後述の本体部材20aを挿通させて固定することができる。
【0039】
図2(a)に示すように、載置部材11aは、本体部材20a、前方支持部材12a、後方支持部材13aを有している。
【0040】
本体部材20aは、四角柱形状の部材であり、水平姿勢で前後方向にのびるように配置されている。本体部材20aは、保持部材18a、19aを介して車輪9a、10aによって支持されている。すなわち、保持部材18a、19aは、前後方向に離間しており、本体部材20aの前端側が保持部材18a(車輪9a)によって支持されており、後端側が保持部材19a(車輪10a)によって支持されている。
【0041】
図2(a)に示すように、本体部材20aにおける保持部材18aの後方側には、固定部材31aが取り付けられている。保持部材18aと固定部材31aは隣接(近接)している。また、本体部材20aにおける保持部材19aの前方側には、固定部材32aが取り付けられている。保持部材19aと固定部材32aは隣接(近接)している。
【0042】
固定部材31a、32aは、保持部材18a、19aのような略四角筒形状を呈しており、固定部材31a、32aの内部に本体部材20aが挿通されている。固定部材31a、32aは、それぞれ前方支持部材12a、後方支持部材13aを本体部材20aに固定する機能を有している。
【0043】
前方支持部材12aは、細長い四角柱形状を呈する部材である。前方支持部材12aの一端側は、固定部材31aに固定されている。すなわち、前方支持部材12aと固定部材31aは一体化されている。前方支持部材12aの他端側は支持部材7によって支持されている。
【0044】
すなわち、前方支持部材12aの内部形状(断面形状)と支持部材7の外部形状(断面形状)はほぼ一致しており、前方支持部材12aの内部に支持部材7が挿通されている。両者は左右方向(長手方向)にスライド移動が可能であると共に、複数の所定の位置で固定可能である。すなわち、図示しないストッパによって、所定の位置で両者のスライド移動が不能になるように固定することができる。よって、固定部5に対して可動部6aの左右方向の位置を適宜変更することができる。
【0045】
後方支持部材13aは、前方支持部材12aと同様の構造を有している。後方支持部材13aの一端側は、固定部材32aに固定されている。すなわち、後方支持部材13aと固定部材32aは一体化されている。後方支持部材13aの他端側は開放されている。すなわち、後方支持部材13aの他端側は自由端である。
【0046】
固定部材31a、32aは、本体部材20aの長手方向に沿って任意の位置で固定可能であり、本体部材20aに対する設置位置を前後方向に変更することができる。すなわち、固定部材31aと固定部材32aの間隔は変更可能である。換言すると、前方支持部材12aと後方支持部材13aの間隔は変更可能である。両者の間隔は、被牽引車50の後輪52の大きさに応じて適宜変更することができる。
【0047】
本体部材20aにおける固定部材31a、32aの間の部位には、照明装置15が装着されている。
図4(a)に示すように、照明装置15は、照明器具21と支持部材22を有している。
【0048】
照明器具21は、細長い発光部29と取付部30を有している。取付部30には充電池(バッテリ)や、ON・OFFスイッチ等が設けられている。
【0049】
支持部材22は、取付部23、張出部24、照明器具取付部25を有している。
【0050】
取付部23は、略コの字形を呈する部位であり、上下に離間したフランジ部33a、33bと、各フランジ部33a、33bを接続するウェブ部34を有している。各フランジ部33a、33bには、孔27、28が設けられている。孔27、28は、上下の位置関係にあり、両孔27、28の中心は一致している。各孔27、28からウェブ部34までの長さは、本体部材20aの幅(左右幅)よりも長い。
【0051】
張出部24は、板状の部位である。張出部24の一端側は、取付部23の上側のフランジ部33aに固定されており、他端側が取付部23のウェブ部34を越えてのびている。張出部24の他端付近の上面側には照明器具取付部25が固定されている。
【0052】
照明器具取付部25(装着部)は、短尺の筒状の部位である。照明器具取付部25の内部には、有底の穴35が形成されている。
【0053】
照明装置15は、載置部材11aの本体部材20aに対して着脱が可能である。
照明装置15を本体部材20aに装着する場合には、
図4(b)に示すように、支持部材22の取付部23を、本体部材20aに取り付ける。すなわち、略コの字形の取付部23を本体部材20aに外嵌させる。これにより照明装置15は、本体部材20aに対して片持ち状に取り付けられる。換言すると、支持部材22が載置部材11a側に片持ち状に固定される。
【0054】
取付部23の上下のフランジ部33a、33b同士の間隔は、本体部材20aの上下寸法と略一致している。そのため、本体部材20aに装着された取付部23は、本体部材20aに対してガタつかない。また、
図4(b)に示すように、各フランジ部33a、33bに設けられた孔27、28は、本体部材20aで塞がれておらず、開口している。
【0055】
図4(b)に示すように、割ピン26は先端部36a、36bと頭部37を有している。この割ピン26が取付部23(フランジ部33a、33b)の孔27、28を貫通し、頭部37が孔27に係合し、先端部36a、36bが
図3(b)、
図4(e)に示すように折り曲げられている。そのため、割ピン26は取付部23の孔27、28に固定される。すなわち、孔27、28に割ピン26を固定することにより、
図4(c)に示すように、取付部23の略コの字の開口側(ウェブ部34とは反対側)が塞がれ、本体部材20aから取付部23(照明装置15)が外れるのを阻止することができる。
【0056】
また、
図4(d)に示すように、照明器具取付部25の穴35には、照明器具21の取付部30が装着されている。さらに、取付部30は、照明器具取付部25に対して、磁力やボルト・ナット等の締結要素で固定されている。すなわち、取付部30は、照明器具取付部25に対して着脱が可能である。照明器具21は、支持部材22の自由端側に設けられた照明器具取付部25に設置されている。取付部23は、支持部材22の固定端を構成している。
【0057】
図1、
図2(a)、
図3(a)に示すように、照明装置15(照明器具21)は、車輪9aと車輪10aの間(進行方向に並んだ外側車輪同士の間)に配置されている。すなわち、張出部24が、本体部材20a側から左右方向の外側に張り出しており、
図3(b)に示すように、照明器具21(発光部29)が、車輪9a、10aと、牽引車1の進行方向に並ぶ位置に配置されている。すなわち、支持部材22(照明器具取付部25)に照明器具21を装着すると、車輪9a、10aにおける、牽引車1の進行方向に並ぶ位置に照明器具21を配置可能である。
図3(b)では、照明器具21と車輪9aが重なっている状態が描写されている。
【0058】
ここで「車輪9a、10aと牽引車1の進行方向に並ぶ位置」とは、牽引車1の進行方向を向いて、車輪9a、10aと重なって見える位置である。照明器具21は、車輪9a、10aの幅の中心と一致しているのが好ましいが、車輪9a、10aの中心と左右方向(車幅方向)にずれていても差し支えはない。
【0059】
そして、照明装置15(照明器具21)の発光部29は、車輪9a、10aの上端よりも上方に突出している。すなわち、
図3(a)、
図3(b)に示すように、車輪9a、10aの高さH1よりも、発光部29の高さH2の方が高い。すなわち、照明装置15の発光部29の少なくとも一部が車輪9a、10aの上端よりも高い位置に配置されている。
【0060】
また、
図3(b)に示すように、補助台車2の右側の可動部6aに装着された照明装置15は、車輪9a、10aよりも右側(外側)にはみ出しておらず、照明装置15は、補助台車2の左右方向の範囲内に配置されている。さらに、照明装置15の照明器具21は、車輪9a(10a)の幅Wの中心付近に配置されている。
【0061】
ここで、照明器具取付部25は、車輪9a(10a)の中心付近に配置されているのが好ましいが、車輪9a(10a)よりも左右方向の外側に若干(照明器具取付部25の左右方向の寸法の半分以下程度)はみ出していてもよい。また、照明器具21は左右方向の外側、又は内側に傾斜していてもよい。さらに、照明器具21が傾斜して、照明器具21の上端が車輪9a(10a)よりも左右方向の外側に若干(照明器具取付部25の左右方向の寸法程度)はみ出していてもよい。このようなはみ出し方であると、照明装置15(照明器具21)が補助台車2の車幅を大幅に増加させることがなく、牽引車1(補助台車2)の通行の障害とはならない。
【0062】
可動部6aは、以上説明したような構成を有している。
【0063】
可動部6bは、可動部6aと同様の構造を有しており、重複する説明は省略する。なお、可動部6bの符号は、可動部6aと同じ数字に、アルファベット「b」を付したものとしている。具体的には、可動部6aの車輪9a、10aに対応する可動部6bの車輪の符号は、「9b」、「10b」としている。
【0064】
可動部6a、6bは、互いに接近して間隔を狭めたり、離間して間隔を拡げるように移動することができる。また、可動部6a、6bは、図示しないストッパによって固定部5に対して所定の位置で固定することができる。
図2(a)に示す状態では、可動部6a、6bの間隔が広く、後輪52同士の間隔が大きい被牽引車50を牽引することができる。また、
図2(b)に示す状態では、可動部6a、6bの間隔が狭く、後輪52同士の間隔が小さい被牽引車50を牽引することができる。
【0065】
すなわち、可動部6aの車輪9a(10a)と可動部6bの車輪9b(10b)の間隔が、被牽引車50の左右の後輪52同士の間隔(車幅)よりも若干大きくなるように設定されている。換言すると、車輪9a(10a)、9b(10b)は、被牽引車50の車幅よりも左右の外側に配置されている。
【0066】
可動部6aの車輪9a(10a)と可動部6bの車輪9b(10a)の間隔とは、各車輪9a(10a)、9b(10a)の左右方向(幅方向)の中心同士の間隔を意味している。同様に、被牽引車50の左右の後輪52同士の間隔とは、後輪52の左右方向(幅方向)の中心同士の間隔を意味している。また、車輪9a、9bの幅方向とは、
図2(a)等に示すように、牽引車1の進行方向(前方)を向いて左右の方向である。
【0067】
このように構成された補助台車2では、
図2(a)、
図2(b)に示すように、可動部6aの車輪9a、10a(外側車輪)の間と、可動部6bの車輪9b、10b(外側車輪)の間に、それぞれ照明装置15(照明器具21)が配置されている。すなわち、補助台車2の左右両側に、それぞれ照明装置15が配置されている。
【0068】
可動部6a、6bの載置部材11a、11bの本体部材20a、20bに対して、同一構造の照明装置15を取り付けることができる。すなわち、可動部6aに取り付けた照明装置15は、鉛直軸周りに180度向きを変えて、可動部6bに取り付けることもできる。よって、照明装置15は、補助台車2の左右の可動部6a、6bのどちらにも取り付けることができる。
【0069】
図3(b)に示すように、補助台車2の右側の可動部6aに装着された照明装置15は、車輪9a、10aよりも右側(外側)にはみ出しておらず、照明装置15は、補助台車2の左右方向の範囲内に配置されている。同様に、可動部6bに装着された照明装置15は、補助台車2の車輪9b、10bの左側(外側)にはみ出しておらず、補助台車2の左右方向の範囲内に配置されている。
【0070】
被牽引車50を牽引する牽引車1(
図1)は、被牽引車50を載置した補助台車2に照明装置15が設置されている。照明装置15は、補助台車2の外側車輪である車輪9a(10a)、9b(10b)の上端よりも上方に突出する照明器具21(発光部29)を有している。そのため、牽引車1と対向する車両や、牽引車1に後続する車両から、車輪9a(10a)、9b(10b)の上方に、発光する照明器具21(発光部29)を視認可能である。また、発光部29が発光することによって、牽引車1の周囲の車両の運転手に、補助台車2の車輪9a(10a)、9b(10b)の存在が容易に認識される。
【0071】
さらに、補助台車2は牽引車1の車体1aや前輪載置部1bから離れているため、牽引車1の周囲の車両の運転手に補助台車2は見落とされやすい。そして牽引車1の周囲の車両の運転手が補助台車2を見落とすと、当該周囲の車両が補助台車2の外側車輪である車輪9a(9b)、10a(10b)に接触する恐れがある。
【0072】
そこで本実施形態に係る補助台車2では、照明装置15を車輪9a(9b)、10a(10b)の近くに配置し、周囲の車両の運転手に注意を促すようにした。これにより、周囲の車両の運転手に、照明装置15が視認されると共に、照明装置15によって照らされた車輪9a(9b)、10a(10b)の存在も認識される。その結果、周囲の車両が補助台車2(特に車輪9a(9b)、10a(10b))に接触することが回避される。
【0073】
本実施形態では、発光部29が車輪9a(10a)、9b(10b)の上端よりも上方に突出している場合について説明したが、発光部29は、必ずしも車輪9a(10a)、9b(10b)の上端を越えていなくてもよい。この場合には、発光部29の発した光が、周囲に散乱するように、例えば本体部材20aに鏡等の光を反射する部材を設ける。または、可動部6a、6b自体を、光を反射し易い素材で構成したり、光を反射し易い素材で被覆(コーティング)してもよい。これにより、発光部29から発した光が、本体部材20a等に反射して牽引車1の周囲に拡がり易くなる。よって、発光部29から発した光が、反射して間接的に牽引車1の周囲の車両の運転手に視認され、車輪9a(10a)、9b(10b)の存在が認識される。
【0074】
照明装置15は、照明器具取付部25に対して照明器具21を着脱可能である。すなわち、例えば、照明器具取付部25に装着した古い照明器具21を新しい照明器具21に交換することができる。また、異なる発光色の照明器具21を、交換して使用することもできる。
【0075】
また、本実施形態では、補助台車2の可動部6a、6bが、左右の外側にのみ車輪9a、10a、9b、10bを有する場合について説明したが、可動部6a、6bの左右両側に車輪を有していても本発明を実施する上で何ら障害とはならない。すなわち、可動部6a(6b)の左右方向の内側にも車輪が設けられていてもよい。この左右方向の内側の車輪は、牽引車1の周囲の車両と接触する恐れはなく、この場合においても、照明装置15は、左右方向の外側に配置された車輪と、牽引車1の進行方向に並ぶ位置に配置すればよい。
【0076】
また、本実施形態では、複数の外側車輪(車輪9a、10a)が、牽引車1の進行方向に並んで配置されている場合について説明したが、外側車輪が一つの場合であっても、本発明は同様に実施可能である。すなわち、補助台車2の左右両側に、外側車輪である車輪9aが一つずつ設けられている場合には、この車輪9aの前方又は後方であって、車輪9aと、牽引車1の進行方向に並ぶ位置に、照明装置15(照明器具21)を配置する。
【符号の説明】
【0077】
1 牽引車
2 補助台車
9a、9b、10a、10b 車輪(補助台車の外側車輪)
11a、11b 載置部材(載置部)
15 照明装置
21 照明器具(照明装置の発光する部位)
22 支持部材
29 発光部(照明装置の発光する部位)
25 照明器具取付部(装着部)
50 被牽引車
52 被牽引車の後輪