(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230320BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2018082583
(22)【出願日】2018-04-23
【審査請求日】2021-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島崎 徳人
(72)【発明者】
【氏名】伊東 秀城
【審査官】渡辺 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-239999(JP,A)
【文献】特開2000-225245(JP,A)
【文献】特開2000-225240(JP,A)
【文献】特開2005-192913(JP,A)
【文献】特開2012-95774(JP,A)
【文献】特開2009-291558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域を有する表示装置と、
前記表示領域に表示される識別図柄により当否判定結果を示す図柄制御手段と、
前記表示領域にて前記識別図柄の変動が開始される開始時点から、当該識別図柄が当否判定結果を示す態様で停止する停止時点までの変動中演出、および、当該変動中演出の一部としてリーチ演出を実行することが可能な演出実行手段と、
を備え、
一または複数種の前記リーチ演出の一種として、特定リーチ演出が実行可能であり、
ある変動中演出にて前記特定リーチ演出が実行され、当該特定リーチ演出の結末が不利結末に至ることで当否判定結果がはずれであるように見せかけた後、実行された
当該特定リーチ演出を遡る巻き戻し演出を実行することなく前記開始時点に戻ったかのような表示がなされた上で再び前記特定リーチ演出が実行され、当該特定リーチ演出の結末が前記不利結末とは異なる有利結末に至ることで当否判定結果が当たりであることが示される逆転演出が実行可能であることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
当否判定結果がはずれであるかのように見せかけた後、当たりであることを示す演出(復活演出、逆転演出等と称される)が実行可能な遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、遊技の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、表示領域を有する表示装置と、前記表示領域に表示される識別図柄により当否判定結果を示す図柄制御手段と、前記表示領域にて前記識別図柄の変動が開始される開始時点から、当該識別図柄が当否判定結果を示す態様で停止する停止時点までの一連の変動中演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記演出実行手段は、前記変動中演出の一部として、当否判定結果がはずれであるかのように見せかけた上でそれが覆されて最終的に当否判定結果が当たりであることが報知される特定演出を実行することが可能であり、前記特定演出は、当否判定結果がはずれであるかのように見せかけた後、再び前記開始時点に戻ったかのような表示がなされる態様を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】表示装置(表示領域)に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。
【
図3】特定演出の前半部分を説明するための図である。
【
図4】特定演出の後半部分を説明するための図である。
【
図5】第一具体例(第三具体例)を説明するための図である。
【
図6】第二具体例(第三具体例)を説明するための図である。
【
図9】第八具体例を説明するための図(その一)である。
【
図10】第八具体例を説明するための図(その二)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。かかる表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定の報知が開始されていない数値(以下単に保留と称することもある)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。記憶手段に上記数値(当否判定情報)が記憶されていることは、保留図柄80として表示される(
図2参照)。なお、本実施形態では、当否判定の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい(この場合には当否判定結果自体が、当否判定情報に相当することとなる)。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。また、本実施形態では、当否判定結果を報知する演出(識別図柄70の変動)は開始されているものの、未だ当否判定結果の報知が完了していない(識別図柄70が当否判定結果を示す組み合わせで停止していない)もの(いわゆる「当該変動保留」)の存在を示す変動中保留図柄81も表示される。
【0014】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0015】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄70(
図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄70を含む識別図柄群70g(左識別図柄群70gL、中識別図柄群70gC、右識別図柄群70gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群70gから一の識別図柄70が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群70gから選択されて停止した識別図柄70の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄70の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。なお、各図においては、識別図柄70を構成する「数字(文字)」のみを図示するが、当該数字とキャラクタ等が組み合わされた図柄を識別図柄70として設定することができる。
【0016】
各識別図柄70(識別図柄群70g)の変動が開始される開始時点から、当否判定結果を示す組み合わせで識別図柄70(識別図柄群70g)の変動が停止する停止時点までの間、一の当否判定結果が大当たりとなる蓋然性がどの程度のものであるか等を遊技者に示す変動中演出が実行される。当該変動中演出を構成する演出として、種々の演出が実行される。本実施形態にかかる遊技機1は、当該変動中演出を構成する演出の一種として特定演出10を実行することが可能である。以下、当該特定演出10について説明する。
【0017】
特定演出10の基本的な態様は、当否判定結果がはずれであるかのように見せかけた上で、それが覆されるというものである。つまり、遊技者に対し、一旦は当否判定結果がはずれであるかのように示し、それが擬似的なものであったこと(似非であったこと)を事後的に示す演出である。「当否判定結果がはずれであるかのように示す」前半部分11(
図3参照)と、それが「似非であったことを示す」後半部分12(
図4参照)とに区分けされる演出とみることもできる。前半部分11から後半部分12に移行することが、前半部分11で示された当否判定結果(はずれ)が似非であったということを遊技者に示すことになる。当然ではあるが、特定演出10の前半部分11のような演出は、特定演出10の非発生時にも発生しうる。つまり、遊技者からみれば、特定演出10の前半部分11が実行されているときには、後半部分12に移行するかどうかは不明である。特定演出10の前半部分11のような演出が実行されて、そのまま当否判定結果がはずれであることが示される変動中演出も発生しうる。
【0018】
「当否判定結果がはずれとなったかのように示す」手法としては種々考えられる。本実施形態では、識別図柄70の組み合わせが、はずれであることを示す組み合わせで表示される(
図3(c)参照)。ただし、はずれであることを示す各識別図柄70は、擬似停止した状態にある。ここで、擬似停止した状態とは、遊技者には停止したかのようにみえるような状態であるが完全に停止していない状態(例えば、わずかに揺れ動いているような状態)をいう。当否判定結果を確定的に報知する際(変動中演出が終了する際)には識別図柄70を完全に停止させることになるところ、後半部分12に移行して変動中演出が継続する可能性があるため「当否判定結果がはずれとなったかのように示す」時点においては、識別図柄70は擬似停止した状態にある。
【0019】
また、別の手法として、いわゆるリーチ演出の結末により「当否判定結果がはずれとなったかのように示す」ことが考えられる。例えば、遊技者側のキャラクタと敵側のキャラクタが戦い、敵側のキャラクタが勝利する(遊技者側のキャラクタが敗北する)結末となった場合にははずれとなるリーチ演出が搭載されたものにおいて、敵側のキャラクタが勝利したかのような映像を表示することで「当否判定結果がはずれとなったかのように示す」ことが考えられる。
【0020】
本実施形態では、特定演出10が発生する場合、前半部分11にて必ずリーチ状態が成立するように設定されている(
図3(b)参照)。リーチ状態は、三つの識別図柄群70gのうちの二つから選択されて示された二つの識別図柄70が同じ識別図柄70となった状態である。このように、前半部分11にてリーチ状態が成立するようにすることで、遊技者は当否判定結果が大当たりとなることに期待することになる。後述するように、特定演出10は、一旦は当否判定結果がはずれとなったかのように示し、その後それが覆されるものであるところ、前半部分11にてリーチ状態を成立させて大当たりへの期待感を高めておきつつも当該前半部分11にて大当たりとならかなったように示すことで、特定演出10が発生したとき(後半部分12に移行したとき)の喜びが大きなものとなる。ただし、リーチ状態が成立しないときにも特定演出10が発生しうる設定とすることを否定するわけではない。
【0021】
特定演出10が発生する場合、上記前半部分11にて当否判定結果がはずれとなったかのように示された後、後半部分12に移行する。後半部分12の冒頭は、識別図柄70(識別図柄群70g)が変動を開始するかのような画像(動画)が表示されるものである。つまり、遊技者の視点でいえば、前半部分11から後半部分12に移行することにより、識別図柄70(識別図柄群70g)の変動が開始される開始時点(
図3(a)に示す時点)に戻ったかのような表示がなされる(
図4(a)参照)。以下の説明においては、変動中演出の冒頭である開始時点と区別するため、特定演出10発生時における後半部分12の冒頭を似非開始時点と称することもある。
【0022】
似非開始時点(
図4(a)参照)は、開始時点と全く同じ態様であってもよいし、異なる態様であってもよい。具体的には、似非開始時点に表示される画像は、識別図柄70(識別図柄群70g)の変動が開始されるような態様を含むものであればよく、それ以外の構成は適宜変更可能である。遊技者は、変動中演出の開始時点の態様を厳密には覚えていないであろうから、似非開始時点が識別図柄70(識別図柄群70g)の変動が開始されるような態様でありさえすれば、開始時点に戻ったかのような印象を遊技者に与えることができる。したがって、似非開始時点における変動開始直前の識別図柄70の組み合わせは、開始時点におけるそれと異なっていてもよい。また、似非開始時点における識別図柄70の背景として表示される画像の態様は、開始時点におけるそれと異なっていてもよい。このようにすることで、特定演出10発生時の制御が容易になるという利点がある。
【0023】
ただし、似非開始時点の態様が、開始時点における態様と全く同じとなるようにすれば、開始時点に戻ったという遊技者が受ける印象を高めることが可能となる。しかし、このような設定とする場合、開始時点の態様を記憶(例えば、開始時点における識別図柄70の組み合わせを記憶)し、それを似非開始時点の態様として設定する必要があるため、開始時点と似非開始時点の態様を異ならせることを許容する場合よりも制御が複雑であるといえる。
【0024】
後半部分12に移行した後に実行される演出の具体的態様はどのようなものであってもよい。本実施形態では、後半部分12の結末により、当否判定結果が大当たりであることが示される(
図4(c)参照)。つまり、本実施形態では、特定演出10が発生したときには大当たりとなることが確定するように設定されている。したがって、特定演出10は、いわゆる復活演出や逆転演出等と称される演出であるといえる。
【0025】
以上説明したように、本実施形態にかかる遊技機1では、当否判定結果がはずれとなったかのように示された後、識別図柄70の変動が開始される開始時点(似非開始時点)まで戻ったかのような特定演出10が発生する。一般的な復活演出(逆転演出)は、実行される時間が短く、何が起こったかが分かりにくいところ、本実施形態における特定演出10は、識別図柄70の変動が開始される開始時点まで戻ったかのように示される演出形態であるため、発生した事象(当否判定結果が「はずれ」であることが覆されたこと)が分かりやすく、面白みのあるものとなる。
【0026】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、可能であれば、以下の具体例を用いて説明する技術的事項を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0027】
○第一具体例
特定演出10の前半部分11にて「当否判定結果がはずれとなったかのように示す」演出と、後半部分12に実行される当否判定結果が大当たりであることを報知する演出を同じ種類の演出(以下、後述する第二報知演出22と区別するため「第一報知演出21」と称する)とする(
図5(a)参照)。本例における第一報知演出21は、その結末の態様により当否判定結果が大当たりであるか否かを示す、いわゆる「スーパーリーチ演出」である。第一報知演出21それ自体の態様はどのようなものであってもよい。遊技者側のキャラクタと敵側のキャラクタが戦い、遊技者側のキャラクタが勝利した場合には大当たりとなる(遊技者側のキャラクタが敗北した場合にははずれとなる)態様を例示することができる。
【0028】
前半部分11においては、第一報知演出21にて当否判定結果がはずれであったかのように見せかけられる。上記第一報知演出21の例に則していえば、遊技者側のキャラクタが敗北したかのような表示がなされる(
図5(b)参照)。その後、開始時点まで戻ったかのような表示がなされ(似非開始時点まで戻る表示がなされ)、後半部分12の演出が開始される。後半部分12においては再び第一報知演出21が実行され、当該第一報知演出21にて当否判定結果が大当たりであることが報知される。上記第一報知演出21の例に則していえば、遊技者側のキャラクタが勝利したかのような表示がなされる(
図5(c)参照)。
【0029】
前半部分11と後半部分12にて実行される第一報知演出21は、最終的な結末が異なる(前半部分11は「はずれ」を示すかのような結末(
図5(b-2)参照)であり、後半部分12は「大当たり」を示す結末である(
図5(c-2)参照))だけであり、それ以外の部分はおおよそ共通する。つまり、結末以外の部分の基本的態様は共通する。したがって、特定演出10に接する遊技者は、後半部分12にて、前半部分11と同じ種類の演出が実行されたということが把握できる。上記第一報知演出21の例に則していえば、遊技者側のキャラクタと敵側のキャラクタが全く同じである演出が前半部分11と後半部分12にて実行される。なお、第一報知演出21の結末以外の部分において、いわゆる「チャンスアップ」を示す表示等が、前半部分11と後半部分12で異なっていてもよい。一または複数種のスーパーリーチ演出が搭載されている多くの遊技機が知られているところ、前半部分11と後半部分12にて同じ種類のスーパーリーチ演出が実行されるということであり、同じ種類のスーパーリーチ演出であれば、前半部分11と後半部分12にて実行される演出の細部が相違していてもよい。
【0030】
このように、特定演出10発生時に、前半部分11と同じ種類の第一報知演出21が後半部分12で実行され、当該第一報知演出21にて当否判定結果が大当たりであることが報知されるようにすれば、前半部分11の演出が後半部分12の演出により覆されたということが分かりやすくなる。
【0031】
本例の場合、特定演出10の前半部分11を構成する一連の演出と、後半部分12を構成する一連の演出について、結末(第一報知演出21の結末)のみが異なり、それ以外の態様は同じである構成とすることもできる。具体体にいえば、前半部分11における第一報知演出21よりも前に実行される演出の態様(
図5(a)における(ア)(イ)の部分における演出の態様)と、後半部分12における第一報知演出21よりも前に実行される演出の態様(
図5(a)における(エ)(オ)の部分における演出の態様)は、完全に同一である構成とすることができる。このようにすれば、後半部分12に移行したときには、前半部分11と全く同じ流れの演出が実行される(結末のみ異なる)ことになるため、前半部分11の演出が後半部分12の演出により覆されたということがより分かりやすくなる。
【0032】
○第二具体例
特定演出10の前半部分11にて「当否判定結果がはずれとなったかのように示す」演出と、後半部分12に実行される当否判定結果が大当たりであることを報知する演出を異なる種類の演出とする。前半部分11にて実行される演出を第二報知演出22(上述した第一報知演出21と区別するため第二報知演出22と称する)とし、後半部分12にて実行される演出を別演出23とする(
図6(a)参照)。第二報知演出22は、その結末の態様により当否判定結果が大当たりであるか否かを示す、いわゆる「スーパーリーチ演出」である。第二報知演出22それ自体の態様はどのようなものであってもよい。遊技者側のキャラクタと敵側のキャラクタが戦い、遊技者側のキャラクタが勝利した場合には大当たりとなる(遊技者側のキャラクタが敗北した場合にははずれとなる)態様を例示することができる(
図6(b)参照)。
【0033】
前半部分11においては、第二報知演出22にて当否判定結果がはずれであったかのように見せかけられる。上記第二報知演出22の例に則していえば、遊技者側のキャラクタが敗北したかのような表示がなされる。その後、開始時点まで戻ったかのような表示がなされ(似非開始時点まで戻る表示がなされ)、後半部分12の演出が開始される。後半部分12においては別演出23が実行され、当該別演出23にて当否判定結果が大当たりであることが報知される。別演出23は、その結末により当否判定結果が報知されるような演出であればどのようなものであってもよい。
【0034】
このように、特定演出10発生時に、前半部分11にて実行された第二報知演出22と異なる種類の別演出23が後半部分12で実行され、当該別演出23にて当否判定結果が大当たりであることが報知されるようにすれば、全く異なる演出により「はずれ」が覆されたことが示される態様の演出となる。
【0035】
○第三具体例(第一具体例および第二具体例を組み合わせた例)
上記第一具体例および第二具体例で説明した特定演出10がいずれも発生しうるものとする。そして、変動中演出の状態は、大まかに以下のように区分けされるものとする。
1)変動状態
三つの識別図柄群70gが変動している状態。後述するリーチが成立しなかった場合には、当否判定結果がはずれとなることが報知される(いわゆる「どはずれ」)。
2)ノーマルリーチ状態(ノーマルリーチ演出)
上記変動状態にて三つの識別図柄群70gのうちの二つから選択されて示された二つの識別図柄70が同じ識別図柄70となった状態である。後述するスーパーリーチ演出が実行されずに残りの一つの識別図柄群70gから一つの識別図柄70が示された場合は、ノーマルリーチ演出にて当否判定結果が報知されたということになる。すなわち、当該一つの識別図柄70がリーチを構築する識別図柄70と同じとなれば大当たり、異なればはずれとなる。
3)スーパーリーチ状態(スーパーリーチ演出)
上記ノーマルリーチ状態を経て移行しうる状態である(ただし、ノーマルリーチ状態を経ずにスーパーリーチ状態に移行しうるように設定してもよい)。具体的には、ノーマルリーチ状態にて、上記残り一つの識別図柄群70gから一の識別図柄70が示されることがなかった場合に移行する状態である。ノーマルリーチ演出と異なり、単純に残りの一つの識別図柄群70gから一つの識別図柄70が示されるのではなく、所定の映像が表示領域911に表示されて、その映像の結末により大当たりかどうかが示されるものである。スーパーリーチ演出は、当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)は、ノーマルリーチ演出よりも高い。映像の基本的態様が異なる複数種のスーパーリーチ演出が設定された構成としてもよい。上述したように、スーパーリーチ演出の一例としては、遊技者側のキャラクタと敵側のキャラクタが戦い、遊技者側のキャラクタが勝利したときには大当たりとなる態様が挙げられる。
スーパーリーチ演出は、一または複数種の第一スーパーリーチ演出と、一または複数種の第二スーパーリーチ演出を含むものとする。第一スーパーリーチ演出に比して、第二スーパーリーチ演出は大当たり信頼度が高い。また、第一スーパーリーチ演出に比して、第二スーパーリーチ演出は、演出に要する時間(映像の出力時間)が長い。
なお、第一スーパーリーチ演出が発展することで、第二スーパーリーチ演出に移行する場合がある構成(第一スーパーリーチ演出で大当たりが報知される結末とならなかった場合に、第二スーパーリーチ演出に移行しうる構成)としてもよい。つまり、第二スーパーリーチ演出は、第一スーパーリーチ演出に相当する部分(前半)と、その後実行される部分(後半;当該後半の結末により当否判定結果が示される)とを含むものとしてもよい。この場合、おおよそ、当該「その後実行される部分」の長さ分、第一スーパーリーチ演出に比して、第二スーパーリーチ演出に要する時間が長くなるということである。
【0036】
第一具体例(
図5参照)にて説明した第一報知演出21は、第一スーパーリーチ演出の一種とされる。つまり、前半部分11において第一スーパーリーチ演出にて当否判定結果がはずれとなったかのように示された(
図5(b)参照)後、後半部分12において第一スーパーリーチ演出にて当否判定結果が大当たりであることが報知される(
図5(c)参照)特定演出10(以下、第一特定演出101と称することもある)が発生するものとする。
【0037】
一方、第二具体例(
図6参照)にて説明した第二報知演出22は、第二スーパーリーチ演出の一種とされる。また、別演出23は、ノーマルリーチ演出とされる。つまり、前半部分11において第二スーパーリーチ演出にて当否判定結果がはずれとなったかのように示された(
図6(b)参照)後、後半部分12においてノーマルリーチ演出にて当否判定結果が大当たりであることが報知される(
図6(c)参照)特定演出10(以下、第二特定演出102と称することもある)が発生するものとする。
【0038】
このような設定とすることの意義は次の通りである。第一特定演出101は、前半部分11と後半部分12でそれぞれ一回ずつの第一スーパーリーチ演出が実行される。具体的には、前半部分11は、開始時点から、変動中状態(ア)→ノーマルリーチ演出(イ)→第一スーパーリーチ演出(第一報知演出21;はずれを示すかのような結末)(ウ)というように推移する。後半部分12は、似非開始時点から、変動中状態(エ)→ノーマルリーチ演出(オ)→第一スーパーリーチ演出(第一報知演出21;大当たりを報知する結末)(カ)というように推移する(
図5(a)参照)。このように、変動中演出を通じて計二回の第一スーパーリーチ演出が実行される。上記の通り、第一スーパーリーチ演出は、第二スーパーリーチ演出に比して演出に要する時間が短いものであるため、変動中演出を通じて計二回の第一スーパーリーチ演出が実行されるようにしても、変動中演出のトータルの時間が著しく長くなってしまうことが抑制される(変動中演出を通じて計二回の第二スーパーリーチ演出が実行されると仮定した場合に比して変動中演出の時間がかなり短くなる)。
【0039】
第二特定演出102は、前半部分11では第二スーパーリーチ演出が、後半部分12ではノーマルリーチ演出が実行されるものである。具体的には、前半部分11は、開始時点から、変動中状態(キ)→ノーマルリーチ演出(ク)→第二スーパーリーチ演出(第二報知演出22;はずれを示すかのような結末)(ケ)というように推移する。後半部分12は、似非開始時点から、変動中状態(コ)→ノーマルリーチ演出(別演出23;大当たりを報知する結末)(サ)というように推移する(
図6(a)参照)。前半部分11においては、比較的長い第二スーパーリーチ演出が実行されるものの、後半部分12においてはスーパーリーチ演出に移行せず、ノーマルリーチ演出にて大当たり当選が報知されるため、変動中演出のトータルの時間が著しく長くなってしまうことが抑制される。また、第二特定演出102は、最終的にノーマルリーチ演出で当否判定結果が大当たりであることが報知されるものである。ノーマルリーチ演出は、スーパーリーチ演出に比して大当たり信頼度が低く、ノーマルリーチ演出で大当たりが報知される頻度は低いところ、第二特定演出102が発生した場合、遊技者はノーマルリーチ演出での大当たり報知(珍しい大当たり報知)を見ることができるという側面もある。
【0040】
○第四具体例(第三具体例の変形例)
上記第三具体例にて説明したノーマルリーチ演出(別演出23)は、特定演出10の後半部分12として発生した場合に限り、その結末により大当たりが報知されることがあるものとする。つまり、特定演出10が発生しない場合に実行されるノーマルリーチ演出や、特定演出10の前半部分11に実行されるノーマルリーチ演出の結末にて、当否判定結果が大当たりとなることが報知されることはない(大当たり信頼度=0%である)設定とする。
【0041】
一般的な遊技機(スーパーリーチ演出が実行される遊技機)においてノーマルリーチ演出の大当たり信頼度は低く、スーパーリーチ演出にて大当たり報知がなされるケースがほとんどである。それでも、ごくまれにノーマルリーチ演出にて大当たり報知がなされる場合がある(大当たり信頼度≠0%)ように設定されるのが通常である。本実施形態では、特定演出10(第二特定演出102)発生時においてのみ、ノーマルリーチ演出にて大当たり報知がなされるようにすることで、ノーマルリーチ演出を搭載している意味をなくさないようにしつつ(ノーマルリーチ演出での大当たり報知が全くなされいのであればノーマルリーチ演出を搭載する意味がない)、スーパーリーチ演出にて大当たり報知がなされる割合を増加させることが可能となる。
【0042】
○第五具体例
上記実施形態では、特定演出10が発生した場合には大当たりが確定すること(後半部分12にて大当たり報知がなされること)を説明したが、特定演出10が発生した場合であっても、大当たりが確定しない設定としてもよい。つまり、特定演出10が発生すること(後半部分12に移行すること)は、前半部分11にてなされた当否判定結果がはずれであるかのように見せかけた事象が覆されるということに留まる設定としてもよい。このような設定とする場合であっても、前半部分11の結末にて一旦は当否判定結果がはずれとなったと遊技者は感じているであろうから、それが覆されることは遊技者にとって喜ばしい事象であるといえる。
【0043】
○第六具体例
特定演出10が発生する場合、いわゆる「保留変化演出」が必ず発生するものとする。「保留変化演出」それ自体の態様は周知であるため詳細な説明を省略する。保留図柄80(変動中保留図柄81を含む)の態様として複数種の態様が設定され、当該態様により対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)が示唆される。保留変化演出は、当該態様を変化させる演出である。
【0044】
特定演出10が発生する場合、変動中保留図柄81(すなわち、特定演出10が実行される変動中演出に対応するもの)の態様が変化する。具体的には、前半部分11から後半部分12に移行することを契機として変動中保留図柄81の態様が変化するものとする(
図7参照)。変動中保留図柄81の態様が変化する厳密なタイミングは適宜変更可能であるが、特定演出10の発生(後半部分12への移行の発生)が確定した後、変動中保留図柄81の態様が、大当たり信頼度が高まる方向に変化するものとする。上述した通り、特定演出10は、後半部分12に移行することにより、前半部分11にて実行された「はずれを示すかのような結末」が覆されるものであるから、それを視覚的により分かりやすく示すため、変動中保留図柄81の態様が、大当たり信頼度が高まる方向に変化する保留変化演出を発生させるようにする。
【0045】
変動中保留図柄81の態様として、大当たりが確定することを示すもの(図示せず;以下、確定態様と称する)が設定されている場合には、後半部分12に移行することを契機として、変動中保留図柄81を確定態様に変化させる構成としてもよい。このようにすれば、後半部分12への移行(特定演出10の発生)が大当たり確定であることを分かりやすく示すことが可能となる。確定態様としては、「虹色」(レインボー)の画像を含む態様を例示することができる。
【0046】
○第七具体例
特定演出10の後半部分12において、前半部分11には表示されていなかった画像(静止画、動画のいずれであってもよい。以下、特定画像50と称する)が表示されるものとする。特定演出10は、後半部分12に移行することが開始時点(似非開始時点)まで戻ったかのような態様として設定されているものであるから、遊技者によっては、次の変動(次の当否判定結果を報知する変動中演出)が開始されたのではないかと勘違いしてしまうおそれもある。このような問題を解決するため、前半部分11においては表示されていない特定画像50を後半部分12にて表示する(
図8参照)ことで、特定演出10の発生を分かりやすくする。
【0047】
特定画像50としては、「再変動」(
図8(c)参照)や「REPLAY」、「もう一回」といった文字を含む画像を例示することができる。つまり、一旦終了したかのように示された演出が最初(識別図柄70の変動開始時)からやり直されていることを示すような画像を例示することができる。なお、公知の連続演出(擬似連続演出や先読み連続演出)が発生するものにおいて、連続演出の発生を示す際に上記のような類の画像が表示されるものが知られているが、連続演出の発生と特定演出10の発生が混同しないようにするため、連続演出の発生を示す画像と上記特定画像50は異なるものとされることが好ましい。
【0048】
また、図示しないが、特定演出10の発生は大当たりが確定するものであるため、上記特定画像50を大当たりが確定したことを示す画像とすることが考えられる。例えば、後半部分12に移行したときには、識別図柄70の背景として示される背景画像の一部として「虹色」の画像(虹色のエフェクト)が表示されることで大当たりが確定したことを示す態様とすることが考えられる。
【0049】
○第八具体例
特定演出10が発生する場合、前半部分11と後半部分12との間にて中継演出40が実行されるようにしてもよい。つまり、前半部分11から後半部分12が連続的に実行されてしまうと、遊技者が違和感を覚えてしまう、次の変動(次の当否判定結果を報知する変動中演出)が開始されたと感じてしまうといったおそれを低減するため、前半部分11と後半部分12を自然な形で繋げるための中継演出40が介在されたものとする。
【0050】
中継演出40の具体的態様はどのようなものであってもよい。その一例としては、前半部分11の結末時に表示される画像が破壊されたかのような映像を表示することが考えられる(
図9(特に(b))参照)。このようにすれば、前半部分11にて示された「はずれ」が似非であったということが分かりやすく、前半部分11から後半部分12への移行が自然なものとなる。また、別の例としては、遊技者に対し、操作手段60(押しボタン等)(
図1参照)の操作が促されるものとすることが考えられる。中継演出40にて操作手段60の操作が検出されることを契機として、または操作が検出されてから所定時間経過後に、後半部分12に移行するようにする(
図10(特に(b))参照)。このようにすれば、操作手段60が操作されることによって後半部分12に移行するというような態様(遊技者自らが後半部分12に移行させたかのような態様)となるから、上記のようなおそれを低減することが可能となる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0052】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
・手段1
表示領域を有する表示装置と、前記表示領域に表示される識別図柄により当否判定結果を示す図柄制御手段と、前記表示領域にて前記識別図柄の変動が開始される開始時点から、当該識別図柄が当否判定結果を示す態様で停止する停止時点までの変動中演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記演出実行手段は、前記変動中演出の一部として、当否判定結果がはずれであるかのように見せかけた上でそれが覆される特定演出を実行することが可能であり、前記特定演出は、当否判定結果がはずれであるかのように見せかけた後、再び前記開始時点に戻ったかのような表示がなされる態様を含むことを特徴とする遊技機。
上記遊技機の特定演出は、当否判定結果がはずれであるかのように示された後、識別図柄の変動が開始される開始時点まで戻ったかのように示される演出形態であるため、当否判定結果が「はずれ」であることが覆されたということが分かりやすく、面白みのあるものとなる。
【0053】
・手段2
前記演出実行手段は、前記変動中演出の一部として、その結末の態様により当否判定結果を示す一または複数種の第一報知演出を実行することが可能であり、
前記特定演出として、前記第一報知演出にて当否判定結果がはずれであるかのように見せかけた上で、再び前記開始時点に戻ったかのような表示がなされた後、再度前記第一報知演出が実行されてその結末により当否判定結果が示される第一特定演出が発生しうることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このように、特定演出発生時に、はずれであるかのように見せかけた演出(第一報知演出)と同じ演出が再度発生するようにすれば、当否判定結果が「はずれ」であることが覆されたということがより分かりやすくなる。
【0054】
・手段3
前記演出実行手段は、前記変動中演出の一部として、その結末の態様により当否判定結果を示す一または複数種の第二報知演出を実行することが可能であり、
前記特定演出として、前記第二報知演出にて当否判定結果がはずれであるかのように見せかけた上で、再び前記開始時点に戻ったかのような表示がなされた後、前記第二報知演出とは異なる別演出により当否判定結果が示される第二特定演出が発生しうることを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
このようにすれば、はずれであるかのように見せかけた演出(第二報知演出)と異なる演出(別演出)により当否判定結果が「はずれ」であることが覆されたことが示される態様の演出となる。
【0055】
・手段4
演出に要する時間が、前記第一報知演出よりも前記第二報知演出の方が長いことを特徴とする手段2を引用する手段3に記載の遊技機。
第一報知演出にてはずれであるかのように見せかける場合、再び第一報知演出が実行されることになるため、変動中演出を通じて第一報知演出が二回発生することになるが、第一報知演出は相対的に短い演出であるから(変動中演出を通じて第二報知演出が二回発生するようにした場合に比して)変動中演出のトータルの時間が著しく長くなってしまうことが抑制される。
【0056】
・手段5
発生したときに当否判定結果が当たりとなる蓋然性が、前記第一報知演出よりも前記第二報知演出の方が高いことを特徴とする手段2を引用する手段3、または手段4に記載の遊技機。
このように、第一報知演出が第二報知演出に比してあまり期待できない演出であっても、第一特定演出発生時には、当該第一報知演出にて当否判定結果が大当たりとなることが報知されることに期待できる。
【0057】
・手段6
複数の前記識別図柄の組み合わせにより当否判定結果が示されるものであり、前記別演出は、複数の前記識別図柄のうちの一部の識別図柄によってリーチ状態が構築された後、残りの識別図柄がどのようなものとなるかにより当否判定結果が当たりであるかどうかが示されるノーマルリーチ演出であることを特徴とする手段3から手段5のいずれかに記載の遊技機。
このような構成とすることで、第二特定演出発生時には、当該ノーマルリーチ演出にて当否判定結果が大当たりとなることが報知されることに期待できる。
【符号の説明】
【0058】
1 遊技機
10 特定演出
101 第一特定演出
102 第二特定演出
11 前半部分
12 後半部分
21 第一報知演出
22 第二報知演出
23 別演出
70 識別図柄
91 表示装置
911 表示領域