IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ViXion株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ 図1
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ 図2
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ 図3
  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】ヘッドマウントディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/55 20230101AFI20230320BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20230320BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20230320BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
H04N23/55
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
H04N5/222 100
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019079266
(22)【出願日】2019-04-18
(65)【公開番号】P2020178236
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】521079488
【氏名又は名称】ViXion株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161034
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 知洋
(74)【代理人】
【識別番号】100187632
【弁理士】
【氏名又は名称】橘高 英郎
(72)【発明者】
【氏名】内海 俊晴
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-286927(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0038607(US,A1)
【文献】特開2007-101618(JP,A)
【文献】特開2011-205358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/55
G02B 27/02
H04N 5/64
H04N 5/222
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロービジョンの患者の視覚を補助するヘッドマウントディスプレイであって、
装用者が見る方向をカメラレンズ越しに撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された映像を装用者に対して表示する表示手段と、
を備え、
前記カメラレンズが広角レンズであり、
ヘッドマウントディスプレイを装用した時の水平方向からの前記カメラレンズの光軸の俯角をθ、前記カメラレンズの画角をα、装用者の頭部の許容可能傾角をβとすると、以下の式を満たすよう俯角が設定された、ヘッドマウントディスプレイ。
90-β-α/2<θ<α/2 ・・・(式1)
【請求項2】
シースルー機能を有する、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
前記カメラレンズをヘッドマウントディスプレイにける時に、ヘッドマウントディスプレイを装用した時の水平方向からの俯角が前記カメラレンズの光軸に設定され、且つ、該俯角は3°~10°の範囲内の値に固定されるよう配置されたカメラレンズ保持手段を更に備える、請求項1または2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
前記表示手段は、撮像された映像に存在する明るい部分の明るさが、予め設定された明暗範囲の上限を上回った場合、前記明るい部分を暗くし、且つ、撮像された映像に存在する暗い部分の明るさが、前記明暗範囲の下限を下回った場合、前記暗い部分を明るくする明暗調整機能を有する、請求項1~のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
前記広角レンズ越しに撮像された映像の周辺部分が中央部分の画質に近づくように補正する補正手段を更に備える、請求項1~のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
ロービジョンの患者の視覚を補助するヘッドマウントディスプレイであって、
装用者が見る方向をカメラレンズ越しに撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された映像を装用者に対して表示する表示手段と、
を備え、
前記カメラレンズが広角レンズであり、
前記カメラレンズをヘッドマウントディスプレイに取り付ける時に、ヘッドマウントディスプレイを装用した時の水平方向からの俯角が前記カメラレンズの光軸に設定され、且つ、該俯角は3°~10°の範囲内の値に固定されるよう配置されたカメラレンズ保持手段を更に備える、ヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロービジョンの患者の視覚を補助するヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ(以降、HMDとも称する。)は、視覚補助装置として使用される場合もある(例えば特許文献1の[0002])。特許文献1では、ユーザ毎の嗜好にあわせて好適な映像を提供するため、カメラの撮像角度を調節している(特許文献1の[0005])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-104036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
視覚補助装置として使用されるHMDにて採用されるカメラレンズは等倍標準レンズである。等倍標準レンズを使用することにより、撮像された画像内の物体は現実世界の物体の大きさと同等に見えるという利点がある。
【0005】
その一方、不利な点もある。例えば、標準レンズだと画角が比較的小さいため、装用者にとって見える範囲が自ずと比較的狭くなる。
【0006】
視野が狭まった状態に至っているロービジョンの患者にとっては、視野の周辺部分が見えづらいまたは見えない。ここでいう「ロービジョン」とは、視野内にて裸眼では見えにくい部分を有する状態を指す。この状態の一例を挙げると、視野の中央部分はある程度維持している一方で、視野の周辺部分が欠けている状態である。このロービジョンをもたらす具体的な症例としては、例えば、暗い場所だと極端に視力が低下する網膜色素変性症(いわゆる夜盲症)、緑内障(糖尿病に伴うもの含む)、ブドウ球菌網膜症等が挙げられる。
【0007】
そこで本発明の一実施例は、ロービジョンの患者に対し、裸眼では見えにくい部分の視野情報を補完する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために案出されたものである。
本発明の第1の態様は、
ロービジョンの患者の視覚を補助するヘッドマウントディスプレイであって、
装用者が見る方向をカメラレンズ越しに撮像する撮像手段と、
撮像手段により撮像された映像を装用者に対して表示する表示手段と、
を備え、
カメラレンズが広角レンズである、ヘッドマウントディスプレイである。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の態様であって、
シースルー機能を有する。
【0010】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載の態様であって、
ヘッドマウントディスプレイを装用した時の水平方向からのカメラレンズの光軸の俯角をθ、カメラレンズの画角をα、装用者の頭部の許容可能傾角をβとすると、以下の式を満たすよう俯角が設定される。
90-β-α/2<θ<α/2 ・・・(式1)
【0011】
本発明の第4の態様は、第1~第3のいずれかの態様に記載の態様であって、
カメラレンズ取付時に、ヘッドマウントディスプレイを装用した時の水平方向からの俯角がカメラレンズの光軸に設定され、且つ、該俯角は3°~10°の範囲内の値に固定されるよう配置されたカメラレンズ保持手段を更に備える。
【0012】
本発明の第5の態様は、第1~第4のいずれかの態様に記載の態様であって、
表示手段は、撮像された映像に存在する明るい部分の明るさが、予め設定された明暗範囲の上限を上回った場合、この明るい部分を暗くし、且つ、撮像された映像に存在する暗い部分の明るさが、明暗範囲の下限を下回った場合、この暗い部分を明るくする明暗調整機能を有する。
【0013】
本発明の第6の態様は、第1~第5のいずれかの態様に記載の態様であって、
広角レンズ越しに撮像された映像の周辺部分が中央部分の画質に近づくように補正する補正手段を更に備える。
【0014】
以下、本発明の別の態様を挙げる。下記の態様に対し、上記の各態様を適宜組み合わせても構わない。
【0015】
本発明の別の態様は以下のとおりである。
カメラレンズの画角および表示手段にて表示される映像のアスペクト比に応じ、ヘッドマウントディスプレイを装用した時の水平方向からの俯角がカメラレンズの光軸に設定される。
【0016】
アスペクト比は、横:縦が16:9~16:12である。
【0017】
カメラレンズの画角は100°~200°である。より好ましくは180°以下、更に好ましくは160°以下、特に好ましくは140°以下である。また、60°以上、100°以上も好ましい。
【0018】
ヘッドマウントディスプレイを装用した時の水平方向からのカメラレンズの光軸の俯角は好ましくは3~7°、より好ましくは4~6°、最も好ましくは5°である。
【0019】
カメラレンズは、各眼に対応する表示手段(光学部材)の中間位置であって装用者の鼻の上方に、前方向きで配置される。
【0020】
本発明の更に別の態様は以下のとおりである。
ロービジョンの患者を支援するヘッドマウントディスプレイであって、
装用者が見る方向をカメラレンズ越しに撮像する撮像手段と、
撮像手段により撮像された映像を装用者に対して表示する表示手段と、
を備え、
カメラレンズの画角および表示手段にて表示される映像のアスペクト比に応じ、ヘッドマウントディスプレイを装用した時の水平方向からの俯角がカメラレンズの光軸に設定された、ヘッドマウントディスプレイ。
【0021】
ロービジョンの患者の視覚を補助するヘッドマウントディスプレイであって、
装用者が見る方向をカメラレンズ越しに撮像する撮像手段と、
撮像手段により撮像された映像を装用者に対して表示する表示手段と、
を備え、
ヘッドマウントディスプレイを装用した時の水平方向からの俯角がカメラレンズの光軸に設定され、該俯角は3°~10°の範囲内の値に固定された、ヘッドマウントディスプレイ。
【0022】
ロービジョンの患者の視覚を補助するヘッドマウントディスプレイであって、
装用者が見る方向をカメラレンズ越しに撮像する撮像手段と、
撮像手段により撮像された映像を装用者に対して表示する表示手段と、
カメラレンズ取付時に、ヘッドマウントディスプレイを装用した時の水平方向からの俯角がカメラレンズの光軸に設定されるよう配置されたカメラレンズ保持手段と、
を備え、
カメラレンズ保持手段は、画角が異なる別のカメラレンズに付け替え可能な構成を有する、ヘッドマウントディスプレイ。
【0023】
ロービジョンの患者を支援するヘッドマウントディスプレイセットであって、
装用者が見る方向をカメラレンズ越しに撮像する撮像手段と、
撮像手段により撮像された映像を装用者に対して表示する表示手段と、
カメラレンズ取付時に、ヘッドマウントディスプレイを装用した時の水平方向からの俯角がカメラレンズの光軸に設定されるよう配置されたカメラレンズ保持手段と、
カメラレンズ保持手段に取付可能であって撮像手段に含まれるカメラレンズとは画角が異なる別のカメラレンズと、
を備える、ヘッドマウントディスプレイセット。
【0024】
ロービジョンの患者の視覚を補助するヘッドマウントディスプレイであって、
装用者が見る方向をカメラレンズ越しに撮像する撮像手段と、
撮像手段により撮像された映像を装用者に対して表示する表示手段と、
を備え、
表示手段は、撮像された映像に存在する明るい部分の明るさが、予め設定された明暗範囲の上限を上回った場合、この明るい部分を暗くし、且つ、撮像された映像に存在する暗い部分の明るさが、明暗範囲の下限を下回った場合、この暗い部分を明るくする明暗調整機能を有する、ヘッドマウントディスプレイ。
【0025】
ロービジョンの患者の視覚を補助するヘッドマウントディスプレイとしてヘッドマウントディスプレイを機能させるプログラムであって、
ヘッドマウントディスプレイは、
装用者が見る方向をカメラレンズ越しに撮像する撮像手段と、
撮像手段により撮像された映像を装用者に対して表示する表示手段と、
を備え、
撮像された映像に存在する明るい部分の明るさが、予め設定された明暗範囲の上限を上回った場合、この明るい部分を暗くし、且つ、撮像された映像に存在する暗い部分の明るさが、明暗範囲の下限を下回った場合、この暗い部分を明るくする明暗調整機能を表示手段に発揮させる、ヘッドマウントディスプレイ用プログラム。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施例によれば、ロービジョンの患者に対し、裸眼では見えにくい部分の視野情報を補完できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の一態様に係るHMDの上面斜視図である。
図2図2は、俯角をθ、カメラレンズの画角をα、装用者の頭部の許容可能傾角をβとしたときの概略図である。
図3図3は、装用者が横断歩道を見た際、本発明の一態様に係るHMDにおいて明くなった映像と外観とが重畳する前後の様子を示す映像である。
図4図4は、装用者がレストランでの机の上の料理を見た際、本発明の一態様に係るHMDにおいて明くなった映像と外観とが重畳した後の様子を示す映像である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一態様係るHMDについて述べる。HMDの基本原理については例えば特開2014-170094号公報(出願人:セイコーエプソン株式会社)に記載の構成を採用してよい。該公報に記載のHMDは、外界光と映像光とを重ねて表示させるシースルー機能を備える。本発明の一態様においてもこのシースルー機能を備えさせる。但し、該公報に記載のHMDは後述のカメラレンズではなく所定の映像を表示するものである。本明細書においてはカメラレンズに関して詳述する。
【0029】
また、公知のHMD(セイコーエプソン株式会社製のBT300)を採用してもよい。該HMDは後述のカメラレンズにて撮像された映像を表示手段(光学部材)に表示する点で本発明の一態様と一致する。なお、各眼に対応する表示手段(光学部材)の位置は、眼鏡でいうところの眼鏡レンズの位置に該当する。また、カメラレンズの位置が、各眼に対応する表示手段(光学部材)の中間位置であって装用者の鼻の上方前方に配置される点でも一致する。そのため、本明細書に記載のない内容は該HMDを参照することにより、本発明は実施可能である。
【0030】
また、本明細書における「~」は所定の値以上且つ所定の値以下を示す。
【0031】
[本発明の一態様に係るHMD]
図1は、本発明の一態様に係るHMDの上面斜視図である。
本発明の一態様に係るHMDは、ロービジョンの患者の視覚を補助するためのものである。具体的な構成は以下の通りである。
「ロービジョンの患者の視覚を補助するヘッドマウントディスプレイであって、
装用者が見る方向をカメラレンズ越しに撮像する撮像手段と、
撮像手段により撮像された映像を装用者に対して表示する表示手段と、
を備え、
カメラレンズが広角レンズである、ヘッドマウントディスプレイ。」
【0032】
本発明の課題の欄でも述べたように、ロービジョンの患者に対する視覚補助装置として使用されるHMDにて採用されるカメラレンズは等倍標準レンズであるのが通常であるところ、本発明の一態様ではこのカメラレンズを広角レンズへと変更している。
【0033】
広角レンズであるカメラレンズ越しに(カメラレンズを用いて、カメラレンズを介して)撮像された映像を装用者に表示するため、ロービジョンの装用者は、画角の大きな状態の映像を視認することにより、結果として、画角の大きな状態に相当する外観を視認できる。
【0034】
以上、本発明の一態様の構成により、ロービジョンの患者に対し、裸眼では見えにくい部分の視野情報(例えば周辺視野情報)を補完できる。
【0035】
[本発明の一態様に係るHMDの具体例および好適例]
広角レンズの画角としては、標準レンズの画角よりも大きければ特に限定は無い。具体的な数値としては、標準レンズを通して得た映像がHMD内のハーフミラー(後述)を介して得られる虚像の対角での画角が23°であることを鑑みると、23°を超え且つ200°以下が好ましい。以降、画角は対角での値であり、該虚像の画角のことを省略して「標準レンズの画角」「広角レンズの画角」ともいう。
【0036】
200°以下ならば、広角レンズに特有の映像の周辺部分の欠陥(ケラレ、歪み等)が過度に発生しないため好ましい。より好ましくは180°以下、更に好ましくは160°以下、特に好ましくは140°以下である。また、60°以上、100°以上も好ましい。
【0037】
なお、広角レンズの画角は、装用者の視野(例えば視野角および視野範囲の少なくともいずれか等)を基にして決定してもよい。
【0038】
ところで、カメラレンズとして広角レンズを採用する場合、大きな画角の映像は表示可能となるが、映像中の物体は、現実の物体よりも小さな寸法として表示される。ただ、その場合であっても、装用者の実際の手または足を映像に入り込ませることにより、装用者の脳内で、映像上の手または足と実際の手または足との間の関係を基に、映像上の物体の大きさと現実の物体の大きさとを較正できる。
【0039】
それに加え、本発明者の鋭意研究の結果、ロービジョンの患者のうち網膜色素変性症の患者が暗所視を行う場合、足元に特に注意することが明らかとなった。なお、本明細書における暗所視とは、完全な暗闇ではない状態且つ晴天の屋外よりも暗い状態を指す。以降、ロービジョンの患者のうち網膜色素変性症の患者がHMDの装用者になる場合を例示する。
【0040】
ところが、従来のHMDに搭載されたカメラレンズ越しだと自分のつま先を見るためには首を限界まで下に傾けなければならない、または首を限界を超えてまで下げても自分のつま先を見ることができないことがあるという知見が得られた。これは、HMD装用時にカメラレンズが装用者の網膜よりも物体側寄り(すなわち前方寄り)に配置されることにより、カメラレンズが装用者のつま先の直上に近づくことにも起因する。つまり、自分のつま先を見るためには首を直角近くまで下方に傾ける必要があることにも起因する。足元に注意するたびに、およびHMDの装用者が自分のつま先を見ることにより上記較正を行うたびに、無理な姿勢をとらざるを得ない、または見ることができないという知見が得られた。
【0041】
上記知見に基づいて本発明者が鋭意検討を行った結果、HMDを装用した時の水平方向からのカメラレンズの光軸を天地の地の方向に傾け、装用者が無理な姿勢をとらずに済むようにするという構成を、本発明者は想到した。言い方を変えると、HMDを装用した時の水平方向からのカメラレンズの光軸の俯角を設定するという構成を、本発明者は想到した。以降、特記無い限り、俯角とは、HMDを装用した時の水平方向からのカメラレンズの光軸の下方への傾きの角度のことを指す。
【0042】
この俯角の設定の具体例を以下に記載する。
【0043】
通常の広角レンズの画像ならば、例えば水平方向に140°の画角があるのならば垂直方向にも140°の画角がある。その一方、表示手段が表示する映像にアスペクト比(縦横比)が存在する場合、垂直方向の画角は水平方向に比べて減少する。垂直方向の画角の大小は、装用者がつま先を見るときに大きく影響する。だからこそ、カメラレンズの光軸の俯角を設定するのが好ましい。
【0044】
上記影響を考慮すると、広角レンズの画角および表示手段にて表示される映像のアスペクト比に応じ、HMDを装用した時の水平方向からのカメラレンズの光軸の俯角を設定するのが好ましい。なお、広角レンズの画角、映像のアスペクト比およびカメラレンズの光軸の俯角の具体的な関係式については本発明者が鋭意検討中である。
【0045】
更に言うと、広角レンズの画角と、カメラレンズからの映像(すなわちハーフミラーを介して得られる虚像)の表示可能の縦サイズとに応じ、HMDを装用した時の水平方向からのカメラレンズの光軸の俯角を設定するのも好ましい。虚像の表示可能の縦サイズとは、表示部材(光学部材)の縦サイズとも言い換えられるし、光学部材中のハーフミラーの縦サイズとも言い換えられる。
【0046】
また、本発明者の鋭意研究により、俯角は3°~10°(好ましくは3~7°、より好ましくは4~6°、最も好ましくは5°)に設定してもよいことが分かっている。
【0047】
なお、俯角は固定しても変動してもよいが、俯角の変動機構を盛り込むことによりHMD自体が重くなることを鑑みると、俯角を固定するのが好ましい。
【0048】
なお、映像のアスペクト比には特に限定は無いが、例えば横:縦が16:9~16:12の場合が例示される。
【0049】
図2は、俯角をθ、カメラレンズの画角をα、装用者の頭部の許容可能傾角をβとしたときの概略図である。
俯角の設定の別の具体例としては、図2に示す定義に従えば、以下の式を満たすよう俯角を設定するのが好ましい。
90-β-α/2<θ<α/2 ・・・(式1)
例えば、上記式1のように、カメラレンズの画角を基に俯角を決定してもよい。
なお、βを、70度~75度の範囲内の定数としてもよい。βを定数化(例えば75度と)して上記式1を変形して式2を得、この式2を満たすよう俯角を設定してもよい。
【0050】
撮像手段に関してであるが、カメラレンズは、公知のHMD(BT300)のように、各眼に対応する表示手段(光学部材)の中間位置であって装用者の鼻の上方に配置してもよい。その際のカメラレンズの光軸は、俯角を設けるにしても物体側の方向(前方向き)とする。
【0051】
カメラレンズのHMDへの取付手法には特に限定は無い。例えば、眼鏡でいうとフレームに相当する部分であって、各眼に対応する表示手段(光学部材)の中間位置且つ装用者の鼻の上方に、カメラレンズ保持手段を設けてもよい。
【0052】
このカメラレンズ保持手段には特に限定は無い。例えば、予め光軸の俯角が設定されるよう、雌ねじを、各眼に対応する表示手段の中間位置であって装用者の鼻の上方に配置してもよい。つまり、カメラレンズに形成された雄ねじを該雌ねじと係合させた際に、HMD装用時のカメラレンズの光軸が前方に向きつつも水平方向から(例えば5°)下向きになるよう、該雌ねじをHMDに形成してもよい。つまり、カメラレンズをカメラレンズ保持手段に嵌め込みさえすれば、自ずとカメラレンズの光軸の俯角は、固定された所定の角度となる。
【0053】
もちろんねじ以外の係合様式を採用しても構わない。例えば、カメラレンズに突起を設け、カメラレンズ保持手段に嵌合孔を設けても構わない。カメラレンズ保持手段によりカメラレンズを取り付けたときのカメラレンズに俯角を設定可能ならば、特に構成に限定は無い。
【0054】
各眼に対応する表示手段の中間位置以外の位置にカメラレンズを配置することは妨げない。ただ、その場合は、各眼に対応する表示手段の中間位置の前方を向く方向(内側方向)にカメラレンズの光軸を向けるのが好ましい。
【0055】
内側方向にカメラレンズの光軸を傾ける際、先ほど述べたような無限遠方ではなく、前方に現実に存在する物体の距離(例えば3m~8mの範囲内)を想定し、カメラレンズの光軸をどの程度傾けるのかを決定してもよい。また、この物体の距離を測定すべく、HMDに距離測定手段(いわゆる距離センサ)を設けても構わない。距離センサは、超音波または赤外線レーザを使用するセンサであってもよい。
【0056】
また、内側方向にカメラレンズの光軸を傾ける際、頭部の傾斜角を測定すべく、HMDに頭部傾斜角測定手段(例えば自重センサ)を設けても構わない。測定された頭部の傾斜角に基づき、どの程度の角度で内側方向にカメラレンズの光軸を傾けるのかを決定してもよい。
【0057】
撮像手段を複数設けても構わない。複数の撮像手段を切り替えることにより、前方に現実に存在する物体の距離の対応可能範囲を拡大できる。
【0058】
表示手段に関してであるが、公知のHMD(セイコーエプソン株式会社製のBT300)のように、シースルー機能を有するのが非常に好ましい。「シースルー機能」とは、表示手段(光学部材)が半透明ないし透明であり外界を確認可能なものを指す。このシースルー機能を有することにより、網膜色素変性症の装用者に閉塞感をもたらさずに済む。
【0059】
網膜色素変性症の患者は、暗闇でも視野がゼロにならない場合が多く、明瞭な視野が得られないにしても薄ぼんやりと何かが前方に存在することは把握できる場合もある。シースルー機能を有することにより、HMDを装用していない状態と同じ状態で前方を把握することができるため、安心感が増す。
【0060】
図3は、装用者が横断歩道を見た際、本発明の一態様に係るHMDにおいて明くなった映像と外観とが重畳する前後の様子を示す映像である。
図4は、装用者がレストランでの机の上の料理を見た際、本発明の一態様に係るHMDにおいて明くなった映像と外観とが重畳した後の様子を示す映像である。
【0061】
ちなみに、該映像の外観との重畳位置および重畳サイズを変更可能とする機能をHMDに搭載してもよい。また、複数の撮像手段を切り替えることにより、該映像が外観と重畳する位置を変更しても構わない。
【0062】
表示手段は、公知のHMD(セイコーエプソン株式会社製のBT300)のように、両眼各々に対して用意されたディスプレイであるのが好ましい。左右眼で状態が異なる場合であっても細かく対応することが可能となり、暗所視であっても外観を視認できるうえ、より快適な視野が得られる。但し、一つのディスプレイを採用することは妨げない。
【0063】
各眼に対応する表示手段が映像を表示するメカニズムは、先ほども挙げた特開2014-170094号公報に記載されたとおりである。概要を言うと、表示手段(光学部材)は半透明ないし透明であり、装用者は外界光を視認可能である。その一方、撮像手段により撮像された映像は、表示手段内の導光板を介して表示手段内を通過し、表示手段内に設けられたハーフミラーにより装用者の眼に対して反射させられる。
【0064】
なお、本発明の一態様においては、カメラレンズの光軸には俯角を設ける一方、撮像手段により撮像された映像がハーフミラーを介して装用者の眼に届く際の虚像の焦点距離は無限遠方に設定する。これはハーフミラーの配置を調整することにより実施可能である。
【0065】
表示手段は、撮像手段により撮像された映像を装用者に対して明るくして表示するのが好ましい。映像を明るくするメカニズムは、プロジェクタで使用するメカニズムと同様であるため記載を省略する。本発明の一態様ではCMOSセンサを採用する。このメカニズムにより、撮像手段により撮像された暗所での映像をカラー化することも可能となる。
【0066】
映像を明るくして表示する際の明るさの決定手法、すなわち測光方法および明るさ付加量決定方法は公知の手法を採用すればよい。但し、以降に説明する理由により、測光方法としては、アベレージ測光モードよりもスポット測光モードを採用するほうが好ましく、または、例えばコントローラにてスポット測光モードに切替可能な構成を採用するのが好ましい。なお、明るさの単位には特に限定は無いが、以降、ルクスを例示する。
【0067】
アベレージ測光モードとは、撮像された映像全体(詳しく言うと全画素)の明暗の明るさの平均値を算出し、この平均値を基にして映像全体に加える明るさを決定するというモードである。アベレージ測光モードの場合、明るさの平均値の算出根拠が映像全体なので、明るさの平均値は比較的低くなる。そうなると、映像全体に加える明るさが比較的高めに設定される。その結果、映像全体において暗い部分は明るく表示される一方で、既に明るい部分は過度に明るく表示されることにより外観を視認できないいわゆる白飛びが発生するおそれがある。そうなると、ロービジョンの患者のうち網膜色素変性症の患者がHMDを装用して暗所の外観を視認できるようにしようとしても、今度は映像が白一色になってしまい、結局、外観を視認できない状況となるおそれがある。
【0068】
その一方、スポット測光モードとは、撮像された映像の一部(例えば中央部分でありこれがスポットを指す)の明暗の明るさの平均値(部分平均値)を算出し、この部分平均値を基にして映像全体に加える明るさを決定するというモードである。スポット測光モードの場合、明るさの平均値の算出根拠が映像の一部である。予め装用者に対し、明るい部分が映像の中央部分に位置するよう頭の向きを指示してスポット測光モードを実行することにより、明るさの平均値は高くなる。そうなると、映像全体に加える明るさが低めに設定される。その結果、映像全体において暗い部分はほどほどに明るく表示される一方で、既に明るい部分は白飛びしない程度に明るさが加えられる。
【0069】
なお、スポット測光モードにおいてスポットの位置をコントローラにより切替可能としてもよい。例えば、スポットの位置を、撮像された映像の中央部分、または、映像の周辺部分(例えば四隅の少なくともいずれか)に切替可能としてもよい。
【0070】
また、明るさ付加量決定方法としては、以下の手法を採用するのが好ましい。以下の手法を採用することにより、白飛びの発生を抑制でき、適切な映像(虚像)を表示手段により表示可能となる。
【0071】
撮像された映像に存在する明るい部分の明るさが、予め設定された明暗範囲の上限を上回った場合、この明るい部分を暗くし、且つ、撮像された映像に存在する暗い部分の明るさが、明暗範囲の下限を下回った場合、この暗い部分を明るくする明暗調整機能を表示手段に発揮させるのが好ましい。
【0072】
明暗調整機能としては、例えば、撮像された映像に存在する明るい部分の明るさが、予め設定された明暗範囲の上限を上回った場合だと、該部分における明暗範囲の上限を超えた分の明るさはカットする機能であってもよい。逆に、撮像された映像に存在する暗い部分の明るさが、明暗範囲の下限を下回った場合だと、該部分における明るさが明暗範囲内に収まるように明るさの付加量を決定する機能であってもよい。
【0073】
健常者に比べ、ロービジョンの患者(特に網膜色素変性症の患者および周辺視野が欠損した緑内障の患者)は、視認可能な明暗範囲が狭い場合が多い。そのため、この明暗調整機能は本発明の一態様において有用である。
【0074】
広角レンズに特有の映像の周辺部分の欠陥を修正すべく、広角レンズ越しに撮像された映像の周辺部分が中央部分の画質に近づくように補正する補正手段を更に備えるのが好ましい。補正手段の具体的な構成としては公知のものを採用してもよく、例えば広角レンズを用いた監視カメラが撮像する映像の周辺部分の欠陥を修正する技術を採用しても構わない。また、補正手段を機能させるかどうかを以下のコントローラにより操作してもよい。
【0075】
また、補正手段が機能する状態を判別可能に表示しても構わない。例えば、撮像された映像が明るくなって表示手段に表示される際に、表示される映像(虚像)内に補正手段が機能していることを示す表示を設けても構わない。この表示としては、例えば、映像内の四隅を面取りするがごとく四隅にオレンジ色の三角形を設けても構わない。
【0076】
HMDの機能を制御するコントローラを用意するのが好ましい。このコントローラにより、撮像された映像の明るさや拡大倍率を変更可能とするのが好ましい。
【0077】
電源についてであるが、コントローラからHMDに電力を供給する構造を採用しても構わない。その際、コントローラのバッテリーは、フィルム包装様式ではなく乾電池様式(金属皮膜)であれば、バッテリーの破損のおそれを低減できるため好ましい。
【0078】
眼鏡を装用した状態でHMDを装着可能にすべく、装用者の顔とHMDの表示手段との間に眼鏡レンズが収まるスペースを確保可能な寸法の鼻パッドをHMDのフレームに設けてもよい。このスペースは、具体的には、鼻パッドが当接する装用者の鼻側方と表示手段との間の最短距離が20mm以上となるような鼻パッドをHMDに設けるのが好ましい。なお、眼鏡を装用しないロービジョンの患者が装用者になる場合、この鼻パッドはHMDのフレームから取り外してもよい。つまり、この鼻パッドは、HMDのフレームに対して着脱自在であってもよい。
【0079】
[本発明の一態様に係るHMDの変形例およびバリエーション]
本発明の一態様においては、カメラレンズの画角および表示手段にて表示される映像のアスペクト比に応じ、ヘッドマウントディスプレイを装用した時の水平方向からの俯角がカメラレンズの光軸に設定されることを好適例として述べた。その一方、カメラレンズとして広角レンズを採用するしない如何にかかわらず、この構成を採用することにより本発明の課題は解決される。その場合の構成は以下のとおりである。
「ロービジョンの患者の視覚を補助するヘッドマウントディスプレイであって、
装用者が見る方向をカメラレンズ越しに撮像する撮像手段と、
撮像手段により撮像された映像を装用者に対して表示する表示手段と、
を備え、
カメラレンズの画角および表示手段にて表示される映像のアスペクト比に応じ、ヘッドマウントディスプレイを装用した時の水平方向からの俯角がカメラレンズの光軸に設定された、ヘッドマウントディスプレイ。」
【0080】
本発明の一態様においては、ヘッドマウントディスプレイを装用した時の水平方向からの俯角がカメラレンズの光軸に設定され、該俯角は3°~10°の範囲内の値に固定されることを好適例として述べた。その一方、カメラレンズとして広角レンズを採用するしない如何にかかわらず、この構成を採用することにより本発明の課題は解決される。その場合の構成は以下のとおりである。
「ロービジョンの患者の視覚を補助するヘッドマウントディスプレイであって、
装用者が見る方向をカメラレンズ越しに撮像する撮像手段と、
撮像手段により撮像された映像を装用者に対して表示する表示手段と、
を備え、
ヘッドマウントディスプレイを装用した時の水平方向からの俯角がカメラレンズの光軸に設定され、該俯角は3°~10°の範囲内の値に固定された、ヘッドマウントディスプレイ。」
【0081】
本発明の一態様においては、カメラレンズとして広角レンズを採用する場合について述べた。その一方、標準レンズであってもカメラレンズの光軸の俯角を適切に設定することにより、網膜色素変性症の装用者が、暗所視であっても視野が得られることに変わりはない。しかも、この俯角としては例えば5°に設定することにより、網膜色素変性症の装用者が、暗所視であっても無理な姿勢をとることなく視野が得られるという課題が解決されることを本発明者は確認している。更に、その課題の解決は、カメラレンズが広角レンズであっても標準レンズであっても可能である。その場合の構成は以下のとおりである。
「ロービジョンの患者の視覚を補助するヘッドマウントディスプレイであって、
装用者が見る方向をカメラレンズ越しに撮像する撮像手段と、
撮像手段により撮像された映像を装用者に対して表示する表示手段と、
カメラレンズ取付時に、ヘッドマウントディスプレイを装用した時の水平方向からの俯角がカメラレンズの光軸に設定されるよう配置されたカメラレンズ保持手段と、
を備え、
カメラレンズ保持手段は、画角が異なる別のカメラレンズに付け替え可能な構成を有する、ヘッドマウントディスプレイ。」
【0082】
この「付け替え可能な構成」としては、先の述べたカメラレンズ保持手段を採用すればよい。なお、広角レンズの雄ねじと標準レンズの雄ねじの形状を同一とすることにより、雌ねじにアダプタを設けずとも済むため好ましい。
【0083】
また、標準レンズを広角レンズに付け替えた場合、カメラレンズにより得られる映像すなわちハーフミラーを介して得られる虚像は、現実よりも縮小された大きさになっている。そこで、カメラレンズを付け替える際に、カメラレンズの画角に応じて映像の拡縮処理に代表される補正処理の内容を変更、または補正処理の有無を変更してもよい。一例としては、広角レンズにより縮小された映像(虚像)を等倍へと拡大する補正を行うような機能をHMDに搭載するのも好ましい。この機能により、シースルー機能にて視認される実像と、広角レンズにより得られる映像(虚像)との乖離が解消される。
【0084】
なお、この機能は上記補正手段にて発揮させてもよい。また、この機能を発揮させるために、上記コントローラまたはHMD本体に補正機能のオン/オフのスイッチを設けても構わない。
【0085】
なお、上記「付け替え可能な構成」を採用する場合、HMDと、撮像手段の取り付け可能であって画角が互いに異なる複数のカメラレンズとのセットを使用することにより、網膜色素変性症の装用者が、暗所視であっても無理な姿勢をとることなく視野が得られるという課題が解決される。更に、その課題の解決は、カメラレンズが広角レンズであっても標準レンズであっても可能である。その場合の構成は以下のとおりである。
「ロービジョンの患者の視覚を補助するヘッドマウントディスプレイセットであって、
装用者が見る方向をカメラレンズ越しに撮像する撮像手段と、
撮像手段により撮像された映像を装用者に対して表示する表示手段と、
カメラレンズ取付時に、ヘッドマウントディスプレイを装用した時の水平方向からの俯角がカメラレンズの光軸に設定されるよう配置されたカメラレンズ保持手段と、
カメラレンズ保持手段に取付可能であって撮像手段に含まれるカメラレンズとは画角が異なる別のカメラレンズと、
を備える、ヘッドマウントディスプレイセット。」
【0086】
本発明の一態様においては、撮像された映像に存在する明るい部分の明るさが、予め設定された明暗範囲の上限を上回った場合、この明るい部分を暗くし、且つ、撮像された映像に存在する暗い部分の明るさが、明暗範囲の下限を下回った場合、この暗い部分を明るくする明暗調整機能を表示手段に発揮させる場合について述べた。その一方、この構成により、カメラレンズが広角レンズであっても標準レンズであっても、白飛びの発生を抑制でき、適切な映像(虚像)を表示手段により表示するという課題が解決される。その場合の構成は以下のとおりである。
「ロービジョンの患者の視覚を補助するヘッドマウントディスプレイであって、
装用者が見る方向をカメラレンズ越しに撮像する撮像手段と、
撮像手段により撮像された映像を装用者に対して表示する表示手段と、
を備え、
表示手段は、撮像された映像に存在する明るい部分の明るさが、予め設定された明暗範囲の上限を上回った場合、この明るい部分を暗くし、且つ、撮像された映像に存在する暗い部分の明るさが、明暗範囲の下限を下回った場合、この暗い部分を明るくする明暗調整機能を有する、ヘッドマウントディスプレイ。」
【0087】
また上記構成はプログラムとしても特徴がある。その場合の構成は以下のとおりである。
「ロービジョンの患者の視覚を補助するヘッドマウントディスプレイとしてヘッドマウントディスプレイを機能させるプログラムであって、
ヘッドマウントディスプレイは、
装用者が見る方向をカメラレンズ越しに撮像する撮像手段と、
撮像手段により撮像された映像を装用者に対して表示する表示手段と、
を備え、
撮像された映像に存在する明るい部分の明るさが、予め設定された明暗範囲の上限を上回った場合、この明るい部分を暗くし、且つ、撮像された映像に存在する暗い部分の明るさが、明暗範囲の下限を下回った場合、この暗い部分を明るくする明暗調整機能を表示手段に発揮させる、ヘッドマウントディスプレイ用プログラム。」
図1
図2
図3
図4