(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】施解錠装置、並びに、ハンドル部材
(51)【国際特許分類】
E05B 1/00 20060101AFI20230320BHJP
E05B 63/16 20060101ALI20230320BHJP
E05B 65/06 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
E05B1/00 311F
E05B63/16
E05B65/06 G
(21)【出願番号】P 2019122170
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000147442
【氏名又は名称】株式会社WEST inx
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】西 康雄
(72)【発明者】
【氏名】筒井 亮
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-67542(JP,A)
【文献】特開2009-243259(JP,A)
【文献】特開2002-115466(JP,A)
【文献】米国特許第7849718(US,B2)
【文献】実開昭63-3774(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸の片側に取り付けられる第一操作手段及び第二操作手段と、前記第一操作手段と前記第二操作手段のいずれを操作しても施錠状態と解錠状態が切り替わる錠部材とを備えた施解錠装置において、
前記戸に取り付けられ、使用者が把持する把持部材をさらに有し、
前記第一操作手段と前記第二操作手段を連動させる動力伝達部材を有し、前記動力伝達部材が、前記把持部材の内部に配されていることを特徴とする施解錠装置。
【請求項2】
前記把持部材は、上下方向に延びており、前記動力伝達部材は、前記把持部材の内部で上下方向に移動するものであることを特徴とする請求項1に記載の施解錠装置。
【請求項3】
前記第一操作手段に操作に応じて上下方向に移動する第一摺動子と、前記第二操作手段に操作に応じて上下方向に移動する第二摺動子とを備え、
前記動力伝達部材は、一端側が前記第一摺動子と連結され、他端側が前記第二摺動子と連結された棒状体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の施解錠装置。
【請求項4】
戸の他方側に取り付けられ、外部の鍵部材による操作を受け付ける他方側操作手段を有し、
前記第一操作手段と一の前記他方側操作手段とが前記錠部材を介して連動し、
前記第二操作手段と他の前記他方側操作手段とが連結部材によって錠を介さずに連動するものであり、
前記第一操作手段と一の前記他方側操作手段のそれぞれを操作して生じる動力が前記動力伝達部材を介さずに前記錠部材に伝達され、且つ、前記第二操作手段と他の前記他方側操作手段のそれぞれを操作して生じる動力が前記動力伝達部材を介して前記錠部材に伝達されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の施解錠装置。
【請求項5】
前記動力伝達部材は、前記把持部材の内部で上下方向に移動するものであり、
前記動力伝達部材の移動時の姿勢を維持する姿勢維持部材を備え、
前記姿勢維持部材は、前記動力伝達部材に取り付けられ、前記把持部材に内側から接触することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の施解錠装置。
【請求項6】
戸に取り付けて使用するハンドル部材であって、
使用者が把持する把持部材と、外部の錠部材の施錠状態と解錠状態を切り替える操作を受け付ける第一操作手段及び第二操作手段を備え、
前記第一操作手段と前記第二操作手段を連動させる動力伝達部材を有し、前記動力伝達部材が、前記把持部材の内部に配されているハンドル部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸を施解錠する施解錠装置に関するものであり、戸に取り付けられるハンドル部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防犯を目的として、一つの扉に二つの錠を取り付けたワンドアツーロックと呼ばれる構造が広く知られている。例えば、特許文献1には、室外側の上下離れた位置に一つずつ2つのシリンダー錠が設けられ、室内側の上下離れた位置に一つずつ2つのサムターンが設けられた扉錠が開示されている。
【0003】
具体的に説明すると、特許文献1の扉錠では、1つのシリンダー錠と1つのサムターンの間に1つの箱錠が設けられて形成されるユニットが、上下離れた位置にそれぞれ設けられている。また、上下方向で離れた位置にある2つの箱錠は、いずれもデッドボルトを出退させることで、施錠状態と解錠状態とを切り替えるものとなっている。
【0004】
そして、特許文献1の扉錠は、上下のサムターンを連動させる連動機構を有している。このことにより、室内側から1つのサムターンを操作すると、二つのデッドボルトが同時に出退し、2つの箱錠の施錠状態と解錠状態が同時に切り替わる。
これに対し、室外側から1つのシリンダー錠に対して施解錠操作を行うと、操作が行われたシリンダー錠の奥にある一つの箱錠の施錠状態と解錠状態が切り替わり、もう一方の箱錠の施錠状態と解錠状態は切り替わらない。
【0005】
つまり、特許文献1の扉錠は、室内側から施解錠操作を行う際には、1つのサムターンを操作するだけで2つの箱錠の施解錠が可能な構造となっている。その一方で、室外側から施解錠操作を行う場合、それぞれのシリンダー錠に対して個別に施解錠操作を実施し、それぞれの箱錠の施解錠を行う構造となっている。
【0006】
また、特許文献2には、健常者と車椅子使用者のいずれもが操作できるように、折れ戸の上下離れた位置にそれぞれハンドルを設けた扉が開示されている。
つまり、特許文献2に開示された扉は、施解錠装置として、上方ハンドルと、ラッチが出退するラッチケースと、下方ハンドルと、上下のハンドルを連結する連結部材を有している。そして、上側のハンドルと、下側のハンドルのいずれを操作したときにも扉のラッチが解除され、扉を開くことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4956258号公報
【文献】特開2015-105531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、健常者と車椅子使用者が共用可能な扉は、新築の際に製造する他、既存の健常者用の扉を改修して設ける場合がある。すなわち、家族の誰かが何らかの理由で車椅子利用者となった場合のように、既存の扉に後付けで、健常者と車椅子使用者が共用可能な施解錠装置を設ける場合がある。
【0009】
ここで、上記した特許文献1,2に開示された扉は、いずれも上下の操作を連動させる連動機構(連結部材)がいずれも戸板の内部に設けられている。このような構造では、戸板の内部に連動機構を配置するためのスペースを確保する必要があり、施解錠装置を後付けする際、戸板に大きな孔や窪みを形成する必要があった。このことから、戸板の改修が大掛かりとなり、手間となる。また、戸板を新しいものに交換するという方法も考えられるが、コストがかかるという問題がある。
したがって、より容易に戸板(既存の戸板)への取り付けが可能な施解錠装置が望まれていた。
【0010】
そこで本発明は、離れた位置に設けられた操作手段のいずれを操作しても施解錠が可能であり、戸への取り付けが容易な施解錠装置、並びに、ハンドル部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、戸の片側に取り付けられる第一操作手段及び第二操作手段と、前記第一操作手段と前記第二操作手段のいずれを操作しても施錠状態と解錠状態が切り替わる錠部材とを備えた施解錠装置において、前記戸に取り付けられ、使用者が把持する把持部材をさらに有し、前記第一操作手段と前記第二操作手段を連動させる動力伝達部材を有し、前記動力伝達部材が、前記把持部材の内部に配されていることを特徴とする施解錠装置である。
【0012】
本発明の施解錠装置は、動力伝達部材を把持部材の内部に配するので、戸板に大きな孔や窪みを形成することなく、戸への取り付けが可能である。また、使用者が戸の開閉時に把持する把持部材に動力伝達部材を収容するため、動力伝達部材を収容する部材を戸板の外側に別途設ける必要がなく、すっきりした外観の戸を形成できる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記把持部材は、上下方向に延びており、前記動力伝達部材は、前記把持部材の内部で上下方向に移動するものであることを特徴とする請求項1に記載の施解錠装置である。
【0014】
かかる構成では、把持部材が上下方向に延びており、健常者と車椅子使用者が共用する戸に好適に採用できる。また、把持部材の延び方向と動力伝達部材の移動方向が同方向であり、動力伝達部材の移動代の確保のために把持部材を必要以上に大きくする必要がなく、好ましい。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記第一操作手段に操作に応じて上下方向に移動する第一摺動子と、前記第二操作手段に操作に応じて上下方向に移動する第二摺動子とを備え、前記動力伝達部材は、一端側が前記第一摺動子と連結され、他端側が前記第二摺動子と連結された棒状体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の施解錠装置である。
【0016】
かかる構成によると、単純な構造で動力の伝達が可能であり、施解錠装置を安価に製造できる。また、動力伝達部材が棒状体であり、複雑な形状とした場合に比べ、強度を高くすることができる。
【0017】
本発明は、戸の他方側に取り付けられ、外部の鍵部材による操作を受け付ける他方側操作手段を有し、前記第一操作手段と一の前記他方側操作手段とが前記錠部材を介して連動し、前記第二操作手段と他の前記他方側操作手段とが連結部材によって錠を介さずに連動するものであり、前記第一操作手段と一の前記他方側操作手段のそれぞれを操作して生じる動力が前記動力伝達部材を介さずに前記錠部材に伝達され、且つ、前記第二操作手段と他の前記他方側操作手段のそれぞれを操作して生じる動力が前記動力伝達部材を介して前記錠部材に伝達されることが好ましい(請求項4)。
【0018】
請求項5に記載の発明は、前記動力伝達部材は、前記把持部材の内部で上下方向に移動するものであり、前記動力伝達部材の移動時の姿勢を維持する姿勢維持部材を備え、前記姿勢維持部材は、前記動力伝達部材に取り付けられ、前記把持部材に内側から接触することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の施解錠装置である。
【0019】
かかる構成によると、動力伝達部材の意図しない姿勢変更を防止可能であり、動力をより適切に伝達できる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、戸に取り付けて使用するハンドル部材であって、使用者が把持する把持部材と、外部の錠部材の施錠状態と解錠状態を切り替える操作を受け付ける第一操作手段及び第二操作手段を備え、前記第一操作手段と前記第二操作手段を連動させる動力伝達部材を有し、前記動力伝達部材が、前記把持部材の内部に配されているハンドル部材である。
【0021】
本発明のハンドル部材もまた、戸板に大きな孔や窪みを形成することなく、戸への取り付けが可能である。また、戸板の外側において、動力伝達部材を収容する部材をハンドル部材の他に別途設ける必要がなく、すっきりした外観の戸を形成できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、離れた位置に設けられた操作手段のいずれを操作しても施解錠が可能であり、戸への取り付けが容易な施解錠装置、並びに、ハンドル部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る錠付き戸を示す斜視図であり、(a)は、戸本体の一方側から見た様子を示し、(b)は、戸本体の他方側から見た様子を示す。
【
図3】
図1の錠付き戸を示す一部破断斜視図であり、第一ハンドル部材及び第二ハンドル部材の下側部分の周辺を示す。
【
図4】
図3の第一ハンドル部材及び第二ハンドル部材の下側部分に収容された内部部材を示す分解斜視図である。
【
図7】
図4の連動部材を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)の分解斜視図、(c)は(b)を別方向からみた分解斜視図である。
【
図8】
図4の下側操作部と第二シリンダー錠とを連結部材を介して連結させた様子を示す断面図であり、一部を拡大して示す。
【
図9】
図2のケース取付用部材を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【
図10】
図1の錠付き戸を示す一部破断斜視図であり、第一ハンドル部材及び第二ハンドル部材の上側部分の周辺を示す。
【
図11】
図10の錠付き戸において、第一ハンドル部材及び第二ハンドル部材の上側部分の周辺に収容された内部部材を示す分解斜視図である。
【
図12】(a)は、
図1の第一ハンドル部材のハンドル本体の周辺を示す一部破断斜視図であり、(b)は、(a)のA-A断面図である。
【
図13】
図1の第一ハンドル部材を操作する様子を示す説明図であり、第二操作片を上方へ移動させる様子を示す図であって、一部を拡大して示す。
【
図14】
図13の状態における第一ハンドル部材の内部の主要部を示す説明図であり、一部を拡大して示す。
【
図15】本発明の第二実施形態に係る錠付き戸を示す斜視図であり、(a)は、戸本体の一方側から見た様子を示し、(b)は、戸本体の他方側から見た様子を示す。
【
図16】
図15の錠付き戸を示す一部破断斜視図であり、第一ハンドル部材及び第二ハンドル部材の下側部分の周辺を示す。
【
図17】
図16の第一ハンドル部材及び第二ハンドル部材の下側部分に収容された内部部材を示す分解斜視図である。
【
図18】
図17の下側操作部を示す分解斜視図であり、(a)、(b)はそれぞれ異なる方向からみた様子を示す。
【
図19】
図16の第二操作片に下側回転子を固定する様子を示す図であり、(a)は固定前の分解斜視図、(b)は固定後の断面図である。
【
図20】
図17の連結部材を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)の分解斜視図、(c)は(b)を別方向からみた分解斜視図である。
【
図21】
図15の錠付き戸を示す一部破断斜視図であり、第一ハンドル部材及び第二ハンドル部材の上側部分の周辺を示す。
【
図22】
図21の錠付き戸において、第一ハンドル部材及び第二ハンドル部材の上側部分の周辺に収容された内部部材を示す分解斜視図である。
【
図23】
図15の第一ハンドル部材を操作する様子を示す説明図であり、第二操作片を回転させる様子を示す図であって、一部を拡大して示す。
【
図24】
図23の状態における第一ハンドル部材の内部の主要部を示す説明図であり、一部を拡大して示す。
【
図25】本発明の第三実施形態に係る錠付き戸を示す斜視図であり、(a)は、戸本体の一方側から見た様子を示し、(b)は、戸本体の他方側から見た様子を示す。
【
図26】
図25で示される第一ハンドル部材を示す斜視図であり、(a)は錠部材が施錠状態であるときの第一操作片及び第二操作片の状態を示し、(b)は錠部材が解錠状態であるときの第一操作片及び第二操作片の状態を示す。
【
図27】
図25の錠付き戸を示す一部破断斜視図であり、第一ハンドル部材及び第二ハンドル部材の下側部分の周辺を示す。
【
図28】
図25のケース部材及び第二操作片を示す斜視図である。
【
図29】
図28のケース部材を後方側からみた様子を示す一部破断斜視図であり、(a)、(b)は、それぞれ異なる方向からみた様子を示す。
【
図31】
図28の第二操作片を示す図であって、(a)は後方側からみた一部破断斜視図であり、(b)は背面図である。
【
図32】
図27の第一ハンドル部材及び第二ハンドル部材の下側部分に収容された内部部材を示す分解斜視図である。
【
図34】
図27のケース部材の内部に下側摺動子と、下側補助摺動子と、下側回転子を配し、下側補助摺動子と第二操作片を固定する様子を示す説明図である。
【
図35】
図27のケース部材の内部に下側摺動子と、下側補助摺動子と、下側回転子を配した状態を示す背面図である。
【
図36】
図25の錠付き戸を示す一部破断斜視図であり、第一ハンドル部材及び第二ハンドル部材の上側部分の周辺を示す。
【
図37】
図36の錠付き戸において、第一ハンドル部材及び第二ハンドル部材の上側部分の周辺に収容された内部部材を示す分解斜視図である。
【
図38】
図15の第一ハンドル部材を操作する様子を示す説明図であり、第二操作片をスライド移動させる様子を示す図であって、一部を拡大して示す。
【
図39】
図38の状態における第一ハンドル部材の内部の主要部を示す説明図であり、一部を拡大して示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の第一実施形態に係る錠付き戸1について、図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、上下方向については、
図1の状態を基準として説明する。
【0025】
錠付き戸1は、
図1で示されるように、戸本体2(戸)に対して第一ハンドル部材3(ハンドル部材)、第二ハンドル部材4、錠部材5によって構成される施解錠装置6を取り付けて形成されている。
【0026】
戸本体2は、空間を内外に区切る板状部材である。
戸本体2には、
図2で示されるように、箱錠取付孔10と、上側取付用孔11a,11bと、上側連結用孔12と、下側取付用孔13a,13bと、下側連結用孔14が設けられている。
【0027】
箱錠取付孔10は、戸本体2の端面に開口を有し、錠部材5を収容する孔である。
上側取付用孔11a,11bは、戸本体2を厚さ方向に貫通する孔である。すなわち、戸本体2の一主面側となる片側(
図2手前側)と、他の主面側となる他方側(
図2の奥側であり
図2では図示しない)に開口を有する孔である。
【0028】
上側連結用孔12は、戸本体2を厚さ方向に貫通する孔であり、箱錠取付孔10を経由して延びている。すなわち、戸本体2の一主面から箱錠取付孔10まで延びる部分と、箱錠取付孔10から戸本体2の他主面まで延びる部分とを有し、これらの間に箱錠取付孔10が位置する。
【0029】
下側取付用孔13a,13bと下側連結用孔14は、それぞれ戸本体2を厚さ方向に貫通する孔であり、戸本体2の一主面側と他の主面側のそれぞれに開口を有する。
【0030】
第一ハンドル部材3は、上側取付座20と、ハンドル本体21(把持部材)と、下側取付座22とを有している。
上側取付座20は、第一操作片25(第一操作手段)を有しており、下側取付座22は、第二操作片26(第二操作手段)を有している。これら第一操作片25、第二操作片26は、それぞれ上側取付座20、下側取付座22の内外に亘って設けられている。そして、本実施形態の錠付き戸1では、第一操作片25、第二操作片26の外部に露出する部分を操作することで、錠部材5の施錠状態と解錠状態が切り替わる(詳しくは後述する)。
【0031】
第二ハンドル部材4もまた、上側取付座30と、ハンドル本体31と、下側取付座32とを有している。
上側取付座30は、
図1(a)で示されるように、第一シリンダー錠35(他方側操作手段)を有しており、下側取付座22は、第二シリンダー錠36(他方側操作手段)を有している。本実施形態の錠付き戸1は、これら第一シリンダー錠35、第二シリンダー錠36に対して外部の鍵部材(図示しない)を挿入し、捻る操作をすることでも、錠部材5の施錠状態と解錠状態が切り替わる(詳しくは後述する)。
【0032】
続いて、第一ハンドル部材3、第二ハンドル部材4の内部構造について説明する。
第一ハンドル部材3の下側取付座22は、
図3で示されるように、ケース部材40の内部に下側操作部41を収容して形成されている。
【0033】
下側取付座22のケース部材40は、戸本体2側に開口を有する箱部材であり、内部空間の一部が下側操作部41を収容する操作機構収容部43となっている。また、ケース部材40の上側部分であり、戸本体2側から離れた位置にハンドル挿入部44が設けられている。
【0034】
ハンドル挿入部44は、ケース部材40の天面に開口を有し、下方側へ窪んだ凹部であって、ハンドル本体21の下端部分が挿入される部分である。そして、ハンドル挿入部44の底部分には、ハンドル挿入部44の内部と操作機構収容部43を連通する連通孔部45が設けられている。
【0035】
また、操作機構収容部43には、回転受部46が設けられている。回転受部46は、戸本体2側に開口を有し、戸本体2から離れる方向に延びる凹部である。
【0036】
さらにケース部材40には、内部(操作機構収容部43)と外部を連通する操作片挿入孔47が設けられている。操作片挿入孔47は、上下方向に延びる長孔であり、第二操作片26が挿入される孔である。すなわち、第二操作片26は、一部が操作片挿入孔47の内側に配された状態で、上下方向に移動可能となっている。
【0037】
下側操作部41は、
図4で示されるように、第二操作片26と、第二操作片26と一体に固定された下側摺動子50(第二摺動子)と、下側回転子51と、固定板部52と、連結筒部53とを有している。
【0038】
第二操作片26は、
図5で示されるように、略直方体状の突起部分である。
下側摺動子50は、立板状の本体部50aと、本体部50aの上側部分から上方外側に突出する取付筒部50bとが一体に形成された部材である。
本体部50aは、厚さ方向と直交する方向に幅を持ち、上下方向に延びる板状部材である。この本体部50aには、係合孔部60と、取付凹部61が形成されている。
【0039】
係合孔部60は、本体部50aを厚さ方向に貫通する貫通孔である。この係合孔部60の内周面は、上下方向に延びる2つの側壁部60aを有しており、それぞれの側壁部60aには、鋸歯状の歯列が形成されている。これら2つの側壁部60aは、本体部50aの幅方向で離間対向するように形成されている。
【0040】
取付凹部61は、本体部50aの一主面(外側面であり、
図5では手前側の面)に形成された窪み部分であり、第二操作片26の一部が挿入される部分である。
すなわち、第二操作片26の一部を取付凹部61に挿入し、本体部50aの他の主面(内側面)側からネジ止めすることで、第二操作片26と下側摺動子50を一体に固定している(図示しない)。
【0041】
取付筒部50bは、略有底円筒状の部分であり、天面に開口を有して下側に窪む中孔を有する。この取付筒部50bは、動力伝達部材135(詳しくは後述する)を固定するための部分であり、動力伝達部材135の下端部分を中孔に挿入し、ネジ止めすることで取付筒部50bと動力伝達部材135が一体に固定される。
【0042】
下側回転子51は、
図5で示されるように、水平方向成分を含む方向に延びる軸状の部材であり、長手方向の一端側から、小径部65、摺動子係合部66、フランジ部67、大径部68と、連結部材係合部69が順に形成され、これらが一体となった部材である。
【0043】
小径部65は、横長の略円柱状の部分であり、下側回転子51の長手方向における片側端部に位置する。
【0044】
摺動子係合部66は、下側摺動子50の係合孔部60と互いに係合する部分であり、円弧状に並列する鋸歯状の歯列を有する。すなわち、摺動子係合部66は、横長の略円柱状の部分と、この円柱状の部分の外周面の一部に形成される歯列を有する。
そして、この摺動子係合部66に形成された歯列は、係合孔部60の側壁部60aに形成された歯列と噛合可能な部分となっている(
図4参照)。
【0045】
フランジ部67は、略円板状の部分であり、隣接する大径部68のよりも径方向長さが長い部分である。
大径部68は、横長の略円柱状の部分であり、小径部65よりも径方向長さが長い(太い)部分である。
連結部材係合部69は、横長で細い略円柱状の部分の端面及び外周面に突起を形成して形成される部分である。
【0046】
固定板部52は、縦長の略長方形立板状の部分である。この固定板部52には、下側回転子51を挿通する軸挿通孔52aが設けられている。この軸挿通孔52aの径(最小径)は、下側回転子51の大径部68を挿通可能であり、フランジ部67を挿通できない大きさとなっている。
【0047】
連結筒部53は、水平方向に延びる略円筒状の部分であり、一端側に取り付け用のフランジ部53aを有する。
【0048】
そして、下側操作部41では、
図4で示されるように、固定板部52の外側(
図4では手前側)に下側摺動子50が配される。このとき、下側摺動子50の係合孔部60に下側回転子51が挿通され、摺動子係合部66が係合孔部60の内側に配された状態となる。
対して、
図4、
図6で示されるように、固定板部52の内側(
図4では奥側、
図6では左側)から連結筒部53が接触した状態で、ネジ等の締結要素により固定板部52と連結筒部53とが一体に固定される(
図4、
図6では締結要素を図示しない)。
【0049】
このとき、
図6で示されるように、下側回転子51の一部が固定板部52の軸挿通孔52aに挿通され、下側回転子51の長手方向の一端側部分が、連結筒部53の内孔に挿入された状態となる。すなわち、大径部68と連結部材係合部69とが連結筒部53の内部に位置した状態となる。
【0050】
また、
図3で示されるように、下側操作部41は、回転受部46に下側回転子51の小径部65が挿入され、ケース部材40に固定板部52が固定された状態で取り付けられる。このことにより、下側回転子51が周方向に回転可能な状態で、ケース部材40の内部に支持される。
そして、下側摺動子50が上下方向に移動すると、それに伴って下側回転子51が周方向に回転する。また逆に、下側回転子51が周方向に回転することで、下側摺動子50が上下方向に移動する。
【0051】
第二ハンドル部材4の下側取付座32は、
図3で示されるように、ケース部材75の内部に第二シリンダー錠36を収容して形成されている。この第二シリンダー錠36は、鍵の挿入口が外部に露出した状態で取り付けられている(
図1(a)参照)。
このケース部材75もまた、戸本体2側に開口を有する箱部材であり、内部空間の一部が第二シリンダー錠36を収容するシリンダー収容部76となっている。そして、ケース部材75の上側部分であり、戸本体2側から離れた位置にハンドル挿入部77が設けられている。このハンドル挿入部77は、ケース部材75の天面に開口を有し、下方側へ窪んだ凹部であって、ハンドル本体31の下端部分が挿入される部分である。
【0052】
ここで、第一ハンドル部材3の下側操作部41と、第二ハンドル部材4の第二シリンダー錠36は、棒状の連結部材80(
図4等参照)を介して連結されている。
このことから、第二シリンダー錠36に鍵等が挿入され、捻る動作がされると、第二シリンダー錠36の施錠状態と解錠状態が切り替わると共に、連結部材80が周方向に回転し、結果、下側操作部41の下側回転子51が回転する。
反対に、下側操作部41の下側回転子51が回転すると、連結部材80が周方向に回転し、第二シリンダー錠36の施錠状態と解錠状態が切り替わる。
【0053】
連結部材80は、
図4、
図7(a)で示されるように、第一構成片85と、継手部材86と、第二構成片87とを有する。
【0054】
第一構成片85は、横長の略円柱状の部材であり、
図7(b)、
図7(c)で示されるように、長手方向の一端側が比較的径の大きな大径部分85aとなっており、他方側が径の小さな小径部分85bとなっている。小径部分85bには、外周面の周方向に連続する掛止溝部92が設けられている。
【0055】
第一構成片85の長手方向の一端側の端面には、下側操作部41の連結部材係合部69(
図6、
図8参照)と互いに係合可能な片側係合部90が設けられている。対して、長手方向の他端側の端面には、継手部材86の係合孔部95(
図7(c)参照)と係合可能な他方側係合部91が設けられている。
片側係合部90は、第一構成片85の長手方向に沿って延びる孔であり、他方側係合部91は、横長の略円柱状の部分から一部が欠落した形状となる突起部分である。
【0056】
継手部材86は、横長の略円筒状となる本体部分86aと、本体部分86aの端面から外側へ突出する爪部86bを有する。
本体部分86aは、
図7(c)で示されるように、中孔となる係合孔部95を有する。係合孔部95の断面形状は、他方側係合部91の断面形状と略同形であり、係合孔部95は、他方側係合部91が略丁度嵌まり込む孔となっている。また、爪部86bは、上記した掛止溝部92に対して掛止可能な部分となっている。
【0057】
第二構成片87もまた、横長の略円柱状の部材であり、
図7(b)、
図7(c)で示されるように、長手方向の一端側が比較的径の大きな大径部分87aとなっており、他方側が径の小さな小径部分87bとなっている。
第二構成片87の長手方向の一端側の端面には、第二シリンダー錠36の一部である突起部分36a(
図8参照)と係合可能な片側係合部98(
図7(c)参照)が設けられている。対して、長手方向の他端側の端面には、継手部材86の係合孔部95(
図7(c)参照)と係合可能な他方側係合部99が設けられている。
【0058】
片側係合部98は、第二構成片87の長手方向に沿って延びる孔であり、他方側係合部99は、略直方体状の突起部分である。
【0059】
ここで、第二構成片87の他方側係合部99は、上記した第一構成片85の他方側係合部91とは形状が異なる突起部分となっている。すなわち、第一構成片85の片側係合部90、他方側係合部91と、第二構成片87の片側係合部98、他方側係合部99は、それぞれの形状が異なる。
【0060】
ここで、継手部材86の係合孔部95は、内周面が内側に突出する2つの突起部分95aを有する(
図7(c)参照)。そして、第二構成片87の他方側係合部99は、この2つの突起部分95aの間に挿入されることで、第二構成片87の周方向への回動が規制された状態で継手部材86と連結する。
【0061】
なお、第一構成片85と第二構成片87は、継手部材86を介して連結するとき、それぞれの小径部分85b,87bが継手部材86側に位置する姿勢で連結する。
【0062】
また、
図8で示されるように、下側操作部41と第二シリンダー錠36とを連結部材80を介して連結させた状態では、連結部材係合部69を第一構成片85の片側係合部90に挿入し、互いに係合させた状態とする。このとき、連結部材係合部69と第一構成片85とを弦巻バネ103(付勢部材)を介して連結させた状態とする。
【0063】
さらに、この状態では、第二シリンダー錠36の一部である突起部分36aを第二構成片87の片側係合部98に挿入し、互いに係合させた状態とする。このとき、片側係合部98と第二構成片87とを弦巻バネ104(付勢部材)を介して連結させた状態とする。
【0064】
したがって、下側操作部41と第二シリンダー錠36とを連結部材80を介して連結させるとき、第一構成片85と第二構成片87とは、互いに近づく方向に付勢された状態となっている。
【0065】
ここで、
図2、
図3で示されるように、第一ハンドル部材3のケース部材40と、第二ハンドル部材4のケース部材75は、一つのケース取付用部材106を介して取り付けられている。
【0066】
ケース取付用部材106は、
図9で示されるように、断面形状が略コ字状で上下方向に延びる部材であり、縦長の略長方形立板状となる本体板部106aと、本体板部106aの幅方向の両端それぞれから同方向に突出する2つの突出板部106bとを有する。
【0067】
本体板部106aは、上下方向で離れた位置に2つのケース取付用孔108を有し、これらの間に、連結部材挿通孔109と、補助部材挿通孔110とを有する。これらはいずれも本体板部106aを厚さ方向に貫通する貫通孔となっている。
【0068】
突出板部106bは、上下方向で離れた位置に2つのケース取付用孔111を有する。
【0069】
図2、
図3で示されるように、戸本体2を挟んで向かい合う2つの下側取付座22,32において、それぞれのケース部材40,75を戸本体2に固定するときには、ケース取付用部材106を戸本体2の一主面側に配した状態とする。この状態で、
図3で示されるように、戸本体2の他方主面側に位置するケース部材75をケース取付用部材106に対して固定する。
すなわち、ケース取付用部材106の本体板部106aに対し、ネジ等の締結要素でケース部材75を固定する。このとき、ネジ等の締結要素は、下側取付用孔13aの内側に位置した状態となる。
【0070】
そして、もう一方のケース部材40をケース取付用部材106の2つの突出板部106bに対して固定する。そして、ケース取付用部材106は、このケース部材40の内部に配された状態となる。
なお、
図8で示されるように、ケース取付用部材106の連結部材挿通孔109には、連結部材80が挿通された状態となる。
【0071】
続いて、第一ハンドル部材3、第二ハンドル部材4の上側部分の内部構造について説明する。なお、下側部分と同様の部分については、詳細な説明を省略する。
【0072】
第一ハンドル部材3の上側取付座20は、
図10で示されるように、ケース部材40の内部に上側操作部115を収容して形成している。また、第二ハンドル部材4の上側取付座30もまた、ケース部材75の内部に第一シリンダー錠35を収容して形成されている。なお、これらのケース部材40,75は、上記した下側取付座22,32のケース部材40,75と同形の部材であり、下側のケース部材40,75とは天地逆の姿勢となっている。
【0073】
これら上側取付座20,30のケース部材40,75もまた、一つのケース取付用部材106を介して取り付けられている。このケース取付用部材106は、上記した下側のケース取付用部材106と同形の部材であり、下側のケース取付用部材106とは、天地逆の姿勢となっている(
図4、
図11参照)。
【0074】
上側操作部115は、
図11で示されるように、下側操作部41(
図4参照)と略同形の部材である。
詳細には、上側操作部115は、第一操作片25と、第一操作片25と一体に固定された上側摺動子120(第一摺動子)と、上側回転子121と、固定板部122と、連結筒部123とを有している。
そして、上側摺動子120、固定板部122と、連結筒部123からなる部分は、上記した下側操作部41の下側摺動子50、固定板部52、連結筒部53からなる部分(
図4参照)と同形であり、下側操作部41とは天地逆の姿勢をとるものである。また、第一操作片25、上側回転子121もまた、上記した下側操作部41の第二操作片26、下側回転子51と同形の部材となっている。そして、上側回転子121が上側摺動子120の係合孔部60と係合している。
したがって、上側摺動子120は、下方側に開口した取付筒部120bを有する。
【0075】
ここで、上記した下側取付座22,32の下側操作部41と第二シリンダー錠36は、連結部材80により、間に錠(箱錠)を介在させない状態で連結した(
図3等参照)。これに対し、
図10、
図11で示されるように、上側操作部115と第一シリンダー錠35は、間に錠部材5を介して連結している。
【0076】
錠部材5は、金属製のケース内に開閉機構を内蔵して形成された所謂箱錠であり、具体的には、鎌状のボルトを出退させる鎌錠である。すなわち、ボルトがケースから突出する施錠状態と、ボルトがケースに退入する解錠状態を切り替え可能な部材である。
【0077】
錠部材5には、
図11で示されるように、ケースの片側面(上側操作部115側の面)とその反対側の面(図示しない)に、窪み部5aが設けられている。この窪み部5aは、補助部材130を取り付けるための部分である。
【0078】
補助部材130は、略円環板状の本体部130aと、本体部130aの外側面から外側へ突出する突起部130bと、本体部130aの内側面から内側へ突出する錠側係合部130cを有する。
突起部130bは、
図10で示されるように、戸本体2への取り付け時にケース取付用部材106の補助部材挿通孔110に挿入される部分である。突起部130bの横断面形状は、補助部材挿通孔110の開口形状と略同形であり、突起部130bは、補助部材挿通孔110に略丁度嵌まり込む形状となっている。
錠側係合部130cは、錠部材5の窪み部5aに挿入する部分である。
【0079】
そして、
図10、
図11で示されるように、錠部材5に対して2つの補助部材130を取り付けた状態で、第一シリンダー錠35と錠部材5を連結し、上側操作部115と錠部材5とを連結する。
本実施形態では、
図11で示されるように、第一シリンダー錠35と錠部材5を連結する軸状の部材として、上記した第二構成片87を採用している。また、上側操作部115と錠部材5を連結する軸状の部材として、上記した第一構成片85を採用している。
【0080】
つまり、下側操作部41と第二シリンダー錠36を連結する際には、第一構成片85と第二構成片87を継手部材86で連結させた状態としている(
図4参照)。これに対し、第一シリンダー錠35と上側操作部115とを錠部材5を介して連結する際には、第一構成片85と第二構成片87を分離させ、第一シリンダー錠35と錠部材5の間と、上側操作部115と錠部材5の間にそれぞれ配している。
【0081】
このように、本実施形態の連結部材80(
図4参照)は、一連の棒状に連結させることで、操作部とシリンダー錠とを連結させる連結軸として機能する。その一方で、分離させることで、操作部とシリンダー錠とを錠部材5を介して連結させる際、それぞれの部材と錠部材5とを連結させる連結軸として機能させることが可能である。
【0082】
そして、第一構成片85の一端側と第二構成片87の一端側は、錠部材5の内部に挿入され、それぞれ錠部材5と係合している。このことから、第一構成片85と第二構成片87の一方が周方向に回転すると、錠部材5の施錠状態と解錠状態が切り替わり、同時に他方が周方向に回転する。
【0083】
以上のことから、第一シリンダー錠35に鍵等が挿入され、捻る動作がされると、この第一シリンダー錠35の施錠状態と解錠状態が切り替わると共に、第二構成片87が周方向に回転し、錠部材5の施錠状態と解錠状態が切り替わる。また、これと同時に、第一構成片85が周方向に回転し、上側操作部115の上側回転子121が回転する。
反対に、上側操作部115の上側回転子121が回転すると、第一構成片85が周方向に回転し、錠部材5の施錠状態と解錠状態が切り替わる。また、これと同時に、第二構成片87が周方向に回転し、第一シリンダー錠35の施錠状態と解錠状態が切り替わる。
【0084】
このように、第一シリンダー錠35の施錠状態と解錠状態を切り替わると、それに連動して錠部材5の施錠状態と解錠状態が切り替わる。
【0085】
ハンドル本体21の内部には、
図3、
図12(a)で示されるように、動力伝達部材135が配されている。すなわち、
図12で示されるように、ハンドル本体21は、断面形状が略楕円形で延びる筒状の部材であり、内部に動力伝達部材135を配することが可能な空間を有する。
【0086】
動力伝達部材135は、金属製の丸棒状の部材であり、
図12で示されるように、長手方向の一端側が上側摺動子120の取付筒部120bに挿入されると共に、他端側が下側摺動子50の取付筒部50bに挿入され、それぞれネジ等により固定されている。
【0087】
つまり、動力伝達部材135の長手方向における両端側には、それぞれ上側摺動子120と下側摺動子50が取り付けられている。したがって、上側摺動子120と下側摺動子50の一方が上下方向に移動すると、それに伴って、動力伝達部材135と、上側摺動子120と下側摺動子50の他方とが上下方向に移動する。
【0088】
上側摺動子120、動力伝達部材135、下側摺動子50からなる連結構造体は、上側のケース部材40と、ハンドル本体21と、下側のケース部材40のそれぞれの内部空間が連続して形成される一連の空間内に配されている。そして、全体が上下方向に移動可能となっている。
【0089】
ここで、動力伝達部材135には、姿勢維持部材140が取り付けられている。
姿勢維持部材140は、ゴム等の合成樹脂を原料とした弾性を有する部材であり、円筒状の部材である。そして、姿勢維持部材140の中孔に、動力伝達部材135が挿通された状態となっている。具体的には、姿勢維持部材140の中孔の径方向長さは、動力伝達部材135の径方向長さと同一又はやや小さく、動力伝達部材135の一部が中孔に略丁度挿入された状態となっている。
【0090】
さらに、動力伝達部材135には、姿勢維持部材140のやや上側とやや下側にピン部材143が取り付けられている。
このピン部材143は、スプリングピンであり、断面形状が略C字状で延びる棒状の部材である。
すなわち、動力伝達部材135の一部には、動力伝達部材135を径方向に貫通する取付孔135aが設けられている。そして、その取付孔135aにピン部材143が挿通されている。ピン部材143は、取付孔135aよりも長く、取付孔135aの両開口のそれぞれから一部が外側へ突出した姿勢で取り付けられている。
【0091】
そして、これら2つのピン部材143は、姿勢維持部材140の位置ずれ防止部材として機能する。すなわち、姿勢維持部材140が動力伝達部材135に対して相対的に上下方向に移動すると、ピン部材143に当接し、一定以上の相対移動が阻止される構造となっている。
【0092】
また、姿勢維持部材140は、
図12(b)で示されるように、外周面がハンドル本体21の内周面に内側から接触している。
本実施形態では、ハンドル本体21の内周面のうち、周方向で離れた二個所のそれぞれと、姿勢維持部材140の外周面とが接触している。この二個所は、水平方向で離間し、互いに対向する位置となる。
具体的には、ハンドル本体21の内部空間は、上記したように断面形状が略楕円状であり、この断面の短軸方向の長さと、姿勢維持部材140の径方向長さとが略同一の長さとなっている。そして、ハンドル本体21の内周面のうち、短軸方向(短軸の長手方向)で離れた二個所と、姿勢維持部材140が接触している。
【0093】
この姿勢維持部材140は、動力伝達部材135が上下方向に移動するとき、動力伝達部材135の姿勢を適正に維持し、意図しないブレやしなり等を防止する部材となっている。
【0094】
以上のことから、本実施形態の錠付き戸1は、第一操作片25、第二操作片26、第一シリンダー錠35、第二シリンダー錠36からなる四つの操作手段を有しており、下記(1)~(4)の操作が可能となっている。そして、いずれか一つの操作がされると、第一シリンダー錠35と、第二シリンダー錠36と、錠部材5の施錠状態と解錠状態が切り替わる。
(1)第一操作片25を上下方向の一方に移動させる操作。
(2)第二操作片26を上下方向の一方に移動させる操作。
(3)第一シリンダー錠35に外部の鍵部材(図示しない)を挿入して捻る操作。
(4)第二シリンダー錠36に外部の鍵部材(図示しない)を挿入して捻る操作。
【0095】
このことにつき、
図13で示されるように、錠部材5が施錠状態であるとき、第二操作片26を上方に移動させる操作を行った場合を例に挙げて説明する。
このとき、第二操作片26を上方に移動させることで、
図14で示されるように、下側摺動子50が上方に移動し、動力伝達部材135、上側摺動子120が上側に移動する。このことにより、第一操作片25もまた上側に移動する。すなわち、第一操作片25が自動的に第二操作片26と同じ方向に移動する(
図13参照)。
【0096】
このとき、下側摺動子50の移動に伴って下側回転子51が回転し、同時に、上側摺動子120の移動に伴って上側回転子121が回転する。
上記したように、下側回転子51が回転することで、下側回転子51と連結された第二シリンダー錠36(
図3参照)の施錠状態と解錠状態が切り替わる。この場合、施錠状態から解錠状態へ移行する。
さらに、上記したように、上側回転子121が回転することで、上側回転子121と連結された錠部材5と、第一シリンダー錠35(
図10参照)の施錠状態と解錠状態が切り替わる。この場合、それぞれが施錠状態から解錠状態へ移行する。
【0097】
以上のように、四つの操作手段の一つである第二操作片26に対し、上記(2)の操作を実行すると、他の操作手段である第一操作片25、第一シリンダー錠35、第二シリンダー錠36では、自動的に上記(1),(3),(4)の操作が実行された状態となる。そして、錠部材5の施錠状態と解錠状態が切り替わる。
つまり、四つの操作手段のいずれか一つに対し、上記(1)~(4)のいずれかの操作を実行すると、他の操作手段では、上記(1)~(4)の他の操作が自動的に実行された状態となり、錠部材5の施錠状態と解錠状態が切り替わる。したがって、上記(1)~(4)のいずれの操作を実施しても、錠部材5の施錠状態と解錠状態が切り替わる。
【0098】
続いて、本発明の第二実施形態に係る錠付き戸201について、図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、上下方向については、
図15の状態を基準として説明し、上記した実施形態と同様の部分については、必要に応じて同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0099】
錠付き戸201は、
図15で示されるように、戸本体2に対して第一ハンドル部材203(ハンドル部材)、第二ハンドル部材204、錠部材205によって構成される施解錠装置206を取り付けて形成されている。
【0100】
第一ハンドル部材203は、上側取付座220と、ハンドル本体221(把持部材)と、下側取付座222とを有している。
上側取付座220は、第一操作片225(第一操作手段)を有しており、下側取付座222は、第二操作片226(第二操作手段)を有している。そして、これら第一操作片225、第二操作片226を操作することで、錠部材205の施錠状態と解錠状態が切り替わる(詳しくは後述する)。
【0101】
第二ハンドル部材204もまた、上側取付座230と、ハンドル本体231と、下側取付座232とを有している。
上側取付座230は、
図15(a)で示されるように、第一シリンダー錠35を有しており、下側取付座232は、第二シリンダー錠36を有している。そして、上記した第一実施形態と同様に、これらに対して外部の鍵部材(図示しない)を挿入して捻る操作をすることでも、錠部材205の施錠状態と解錠状態が切り替わる。
【0102】
第一ハンドル部材203の下側取付座222は、
図16で示されるように、ケース部材240の内部に下側操作部241を収容して形成されている。
【0103】
ケース部材240は、上側部分のうち、戸本体2側から離れた部分にハンドル挿入突起244が設けられている。このハンドル挿入突起244は、ハンドル本体221の内孔に挿入する部分である。すなわち、上記した第一実施形態では、ハンドル本体21の一部(端部)をケース部材40の内部に挿入してハンドル本体21に取り付けたが(
図3参照)、本実施形態では、ハンドル本体221の内部にケース部材240の一部を挿入している。このことから、本実施形態のハンドル本体221は、全体が外部に露出した状態で、上側取付座230、下側取付座222に対して取り付けられている。
【0104】
このハンドル挿入突起244には、ケース部材240の内外を連通し、動力伝達部材135の一部が挿入される連通孔部245が設けられている。
さらに、ケース部材240の外側面には、第二操作片226の一部を挿入可能な取付凹部247が設けられている。この取付凹部247の底部分には、ケース部材240の内外を連通する孔が形成されている。
【0105】
下側操作部241は、
図17で示されるように、下側摺動子250(第二摺動子)と、下側回転子251と、固定板部252を有している。
【0106】
下側摺動子250は、
図18で示されるように、摺動子本体部250aと、突出体部250bとが一体となって形成された部材であり、側面視した形状が略L字状となる部材である。
摺動子本体部250aは、上下方向に延びる縦長の部分であり、下側の立板状部分に係合孔部60が形成されている。係合孔部60は、摺動子本体部250aの外側端部から内側端部までを貫通する孔であり、立板状部分を厚さ方向に貫通する。
【0107】
突出体部250bは、摺動子本体部250aの外側面からさらに外側に突出する略直方体状の部分である。この突出体部250bの天面には、突出端側の部分に取付用孔250cが設けられている。この取付用孔250cは、動力伝達部材135の下端部分を挿入し、固定するための部分である。
【0108】
下側回転子251は、
図18で示されるように、水平方向成分を含む方向に延びる軸状の部材であり、長手方向の一端側から、小突起部264、小径部265、摺動子係合部66、フランジ部67、大径部268が順に形成され、これらが一体となった部材である。
【0109】
小突起部264は、
図18で示されるように、横長の略円柱状となる小径部265の端面から外側へ突出する部分である。
また、小径部265は、ケース部材240に形成された孔に挿入され、回転可能に支持される部分である(
図16参照)。大径部268は、横長の略円柱状の部分であり、小径部265よりも径方向長さが長い(太い)部分である。
【0110】
この下側回転子251には、下側回転子251を長手方向に貫通する連結用孔269が形成されている。この連結用孔269は、下側回転子251を長手方向の一端側と他端側で形状の異なる孔となっている。
【0111】
ここで、下側回転子251は、
図16、
図19で示されるように、第二操作片226に対して固定される部材となっている。
【0112】
すなわち、
図19で示すように、小突起部264を第二操作片226の凹部(図示しない)内に挿入した状態とし、ネジ270(締結要素)を大径部268側から連結用孔269に挿入する。そして、ネジ270が下側回転子251の内部から第二操作片226の内部に亘って配された状態とし、これらを一定に固定する。
【0113】
ここで、連結用孔269のうち、大径部268側の部分(
図18(b)参照)は、第一構成片185の片側係合部190(詳しくは後述する、
図20参照)と係合する部分となっている。つまり、連結用孔269の大径部268側の部分は、第二操作片226に固定するための締結要素(ネジ270)を挿通可能な大きさであり、片側係合部190と係合可能な形状の孔である。
【0114】
固定板部252は、
図18で示されるように、縦長の立板状となる本体板部252aと、本体板部252aの内側面から突出する突起体部252bとが一体に形成された部分である。
ここで、固定板部252には、本体板部252a及び突起体部252bを貫通して延びる連結用孔252cが形成されている。この連結用孔252cは、下側回転子251の大径部268が略丁度嵌まり込む大きさの孔であり、下側回転子251のフランジ部67が挿通できない大きさの孔である。なお、この連結用孔252cの長さは、下側回転子251の大径部268の長さよりも長い。
【0115】
ここで、
図16、
図17で示されるように、第一ハンドル部材203の下側操作部241と、第二ハンドル部材204の第二シリンダー錠36は、棒状の連結部材180を介して連結されている。
したがって、上記した実施形態と同様に、第二シリンダー錠36に鍵等が挿入され、捻る動作がされると、第二シリンダー錠36の施錠状態と解錠状態が切り替わると共に、連結部材180が周方向に回転し、下側操作部241の下側回転子251が回転する。そして、この下側回転子251の回転により、下側摺動子250が上下方向に移動する。
また反対に、下側回転子251が回転すると、第二シリンダー錠36の施錠状態と解錠状態が切り替わる。
【0116】
連結部材180は、
図20で示されるように、第一構成片185と、継手部材186と、第二構成片87とを有する。この連結部材180もまた、上記した連結部材80(
図7参照)と同様に、連結して一連の軸状とした状態とすることが可能であり、また、分離させた状態とすることが可能である。
【0117】
第一構成片185は、横長の軸状の部材であり、長手方向の片側端部に突起状の片側係合部190が設けられており(
図20(b)参照)、他方側端部に形状が異なる突起状の他方側係合部191が設けられている(
図20(c)参照)。
片側係合部190は、下側回転子251の連結用孔269の一部(
図18(b)参照)に略丁度嵌まり込む形状となっている。また、他方側係合部191は、継手部材186の係合孔部195(
図20(c)参照)と係合可能なっている。
【0118】
また、片側係合部190、他方側係合部191の間に位置する略円柱状部分の側面には、周囲よりも窪んだ掛止部192が形成されており、掛止部192よりも他方側係合部191側に離れた位置に傾斜面部193が形成されている。
【0119】
継手部材186は、横長の略円筒状の部材であり、内孔となる係合孔部195を有する。継手部材186の長手方向における片側部分186aと、他方側部分186bとでは、係合孔部195の形状が異なる。
そして、連結部材180を連結状態とすると、第一構成片185の他方側係合部191と、第二構成片87の他方側係合部99は、係合孔部195の一部であり、片側部分186aの内側に位置する部分に挿入される。このことにより、第一構成片185、第二構成片87は、いずれも周方向への回動が規制された状態で継手部材186と連結する。
また、継手部材186は、他方側部分186bに、上記した掛止部192に掛止可能な爪部186cを有する。
【0120】
ここで、
図16で示されるように、第一ハンドル部材203のケース部材240と、第二ハンドル部材204のケース部材275は、一つのケース取付用部材306を介して取り付けられている。
【0121】
ケース取付用部材306は、
図17で示されるように、上記したケース取付用部材106と比べて(
図9参照)、連結部材挿通孔109、補助部材挿通孔110に替わって、2つの連結部材挿通孔309が設けられている点が異なっている。
連結部材挿通孔309の開口形状は、突起体部252bを略丁度挿通することが可能な形状となっている。すなわち、下側操作部241、連結部材180、第二シリンダー錠36を連結するとき(
図16参照)、2つの連結部材挿通孔309の一方(
図17で下方側となる連結部材挿通孔309)に突起体部252bが挿通された状態となる。
【0122】
続いて、第一ハンドル部材203、第二ハンドル部材204の上側部分の内部構造について説明する。なお、下側部分と同様の部分については、詳細な説明を省略する。
【0123】
第一ハンドル部材203の上側取付座220は、
図21で示されるように、ケース部材240の内部に上側操作部315を収容して形成している。また、第二ハンドル部材204の上側取付座230もまた、ケース部材275の内部に第一シリンダー錠35を収容して形成されている。なお、これらのケース部材240,275は、上記した下側取付座222,232のケース部材240,275と同形の部材であり、下側のケース部材240,275とは天地逆の姿勢となっている。
【0124】
これら上側取付座220,230のケース部材240,275もまた、一つのケース取付用部材306を介して取り付けられている。
【0125】
上側操作部315は、
図22で示されるように、下側操作部241(
図17参照)と略同形の部材である。
すなわち、上側操作部315は、上側摺動子320(第一摺動子)と、上側回転子321と、固定板部322を有する。そして、上側摺動子320、固定板部322からなる部分は、上記した下側操作部241の下側摺動子250、固定板部252からなる部分(
図17参照)と同形であり、これらとは天地逆の姿勢をとるものである。また、上側回転子321は、上記した下側操作部241の下側回転子251と同形の部材であり、上側回転子321に固定される第一操作片225も、上記した第二操作片226と同形の部材となっている。
【0126】
上側操作部315においても、上側回転子321が上側摺動子320の係合孔部60と係合している。そして、上側操作部315の上側摺動子320にもまた、下方側に開口した取付用孔250c(
図17参照、
図22等では図示しない)が設けられている。
【0127】
本実施形態においても、下側操作部241と第二シリンダー錠36を間に錠(箱錠)を介在させずに連結している一方で(
図16参照)、
図21、
図22で示されるように、上側操作部315と第一シリンダー錠35を間に錠部材205を介して連結している。
【0128】
錠部材205は、上記した錠部材5と同様に鎌錠であり、
図11、
図22で示されるように、窪み部205aの形状と、鎌状のボルトの形状が上記した錠部材5と異なっているが、上記した錠部材5と同様に、施錠状態と解錠状態の切り替えが可能な部材である。
また、上記した実施形態では、錠部材205のケースの片側面と反対側の面のそれぞれに補助部材130を取り付けたが(
図10参照)、
図22で示されるように、ケースの片側(
図22で奥側、図示しない)にのみ補助部材330を取り付けている。
【0129】
補助部材330は、円筒状の本体部330aとフランジ部330bとが一体に形成された部材であり、フランジ部330bは、錠部材205の窪み部205aに略丁度嵌まり込む形状となっている。
【0130】
そして、
図21、
図22で示されるように、錠部材205のケースのうち、第一シリンダー錠35側の部分に補助部材330を取り付け、第一シリンダー錠35と錠部材205を連結し、上側操作部315と錠部材205を連結する。
【0131】
このことから、第一シリンダー錠35に鍵等が挿入されて捻る動作がされると、この第一シリンダー錠35の施錠状態と解錠状態が切り替わると共に、第二構成片87が周方向に回転し、錠部材205の施錠状態と解錠状態が切り替わる。また、これと同時に、第一構成片185が周方向に回転し、上側操作部315の上側回転子321が回転する。そして、この上側回転子321の回転により、上側摺動子320が上下方向に移動する。
また反対に、上側回転子321が回転すると、第一シリンダー錠35の施錠状態と解錠状態が切り替わる。
【0132】
本実施形態においても、
図16、
図21で示されるように、ハンドル本体221の内部に動力伝達部材135が位置しており、下側摺動子250の突出体部250bと、上側摺動子320の突出体部250bとが動力伝達部材135によって連結されている。
このことから、下側摺動子250と上側摺動子320のいずれかが上下方向に移動すると、もう一方もそれに伴って上下方向に移動する。
【0133】
以上のことから、本実施形態の錠付き戸201もまた、第一操作片225、第二操作片226、第一シリンダー錠35、第二シリンダー錠36からなる四つの操作手段を有している。そして、四つの操作手段のいずれかに対して操作を行うと、錠部材205の施錠状態と解錠状態が切り替わり、他の操作手段は、手動で操作がされた状態に自動的に移行する。
【0134】
例えば、
図23で示されるように、錠部材205が施錠状態であるとき、第二操作片226のつまみを摘まんで時計回り(
図23における時計回りであり、第一ハンドル部材203側からみた平面視で時計回り)に回転させたとする。
この場合、
図24で示されるように、第二操作片226の回転に伴って下側回転子251が同方向(時計回り)に回転し、下側摺動子250が下方側へ移動する。
【0135】
このことにより、下側摺動子250と動力伝達部材135を介して連結された上側摺動子320もまた、下側摺動子250と同様に下方側へ移動する。そして、上側摺動子320が下方側へ移動することで、上側回転子321が下側回転子251と同方向(時計回り)に回転する。この結果、
図23で示されるように、第一操作片225が自動的に第二操作片226と同方向に回転する。
【0136】
このとき、上側回転子321、下側回転子251が回転することで、これらと連結された錠部材205、第一シリンダー錠35、第二シリンダー錠36(
図16、
図21参照)もまた施錠状態から解錠状態へ移行する。
なお、当然のことながら、錠部材205が解錠状態であるとき、第一操作片225、第二操作片226の少なくとも一方を反対方向(反時計回り)に回転させると、錠部材205、第一シリンダー錠35、第二シリンダー錠36(
図16、
図21参照)が施錠状態に移行する。
【0137】
すなわち、上記した第一実施形態では、操作片を摺動子に一体に固定し、操作片をスライドさせる操作を実行することで摺動子がスライド移動する構造とした。これに対し、本実施形態では、操作片を回転子に固定し、操作片を回転させる操作を実行することで、回転力を直線の動きに変換し、摺動子がスライド移動する構造としている。
【0138】
続いて、本発明の第三実施形態に係る錠付き戸401について、図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、上下方向については、
図25の状態を基準として説明し、前後方向については、第一ハンドル部材403(ハンドル部材)側を前方とし、第二ハンドル部材204側を後方として説明する。
また、上記した実施形態と同様の部分については、必要に応じて同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0139】
本実施形態の錠付き戸401は、
図25で示されるように、第一ハンドル部材403の構造が、上記した第二実施形態の錠付き戸201(
図15参照)と比べて異なっている。
上側取付座420は、第一操作片425(第一操作手段)を有しており、下側取付座422は、第二操作片426(第二操作手段)を有している。そして、これら第一操作片425、第二操作片426を操作することで、錠部材205の施錠状態と解錠状態が切り替わる。
【0140】
ここで、上記した第一実施形態では、第一操作片25と第二操作片26の一方を上方に移動させることで、他方も同方向となる上方に移動する構造とした(
図13参照)。また、上記した第二実施形態では、第一ハンドル部材203と第二ハンドル部材204の一方を回転させることで、他方も同方向に回転する構造とした(
図23参照)。すなわち、第一実施形態と第二実施形態では、同形の部材が同様の動きをする構造とした。
【0141】
これらに対し、本実施形態では、
図26で示されるように、第一操作片425と第二操作片426の一方を上下方向の片側へ移動させると、第一操作片425と第二操作片426のもう一方が上下方向の他方側へ移動する構造としている。すなわち、本実施形態の第一操作片425と第二操作片426は、一方が移動すると、それに伴って他方が逆方向に移動する(詳しくは後述する)。
【0142】
第一ハンドル部材403の下側取付座422では、
図27で示されるように、ケース部材440の内部に下側操作部441を収容して形成されている。
【0143】
ケース部材440は、
図28で示されるように、戸本体2側である後側が開放された(
図28では図示しない
図27等参照)箱状の部材である。詳細には、前側に向かうにつれて幅方向の長さと上下方向の長さがやや短くなる略四角錘台形の部材である。
【0144】
ケース部材440の上側部分のうち、戸本体2側から離れた部分には、ハンドル挿入突起244が設けられている。そして、上記と同様に、ハンドル挿入突起244には、ケース部材440の内外を連通する連通孔部245が形成されている。
【0145】
また、ケース部材440のうち、ハンドル挿入突起244より下方側の部分に、操作片取付部442が設けられている。操作片取付部442は、前面、両側面、下面のそれぞれが隣接部分よりも窪んだ部分である。
【0146】
本実施形態では、この操作片取付部442の一部(
図28では上端部分)が、状態報知部442aとなっている。この状態報知部442aは、
図26で示されるように、第二操作片426が移動することで、外部から視認可能な状態(
図26(a)参照)と、第二操作片426に覆われて外部から視認できない(
図26(b)参照)状態のいずれかとなる。
特に限定されるものではないが、この状態報知部442aは、周囲とは色相が大きく異なる所謂目立つ色で着色されている。このことから、使用者は、錠部材205(
図25参照)の現在の状態、すなわち、施錠状態と解錠状態のいずれであるのかを容易に確認できる。
【0147】
また、操作片取付部442の他部には、4つの操作片係合孔443と、一つの回転子支持孔444が形成されている。これらは、いずれもケース部材440の内外を連通する孔である。
4つの操作片係合孔443は、上下方向に延びる長孔であり、行列状に配されている。すなわち、2つの操作片係合孔443aは、ケース部材440の幅方向の片側に設けられ、上下方向で間隔を空けて並列している。そして、他の2つの操作片係合孔443bは、ケース部材440の幅方向の他方側に設けられ、上下方向で間隔を空けて並列している。
【0148】
ケース部材440の内部空間のうち、前方側の部分(ハンドル挿入突起244の下方側の部分)には、
図29で示されるように、上側溝部445と下側溝部446からなる一連の溝部分が形成されている。これらは、いずれも後方側から前方側(
図29(a)では右手前側から左奥側)へ窪む部分である。
【0149】
下側溝部446は、上下方向で間隔を空けて並列する2つの仕切壁部447によって、第一下側溝部446aと、第二下側溝部446bに区画されている。第一下側溝部446aは、仕切壁部447よりもケース部材440の幅方向で片側端部側に位置し、第二下側溝部446bは、他方端部側に位置する。
【0150】
下側溝部446のうち、ケース部材440の幅方向両端側にそれぞれ位置する溝壁部分には、同幅方向で中心側に隆起する隆起部448が設けられている。すなわち、一方の隆起部448は、第一下側溝部446aの溝壁に形成され、他方の隆起部448は、第二下側溝部446bの溝壁に形成されている。
【0151】
なお、第一下側溝部446aは、
図30で示されるように、2つの操作片係合孔443aによって外部と連通されており、第二下側溝部446bは、他の2つの操作片係合孔443bによって外部と連通されている。
また、
図27で示されるように、このケース部材440と、第二ハンドル部材204のケース部材275は、一つのケース取付用部材306によって戸本体2に取り付けられている。
【0152】
第二操作片426は、
図31で示されるように、上側と後側(
図31(a)では、右手前側であり
図31(b)では手前側)が開放された箱状の部材である。第二操作片426の前板部分の内側面には、後方へ向かって突出する係合突起部427が設けられている。
この係合突起部427は、略有底円筒状の部分であり、内周面にネジ溝が形成された中孔を有する。
【0153】
この係合突起部427は、ケース部材440の操作片係合孔443(
図28参照)と同数(4つ)設けられており、それぞれが操作片係合孔443に挿通可能となっている。すなわち、係合突起部427は、操作片係合孔443と互いに係合する部分である。
【0154】
したがって、第二操作片426の係合突起部427のそれぞれを操作片係合孔443に挿通することで、第二操作片426は、ケース部材440に対して上下方向に移動可能であり、ケース部材440の幅方向への移動が規制された状態となる。
【0155】
本実施形態では、
図27、
図32で示されるように、下側操作部441と第二シリンダー錠36とが連結部材180を介して連結されている。
【0156】
本実施形態の下側操作部441は、
図32で示されるように、下側摺動子450(第二摺動子)と、下側回転子451と、固定板部452と、下側補助摺動子453を有している。
【0157】
下側摺動子450は、
図33で示されるように、下方側部分の一部に欠落部460が形成された縦長の略直方体状の部材である。すなわち、略直方体状の上側部分と、この上側部分の下面のうち、幅方向の片側から下方に突出する立板状部分450aを有する。
また、下側摺動子450の上面には、動力伝達部材135の下端部分を挿入可能な取付用孔450bが設けられている。
【0158】
立板状部分450aは、下側摺動子450全体の幅方向に厚さを有する部分であり、厚さ方向の片側となる外側部分に外側係合凹部461が設けられ、その反対側となる内側部分に内側凹部462が設けられている。
【0159】
外側係合凹部461は、上下離れた位置に設けられた2つの隆起部分の間に形成され、上下に隣接する部分よりも内側に窪んだ部分である。対して、内側凹部462は、外側に窪む部分であり、上下に隣接する部分よりも外側に窪んだ部分である。
そして、内側凹部462の底部分の一部に鋸歯状の歯列が設けられている。
【0160】
下側回転子451は、水平方向成分を含む方向に延びる軸状の部材であり、長手方向の一端側から、突起部465、歯車部466、フランジ部467、大径部468が順に形成され、これらが一体となった部材である。
【0161】
突起部465は、横長の略円柱状の部分である
歯車部466は、下側回転子451の軸芯側に位置する横長の略円柱状の部分と、この円柱状の部分の外周面に形成される鋸歯状の歯列を有する。この歯列は、下側回転子451の周方向全域に亘って形成されている。
【0162】
フランジ部467は、略円板状の部分であり、隣接する大径部468よりも径方向長さが長い部分である。
大径部468は、横長の略円柱状の部分である。ここで、大径部468の長手方向の片側端部であり、下側回転子451全体の長手方向の端部に位置する端面には、連結用孔468a(
図33では図示しない、
図34参照)が形成されている。この連結用孔468aは、連結部材180の片側係合部190(
図32参照)を挿入可能な孔であり、片側係合部190を挿入することで、下側回転子451と連結部材180が連結される。
【0163】
固定板部452は、上記した固定板部252(
図18参照)と同様に、本体板部452aと、突起体部452bと、連結用孔452cを有する。
本体板部452aは、本体板部452aを厚さ方向に貫通する貫通孔470a、本体板部452aの下端部分を欠落させた欠落部470bが形成されている点で、上記した固定板部252と異なる構造となっている。
【0164】
連結用孔452cは、下側回転子451の大径部468が略丁度嵌まり込む大きさの孔であり、下側回転子451のフランジ部467が挿通できない大きさの孔であって、大径部468の長手方向長さよりも長い孔である。
【0165】
下側補助摺動子453は、上下方向の中間部分が上下に隣接する部分よりも細い縦長の部材であり、幅方向の片側に外側係合凹部471が設けられ、その反対側に内側凹部472が設けられている。
【0166】
この外側係合凹部471もまた、上記した外側係合凹部461と同様に、上下離れた位置に設けられた2つの隆起部分の間に形成され、上下に隣接する部分よりも窪んだ部分である。
内側凹部472もまた、上記した内側凹部462と同様に、外側係合凹部471側へ向かって上下に隣接する部分よりも窪んだ部分であり、底部分の一部に鋸歯状の歯列が設けられている。
【0167】
下側操作部441は、大径部468を連結用孔452cの内側に挿通し、下側摺動子450の立板状部分450aと、下側補助摺動子453の間に下側回転子451の歯車部466を配した状態で(
図32参照)、ケース部材440の内部に収容する(
図27参照)。
【0168】
具体的には、
図34で示されるように、第二操作片426の4つの係合突起部427をケース部材440の4つの操作片係合孔443に挿通した状態とする。
その一方で、下側摺動子450を上側溝部445と第二下側溝部446bからなる一連の溝部内に収容する。その一方で、下側補助摺動子453を第一下側溝部446aに収容する。また、下側回転子451の突起部465をケース部材440の回転子支持孔444に挿入した状態とする。
そして、下側補助摺動子453と、片側の2つの操作片係合孔443aに挿通した2つの係合突起部427とをネジ等の締結要素に一体に固定する。このことにより、使用者が第二操作片426を上下方向に移動させると、下側補助摺動子453が上下方向に移動する。すなわち、第二操作片426を下側補助摺動子453に固定し、下側摺動子450には固定しない構造としている。
【0169】
このとき、
図35で示されるように、下側摺動子450の外側係合凹部461と、下側補助摺動子453の外側係合凹部471の内側に、ケース部材440の隆起部448が入り込んだ状態となる。
以上のことから、下側摺動子450、下側補助摺動子453は、ケース部材440の内部に上下方向に移動可能な状態で収容され、且つ、一定以上の上方側への移動と、一定以上の下方側への移動が規制された状態となっている。
【0170】
続いて、第一ハンドル部材403、第二ハンドル部材404の上側部分の内部構造について説明する。なお、下側部分と同様の部分については、詳細な説明を省略する。
【0171】
第一ハンドル部材403の上側取付座420は、
図36で示されるように、ケース部材440の内部に上側操作部415を収容して形成している。このケース部材440は、上記した下側取付座422のケース部材440と同形の部材であり、天地逆の姿勢となっている。
なお、上側取付座420,230のケース部材440,275もまた、一つのケース取付用部材306を介して取り付けられている。
【0172】
第一ハンドル部材403の第一操作片425もまた、第二操作片426と同形の部材であり、天地逆の姿勢となっている。
【0173】
上側操作部415は、
図37で示されるように、下側操作部441(
図32参照)と同形の部材であり、天地逆の姿勢をとるものである。
すなわち、上側操作部415は、上側摺動子520(第一摺動子)と、上側回転子521と、固定板部522と、下側補助摺動子523を有する。そして、これらは、上記した下側操作部441の下側摺動子450、下側回転子451、固定板部452、下側補助摺動子453と同形の部材となっている。
【0174】
上側操作部415は、上記した第二実施形態と同様に、間に錠部材205を介して第一シリンダー錠35と連結している。
【0175】
ここで、上記したように、第二操作片426は、下側摺動子450と下側補助摺動子453のうち、下側補助摺動子453に固定した(
図34等参照)。これに対し、第一操作片425は、上側摺動子520と下側補助摺動子523のうち、上側摺動子520に固定している(詳細な図示を省略する)。
つまり、下側では、操作片を摺動子と補助摺動子の一方(下側補助摺動子453)に固定し、上側では、操作片を摺動子と補助摺動子の他方(上側摺動子520)に固定している。
【0176】
以上のことから、本実施形態の錠付き戸401もまた、第一操作片425、第二操作片426、第一シリンダー錠35、第二シリンダー錠36からなる四つの操作手段を有している。そして、四つの操作手段のいずれかに対して操作を行うと、錠部材205の施錠状態と解錠状態が切り替わり、他の操作手段は、手動で操作がされた状態に自動的に移行する。
【0177】
例えば、
図38で示されるように、錠部材205が施錠状態であるとき、第二操作片426を上方にスライド移動させたとする。
すると、
図39で示されるように、第二操作片426に固定された下側補助摺動子453が第二操作片426の移動に伴って上方に移動する。このとき、下側回転子451が回転し、下側摺動子450が下方側へ移動する。
【0178】
ここで、下側摺動子450と上側摺動子520が動力伝達部材135によって連結されていることから、下側摺動子450と共に上側摺動子520が下方側に移動する。このことにより、上側摺動子520に固定された第一操作片425が下方側に移動する(
図38参照)。
【0179】
このとき、上側回転子521、下側回転子451が回転することで、これらと連結された錠部材205、第一シリンダー錠35、第二シリンダー錠36(
図27、
図36参照)もまた施錠状態から解錠状態へ移行する。
なお、当然のことながら、錠部材205が解錠状態であるとき、第一操作片425、第二操作片426を反対方向(第一操作片425は上方向、第二操作片426は下方向)に移動させると、錠部材205、第一シリンダー錠35、第二シリンダー錠36(
図27、
図36参照)が施錠状態に移行する。
【0180】
なお、本実施形態では、
図26(b)で示されるように、錠部材205を解錠状態としたとき、上側取付座420と下側取付座422が略四角錘台形状となる。
すなわち、上側取付座420では、第一操作片425の上面とケース部材440の上面が略同一平面上に位置し、第一操作片425の下端部分が操作片取付部442(
図26(a)参照)の下端に位置する段差部分の上面と接触する。また、第一操作片425とケース部材440の前面同士と、両側面同士がそれぞれ略同一平面上に位置した状態となる。このことにより、第一操作片425とケース部材440とが、あたかも一体の塊状の外観を呈する。
同様に、下側取付座422でもまた、第二操作片426とケース部材440とが、あたかも一体の塊状の外観を呈する。
【0181】
上記した各実施形態の錠付き戸1,201,401は、錠部材5,205を鎌錠とし、引き戸としての使用を想定した戸とした。しかしながら、本発明を採用した錠付き戸はこれに限らず、直方体状のデッドボルトが出退する箱錠を錠部材として採用し、開き戸として使用する戸でもよい。同様に、この他にも、折れ戸等の適宜な戸に本発明を採用してもよい。
【0182】
上記した各実施形態では、下側操作部とシリンダー錠とを錠を介さずに連結し、上側操作部とシリンダー錠とを錠部材を介して連結した例を示した。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。
下側操作部とシリンダー錠とを錠部材を介して連結し、上側操作部とシリンダー錠とを錠を介さずに連結してもよい。
【0183】
上記した各実施形態では、第一ハンドル部材の内部に動力伝達部材を設けた例を示した。すなわち、第一ハンドル部材の上側操作部と下側操作部とを動力伝達部材で連結し、上下の操作片が連動する構造とした。しかしながら本発明はこれに限るものではない。
例えば、動力伝達部材は、第一ハンドル部材の内部ではなく、第二ハンドル部材の内部に設けてもよい。この場合、シリンダー錠の操作に連動して上下方向に移動する摺動子等を第二ハンドル部材の取付座の内部に配してもよい。すなわち、第一シリンダー錠、第二シリンダー錠を第一操作手段、第二操作手段とし、第一操作片、第二操作片を他方側操作手段としてもよい。
また、上記したシリンダー錠に替わって、カードキー、生体認証、リモコン操作等で施解錠が可能な他の適宜な錠を採用してもよい。すなわち、使用者が施解錠操作することで、一部が動作する機構であればよい。
【符号の説明】
【0184】
1,201,401 錠付き戸
2 戸本体(戸)
3、203,403 第一ハンドル部材(ハンドル部材)
5,205 錠部材
6,206,406 施解錠装置
21,221 ハンドル本体(把持部材)
25,225,425 第一操作片(第一操作手段)
26,226,426 第二操作片(第二操作手段)
35 第一シリンダー錠(他方側操作手段)
36 第二シリンダー錠(他方側操作手段)
50,250,450 下側摺動子(第二摺動子)
80,180 連結部材
120,320,520 上側摺動子(第一摺動子)
135 動力伝達部材
140 姿勢維持部材