IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ユーパテンターの特許一覧

特許7246759導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法
<>
  • 特許-導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法 図1
  • 特許-導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法 図2
  • 特許-導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法 図3
  • 特許-導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法 図4
  • 特許-導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法 図5
  • 特許-導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法 図6
  • 特許-導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法 図7
  • 特許-導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法 図8
  • 特許-導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法 図9
  • 特許-導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法 図10
  • 特許-導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法 図11
  • 特許-導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法 図12
  • 特許-導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法 図13
  • 特許-導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法 図14
  • 特許-導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法 図15
  • 特許-導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20230320BHJP
   C09D 5/24 20060101ALI20230320BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20230320BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20230320BHJP
   C08K 9/02 20060101ALI20230320BHJP
   H05K 3/00 20060101ALN20230320BHJP
【FI】
C08L101/00
C09D5/24
C09D201/00
H01B1/22 A
C08K9/02
H05K3/00 R
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021088107
(22)【出願日】2021-05-26
(62)【分割の表示】P 2017524673の分割
【原出願日】2016-03-17
(65)【公開番号】P2021152163
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】P 2015124760
(32)【優先日】2015-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520062801
【氏名又は名称】株式会社ユーパテンター
(74)【代理人】
【識別番号】100110858
【弁理士】
【氏名又は名称】柳瀬 睦肇
(72)【発明者】
【氏名】本多 祐二
(72)【発明者】
【氏名】三上 由佳利
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-170319(JP,A)
【文献】特開2010-163550(JP,A)
【文献】特開平02-212557(JP,A)
【文献】特開平11-045824(JP,A)
【文献】特開2015-079725(JP,A)
【文献】特開2005-047912(JP,A)
【文献】特開2000-104013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C09D 1/00-10/00
C09D 101/00-201/10
C09J 9/00-201/10
H01B 1/00-1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体状の材料と、
前記液体状の材料に混合された微粒子と、
を具備し、
前記液体状の材料は、導電性高分子が溶剤の液体に溶解しているもの、又は、溶剤の液体に導電性高分子を分散させているものであり、
前記微粒子は、弾性を有する粒子に金属膜が隙間なく被覆されたものであることを特徴とする導電性材料。
【請求項2】
請求項1において、
前記弾性を有する粒子は樹脂または導電性樹脂からなることを特徴とする導電性材料。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記導電性材料は、前記液体状の材料及び前記微粒子の総量に対して10重量%以上90重量%以下の前記微粒子を有することを特徴とする導電性材料。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記微粒子の外径は0.55μm以上20μm以下であることを特徴とする導電性材料。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、
前記導電性材料は複数の前記微粒子を有し、
前記複数の前記微粒子は、第1の微粒子と、前記第1の微粒子の外径の1/2以下の外径を有する第2の微粒子を含むことを特徴とする導電性材料。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、
前記微粒子は角を有しないことを特徴とする導電性材料。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、
前記微粒子の形状は球形または楕円形であることを特徴とする導電性材料。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の導電性材料と噴射剤を充填した噴射容器を有することを特徴とする導電性材料エアゾール。
【請求項9】
重力方向に対して略平行な断面の内部形状が多角形である真空容器内に弾性を有する粒子を収容し、
前記断面に対して略垂直方向を回転軸として前記真空容器を回転または振り子動作させることにより、前記真空容器内の前記粒子を攪拌あるいは回転させながらスパッタリングを行うことで、前記粒子に導電膜を被覆することで微粒子を作製し、
前記微粒子を、液体状の材料に混合する導電性材料の製造方法であり、
前記液体状の材料は、導電性高分子が溶剤の液体に溶解しているもの、又は、溶剤の液体に導電性高分子を分散させているものであり、
前記弾性を有する粒子は樹脂または導電性樹脂からなり、
前記導電膜は金属膜であることを特徴とする導電性材料の製造方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記微粒子の外径は20μm以下であることを特徴とする導電性材料の製造方法。
【請求項11】
請求項9または10において、
前記粒子に導電膜を被覆することで作製される前記微粒子は複数の微粒子であり、
前記複数の微粒子は、第1の微粒子と、前記第1の微粒子の外径の1/2以下の外径を有する第2の微粒子を含むことを特徴とする導電性材料の製造方法。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれか一項に記載の製造方法により製造された前記導電性材料と噴射剤を噴射容器に充填することを特徴とする導電性材料エアゾールの製造方法。
【請求項13】
第1の導電部と第2の導電部との間に導電性材料を塗布し、
前記第1の導電部と前記第2の導電部に圧力を加えることで、前記第1の導電部と前記第2の導電部を前記導電性材料によって電気的に接続し、
前記導電性材料を硬化させることで接点を作製する方法であり、
前記塗布する際の前記導電性材料は、液体状の材料と、
前記液体状の材料に混合された微粒子と、
を具備し、
前記液体状の材料は、導電性高分子が溶剤の液体に溶解しているもの、又は、溶剤の液体に導電性高分子を分散させているものであり、
前記微粒子は、弾性を有する粒子に金属膜が被覆されたものであり、
前記弾性を有する粒子は樹脂または導電性樹脂からなることを特徴とする接点の作製方法。
【請求項14】
請求項13において、
前記接点は、弾性変形した前記微粒子を有することを特徴とする接点の作製方法。
【請求項15】
請求項13または14において、
前記接点は、前記液体状の材料及び前記微粒子の総量に対して10重量%以上90重量%以下の前記微粒子を有することを特徴とする接点の作製方法。
【請求項16】
第1の導電部と第2の導電部との間に配置された接点であり、
前記接点は、液体状の材料と、
前記液体状の材料に混合された微粒子と、を具備し、
前記液体状の材料は、導電性高分子が溶剤の液体に溶解しているもの、又は、溶剤の液体に導電性高分子を分散させているものであり、
前記微粒子は、弾性を有する粒子に金属膜が隙間なく被覆されたものであることを特徴とする接点。
【請求項17】
請求項16において、
前記弾性を有する粒子は樹脂または導電性樹脂からなることを特徴とする接点。
【請求項18】
請求項16または17において、
前記微粒子は弾性変形していることを特徴とする接点。
【請求項19】
請求項16乃至18のいずれか一項において、
前記接点は、前記液体状の材料及び前記微粒子の総量に対して10重量%以上90重量%以下の前記微粒子を有することを特徴とする接点。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性材料及びその製造方法、導電性材料エアゾール及びその製造方法、接点及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図16(A)~(C)は、従来の導電性材料を説明するための断面図である。
【0003】
まず、図16(A)に示すように、第1の導電部101と第2の導電部102との間に導電性材料105を塗布する。この導電性材料105は、Cu粒子にAgを被覆したAg被覆微粒子103を樹脂104に混合したものである(例えば特許文献1参照)。なお、樹脂104は導電性を有しない。
【0004】
次に、図16(B)に示すように、第1の導電部101と第2の導電部102に矢印のように圧力を加える。これにより、Ag被覆微粒子103が押し潰され、Ag被覆微粒子103同士が接続され、第1の導電部101と第2の導電部102が電気的に接続される。このようにして第1の導電部101と第2の導電部102との間に導電性材料105による接点が取られる。
【0005】
上記従来の導電性材料では、図16(B)に示すように第1の導電部101と第2の導電部102に圧力を加えて接点が取られた直後の接点抵抗は十分に低くすることができる。しかし、第1の導電部101または第2の導電部102に意図しない何らかの力が加えられ、第1の導電部101または第2の導電部102の位置が変わってしまうことがある。このような場合、図16(C)に示すように、潰されたAg被覆微粒子103は元の形に戻らないため、Ag被覆微粒子103同士の接続が離れてしまい、接点抵抗が増大することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-298963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一態様は、接点を取った後の接点抵抗の増大を抑制できる導電性材料またはその製造方法、導電性材料エアゾールまたはその製造方法、接点またはその作製方法を提供することを課題とする。
また、本発明の一態様は、シールド材料として機能する導電材料またはその製造方法、導電性材料エアゾールまたはその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、本発明の種々の態様について説明する。
[1]液体状の導電性樹脂と、
前記導電性樹脂に混合された微粒子と、
を具備し、
前記微粒子は導電性または弾性を有することを特徴とする導電性材料。
[2]上記[1]において、
前記微粒子は、弾性を有する粒子に導電膜が被覆されたものであることを特徴とする導電性材料。
[3]上記[2]において、
前記弾性を有する粒子は樹脂または導電性樹脂からなり、
前記導電膜は金属膜であることを特徴とする導電性材料。
[4]上記[1]乃至[3]のいずれか一項において、
前記導電性材料は、前記導電性樹脂及び前記微粒子の総量に対して10重量%以上90重量%以下の前記微粒子を有することを特徴とする導電性材料。
[5]上記[1]乃至[4]のいずれか一項において、
前記微粒子の外径は0.55μm以上20μm以下であることを特徴とする導電性材料。
[6]上記[1]乃至[5]のいずれか一項において、
前記導電性材料は複数の前記微粒子を有し、
前記複数の前記微粒子は、第1の微粒子と、前記第1の微粒子の外径の1/2以下の外径を有する第2の微粒子を含むことを特徴とする導電性材料。
[7]上記[1]乃至[6]のいずれか一項において、
前記微粒子は角を有しないことを特徴とする導電性材料。
[8]上記[1]乃至[7]のいずれか一項において、
前記微粒子の形状は球形または楕円形であることを特徴とする導電性材料。
[9]上記[1]乃至[8]のいずれか一項に記載の導電性材料と噴射剤を充填した噴射容器を有することを特徴とする導電性材料エアゾール。
[9-1]上記[9]において、
前記噴射容器には前記導電性材料を希釈する希釈剤が充填されていることを特徴とする導電性材料エアゾール。
[10]重力方向に対して略平行な断面の内部形状が多角形である真空容器内に弾性を有する粒子を収容し、
前記断面に対して略垂直方向を回転軸として前記真空容器を回転または振り子動作させることにより、前記真空容器内の前記粒子を攪拌あるいは回転させながらスパッタリングを行うことで、前記粒子に導電膜を被覆することで微粒子を作製し、
前記微粒子を液体状の導電性樹脂に混合することを特徴とする導電性材料の製造方法。
[11]上記[10]において、
前記弾性を有する粒子は樹脂または導電性樹脂からなり、
前記導電膜は金属膜であることを特徴とする導電性材料の製造方法。
[12]上記[10]または[11]において、
前記微粒子の外径は20μm以下(好ましくは0.1μm以上20μm以下)であることを特徴とする導電性材料の製造方法。
[13]上記[10]乃至[12]のいずれか一項において、
前記粒子に導電膜を被覆することで作製される前記微粒子は複数の微粒子であり、
前記複数の微粒子は、第1の微粒子と、前記第1の微粒子の外径の1/2以下の外径を有する第2の微粒子を含むことを特徴とする導電性材料の製造方法。
[14]上記[10]乃至[13]のいずれか一項に記載の製造方法により製造された前記導電性材料と噴射剤を噴射容器に充填することを特徴とする導電性材料エアゾールの製造方法。
[14-1]上記[14]において、
前記噴射容器に前記導電性材料を希釈する希釈剤を充填することを特徴とする導電性材料エアゾールの製造方法。
[15]第1の導電部と第2の導電部との間に導電性材料を塗布し、
前記第1の導電部と前記第2の導電部に圧力を加えることで、前記第1の導電部と前記第2の導電部を前記導電性材料によって電気的に接続し、
前記導電性材料を硬化させることで接点を作製する方法であり、
前記塗布する際の前記導電性材料は、液体状の導電性樹脂と、
前記導電性樹脂に混合された微粒子と、
を具備し、
前記微粒子は導電性または弾性を有することを特徴とする接点の作製方法。
[16]上記[15]において、
前記微粒子は、弾性を有する粒子に導電膜が被覆されたものであることを特徴とする接点の作製方法。
[17]上記[16]において、
前記接点は、弾性変形した前記微粒子を有することを特徴とする接点の作製方法。
[18]上記[15]乃至[17]のいずれか一項において、
前記接点は、前記導電性樹脂及び前記微粒子の総量に対して10重量%以上90重量%以下の前記微粒子を有することを特徴とする接点の作製方法。
[19]第1の導電部と第2の導電部との間に配置された接点であり、
前記接点は、導電性樹脂と、
前記導電性樹脂に混合された微粒子と、を具備し、
前記微粒子は導電性または弾性を有することを特徴とする接点。
[20]上記[19]において、
前記微粒子は、弾性を有する粒子に導電膜が被覆されたものであることを特徴とする接点。
[21]上記[20]において、
前記弾性を有する粒子は樹脂または導電性樹脂からなり、
前記導電膜は金属膜であることを特徴とする接点。
[22]上記[20]または[21]において、
前記微粒子は弾性変形していることを特徴とする接点。
[23]上記[19]乃至[22]のいずれか一項において、
前記接点は、前記導電性樹脂及び前記微粒子の総量に対して10重量%以上90重量%以下の前記微粒子を有することを特徴とする接点。
【0009】
本発明の一態様によれば、接点を取った後の接点抵抗の増大を抑制することができる。
また、本発明の一態様によれば、シールド材料として機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一態様に係る導電性材料に用いられる微粒子を示す断面図である。
図2図1に示す微粒子を製造する際に用いる多角バレルスパッタ装置の概略を示す構成図である。
図3】本発明の一態様に係る導電性材料エアゾールを示す断面図である。
図4】(A)~(C)及び(C')は、本発明の一態様に係る接点の作製方法を説明するための断面図である。
図5図5(A)は、図2に示す多角バレルスパッタ装置を用いて樹脂の粒子にAg膜を被覆した微粒子を作製し、その微粒子の表面をSEMにより観察した画像、図5(B)は、その微粒子の断面をSEMにより観察した画像である。
図6図5に示す微粒子をTEMにより観察した画像を示す断面図である。
図7図7(A)は実施例1のサンプルの微粒子のHAADFによる像における元素マッピングの取得位置を示す図、図7(B)は図7(A)に示す取得位置で元素マッピングをTEM-EDXにより実施した結果を示す図である。
図8】実施例1のサンプルの微粒子のAg膜の電子線回折像である。
図9】実施例2のサンプルの微粒子の断面をFIB-SEMにより観察した画像である。
図10】実施例2のサンプルの微粒子の断面をTEMにより観察した画像を示す図である。
図11図11(A)は実施例2のサンプルの微粒子のHAADFによる像における元素マッピングの取得位置を示す図、図11(B)は図11(A)に示す取得位置で元素マッピングをTEM-EDXにより実施した結果を示す図である。
図12】実施例2のサンプルの微粒子のAg膜の電子線回折像である。
図13図5に示す微粒子を液状の導電性樹脂に混合した導電性材料を基板上に塗布した導電性材料膜のSEM画像である。
図14図5に示す微粒子を液状の導電性樹脂に混合した導電性材料を基板上に塗布した導電性材料膜のSEM画像である。
図15】プラスチックの板71上に各種の導電性材料を塗布して導電性材料膜72を形成し、縦方向の両端73,74にテスターを当て、抵抗値を測定する様子を示す図である。
図16】(A)~(C)は、従来の導電性材料を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0012】
<導電性材料>
導電性材料は、液体状の導電性樹脂と、この導電性樹脂に混合された微粒子を含むものである。微粒子は導電性及び弾性の少なくとも一方を有するとよい。導電性材料は、接点材料、電磁波シールド材料、帯電防止材料等の材料に用いることができる。
【0013】
液体状の導電性樹脂には、導電性高分子が溶剤等の液体に溶解しているものが好ましいが、溶剤等の液体に導電性高分子を分散させているものを含んでいるものでもよい。さらに好ましくは、バインダーとして導電性を有しない液体状樹脂、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等を含まない導電性樹脂がよい。なお、溶剤には水、アンモニア水、メタノール、エタノール、トルエン、アセトン、酢酸エチルなどを用いることができる。液体状の導電性樹脂の具体例としては、EL-2(荒川化学工業株式会社)、テイカトロンPシリーズ(テイカ株式会社)、SSPY及びTCNA(科研産業株式会社)等が挙げられる。
【0014】
導電性を有する微粒子としては金属微粒子を用いることができ、金属微粒子として、Ag、Au、Pt、Cu、パラジウム合金、ニッケル、銀銅合金、銀メッキ銅
を挙げることができる。
【0015】
弾性を有する微粒子は、図1に示す弾性を有する粒子3に導電膜52が被覆された微粒子53を用いることができる。この粒子3には、例えばナイロン、PMMA(Polymethyl methacrylate;ポリメタクリル酸メチル樹脂)などの樹脂、または導電性樹脂を用いることができる。ここでいう粒子3は、樹脂等からなる粒状のものをいう。
【0016】
導電膜52にはAg、Au、Pt、Cu、パラジウム合金、ニッケル、銀銅合金などの金属膜を用いることができる。また、微粒子53の外径Lは20μm以下(好ましくは0.1μm以上20μm以下)であるとよい。20μm以下とする理由は、導電性材料をエアゾール容器に入れてスプレーすることがようにするためである。別言すれば、20μm超の微粒子をエアゾール容器に入れるとスプレーすることができなくなる可能性があるからである。
【0017】
また、導電性材料は複数の微粒子を有し、その複数の前記微粒子は第1の微粒子と、その第1の微粒子の外径の1/2以下の外径を有する第2の微粒子を含むとよく、好ましくは様々な外径の微粒子を含むとよい。これにより、後述する接点を取る際に微粒子相互間の隙間を少なくできるからである。
【0018】
また、微粒子は、角を有しないものがよく、例えば球形または楕円形であるとよい。これにより、後述する接点を取る際に微粒子同士の接触面積を大きくすることができる。なお、球形または楕円形は、完全な球形または完全な楕円形である必要はなく、球形または楕円形に近いものでもよい。
【0019】
なお、導電性材料には、液体状の導電性樹脂及び微粒子の他に、エタノール等の揮発性溶剤、粘性を調節する溶剤、導電性材料を希釈する溶剤等が含まれていてもよい。また、図1では、弾性を有する粒子3を用いているが、弾性を有しない粒子(例えば弾性を有しない樹脂等の粒子)に導電膜52を被覆した微粒子を用いてもよい。この微粒子は導電性を有する微粒子に相当する。
【0020】
導電性材料は、液体状の導電性樹脂及び微粒子の総量に対して10重量%以上90重量%以下(好ましくは50重量%以上80重量%以下)の微粒子を含むとよい。
【0021】
<導電性材料の製造方法>
図2は、図1に示す微粒子を製造する際に用いる多角バレルスパッタ装置の概略を示す構成図である。この多角バレルスパッタ装置は、微粒子(粉体)の表面に導電膜を被覆させるための装置である。
【0022】
多角バレルスパッタ装置は、粒子(粉体試料)3に導電膜を被覆させる真空容器1を有しており、この真空容器1は直径200mmの円筒部1aとその内部に設置された断面が六角形のバレル(六角型バレル)1bとを備えている。ここで示す断面は、重力方向に対して略平行な断面である。なお、本実施の形態では、六角形のバレル1bを用いているが、これに限定されるものではなく、六角形以外の多角形のバレルを用いることも可能である。
【0023】
真空容器1には回転機構(図示せず)が設けられており、この回転機構により六角型バレル1bを矢印のように回転または振り子動作させることで該六角型バレル1b内の粒子(粉体試料)3を攪拌あるいは回転させながら被覆処理を行うものである。前記回転機構により六角型バレルを回転させる際の回転軸は、ほぼ水平方向(重力方向に対して垂直方向)に平行な軸である。また、真空容器1内には円筒の中心軸上に金属(例えばAg、Au、Pt、Cu等)からなるスパッタリングターゲット2が配置されており、このターゲット2は角度を自由に変えられるように構成されている。これにより、六角型バレル1bを回転または振り子動作させながら被覆処理を行う時、ターゲット2を粉体試料3の位置する方向に向けることができ、それによってスパッタ効率を上げることが可能となる。
【0024】
真空容器1には配管4の一端が接続されており、この配管4の他端には第1バルブ12の一方側が接続されている。第1バルブ12の他方側は配管5の一端が接続されており、配管5の他端はターボ分子ポンプ(TMP)10の吸気側に接続されている。ターボ分子ポンプ10の排気側は配管6の一端に接続されており、配管6の他端は第2バルブ13の一方側に接続されている。第2バルブ13の他方側は配管7の一端に接続されており、配管7の他端はポンプ(RP)11に接続されている。また、配管4は配管8の一端に接続されており、配管8の他端は第3バルブ14の一方側に接続されている。第3バルブ14の他方側は配管9の一端に接続されており、配管9の他端は配管7に接続されている。
【0025】
本装置は、真空容器1内の粉体試料3を加熱するためのヒータ17を備えている。また、本装置は、真空容器1内の粉体試料3に振動を加えるためのバイブレータ18を備えている。また、本装置は、真空容器1の内部圧力を測定する圧力計19を備えている。また、本装置は、真空容器1内に窒素ガスを導入する酸素ガス導入機構15を備えていると共に真空容器1内にアルゴンガスを導入するアルゴンガス導入機構16を備えている。また、本装置は、ターゲット2と六角型バレル1bとの間に高周波を印加する高周波印加機構(図示せず)を備えている。
【0026】
次に、上記多角バレルスパッタ装置を用いて粒子3にAg膜を被覆した微粒子の製造方法について説明する。
【0027】
まず、六角型バレル1b内に粒子3を導入する。この粒子3としてはPMMA粒子を用いることができる。また、ターゲット2にはAgを用いる。
【0028】
次いで、ターボ分子ポンプ10を用いて六角型バレル1b内に高真空状態を作り、六角型バレル内を所定の圧力まで減圧する。その後、アルゴンガス供給機構16によりアルゴンを六角型バレル1b内に導入する。そして、回転機構により六角型バレル1bを50Wで180分間、3.5rpmで回転または振り子動作させることで、六角型バレル1b内の粒子3を回転させ、攪拌させる。その際、ターゲットは粉体試料の位置する方向に向けられる。その後、高周波印加機構によりターゲット2と六角型バレル1bとの間に高周波を印加することで、粒子3の表面にAg膜をスパッタリングする。このようにして粒子3の表面にAg膜を被覆することができる。
【0029】
図2に示す多角バレルスパッタリング装置によれば、六角型バレル自体を回転させることで粉体自体を回転させ攪拌でき、更にバレルを六角型とすることにより、粉体を重力により定期的に落下させることができる。このため、攪拌効率を飛躍的に向上させることができ、粉体を扱う時にしばしば問題となる水分や静電気力による粉体の凝集を防ぐことができる。つまり回転により攪拌と、凝集した粉体の粉砕を同時かつ効果的に行うことができる。したがって、粒径の非常に小さい粒子にAg膜を被覆することが可能となる。具体的には、粒径が20μm以下の粒子に金属膜を被覆することが可能となる。
【0030】
また、本装置では、真空容器1の外側にヒータ17を取り付けており、このヒータ17により六角型バレル1bを200℃まで加熱することができる。このため、真空容器1の内部を真空にする際、ヒータ17で六角型バレルを加熱することにより、該六角型バレル内の水分を気化させ排気することができる。したがって、粉体を扱う時に問題となる水を六角型バレル内から除去することができるため、粉体の凝集をより効果的に防ぐことができる。
【0031】
また、本装置では、真空容器1の外側にバイブレータ18を取り付けており、このバイブレータ18により六角型バレル内の粒子3に振動を加えることができる。これにより、粉体を扱う時に問題となる凝集をより効果的に防ぐことが可能となる。
【0032】
尚、本装置では、バイブレータ18により六角型バレル内の粉体3に振動を加えているが、バイブレータ18の代わりに、又は、バイブレータ18に加えて、六角型バレル内に棒状部材を収容した状態で該六角型バレルを回転させることにより、粉体3に振動を加えることも可能である。これにより、粉体を扱う時に問題となる凝集をより効果的に防ぐことが可能となる。
【0033】
上記のようにして微粒子53を作製した後に、微粒子を液体状の導電性樹脂に混合する。これにより、導電性材料を作製することができる。導電性材料には更に、エタノール等の揮発性溶剤、粘性を調節する溶剤、導電性材料を希釈する溶剤等が含まれていてもよい。また、導電性材料は、液体状の導電性樹脂及び微粒子の総量に対して10重量%以上90重量%以下(好ましくは50重量%以上80重量%以下)の微粒子を含むとよい。
【0034】
また、図1に示す微粒子53以外の前述した微粒子を液体状の導電性樹脂に混合するこれで、導電性材料を作製してもよい。
【0035】
<導電性材料エアゾール>
導電性材料エアゾールは、上記の導電性材料と噴射剤を充填した噴射容器を有している。この噴射容器には導電性材料を希釈する希釈剤が充填されていてもよい。詳細には、上記の導電性材料を噴射剤と共に噴射容器に充填すること、または上記の導電性材料を揮発性の高い希釈剤で希釈し、得られた導電性材料液を噴射剤と共に噴射容器に充填することにより、導電性材料エアゾールを製造することができる。なお、希釈剤と噴射剤は一般に同種のエアゾール製品に使用されるものでよく、例えば、希釈剤としては水、アンモニア水、メタノール、エタノール、トルエン、アセトン、酢酸エチルなどを使用でき、噴射剤としては液化炭化水素ガスまたは圧縮ガスを用いることができる。
【0036】
また、微粒子の粒径は、エアゾール製品としたとき目詰まりなく噴霧することができる大きさであれば良く、例えば20μm以下であることが好ましい。また、エアゾール容器内の微粒子量は例えば3重量%程度が好ましい。
【0037】
一定量の噴射が行える定量バルブを備えたエアゾール容器を用いることによって、必要量だけを噴射して塗布することができ、微粒子の無駄な消費を防ぐことが可能となる。なお、定量バルブは、一般に使用量の少ない香水や医薬品等に使用され、1回の作動ごとに一定容量を噴射するように設計されているバルブである。
【0038】
例えば、一例として図3に概略を示すように、定量バルブ2を備えた定量噴射型の容器31では、アクチュエーター23が押し下げられると、まず定量室2aとディップチューブ24との間が遮断され、更に押し下げると定量室2aが開いて内容物がノズル口25から大気中に噴射される。その後、アクチュエーター23を開放すると、最初に定量室2aから大気中への経路が遮断され、続いてディップチューブ24を通して内容物が定量室2aに供給されるようになっている。
【0039】
また、容器31内には、液体状の導電性樹脂と、導電性または弾性を有する微粒子を主成分とした導電性材料と、これに液化炭化水素ガスのような噴射剤が含まれた液相26が収容されている。液相26には複数の微粒子が分散しており、液相26中には微粒子53が沈降している。また、容器31内には、液化炭化水素ガスのような噴射剤からなる気相28と、撹拌効率を高めるための撹拌ボール29が収容されている。
【0040】
<接点の作製方法>
本発明の一態様に係る接点の作製方法について図4を参照しつつ説明する。
図4(A)に示すように、液体状の導電性樹脂63に微粒子53を混合した導電性材料を第1の導電部61と第2の導電部62との間に塗布する。この際の塗布方法は、上述した導電性材料エアゾールによって第1の導電部61に噴射して塗布する方法を用いても良い。なお、ここで用いる導電性材料は、前述した導電性材料のいずれかを用いる。
【0041】
次に、図4(B)に示すように、第1の導電部61と第2の導電部62に矢印のように圧力を加える。これにより、微粒子53が押し潰され、微粒子53が弾性変形して微粒子53同士が接続され、第1の導電部61と第2の導電部62が電気的に接続される。このようにして第1の導電部61と第2の導電部62との間に導電性材料による接点が取られる。次いで、この状態で所定時間が経過すると導電性材料が乾燥し、液体状の導電性樹脂63が硬化した固体状の導電性樹脂63a及び微粒子53による固着した接点を作製することができる。なお、図4(A)に示す導電性材料は、液体状の導電性樹脂63及び微粒子53の総量に対して10重量%以上90重量%以下(好ましくは50重量%以上80重量%以下)の微粒子53を有するとよい。また、図4(B)に示す導電性材料は、固体状の導電性樹脂63a及び微粒子53の総量に対して10重量%以上90重量%以下(好ましくは50重量%以上80重量%以下)の微粒子53を有するとよい。
【0042】
上記実施形態によれば、弾性を有する粒子3に導電膜52を被覆した微粒子53を用いることで、第1の導電部61または第2の導電部62に意図しない何らかの力が加えられ、図4(C)または図4(C')に示すように第1の導電部61または第2の導電部62の位置が変わってしまい、接点のずれが生じても、潰されて弾性変形した微粒子53の弾性力によって微粒子53同士の接続が離れてしまうことを抑制できる。その結果、接点抵抗を低い状態に維持することができ、接点の保持が可能となる。
【0043】
また、粒子3に金属膜を被覆した微粒子を液体状の導電性樹脂に混合させることで、導電性材料に高レベル(例えば接点材料レベル)の導電性を持たせることができる。
【0044】
また、樹脂等の粒子3に金属膜を被覆した微粒子は、金属からなる金属微粒子に比べて液体状の導電性樹脂に近い比重を有する。このため、金属微粒子を液体状の導電性樹脂に混合させた場合に比べて、液体状の導電性樹脂により均一性良く分散させることが可能となる。従って、接点等に用いた場合、より高い信頼性を得ることができる。
【0045】
つまり、樹脂の粒子3に金属膜を被覆した微粒子を利用することにより、導電性樹脂内での分散性を維持しつつ、金属材料レベルの導電性を確保することが可能となる。
【0046】
また、弾性を有しないが導電性を有する微粒子または導電性を有しないが弾性を有する微粒子を用いても、その微粒子が導電性樹脂63に混合されているため、図4(C)または図4(C')に示すように第1の導電部61または第2の導電部62の位置が変わってしまっても、その導電性樹脂63によって接点抵抗を低い状態に維持することが可能となる。
【0047】
また、導電性材料を接点材料に用いる場合、弾性を有する微粒子の粒径は0.55μm以上(好ましくは0.6μm以上)であるとよい。これにより、接点抵抗を低い状態に維持する効果を大きくできると考えられる。
【0048】
また、樹脂からなる粒子3にAgなどの導電膜を被覆した微粒子を用いるため、導電材料からなる微粒子を用いる場合に比べて導電材料の使用量を大幅に減少させることができる。従って、材料コストを低減することができる。
【0049】
また、樹脂からなる粒子3にAgなどの導電膜を被覆した微粒子と導電性樹脂を有する導電性材料は高分子材料が大部分であるため、耐食性に優れた接点を作製することができる。また、微粒子と導電性樹脂との比重さが小さく、高分子材料は電界の影響が小さいため、長期にわたり均一に分散した接点を得ることができる。
【0050】
また、導電性材料エアゾールによって噴射して塗布することで接点を作製するため、塗布面を滑らかにすることができ、均一に塗布することができ、接点の抵抗値のばらつきを抑えることができる。
【0051】
なお、本実施形態では、液体状の導電性樹脂も微粒子を混合した材料を導電性材料に用いているが、この材料を導電性接着材または導電性塗料として用いることも可能である。導電性接着剤は、水晶振動子発振器、セラミックス振動子、表面実装、チップボンディング、液晶表示素子等に用いることができる。また、導電性塗料は、電磁波シールド、静電シールドなどに用いることができる。また、導電性材料は、プリント配線板のスルーホール、ジャンパー、接点等に用いることができ、またフレキシブル回路、メンブレン導体、機能材料、ICカード、透明タッチパネル、エレクトロルミネッセンス発光パネル等に用いることができる。
【実施例
【0052】
実施例1のサンプルとして、図2に示す多角バレルスパッタ装置を用いてナイロン粒子にAg膜を被覆した微粒子を作製した。
【0053】
また、実施例2のサンプルとして、図2に示す多角バレルスパッタ装置を用いてPMMA粒子にAg膜を被覆した微粒子を作製した。
【0054】
実施例1のサンプル及び実施例2のサンプルそれぞれの成膜条件は、表1に示すとおりであり、スパッタリングターゲットはAgを用いた。
【0055】
【表1】
【0056】
図5(A)は、実施例1のサンプルの微粒子の表面をSEM(Scanning Electron Microscope)により観察した画像であり、図5(B)は、その微粒子の断面をSEMにより観察した画像である。
【0057】
図5(B)に示すように、ナイロン粒子の表面にAg膜が均一に成膜されていることが分かる。
【0058】
図6は、実施例1のサンプルの微粒子の断面をTEM(Transmission Electron Microscope)により観察した画像を示す図である。図6によれば、Ag膜の膜厚は約100nmである。
【0059】
図7(A)は、実施例1のサンプルの微粒子のHAADF(high-angle annular dark field)による像における元素マッピングの取得位置を示す図であり、図7(B)は、図7(A)に示す取得位置で元素マッピングをTEM-EDX(エネルギー分散型X線分光法)により実施した結果を示す図である。図7(B)によれば、Ag膜が粒子を被覆しているのが確認された。
【0060】
図8は、実施例1のサンプルの微粒子のAg膜の電子線回折像である。
【0061】
図9は実施例2のサンプルの微粒子の断面をFIB(Focused Ion Beam)-SEMにより観察した画像である。図9に示すように、PMMA粒子の表面にAg膜が成膜されていることが分かる。
【0062】
図10は、実施例2のサンプルの微粒子の断面をTEMにより観察した画像を示す図である。図9及び図10によれば、Ag膜の膜厚は約100nmである。
【0063】
図11(A)は、実施例2のサンプルの微粒子のHAADFによる像における元素マッピングの取得位置を示す図であり、図11(B)は、図11(A)に示す取得位置で元素マッピングをTEM-EDXにより実施した結果を示す図である。図11(B)によれば、Ag膜が粒子を被覆しているのが確認された。
【0064】
図12は、実施例2のサンプルの微粒子のAg膜の電子線回折像である。
【0065】
図13は、実施例1のサンプルの微粒子を液状の導電性樹脂に混合した導電性材料を基板上に塗布した導電性材料膜のSEM画像である。この導電性材料は、液体状の導電性樹脂及び微粒子の総量に対して50重量%の微粒子を含むものである。液体状の導電性樹脂はEL-2(荒川化学工業株式会社)を用いた。
【0066】
図14は、実施例1のサンプルの微粒子を液状の導電性樹脂に混合した導電性材料を基板上に塗布した導電性材料膜のSEM画像である。この導電性材料は、液体状の導電性樹脂及び微粒子の総量に対して80重量%の微粒子を含むものである。液体状の導電性樹脂は図13に示す導電性材料の導電性樹脂と同様のものを用いた。
【0067】
図15は、プラスチックの板(25mm×25mm×2mm)71上に各種の導電性材料を塗布して導電性材料膜(25mm×5mm×厚さ0.05mm)72を形成し、その縦方向の両端73,74にテスターを当て、抵抗値を測定する様子を示す図である。塗布の際は、塗布部の両端に厚さ0.05mmのガイド(セロテープ(登録商標))取り付け、ガイドに合わせて導電性材料の液をヘラで均一に伸ばし、これを乾燥させた。
【0068】
測定に利用した導電性材料は、図13に示す導電性材料と同様のもの(導電スプレー液50wt%)である実施例(1)と、図14に示す導電性材料と同様のもの(導電スプレー液80wt%)である実施例(2)と、エポキシ樹脂にAgフィラーとトルエンを混合した導電性ペースト(藤倉化成のドータイト)である比較例(1)と、図13に示す導電性材料に用いた導電性樹脂液である比較例(2)の4種類である。
【0069】
上記の4種類の導電性材料を図15に示すように塗布して形成した導電性材料膜の抵抗値を測定した結果を表1に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
表2によれば、実施例(1)の導電スプレー液50wt%と実施例(2)の導電スプレー液80wt%は良好な抵抗値が得られることが確認できた。
【符号の説明】
【0072】
1…真空容器
1a…円筒部
1b…六角形のバレル(六角型バレル)
2…スパッタリングターゲット
3…粒子(粉体試料)
4~9…配管
10…ターボ分子ポンプ(TMP)
11…ポンプ(RP)
12~14…第1~第3バルブ
15…酸素ガス導入機構
16…アルゴンガス導入機構
17…ヒータ
18…バイブレータ
19…圧力計
22…定量バルブ
22a…定量室
23…アクチュエーター
24…ディップチューブ
25…ノズル口
26…液相
28…気相
29…撹拌ボール
31…容器
52…導電膜
53…微粒子
61…第1の導電部
62…第2の導電部
63…液体状の導電性樹脂
63a…固体状の導電性樹脂
71…プラスチックの板
72…導電性材料膜
73,74…両端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16