(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/08 20060101AFI20230320BHJP
A47J 27/00 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
A47J27/08 C
A47J27/00 103P
(21)【出願番号】P 2021118111
(22)【出願日】2021-07-16
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】500201602
【氏名又は名称】シロカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一威
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲生
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103908151(CN,A)
【文献】特開2018-102627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00-27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内鍋を収容する収容部と、
前記収容部内に収容された前記内鍋の開口部を覆う蓋と、
前記蓋に着脱自在に装着され、前記蓋と前記内鍋との間を密封するためのパッキンと、
前記蓋を保持する蓋ハウジングと、
前記収容部を収容する本体ハウジングと、
前記蓋と前記収容部とが重ね合わされた状態で前記蓋と前記収容部とがその重ね合わせ面と平行な方向に相対的に回転されることにより、前記パッキンによって前記蓋と前記内鍋との間が密封される状態で前記蓋と前記収容部とを係止する係止機構と、
前記収容部に前記内鍋が収容されていない状態および前記蓋に前記パッキンが装着されていない状態の少なくともいずれかの状態である第1状態の場合に、前記蓋の前記回転を規制することにより前記係止機構による前記蓋と前記収容部との係止を阻止する阻止機構と、
を備え
、
前記係止機構は、
前記収容部の上部開口の外周から外側に張り出すフランジと、
前記蓋の外周に形成された係合部と、を含み、
前記蓋と前記収容部とが重ね合わせられた状態で前記蓋と前記収容部とがその重ね合わせ面と平行な方向に相対的に回転されると前記フランジと前記係合部とが係合することにより前記蓋と前記収容部とが係止されるように構成され、
前記本体ハウジングは、前記収容部の前記フランジが懸架される上端部であってロック穴が形成された上端部を有し、
前記阻止機構は、
前記蓋ハウジング内に配置され、前記蓋ハウジングの下端部に形成されたロックピン孔を通って移動可能なロックピンと、
前記ロックピンを移動させる駆動機構と、を含み、
前記駆動機構は、
前記ロックピンを前記ロックピン孔から突出する方向に付勢する付勢部材と、
前記蓋に装着された前記パッキンと平面視において重なりうる前記蓋の部分に形成されたピン孔を通って移動可能な、前記蓋に装着された前記パッキンと当接する当接ピンと、
前記当接ピンの移動に伴って前記ロックピンが連動するように前記当接ピンと前記ロックピンとを連結する連結部材と、
前記連結部材の前記ロックピンの軸と平行な方向への移動を案内するガイド部材と、を含み、
前記第1状態の場合、前記付勢部材による付勢力によって前記ロックピンの先端部が前記ロック穴に係合するように前記ロックピンを移動させることにより前記回転を規制し、
前記収容部に前記内鍋が収容され、かつ前記蓋に前記パッキンが装着されている状態である第2状態の場合、前記内鍋および前記パッキンが前記付勢部材の付勢力に抗して前記先端部が前記ロック穴から離れるように前記ロックピンを移動させることにより前記回転の規制を解除する、ように構成され、
前記ガイド部材の一端は、前記蓋ハウジングの天板の下面と接続されており、
前記付勢部材は、前記蓋ハウジングの前記天板と前記連結部材との間の前記ガイド部材を囲むように配置されたコイルばねである、
ことを特徴とする調理器。
【請求項2】
前記パッキンが前記蓋に装着され前記当接ピンが前記パッキンに当接した状態において、前記内鍋が前記収容部に収容されていないときは、前記ロックピンの前記先端部が前記ロックピン孔から突出し前記ロック穴に係合する、ことを特徴とする請求項
1に記載の調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力鍋や炊飯器等の調理器においては、内鍋が収容された本体の上に蓋体を載置し、本体と蓋体の重ね合わせ面と平行な方向に蓋体を回転させることにより蓋を閉める構成のものがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の調理器では、清掃を可能にするため、内鍋はもちろんのこと、蓋体のパッキン等が着脱可能に構成されているものも多い。
【0005】
この場合、パッキンを装着し忘れたまま、あるいは内鍋をセットし忘れたまま調理が開始されることを確実に防止する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によれば、内鍋を収容する収容部と、前記収容部内に収容された前記内鍋の開口部を覆う蓋と、前記蓋に着脱自在に装着され、前記蓋と前記内鍋との間を密封するためのパッキンと、前記蓋を保持する蓋ハウジングと、前記収容部を収容する本体ハウジングと、前記蓋と前記収容部とが重ね合わされた状態で前記蓋と前記収容部とがその重ね合わせ面と平行な方向に相対的に回転されることにより、前記パッキンによって前記蓋と前記内鍋との間が密封される状態で前記蓋と前記収容部とを係止する係止機構と、前記収容部に前記内鍋が収容されていない状態および前記蓋に前記パッキンが装着されていない状態の少なくともいずれかの状態である第1状態の場合に、前記蓋の前記回転を規制することにより前記係止機構による前記蓋と前記収容部との係止を阻止する阻止機構と、を備え、前記係止機構は、前記収容部の上部開口の外周から外側に張り出すフランジと、前記蓋の外周に形成された係合部と、を含み、前記蓋と前記収容部とが重ね合わせられた状態で前記蓋と前記収容部とがその重ね合わせ面と平行な方向に相対的に回転されると前記フランジと前記係合部とが係合することにより前記蓋と前記収容部とが係止されるように構成され、前記本体ハウジングは、前記収容部の前記フランジが懸架される上端部であってロック穴が形成された上端部を有し、前記阻止機構は、前記蓋ハウジング内に配置され、前記蓋ハウジングの下端部に形成されたロックピン孔を通って移動可能なロックピンと、前記ロックピンを移動させる駆動機構と、を含み、前記駆動機構は、前記ロックピンを前記ロックピン孔から突出する方向に付勢する付勢部材と、前記蓋に装着された前記パッキンと平面視において重なりうる前記蓋の部分に形成されたピン孔を通って移動可能な、前記蓋に装着された前記パッキンと当接する当接ピンと、前記当接ピンの移動に伴って前記ロックピンが連動するように前記当接ピンと前記ロックピンとを連結する連結部材と、前記連結部材の前記ロックピンの軸と平行な方向への移動を案内するガイド部材と、を含み、前記第1状態の場合、前記付勢部材による付勢力によって前記ロックピンの先端部が前記ロック穴に係合するように前記ロックピンを移動させることにより前記回転を規制し、前記収容部に前記内鍋が収容され、かつ前記蓋に前記パッキンが装着されている状態である第2状態の場合、前記内鍋および前記パッキンが前記付勢部材の付勢力に抗して前記先端部が前記ロック穴から離れるように前記ロックピンを移動させることにより前記回転の規制を解除し、前記ガイド部材の一端は前記蓋ハウジングの天板の下面と接続されており、前記付勢部材は、前記蓋ハウジングの前記天板と前記連結部材との間の前記ガイド部材を囲むように配置されたコイルばねである、ことを特徴とする調理器が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、着脱可能な部品が未装着のまま調理が開始されることを確実に防止できる調理器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1は、実施形態における調理器100の外観を示す斜視図、
図2は、調理器100の分解斜視図である。調理器100は、電気圧力鍋、炊飯器等の加熱調理器でありうる。調理器100は、所定の加熱プログラムに従って内鍋Cの加熱制御を行う本体部Aと、本体部Aの上部に着脱可能な蓋部Bとを含む。
【0011】
本体部Aは、内鍋Cを収容する収容部10と、本体ハウジングLと、ユーザインタフェース13とを含みうる。収容部10は、外鍋とも呼ばれ、内鍋Cに熱を伝えるため金属等でできている。収容部10の下方には、収容部10を介して内鍋Cを加熱する不図示の加熱部(ヒータ)が配置されている。加熱部は、収容部10に収容された内鍋Cを誘導加熱する誘導加熱コイルを備えうる。また、本体部Aは、加熱部を制御する制御部も備えうる。収容部10は、本体ハウジングLに固定されていてよい。ユーザインタフェース13は、調理に関する設定を行うためのボタンまたはダイヤル等の操作部と、設定内容や時計を表示する表示部とを含みうる。また、ユーザインタフェース13は、調理ガイダンス、設定内容、警告等を音声で報知する報知部を更に含んでいてもよい。
【0012】
蓋部Bは、蓋ハウジングK(外蓋)と、内蓋22と、ハンドル23と、圧力切替弁24とを含みうる。内蓋22は、収容部10内に収容された内鍋Cの開口部を覆う蓋である。内蓋22は蓋ハウジングKに固定されていてよいし、取り外し可能に構成されていてもよい。ハンドル23は、蓋部Bの開閉動作を行うためにユーザが把持する部分である。圧力切替弁24は、調理中の内鍋C内の圧力モードを切り替えるための弁である。また、内蓋22には、内蓋22と内鍋C(の開口周縁部)との間を密封するためのパッキンPが着脱自在に装着される。パッキンPの装着のための構成については後述する。本実施形態において、本体ハウジングLおよび蓋ハウジングKは円筒形状であり、平面視において円盤状の形態をなしているが、これに限定されない。例えば、本体ハウジングLおよび蓋ハウジングKは四角柱状の形状を有していてもよい。
【0013】
調理器100は、本体部Aに蓋部Bを閉めるために、内蓋22と収容部10とを係止する係止機構Dを備える。係止機構Dは、蓋部B(内蓋22)と本体部A(収容部10)とが重ね合わされた状態で、蓋部Bと本体部Aとがその重ね合わせ面と平行な方向に相対的に回転されることにより、パッキンPによって内蓋22と内鍋Cとの間が密封される状態で内蓋22と収容部10とを係止する。以下、係止機構Dの構成の具体例を説明する。
【0014】
本体部Aにおける収容部10は、内鍋Cが出し入れされる上部開口の外周から外側に張り出すフランジ12を有する。収容部10は、本体ハウジングLの上端部11にフランジ12が懸架された状態で本体ハウジングLによって保持されている。一方、内蓋22の外周には、フランジ12を係合するフック25(係合部)が形成されている。フランジ12には、フック25の通過部となる切り欠き12aが等角度間隔で形成されている。フック25は、この切り欠き12aに対応する角度間隔で形成されている。
図3には、蓋部Bを下方からみた分解斜視図が示されている。ここでは、内蓋22は蓋ハウジングKの下面に予め接合されている。
図3によれば、内蓋22の内周から内方に張り出すフック25が等角度間隔で形成されているようすが見て取れる。係止機構Dは、上記のような収容部10に形成されたフランジ12および切り欠き12aと、内蓋22に形成されたフック25とを含みうる。
【0015】
本体部Aに蓋部Bを閉めるには、まず、フック25が切り欠き12aを上から下に通過できる所定位置にて本体部A(収容部10)の上に蓋部B(内蓋22)を載置する。これにより、蓋部B(内蓋22)と本体部A(収容部10)とが重ね合わされた状態になる。なお、フック25が切り欠き12aを上下方向に通過できる所定位置がユーザに一目で分かるように本体部Aと蓋部Bのそれぞれに目印が記されていてもよい。その状態で、ユーザは、ハンドル23を操作して蓋部Bを本体部Aとの重ね合わせ面と平行な方向(以下、円周方向ともいう。)に所定角度(例えば15°)回転させる。そうすると、フランジ12がフック25に嵌まり込み、これにより本体部Aと蓋部Bとの閉動作が完了する。
図1は、こうして蓋部Bが閉められた状態を示している。なお、フランジ12とフック25とが確実に係合する位置で回転を完了できるよう、所定角度以上の回転を規制するストッパーが設けられてもよい。
【0016】
上記したように、内蓋22には、内蓋22と内鍋C(の開口周縁部)との間を密封するためのパッキンPが着脱自在に装着される。
図3および
図4を参照して、パッキンPの装着のための構成を説明する。
図3は、蓋部Bを下方からみた分解斜視図であり、ここでは、内蓋22は蓋ハウジングKの下面に接合されている。パッキンPは、内蓋22の内周形状に沿うリング状の蓋パッキンである。パッキンPの材質は、シリコンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム等でありうる。パッキンPを保持するパッキンホルダHは、パッキンPの形状に適合する形状の金属製のリング部材31を含み、該リング部材31の例えば3箇所に接合部材30が設けられている。パッキンホルダHは、接合部材30によって内蓋22の下面に同心円状に接合される。
図4は、接合部材30によってパッキンホルダHが内蓋22に接合された状態を示している。
【0017】
パッキンPの内周部には溝32が形成されている。パッキンホルダHのリング部材31をパッキンPの溝32に円周にわたって嵌め込むことによって、パッキンPは内蓋22に装着される。内鍋Cが収容部10に収容され、かつパッキンPが内蓋22に装着された状態において、上述した蓋部Bの閉動作を行うことができる。
【0018】
パッキンPの装着および取り外しはユーザが容易に行うことが可能である。ユーザは、パッキンPを取り外しパッキンP単体で清掃を行うことができる。調理を行う際には、ユーザは、パッキンPを内蓋22に装着し、内鍋Cを収容部10に収容する。ここで、ユーザがパッキンPを内蓋22に装着し忘れたまま調理が開始された場合には、内蓋22と内鍋Cとの間が密封状態にならないため内鍋C内を加圧することができず、正常に調理を行うことができない。仮にそのまま調理が開始されたとしても、内鍋Cで沸騰した調理具材の蒸気または水分が内鍋Cと内蓋22との間から溢れ出てしまう。その場合、溢れ出た水分が本体内部に侵入して調理器100が故障する可能性もある。また、ユーザが内鍋Cを収容部10に収容し忘れた場合には、そもそも調理ができない。仮にそのまま調理が開始された場合には、内鍋Cがない状態で加熱部に電力が供給されて、いわゆる空焚き状態になるため、調理器100が故障する可能性がある。
【0019】
以上のことから、パッキンPを内蓋22に装着し忘れたまま、あるいは内鍋Cを収容部10に収容し忘れたまま調理が開始されることを確実に防止する必要がある。
【0020】
そこで、本実施形態における調理器100は、収容部10に内鍋Cが収容されていない状態および内蓋22にパッキンPが装着されていない状態の少なくともいずれかの状態(第1状態)の場合に、蓋部B(内蓋22)を閉めるための蓋部Bの回転を規制することにより係止機構Dによる内蓋22と収容部10との係止を阻止する阻止機構Eを備える。
図4~
図6を参照して、阻止機構Eについて説明する。
【0021】
図5には、収容部10のフランジ12が懸架される本体ハウジングLの上端部11の拡大図が示されている。
図5に示されるように、本体ハウジングLの上端部11には、下方に凹んだ形状のロック穴52が形成されている。ロック穴52は、本体ハウジングLの円周方向と交差する方向に延びる周壁52aによって画定されている。ロック穴52は、周壁52aによって画定された段差、溝、凹部であってもよい。
【0022】
図4には、パッキンホルダHが内蓋22に接合された蓋部Bが示されている。ただしここでは、パッキンPは取り外されている。
図4において、蓋ハウジングKの下端部(蓋部Bを閉じるときに本体ハウジングLの上端部11と重なり合う部分)にはロックピン孔60が形成されている。阻止機構Eは、このロックピン孔60を通って移動可能なロックピン61を含みうる。阻止機構Eは、ロックピン61を移動させる駆動機構Fを有する。駆動機構Fは、収容部10に内鍋Cが収容されていない状態および内蓋22にパッキンPが装着されていない状態の少なくともいずれかの状態(第1状態)の場合、ロックピン61の先端部がロック穴52に係合するようにロックピン61を移動させることにより蓋部Bの回転動作を規制する。また、駆動機構Fは、収容部10に内鍋Cが収容され、かつ内蓋22にパッキンPが装着されている状態(第2状態)の場合、ロックピン61の先端部がロック穴52から離れるようにロックピン61を移動させることにより蓋部Bの回転動作の規制を解除する。駆動機構Fの詳細については
図6を参照して後述する。
【0023】
図4に示されるようなパッキンPが取り外された状態においては、駆動機構Fの働きによりロックピン61が蓋ハウジングKの下端部から突出する。この状態において、本体部Aに蓋部Bを閉めるため、フック25が切り欠き12aを上から下に通過できる所定位置にて本体部Aの上に蓋部Bを載置すると、ロックピン61の先端部が本体ハウジングLの上端部11に形成されたロック穴52に入り込む。そのため、ユーザが蓋部Bを本体部Aとの重ね合わせ面と平行な方向に回転させようしても、ロックピン61がロック穴52の周壁52aに当接するため回転させることができない。
【0024】
一方、パッキンPがパッキンホルダHによって内蓋22に装着され、かつ内鍋3が収容部10に収容されている場合は、駆動機構Fの働きによりロックピン61の先端部がロック穴52から離れるように移動し、ロックピン61はロックピン孔60を通って蓋ハウジングK内に没入する。これにより、蓋部Bの本体部Aとの重ね合わせ面と平行な方向への回転の規制が解除され、これにより蓋部Bの閉動作が可能になる。
【0025】
図6には、駆動機構Fの詳細構成例が示されている。
図6において、ロックピン61は、蓋ハウジングK内に配置され、蓋ハウジングKの下端部に形成されたロックピン孔60を通って移動可能である。また、
図4に示すように、内蓋22に装着されたパッキンPと平面視において重なりうる内蓋22の部分には、ピン孔40が形成されている。駆動機構Fは、このピン孔40を通って移動可能な、内蓋22に装着されたパッキンPと当接する当接ピン62を更に含みうる。
図4のようにパッキンPが未装着の状態においては、当接ピン62はピン孔40から突出している。
【0026】
図6に示すように、駆動機構Fは、当接ピン62とロックピン61とを連結する連結部材63を更に有する。この連結部材63によって、当接ピン62とロックピン61とが連動する。駆動機構Fは、ロックピン61をロックピン孔60から突出する方向に付勢する付勢部材であるコイルばねSを更に有する。蓋ハウジングKの内壁64の上部には、連結部材63に形成された遊嵌孔(不図示)を貫通し蓋ハウジングKの天板の下面に接続されたロッド66が設けられており、コイルばねSはこのロッド66を囲むように配置されている。ロッド66は、連結部材63のロックピン61の軸と平行な方向への移動を案内するガイド部材として機能する。さらに、蓋ハウジングKの内部には、ロックピン61の横方向への移動を規制する規制部材67が設けられていてもよい。
【0027】
図6(a)は、収容部10に内鍋Cが収容され、かつ内蓋22にパッキンPが装着されている状態(第2状態)で、本体部Aに蓋部Bを閉めるためにフック25が切り欠き12aを上から下に通過できる所定位置にて本体部Aの上に蓋部Bが載置された状態を示している。この場合、内鍋Cによって押し上げられたパッキンPが当接ピン62に当接し、当接ピン62がコイルばねSの付勢力に抗して押し上げられる。ロックピン61は連結部材63を介して当接ピン62と連動し、ロックピン61の先端部がロック穴52から離れる。これが、蓋部Bの本体部Aとの重ね合わせ面と平行な方向への回転の規制が解除された状態であり、蓋部Bの閉動作が可能である。
【0028】
図6(b)は、内蓋22にパッキンPは装着されているが収容部10に内鍋Cが収容されていない状態で、本体部Aに蓋部Bを閉めるためにフック25が切り欠き12aを上から下に通過できる所定位置にて本体部Aの上に蓋部Bが載置された状態を示している。この場合、内鍋CがないためにパッキンPは当接ピン62を押し上げることができず、コイルばねSの付勢力によってロックピン61の先端部がロック穴52に係合したままである。これが、蓋部Bの本体部Aとの重ね合わせ面と平行な方向への回転が規制された状態であり、蓋部Bの閉動作が阻止される。このように、パッキンPが内蓋22に装着されたときは当接ピン62はパッキンPに当接はするが、内鍋Cが収容部10に収容されないかぎり、ロックピン61は、コイルばねSの付勢力に抗してロックピン61の先端部がロック穴52から離れるようには移動しない。
【0029】
図6(c)は、内蓋22にパッキンPが装着されていない状態で、本体部Aに蓋部Bを閉めるためにフック25が切り欠き12aを上から下に通過できる所定位置にて本体部Aの上に蓋部Bが載置された状態を示している。この場合、内蓋22にパッキンPが装着されていないため、内鍋Cが収容部10に収容されていたとしても内鍋Cは当接ピン62には届かない。そのため当接ピン62は押し上げられず、コイルばねSの付勢力によってロックピン61の先端部がロック穴52に係合したままである。したがってこの状態は、蓋部Bの本体部Aとの重ね合わせ面と平行な方向への回転が規制された状態であり、蓋部Bの閉動作が阻止される。
【0030】
以上説明した実施形態によれば、着脱可能な部品(パッキンP、内鍋C)が未装着のまま調理が開始されることを確実に防止することができる。
【0031】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
A:本体部、B:蓋部、C:内鍋、D:係止機構、E:阻止機構、F:駆動機構、P:パッキン、10:収容部、100:調理器