(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】気体式マッサージ機用給排気システム及びそれを備える気体式マッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20230320BHJP
【FI】
A61H7/00 322B
A61H7/00 322A
(21)【出願番号】P 2021206346
(22)【出願日】2021-12-20
【審査請求日】2021-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390006286
【氏名又は名称】株式会社テクノ高槻
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100138232
【氏名又は名称】野間 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】石井 英樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 一真
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第2751791(CN,Y)
【文献】韓国登録特許第10-1888920(KR,B1)
【文献】特開2005-058647(JP,A)
【文献】特開2000-189477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体供給装置と、
前記気体供給装置に接続される分配用バルブユニットと、
前記分配用バルブユニットに接続されるメインバルブユニットと、
を備え、
前記分配用バルブユニットは、
第1チャンバ、前記第1チャンバに接続される第1フリーポート、前記第1チャンバ及び前記気体供給装置を接続する第1接続ポート、前記第1チャンバ及び外部を接続する第2接続ポート、前記第1接続ポートの開閉を制御する第1電磁弁、並びに、前記第2接続ポートの開閉を制御する第2電磁弁を有する第1部分と、
前記第1チャンバに対して独立する第2チャンバ、前記第2チャンバに接続される第2フリーポート、前記第2チャンバ及び前記気体供給装置を接続する第3接続ポート、前記第2チャンバ及び外部を接続する第4接続ポート、前記第3接続ポートの開閉を制御する第3電磁弁、並びに、前記第4接続ポートの開閉を制御する第4電磁弁を有する第2部分と、を備え、
前記メインバルブユニットは、第3チャンバ
、前記第3チャンバに接続される第3フリーポート、及び少なくとも一つの第5電磁弁を含む第3部分と、前記第3チャンバに対して独立する第4チャンバ
、前記第4チャンバに接続される第4フリーポート、及び少なくとも一つの第6電磁弁を含む第4部分とを有する複数の電磁弁ユニットを備え、
前記第1部分
の前記第1フリーポートは、前記複数の電磁弁ユニットのそれぞれに含まれる前記第3部分
の前記第3フリーポートに接続され、
前記第2部分
の前記第2フリーポートは、前記複数の電磁弁ユニットのそれぞれに含まれる前記第4部分
の前記第4フリーポートに接続される、
気体式マッサージ機用給排気システム。
【請求項2】
前記第1電磁弁から前記第6電磁弁のそれぞれは、2方弁である、請求項1に記載の気体式マッサージ機用給排気システム。
【請求項3】
前記第1部分と前記第2部分とは、互いに同一構造を有する、請求項1または2に記載の気体式マッサージ機用給排気システム。
【請求項4】
前記分配用バルブユニットと、前記複数の電磁弁ユニットのそれぞれとは、互いに同一構成を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の気体式マッサージ機用給排気システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の気体式マッサージ機用給排気システムと、
前記気体供給装置から気体が供給される複数の気体室を有するマッサージ具と、
を備え、
前記第3部分は、前記第5電磁弁によって開閉が制御されると共に前記第3チャンバに接続される接続ポートを有し、
前記第4部分は、前記第6電磁弁によって開閉が制御されると共に前記第4チャンバに接続される接続ポートを有し、
前記複数の気体室は、前記第3部分
の前記接続ポートに接続される第1気体室と、前記第4部分
の前記接続ポートに接続される第2気体室とを有する、
気体式マッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体式マッサージ機用給排気システム及びそれを備える気体式マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
疲労回復、血行促進等を目的とするマッサージ機の一種として、圧縮空気の供給及び排出を利用した気体式マッサージ機(エアマッサージ機)が知られている。下記特許文献1には、膨張可能ブラダ(気体室)を含む圧縮ガーメントとの使用のための圧縮システムが開示される。下記特許文献1では、各膨張可能ブラダの開閉を制御する双方向弁の入口ポートと、通気弁の入口ポートとの両方が、同一のマニホールドに接続される。
【0003】
マッサージ機の動作の一つとして、マッサージ機の所定領域に対して気体を供給すると同時に、当該所定領域とは別の領域から気体を排出することが挙げられる。この場合、複数系統の流路が設けられる必要がある。下記特許文献2には、互いに異なる流路を形成する2つの電磁弁ユニットを備える気体式マッサージ機が開示される。下記特許文献2では、気体給排システムに含まれる各電磁弁ユニットは、マッサージ具の気体室に接続される複数の接続ポートに加えて、給気用ポート及び排気用ポートを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6785224号公報
【文献】特願2020-082607号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2における各電磁弁ユニットは、各接続ポートの開閉を制御する複数の電磁弁と、給気用ポートの開閉を制御する給気用電磁弁と、排気用ポートの開閉を制御す排気用電磁弁とを有する必要がある。このため、気体式マッサージ機における気体給排システム(特に、各電磁弁ユニットの構造)が複雑になる傾向がある。
【0006】
本発明の目的は、複数の流路が設けられる場合であっても、構造の簡易化を実現可能な気体式マッサージ機用給排気システム及びそれを備える気体式マッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る気体式マッサージ機用給排気システムは、気体供給装置と、気体供給装置に接続される分配用バルブユニットと、分配用バルブユニットに接続されるメインバルブユニットと、を備える。分配用バルブユニットは、第1チャンバ、第1チャンバに接続される第1フリーポート、第1チャンバ及び気体供給装置を接続する第1接続ポート、第1チャンバ及び外部を接続する第2接続ポート、第1接続ポートの開閉を制御する第1電磁弁、並びに、第2接続ポートの開閉を制御する第2電磁弁を有する第1部分と、第1チャンバに対して独立する第2チャンバ、第2チャンバに接続される第2フリーポート、第2チャンバ及び気体供給装置を接続する第3接続ポート、第2チャンバ及び外部を接続する第4接続ポート、第3接続ポートの開閉を制御する第3電磁弁、並びに、第4接続ポートの開閉を制御する第4電磁弁を有する第2部分と、を備え、メインバルブユニットは、第3チャンバ及び少なくとも一つの第5電磁弁を含む第3部分と、第3チャンバに対して独立する第4チャンバ及び少なくとも一つの第6電磁弁を含む第4部分とを有する複数の電磁弁ユニットを備え、第1部分は、複数の電磁弁ユニットのそれぞれに含まれる第3部分に接続され、第2部分は、複数の電磁弁ユニットのそれぞれに含まれる第4部分に接続される。
【0008】
この気体式マッサージ機用給排気システムによれば、分配用バルブユニットに含まれる第1チャンバと第2チャンバとは互いに独立し、メインバルブユニットに含まれる電磁弁ユニットの第3チャンバと第4チャンバとは互いに独立する。また、第1チャンバを含む分配用バルブユニットの第1部分は、第3チャンバを含む電磁弁ユニットの第3部分に接続され、第2チャンバを含む分配用バルブユニットの第2部分は、第4チャンバを含む電磁弁ユニットの第4部分に接続される。このため、上記給排気システムには2系統の流路が設けられるので、例えば、第1部分を介して第3チャンバへの気体供給を実施しつつ、第2部分を介して第4チャンバの気体排出が可能になる。加えて、メインバルブユニットと分配用バルブユニットとが互いに分離されるので、各バルブユニットの構成を簡易化できる。
【0009】
第1電磁弁から第6電磁弁のそれぞれは、2方弁でもよい。この場合、各バルブユニットの構造をより簡易化できる。
【0010】
分配用バルブユニットと、複数の電磁弁ユニットのそれぞれとは、互いに同一構成を有してもよい。この場合、給排気システム内の共通部品点数が多くなるので、コストダウンの実現と共にメンテナンス性を向上できる。
【0011】
本発明の一側面に係る気体式マッサージ機は、上記給排気システムと、気体供給装置から気体が供給される複数の気体室を有するマッサージ具と、を備え、複数の気体室は、第3部分に接続される第1気体室と、第4部分に接続される第2気体室とを有してもよい。この気体式マッサージ機によれば、給排気システムの制御によって、例えば第1気体室に気体供給しつつ、第2気体室から気体を排出できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面によれば、複数の流路が設けられる場合であっても、構造の簡易化を実現可能な気体式マッサージ機用給排気システム及びそれを備える気体式マッサージ機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る気体式マッサージ機を示す模式図である。
【
図3】
図3は、給排気システムの内部を示す概略斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、分配用バルブユニットを示す斜視図であり、
図4(b)は、分配用バルブユニットを示す正面図である。
【
図5】
図5(a)は、
図4(b)のVa-Va線に沿った概略断面図であり、
図5(b)は、
図4(b)のVb-Vb線に沿った概略断面図である。
【
図6】
図6は、分配用バルブユニットの回路図を示す。
【
図7】
図7は、マッサージ具の一部、エアポンプ、分配用バルブユニット、及び1つの電磁弁ユニットの回路図である。
【
図8】
図8は、マッサージ具を用いた揉みパターンの例を示す図である。
【
図9】
図9は、マッサージ具を用いた揉みパターンの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0015】
本実施形態の気体式マッサージ機は、高圧気体を使用して被施術者の身体をマッサージする機器である。気体式マッサージ機は、例えば、被施術者の静脈、リンパの滞りを改善し、その流れを促進するなど、身体状態を改善することを目的に、被施術者の身体を「揉む」など、被施術者の身体に刺激を与えるために用いられる。ここで、本明細書において、「高圧気体」は、大気圧より高い気圧を有する気体を指す。本実施形態では、気体は、利便性の観点から、空気である。しかしながら、気体は、特に限定されず、He(ヘリウム)およびN2(窒素)などの不活性ガス、ならびにO2(酸素)などのその他のガスであってもよい。
【0016】
気体式マッサージ機1は、
図1に示されるように、マッサージ具2と、マッサージ具2に接続される給排気システム3とを備える。本実施形態における「接続」は、単なる物理的接続に限定されない。例えば、ホース、チューブ、タンクなどの中間部材を介して2つの装置間を気体、液体などの流体が流れるとき、当該2つの装置は互いに接続する(流体接続する)とみなされる。
【0017】
マッサージ具2は、被施術者の身体にマッサージを施すために、身体に装着される器具である。マッサージ具2は、
図1に示されるように、ホースHおよびコネクタCを介して給排気システム3(気体式マッサージ機用給排気システム)に接続される。マッサージ具2は、給排気システム3から高圧気体が供給されて膨張し、給排気システム3を介して高圧気体が排出されて収縮する。マッサージ具2は、膨張することで身体を圧迫し、収縮することで身体の圧迫を解除する。マッサージ具2は、身体の圧迫と圧迫解除を繰り返すことで、被施術者の身体をマッサージする。マッサージ具2は、本実施形態では、
図2に示されるように、被施術者の身体Bを囲むように装着されて、身体Bの周囲から身体Bを圧迫し、その後その圧迫を解除するように構成される。より具体的には、マッサージ具2は、右足を囲むように装着される第1マッサージ具21と、左足を囲むように装着される第2マッサージ具22とを備えている。
【0018】
第1および第2マッサージ具21、22はそれぞれ、第1および第2ホースH1、H2および第1および第2コネクタC1、C2を介して給排気システム3に接続される。ただし、マッサージ具2は、マッサージする身体Bに対応した形状を有していれば、図示されたような2つに分かれたブーツ形状に限定されない。例えば、左右のいずれか片側のみのブーツ形状であってもよいし、身体Bの下半身全体にマッサージを施すために左右の両足用に一体となったズボン形状を有していてもよいし、身体Bの腰部の周囲にマッサージを施すために半ズボン形状を有していてもよいし、身体Bの上半身全体にマッサージを施すためにシャツ形状を有していてもよい。
【0019】
マッサージ具2は、
図1および
図2に示されるように、高圧気体を受容して膨張し、高圧気体を排出して収縮する気体室211~218,221~228を有している。マッサージ具2は、気体室211~218,221~228が給排気システム3に流体接続されることにより、給排気システム3に流体接続される。また、マッサージ具2は、気体室211~218,221~228が膨張および収縮することにより、膨張および収縮するように構成される。マッサージ具2は、本実施形態では、複数(図示された例では16)の気体室211~218,221~228を有している。マッサージ具2は、気体室211~218,221~228を備えることにより、それぞれに対応する場所毎に膨張および収縮することができる。ただし、マッサージ具2は、膨張して身体Bを圧迫し、収縮して身体Bの圧迫を解除するように構成されていればよく、その目的のために、少なくとも1つの気体室を有していればよい。
【0020】
気体室211~218,221~228はそれぞれ、
図2に示されるように、マッサージ対象となる身体Bのそれぞれの部位に対応するように設けられている。マッサージ具2は、本実施形態では、
図2に示されるように、第1マッサージ具21および第2マッサージ具22用にそれぞれ、連続して設けられた気体室211~218,221~228を備えている。気体室211~218,221~228は、足先に対応する部位に設けられた気体室211,221から、上腿部に対応する部位に設けられた気体室218,228に向かって、順に配置されている。なお、マッサージ具2は、マッサージする身体Bの部位に応じて、また実施するマッサージの制御モードに応じて気体室の配置や数を適宜設定することが可能である。
【0021】
気体室211~218,221~228はそれぞれ、マッサージ対象となる身体Bの部位を囲むように、略筒状の袋体として形成される。気体室211~218,221~228はそれぞれ、膨張して身体Bの対応部位を圧迫し、収縮して身体Bの対応部位の圧迫を解除できるような大きさに形成される。気体室211~218,221~228の形状および大きさは、装着される身体Bの部位に応じて適宜決定することができる。また、気体室211~218,221~228は、高圧気体を蓄える気密性を有し、高圧気体の受容および排出によって変形可能であれば、特に限定されなく、例えば樹脂材料によって形成される。樹脂部材は、例えば弾性を有してもよい。
【0022】
給排気システム3は、少なくとも1つの気体室211~218,221~228に高圧気体を供給し、少なくとも1つの気体室211~218,221~228から高圧気体を排出する。給排気システム3は、
図1に示されるように、気体供給装置4と、気体供給装置4に接続される分配用バルブユニット5と、分配用バルブユニット5に接続されるメインバルブユニット6と、気体供給装置4、分配用バルブユニット5、及びメインバルブユニット6を制御する制御装置7とを有する。メインバルブユニット6は、第1マッサージ具21及び第2マッサージ具22に接続される。給排気システム3には、例えば動作モード(後述する揉みパターンなど)を表示する表示部などが設けられ得る。
【0023】
図3は、給排気システムの内部を示す概略斜視図である。
図3に示されるように、気体供給装置4と、分配用バルブユニット5と、メインバルブユニット6とは、筐体30上に載置される。筐体30は、図示しない蓋体と組み合わされることによって、給排気システム3の内部を保護する箱として機能する。
【0024】
気体供給装置4は、分配用バルブユニット5に高圧気体を供給する装置である。気体供給装置4は、例えば、高圧気体を送出するポンプ、バルブの開放によって高圧気体が噴出するボンベなどを備え得る。平面視にて、気体供給装置4は、方向Xに沿ってメインバルブユニット6と並び、方向Xに直交する方向Yに沿って分配用バルブユニット5と並ぶ。以下では、方向Xは前後方向とも称され、方向Yは左右方向とも称される。加えて、方向X及び方向Yに直交する方向Zは上下方向とも称される。
【0025】
気体供給装置4は、本体4aと、本体4aから外部へ気体を供給する供給口4b(
図7参照)と、吸入口4c(
図7参照)を備える。供給口4bは、分配用バルブユニット5に接続される。例えば、気体供給装置4は、供給口4bと、分配用バルブユニット5とを介してメインバルブユニット6へ気体を供給する。このとき、気体供給装置4は、吸入口4cを介して外部から気体を吸入する。
【0026】
図4(a)は、分配用バルブユニットを示す斜視図であり、
図4(b)は、分配用バルブユニットを示す正面図である。
図5(a)は、
図4(b)のVa-Va線に沿った概略断面図であり、
図5(b)は、
図4(b)のVb-Vb線に沿った概略断面図である。
図6は、分配用バルブユニットの回路図を示す。
図3、
図4(a),(b)、
図5(a),(b)及び
図6に示される分配用バルブユニット5は、メインバルブユニット6への高圧気体の供給と、メインバルブユニット6からの気体の吸入とを制御する装置である。分配用バルブユニット5は、例えば、気体供給装置4とメインバルブユニット6との間の流路を、気体供給装置4からメインバルブユニット6へ気体が供給される流路などに切り替える装置である。分配用バルブユニット5は、気体供給装置4よりも下流に位置し、メインバルブユニット6よりも上流に位置する。
【0027】
分配用バルブユニット5は、本体部50、第1フリーポートFP1、第2フリーポートFP2、第1接続ポートP1、第2接続ポートP2、第3接続ポートP3、及び第4接続ポートP4、第1開閉機構51、及び第2開閉機構52を有する。
【0028】
本体部50は、第1部材50a及び第2部材50bと、第1部材50aと第2部材50bとの間に位置するシール部材50cとを有する。第1部材50aは、本体部50における主要部であって、第1フリーポートFP1、第2フリーポートFP2、第1開閉機構51及び第2開閉機構52が設けられる。図示しないが、第1部材50aにおいて第2部材50bに対向する部分には窪みが設けられ、当該窪みには第1フリーポートFP1と第2フリーポートFP2とが連通する。第2部材50bは、本体部50における蓋部であって、第1接続ポートP1、第2接続ポートP2、第3接続ポートP3、及び第4接続ポートP4が設けられる。シール部材50cは、第1部材50aと第2部材50bとの気密性を付与する部材である。
【0029】
第1部材50a、第2部材50b、及びシール部材50cは、例えば、図示しない公知の固定手段(嵌合、ネジ止めなど)により互いに固定される。第1部材50aおよび第2部材50bは、高圧気体による押圧力、電磁弁によるポートの開閉に伴う押圧力に対して変形が抑制され得るような剛性を有していればよい。第1部材50aおよび第2部材50bのそれぞれは、例えば、樹脂材料、セラミック材料、金属材料などにより形成される。シール部材50cは、例えば環状の樹脂部材などである。
【0030】
分配用バルブユニット5は、方向Yに沿って並ぶ第1部分5aと第2部分5bとを有する。第1部分5aと第2部分5bとは、互いに独立している。すなわち、第1部分5aの内部空間と、第2部分5bの内部空間とは、互いに仕切られている。このため、第1部分5aに流入する気体は、第2部分5bに直接的に流入しない。換言すると、分配用バルブユニット5内にて、第1部分5a内の気体と、第2部分5b内の気体とは、互いに混合されない。
【0031】
第1部分5aは、チャンバCA1(第1チャンバ)、チャンバCA1及びメインバルブユニット6に接続される第1フリーポートFP1、気体供給装置4の供給口4bに接続される第1接続ポートP1、外部に接続される第2接続ポートP2、並びに、第1接続ポートP1の開閉及び第2接続ポートP2の開閉を制御する第1開閉機構51を有する。第2部分5bは、チャンバCA1とは異なるチャンバCA2(第2チャンバ)、チャンバCA2及びメインバルブユニット6に接続される第2フリーポートFP2、気体供給装置4の供給口4bに接続される第3接続ポートP3、外部に接続される第4接続ポートP4、並びに、第3接続ポートP3の開閉及び第4接続ポートP4の開閉を制御する第2開閉機構52を有する。なお、分配用バルブユニット5の外部は、例えば、給排気システム3の外気である。
【0032】
図5(a)に示されるように、チャンバCA1は、第1部分5aに設けられる内部空間であり、第1フリーポートFP1、第1接続ポートP1、及び第2接続ポートP2に連通する。チャンバCA1に流入する気体は、第1接続ポートP1を介して気体供給装置4から供給され、第1フリーポートFP1を介してメインバルブユニット6に供給される。もしくは、当該気体は、第2接続ポートP2を介して外部に排出される。
【0033】
第1フリーポートFP1は、方向Xにおいて給排気システム3の後側に向かって延在するポートであり、チャンバCA1に接続される。第1フリーポートFP1は、例えば、チューブ、タンクなどを介してメインバルブユニット6に接続される。第1接続ポートP1と第2接続ポートP2とのそれぞれは、方向Zにおいて給排気システム3の底側に向かって延在するポートである。第1接続ポートP1は、チャンバCA1及び気体供給装置4を接続する部分であり、第2接続ポートP2は、チャンバCA1及び外部を接続する部分である。
【0034】
図5(b)に示されるチャンバCA2は、第2部分5bに設けられる内部空間であり、第2フリーポートFP2、第3接続ポートP3、及び第4接続ポートP4に連通する。チャンバCA2は、チャンバCA1とは独立しており、チャンバCA1と略同一形状を有する。チャンバCA2に流入する気体は、第3接続ポートP3を介して気体供給装置4から供給され、第2フリーポートFP2を介してメインバルブユニット6に供給される。もしくは、当該気体は、第4接続ポートP4を介して外部に排出される。
【0035】
第2フリーポートFP2は、方向Xにおいて給排気システム3の後側に向かって延在するポートであり、チャンバCA2に接続される。第2フリーポートFP2は、例えば、チューブ、タンクなどを介してメインバルブユニット6に接続される。第3接続ポートP3と第4接続ポートP4とのそれぞれは、方向Zにおいて給排気システム3の底側に向かって延在するポートである。第3接続ポートP3は、チャンバCA2及び気体供給装置4を接続する部分であり、第4接続ポートP4は、チャンバCA2及び外部を接続する部分である。
【0036】
第1開閉機構51は、第1部分5aのチャンバCA1に流入される気体の流路を切り替える機構であり、第1接続ポートP1を開閉するための第1電磁弁V1と、第2接続ポートP2を開閉するための第2電磁弁V2とを有する。第1電磁弁V1は、電気で駆動することによって第1接続ポートP1を開閉する二方弁である。第2電磁弁V2は、電気で駆動することによって第2接続ポートP2を開閉する二方弁である。本実施形態では、第1電磁弁V1と第2電磁弁V2とは、互いに同一構造を有する。
【0037】
第2開閉機構52は、第2部分5bのチャンバCA2に流入される気体の流路を切り替える機構である。
図6に示されるように、第2開閉機構52は、第3接続ポートP3を開閉するための第3電磁弁V3と、第4接続ポートP4を開閉するための第4電磁弁V4とを有する。本実施形態では、第3電磁弁V3及び第4電磁弁V4のそれぞれは、第1電磁弁V1と同一構造を有する二方弁である。このため、以下では第1電磁弁V1の構造について説明し、第2電磁弁V2、第3電磁弁V3、及び第4電磁弁V4の説明を割愛する。
【0038】
第1電磁弁V1は、弁座Vaと、弁体Vbと、電磁石Vcと、付勢体Vdとを有する。弁座Vaは、開閉対象となる第1接続ポートP1に隣接しており、弁体Vbが当接可能に設けられる部分である。弁座Vaは、弁体Vbが当接された際に第1接続ポートP1が閉鎖されるように形成される。弁座Vaは、例えば、弁体Vbに向かって延在する略円筒台形状を有する。
【0039】
弁体Vbは、弁座Vaと共働して、第1接続ポートP1を開閉する部分であり、方向Zに沿って延在する棒状部分である。弁体Vbは、例えば、弁座Vaに当接する位置と、弁座Vaを露出させる位置との間で動作する。弁体Vbは、電磁石Vcの電磁力および付勢体Vdの付勢力によって、方向Zに沿って移動可能である。弁体Vbは、電磁石Vcの電磁力によって駆動されるように、鉄などの磁性体を含んでいる。弁座Vaに当接する弁体Vbの先端部は、ゴムなどの弾性体によって構成されてもよい。この場合、弁体Vbの先端部が弁座Vaに当接する際に、弁体Vbの先端部が弁座Vaの形状に追従して変形できる。これにより、弁座Vaと弁体Vbとが良好に密着する。
【0040】
電磁石Vcは、電力が供給されることによって、弁体Vbに電磁力を印加する。電磁石Vcは、本実施形態では、電力が供給された際に、弁座Vaから離間する方向に弁体Vbを付勢する電磁力を弁体Vbに印加することができるように構成される。しかし、電磁石Vcは、電力が供給された際に、弁座Vaに向かって弁体Vbを付勢する電磁力を弁体Vbに印加することができるように構成されてもよい。電磁石Vcは、特に限定されることはないが、構造の簡易性の観点から、弁体Vbを内部に収容する円筒状のソレノイドコイルを採用することができる。
【0041】
付勢体Vdは、第1接続ポートP1の開状態もしくは閉状態を維持するために、弁体Vbを所定の方向に付勢する。付勢体Vdは、例えば、上記閉状態を維持するために、弁体Vbを弁座Vaに向かって付勢する。この場合は、第1電磁弁V1は、電力が供給されないときに閉状態が維持される常時閉弁となる。付勢体Vdは、上記開状態を維持するために、弁体Vbを弁座Vaから離間する方向に付勢してもよい。この場合は、第1電磁弁V1は、電力が供給されないときに開状態が維持される常時開弁となる。付勢体Vdは、弁体Vbを所定の方向に付勢することができれば、特に限定されることはなく、公知のバネなどであればよい。
【0042】
図3に戻って、メインバルブユニット6は、分配用バルブユニット5と連動して、マッサージ具2の気体室211~218,221~228のそれぞれに高圧気体を供給する流路と、マッサージ具2の気体室211~218,221~228のそれぞれから高圧気体を排出する流路とを切り替える装置である。本実施形態では、メインバルブユニット6は、4つの電磁弁ユニット61~64を有する。電磁弁ユニット61~64は、方向Yに沿って順に並ぶ装置であり、少なくとも1つの電磁弁を有する。
【0043】
本実施形態では、電磁弁ユニット61~64のそれぞれは、分配用バルブユニット5と同一構造を有する。このため、電磁弁ユニット61~64のそれぞれは、2つのチャンバ(第3チャンバ及び第4チャンバ)と、2つのフリーポートと、4つの接続ポートと、4つの電磁弁(第5電磁弁及び第6電磁弁)とを有する。電磁弁ユニット61~64のそれぞれにおいて、各フリーポートは方向Zにおいて筐体30の底側に向かって延在するポートであり、各接続ポートは方向Xにおいて筐体30の前側に向かって延在するポートである。このため方向Xにおいて、当該各接続ポートと、分配用バルブユニット5の第1フリーポートFP1及び第2フリーポートFP2とは、互いに反対側に延在する。
【0044】
図7は、マッサージ具の一部、気体供給装置、分配用バルブユニット、及び1つの電磁弁ユニットの回路図である。
図7に示されるように、分配用バルブユニット5には、互いに異なる流路R1,R2が設けられる。流路R1と気体供給装置4との接続は第1電磁弁V1の開閉によって制御され、流路R2と気体供給装置4との接続は第3電磁弁V3の開閉によって制御される。このため、第1電磁弁V1と第3電磁弁V3とを制御することによって、流路R1,R2は、互いに独立可能になっている。例えば、第1電磁弁V1を開放しつつ第3電磁弁V3を閉塞することによって、気体供給装置4は、流路R1のみに気体を供給できる。このとき、第4電磁弁V4を開放することにより、流路R1に気体を供給しつつ、流路R2内の気体を第4接続ポートP4を介して外部に排出できる。また、第3電磁弁V3を開放しつつ第1電磁弁V1を閉塞することによって、気体供給装置4は、流路R2のみに気体を供給できる。このとき、第2電磁弁V2を開放することにより、流路R2に気体を供給しつつ、流路R1内の気体を第2接続ポートP2を介して外部に排出できる。なお、流路R1,R2のそれぞれには、気圧計などが設けられ得る。
【0045】
メインバルブユニット6に含まれる電磁弁ユニット61は、一方のチャンバ(第3部分)、フリーポートFP3、接続ポートP11,P12、及び電磁弁V11,V12(第5電磁弁)を含む部分61a(第3部分)と、他方のチャンバ(第4チャンバ)、フリーポートFP4、接続ポートP13,P14、及び電磁弁V13,V14(第6電磁弁)を含む部分61b(第4部分)とを有する。部分61a,61bのそれぞれには、内部空間であるチャンバが設けられる。
【0046】
分配用バルブユニット5の第1部分5aは、電磁弁ユニット61の部分61aに接続され、分配用バルブユニット5の第2部分5bは、電磁弁ユニット61の部分61bに接続される。具体的には、フリーポートFP3は分配用バルブユニット5の第1フリーポートFP1に接続され、フリーポートFP4は分配用バルブユニット5の第2フリーポートFP2に接続される。このため、部分61aは流路R1の一部を構成し、部分61bは流路R2の一部を構成すると言える。本実施形態では、電磁弁ユニット61の部分61aに相当する電磁弁ユニット62~64の各部分は第1部分5aに接続され、電磁弁ユニット61の部分61bに相当する電磁弁ユニット62~64の各部分は第2部分5bに接続される。
【0047】
本実施形態では、電磁弁ユニット61は、第1マッサージ具21と第2マッサージ具22との両方に接続される。
図7に示されるように、電磁弁ユニット61において、接続ポートP11,P12は気体室211,221(第1気体室)にそれぞれ接続され、接続ポートP13,P14は気体室213,223(第2気体室)にそれぞれ接続される。気体室211,221への気体供給もしくは気体室211,221からの気体排出は、電磁弁V11,V12によってそれぞれ制御される。気体室213,223への気体供給もしくは気体室213,223からの気体排出は、電磁弁V13,V14によってそれぞれ制御される。
【0048】
本実施形態では、電磁弁ユニット62~64のそれぞれは、電磁弁ユニット61と同様に、第1マッサージ具21と第2マッサージ具22との両方に接続される。例えば、電磁弁ユニット62に含まれる接続ポートP15~P18(
図3を参照)は、気体室212,222,214,224にそれぞれ接続される。同様に、電磁弁ユニット63に含まれる接続ポートP21~P24(
図3を参照)は、気体室215,225,217,227にそれぞれ接続され、電磁弁ユニット64に含まれる接続ポートP25~P28(
図3を参照)は、気体室216,226,218,228にそれぞれ接続される。接続ポートP11~18,P21~28のそれぞれの開閉は、対応する電磁弁(不図示)によって制御される。なお、接続ポートP15,P16,P21,P22,P25,P26は流路R1に接続され、接続ポートP17,P18,P23,P24,P27,P28は流路R2に接続される。
【0049】
マッサージ具2、気体供給装置4、分配用バルブユニット5、及びメインバルブユニット6が上記回路構成を有することによって、例えば、流路R1を介して気体室211,221の少なくとも一つに気体を供給しつつ、流路R2を介して気体室213,223の少なくとも一つから気体を排出できる。もしくは、流路R2を介して気体室213,223の少なくとも一つに気体を供給しつつ、流路R1を介して気体室211,221の少なくとも一つから気体を排出できる。
【0050】
以下では、
図7を参照しながら給排気システム3による気体室211,213,221,223への気体供給の一例を説明する。まず、気体供給装置4による気体供給中、第1電磁弁V1を開放すると共に第2電磁弁V2及び第3電磁弁V3を閉塞することによって、流路R1へ選択的に気体が供給される。このとき、電磁弁V11を開放すると共に電磁弁V12を閉塞することによって、気体室211へ選択的に気体が供給される。続いて、電磁弁V12を開放すると共に電磁弁V11を閉塞することによって、気体室221へ選択的に気体が供給される。続いて、第3電磁弁V3を開放すると共に第1電磁弁V1及び第4電磁弁V4を閉塞することによって、流路R2へ選択的に気体が供給される。このとき、電磁弁V13を開放すると共に電磁弁V14を閉塞することによって、気体室213へ選択的に気体が供給される。続いて、電磁弁V14を開放すると共に電磁弁V13を閉塞することによって、気体室223へ選択的に気体が供給される。
【0051】
なお、流路R1に気体が供給されるとき、電磁弁V11,V12の両方を開放することによって、気体室211,221の両方に同時に気体が供給される。また、上述したように、接続ポートP15,P16,P21,P22,P25,P26は流路R1に接続される。このため、例えば、流路R1への気体供給中、接続ポートP15の開閉を制御する電磁弁を開放することによって、気体室212に気体が供給される。また、流路R1への気体供給中、電磁弁V11に加えて接続ポートP15の開閉を制御する電磁弁を開放することによって、気体室211,212の両方に気体が供給される。流路R2も同様である。
【0052】
以下では、
図7を参照しながら、気体室211,213,221,223からの排気の一例を説明する。まず、第1電磁弁V1を閉塞すると共に第2電磁弁V2を開放することによって、分配用バルブユニット5のチャンバCA1が外部に接続される。このとき、電磁弁V11を開放すると共に電磁弁V12を閉塞することによって、気体室211が選択的に排気される。続いて、電磁弁V11を開放すると共に電磁弁V12を閉塞することによって、気体室221が選択的に排気される。続いて、第3電磁弁V3を閉塞すると共に第4電磁弁V4を開放することによって、分配用バルブユニット5のチャンバCA2が外部に接続される。このとき、電磁弁V13を開放すると共に電磁弁V14を閉塞することによって、気体室213が選択的に排気される。続いて、電磁弁V14を開放すると共に電磁弁V13を閉塞することによって、気体室223が選択的に排気される。
【0053】
なお、分配用バルブユニット5のチャンバCA1が外部に接続されるとき、電磁弁V11,V12の両方を開放することによって、気体室211,221の両方が同時に排気される。また、上述したように、接続ポートP15,P16,P21,P22,P25,P26は流路R1に接続される。このため、例えば、分配用バルブユニット5のチャンバCA1が外部に接続されるとき、電磁弁V11,V12だけでなく接続ポートP15,P16,P21,P22,P25,P26の開閉を制御する電磁弁を開放することによって、気体室211,212,215,216,221,222,225,226が同時に排気される。また、気体室213,214,217,218,223,224,227,228も同様に排気可能である。
【0054】
以下では、上述した気体室211~218,221~228への気体供給の説明と、上述した気体室211~218,221~228からの気体排出の説明とに基づいて、気体室211~218,221~228に対する気体供給及び気体排出の具体例の一つを説明する。まず、気体室211~218,221~228の全てが収縮している状態において、流路R1へ選択的に気体が供給されるように、気体供給装置4による気体供給を実施する。すなわち、分配用バルブユニット5において第1電磁弁V1のみを開放した後、気体供給装置4による気体供給を実施する。続いて、電磁弁V11,V12,V15,V16,V21,V22,V25,V26のうち電磁弁V11,V12のみを開放する。これにより、気体室211,221に気体を供給し、気体室211,221を膨張させる。続いて、電磁弁V11,V12を閉塞して気体室211,221の膨張状態を維持すると共に、電磁弁V15,V16を開放する。これにより、気体室212,222に気体を供給し、気体室212,222を膨張させる。
【0055】
続いて、電磁弁V15,V16を閉塞して気体室212,222の膨張状態を維持しつつ、流路R2へ選択的に気体が供給されるように、気体供給装置4による気体供給を実施する。すなわち、第1電磁弁V1を閉塞して第3電磁弁V3を開放する。続いて、電磁弁V13,V14,V17,V18,V23,V24,V27,V28のうち電磁弁V13,V14のみを開放する。これにより、気体室213,223に気体を供給し、気体室213,223を膨張させる。ここで、第2電磁弁V2及び電磁弁V11,V12を開放することによって、気体室211,221から気体を排出する。このため、気体室213,223に気体を供給しつつ、気体室211,221から気体が排出される。続いて、電磁弁V13,V14を閉塞して気体室213,223の膨張状態を維持すると共に、電磁弁V17,V18を開放する。これにより、気体室214,224に気体を供給し、気体室212,222を膨張させる。ここで、電磁弁V13,V14も開放することによって、気体室212,222から気体を排出する。このため、気体室214,224に気体を供給しつつ、気体室212,222から気体が排出される。このとき、場合によっては、気体室211,221からも引き続き気体が排出される。
【0056】
上記動作に加えて、電磁弁V21~V28とを電磁弁V11~V18と同様に動作させることによって、例えば、流路R1に接続される気体室215,225に気体を供給しつつ、流路R2に接続される気体室213,223から気体が排出される。このような動作を実施することによって、気体室211~218と気体室221~228とのそれぞれが、順に膨張、収縮を繰り返すことができる。
【0057】
図3に戻って、給排気システム3が備える制御装置7は、気体供給装置4、分配用バルブユニット5及びメインバルブユニット6の動作を制御する装置である。制御装置7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read-Only Memory)とを備えている。制御装置7は、例えば、ROMに格納されている制御プログラムを実行することができるように構成されている。制御プログラムは、例えば、気体室211~218,221~228を膨張および収縮させる所望の順番に基づいて、気体供給装置4、分配用バルブユニット5及びメインバルブユニット6を動作させるように記述されている。制御装置7は、給排気システム3の筐体30内に設けられてもよいし、筐体30の外部に設けられてもよい。
【0058】
次に、本実施形態の気体式マッサージ機1の動作を、
図8及び
図9を参照しながら説明する。
図8及び
図9のそれぞれは、マッサージ具を用いた揉みパターンの例を示す図である。本明細書では、マッサージ具2の気体室211~218,221~228に高圧気体を供給し、または気体室211~218,221~228から高圧気体を排出することにより、気体室211~218,221~228を膨張または収縮させる順序を「揉みパターン」と呼ぶ。なお、以下に示す気体式マッサージ機1の動作はあくまで一例である。
【0059】
血液および/またはリンパ液の流れを良くするために身体にマッサージを施す場合、四肢の先端部から胴体に向かう順番で身体を圧迫していくことがある。これに対応するマッサージ具2による揉みパターンとして、
図2及び
図8に示されるように、気体室211から気体室218まで順に膨張させ、気体室221から気体室228まで順に膨張させ、膨張させた気体室211~218,221~228の膨張状態を保持した後に(膨張させた気体室211~218,221~228を一旦保圧した後に)、膨張させた順に気体室211~218,221~228を収縮させるような揉みパターンが考えられる。本明細書では、
図8に示される揉みパターンのモードおよびこれに類する揉みパターンのモードを「ウェーブモード(wave-mode)」と呼ぶ。また、
図2及び
図9に示されるように、気体室211,221から気体室218,228まで順に気体室211~218,221~228を膨張させ、気体室218,228を膨張させ終わるまで、気体室211~217,221~227の膨張を保持するような揉みパターンが考えられる。本明細書では、
図9に示される揉みパターンのモードおよびこれに類する揉みパターンのモードを「スクイーズモード(squeeze-mode)」と呼ぶ。
【0060】
ウェーブモードにおける給排気システム3の動作の具体例と、スクイーズモードにおける給排気システム3の動作の具体例とのそれぞれは、例えば特願2020-082607号に記載される。なお、制御装置7は、上述したウェーブモード及びスクイーズモードに限らず、分配用バルブユニット5及びメインバルブユニット6を制御することによって、さまざまな揉みパターンを実施可能である。
【0061】
以上に説明した本実施形態に係る給排気システム3を備える気体式マッサージ機1によれば、分配用バルブユニット5に含まれるチャンバCA1とチャンバCA2とは互いに独立し、メインバルブユニット6に含まれる電磁弁ユニット61の2つのチャンバは互いに独立する。また、チャンバCA1を含む分配用バルブユニット5の第1部分5aは、一方のチャンバを含む電磁弁ユニット61の部分61aに接続され、チャンバCA2を含む分配用バルブユニット5の第2部分5bは、他方のチャンバを含む電磁弁ユニット61の部分61bに接続される。このため、給排気システム3には2系統の流路R1,R2が設けられるので、例えば、第1部分5aを介して一方のチャンバへの気体供給を実施しつつ、第2部分5bを介して他方のチャンバの気体排出が可能になる。加えて、メインバルブユニット6と分配用バルブユニット5とが互いに分離されるので、各バルブユニットの構成を簡易化できる。これにより、メインバルブユニット6を小型化できるので、例えば筐体30を小型化でき、結果として給排気システム3の小型化も図ることができる。
【0062】
本実施形態では、第1電磁弁V1から第4電磁弁V4と、電磁弁V11,V12とのそれぞれは、2方弁である。このため、分配用バルブユニット5とメインバルブユニット6との構造をより簡易化できる。
【0063】
本実施形態では、分配用バルブユニット5と、電磁弁ユニット61~64のそれぞれとは、互いに同一構成を有する。このため、給排気システム3内の共通部品点数が多くなるので、コストダウンの実現と共にメンテナンス性を向上できる。
【0064】
本発明に係る気体式マッサージ機用給排気システム及びそれを備える気体式マッサージ機は、上記実施形態に限定されず、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、メインバルブユニットは4つの電磁弁ユニットを有するが、これに限られない。電磁弁ユニットの数は、マッサージ具に含まれる気体室の数によって定められてもよい。
【0065】
上記実施形態では、分配用バルブユニットと電磁弁ユニットとは互いに同一形状を有するが、これに限られない。
【0066】
上記実施形態では、複数の電磁弁ユニットのそれぞれは、第1マッサージ具と第2マッサージ具との両方に接続されるが、これに限られない。例えば、一部の電磁弁ユニットの一部は第1マッサージ具のみに接続され、その他の電磁弁ユニットは第2マッサージ具のみに接続されてもよい。もしくは、一部の電磁弁ユニットは第1マッサージ具のみに接続され、別の一部の電磁弁ユニットは第2マッサージ具のみに接続され、さらに別の電磁弁ユニットは第1マッサージ具と第2マッサージ具との両方に接続されてもよい。
【0067】
上記実施形態では、各電磁弁ユニットの各接続ポートは、対応する1つの気体室に接続されるが、これに限られない。例えば、各接続ポートは、2つ以上の気体室に接続されてもよい。この場合、1つの接続ポートは、第1マッサージ具の1つの空気室と、第2マッサージ具の1つの空気室との両方に設けられてもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様の動作が可能である。
【0068】
上記実施形態では、複数の電磁弁ユニットのそれぞれにおいて、一方の部分に含まれる2つの接続ポートのうち、一方の接続ポートは第1マッサージ具に接続され、他方の接続ポートは第2マッサージ具に接続されるが、これに限られない。例えば、一方の部分は第1マッサージ具及び第2マッサージ具の一方に接続され、他方の部分は第1マッサージ具及び第2マッサージ具の他方に接続されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…気体式マッサージ機、2…マッサージ具、3…給排気システム(気体式マッサージ機用給排気システム)、4…気体供給装置、4b…供給口、4c…吸入口、5…分配用バルブユニット、5a…第1部分、5b…第2部分、6…メインバルブユニット、7…制御装置、21…第1マッサージ具、22…第2マッサージ具、30…筐体、51…第1開閉機構、52…第2開閉機構、61~64…電磁弁ユニット、61a…部分(第3部分)、61b…部分(第2部分)、211~218,221~228…気体室、CA1…チャンバ(第1チャンバ)、CA2…チャンバ(第2チャンバ)、FP1…第1フリーポート、FP2…第2フリーポート、FP3,FP4…フリーポート、P1…第1接続ポート、P2…第2接続ポート、P3…第3接続ポート、P4…第4接続ポート、V1…第1電磁弁、V2…第2電磁弁、V3…第3電磁弁、V4…第4電磁弁、V11,V12…電磁弁(第5電磁弁)、V13,V14…電磁弁(第6電磁弁)。
【要約】
【課題】複数の流路が設けられる場合であっても、構造の簡易化を実現可能な気体式マッサージ機用給排気システム及びそれを備える気体式マッサージ機を提供すること。
【解決手段】
給排気システムは、気体供給装置と、分配用バルブユニットと、メインバルブユニットと、を備える。分配用バルブユニットは、第1チャンバ、第1フリーポート、第1接続ポート、第2接続ポート、第1電磁弁、並びに、第2電磁弁を有する第1部分と、第2チャンバ、第2フリーポート、第3接続ポート、第4接続ポート、第3電磁弁、並びに、第4電磁弁を有する第2部分と、を備える。メインバルブユニットは、第3チャンバを含む第3部分と、第4チャンバを含む第4部分とを有する複数の電磁弁ユニットを備え、第1部分は、第3部分に接続され、第2部分は、第4部分に接続される。
【選択図】
図3