(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】シーツ張設装置
(51)【国際特許分類】
A47C 21/02 20060101AFI20230320BHJP
【FI】
A47C21/02 Z
(21)【出願番号】P 2023007517
(22)【出願日】2023-01-20
【審査請求日】2023-01-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523024428
【氏名又は名称】株式会社マーメイド
(74)【代理人】
【識別番号】100209129
【氏名又は名称】山城 正機
(72)【発明者】
【氏名】花城 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】花城 康太
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-28627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 21/00-21/08
A47G 9/02-9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二組の対向する辺を有する略矩形状に形成され当該対向する二組の辺のうち少なくとも一組の辺の縁に沿って複数の輪状部が並設されたシーツを略直方体形状に形成されるマットレスに張設するシーツ張設装置であって、
前記マットレスを載置可能な載置部を備える平面視略矩形状の基部、
前記載置部が前記マットレスを載置する位置よりも下方において、前記基部の対向する辺に直交する方向に往復動可能となるよう前記基部に設置された移送機構、及び、
前記移送機構に従動するとともに前記輪状部に掛脱可能な掛脱部を備えた掛脱部材、
を備えることを特徴とするシーツ張設装置。
【請求項2】
前記移送機構は、前記基部に設けられたガイド又はレールによって、前記対向する一対の辺に直交する方向に往復動可能となる、
請求項1に記載のシーツ張設装置。
【請求項3】
前記移送機構を前記基部に対して拘束させるロック機構をさらに設けた、
請求項1に記載のシーツ張設装置。
【請求項4】
前記掛脱部材が、前記移送機構に設けられた掛止部に掛脱可能な第一掛脱部、及び、前記輪状部に掛脱可能な第二掛脱部を備えたプレート状部材であり、
前記移送機構が、前記掛脱部材を収容する収容部を備えるとともに、前記第一掛脱部を掛脱可能な掛止部を備えたトレイである、
請求項1~3のいずれかに記載のシーツ張設装置。
【請求項5】
前記第二掛脱部が複数のフック状部材によって形成される、
請求項4に記載のシーツ張設装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーツ張設装置に関し、特に、ベッドメイキングの際のシーツ交換を容易に行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばホテルや介護施設などにおいては、使用者が就寝するためのベッドが多数設置されており、ベッドにはベッドに設置されたマットレスを覆うように敷布(シーツ)が設置される。ベッドが使用されるたびにシーツは取り外され、新しく清潔なシーツが設置される。
【0003】
シーツはマットレスよりも大きな一枚の略矩形状の布材からなる。略直方体形状のマットレスをくるむようにシーツを張設するためには、まず、シーツを広げた状態でマットレス上に載置し、その後、マットレスを部分的に持ち上げ、持ち上げたマットレスの裏面側にシーツの端部を折り込む。シーツの端部をマットレスの裏面側に折り込む動作は、マットレスの下方に手を入れてマットレスの中心部に向けて手を伸ばしシーツの端部を引っ張る必要がある。そして、折り込んだシーツをマットレスの下方において中心部に向けて万遍なく引っ張って皺が生じないよう調節する。一枚のシーツを設置するためには、このような動作をマットレスの四辺全てにおいて行う必要があり、シーツをきれいに皺なく設置するのには、かなりの労力が必要である。しかも、ホテルや介護施設に設置されるベッドの数は膨大であり、限られた人手で全てのベッドのシーツ交換を行うのは負担が大きい。
【0004】
そこで、シーツ交換にかかる労力を軽減するための技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載された技術は、シーツの縁部に沿って複数設けられた輪にシーツ引張用フックを引っ掛けた状態で、シーツ引張用フックを駆動するためのハンドルを回すことで輪に引っかけたシーツ引張用フックを下方に移動させてシーツを設置するものである(特許文献1)。
【0005】
また、特許文献2に記載された技術は、シーツの対向する辺の縁部に複数設けたシーツ側留め具に、長さ調節機能を持つベルトの両端部に設けられたベルト側留め具を引っ掛け、ベルトをマットレスの下方に回した状態で、ベルトの長さを短くすることで対向するシーツ側留め具を互いに引っ張り、シーツを皺なく貼るものである(特許文献2)。
【0006】
特許文献1及び特許文献2に開示された技術によると、比較的労力をかけずにシーツを設置することができる一方で、シーツの縁部を下方に引っ張ることしかできず、マットレスの下方に折り込むことができず見栄えが良くない。
【0007】
すなわち、シーツを見栄え良く張設するためには、マットレスの裏面側にシーツの縁部を折り込む必要があるところ、上記特許文献1及び特許文献2に開示された技術では、マットレスの側面や前後面からシーツの縁部が垂れ下がることとなり、シーツを美しく張設することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第2922464号公報
【文献】特開2001-292882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、マットレス裏面側にシーツを折り込んで張設する際の労力を軽減することが可能なシーツ張設装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者らは、マットレス裏面側に、ベッドフレームの対向する特定の辺に平行に往復移動可能な移送機構を設置することで、労力をかけずにシーツの端部をマットレスの裏面側に折り込むことが可能であることを見出し、本発明に至った。
【0011】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0012】
第1の特徴に係るシーツ張設装置は、二組の対向する辺を有する略矩形状に形成され当該対向する二組の辺のうち少なくとも一組の辺の縁に沿って複数の輪状部が並設されたシーツを略直方体形状に形成されるマットレスに張設するシーツ張設装置である。
【0013】
シーツ張設装置は、マットレスを載置可能な載置部を備える平面視略矩形状の基部、載置部がマットレスを載置する位置よりも下方において、基部の対向する辺に直交する方向に往復動可能となるよう基部に設置された移送機構、及び、移送機構に従動するとともに輪状部に掛脱可能な掛脱部を備えた掛脱部材、を備える。
【0014】
第1の特徴に係る発明によれば、対向する辺に直交する方向に往復動可能となるよう基部に設置された移送機構、及び、移送機構に従動するとともに輪状部に掛脱可能な掛脱部を備えた掛脱部材を備えるため、掛脱部をシーツの輪状部に掛止した状態で移送機構をマットレスの中央部側に押し込むだけで、簡単にシーツの端部をマットレスの裏面側に折り込むことができ、労力をかけずにしかも皺なくシーツをマットレスに張設することができる。
【0015】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、移送機構は、基部に設けられたガイド又はレールによって、対向する一対の辺に直交する方向に往復動可能となる。
【0016】
第2の特徴に係る発明によれば、移送機構を基部に設けられたガイド又はレールを用いて、対向する一対の辺に直交する方向に往復動可能とするため、複雑な機構を用いることなく移送機構を構成することができる。
【0017】
第3の特徴に係る発明は、第2の特徴に係る発明であって、移送機構を基部に対して拘束させるロック機構をさらに設けた。
【0018】
第3の特徴に係る発明によれば、移送機構を基部に対して拘束させるロック機構をさらに設けたため、所望の位置まで移送機構を移動させて張力をかけたのち、当該所望の位置を保持することができる。
【0019】
第4の特徴に係る発明は、第1ないし第3のいずれかの特徴に係る発明であって、掛脱部材が、移送機構に設けられた掛止部に掛脱可能な第一掛脱部、及び、輪状部に掛脱可能な第二掛脱部を備えたプレート状部材であり、移送機構が、掛脱部材を収容する収容部を備えるとともに、第一掛脱部を掛脱可能な掛止部を備えたトレイである。
【0020】
第4の特徴に係る発明によれば、掛脱部材として、移送機構に設けられた掛止部に掛脱可能な第一掛脱部、及び、輪状部に掛脱可能な第二掛脱部を備えたプレート状部材を用い、移送機構として、掛脱部材を収容する収容部を備えるとともに、第一掛脱部を掛脱可能な掛止部を備えたトレイを用いるため、掛脱部材を必要に応じて移送機構から取り外すことができる。そのため、移送機構から取り外した掛脱部材の第二掛脱部をシーツの端部に設けた輪状部に掛止する動作を楽に行うことができ、張設作業をより容易に行うことができる。
【0021】
第5の特徴に係る発明は、第4の特徴に係る発明であって、第二掛脱部が複数のフック状部材によって形成される。
【0022】
第5の特徴に係る発明によれば、第二掛脱部が複数のフック状部材によって構成されているため、一つの移送機構を移動させるだけで、所定範囲のシーツの端部を引っ張ることができ、シーツを張設するための労力を節約することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、マットレス裏面側にシーツを折り込んで張設する際の労力を軽減することが可能なシーツ張設装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るシーツ張設装置10の全体構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るシーツ張設装置10の張設対象であるシーツ20の全体構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、頭側に位置する移送機構12及び基部11の詳細を示す模式図である。
【
図4】
図4は、足元側に位置する移送機構12及び基部11の詳細を示す模式図である。
【
図5】
図5は、シーツ張設装置10を構成する掛脱部材13の詳細を示す模式図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るシーツ張設装置10の張設対象であるシーツ20をマットレス40上に広げる手順を示す模式図である。
【
図7】
図7は、シーツ20に掛脱部材13を掛止する手順を示す模式図である。
【
図8】
図8は、掛脱部材13をトレイ12bに収容する手順を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0026】
[シーツ張設装置10の全体構成]
図1及び
図2を用いて、本実施形態に係るシーツ張設装置10及び張設対象であるシーツ20の全体構成を説明する。
図1は、本実施形態に係るシーツ張設装置10の全体構成を示す模式図であり、
図2は、本実施形態に係るシーツ張設装置10の張設対象であるシーツ20の全体構成を示す模式図である。なお、本実施形態において、上方とは重力方向上方を指し、下方とは重力方向下方を指す。また、後述するマットレス40の表面とは、就寝のためなどで使用される際に使用者が乗る側の面を指し、マットレス40の裏面とは、ベッドフレーム30側の面を指す。
【0027】
本実施形態のシーツ張設装置10は、
図2に示す二組の対向する辺20a、20bを有する略矩形状に形成され当該対向する二組の辺20a、20bのうち少なくとも一組の辺の縁に沿って複数の輪状部21a、21bが並設されたシーツ20を、ベッドフレーム30上に載置される略直方体形状に形成されたマットレス40の周囲に皺なく張設するものである。なお、シーツ張設装置10の上にマットレス40が載置されものであり、
図1に示す状態は、マットレス40を載置する前の状態である。
【0028】
本実施形態の張設装置10を説明する前に、
図2を用いて、張設装置10で張設されるシーツ20について説明する。シーツ20は、対向する短辺20a及び長辺20bを有する略矩形状に形成されており、短辺20aの縁に沿って短辺20aに平行に複数の輪状部21aが並設される。同様に、長辺20bの縁に沿って長辺20bに平行に複数の輪状部21bが並設される。本実施形態においては、複数の輪状部21a、21bは、シーツ20の生地にテープ状の長尺部材を所定の間隔で縫い付けることで形成されるが、輪状部21a、21bの形成手段はこれに限ったものではなく、例えば、短い紐状部材の両端部をシーツ20の生地に縫い付けて形成したものを辺の縁に沿って複数設けるようにしてもよい。
【0029】
本実施形態の張設装置10は、
図1に示すように、マットレス40を載置可能な載置部11aを備える平面視略矩形状の基部11、載置部11aがマットレス40を載置する位置よりも下方において、基部11の対向する辺に直交する方向に往復動可能となるよう基部11に設置された移送機構12(12b、12e、12f)、移送機構12に設けられた掛止部12c、12gに掛脱可能な第一掛脱部13a、13f及び、輪状部21a、21bに掛脱可能な第二掛脱部13b、13gを備えた掛脱部材13(13c、13d、13e)を有する。
【0030】
[基部11の構成]
次に、
図1及び
図3を用いて基部11の構成について説明する。
図3は、頭側に位置する移送機構12及び基部11の詳細を示す模式図である。基部11は、ベッドフレーム30とマットレス40の間においてベッドフレーム30の天面に設置され、ベッドフレーム30の平面形状と略同等の大きさとなる平面視略矩形状に形成される部材からなり、マットレス40を載置可能な載置部11a、後述する移送機構12が往復動するためのレール部11b、11c及び、移送機構12の動きを拘束するロック機構11dを備える。
【0031】
載置部11aはベッドフレーム30の短手方向に延設される複数の桁部材によって構成される。載置部11aは特定の載置部11aにマットレスの負荷が集中しない様、長手方向に間隔を置いて複数配設される。載置部11aの高さは、後述する移送機構12と干渉しないよう、移送機構12やレール部11b、11cよりも高くなるよう設定される。
【0032】
レール部11bはベッドフレーム30の短手方向に延設され、移送機構12b、12d、12eの裏面側に形成される図示しない凸部が係合する図示しない凹溝を備える。なお、本実施形態においては、レール部11bに凹溝が、移送機構12b、12d、12eに凸部が設けられているが、移送機構12b、12d、12eに凹溝を、レール部11bに凸部を形成する構成としてもよい。
【0033】
同様に、ベッドフレーム30の長手方向にはレール部11cが延設され、移送機構12fの裏面側に形成される図示しない凸部が係合する図示しない凹溝を備える。
【0034】
ロック機構11dは、移送機構12を適度な位置に移動させたのち、スライド機構12が不意に動いてしまわないよう位置決めするものであり、短手方向に沿って複数形成した凹凸部によって構成される。なお、ロック機構11dは、移送機構12の動きを妨げることができるものであればよく、例えば挟持によるものや、押圧するものなど、凹凸部以外の手段も取り得るものである。
【0035】
[移送機構12の構成]
次に、
図1、
図3及び
図4を用いて移送機構12について説明する。
図4は、足元側に位置する移送機構12及び基部11の詳細を示す模式図である。本実施形態に係る移送機構12の一つは、天面側に掛脱部材13cを収容可能な収容部12aを有するトレイ12bによって構成される。トレイ12bには掛止部12cが設けられており、掛脱部材13cが収容部12aに収容された状態で掛止部12cに掛脱部材13cの第一掛脱部13aが係止されるようになっている。なお、本実施形態においては掛止部12cは長手方向に延設される凸状部材によって構成されるが、これに限定されるものではなく、第一掛脱部13aが係止可能な構成であれば、棒状部材や孔部などであってもよい。
【0036】
移送機構12bの裏面側には図示しない凸部が設けられており、凸部は基部11に設けられるレール部11bの凹溝に係合する。凸部は単に移送機構12bを構成する部材の一部を突出させたものであってもよいし、レール部11bの凹溝内を転動可能なローラによって構成してもよい。
【0037】
また、移送機構12bには上述したロック機構11dとして機能する構成として、
図3に示されるような基部11の凹凸部と係合可能な複数の凹凸部が短手方向に沿って形成される。具体的には、本実施形態においては、トレイ12bの外周部に複数の凹凸部が形成される。
【0038】
なお、本実施形態においては、トレイによって構成される移送機構12bは、
図1に示すように、基部11の一対の長辺のうち一方の長辺の側(紙面向かって右側)にのみ設置されており、他方の長辺の側(紙面向かって左側)には、短辺と平行に往復動が可能でかつ掛脱部材13cの第一掛脱部13aが係止可能な、長手方向に延出する棒状部材によって構成される移送機構12dが用いられる。
【0039】
また、
図1においてはトレイによって構成される移送機構12bは基部11の一方の長辺の側にのみ設置されているが、移送機構12bは短手方向に延設されたレール部11bに沿って移動することで、他方の長辺の側に移動させることができる。このとき、
図4に示すように、収容部12a及び掛止部12cはトレイの短手方向両側に設けられており、基部11の中心に対して線対称に機能することができるため、ベッドの設置状況に応じて、左右を逆転させて機能させることができる。なお、簡略化のため図示は省略するが、棒状部材からなる移送機構12dは長辺の両側に設置されており、かつ、トレイの短手方向の往復動を妨げることのない高さに設置されている。
【0040】
いずれにしても、本発明における移送機構12b、12dは、短手方向(基部11の長辺に直交する方向)に往復動可能でかつ掛脱部材13cの第一掛脱部13aを係止可能な構成を有するものである。
【0041】
なお、本実施形態においては、
図1及び
図4に示すように、ベッドフレーム30の頭側に対応する部位及び足元側に対応する部位に、それぞれ、長手方向(基部11の短辺に直交する方向)に往復動可能でかつ掛脱部材13eの第一掛脱部13fを係止可能な移送機構12fが設けられており、これら移送機構12f及び掛脱部材13eによって、シーツ20を長手方向に張設することができるが、基部11の長手方向に延設されたレール部11cに沿って往復動するという点のみ異なるもので、動作原理は同様であるため説明は割愛する。
【0042】
[掛脱部材13の構成]
次に、
図4及び
図5を用いて掛脱部材13について説明する。
図5は、シーツ張設装置10を構成する掛脱部材13の詳細を示す模式図である。本実施形態に係る掛脱部材13cは、トレイによって構成される移送機構12bの収容部12aに収容可能な形状を有する略矩形状のプレートによって構成され、
図5に示すように、対向する一対の辺に、第一掛脱部13a及び第二掛脱部13bが形成される。すなわち、略矩形状に形成されたプレートの一辺には複数のフック状部材からなる第一掛脱部13aが形成され、それに対向する辺にも同様に、複数のフック状部材からなる第二掛脱部13bが形成される。そして、移送機構12bの収容部12aに掛脱部材13cが収容された際に、第一掛脱部13aが移送機構12bの掛止部12cに係止されるよう第一掛脱部13aの位置が設定されている(
図4)。また、第二掛脱部13bは、移送機構12がベッドフレーム30の中心部側に移動され掛止部12cが第一掛脱部13aを同方向に引っ張った際に、第二掛脱部13bに係止されるシーツ20の輪状部21bを同一方向に引っ張るように設定される。言い換えると、第一掛脱部13aと第二掛脱部13bはそれぞれ、対向する一対の辺に配設される。
【0043】
なお、上記においては、掛脱部材13cを第一掛脱部13a及び第二掛脱部13bを備えたプレート状部材によって構成し、移送機構12bを収容部12a及び掛止部12cを備えたトレイによって構成した例について説明しているが、本実施形態におけるベッドフレーム30の足元側に対応する部位および頭側に対応する部位を除く中央部近傍においては、異なる構成によって移送機構12e及び掛脱部材13dを構成している。すなわち、
図1、
図3及び
図4に示すように、ベッドフレーム30の中央部近傍においては、移送機構12eを基部11に設けたガイド又はレール11b上を摺動する複数の棒状の摺動部材によって構成し、棒状の摺動部材の端部に、シーツ20の輪状部21bに掛脱可能な掛脱部を備える掛脱部材13dを接続した構成としている。なお、長手方向に並設される複数の棒状の摺動部材12eをプレート12gなどの接続部材で接続し、複数本の摺動部材12eが一体となって動く構成としてもよい。
【0044】
[シーツ張設装置10によるシーツ張設手順]
次に、
図6~
図8を用いて、本実施形態に係るシーツ張設装置10を用いてシーツ20を張設する手順について説明する。
図6は、本実施形態に係るシーツ張設装置10の張設対象であるシーツ20をマットレス40上に広げる手順を示す模式図であり、
図7は、シーツ20に掛脱部材13を掛止する手順を示す模式図であり、
図8は、掛脱部材13cを移送機構12bの収容部12aに収容する手順を示す模式図である。なお、
図6において、本実施形態に係るシーツ張設装置10はマットレス40の下方に位置しているため図示されない。このとき、マットレス40は基部11の載置部11a上に載置されており、各移送機構12はその動きを制限されることなく、それぞれ往復動可能な状態にある。
【0045】
まず、
図6(a)~(c)に示すように、基部11上に載置されたマットレス40の上に、シーツ20を広げる(ステップS100)。
【0046】
このとき、シーツ20のそれぞれの辺はマットレス40の辺よりも大きいため、
図6(c)に示すように、長辺20bの端部を折り畳み、長辺20bに設けられた輪状部21bがマットレス40上に載置される状態としてもよい。
【0047】
なお、本実施形態においては、
図6(a)に示すように、シーツ20は長辺20bの端部を折り畳んだ状態で巻き取り棒50に巻回されており、シーツ20が巻回された巻き取り棒50をマットレス40上で転がすことで(
図6(b))、シーツ20をマットレス40上に広げる。このようにすることで、巻き取り棒50をマットレス40上で転がすだけで、
図6(c)に示すように、長辺20bの輪状部21bがマットレス40上に表出された状態でシーツ20を広げることができる。
【0048】
次に、
図7に示すように、シーツ20の長辺20bに設けられた輪状部21bに掛脱部材13cの第二掛脱部13bを係止する(ステップS110)。このとき、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、第一掛脱部13aがマットレス40上においてマットレス40の中心部側に位置し第二掛脱部13bがマットレス40の外側に位置するように輪状部21bに第二掛脱部13bを係止する。そして、
図7(c)に示すように、第二掛脱部13bを輪状部21bに係止してから、マットレス40上において掛脱部材13を反転させるようにしてもよい。この動作をすることで、次のステップにおける収容動作がしやすくなる。これら係止して反転させるという動作を、一組の長辺20bに係止する掛脱部材13全てについて行う。なお、本実施形態においては、
図7(b)に示すように、一つの長辺20bの輪状部21bに二つの掛脱部材13cが取り付けられ、二つの長辺20bに合計四つの掛脱部材13cが取り付けられる。
【0049】
そして、
図8に示すように、長辺20bの輪状部21bに取り付けた掛脱部材13cを移送機構12bの収容部12aに収容する(ステップS120)。このとき、
図8(a)に示すように、移送機構12bをマットレス40の下方からスライドして引き出し、さらに、
図8(b)に示すように、長辺20bに取り付けた掛脱部材13cを反転させて収容部12aに収容する。この掛脱部材13cを移送機構12bの収容部12aに収容するという動作を、移送機構12bが配設された箇所に対応する全ての掛脱部材13cについて行う。このとき、掛脱部材13cの第一掛脱部13aは移送機構12bの掛止部12cに係止される。
【0050】
また、説明の簡略化のため図示は省略するが、トレイによる移送機構12bが配設されていない箇所においても、掛脱部材13の掛脱部を、対応する移送機構12の掛止部に係止する。
【0051】
そして、第一掛脱部13aが掛止部12cに係止された状態で、移送機構12bを手で押し込みマットレス40の中心部側に移動させる(ステップS130)。この動作により、マットレス40の裏面側において、第二掛脱部13bがシーツ20の輪状部21bをマットレス40の中心部側に引っ張ることができ、少なくとも、掛脱部材13cが設置されている領域においては、シーツ20に皺を付けることなくマットレス40の裏面側に折り込むことができる。
【0052】
そして、ステップS130で押し込んだ移送機構12bと対向する位置に配設された移送機構12dについても同様に、手でマットレス40の中心部側に押し込む動作を行う。これにより、シーツ20を短手方向の両側から引っ張ることができる。
【0053】
この動作を、全ての移送機構12について行うことで、対向する長辺20bのそれぞれの端部を互いに短手方向逆側に引っ張ることができ、
図8(c)に示すように、皺を形成することなくシーツ20の端部をマットレス40の裏面側に折り込むことができる。なお、短辺20aについても同様であるため、説明を割愛する。
【0054】
このように構成されたシーツ張設装置10によれば、平面視略矩形状に形成された基部11の対向する辺に直交する方向に往復動可能となるよう基部11に設置された移送機構12b、12e、12f(12)、及び、移送機構12に従動するとともに輪状部21a、21bに掛脱可能な掛脱部13b、13gを備えた掛脱部材13c、13d、13e(13)を備えるため、掛脱部13をシーツ20の輪状部21a、21bに掛止した状態で移送機構12をマットレス40の中央部側に押し込むだけで、簡単にシーツ20の端部をマットレス40の裏面側に折り込むことができ、労力をかけずにしかも皺なくシーツをマットレスに張設することができる。
【0055】
また、移送機構12b、12e、12fを基部11に設けられたガイド又はレール11b、11cを用いて、対向する一対の辺に直交する方向に往復動可能とするため、複雑な機構を用いることなく移送機構12を構成することができる。
【0056】
また、移送機構12を基部11に対して拘束させるロック機構11dをさらに設けたため、所望の位置まで移送機構12を移動させて張力をかけたのち、当該所望の位置を保持することができる。
【0057】
また、掛脱部材13cとして、移送機構12bに設けられた掛止部12cに掛脱可能な第一掛脱部13a、及び、輪状部21bに掛脱可能な第二掛脱部13bを備えたプレート状部材を用い、移送機構12bとして、掛脱部材13cを収容する収容部12aを備えるとともに、第一掛脱部13aを掛脱可能な掛止部12cを備えたトレイを用いるため、掛脱部材13cを必要に応じて移送機構12bから取り外すことができる。そのため、移送機構12bから取り外した掛脱部材13cの第二掛脱部13bをシーツ20の端部に設けた輪状部21bに掛止する動作を楽に行うことができ、張設作業をより容易に行うことができる。
【0058】
また、第二掛脱部13bが複数のフック状部材によって構成されているため、一つの移送機構12bを移動させるだけで、所定範囲のシーツ20の端部を引っ張ることができ、シーツ20を張設するための労力を節約することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0060】
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
この発明のシーツ張設装置は、ホテルや介護施設のベッドなど、ベッドメイキングに多大な労力を必要とする施設に適用することができる。また、本発明の技術は、ベッドのシーツのみならず、例えば、ソファを覆うカバー、鉄道の座席など、種々の布を張る必要がある設備に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
10 シーツ張設装置
11 基部
11a 載置部
11b、11c レール部
11d ロック機構
12b、12d、12e、12f 移送機構
12a 収容部
12c 係止部
13c、13d、13e 掛脱部材
13a、13f 第一掛脱部
13b、13g 第二掛脱部
20 シーツ
20a 長辺
20b 短辺
21a、21b 輪状部
30 ベッドフレーム
40 マットレス
50 巻き取り棒
【要約】
【課題】マットレス裏面側にシーツを折り込んで張設する際の労力を軽減することが可能なシーツ張設装置を提供する。
【解決手段】本発明のシーツ張設装置10は、二組の対向する辺を有する略矩形状に形成され当該対向する二組の辺20a、20bのうち少なくとも一組の辺の縁に沿って複数の輪状部21a、21bが並設されたシーツ20を略直方体形状に形成されるマットレス40に張設するシーツ張設装置10である。シーツ張設装置10は、マットレス40を載置可能な載置部11aを備える平面視略矩形状の基部11、載置部11aがマットレス40を載置する位置よりも下方において、基部11の対向する辺に直交する方向に往復動可能となるよう基部11に設置された移送機構12、及び、移送機構12に従動するとともに輪状部20bに掛脱可能な掛脱部13bを備えた掛脱部材13、を備える。
【選択図】
図1