(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20230320BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
H02J7/02 F
H02J7/00 B
H02J7/00 303C
(21)【出願番号】P 2019107113
(22)【出願日】2019-06-07
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】立見 亮介
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-088190(JP,A)
【文献】特開2013-118760(JP,A)
【文献】特開2014-230433(JP,A)
【文献】特開2018-011435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、二次電池を内蔵して動作する複数の電子機器が接続された状態で、これら複数の電子機器に内蔵された前記二次電池に対して並行して充電を行う充電装置であって、
前記複数の電子機器を、電力供給が可能な状態で接続する接続手段と、
前記複数の電子機器に内蔵された前記二次電池を、所定の充電時間、充電する充電手段と、
前記充電時間に基づいて、前記充電時間が経過した時点における前記複数の電子機器のそれぞれに内蔵された前記二次電池の電池残量が
同じになるように、前記充電手段から前記複数の電子機器のそれぞれに供給する電力量を設定する供給電力設定手段と、
を備え
、前記充電時間は、前記車両が目的地に到着するまでの時間であることを特徴とする充電装置。
【請求項2】
前記供給電力設定手段は、前記充電時間が経過する前に、前記複数の電子機器のそれぞれに内蔵された前記二次電池の電池残量が同じになり、その後前記充電時間が経過するまで、この関係を維持するように前記電力量を設定することを特徴とする請求項
1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記供給電力設定手段は、前記充電時間が経過するまで、前記充電手段から前記複数の電子機器のそれぞれに供給する前記電力量が一定になるように設定することを特徴とする請求項
1に記載の充電装置。
【請求項4】
前記充電手段から前記複数の電子機器に供給可能な電力の合計値は、前記複数の電子機器のそれぞれの最大充電電流の合計値よりも少ないことを特徴とする請求項1~
3のいずれか一項に記載の充電装置。
【請求項5】
前記複数の電子機器の少なくとも一部は、充電中に、電力消費を伴う動作を行っており、
前記供給電力設定手段は、動作継続に必要な消費電力を考慮して前記電力量を設定することを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のデバイスに対して並行して充電を行う充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の携帯機器に対して、優先順位が高い携帯機器に対して本充電を行い、他の携帯機器に対して本充電よりも低い充電値で低レート充電を行うようにした非接触電力伝送装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この非接触電力伝送装置では、充電器の載置ポイントに複数の携帯機器が載置された状態で充電器がオンされると、例えば、電池残量が小さい携帯機器の優先順位を高くして、この携帯機器に対して優先的に本充電を実施することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に開示された非接触電力伝送装置では、優先順位が高い携帯機器に対して優先的に本充電を実施するものであり、複数の携帯機器について電池残量のばらつきを解消することができないという問題があった。例えば、十分な充電時間がある場合には、最も電池残量が小さい携帯機器に対して本充電を行い、この本充電が完了すると、次に電池残量が小さい携帯機器に対して本充電が行われるため、十分な充電時間がある場合には、全ての携帯機器に対して本充電を完了させることができ、電池残量のばらつきを解消することができる。しかし、このように十分な充電時間が確保できない場合には、いずれかの携帯機器における本充電が途中で中断されてしまい、複数の携帯機器のそれぞれの電池残量にばらつきが残ることになる。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、充電対象となる複数の電子機器の電池残量のばらつきを抑制することができる充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の充電装置は、車両に搭載され、二次電池を内蔵して動作する複数の電子機器が接続された状態で、これら複数の電子機器に内蔵された二次電池に対して並行して充電を行う充電装置であって、複数の電子機器を、電力供給が可能な状態で接続する接続手段と、複数の電子機器に内蔵された二次電池を、所定の充電時間、充電する充電手段と、充電時間に基づいて、充電時間が経過した時点における複数の電子機器のそれぞれに内蔵された二次電池の電池残量が同じになるように、充電手段から複数の電子機器のそれぞれに供給する電力量を設定する供給電力設定手段とを備え、充電時間は、前記車両が目的地に到着するまでの時間である。充電時間経過時の各電子機器の電池残量を考慮して充電量を設定しているため、充電対象となる複数の電子機器の電池残量のばらつきを抑制することが可能となる。
【0008】
また、上述した供給電力設定手段は、充電時間が経過する前に、複数の電子機器のそれぞれに内蔵された二次電池の電池残量が同じになり、その後充電時間が経過するまで、この関係を維持するように電力量を設定することが望ましい。これにより、早期に電池残量のばらつきを解消することが可能となる。
【0009】
また、上述した供給電力設定手段は、充電時間が経過するまで、充電手段から複数の電子機器のそれぞれに供給する電力量が一定になるように設定することが望ましい。これにより、充電開始時に充電電力を設定するだけで複雑な制御を行うことなく、電池残量のばらつきを解消することが可能となる。
【0010】
また、上述した充電時間を、車両が目的地に到着するまでの時間とすることにより、車両が目的地に到着して搭乗者が降車する時点における電池残量のばらつきを解消することが可能となる。
【0011】
また、上述した充電手段から複数の電子機器に供給可能な電力の合計値は、複数の電子機器のそれぞれの最大充電電流の合計値よりも少ないことが望ましい。これにより、十分な電力供給ができない場合であっても、電池残量のばらつきを抑制することが可能となる。
【0013】
また、上述した複数の電子機器の少なくとも一部は、充電中に、電力消費を伴う動作を行っており、供給電力設定手段は、動作継続に必要な消費電力を考慮して電力量を設定することが望ましい。これにより、各電子機器が動作中でその動作電力が必要な場合であっても、確実に電池残量のばらつきを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態の車載装置の全体構成を示す図である。
【
図2】メモリに格納された充電制御プログラムをCPUによって実行することで動作する充電制御部の機能ブロックの構成図である。
【
図3】2台の携帯端末装置に対して充電動作を行う動作手順を示す流れ図である。
【
図4】ケース1に対応する供給電力の具体例を示す図である。
【
図5】ケース2に対応する供給電力の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の充電装置を適用した一実施形態の車載装置について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、一実施形態の車載装置の全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の車載装置100は、ナビゲーション処理部10、操作部20、入力処理部22、表示処理部30、表示装置32、CPU40、メモリ50、USBインタインタフェース部(USB IF)60、電源回路70、充電回路80を備えている。この車載装置100は、例えば車両に搭載されたヘッドユニットであり、ナビゲーション装置等として動作するとともに、最大で2台のUSB機器(
図1に示す例では携帯端末装置90、92)が接続可能なUSBポートを備えている。
【0018】
ナビゲーション処理部10は、メモリ50に記憶されている地図データを用いて車載装置100が搭載された車両の走行を案内するナビゲーション動作を行う。このナビゲーション動作には、GPS装置12を用いた自車位置検出や、自車位置周辺の地図表示、目的地までの走行経路を計算する経路探索、計算した走行経路に沿って目的地までの走行を案内する経路誘導などの各動作が含まれる。なお、ナビゲーション動作に必要な地図データは、メモリ50に格納されているものとしたが、ハードディスク装置などその他の記憶装置に格納したり、外部の地図配信サーバ(図示せず)などから無線通信によって取得するようにしてもよい。
【0019】
操作部20は、車載装置100に対する利用者による操作を受け付けるためのものであり、表示装置32の周囲に配置された各種の操作キー、操作スイッチ、操作つまみ等を含んで構成されている。また、表示装置32に各種の操作画面や入力画面が表示された時点で、これらの操作画面や入力画面の一部を利用者が指などで直接指し示すことにより、操作画面や入力画面の表示項目を選択することができるようになっており、このような操作画面や入力画面を用いた操作を可能とするために、指し示された指などの位置を検出するタッチパネルが操作部20の一部として備わっている。なお、タッチパネルを用いる代わりに、リモートコントロールユニット等を用いて操作画面や入力画面の一部を利用者の指示に応じて選択するようにしてもよい。入力処理部22は、操作部20を監視しており、利用者による操作内容を決定する。
【0020】
表示処理部30は、各種の操作画面や入力画面等を表示する映像信号を出力して表示装置32にこれらの画面を表示するとともに、ナビゲーション処理部10によって作成した地図画面や交差点案内画面等を表示する映像信号を出力して表示装置32にこれらの画面を表示する。表示装置32は、運転席と助手席の中央前方に設置されており、例えば液晶表示装置(LCD)を用いて構成されている。
【0021】
CPU40は、メモリ50に格納された所定のプログラムを実行することにより、車載装置100の全体を制御するとともに、2台の携帯端末装置90、92に対して適切な供給電力を設定してこれらに内蔵された二次電池の充電を行う動作を行う。充電に関する動作については後述する。
【0022】
メモリ50は、CPU40の動作プログラムを格納するとともに、CPU40の動作に必要な各種データを格納する作業領域として用いられる。CPU40によって実行される動作プログラムには、車載装置100が携帯端末装置90、92に内蔵された二次電池の充電を行う充電装置として動作するための充電制御プログラムが含まれている。メモリ50は、例えば、ROMやRAM等の半導体メモリによって構成されており、これら以外にハードディスク装置などを含むようにしてもよい。
【0023】
USBインタフェース部60は、USBケーブルを介して、携帯端末装置90、92などのUSB機器との間で、信号の入出力や動作電力や充電電力の供給を行うためのものである。このUSBインタフェース部60には、2つのUSBポート62、64やUSBホストコントローラが含まれる。
【0024】
電源回路70は、車両に搭載されたバッテリ(図示せず)に接続されており、車載装置100の各部の動作に必要な電圧や、USBポート62、64に接続された携帯端末装置90、92の動作や充電に必要な電圧を生成する。
【0025】
充電回路80は、USBポート62、64に接続された携帯端末装置90、92に内蔵された二次電池に対して並行して充電を行う。本実施形態では、2台の携帯端末装置90、92に供給可能な電力の合計値が、これら2台の携帯端末装置90、92のそれぞれの最大充電電流の合計値よりも少ない場合を想定している。例えば、携帯端末装置90、92のそれぞれは、最大27Wで急速充電を行うことが可能であるが、充電回路80は、2台の携帯端末装置90、92の合計で最大30Wの電力しか供給できず、この30Wまでの範囲で2台の携帯端末装置90、92に対して供給電力を分配するものとする。
【0026】
図2は、メモリ50に格納された充電制御プログラムをCPU40によって実行することで動作する充電制御部140の機能ブロックの構成図である。
図2に示すように、充電制御部140は、電池残量判定部142、充電時間設定部144、供給電力設定部146、消費電力判定部148を含んで構成されている。
【0027】
電池残量判定部142は、USBポート62、64に接続された携帯端末装置90、92のそれぞれの電池残量を、それぞれの電池容量とともに判定する。具体的には、一方の携帯端末装置90の電池容量A、電池残量aと、他方の携帯端末装置92の電池容量B、電池残量bが検出される。
【0028】
充電時間設定部144は、携帯端末装置90、92に内蔵された二次電池を充電する充電時間を設定する。本実施形態では、ナビゲーション処理部10による経路誘導動作中であって目的地が設定されており、この目的地に到達するまでの所要時間が充電時間として設定される。なお、目的地までの所要時間を充電時間として設定するのではなく、利用者が操作部20を操作して充電時間を指定するようにしてもよい。
【0029】
供給電力設定部146は、設定された充電時間に基づいて、この充電時間が経過した時点における2台の携帯端末装置90、92のそれぞれに内蔵された二次電池の電池残量が所定の関係となるように、充電回路80から2台の携帯端末装置90、92のそれぞれに供給する電力量を設定する。
【0030】
消費電力判定部148は、USBポート62、64に接続された携帯端末装置90、92のそれぞれが充電中に消費する電力を判定する。例えば、消費電力は、充電動作と並行して携帯端末装置90、92のそれぞれが動作させているアプリケーションの種類に応じて決まるため、動作中のアプリケーションの種類を検出することにより、消費電力の大小を判定する場合が考えられる。一般には、テザリング、ネット動画視聴、テレビ視聴などのアプリケーションを実行中の場合に消費電力が多くなる。また、携帯端末装置90、92のそれぞれに自装置の消費電力を検出して監視するアプリケーションが備わっている場合には、この検出した消費電力を取得してもよい。
【0031】
上述したUSBインタインタフェース部60が接続手段に、充電回路80が充電手段に、電池残量判定部142、供給電力設定部146が供給電力設定手段に、消費電力判定部148が消費電力判定手段にそれぞれ対応する。
【0032】
本実施形態の車載装置100および充電制御部140はこのような構成を有しており、次に、その動作を説明する。
【0033】
図3は、2台の携帯端末装置90、92に対して充電動作を行う動作手順を示す流れ図である。例えば、目的地に到達する時点で、2台の携帯端末装置90、92の電池残量の割合(電池容量に対する電池残量の割合)が同じになるように充電動作を行う場合の動作手順が示されている。
【0034】
電池残量判定部142は、2つのUSBポート62、64に2台の携帯端末装置90、92が接続されたか否かを判定している(ステップ100)。携帯端末装置90、92の一方しか接続されていない場合やどちらも接続されていない場合には否定判断が行われ、この判定が繰り返される。
【0035】
また、2台の形態端末装置90、92が接続されると、ステップ100の判定において肯定判断が行われる。次に、電池残量判定部142は、これら2台の携帯端末装置90、92のそれぞれについて、電池容量と電池残量を検出する(ステップ102)。また、充電時間設定部144は、その時点における目的地までの所要時間を充電時間として設定する(ステップ104)。
【0036】
次に、供給電力設定部146は、設定された充電時間内に、2台の携帯端末装置90、92の両方の充電が完了するか(両方が満充電状態になるか)否かを判定する(ステップ106)。この判定は、2台の携帯端末装置90、92のそれぞれを満充電状態にするために必要な電力量と、充電回路80による供給電力の最大値を充電時間の間維持した場合の合計の電力量とを比較することで行うことができる。
【0037】
充電時間内に2台の携帯端末装置90、92に対する充電が完了しない場合(満充電状態にするために必要な電力量の方が多い場合)にはステップ106の判定において否定判断が行われる。この場合には、供給電力設定部146は、充電時間経過時に2台の携帯端末装置90、92が同じ電池残量(電池容量に対する電池残量の割合)が同じになるように、2台の携帯端末装置90、92のそれぞれに対する供給電力を設定する(ステップ108)。
【0038】
一方、充電時間内に2台の携帯端末装置90、92に対する充電が完了する場合(満充電状態にするために必要な電力量の方が少ない場合)にはステップ106の判定において肯定判断が行われる。この場合には、供給電力設定部146は、設定された充電時間経過時よりも早い時点で同時に2台の携帯端末装置90、92が満充電状態になるように、2台の携帯端末装置90、92のそれぞれに対する供給電力を設定する(ステップ110)。
【0039】
次に、充電回路80は、このようにして設定された供給電力で2台の携帯端末装置90、92に対する並行した充電動作を開始する(ステップ112)。
【0040】
ところで、充電時間経過時(目的地到着時)の電池残量を同じにするために供給電力を設定する方法としては、いくつかのケースが考えられる。
【0041】
(ケース1)設定された充電時間が経過する前に、2台の携帯端末装置90、92のそれぞれの電池残量(電池容量に対する電池残量の割合)を同じにし、その後、設定された充電時間が経過するまで、電池残量が同じとなる関係を維持しながら充電を継続する。
【0042】
図4は、ケース1に対応する供給電力の具体例を示す図である。
図4において、端末Aが携帯端末装置90を、端末Bが携帯端末装置92を示している。また、2台の携帯端末装置90、92を充電するために充電回路80から供給可能な電力の最大値が30Wであり、この範囲内で2台の携帯端末装置90、92を充電するための電力が分配される。これらは、後述する
図5においても同様である。
【0043】
図4に示す例では、目的地までの所要時間「60分」が充電時間として設定されて充電が開始される。また、充電開始から40分が経過した時点で2台の携帯端末装置90、92の電池残量が同じになるように各供給電力が設定されて充電が行われる。その後、充電が終了するまで(60分に達するまで)、2台の携帯端末装置90、92の電池残量が互いに同じになるように充電が行われる。
【0044】
(ケース2)設定された充電時間が経過するまで、2台の携帯端末装置90、92のそれぞれに供給する電力を一定にする。
【0045】
図5は、ケース2に対応する供給電力の具体例を示す図である。
図5に示す例では、目的地までの所要時間「60分」が充電時間として設定されて充電が開始されてから充電が終了するまでの間、一方の携帯端末装置90への供給電力(20W)と、他方の携帯端末装置92への供給電力(10W)が維持される。
【0046】
このように、本実施形態の車載装置100では、充電時間経過時の2台の携帯端末装置90、92のそれぞれに内蔵された二次電池の電池残量を考慮して充電量を設定しているため、充電対象となるこれら2台の携帯端末装置90、92の間の電池残量のばらつきを抑制することが可能となる。
【0047】
特に、充電時間が経過した時点における2台の携帯端末装置90、92のそれぞれに内蔵された二次電池の電池残量の割合が同じになるように電力量を設定することにより、確実に充電時間経過後の2台の携帯端末装置90、92の電池残量のばらつきをなくすことができる。
【0048】
また、設定された充電時間が経過する前に、2台の携帯端末装置90、92の電池残量が同じになり、その後充電時間が経過するまで、この関係を維持するように供給する電力量を設定することにより(ケース1の場合)、早期に電池残量のばらつきを解消することが可能となる。
【0049】
また、設定された充電時間が経過するまで、2台の携帯端末装置90、92のそれぞれに供給する電力が一定になるように電力量を設定することにより、充電開始時に充電電力を設定するだけで複雑な制御を行うことなく、電池残量のばらつきを解消することが可能となる。
【0050】
また、車両が目的地に到着するまでの所要時間を充電時間とすることにより、車両が目的地に到着して搭乗者が降車する時点における電池残量のばらつきを解消することが可能となる。
【0051】
また、充電回路80から2台の携帯端末装置90、92に供給可能な電力の合計値が、これら2台の携帯端末装置90、92のそれぞれの最大充電電流の合計値よりも少なく、十分な電力供給ができない場合であっても、電池残量のばらつきを抑制することが可能となる。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、2台の携帯端末装置90、92の充電時間が同じであるものとしたが、異なる場合であっても本発明を適用することができる。例えば、一方の携帯端末装置90の充電時間をT1(例えば、目的地までの所要時間)、他方の携帯端末装置92の充電時間をT2(例えば、途中で同乗者が降車するまでの時間であって、手動操作で入力する場合や、普段の乗車履歴から推定する場合などが考えられる)としたときに、これらの充電時間T1、T2が経過した時点における2台の携帯端末装置90、92の電池残量が同じになるように各供給電力を設定すればよい。この場合には、充電時間が短い携帯端末装置92を優先的に充電する供給電力の設定が行われることになる。このように、2台の携帯端末装置90、92のそれぞれの充電時間が異なる場合であっても、それぞれの充電終了時における電池残量のばらつきを抑制することが可能となる。
【0053】
また、上述した実施形態では、2台の携帯端末装置90、92のそれぞれの電池残量と充電時間とに基づいて、それぞれに供給する電力量を設定したが、供給電力設定部146はさらに、2台の携帯端末装置90、92のそれぞれの充電中の消費電力(消費電力判定部148によって判定される)を加味して電力量の設定を行うようにしてもよい。具体的には、供給電力設定部146は、2台の携帯端末装置90、92のそれぞれの消費電力を、供給可能な電力の合計値から差し引いて充電用電力値とし、この充電用電力値を用いることにより、上述した
図3のステップ106の判定やステップ108、110の設定を行うようにすればよい。これにより、各携帯端末装置90、92が動作中でその動作電力が必要な場合であっても、確実に電池残量のばらつきを抑制することが可能となる。
【0054】
また、上述した実施形態では、目的地までの所要時間を充電時間として設定したが、このような設定をしない場合であっても本発明を適用することができる。例えば、2台の携帯端末装置90、92のそれぞれの電池残量と、それぞれに供給可能な電力の合計値とに基づいて、2台の携帯端末装置90、92の両方を同時に満充電状態にすることができる最短の時間を算出することが可能であり、充電時間設定部144は、このようにして算出した時間を充電時間に設定する。これにより、
図3に示した動作手順にしたがった充電制御を行うことが可能となる。
【0055】
また、上述した実施形態では、設定した充電時間において2台の携帯端末装置90、92のそれぞれの電池残量が同じになるようにしたが、単に電池残量のばらつきを抑制する目的を達成するために処理を簡略化してもよい。
【0056】
例えば、供給電力設定部146は、電池残量判定部142によって検出された2台の携帯端末装置90、92のそれぞれの電池残量と、消費電力判定部148によって判定された2台の携帯端末装置90、92のそれぞれの消費電力とに基づいて、それぞれに供給する電力を設定してもよい。具体的には、電池残量が少ない一方の携帯端末装置において充電に用いられる電力(供給電力から消費電力を差し引いた電力)が、電池残量が多い他方の携帯端末装置において充電に用いられる電力よりも多くなるように各供給電力を設定すればよい。このような設定とすることにより、消費電力の大小にかかわらず、充電中の時間経過とともに電池残量のばらつきが少なくなるように充電制御を行うことが可能となる。
【0057】
また、上述した実施形態では、2台の携帯端末装置90、92を充電する場合について説明したが、その他の電子機器を充電する場合や、3台以上の電子機器を充電する場合についても本発明を適用することができる。
【0058】
また、上述した実施形態では、車載装置100について本発明を適用したが、車載以外の充電装置について本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
上述したように、本発明によれば、充電時間経過時の各電子機器の電池残量を考慮して充電量を設定しているため、充電対象となる複数の電子機器の電池残量のばらつきを抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
40 CPU
50 メモリ
60 USBインタインタフェース部(USB IF)
60、62 USBポート
70 電源回路
80 充電回路
90、92 携帯端末装置
100 車載装置
140 充電制御部
142 電池残量判定部
144 充電時間設定部
146 供給電力設定部
148 消費電力判定部