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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】フローティング導体ハウジング
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/00 20060101AFI20230320BHJP
   G01K 7/22 20060101ALI20230320BHJP
   G01K 13/02 20210101ALN20230320BHJP
【FI】
G01K7/00 A
G01K7/22 L
G01K13/02
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018094393
(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公開番号】P2018194551
(43)【公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-11
(31)【優先権主張番号】15/599,167
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506154029
【氏名又は名称】センサータ テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント デュールワールダー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアーン ベーツ
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ チェビシェフ
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-267547(JP,A)
【文献】特開2012-098291(JP,A)
【文献】特開昭60-000314(JP,A)
【文献】実開昭52-122777(JP,U)
【文献】特開2016-057142(JP,A)
【文献】特開昭50-027583(JP,A)
【文献】実開昭56-174032(JP,U)
【文献】特開2009-063533(JP,A)
【文献】特開2009-103474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサアッセンブリであって、
感知素子であって、当該感知素子から延在する少なくとも1つの電気リードを備える、前記感知素子と、
前記感知素子を包囲するチューブと、
絶縁材料であって、前記絶縁材料が、前記少なくとも1つの電気リードの一部を囲み、且つ、前記少なくとも1つの電気リードの周りに空間を規定し、それにより、温度勾配が押し込みおよび引っ張りを引き起こすとき、前記少なくとも1つの電気リードが前記空間内を移動する、前記絶縁材料と、
前記チューブに接続され、前記絶縁材料を囲むスリーブと、
前記少なくとも1つの電気リードに接続ポイントで接続される、少なくとも1つのリード延在部と、
前記チューブの遠位端において前記感知素子を固定する遠位材料とを含み、
前記遠位材料および前記絶縁材料がそれらの間にエアギャップを規定し、前記少なくとも1つの電気リードが前記感知素子から前記遠位材料および前記絶縁材料の少なくとも1つの内部に位置された前記接続ポイントまで連続的に延在される、センサアッセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサアッセンブリであって、前記感知素子が温度感知素子であり、前記遠位材料が絶縁性の材料であり、前記少なくとも1つのリード延在部と前記少なくとも1つの電気リードとの間の接続ポイントが前記遠位材料および前記絶縁材料の少なくとも1つによって支持され、前記スリーブが、前記少なくとも1つのリード延在部が通過する中間湾曲部を有する、センサアッセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサアッセンブリであって、前記中間湾曲部が、15度~110度の間の曲げ角度αを有する、センサアッセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載のセンサアッセンブリであって、
前記少なくとも1つの電気リードが2つのリードであり、
さらに、
前記2つのリードに接続された編組供給ラインであって、前記編組供給ラインが、温度勾配による前記2つのリードの運動を吸収するように、前記スリーブの中間湾曲部内に配置および構成される、前記編組供給ラインと、前記スリーブの近位端において前記編組供給ラインを固定する近位材料と、前記編組供給ラインを保護、支持、および、電気的に絶縁するためのカバーとを含む、センサアッセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載のセンサアッセンブリはさらに、排気システムに前記センサアッセンブリを連結するため、前記スリーブ上に搭載されるコネクタを含む、センサアッセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載のセンサアッセンブリであって、前記少なくとも1つの電気リードがスプリング部を含む、センサアッセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載のセンサアッセンブリであって、前記絶縁材料を囲む前記スリーブの第1の部分が排気ガスに晒され、前記スリーブの第2の部分が周囲条件に晒され、前記スプリング部が前記第2の部分内にある、センサアッセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載のセンサアッセンブリであって、前記絶縁材料が、前記スリーブの前記第1および第2の部分内に延在する、センサアッセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載のセンサアッセンブリであって、前記少なくとも1つの電気リードは、温度勾配の結果として生じる移動を吸収するため、前記スリーブ内に正弦曲線形状を形成前記スリーブを通って延在し、前記接続ポイントが前記絶縁材料内に位置する、センサアッセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載のセンサアッセンブリであって、前記正弦曲線形状が2つの弧状のセクションを含む、センサアッセンブリ。
【請求項11】
請求項9に記載のセンサアッセンブリはさらに、前記少なくとも1つのリードに電気絶縁および機械的ダンピングを提供するため、前記スリーブ上に内層を含む、センサアッセンブリ。
【請求項12】
センサアッセンブリであって、
感知素子であって、当該感知素子から延在する少なくとも1つの電気リードを備え、当該少なくとも1つの電気リードは、該電気リードを付勢するスプリング部を含む、前記感知素子と、
前記感知素子を包囲するチューブと、
絶縁材料であって、前記絶縁材料が、前記少なくとも1つの電気リードの一部を囲み、且つ、前記少なくとも1つの電気リードの周りに空間を規定し、それにより、温度勾配が押し込みおよび引っ張りを引き起こすとき、前記少なくとも1つの電気リードが前記空間内を移動し、且つ、前記スプリング部が歪み解放を提供する、前記絶縁材料と、
前記チューブに接続され、前記絶縁材料を囲むスリーブと、
前記少なくとも1つの電気リードに接続ポイントで接続される、少なくとも1つのリード延在部と、
前記チューブの遠位端において前記感知素子を固定する遠位材料とを含み、
前記遠位材料および前記絶縁材料がそれらの間にエアギャップを規定し、前記少なくとも1つの電気リードが前記感知素子から前記遠位材料および前記絶縁材料の少なくとも1つの内部に位置された前記接続ポイントまで連続的に延在される、センサアッセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載のセンサアッセンブリであって、前記センサアッセンブリは、高温から低温に遷移する環境にあり、それ故、前記センサアッセンブリは、高温側の過剰な熱のために、高温側と前記スプリング部を有する低温側とを含む、センサアッセンブリ。
【請求項14】
請求項13に記載のセンサアッセンブリであって、前記高温側の温度が500℃を超え、前記スプリング部は、螺旋状の構成、湾曲した平坦ワイヤー、および波状に形成された部分からなるグループから選択される、センサアッセンブリ。
【請求項15】
請求項12に記載のセンサアッセンブリであって、前記電気リードの一部は、温度勾配からの移動中に前記電気リードを曲げることを可能にするため、少なくとも2つの弧状のセクションを含む正弦曲線形状に形成される、センサアッセンブリ。
【請求項16】
請求項15に記載のセンサアッセンブリであって、前記正弦曲線形状の部分はエアギャップであり、センサアッセンブリはさらに、前記エアギャップ内の電気リードに電気絶縁および機械的ダンピングを提供する前記スリーブ内の内層を含む、センサアッセンブリ。
【請求項17】
センサアッセンブリであって、
感知素子であって、当該感知素子から延在する少なくとも1つの電気リードを備え、当該少なくとも1つの電気リードは、電気リードを付勢するスプリング部を含む、前記感知素子と、
前記感知素子を包囲するチューブと、
絶縁材料であって、前記絶縁材料が、前記感知素子と前記少なくとも1つの電気リードを包囲し、かつ前記少なくとも1つの電気リードの周りに空間を規定し、それにより、温度勾配が押し込みおよび引っ張りを引き起こすとき、前記少なくとも1つの電気リードが前記空間内を移動し、かつ前記スプリング部が歪み解放を提供し、前記電気リードの一部は、温度勾配からの移動中に前記電気リードを曲げることを可能にするため、少なくとも2つの弧状のセクションを含む正弦形状に形成され、前記正弦形状の部分は、エアギャップ内にある、前記絶縁材料と、
前記チューブに接続され、前記絶縁材料を囲むスリーブと、
前記エアギャップ内の電気リードに電気絶縁および機械的ダンピングを提供する前記スリーブ内の内層と、
前記少なくとも1つの電気リードに接続ポイントで接続される、少なくとも1つのリード延在部と、
前記チューブの遠位端において前記感知素子を固定する遠位材料とを含み、
前記遠位材料および前記絶縁材料がそれらの間に前記エアギャップを規定し、前記少なくとも1つの電気リードが前記感知素子から前記絶縁材料の内部に位置された前記接続ポイントまで連続的に延在される、センサアッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、温度センサに関し、より詳細には、自動車の排気システム用などの高温センサに関する。
【背景技術】
【0002】
排出規制は、よりクリーンな作動中エンジンの開発における革新をもたらすことにとって、重要な拠り所である。自動車産業は、排出を改善するために、エンジン設計、エンジン制御、燃料噴射等において多くの進歩を成してきた。排気システムは、規制に合致すること、および、規制より優れたものであることにおいて特に重要である。排気システムおよびエンジン全体の適正な機能を保証するために、様々なセンサがエンジン制御に情報を提供する。典型的なセンサには、温度センサや圧力センサ、酸素センサが含まれる。
【0003】
排気システムは、センサを展開することにおいて特に困難な環境にある。ディーゼルおよびガソリン両方の用途において、内燃エンジン設計は、出力密度、燃料効率、および、エンジンの俊敏さを向上させることに重点が置かれる。これらの開発は、排気システムを、より鋭利な温度変化と共に、より高温で、より速いガス速度にさせる。典型的な動作温度は、始動時の非常に冷たい周囲温度から、動作中に750~1200℃まで変動する。熱衝撃は、1100Ks-1にもなることがあり、著しい量の機械的ストレスを誘発する。さらに、排気システムは、かなりの腐食性があり得る腐食性ガスを有することがある。これらの急速な温度変化や化学的に不利な環境と共に、著しい振動がめずらしくない。この結果、センサ寿命はしばしば制限され、故障が発生することがある。対照的に、内燃(IC)エンジンの排気システムの他の構成要素は、耐用期間が長い。
【0004】
典型的に、高温センサは、測定されるべき媒体に晒される先端(tip)アッセンブリから成る。排気ガス温度センサと共に、先端アッセンブリは、排気ガスに接触し得る。熱流束が先端アッセンブリに伝達されるように、温度感知素子が、先端アッセンブリ内に収容される。内部の温度感知素子は、正温度係数(PTC)サーミスタまたは負温度係数(NTC)サーミスタであってよい。
【0005】
排気ガスセンサ技術のいくつかの例は、2003年10月28日に発行された、村田らの特許文献1、2004年12月14日に発行された、足立らの特許文献2、2012年12月11日に発行されたWienandらの特許文献3、1998年11月3に発行された、Wienandらの特許文献4、2012年12月18日に発行された、Kamenovらの特許文献5、2003年9月9日に発行された、Zitzmannらの特許文献6、および、2002年3月5日に発行された、Dietmannらの特許文献7であり、それらの文献のそれぞれが、参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第6,639,505 B2
【文献】米国特許第6,829,820 B2
【文献】米国特許第8,328,419 B2
【文献】米国特許第5,831,512
【文献】米国特許第8,333,506
【文献】米国特許第6,617,956
【文献】米国特許第6,353,381
【0007】
排気システムのアウトレット(出口)における排気ガス温度(EGT)センサの一般的な位置合わせが、図1に図示されるように先端上に、正および負の急な温度勾配を引き起こす。こうした勾配は、金属チューブ902の外側部分と金属チューブ902の内側部分との間の先端アッセンブリ900上に変化(デルタ)をつくる。感知素子904は、典型的に金属チューブ902の遠位端付近にあり、セメントペーストに埋め込まれる。リード906は、感知素子904からの信号を搬送する。電気リード906は機械的に連結される。標準的なアプローチは、リードを備える鉱物絶縁ケーブルを定位置に有することである。
【0008】
温度変化(デルタ)は、正および負の熱衝撃を引き起こす。矢印908によって図示される負の熱衝撃は、矢印910によって示されるように、感知素子904上に押し込みや押圧(pushing)を引き起こす。矢印912によって図示される正の熱衝撃は、矢印914によって示されるように、感知素子904上に引っ張り(pulling)を引き起こす。こうした結果が、内部構成要素と、接続と、電気リード906との間の過酷な圧縮および伸長ストレスである。こうしたストレスは、損傷および故障をもたらす。
【発明の概要】
【0009】
上記を考慮すると、温度勾配、振動、および、その他の原因によって引き起こされる機械的ストレスを防止、減少または最小化することが有効である。電気リードや、様々な構成要素との電気リードの接続など、一層弱いポイントでの機械的変形に対処することが特に有効である。デカップリングが、温度勾配によって負わされるストレスを解放する。
【0010】
改善された温度センサを提供することが本技術の目的であり、そうしたセンサは、信頼できるもの、製造がより安価なもの、半自動または全自動生産プロセスによって大量生産可能であるもの、長持ちするもの、内燃エンジンに典型的な高温および振動に耐えるもののうちの少なく1つである。
【0011】
1つの実施形態において、本技術は、排気ガス温度センサが、過度の温度勾配および/または自動車振動に耐えることを可能にする、デカップリングメカニズムを提供する。デカップリングメカニズムの1つのバージョンは、フローティング接続導体を用いることによって、測定先端とセンサボディとの力のデカップリング(force-decoupling)をつくる。
【0012】
1つの実施形態において、本技術は、内部構成要素の幾つかの材料間に過度の圧縮および伸長ストレスをもたらす、非常に高い加熱および冷却勾配に起因する、ワイヤおよびワイヤ接続におけるストレス、ならびに、供給ラインと温度感知素子との間の接続リードにおけるストレスを減少させる。こうしたストレスはリードおよび/または供給ラインの機械的なデカップリングまたはフローティングによって減少される。
【0013】
或る実施形態において、本技術は、感知素子106、206、306を含み、少なくとも1つの電気リード105、205、305が感知素子106、206、306から延在する、センサアッセンブリ100、200、300を対象とする。チューブ104、204、304が感知素子を包囲し、材料114、214、314が、少なくとも1つの電気リードを囲み、少なくとも1つの電気リードの周りの空間116、216、316を規定し、それにより、温度勾配が押し込み(push)および引っ張り(pull)を引き起こすとき、少なくとも1つの電気リードが空間内を移動する。センサアッセンブリはさらに、チューブに接続され、且つ、材料を囲む、スリーブ120、220、320と、少なくとも1つの電気リードに接続される少なくとも1つのリード延在部(lead extension)108、218、318と、チューブの遠位端109、209、309において感知素子を固定する遠位材料110、210、310と、を含んでよい。遠位材料および材料は、それらの間にギャップ112、212、312を規定してよい。好ましくは、感知素子は温度感知素子であり、材料は絶縁材料であり、遠位材料は絶縁材料であり、少なくとも1つのリード延在部と少なくとも1つの電気リードとの間の接続ポイント107は、材料によって支持される。
【0014】
センサアッセンブリはさらに、チューブに接続され、且つ、材料を囲む、スリーブ220を含んでよく、スリーブは、少なくとも1つの電気リードが通過する中間湾曲部228を有する。少なくとも1つの電気リードは、2つまたはそれ以上のリードであり得る。編組(ブレーデッド)供給ライン(braided supply line)218が、リードに接続されてよく、編組供給ラインは、温度勾配による2つのリードの運動を吸収するように、湾曲部内に配置および構成される。好ましくは、遠位材料は、チューブの遠位端209において感知素子を固定し、これによりエアギャップ212が材料と遠位材料との間に形成される。近位材料232は、スリーブの近位端232において編組供給ラインを固定してよい。カバーが編組供給ラインを保護、支持、および電気的に絶縁し得る。好ましくは、湾曲部は、15~110度の間の曲げ角度αを有する。排気システムにセンサアッセンブリを連結するため、コネクタがスリーブ上に搭載されてよい。
【0015】
別の実施形態において、スリーブ120、220、320が、チューブに接続し、材料を囲み、少なくとも1つの電気リード305が、スリーブを通って延在し、温度勾配の結果として生じる運動を吸収するため、スリーブ内で正弦曲線形状を形成する。好ましくは、正弦曲線形状は、2つの弧状のセクション309を含む。スリーブ上の内層336が、少なくとも1つのリードに電気絶縁および機械的ダンピングを提供し得る。
【0016】
本技術が、次に限定されないが、現在知られた、および、これから開発されるアプリケーションのためのプロセス、装置、システム、デバイス、および方法を含め、多数のやり方で実施および利用され得ることを理解すべきである。その他の特徴および利点は、実例として、実施形態の様々な特徴を図示する添付の図面と関連した、以下の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
これらおよび他の態様、特性および利点が、図面を参照して、以下の説明に基づいて、以降で説明される。
【0018】
図1】正および負の温度衝撃を図示する従来技術の先端アッセンブリの概略図である。
図2】本技術に従ったエンジンシステムの概略図である。
図3】本技術に従ったセンサアッセンブリの部分的断面図である。
図4】本技術に従った別のセンサアッセンブリの断面図である。
図5】本技術に従ったさらに別のセンサアッセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本技術は、高温センサと関連した従来技術の課題の多くを克服し、特に、センサの堅牢性を改善する。本明細書において開示される技術の利点およびその他の特徴は、本技術のそれぞれの実施形態を述べる図面と関連して一定の好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、当業者に一層容易に明らかになる。図面において、同様の参照数字は、同様の構造的要素を指す。
【0020】
図2を参照すると、例示的なエンジンシステム10の概略図が示されている。エンジンシステム10は、排気排出物(exhaust emmissions)を吸気マニフォルド14内に戻すことによって、エンジン12から出てくるガスの一部を再循環し、エンジン12は、排出物を再び燃焼させ得、それにより、排出物が削減される。排気システム16は、簡略化されて示される配管や継ぎ手を含め、多くの構成要素を有する。排気システム16は、後続処理のために、排気マニフォルド18から高温のエンジン排出物を集める。排気システム16は、可変タービンジオメトリ(VTG)22に排出物を選択的に送る。VTG22は、低圧力EGRセクション24に供給するために吸気口を有する。また、吸気マニフォルド14に供給する高圧力EGRセクション26において、高圧力EGR冷却器28がある。EGR冷却器28は、エンジンの吸気マニフォルド14を通じて排気ガスが再循環する前に、排気ガス温度を下げるように、エンジン冷媒を使用する。エンジン燃焼温度の低下が、窒素酸化物(NOx)汚染物質の形成を防止するのを助ける。
【0021】
しかし、排出物の大部分は、依然として排気システム16にある。外に出る前に、排出物は、3つの触媒コンバータ30a~30cを通過する。触媒コンバータ30a~30cは、有害ガス排出物を削減するように、排気ガスを酸化させ、排気のすすの微粒子を除去するたの酸化触媒コンバータ(DOC)、粒状酸化物浄化(POC)、ディーゼル粒子フィルタ(DPF)、NOC、NSC、SCRF、SCR、NST、DOC-DPF、NH3等など、任意のタイプおよび数であってよい。好ましくは、VTG22に空気を付加的に供給するための第2の低圧力EGR冷却器32もある。
【0022】
重要なことには、エンジン制御システム(図示せず)は、これらの構成要素と相互作用し、複数のセンサを用いてパラメータをモニタする。以下の説明は、温度センサに関するものであるが、本技術は、次に限定されないが、圧力センサ、一体型の温度および圧力センサ、酸素センサを含め、任意のタイプのセンサに適用可能であることが理解される。排気システム16は、複数の温度センサ90a~90jを有し、それらは互換可能であってもよく、または互換不可能であってもよい。付加的に、エンジンシステム10は、本技術に従い、本技術に組み込まれる温度センサを有する既存のエンジンシステムであってよい。本技術に従ったセンサは、ディーゼル、ガソリン、または、その他の燃料タイプのエンジンであり得る任意のエンジンシステムに適用可能であってよく、いかなる特定のタイプのエンジンまたは他の感知アプリケーションに制限されない。
【0023】
次に図3を参照すると、センサアッセンブリ100の先端アッセンブリ102の部分的断面図が示されている。先端アッセンブリ102は、感知素子106を包囲する、遠位端109を備えるチューブ104を含む。好ましくは、チューブ104は金属から製造される。感知素子106は、任意のタイプの感知素子であってよい。
【0024】
感知素子106は、感知素子106から延在するセンサリード105を有する。センサリード105は、付加的長さのためにワイヤまたは延在されたリード108に連結する。代替的な実施形態において、センサリード105は、電気コネクタ(図示せず)または異なる長さまで延在してよい。センサリード105および延在されたリード108は、接続ポイント107で、例えばはんだ付けによって互いに接続される。チューブ104の遠位領域において、材料110は、支持および保護を提供するため、感知素子106を囲む。材料110は、好ましくは絶縁材料であり、また、感知素子106とリード108との間の接続ポイントを包囲する。
【0025】
チューブ104は、付加的絶縁材料114がリード108を囲む前に絶縁ギャップ112を有する。保護スリーブ120が絶縁材料114を囲む。近位絶縁材料114はリード108の周りに空間116をつくる。1つの実施形態において、空間116は、後方に対して半径方向および接線方向である。空間116により、両方向における、軸方向矢印「a」によって示されるようなリード108の自由運動が可能になる。その結果、温度勾配が押し込みおよび引っ張りを引き起こすとき、リード108が移動でき、これがストレスを低下させ、疲労を減少させ、故障を減少させる。
【0026】
次に図4を参照すると、本技術に従った別のセンサアッセンブリ200の断面図が示されている。センサアッセンブリ200は、上述のセンサアッセンブリ100と類似しており、そのため、同様の参照数字が使用される。センサアッセンブリ200は、遠位チューブ204を備える先端アッセンブリ202を含む。チューブ204は、閉じた遠位端209および開いた近位端211を有する。エンジンに搭載されたとき、チューブ204は、測定される媒体に晒される。
【0027】
チューブ204は、温度感知素子206を包囲する。温度感知素子206は、PTCまたはNTCデバイスであってよい。リード205は、温度感知素子206から延在し、ワイヤ接続によって、電気的および機械的に編組供給ライン218に連結する。リード205および供給ライン218は、はんだ付けによって連結されてよい。1つの実施形態において、リード205は、0.2~0.3mmの範囲の直径を有するプレーテッドワイヤである。
【0028】
別の実施形態において、リード205を供給ライン218に連結するように、伝導性のチューブ形状の構造が各リード205上で使用される。供給ライン218は、編組であってよく、さらに、鉱物絶縁供給ラインであってよい。鉱物絶縁供給よりひも(strand)は、例えば、合金601(60wt.%ニッケル、21wt.%クロム、15wt.%鉄、および、1.2wt.%アルミニウム)または他のニッケル合金製のよりひもを含む。
【0029】
リード205および/または供給ライン218は、場合に応じて、保護スリーブ220を通って延在する。チューブ204およびスリーブ220は、60wt.%ニッケル、21wt.%クロム、15wt.%フェロ(Ferro)、および、1.2wt.%アルミニウムの合金、または、他のステンレス鋼合金などの金属から製造されてよい。
【0030】
スリーブ220の遠位端224で、リード205および/または供給ライン218は、絶縁材料214によって再び囲まれ、これが、絶縁材料214の構成または配置により、リード205および/または供給ライン218の周りに空間216を形成する。その結果、リード205および/または供給ライン218は再び自由運動を有する。供給ライン218へのリード205の接続は、おおよそ接続ポイント207で発生し、ここで絶縁材料214が終わる。供給ライン218は、絶縁材料214から延在するので、供給ライン218は、やはり電気的に絶縁する保護ブレードカバー222を有する。代替的な実施形態において、接続ポイント207は、絶縁材料214の前、絶縁材料214の中、または、絶縁材料214の後にある。
【0031】
チューブ204の開いた近位端211は、例えば、圧着、溶接、および/または、他の技法によってスリーブ220に接続される。コネクタ226が、なお、排気システムにセンサアッセンブリ200を連結するため、スリーブ220の上に搭載される。コネクタ226は、取り付けのため、外側のねじ山または同様のものを有してよい。図4に関して、概して、環境が高温(例えば、図4の左側)から低温(例えば、右側)に遷移する場所を図示するために、垂直の破線がコネクタから延出する。低温側で、スプリング部などの歪み解放を有することは、高温側の過剰な熱が和らぎ、スプリング部の性能特性を変化させるので、有利である。スプリング部は、従来のらせん構造、湾曲した円形ワイヤ、湾曲した平坦ワイヤ、波形状の部分等であってよい。高温側の温度は500℃を超えることがある。
【0032】
スリーブ220は中間湾曲部228を有する。スリーブ220の近位端232で、リード205または(場合に応じて)供給ライン218は、支持のために再び絶縁材料234において固定される。しかし、材料214および材料234の支持の間で供給ライン218は支持されないが、スリーブ220内でいくぶん中央に置かれたままである。組みひも(braiding)およびブレード(braid)カバー222は、本質的に電気供給ライン218に構造的支持を提供する。
【0033】
図示されるように、湾曲部228の曲げ角度αは、おおよそ90度である。好ましい実施形態において、角度αは、15度~110度の間である。スリーブ220において局所的な曲げ角度αをつくることによって、接続ワイヤのフローティングメカニズムがつくられる。曲げ角度αによって、リード205および/または供給ライン218の剛性を克服する必要のない運動が可能になる。リード205および供給ライン218が、先端アッセンブリ軸「b」に沿って移動すること、および、供給ライン218の湾曲部を曲げることが可能なので、正および負の勾配によって引き起こされる変位および関連するストレスが軽減される。好ましくは、供給ライン218上の組みひも(braiding)は、電気絶縁を維持する一方で、リード205および供給ライン218の運動のためのガイドを提供するために、剛性および形状を有する。1つの実施形態において、感知素子から来るリードは、供給ラインと比べて相対的に堅い。それゆえ、供給ラインは、運動を吸収するように容易に撓むことができる。
【0034】
次に図5を参照すると、本技術に従った、センサアッセンブリ300のさらなる実施形態が示されている。上述の実施形態に関して開示されたものと類似の要素が、同様の参照番号で図示されている。多くの要素が、基本的には、前述の実施形態のものと同じであり、それゆえ、本明細書においてさらに説明されない。センサアッセンブリ300とセンサアッセンブリ200との違いは、スリーブ320が直線であることである。
【0035】
センサアッセンブリ300は、感知素子306から延在する、相対的により長いリード305を有する。リード305は、絶縁材料314におけるエアギャップまたは空間316を通過する。延在された長さに起因して、リード305は、直線スリーブ320を完全に通って、および、他の絶縁材料334における近位固定部を通って延在し得る。しかし、リード305は、直線でなく、むしろ正弦曲線形状で形成される。図示するように、リード305は、2つの弧状のセクション309を有するが、任意の数の湾曲が可能である。リード305の正弦曲線形状によって、温度勾配による運動の間、撓むことが可能となる。弧状のセクション309は、曲げ角度βを有する。スリーブ320の内側は内層336を有する。内層336は、リード305のために電気絶縁および機械的ダンピング(減衰)を提供する。内層336は、多数の層を含んでよい。
【0036】
変位が正および負の勾配によって引き起こされるとき、リード305は、破壊点より低い力で運動を吸収することができる。リード305は、両方向に移動し得る。正弦曲線形状の圧縮の計画された運動は、固定リードを備える標準的な鉱物ケーブルの故障を引き起こし得る、従来の接合部および接続部の脆弱性を、および、それらの延性の欠如を回避する。湾曲したスリーブおよび湾曲したリードが、同じセンサアッセンブリにおいて使用されてよいことが想定される。組み合わせにより、所望の内部運動が、温度勾配によって誘発されるストレスを減少および緩和することを可能にする。好ましくは、運動は、0.2mmまたはそれ以上を吸収し得る。弧状のセクション309の強度は、次に限定されないが、セクションの振幅、半径および厚さを含め、複数のファクタによって決定される。押し込み/引っ張り運動に対する低い抵抗力のためのパラメータの選択は、結果的に、歪み解放メカニズムの、堅牢で、耐久性があり、且つ、信頼できる動作となる。
【0037】
いくつかの要素の機能が、代替的な実施形態において、より少ない要素、または、単一の要素によって実施され得ることが、当業者によって理解される。同様に、幾つかの実施形態において、任意の機能的要素が、図示された実施形態に関して説明されたものより少ない、または、それと異なる動作を実施してもよい。また、説明目的のために別個に示された機能的要素(例えば、チューブ、よりひも、スリーブ、コーティング等)は、特定の実施態様において他の機能的要素内に組み込まれてもよい。さらに、材料および構成要素は、いくつかの材料から構成されてもよく、また、多くの所望の形状をとってもよい。本技術は、特に、排気ガス温度センサ(EGTS)ならびに他の分野および用途に適用可能であることが想定される。減少されたストレスは、非常に効果的にEGTSの寿命を増加させる。開示される実施形態は、すべてが円柱形状を有する。楕円または多角形など、任意の他の形状が使用され得ることが想定される。
【0038】
本明細書において開示される全ての特許、特許出願、および、他の参照文献が、ここで明らかに、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本技術は、いくつかの実施形態の観点で説明されたが、それらの代替、修正、置換、および、均等物が、本明細書を読み、図面を検討することによって当業者に明らかになると考えられる。本発明は、図示された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神および範囲における修正を網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5