(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】ネットワーク接続された自律車両の安全制御
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230320BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/00 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018147098
(22)【出願日】2018-08-03
【審査請求日】2021-07-30
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル, ティモシー エム.
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン, ジェイソン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ローソン, ジャック ディー.
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-072651(JP,A)
【文献】特開2005-250564(JP,A)
【文献】特開2017-030748(JP,A)
【文献】国際公開第2015/162764(WO,A1)
【文献】特開2016-034782(JP,A)
【文献】国際公開第2016/080452(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30、30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク接続された自律車両のための安全制御を保証する
ための、一又は複数のコンピュータプロセッサの動作方法であって、
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが、一又は複数のデータ通信ネットワーク上の一又は複数のデータ通信接続各々のそれぞれの
通信状態をモニタリングすること、
モニタリングされた前記通信状態が、第1の通信状態レベルよりも良好な第1の状態と、前記第1の通信状態レベルより不良である第2の通信状態レベルを下回る第2の状態と、前記第1の通信状態レベルを下回るが前記第2の通信状態レベルよりも良好な第3の状態とのいずれであるかを、前記一又は複数のコンピュータプロセッサが決定すること、
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが、モニタリングされた前記
通信状態
が前記第1の状態、前記第2の状態及び前記第3の状態のいずれに該当するかに基づいて、各々が前記自律車両の自律制御のそれぞれのレベルを規定する前記自律車両の複数の動作モードのうちの一つを選択すること、及び
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが、前記自律車両の動作を選択された前記動作モードへと移行させること
を含
み、
前記一又は複数のコンピュータプロセッサは、前記自律車両に含まれているか、前記一又は複数のデータ通信ネットワークにより前記自律車両と接続された車両管理システムに含まれているか、前記自律車両及び前記車両管理システムに分散されている、方法。
【請求項2】
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが、前記自律車両の動作に関連するリアルタイムの気象条件を決定することを更に含み、
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが前記自律車両の前記複数の動作モードのうちの一つを選択することが、決定された前記リアルタイムの気象条件に更に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが、前記自律車両の動作に関連するリアルタイムの道路条件を決定することを更に含み、
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが前記自律車両の前記複数の動作モードのうちの一つを選択することが、決定された前記リアルタイムの道路条件に更に基づく、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが、前記自律車両のオペレータの運転技術の程度を決定することを更に含み、
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが前記自律車両の前記複数の動作モードのうちの一つを選択することが、前記運転技術の程度に更に基づく、
請求項1
から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが、前記自律車両に近接して動作している一又は複数の自律車両の動作モードを決定することを更に含み、
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが前記自律車両の前記複数の動作モードのうちの一つを選択することが、前記一又は複数の自律車両の前記動作モードに更に基づく、
請求項1
から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記自律車両
の前記
複数の動作モードが、(i)完全自律動作モード、(ii)部分的自律動作モード、及び(iii)完全手動動作モード
を含む、請求項1
から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記部分的自律動作モードが、引き続き前記自律車両をコンピュータ制御方式で動作させながら、前記自律車両内の一又は複数の娯楽システムを使用不能にすることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが、前記自律車両のオペレータの運転者技術のレベルを決定すること;及び
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが、前記運転者技術のレベルに基づいて、前記自律車両の前記動作モードを選択するうえで使用されるデータモデルを更新すること
を更に含む、請求項1
から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが前記自律車両の前記オペレータの前記運転者技術のレベルを決定すること
は、
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが、前記自律車両の前記オペレータに一又は複数の運転動作を実施するよう命令することを更に含み、
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが前記運転者技術のレベルを決定することが、少なくとも部分的に、前記オペレータの前記一又は複数の運転動作の実施に基づく、
請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが前記自律車両の前記オペレータの前記運転者技術のレベルを決定すること
は、
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが、前記自律車両の前記オペレータの運転履歴を検索することを更に含み、
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが前記運転者技術のレベルを決定することが、少なくとも部分的に、検索された前記運転履歴に基づく、
請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが前記自律車両の前記オペレータの前記運転者技術のレベルを決定することが、
前記自律車両が手動制御動作モードにある間に、
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが、前記自律車両の前記オペレータの運転挙動をモニタリングすること、及び
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが、モニタリングされた前記運転挙動を前記自律車両について決定された最適な運転挙動と比較することにより、前記自律車両の前記オペレータの前記運転挙動を評価すること
を更に含み、
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが前記運転者技術のレベルを決定することが、少なくとも部分的に、前記オペレータの運転挙動の前記評価に基づく、
請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが、前記一又は複数のデータ通信ネットワークを通じて遠隔システムに、前記自律車両の選択された前記動作モードへの前記移行を知らせる通知を送信すること
を更に含む、請求項1
から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記一又は複数のコンピュータプロセッサが、選択された前記動作モードの表示を前記自律車両に近接している車両に提供すること
を更に含む、請求項1
から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
一又は複数のコンピュータプロセッサ、及び
前記一又は複数のコンピュータプロセッサの動作により実行されると、ネットワークに接続された自律車両の安全制御を保証するための動作を実施するコンピュータプログラムコードを含むメモリ
を備えたシステムであって、前記動作が、
一又は複数のデータ通信ネットワーク上の一又は複数のデータ通信接続各々のそれぞれの
通信状態をモニタリングすること、
モニタリングされた前記通信状態が、第1の通信状態レベルよりも良好な第1の状態と、前記第1の通信状態レベルより不良である第2の通信状態レベルを下回る第2の状態と、前記第1の通信状態レベルを下回るが前記第2の通信状態レベルよりも良好な第3の状態との、いずれであるかを決定すること、
モニタリングされた前記
通信状態
が、前記第1の状態、前記第2の状態及び前記第3の状態のいずれに該当するかに基づいて、各々が前記自律車両の自律制御のそれぞれのレベルを規定する前記自律車両の複数の動作モードのうちの一つを選択すること、及び
前記自律車両の動作を選択された前記動作モードへと移行させること
を含むシステム。
【請求項15】
前記動作が、
前記自律車両の動作に関連するリアルタイムの気象条件を決定すること、
前記自律車両の動作に関連するリアルタイムの道路条件を決定すること、
前記自律車両のオペレータの運転技術の程度を決定すること、及び
前記自律車両に近接して動作している一又は複数の自律車両の動作モードを決定すること
を更に含み、
前記自律車両の前記複数の動作モードのうちの一つを選択することが、前記リアルタイムの気象条件、前記リアルタイムの道路条件、前記自律車両の前記オペレータの前記運転技術の程度、及び前記一又は複数の自律車両の前記動作モードに更に基づく、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記動作が、
前記自律車両のオペレータの運転者技術のレベルを決定すること;及び
前記運転者技術のレベルに基づいて、前記自律車両の前記動作モードを選択するうえで使用されるデータモデルを更新すること
を更に含む、請求項14
又は15に記載のシステム。
【請求項17】
前記自律車両の前記複数の動作モードが、(i)完全自律動作モード、(ii)部分的自律動作モード、及び(iii)完全手動動作モードを含む、請求項14から16のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律車両を安全に動作させることに関し、具体的には、ネットワーク状態の情報に基づいた自律車両の手動制御のレベルを管理することに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自律車両は、手動モード(例えば、人間の運転手が車両の動きを手動で制御する場合)又は自律モード(例えば、コンピュータ論理が車両の動きを制御する場合)で動作するように構成することができる。自律車両は通常、ある場所から別の場所へと移動するとき、様々なコンピューティングシステムと通信ネットワークを使用して車両の動きを制御する。自律車両の人間の乗員の手動制御のレベルは、人間の乗員からの入力を本質的に必要としないレベルから、人間の乗員から初期入力(又は継続的入力)を必要とするレベルまで、更には人間の乗員が車両の動作を手動で制御するレベルまで、変化し得る。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一実施形態は、ネットワークに接続された自律車両の安全な制御を保証する方法を提供する。この方法は、一又は複数のデータ通信ネットワーク上の一又は複数のデータ通信接続の各々のそれぞれの状態をモニタリングすることを含む。加えて、方法は、モニタリングされた状態に基づき、自律車両の複数の動作モードのうちの一つを選択することを含む。複数の動作モードの各々は、自律車両の自律制御のそれぞれのレベルを規定する。方法はまた、自律車両の動作を選択された動作モードへと移行させることを含む。
【0004】
一態様では、方法は、上記のいずれかの例との組み合わせで、自律車両の動作に関連するリアルタイムの気象条件を決定することを更に含み、自律車両の複数の動作モードのうちの一つを選択することが更に、決定されたリアルタイムの気象条件に基づく。
【0005】
一態様では、方法は、上記のいずれかの例との組み合わせで、自律車両の動作に関連するリアルタイムの道路条件を決定することを更に含み、自律車両の複数の動作モードのうちの一つを選択することが更に、決定されたリアルタイムの道路条件に基づく。
【0006】
一態様では、方法は、上記のいずれかの例との組み合わせで、自律車両の一又は複数のセンサ装置を用いて、自律車両に近接している手動制御車両の一又は複数の属性を説明するリアルタイムデータを収集すること、及び収集されたリアルタイムデータを、一又は複数の自律車両の動作を管理するうえで使用するために遠隔システムに送信することを更に含む。
【0007】
一態様では、方法は、上記のいずれかの例との組み合わせで、遠隔システムから、一又は複数の自律車両の一又は複数のセンサ装置を用いて収集された、自律車両に近接している手動制御車両の一又は複数の属性を説明するリアルタイムデータを受け取ることを更に含み、自律車両の複数の動作モードのうちの一つを選択することは更に、受け取られたリアルタイムデータに基づく。
【0008】
一態様では、方法は、上記のいずれかの例との組み合わせで、自律車両のオペレータの運転技術の程度を決定することを更に含み、自律車両の複数の動作モードのうちの一つを選択することが更に、運転技術の程度に基づく。
【0009】
一態様では、方法は、上記のいずれかの例との組み合わせで、自律車両に近接して動作している一又は複数の自律車両の動作モードを決定することを更に含み、自律車両の複数の動作モードのうちの一つを選択することが更に、一又は複数の自律車両の動作モードに基づく。
【0010】
一態様では、自律車両の選択された動作モードは、上記のいずれかの例との組み合わせで、(i)完全自律動作モード、(ii)部分的自律動作モード、及び(iii)完全手動動作モードのうちの少なくとも一つを更に含む。
【0011】
一態様では、部分的自律モードは、上記のいずれかの例との組み合わせで、引き続き自律車両内をコンピュータ制御方式で動作させながら、自律車両内の一又は複数の娯楽システムを使用不能にすることを更に含む。
【0012】
一態様では、方法は、上記のいずれかの例との組み合わせで、自律車両のオペレータの運転者技術のレベルを決定すること、及び運転者技術のレベルに基づいてデータモデルを更新することを更に含み、データモデルが、自律車両の動作モードを選択するうえで使用される。
【0013】
一態様では、自律車両のオペレータの運転者技術のレベルを決定することは、上記のいずれかの例との組み合わせで、自律車両のオペレータに一又は複数の運転動作を実施するよう命令することを更に含み、運転者技術のレベルを決定することが、オペレータの一又は複数の運転動作の実施に少なくとも部分的に基づく。
【0014】
一態様では、自律車両のオペレータの運転者技術のレベルを決定することは、上記のいずれかの例との組み合わせで、自律車両のオペレータの運転履歴を検索することを更に含み、運転者技術のレベルを決定することが、検索された運転履歴に少なくとも部分的に基づく。
【0015】
一態様では、自律車両のオペレータの運転者技術のレベルを決定することは、上記のいずれかの例との組み合わせで、自律車両が手動制御動作モードにある間に自律車両のオペレータの運転挙動をモニタリングすること、及びモニタリングされた運転挙動を統計的に決定された自律車両の最適な運転挙動と比較することにより、自律車両のオペレータの運転挙動を評価することを更に含み、運転者技術のレベルを決定することが、オペレータの運転挙動の評価に少なくとも部分的に基づく。
【0016】
一態様では、方法は、上記のいずれかの例との組み合わせで、データ通信ネットワークを通じて、自律車両の選択された動作モードへの移行を知らせる通知を遠隔システムに送信することを更に含む。
【0017】
一態様では、自律車両の選択された動作モードは、上記のいずれかの例との組み合わせで、(i)フルオーソリティ自律動作モード、(ii)監視動作モード、(iii)オペレータ注意動作モード、(iv)オペレータ認識動作モード、(v)オペレータ意識動作モード、(vi)オペレータ居眠り動作モード、及び(vii)オペレータ不能動作モードのうちの少なくとも一つを更に含む。
【0018】
一態様では、方法は、上記のいずれかの例との組み合わせで、自律車両に近接している車両に対して選択された動作モードを示すことを更に含む。
【0019】
本明細書に記載される別の実施形態は、一又は複数のコンピュータプロセッサと、一又は複数のコンピュータプロセッサの動作により実行されると、ネットワークに接続された自律車両の安全制御を保証するための動作を実施するコンピュータプログラムコードを含むメモリとを含むシステムを提供する。この動作は、一又は複数のデータ通信ネットワーク上の一又は複数のデータ通信接続の各々のそれぞれの状態をモニタリングすることを含む。動作は、モニタリングされた状態に基づいて、自律車両の複数の動作モードのうちの一つを選択することを更に含み、複数の動作モードの各々は、自律車両の自律制御のそれぞれのレベルを規定する。加えて、動作は、自律車両の動作を選択された動作モードへと移行させることを含む。
【0020】
一態様では、動作は、上記のいずれかの例との組み合わせで、自律車両の動作に関連するリアルタイムの気象条件を決定すること、自律車両の動作に関連するリアルタイムの道路条件を決定すること、自律車両のオペレータの運転技術の程度を決定すること、自律車両に近接して動作している一又は複数の自律車両の動作モードを決定することを更に含み、自律車両の複数の動作モードのうちの一つを選択することが更に、リアルタイムの気象条件、リアルタイムの道路条件、自律車両のオペレータの運転技術の程度、及び一又は複数の自律車両の動作モードに基づく。
【0021】
一態様では、動作は、上記のいずれかの例との組み合わせで、自律車両のオペレータの運転者技術のレベルを決定すること、及び運転者技術のレベルに基づいてデータモデルを更新することを更に含み、データモデルが、自律車両の動作モードを選択するうえで使用される。
【0022】
一態様では、自律車両の選択された動作モードは、上記のいずれかの例との組み合わせで、(i)フルオーソリティ自律動作モード、(ii)監視動作モード、(iii)オペレータ注意動作モード、(iv)オペレータ認識動作モード、(v)オペレータ意識動作モード、(vi)オペレータ居眠り動作モード、及び(vii)オペレータ不能動作モードのうちの少なくとも一つを更に含む。
【0023】
本明細書に記載されるまた別の実施形態は、一又は複数のコンピュータプロセッサの動作により実行されると、ネットワークに接続された自律車両の安全制御を保証するための動作を実施するコンピュータプログラムコードを含む非一過性のコンピュータ可読媒体を提供する。この動作は、一又は複数のデータ通信ネットワーク上の一又は複数のデータ通信接続の各々のそれぞれの状態をモニタリングすることを含む。動作は、モニタリングされた状態に基づいて、自律車両の一又は複数の動作モードのうちの一つを選択することを更に含み、複数の動作モードの各々は、自律車両の自律制御のそれぞれのレベルを規定する。加えて、動作は、自律車両の動作を選択された動作モードへと移行させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本明細書に記載される一実施形態による車両安全制御構成要素を含んで構成されたシステムを示すブロック図である。
【
図2】本明細書に記載される一実施形態による、入力データに基づいて動作モードを選択する車両安全制御構成要素のワークフローを示している。
【
図3】本明細書に記載される一実施形態による、入力データの例示的種類に基づいて動作モードを選択する車両安全制御構成要素のワークフローを示している。
【
図4】本明細書に記載される一実施形態による、自律車両の動作モードを制御するための方法を示すフロー図である。
【
図5】本明細書に記載される一実施形態による、車両ネットワークを示すブロック図である。
【
図6】本明細書に記載される一実施形態による、ネットワーク状態の情報に基づいて選択された動作モードへと自律車両の動作を移行させる方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本明細書に記載される一実施形態による車両安全制御構成要素を含んで構成されたシステムを示すブロック図である。図示のように、システム100は、データ通信ネットワーク130により相互接続された車両管理システム105と複数の自律車両140を含む。車両管理システム105には、限定されないが、各々がバス(図示しない)に接続された、一又は複数のコンピュータプロセッサ110、メモリ112、及びストレージ120、及びネットワークインターフェース125が含まれる。車両管理システム105には、入出力(I/O)装置(例えば、キーボード、マウス、及びディスプレイ装置)を車両管理システム105に接続するI/O装置インターフェース(図示しない)も含まれる。更に、本明細書の文脈において、車両管理システム105に示されるコンピューティングエレメントは、物理的コンピューティングシステム(例えば、データセンターにおけるシステム)に対応し得るか、又はコンピューティングクラウド内部において実行される仮想コンピューティングインスタンスであり得る。
【0026】
一般に、コンピュータプロセッサ(複数可)110 は、メモリ112に記憶されたプログラミング命令を検索して実行すると共に、メモリ112内に常駐するアプリケーションデータを記憶し、検索する。バスは、コンピュータプロセッサ(複数可)110、I/O装置インターフェース、ストレージ120、ネットワークインターフェース(図示しない)、及びメモリ112間においてプログラミング命令及びアプリケーションデータを送信するために使用される。含まれているコンピュータプロセッサ(複数可)110は、単一CPU、多重CPU、複数のプロセシングコアを有する単一CPUなどを表していることに注意されたい。含まれているメモリ112は、通常ランダムアクセスメモリを表している。ストレージ120は、ディスクドライブ記憶デバイスとすることができる。単一ユニットとして図示されているが、ストレージ120は、固定のディスクドライブ、取り外し可能なメモリカード、又は光ストレージいった固定及び/又は取り外し可能記憶デバイスの組み合わせ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、又はストレージエリアネットワーク(SAN)とでもよい。
【0027】
例示として、メモリ112は、車両管理構成要素114、車両位置情報116及びオペレーティングシステム(図示しない)を含む。ストレージ120は、マップデータ122を含む。車両管理構成要素114は、運転動作の間に自律車両140と通信し(例えば、ネットワーク130を用いて)、自律車両140の位置を特定する車両位置情報116を収集することができる。加えて、車両管理構成要素114は、自律車両140に自律運転動作を助ける情報を送信することができる。例えば、車両管理構成要素114は、特定の自律車両140に対し、この特定の自律車両140に道路上で近接している他の自律車両140を識別することができる。このようにすることは、特定の自律車両140が、道路上において手動運転車両と自律運転車両とを区別し、それに従って自動運転動作を調節することを助ける。
【0028】
図示の実施形態では、自律車両140は、プロセッサ145、センサ装置150、車両制御システム155、ナビゲーション構成要素160、地理的位置決め構成要素165、I/O装置170、車両安全管理構成要素180及びネットワークインターフェース185を含んでいる。プロセッサ(複数可)145は通常、メモリ(図示しない)に記憶されたプログラミング命令を検索して実行すると共に、メモリ内に常駐するアプリケーションデータを記憶し、検索する。バス(図示しない)は、コンピュータプロセッサ(複数可)145、センサ装置150、車両制御システム155、ナビゲーション構成要素160、I/O装置170、及びネットワークインターフェース185間においてプログラミング命令及びアプリケーションデータを送信するために使用することができる。含まれているプロセッサ(複数可)145は、単一CPU、多重CPU、複数のプロセシングコアを有する単一CPUなどを表していることに注意されたい。自律車両140は、メモリ装置(図示しない)を更に含んでもよい。車両安全管理構成要素180がソフトウエアアプリケーションである一実施形態では、車両安全管理構成要素180はこのようなメモリ装置内に常駐させることができる。例えば、メモリ装置はランダムアクセスメモリである。自律車両140は、ストレージメモリ、例えばディスクドライブ記憶デバイスを更に含み得る。ストレージメモリの更なる例には、固定のディスクドライブ、取り外し可能なメモリカード、又は光ストレージといった固定及び/又は取り外し可能記憶デバイスの組み合わせ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、又はストレージエリアネットワーク(SAN)が含まれる。
【0029】
センサ装置150は、自律車両140の自律運転動作を管理するうえでの使用のためのセンサデータを収集することができる。このようなセンサ装置150は、例えば、カメラ装置、自律車両140の周囲の物理的環境の正確な三次元表示を提供することのできる光検知測距(LIDAR)システム、レーダーセンサ、システムモニタリングセンサ(例えば、バッテリレベルセンサ、温度センサ、オイルレベルセンサなど)などを含むことができる。車両制御システム155は一般に、自律車両140の動作を助ける車両サブシステムを表す。例えば、車両制御システム155は、駐車支援システム、クライメイトコントロールシステム、エンジン管理システム、ワイパー制御システム、トランスミッション制御システムなどを含み得る。
【0030】
地理的位置決め構成要素165は通常、自律車両140の地理的位置を決定することができる。例えば、地理的位置決め構成要素165は、自律車両140の座標位置を決定することのできる全地球測位システム(GPS)送受信機を含む。ナビゲーション構成要素160は通常、車両の現在位置に基づき、マップデータにアクセスして特定の目的地へのルートを決定するように構成されたロジックを含む。一般に、入出力装置170を使用して、車両の乗員からの入力を収集し(例えば、タッチスクリーン装置を介して)、車両の乗員にフィードバックを提供することができる。
【0031】
車両安全管理構成要素180は通常、例えば、自律車両140の動作状態及びネットワーク130へのアップリンクであるネットワークインターフェース185に基づき、自律車両140の動作状態を制御するように構成されている。図の100には単一のネットワークインターフェース185及びネットワーク130が示されているのみであるが、より一般的には、自律車両140は、複数の別個のネットワーク130に接続する複数のネットワークインターフェース185を含むことができることに注意されたい。例には、インターネットアップリンクを提供するネットワークインターフェース185、セルラーネットワークインターフェース、GPSネットワークインターフェース、衛星無線ネットワークインターフェースなどが含まれる。
【0032】
例えば、車両安全管理構成要素180は、すべてのコンピュータ化されたシステム及びネットワークアップリンクが100%動作可能であるとき、自律車両140が完全自動式に且つ最大許容速度で動作することができると決定することができる。別の例として、車両安全管理構成要素180は、自律車両140のコンピュータ化されたシステム及びネットワークアップリンクが動作可能であるが80%の能力で機能している場合、自律車両が引き続き自律的に動作するが車両内のオペレータは意識及び注意していなければならない状態へと移行可能であると決定することができる。このような例では、車両安全管理構成要素180は、一般に運転者の注意を妨げる車両内の一又は複数の娯楽システムを使用不能にすることができる。例えば、車両安全管理構成要素180は、注意状態にある間に、車両内のビデオ媒体(例えばBlu-Rayディスク)のプレイバックを使用不能にし、オペレータが確実にビデオではなく道路に注意を払うことを助ける。加えて、車両安全管理構成要素180は、車両140が依然として自律的に動作している場合であっても、ユーザが注意することを命令するようにユーザを促すことができる(例えば、スピーカー装置、ディスプレイ装置などといった一又は複数のI/O装置170を用いて)。
【0033】
特定の動作状態の間にユーザがより注意することを要求することに加えて、車両安全管理構成要素180は、現在アクティブな動作状態に応じて、自律車両140の挙動を様々に制御することができる。例えば、ユーザが居眠りしているという決定に基づいて車両安全管理構成要素180が特定の動作状態へと移行したとき、自律車両のコンピュータ化されたシステム及びネットワークアップリンクが90%以上の動作能力にあるときのみ、車両安全管理構成要素180は車両を自律的に全速力で動作させることができる。コンピュータ化されたシステム及びネットワークアップリンクが90%未満の能力で動作していると車両安全管理構成要素180が決定した場合、又は特定のシステム又はネットワークアップリンクがすべてダウンしたと決定すると、車両安全管理構成要素180は、自律車両140の修正動作を実施することができる。例えば、車両安全管理構成要素180は、自律車両140が動作できる最大速度を低下させることができるか、場合によっては自律車両140を道路脇に寄せることができる。
【0034】
図2は、本明細書に記載される一実施形態による、入力データに基づいて動作モードを選択する車両安全制御構成要素のワークフローを示している。図示のように、ワークフロー200は、車両安全管理構成要素180が入力データ
175を処理し、自律車両140の動作状態210、215及び220のうちの一つを、入力データ
175の分析に基づいて選択することを示している。図示の実施形態では、車両安全管理構成要素180は、入力データ
175の分析に基づいて限定的自律動作モード215を選択した。
【0035】
例えば、車両安全管理構成要素180は、自律車両のコンピュータ化されたシステム及びネットワークアップリンクはすべて動作可能であるが、90%の能力でしか動作していないと決定する。その結果、車両安全管理構成要素180は、車両が引き続き自律的に動作するが、最小車間距離を増大させる(例えば、自律車両140が道路上の他の車両に対してどの程度接近可能であるかを規定する)、限定的自律動作モード215を選択する。いくつかの実施形態では、車両安全管理構成要素180は、自律車両140の動作状態を調節するかどうかに関する決定を行うときに特定のネットワーク及びコンピュータ化されたシステムのみを考慮することができる。例えば、車両安全管理構成要素180は、車両管理システム105へのアップリンクは100%の動作能力で動作しているが衛星無線アップリンクは動作可能でないと決定する場合、完全自律動作モードを維持することができる。反対に、車両安全管理構成要素180は、車両管理システム105へのアップリンクはダウンしているが衛星無線アップリンクは100%の動作能力で動作していると決定する場合、オペレータが車両の手動制御を担わなければならないか又は車両が道路脇に停車停しなくてはならない動作モードへと移行する。
【0036】
自律車両140のコンピュータ化されたシステム及びネットワークアップリンクの動作状態を考慮することに加えて、車両安全管理構成要素180は、複数の他の情報源を考慮するように構成することができる。例えば、車両安全管理構成要素180は、自律車両の一又は複数のデータ通信接続のセキュリティレベルを考慮することができる。一例として、車両安全管理構成要素180は、自律車両に対するサイバーアタックが起こった場合に生成される注意をモニタリングするように構成することができ、セキュリティ条件が満たされた場合(例えば、所定数の注意が一定時間内に受け取られた場合、特に厳重な注意が受け取られた場合など)には、それに応じて車両安全管理構成要素180は自律車両の動作モードを移行させることができる。例えば、車両安全管理構成要素180は、セキュリティ条件が満たされたと決定すると、自律車両の動作モードを手動制御モードへと移行させることができ、セキュリティ条件が緩和されるまで一又は複数の自律運転機能を使用不能にすることができる。一実施形態では、車両安全管理構成要素180は、自律車両の高セキュリティモードに入ることもでき、このモードでは、自律車両が停止するまで、自律車両への追加データのダウンロードが防止される。
【0037】
本明細書に記載される一実施形態による、入力データの例示的種類に基づいて動作モードを選択する車両安全制御構成要素のワークフローを示す
図3には、一実施形態の一実施例が示されている。図示のように、ワークフロー300は、車両安全管理構成要素180が、車両動作モード360を選択するうえで、ネットワーク状態情報310、気象情報320、道路情報330、交通情報及び運転者情報350を考慮することを示している。
【0038】
例えば、車両安全管理構成要素180は、気象情報320を分析し、自律車両の周囲の現在の気象条件を決定することができ、且つ気象情報320に基づいて、自律車両140の動作モードを設定するための閾値を変更することができる。一例として、車両安全管理構成要素180は、自律車両が現在不良な気象条件(例えば、大雨、雪など)において動作していると決定する場合、車両140の動作状態の移行を制御する規則に従って閾値を動的に調節することができる。例えば、車両安全管理構成要素180は、不良な気象条件に直面したときには、より従来式の動作状態(例えば、手動制御でないとしても、オペレータの監視をより必要とする状態)へと移行させるように閾値を調節することができる。或いは、理想的な気象条件に直面したときには、自律車両140内部の自律運転システムは理想的な気象条件下でより効率的に動作できるため、車両安全管理構成要素180は、オペレータが自律車両140を監督する必要に関してより従来式でなくてよい。
【0039】
別の例として、車両安全管理構成要素180は、動作状態の移行を制御する規則及び閾値を調節するうえで、運転者情報350を考慮するように構成することができる。例えば、車両安全管理構成要素180は、車両のオペレータが高度に熟練した運転者であると決定する場合、特定の条件下において(例えば、悪天候)オペレータの方が自律運転が制御するより車両を運転することに熟練している可能性があるため、オペレータの監督を必要とするか又はオペレータが車両140を手動で運転する必要のある動作モードへ移行する可能性が高い。例えば、車両安全管理構成要素180は、オペレータの運転技術を、オペレータに一又は複数の運転試験を提供してオペレータがどの程度上手く運転試験を実施するかを評価することにより決定することができる。別の例として、車両安全管理構成要素180は、一定時間にわたり車両140を手動運転するときのオペレータの挙動をモニタリングすることができ、且つオペレータの運転を車両140の最適な運転方式(例えば、高度に熟練した運転者をモニタリングすることにより訓練されたデータモデル)と比較することができる。
【0040】
一般に、車両安全管理構成要素180は、運転者の技術、最適な運転者挙動などをモデル化するとき、任意の数の機械学習及びデータモデル化技術を利用するように構成することができる。例えば、一実施形態では、集中型車両安全管理構成要素180を中央演算ノード(例えば、クラウドコンピューティング環境内において)上で展開することができ、データは、手動モードで動作するときの相当数のインテリジェント車両から収集される。このようなデータには、例えば、車両が動作する速度、近傍の車両に対して車両がどのように挙動するか(例えば、当車両の前方の車両に対して維持される距離、対向車両の前で右左折を行うタイミングなど)などが含まれる。加えて、車両安全管理構成要素180は、車両の運転者に関するデータ、例えば運転者が何回交通違反を犯したか、車両を動作させる間に運転者が何回緊急行動(例えば、衝突を回避するために急ブレーキを踏むこと)を起こしたかを収集することができる。次いで、車両安全管理構成要素180は、運転挙動を運転者技術と相関させるデータモデルを生成することができる。例えば、車両安全管理構成要素180は、入力として複数の運転者属性(例えば、車両を動作させるユーザから収集又は導出されたデータ値)を受け取り、ユーザに予測される運転技術を出力するニューラルネットワークを訓練することができる。次いで、車両安全管理構成要素180は、運転者が車両を動作させるとき、ニューラルネットワークを使用して特定の運転者の技術を評価することができる。他の例には、限定されないが、機械学習分類器を訓練及び使用し、運転者の運転者属性に基づいて運転者を一又は複数の技術カテゴリ(例えば、優良運転者、平均的運転者、不良運転者)に分類する車両安全管理構成要素180、運転者属性に基づいて運転者に予測される運転技術スコアを出力する機械学習回帰モデルなどが含まれる。更に一般的には、本明細書に記載される機能性と一貫する、任意の適切な機械学習又はデータモデル化技術を使用することができる。
【0041】
図4は、本明細書に記載される一実施形態による、自律車両の動作モードを制御するための方法を示すフロー図である。図示のように、ワークフロー400は、複数の車両サブシステムを有する車両410(例えば自律車両140)を示している。図示の実施形態では、車両410は、WiFiネットワーク415、セルラーネットワーク420、衛星ネットワーク(例えばイリジウム)及びローカルエリア自律運転ネットワーク430とのデータ通信を有する。加えて、車両410は、衛星無線ネットワーク432、GPS ネットワーク434及び国際移動通信衛星機構(INMARSAT)ネットワーク436と通信している。
【0042】
図示の実施形態では、車両安全管理構成要素180は、様々なネットワーク上で受け取られたデータの1ビット単位の比較を実施し、ネットワークの各々についての動作能力の程度を決定する。例えば、車両安全管理構成要素180は、ネットワークのうちの特定の一つ(例えば、セルラーネットワーク420)が高度のパケットロスを生じていると決定した場合、ネットワークが現在不健全な状態で動作していると決定することができる。車両安全管理構成要素180は、車両410の様々なネットワークアップリンクが完全自律運転動作モードを可能にするために十分に健全な状態で動作していると決定した場合(ブロック445で)、それ以上の動作を行わず(ブロック450)、車両410が引き続き完全自律運転動作で動作させることができる。このような例では、車両安全管理構成要素180は、引き続き車両の様々なネットワークアップリンクの健全性をモニタリングして、車両410の補正動作を実施するべきか及びするべきときを決定することができる。
【0043】
車両安全管理構成要素180は、データが完全に健全なネットワーク状態を示していないと決定した場合、車両のアップリンクが最適性能未満で動作していることを示すフラグを設定することができ(ブロック455)、且つ車両のオペレータにこれを知らせる警告灯を表示することができる(ブロック460)。加えて、車両安全管理構成要素180は、監視的運転者支援動作モードを可能にするために、最低レベルのデータ通信がデータ通信ネットワーク上で利用可能であるかどうかを決定することができる(ブロック465)。即ち、車両安全管理構成要素180は、現在のネットワーク条件において限定的自律運転動作モードが適切かどうかを決定することができる(ブロック475)。一例として、このような限定的自律運転動作モードは、自律運転機能を維持することができるが、ユーザに引き続き現在の道路条件に注意するよう命令することができる。このような動作モードでは、車両安全管理構成要素180は、ユーザが確実に現在の道路条件に注意し続けることを助けるために、媒体機能(例えば、ビデオのプレイバック)の選択を使用不能にすることができる。加えて、車両安全管理構成要素180は、車両のオペレータが限定的自律運転動作モードへの移行を承認すること(例えば、言語的に、タッチスクリーンのスクリーン装置上のボタンを押すことにより、など)を要求してもよい。
【0044】
車両安全管理構成要素180は、最低レベルのネットワーク接続性が現在車両410に利用可能でないと決定した場合、車両内部の警告灯(複数可)を作動させ(ブロック470)、手動運転動作モードへと移行し(ブロック480)、一又は複数の外部標識(例えば、ライト)を作動させて他の運転者に自律車両が手動運転モードに入ったことを知らせる(ブロック485)。車両安全管理構成要素180は、リンク状態のチェックを継続し(ブロック490)、自律車両の動作状態を継続的に更新する方法を決定する。
【0045】
上述のように、いくつかの実施形態では、車両安全管理構成要素180は、自律車両のネットワーク接続性に加えた(又は代えた)要因に基づいて車両の動作状態を更新することができる。例えば、車両安全管理構成要素180は、自律車両が現在動作している道路の道路条件を考慮することができる。例えば、車両安全管理構成要素180は、道路が現在工事中であると決定した場合(例えば、レーンが白線ではなく安全コーンによって画定されている場合)、オペレータの方が不確定な道路条件を進むことに熟達している可能性があるため、手動運転動作状態に移行することができる。
【0046】
図5は、本明細書に記載される一実施形態による、車両ネットワークを示すブロック図である。図示のように、システム500は、衛星ネットワーク510に接続された車両ネットワーク525、移動体通信用グローバルシステム(GSM)セルラータワー515、無線アクセスポイント520及び近傍の自律車両135を含んでいる。車両ネットワーク525は、一又は複数の衛星ネットワーク(例えば、衛星ネットワーク510)と通信するための衛星モジュール527及びGPS送受信機と、WiFi及び/又はセルラーネットワークと通信するためのWiFi及び/又はセルラーネットワークインターフェース530(例えば、GSMセルタワー515、無線アクセスポイント520など)とを含む。図示された実施形態のGPS送受信機532、衛星モジュール527及びWiFI/セルラーネットワークモジュール530は、エンジン制御ユニット(ECU)535と通信している。ECU535は、診断ポート540とデータ通信し、これによりシステム500(又はその一部)は一又は複数の診断アプリケーションにより評価及び更新され得る。
【0047】
図示の実施形態では、ECU535は、インフォテインメントサブネットワーク542、車体制御サブネットワーク550、車台制御サブネットワーク560及びパワートレインサブネットワーク570と通信する。インフォテインメントサブネットワーク542は、ナビゲーションモジュール545及びオーディオモジュール547と通信する。車体制御サブネットワーク550は、クライメイトコントロールモジュール552及びドア制御モジュール555に接続している。車台制御サブネットワーク560は、ステアリングモジュール562、制動モジュール564及びエアバッグモジュール565に接続している。パワートレインサブネットワーク570は、エンジン制御モジュール572、トランスミッション制御モジュール574及びパワートレインモジュール575に接続している。
【0048】
上述のように、車両安全管理構成要素180は、車両ネットワーク525内の、様々なネットワークアダプタ(例えば、WiFi/セルラー通信モジュール530、衛星モジュール527、及びGSPモジュール532)のネットワーク接続性と、コンピュータ化されたシステム(例えば、ステアリングモジュール562、制動モジュール564、エンジン制御モジュール572など)の動作状態とをモニタリングして、車両の動作状態をいつ移行させるかを決定することができる。例えば、車両のネットワークアダプタ及び/又はコンピュータ化されたシステムが最適に動作していないと決定すると、車両安全管理構成要素180は、手動制御ではなくとも、追加的なオペレータによる車両監督を必要とする動作状態へと移行することができる。
【0049】
図6は、本明細書に記載される一実施形態による、ネットワーク状態の情報に基づいて選択された動作モードへと自律車両の動作を移行させる方法を示すフロー図である。図示のように、方法600はブロック610において開始され、このブロックでは、車両安全管理構成要素180が、一又は複数のデータ通信ネットワーク上の一又は複数のデータ通信接続各々のそれぞれの状態をモニタリングする。例えば、自律車両は、衛星データネットワークに接続され、次いでこのネットワークはブリッジ装置を通して有線イーサネットネットワークに接続される。衛星ネットワークとイーサネットネットワークの両方にまたがる経路により自律車両がリモートサーバと通信する一実施形態では、車両安全管理構成要素180は、衛星及び/又はイーサネットネットワークのサービス中断の影響を受け得るリモートサーバとの接続の状態をモニタリングすることができる。
【0050】
車両安全管理構成要素180は、モニタリングされた状態に基づいて、各々が自律車両の自律制御のそれぞれのレベルを規定する自律車両の複数の動作モードのうちの一つを選択する(ブロック615)。次いで車両安全管理構成要素180は、自律車両の動作を選択された動作モードへと移行させ(ブロック620)、方法600は終了する。
【0051】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示を目的として提示されているものであり、網羅的な説明であること、又は開示された態様に限定されることを意図していない。当業者には、記載されている実施形態の範囲及び本質から逸脱することなく、多数の修正例及び変形例が明白になろう。本明細書において使用されている用語は、実施形態の原理、市場に見られる技術を凌駕する実用的応用又は技術的改善を最もよく解説するため、或いは、本明細書において開示されている実施形態を他の当業者が理解できるように、選ばれたものである。
【0052】
当業者によって想定されるように、本発明の態様は、システム、方法、又はコンピュータプログラム製品として具現化され得る。したがって、本発明の態様は、すべて一般に「回路」、「モジュール」又は「システム」と呼ばれる、全体がハードウェアの実施形態、全体がソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、又はソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせる実施形態の形式をとり得る。更に、本発明の態様は、その中に具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有する一又は複数のコンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態をとり得る。
【0053】
一又は複数のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせを利用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体及び/又はコンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子式、磁気式、光学式、電磁式、赤外線、又は半導体のシステム、装置、又はデバイス、或いはこれらの任意の適切な組み合わせとすることができるが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体の具体的な例(包括的でないリスト)には、一又は複数の電線を有する電気接続、持ち運び可能なコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、持ち運び可能なコンパクトディスク読出し専用メモリ(CD-ROM)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、及び/又は、それらの任意の適切な組み合わせが含まれる。この文書の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令を実行するシステム、装置又はデバイスによる使用のための、又はそれに接続しているプログラムを、包含又は記憶することが可能な、任意の有形媒体を含み得る。
【0054】
コンピュータ可読信号媒体は、例えば、ベースバンドにおいて又は搬送波の一部として、コンピュータ可読プログラムコードが具現化された伝播データ信号を含んでもよい。このような伝播信号は、電磁的形態、光学的形態、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むがそれらに限定されない、多様々な形態のいずれかをとり得る。コンピュータ可読信号媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによる使用のための、又はそれに接続しているプログラムコードを、通信、伝播、伝送できる、コンピュータ可読記憶媒体でない任意のコンピュータ可読媒体であってもよい。
【0055】
コンピュータ可読媒体で具現化されたプログラムコードは、無線、有線、光ファイバケーブル、RFなど、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むがそれらに限定されない、任意の適切な媒体を使用して伝送され得る。
【0056】
本発明の態様の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、及び、「C」プログラミング言語若しくは同様のプログラミング言語といった従来の手続き型プログラミング言語を含む、一又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれていてよい。プログラムコードは、もっぱらユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、独立型のソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で且つ部分的に遠隔コンピュータ上で、又はもっぱら遠隔コンピュータ若しくはサーバ上で、実行し得る。後者の場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続され得るか、又は(例えば、インターネットサービスプロバイダを利用したインターネットを介して)外部コンピュータへの接続がなされてもよい。
【0057】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフロー図及び/又はブロック図を参照して、本明細書に記載される。フロー図及び/又はブロック図の各ブロック、並びに、フロー図及び/又はブロック図における複数のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実行可能であると、理解されよう。上記のコンピュータプログラム命令は、機械を生産するために、汎用コンピュータ又は特殊用途コンピュータのプロセッサ、或いは他のプログラマブルデータ処理装置に提供されてよく、これにより、コンピュータのプロセッサ又は他のプログラマブルデータ処理装置を介して実行されるこれらの命令が、フロー図及び/又はブロック図のブロック(複数可)内に特定されている機能/作用を実行するための手段を創出する。
【0058】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読媒体であって、コンピュータ可読媒体に記憶された命令が、製造品を作製するような特定の様態で機能するよう、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイスに指示しうる、コンピュータ可読媒体に記憶されることも可能であり、そのコンピュータプログラム命令は、フロー図及び/又はブロック図の一又は複数のブロック内で特定されている機能/作用を実装する命令を含む。
【0059】
コンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実行される命令が、フロー図及び/又はブロック図の一又は複数のブロック内で特定されている機能/作用を実装するためのプロセスを提供するように、コンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他のデバイス上で実行されるべき一連の動作ステップを引き起こして、コンピュータ実装プロセスを生成するために、コンピュータプログラム命令はコンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイスに読み込まれることも可能である。
【0060】
本発明は、システム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品であり得る。コンピュータプログラム製品は、本発明の態様をプロセッサに実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有する、コンピュータ可読記憶媒体(複数可)を含み得る。
【0061】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスにより使用される命令を保持及び記憶することが可能な有形デバイスであり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、限定されないが、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、又はこれらの任意の適切な組み合わせであり得る。コンピュータ可読記憶媒体の具体的な例の非網羅的リストには、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、パンチカード又は命令が記録されている溝内隆起構造といった機械的にエンコードされたデバイス、及びこれらの任意の適切な組み合わせが含まれる。本明細書において使用されるコンピュータ可読記憶媒体は、それ自体が、電波若しくはその他の自由に伝播する電磁波、導波管若しくは他の伝送媒体を通って伝播する電磁波(例えば光ファイバケーブルを通過する光パルス)、又はワイヤを通って伝送される電気信号といった、一時的信号であると解釈すべきではない。
【0062】
本明細書に記載されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、又はネットワーク、例えばインターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、及び/又は無線ネットワークを介して外部コンピュータ又は外部記憶デバイスに、ダウンロードすることができる。ネットワークは、銅製伝送ケーブル、光伝導ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、及び/又はエッジサーバを含み得る。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワークアダプタカード又はネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、このコンピュータ可読プログラム命令を、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内部のコンピュータ可読記憶媒体内に記憶するために転送する。
【0063】
本発明の動作を実行するコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械語命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又は、Java、スモールトーク、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、及び、「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語といった従来型の手続き型プログラミング言語を含む、1以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれたソースコード若しくはオブジェクトコードであり得る。コンピュータ可読プログラム命令は、もっぱらユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアローン型ソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上且つ部分的にリモートコンピュータ上で、或いはもっぱらリモートコンピュータ又はサーバ上で、実行され得る。後者の場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されるか、又は(例えば、インターネットサービスプロバイダを利用したインターネットを介して)外部コンピュータへの接続がなされてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブル論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブル論理アレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行する目的で、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用してこの電子回路をカスタマイズすることによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行する。
【0064】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフロー図及び/又はブロック図を参照して、本明細書書に記載されている。フロー図及び/又はブロック図の各ブロックと、フロー図及び/又はブロック図における複数のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実行可能であることが理解されよう。
【0065】
これらコンピュータ可読プログラム命令は、機械を生産するために、汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータのプロセッサ、又は他のプログラマブルデータ処理装置に提供されてよく、このようなコンピュータのプロセッサ又は他のプログラマブルデータ処理装置を介して実行されるこれらの命令は、フロー図及び/又はブロック図のブロック(複数可)内に特定されている機能/作用を実行するための手段を創出する。これらコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、及び/又はその他のデバイスに特定の方式で機能するよう命令できるコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、このように命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体は、フロー図及び/又はブロック図のブロック(複数可)内に特定されている機能/作用の態様を実行する命令を含む製品を含む。
【0066】
コンピュータ可読プログラム命令は、一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他のデバイスで実行させてコンピュータによって実行されるプロセスを生成するために、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他の装置にローディングされてもよく、このようなコンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他の装置で実行される命令は、フロー図及び/又はブロック図のブロック(複数可)で特定されている機能/作用を実行する。
【0067】
図面のフロー図及びブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の可能な実装態様のアーキテクチャ、機能性、及び動作を示すものである。これに関し、フロー図及びブロック図の各ブロックは、特定の一又は複数の論理機能を実装するための一又は複数の実行可能な命令を含む、命令の一つのモジュール、一つのセグメント、又は一部分を表わし得る。いくつかの代替的実装態様では、ブロックに記載された機能は図面に記載された順序を逸脱して現われてよい。例えば、連続して示されている二つのブロックは、実際には、関連する機能に応じて、実質的に同時に実行されるか、又は時に逆の順序で実行される。ブロック図及び/又はフロー図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフロー図におけるブロックの組み合わせは、特定の機能又は作用を実施する特殊用途のハードウェアベースのシステムによって実行されうるか、或いは、特殊用途ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実行されうることにも留意されたい。
【0068】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の及び更なる実施形態が、その基本的な範囲及び特許請求の範囲によって決定されるその範囲を逸脱することなく考案され得る。