(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】金属トリアミン化合物、その製造方法およびこれを含む金属含有薄膜蒸着用組成物
(51)【国際特許分類】
C07F 7/28 20060101AFI20230320BHJP
C07F 7/00 20060101ALI20230320BHJP
C07F 11/00 20060101ALI20230320BHJP
C07F 9/00 20060101ALI20230320BHJP
C07F 5/00 20060101ALI20230320BHJP
C07F 7/18 20060101ALI20230320BHJP
C23C 16/18 20060101ALI20230320BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20230320BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
C07F7/28 E CSP
C07F7/00 A
C07F7/00 Z
C07F11/00 B
C07F9/00 Z
C07F11/00 C
C07F5/00 D
C07F7/18 W
C23C16/18
H01L21/316 X
H01L21/318 B
(21)【出願番号】P 2018556927
(86)(22)【出願日】2018-04-26
(86)【国際出願番号】 KR2018004841
(87)【国際公開番号】W WO2018199642
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-03-26
(31)【優先権主張番号】10-2017-0054290
(32)【優先日】2017-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0062801
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0063332
(32)【優先日】2017-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0047876
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514145604
【氏名又は名称】ディーエヌエフ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DNF Co. Ltd.
【住所又は居所原語表記】142 Daehwa-ro 132beon-gil, Daedeok-gu, Daejeon 306-802 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム, ミョン ウーン
(72)【発明者】
【氏名】リー, サン イク
(72)【発明者】
【氏名】イム, サン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ウォン ムーク
(72)【発明者】
【氏名】パク, ジェオン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】リー, カン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョー, エイ ラ
(72)【発明者】
【氏名】パク, ジォーン ジン
(72)【発明者】
【氏名】リム, ハン ドン
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05344948(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0255276(US,A1)
【文献】Le Bris, N. et al.,Modes of complexation of linear tri- and tetraamines with Group 6 metal carbonyls,Journal of Organometallic Chemistry,1995年,487(1-2),pp. 131-137
【文献】Benjamin D. Ward et al.,Group 6 Imido Complexes Supported by Diamido-Donor Ligands,Inorganic Chemistry,2003年,42(16),pp. 4961-4969
【文献】Howard C. S. et al.,Titanium(IV) complexes incorporating the aminodiamide ligand [(SiMe3)N{CH2CH2N(SiMe3)}2]2-(L); the X-ray crystal structures of [TiMe2(L)] and [TiCl{CH(SiMe3)2}(L)],Journal of Organometallic Chemistry,1995年,501(1-2),pp. 333-340
【文献】Sussek, H. et al.,Precursor chemistry of Group III nitrides Part XVI. Synthesis and structure of monomeric penta-coordinated intramolecularly adduct-stabilized amidobisazides of aluminum, gallium and indium with an all-nitrogen coordination sphere: OMCVD of GaN using (N3)2Ga{N[CH2CH2(NEt2)]2},Journal of Organometallic Chemistry ,2000年,602(1-2),pp. 29-36
【文献】Hatanpaeae, T. et al.,Synthesis and characterisation of cyclopentadienyl complexes of barium: precursors for atomic layer deposition of BaTiO3,Dalton Transactions ,2004年,(8),pp. 1181-1188
【文献】Hill, Michael S. et al.,Single-source AACVD of composite cobalt-silicon oxide thin films,Inorganica Chimica Acta ,2014年,422,pp. 47-56
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C23C16/18
H01L21/316-21/318
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される、金属トリアミン化合物。
[化学式1]
【化95】
(前記化学式1中、
Mは、M
1(A
1)、M
2(A
2)(A
3)、M
3(A
2)(A
3)(A
4)、M
4(=NR′)
2またはM
4(CO)
4であり;
M
1は、第13族金属またはランタン族金属であり;
M
2は、第4族遷移金属であり;
M
3は、第5族遷移金属であり;
M
4は、第6族遷移金属であり;
R′は、(C1-C7)アルキルであり;
R
1およびR
5は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルであり;
R
2~R
4は、互いに独立して、水素または(C1-C7)アルキルであり;
A
1は、(C1-C7)アルキル、NR
6R
7、OR
8、シクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環であり;
A
2、A
3およびA
4は、互いに独立して、NR
6R
7、OR
8、シクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環であり;
前記A
1、A
2、A
3およびA
4のシクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環は、(C1-C7)アルキルまたは(C2-C7)アルケニルでさらに置換されてもよく;
R
6、R
7およびR
8は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルまたはSiR
9R
10R
11であり;
R
9~R
11は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルであり;
mは、0または1の整数である。)
【請求項2】
前記金属トリアミン化合物は、下記化学式2または3で表される、請求項1に記載の金属トリアミン化合物。
[化学式2]
【化96】
[化学式3]
【化97】
(前記化学式2および3中、
M
1は、B、Al、Ga、InまたはLaであり;
R
1およびR
5は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルであり;
R
2~R
4は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルであり;
A
1は、(C1-C5)アルキル、NR
6R
7、OR
8またはシクロペンタジエニル環であり;
R
6、R
7およびR
8は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルまたはSiR
9R
10R
11であり;
R
9~R
11は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルである。)
【請求項3】
前記金属トリアミン化合物は、下記化学式4または5で表される、請求項1に記載の金属トリアミン化合物。
[化学式4]
【化98】
[化学式5]
【化99】
(前記化学式4および5中、
M
2は、Ti、ZrまたはHfであり;
R
1およびR
5は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルであり;
R
2~R
4は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルであり;
A
2およびA
3は、互いに独立して、NR
6R
7、OR
8またはシクロペンタジエニル環であり;
R
6、R
7およびR
8は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルまたはSiR
9R
10R
11であり;
R
9~R
11は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルである。)
【請求項4】
前記金属トリアミン化合物は、下記化学式4-1または化学式4-2で表される、請求項3に記載の金属トリアミン化合物。
[化学式4-1]
【化100】
[化学式4-2]
【化101】
(前記化学式4-1および4-2中、
M
2は、Ti、ZrまたはHfであり;
R
1およびR
5は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルであり;
R
2およびR
3は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルであり;
A
3は、NR
6R
7またはシクロペンタジエニル環であり;
R
6、R
7およびR
8は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルまたはSiR
9R
10R
11であり;
R
9~R
11は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルである。)
【請求項5】
前記R
1およびR
5は、それぞれ独立して、(C1-C3)アルキルであり、R
2およびR
3は、互いに独立して、水素または(C1-C3)アルキルであり、A
3は、NR
6R
7またはシクロペンタジエニル環であり、R
6およびR
7は、互いに独立して、(C1-C3)アルキルであり、R
8は、(C1-C4)アルキルである、請求項4に記載の金属トリアミン化合物。
【請求項6】
前記金属トリアミン化合物は、下記化学式6または7で表される、請求項1に記載の金属トリアミン化合物。
[化学式6]
【化102】
[化学式7]
【化103】
(前記化学式6および7中、
M
3は、V、NbまたはTaであり;
R
1およびR
5は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルであり;
R
2~R
4は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルであり;
A
2、A
3およびA
4は、互いに独立して、NR
6R
7、OR
8またはシクロペンタジエニル環であり;
R
6、R
7およびR
8は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルまたはSiR
9R
10R
11であり;
R
9~R
11は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルである。)
【請求項7】
前記R
1およびR
5は、それぞれ独立して、(C1-C3)アルキルであり、R
2~R
4は、互いに独立して、水素または(C1-C3)アルキルであり、A
2、A
3およびA
4は、互いに独立して、NR
6R
7であり、R
6およびR
7は、互いに独立して、(C1-C3)アルキルまたはSiR
9R
10R
11であり、R
9~R
11は、互いに独立して、(C1-C3)アルキルである、請求項6に記載の金属トリアミン化合物。
【請求項8】
前記金属トリアミン化合物は、下記化学式8または9で表される、請求項1に記載の金属トリアミン化合物。
[化学式8]
【化104】
[化学式9]
【化105】
(前記化学式8および9中、
M
4は、Cr、MoまたはWであり;
R
1およびR
5は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルであり;
R
2~R
4は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルであり;
R′は、(C1-C5)アルキルである。)
【請求項9】
前記金属トリアミン化合物は、下記化学式10または11で表される、請求項1に記載の金属トリアミン化合物。
[化学式10]
【化106】
[化学式11]
【化107】
(前記化学式10および11中、
M
4は、Cr、MoまたはWであり;
R
1およびR
5は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルであり;
R
2~R
4は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルである。)
【請求項10】
前記金属トリアミン化合物は、下記構造から選択される、請求項1に記載の金属トリアミン化合物。
【化108】
【化109】
【化110】
【化111】
(前記において、M
1は、B、Al、Ga、In、TlまたはLaであり;
M
2は、Ti、ZrまたはHfであり;M
3は、V、NbまたはTaであり;
M
4は、Cr、MoまたはWである。)
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の金属トリアミン化合物を含む、金属含有薄膜蒸着用組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の金属含有薄膜蒸着用組成物を用いる、金属含有薄膜の製造方法。
【請求項13】
前記製造方法は、金属含有薄膜蒸着用組成物の原子層蒸着法(ALD)、気相蒸着法(CVD)、有機金属化学気相蒸着法(MOCVD)、低圧気相蒸着法(LPCVD)、プラズマ強化気相蒸着法(PECVD)またはプラズマ強化原子層蒸着法(PEALD)により行われる、請求項12に記載の金属含有薄膜の製造方法。
【請求項14】
前記製造方法は、
a)チャンバ内に装着された基板の温度を80~400℃に維持するステップと、
b)キャリアガスと請求項11に記載の金属含有薄膜蒸着用組成物を注入するステップと、
c)反応ガスを注入し、前記基板上に金属含有薄膜を蒸着させるステップとを含む、請求項12に記載の金属含有薄膜の製造方法。
【請求項15】
前記製造方法は、酸素(O
2)、オゾン(O
3)、蒸留水(H
2O)、過酸化水素(H
2O
2)、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(N
2O)、二酸化窒素(NO
2)、アンモニア(NH
3)、窒素(N
2)、ヒドラジン(N
2H
4)、アミン、ジアミン、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO
2)、C
1~C
12飽和または不飽和炭化水素、水素(H
2)、アルゴン(Ar)およびヘリウム(He)から選択されるいずれか一つまたは二つ以上のガスを供給して行われる、請求項14に記載の金属含有薄膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の金属トリアミン化合物、その製造方法およびこれを含む金属含有薄膜蒸着用組成物に関し、より詳細には、金属含有薄膜の前駆体として有用に使用可能な新規の金属トリアミン化合物、その製造方法およびこれを含む金属含有薄膜蒸着用組成物と、本発明の金属含有薄膜蒸着用組成物を用いた金属含有薄膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造技術の発達に伴い、半導体素子のサイズは微細化し、素子の集積度は速い速度で増加しており、製造工程中に化学気相蒸着(Chemical vapor deposition)と原子層蒸着(Atomic layer deposition)の使用が日々増加しつつある。また、化学気相蒸着(Chemical vapor deposition)と原子層蒸着(Atomic layer deposition)による薄膜の形成は、使用目的による前駆体化合物の物理化学的特性に多くの影響を受ける。
【0003】
システムの性能向上だけでなく、素子の核心部品であるトランジスタ(transistor)の高集積化および超高速化が求められるにつれて、集積回路のサイズを縮小し続けてスイッチング速度を増加させ、電力損失を減少させようとする試みがなされている。これにより、トランジスタ(transistor)ではチャンネル(channel)の距離を縮め、ゲート酸化膜の厚さを減らすことで高速化をなしてきた。しかし、既存に使用されてきたゲート酸化膜であるSiO2は、80nm以下ではリーク電流が大きくなるという問題を有しており、かかる限界を乗り越えるために、絶縁性に優れ、誘電率が高く、誘電損失が少ない高誘電(high-k)物質の適用が必須となる。
【0004】
かかる問題を解決するために、絶縁性に優れ、誘電率が高く、誘電損失が少ない高誘電物質として、高誘電(high-k)金属酸化物材料が、ゲートまたはキャパシタ誘電体のための代案の誘電体材料として提案されている。
【0005】
一方、従来技術、例えば、特許文献1などによる第4族遷移金属前駆体は、高温で熱的に安定しておらず、そのため、化学気相蒸着(chemical vapor deposition、CVD)および単原子層蒸着(atomic layer deposition、ALD)工程の際に低い蒸着率および成長率を有するという欠点があった。
【0006】
したがって、本発明者らは、前記のような問題を解決するために、熱安定性が高く、揮発性が高く、安定した蒸気圧を有する金属含有薄膜蒸着用前駆体を開発するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、揮発性が高く、熱安定性に優れ、優れた凝集力を有することで金属含有薄膜蒸着用前駆体として利用可能であり、表面選択的な薄膜の形成が可能な金属トリアミン化合物およびその製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、本発明の新規の金属トリアミン化合物を含む金属含有薄膜蒸着用組成物およびこれを用いる金属含有薄膜の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、低い活性化エネルギーを有することで、反応性に優れ、揮発性が高く、熱安定性に優れ、優れた凝集力を有することで、金属含有薄膜蒸着の前駆体として有用であり、表面選択的な薄膜の形成が可能な金属トリアミン化合物を提供するものであり、本発明の金属トリアミン化合物は、下記化学式1で表される。
【0011】
【0012】
(前記化学式1中、
Mは、M1(A1)、M2(A2)(A3)、M3(A2)(A3)(A4)、M4(=NR′)2またはM4(CO)4であり;
M1は、第13族金属またはランタン族金属であり;
M2は、第4族遷移金属であり;
M3は、第5族遷移金属であり;
M4は、第6族遷移金属であり;
R′は、(C1-C7)アルキルであり;
R1~R5は、互いに独立して、水素または(C1-C7)アルキルであり;
A1は、(C1-C7)アルキル、NR6R7、OR8、シクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環であり;
A2、A3およびA4は、互いに独立して、NR6R7、OR8、シクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環であり;
前記A1、A2、A3およびA4のシクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環は、(C1-C7)アルキルまたは(C2-C7)アルケニルでさらに置換されてもよく;
R6、R7およびR8は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルまたはSiR9R10R11であり;
R9~R11は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルであり;
mは、0~2の整数である。)
【0013】
本発明の一実施形態による前記化学式1の金属トリアミン化合物は、好ましくは、下記化学式2または3で表されることができる。
【0014】
【0015】
【0016】
(前記化学式2および3中、
M1は、B、Al、Ga、InまたはLaであり;
R1~R5は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルであり;
A1は、(C1-C5)アルキル、NR6R7、OR8またはシクロペンタジエニル環であり;
R6、R7およびR8は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルまたはSiR9R10R11であり;
R9~R11は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルである。)
【0017】
本発明の一実施形態による前記化学式1の金属トリアミン化合物は、好ましくは、下記化学式4または5で表されることができる。
【0018】
【0019】
【0020】
(前記化学式4および5中、
M2は、Ti、ZrまたはHfであり;
R1~R5は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルであり;
A2およびA3は、互いに独立して、NR6R7、OR8またはシクロペンタジエニル環であり;
R6、R7およびR8は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルまたはSiR9R10R11であり;
R9~R11は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルである。)
【0021】
本発明の一実施形態による金属トリアミン化合物は、好ましくは、下記化学式4-1または化学式4-2で表されることができる。
【0022】
【0023】
【0024】
(前記化学式4-1および4-2中、
M2は、Ti、ZrまたはHfであり;
R1~R3およびR5は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルであり;
A3は、NR6R7またはシクロペンタジエニル環であり;
R6、R7およびR8は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルまたはSiR9R10R11であり;
R9~R11は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルである。)
【0025】
本発明の一実施形態による金属トリアミン化合物において、さらに好ましくは、前記化学式4-1および4-2中、R1およびR5は、それぞれ独立して、(C1-C3)アルキルであり、R2およびR3は、互いに独立して、水素または(C1-C3)アルキルであり、R6およびR7は、互いに独立して、(C1-C3)アルキルまたはSiR9R10R11であり、R9~R11は、互いに独立して、(C1-C3)アルキルであり、R8は、(C1-C4)アルキルであってもよい。
【0026】
本発明の一実施形態による前記化学式1の金属トリアミン化合物は、好ましくは、下記化学式6または7で表されることができる。
【0027】
【0028】
【0029】
(前記化学式6および7中、
M3は、V、NbまたはTaであり;
R1~R5は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルであり;
A2、A3およびA4は、互いに独立して、NR6R7、OR8またはシクロペンタジエニル環であり;
R6、R7およびR8は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルまたはSiR9R10R11であり;
R9~R11は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルである。)
【0030】
本発明の一実施形態による前記化学式6または7の金属トリアミン化合物において、さらに好ましくは、前記R1およびR5は、それぞれ独立して、(C1-C3)アルキルであり、R2~R4は、互いに独立して、水素または(C1-C3)アルキルであり、A2、A3およびA4は、互いに独立して、NR6R7であり、R6およびR7は、互いに独立して、(C1-C3)アルキルまたはSiR9R10R11であり、R9~R11は、互いに独立して、(C1-C3)アルキルであってもよい。
【0031】
本発明の一実施形態による前記化学式1の金属トリアミン化合物は、好ましくは、下記化学式8または9で表されることができる。
【0032】
【0033】
【0034】
(前記化学式8および9中、
M4は、Cr、MoまたはWであり;
R1~R5は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルであり;
R′は、(C1-C5)アルキルである。)
【0035】
本発明の一実施形態による前記化学式1の金属トリアミン化合物は、好ましくは、下記化学式10または11で表されることができる。
【0036】
【0037】
【0038】
(前記化学式10および11中、
M4は、Cr、MoまたはWであり;
R1~R5は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルである。)
【0039】
具体的には、本発明の一実施形態による前記化学式1の金属トリアミン化合物は、下記化合物から選択されてもよく、これに限定されるものではない。
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
(前記において、M1は、B、Al、Ga、In、TlまたはLaであり;M2は、Ti、ZrまたはHfであり;M3は、V、NbまたはTaであり;M4は、Cr、MoまたはWである。)
【0045】
また、本発明は、前記化学式1で表される金属トリアミン化合物を製造する方法を提供する。
【0046】
本発明の一実施形態において、前記化学式1中、MがM1(A1)の場合、化学式Iで表し、MがM2(A2)(A3)の場合、化学式IIで表し、MがM3(A2)(A3)(A4)の場合、化学式IIIで表し、MがM4(=NR′)2の場合、化学式IVで表し、MがM4(CO)4の場合、化学式Vで表す。
【0047】
本発明の一実施形態による化学式1の金属トリアミン化合物中、MがM1(A1)である化学式Iの金属トリアミン化合物の製造方法は、化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と化学式Bの金属前駆体を反応させて、化学式Iの金属トリアミン化合物を製造するステップを含む。
【0048】
【0049】
【0050】
[化学式B]
M1(A1)3
【0051】
(前記化学式I、化学式AおよびB中、
M1は、第13族金属またはランタン族金属であり;
R1~R5は、互いに独立して、水素または(C1-C7)アルキルであり;
A1は、(C1-C5)アルキル、NR6R7、OR8、シクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環であり、前記A1のシクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環は、(C1-C7)アルキルまたは(C2-C7)アルケニルでさらに置換されてもよく;
R6、R7およびR8は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルまたはSiR9R10R11であり;
R9~R11は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルであり;
mは、0~2の整数である。)
【0052】
本発明の一実施形態による化学式1の金属トリアミン化合物中、MがM2(A2)(A3)である化学式II-1の金属トリアミン化合物の製造方法は、下記化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と化学式Cの金属前駆体を反応させて、下記化学式II-1の金属トリアミン化合物を製造するステップを含む。
【0053】
【0054】
【0055】
[化学式C]
M2(A2)x(A2)4-x
【0056】
(前記化学式II-1、化学式AおよびC中、
M2は、第4族遷移金属であり;
R1~R5は、互いに独立して、水素または(C1-C7)アルキルであり;
A2およびA3は、互いに独立して、NR6R7、シクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環であり、前記A2およびA3のシクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環は、(C1-C7)アルキルまたは(C2-C7)アルケニルでさらに置換されてもよく;
R6およびR7は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルまたはSiR9R10R11であり;
R9~R11は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルであり;
mは、0~2の整数であり;
xは、1~3の整数である。)
【0057】
本発明の一実施形態による化学式1の金属トリアミン化合物中、MがM2(A2)(A3)である化学式II-1の金属トリアミン化合物の製造方法は、下記化学式Dのジアルキレントリアミンリチウム塩化合物と化学式Eの金属ハライド前駆体を反応させて、前記化学式II-1の金属トリアミン化合物を製造するステップを含む。
【0058】
【0059】
【0060】
(前記化学式DおよびE中、
M2は、第4族遷移金属であり;
Xは、ハロゲンであり;
R1~R5は、互いに独立して、水素または(C1-C7)アルキルであり;
A2およびA3は、互いに独立して、NR6R7、シクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環であり、前記A2およびA3のシクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環は、(C1-C7)アルキルまたは(C2-C7)アルケニルでさらに置換されてもよく;
R6およびR7は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルまたはSiR9R10R11であり;
R9~R11は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルであり;
mは、0~2の整数である。)
【0061】
前記化学式Dのジアルキレントリアミンリチウム塩化合物は、下記化学式Aのジアルキレントリアミン化合物および(C1-C7)アルキルリチウムを反応させて製造されることができる。
【0062】
【0063】
(前記化学式A中、
R1~R5は、互いに独立して、水素または(C1-C7)アルキルであり;
mは、0~2の整数である。)
【0064】
本発明の一実施形態による化学式1の金属トリアミン化合物中、MがM2(A2)(A3)である化学式II-2の金属トリアミン化合物の製造方法は、下記化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と化学式C-1の金属前駆体を反応させた後、生成物を化学式Fのアルコール化合物と反応させて、化学式II-2の金属トリアミン化合物を製造するステップを含む。
【0065】
【0066】
【0067】
[化学式C-1]
M2(NR6R7)4
【0068】
[化学式F]
R8-OH
【0069】
(前記化学式II-2、化学式A、C-1およびF中、
M2は、第4族遷移金属であり;
R1~R5は、互いに独立して、水素または(C1-C7)アルキルであり;
R6、R7およびR8は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルであり;
mは、0~2の整数である。)
【0070】
本発明の一実施形態による化学式1の金属トリアミン化合物中、MがM3(A2)(A3)(A4)である化学式IIIの金属トリアミン化合物の製造方法は、下記化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と化学式Gの金属前駆体を反応させて、下記化学式IIIの金属トリアミン化合物を製造するステップを含む。
【0071】
【0072】
【0073】
[化学式G]
M3(A2)a(A3)b(A4)c
【0074】
(前記化学式III、AおよびG中、
M3は、第5族遷移金属であり;
R1~R5は、互いに独立して、水素または(C1-C7)アルキルであり;
A2、A3およびA4は、互いに独立して、NR6R7、OR8、シクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環であり、前記A2、A3およびA4のシクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環は、(C1-C7)アルキルまたは(C2-C7)アルケニルでさらに置換されてもよく;
R6、R7およびR8は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルまたはSiR9R10R11であり;
R9~R11は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルであり;
mは、0~2の整数であり;
a、bおよびcは1以上の整数であり、a+b+cは5の整数である。)
【0075】
本発明の一実施形態による化学式1の金属トリアミン化合物中、MがM4(=NR′)2の化学式IVの金属トリアミン化合物の製造方法は、下記化学式Hの化合物と化学式Dのジアルキレントリアミンリチウム塩化合物を反応させて、下記化学式IVの金属トリアミン化合物を製造するステップを含む。
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
(前記化学式IV、DおよびH中、
M4は、第6族遷移金属であり;
R1~R5は、互いに独立して、水素または(C1-C7)アルキルであり;
R′は、(C1-C7)アルキルであり;
X1およびX2は、それぞれ独立して、ハロゲンであり;
RaおよびRbは、それぞれ独立して、(C1-C7)アルキルであり;
mは、0~2の整数である。)
【0080】
前記化学式Hの化合物は、NA2MoO4、化学式Jのエタン化合物、トリエチルアミン(NEt3)、クロロトリメチルシラン(Me3SiCl)および化学式Kのアミン化合物を反応させて製造されることができる。
【0081】
【0082】
【0083】
(前記化学式JおよびK中、
RaおよびRbは、それぞれ独立して、(C1-C7)アルキルであり;
R′は、(C1-C7)アルキルである。)
【0084】
本発明の一実施形態による化学式1の金属トリアミン化合物中、MがM4(CO)4の化学式Vの金属トリアミン化合物の製造方法は、下記化学式Lの金属ヘキサカルボニル前駆体をハロゲンと反応させた後、生成物を化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と反応させて、下記化学式Vの金属トリアミン化合物を製造するステップを含む。
【0085】
【0086】
【0087】
[化学式L]
M4(CO)6
【0088】
(前記化学式V、化学式AおよびL中、
M4は、第6族遷移金属であり;
R1~R5は、互いに独立して、水素または(C1-C7)アルキルであり;
mは、0~2の整数である。)
【0089】
また、本発明は、本発明の金属トリアミン化合物を含む金属含有薄膜蒸着用組成物を提供する。
【0090】
また、本発明は、本発明の金属含有薄膜蒸着用組成物を用いる金属含有薄膜の製造方法を提供する。
【0091】
本発明の金属含有薄膜の製造方法は、原子層蒸着法(ALD)、気相蒸着法(CVD)、有機金属化学気相蒸着法(MOCVD)、低圧気相蒸着法(LPCVD)、プラズマ強化気相蒸着法(PECVD)またはプラズマ強化原子層蒸着法(PEALD)により行われてもよく、酸素(O2)、オゾン(O3)、蒸留水(H2O)、過酸化水素(H2O2)、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(N2O)、二酸化窒素(NO2)、アンモニア(NH3)、窒素(N2)、ヒドラジン(N2H4)、アミン、ジアミン、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、C1~C12飽和または不飽和炭化水素、水素、アルゴンおよびヘリウムから選択されるいずれか一つまたは二つ以上のガスを供給して行われてもよい。
【0092】
本発明の金属含有薄膜の製造方法は、具体的には、
a)チャンバ内に装着された基板の温度を80~400℃に維持するステップと、
b)キャリアガスと前記金属含有薄膜蒸着用組成物を注入するステップと、
c)反応ガスを注入して前記基板上に金属含有薄膜を蒸着させるステップとを含むことができる。
【発明の効果】
【0093】
本発明の新規の金属トリアミン化合物は、反応性に優れ、揮発性が高く、熱安定性および凝集力に優れることから、金属含有薄膜の前駆体として非常に有用である。
【0094】
また、本発明の新規の金属トリアミン化合物は、融点が低くて、ほとんどが、常温および取り扱いが可能な温度下で液体または融点が低い固体状態として存在することで取り扱いが容易であり、熱安定性が高くて非常に優れた貯蔵安定性を有する。
【0095】
すなわち、本発明による金属トリアミン化合物は、熱分解に起因したパーティクル汚染や炭素などの不純物汚染がなく、高純度の金属含有薄膜を形成できることから、半導体素子での高誘電物質膜(high-k film)に応用可能である。
【0096】
また、本発明の金属含有薄膜蒸着用組成物は、熱安定性が高い本発明の金属トリアミン化合物を前駆体として含むことで様々な薄膜蒸着方法に適用することができ、これにより密度および純度が高い金属含有薄膜を製造することができる。
【0097】
本発明の金属含有薄膜蒸着用組成物は、揮発性が高く、熱安定性および凝集力に優れ、融点が低いことから、ほとんどが常温で液体として存在する本発明の金属トリアミン化合物を前駆体として含むことで、これを用いた金属含有薄膜の形成時に、260℃以上、より好ましくは300℃以上の高温でも優れた段差被覆性(step coverage)を有することができ、密度が高い高純度の金属含有薄膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【
図1】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたジルコニウム酸化膜の温度別の段差被覆性の透過電子顕微鏡写真である。
【
図2】CH
3N(CH
2CH
2N(CH
3))
2Ti(O(CH(CH
3)
2)
2前駆体を用いたチタン酸化膜の段差被覆性の透過電子顕微鏡写真である。
【
図3】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Ti(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたチタン酸化膜の段差被覆性の透過電子顕微鏡写真である。
【
図4】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Hf(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたハフニウム酸化膜の段差被覆性の透過電子顕微鏡写真である。
【
図5】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Ti(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたチタン窒化膜の段差被覆性の透過電子顕微鏡写真である。
【
図6】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたジルコニウム酸化膜のソース量による飽和度(Saturation)グラフである。
【
図7】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたジルコニウム酸化膜の蒸着周期による線形性(Linearity)グラフである。
【
図8】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたジルコニウム酸化膜のALD成長温度窓(ALD window)である。
【
図9】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Ti(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたチタン酸化膜のソース量による飽和度(Saturation)グラフである。
【
図10】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Ti(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたチタン酸化膜の蒸着周期による線形性(Linearity)グラフである。
【
図11】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Ti(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたチタン酸化膜のALD成長温度窓(ALD window)である。
【
図12】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Hf(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたハフニウム酸化膜のソース量による飽和度(Saturation)グラフである。
【
図13】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Hf(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたハフニウム酸化膜の蒸着周期による線形性(Linearity)グラフである。
【
図14】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Hf(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたハフニウム酸化膜のALD成長温度窓(ALD window)である。
【
図15】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Hf(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたハフニウム窒化膜の表面選択的成長の比較の透過電子顕微鏡写真である。
【
図16】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Hf(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたハフニウム酸化膜の表面選択的成長の比較の透過電子顕微鏡写真である。
【
図17】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたジルコニウム酸化膜の結晶性のX線回折分析グラフである。
【
図18】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたジルコニウム酸化膜の結晶質の透過電子顕微鏡写真である。
【
図19】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたジルコニウム酸化膜の二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectroscopy)グラフである。
【
図20】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたジルコニウム酸化膜の二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectroscopy)グラフである。
【
図21】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたジルコニウム酸化膜の二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectroscopy)グラフである。
【
図22】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたジルコニウム酸化膜の二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectroscopy)グラフである。
【
図23】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたジルコニウム酸化膜の二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectroscopy)グラフである。
【
図24】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いたジルコニウム酸化膜の電気的特性グラフ((a)リーク電流、(b)誘電定数、(c)等価酸化膜の厚さ)である。
【
図25】CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2/TMA/CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いた多層構造(ZAZ)金属酸化膜の電気的特性グラフ((a)リーク電流、(b)誘電定数、(c)等価酸化膜の厚さ)である。
【発明を実施するための形態】
【0099】
本発明の新規の遷移金属化合物およびその製造方法について、以下に詳述するが、ここで使用される技術用語および科学用語について他の定義がない限り、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が通常理解している意味を有し、下記の説明において本発明の要旨を不明瞭にし得る公知の機能および構成に関する説明は省略する。
【0100】
用語「アルキル」は、炭素および水素原子だけで構成された1価の直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素ラジカルであり、1~7個の炭素原子、好ましくは1~5個、より好ましくは1~3個の炭素原子を有することができる。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチルなどを含むが、これに限定されない。
【0101】
用語「アルケニル」は、二つ以上の炭素原子の間に一つ以上の二重結合を含む直鎖または分岐鎖の不飽和炭化水素1価ラジカルであり、2~7個の炭素原子、好ましくは2~5個、より好ましくは2~3個の炭素原子を有することができる。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、アリル、ブテニルおよび4-メチルブテニルなどを含むが、これに限定されない。
【0102】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、ハロゲン族元素を示し、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。
【0103】
本発明は、揮発性が高く、熱安定性に優れるだけでなく、優れた凝集力を有し、表面選択的な薄膜の形成が可能な下記化学式1で表される金属トリアミン化合物を提供する。
【0104】
【0105】
(前記化学式1中、
Mは、M1(A1)、M2(A2)(A3)、M3(A2)(A3)(A4)、M4(=NR′)2またはM4(CO)4であり;
M1は、第13族金属またはランタン族金属であり;
M2は、第4族遷移金属であり;
M3は、第5族遷移金属であり;
M4は、第6族遷移金属であり;
R′は、(C1-C7)アルキルであり;
R1~R5は、互いに独立して、水素または(C1-C7)アルキルであり;
A1は、(C1-C7)アルキル、NR6R7、OR8、シクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環であり;
A2、A3およびA4は、互いに独立して、NR6R7、OR8、シクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環であり;
前記A1、A2、A3およびA4のシクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環は、(C1-C7)アルキルまたは(C2-C7)アルケニルでさらに置換されてもよく;
R6、R7およびR8は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルまたはSiR9R10R11であり;
R9~R11は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルであり;
mは、0~2の整数である。)
【0106】
本発明の新規の金属トリアミン化合物は、金属にジアルキレントリアミンの両末端の窒素原子が共有結合し、中間の窒素原子が配位結合したオクタヒドロペンタレン(octahydropentalene)、デカヒドロナフタレン(decahydronaphthalene)またはドデカヒドロヘプタレン(dodecahydroheptalene)構造によって継続した加温にも劣化しない優れた熱安定性および優れた反応性を有する。また、本発明の新規の金属トリアミン化合物は、融点が低くて、ほとんどが、常温および取り扱いが可能な温度下で液体または融点が低い固体状態として存在し、取り扱いが容易である。また、本発明の新規の金属トリアミン化合物は、融点が低くて、常温および常圧でほとんどが液体形態として存在することから、貯蔵安定性が高く、揮発性に優れ、これを金属含有薄膜蒸着用前駆体として用いて密度が高い高純度の金属含有薄膜を製造することができる。
【0107】
本発明の一実施形態による金属トリアミン化合物は、高い蒸気圧を有するための面で常温で液体状態の化合物を含むことができるが、これに制限されない。このように常温で液体である化合物は、融点以上に加熱する必要がないことから、固体である化合物に比べて有利である。
【0108】
本発明の一実施形態による金属トリアミン化合物は、高い蒸気圧を有することで、薄膜の形成がより容易な面で、常温および常圧で液体または融点が低い固体状態の化合物であり得る。
【0109】
本発明の一実施形態による金属Mは、メタロイド、金属および遷移金属から選択され、具体的には、M1(A1)、M2(A2)(A3)、M3(A2)(A3)(A4)、M4(=NR′)2またはM4(CO)4であり、M1は3価の第13族金属または3価のランタン族金属であり、好ましくはB、Al、Ga、InまたはLaであってもよく;M2は4価の第4族遷移金属であり、好ましくは、Ti、ZrまたはHfであってもよく;M3は5価の第5族遷移金属であり、好ましくは、V、NbまたはTaであってもよく;M4は6価の第6族遷移金属であり、好ましくはCr、MoまたはWであってもよい。
【0110】
好ましくは、本発明の一実施形態によるR1~R5は、互いに独立して、水素または(C1-C5)アルキルであり;A1は、(C1-C7)アルキル、NR6R7、OR8またはシクロペンタジエニル環であり;A2、A3およびA4は、互いに独立して、NR6R7、OR8またはシクロペンタジエニル環であり;前記A1、A2、A3およびA4のシクロペンタジエニル環は、(C1-C5)アルキルまたは(C2-C5)アルケニルでさらに置換されてもよく;R6、R7およびR8は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルまたはSiR9R10R11であり;R9~R11は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルであり;mは、0または1の整数であってもよい。
【0111】
好ましくは、本発明の一実施形態による前記化学式1の金属トリアミン化合物は、下記化学式2または3で表されることができる。
【0112】
【0113】
【0114】
(前記化学式2および3中、
M1は、B、Al、Ga、InまたはLaであり;
R1~R5は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルであり;
A1は、(C1-C5)アルキル、NR6R7、OR8またはシクロペンタジエニル環であり;
R6、R7およびR8は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルまたはSiR9R10R11であり;
R9~R11は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルである。)
【0115】
本発明の一実施形態による金属トリアミン化合物は、金属含有薄膜蒸着用前駆体として高い揮発性および熱安定性を有するための面で、好ましくは、前記化学式2または3中、R1およびR5は、互いに独立して、(C1-C3)アルキルであり、R2~R4は、互いに独立して、水素または(C1-C3)アルキルであり、A1は、(C1-C3)アルキル、NR6R7、OR8またはシクロペンタジエニル環であり、R6およびR7は、互いに独立して、(C1-C3)アルキルまたはSiR9R10R11であり;R9~R11は、互いに独立して、(C1-C3)アルキルであり、R8は、(C1-C4)アルキルであり、具体的には、R1およびR5は、互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルであり、R2~R4は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルであり、A1はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、NR6R7、OR8またはシクロペンタジエニル環であり、R6およびR7は、互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、エチルジメチルシリルまたはメチルエチルプロピルシリルであり、R8は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチルまたはt-ブチルであってもよい。
【0116】
好ましくは、本発明の一実施形態による前記化学式1の金属トリアミン化合物は、下記化学式4または5で表されることができる。
【0117】
【0118】
【0119】
(前記化学式4および5中、
M2は、Ti、ZrまたはHfであり;
R1~R5は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルであり;
A2およびA3は、互いに独立して、NR6R7、OR8またはシクロペンタジエニル環であり;
R6、R7およびR8は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルまたはSiR9R10R11であり;
R9~R11は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルである。)
【0120】
本発明の一実施形態による金属トリアミン化合物は、金属含有薄膜蒸着用前駆体として高い揮発性および熱安定性を有するための面で、好ましくは、前記化学式4または5中、R1およびR5は、互いに独立して、(C1-C3)アルキルであり、R2~R4は、互いに独立して、水素または(C1-C3)アルキルであり、A2およびA3は、互いに独立して、NR6R7、OR8またはシクロペンタジエニル環であり、R6およびR7は、互いに独立して、(C1-C3)アルキルまたはSiR9R10R11であり;R9~R11は、互いに独立して、(C1-C3)アルキルであり、R8は、(C1-C4)アルキルであり、具体的には、R1およびR5は、互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルであり、R2~R4は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルであり、A2およびA3は、互いに独立して、NR6R7、OR8またはシクロペンタジエニル環であり、R6およびR7は、互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、エチルジメチルシリルまたはメチルエチルプロピルシリルであり、R8はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチルまたはt-ブチルであってもよい。
【0121】
本発明の一実施形態による金属トリアミン化合物は、さらに好ましくは、下記化学式4-1または化学式4-2で表されることができる。
【0122】
【0123】
【0124】
(前記化学式4-1および4-2中、
M2は、Ti、ZrまたはHfであり;
R1~R3およびR5は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルであり;
A3は、NR6R7またはシクロペンタジエニル環であり;
R6、R7およびR8は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルまたはSiR9R10R11であり;
R9~R11は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルである。)
【0125】
本発明の一実施形態による化学式4-1および4-2の金属トリアミン化合物中、さらに好ましくは、前記R1およびR5は、それぞれ独立して、(C1-C3)アルキルであり、R2およびR3は、互いに独立して、水素または(C1-C3)アルキルであり、A3はNR6R7またはシクロペンタジエニル環であり、R6およびR7は、互いに独立して、(C1-C3)アルキルであり、R8は、(C1-C4)アルキルであってもよい。具体的には、R1およびR5は、互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルであり、R2およびR3は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルであり、R6およびR7は、互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピル、またはイソプロピルであり、R8は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチルまたはt-ブチルであってもよい。
【0126】
本発明の一実施形態による化学式4-1および4-2の金属トリアミン化合物中、R2およびR3の少なくとも一つは水素であり、残りは水素または(C1-C3)アルキルであることが、薄膜蒸着用として優れた特性を有するための面でさらに好ましい。
【0127】
好ましくは、本発明の一実施形態による前記化学式1の金属トリアミン化合物は、下記化学式6または7で表されることができる。
【0128】
【0129】
【0130】
(前記化学式6および7中、
M3は、V、NbまたはTaであり;
R1~R5は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルであり;
A2、A3およびA4は、互いに独立して、NR6R7、OR8またはシクロペンタジエニル環であり;
R6、R7およびR8は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルまたはSiR9R10R11であり;
R9~R11は、互いに独立して、(C1-C5)アルキルである。)
【0131】
本発明の一実施形態による金属トリアミン化合物は、金属含有薄膜蒸着用前駆体として高い揮発性および熱安定性を有するための面で、好ましくは、前記化学式6または7中、R1およびR5は、それぞれ独立して、(C1-C3)アルキルであり、R2~R4は、互いに独立して、水素または(C1-C3)アルキルであり、A2、A3およびA4は、互いに独立して、NR6R7であり、R6およびR7は、互いに独立して、(C1-C3)アルキルまたはSiR9R10R11であり、R9~R11は、互いに独立して、(C1-C3)アルキルであり、さらに好ましくは、R1およびR5は、それぞれ独立して、(C1-C3)アルキルであり、R2~R4は、互いに独立して、水素または(C1-C3)アルキルであり、A2、A3およびA4は、互いに独立して、NR6R7であり、R6およびR7は、互いに独立して、(C1-C3)アルキルであってもよい。具体的には、R1およびR5は、互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルであり、R2~R4は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルであり、A2、A3およびA4は、互いに独立して、NR6R7であり、R6およびR7は、互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、エチルジメチルシリルまたはメチルエチルプロピルシリルであってもよい。
【0132】
好ましくは、本発明の一実施形態による前記化学式1の金属トリアミン化合物は、下記化学式8または9で表されることができる。
【0133】
【0134】
【0135】
(前記化学式8および9中、
M4は、Cr、MoまたはWであり;
R1~R5は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルであり;
R′は、(C1-C5)アルキルである。)
【0136】
本発明の一実施形態による金属トリアミン化合物は、金属含有薄膜蒸着用前駆体として高い揮発性および熱安定性を有するための面で、好ましくは、前記化学式8または9中、R1およびR5は、それぞれ独立して、(C1-C3)アルキルであり、R2~R4は、互いに独立して、水素または(C1-C3)アルキルであり、R′は、(C1-C4)アルキルであり、具体的には、R1およびR5は、互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルであり、R2~R4は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルであり、R′はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチルまたはt-ブチルであってもよい。
【0137】
好ましくは、本発明の一実施形態による前記化学式1の金属トリアミン化合物は、下記化学式10または11で表されることができる。
【0138】
【0139】
【0140】
(前記化学式10および11中、
M4は、Cr、MoまたはWであり;
R1~R5は、互いに独立して、水素原子または(C1-C5)アルキルである。)
【0141】
本発明の一実施形態による金属トリアミン化合物は、金属含有薄膜蒸着用前駆体として高い揮発性および熱安定性を有するための面で、好ましくは、前記化学式10または11中、R1およびR5は、それぞれ独立して、(C1-C3)アルキルであり、R2~R4は、互いに独立して、水素または(C1-C3)アルキルであり、具体的には、R1およびR5は、互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルであり、R2~R4は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルであってもよい。
【0142】
本発明の一実施形態による金属トリアミン化合物は、金属にジアルキレントリアミンの両末端の窒素原子が共有結合し、中間の窒素原子が配位結合したオクタヒドロペンタレン(octahydropentalene)またはデカヒドロナフタレン(decahydronaphthalene)構造の前記化学式2~11の金属トリアミン化合物であってもよい。金属含有薄膜蒸着用前駆体として揮発性が高く、熱安定性が高く、良質の金属含有薄膜を得るための面で、さらに好ましくは、金属にジアルキレントリアミンの両末端の窒素原子が共有結合し、中間の窒素原子が配位結合したオクタヒドロペンタレン(octahydropentalene)構造の前記化学式2、化学式4、化学式6、化学式8または化学式10の金属トリアミン化合物がさらに好ましい。
【0143】
本発明の一実施形態による金属トリアミン化合物は、具体的には、下記構造の化合物から選択されてもよく、これに限定されるものではない。
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
(前記において、M1は、B、Al、Ga、In、TlまたはLaであり;M2は、Ti、ZrまたはHfであり;M3は、V、NbまたはTaであり;M4は、Cr、MoまたはWである。)
【0149】
また、本発明は、前記化学式1で表される金属トリアミン化合物を製造する方法を提供する。
【0150】
本発明の一実施形態において、前記化学式1中、MがM1(A1)の場合、化学式Iで表し、MがM2(A2)(A3)の場合、化学式IIで表し、MがM3(A2)(A3)(A4)の場合、化学式IIIで表し、MがM4(=NR′)2の場合、化学式IVで表し、MがM4(CO)4の場合、化学式Vで表す。
【0151】
本発明の一実施形態による化学式1の金属トリアミン化合物中、MがM1(A1)である化学式Iの金属トリアミン化合物の製造方法は、化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と化学式Bの金属前駆体を反応させることを含む。
【0152】
【0153】
【0154】
[化学式B]
M1(A1)3
【0155】
(前記化学式I、化学式AおよびB中、
M1は、第13族金属またはランタン族金属であり;
R1~R5は、互いに独立して、水素または(C1-C7)アルキルであり;
A1は、(C1-C5)アルキル、NR6R7、OR8、シクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環であり、前記A1のシクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環は、(C1-C7)アルキルまたは(C2-C7)アルケニルでさらに置換されてもよく;
R6、R7およびR8は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルまたはSiR9R10R11であり;
R9~R11は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルであり;
mは、0~2の整数である。)
【0156】
化学式Iの金属トリアミン化合物の製造方法は、下記反応式1で表すことができる。
【0157】
【0158】
(前記反応式1中、M1、R1~R5、A1およびmは、前記化学式Iでの定義と同様である。)
【0159】
本発明の金属トリアミン化合物の製造方法の一実施形態において、前記化学式Bの金属前駆体と化学式Aのジアルキレントリアミン化合物は、1:1~1:1.5のモル比、好ましくは1:1~1:1.25のモル比、より好ましくは1:1~1:1.10のモル比で使用されることができる。
【0160】
前記化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と化学式Bの金属前駆体の反応の[反応式1]は、溶媒下で行われることができる。前記反応に使用される溶媒は、通常の有機溶媒であればいずれも可能であるが、ヘキサン、ペンタン、ジクロロメタン(DCM)、ジクロロエタン(DCE)、トルエン(Toluene)、アセトニトリル(MeCN)、ニトロメタン(Nitromethan)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)からなる群から選択される1種以上を使用することが好ましい。
【0161】
反応温度は、通常の有機合成で使用される温度が使用可能であるが、反応物質および出発物質の量に応じて異なり得、好ましくは、反応式1の反応は、-10~80℃で行われることができ、NMRなどにより出発物質が完全に消耗されたことを確認した後、反応を終了する。反応が終了すると、抽出過程の後、減圧下で溶媒を蒸留した後、カラムクロマトグラフィーなどの通常の方法により目的物を分離精製することもできる。
【0162】
本発明の一実施形態による化学式1の金属トリアミン化合物中、MがM2(A2)(A3)である化学式II-1の金属トリアミン化合物は、下記化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と化学式Cの金属前駆体を反応させるか、下記化学式Dのジアルキレントリアミンリチウム塩化合物と化学式Eの金属ハライド前駆体を反応させて製造される。
【0163】
【0164】
【0165】
[化学式C]
M2(A2)x(A2)4-x
【0166】
【0167】
【0168】
(前記化学式II-1、化学式A、C、DおよびE中、
M2は、第4族遷移金属であり;
R1~R5は、互いに独立して、水素または(C1-C7)アルキルであり;
A2およびA3は、互いに独立して、NR6R7、シクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環であり、前記A2およびA3のシクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環は、(C1-C7)アルキルまたは(C2-C7)アルケニルでさらに置換されてもよく;
R6およびR7は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルまたはSiR9R10R11であり;
R9~R11は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルであり;
mは、0~2の整数であり;
Xはハロゲンであり;
xは1~3の整数である。)
【0169】
前記化学式Dのジアルキレントリアミンリチウム塩化合物は、下記化学式Aのジアルキレントリアミン化合物および(C1-C7)アルキルリチウムを反応させて製造されることができ、この際、(C1-C7)アルキルリチウムは、化学式Aのジアルキレントリアミン化合物1モルに対して、1.5~5モル、好ましくは1.5~2.5モル使用されることができ、-10~30℃で反応が行われることができる。
【0170】
化学式II-1の金属トリアミン化合物の製造方法は、下記反応式2および3で表すことができる。
【0171】
【0172】
【0173】
(前記反応式2および3中、M2、R1~R5、A2、A3およびmは、前記化学式II-1での定義と同様であり、Xはハロゲンであり、xは1~3の整数である。)
【0174】
本発明の金属トリアミン化合物の製造方法の一実施形態において、前記化学式Cの金属前駆体と化学式Aのジアルキレントリアミン化合物は、1:1~1:1.5のモル比、好ましくは1:1~1:1.25のモル比、より好ましくは1:1~1:1.10のモル比で使用されることができる。
【0175】
本発明の金属トリアミン化合物の製造方法の一実施形態において、前記化学式Eの金属ハライド前駆体と化学式Dのジアルキレントリアミンリチウム塩化合物は、1:1~1:1.5のモル比、好ましくは1:1~1:1.25のモル比、より好ましくは1:1~1:1.10のモル比で使用されることができる。
【0176】
前記化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と化学式Cの金属前駆体の反応の[反応式2]は、溶媒下でまたはニート(neat)でも行われることができる。ニート(neat)とは、有機溶媒を使用せず、単に化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と化学式Cの金属前駆体を混合して前記反応を行うことを意味する。
【0177】
前記化学式Dのジアルキレントリアミンリチウム塩化合物と化学式Eの金属ハライド前駆体の反応の[反応式3]は、溶媒下で行われることができる。
【0178】
前記反応に使用される溶媒は、通常の有機溶媒であればいずれも可能であるが、ヘキサン、ペンタン、ジクロロメタン(DCM)、ジクロロエタン(DCE)、トルエン(Toluene)、アセトニトリル(MeCN)、ニトロメタン(Nitromethan)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)からなる群から選択される1種以上を使用することが好ましい。
【0179】
反応温度は、通常の有機合成で使用される温度が使用可能であるが、反応物質および出発物質の量に応じて異なり得、好ましくは、反応式2の反応は-10~80℃で、反応式3の反応は-10~30℃で行われることができ、NMRなどにより出発物質が完全に消耗されたことを確認した後、反応を終了する。反応が終了すると、抽出過程の後、減圧下で溶媒を蒸留した後、カラムクロマトグラフィーなどの通常の方法により目的物を分離精製することもできる。
【0180】
本発明の一実施形態による化学式1の金属トリアミン化合物中、MがM2(A2)(A3)である化学式II-2の金属トリアミン化合物は、下記化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と化学式C-1の金属前駆体を反応させた後、生成物を化学式Fのアルコール化合物と反応させて製造される。
【0181】
【0182】
【0183】
[化学式C-1]
M2(NR6R7)4
【0184】
[化学式F]
R8-OH
【0185】
(前記化学式II-2、化学式A、C-1およびF中、
M2は、第4族遷移金属であり;
R1~R5は、互いに独立して、水素または(C1-C7)アルキルであり;
R6、R7およびR8は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルであり;
mは、0~2の整数である。)
【0186】
化学式II-2の金属トリアミン化合物の製造方法は、下記反応式4で表すことができる。
【0187】
【0188】
(前記反応式4中、M2、R1~R5、R8およびmは、前記化学式II-2での定義と同様であり、R6およびR7は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルである。)
【0189】
本発明の金属トリアミン化合物の製造方法の一実施形態において、前記化学式C-1の金属前駆体と化学式Aのジアルキレントリアミン化合物は、1:1~1:1.5のモル比、好ましくは1:1~1:1.25のモル比、より好ましくは1:1~1:1.10のモル比で使用されることができる。
【0190】
本発明の金属トリアミン化合物の製造方法の一実施形態において、前記化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と化学式Fのアルコール化合物は、1:2~1:4のモル比、好ましくは1:2~1:3のモル比、より好ましくは1:2~1:2.5のモル比で使用されることができる。
【0191】
前記化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と化学式C-1の金属前駆体の反応は、溶媒下でまたはニート(neat)でも行われることができる。ニート(neat)とは、有機溶媒を使用せず、単に化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と化学式C-1の金属前駆体を混合して前記反応を行うことを意味する。
【0192】
本発明の金属トリアミン化合物の製造方法の一実施形態において、化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と化学式C-1の金属前駆体を反応させて化学式Int-1の中間体化合物が製造され、別の分離精製なしに化学式Fのアルコール化合物を反応させて化学式II-2の金属トリアミン化合物を製造することができる。
【0193】
前記化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と化学式C-1の金属前駆体との反応および継続した化学式Fのアルコール化合物との反応に使用される溶媒は、通常の有機溶媒であればいずれも可能であるが、ヘキサン、ペンタン、ジクロロメタン(DCM)、ジクロロエタン(DCE)、トルエン(Toluene)、アセトニトリル(MeCN)、ニトロメタン(Nitromethan)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)からなる群から選択される1種以上を使用することが好ましい。
【0194】
反応温度は、通常の有機合成で使用される温度が使用可能であるが、反応物質および出発物質の量に応じて異なり得、好ましくは、-30~80℃で行われることができ、NMRなどにより出発物質が完全に消耗されたことを確認した後、反応を終了する。反応が終了すると、抽出過程の後、減圧下で溶媒を蒸留した後、カラムクロマトグラフィーなどの通常の方法により目的物を分離精製することもできる。
【0195】
本発明の一実施形態による化学式1の金属トリアミン化合物中、MがM3(A2)(A3)(A4)である化学式IIIの金属トリアミン化合物は、下記化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と化学式Gの金属前駆体を反応させて製造される。
【0196】
【0197】
【0198】
[化学式G]
M3(A2)a(A3)b(A4)c
【0199】
(前記化学式III、AおよびG中、
M3は、第5族遷移金属であり;
R1~R5は、互いに独立して、水素または(C1-C7)アルキルであり;
A2、A3およびA4は、互いに独立して、NR6R7、OR8、シクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環であり、前記A2、A3およびA4のシクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル環を含む縮合環は、(C1-C7)アルキルまたは(C2-C7)アルケニルでさらに置換されてもよく;
R6、R7およびR8は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルまたはSiR9R10R11であり;
R9~R11は、互いに独立して、(C1-C7)アルキルであり;
mは、0~2の整数であり;
a、bおよびcは1以上の整数であり、a+b+cは5の整数である。)
【0200】
化学式IIIの金属トリアミン化合物の製造方法は、下記反応式5で表すことができる。
【0201】
【0202】
(前記反応式5中、M3、R1~R5、A2、A3、A4およびmは、前記化学式IIIでの定義と同様であり、a、bおよびcは1以上の整数であり、a+b+cは5の整数である。)
【0203】
本発明の金属トリアミン化合物の製造方法の一実施形態において、前記化学式Gの金属前駆体と化学式Aのジアルキレントリアミン化合物は、1:1~1:1.5のモル比、好ましくは1:1~1:1.25のモル比、より好ましくは1:1~1:1.10のモル比で使用されることができる。
【0204】
前記化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と化学式Gの金属前駆体の反応は、溶媒下で行われることができる。前記反応に使用される溶媒は、通常の有機溶媒であればいずれも可能であるが、ヘキサン、ペンタン、ジクロロメタン(DCM)、ジクロロエタン(DCE)、トルエン(Toluene)、アセトニトリル(MeCN)、ニトロメタン(Nitromethan)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)からなる群から選択される1種以上を使用することが好ましい。
【0205】
反応温度は、通常の有機合成で使用される温度が使用可能であるが、反応物質および出発物質の量に応じて異なり得、好ましくは、-10~30℃で行われることができ、NMRなどにより出発物質が完全に消耗されたことを確認した後、反応を終了する。反応が終了すると、抽出過程の後、減圧下で溶媒を蒸留した後、カラムクロマトグラフィーなどの通常の方法により目的物を分離精製することもできる。
【0206】
本発明の一実施形態による化学式1の金属トリアミン化合物中、MがM4(=NR′)2の化学式IVの金属トリアミン化合物は、下記化学式Hの化合物と化学式Dのジアルキレントリアミンリチウム塩化合物を反応させて製造される。
【0207】
【0208】
【0209】
【0210】
(前記化学式IV、DおよびH中、
M4は、第6族遷移金属であり;
R1~R5は、互いに独立して、水素または(C1-C7)アルキルであり;
R′は、(C1-C7)アルキルであり;
X1およびX2は、それぞれ独立して、ハロゲンであり;
RaおよびRbは、それぞれ独立して、(C1-C7)アルキルであり;
mは、0~2の整数である。)
【0211】
前記化学式Hの化合物は、Na2MoO4、化学式Jのエタン化合物、トリエチルアミン(NEt3)、クロロトリメチルシラン(Me3SiCl)および化学式Kのアミン化合物を反応させて製造されることができる。
【0212】
【0213】
【0214】
(前記化学式JおよびK中、
RaおよびRbは、それぞれ独立して、(C1-C7)アルキルであり;
R′は、(C1-C7)アルキルである。)
【0215】
化学式IVの金属トリアミン化合物の製造方法は、下記反応式6で表すことができる。
【0216】
【0217】
(前記反応式6中、M4、R1~R5、R′およびmは、前記化学式IVでの定義と同様であり、X1およびX2は、それぞれ独立して、ハロゲンであり、RaおよびRbは、それぞれ独立して、(C1-C7)アルキルである。)
【0218】
本発明の金属トリアミン化合物の製造方法の一実施形態において、前記化学式Hの化合物と化学式Dのジアルキレントリアミンリチウム塩化合物は、1:1~1:1.5のモル比、好ましくは1:1~1:1.25のモル比、より好ましくは1:1~1:1.10のモル比で使用されることができる。
【0219】
前記化学式Hの化合物と化学式Dのジアルキレントリアミンリチウム塩化合物の反応は、溶媒下で行われることができる。前記反応に使用される溶媒は、通常の有機溶媒であればいずれも可能であるが、ヘキサン、ペンタン、ジクロロメタン(DCM)、ジクロロエタン(DCE)、トルエン(Toluene)、アセトニトリル(MeCN)、ニトロメタン(Nitromethan)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)からなる群から選択される1種以上を使用することが好ましい。
【0220】
反応温度は、通常の有機合成で使用される温度が使用可能であるが、反応物質および出発物質の量に応じて異なり得、好ましくは-10~30℃で行われることができ、NMRなどにより出発物質が完全に消耗されたことを確認した後、反応を終了する。反応が終了すると、抽出過程の後、減圧下で溶媒を蒸留した後、カラムクロマトグラフィーなどの通常の方法により目的物を分離精製することもできる。
【0221】
本発明の一実施形態による化学式1の金属トリアミン化合物中、MがM4(CO)4の化学式Vの金属トリアミン化合物は、下記化学式Lの金属ヘキサカルボニル前駆体をハロゲンと反応させた後、生成物を化学式Aのジアルキレントリアミン化合物と反応させて製造される。
【0222】
【0223】
【0224】
[化学式L]
M4(CO)6
【0225】
(前記化学式V、化学式AおよびL中、
M4は、第6族遷移金属であり;
R1~R5は、互いに独立して、水素または(C1-C7)アルキルであり;
mは、0~2の整数である。)
【0226】
化学式Vの金属トリアミン化合物の製造方法は、下記反応式7で表すことができる。
【0227】
【0228】
(前記反応式7中、M4、R1~R5およびmは、前記化学式Vでの定義と同様であり、Xはハロゲンである。)
【0229】
本発明の金属トリアミン化合物の製造方法の一実施形態において、前記化学式Lの金属ヘキサカルボニル前駆体とハロゲンは、1:1~1:1.5のモル比、好ましくは1:1~1:1.25のモル比、より好ましくは1:1~1:1.10のモル比で使用されることができ、前記化学式L-1の金属テトラカルボニルビスハライド前駆体と化学式Aのジアルキレントリアミン化合物は、1:1~1:1.5のモル比、好ましくは1:1~1:1.25のモル比、より好ましくは1:1~1:1.10のモル比で使用されることができる。
【0230】
前記反応に使用される溶媒は、通常の有機溶媒であればいずれも可能であるが、ヘキサン、ペンタン、ジクロロメタン(DCM)、ジクロロエタン(DCE)、トルエン(Toluene)、アセトニトリル(MeCN)、ニトロメタン(Nitromethan)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)からなる群から選択される1種以上を使用することが好ましい。
【0231】
反応温度は、通常の有機合成で使用される温度が使用可能であるが、反応物質および出発物質の量に応じて異なり得、好ましくは-78~120℃で行われることができ、NMRなどにより出発物質が完全に消耗されたことを確認した後、反応を終了する。反応が終了すると、抽出過程の後、減圧下で溶媒を蒸留した後、カラムクロマトグラフィーなどの通常の方法により目的物を分離精製することもできる。
【0232】
また、本発明は、本発明の金属トリアミン化合物を含む金属含有薄膜蒸着用組成物を提供する。
【0233】
本発明の金属含有薄膜蒸着用組成物に含まれる前記化学式1の金属トリアミン化合物は、常温で液体あるいは融点が低い固体であり、揮発性が高く、熱安定性が高いことから、金属含有薄膜形成に非常に有用な前駆体であり、本発明の金属含有薄膜蒸着用組成物は、前記化学式1の金属トリアミン化合物を少なくとも一つ含む。
【0234】
また、本発明の金属含有薄膜蒸着用組成物内の前記化学式1の金属トリアミン化合物は、薄膜の成膜条件または薄膜の厚さ、特性などを考慮して、当業者が認識することができる含有量の範囲内で含まれることができる。
【0235】
また、本発明は、前記金属含有薄膜蒸着用組成物を用いる金属含有薄膜の製造方法を提供する。
【0236】
本発明の金属含有薄膜は、前記化学式1の金属トリアミン化合物を前駆体として含む金属含有薄膜蒸着用組成物を用いて製造され、限定されるものではないが、一例として、金属含有酸化膜、金属含有窒化膜、金属含有酸窒化(oxynitride)膜、金属含有炭素窒化膜または金属含有ケイ素窒化膜であってもよく、トランジスタのゲート絶縁膜またはキャパシタの誘電膜であってもよく、高品質の様々な薄膜を製造することができる。
【0237】
本発明の金属含有薄膜の製造方法は、常温で液体あるいは融点が低い固体であり、揮発性が高く、熱安定性に優れた前記化学式1の金属トリアミン化合物を前駆体として含む本発明の金属含有薄膜蒸着用組成物を用いることで、取り扱いが容易であり、様々な薄膜の製造が可能なだけでなく、高密度および高純度の金属含有薄膜を製造することができる。さらに、本発明の製造方法により製造された金属含有薄膜は、耐久性および電気的特性に優れ、段差被覆性に優れる。
【0238】
本発明の金属含有薄膜の製造方法は、本技術分野において当業者が認識することができる範囲内で可能な方法であればいずれも可能であるが、好ましくは、原子層蒸着法(ALD)、気相蒸着法(CVD)、有機金属化学気相蒸着法(MOCVD)、低圧気相蒸着法(LPCVD)、プラズマ強化気相蒸着法(PECVD)またはプラズマ強化原子層蒸着法(PEALD)により行われることができる。
【0239】
本発明の金属含有薄膜の製造方法は、具体的には、
a)チャンバ内に装着された基板の温度を80~400℃に維持するステップと、
b)キャリアガスと前記金属含有薄膜蒸着用組成物を注入するステップと、
c)反応ガスを注入して前記基板上に金属含有薄膜を蒸着させるステップとを含むことができ、金属含有薄膜の厚さに応じて、b)およびc)ステップを数回繰り返してもよい。
【0240】
本発明の一実施形態による金属含有薄膜の製造方法は、目的とする薄膜の構造または熱的特性に応じて蒸着条件が調節されることができ、本発明の一実施形態による蒸着条件としては、金属トリアミン化合物を含む金属含有薄膜蒸着用組成物の投入流量、反応ガス、キャリアガスの投入流量、圧力、RFパワー、基板温度などが例示されることができ、かかる蒸着条件の非限定的な一例としては、金属含有薄膜蒸着用組成物の投入流量は10~1000cc/min、キャリアガスは10~1000cc/min、反応ガスの流量は1~1000cc/min、圧力は0.5~10torr、RFパワーは200~1000Wおよび基板温度は80~400℃の範囲、好ましくは200~400℃の範囲で調節されることができるが、これに限定されるものではない。
【0241】
本発明の金属含有薄膜の製造方法で使用される反応ガスは、限定されるものではないが、酸素(O2)、オゾン(O3)、蒸留水(H2O)、過酸化水素(H2O2)、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(N2O)、二酸化窒素(NO2)、アンモニア(NH3)、窒素(N2)、ヒドラジン(N2H4)、アミン、ジアミン、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、C1~C12飽和または不飽和炭化水素、水素(H2)、アルゴン(Ar)およびヘリウム(He)から選択される一つまたは二つ以上のガスを供給して行われることができる。
【0242】
一例として、化学気相蒸着法(MOCVD)は、基板が位置する蒸着領域に金属トリアミン化合物を注入するステップと、蒸着領域に反応ガスを注入するステップとを含む蒸着過程を含み、各ステップは、同時にまたは順次に進められ、前駆体と反応ガスは、反応して基板上で金属が含有された薄膜を形成する。
【0243】
一例として、原子層蒸着法(ALD)は、基板が位置する蒸着領域に金属トリアミン化合物を注入するステップ、蒸着領域で金属トリアミン化合物を排出するステップ、蒸着領域に反応ガスを注入するステップ、排出するステップが順に行われ、前記の各ステップが1回行われると、金属が含有された薄膜の単層が蒸着される。各ステップの繰り返し過程を経て所望の厚さの金属含有薄膜を蒸着することができる。
【0244】
本発明の一実施形態による金属含有薄膜の製造方法に使用される基板は、Si、Ge、SiGe、GaP、GaAs、SiC、SiGeC、InAsおよびInPのいずれか一つ以上の半導体材料を含む基板;SOI(Silicon On Insulator)基板;石英基板;またはディスプレイ用ガラス基板;ポリイミド(polyimide)、ポリエチレンテレフタレート(PET、PolyEthylene Terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN、PolyEthylene Naphthalate)、ポリメチルメタクリレート(PMMA、Poly Methyl MethAcrylate)、ポリカーボネート(PC、PolyCarbonate)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエステル(Polyester)などの可撓性プラスチック基板;タングステン基板であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0245】
また、前記金属含有薄膜は、前記基板に直接薄膜を形成する他、前記基板と前記金属含有薄膜との間に多数の導電層、誘電層または絶縁層などが形成されてもよい。
【0246】
前記金属含有薄膜蒸着用組成物および金属含有薄膜の製造方法を用いて優れた段差被覆性を有することができ、密度が高い高純度の金属含有薄膜を製造することができる。
【0247】
以下、実施例により本発明についてより具体的に説明する。その前に、本明細書および請求範囲において使用された用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義し得るという原則に則って本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0248】
したがって、本明細書に記載の実施例と図面に図示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎないだけであって、本発明の技術的な思想をすべて代弁するものではないため、本出願時点においてこれらは代替可能な様々な均等物と変形例があることを理解すべきである。
【0249】
また、以下のすべての実施例は、商用化したシャワーヘッド方式の200mm枚葉式(single wafer type)ALD装備(CN1、Atomic Premium)を使用して公知の原子層蒸着法(ALD)を用いて行った。
【0250】
蒸着された金属含有薄膜は、エリプソメータ (Ellipsometer、Thermowave、Optiprobe2600)および透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、FEI(Netherlands)Tecnai G2 F30S-Twin)により厚さを測定し、X線光電子分光分析装置(X-ray photoelectron spectroscopy、ThermoFisher Scientific、K-Alpha+)を用いてその組成を分析した。
【0251】
[実施例1]CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Ti(N(CH3)2)2の合成-反応式2
【0252】
【0253】
ヘキサン100mlにテトラキス(ジメチルアミノ)チタン[Ti(NMe2)4](100g、0.45mol)を溶解した後、-10℃でN,N′,N′′-トリメチルジイソプロピレントリアミン[CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3)H)2](71g、0.45mol)を投入して還流(70℃)温度までゆっくり昇温した後、24時間還流(70℃)攪拌した。反応が終了した後、減圧下で溶媒および揮発性副生成物を除去してから減圧蒸留(反応器下部温度基準120℃、0.3torr)し、液体状態の標記化合物CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Ti(N(CH3)2)2を得た(80g、54.8%)。
【0254】
1H-NMR (C6D6,ppm) δ 3.46(2H, m, N(CH2C)), 3.33(6H, s, Ti(NCH3)2), 3.29(3H, s, (N(CH3))2Ti), 3.27(3H, s, (N(CH3))2Ti), 3.17(6H, s, Ti(NCH3)2), 3.00(1H, m, CH), 2.91(2H, m, N(CH2C)), 2.74(1H, m, CH), 1.94(3H, s, CH3N), 0.82(3H, d, C(CH3)), 0.74(3H, d, C(CH3)).
【0255】
[実施例2]CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Ti(N(CH3)2)2の合成-反応式3
ヘキサン100mlにN,N′,N′′-トリメチルジイソプロピレントリアミン[CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3)H2)](34.7g、0.2mol)を投入した後、-10℃で2.35Mノルマルブチルリチウム(n-BuLi、118g、0.4mol)をゆっくり投入して常温で12時間攪拌し、N,N′,N′′-トリメチルジイソプロピレントリアミンジリチウム塩[CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3)Li)2]を製造した。その後、-10℃でビスジメチルアミノチタンジクロライド[Cl2Ti(NMe2)2](41.4g、0.2mol)を投入して常温(25℃)まで温度をゆっくり上げた後、常温(25℃)で24時間攪拌した。反応が終了すると、減圧下で溶媒および揮発性副生成物を除去して実施例1と同じNMRを確認することで、実施例1と同じ液体状態の標記化合物CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Ti(N(CH3)2)2を得た(35g、57%)。
【0256】
[実施例3]CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Zr(N(CH3)2)2の合成-反応式2
【0257】
【0258】
ヘキサン100mlにテトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム[Zr(NMe2)4](140g、0.5mol)を投入した後、-10℃でN,N′,N′′-トリメチルジイソプロピレントリアミン[CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3)H)2](90g、0.5mol)を投入して常温(25℃)まで温度をゆっくり上げた後、常温(25℃)で24時間攪拌した。反応が終了すると、減圧下で溶媒および揮発性副生成物を除去して減圧蒸留(反応器下部温度基準125℃、0.2torr)し、液体状態の標記化合物CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Zr(N(CH3)2)2を得た(100g、54.5%)。
【0259】
1H-NMR (C6D6,ppm) δ 3.37(1H, m, CH), 3.21(6H, s, Zr(NCH3)2), 3.18(3H, s, (N(CH3))2Zr), 3.15(3H, s, (N(CH3))2Zr), 3.10(1H, m, CH2), 3.06(6H, s, Zr(NCH3)2), 2.97(2H, m, CH2), 2.81(1H, m, CH2), 2.74(1H, m, CH), 2.01(3H, s, CH3N), 0.93(3H, d, C(CH3)), 0.61(3H, d, C(CH3)).
【0260】
[実施例4]CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Zr(N(CH3)2)2の合成-反応式3
ヘキサン100mlにN,N′,N′′-トリメチルジイソプロピレントリアミン[CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3)H2)](34.7g、0.2mol)を投入した後、-10℃で2.35Mノルマルブチルリチウム(n-BuLi、118g、0.4mol)をゆっくり投入して常温で12時間攪拌し、N,N′,N′′-トリメチルジイソプロピレントリアミンジリチウム塩(CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3)Li)2)を製造した。その後、-10℃に冷却した後、ビス(ジメチルアミノ)ジルコニウムジクロライド[Cl2Zr(NMe2)2](50g、0.2mol)を投入して常温(25℃まで温度をゆっくり上げた後、常温(25℃)で24時間攪拌した。反応が終了すると、減圧下で溶媒および揮発性副生成物を除去して実施例3と同じNMRを確認することで、実施例3と同じ液体状態の標記化合物CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Zr(N(CH3)2)2を得た(40g、57%)。
【0261】
[実施例5]CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Zr(N(CH3)(C2H5))2の合成
【0262】
【0263】
ヘキサン100mlにテトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム[Zr(NMeEt)4](108g、0.33mol)を投入した後、-10℃でN,N′,N′′-トリメチルジイソプロピレントリアミン[CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3)H)2](57.83g、0.33mol)を投入して常温(25℃)まで温度をゆっくり上げた後、常温(25℃)で24時間攪拌した。反応が終了すると、減圧下で溶媒および揮発性副生成物を除去して減圧蒸留(反応器下部温度基準130℃、0.1torr)し、液体状態の標記化合物CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Zr(N(CH3)(C2H5))2を得た(94g、74%)。
【0264】
1H-NMR (C6D6,ppm) δ 3.50(2H, m, NCH2), 3.44(2H, m, NCH2), 3.21(2H, m, CH2), 3.19(6H, s, Zr(NCH3)), 3.14(3H, s, (N(CH3))2Zr), 3.08(3H, s, (N(CH3))2Zr), 3.00(2H, m, CH2), 2.82(1H, m, CH2), 2.74(1H, m, CH), 2.03(3H, s, CH3N), 1.27(6H, q, C(CH3)), 0.96(3H, d, C(CH3)), 0.63(3H, d, C(CH3)).
【0265】
[実施例6]CH3N(CH2CH2HN(CH3))2Zr(N(CH3)(C2H5))2の合成
【0266】
【0267】
ヘキサン300mlにテトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム[Zr(NMeEt)4](295g、0.91mol)を投入した後、-10℃でN,N′,N′′-トリメチルジエチレントリアミン[CH3NCH2CH2N(CH3)H)2](132.4g、0.91mol)を投入して常温(25℃)まで温度をゆっくり上げた後、常温(25℃)で24時間攪拌した。反応が終了すると、減圧下で溶媒および揮発性副生成物を除去して減圧蒸留(反応器下部温度基準130℃、0.13torr)し、液体状態の標記化合物CH3N(CH2CH2HN(CH3))2Zr(N(CH3)(C2H5))2を得た(210g、65%)。
【0268】
1H-NMR (C6D6,ppm) δ 3.48(2H, m, NCH2), 3.21(6H, s, Zr(NCH3)), 3.18(3H, s, (N(CH3))2Zr), 3.13(2H, m, NCH2), 3.11(2H, m, CH2), 3.03(3H, s, (N(CH3))2Zr), 2.94(2H, m, CH2), 2.66(2H, m, CH2), 2.22(2H, m, CH2), 1.99(3H, s, CH3N), 1.29(6H, q, C(CH3)).
【0269】
[実施例7]CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Hf(N(CH3)2)2の合成
【0270】
【0271】
ヘキサン200mlにテトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム[Hf(NMe2)4](200g、0.56mol)を投入した後、-10℃でN,N′,N′′-トリメチルジイソプロピレントリアミン[CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3)H)2](97.7g、0.56mol)を投入して常温(25℃)まで温度をゆっくり上げた後、常温(25℃)で24時間攪拌した。反応が終了すると、減圧下で溶媒および揮発性副生成物を除去して減圧蒸留(反応器下部温度基準130℃、0.21torr)し、液体状態の標記化合物CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Hf(N(CH3)2)2を得た(100g、40%)。
【0272】
1H-NMR (C6D6,ppm) δ 3.31(1H, m, CH), 3.23(6H, s, Hf(NCH3)2), 3.19(3H, s, (N(CH3))2Hf), 3.14(3H, s, (N(CH3))2Hf), 3.08(1H, m, CH2), 3.05(6H, s, Hf(NCH3)2), 2.97(2H, m, CH2), 2.83(1H, m, CH2), 2.81(1H, m, CH), 1.97(3H, s, CH3N), 0.87(3H, d, C(CH3)), 0.63(3H, d, C(CH3)).
【0273】
[実施例8]CH3N(CH2CH2HN(CH3))2Hf(N(CH3)2)2の合成
【0274】
【0275】
ヘキサン100mlにテトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム[Hf(NMe2)4](20g、0.056mol)を投入した後、-10℃でN,N′,N′′-トリメチルジエチレントリアミン[CH3N(CH2CH2N(CH3)H)2](8.19g、0.056mol)を投入して常温(25℃)まで温度をゆっくり上げた後、常温(25℃)で24時間攪拌した。反応が終了すると、減圧下で溶媒および揮発性副生成物を除去して減圧昇華(反応器下部温度基準63℃、0.82torr)し、融点60℃を有する固体状態標記化合物CH3N(CH2CH2HN(CH3))2Hf(N(CH3)2)2を得た(5g、22%)。
【0276】
1H-NMR (C6D6,ppm) δ 3.27(6H, s, Hf(NCH3)2), 3.24(6H, s, Hf(NCH3)2), 3.15(4H, m, CH2), 3.03(6H, s, Hf(NCH3)2), 2.56(2H, m, CH2), 2.12(2H, m, CH2), 1.92(3H, s, CH3N).
【0277】
[実施例9]CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Hf(N(CH3)(C2H5))2の合成
【0278】
【0279】
ヘキサン300mlにテトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム[Hf(NMeEt)4](450g、1.1mol)を投入した後、-10℃でN,N′,N′′-トリメチルジイソプロピレントリアミン[CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3)H)2](189.8g、1.1mol)を投入して常温(25℃)まで温度をゆっくり上げた後、常温(25℃)で24時間攪拌した。反応が終了すると、減圧下で溶媒および揮発性副生成物を除去して減圧蒸留(反応器下部温度基準132℃、0.56torr)し、液体状態の標記化合物CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Hf(N(CH3)(C2H5))2を得た(270g、53%)。
【0280】
1H-NMR (C6D6,ppm) δ 3.53(2H, m, NCH2), 3.33(1H, m, NCH2), 3.26(2H, m, CH2), 3.25(1H, m, CH2), 3.21(3H, s, Hf(NCH3)), 3.20(3H, s, Hf(NCH3)), 3.16(3H, s, (N(CH3))2Hf), 3.12(1H, m, CH2), 3.07(3H, s, (N(CH3))2Hf), 3.00(1H, m, CH2), 2.93(1H, m, CH2), 2.82(1H, m, CH), 2.00(3H, s, CH3N), 1.27(6H, q, C(CH3)), 0.90(3H, d, C(CH3)), 0.64(3H, d, C(CH3)).
【0281】
[実施例10]CH3N(CH2CH2HN(CH3))2Hf(N(CH3)(C2H5))2の合成
【0282】
【0283】
ヘキサン200mlにテトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム[Hf(NMeEt)4](224g、0.55mol)を投入した後、-10℃でN,N′,N′′-トリメチルジエチレントリアミン[CH3N(CH2CH2N(CH3)H)2](79.2g、0.55mol)を投入して常温(25℃)まで温度をゆっくり上げた後、常温(25℃)で24時間攪拌した。反応が終了すると、減圧下で溶媒および揮発性副生成物を除去して減圧精製(反応器下部温度基準130℃、0.25torr)し、液体状態の標記化合物CH3N(CH2CH2HN(CH3))2Hf(N(CH3)(C2H5))2を得た(100g、42%)。
【0284】
1H-NMR (C6D6,ppm) δ 3.53(2H, m, NCH2), 3.23(6H, s, Hf(NCH3)), 3.21(2H, m, NCH2), 3.17(3H, s, (N(CH3))2Hf), 3.16(2H, m, CH2), 3.03(3H, s, (N(CH3))2Hf), 3.01(2H, m, CH2), 2.60(2H, m, CH2), 2.16(2H, m, CH2), 1.97(3H, s, CH3N), 1.28(6H, m, C(CH3)).
【0285】
[実施例11]CH3N(CH2C(CH3)HN(CH(CH3)2))2Hf(N(CH3)2)2の合成
【0286】
【0287】
ヘキサン100mlにテトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム[Hf(NMe2)4](20g、0.056mol)を投入した後、-10℃でN′-メチル-N,N′′-ジイソプロピルジイソプロピレントリアミン[CH3N(CH2C(CH3)HN(CH(CH3)2)H)2](12.93g、0.084mol)を投入して常温(25℃)まで温度をゆっくり上げた後、常温(25℃)で24時間攪拌した。反応が終了すると、減圧下で溶媒および揮発性副生成物を除去して減圧精製(反応器下部温度基準139℃、0.2torr)し、液体状態の標記化合物CH3N(CH2C(CH3)HN(CH(CH3)2))2Hf(N(CH3)2)2を得た(7g、26%)。
【0288】
1H-NMR (C6D6,ppm) δ 4.10(1H, m, NCH), 4.03(1H, m, NCH), 3.33(2H, m, NCH), 3.22(1H, m, CH2), 3.19(6H, s, Hf(NCH3)2), 3.15(1H, m, CH2), 3.08(6H, s, Hf(NCH3)2), 2.95(1H, m, CH2), 2.83(1H, m, CH2), 2.00(3H, s, CH3N), 1.25(6H, m, C(CH3)), 1.19(6H, m, C(CH3)), 0.86(3H, d, C(CH3)), 0.68(3H, d, C(CH3)).
【0289】
[実施例12]CH3N(CH2CH2N(CH(CH3)2))2Hf(N(CH3)2)2の合成
【0290】
【0291】
ヘキサン100mlにテトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム[Hf(NMe2)4](20g、0.056mol)を投入した後、-10℃でN′-メチル-N,N′′-ジイソプロピルジエチレントリアミン[CH3N(CH2CH2N(CH(CH3)2)H)2](17.3g、0.056mol)を投入して常温(25℃)まで温度をゆっくり上げた後、常温(25℃)で24時間攪拌した。反応が終了すると、減圧下で溶媒および揮発性副生成物を除去して減圧精製(反応器下部温度基準140℃、0.1torr)し、融点50℃を有する固体状態の標記化合物CH3N(CH2CH2N(CH(CH3)2))2Hf(N(CH3)2)2を得た(10g、37%)。
【0292】
1H-NMR (C6D6,ppm) δ 4.10(2H, m, NCH), 3.22(2H, m, CH2), 3.16(6H, s, Hf(NCH3)2), 3.07(6H, s, Hf(NCH3)2), 3.04(2H, m, CH2), 2.61(2H, m, CH2), 2.12(2H, m, CH2), 1.97(3H, s, CH3N), 1.24(6H, m, C(CH3)), 1.18(6H, m, C(CH3)).
【0293】
[実施例13]CH3N(CH2CH2N(CH3))2Ti(O(CH(CH3)2)2の合成
【0294】
【0295】
フラスコにテトラキス(ジメチルアミノ)チタン[TDMAT、Tetrakis(dimethylamino)titanium;Ti(NMe2)4](184g、0.82mol)を添加した後、N,N′,N′′-トリメチルジエチレントリアミン[CH3N(CH2CH2N(CH3)H)2](119g、0.82mol)を常温(25℃)でゆっくり投入した。投入終了後、60℃で12時間攪拌し、CH3N(CH2CH2N(CH3))2Ti(N(CH3)2)2合成をNMRで確認する。CH3N(CH2CH2N(CH3))2Ti(N(CH3)2)2の合成を確認した後、ヘキサン300mlを添加してから、フラスコ内の温度を-30℃まで冷却し、イソプロパノール[HOCH(CH3)2](98.6g、1.64mol)をフラスコ内の温度が-20℃以上増加しないようにゆっくり投入した。投入終了後、常温(25℃)までゆっくり温度を上げてから6時間攪拌を実施した後、NMR確認により合成を確認した後、溶媒および揮発性副生成物を減圧下で除去し、減圧蒸留(反応器下部温度基準80℃、0.1torr)し、液体状態の標記化合物CH3N(CH2CH2N(CH3))2Ti(O(CH(CH3)2)2を得た(126g、50%)。
【0296】
1H-NMR (C6D6,ppm) δ 4.79(1H, m, OCH), 4.67(1H, m, OCH), 3.36(6H, s, Ti(N(CH3)), 3.15(2H, m, Ti(N(CH2)), 2.97(2H, m, Ti(N(CH3)), 2.77(2H, m, N(CH2)), 2.44(2H, m, N(CH2)), 2.30(3H, s, N(CH3)), 1.40(6H, d, C(CH3)2), 1.28(6H, d, C(CH3)2).
【0297】
[実施例14]CH3N(CH2CH2N(CH3))2Hf(O(CH(CH3)2)2の合成
【0298】
【0299】
フラスコにヘキサン100mlを投入した後、テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム[TEMAH、Tetrakis(ethylmethylamino)hafnium;Hf(NMeEt)4](63g、0.153mol)を添加した。前記フラスコ内の温度を-30℃まで冷却した後、N,N′,N′′-トリメチルジエチレントリアミン[CH3N(CH2CH2N(CH3)H)2](22.3g、0.153mol)をゆっくり投入した。投入終了後、常温で12時間攪拌し、CH3N(CH2CH2N(CH3))2Hf(N(CH3)(CH2CH3))2の合成をNMRで確認する。CH3N(CH2CH2N(CH3))2Hf(N(CH3)(CH2CH3))2の合成を確認した後、フラスコ内の温度を-30℃まで冷却し、イソプロパノール[HOCH(CH3)2](18.4g、0.307mol)をフラスコ内の温度が-20℃以上増加しないようにゆっくり投入した。投入終了後、常温(25℃)までゆっくり温度を上げてから6時間攪拌を実施した後、NMR確認により合成を確認した後、溶媒および揮発性副生成物を減圧下で除去して、減圧蒸留(反応器下部温度基準140℃、0.26torr)し、液体状態の標記化合物CH3N(CH2CH2N(CH3))2Hf(O(CH(CH3)2)2を得た(30g、44.5%)。
【0300】
1H-NMR (C6D6,ppm) δ 4.59(1H, m, OCH), 4.45(1H, m, OCH), 3.23(6H, s, Hf(N(CH3)), 3.02(2H, m, Hf(N(CH2)), 2.91(2H, m, Hf(N(CH3)), 2.60(2H, m, N(CH2)), 2.29(2H, m, N(CH2)), 2.19(3H, s, N(CH3)), 1.36(6H, d, OC(CH3)2), 1.28(6H, d, OC(CH3)2).
【0301】
[実施例15]CH3N(CH2CH(CH3)N(CH3))2Hf(O(CH(CH3)2)2の合成
【0302】
【0303】
フラスコにヘキサン100mlを投入した後、テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム[TEMAH、Tetrakis(ethylmethylamino)hafnium;Hf(NMeEt)4](49g、0.119mol)を添加した。フラスコ内の温度を-30℃まで冷却し、N,N′,N′′-トリメチルジイソプロピレントリアミン[CH3N(CH2CH(CH3)N(CH3)H)2](20.7 g、0.119mol)をゆっくり投入した。投入終了後、常温で12時間還流攪拌し、CH3N(CH2CH(CH3)N(CH3))2Hf(N(CH3)(CH2CH3))2合成をNMRで確認した。CH3N(CH2CH(CH3)N(CH3))2Hf(N(CH3)(CH2CH3))2の合成を確認した後、フラスコ内の温度を-30℃まで冷却してイソプロパノール[HOCH(CH3)2](14.3g、0.239mol)をフラスコ内の温度が-20℃以上増加しないようにゆっくり投入した。投入終了後、常温(25℃)までゆっくり温度を上げてから6時間攪拌を実施した後、NMR確認により合成を確認した後、溶媒および揮発性副生成物を減圧下で除去し、減圧蒸留(反応器下部温度基準140℃、0.16torr)し、液体状態の標記化合物CH3N(CH2CH(CH3)N(CH3))2Hf(O(CH(CH3)2)2を得た(25g、45%)。
【0304】
1H-NMR (C6D6,ppm) δ 4.59(1H, m, OCH), 4.56(1H, m, OCH), 3.41(1H, m, Hf(N(CH)), 3.40(3H, s, Hf(N(CH3)), 3.2(1H, m, N(CH2)), 3.15(3H, s, Hf(N(CH3)), 2.98(1H, m, Hf(N(CH)), 2.44((1H, m, Hf(N(CH)), 2.22(3H, s, N(CH3)), 1.37(6H, d, OC(CH3)2), 1.29(6H, d, OC(CH3)2), 0.75(3H, d, C(CH3)), 0.69(3H, d, C(CH3)).
【0305】
[実施例16]CH3N(CH2CH(CH3)NCH3)2Mo(=NC(CH3)3)2の合成
【0306】
【化90】
((CH
3)
3CN)
2MoCl
2(DME)の合成
【0307】
【0308】
フラスコにモリブデン酸ナトリウム [Na2MoO4](160g、0.777mol)と1,2-ジメトキシエタン2Lを投入する。常温でトリエチルアミン(314.5g、3.108mol)、クロロトリメチルシラン(759.72g、6.993mol)、t-ブチルアミン(119.3g、1.632mol)を順にゆっくり投入する。投入終了後、80℃までゆっくり昇温した後、18時間還流を行う。還流終了後、減圧濾過して濾過液を40℃で減圧下で溶媒を80%除去した後、ヘキサンを投入する。ヘキサン懸濁液を減圧濾過し、褐色の固体の化合物((CH3)3CN)2MoCl2(DME)を取得した(146g、49%)。
【0309】
【0310】
CH3N(CH2CH(CH3)NCH3)2Mo(=NC(CH3)3)2の合成
フラスコに((CH3)3CN)2MoCl2(DME)(100g、0.26mol)とヘキサン1Lを投入した後、N,N′,N′′-トリメチルジイソプロピレントリアミンジリチウム塩[CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3)Li)2](52.88g、0.286mol)のヘキサン懸濁液を10℃に維持してゆっくり投入する。その後、常温で18時間攪拌した後、減圧濾過して濾過液を常温で減圧下で溶媒を完全に除去する。純度を高めるために、減圧下で蒸留(62℃、0.4torr)し、液体の標記化合物CH3N(CH2CH(CH3)NCH3)2Mo(=NC(CH3)3)2を取得した(75.4g、収率71%)。
【0311】
【0312】
[実施例17]CH3N(CH2CH2NCH3)2Ta(N(CH3)2)3の合成
【0313】
【0314】
ペンタ(ジメチルアミノ)タンタル[Ta(NMe2)5](30g、0.07mol)を核酸溶媒に溶解した後、0℃でN,N′,N′′-トリメチルジエチレントリアミン[CH3N(CH2CH2N(CH3)H)2](10.86g、0.07mol)投入し、常温で8時間攪拌した。反応が終了した後、減圧下で溶媒および揮発性副生成物を除去してから減圧昇華(120℃@0.44torr)し、固体の標記化合物CH3N(CH2CH2NCH3)2Ta(N(CH3)2)3を得た(21g、62%)。
【0315】
【0316】
[実施例18]CH3N(CH2CH(CH3)NCH3)2La(N(Si(CH3)3)2)の合成
【0317】
【0318】
トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)ランタン[La(N(Si(CH3)3)2)3](20g、0.03mol)をヘキサン溶媒に溶解した後、0℃でN,N′,N′′-トリメチルジイソプロピレントリアミン[CH3N(CH2CH(CH3)N(CH3)H)2](5.59g、0.03mol)投入して常温まで温度を上げた後、68℃で8時間攪拌した。反応が終了した後、減圧下で溶媒および揮発性副生成物を除去し、固体の標記化合物CH3N(CH2CH(CH3)NCH3)2La(N(Si(CH3)3)2)を得た(5g、33%)。
【0319】
1H-NMR (C6D6,ppm) δ 3.33(1H, m, CH), 3.19(3H, s, (N(CH3))2Hf), 3.15(3H, s, (N(CH3))2Hf), 3.08(1H, m, CH2), 3.00(2H, m, CH2), 2.83(1H, m, CH2), 2.81(1H, m, CH), 1.95(3H, s, CH3N), 0.86(3H, d, C(CH3)), 0.62(3H, d, C(CH3)), 0.36(18H, s, N(Si(CH3)3)2).
【0320】
[実施例19]CH3N(CH2CH2CH2NCH3)2W(CO)4の合成
【0321】
【0322】
3000mlフラスコに窒素雰囲気下でタングステンヘキサカルボニル(tungsten hexacarbonyl;W(CO)6)(300g、0.853mol、1当量)を入れ、ジクロロメタン(2000ml)を入れる。この溶液を-78℃下で攪拌しながら二原子臭素(diatomic bromine;Br2)(149.86g、0.938mol、1.10当量)をゆっくり入れる。この混合反応溶液を-78℃で1時間攪拌した後、常温に昇温して濃い赤褐色の懸濁液になるまで攪拌する。この溶液を濾過して減圧下で沈澱が生じるまで溶媒を除去する。この沈澱が生じた溶液をまた濾過して得られた固体化合物をノルマルヘキサンで洗浄し、減圧状態下で乾燥した。完全に乾燥した後、赤褐色の固体としてW(CO)4Br2化合物(98g、収率25%)を取得した。次のステップとして、火炎乾燥した1000mlシュレンクフラスコ(Schlenk flask)に窒素雰囲気下で溶媒が完全除去されたW(CO)4Br2(98g、0.215mol、1.00当量)を入れ、トルエン(500ml)を入れる。常温でトリエチルアミン(0.538mol、2.50当量)をゆっくり入れた後、N,N′,N′′-トリメチルジプロピレントリアミン[CH3N(CH2CH2CH2N(CH3)H)2](0.226mol、1.05当量)を投入した後、100℃で6時間還流攪拌した後、常温で冷却して濾過する。濾過液から減圧下で溶媒を除去し、ノルマルヘキサンで抽出する。抽出した溶液を減圧下でまた溶媒を除去し、ゲル形態の淡褐色の標記化合物CH3N(CH2CH2CH2NCH3)2W(CO)4を取得した(10g、10%)。
【0323】
1H-NMR (C6D6,ppm) δ 3.13(H, m, CH2), 2.64(6H, s, NCH3), 2.19(4H, m, CH2), 1.89(3H, s, NCH3), 1.35(4H, m, CH2).
【0324】
[実施例20]CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Zr(N(CH3)2)2を用いたジルコニウム酸化(ZrO2)薄膜の製造
原子層蒸着法(Atomic Layer Deposition、ALD)により、シリコン基板にジルコニウム酸化薄膜を製造した。シリコン基板は、220℃、240℃、260℃、280℃、300℃、320℃、330℃、340℃、350℃、また400℃にそれぞれ維持し、実施例3で製造されたCH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Zr(N(CH3)2)2前駆体をステンレス鋼バブラー容器に充填して110℃に維持した。先ず、ステンレス鋼バブラー容器内で蒸気化したCH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Zr(N(CH3)2)2前駆体をアルゴンガス(50sccm)をキャリアガスとして、シリコン基板に移送されてシリコン基板に吸着されるようにした。次に、アルゴンガス(3000sccm)を用いて15秒間ジルコニウム酸化物前駆体化合物を除去した。次に、約180g/m3の濃度のオゾンガスを500sccmで10秒間供給し、ジルコニウム酸化薄膜を形成した。最後に、アルゴンガス(3000sccm)を用いて10秒間反応副産物および残留反応ガスを除去した。上記のような工程を1周期とし、150周期を繰り返してジルコニウム酸化薄膜を形成した。
【0325】
[実施例21]CH3N(CH2CH2N(CH3))2Ti(O(CH(CH3)2)2を用いたチタン酸化(TiO2)薄膜の製造
原子層蒸着法(Atomic Layer Deposition)により、シリコン基板にチタン酸化薄膜を製造した。シリコンパターン基板は300℃にそれぞれ維持し、実施例13で合成されたCH3N(CH2CH2N(CH3))2Ti(O(CH(CH3)2)2をステンレス鋼バブラー容器に充填して104℃に維持した。先ず、ステンレス鋼バブラー容器内で蒸気化した実施例13の前駆体をアルゴンガス(50sccm)をキャリアガスとして、シリコン基板に移送されてシリコン基板に吸着されるようにした。次に、アルゴンガス(3000sccm)を用いて15秒間チタン酸化物前駆体化合物を除去した。次に、約180g/m3の濃度のオゾンガスを500sccmで10秒間供給し、チタン酸化薄膜を形成した。最後に、アルゴンガス(3000sccm)を用いて10秒間反応副産物および残留反応ガスを除去した。上記のような工程を1周期とし、150周期繰り返してチタン酸化薄膜を形成した。
【0326】
[実施例22]CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Ti(N(CH3)2)2を用いたチタン酸化(TiO2)薄膜の製造
原子層蒸着法(Atomic Layer Deposition)により、シリコン基板にチタン酸化薄膜を製造した。シリコン基板は、220℃、240℃、260℃、280℃、290℃、300℃、350℃、また400℃にそれぞれ維持し、実施例1で合成されたCH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Ti(N(CH3)2)2をステンレス鋼バブラー容器に充填して110℃に維持した。先ず、ステンレス鋼バブラー容器内で蒸気化した実施例1の前駆体をアルゴンガス(50sccm)をキャリアガスとして、シリコン基板に移送されてシリコン基板に吸着されるようにした。次に、アルゴンガス(3000sccm)を用いて15秒間チタン酸化物前駆体化合物を除去した。次に、約180g/m3の濃度のオゾンガスを500sccmで10秒間供給し、チタン酸化薄膜を形成した。最後に、アルゴンガス(3000sccm)を用いて10秒間反応副産物および残留反応ガスを除去した。上記のような工程を1周期とし、150周期繰り返してチタン酸化薄膜を形成した。
【0327】
[実施例23]CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Hf(N(CH3)2)2を用いたハフニウム酸化(HfO2)薄膜の製造
原子層蒸着法(Atomic Layer Deposition)により、シリコン基板にハフニウム酸化薄膜を製造した。シリコン基板は、230℃、250℃、270℃、290℃、310℃、330℃、350℃、また400℃にそれぞれ維持し、実施例7で合成されたCH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Hf(N(CH3)2)2をステンレス鋼バブラー容器に充填して110℃に維持した。先ず、ステンレス鋼バブラー容器内で蒸気化した実施例7の前駆体をアルゴンガス(50sccm)をキャリアガスとして、シリコン基板に移送されてシリコン基板に吸着されるようにした。次に、アルゴンガス(3000sccm)を用いて15秒間ハフニウム酸化物前駆体化合物を除去した。次に、約180g/m3の濃度のオゾンガスを500sccmで10秒間供給し、ハフニウム酸化薄膜を形成した。最後に、アルゴンガス(3000sccm)を用いて10秒間反応副産物および残留反応ガスを除去した。上記のような工程を1周期とし、150周期繰り返してハフニウム酸化薄膜を形成した。
【0328】
[実施例24]CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Ti(N(CH3)2)2を用いたチタン窒化(TiN)薄膜の製造
原子層蒸着法(Atomic Layer Deposition)により、シリコン基板にチタン窒化薄膜を製造した。シリコン基板は300℃に維持し、実施例1で合成されたCH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Ti(N(CH3)2)2をステンレス鋼バブラー容器に充填して110℃に維持した。先ず、ステンレス鋼バブラー容器内で蒸気化した実施例1の前駆体をアルゴンガス(50sccm)をキャリアガスとして、シリコン基板に移送されてシリコン基板に吸着されるようにした。次に、アルゴンガス(3000sccm)を用いて15秒間チタン酸化物前駆体化合物を除去した。次に、アンモニア(NH3)ガスを2000sccmで20秒間供給し、チタン窒化(TiN)薄膜を形成した。最後に、アルゴンガス(3000sccm)を用いて10秒間反応副産物および残留反応ガスを除去した。上記のような工程を1周期とし、300周期繰り返してチタン窒化薄膜を形成した。
【0329】
[実施例25]CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Ti(N(CH3)2)2を用いたチタン窒化薄膜の熱処理の評価
実施例21で製造されたチタン窒化薄膜を外部に露出することなく真空状態で連続(in-situ)工程で工程温度600℃、NH3 6000sccmで2時間維持しながら熱処理し、不純物が低いチタン窒化薄膜を製造した。
【0330】
[実施例26]CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Hf(N(CH3)2)2を用いたハフニウム窒化(HfN)薄膜の製造
原子層蒸着法(Atomic Layer Deposition)により、タングステン基板にハフニウム窒化薄膜を製造した。タングステン基板は300℃に維持し、実施例7で合成されたCH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Hf(N(CH3)2)2をステンレス鋼バブラー容器に充填して107℃に維持した。先ず、ステンレス鋼バブラー容器内で蒸気化した実施例7の前駆体を窒素ガス(25sccm)をキャリアガスとして、タングステン基板に移送されてタングステン基板に吸着されるようにした。次に、窒素ガス(3000sccm)を用いて15秒間ハフニウム窒化物前駆体化合物を除去した。次に、アンモニア(NH3)ガスを2000sccmで20秒間供給し、ハフニウム窒化(HfN)薄膜を形成した。最後に、窒素ガス(3000sccm)を用いて10秒間反応副産物および残留反応ガスを除去した。上記のような工程を1周期とし、210周期繰り返してハフニウム窒化薄膜を形成した。
【0331】
[実施例27]CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Hf(N(CH3)2)2を用いたハフニウム窒化(HfN)薄膜の製造
原子層蒸着法(Atomic Layer Deposition)により、シリコンジオキシド基板にハフニウム窒化薄膜を製造した。シリコンジオキシド基板は300℃に維持し、実施例7で合成されたCH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Hf(N(CH3)2)2をステンレス鋼バブラー容器に充填して107℃に維持した。先ず、ステンレス鋼バブラー容器内で蒸気化した実施例7の前駆体を窒素ガス(25sccm)をキャリアガスとして、シリコンジオキシド基板に移送されてシリコンジオキシド基板に吸着されるようにした。次に、窒素ガス(3000sccm)を用いて15秒間ハフニウム窒化物前駆体化合物を除去した。次に、アンモニア(NH3)ガスを2000sccmで20秒間供給してハフニウム窒化(HfN)薄膜を形成した。最後に、窒素ガス(3000sccm)を用いて10秒間反応副産物および残留反応ガスを除去した。上記のような工程を1周期とし、210周期繰り返してハフニウム窒化薄膜を形成した。
【0332】
[実施例28]CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Hf(N(CH3)2)2を用いたハフニウム酸化膜(HfO2)薄膜の製造
化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition)により、タングステン基板にハフニウム酸化薄膜を製造した。タングステン基板は300℃に維持し、実施例7で合成されたCH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Hf(N(CH3)2)2をステンレス鋼バブラー容器に充填して107℃に維持した。先ず、ステンレス鋼バブラー容器内で蒸気化した実施例7の前駆体をアルゴンガス(25sccm)をキャリアガスとして、120分間タングステン基板に移送されてタングステン基板に反応するようにした。次に、オゾンガス(200sccm)で5分間反応させてハフニウム酸化薄膜を形成した。
【0333】
[実施例29]CH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Hf(N(CH3)2)2を用いたハフニウム酸化膜(HfO2)薄膜の製造
化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition)により、シリコンジオキシド基板にハフニウム酸化薄膜を製造した。シリコンジオキシド基板は300℃に維持し、実施例7で合成されたCH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Hf(N(CH3)2)2をステンレス鋼バブラー容器に充填して107℃に維持した。先ず、ステンレス鋼バブラー容器内で蒸気化した実施例7の前駆体をアルゴンガス(25sccm)をキャリアガスとして、120分間シリコンジオキシド基板に移送されてシリコンジオキシド基板に反応するようにした。 次に、オゾンガス(200sccm)で5分間反応させてハフニウム酸化薄膜を形成した。
【0334】
[実施例30]CH3N(CH2CH(CH3)NCH3)2Mo(=NC(CH3)3)2を用いた窒化モリブデン(MoN)薄膜の製造
プラズマ原子層蒸着法(Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition)により、シリコン基板に窒化モリブデン薄膜を製造した。シリコン基板は300℃に維持し、実施例16で合成されたCH3N(CH2CH(CH3)NCH3)2Mo(=NC(CH3)3)2をステンレス鋼バブラー容器に充填して100℃に維持した。先ず、ステンレス鋼バブラー容器内で蒸気化した実施例16の前駆体を窒素ガス(25sccm)をキャリアガスとして、シリコン基板に移送されてシリコン基板に吸着されるようにした。次に、窒素ガス(3000sccm)を用いて15秒間窒化モリブデン膜前駆体化合物を除去した。次に、アンモニア(NH3)ガスを2000sccmで20秒間供給すると同時にRFプラズマパワーを400W印加し、窒化モリブデン(MoN)薄膜を形成した。最後に、窒素ガス(3000sccm)を用いて10秒間反応副産物および残留反応ガスを除去した。上記のような工程を1周期とし、210周期繰り返して窒化モリブデン薄膜を形成した。
【0335】
[実験例1]金属トリアミン化合物の熱安定性の評価
前記実施例で製造された金属トリアミン化合物の熱安定性を判断するために、示差走査熱量計(Differential scanning calorimetry、DSC(DSC3、メトラートレド社))実験を行って熱分解が発生する温度を測定した。この際、各サンプルの重量を約1~5mg取り、試料容器に入れた後、10℃/minの昇温速度で500℃まで測定し、測定された結果を表1に記載した。
【0336】
【0337】
表1に記載したように、熱分解温度をDSCの発熱時点(onset temperature)として比較した結果、本発明の金属トリアミン化合物の熱分解温度は290℃以上であり、従来広く使用されていた有機ジルコニウム前駆体であるシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(CpZr(N(CH3)2)3)、有機ハフニウム前駆体であるテトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(Hf(N(CH3)(C2H5))4)、有機チタン前駆体であるテトラキス(ジメチルアミノ)チタン(Ti(N(CH3)2)4)および有機モリブデン前駆体であるビス(t-ブチルイミド)ビス(ジメチルアミド)モリブデン(((CH3)2N)2Mo(=NC(CH3)3))に対して5~50℃以上増加したことを確認することができた。
【0338】
特に、本発明のチタントリアミン化合物は、従来広く使用された有機チタン前駆体であるテトラキス(ジメチルアミノ)チタン(Ti(N(CH3)2)4)に対して25℃以上増加した熱分解温度を示し、本発明のジルコニウムトリアミン化合物は、従来広く使用されていた有機ジルコニウム前駆体であるシクロペンタジエニルトリス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(CpZr(N(CH3)2)3)に対して10℃以上増加した熱分解温度を示し、本発明のハフニウムトリアミン化合物は、従来広く使用されていた有機ハフニウム前駆体であるテトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(Hf(N(CH3)(C2H5))4)に対して20℃以上増加した熱分解温度を示した。
【0339】
これにより、本発明の金属トリアミン化合物は、熱安定性に優れることが分かり、より高い温度で薄膜の形成が可能であり、微細パターンでの段差被覆性の増加につながり得ることが分かる。
【0340】
[実験例2]保管安定性の評価
前記実施例1~19で製造された金属トリアミン化合物の保管安定性を確認するために、SUS(Steel Use Stainless)材質のバイアルにそれぞれ投入した後、150℃で1時間保管する過酷試験を実施し、その結果、NMRの変化なく、安定していることを確認した。
【0341】
[実験例3]CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2を用いたジルコニウム酸化(ZrO
2)薄膜の段差被覆特性の評価
段差被覆特性を確認するために、実施例20に記述されている蒸着方法を用いてアスペクト比6:1のトレンチ構造を有するシリコンパターン基板にジルコニウム酸化薄膜を形成し、その結果を
図1に示した。
【0342】
図1に示されているように、100%の非常に高い段差被覆特性を確認することができる。
【0343】
[実験例4]CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2を用いたジルコニウム酸化(ZrO
2)薄膜の段差被覆特性の評価
段差被覆特性を確認するために、実施例20に記述されている蒸着方法を用いて60:1ホール構造パターンを有するシリコンパターン基板にジルコニウム酸化薄膜を形成し、その結果を
図1に示した。
【0344】
図1に示されているように、99%以上の非常に高い段差被覆特性を確認することができる。
【0345】
[実験例5]CH
3N(CH
2CH
2N(CH
3))
2Ti(O(CH(CH
3)
2)
2を用いたチタン酸化(TiO
2)薄膜の段差被覆特性の評価
段差被覆特性を確認するために、実施例21に記述されている蒸着方法を用いてアスペクト比6:1のトレンチ構造を有するシリコンパターン基板にチタン酸化薄膜を形成し、その結果を
図2に示した。
【0346】
図2に示されているように、100%の非常に高い段差被覆特性を確認することができる。
【0347】
[実験例6]CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Ti(N(CH
3)
2)
2を用いたチタン酸化(TiO
2)薄膜の段差被覆特性の評価
段差被覆特性を確認するために、実施例22に記述されている蒸着方法を用いてアスペクト比6:1のトレンチ構造を有するシリコンパターン基板にチタン酸化薄膜を形成し、その結果を
図3に示した。
【0348】
図3に示されているように、100%の非常に高い段差被覆特性を確認することができる。
【0349】
[実験例7]CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Ti(N(CH
3)
2)
2を用いたチタン酸化(TiO
2)薄膜の段差被覆特性の評価
段差被覆特性を確認するために、実施例22に記述されている蒸着方法を用いて60:1ホール構造パターンを有するシリコンパターン基板にチタン酸化薄膜を形成し、その結果を
図3に示した。
【0350】
図3に示されているように、99%以上の非常に高い段差被覆特性を確認することができる。
【0351】
[実験例8]CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Hf(N(CH
3)
2)
2を用いたハフニウム酸化(HfO
2)薄膜の段差被覆特性の評価
段差被覆特性を確認するために、実施例23に記述されている蒸着方法を用いてアスペクト比6:1のトレンチ構造を有するシリコンパターン基板にハフニウム酸化薄膜を形成し、その結果を
図4に示した。
【0352】
図4に示されているように、100%の非常に高い段差被覆特性を確認することができる。
【0353】
[実験例9]CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Hf(N(CH
3)
2)
2を用いたハフニウム酸化(HfO
2)薄膜の段差被覆特性の評価
段差被覆特性を確認するために、実施例23に記述されている蒸着方法を用いて60:1ホール構造パターンを有するシリコンパターン基板にハフニウム酸化薄膜を形成し、その結果を
図4に示した。
【0354】
図4に示されているように、99%以上の非常に高い段差被覆特性を確認することができる。
【0355】
[実験例10]CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Ti(N(CH
3)
2)
2を用いたチタン窒化(TiN)薄膜の段差被覆特性の評価
段差被覆特性を確認するために、実施例24に記述されている蒸着方法を用いてアスペクト比6:1のトレンチ構造を有するシリコンパターン基板にチタン窒化薄膜を形成し、その結果を
図5に示した。
【0356】
図5に示されているように、100%の非常に高い段差被覆特性を確認することができる。
【0357】
[実験例11]ジルコニウム酸化薄膜のソース量による成長率の分析
透過電子顕微鏡で分析された前記実施例20(シリコン基板温度:300℃)で蒸着されたジルコニウム酸化薄膜の厚さによってソース量を変化し、これによる1周期当たりの薄膜の成長率を
図6に図示した。
【0358】
図6に示されているように、実施例3のCH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体は、シリコン基板温度300℃で自己制限的反応(self-limited reaction)が行われることを確認した。
【0359】
[実験例12]ジルコニウム酸化薄膜の線形性(Linearity)
透過電子顕微鏡で分析された前記実施例20(シリコン基板温度300℃)と同じ工程で工程周期のみ変化し、それぞれの工程周期で蒸着されたジルコニウム酸化薄膜の厚さを用いてジルコニウム酸化薄膜の線形性(Linearity)を
図7に図示した。
【0360】
図7に示されているように、実施例3のCH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体は、シリコン基板温度300℃で低い潜伏(incubation)時間を有し、16Åの低い厚さでも良好な結晶質が形成されただけでなく、16Å以上の厚さでも良好な結晶質が形成されることを確認した。
【0361】
[実験例13]ジルコニウム酸化薄膜のシリコン基板の温度による成長率の分析
透過電子顕微鏡で分析された前記実施例20で蒸着されたジルコニウム酸化薄膜の厚さを用いて薄膜のシリコン基板の温度による1周期当たりの薄膜の成長率および比較例1のCpZr(N(CH
3)
2)
3(Cp=cyclopentadienyl)でステンレス鋼バブラー容器の温度を100℃に維持する条件以外は、実施例20と同じ蒸着条件で蒸着されたジルコニウム酸化薄膜の成長率を比較し、
図8に図示した。
【0362】
図8に示されているように、実施例3のCH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体は、シリコン基板温度260℃から320℃までジルコニウム酸化薄膜の1周期当たりの成長率が有意差区間であることを確認することができ、比較例1のCpZr(N(CH
3)
2)
3(Cp=cyclopentadienyl)よりも20℃以上増加したことを確認することができた。
【0363】
[実験例14]チタン酸化薄膜のソース量による成長率の分析
透過電子顕微鏡で分析された前記実施例22(シリコン基板温度280℃)で蒸着されたチタン酸化薄膜の厚さによってソース量が変化し、これによる1周期当たりの薄膜の成長率を
図9に図示した。
【0364】
図9に示されているように、実施例1で製造されたCH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Ti(N(CH
3)
2)
2前駆体は、シリコン基板温度280℃で自己制限的反応(self-limited reaction)が行われることを確認した。
【0365】
[実験例15]チタン酸化薄膜の線形性(Linearity)
透過電子顕微鏡で分析された前記実施例22(シリコン基板温度280℃)と同じ工程で工程周期のみ変化し、それぞれの工程周期で蒸着されたチタン酸化薄膜の厚さを用いてチタン酸化薄膜の線形性(Linearity)を
図10に図示した。
【0366】
図10に示されているように、実施例1で製造されたCH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Ti(N(CH
3)
2)
2前駆体は、シリコン基板温度280℃で低い潜伏(incubation)時間を有し、14Åの低い厚さでも良好な結晶質が形成されただけでなく、14Å以上の厚さでも良好な結晶質が形成されることを確認した。
【0367】
[実験例16]チタン酸化薄膜のシリコン基板の温度による成長率の分析
透過電子顕微鏡で分析された前記実施例22で蒸着されたチタン酸化薄膜の厚さを用いて、シリコン基板の温度による1周期当たりの薄膜の成長率を
図11に図示した。
【0368】
図11に示されているように、実施例1で合成されたCH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Ti(N(CH
3)
2)
2前駆体は、シリコン基板温度240℃で290℃までチタン酸化薄膜の1周期当たりの成長率が有意差区間であることを確認することができた。
【0369】
[実験例17]ハフニウム酸化薄膜のソース量による成長率の分析
透過電子顕微鏡で分析された前記実施例23(シリコン基板温度320℃)で蒸着されたハフニウム酸化薄膜の厚さによってソース量が変化し、これによる1周期当たりの薄膜の成長率を
図12に図示した。
【0370】
図12に示されているように、実施例7で製造されたCH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Hf(N(CH
3)
2)
2前駆体は、シリコン基板温度320℃で自己制限的反応(self-limited reaction)が行われることを確認した。
【0371】
[実験例18]ハフニウム酸化薄膜の線形性(Linearity)
透過電子顕微鏡で分析された前記実施例23(シリコン基板温度320℃)と同じ工程で工程周期のみ変化し、それぞれの工程周期で蒸着されたハフニウム酸化薄膜の厚さを用いてハフニウム酸化薄膜の線形性(Linearity)を
図13に図示した。
【0372】
図13に示されているように、実施例7で製造されたCH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Hf(N(CH
3)
2)
2前駆体は、シリコン基板温度320℃で低い潜伏(incubation)時間を有し、14Åの低い厚さでも良好な結晶質が形成されただけでなく、14Å以上の厚さでも良好な結晶質が形成されることを確認した。
【0373】
[実験例19]ハフニウム酸化薄膜のシリコン基板の温度による成長率の分析
透過電子顕微鏡で分析された前記実施例23で蒸着されたハフニウム酸化薄膜の厚さを用いて、シリコン基板の温度による1周期当たりの薄膜の成長率を
図14に図示した。
【0374】
図14に示されているように、実施例7で合成されたCH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Hf(N(CH
3)
2)
2前駆体は、シリコン基板温度270℃から330℃までハフニウム酸化薄膜の1周期当たりの成長率が有意差区間であることを確認することができた。
【0375】
[実験例20]ハフニウム窒化薄膜の表面選択的成長の比較
ハフニウム窒化薄膜の表面選択的成長比を判断するために、実施例26と実施例27で形成されたハフニウム窒化膜を透過電子顕微鏡で分析し、その結果を
図15に図示した。
図15に図示されているように、実施例27のハフニウム窒化薄膜は、シリコンジオキシド基板上に4Åの厚さで蒸着された一方、実施例26のハフニウム窒化薄膜は、タングステン基板上に26Åの厚さで蒸着され、1(シリコンジオキシド基板):6.5(タングステン基板)の表面選択的成長比を示すことを確認した。
【0376】
すなわち、基板の種類に応じてハフニウム窒化薄膜を形成すると、薄膜の成長率が異なることが分かった。
【0377】
[実験例21]ハフニウム酸化薄膜の表面選択的成長の比較
ハフニウム酸化薄膜の表面選択的成長比を判断するために、実施例28と実施例29で形成されたハフニウム酸化膜を透過電子顕微鏡で分析し、その結果を
図16に図示した。
図16に図示されているように、実施例29のハフニウム酸化薄膜は、シリコンジオキシド基板上に3Åの厚さで蒸着された一方、実施例28のハフニウム酸化薄膜はタングステン基板上に90Åの厚さで蒸着され、1(シリコンジオキシド基板):30(タングステン基板)の表面選択的成長比を示すことを確認した。
【0378】
すなわち、基板の種類に応じてハフニウム酸化薄膜を形成すると、薄膜の成長率が異なることが分かった。
【0379】
[実験例22]ジルコニウム酸化薄膜の結晶性の分析
前記実施例20の基板温度300℃で蒸着されたジルコニウム酸化薄膜の結晶性およびステンレス鋼バブラー容器の温度を100℃に維持する条件以外は、実施例20と同じ蒸着条件で比較例1のCpZr(N(CH
3)
2)
3(Cp=cyclopentadienyl)を蒸着させて得られたジルコニウム酸化薄膜の結晶性を、X線回折分析法により分析し、その結果を
図17に図示した。
【0380】
図17に示されているように、実施例3のCH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体は、シリコン基板温度300℃で比較例1のCpZr(N(CH
3)
2)
3(Cp=cyclopentadienyl)よりも高い結晶性を有することを確認することができた。
【0381】
[実験例23]ジルコニウム酸化薄膜の結晶質の分析
前記実施例20の基板温度300℃で蒸着されたジルコニウム酸化薄膜の結晶質およびステンレス鋼バブラー容器の温度を100℃に維持する条件以外は、実施例20と同じ蒸着条件で比較例1のCpZr(N(CH
3)
2)
3(Cp=cyclopentadienyl)を蒸着させて得られたジルコニウム酸化薄膜の結晶質を透過電子顕微鏡で分析し、その結果を
図18に図示した。
【0382】
図18に示されているように、実施例3のCH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体は、シリコン基板温度300℃で比較例1のCpZr(N(CH
3)
2)
3(Cp=cyclopentadienyl)よりもはっきりとした結晶質を確認することができた。
【0383】
[実験例24]ジルコニウム酸化薄膜の組成の分析
前記実施例20の基板温度300℃で蒸着されたジルコニウム酸化薄膜の組成およびステンレス鋼バブラー容器の温度を100℃に維持する条件以外は、実施例20と同じ蒸着条件で比較例1のCpZr(N(CH
3)
2)
3(Cp=cyclopentadienyl)を蒸着させて得られたジルコニウム酸化薄膜の組成を二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectroscopy)で分析し、その結果を表2に記載および
図19~
図23に図示した。
【0384】
表2および
図19~
図23に示されているように、実施例3のCH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体は、シリコン基板温度300℃で比較例1のCpZr(N(CH
3)
2)
3(Cp=cyclopentadienyl)よりも高純度のジルコニウム酸化膜が形成されたことを確認することができた。
【0385】
【0386】
[実験例25]金属含有薄膜の組成の分析
実施例20~実施例30で蒸着された金属含有薄膜を、X-線光電子分光分析装置(X-ray photoelectron spectroscopy)を用いてその組成を分析した結果を下記表3に記載した。
【0387】
【0388】
前記表3に記載したように、実施例20~23および実施例28~29のジルコニウム、ハフニウムまたはチタンおよび酸素の割合が約1:2であり、炭素不純物なしにジルコニウム酸化膜(ZrO2)、ハフニウム酸化膜(HfO2)またはチタン酸化膜(TiO2)が高い純度で形成されていることを確認することができる。
【0389】
実施例24~27および30の薄膜組成で酸素は組成比の測定中に吸湿による不純物であって、薄膜内の不純物とは無関係である。実施例24~27および30の場合、炭素不純物が少ないか存在しない金属窒化薄膜を製造した。また、実施例25の場合、実施例21のチタン窒化薄膜を真空状態で連続工程で熱処理して得られたチタン窒化薄膜であり、連続工程で熱処理することによって炭素不純物の含有量が著しく減少することを確認した。
【0390】
すなわち、本発明による金属トリアミン化合物は、反応性に優れ、揮発性が高く、熱安定性および凝集力に優れることから、金属含有薄膜の前駆体として非常に有用であるため、熱分解に起因したパーティクル汚染や炭素などの不純物汚染がなく、高純度の金属含有薄膜を形成することができる。
【0391】
[実験例26]金属酸化膜の電気的特性の分析
実施例3のCH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Zr(N(CH3)2)および比較例1のCpZr(N(CH3)2)3を用いて280℃~320℃の領域で実施例20の工程条件と同様にジルコニウム酸化薄膜を蒸着し、蒸着されたジルコニウム酸化薄膜の電気的特性を比較した。
【0392】
電気的特性は、ジルコニウム酸化薄膜上に白金金属膜を形成し、金属-絶縁膜-半導体(MIS)構造を作製して測定された。この際、上部電極として使用される白金金属膜は、半径が約150μmの円形であり、厚さは約40nmに作製された。
【0393】
誘電定数は、10kHzの条件で-5V~5Vの領域でキャパシタンスを測定し、蓄積領域(Accumulation region)のキャパシタンス、ジルコニウム酸化薄膜の厚さおよび白金金属膜の面積を用いて計算され、この誘電定数を用いて等価酸化膜の厚さを得た。
【0394】
また、リーク電流密度は、-4V~4Vの領域で電流値を測定し、±0.7Vでのリーク電流値を取り、リーク電流密度を計算した。
【0395】
図24に図示されているように、前駆体として実施例3の[CH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)]と比較例1の[CpZr(N(CH
3)
2)
3]を用いた場合のリーク電流特性は、類似していたが、実施例3を用いた場合、誘電定数は高く、等価酸化膜の厚さは低いことから、電気的特性が改善したことを確認した。
【0396】
[実験例19]多層構造(ZrO2/Al2O3/ZrO2、ZAZ)の金属酸化膜の電気的特性の分析
原子層蒸着法(Atomic layer deposition)によりシリコン基板にジルコニウム酸化膜/アルミニウム酸化膜/ジルコニウム酸化膜形態の多層構造を形成した。この際、シリコン基板は300℃に維持し、ジルコニウム酸化膜は実施例3で合成されたCH3N(CH2C(CH3)HN(CH3))2Zr(N(CH3)2)2前駆体を使用し、アルミニウム酸化膜はTMA(Trimetyl Aluminium)を使用した。
【0397】
ジルコニウム酸化膜は、実施例20と同じ方法で形成し、アルミニウム酸化膜は、以下のような工程で形成した。第一に、ステンレス鋼容器のTMAは10℃に冷却し、アルゴンガス(50sccm)をキャリアガスとして、シリコン基板に移送されてシリコン基板に吸着されるようにする。第二に、アルゴンガス(4000sccm)を用いて約15秒間アルミニウム前駆体化合物を除去する。第三に、約180g/m3の濃度のオゾンガスを500sccmで10秒間供給し、アルミニウム酸化膜を形成する。最後に、アルゴンガス(4000sccm)を用いて約10秒間反応副産物および残留反応ガスを除去する。上記のような工程を1周期とし、所定の周期を繰り返してアルミニウム酸化膜を形成した。
【0398】
上記のような方法を使用して、上部からジルコニウム酸化膜22Å/アルミニウム酸化膜7Å/ジルコニウム酸化膜44Åの厚さを有する多層構造を形成し、上記のような方法で電気的特性を分析した。
【0399】
多層構造の金属酸化膜(ZrO
2/Al
2O
3/ZrO
2、ZAZ)と、前記実験例26で使用された実施例3のCH
3N(CH
2C(CH
3)HN(CH
3))
2Zr(N(CH
3)
2)
2前駆体を用いて作製されたジルコニウム酸化膜を、実験例26と同じ方法で電気的特性を評価し、その結果を
図25に図示した。
【0400】
図25に図示されているように、多層構造の金属酸化膜(ZrO
2/Al
2O
3/ZrO
2、ZAZ)の場合、単一構造のジルコニウム酸化膜(ZrO
2 Single)よりもリーク電流特性が改善したことを確認することができた。多層構造の金属酸化膜(ZrO
2/Al
2O
3/ZrO
2、ZAZ)の場合、アルミニウム酸化膜の特性が反映されて、単一構造のジルコニウム酸化膜(ZrO
2 Single)に比べ誘電定数は低く、等価酸化膜の厚さは高くなることを確認した。