(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】固体撮像装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 23/55 20230101AFI20230320BHJP
G02B 13/00 20060101ALI20230320BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20230320BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20230320BHJP
G02B 13/24 20060101ALI20230320BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230320BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20230320BHJP
【FI】
H04N23/55
G02B13/00
H04N25/70
G02B3/00 A
G02B13/24
G03B15/00 B
G02B7/02 B
G02B7/02 Z
(21)【出願番号】P 2019018034
(22)【出願日】2019-02-04
【審査請求日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2018114443
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 友彦
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-149515(JP,A)
【文献】特開2006-134911(JP,A)
【文献】特開2003-241057(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0214861(US,A1)
【文献】特開2006-032713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/55
G02B 13/00
H04N 25/70
G02B 3/00
G02B 13/24
G03B 15/00
G02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子面上にマトリックス状に配置された複数の画素を備え、
前記各画素は、
少なくとも1つの固体撮像素子と、
前記固体撮像素子の被写体側に設けられた少なくとも1つの導光部と、
を有し、
前記導光部は、当該導光部の導光方向に沿って前記被写体側から前記固体撮像素子側に向かって、
第1の透明体と、
正の光学的パワーを持つ第1のレンズ群と、
開口部を持つ遮光部と、
正の光学的パワーを持つ第2のレンズ群と、
を順次含む、
固体撮像装置。
【請求項2】
前記導光部は、前記第1のレンズ群と前記第2のレンズ群との間で焦点を結ぶケプラー型光学系であり、
前記遮光部の前記開口部は、前記焦点と重なるように設けられる、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記第1のレンズ群の焦点距離fg
1、前記第2のレンズ群の焦点距離fg
2、及び、前記第1のレンズ群と前記第2のレンズ群との間の距離Lが、下記の条件式(a)を満足する、請求項2に記載の固体撮像装置。
【数1】
【請求項4】
前記撮像素子面の中心に位置する前記画素に入射する上光線と下光線とがなす角度θの範囲は、下記の条件式(b)を満足する、請求項3に記載の固体撮像装置。
【数2】
上記条件式(b)においては、集光方向を負の値とし、発散方向を正の値とする。
【請求項5】
前記第2のレンズ群の焦点距離fg
2が、下記の条件式(c)を満足する、請求項3に記載の固体撮像装置。
【数3】
【請求項6】
前記第1のレンズ群は、前記固体撮像素子側に向かって凸形状を持つ第1のマイクロレンズを含む、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記第1のマイクロレンズの前記固体撮像素子側の面は、前記画素ごとに、前記撮像素子面に対して異なる角度を持つ、請求項6に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記第1のレンズ群は、前記導光部の前記導光方向に沿って前記被写体側から前記固体撮像素子側に向かって、
前記第1のマイクロレンズと、
前記被写体側に向かって凸形状を持つ第2のマイクロレンズと、
を順次含む、
請求項6に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記第1のレンズ群は、
前記第1のマイクロレンズと前記第2のマイクロレンズとの間に設けられた第4の透明体をさらに含む、
請求項8に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記第1の透明体の前記被写体側の面は、前記画素ごとに、前記撮像素子面に対して異なる角度を持つ、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
複数の前記第1の透明体は、一体のレンズである、請求項10に記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記レンズは前記被写体側の面が凹型形状を持つ、請求項11に記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記第1の透明体は、負の光学的パワーを持つレンズである、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記レンズは、両面が凹面である両凹レンズである、請求項13に記載の固体撮像装置。
【請求項15】
前記レンズと第1のレンズ群との間には、空気で満たされた空間が存在する、請求項14に記載の固体撮像装置。
【請求項16】
前記第2のレンズ群は、前記被写体側に向かって凸形状を持つ第3のマイクロレンズを含む、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項17】
前記第2のレンズ群は、前記導光部の前記導光方向に沿って前記被写体側から前記固体撮像素子側に向かって、
前記固体撮像素子側に向かって凸形状を持つ第4のマイクロレンズと、
前記第3のマイクロレンズと、
を順次含む、
請求項16に記載の固体撮像装置。
【請求項18】
前記第2のレンズ群は、
前記第4のマイクロレンズと前記第3のマイクロレンズとを間に設けられた第5の透明体をさらに含む、
請求項17に記載の固体撮像装置。
【請求項19】
撮像素子面上にマトリックス状に配置された複数の画素を有する固体撮像装置を備える電子機器であって、
前記各画素は、
少なくとも1つの固体撮像素子と、
前記固体撮像素子の被写体側に設けられた少なくとも1つの導光部と、
を有し、
前記導光部は、当該導光部の導光方向に沿って前記被写体側から前記固体撮像素子側に向かって、
第1の透明体と、
正の光学的パワーを持つ第1のレンズ群と、
開口部を持つ遮光部と、
正の光学的パワーを持つ第2のレンズ群と、
を順次含む、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像レンズ(対物レンズ)の代わりに、固体撮像素子の単位画素と同レベルの平面サイズを持つ、全長が3mm以下のマイクロレンズを用いる固体撮像装置としては、例えば、下記特許文献1及び2に開示された装置を挙げることができる。ところで、上述のような固体撮像装置においては、1つの撮像素子平面に複数の固体撮像素子がマトリックス状に近接して配置されている。当該固体撮像装置は、上述の複数の固体撮像素子のそれぞれが取得した撮像情報を1つに合成することにより被写体の像を得ることができる。従って、当該固体撮像装置においては、各固体撮像素子が互いに重複することなく、所定の範囲からの入射光を検出し、検出した入射光に係る撮像情報を得ることが求められることから、各固体撮像素子を含む各画素は、互いに重複しない狭い画角を持つことが好ましい。
【0003】
そこで、上述のような重複を避けるため、下記特許文献1においては、マイクロレンズと固体撮像素子との間に2つのピンホールを設けており、また、下記特許文献2においては、1つのピンホールを設けている。下記特許文献1及び2においては、上記ピンホールにより各固体撮像素子が検出することができる入射光の範囲を制限することにより、各画素の画角が互いに重複することを避けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5488928号公報
【文献】特表2007-520743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示の固体撮像装置においては、ピンホールによって、各固体撮像素子が検出することができる入射光の範囲を制限していることから、入射光の利用効率が低いといえる。
【0006】
そこで、本開示では、近接する画素の画角の重複を避けつつ、入射光の利用効率を高めることが可能な、新規且つ改良された固体撮像装置及び電子機器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、撮像素子面上にマトリックス状に配置された複数の画素を備え、前記各画素は、少なくとも1つの固体撮像素子と、前記固体撮像素子の被写体側に設けられた少なくとも1つの導光部とを有し、前記導光部は、当該導光部の導光方向に沿って前記被写体側から前記固体撮像素子側に向かって、第1の透明体と、正の光学的パワーを持つ第1のレンズ群と、開口部を持つ遮光部と、正の光学的パワーを持つ第2のレンズ群と、を順次含む、固体撮像装置が提供される。
【0008】
さらに、本開示によれば、撮像素子面上にマトリックス状に配置された複数の画素を有する固体撮像装置を備える電子機器であって、前記各画素は、少なくとも1つの固体撮像素子と、前記固体撮像素子の被写体側に設けられた少なくとも1つの導光部とを有し、前記導光部は、当該導光部の導光方向に沿って前記被写体側から前記固体撮像素子側に向かって、第1の透明体と、正の光学的パワーを持つ第1のレンズ群と、開口部を持つ遮光部と、正の光学的パワーを持つ第2のレンズ群とを順次含む、電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本開示によれば、近接する画素の画角の重複を避けつつ、入射光の利用効率を高めることができる。
【0010】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る画素10の模式図である。
【
図2】
図1に示される導光部200における入射光の進行を図示した模式図である。
【
図3】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置1の断面の模式図である。
【
図4】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置1の平面の模式図である。
【
図5】本開示の第2の実施形態に係る固体撮像装置1aの断面の模式図である。
【
図6】本開示の第3の実施形態に係る固体撮像装置1bの断面の模式図である。
【
図7A】本開示の第4の実施形態に係る固体撮像装置1cの断面の模式図である。
【
図8】本開示の第5の実施形態に係る指紋認証装置700の模式図である。
【
図9】本開示の第5の実施形態に係る顔認証装置710の模式図である。
【
図10】本開示の第5の実施形態に係る固体撮像装置1の使用方法を説明するための説明図である。
【
図12A】本開示の第6及び
図7の実施形態に係る固体撮像装置1dの断面の模式図である。
【
図13】本開示の第8の実施形態に係る画素10cの模式図である。
【
図14】本開示の第8の実施形態に係る指紋認証装置700aの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一又は類似の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合がある。ただし、実質的に同一又は類似の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。また、異なる実施形態の類似する構成要素については、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合がある。ただし、類似する構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0014】
また、以下の説明で参照される図面は、本開示の一実施形態の説明とその理解を促すための図面であり、わかりやすくするために、図中に示される形状や寸法、比などは実際と異なる場合がある。さらに、図中に示される各要素は、以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
【0015】
なお、以下の説明において、レンズについて用いられる「正のパワー」及び「負のパワー」とは、レンズによって光線を曲げる強さのことを意味し、例えば、レンズの屈折率や曲率を調整することにより、上記パワーは変化する。また、以下の説明において、レンズのパワーのうち「正のパワー」とは、光を集光する方向(レンズの内側)に曲げる強さを意味し、一方、「負のパワー」とは、光を発散する方向(レンズの外側)に曲げる強さを意味する。
【0016】
また、以下の説明において、主光線とは、光学系(後述する画素10)の中心を通過する入射光を意味する。さらに、上光線とは、上記光学系の中心軸よりも上側に位置する縁を通過し、固体撮像素子で結像する入射光を意味し、下光線とは、上記光学系の中心軸よりも下側に位置する縁を通過し、固体撮像素子で結像する入射光を意味する。
【0017】
また、以下の説明において、「画角」とは、各画素10が検出する画像の範囲(角度)のことを意味する。
【0018】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本発明者が本開示に係る実施形態を創作するに至った背景
2.第1の実施形態
3.第2の実施形態
4.第3の実施形態
5.第4の実施形態
6.第5の実施形態
7.第6の実施形態
8.第7の実施形態
9.第8の実施形態
10.まとめ
11.補足
【0019】
<<1. 本発明者が本開示に係る実施形態を創作するに至った背景>>
次に、本開示に係る各実施形態の詳細を説明する前に、本発明者が本開示に係る実施形態を創作するに至った背景について、
図11を参照して説明する。なお、
図11は、比較例に係る画素20の模式図である。ここで、比較例とは、本発明者が本開示の実施形態をなす前に、検討を重ねていた固体撮像装置の構成のことを意味し、詳細には、ケプラー型光学系でない構成のことを意味する。
【0020】
先に説明したように、撮像レンズ(対物レンズ)の代わりに、固体撮像素子の単位画素と同レベルの平面サイズを持つマイクロレンズを用いる固体撮像装置としては、例えば、上記特許文献1及び2に開示された装置を挙げることができる。ところで、上述のような固体撮像装置においては、1つの撮像素子平面に複数の固体撮像素子がマトリックス状に近接して配置されている。当該固体撮像装置は、上述の複数の固体撮像素子のそれぞれが取得した撮像情報を1つに合成することにより被写体の像を得ることができる。従って、当該固体撮像装置においては、各固体撮像素子が互いに重複することなく、被写体側からの狭い所定の範囲からの入射光を検出し、検出した入射光に係る撮像情報を得ることが求められることから、各固体撮像素子を含む各画素は、互いに重複しない狭い画角を持つように構成される。
【0021】
詳細には、比較例に係る固体撮像装置は、
図11の示すような、互いに近接する複数の画素20を有するものとする。各画素20は、固体撮像素子300a、300bと、被写体側からの光を各固体撮像素子300a、300bに導く導光部202とを有するものとする。なお、
図11においては、左側が被写体側となる。
【0022】
図11においては、固体撮像素子300aは、実線で示される入射光600a(主光線と、主光線を挟む上光線及び下光線との3つの線で示されている)だけでなく、2点破線で示される入射光600b(主光線と、主光線を挟む上光線及び下光線との3つの線で示されている)も検出している。なお、入射光600bは、入射光600aの主光線に対して5度程度傾いた主光線を持つものと仮定している。
【0023】
このような場合、具体的には、入射光600aは、固体撮像素子300aの導光部202からはみ出すことなく、固体撮像素子300aへ到達する。一方、入射光600bについては、その下光線が近接する固体撮像素子300bの導光部202を通過し、固体撮像素子300aへ到達する。この入射光600bの下光線は、本来、近接する固体撮像素子300bで検出すべき入射光である。このように本来近接した固体撮像素子300bが検出すべき入射光を、固体撮像素子300aが検出してしまった場合、固体撮像素子300a、300bが検出した入射光の撮像情報は、その一部が重複する。その結果、このような場合、固体撮像素子300a、300bのそれぞれが取得した撮像情報を1つに合成しても、被写体の実像とは異なる誤った像を得てしまうこととなる。従って、このようなことを避けるために、固体撮像素子300aに入射する入射光600bの下光線を遮光し、各固体撮像素子300a、300bに係る画素20が重複することのない所定の画角を持つように調整することが求められる。
【0024】
そこで、上記特許文献1及び2に開示された固体撮像装置においては、ピンホールを用いることで多方向から各固体撮像素子に入射する入射光を制限し、各画素が重複することのない所定の画角を持つように調整している。しかしながら、上記特許文献1及び2に開示の固体撮像装置においては、ピンホールによって、各固体撮像素子が検出することができる入射光の範囲を制限していることから、入射光の利用効率が低い。
【0025】
そこで、このような状況を鑑みて、本発明者は、近接する画素の画角の重複を避けつつ、入射光の利用効率を高めることができないかと鋭意検討を行った。そして、このような検討の中で、本発明者は、固体撮像素子へと光を導く導光部において、固体撮像素子で結像する前に、一度結像するケプラー型光学系を利用することを独自に着想した。
【0026】
詳細には、ケプラー型光学系ではない比較例においては、本発明者の検討によれば、
図11に示すように、入射光600aと入射光600bとは、固体撮像素子300aの撮像素子面502において結像する。固体撮像素子300aに入射する入射光600bの下光線を、ピンホール等を用いて遮光しようとする場合には、入射光600aと入射光600bとの重なりが少ない上記結像の箇所で遮光を行うことが好ましい。しかしながら、
図11からわかるように、入射光600a及び入射光600bの結ぶ結像の位置は非常に近接していることから、撮像素子面502の近傍においても入射光600aと入射光600bとが互いに重なっている。従って、撮像素子面502において入射光600bの下光線を遮光しようとする場合には、本来固体撮像素子300aで検出すべき入射光600aの少なくとも一部を遮光してしまう恐れがある。
【0027】
一方、本発明者の検討によれば、ケプラー型光学系を利用して固体撮像素子300で結像する前に、手前で一度結像させるようにした場合には、詳細は後述するが(
図2 矢印参照)、手前での入射光600a、600bの結像の位置は、上述の比較例よりも離すことが可能であることが分かった。このような独自の知見を踏まえて、本発明者は、手前で結像する箇所に遮光部240(
図1 参照)を設けることにより、本来固体撮像素子300aで検出すべき入射光600aを遮光することなく、入射光600bの下光線を遮光できることを独自に着想した。
【0028】
すなわち、本発明者は、上述の独自の着想に基づき、ケプラー型光学系を利用することにより、近接する画素20の画角の重複を避けつつ、本来固体撮像素子300aで検出すべき入射光600aを遮光することないことから、入射光600aの利用効率を高めることができる固体撮像装置を想到したのである。言い換えると、本発明者は、撮像レンズ(対物レンズ)を用いず、固体撮像素子の単位画素と同レベルの平面サイズを持つ、全長が3mm以下のマイクロレンズを用いる固体撮像装置であって、近接する画素の画角の重複を避けつつ、入射光の利用効率を高めることができる固体撮像装置に係る実施形態を創作するに至った。以下に、本開示に係る実施形態の詳細について順次説明する。
【0029】
<<2. 第1の実施形態>>
まずは、本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置1を
図1から
図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る画素10の模式図であり、
図2は、
図1に示される導光部200における入射光の進行を図示した模式図である。また、
図3は、本実施形態に係る固体撮像装置1の断面の模式図であり、
図4は、本実施形態に係る固体撮像装置1の平面の模式図である。なお、
図1から
図3においては、図中左側が被写体側となる。
【0030】
詳細には、固体撮像装置1は、被写体側からの可視光を検出して、被写体を撮像する装置である。当該固体撮像装置1の撮像素子面(像面)には、二次元格子状(マトリックス状)に複数の単位セルが配置されている。当該単位セルは、固体撮像装置1を構成する単位であり、以下の説明においては、画素10と呼び、撮像画像データにおける画素データをそれぞれ生成する。また、各画素10は、
図1に示すように、少なくとも1つの固体撮像素子300と、固体撮像素子300の被写体側に設けられた少なくとも1つの導光部200とを有する。
【0031】
固体撮像素子300は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal‐Oxide‐Semiconductor)イメージセンサであり、受光した光を光電変換してアナログの電気信号を生成するものである。生成した電気信号は、処理回路等を用いて、撮像画像データにおけるデジタルの画素データに変換される。
【0032】
また、固体撮像素子300の被写体側に設けられた導光部200は、光を固体撮像素子300へ導くことができる。なお、以下の説明においては、導光部200の導光方向とは、
図1中の左から右へ向かう方向、すなわち、導光部200が入射光を固体撮像素子300へ導く方向であるものとする。また、以下の説明において「長さ」とは、特段のことわりが無い限りには、導光方向に沿った長さであるものとする。
【0033】
詳細には、導光部200は、
図1に示すように、被写体側から固体撮像素子300側に向かって、透明体(第1の透明体)210と、正の光学的パワーを持つレンズ群(第1のレンズ群)220と、遮光部240と、正の光学的パワーを持つレンズ群(第2のレンズ群)250とを含む。本実施形態においては、導光部200は、レンズ群220とレンズ群250との間で、一度焦点を結ぶケプラー型光学系をなす(
図2 参照)。従って、レンズ群220とレンズ群250との間の距離Lは、レンズ群220の焦点距離fg
1及びレンズ群250の焦点距離fg
2の和よりも大きいことが求められる。
【0034】
さらに、被写体側の透明体210が負のパワーを持つことも想定される。そのような場合、レンズ群220による像は、焦点距離fg1よりも短い距離の位置に結ばれることとなる。加えて、レンズ群250の焦点距離fg2は、画素10の平面サイズによる制限を受けるが、レンズ群220の焦点距離fg1は、このような制限を受けることがないことから、長いことも想定される。そこで、本実施形態においては、上述のことを踏まえた上で、レンズ群220とレンズ群250との間で一度焦点を結ぶケプラー型光学系をなすように、レンズ群220の焦点距離fg1、レンズ群250の焦点距離fg2、及び、レンズ群220とレンズ群250との距離Lが、下記の条件式(a)を満足することが好ましい。
【0035】
【0036】
そして、本実施形態においては、
図1に示すように、レンズ群220とレンズ群250との間に位置する焦点と重なる開口部240aを有する、光を遮光する遮光部240が設けられている。
【0037】
また、本実施形態に係る固体撮像装置1においては、撮像素子面(像面)の中心に位置する画素10に入射する入射光の角度の範囲が以下の条件式(b)を満たすように導光部200を構成することが好ましい。詳細には、本実施形態に係る固体撮像装置1においては、撮像素子面の中心に位置する画素10に入射する上光線と下光線とがなす角度θの範囲は、下記の条件式(b)を満足することが好ましい。なお、条件式(b)においては、集光方向を負の値とし、発散方向を正の値としている。
【0038】
【0039】
より具体的には、先に説明したように、固体撮像装置1においては、各画素10は、近接する画素10と重複することのない所定の画角を持つように調整することが求められる。そして、上述のような重複を避けるためには、上光線と下光線とがなす角度θは、例えば、10°以下であることが好ましい。
【0040】
また、被写体を固体撮像装置1に近接させて使用する場合も想定される。非常に被写体を近接させた場合、上光線と下光線とがなす角度θは、集光方向、すなわち負の値となる。さらに、被写体を固体撮像装置1に近接させて使用する場合、導光部200を保護するために、カバーガラス400(
図3 参照)や保護膜を設けることが想定される。従って、被写体から導光部200までの距離よりも、導光部200の長さが短くなる可能性がある。加えて、パワーが強いマイクロレンズを製造することは難しい。そこで、本実施形態においては、上述のことを踏まえた上で、カバーガラス400等を形成するガラスの光学特性を考慮すると、上光線と下光線とがなす角度θは、例えば、-10°以上であることが好ましい。
【0041】
さらに、本実施形態においては、撮像素子面の中心に位置する画素10に入射する上光線と下光線とがなす角度θの範囲は、-2°≦θ≦2°であることがより好ましい。
【0042】
さらに、本実施形態においては、レンズ群250の焦点距離fg2が、下記の条件式(c)を満足することが好ましい。
【0043】
【0044】
具体的には、本実施形態に係る固体撮像装置1においては、複数の画素10は、数mm以下、0.6μm程度以上のサイズであると想定される。従って、このような画素10のサイズによる制限を受けることから、レンズ群250の焦点距離fg2は、0.0005mmよりも大きくなることと想定される。また、本実施形態に係る固体撮像装置1においては、導光部200の長さは、当該導光部200が画素10に含まれることを考慮すると、3mm以下となると想定される。従って、本実施形態においては、レンズ群250の焦点距離fg2は、3mm未満であることが求められる。
【0045】
さらに、本実施形態においては、レンズ群250の焦点距離fg2は、1mm>fg2>0.0003mmであることがより好ましい。
【0046】
次に、このような本実施形態に係る導光部200の作用、すなわち、導光部200における光の進み方を、
図2を参照して説明する。なお、
図2においては、わかりやすくするために遮光部240の図示を省略している。
【0047】
図2には、2つの入射光600a、600bが図示されている。詳細には、入射光600aとして、固体撮像素子300の撮像素子面に垂直な主光線とともに、当該主光線を中心とした上光線と下光線とが図示されている。また、入射光600bとして、入射光600aの主光線に対して5度程度傾いた主光線とともに、当該主光線を中心とした上光線と下光線とが図示されている。なお、入射光600bの下光線は、導光部200からはみ出ていることから、隣接する固体撮像素子300で検出されるべきであり、言い換えると、遮光すべき入射光であるものとする。
【0048】
図2に示すように、本実施形態においては、レンズ群220とレンズ群250との間で一度焦点を結ぶケプラー型光学系であることから、入射光600aと入射光600bとは結像位置500において、結像する。本発明者の検討によれば、結像位置500において、入射光600aの結像と入射光600bの結像とは、2.3μm程度離すことができる。一方、
図2に示すように、再度結像する撮像素子面502では、入射光600aの結像と入射光600bの結像とは、0.6μm程度しか離れていない。
【0049】
詳細には、撮像素子面502においては、入射光600aの結像と入射光600bの結像とは非常に近接しており、入射光600aと入射光600bとが互いに重なっている。従って、撮像素子面502において入射光600bを遮光しようとした場合、本来固体撮像素子300で検出すべき入射光600aの少なくとも一部を遮光してしまう恐れがあり、このような場合、入射光600aの利用効率を低下させることとなる。また、被写体側(画素10の左側)で入射光600bを遮光することも考えられるが、被写体側においても、入射光600aと入射光600bとが互いに重なっていることから、入射光600aの少なくとも一部を遮光してしまう恐れがある。
【0050】
一方、本実施形態においては、結像位置500においては、入射光600aの結像と入射光600bの結像とは十分に離れている。従って、結像位置500に、遮光部240を設けることにより、本来固体撮像素子300で検出すべき入射光600aを遮光することなく、入射光600bを遮光することができる。すなわち、本実施形態によれば、撮像レンズを用いず、固体撮像素子の単位画素と同レベルの平面サイズを持つマイクロレンズを用いる固体撮像装置1において、近接する画素10の画角の重複を避けつつ、入射光600aの利用効率を高めることができる。
【0051】
より具体的には、
図1に示すように、導光部200は、透明体210を有する。当該透明体210は、例えば、d線屈折率1.55の長さ50μmの透明体である。
【0052】
レンズ群220は、
図1に示すように、固体撮像素子300側に向かって凸形状を持つマイクロレンズ(第1のマイクロレンズ)222と、被写体側に向かって凸形状を持つマイクロレンズ(第2のマイクロレンズ)226と、マイクロレンズ222とマイクロレンズ226とを間に設けられた透明体(第4の透明体)224とを含む。より具体的には、マイクロレンズ222は、例えば、d線屈折率1.9の5μm厚のレンズ材であり、レンズの曲率が-15μmである。マイクロレンズ226は、例えば、d線屈折率1.9の1μm厚のレンズ材であり、レンズの曲率が15μmである。また、透明体224は、例えば、d線屈折率1.48の3μm厚の透明体である。なお、マイクロレンズ222、226は、回折素子等で実現してもよい。
【0053】
また、導光部200は、レンズ群220とレンズ群250との間に、透明体(第2の透明体)230を含む。具体的には、透明体230は、例えば、d線屈折率1.55の長さ70μmの透明体である。また、透明体230には、上述の遮光部240が設けられている。当該遮光部240は、先に説明したように中央に開口部240aを持つ開口遮光体である。
【0054】
さらに、レンズ群250は、
図1に示すように、固体撮像素子300側に向かって凸形状を持つマイクロレンズ(第4のマイクロレンズ)252と、被写体側に向かって凸形状を持つマイクロレンズ(第3のマイクロレンズ)256と、マイクロレンズ252とマイクロレンズ256とを間に設けられた透明体(第5の透明体)254とを含む。より具体的には、マイクロレンズ252は、例えば、d線屈折率1.9の1μm厚のレンズ材であり、レンズの曲率が-7μmである。マイクロレンズ256は、例えば、d線屈折率1.9の1μm厚のレンズ材であり、レンズの曲率が7μmである。また、透明体254は、例えば、d線屈折率1.48の2μm厚の透明体である。なお、マイクロレンズ252、256は、回折素子等で実現してもよい。
【0055】
さらに、導光部200は、レンズ群250と固体撮像素子300との間に、透明体(第3の透明体)260をさらに有する。具体的には、透明体260は、例えば、d線屈折率1.55の長さ17μmの透明体である。
【0056】
なお、上述したレンズ材及び透明体は、SiO2、SiN、ガラス等により形成することができる。
【0057】
すなわち、本実施形態においては、導光部200は、被写体側の透明体210から固体撮像素子300に至るまで、空気以外の透明な媒質で埋められていることが好ましい。
【0058】
このような画素10を複数並べて構成した固体撮像装置1の詳細を
図3及び
図4を参照して説明する。
図3に示すように、複数の画素10が並べられ、複数の画素10の被写体側の上には、カバーガラス400が設けられている。言い換えると、カバーガラス400は、複数の画素10に共通して、透明体210の被写体側の面上に設けられる。また、当該カバーガラス400は、例えば、d線屈折率1.55で45μm厚のガラス材からなる。
【0059】
また、
図3においては、上述した透明体210は、2つの透明体210b、210cからなる。詳細には、透明体210bは、例えば、d線屈折率1.55で5μm厚の透明体であり、透明体210cは、d線屈折率1.9で5μmの主光線を屈折させる役割を持つ透明体である。なお、導光部200の他の要素については、上述した
図1の導光部200と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0060】
図3においては、例えば縦方向に13個の画素10が並べられ、各画素10においては、画角の中心を通過する光軸が、撮像素子面502の中心に位置する画素10の画角の中心を通過する光軸(当該光軸は、撮像素子面に垂直)に対して、図中上から順に、-31.3°、-25.1°、-19.8°、-14.8°、-9.9°、-4.6°、0°、4.9°、9.9°、14.8°、19.8°、25.1°、31.3°傾くようになっている。本実施形態においては、上述のように傾けることで、複数の画素10の全体で所望の画角を有する固体撮像装置1を構成することができる。なお、例えば、複数の固体撮像素子300が並べられた撮像素子面502の1辺の長さは、約152.2μmとなる。
【0061】
そこで、本実施形態においては、
図3に示すように、主光線を屈折させる役割の透明体210cの表面が、図中上から順に、-41°、-41°、-41°、-34.5°、-25.5°、-12.75°、0°、12.75°、25.5°、34.5°、41、41°、41°傾けられるように、各透明体210cが設けられることが好ましい。さらに、本実施形態においては、
図3中一番上の画素10のレンズ群220のマイクロレンズ222により、4.8μm上方に入射光を偏心させ、
図3中上から2番目の画素10のレンズ群220のマイクロレンズ222により2.4μm上方に入射光を偏心させる。
図3中下から2番目の画素10のレンズ群220のマイクロレンズ222により2.4μm下方に入射光を偏心させ、
図3中一番下の画素10のレンズ群220のマイクロレンズ222により4.8μm下方に入射光を偏心させる。その結果、本実施形態によれば、複数の画素10の全体で、所望の画角を有する固体撮像装置1を構成することができる。すなわち、本実施形態に係る固体撮像装置1は、撮像レンズ(対物レンズ)を有していなくても、所定の画角を有する撮像装置(カメラ)として機能することができる。
【0062】
すなわち、本実施形態においては、各透明体210cは、当該透明体210cの被写体側の面が、画素10ごとに、撮像素子面502に対して異なる角度を持つように設けられる。また、本実施形態においては、本実施形態においては、各マイクロレンズ222は、当該マイクロレンズ222の固体撮像素子300側の面が、画素10ごとに、撮像素子面502に対して異なる角度を持つように設けられる。具体的には、本実施形態においては、画素10の位置毎に、透明体210cの被写体側の面及びマイクロレンズ222の固体撮像素子300側の面を順次傾けて入射光を屈折させる。そして、入射光が異なる傾きの面で屈折することにより、画素10毎に主光線の角度が互いに異なるようになり、複数の画素10の全体で所望の画角を有する固体撮像装置1を構成することができる。なお、本実施形態においては、1つの画素10毎にではなく、所定の数の画素10毎に、当該透明体210c及びマイクロレンズ222の面が、撮像素子面502に対して異なる角度を持つように設けられてもよい。また、本実施形態においては、面の角度によって入射光を屈折させるのではなく、例えば、透明体210b、210cの屈折率の違いを利用して、屈折させてもよい。
【0063】
本実施形態においては、先に説明したように、入射光は、レンズ群220とレンズ群250との間で一度結像し、再度、固体撮像素子300の撮像素子面502で結像する。また、1つの画素10は、当該画素10の有する固体撮像素子300の撮像素子面502に垂直な光軸を、少なくとも、レンズ群250の固体撮像素子300側の面から固体撮像素子300までの間において有している。
【0064】
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る固体撮像装置1の平面構成を説明する。
図4においては、小さな矩形が個々の画素10を示し、矢印504が、画角の中心を通過する光軸の方向を示している。
図4においては、縦方向及び横方向に沿って13個ずつの画素10が並ぶ固体撮像装置1が示されているが、本実施形態においては、画素10の数や配置については、
図4に示される形態に限定されるものではなく、適宜選択することができる。
【0065】
なお、上述の説明においては、画素10は、1つの固体撮像素子300と1つの導光部200とを有するものして説明したが、本実施形態においては、これに限定されるものではなく、画素10は、複数の固体撮像素子300と導光部200とを有していてもよい。この場合、1つの画素10内の複数の固体撮像素子300は、共通する主光線を持つこととなる。
【0066】
以上のように、本実施形態によれば、撮像レンズ(対物レンズ)の代わりに、固体撮像素子の単位画素と同レベルの平面サイズを持つマイクロレンズを用いる固体撮像装置1において、近接する画素10の画角の重複を避けつつ、入射光の利用効率をより高めることができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、撮像レンズ(対物レンズ)を用いないことから、一般的な撮像レンズを使用することが難しい、赤外光を検出する固体撮像装置を安価に製造することが可能となる。さらに、本実施形態によれば、撮像レンズを用いないことから、色収差がない固体撮像装置1を提供することができる。例えば、本実施形態を赤外光と可視光とを同時に検出する固体撮像装置1に適用した場合、赤外光と可視光とにフォーカス差が生じることを抑えることができる。
【0068】
また、上述した本実施形態に係る固体撮像装置1は、撮像レンズを有していないことから、半導体製造工程によって製造することが可能である。その結果、本実施形態によれば、製造コストの増加を抑えることができる。
【0069】
<<3. 第2の実施形態>>
次に、本開示の第2の実施形態に係る固体撮像装置1aを、
図5を参照して説明する。
図5は、本実施形態に係る固体撮像装置1aの断面の模式図である。
【0070】
上述した第1の実施形態においては、レンズ群220、250とともに、それぞれ2つのマイクロレンズ222、226、252、256が含まれていた。一方、本実施形態においては、
図5に示すように、第1の実施形態に係るレンズ群220、250の代わりに、それぞれ1つのマイクロレンズ222a、256aが含まれている。詳細には、マイクロレンズ222aは、第1の実施形態に係るレンズ群220のマイクロレンズ222に相当し、マイクロレンズ256aは、第1の実施形態に係るレンズ群250のマイクロレンズ256に相当する。第2の実施形態においては、上述以外の点では、第1の実施形態と共通し、導光部200aは、第1の実施形態と同様に、マイクロレンズ222aとマイクロレンズ256aとの間で焦点を結ぶケプラー型光学系となる。なお、本実施形態における導光部200aの作用は、第1の実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、マイクロレンズ222a、256aは、第1の実施形態と同様に、回折素子等で実現してもよい。
【0071】
<<4. 第3の実施形態>>
次に、本開示の第3の実施形態に係る固体撮像装置1bを、
図6を参照して説明する。
図6は、本実施形態に係る固体撮像装置1bの断面の模式図である。
【0072】
上述した第1の実施形態においては、カバーガラス400を用いて導光部200を保護するようにしていた。一方、本実施形態においては、
図6に示すように、カバーガラス400が設けられていなくてもよく、空気から直接導光部200へ入射光が入射し、透明体210等によって入射光を屈折させてもよい。第3の実施形態においては、上述以外の点では、第1の実施形態と共通し、導光部200は、第1の実施形態と同様に、レンズ群220とレンズ群250との間で焦点を結ぶケプラー型光学系となる。なお、本実施形態における導光部200の作用は、第1の実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0073】
<<5. 第4の実施形態>>
さらに、本開示の第4の実施形態に係る固体撮像装置1cを、
図7Aから
図7Cを参照して説明する。
図7Aは、本実施形態に係る固体撮像装置1cの断面の模式図である。また、
図7Bは、
図7Aの領域aの拡大図であり、
図7Cは、
図7Bの領域bの拡大図である。
【0074】
上述した第3の実施形態においては、固体撮像装置1bは、空気から直接入射した主光線を屈折させる役割の複数の透明体210を持っていた。一方、本実施形態においては、固体撮像装置1cは、複数の透明体210を一体とした、連続した凹面を持つ1つのレンズを持つ。
【0075】
図7Aに示すように、本実施形態においては、複数の画素10cに共通する透明体210aとして、凹面(凹型形状)を持つレンズが設けられている。詳細には、
図7Aの領域aの拡大図である
図7Bに示すように、複数の画素10bが並べられており、複数の画素10bに共通する透明体210aは、各画素10bの主光線を順次屈折させるように被写体側に凹面を有する。本実施形態においては、当該透明体210aは、曲率半径4.1mmの透明体であり、例えば、固体撮像装置1cは、縦横2.4mm×3.2mmの範囲内の最大半径2mmの平面に、400個×533個並べられた固体撮像素子300を有する。さらに、各画素10bは、
図7Bの領域bの拡大図である
図7Cに示すように、導光部200bを有する。第4の実施形態においては、上述以外の点では、第1の実施形態と共通し、導光部200bは、第1の実施形態と同様に、レンズ群220とレンズ群250との間で焦点を結ぶケプラー型光学系となる。なお、本実施形態における導光部200bの作用は、第1の実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。本実施形態によれば、このような構成により、例えば、最大全画角40°を持つ21.3万画素の固体撮像装置1cを形成することができる。
【0076】
<<6. 第5の実施形態>>
上述した本開示の各実施形態に係る固体撮像装置1は、指紋認証装置700、顔/虹彩認証装置710、研究用観察装置等の電子機器に適用されることができる。そこで、
図8から
図10を参照して、本実施形態に係る固体撮像装置1の適用例について説明する。
図8は、本実施形態に係る指紋認証装置700の模式図であり、
図9は、本実施形態に係る顔認証装置710の模式図である。さらに、
図10は、本実施形態に係る固体撮像装置1の使用方法を説明するための説明図であって、詳細には、固体撮像装置1を研究用観察装置に適用した場合を説明する説明図である。
【0077】
まず、
図8を参照して、本実施形態に係る指紋認証装置700を説明する。当該指紋認証装置700は、指紋認証を行う装置であり、指紋を検出する指紋センサ部として、本実施形態に係る固体撮像装置1を含む。さらに、指紋認証装置700は、処理部702や表示部704を含む。処理部702は、固体撮像装置1によって検出された指紋に対して認証を行う装置であり、例えば、パーソナルコンピュータによって実現される。また、表示部704は、固体撮像装置1によって検出された指紋や認証結果を表示する装置であり、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置等により実現される。
【0078】
詳細には、固体撮像装置1は、処理部702からの制御に従って、手指900の指紋を撮像し、画像データを、信号線を介して処理部702へ送信する。そして、処理部702は、受信した画像データと、予め処理部702に登録された、指紋の画像である登録情報とを比較して、認証の成否を判定する。そして、処理部702は、認証結果や撮像した指紋の画像を表示部704に出力する。
【0079】
なお、上記指紋認証装置700は、指紋の認証だけでなく、ユーザの静脈を認証する装置であることもできる。
【0080】
次に、
図9を参照して、本実施形態に係る顔認証装置710を説明する。当該顔認証装置710は、顔認証を行う装置であり、顔を撮像する撮像部として、本実施形態に係る固体撮像装置1を含む。さらに、顔認証装置710は、上述の指紋認証装置700と同様に、処理部702や表示部704を含む。処理部702は、固体撮像装置1によって撮像された顔画像に対して認証を行う装置であり、例えば、パーソナルコンピュータによって実現される。また、表示部704は、固体撮像装置1によって撮像された顔画像や認証結果を表示する装置であり、例えば、CRTディスプレイ装置等により実現される。なお、顔認証装置710の動作は、上述した指紋認証装置700とほぼ同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、上記顔認証装置700は、顔の認証だけでなく、虹彩を認証する装置であることもできる。
【0081】
なお、本実施形態に係る固体撮像装置1は、手指900の指紋等のような、固体撮像装置1に近接する被写体を撮像することが可能である。従って、本実施形態によれば、例えば、指紋認証/虹彩認証/静脈認証と顔認証とを同時に行う認証装置の固体撮像装置1を提供することが可能となる。
【0082】
さらに、
図10を参照して、固体撮像装置1を細胞等の試料904の研究用観察装置に適用した場合を説明する。詳細には、本実施形態に係る固体撮像装置1は、カバーガラス402に搭載した細胞等の試料904を近接した位置から観察する装置に適用することができる。
図10に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置1は、試料904を搭載するカバーガラス402と接するように配置することができる。このように配置された固体撮像装置1は、対物レンズを有しない顕微鏡のように機能することができ、簡単な構成ながら、試料904を詳細に観察することができる。言い換えると、例えば、上記固体撮像装置1は、細胞やウイルス等を判別、選別、分離するためのレンズレス顕微鏡等の研究用又は医療用観察装置として機能することができる。なお、当該カバーガラス402は、ガラス材に限定されるものではなく、透明な部材であれば、PET(Poly-Ethylene Terephthalate)樹脂等であってもよい。
【0083】
また、本実施形態においては、カバーガラス400の前後や、各種のマイクロレンズの間、近傍等に、バンドパスフィルタ等の光学部材が設けられていてもよい。
【0084】
なお、本実施形態に係る固体撮像装置1は、上述の指紋認証装置700、顔認証装置710、研究用観察装置に適用されることに限定されるものではない。例えば、本実施形態に係る固体撮像装置1は、静脈認証を行うための静脈認証装置、虹彩認証を行うための虹彩認証装置や、細胞やウイルス等を判別、分離するためのレンズレス顕微鏡等の研究用又は医療用観察装置、半導体装置やガラスの検査に用いる各種の検査装置、接触型複写機等の様々な電子機器に適用されることができる。
【0085】
<<7.第6の実施形態>>
次に、本開示の第6の実施形態に係る固体撮像装置1dを、
図1、及び、
図12A、
図12Bを参照して説明する。
図12Aは、本実施形態に係る固体撮像装置1dの断面の模式図である。また、
図12Bは、
図12Aの領域cの拡大図である。本実施形態においては、上述した第1の実施形態と異なり、カバーガラス400の代わりに、両凹レンズ404(両面が凹面であるレンズ)が用いられる。さらに、本実施形態においては、両凹レンズ404から空間(空気で満たされた空間)を隔てて、画素10bが配置される。また、本実施形態においては、画素10bは、
図1で示される第1の実施形態の画素10と異なり、透明体210を有しない導光部200cと、固体撮像素子300とからなる。
【0086】
本実施形態においては、
図12Aに示すように、画素10dが複数並べられ、複数の画素10bの被写体側の上には、両凹レンズ404が設けられている。両凹レンズ404は、すなわち、負のパワーを持つレンズである。本実施形態においては、このような負のパワーを持つ両凹レンズ404を用いることにより、精密な位置合わせを不要にし、且つ、光を大幅に曲げることなく効果的に画素10bに光を集光することができる。具体的には、両凹レンズ404は、曲率半径-9mmの球面、レンズの中心厚み0.33mm、曲率半径3.47mmであるレンズであり、ゼオン社のゼオネックスz300r相当のプラスチック製の両凹レンズであることができる。なお、本実施形態においては、両凹レンズ404は、負のパワーを持つレンズの代わりに回折格子であってもよい。また、本実施形態においては、両凹レンズ404の画素側の中心から0.71mm離隔して、画素10bが配置される。
【0087】
図12Bに示すように、例えば縦方向に13個の画素10bが並べられ、各画素10bにおいては、画角の中心を通過する光軸が、撮像素子面502の中心に位置する画素10bの画角の中心を通過する光軸(当該光軸は、撮像素子面に垂直)に対して、
図12B中上から順に、-29.5°、-22.5°、-17.1°、-12.3°、-7.9°、-3.9°、0°、3.9°、7.9°、12.3°、17.1°、22.5°、29.5°傾くようになっている。本実施形態においては、上述のように傾けることで、複数の画素10bの全体で所望の画角を有する固体撮像装置1dを構成することができる。なお、例えば、複数の固体撮像素子300が並べられた撮像素子面502の1辺の長さは、約1.122mmとなる。なお、本実施形態に係る固体撮像装置1dの平面は、
図4を参照して説明した第1の固体撮像装置1の平面と同様であるため、ここでは、本実施形態に係る固体撮像装置1dの平面の説明を省略する。
【0088】
また、本実施形態に係る画素10bを、
図1を参照して説明すると、
図1で示される第1の実施形態の画素10と異なり、透明体210を有しない導光部200cと、固体撮像素子300とからなる。具体的には、導光部200cは、被写体側から固体撮像素子300側に向かって、正の光学的パワーを持つレンズ群220と、遮光部240と、正の光学的パワーを持つレンズ群250とを含む。
【0089】
より具体的には、本実施形態においては、レンズ群220は、固体撮像素子300側に向かって凸形状を持つマイクロレンズ222と、被写体側に向かって凸形状を持つマイクロレンズ226と、マイクロレンズ222とマイクロレンズ226とを間に設けられた透明体224とを含む。より具体的には、マイクロレンズ222は、例えば、d線屈折率1.9の5μm厚のレンズ材であり、レンズの曲率が-15μmである。マイクロレンズ226は、例えば、d線屈折率1.9の1μm厚のレンズ材であり、レンズの曲率が15μmである。また、透明体224は、例えば、d線屈折率1.48の3μm厚の透明体である。なお、マイクロレンズ222、226は、回折素子等で実現してもよい。
【0090】
また、導光部200cは、レンズ群220とレンズ群250との間に、透明体230を含む。具体的には、透明体230は、例えば、d線屈折率1.55の長さ50μmの透明体である。また、透明体230には、上述の遮光部240が設けられている。当該遮光部240は、先に説明したように中央に開口部240aを持つ開口遮光体である。
【0091】
さらに、レンズ群250は、固体撮像素子300側に向かって凸形状を持つマイクロレンズ252と、被写体側に向かって凸形状を持つマイクロレンズ256と、マイクロレンズ252とマイクロレンズ256とを間に設けられた透明体254とを含む。より具体的には、マイクロレンズ252は、例えば、d線屈折率1.9の1μm厚のレンズ材であり、レンズの曲率が-6μmである。マイクロレンズ256は、例えば、d線屈折率1.9の1μm厚のレンズ材であり、レンズの曲率が6μmである。また、透明体254は、例えば、d線屈折率1.48の2μm厚の透明体である。なお、マイクロレンズ252、256は、回折素子等で実現してもよい。
【0092】
さらに、導光部200cは、レンズ群250と固体撮像素子300との間に、透明体260をさらに有する。具体的には、透明体260は、例えば、d線屈折率1.55の長さ20.1μmの透明体である。
【0093】
以上のように、本実施形態によれば、このような負のパワーを持つ両凹レンズ404を用いることにより、精密な位置合わせを不要にし、且つ、光を大幅に曲げることなく効果的に画素10bに光を集光することができる。
【0094】
<<8.第7の実施形態>>
次に、両凹レンズ404の変形例である、本開示の第7の実施形態に係る固体撮像装置1dを、
図12A及び
図12Bを参照して説明する。本実施形態においては、上述した第6の実施形態と異なる両凹レンズ404を用いるものの、画素10bについては、第6の実施形態と共通する。
【0095】
本実施形態においては、
図12Aに示すように、画素10dが複数並べられ、複数の画素10bの被写体側の上には、両凹レンズ404が設けられている。両凹レンズ404は、すなわち、負のパワーを持つレンズである。本実施形態においても、このような負のパワーを持つ両凹レンズ404を用いることにより、精密な位置合わせを不要にし、光を大幅に曲げることなく、効果的に画素10bに光を集光することができる。具体的には、両凹レンズ404は、曲率半径-13.2mmの球面、レンズの中心厚み0.33mm、曲率半径5mmであるレンズであり、HOYA社のTAFD55相当の両凹ガラスレンズであることができる。また、本実施形態においては、両凹レンズ404の画素側の中心から0.5mm離隔して、画素10bが配置される。
【0096】
図12Bに示すように、例えば縦方向に13個の画素10bが並べられ、各画素10bにおいては、画角の中心を通過する光軸が、撮像素子面502の中心に位置する画素10bの画角の中心を通過する光軸(当該光軸は、撮像素子面に垂直)に対して、
図12B中上から順に、-38.3°、-29.5°、-22.8°、-16.7°、-10.8°、-5.3°、0°、5.3°、10.8°、16.7°、22.8°、29.8°、38.3°傾くようになっている。本実施形態においては、上述のように傾けることで、複数の画素10bの全体で所望の画角を有する固体撮像装置1dを構成することができる。なお、例えば、複数の固体撮像素子300が並べられた撮像素子面502の1辺の長さは、約0.912mmとなる。なお、本実施形態に係る固体撮像装置1dの平面は、
図4を参照して説明した第1の固体撮像装置1の平面と同様であるため、ここでは、本実施形態に係る固体撮像装置1dの平面の説明を省略する。
【0097】
以上のように、本実施形態によれば、このような負のパワーを持つ両凹レンズ404を用いることにより、精密な位置合わせを不要にし、且つ、光を大幅に曲げることなく効果的に画素10bに光を集光することができる。
【0098】
なお、上述した第6及び第7の実施形態においては、両凹レンズ404、すなわち、被写体側の負のパワーを持つレンズを1枚のレンズで実現するものとして説明した。しかしながら、これら実施形態においては、被写体側の負のパワーを持つレンズを1枚のレンズで実現することに限定されるものではなく、2枚以上のレンズで実現してもよく、特に限定されるものではない。
【0099】
<<9.第8の実施形態>>
また、本発明の実施形態においては、画素の構成を変形することもできる。例えば、画素10の変形例を、
図13を参照して、本発明の第8の実施形態として説明する。
図13は、本実施形態に係る画素10cの模式図である。
【0100】
図13に示すように、上述した第1の実施形態においては、導光部200のレンズ群220、250を2枚のマイクロレンズによって実現したが、本実施形態の画素10cの有する導光部200dにおいては、レンズ群220、250の代わりに、1枚のマイクロレンズ228、258で実現してもよい。本実施形態においては、このような構成を採用することにより、部品点数を減らし、固体撮像装置1eの製造コストの増加を抑えることができる。
【0101】
なお、本実施形態においては、導光部200のレンズ群220、250の一方を2枚のマイクロレンズによって実現し、他方を1枚のマイクロレンズで実現してもよく、また、3枚以上のマイクロレンズで実現してもよく、特に限定されるものではない。
【0102】
また、本実施形態に係る指紋認証装置700aの模式図である
図14に示すように、画素10cを用いた固体撮像装置1eは、指紋認証装置700aに適用することが可能である。なお、
図14では、固体撮像装置1eと手指900との間には、カバーガラス400が存在するものものとして図示しているが、本実施形態のおいては、
図14に示される構成例に限定されるものではない。本実施形態においては、例えば、カバーガラス400の代わりに、上述した第6及び第7の実施形態の被写体側の負のパワーを持つレンズ(両凹レンズ404)を用いてもよく、また、カバーガラス400や被写体側の負のパワーを持つレンズを介さずに直接手指900と接するような構成としてもよい。
【0103】
以上のように、本実施形態によれば、部品点数を減らし、固体撮像装置1eの製造コストの増加を抑えることができる。
【0104】
<<10. まとめ>>
以上のように、本開示の実施形態によれば、近接する画素10の画角の重複を避けつつ、入射光の利用効率を高めることができる。
【0105】
さらに、本開示の実施形態に係る固体撮像装置1又は電子機器が用いられることによって、例えば下記に示す効果が奏される。なお、本実施形態に係る固体撮像装置1又は電子機器が用いられることにより奏される効果が、下記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0106】
(1)
本開示の実施形態によれば、撮像レンズ(対物レンズ)を用いず、固体撮像素子の単位画素と同レベルの平面サイズを持つ、全長が1mm以下のマイクロレンズを用いる固体撮像装置において、入射光の利用効率をより高めることができる。
(2)
本開示の実施形態によれば、一般的な撮像レンズを使用することが難しい、赤外光を検出する固体撮像装置を安価に製造することが可能となる。
(3)
本開示の実施形態によれば、撮像レンズを用いないことから、色収差がない固体撮像装置を提供することができる。
(4)
本開示の実施形態によれば、半導体製造工程によって固体撮像装置を製造することが可能であることから、製造コストを抑えた固体撮像装置及びこれを含む電子機器の製造が可能となる。
(5)
本開示の実施形態によれば、近接した被写体の撮像が可能であることから、固体撮像装置のカバーガラス又は当該固体撮像装置に近接して設けられたカバーガラス上の被写体を撮像することが可能である。従って、本開示の実施形態によれば、例えば、指紋認証/虹彩認証/静脈認証と顔認証とを同時に行う認証装置の固体撮像装置を提供することが可能となる。
(6)
本開示の実施形態によれば、例えば、細胞の選別や、ウイルスの判別等に用いることができるレンズレス顕微鏡を提供することが可能となる。
【0107】
なお、本開示の実施形態においては、上述の固体撮像素子300は、CCD(イメージセンサ又はCMOSイメージセンサであることができる。
【0108】
<<11. 補足>>
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0109】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0110】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
撮像素子面上にマトリックス状に配置された複数の画素を備え、
前記各画素は、
少なくとも1つの固体撮像素子と、
前記固体撮像素子の被写体側に設けられた少なくとも1つの導光部と、
を有し、
前記導光部は、当該導光部の導光方向に沿って前記被写体側から前記固体撮像素子側に向かって、
第1の透明体と、
正の光学的パワーを持つ第1のレンズ群と、
開口部を持つ遮光部と、
正の光学的パワーを持つ第2のレンズ群と、
を順次含む、
固体撮像装置。
(2)
前記導光部は、前記第1のレンズ群と前記第2のレンズ群との間で焦点を結ぶケプラー型光学系であり、
前記遮光部の前記開口部は、前記焦点と重なるように設けられる、
上記(1)に記載の固体撮像装置。
(3)
前記第1のレンズ群の焦点距離fg
1、前記第2のレンズ群の焦点距離fg
2、及び、前記第1のレンズ群と前記第2のレンズ群との間の距離Lが、下記の条件式(a)を満足する、上記(2)に記載の固体撮像装置。
【数4】
(4)
前記撮像素子面の中心に位置する前記画素に入射する上光線と下光線とがなす角度θの範囲は、下記の条件式(b)を満足する、上記(3)に記載の固体撮像装置。
【数5】
上記条件式(b)においては、集光方向を負の値とし、発散方向を正の値とする。
(5)
前記第2のレンズ群の焦点距離fg
2が、下記の条件式(c)を満足する、上記(3)又は(4)に記載の固体撮像装置。
【数6】
(6)
前記第1のレンズ群は、前記固体撮像素子側に向かって凸形状を持つ第1のマイクロレンズを含む、
上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(7)
前記第1のマイクロレンズの前記固体撮像素子側の面は、前記画素ごとに、前記撮像素子面に対して異なる角度を持つ、上記(6)に記載の固体撮像装置。
(8)
前記第1のレンズ群は、前記導光部の前記導光方向に沿って前記被写体側から前記固体撮像素子側に向かって、
前記第1のマイクロレンズと、
前記被写体側に向かって凸形状を持つ第2のマイクロレンズと、
を順次含む、
上記(6)又は(7)に記載の固体撮像装置。
(9)
前記第1のレンズ群は、
前記第1のマイクロレンズと前記第2のマイクロレンズとの間に設けられた第4の透明体をさらに含む、
上記(8)に記載の固体撮像装置。
(10)
前記第1の透明体の前記被写体側の面は、前記画素ごとに、前記撮像素子面に対して異なる角度を持つ、上記(1)~(9)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(11)
複数の前記第1の透明体は、一体のレンズである、上記(10)に記載の固体撮像装置。
(12)
前記レンズは前記被写体側の面が凹型形状を持つ、上記(11)に記載の固体撮像装置。
(13)
前記第1の透明体は、負の光学的パワーを持つレンズである、上記(1)に記載の固体撮像装置。
(14)
前記レンズは、両面が凹面である両凹レンズである、上記(13)に記載の固体撮像装置。
(15)
前記レンズと第1のレンズ群との間には、空気で満たされた空間が存在する、上記(14)に記載の固体撮像装置。
(16)
前記第2のレンズ群は、前記被写体側に向かって凸形状を持つ第3のマイクロレンズを含む、
上記(1)~(12)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(17)
前記第2のレンズ群は、前記導光部の前記導光方向に沿って前記被写体側から前記固体撮像素子側に向かって、
前記固体撮像素子側に向かって凸形状を持つ第4のマイクロレンズと、
前記第3のマイクロレンズと、
を順次含む、
上記(16)に記載の固体撮像装置。
(18)
前記第2のレンズ群は、
前記第4のマイクロレンズと前記第3のマイクロレンズとを間に設けられた第5の透明体をさらに含む、
上記(17)に記載の固体撮像装置。
(19)
前記複数の画素に共通して、複数の前記第1の透明体の前記被写体側の面上に設けられたカバーガラスをさらに備える、上記(1)~(12)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(20)
前記導光部は、前記第1のレンズ群と前記2のレンズ群との間に、第2の透明体をさらに含む、上記(1)~(12)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(21)
前記導光部は、前記2のレンズ群と前記固体撮像素子との間に、第3の透明体をさらに含む、上記(1)~(12)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(22)
撮像素子面上にマトリックス状に配置された複数の画素を有する固体撮像装置を備える電子機器であって、
前記各画素は、
少なくとも1つの固体撮像素子と、
前記固体撮像素子の被写体側に設けられた少なくとも1つの導光部と、
を有し、
前記導光部は、当該導光部の導光方向に沿って前記被写体側から前記固体撮像素子側に向かって、
第1の透明体と、
正の光学的パワーを持つ第1のレンズ群と、
開口部を持つ遮光部と、
正の光学的パワーを持つ第2のレンズ群と、
を順次含む、
電子機器。
【符号の説明】
【0111】
1、1a、1b、1c、1d、1e 固体撮像装置
10、10a、10b、10c、20 画素
200、200a、200b、200c、202 導光部
210、210a、210b、210c、224、230、254、260 透明体
220、250 レンズ群
222、222a、226、228、252、256、256a、258 マイクロレンズ
240 遮光部
240a 開口部
300、300a、300b 固体撮像素子
400、402 カバーガラス
404 両凹レンズ
500 結像位置
502 撮像素子面
504 矢印
600a、600b 入射光
700、700a 指紋認識装置
702 処理部
704 表示部
706 信号線
710 顔認証装置
900 手指
902 顔
904 試料
a、b、c、d 領域