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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20230320BHJP
【FI】
A47L9/28 A
A47L9/28 P
A47L9/28 L
A47L9/28 K
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019022698
(22)【出願日】2019-02-12
(65)【公開番号】P2020127693
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100129115
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(72)【発明者】
【氏名】大下 悟
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-000442(JP,A)
【文献】特開2012-152303(JP,A)
【文献】特開平06-187012(JP,A)
【文献】特開平03-131904(JP,A)
【文献】特開2012-095700(JP,A)
【文献】特開平03-297432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00- 9/32
A47L11/00-11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機と、ブラシモータとのうち少なくとも一方を含む駆動源と、
ーザの操作を受け付ける操作部と、
床面に応じて生じる前記ブラシモータの負荷状態を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記ブラシモータの負荷状態に基づいて前記駆動源の駆動量に関する目標値を決定し、決定された前記目標値に従って前記駆動源を駆動するとともに、前記駆動源の駆動状態を調整するユーザの特定操作が前記操作部により受け付けられた場合に、前記特定操作の内容に基づいて前記目標値を変更する制御部と、
前記ブラシモータの負荷状態を複数に区分した所定の範囲ごとに、前記特定操作が行われたときの前記ブラシモータの負荷状態に対応した前記所定の範囲と前記特定操作により変更された前記目標値との組み合わせ、または、前記特定操作が行われたときの前記ブラシモータの負荷状態に対応した前記所定の範囲と前記特定操作により前記操作部に入力された指定値との組み合わせを示す情報が蓄積される記憶部と、
を備え、
前記制御部は、前記特定操作が行われた次回以降の運転において、前記検出部により検出された前記ブラシモータの負荷状態と、過去に蓄積された前記情報とに基づいて、前記目標値を決定する、
気掃除機。
【請求項2】
前記駆動源は、前記電動送風機を含み、
前記制御部は、前記検出部により検出された前記ブラシモータの負荷状態と、過去に蓄積された前記情報とに基づいて、前記電動送風機の駆動量に関する前記目標値を決定し、前記特定操作が前記操作部により受け付けられた場合に、前記特定操作の内容に基づいて前記電動送風機の駆動量に関する前記目標値を変更する、
請求項に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記駆動源は、前記ブラシモータを含み、
前記制御部は、前記検出部により検出された前記ブラシモータの負荷状態と、過去に蓄積された前記情報とに基づいて、前記ブラシモータの駆動量に関する前記目標値を決定し、前記特定操作が前記操作部により受け付けられた場合に、前記特定操作の内容に基づいて前記ブラシモータの駆動量に関する前記目標値を変更する、
請求項またはに記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記電気掃除機が吸引中の塵埃の量を検出する塵埃センサをさらに備え、
前記制御部は、前記ブラシモータの負荷状態と過去に蓄積された前記情報とに基づいて決定された前記目標値を、前記塵埃センサにより検出された塵埃の量に基づいて補正する、
請求項からのうちいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記制御部は、前記特定操作により新しく変更された前記目標値が、過去に蓄積された前記情報に含まれる複数の前記目標値を統計的に処理することで得られる指標に対して所定の条件を満たさない場合、または、前記特定操作により前記操作部に新しく入力された前記指定値が、過去に蓄積された前記情報に含まれる複数の前記指定値を統計的に処理することで得られる指標に対して所定の条件を満たさない場合、新しく変更された前記目標値または新しく入力された前記指定値を、前記情報に含めない、または影響が小さくなる重み付けをして前記情報に含める、
請求項からのうちいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記制御部は、前記組み合わせに複数の傾向が存在する場合、前記検出部により検出された前記ブラシモータの負荷状態と、前記複数の傾向ごとに分けられた前記情報とに基づいて、前記目標値を決定する、
請求項からのうちいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記制御部は、前記電気掃除機の連続駆動時間が第1所定時間よりも短い場合は、前記連続駆動時間の間に前記特定操作により変更された前記目標値、または前記連続駆動時間の間に前記特定操作により入力された前記指定値を、前記情報に含めない、または影響が小さくなる重み付けをして前記情報に含める、
請求項からのうちいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記制御部は、前記電気掃除機の連続駆動時間が第1所定時間よりも短い場合であっても、次の駆動時間までの停止時間が第2所定時間よりも短い場合は、前記連続駆動時間の間に前記特定操作により変更された前記目標値、または前記連続駆動時間の間に前記特定操作により入力された前記指定値を、前記情報に含める、
請求項に記載の電気掃除機。
【請求項9】
前記駆動源は、前記電動送風機を含み、
前記制御部は、前記ブラシモータの負荷状態と過去に蓄積された前記情報とに基づいて前記電動送風機の駆動量に関する前記目標値を決定し、決定した前記電動送風機の駆動量に関する前記目標値を、前記電気掃除機の内部に既に集塵された塵埃の集塵量に基づいて補正する、
請求項からのうちいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項10】
前記電気掃除機が吸引中の塵埃の量を検出する塵埃センサをさらに備え、
前記制御部は、前記塵埃センサにより検出される塵埃の量が閾値以上であるときの前記目標値または前記指定値を、影響が大きくなる重み付けをして前記情報に含める、
請求項からのうちいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項11】
前記ユーザを判定するユーザ判定部をさらに備え、
前記制御部は、前記ユーザ判定部により判定された前記ユーザごとに、前記情報を蓄積する、
請求項から10のうちいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項12】
電動送風機と、ブラシモータとのうち少なくとも一方を含む駆動源と、
前記駆動源の駆動量に関する目標値の大きさを変更するユーザの特定操作を受け付ける操作部と、
床面に応じて生じる前記ブラシモータの負荷状態を検出する検出部と、
前記ブラシモータの負荷状態を複数に区分した所定の範囲ごとに、前記特定操作が行われたときの前記ブラシモータの負荷状態に対応した前記所定の範囲と前記特定操作により変更された前記目標値との組み合わせ、または前記特定操作が行われたときの前記ブラシモータの負荷状態に対応した前記所定の範囲と前記特定操作により前記操作部に入力された指定値との組み合わせが蓄積された情報を利用可能であり前記特定操作が行われた次回以降の運転において、前記検出部により検出された前記ブラシモータの負荷状態と、過去に蓄積された前記情報とに基づいて、前記目標値を決定する制御部と、
を備えた電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動送風機を搭載した掃除機本体と、回転ブラシを搭載した吸込口体とを備えた電気掃除機が知られている。このような電気掃除機は、床面に応じた制御を容易に行うことができると好ましい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭64-8360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、床面に応じた制御を行うことを容易にする電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電気掃除機は、駆動源と、操作部と、検出部と、制御部と、記憶部とを持つ。駆動源は、電動送風機と、ブラシモータとのうち少なくとも一方を含む。操作部は、ユーザの操作を受け付ける。検出部は、床面に応じて生じる前記ブラシモータの負荷状態を検出する。制御部は、前記検出部により検出された前記ブラシモータの負荷状態に基づいて前記駆動源の駆動量に関する目標値を決定し、決定された前記目標値に従って前記駆動源を駆動するとともに、前記駆動源の駆動状態を調整するユーザの特定操作が前記操作部により受け付けられた場合に、前記特定操作の内容に基づいて前記目標値を変更する。記憶部は、前記ブラシモータの負荷状態を複数に区分した所定の範囲ごとに、前記特定操作が行われたときの前記ブラシモータの負荷状態に対応した前記所定の範囲と前記特定操作により変更された前記目標値との組み合わせ、または、前記特定操作が行われたときの前記ブラシモータの負荷状態に対応した前記所定の範囲と前記特定操作により前記操作部に入力された指定値との組み合わせを示す情報が蓄積される。前記制御部は、前記特定操作が行われた次回以降の運転において、前記検出部により検出された前記ブラシモータの負荷状態と、過去に蓄積された前記情報とに基づいて、前記目標値を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の電気掃除機の一例を示す斜視図。
図2】第1実施形態の電気掃除機の操作部の一例を示す模式図。
図3】第1実施形態の電気掃除機の駆動モードの一例を説明するための図。
図4】第1実施形態の電気掃除機の回路構成の一部の一例を示す回路構成図。
図5】第1実施形態の電気掃除機の床面判別テーブルの一例を説明するための図。
図6】第1実施形態の電気掃除機の学習データの履歴情報の一例を説明するための図。
図7】第1実施形態の電気掃除機の学習データの算出情報の一例を説明するための図。
図8】第1実施形態の主制御部による制御処理の流れの一例を示すフローチャート。
図9】第1実施形態の主制御部による学習処理の流れの一例を示すフローチャート。
図10】第1実施形態の主制御部による初期動作処理の流れの一例を示すフローチャート。
図11】第3実施形態の電気掃除機のデフォルト動作テーブルの一例を説明するための図。
図12】実施形態の第7変形例の電気掃除機の回路構成の一部の一例を示す回路構成図。
図13】実施形態の第8変形例の電気掃除機の回路構成の一部の一例を示す回路構成図。
図14】実施形態の第8変形例の電気掃除機における角度センサの角度検出の一例。
図15】実施形態の第9変形例の設定部の操作部の一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の電気掃除機を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書で「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。
【0008】
(第1の実施形態)
まず、図1から図10を参照し、第1の実施形態の電気掃除機1について説明する。第1の実施形態は、ブラシモータ34の負荷状態に基づいて電動送風機15の駆動量に関する目標値が決定され、ユーザの特定操作が操作部100aにより受け付けられた場合に、前記特定操作の内容に基づいて電動送風機15の駆動量に関する目標値が変更される例である。
【0009】
図1は、第1の実施形態の電気掃除機1の一例を示す斜視図である。本実施形態の電気掃除機1は、例えば、いわゆるスティック型の電気掃除機であり、二次電池が内蔵されたコードレスタイプの電気掃除機である。ただし、電気掃除機1は、上記例に限定されず、車輪を含む掃除機本体を有したキャニスタ型や、その他の形式の電気掃除機でもよい。
【0010】
電気掃除機1は、例えば、掃除機本体10、延長管20、及び吸込口体(床ブラシ)30を備えている。
【0011】
まず、掃除機本体10について説明する。掃除機本体10は、例えば、本体ケース11、把持部12、集塵装置13、電動送風機15、二次電池16、及び本体制御部17を含む。
【0012】
本体ケース11は、掃除機本体10の外郭を形成している。本体ケース11には、電動送風機15、二次電池16、及び本体制御部17が収容されている。また、本体ケース11は、後述する延長管20の一端が接続される延長管接続部18を有する。
【0013】
把持部12は、本体ケース11の上後端部に設けられている。把持部12は、床面(被掃除面)を掃除する際に、ユーザにより把持される部位である。本明細書において、前後方向、上下方向、及び左右方向は、把持部12がユーザにより把持されて床面が掃除される状態を基準に定義する。具体的には、図1に示す矢印Uが指し示す方向を上方向、矢印Dが指し示す方向を下方向、矢印FRが指し示す方向を前方向、矢印RR方向が指し示す方向を後方向、矢印L方向が指し示す方向を左方向、矢印Rが指し示す方向を右方向と定義する。
【0014】
把持部12には、電動送風機15及び後述する回転ブラシ33の動作などを操作するための設定部100が設けられている。設定部100については、後述する。
【0015】
集塵装置13は、本体ケース11に装着されている。集塵装置13は、後述する電動送風機15の働きにより掃除機本体10に吸い込まれた空気中に含まれる塵埃を分離する装置である。例えば、集塵装置13は、第1分離部と、第2分離部と、フィルタ体を備える多段遠心分離式の集塵装置である。第1分離部は、相対的に大きい塵埃である粗塵を空気から遠心分離(サイクロン分離)する。第2分離部は、第1分離部で分離できなかった相対的に小さい塵埃である細塵(微細塵)を空気から遠心分離(サイクロン分離)する。フィルタ体は、第2分離部を通過した空気中に僅かに含まれる塵埃を分離(濾過分離)する。ただし、集塵装置13は、遠心分離式の集塵装置に限らず、紙パックなどを含む濾過式の集塵装置でもよい。
【0016】
電動送風機15は、ファンモータまたはメインモータと呼ばれるモータを含み、駆動されることで負圧を発生させる。電動送風機15は、発生させた負圧により後述する吸込口体30の吸込口37などから集塵装置13へ含塵空気を吸い込み、集塵装置13にて塵埃が分離された空気を自冷させた後に排気する。電動送風機15のモータは、例えば、直流モータであるが、これに限定されない。電動送風機15は、「駆動源」の一例である。
【0017】
二次電池16は、電動送風機15及び後述するブラシモータ34などに電力を供給する電源部である。二次電池16は、複数の電池が直列あるいは並列に接続された電池パックである。電気掃除機1は、二次電池16から電力供給を受けることで使用可能である。二次電池16は、例えば、電気掃除機1の非使用時に、電源コードがコンセントに接続された支持装置(不図示)に電気掃除機1が装着されることで前記支持装置から電源供給を受けて充電される。
【0018】
本体制御部17は、電動送風機15を制御する制御回路を含む。本体制御部17は、例えばマイクロコンピュータを備えた回路基板により実現される。電動送風機制御部40と、主制御部45と、記憶部46とは、本体制御部17に備えられている。
【0019】
次に、延長管20について説明する。延長管20は、例えば長尺状に形成されており、第1端部21と、第2端部22とを有する。延長管20の第1端部21は、掃除機本体10の延長管接続部18に気密に接続される。延長管20の第2端部22は、吸込口体30に気密に接続される。延長管20の内部には、掃除機本体10と吸込口体30とを電気的に接続する接続配線が設けられている。
【0020】
次に、吸込口体30について説明する。吸込口体30は、床面に沿って移動される部分である。吸込口体30は、例えば、吸込口体ケース31、接続管32、回転ブラシ33、ブラシモータ34、電流検出部35(図4参照)、及びモータ制御部36を含む。
【0021】
吸込口体ケース31は、横長、すなわち左右方向に長手状に形成されている。吸込口体ケース31内には、ブラシモータ34、電流検出部35、及びモータ制御部36が収容されている。また、吸込口体ケース31は、床面に対向する下部に吸込口37を有する。吸込口37は、電動送風機15が駆動されることで、床面の塵埃を吸い込む開口部である。
【0022】
接続管32は、吸込口体ケース31と延長管20の第2端部22とを気密に接続するための部分であり、吸込口体ケース31に回動可能に接続されている。接続管32により吸込口体ケース31と延長管20とが接続されることで、吸込口体ケース31の吸込口37から延長管20を経由して掃除機本体10に至る風路が形成される。
【0023】
回転ブラシ33は、吸込口37に設けられ、床面に沿って配置されている。回転ブラシ33は、吸込口体ケース31に対して回動可能に設けられている。回転ブラシ33は、床面から塵埃を浮かせる、または絨毯などの毛先を立たせるなどの働きをする。
【0024】
ブラシモータ34は、不図示の回転駆動機構を介して回転ブラシ33に機械的に接続され、回転ブラシ33を駆動する(回転させる)。ブラシモータ34は、例えば、直流モータであるが、これに限定されない。ブラシモータ34は、床面の抵抗により回転ブラシ33の回転数が低下すればするほど、大きな電流が流れる。
【0025】
電流検出部35は、ブラシモータ34に入力される入力電流(負荷電流)の値を検出する。例えば、電流検出部35は、入力電流の電流波形を1m秒以下の所定の周期で検出する。電流検出部35は、例えば、ブラシモータ34に入力される入力電流の値に関する検出結果をモータ制御部36に出力する。電流検出部35は、「検出部」の一例である。ブラシモータ34に入力される入力電流の値は、「ブラシモータの負荷状態」の一例である。ただし、「ブラシモータの負荷状態」は、ブラシモータ34に入力される入力電力の電流値に限らず、電力値でもよく、電圧値でもよく、ブラシモータ34の回転数などでもよい。このため、「検出部」は、ブラシモータ34に入力される入力電力の電圧値を検出する電圧検出部でもよいし、電流検出部及び電圧検出部の両方を含む機能部でもよいし、ブラシモータ34の回転数を検出するセンサであってもよい。
【0026】
モータ制御部36は、ブラシモータ34を制御する制御回路を含む。モータ制御部36は、例えばマイクロコンピュータを備えた回路基板により実現される。モータ制御部36については後述する。尚、モータ制御部36は、吸込口体30に代えて、掃除機本体10に設けられてもよい。このとき、モータ制御部36と本体制御部17とは1の回路基板により実現されるものでもよい。モータ制御部36は、電流検出部35によって検出されたブラシモータ34に入力される入力電流の値に関する検出結果を主制御部45に出力する。尚、電流検出部35によって検出されたブラシモータ34に入力される入力電流の値に関する検出結果は、モータ制御部36を介さずに主制御部45に出力されてもよい。
【0027】
図2は、電気掃除機1の設定部100の一例を示す模式図である。図示されるように、設定部100は、ユーザの操作を受け付ける操作部100aと、駆動源(本実施形態では電動送風機15)の駆動状態が表示される表示部100bとを有する。
【0028】
操作部100aは、例えば、オンオフボタン102、駆動モード選択ボタン104、自動駆動モードボタン106、および調整用スイッチ108を含む。オンオフボタン102は、電気掃除機1の動作を開始/停止するためボタンである。駆動モード選択ボタン104は、電気掃除機1の駆動モードとして、「絨毯駆動モード」または「フローリング駆動モード」を手動で選択するためのボタンである。自動駆動モードボタン106は、電気掃除機1の駆動モードとして、後述する主制御部45に「絨毯駆動モード」または「フローリング駆動モード」を自動で選択させるための「自動駆動モード」を選択するためのボタンである。調整用スイッチ108は、駆動源(本実施形態では電動送風機15)の駆動状態(例えば、駆動量)を調整するユーザの特定操作を受け付けるためのスイッチである。調整用スイッチ108については後述する。電動送風機15の駆動量は、例えば、電動送風機15に入力される入力電力により定まる。本実施形態では、主制御部45から与えられる電動送風機入力電力目標値に基づいて、後述する第1スイッチングユニット41のON/OFFのタイミングを切り替えることで、電動送風機15に入力される入力電力のデューティ比が制御される。
【0029】
表示部100bは、例えば、数字を表示可能な表示画面を有する。表示部100bは、例えば、電動送風機15の駆動状態の一例として、電動送風機15の駆動量の大きさを示す数値を表示画面に表示させる。本実施形態では、表示部100bの表示の一例として、電動送風機15の入力電力の目標値を示す数値が表示される例について説明する。ただし、表示部100bは、上記例に限定されず、予め設定された任意の数値範囲(例えば1~9)のなかで電動送風機15の駆動量の大きさに対応する1つの数値(例えば3)などを表示してもよい。また、表示部100bは、電動送風機15の駆動量の大きさを表示する例に限定されず、例えば、「絨毯駆動モード」と「フローリング駆動モード」とのうち少なくとも一方で複数の駆動モードが設定されている場合に、駆動モードを識別する数値(例えば、3番目の駆動モードであることを示す“3”)などを表示してもよい。または、表示部100bは、電動送風機15の駆動量の大きさを示す数値を、例えば、バーグラフの長さや、画像やイラストで表して表示するものであってもよい。
【0030】
図3は、実施形態の電気掃除機1の駆動モードの一例を説明するための図である。図示されるように、例えば、「フローリング駆動モード」は、フローリングを掃除するときに選択される駆動モードである。例えば、床面の種別がフローリングであるときには、回転ブラシ33の回転数を増加させて塵埃の巻き上げを図ったとしても集塵性能の向上に対する寄与は大きくない。その一方で、電動送風機15の回転を増加させて風量を増加させると、吸込口体30の真下の塵埃だけでなく、吸込口体30の周囲に位置する塵埃(例えば綿ゴミ)も吸うことができる。そのため、「フローリング駆動モード」では、例えば、主制御部45は、ブラシモータ34の駆動のために供給する電力よりも電動送風機15の風量を多くするために供給する電力を優先的に配分する。具体的には、主制御部45は、ブラシモータ34に入力される入力電力の大きさを小さくし、電動送風機15に入力される入力電力の大きさを大きくする。
【0031】
一方、「絨毯駆動モード」は、絨毯を掃除するときに選択される駆動モードである。床面の種別が絨毯であるときには、電動送風機15の回転を増加させて風量を増加させても、吸込口体30の周囲に位置する塵埃は絨毯に引っ掛かって吸うことが難しく、集塵性能の向上に対する寄与は大きくない。その一方で、回転ブラシ33の回転数を増加させて絨毯からゴミを浮かせることにより、風量が小さくても集塵性能を高められる。そこで、「絨毯駆動モード」では、例えば、主制御部45は、電動送風機15の風量を多くするために供給する電力よりもブラシモータ34の駆動のために供給する電力を優先的に配分する。具体的には、主制御部45は、ブラシモータ34に入力される入力電力の大きさを大きくし、電動送風機15に入力される入力電力の大きさを小さくする。
【0032】
尚、図3の電気掃除機1の駆動モードは一例であり、「フローリング駆動モード」において、ブラシモータ34の駆動のために供給する電力と、電動送風機15の駆動のために供給する電力との両方を大きくし、「絨毯駆動モード」において、ブラシモータ34の駆動のために供給する電力と、電動送風機15の駆動のために供給する電力との両方を小さくするように設定されてもよい。
【0033】
次に、電気掃除機1の回路構成について説明する。以下では、電動送風機15及びブラシモータ34に対する入力電力のデューティ比を増減することで、電動送風機15の回転数及びブラシモータ34の回転数などの制御が実現される例について説明する。ただし、電動送風機15及びブラシモータ34の制御は、電動送風機15及びブラシモータ34に対する入力電流または電圧の大きさを増減することで実現されてもよい。このため以下の説明における「電力」とは、「電流」または「電圧」と適宜読み替え可能である。本実施形態では、「電動送風機15の回転数」は、「駆動源の駆動量」の一例である。「電動送風機15に対する入力電力の大きさ(電動送風機15の入力電力の目標値)」は、「駆動源の駆動量に関する目標値」の一例である。
【0034】
図4は、実施形態の電気掃除機1の回路構成の一部の一例を示す回路構成図である。電気掃除機1は、例えば、電動送風機制御回路C1と、モータ制御回路C2とを含む。
【0035】
まず、電動送風機制御回路C1について説明する。電動送風機制御回路C1は、例えば、第1スイッチングユニット41、電動送風機15、電動送風機制御部40、主制御部45、及び記憶部46を含む。第1スイッチングユニット41及び電動送風機15は、二次電池16に対して直列に接続されている。
【0036】
第1スイッチングユニット41は、1つ以上の半導体スイッチング素子を含む。第1スイッチングユニット41が閉じることにより、電動送風機15に対して二次電池16から電力が供給される。一方で、第1スイッチングユニット41が開くことにより、電動送風機15に対する二次電池16からの電力の供給が停止される。第1スイッチングユニット41がPWM(Pulse Width Modulation)制御により所定の周期でON/OFF制御されることで、二次電池16から電動送風機15にパルス状の入力電力が供給される。
【0037】
電動送風機制御部40は、例えば主制御部45から与えられる電動送風機入力電力目標値に基づいて、第1スイッチングユニット41のON/OFFのタイミングを切り替えることで、二次電池16から電動送風機15に供給される入力電力のデューティ比を変更する。電動送風機制御部40は、電動送風機15に供給される入力電力のデューティ比を変更することで電動送風機15の入力電力の目標値が電動送風機入力電力目標値になるように、第1スイッチングユニット41を制御する。例えば、電動送風機制御部40は、電動送風機15に供給される入力電力のデューティ比を高める(すなわち入力電力を増加させる)ことで、電動送風機15の回転数を増加させる。一方で、電動送風機制御部40は、電動送風機15に供給される入力電力のデューティ比を低下させる(すなわち入力電力を低下させる)ことで、電動送風機15の回転数を低下させる。
【0038】
次に、モータ制御回路C2について説明する。モータ制御回路C2は、第2スイッチングユニット42、ブラシモータ34、電流検出部35、及びモータ制御部36を含む。第2スイッチングユニット42、ブラシモータ34及び電流検出部35は、二次電池16に対して直列に接続されている。
【0039】
第2スイッチングユニット42は、1つ以上の半導体スイッチング素子を含む。第2スイッチングユニット42が閉じることにより、ブラシモータ34に対して二次電池16から電力が供給される。一方で、2スイッチングユニット42が開くことにより、ブラシモータ34に対する二次電池16からの電力の供給が停止される。第2スイッチングユニット42がPWM制御により所定の周期でON/OFF制御されることで、二次電池16からブラシモータ34にパルス状の入力電力が供給される。
【0040】
モータ制御部36は、例えば主制御部45から与えられるブラシモータ入力電力目標値に基づいて、第2スイッチングユニット42のON/OFFのタイミングを切り替えることで、二次電池16からブラシモータ34に供給される入力電力のデューティ比を変更する。モータ制御部36は、ブラシモータ34に供給される入力電力のデューティ比を変更することでブラシモータ34の入力電力値が電動送風機入力電力目標値になるように、第2スイッチングユニット42を制御する。例えば、モータ制御部36は、ブラシモータ34に供給される入力電力のデューティ比を高める(すなわち入力電力を増加させる)ことで、ブラシモータ34の回転数を増加させる。一方で、モータ制御部36は、ブラシモータ34に供給される入力電力のデューティ比を低下させる(すなわち入力電力を低下させる)ことで、ブラシモータ34の回転数を低下させる。
【0041】
主制御部45は、例えば、モータ制御部36を介して、電流検出部35によって検出されたブラシモータ34に入力される入力電流の値に関する検出結果を受け取る。尚、主制御部45は、電流検出部35から、ブラシモータ34に入力される入力電流に関する検出結果を直接受け取ってもよい。ユーザが自動駆動モードボタン106を押下することにより「自動駆動モード」を選択した場合、主制御部45は、ブラシモータ34に入力される入力電流の値に関する検出結果に基づいて、電気掃除機1が掃除をしている床面の種別が、フローリングであるか絨毯であるかについて判定し、判定結果に基づいて、電気掃除機1の駆動モードを自動で選択する。
【0042】
例えば、ユーザが操作部100aのオンオフボタン102を押して、電気掃除機1の動作を開始させ、自動駆動モードボタン106を押下することにより「自動駆動モード」を選択すると、主制御部45は、予め任意に設定された所定の回転数(初期の回転数)に対応するブラシモータ入力電力目標値をモータ制御部36に与える。モータ制御部36は、与えられたブラシモータ入力電力目標値に基づいて、ブラシモータ34を回転させるとともに、この所定の回転数で回転させた状態で電流検出部35の検出結果を取得する。例えば、モータ制御部36は、上記所定の周期で検出された、ブラシモータ34に入力される入力電力の電流波形に含まれるピーク電流の値などを取得し、検出結果として主制御部45に送る。主制御部45は、モータ制御部36から受け取った検出結果に基づいて、後述する図5に示されるような床面判別テーブルを参照し、電気掃除機1が掃除中の床面の種別を判定し、判定した種別に対応したブラシモータ34のデフォルト入力電力値と電動送風機15のデフォルト入力電力値を導出し、これらをブラシモータ入力電力目標値と電動送風機入力電力目標値としてモータ制御部36と電動送風機制御部40に与える。つまり、例えば、ブラシモータ34の入力電流が小さい場合は、主制御部45は、電気掃除機1がフローリングの床面を掃除中であると判定する。一方で、ブラシモータ34の入力電流が大きい場合は、主制御部45は、電気掃除機1が絨毯の床面を掃除中であると判定する。これは、床面が絨毯などである場合、床面がフローリングや畳である場合と比較して、回転ブラシ33にかかる抵抗が大きくなり、ブラシモータ34に供給される電流の電流値が大きくなるためである。
【0043】
図5は、第1実施形態の電気掃除機の床面判別テーブルの一例を説明するための図である。図6は、第1実施形態の電気掃除機の学習データの履歴情報の一例を説明するための図である。記憶部46は、例えば、図5に示される床面判別テーブルを記憶する。図示されるように、床面判別テーブルには、ブラシモータ34の入力電流値と、電気掃除機1が掃除をしていると推定される床面に適した、ブラシモータ34のデフォルト入力電力値と、電動送風機15のデフォルト入力電力値との組み合わせが記憶されている。更に、記憶部46は、例えば、図6に示される学習データの履歴情報を記憶する。学習データの履歴情報については後述する。
【0044】
以下では、モータ制御部36と、電動送風機制御部40と、主制御部45と、記憶部46とを合わせて「制御部50」と称する。本実施形態では、制御部50は、電流検出部35により検出されたブラシモータ34の入力電流値に基づいて、電動送風機15の入力電力の目標値(電動送風機入力電力目標値)を決定し、決定された前記目標値に従って電動送風機15を駆動するとともに前記目標値に対応する電動送風機15の駆動状態(例えば駆動量)を表示部100bに表示させる。そして、制御部50は、電動送風機15の駆動状態を調整するユーザの特定操作が操作部100aにより受け付けられた場合に、前記特定操作の内容に基づいて前記目標値を変更する。そして、制御部50は、変更した前記目標値目標値に従って電動送風機15を駆動するとともに、変更した前記目標値に対応する電動送風機15の駆動状態を表示部100bに表示させる。尚、本実施形態では、電動送風機15の駆動状態がブラシモータ34の駆動状態とは独立して調整される(ユーザによって変更される)例について説明する。ただし、ブラシモータ34の駆動状態は、電動送風機15の駆動状態に連動して自動的に調整されてもよい。
【0045】
本実施形態では、記憶部46には、前記特定操作が行われたときのブラシモータ34の負荷状態と前記特定操作により変更された前記目標値との組み合わせ、または、前記特定操作が行われたときのブラシモータ34の負荷状態と前記特定操作により操作部100aに入力された指定値との組み合わせが学習データの算出情報として蓄積される。そして、主制御部45は、例えば次回以降、電流検出部35により検出されたブラシモータ34の負荷状態と、過去に蓄積された前記学習データの算出情報とに基づいて、前記目標値を決定する。以下、これらの内容について説明する。
【0046】
<駆動源の駆動量の調整(初回使用時)>
まず、電動送風機15の駆動量の調整(手動調整)について説明する。ここでは、まず、学習データの算出情報がまだ蓄積されていない電気掃除機1の初回使用時について説明する。また以下では、自動駆動モードボタン106が押されて、主制御部45に「絨毯駆動モード」または「フローリング駆動モード」を自動で選択させる場合について説明する。
【0047】
例えば、ユーザが操作部100aのオンオフボタン102を押して電気掃除機1に動作を開始させ、ユーザが自動駆動モードボタン106を押下すると、主制御部45は、モータ制御部36から受け取った、ブラシモータ34に入力される入力電流の値に関する検出結果に基づいて、図5に示されるような床面判別テーブルを参照し、電気掃除機1が掃除中の床面の種別を判定し、ブラシモータ34のデフォルト入力電力値と電動送風機15のデフォルト入力電力値を導出し、これらをブラシモータ入力電力目標値と電動送風機入力電力目標値としてモータ制御部36と電動送風機制御部40にそれぞれ与える。モータ制御部36は、受け取ったブラシモータ入力電力目標値に従って、ブラシモータ34を動作させる。電動送風機制御部40は、受け取った電動送風機入力電力目標値に従って、電動送風機制御部40を動作させる。そして、主制御部45は、表示部100bに電動送風機入力電力目標値を表示させる。
【0048】
このとき、ユーザは、操作部100aの調整用スイッチ108を操作することにより、電動送風機15の入力電力の目標値を任意の目標値に設定(特定操作)することができる。電動送風機15の駆動状態(例えば、駆動量)を調整するユーザの特定操作が操作部100aにより受け付けられると、主制御部45は、ユーザの特定操作の内容に基づいて、電動送風機入力電力目標値を変更して電動送風機制御部40に与える。電動送風機制御部40は、受け取った電動送風機入力電力目標値に従って、電動送風機制御部40を動作させる。例えば、表示部100bに電動送風機入力電力目標値を表示させた状態で、ユーザの特定操作が操作部100aにより受け付けられる。そして、ユーザの特定操作が操作部100aにより受け付けられると、主制御部45は、表示部100bに、ユーザの特定操作の内容に基づいて変更された電動送風機入力電力目標値を表示させる。このとき、ユーザの特定操作の内容に基づいて変更された電動送風機入力電力目標値が表示部100bに表示された状態で、更に、電動送風機15の駆動状態を調整するユーザの特定操作が操作部100aによって受け付けられることができ、主制御部45は、同様に、ユーザの特定操作の内容に基づいて制御を行う。
【0049】
本実施形態では、操作部100aにおいて、ユーザが調整用スイッチ108を操作することにより電動送風機15の入力電力の目標値を変更するものとしたが、操作部100aにおいてユーザの特定操作を受け付けるのは、調整用スイッチ108に限定されない。例えば、操作部100aは、ダイヤル、ボタン、スライドレバー等のいずれか1つ以上によって、ユーザの特定操作を受け付けてよい。例えば、ダイヤルは、軸を介してロータリーエンコーダーに接続されており、ロータリーエンコーダーは、ユーザがダイヤルを回転させた回転量を検出する。この場合、操作部100aは、ロータリーエンコーダーによって検出されたダイヤルの回転量に基づいて、ユーザの特定操作を受け付ける。また、本実施形態では、操作部100aが備えられる設定部100は、把持部12に備えられるものとしたが、操作部100aは、吸込口体(床ブラシ)30と、延長管20と、掃除機本体10と、把持部12とのいずれか1つ以上に備えられていてよい。
【0050】
<入力電力値の学習>
次に、入力電力値の学習について説明する。図6は、実施形態の電気掃除機1の学習データの履歴情報の一例を説明するための図である。図7は、実施形態の電気掃除機1の学習データの算出情報の一例を説明するための図である。ユーザが調整用スイッチ108を操作することにより、電動送風機15の入力電力の目標値を任意の目標値に設定すると、主制御部45は、図6に示されるように、そのときの日時を表すタイムスタンプと、ブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせを学習データの履歴情報として記憶部46に記憶させる。更に、主制御部45は、適宜、記憶部46に記憶されたブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせを読み出し、ブラシモータ34の入力電流値の所定の範囲ごとに、電動送風機15の入力電力の目標値の平均値(電動送風機入力電力学習目標値)を導出し、図7に示されるような学習データの算出情報として記憶部46に記憶させる。学習データの履歴情報が無く電動送風機15の入力電力の目標値の平均値(電動送風機入力電力学習目標値)を導出できない場合は、データが無いことを示す情報(例えば、NULL値)が、学習データの算出情報の該当範囲に対応する電動送風機15の入力電力の目標値の平均値(電動送風機入力電力学習目標値)として記憶される。尚、表示部100bに、「予め設定された任意の数値範囲のなかで電動送風機15の駆動量の大きさに対応する1つの数値」や「駆動モードを識別する数値」が表示される場合に、ユーザが調整用スイッチ108を操作することによりそれらについて指定した値は、「特定操作により操作部に入力された指定値」の一例である。
【0051】
<学習データの算出情報に基づく入力電力値の自動調整>
次に、学習データの算出情報に基づく入力電力値の自動調整について説明する。主制御部45は、記憶部46が学習データの算出情報を記憶している場合は、電流検出部35によって検出されたブラシモータ34の入力電流値の検出結果(電流検出部35の検出結果)に基づいて、記憶部46に記憶された学習データの算出情報を参照することにより、ユーザが好むと推定される電動送風機15の入力電力の目標値を導出し、これを電動送風機入力電力目標値として電動送風機制御部40に与える。例えば、主制御部45は、記憶部46に学習データの算出情報として記憶されているブラシモータ34の入力電流値に対する電動送風機の平均目標値を参照することにより、ユーザが好むと推定される電動送風機15の入力電力の目標値を導出し、これを電動送風機入力電力目標値として電動送風機制御部40に与える。つまり、例えば、図7に示される学習データの算出情報が記憶部46に記憶されている場合、ブラシモータ34の入力電流が1.5[A]であれば、ユーザが好むと推定される電動送風機制御部40の入力電力値として30[W]を導出し、これを電動送風機入力電力目標値として電動送風機制御部40に与える。このとき、例えば、設定部100の表示部110には、電動送風機入力電力目標値である「30」の数字が表示される。これによって、主制御部45は、学習データの履歴情報に設定されるデフォルトの入力電力値よりも、よりユーザがより好むと推定される電動送風機入力電力目標値で電動送風機15を動作させることができる。電動送風機入力電力目標値は、電動送風機15の駆動量に関する目標値の一例である。
【0052】
上記説明したように、図5に示される床面判別テーブルのデフォルトの入力電力値においては、ブラシモータ34の入力電流が高い場合(例えば、電気掃除機1が絨毯を掃除している場合)に対しては、絨毯の毛の巻き込みを防ぐために、電動送風機15の電動送風機入力電力目標値を低く設定している。また、ブラシモータ34の入力電流が低い場合(例えば、電気掃除機1がフローリングを掃除している場合)に対しては、強い吸引力を得るため、電動送風機15の電動送風機入力電力目標値を高く設定している。しかしながら、図6の学習データの履歴情報に示される入力電力値を設定したユーザは、図7に示されるように、電動送風機15の回転を控えめにするのを好む場合がある。例えば、マンションに住んでいて、乳児や高齢者が同居している環境では、電動送風機15の動作を抑えて静かに掃除を行いたいという需要がある。また、図7に示されるように、このユーザは、ブラシモータ34の入力電流が低い場合(例えば、電気掃除機1がフローリングを掃除している場合)における電動送風機15の電動送風機入力電力目標値よりも、ブラシモータ34の入力電流が高い場合(例えば、電気掃除機1が絨毯を掃除している場合)における電動送風機15の電動送風機入力電力目標値を高くすることを好む傾向にある。一般的には、絨毯の毛の巻き込みを防ぐために、絨毯を掃除する時には、図5に示されるように、電動送風機15の入力電流を低くするデフォルト設定としているが、ユーザの好みによっては、強い吸引力により吸込口体30を絨毯に吸い付かせながら、絨毯の奥深くを強く引っ張りながら掃除することを好む人もいる。このように、本実施形態の電気掃除機1によれば、ユーザごとの掃除の仕方における好みを反映した、電動送風機15の制御を実現することができる。
【0053】
次に、主制御部45による入力電力制御処理の流れの一例について説明する。
図8は、主制御部45による電気掃除機1の入力電力制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。図8に示すように、主制御部45は、まず、ユーザがオンオフボタン102を押して、電気掃除機1の動作を開始させたかどうかを判定する(ステップS100)。ユーザがオンオフボタン102を押して、電気掃除機1の動作を開始させたと判定された場合は、主制御部45は、ステップS110に進み、初期動作処理を行う(ステップS110)。初期動作処理については、後述する。次に、主制御部45は、ステップS120に進み、ユーザが操作部100aを操作してから所定時間が経過したか判定する(ステップS120)。ステップS120において、ユーザが操作部100aを操作してから所定時間が経過したと判定される場合は、主制御部45は、ステップS160に進み、ブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせを、学習データの履歴情報として記憶部46に記憶させる(ステップS160)。
【0054】
ステップS120において、ユーザが操作部100aを操作してから所定時間が経過していないと判定される場合は、主制御部45は、ステップS130に進み、ユーザが操作部100aを操作したか否かを判定する(ステップS130)。ステップS130において、ユーザが、操作部100aの調整用スイッチ108を操作したと判定される場合は、主制御部45は、ステップS140に進み、ユーザの調整用スイッチ108の操作に従って、電動送風機15の入力電力の目標値を変更し(ステップS140)、ステップS120に戻る。ステップS130において、ユーザが、操作部100aのオンオフボタン102を操作したと判定される場合は、主制御部45は、ステップS150に進み、電気掃除機1の動作を停止し(ステップS140)、その後、主制御部45は、図8に示すフローチャートの処理を終了する。ステップS130において、ユーザが、操作部100aを操作していないと判定される場合は、主制御部45は、ステップS120に戻る。
【0055】
次に、主制御部45による学習処理の流れの一例について説明する。
図9は、主制御部45による電気掃除機1の学習処理の流れの一例を示すフローチャートである。図8に示す学習処理は、所定期間ごとに行われてもよいし、掃除機が充電中であるなどの特定のタイミングで行われてもよい。また、ブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせを、記憶部46に記憶させるたびに、図9に示す学習処理が行われてもよい。
【0056】
まず、ステップS200において、主制御部45は、記憶部46に記憶された、ブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせである学習データの履歴情報を読み出し、図7に示されるようなブラシモータ34の入力電流値の所定の範囲ごとに、電動送風機15の入力電力の目標値の平均値(電動送風機入力電力学習目標値)を導出する(ステップS200)。次に、主制御部45は、所定の範囲と導出した平均値の組み合わせを学習データの算出情報として記憶部46に記憶させる(ステップS210)。以上で、主制御部45は、図9に示すフローチャートの処理を終了する。
【0057】
次に、主制御部45による初期動作処理の流れの一例について説明する。
図10は、主制御部45による電気掃除機1の初期動作処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、ステップS300において、ユーザが自動駆動モードボタン106を押して「自動駆動モード」を選択したかどうか判定する(ステップS300)。ユーザが自動駆動モードボタン106を押して「自動駆動モード」を選択したと判定される場合は、主制御部45は、ステップS305に進む。ユーザが自動駆動モードボタン106を押して「自動駆動モード」を選択したと判定されない場合は、主制御部45は、ステップS340に進む。
【0058】
ステップS305において、主制御部45は、記憶部46に学習データの算出情報が記憶されているか否かを判定する(ステップS305)。ステップS305において、記憶部46に学習データの算出情報が記憶されていると判定された場合は、主制御部45は、電流検出部35によって検出されたブラシモータ34の入力電流値の検出結果に基づいて、記憶部46に記憶された学習データの算出情報を参照することにより、ユーザが好むと推定される電動送風機15の入力電力の目標値を導出し、主制御部45は、目標値を電動送風機入力電力目標値として電動送風機制御部40に与え(ステップS310)、ステップS370に進む。
【0059】
ステップS305において、記憶部46に学習データの算出情報が記憶されていないと判定された場合は、主制御部45は、ステップS330に進み、床面判別テーブルを参照し、電気掃除機1が掃除中の床面の種別を判定し、ブラシモータ34のデフォルト入力電力値と電動送風機15のデフォルト入力電力値を読み出し、主制御部45は、読みだしたブラシモータ34のデフォルト入力電力値と電動送風機15のデフォルト入力電力値をブラシモータ入力電力目標値と電動送風機入力電力目標値としてモータ制御部36と電動送風機制御部40とにそれぞれ与え(ステップS330)、ステップS370に進む。
【0060】
ステップS300において、ユーザが自動駆動モードボタン106を押して「自動駆動モード」を選択したと判定されない場合は、主制御部45は、ステップS340に進み、ユーザが駆動モード選択ボタン104を押して「絨毯駆動モード」と「フローリング駆動モード」とのうちいずれを選択したかを判定する(ステップS340)。ステップS340において、ユーザが、駆動モード選択ボタン104を押して「絨毯駆動モード」を選択したと判定される場合は、主制御部45は、ステップS350に進む。ユーザが、駆動モード選択ボタン104を押して「フローリング駆動モード」を選択したと判定される場合は、主制御部45は、ステップS360に進む。ステップS350において、主制御部45は、絨毯駆動モードのブラシモータ34の入力電力の目標値と絨毯駆動モードの電動送風機制御部40の入力電力の目標値を、ブラシモータ入力電力目標値と電動送風機入力電力目標値として、モータ制御部36と電動送風機制御部40とにそれぞれ与え、ステップS370に進む。ステップS350において、主制御部45は、フローリング駆動モードのブラシモータ34の入力電力の目標値とフローリング駆動モードの電動送風機制御部40の入力電力の目標値を、ブラシモータ入力電力目標値と電動送風機入力電力目標値として、モータ制御部36と電動送風機制御部40とにそれぞれ与え、ステップS370に進む。
【0061】
ステップS370において、電動送風機制御部40は、電動送風機入力電力目標値に従って、電動送風機制御部40を動作させる。モータ制御部36は、ブラシモータ入力電力目標値に従って、ブラシモータ34を動作させる。(ステップS370)。以上で、主制御部45は、図10に示すフローチャートの処理を終了する。
【0062】
次に、電気掃除機1の作用について説明する。
現在の住宅事情では、かつての絨毯、フローリング、畳だけではなく、さまざまな種類の床面が存在する。その中でも、絨毯は、その素材、毛足の長さ、構造などが多岐にわたる。掃除機の床ブラシに備えられる回転ブラシが、どのような床面に対しても一定の回転をすると、例えば、薄いラグのような敷物を掃除機で掃除する時に、敷物が回転ブラシに巻き込まれてしまうことがある。そのため、本来清掃したい表面は清掃できず、敷物を傷めてしまう可能性がある。現在の掃除機の床面判別技術では、塵埃検知器からの信号を元に床ブラシの回転ブラシの回転数を制御する手法や、PWM制御とともに床ブラシモータ電流検知手段を用いて回転数制御を無段階に実施する手法がある。しかし、これらは、いずれも使用者の意図とは別に自動的行われるものである。また、絨毯の種類ごとの自動判別は非常に難易度が高く、未だ実用化されていない。このため、現段階では、人の目による判断で、床ブラシの回転数を変化させることが実用的であると考えらえる。
【0063】
第1実施形態の電気掃除機1は、床面判別テーブルに基づいて、電流検出部35によって検出されたブラシモータ34の入力電流値の検出結果に従って電動送風機15を動作させる。そして、ユーザが調整用スイッチ108を操作すると、ブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の目標値(変更された目標値)との組み合わせから学習データの算出情報を生成し、その後は、学習データの算出情報と電流検出部35の検出結果とに基づいて、電動送風機15を動作させる。つまり、未だ実現困難な技術である床面判別を電気掃除機1に行わせない。電気掃除機1は、ユーザの判断結果(調整用スイッチ108の操作)に基づいて学習データの算出情報を生成し、生成された学習データの算出情報と電流検出部35の検出結果とに基づいて電動送風機15を動作させる。このため、電気掃除機1は床面判別を行わず、ユーザの判断結果(調整用スイッチ108の操作)に基づいて行われた学習データの算出情報に従って制御を行う。したがって、電気掃除機1は、床面にあわせて適切に制御を行うことを容易にすることができる。
【0064】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、ブラシモータ34の負荷状態に基づいてブラシモータ34の駆動量に関する目標値が決定され、ユーザの特定操作が操作部100aにより受け付けられた場合に、前記特定操作の内容に基づいてブラシモータ34の駆動量に関する目標値が変更される例である。
【0065】
詳しく述べると、第2実施形態の電気掃除機は、第1実施形態の電気掃除機1と同様の構成を有するが、第2実施形態の電気掃除機においては、ユーザが調整用スイッチ108を操作することにより、ブラシモータ34の入力電力の目標値を任意の目標値に設定すると、主制御部45は、そのときの日時を表すタイムスタンプと、ブラシモータ34の入力電流値と、ブラシモータ34の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせを学習データの履歴情報として記憶部46に記憶させる。更に、主制御部45は、適宜、記憶部46に記憶されたブラシモータ34の入力電流値と、ブラシモータ34の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせを読み出し、ブラシモータ34の入力電流値の所定の範囲ごとに、ブラシモータ34の入力電力の目標値の平均値(ブラシモータ入力電力学習目標値)を導出し、学習データの算出情報として記憶部46に記憶させる。つまり、第2実施形態においては、図6における電動送風機15の入力電力の目標値(電動送風機入力電力目標値)をブラシモータ34の入力電力の目標値(ブラシモータ入力電力目標値)と読み替え、図7における電動送風機15の入力電力の目標値の平均値(電動送風機入力電力学習目標値)をブラシモータ34の入力電力の目標値の平均値(ブラシモータ入力電力学習目標値)と読み替えて、図6図7とその説明を援用するものとする。
【0066】
第2実施形態の電気掃除機の制御部50は、電流検出部35により検出されたブラシモータ34の入力電流値に基づいて、記憶部46に記憶された学習データの算出情報を参照することにより、ユーザが好むと推定されるブラシモータ34の入力電力の目標値(ブラシモータ入力電力目標値)を導出し、決定された前記目標値に従ってブラシモータ34を駆動するとともに前記目標値に対応するブラシモータ34の駆動状態を表示部100bに表示させる。そして、制御部50は、ブラシモータ34の駆動状態(例えば駆動量)を調整するユーザの特定操作が操作部100aにより受け付けられた場合に、前記特定操作の内容に基づいて前記目標値を変更する。ブラシモータ34は、「駆動源」の一例である。
【0067】
第2実施形態の電気掃除機において、例えば、ユーザが操作部100aのオンオフボタン102を押して電気掃除機の動作が開始され、自動駆動モードボタン106が押下されると、主制御部45は、ブラシモータ34に入力される入力電流の値に関する検出結果に基づいて、図5に示されるような床面判別テーブルを参照し、電気掃除機が掃除中の床面の種別を判定し、ブラシモータ34のデフォルト入力電力値と電動送風機15のデフォルト入力電力値を導出し、これをブラシモータ入力電力目標値と電動送風機入力電力目標値としてモータ制御部36と電動送風機制御部40に与える。モータ制御部36は、受け取ったブラシモータ入力電力目標値に従って、ブラシモータ34を動作させる。電動送風機制御部40は、受け取った電動送風機入力電力目標値に従って、電動送風機制御部40を動作させる。そして、主制御部45は、表示部100bにブラシモータ入力電力目標値を表示させる。
【0068】
このとき、ユーザは、操作部100aの調整用スイッチ108を操作することにより、ブラシモータ34の入力電力の目標値を任意の目標値に設定(特定操作)することができる。ブラシモータ34の駆動状態(例えば、駆動量)を調整するユーザの特定操作が操作部100aにより受け付けられると、主制御部45は、ユーザの特定操作の内容に基づいて、ブラシモータ入力電力目標値を変更してモータ制御部36に与える。モータ制御部36は、受け取ったブラシモータ入力電力目標値に従って、ブラシモータ34を動作させる。例えば、表示部100bにブラシモータ入力電力目標値を表示させた状態で、ユーザの特定操作が操作部100aにより受け付けられる。そして、ユーザの特定操作が操作部100aにより受け付けられると、主制御部45は、表示部100bに、ユーザの特定操作の内容に基づいて変更されたブラシモータ入力電力目標値を表示させる。このとき、ユーザの特定操作の内容に基づいて変更されたブラシモータ入力電力目標値が表示部100bに表示された状態で、更に、ブラシモータ34の駆動状態を調整するユーザの特定操作が操作部100aによって受け付けられることができ、主制御部45は、同様に、ユーザの特定操作の内容に基づいて制御を行う。
【0069】
第2実施形態の電気掃除機1は、床面判別テーブルに基づいて、電流検出部35の検出結果に従ってブラシモータ34を動作させる。そして、ユーザが調整用スイッチ108を操作すると、ブラシモータ34の入力電流値(電流検出部35の検出結果)と、ブラシモータ34の目標値(変更された目標値)との組み合わせから学習データの算出情報を生成し、その後は、学習データの算出情報と電流検出部35の検出結果とに基づいて、ブラシモータ34を動作させる。つまり、未だ実現困難な技術である床面判別を電気掃除機1に行わせない。電気掃除機1は、ユーザの判断結果(調整用スイッチ108の操作)に基づいて学習データの算出情報を作り、作られた学習データの算出情報と電流検出部35の検出結果とに基づいてブラシモータ34を動作させる。このため、電気掃除機1は床面判別を行わず、ユーザの判断結果(調整用スイッチ108の操作)に基づいて制御を行う。したがって、電気掃除機1は、床面にあわせて適切に制御を行うことを容易にすることができる。
【0070】
尚、表示部100bに、「予め設定された任意の数値範囲のなかでブラシモータ34の駆動量の大きさに対応する1つの数値」や「駆動モードを識別する数値」が表示される場合に、ユーザが調整用スイッチ108を操作することによりそれらについて指定した値は、「特定操作により操作部に入力された指定値」の一例である。学習データの算出情報は、ブラシモータ34の入力電力の目標値に代えて、特定操作により操作部に入力された指定値を蓄積してもよい。このような構成によっても、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、ブラシモータ34の負荷状態に基づいて、電動送風機15およびブラシモータ34の駆動量に関する目標値が決定され、ユーザの特定操作が操作部100aにより受け付けられた場合に、前記特定操作の内容に基づいて電動送風機15およびブラシモータ34の駆動量に関する目標値が変更される例である。
【0072】
図11は、第3実施形態の電気掃除機のデフォルト動作テーブルの一例を説明するための図である。第3実施形態の電気掃除機は、第1実施形態の電気掃除機と同様の構成を有するが、図示されるように、電動送風機15の入力電流値の目標値とブラシモータ34の入力電流値の目標値との組み合わせが、複数の駆動モードのそれぞれごとに設定され、デフォルト動作テーブルとして記憶部46に記憶されており、主制御部45は、ブラシモータ34の入力電流値(電流検出部35の検出結果)に基づいて、デフォルト動作テーブルのうちどの駆動モードで運転するかを決定し、決定した駆動モードの番号を表示部100bに表示させる。例えば、ブラシモータ34の入力電流値と、それに適合する駆動モードとの組み合わせを駆動モード判別テーブルとして記憶部46にあらかじめ記憶させておき、主制御部45は、ブラシモータ34の入力電流値に基づいて、駆動モード判別テーブルを参照することにより、デフォルト動作テーブルにおける適合な駆動モードを決定することができる。ユーザの特定操作が操作部100aにより受け付けられた場合に、主制御部45は、前記特定操作の内容に基づいて、駆動モード変える。つまり、主制御部45は、前記特定操作の内容に基づいて、電動送風機15の駆動量とブラシモータ34の駆動量を変える。このような構成によっても、上述した第1の実施形態および第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
次に、いくつかの変形例について説明する。各変形例において、以下に説明する以外の構成は、上述した実施形態と同様である。変形例においては、同様の構成要素については、同じ参照符号を用いて説明する。以下の変形例は、上述した第1から第3の実施形態のいずれにも適用可能である。また以下に説明する学習データの算出情報として蓄積される「目標値(変更された目標値)」は、第1および第2の実施形態で説明した「特定操作により操作部に入力された指定値」と読み替えられてもよい。
【0074】
(第1変形例)
まず、第1変形例について説明する。
上記の実施形態においては、主制御部45は、記憶部46に記憶されたブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせを読み出し、ブラシモータ34の入力電流値の所定の範囲ごとに、電動送風機15の入力電力の目標値の平均値(電動送風機入力電力学習目標値)を導出し、図7に示されるような学習データの算出情報として記憶部46に記憶させるものとした、しかしながら、実施形態は、上記に限定されない。例えば、第1変形例の電気掃除機によれば、主制御部45は、記憶部46に記憶されたブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせに対して、回帰分析などの多変量分析や機械学習などの統計的解析処理を適用することにより、記憶部46に記憶されたブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせの相関を導出し、導出された相関を表す情報を記憶部46に記憶してもよい。例えば、ブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせについての相関曲線を導出し、相関曲線を表す関数の係数を記憶部46に記憶させてもよい。
【0075】
この際、ブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせのうち、外れ値や異常値を除外した上で、相関を表す情報を導出してもよい。例えば、外れ値や異常値の検出は、スミルノフ・グラブス検定などの外れ値や異常値検定手法を用いてもよいし、単純に数値を昇順または降順にソートして、上位と下位の一定の範囲(例えば、上位5%と下位5%の範囲)に入る値を除外するなどの簡易的な手法を用いて実現してもよい。または、外れ値や異常値を除外する代わりに、外れ値や異常値に対して、統計的解析処理を適用する際において影響を小さくする重み付け(小さい重み値を適用)してもよい。外れ値や異常値を統計的に検出する場合は、例えば、「判定すべき値についての偏差を不偏標準偏差で割った検定統計量」が、「過去に蓄積された前記学習データの算出情報に含まれる複数の前記目標値を統計的に処理することで得られる指標」の一例であり、「検定統計量の絶対値が有意点以下である」ことが「所定の条件」の一例である。
【0076】
第1変形例の電気掃除機において、主制御部45が、回帰分析などの多変量分析や機械学習などの統計的解析処理を適用し、ブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせの相関を表す情報を導出する際に、ブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせの相関の度合いを示す値(例えば、ピアソンの積率相関係数を二乗した値であるR-2乗値)などを導出してもよい。
【0077】
この場合、相関の度合いを表す情報(例えば、回帰曲線200のR-2乗値)が所定閾値未満であって、相関が十分高い学習データの算出情報(例えば、回帰曲線200の係数)を導出できていないと判定される場合、主制御部45は、図5に示されるような床面判別テーブルを参照して、電動送風機15のデフォルトの入力電力値を導出し、これを電動送風機入力電力目標値として電動送風機制御部40に与える。また、相関の度合いを表す情報(例えば、回帰曲線200のR-2乗値)が所定閾値以上であって、相関関係が十分高い学習データの算出情報(例えば、回帰曲線200の係数)を導出できていると判定される場合、主制御部45は、記憶部46に記憶された学習データの算出情報に基づいて、ユーザが好むと推定される電動送風機15の入力電力の目標値を導出し、これを電動送風機入力電力目標値として電動送風機制御部40に与える。これにより、相関が十分高い学習データの算出情報が学習できていると判定される場合のみに、記憶部46に記憶された学習データの算出情報に基づいて、ユーザが好むと推定される電動送風機15の入力電力の目標値を導出する。つまり、学習が不十分な段階では、床面判別テーブルに基づくデフォルトの入力電力値に従って電動送風機15の動作を制御する。このため、学習が不十分な段階に、電気掃除機1が不適切な動作をすることを抑制することができる。
【0078】
(第2変形例)
次に、第2変形例について説明する。
第2変形例の電気掃除機1においては、主制御部45は、ユーザが操作部100aのオンオフボタン102を操作して電気掃除機1の動作を開始させてから、再びオンオフボタン102を操作して電気掃除機1の動作を停止させるまでの時間が第1所定時間よりも短い場合(以下、短時間運転と呼ぶ)は、その間に、記憶部46に記憶されたブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせは、学習データの算出情報を導出する際の統計的解析処理からは除外する。または、短時間運転の間に記憶部46に記憶されたブラシモータ34の入力電流値とユーザによって設定された任意の入力電力値を除外する代わりに、短時間運転の間に記憶部46に記憶された入力電流と入力電力値に対して、統計的解析処理を適用する際における影響を小さくするための重み付け(より小さい重み値を適用)してもよい。ユーザは、電気掃除機1を必ずしも家全体の掃除のためではなく、例えば、ユーザが食べ物を床にこぼしてしまい、局所的にごみを吸い取るためにも使用する。そういった際の電気掃除機1はイレギュラーなパターンで使用されることが多いため、短時間運転においては、学習データの算出情報から除外するか重み付けを小さくする。尚、この際の第1所定時間は、例えば、30秒~数分程度であってよい。
【0079】
(第3変形例)
次に、第3変形例について説明する。
第3変形例の電気掃除機1においては、主制御部45は、ユーザが操作部100aのオンオフボタン102を操作して電気掃除機1の動作を開始させてから、再びオンオフボタン102を操作して電気掃除機1の動作を停止させるまでの時間が第1所定時間よりも短い場合であっても、オンオフボタン102を操作して電気掃除機1の動作を停止させてから次に再びオンオフボタン102を操作して電気掃除機1の動作を開始させるまでの時間が第2所定時間よりも短い場合(以下、断続運転と呼ぶ)は、その間に、記憶部46に記憶されたブラシモータ34の入力電流値とユーザによって設定された任意の入力電力値とを、学習データの算出情報を導出する際の統計的解析処理から除外しない。第2変形例では、例えば、ユーザが食べ物を床にこぼしてしまい、局所的にごみを吸い取る時の短時間運転を、学習データの算出情報から除外するか重み付けを小さくするとしたが、ユーザは家全体の掃除のために電気掃除機1を使う場合であっても、掃除の邪魔になるものを片付けるときなどに、一時的に、電気掃除機1を止めることがある。そのような際に、電気掃除機1が一時的に止められても、その前後の電気掃除機1の運転を連続した運転であると見なして、その際に得られた学習データの履歴情報は学習データの算出情報から除外されなくてもよい。尚、この際の第2所定時間は、電気掃除機1を一時的に止めて片付けをする時間として、例えば、30秒~数十分程度であってよい。
【0080】
(第4変形例)
次に、第4変形例について説明する。
上記の実施形態においては、調整用スイッチ108によって、電動送風機15の入力電力の目標値を調整し、主制御部45は、ブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせを学習して、学習データの算出情報として記憶部46に記憶させるものとした。しかしながら、操作部100aは、調整用スイッチ108に加えて、ブラシモータ調整用スイッチを更に備えていてよく、主制御部45は、ブラシモータ34の入力電流値と、調整用スイッチ108によって設定された電動送風機15の入力電力の目標値と、ブラシモータ調整用スイッチによって設定されたブラシモータ34の入力電力値とを学習データの履歴情報として記憶部46に記憶させ、学習データの履歴情報から学習データの算出情報を生成して記憶部46に記憶させてもよい。この場合、主制御部45は、学習データの算出情報に基づいて、ブラシモータ34と電動送風機15のいずれか1つ以上を制御することができる。
【0081】
(第5変形例)
次に、第5変形例について説明する。
第5変形例の電気掃除機1は、電気掃除機1を使用する複数のユーザをそれぞれ区別する。つまり、主制御部45は、記憶部46に記憶された、ブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせに対して、機械学習や、所定のアルゴリズムや、所定の分析手法などを適用することにより、電気掃除機1を使用する複数のユーザごとの傾向を判定して、それぞれのユーザごとに、ブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせを学習データの算出情報として記憶部46に記憶してもよい。このようにして、主制御部45は、記憶部46に学習データの算出情報として記憶されている複数のユーザごとに分けられた学習データの算出情報を参照することにより、ユーザが好むと推定される電動送風機15の入力電力の目標値を導出し、これを電動送風機入力電力目標値として電動送風機制御部40に与える。これにより、異なる好みを有する複数のユーザが電気掃除機1を使用する場合であっても、それぞれのユーザの好みに適した現在電気掃除機1の動作を実現することができる。
【0082】
(第6変形例)
次に、第6変形例について説明する。
上記の実施形態においては、主制御部45は、図6に示されるように、日時を表すタイムスタンプと、ブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせを学習データの履歴情報として記憶部46に記憶させるものとした。第6変形例の電気掃除機1においては、主制御部45は、ブラシモータ34の入力電流値の代わりに、ブラシモータ34の入力電流値から、ブラシモータ入力電力目標値を減算した値を、ブラシモータ増加電流値として導出する。そして、主制御部45は、タイムスタンプと、導出されたブラシモータ増加電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせを学習データの履歴情報として記憶部46に記憶させる。これにより、ブラシモータ34の予め任意に設定された所定の回転数(初期の回転数)が変化する場合であっても、ブラシモータ34の入力電流値とブラシモータ入力電力目標値の差分をブラシモータ増加電流値として導出するので、ブラシモータ34の負荷をより正確に判定することができる。
【0083】
(第7変形例)
次に、第7変形例について説明する。
図12は、上記の実施形態の第7変形例の電気掃除機1Aの回路構成の一部の一例を示す回路構成図である。図示されるように、第7変形例の電気掃除機1Aは、上記の実施形態の電気掃除機1と同様の構成を有するが、第7変形例の電気掃除機1Aは、塵埃センサ14を更に備える点が、上記の実施形態の電気掃除機1と異なる。塵埃センサ14は、本体ケース11に収容されている。塵埃センサ14は、延長管接続部18と集塵装置13との間に形成された吸気風路部に設けられている。塵埃センサ14は、集塵装置13へと吸い込まれる含塵空気中の塵埃量を検出する。塵埃センサ14は、例えば発光部と受光部とを備え、発光部からの発光量に対する受光部での受光量に基づいて、発光部と受光部の間を通過する塵埃の量(すなわち、電気掃除機1Aが吸引中の塵埃の量)を検出する。塵埃センサ14の検出結果は、主制御部45に出力される。
【0084】
上記の実施形態の第7変形例の電気掃除機1Aにおいては、主制御部45は、電流検出部35により検出されたブラシモータ34の入力電流値に基づいて、記憶部46に記憶された学習データの算出情報を参照することにより、ユーザが好むと推定される電動送風機15の入力電力の目標値を導出し、電動送風機入力電力目標値として電動送風機制御部40に与える際に、塵埃センサ14の検出結果を積算することにより得られる集塵量に基づいて、電動送風機入力電力目標値を補正する。具体的には、集塵量が多い場合には、主制御部45は、集塵量が少ない時よりも、電動送風機入力電力目標値を大きくするように補正し、集塵量が少ない場合には、主制御部45は、集塵量が多い時よりも、電動送風機入力電力目標値を小さくするように補正する。または、集塵量が閾値以上である場合には、主制御部45は、集塵量が閾値未満である場合よりも、電動送風機入力電力目標値を大きくするように補正し、集塵量が閾値未満である場合には、主制御部45は、集塵量が閾値以上である場合よりも、電動送風機入力電力目標値を小さくするように補正する。
【0085】
また、塵埃センサ14の検出結果は、学習に利用してもよい。例えば、主制御部45は、ブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)と、塵埃センサ14の検出結果に基づく重み付け情報の組み合わせを、学習データの履歴情報として記憶部46に記憶し、主制御部45は、電動送風機15の入力電力の目標値の平均値(電動送風機入力電力学習目標値)を導出する際に、塵埃センサ14の検出結果に基づく重み付け情報に従って、加重平均を計算してもよい。これにより、たくさんのごみを集塵できた時の、ブラシモータ34の入力電流値と、電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせにより高い重み付けを与えて、学習データの算出情報を生成することができるので、よりごみの集塵を行いやすい入力電力値で電動送風機15を動作させることができるので、電気掃除機1は、より効率的に集塵を行うことができる。
【0086】
(第8変形例)
次に、第8変形例について説明する。
第8変形例の電気掃除機は、第7変形例の電気掃除機1Aと同様の構成を有する。すなわち、電気掃除機1Aが吸引中の塵埃の量を検出する塵埃センサ14を備える。第8変形例の電気掃除機においては、主制御部45は、塵埃センサ14によって検出される電気掃除機1Aが吸引中の塵埃の量を積算し、記憶部46に累積集塵量として記憶させる。累積集塵量は、「既に集塵された塵埃の集塵量」の一例である。主制御部45は、累積集塵量に応じて、電動送風機入力電力目標値を補正するので、累積集塵量が多い場合に、電気掃除機1Aの吸引力は自動的に強くなる。電気掃除機1Aが集塵したごみを紙パックに集積する電気掃除機である場合は、累積集塵量が多くなると、吸引力が低下するため、累積集塵量に応じて、電動送風機入力電力目標値を補正することにより、この吸引力の低下を補うことができる。これにより、電気掃除機1Aは、累積集塵量に関わらず、安定した吸引力を提供することができるので、ユーザの利便性をより向上させることができる。
【0087】
(第9変形例)
次に、第9変形例について説明する。
図13は、上記の実施形態の第9変形例の電気掃除機1Bの回路構成の一部の一例を示す回路構成図である。図14は、上記の実施形態の第9変形例の電気掃除機1Bにおける角度センサ80の角度検出の一例である。図示されるように、第9変形例の電気掃除機1Bは、本実施形態の電気掃除機1と同様の構成を有するが、第9変形例の電気掃除機1Bは、角度センサ80を更に備える点が、本実施形態の電気掃除機1と異なる。角度センサ80は、ユーザ判定部の一例である。角度センサ80は吸込口体30に備えられ、吸込口体30の床面に平行な方向と、接続管32の長手方向(つまり、延長管20の長手方向)とが成す角度を検出し、主制御部45に出力するものである。図14は、角度センサ80による角度検出の一例を示す図である。例えば、図14の左側に示されるように、身長の低いユーザが電気掃除機で掃除をする場合は、角度センサ80は角度αを検出する。また、図14の右側に示されるように、身長の高いユーザが電気掃除機1Bで掃除をする場合は、角度センサ80は角度βを検出する。角度βは角度αより大きくなる。主制御部45は、角度センサ80の検出結果に基づいて、電気掃除機1Bを使用しているユーザの身長を判定し、推定したユーザの身長に基づいて、電気掃除機1Bを使用しているユーザを判定することができる。
【0088】
主制御部45は、角度センサ80の検出結果に基づいて、電気掃除機1Bを使用しているユーザを推定して推定されたユーザを表す情報(推定ユーザ識別情報)を導出し、学習データの算出情報を記憶部46に記憶させる際に、学習データの算出情報を推定ユーザ識別情報に関連づけて記憶部46に記憶させることができる。これにより、主制御部45は、現在電気掃除機1Bを使用していると推定されるユーザに関わる推定ユーザ識別情報に関連づけられた学習データの算出情報に基づいて、現在電気掃除機1Bを使用していると推定されるユーザが好むと推定される電動送風機15の入力電力の目標値を導出し、電動送風機入力電力目標値として電動送風機制御部40に与えることができる。これにより、異なる好みを有する複数のユーザが電気掃除機を使用する場合であっても、それぞれのユーザの好みに適した現在電気掃除機1Bの動作を実現することができる。
【0089】
(第10変形例)
次に、第10変形例について説明する。
図15は、上記の実施形態の第10変形例の設定部100Aの操作部の一例を示す模式図である。図示されるように、第10変形例の設定部100Aは、スライドスイッチ108Aを備える。スライドスイッチ108Aは、OFF、自動、フローリング、絨毯1、絨毯2、絨毯3の切替位置を有する。ユーザがスライドスイッチ108Aをフローリング、絨毯1、絨毯2、絨毯3のいずれか1つに切り替えた場合は、主制御部45は、床面判別テーブルに従って、スライドスイッチ108Aのそれぞれの切替位置に応じた、デフォルトの入力電力値で電気掃除機1を動作させる。この際、主制御部45は、ブラシモータ34の入力電流値と、スライドスイッチ108Aの切替位置との組み合わせを学習データの履歴情報として記憶部46に記憶させる。更に、主制御部45は、記憶部46に記憶された学習データの履歴情報に、回帰分析などの多変量分析や機械学習などの統計的解析処理を適用し、ブラシモータ34の入力電流値と、スライドスイッチ108Aの切替位置との相関を表す情報を導出して、学習データの算出情報として記憶部46に記憶させる。そして、ユーザがスライドスイッチ108Aを自動に切り替えた場合は、主制御部45は、電流検出部35によって検出されたブラシモータ34の入力電流値の検出結果(電流検出部35の検出結果)に基づいて、記憶部46に記憶された学習データの算出情報を参照し、ユーザが好むと推定される電動送風機15の入力電力の目標値を導出し、これを電動送風機入力電力目標値として電動送風機制御部40に与える。
【0090】
(第11変形例)
次に、第11変形例について説明する。
上記の実施形態と変形例では、主制御部45は、ブラシモータ34の入力電流値とユーザによって設定された電動送風機15の入力電力の目標値との組み合わせを表す情報を導出して、学習データの算出情報として記憶部46に記憶させた。しかしながら、実施形態と変形例は、上記に限定されない。主制御部45は、上記の実施形態の第8変形例の電気掃除機1Aにおける塵埃センサ14の検出結果と、上記の実施形態の第9変形例の電気掃除機1Bにおける角度センサ80の検出結果と、ブラシモータ34の入力電流値と、ユーザによって設定されたブラシモータ34の入力電力の目標値(変更された目標値)と、ユーザによって設定された電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)とのうち、2つ以上の組み合わせを表す情報を導出して、学習データの算出情報として記憶部46に記憶させてもよい。この場合、重回帰分析などの多変量分析や機械学習などの統計的解析処理を用いれば、多変数間の組み合わせを導出して学習データの算出情報を生成することができる。多くの変数に基づいて学習を行えば、ユーザの好みにより正確にマッチした制御を実現することができる。
【0091】
このような構成によっても、床面に応じた制御を行うことを容易にする電気掃除機を提供することができる場合がある。
【0092】
以上、複数の実施形態と複数の変形例について説明したが、例えば、各実施形態と各変形例における各構成は、互いに組み合わせることができる。また、実施形態は上記例に限定されない。例えば、床面の種別は、電流検出部35以外の検出結果に基づいて判定されてもよい。例えば、主制御部45は、電気掃除機1に搭載された画像センサで取得された画像を画像解析することで得られる情報や、予め記憶された床面のマップの情報に基づいて床面の種別を判定し、その判定結果に基づいて電動送風機15及びブラシモータ34に対する入力電力を変更してもよい。また、床面の種別の判定は、ブラシモータ34の回転数に基づいて行われてもよい。すなわち、電気掃除機1にブラシモータ34の回転数を検出する検出部を設け、この検出部により検出されたブラシモータ34の回転数の検出結果を、上記実施形態における電流検出部35の検出結果に代えて利用してもよい。この場合、例えば、モータ制御部36は、ブラシモータ34の回転数の検出結果に基づいて床面の種別を判定し、ブラシモータ34の回転数が第3閾値以上の場合に、電気掃除機1が第1種別の床面(例えばフローリング)を掃除中であると判定し、ブラシモータ34の回転数が第3閾値未満の場合に、電気掃除機1が第2種別の床面(例えば絨毯)を掃除中であると判定してもよい。そして、主制御部45は、その判定結果に基づいて電動送風機15及びブラシモータ34に対する入力電力を変更してもよい。
【0093】
また、電動送風機15の入力電力の目標値の平均値(電動送風機入力電力学習目標値)を導出する際には、外れ値や異常値を除外して計算を行ってもよい。外れ値や異常値の除外は、記憶部46に記憶される電動送風機15の入力電力の目標値を昇順または降順にソートして、上位と下位の一定の範囲(例えば、上位5%と下位5%の範囲)に入る値を除外するなどの簡易的な手法を採用してもよいし、統計的手法を用いて判定を行ってもよい。または、電動送風機15の入力電力の目標値の平均値(電動送風機入力電力学習目標値)と、対象値との差分の絶対値が、所定の外れ値判定閾値以下であるかどうかに基づいて、外れ値や異常値を判定してもよい。または、外れ値や異常値を除外する代わりに、外れ値や異常値に対して、平均値を計算する際において平均値への影響を小さくする重み付け(小さい重み値を適用)してもよい。例えば、図6の学習データの履歴情報において、2018/12/10 13:11における、電動送風機15の入力電力の目標値は外れ値または異常値として除外されることが好ましい。尚、「電動送風機15の入力電力の目標値の平均値(電動送風機入力電力学習目標値)と、対象値との差分の絶対値」が、「過去に蓄積された前記学習データの算出情報に含まれる複数の前記目標値を統計的に処理することで得られる指標」の一例であり、「電動送風機15の入力電力の目標値の平均値(電動送風機入力電力学習目標値)と、対象値との差分の絶対値が、所定の外れ値判定閾値以下である」ことが「所定の条件」の一例である。
【0094】
また、電動送風機15の入力電力の目標値の平均値(電動送風機入力電力学習目標値)を導出する際や、ブラシモータ34の入力電流値(負荷状態)と電動送風機15の入力電力の目標値(変更された目標値)との組み合わせの相関を導出する際に、タイムスタンプにおける時間帯や曜日に基づいて、外れ値や異常値を除外してもよい。外れ値や異常値の除外の方法は上記と同じである。
【0095】
尚、記憶部46は、学習データの算出情報を記憶していなくてもよい。すなわち、主制御部45は、記憶部46に記憶される学習データの算出情報によらず、駆動源の駆動状態を表示部100bに表示させて、ユーザの特定操作が操作部100aにより受け付けられた場合に、前記特定操作の内容に基づいて前記電動送風機15の駆動量に関する目標値が変更すればよい。
【0096】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、実施形態の電気掃除機は、前記検出部により検出された前記ブラシモータの負荷状態に基づいて前記駆動源の駆動量に関する目標値を推定し、推定された前記目標値に従って前記駆動源を駆動するとともに前記目標値に対応する前記駆動状態を前記表示部に表示させ、前記駆動状態を調整するユーザの特定操作が前記操作部により受け付けられた場合に、前記特定操作の内容に基づいて前記目標値を変更するので、床面にあわせて適切に制御を行うことを容易にすることができる。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0098】
1、1A、1B…電気掃除機、10…掃除機本体、11…本体ケース、12…把持部、13…集塵装置、14…塵埃センサ、15…電動送風機、16…二次電池、17…本体制御部、18…延長管接続部、20…延長管、21…第1端部、22…第2端部、30…吸込口体、30…吸込口体、31…吸込口体ケース、32…接続管、33…回転ブラシ、34…ブラシモータ、35…電流検出部、36…モータ制御部、37…吸込口、40…電動送風機制御部、41…第1スイッチングユニット、42…第2スイッチングユニット、45…主制御部、46…記憶部、50…制御部、80…角度センサ、100、100A…設定部、100a…操作部、100b…表示部、102…オンオフボタン、104…駆動モード選択ボタン、106…自動駆動モードボタン、108…調整用スイッチ、108A…スライドスイッチ、110…表示部、200…回帰曲線
図1
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