(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】目標探知システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F41G   7/30        20060101AFI20230320BHJP        
   F41G   7/22        20060101ALI20230320BHJP        
   B64C  39/02        20060101ALI20230320BHJP        
   B64D  47/00        20060101ALI20230320BHJP        
   G01S  13/46        20060101ALI20230320BHJP        
   B64U  80/30        20230101ALI20230320BHJP        
   B64U 101/17        20230101ALN20230320BHJP        
   B64U 101/20        20230101ALN20230320BHJP        
【FI】
F41G7/30 
F41G7/22 
B64C39/02 
B64D47/00 
G01S13/46 
B64U80/30 
B64U101:17 
B64U101:20 
(21)【出願番号】P 2019101528
(22)【出願日】2019-05-30
【審査請求日】2022-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤  賢
【審査官】長谷井  雅昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0210170(US,A1)    
【文献】特開2015-172561(JP,A)      
【文献】特開平07-190693(JP,A)      
【文献】特開2015-105777(JP,A)      
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41G      7/30
F41G      7/22
B64C    39/02
B64D    47/00
G01S    13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  目標を探知して追跡する飛翔体と、
  前記飛翔体と通信するレーダ装置と、
  前記飛翔体又は前記レーダ装置から前記目標の方向に送信される電波に対して、前記目標から反射される反射波を受信し、及び受信した反射波に関する受信情報を前記レーダ装置に送信する、無人航空機と、
を具備し、
  前記レーダ装置は、
  前記無人航空機から送信される前記受信情報を受信し、
  前記受信情報に基づいて前記目標に関する目標位置情報を生成し、
  前記目標位置情報を前記飛翔体に送信
し、
  
前記無人航空機は、
            
  前記レーダ装置から送信される位置情報に基づいて指定の位置に待機する、
            
目標探知システム。
【請求項2】
  前記レーダ装置は、
  前記飛翔体に対して、前記目標に関する第1の目標位置情報を送信し、
  前記受信情報に基づいて生成した前記目標位置情報を、前記第1の目標位置情報を更新した第2の目標位置情報として前記飛翔体に送信する、請求項1に記載の目標探知システム。
【請求項3】
  前記レーダ装置は、
  前記第1の目標位置情報に基づいて、前記無人航空機が待機すべき指定の位置を示す位置情報を生成し、
  生成した位置情報を前記無人航空機に送信する、請求項2に記載の目標探知システム。
【請求項4】
  前記飛翔体は、
  発射装置から発射される前に、前記レーダ装置から送信される前記第1の目標位置情報を受信し、
  前記発射装置から発射された後に、前記第1の目標位置情報に基づいて指定の方向に飛翔する、請求項2に記載の目標探知システム。
【請求項5】
  前記飛翔体は、
  前記目標の方向に電波を送信し、
  前記目標から反射される反射波を受信し、
  前記レーダ装置から送信される目標位置情報に基づいて、前記目標を探知して追跡する、請求項1に記載の目標探知システム。
【請求項6】
  目標を探知して追跡する飛翔体と、
  前記飛翔体と通信するレーダ装置と、
  前記飛翔体又は前記レーダ装置から前記目標の方向に送信される電波に対して、前記目標から反射される反射波を受信し、及び受信した反射波に関する受信情報を前記レーダ装置に送信する、無人航空機と
を具備する目標探知システムに適用する目標探知方法であって、
  前記レーダ装置は、
  前記無人航空機から送信される前記受信情報を受信し、
  前記受信情報に基づいて前記目標に関する目標位置情報を生成し、
  前記目標位置情報を前記飛翔体に送信
し、
  
前記無人航空機は、
            
  前記レーダ装置から送信される位置情報に基づいて指定の位置に待機する、
            
目標探知方法。
【請求項7】
  前記飛翔体は、
  前記目標の方向に電波を送信し、
  前記目標から反射される反射波を受信し、
  前記レーダ装置から送信される目標位置情報に基づいて、前記目標を探知して追跡する、請求項
6に記載の目標探知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明の実施形態は、目標を探知するための目標探知システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
  従来、遠方から到来する航空機等(以下、目標と呼ぶ)を探知する目標探知システムが開発されている。目標探知システムは、地上設置されたレーダ装置と、発射装置から発射される飛翔体が連携して目標探知を行うシステムである。飛翔体は、地上設置のレーダ装置と同様に電波を使用するレーダを含む。
【0003】
  飛翔体は、電波を送信して、目標からの反射波を受信して当該目標を探知する。ここで、当該目標のレーダ反射面積が小さい場合には、飛翔体から送信される電波に対する飛翔体への反射波の電力は弱く、それ以上に後方など別の方向に強く反射する。このため、遠方から到来する目標を、レーダ電波により探知することは困難になっている。従来では、飛翔体以外に複数のレーダ装置を含む目標探知システムにより、目標からの反射波を受信して当該目標を探知している。
【0004】
  従来の目標探知システムでは、飛翔体及び複数のレーダ装置が連携して、1つの目標に対して電波を送信するため、複数の目標が存在する場合にはレーダ装置のリソース不足になり、各目標を探知できない可能性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
  そこで、本実施形態の目的は、複数のレーダ装置を使用することなく、複数の目標を探知できる目標探知システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
  本実施形態の目標探知システムは、目標を探知して追跡する飛翔体と、前記飛翔体と通信するレーダ装置と、無人航空機とを具備する。前記無人航空機は、前記飛翔体又は前記レーダ装置から前記目標の方向に送信される電波に対して、前記目標から反射される反射波を受信し、及び受信した反射波に関する受信情報を前記レーダ装置に送信する。前記レーダ装置は、前記無人航空機から送信される前記受信情報を受信し、前記受信情報に基づいて前記目標に関する目標位置情報を生成し、前記目標位置情報を前記飛翔体に送信し、前記無人航空機は、前記レーダ装置から送信される位置情報に基づいて指定の位置に待機する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
            【
図1】実施形態に関する目標探知システムの構成を説明するためのブロック図。
 
            【
図2】実施形態に関する飛翔体の構成の一例を示すブロック図。
 
            【
図3】実施形態に関する目標探知処理を説明するためのフローチャート。
 
          
【発明を実施するための形態】
【0009】
  以下図面を参照して、実施形態を説明する。
[システム構成]
  
図1は、本実施形態の目標探知システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の目標探知システムは、目標8を探知して追跡する飛翔体1、発射装置6、レーダ装置7、及び複数の無人航空機10を含む構成である。目標8は、単一又は複数の航空機等の飛行物体であり、レーダ反射面積が小さい材質から構成されている。
 
【0010】
  発射装置6は、飛翔体1を発射させる装置であり、地上に設置されている。レーダ装置7はレーダ機能以外に、飛翔体1及び後述する無人航空機10のそれぞれと通信し、飛翔体1及び無人航空機10の飛行を制御する制御機能を含み、地上に設置されている。なお、発射装置6及びレーダ装置7は、飛翔体1及び無人航空機10を統制する統制装置に含まれる構成でもよい。なお、統制装置は、航空機や艦船に搭載タイプでもよい。
【0011】
  図2は、飛翔体1の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、飛翔体1は、目標8を探知して追跡するための誘導装置2を含む。誘導装置2は、レーダ機能を利用して電波を送受信し、目標8を探知するための目標探知装置4と、誘導信号を生成する目標追随装置5とを含む。目標探知装置4は、目標8の方向に電波(送信波)20を送信し、目標8からの反射波21を受信する。さらに、飛翔体1は、目標8の方向へ誘導するために、誘導装置2から出力される誘導信号に従って、飛翔体1の姿勢制御を実行する操舵装置3を含む。
 
【0012】
  図1に戻って、無人航空機10はそれぞれ例えばドローンを含む各種の無人航空機であり、それぞれがレーダ装置7と常時通信できる。無人航空機10は、GPSまたは慣性航法装置等の位置情報に基づいて、レーダ装置7から送信される指定の位置(座標位置)まで飛行して、ホバリング等により待機できる。無人航空機10は、待機している位置及び移動した位置を時系列的に認識できる。
 
【0013】
  さらに、無人航空機10はそれぞれ、電波を受信できる受信器11を搭載しており、レーダ装置7又は飛翔体1から送信される電波を受信できる。また、無人航空機10はそれぞれ、当該受信器11により、目標8からの反射波21を受信できる。無人航空機10はそれぞれ、当該受信器11により受信した目標8からの反射波21に基づいて、受信情報22を生成して、レーダ装置7に送信できる。受信情報22は、反射波21の受信タイミング、受信強度、反射波21の方向や、受信時間などを含む。
[目標探知処理]
  以下、
図1及び
図3のフローチャートを参照して、本実施形態の目標探知システムの動作を説明する。
 
【0014】
  本実施形態では、飛翔体1は、発射装置6に搭載されており、発射装置6から発射される前にレーダ装置7から目標位置情報を受信する(S1)。レーダ装置7は、所定の監視範囲内に到来する目標8を検知すると、当該目標8の予測位置を示す目標位置情報を生成して飛翔体1に送信する(
図1の23)。飛翔体1は、発射装置6から発射されると(S2)、レーダ装置7からの目標位置情報(23)に基づいて、目標8が存在する方向に電波20を送信する(S3)。次に、飛翔体1は、目標8からの反射波21を受信する(S4)。
 
【0015】
  ここで、本実施形態では、目標8はレーダ反射面積が小さい材質等から構成されているため、飛翔体1から送信される電波20に対する反射波21は、飛翔体1の方向には弱い反射波となる(S4を参照)。従って、飛翔体1は、搭載している目標探知装置4では、目標8からの十分な強度の反射波21を受信できず、目標8を探知できない状態である。なお、このような状態でも、飛翔体1は、目標8との距離が接近している場合には探知できる可能性がある。
【0016】
  一方、無人航空機10はそれぞれ、GPSまたは慣性航法装置等の位置情報を受信器11により受信し、レーダ装置7から送信される指定の位置でホバリング等により待機している(S11)。レーダ装置7は、目標8の予測位置を示す目標位置情報(23)に基づいて、無人航空機10毎に異なる位置情報を、無人航空機10のそれぞれに送信する。従って、無人航空機10はそれぞれ、待機する指定の位置が異なる。
【0017】
  無人航空機10はそれぞれ、搭載している受信器11により、レーダ装置7又は飛翔体1から送信される電波を受信できると共に、目標8からの反射波21を受信できる。ここで、無人航空機10の一部又は全部が、飛翔体1が存在する方向とは別の位置に存在していれば、無人航空機10は目標8から強い反射波21を受信できる(S12)。無人航空機10は、反射波21を受信できた場合には、目標8に関する受信情報22を生成して、レーダ装置7に送信する(S13)。前述したように、受信情報22は、反射波21の受信タイミング、受信強度、反射波21の方向や、受信時間などを含む。
【0018】
  レーダ装置7は、無人航空機10から受信した受信情報22に基づいて、目標8に関する以前の目標位置情報を更新した新たな目標位置情報を生成して、飛翔体1に送信する(
図1の23)。新たな目標位置情報は、受信情報22を送信した無人航空機10の位置や、受信した方向、時間等から算出したもので、目標8の位置や方向を示す情報である。
 
【0019】
  飛翔体1は、レーダ装置7から、更新された新たな目標位置情報(23)を受信する(S5)。飛翔体1は、受信した新たな目標位置情報(23)に基づいて、目標8を探知して追跡するように制御される。飛翔体1は、以上のような処理を繰り返すことで(S3~S5)、目標8からの強い反射波21を受信できる距離まで飛翔し、目標8を探知して追跡する(S6)。また、無人航空機10は、例えばレーダ装置7から送受信終了の指示があるまで(S14のYES)、前述の処理を繰り返す(S11~S13)。
【0020】
  以上のように本実施形態によれば、目標8はレーダ反射面積が小さいため、飛翔体1から送信される電波20に対する反射波21は、飛翔体1の方向には弱い反射波となる。従って、飛翔体1は、搭載している目標探知装置4では、目標8からの十分な強度の反射波21を受信できず、目標8を探知できない状態である。本実施形態では、レーダ装置7との通信に基づいて、複数の無人航空機10はそれぞれ、目標8の予測位置に基づいた指定の位置に待機している。レーダ装置7は、目標位置情報(23)に基づいて、無人航空機10毎に異なる位置情報を生成して、無人航空機10のそれぞれに送信する。従って、無人航空機10はそれぞれ、待機する指定の位置が異なる。
【0021】
  無人航空機10は、飛翔体1が存在する方向とは別の位置に存在していれば、目標8から強い反射波21を受信できる可能性がある。無人航空機10は、反射波21を受信できた場合には、目標8に関する受信情報22を生成して、レーダ装置7に送信する。従って、レーダ装置7は、受信情報22に基づいて、目標8に関する目標位置情報を更新して飛翔体1に送信できる。これにより、飛翔体1は、目標8からの強い反射波21を受信できる距離まで飛翔し、目標8を探知して追跡することが可能となる。
【0022】
  ここで、本実施形態によれば、レーダ装置7以外のレーダ装置は不要であり、複数の無人航空機10により、目標8から強い反射波21を受信する。従って、本実施形態の目標探知システムであれば、目標8が複数の場合でも、個数や位置の調整が可能な複数の無人航空機10と連携して、目標8のそれぞれからの反射波21を確実に受信できる。即ち、従来のシステムでは、複数のレーダ装置は地上設定であるため、個数及び位置設定の調整が困難であり、複数の目標が存在する場合にはレーダ装置のリソース不足になり、各目標を探知できない可能性が高くなる。
【0023】
  なお、本実施形態では、飛翔体1が目標8に電波を送信しているが、レーダ装置7が目標8に対して電波を送信する構成でもよい。この場合、無人航空機10は、レーダ装置7が送信した電波に対して、目標8からの反射波21を受信する。
【0024】
  また、無人航空機10は、ドローン等の空中に浮遊可能なタイプや、飛行する移動タイプのいずれでもよい。また、無人航空機10は、指定の位置にホバリングしながら待機可能なタイプでもよいし、指定の位置に地上設定されるタイプでもよい。
【0025】
  さらに、前述したように、発射装置6及びレーダ装置7が飛翔体1及び無人航空機10を統制する統制装置に含まれる構成の場合には、無人航空機10から送信される受信情報22は、レーダ装置7ではなく、当該統制装置に含まれる通信装置により受信してもよい。
【0026】
  本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
  1…飛翔体、2…誘導装置、3…操舵装置、4…目標探知装置、
  5…目標追随装置、6…発射装置、7…レーダ装置、8…目標、
  10…無人航空機、11…受信器。