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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】農業支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20120101AFI20230320BHJP
【FI】
G06Q50/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019121622
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021009455
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】武田 修司
(72)【発明者】
【氏名】吉本 良治
(72)【発明者】
【氏名】八尾 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】西川 知宏
(72)【発明者】
【氏名】平澤 一哉
【審査官】藤澤 美穂
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/004305(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/003851(WO,A1)
【文献】特開2000-014208(JP,A)
【文献】特開2008-278816(JP,A)
【文献】特開2011-254711(JP,A)
【文献】特開2017-102924(JP,A)
【文献】特開2017-224224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場における所定位置の農業データと前記圃場に設定された複数のエリアとの対応付けを行い且つ、対応付けた前記農業データを前記エリア毎のデータとして設定するデータ設定部と、
前記圃場の前記エリアを設定するエリア設定部と、
前記エリア毎の前記データを表示するマップ表示部と、
前記エリアに対応する前記データに対して、グループを設定するグループ設定部と、
前記グループ及び前記グループに対応する前記データの範囲を表示するグループ表示部と、
前記グループ毎に前記圃場の単位面積あたりに散布する散布物の設定散布量を入力する散布入力部と、
前記エリア毎に対応する前記データが含まれる前記グループに入力された前記設定散布量を設定する第1散布設定部と、
前記散布物に含まれる複数の化学成分の割合を入力する成分入力部と、
複数の前記化学成分の割合を取得する成分取得部と、
複数の前記化学成分の割合と前記グループ毎の前記設定散布量とに基づいて、前記グループ毎の前記設定散布量に含まれる複数の前記化学成分の成分量を算出する成分算出部と、
前記グループ毎の前記設定散布量に含まれる複数の前記化学成分の成分量を表示する成分表示部と、
複数の前記エリアに設定された前記設定散布量の前記散布物を散布するのにかかる前記グループ毎の費用を表示する費用表示部と、
を備え、
前記データ設定部は、前記エリア設定部によって設定されていた前記エリアが変更された場合、変更後の前記エリアと前記データとの対応関係を再設定し、
前記マップ表示部は、前記エリア毎の前記データに対応する前記グループを表示する第1圃場マップと、前記エリア毎の前記設定散布量に対応する前記グループを表示する第2圃場マップとを有し、
前記第1圃場マップと前記第2圃場マップと前記グループ表示部と前記散布入力部とを第1設定画面に表示し、前記グループ表示部と前記散布入力部と前記成分入力部と前記成分表示部と前記費用表示部と前記第1圃場マップを示す情報とを第2設定画面に表示する農業支援装置。
【請求項2】
複数の前記農業データを記憶するデータベースと、
複数の前記農業データのうち、選択された農業データを前記データベースから取得するデータ取得部と、
を備え、
前記データ設定部は、前記データ取得部により取得された前記農業データと複数の前記エリアとの対応付けを行い且つ、対応付けた前記農業データを前記エリア毎のデータとして設定し、
前記マップ表示部は、前記第1設定画面に表示される複数の前記第1圃場マップを有し、
前記グループ表示部は、前記第1設定画面で選択された前記第1圃場マップに対応する前記グループ及び前記グループに対応する前記データの範囲を表示する請求項1に記載の農業支援装置。
【請求項3】
前記散布物の名称を入力する名称入力部を備え、
前記名称入力部と、前記散布物に関する情報と、前記エリアの縦及び横の大きさを示すメッシュサイズとを、前記第2設定画面に表示する請求項1又は2に記載の農業支援装置。
【請求項4】
前記エリア設定部は、前記エリアを作成する基準線を受付け、受付けた基準線に基づいて、前記エリアを設定する請求項1~3のいずれかに記載の農業支援装置。
【請求項5】
前記エリア設定部は、前記複数のエリアのうち、前記圃場の端に対応するエリアの大きさが他のエリアの大きさと異なる場合、前記圃場の端に対応するエリアを削除して、当該エリアに隣接していた他のエリアを新たに前記圃場の端に対応するエリアに変更する請求項1~4のいずれかに記載の農業支援装置。
【請求項6】
前記マップ表示部は、前記データ設定部において前記データの設定に用いられた前記エリアとは異なる大きさのエリアを、前記圃場を示すマップに表示する請求項1~のいずれかに記載の農業支援装置。
【請求項7】
記グループ毎の前記設定散布量のいずれかを任意のエリアに設定する第2散布設定部を備え、
前記マップ表示部は、前記第2散布設定部によって前記任意のエリアに設定された前記設定散布量を前記圃場を示すマップに表示する請求項1~のいずれかに記載の農業支援装置。
【請求項8】
前記エリア設定部は、前記エリアの変更前の第1面積と、前記エリアの変更の第2面積とに基づいて、変更後の前記エリアに対応する前記データの値を決定する請求項1~7のいずれかに記載の農業支援装置。
【請求項9】
前記圃場に散布する前記散布物の前記設定散布量の合計を表示する総散布量表示部を備えている請求項1~8のいずれかに記載の農業支援装置。
【請求項10】
前記費用表示部は、前記圃場全体の前記設定散布量の前記散布物散布するのにかかる費用を表示する請求項1~9のいずれかに記載の農業支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業データを予め定められたメッシュ(エリア)毎に表示する技術として、特許文献1に示すものが知られている。
特許文献1の施肥マップ生成システムは、リモートセンシングによって得た圃場の画像データ及び環境光量データと、土壌中に含まれている肥料成分を分析して得た土壌サンプリングデータとに基づいて、調査地点における自然光の反射率と熱水抽出性窒素量との関係を求める熱水抽出性窒素量算出手段と、リモートセンシングセンシングによって得たデータに基づいて圃場における自然光の反射率を予め定めたメッシュ毎に算出する反射率算出手段と、調査地点における自然光の反射率と熱水抽出性窒素量との関係と、反射率算出手段で得た圃場のメッシュ毎の自然光の反射率のデータとに基づいて、圃場のメッシュ単位の熱水抽出性窒素マップを作成する第1の主題図作成手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-254711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、画像データ、環境光量データ、土壌サンプリングデータに基づいて、自然光の反射率を求め、メッシュ毎の自然光の反射率に基づいて、熱水抽出性窒素マップを作成している。ここで、圃場の形状は様々なであり、熱水抽出性窒素マップを作成する際のメッシュの大きさも様々なである。そのため、作成したメッシュ毎の熱水抽出性窒素マップが意図しないマップになってしまい、圃場においてメッシュ毎のデータが農作業の参考にするのが困難な場合がある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、実際の圃場及び農作業に対応したマップを得ることができる農業支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
農業支援装置は、圃場における所定位置の農業データと前記圃場に設定された複数のエリアとの対応付けを行い且つ、対応付けた前記農業データを前記エリア毎のデータとして設定するデータ設定部と、前記圃場の前記エリアを設定するエリア設定部と、前記エリア毎の前記データを表示するマップ表示部と、前記エリアに対応する前記データに対して、グループを設定するグループ設定部と、前記グループ及び前記グループに対応する前記データの範囲を表示するグループ表示部と、前記グループ毎に前記圃場の単位面積あたりに散布する散布物の設定散布量を入力する散布入力部と、前記エリア毎に対応する前記データが含まれる前記グループに入力された前記設定散布量を設定する第1散布設定部と、前記散布物に含まれる複数の化学成分の割合を入力する成分入力部と、複数の前記化学成分の割合を取得する成分取得部と、複数の前記化学成分の割合と前記グループ毎の前記設定散布量とに基づいて、前記グループ毎の前記設定散布量に含まれる複数の前記化学成分の成分量を算出する成分算出部と、前記グループ毎の前記設定散布量に含まれる複数の前記化学成分の成分量を表示する成分表示部と、複数の前記エリアに設定された前記設定散布量の前記散布物を散布するのにかかる前記グループ毎の費用を表示する費用表示部と、を備え、前記データ設定部は、前記エリア設定部によって設定されていた前記エリアが変更された場合、変更後の前記エリアと前記データとの対応関係を再設定し、前記マップ表示部は、前記エリア毎の前記データに対応する前記グループを表示する第1圃場マップと、前記エリア毎の前記設定散布量に対応する前記グループを表示する第2圃場マップとを有し、前記第1圃場マップと前記第2圃場マップと前記グループ表示部と前記散布入力部とを第1設定画面に表示し、前記グループ表示部と前記散布入力部と前記成分入力部と前記成分表示部と前記費用表示部と前記第1圃場マップを示す情報とを第2設定画面に表示する。
【0007】
前記農業支援装置は、複数の前記農業データを記憶するデータベースと、複数の前記農業データのうち、選択された農業データを前記データベースから取得するデータ取得部と、を備え、前記データ設定部は、前記データ取得部により取得された前記農業データと複数の前記エリアとの対応付けを行い且つ、対応付けた前記農業データを前記エリア毎のデータとして設定し、前記マップ表示部は、前記第1設定画面に表示される複数の前記第1圃場マップを有し、前記グループ表示部は、前記第1設定画面で選択された前記第1圃場マップに対応する前記グループ及び前記グループに対応する前記データの範囲を表示する。
前記農業支援装置は、前記散布物の名称を入力する名称入力部を備え、前記名称入力部と、前記散布物に関する情報と、前記エリアの縦及び横の大きさを示すメッシュサイズとを、前記第2設定画面に表示する。
【0008】
前記エリア設定部は、前記エリアを作成する基準線を受付け、受付けた基準線に基づいて、前記エリアを設定する。
前記エリア設定部は、前記複数のエリアのうち、前記圃場の端に対応するエリアの大きさが他のエリアの大きさと異なる場合、前記圃場の端に対応するエリアを削除して、当該エリアに隣接していた他のエリアを新たに前記圃場の端に対応するエリアに変更する。
前記マップ表示部は、前記データ設定部において前記データ設定部において前記データの設定に用いられた前記エリアとは異なる大きさのエリアを、前記圃場を示すマップに表示する。
【0009】
前記農業支援装置は、前記グループ毎の前記設定散布量のいずれかを任意のエリアに設定する第2散布設定部を備え、前記マップ表示部は、前記第2散布設定部によって前記任意のエリアに設定された前記設定散布量を、前記圃場を示すマップに表示する。
前記エリア設定部は、前記エリアの変更前の第1面積と、前記エリアの変更の第2面積とに基づいて、変更後の前記エリアに対応する前記データの値を決定する。
【0010】
前記農業支援装置は、前記圃場に散布する前記散布物の前記設定散布量の合計を表示する総散布量表示部を備えている。
前記費用表示部は、前記圃場全体の前記設定散布量の前記散布物散布するのにかかる費用を表示する費用表示部を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、実際の圃場及び農作業に対応したマップを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態における農業支援システムを示す図である。
図2】設定画面T1を示す図である。
図3】データDn、D2nと、グループとの関係を示す図である。
図4】一覧表T2を示す図である。
図5】設定画面T6の一例を示す図である。
図6A】設定圃場の輪郭H1に対してエリアQnの境界線を平行にした例を示す図である。
図6B】設定圃場の輪郭H1に対してエリアQnの境界線を斜めにした例を示す図である。
図7A】エリアQnの大きさが他のエリアQnよりも小さくなった例を示す図である。
図7B】エリアQnの大きさを修正した例を示す図である。
図8】データDnを求める一例である。
図9】面積按分を説明する図である。
図10】設定画面T8の一例を示す図である。
図11】設定画面T9の一例を示す図である。
図12】表示メッシュを変更した場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、農業支援装置1を示している。農業支援装置1は、例えば、散布物の散布に関する支援を行うシステムである。散布物(散布剤)は、例えば、薬剤(農薬)、肥料等である。
図1に示すように、農業支援装置1は、スマートフォン、タブレット等の携帯端末5、パーソナルコンピュータ等の固定端末6が接続されるサーバである。農業支援装置1は、データベース2を備えている。データベース2は、農業に関する様々な農業データを記憶している。農業データは、作物成分データ、土壌データ、収量データ、生育データである。土壌データ、収量データ及び生育データは、例えば、リモートセンシング等によって得られたデータである。
【0014】
作物成分データは、例えば、作物の水分量(水分含有量)、作物の食味(タンパク含有量)等であり、例えば、作物を収穫するときに収穫機等から得られるデータである。土壌データは、土壌の化学成分を示すデータであり、土壌採取機で土壌を採取して分析器によって得られたデータである。収量データは、収穫物の重量(収量)であり、例えば、作物を収穫機で収穫した際に得られるデータである。
【0015】
生育データは、作物の生育状況を示すデータであり、例えば、マルチコプター等の無人飛行体で作物を撮像して、撮像した撮像画像を解析することで、DVI、RVI、NDVI、GNDVI、SAVI、TSAVI、CAI、MTCI、REP、PRI、RSI等の植生指標などにより表されるデータである。
農業データ(作物成分データ、土壌データ、収量データ、生育データ)は、いずれも位置情報(例えば、緯度、経度)とデータ値とが対応付けられたデータである。以下、農業データには、位置情報が含まれているとして説明を進める。
【0016】
農業支援装置1は、農業データ(作物成分データ、土壌データ、収量データ、生育データ)に基づいて、散布計画を作成することができる。散布計画とは、少なくとも所定の圃場において、圃場内のどの部分にどれだけの散布量の散布物(肥料、薬剤等)を散布するかを設定する計画である。
例えば、携帯端末5及び固定端末6のいずれかが農業支援装置1に接続すると、農業支援装置1は、図2に示すように、携帯端末5及び固定端末6のモニタ等の表示部に散布計画を立てるための設定画面T1を表示する。
【0017】
設定画面T1は、エリアQn毎のデータDnを表示可能なマップ表示部と、基本表示部53と、散布設計部54とを含んでいる。マップ表示部は、第1表示部51と、第2表示部52とを含んでいる。
第1表示部51は、散布計画を作成するに際して、参照するデータから得られるマップを表示する。例えば、第1表示部51は、農業データ(作物成分データ、土壌データ、収量データ、生育データ)のそれぞれに基づいて、個別に作成された第1圃場マップ[作物成分マップ(水分マップ、食味マップ等)、土壌マップ、収量マップ、生育マップ]M1をそれぞれ表示する。
【0018】
第1表示部51に複数の第1圃場マップM1を表示した場合、当該第1表示部51上で、複数の第1圃場マップM1のうち、任意の第1圃場マップM1を選択可能である。説明の便宜上、第1表示部51で選択された第1圃場マップM1のことを「選択圃場マップ」という。
第1圃場マップM1は、1つの圃場内を複数のエリアQn(n=1,2,3・・・n)に区分したメッシュ型のマップである。また、第1圃場マップM1は、複数のエリアQnにそれぞれ対応するデータDn(n=1,2,3・・・n)に対して、当該データDnの大きさ(値)に応じて、複数のグループ(複数のランク)が割り当てられたマップである。即ち、第1圃場マップM1においては、複数のエリアQn毎に、予め割り当てられたグループ(ランク)が識別できるように、グループ(ランク)が色、数値、文字等で示されている。図2の例の場合、第1圃場マップM1の複数のエリアQn内に示した数値がグループを示している。
【0019】
例えば、図3に示すように、データDnは、数値に応じて5段階のグループに分けられ、最も数値が小さなグループが「第1グループG1」、最も数値が大きいグループが「第5グループ」に割り当てられている。「第1グループG1」から「第5グループG5」の間に、数値の大きさの低いグループから順に、「第2グループG2」、「第3グループG3」、「第4グループG4」が割り当てられている。なお、データDnを、どれだけのグループに分けるかは任意であって、上述した例に限定されない。図3に示した数値は、グループ分けを説明するための数値であり、限定されない。
【0020】
第2表示部52は、第1表示部51に表示された第1圃場マップM1に基づいて設定された散布量を含む第2圃場マップ(散布量マップ)M2を表示する。第2圃場マップM2は、第1表示部51と同様に、1つの圃場内を複数のエリアQnに区分したメッシュ型のマップであって、メッシュ幅(エリアの幅)の長さ、メッシュ数(エリアの数)は、第1圃場マップM1に対応して当該第1圃場マップM1と同様に設定されている。第2圃場マップM2は、複数のエリアQnに対応するデータDnの大きさ(値)に応じて、複数のグループが割り当てられたマップである。即ち、第2圃場マップM2においては、複数のエリアQn毎に、予め割り当てられたグループ(ランク)が識別できるように、グループ(ランク)が色、数値、文字等で示されている。図2の例の場合、第1圃場マップM1の複数のエリアQn内に示した数値がグループを示している。
【0021】
例えば、図3に示すように、データDnは、数値に応じて5段階のグループに分けられ、最も数値が小さなグループが「第1グループG1」、最も数値が大きいグループが「第5グループG5」に割り当てられている。「第1グループG1」から「第5グループG5」の間に、数値の大きさの低いグループから順に、「第2グループG2」、「第3グループG3」、「第4グループG4」が割り当てられている。即ち、データDnに対応して割り当てられたグルーブ数と、データDnに対応して割り当てられたグルーブ数とは一致している。なお、データDnを、どれだけのグループに分けるかは任意であって、上述した例に限定されない。図3に示した数値は、グループ分けを説明するための数値であり、限定されない。
【0022】
基本表示部53は、施肥計画を設定する圃場に関する情報(圃場情報)を表示する。基本表示部53は、農業支援装置1に登録された圃場名、圃場面積が表示される。また、基本表示部53には、第1表示部51に表示された第1圃場マップM1において、選択圃場マップM1の基本情報を表示してもよい。例えば、選択圃場マップM1が収量マップである場合、基本情報として、作物を収穫した日時、作物を収穫した収穫機の名称、型番等が表示される。
【0023】
散布設計部54は、散布量を設定するのに必要な情報を入力可能な部分であって、名称表示部54a、グループ表示部54b、散布入力部(入力部)54c、費用表示部54dを有している。
名称表示部54aは、第1表示部51で選択された第1圃場マップ(選択圃場マップ)M1の名称、第2圃場マップM2の名称を表示する。グループ表示部54bは、第1圃場マップ(選択圃場マップ)M1で設定された複数のグループを表示する。また、グループ表示部54bは、各グループに対応するデータDnの範囲、即ち、データDnのグループに分けるための基準値を表示する。
【0024】
散布入力部54cは、グループ毎に設定する設定散布量を入力する部分である。散布入力部54cは、第1グループG1に対応する設定散布量P1を入力する第1入力部と、第2グループG2に対応する設定散布量P2を入力する第2入力部と、第3グループG3に対応する設定散布量P3を入力する第3入力部と、第4グループG4に対応する設定散布量P4を入力する第4入力部と、第5グループG5に対応する設定散布量P5を入力する第5入力部とを含んでいる。なお、散布入力部54cに入力される値(設定散布量)は、単位面積当たりの散布量であってもよいし、その他に任意に決められる値を入力してもよい。
【0025】
費用表示部54dは、散布物の散布にかかる費用(散布費用)を表示する。例えば、散布費用は、散布入力部54cに入力された設定散布量から散布物の購入費用をグループ毎に求めた費用も含まれる。
農業支援装置1は、例えば、1kg当たりの散布物の金額から、グループ毎の散布物の購入肥料を算出して、グループ毎の購入費用を求める。費用表示部54dは、グループ毎の購入費用から得られたグループ毎の散布費用したり、グループ毎の購入費用を合計することにより求めた圃場全体の散布物の購入費用(全体購入費用)から得られた全体の散布費用を表示する。つまり、費用表示部54dは、グループ毎の散布物の散布にかかる散布費用又は圃場全体の散布にかかる散布費用を表示する。なお、散布費用は、散布物の散布量などを用いて求めればよく、購入費用だけでなく、運搬費用、人件費、その他の様々な費用を含む入力をしてもよい。
【0026】
また、農業支援装置1は、グループ毎に設定する設定散布量からグループ毎のそれぞれの総散布量を計算する(総散布量=圃場における所定のグループの総数×設定散布量)。設定画面T1の総散布量表示部54fは、総散布量(グループ毎の総散布量)を表示する。なお、上述した実施形態では、総散布量表示部54fは、グループ毎の総散布量を表示していたが、圃場の全体の散布量(グループ毎の総散布量を合計した散布量)を総散布量として表示してもよい。
【0027】
したがって、管理者、作業者等は、携帯端末5及び固定端末6のいずれかに表示された設定画面T1によって、圃場における散布量を所定のエリア毎に設定することができる。
次に、設定画面T1の操作時等における農業支援装置1の動作、散布計画(散布量の設定)の作成方法について詳しく説明する。
図1に示すように、農業支援装置1は、データ取得部11Aと、エリア設定部11Bと、データ設定部11Cとを有している。データ取得部11A、エリア設定部11B及びデータ設定部11Cは、農業支援装置1に設けられた電気・電子部品、電気回路、当該農業支援装置1に格納されたプログラム等から構成されている。
【0028】
データ取得部11Aは、複数の農業データ(作物成分データ、土壌データ、収量データ、生育データ)のうち、少なくとも1つの農業データを取得する処理を実行する(取得ステップ)。例えば、設定画面T1において、マップ呼び出しボタン59を、マウス、キーボード等の入力インタフェースによって選択すると、データ取得部11Aが起動することで取得ステップが開始され、当該データ取得部11Aは、農業支援装置1のデータベース2を参照して、図4に示すように、農業データ(作物成分データ、土壌データ、収量データ、生育データ)の一覧表T2を携帯端末5及び固定端末6のいずれかに表示する。一覧表T2の中から1つの農業データが選択されると、データ取得部11Aは、一覧表T2から選択された農業データをデータベース2から呼び出すことで、データベース2から1つの圃場に対応する農業データ(以降、圃場データということがある)を取得し、取得ステップは終了する。
【0029】
エリア設定部11Bは、データ取得部11Aが取得した農業データ(圃場データ)に対応する圃場(設定圃場ということがある)に対して、エリアQnの設定を行う処理(エリア設定処理)を行う。エリア設定処理では、基本表示部53のサイズ入力部60に入力されたメッシュサイズ(設定メッシュ)と、予め設定された基準線L1とに基づいて、設定圃場を複数のエリアQnに分割する処理を行う。
【0030】
例えば、設定画面T1に表示されたエリア設定ボタン61が選択されると、図5に示すように、エリアQnを設定する設定画面T6が表示される。設定画面T6では、設定圃場の形状、即ち、輪郭H1が表示される。また、設定画面T6において、基準設定ボタン62が選択されると、設定画面T6において、ポインタ63が表示される。
エリア設定部11Bは、ポインタ63において、設定圃場上の任意の点を選択すると、選択したポイントUi(i=1,2,3・・・i,選択した回数)の位置を保持する。また、エリア設定部11Bは、ポイントUiを結ぶ直線を基準線L1に設定する。
【0031】
例えば、図5に示すように、設定圃場上において、2つのポイントU1,U2が選択されると、エリア設定部11Bは、それぞれのポイントU1,U2を保持する。エリア設定部11Bは、ポイントU1、U2を結ぶ直線を基準線L1に設定する。エリア設定部11Bは、基準線L1に平行で且つ基準線L1からメッシュサイズの値だけ離れた位置に、エリアQnにおける1つ目の境界線(平行境界線)L2を設定する。また、エリア設定部11Bは、境界線(平行境界線)L2を基準線L1と平行に且つメッシュサイズの値だけ離れた位置に複写を行うことで、設定圃場上において、基準線L1に平行な複数の境界線(平行境界線)L2を作成する。
【0032】
また、エリア設定部11Bは、複数の境界線(平行境界線)L2のそれぞれに直交し且つ間隔がメッシュサイズである複数の境界線(直行境界線)L3を作成する。そして、エリア設定部11Bは、平行境界線L2と直交境界線L3とで囲まれる複数の領域を、エリアQnとして設定する。
以上のように、エリア設定部11Bは、基準線L1を受付け、受付けた基準線L1に基づいて、エリアQnを設定する。なお、選択圃場において、ポイントUiの位置を任意に変更することによって、図6Aに示すように、設定圃場の輪郭H1に対して、エリアQnの境界線L2,3を平行にしたり、図6Bに示すように、設定圃場の輪郭H1に対して、エリアQnの境界線L2,3を斜めにすることができる。
【0033】
さて、設定圃場において、エリアQnの設定において、設定圃場の長さL10、縦及び横の長さL10のいずれかがメッシュサイズの整数倍にならない場合がある。このような場合、図7Aの矢印W1に示すように、設定圃場の輪郭H1に対応するエリアQnの大きさが、他のエリアQnの大きさよりも小さくなることがある。
エリア設定部11Bは、設定圃場の長さ(縦、横)L10がメッシュサイズの整数倍にならない場合(設定圃場の輪郭H1に対応するエリアQnの大きさが、他のエリアQnの大きさよりも小さくなる場合)は、設定圃場の輪郭(端)H1に対応するエリアQnを変更する。
【0034】
例えば、図7Aに示すように、設定圃場の輪郭(端)H1に対応するエリアQnがエリアQ1~Q5であり、エリアQ1~Q5の大きさが他のエリアQnと異なる場合、図7Bに示すように、エリア設定部11Bは、エリアQ1~Q5を削除して、エリアQ1~Q5に隣接するエリアQ6~Q10を、新たにQ1~Q5に割り当てることで、エリアQnの再設定を行う。このように、エリアQnを変更することによって、設定圃場の輪郭(端)H1に対応するエリアQnにおける施肥量等の数値が極端に小さくなることを防止することができる。
【0035】
データ設定部11Cは、エリア設定部11Bによって設定されたエリアQnと、所定位置の農業データとの対応付けを行うと共に、対応付けた農業データをエリアQn毎のデータとして設定する。
図8に示すように、データ設定部11Cは、1つのエリアQnに入る農業データFi(i=1,2,3・・・i)が複数ある場合には、例えば、エリアQnに入る農業データFiを平均し、平均値をエリアQnに対応するデータDnとして割り当てる。また、エリア設定部11Bは、1つのエリアQnに入る農業データFi(i=1)が1つである場合には、当該農業データFi(i=1)をエリアQnに対応するデータDnとして割り当てる。
【0036】
さて、図6Aに示すように、設定圃場に対してエリアQnが設定され、当該エリアQnにデータDnが割り当てられた状況において、図6Aから図6BにエリアQnが変更された場合、即ち、エリア設定部11Bによって設定されていたエリアQnが変更された場合、データ設定部11Cは、変更後のエリアQnと、データDnとの対応関係を再設定する。
【0037】
つまり、変更前のエリアQnを「変更前エリアQn」、変更前エリアQnに対応するデータDnを「変更前データDn」、図7Bに示す変更後のエリアQnを「変更後エリアQn」、変更後エリアQnに対応するデータDnを「変更後データDn」とした場合、エリア設定部11Bは、変更前データDn等を用いて、変更後データDnの設定を行う。
具体的には、データ設定部11Cは、変更前エリアQnの面積(第1面積S1n)と、変更後エリアQnの面積(第2面積S2n)と、変更前データDnとの面積按分を用いて、変更後データDnを求める。即ち、データ設定部11Cは、変更前エリアQnと変更後エリアQnとを重ね合わせたときの面積比率と、変更前データDnとによって、変更後データDnの値を求める。例えば、図9に示すように、変更後エリアQnの所定のエリアを「エリアB1」とし、エリアB1に重なる変更前のQnの所定のエリアを「エリアA1~エリアA4」とした場合、エリアA1に重なるエリアB1の面積SaとエリアA1の面積との面積比率K1、エリアA2に重なるエリアB1の面積SbとエリアA2の面積との面積比率K2、エリアA3に重なるエリアB1の面積ScとエリアA3の面積との面積比率K3、エリアA4に重なるエリアB1の面積SdとエリアA4の面積との面積比率K4のそれぞれに対して、エリアA1~エリアA4の変更前データDnの値を積算することにより、エリアB1に対応する変更後データDnの値を求める。
【0038】
図1に示すように、農業支援装置1は、第1散布設定部11Dと、グループ設定部12とを備えている。第1散布設定部11D及びグループ設定部12は、農業支援装置1に設けられた電気・電子部品、電気回路、当該農業支援装置1に格納されたプログラム等から構成されている。
グループ設定部12は、エリア設定部11Bで割り当てられたエリアQn毎のデータDnに対して、グループを設定する。図3に示すように、農業支援装置1に、予めグループ数とグループ毎の基準値(上限値、下限値)との関係を示すグループ設定情報が記憶されている場合、グループ設定部12は、グループ設定情報を参照し、データDnとグループ毎の基準値とを比較して、データDn毎にグループを割り当てることで、グループを設定する。
【0039】
図2に示すように、第1表示部51は、エリア設定部11Bで割り当てられたエリアQn毎のデータDnを、第1圃場マップM1として表示する(第1表示ステップ)。第1表示部51は、グループ設定部12により設定されたデータDn毎のグループを示す情報(数字、文字、色等)を設定画面T1に表示する。
なお、この実施形態では、データDnの表示に関して、当該データDnを基準値に基づいて、複数のグループに分けて、グループを示す情報を設定画面T1に表示することによって、エリアQn毎にデータDnを表示しているが、データDnのそのものの値を設定画面T1に表示してもよい。
【0040】
また、第1表示部51は、第1圃場マップM1がどの圃場であるかを、データDnの元である圃場データに含まれる位置(緯度、経度)から圃場名を割り出し、割り出した圃場名を、基本表示部53に表示する。これにより、第1表示部51によって表示した第1圃場マップM1を基本表示部53を見ることにより把握することができる。
なお、圃場データのファイル名と圃場名とが対応付けられている場合は、第1表示部51は、圃場データのファイル名から圃場名を特定して、特定した圃場名を基本表示部53に表示してもよい。
【0041】
第1散布設定部11Dは、第1圃場マップM1におけるエリアQn毎のデータDnに基づいて、散布物の散布量をエリアQn毎に設定する(散布設定ステップ)。例えば、第1散布設定部11Dは、グループ毎に定められた設定散布量に応じて、エリアQn毎の散布量を設定する。第1散布設定部11Dは、散布入力部54cに入力されたグループ毎の設定散布量を「Pi(i=グループの番号を示す)」とした場合、設定散布量PiをエリアQn毎の散布量Riとする。
【0042】
詳しくは、第1散布設定部11Dは、グループが5つの場合、第1グループG1の設定散布量P1をエリアQn毎の散布量R1、第2グループG2の設定散布量P2をエリアQn毎の散布量R2、第3グループG3の設定散布量P3をエリアQn毎の散布量R3、第4グループG4の設定散布量P4をエリアQn毎の散布量R4、第5グループG5の設定散布量P5をエリアQn毎の散布量R5に設定する。
【0043】
即ち、第1散布設定部11Dは、エリアQn毎の散布量Piと、第2圃場マップM2のエリアQnに対応するデータDnとを対応付ける(エリアQn毎の散布量Pi=データDn)。言い換えれば、第1散布設定部11Dは、エリアQn毎の散布量Piも、農業データに含まれるデータDnとして設定する。
第2表示部52は、第1散布設定部11Dで設定されたエリアQn毎の散布量Pi(データDn)を、圃場の位置に対応させて第2圃場マップM2として表示する。即ち、第1散布設定部11Dで設定されたエリアQnに対応するデータDnを予め設定されたグループに分けて、エリアQn毎に、データDnのグループを示す情報(数字、文字、色等)を、設定画面T1に表示する。
【0044】
なお、この実施形態では、データDnの表示に関して、当該データDnを、複数のグループに分けて、グループを示す情報を設定画面T1に表示することによって、エリアQn毎にデータDnを表示しているが、データDn(エリアQn毎の散布量Pi)のそのものの値を設定画面T1に表示してもよい。なお、第2表示部52で表示されるエリアQnは、エリア設定部11Bで設定されたエリアQnと同じである。即ち、エリア設定部11Bにおいて、エリアQnの設定が変更された場合は、第2表示部52で表示されるエリアQnの形状も変更される。
【0045】
上述した実施形態では、散布計画を作成するに際して、グループ毎の基準値(上限値、下限値)は、予め農業支援装置1に記憶されているとしていたが、基準値を自由に変更できるようにしてもよい。
さて、上述した実施形態では、グループ毎に設定散布量を表示していたが、これに加えて、散布物の化学成分を表示するようにしてもよい。
【0046】
農業支援装置1は、成分取得部15と、成分算出部16とを備えている。成分取得部15及び成分算出部16は、農業支援装置1に設けられた電気・電子部品、電気回路、当該農業支援装置1に格納されたプログラム等から構成されている。
図10に示すように、携帯端末5及び固定端末6のいずれかを操作して、農業支援装置1に対して、所定の指令を行うと、農業支援装置1は、設定画面T8を表示する。
【0047】
設定画面T8は、散布物の名称を入力する名称入力部100と、散布物の化学成分を入力する成分入力部101とを含んでいる。成分入力部101には、散布物の窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)等の三大要素を入力することが可能である。成分取得部15は、設定画面T8において、成分入力部101に化学成分が入力されると、入力された窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)の成分を取得する。
【0048】
設定画面T8は、グループ毎における設定散布量Piを任意に入力する散布入力部54cと、散布入力部54cに入力された設定散布量Piに対応する成分量Viを表示する成分表示部54eとを含んでいる。
成分算出部16は、散布入力部54cに入力された設定散布量Piに、成分入力部101に入力された化学成分(%)を乗算することにより、設定散布量Piに対応する成分量Viを演算する。
【0049】
例えば、図10に示すように、成分入力部101に入力された窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)の値が14%、設定散布量P1(i=1)が30kgの場合、成分算出部16は、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)の成分値V1(i=1)はいずれも4.2kgであると計算する。成分表示部54eは、化学成分の表記(窒素(N)、リン(P)、カリウム(K))と共に、成分算出部16が計算した成分値V1である4.2kgを、グループに対応させて表示する。
【0050】
上述した実施形態では、例えば、エリアQ1の設定散布量P1は、同一のエリアQ1のデータDnの大きさによって決められるグループによって設定される。即ち、エリアQ1において第1グループG1が割り当てられた場合、エリアQ1には、第1グループG1以外の第2グループG2~第5グループG5の設定散布量P2~P5は、設定することができない。ここで、例えば、第1グループG1~第5グループG5が設定された場合、任意のエリアQnに第1グループG1~第5グループG5に対応する設定散布量P1~P5を設定できるようにしてもよい。
【0051】
農業支援装置1は、第2散布設定部17を備えている。第2散布設定部17は、農業支援装置1に設けられた電気・電子部品、電気回路、当該農業支援装置1に格納されたプログラム等から構成されている。第2散布設定部17は、グループ毎に設定された設定散布量Piを任意のエリアに設定する。
図11に示すように、携帯端末5及び固定端末6のいずれかを操作して、農業支援装置1に対して、所定の指令を行うと、第2散布設定部17は、設定画面T9を表示すると共に、設定画面T9の処理を行う。
【0052】
設定画面T9は、散布量表示部110と、第3表示部115とを含んでいる。散布量表示部110は、上述したようにグループ毎に設定された設定散布量Piを表示する。また、散布量表示部110は、複数の設定散布量Piのうち、所定の設定散布量Piを選択する選択部111を表示する。
第2散布設定部17は、選択部111で選択された設定散布量Piを保持する。例えば、選択部111において、設定散布量P3が選択中は、選択された設定散布量P3を保持する。
ここで、携帯端末5及び固定端末6のいずれかを操作すると、第2散布設定部17は、ポインタ116を表示させる。ポインタ116は、第3表示部115に表示された複数のエリアQnうち、所定のエリアQnを指定するものである。
【0053】
第2散布設定部17は、複数のエリアQnうち、例えば、ポインタ116によってエリアQ3が選択されると、選択されたエリアQ3に保持中の設定散布量Piを割り当てる。上述したように、設定散布量P3が保持されている場合は、第2散布設定部17は、設定散布量P3をエリアQ3に割り当てる。このように、第2散布設定部17は、選択部111で選択された設定散布量Piを、ポインタ116で選択された任意のエリアQnに割り当てる処理を行う。
【0054】
第3表示部115は、データを表示するマップ表示部の1つであって、エリアQnを表示すると共に、エリアQnに割り当てられた設定散布量Piを表示する。例えば、第3表示部115は、エリアQn毎に、予め割り当てられたグループ(ランク)が識別できるように、エリアQnの設定散布量Piに対応するグループ(ランク)を色、数値、文字等で表示する。なお、第3表示部115は、設定散布量Piの数値を直接表示してもよい。
【0055】
上述した実施形態では、マップ表示部(第1表示部51、第2表示部52、第3表示部115)では、設定散布量等のデータDnを表示する際には、境界線L2,L3を示すことでデータDnに対応するエリアQnを表示していたが、これに代えて、データDnは、そのままに、エリアQnとは異なる大きさのエリアZnを表示してもよい。言い換えれば、マップ表示部(第1表示部51、第2表示部52、第3表示部115)において、データDnを表示する際は、エリアQnを構成するメッシュとは異なるメッシュを表示する。
【0056】
図2に示すように、設定画面T1、設定画面T8は、表示メッシュを入力する表示メッシュ入力部64を有している。表示メッシュは、エリアZnの縦及び横の大きさを示す数値である。
表示メッシュ入力部64に、サイズ入力部60に入力されたメッシュサイズ(設定メッシュ)とは異なる大きさのメッシュサイズ(表示メッシュ)を入力すると、図12に示すように、マップ表示部(第1表示部51、第2表示部52、第3表示部115)は、設定メッシュではなく、表示メッシュに応じた境界線L4,L5で構成されるエリアZnを表示する。
【0057】
なお、表示メッシュの値と、設定メッシュの値とが同じである場合、マップ表示部(第1表示部51、第2表示部52、第3表示部115)は、表示メッシュに対応するエリアZnを表示は表示されず、エリアQnを表示する。
農業支援装置1は、圃場における所定位置の農業データと圃場に設定された複数のエリアQnとの対応付けを行い且つ、対応付けた農業データをエリアQn毎のデータDnとして設定するデータ設定部11Cと、圃場のエリアQnを設定するエリア設定部11Bと、エリアQn毎のデータDnを表示するマップ表示部と、を備え、データ設定部11Cは、エリア設定部11Bによって設定されていたエリアQnが変更された場合、変更後のエリアQnとデータDnとの対応関係を再設定する。これによれば、変更後のエリアQnとデータDnとの対応関係を再設定できることから、エリアQnを任意に変更することができ、実際の圃場の形状や実際の農作業に応じたエリアQnを構築することができる。即ち、
エリア設定部11Bは、エリアQnを作成する基準線を受付け、受付けた基準線に基づいて、エリアQnを設定する。これによれば、基準線に基づいてエリアQnを設定することができ、例えば、圃場の境界に平行な境界線で形成されたエリアQnを設定したり、任意の斜めの線沿ったエリアQnを設定することができる。
【0058】
エリア設定部11Bは、複数のエリアQnのうち、圃場の端に対応するエリアQnを変更する。これによれば、圃場の端に対応するエリアQnを大きくしたり小さくしたりすることができる。例えば、圃場を複数のエリアQnに区切った場合に、圃場の端に対応するエリアQnの大きさが、他のエリアQnよりも小さくなった場合等は、圃場の端に対応するエリアQnを他のエリアQnと同じ大きさに設定することができる。
【0059】
マップ表示部は、データ設定部11CにおいてデータDnの設定に用いられたエリアQn(設定メッシュ)とは異なる大きさのエリアQn(表示メッシュ)を、圃場に表示する。これによれば、設定メッシュにより表されるエリア(設定エリア)Qnとは別に、表示メッシュにより表されるエリア(表示エリア)Qnとを重ねて見ることができる。例えば、設定メッシュが10.0mであるのに対して、表示メッシュを2.5mに設定することによって、10.0mの設定メッシュで構成された設定エリアQnに対応するデータDnを、より細かな2.5mの表示メッシュで見ることができる。
【0060】
農業支援装置1は、エリアQnに対応するデータDnに対して、グループを設定するグループ設定部12と、グループ毎に圃場に散布する散布物の散布量を設定し且つ、設定した散布量をデータDnに応じてエリアQn毎に設定する第1散布設定部11Dと、を備え、マップ表示部は、エリアQn毎に設定された散布量を圃場に表示する。これによれば、例えば、データDnの大きさに対応したグループ分けをした場合には、データDnの値に対応してエリアQn毎に散布量を設定することができ、エリアQnの散布量を確認することができる。即ち、エリアQn毎に精密な可変の散布を行うことができる。
【0061】
農業支援装置1は、エリアQnに対応するデータDnに対して、グループを設定するグループ設定部12と、グループ毎に設定された散布物の散布量を任意のエリアQnに設定する第2散布設定部17と、を備え、マップ表示部は、任意のエリアQnに設定された散布量を圃場に表示する。これによれば、例えば、データDnの大きさに対応したグループ分けをしたうえで、グループ毎に散布量を設定することができ、当該グループ毎に設定した散布量を任意のエリアQnに設定(割り当てる)ことができる。即ち、管理者及び作業者等が圃場の状況を考えながら任意のエリアQnに、データDnの大きさに応じた散布量の設定を自由に行うことができる。
【0062】
農業支援装置1は、散布物の化学成分を取得する成分取得部15と、成分取得部15で取得した散布物の化学成分と、グループ毎に設定された散布物の散布量とに基づいて、グループ毎の成分量を算出する成分算出部16と、を備えている。これによれば、グループ毎の設定された散布物に対応する化学成分の量(成分量)を把握することができる。
エリア設定部11Bは、エリアQnの変更前の第1面積と、エリアQnの変更前の第2面積とに基づいて、変更後のエリアQnに表示するデータDnの値を決定する。これによれば、エリアQnの大きさを変更した場合でも、多大な処理を伴わずに、変更後のエリアQnにデータDnを割り当て直すことができる。
【0063】
農業支援装置1は、圃場に散布する散布物の散布量の合計を表示する総散布量表示部54fを備えている。これによれば、圃場の全体の散布量、又は、グループ毎のそれぞれの散布量を簡単に把握することができる。
農業支援装置1は、散布物の散布にかかる費用を表示する費用表示部54dを備えている。これによれば、散布物の散布にかかる費用を簡単に把握することができる。
【0064】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
1 :農業支援装置
11B :エリア設定部
11C :データ設定部
11D :第1散布設定部
12 :グループ設定部
15 :成分取得部
16 :成分算出部
17 :第2散布設定部
54d :費用表示部
54f :総散布量表示部
110 :散布量表示部
Fi :農業データ
L1 :基準線
Pi :散布量
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12