(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】熱源ユニット
(51)【国際特許分類】
F24F 1/16 20110101AFI20230320BHJP
F24F 1/18 20110101ALI20230320BHJP
F24F 1/50 20110101ALI20230320BHJP
【FI】
F24F1/16
F24F1/18
F24F1/50
(21)【出願番号】P 2020132769
(22)【出願日】2020-08-05
(62)【分割の表示】P 2019139010の分割
【原出願日】2010-07-27
【審査請求日】2020-09-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-09
(31)【優先権主張番号】P 2009175624
(32)【優先日】2009-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2009175625
(32)【優先日】2009-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 憲二郎
(72)【発明者】
【氏名】岡田 成浩
(72)【発明者】
【氏名】丹野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】石黒 孝光
【合議体】
【審判長】松下 聡
【審判官】槙原 進
【審判官】西村 泰英
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-175476(JP,A)
【文献】特開2007-187353(JP,A)
【文献】実開平3-77123(JP,U)
【文献】特開2004-218849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/16
F24F 1/18
F24F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、冷媒流路を切り替える切替え弁と、膨張弁と、センサーを備えた空気熱交換器と、これらを接続する冷媒管とを備え、それぞれ独立した冷媒回路を備えている第1、第2、第3、第4の冷凍サイクルと、
第1及び第2の冷媒流路及び第1の共通水流路を有し、前記第1及び第2の冷媒流路が 夫々前記第1の冷凍サイクルの冷媒管及び第2の冷凍サイクルの冷媒管に接続されている第1の水熱交換器と、
第3及び第4の冷媒流路及び第2の共通水流路を有し、第3及び第4の冷媒流路が夫々 前記第3の冷凍サイクルの冷媒管及び第4の冷凍サイクルの冷媒管に接続されている第2の水熱交換器と、
前記第1の水熱交換器の前記第1の共通水流路と前記第2の水熱交換器の前記第2の共通水流路とを直列に連通する水配管と、
前記第1ないし第4の冷凍サイクル毎に、前記空気熱交換器毎に対応して配置される送風機と、
少なくとも前記第1ないし第4の冷凍サイクル毎に備えられた圧縮機、前記第1の水熱交換器及び前記第2の水熱交換器を収容する1つの機械室と、
前記第1ないし第4の冷凍サイクルの夫々に用いられる電動の冷凍サイクル構成部品と前記送風機の運転をそれぞれ制御する制御用電気部品と、を備え、
前記第1ないし第4の冷凍サイクルの空気熱交換器は、列状に配置されており、
前記制御用電気部品は、前記切替え弁で冷媒ガスの流路を切換えて前記第1ないし第4の冷凍サイクルをそれぞれ独立に冷房運転及び暖房運転のいずれかで運転させることが可能で、前記第1ないし第4の冷凍サイクルの暖房運転中において、前記センサーが前記空気熱交換器の着霜を検知すると、この着霜が検知された空気熱交換器を備えた、前記第1ないし第4の冷凍サイクルの1つの冷凍サイクルを暖房運転から冷房運転に切換え、残る冷凍サイクルを暖房運転のままに維持することを特徴とする熱源ユニット。
【請求項2】
前記制御用電気部品は、前記第1ないし第4の冷凍サイクルのいずれかが故障した場合に、故障した1系統の前記冷凍サイクルを停止し、その他の3系統の冷凍サイクルの運転 を継続することを特徴とする請求項1に記載の熱源ユニット。
【請求項3】
前記第1ないし第4の冷凍サイクルに設けられた前記空気熱交換器は、互いに所定間隔を存して列状に設置され、かつ互いに隣接する前記空気熱交換器からの熱交換空気の侵入を阻止する遮蔽板を備えたことを特徴とする請求項2に記載の熱源ユニット。
【請求項4】
前記第1ないし第4の冷凍サイクルにおいて、
2以上の冷凍サイクルで着霜が検知された際には、
1つの冷凍サイクルずつに除霜運転が実施されることを特徴とする請求項1に記載の熱源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチ式空気調和装置、ヒートポンプ給湯装置、あるいは冷凍装置等を構成する熱源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチ式空気調和装置、ヒートポンプ給湯装置、あるいは冷凍装置等には、熱交換ユニットが組み込まれている。これらは、一般的には、熱源ユニットと呼ばれているものであるので、以下、「熱源ユニット」と呼ぶ。
【0003】
この熱源ユニットは、熱交換室と、機械室と、熱交換室内に配置される空気熱交換器及び、この空気熱交換器に空気を送風する送風機と、上記機械室に収容される冷凍サイクル構成部品で構成される。上記空気熱交換器は1台のユニットに対して2台備えられ、互いに略V字状に対向して配置されるのが特徴の1つとしている。
【0004】
機械室は、略逆V字状に形成されることも特徴の1つであり、ここに収容される冷凍サイクル構成部品として、圧縮機、四方弁、上記空気熱交換器、膨張弁及び、水熱交換器を備えている。そして、複数台の熱源ユニットを各側面が隣接するように併設して、1つの装置をなしている。
【0005】
この種の熱源ユニットにおいて、一般的には、1台のユニットに対して複数台の圧縮機が並列に並べられ、1つの冷凍サイクルが構成されている。
【0006】
なお、各種の熱交換ユニットが知られている。(例えば、特許文献1,2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2007-163017号公報
【文献】特開2005-195324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、圧縮機の内底部には潤滑油を集溜する油溜り部が設けられ、回転軸の回転にともなって油溜り部の潤滑油が吸上げられ、圧縮機構部を構成する各摺動部に給油される。給油後の潤滑油のほとんど大部分は再び油溜り部に戻るが、一部は圧縮された冷媒ガスに混合して吐出され、冷凍サイクルを循環したあと再び圧縮機の油溜り部に戻る。
【0009】
従来のように、1つの冷凍サイクルに対して複数台の圧縮機を並列に接続すると、圧縮機相互に微妙な圧力差が生じ、圧力の低い圧縮機に潤滑油が溜る傾向にある。この状態が顕著になると、1つの圧縮機に潤滑油が集中して溜り、他の圧縮機にはほとんど存在しなくなる。その結果、圧縮機構部が焼損事故を起すこともあり得る。
【0010】
そのため、並列に接続される圧縮機の相互間に均油管を設けるとともに、付属の回路構成をなし、かつ圧縮機の冷媒吸込み管に抵抗体を設けて、強制的に圧力損失が生じるよう構成する。このことで、互いの圧縮機内に収容される潤滑油が互いに同レベルになり、1つの圧縮機に潤滑油が集中して溜ることを防止できる。
【0011】
しかしながら、圧縮機に対して強制的に圧力損失を生じるよう構成することは、その圧縮機自体の圧縮性能の低下につながるので、圧縮性能のランクを上げた圧縮機に変えなければならない。そして、確実に均油しているかを確認するためのシステムが必要となり、コストに影響を与えている。
【0012】
さらに、冬季の暖房運転時において、空気熱交換器に水分が凍結して着霜することがあり、除霜運転を行う必要がある。具体的には、暖房サイクルを冷房サイクルに切換え、空気熱交換器で冷媒を凝縮させ、その凝縮熱で霜を溶融させる。このとき、いずれかの圧縮機が故障していれば、他方の圧縮機は運転できず、除霜運転ができない。
【0013】
本発明は上記事情にもとづきなされたものであり、その目的とするところは、複数系統の冷凍サイクルを備えたうえで、圧縮機相互の均油機構を不要化し、均油による性能の低下を防止するとともに、圧縮機が故障した際のユニット全停止のリスクを低減させて、信頼性の向上を図れる熱源ユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の実施の形態によれば、
圧縮機と、冷媒流路を切り替える切替え弁と、膨張弁と、センサーを備えた空気熱交換器と、これらを接続する冷媒管とを備え、それぞれ独立した冷媒回路を備えている第1、第2、第3、第4の冷凍サイクルと、
第1及び第2の冷媒流路及び第1の共通水流路を有し、前記第1及び第2の冷媒流路が夫々前記第1の冷凍サイクルの冷媒管及び第2の冷凍サイクルの冷媒管に接続されている 第1の水熱交換器と、
第3及び第4の冷媒流路及び第2の共通水流路を有し、第3及び第4の冷媒流路が夫々前記第3の冷凍サイクルの冷媒管及び第4の冷凍サイクルの冷媒管に接続されている第2 の水熱交換器と、
前記第1の水熱交換器の前記第1の共通水流路と前記第2の水熱交換器の前記第2の共通水流路とを直列に連通する水配管と、
前記第1ないし第4の冷凍サイクル毎に、前記空気熱交換器毎に対応して配置される送風機と、
少なくとも前記第1ないし第4の冷凍サイクル毎に備えられた圧縮機、前記第1の水熱交換器及び前記第2の水熱交換器を収容する1つの機械室と、
前記第1ないし第4の冷凍サイクルの夫々に用いられる電動の冷凍サイクル構成部品と前記送風機の運転をそれぞれ制御する制御用電気部品と、を備え、
前記第1ないし第4の冷凍サイクルの空気熱交換器は、列状に配置されており、
前記制御用電気部品は、前記切替え弁で冷媒ガスの流路を切換えて前記第1ないし第4の冷凍サイクルをそれぞれ独立に冷房運転及び暖房運転のいずれかで運転させることが可能で、前記第1ないし至第4の冷凍サイクルの暖房運転中において、前記センサーが前記空気熱交換器の着霜を検知すると、この着霜が検知された空気熱交換器を備えた、前記第1ないし第4の冷凍サイクルの1つの冷凍サイクルを暖房運転から冷房運転に切換え、残る冷凍サイクルを暖房運転のままに維持することを特徴とする熱源ユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明における一実施の形態に係る熱源ユニットを示す斜視図。
【
図2】同熱源ユニットの一部を省略して示す平面図。
【
図3】同熱源ユニットを構成する熱交換器モジュールを示す斜視図。
【
図4】同熱交換器モジュールを構成する空気熱交換器を示す一部斜視図。
【
図5】同熱源ユニットを構成する水熱交換器の冷媒流路と水流路を説明する説明図。
【
図7】同熱源ユニット配置構造の一例を示す斜視図。
【
図8】同熱源ユニット配置構造の他の例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、組立てられ完成した熱源ユニットYの一部を省略した斜視図、
図2は、一部を取外した状態の熱源ユニットYの平面図である。
【0017】
この熱源ユニットYは、例えば冷水もしくは温水を得て、これら冷水もしくは温水で空気を間接的に冷却する冷房作用もしくは暖める暖房作用をなすのに用いられるものであり、また、ヒートポンプ給湯装置、マルチ式空気調和装置、冷凍装置としての用途が可能である。
【0018】
上記熱源ユニットYは、高さ方向の略上半分に熱交換部1が設けられ、略下半分に機械室2が設けられてなる。
【0019】
上記熱交換部1は、複数(ここでは4組)の熱交換器モジュールMと、同数の送風機Sから構成される。上記熱交換器モジュールMは、一対(2個)の空気熱交換器3,3が互いに対向して配置されてなり、かつ複数の熱交換器モジュールMは長手方向に沿って互いに間隙を存して配置される。
【0020】
熱交換器モジュールMの上端部に天板4が設けられ、この天板4の熱交換器モジュールM相互間に対向する位置に上記送風機Sが取付けられる。なお説明すると、天板4から上方に円筒状の吹出し口5が突設され、この吹出し口5の突出端面をファンガード6が覆っている。
【0021】
上記送風機Sは、吹出し口5内に収容され、軸芯がファンガード6と対向して取付けられるプロペラファンと、このプロペラファンを回転軸に取付けたファンモータとからなる。
【0022】
一対の空気熱交換器3,3を備えた上記熱交換器モジュールMは、正面視で縦長の矩形状をなし、上述したように互いに間隙を存して並列に配置される。そして、各空気熱交換器3,3相互は、上端部である天板4側が広く、下端部である機械室2側が狭く近接し、側面視が互いに略V字状になるよう傾斜している。
【0023】
上記熱交換部1の下部には、上部枠Faと、下部枠Fb及び、これら上部枠Faと下部枠Fbを連結する縦枠Fcとで構成されるフレーム体Fが設けられる。フレーム体Fの外面に側板及び端板が取付けられていて、これらで囲まれる空間内部を上記機械室2と言う。
【0024】
上部枠Faと下部枠Fbは、それぞれ平面視で横長の矩形状をなすよう組立てられる。互いの横方向である長手方向寸法は同一に形成されるが、この横方向と直交する方向である奥行き方向寸法は、上部枠Faが短く、下部枠Fbがこれより長い。
【0025】
すなわち、上部枠Faの奥行き方向寸法は、熱交換部1を構成する熱交換器モジュールMの奥行き方向寸法に合せて短い。したがって、この上部枠Faと下部枠Fbを連結する縦枠Fcは、上部から下部に向けて奥行き方向寸法が順次拡大するように傾斜して設けられることになり、フレーム体Fは側面視で略逆V字状に形成される。
【0026】
このように、上部側の熱交換部1が上端から下方に向けて奥行き方向が漸次縮小するよう傾斜して側面視で略V字状をなし、この熱交換器部の下部に設けられる機械室2が上端から下方に向けて奥行き方向が漸次拡大するよう側面視で略逆V字状をなすので、熱源ユニットYとしての側面視は、中央部分が括れた略鼓(つづみ)状に形成される。
【0027】
上部枠Faに上部ドレンパン7が設けられ、上部枠Faの内部空間が上部ドレンパン7で埋められる。当然ながら、上部ドレンパン7下面は補強材に載って、上部ドレンパン7の補強が施されている。この上部ドレンパン7上に、各熱交換器モジュールMをなす一対の空気熱交換器3,3の下端部が載置される。
【0028】
上部ドレンパン7と熱交換器モジュールMは、互いに奥行き方向寸法が同一に設定されるが、上部ドレンパン7の横方向寸法は、複数の熱交換器モジュールMが互いに所定の間隔を存した寸法と同一となるように設定されている。
【0029】
下部枠Fbには、上記送風機Sや、電動の冷凍サイクル構成部品を制御する制御用電気部品を収容する電装品箱8と、下部ドレンパン9が取付けられる。さらに、少なくとも上記空気熱交換器3,3を除く冷凍サイクル構成部品Kが上記機械室2内に収容されることになる。
【0030】
上記電装品箱8は、機械室2の長手方向一側端に取付けられているので、熱源ユニットYの端部をユニット配置場所の通路に対向して配置するとよい。すなわち、メンテナンス作業時に作業者が通路から奥に入ることなく、通路上の位置を保持したままで端板bを取外せば直ちに電装品箱8が現れ、作業性の向上を図れる。
【0031】
下部ドレンパン9は、電装品箱8を除く下部枠Fbの奥行き方向の略中央部で、横方向全長に亘って設けられる。上部ドレンパン7の仕切られた部位それぞれにドレンホースが接続されていて、その下端部は下部ドレンパン9に対して開口される。また、下部ドレンパン9にもドレンホースが接続され、排水部にまで延出される。
【0032】
後述する暖房運転時に、空気熱交換器3は空気と熱交換し、空気中に含まれる水分を凝縮させてドレン水となす。はじめドレン水は水滴状をなし表面に付着するが、次第に肥大化し流下する。各上部ドレンパン7に溜められたドレン水はドレンホースを介して下部ドレンパン9に集められ、さらに外部へ排水されるようになっている。
【0033】
電装品箱8に近接して、第1のレシーバ10aと第2のレシーバ10bが並置される。上記第2のレシーバ10bに近接して第2の水熱交換器11が配置され、さらに第3のレシーバ10cと第4のレシーバ10dが並置される。上記第4のレシーバ10dに近接して第1の水熱交換器12が配置され、機械室2端部に水ポンプ13が配置される。
【0034】
第2の水熱交換器11上部と第1の水熱交換器12下部とに亘って、第1の水配管P1が接続され、第2の水熱交換器11下部に電装品箱8とは反対側の端部に延出する水配管P2が接続され、第1の水熱交換器12上部と水ポンプ13とに亘って水配管P3が接続される。
【0035】
上記第2の水熱交換器11の下部に接続される第2の水配管P2は導出管として、空調すべき場所まで延出される。水ポンプ13には第3の水配管P3とは反対側の部位に導入管が接続されていて、これは空調すべき場所からの戻り管として用いられる。
【0036】
機械室2の他側部には、以上述べた第1~第4のレシーバ10a~10dと、第1、第2の水熱交換器12,11とで隠された位置に、複数の圧縮機と、四方切換え弁及びアキュームレータ等の冷凍サイクル構成部品Kが配置され、それぞれが空気熱交換器3,3とともに後述する冷凍サイクルを構成するよう冷媒管を介して接続される。
【0037】
ここでは、一対の空気熱交換器3,3からなる熱交換器モジュールMが4組備えられて熱交換部1が構成され、機械室2には少なくとも上記空気熱交換器3,3を除いた冷凍サイクル構成部品Kが複数(4組)配置される。しかも、それぞれの冷凍サイクル構成部品Kは、後述するように、複数(4組)の独立した冷凍サイクル構成がなされている。
【0038】
図3は、単体の熱交換器モジュールMの斜視図である。
【0039】
図に示す熱交換器モジュールMを4台並べ、天板4相互と上部ドレンパン7を密接した状態で、先に
図1及び
図2に示す熱交換部1が構成されることになる。ただし、熱交換器モジュールM自体は互いに若干の隙間を介して並置される。
【0040】
上記熱交換器モジュールMを構成する一対の空気熱交換器3,3において、単体の空気熱交換器3は、正面視で略矩形状をなす平板部3aと、この平板部3aの左右両側部に沿って折り曲げられる折曲げ片部3bからなる。
【0041】
この空気熱交換器3を一対用意し、互いの折曲げ片部3bを対向させ、側面視で略V字状となるよう傾斜している。したがって、対向する空気熱交換器3,3の、対向する折曲げ片部3b,3b相互間には略V字状の空間部が形成されるが、この空間部は略V字状にカットされた板体である遮蔽板15によって閉成される。
【0042】
上記遮蔽板15は、1組の熱交換器モジュールMにおける左右両側部に設けられている。したがって、
図2に示すように、4組の熱交換器モジュールMが並列に配置されると、隣接する熱交換器モジュールMにおいて遮蔽板15が互いに近接して設けられることになる。
【0043】
図4は、一方の空気熱交換器3を上部ドレンパン7に載置した状態の斜視図である。空気熱交換器3は、横方向に短く、縦方向に極端に長い略短冊状のフィンFを立てた状態にして、互いに狭小の間隙を存して並べ、ここに熱交換パイプPを貫通させてなる。熱交換パイプPはフィンFの横方向に間隙を存して3列並べられ、フィンFの縦方向に蛇行するよう設けられる。
【0044】
実際には、熱交換パイプPは略U字状に折曲げられたUパイプであり、フィンFには取付け用孔が設けられている。所定枚数並べられたフィンFの一側端からUパイプの開口端部が挿入し他側端から突出させると、フィンFの一側端からU字状に折り曲げられた部分が突出する。
【0045】
そして、互いに隣接するUパイプの開口端相互をUベンドで連結することによって、蛇行した冷媒流路が形成される。複数ターンの冷媒流路ごとに集合管に連通し、最終的に1本にまとめられた冷媒流路となる。
【0046】
図4に二点鎖線で示すように、折り曲げる前の平板状の空気熱交換器3は、従来、フィンに4列の熱交換パイプを設けた平板状の空気熱交換器の熱交換面積と同一である。3列の熱交換パイプPを備えた本実施形態の空気熱交換器3が、4列の熱交換パイプを備えた従来の空気熱交換器と対応するためには、本来、パイプ列方向寸法が狭まった分、長手方向寸法を長くしなければならない。
【0047】
しかしながら、平板状の空気熱交換器3の両側部を、互いに同一方向に折り曲げて、両側部に沿って折曲げ片部3bを形成し、折曲げ片部3b相互間は平板部3aとして残り、平面視で略U字状に形成することにより、本実施形態の空気熱交換器3の熱交換面積が4列の熱交換パイプを備えた従来の空気熱交換器と同一として、熱源ユニットYの長手方向寸法を短縮でき、据付けスペースの低減化を図ったうえで、熱交換効率の向上を得ることができる。
【0048】
熱交換器モジュールMを構成する空気熱交換器3が上部ドレンパン7に対して傾いて載置される。そして、空気熱交換器3の平板部3a上端と下端に亘って固定枠16が掛け渡される。固定枠16の上端は鉤状(略コ字状)に折曲されて、平板部3aの内面上部と上端面及び外面上部に亘って掛止される。
【0049】
固定枠16の下端部は、上部ドレンパン7に対して空気熱交換器3を取付け固定しているが、上述したように空気熱交換器3を傾けるために、空気熱交換器3の下端面とドレンパン7とに隙間が生じてしまう。そこで、これら隙間に部材が設けられ、隙間を埋めることで空気熱交換器3の熱交換効率に影響が出ないよう配慮されている。
【0050】
ここでは図示していないが、一対の空気熱交換器3,3を、固定枠16を用いて側面視で略V字状になるよう固定したあと、固定枠16相互間に連結部材が架設され、空気熱交換器3の傾斜角度が保持される。上記連結部材の一端部は天板4に連結固定され、熱交換器モジュールMが確実に取付け固定されることになる。
【0051】
図5は、第1の水熱交換器12と、第2の水熱交換器11の内部構成を概略的に示す図である。いずれの水熱交換器12,11も同一構成であるので、ここでは第1の水熱交換器12として説明する。また、
図5は、冷房作用をなすために冷水を得る場合について説明する。
【0052】
第1の水熱交換器12を構成する器体30の一側面には水導入口31と水導出口32が互いに離間した端部に設けられていて、それぞれには上記水配管が接続される。第1の水熱交換器12と第2の水熱交換器11の水導入口31と水導出口32に接続される水配管そのものは、後述するように互いに異なる。
【0053】
器体30内において、水導入口31と水導出口32とに連通する水流路33が設けられる。この水流路33は、水導入口31に接続する水案内流路33aと、水導出口32に設けられる水案内流路33bが、互いに平行に設けられ、かつ互いに水導入口31と水導出口32が設けられる端部とは反対側の端部近傍まで延出され、閉止される。
【0054】
平行に設けられる水案内流路33a,33bの相互間には、複数条の水分流路33cが、互いに所定間隔を存して平行に設けられ、これらで上記器体30内に設けられる水流路33が構成されることになる。
【0055】
したがって、水導入口31から導入される水は、器体30内の水流路33を構成する案内水流路33aに導かれてから複数条の水分流路33cに一斉に分流され、しかる後、他方の水案内流路33bに集流し、水導出口32から導出案内されるようになっている。
【0056】
さらに、第1の水熱交換器12を構成する器体30の、水導入口31と水導出口32が設けられる側面とは反対側の側面で、水導出口32と対向して、第1の冷媒導入口35と、第2の冷媒導入口36とが互いに隣接した位置に設けられる。
【0057】
同じ側面で水導入口31と対向して第1の冷媒導出口37と、第2の冷媒導出口38が互いに隣接した位置に設けられる。これら第1、第2の冷媒導入口35,36と、第1、第2の冷媒導出口37,38には、後述するようにして、冷媒管が接続される。
【0058】
器体30内において、第1の冷媒導入口35と第1の冷媒導出口37とに連通する第1の冷媒流路40が設けられるとともに、第2の冷媒導入口36と第2の冷媒導出口38とに連通する第2の冷媒流路41が設けられる。
【0059】
第1の冷媒流路40は、第1の冷媒導入口35に接続する冷媒案内流路40aと、第1の冷媒導出口37に設けられる冷媒案内流路40bが、互いに平行に設けられ、かつ互いに第1の冷媒導入口35と第1の冷媒導出口37が設けられる端部とは反対側の端部近傍まで延出され、閉止される。
【0060】
第2の冷媒流路41は、第2の冷媒導入口36に接続する冷媒案内流路41aと、第2の冷媒導出口38に設けられる冷媒案内流路41bが、互いに平行に設けられ、かつ互いに第2の冷媒導入口36と第2の冷媒導出口38が設けられる端部とは反対側の端部近傍まで延出され、閉止される。
【0061】
それぞれの冷媒流路40,41において、それぞれ平行に設けられる冷媒案内流路40a,40b,41a,41bの相互間には、複数条の冷媒分流路40c,41cが、互いに所定間隔を存して平行に設けられ、これらで上記器体30内に設けられる第1の冷媒流路40と、第2の冷媒流路41が構成されることになる。
【0062】
なお説明すると、上記水流路33の水分流路33cとともに、第1の冷媒流路40の冷媒分流路40cと、第2の冷媒流路41の冷媒分流路41cは、互いに所定間隔を存して平行に設けられる。しかも、ここでは上記水分流路33cを挟んで、第1の冷媒流路40の冷媒分流路40cと、第2の冷媒流路41の冷媒分流路40cが交互に設けられる。
【0063】
このようにして、平行な複数条の水分流路33cに対して、第1の冷媒分流路40cと第2の冷媒分流路41cが交互に、かつ互いに仕切りを挟んで設けられることになる。第1の水熱交換器12を構成する器体30と、各流路を仕切る仕切りの素材は、熱伝導性に優れたものが用いられ、器体30内を導かれる水と冷媒は効率良く熱交換できる。
【0064】
特に説明しないが、第2の水熱交換器11においても全く同様の構造をなす。なお、暖房作用をなすために温水を得る場合は、それぞれの冷媒流路40,41において冷媒の流れる方向が
図5に図示した方向とは逆になる。
【0065】
図6は、4系統の冷凍サイクルR1~R4を備えた熱源ユニットYにおける冷凍サイクル構成図である。
【0066】
一部を除いて各系統とも同一構成の冷凍サイクルであるので、ここでは第1の冷凍サイクルR1のみを説明し、第2~第4の冷凍サイクルR2~R4については同番号を付して新たな説明を省略する。
【0067】
圧縮機17の吐出側冷媒管に四方切換え弁18の第1のポートが接続され、この四方切換え弁18の第2のポートに接続される冷媒管は分岐して一対の空気熱交換器3,3に連通される。それぞれの空気熱交換器3,3を構成する熱交換パイプは集合管にまとめられ、膨張弁19が設けられる分岐した冷媒管に連通する。
【0068】
この冷媒管も1本にまとめられ、第1のレシーバ10aを介して第1の水熱交換器12に設けられる第1の冷媒流路40に連通する。第1の冷媒流路40は、四方切換え弁18の第3のポートに冷媒管を介して連通し、第4のポートはアキュームレータ20を介して圧縮機17の吸込み部に連通する冷媒管が接続される。
【0069】
このようにして第1の冷凍サイクルR1が構成される一方で、空調すべき場所から戻り管が接続される水ポンプ13は第3の水配管P3を介して第1の水熱交換器12の水導入口31に接続される。
【0070】
したがって、水ポンプ13は第1の水熱交換器12の水流路33に連通し、この水導出口32から第1の水配管P1を介して第2の水熱交換器11に連通される。第2の水熱交換器11では、第1の水配管P1が水導入口31に接続され、水流路33に連通してから、水導出口32に接続される第2の水配管P2を介して空調すべき場所に導かれる。
【0071】
第2の冷凍サイクルR2も全く同様に構成されているが、第2のレシーバ10bと四方切換え弁18を連通する冷媒管が、第1の水熱交換器12における第2の冷媒流路41に接続される。
【0072】
上述したように、第1の水熱交換器12には、1つの水流路33の両側に第1の冷媒流路40と第2の冷媒流路41が交互に設けられていて、1つの水熱交換器12を2系統である第1の冷凍サイクルR1と第2の冷凍サイクルR2で共有する。
【0073】
第2の水熱交換器11も同様に、1つの水流路33の両側に第3のレシーバ10cに連通する第1の冷媒流路40と、第4のレシーバ10dに連通する第2の冷媒流路41が交互に設けられていて、1つの水熱交換器11を2系統である第3の冷凍サイクルR3と第4の冷凍サイクルR4で共有する。
【0074】
図1で説明したように、機械室2には第1の水熱交換器12と、第2の水熱交換器11が備えられ、4系統の冷凍サイクル構成部品が収容されているところから、それぞれの水熱交換器12,11が2系統ずつの冷凍サイクルを共有し、かつ水ポンプ13と水配管P1~P3は、第1の水熱交換器12と第2の水熱交換器11を直列に連通する。
【0075】
このようにして構成される熱源ユニットYにおいて、冷房作用をなすために冷水を得るには、以下に述べるようになる。
【0076】
例えば第1ないし第4の冷凍サイクルR1~R4の、それぞれの圧縮機17を一斉に駆動して冷媒を圧縮させると、高温高圧化した冷媒ガスが吐出される。冷媒ガスは四方切換え弁18から一対の空気熱交換器3に導かれ、送風機Sの駆動により送風される空気と熱交換する。冷媒ガスは凝縮液化し、膨張弁19に導かれて断熱膨張する。
【0077】
そのあと合流してそれぞれのレシーバ10a~10dに一旦溜まったあと、第1の水熱交換器12における第1の冷媒流路40と第2の冷媒流路41に導かれ、水流路33に導かれた水と熱交換する。冷媒流路40,41の冷媒は蒸発して水流路33の水から蒸発潜熱を奪う。水流路33の水は冷却され冷水に換る。
【0078】
第1の水熱交換器12では、第1、第2の冷凍サイクルR1,R2のそれぞれと連通する第1、第2の冷媒流路40,41を備えるので効率良く冷水化する。水ポンプ13から送られる水が、例えば12℃であるとき、第1の水熱交換器12において2系統の冷凍サイクルにおける冷媒流路40,41に導かれる冷媒によって2.5℃冷却され、9.5℃に温度低下する。
【0079】
そして、温度低下した冷水が第1の水配管P1を介して第2の水熱交換器11に導かれ、ここでも第3、第4の冷凍サイクルR3,R4と連通する第1、第2の冷媒流路40,41と熱交換する。したがって、第2の水熱交換器11では9,5℃で導入された水が、さらに2.5℃冷却されて7℃に温度低下した冷水となる。第2の水熱交換器11から導出される冷水は、導出管である第2の水配管P2を介して空調すべき場所に導かれ、室内ファンにより導かれる空気に冷熱を放出して冷房作用をなす。
【0080】
また、各水熱交換器12,11で蒸発した冷媒は四方切換え弁18を介してアキュームレータ20に導かれ気液分離された後、圧縮機17に吸込まれて再び圧縮され上述の冷凍サイクルを繰り返す。
【0081】
このように、第1の水熱交換器12と第2の水熱交換器11の水流路33、33を直列に接続することにより、冷水が2段階で温度低下するので、より有効な冷房性能を得られる。
【0082】
水熱交換器12,11は、それぞれ2系統ずつの冷凍サイクルと連通することで、それぞれの冷凍サイクルに1台ずつ圧縮機17を搭載することが可能となる。したがって、全ての冷凍サイクルが独立し、冷媒回路内を循環する潤滑油の圧縮機17内の均油を行う必要が無くなり、均油による性能の低下を防ぐことができる。
【0083】
なお説明すると、従来、複数の圧縮機を並列に接続し、他の冷凍サイクル構成部品を1系統にして構成部品の共有を図った熱源ユニットにおいては、部品点数の低減化が得られる。しかしながら、圧縮機相互を連通する均油管を設けなければならないとともに、関連するシステムを備える必要があり、部品費低減効果が相殺されてしまう。
【0084】
そして、均油による圧縮機の性能低下があり、これを補充するためにより高性能な圧縮機を備えなければならず、結果として大幅なコストダウンは到底無理となっている。さらに、一方の圧縮機が故障等で停止すれば、他の圧縮機も停止せざるを得ず、冷凍サイクル運転の停止になって信頼性の低下を招く。
【0085】
これに対して本実施の形態の構成では、複数系統の冷凍サイクルを備えた熱源ユニットである。水熱交換器のみ複数系統の冷凍サイクルで共有するが、それ以外の冷凍サイクル構成部品は系統毎に備える必要があり、部品点数は多くなるが、複数系統の冷凍サイクルはそれぞれ独立して構成したことを特徴としているから、圧縮機17相互を連通する均油管とそれに係るシステムを備える必要はなく、均油による圧縮性能の低下もない。
【0086】
また、圧縮機が故障した際においても、冷凍サイクルが系統毎に独立しているために、故障した系統の圧縮機のみを停止して修理することが可能である。したがって、故障時のユニット全体を停止するリスクを低減させ、信頼性の向上を得られる。
【0087】
すなわち、本実施の形態では4系統である第1~第4の冷凍サイクルR1~R4は全て独立して構成されているので、たとえ1系統の冷凍サイクルにおいて運転を停止しても、他の3系統の冷凍サイクルではそのまま運転を継続できる。したがって、運転停止の影響を最小限に抑えられ、信頼性の確保を図れる。
【0088】
暖房作用をなすために温水を得るには、以下に述べるようになる。
【0089】
各冷凍サイクルの圧縮機17を一斉に駆動して冷媒を圧縮させ、高温高圧化した冷媒ガスが吐出される。冷媒ガスは、四方切換え弁18から第1の水熱交換器12における第1の冷媒流路40に導かれ、水ポンプ13から水流路33に導かれる水と熱交換する。
【0090】
第1の水熱交換器12で冷媒ガスは凝縮液化し、放出する凝縮熱で水流路33の水が加熱される。ここでも2系統の冷凍サイクルと連通する第1の冷媒流路40及び第2の冷媒流路41が第1の水熱交換器12に備えられるので、効率良く温水化する。そして、第1の水熱交換器12と第2の水熱交換器11が直列に連通しているので、温水は2段階に亘って温度上昇して暖房性能の向上を得る。
【0091】
第1の水熱交換器12から導出される液冷媒は、第1のレシーバ10aと膨張弁19に導かれ、断熱膨張したあと空気熱交換器3,3に導かれて蒸発する。蒸発した冷媒は、四方切換え弁18とアキュームレータ20を介して圧縮機17に吸込まれ、再び圧縮されて上述の冷凍サイクルを繰り返す。他の冷凍サイクルにおいても同様の経路に循環する。
【0092】
なお、温水を得る暖房運転中は、熱交換器モジュールMを構成する一対の空気熱交換器3,3で冷媒が蒸発し、空気中の水分を凝縮させてドレン水が付着する。外気温が極く低温であると、付着したドレン水が凍結し霜となって付着し易い。この着霜をセンサーが感知し、電装品箱8内の制御部品に信号を送る。
【0093】
制御部品は、センサーが着霜を感知した空気熱交換器3,3を備えた冷凍サイクルを、暖房運転から冷房運転に切換える指示を出す。センサーが着霜を感知しない空気熱交換器3,3を備えた冷凍サイクルは、そのまま暖房運転を継続する。
【0094】
冷房運転に切換った冷凍サイクルにおいては、四方切換え弁18が切換り、冷媒が圧縮機17から四方切換え弁18を介して空気熱交換器3,3に導かれ、凝縮して液冷媒に変る。冷媒の凝縮変化にともなって凝縮熱を放出し、ここに付着していた霜が溶融する。
【0095】
各熱交換器モジュールMの両側部に遮蔽板15,15を備えたので、互いに対向する空気熱交換器3,3間から空気が抜けることがないとともに、隣接する熱交換器モジュールMからの空気の侵入を阻止する。したがって、除霜運転中の空気熱交換器3,3と、暖房運転を継続する空気熱交換器3,3が互いに熱影響を及ぼすことがない。
【0096】
4組の冷凍サイクルが全て暖房作用をなしている場合は、水ポンプ13から第1の水熱交換器12に戻ってきた温水の温度が例えば40℃であっても、第1、第2の水熱交換器12,11で加熱されて温度上昇する。すなわち、第2の水熱交換器11から供出される状態での温水は45℃となる。
【0097】
4組ある冷凍サイクルのうち、1組の冷凍サイクルの空気熱交換器3,3に対する除霜運転のため、暖房運転を冷房運転に切換えたとする。この冷凍サイクルでは、例えば第1の水熱交換器12における第1の冷媒流路40において冷媒が蒸発し、水流路33に導かれる温水を冷却する。しかしながら、第1の水熱交換器12における第2の冷媒流路41は、暖房運転を継続する第2の冷凍サイクルR2に連通していて、冷媒が凝縮し凝縮熱を水流路Wの温水に放出している。
【0098】
したがって、第1の水熱交換器12から導出された状態での温水の温度低下は極く小範囲に保持される。結局、1組、即ち、1つの冷凍サイクルだけの除霜運転切換えであるならば、第2の水熱交換器11から供出される温水の温度低下が約1.5℃と僅かですみ、43.5℃となる。つまり、2組、即ち、2つ以上の冷凍サイクルで同時に着霜を感知した場合、1組、即ち、1つの冷凍サイクルずつ除霜運転に切替えることが好ましい。
【0099】
これに対して従来の熱交換ユニットは、一対の空気熱交換器3が略V字状に立設されているとしても、冷凍サイクルを分割することの考えはなく、あくまで1つの冷凍サイクルとして構成される。
【0100】
そして、除霜運転をなすには、全体的に暖房運転から冷房運転に切換えなければならない。除霜運転中は水熱交換器における水流路を加熱することができず、冷却作用ばかりとなる。したがって、水ポンプ13から同じ温度で送られた温水が、水熱交換器から導出された状態で大幅に温度低下した状態となり、本実施の形態の構成が断然有利である。
【0101】
また、本実施の形態では、複数枚のフィンFを互いに所定間隔を存して並べ、これらフィンFに熱交換パイプPを貫通してなる空気熱交換器3である。そして、平板部3aの両側部に沿って同一方向に折曲げた折曲げ片部3bを備えて、平面視で略U字状に形成される。
【0102】
したがって、熱交換される空気は空気熱交換器3の平板部3aを流通するばかりでなく、折曲げ片部3bにも流通する。すなわち、空気熱交換器3の正面部とともに両側部にも空気が流通して熱交換するので、熱交換効率の向上を得られる。
【0103】
空気熱交換器3を構成するフィンFに対して熱交換パイプPの列数を少なくしても、特に空気熱交換器3の縦横寸法を拡大することなく、熱交換面積は従来の空気熱交換器3と同等でよい。
【0104】
そして、上述の空気熱交換器3を一対(2個)用意し、互いの折曲げ片部3bを対向させ、それぞれの空気熱交換器3,3の下端部を互いに近接し、かつ上端部は互いに離間するよう傾斜させた。一対の空気熱交換器3,3で、側面視で略V字状に立設される熱交換器モジュールMを構成した。
【0105】
従来の平板状の熱交換器を側面視で略V字状に立設した装置と比較して、奥行き方向はほとんど変らないが、横方向は本実施形態の空気熱交換器3が両側部に折曲げ片部3bを備えた分、短くてすむ。
【0106】
そして、従来の単純に1枚の平板状をなす空気熱交換器と比較して、同等の熱交換面積を確保しながら熱交換効率の向上を図れるとともに、熱源ユニットYとしての据付けスペースの縮小化が得られる。
【0107】
上記熱交換器モジュールMと、送風機Sと、上部ドレンパン7と、一対の空気熱交換器3,3以外の冷凍サイクル構成部品Kを収容する機械室2を具備した熱源ユニットYであり、上記熱交換器モジュールMを空気熱交換器3,3の対面方向とは直交する方向に複数台、並列に配置した。
【0108】
当然ながら、隣設される熱交換器モジュールM相互の間隔は、必要最小限度は確保されていて、この間隔に空気が円滑に導かれる。したがって、列方向の左右に配置される空気熱交換器3の左右の折曲げ片部3b,3bに空気が円滑に流通し、上述したように折曲げ片部3bを備えたことによる熱交換効率の向上を得られる。
【0109】
平面視でU字状に形成される空気熱交換器3を備えたので、熱交換器モジュールM自体の空気熱交換器3の対面方向とは直交する方向の寸法が短くてすむ。この種の熱交換器モジュールMを複数台備えるので、熱交換器モジュールMの数が多くなるほど熱源ユニットYの据付けスペースの縮小化に対する影響が大となる。
【0110】
さらに、一対の空気熱交換器3,3の対向する折曲げ片部3b,3b相互に、折曲げ片部3b,3b相互の空間部を閉成する遮蔽板15を設け、1組の熱交換器モジュールMと冷凍サイクル構成部品Kで1系統の独立した冷凍サイクルを構成して、複数系統の冷凍サイクルを備えた熱源ユニットYである。
【0111】
除霜運転を行う冷凍サイクルを対象として運転切換えをなし、他の冷凍サイクルは運転切換えの必要がないため、除霜運転中においても供給される温水の温度低下を最小限に抑えることができる。また、遮蔽板15を備えたので、隣接する熱交換器モジュールMからの熱影響を受けることがない。
【0112】
図7は、大規模建築物に備えるに最適な、複数の熱源ユニットで装置を構成する一例を示している。すなわち、先に
図1で説明した4基の熱交換器モジュールMを直結した熱源ユニットYを3列、並列に設けてなる。
【0113】
それぞれの熱源ユニットYにおける天板4相互を密接すると、機械室2相互間にある程度の隙間が存在するよう設計されている。ただし、機械室2の周囲はパネルNで覆い、異物の侵入を防止できる。
【0114】
このように、一対の空気熱交換器3,3を互いに所定間隔を存して設置し、かつ隣接する一対の空気熱交換器3,3からの熱交換空気の侵入を阻止する遮蔽板15を備えたから、熱源ユニットYの配置が自由になる。
【0115】
さらに、それぞれの熱源ユニットYにおいて、水ポンプ13を備えているので、別途水ポンプを設置する設置スペースを確保する必要がなく、熱源ユニットYの配置が自由になる。
【0116】
熱源ユニットYの側面視が略鼓状となるので、隣接する熱源ユニットY相互間に充分な空間部が確保され、自由に空気が通って、空気熱交換器3,3との熱交換効率確保に何らの支障も無い。また、上記空間部は作業者が歩いてメンテナンス作業をなすための通路としても用いることができ、作業性の向上を図れる。
【0117】
このような熱源ユニットYにおいても、それぞれの熱交換器モジュールMに対応して冷凍サイクルが独立しているから、圧縮機17が故障したらその系統のみを停止して修理が可能となり、全停止のリスクを低減させることができる。
【0118】
図8は、さらに異なる大規模建築物に備えるのに最適な、複数の熱源ユニットYで装置を構成する一例を示している。すなわち、先に
図1で説明した4基の熱交換器モジュールMを直結した熱源ユニットYを3列直列に並べて構成している。
【0119】
大規模建築物によっては、先に
図7で説明したような正しく矩形状の据付けスペースを確保するのが困難な場合があり、代って、例えば壁、もしくは境界スペースに沿った細長い据付けスペースしかない場合もある。
【0120】
このような据付けスペースにも対応して、複数の熱源ユニットYを配置することができる。
【0121】
メンテナンス時は作業者が熱源ユニットYに沿って移動することで、目的の部位に容易に到達できる。したがって、圧縮機17の故障修理などの作業が迅速に開始できて作業性の向上を図れる。
【0122】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0123】
本発明によれば、複数系統の冷凍サイクルを備えたうえで、圧縮機相互の均油機構を不要化し、均油による性能の低下を防止するとともに、圧縮機が故障した際のユニット全停止のリスクを低減させて、信頼性の向上を図れる等の効果を奏する。