(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】無線通信装置、通信制御方法及び飛行体
(51)【国際特許分類】
H04W 36/30 20090101AFI20230320BHJP
【FI】
H04W36/30
(21)【出願番号】P 2020174208
(22)【出願日】2020-10-15
(62)【分割の表示】P 2019129506の分割
【原出願日】2017-04-28
【審査請求日】2020-10-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】武田 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 伸吾
【合議体】
【審判長】中木 努
【審判官】廣川 浩
【審判官】石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-131069(JP,A)
【文献】米国特許第9537561(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24- 7/26
H04W4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局から送信される無線信号を受信する無線部を備えた無線通信装置であって、
前記無線部が受信した、受信強度に関する条件を満たす前記無線信号により識別されるセルの個数を計数し、
前記セルの個数が所定の条件を満たすか否かを判定する、
無線通信装置であり、
当該所定の条件を、前記無線通信装置が接続している無線基地局から提供をうける、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記無線通信装置は、飛行体に搭載可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記無線部が受信した前記無線信号が示すセルの識別情報によりセルを識別する、
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記無線部が受信した前記無線信号の周波数によりセルを識別する、
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記所定の条件は、前記計数されたセルの個数が閾値以上であるか否かである、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記無線信号の受信強度は、RSSIである、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記無線信号の受信強度は、RSRPである、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記無線通信装置が送信した認証情報に基づき、前記無線通信装置が搭載された飛行体の認証が行われた後、前記セルの個数が所定の条件を満たすか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記認証情報は、前記飛行体に搭載されるSIMカードの固有情報である、
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記飛行体の認証が合格した場合に、前記無線部が受信した、受信強度に関する条件を満たす前記無線信号により識別されるセルの個数を計数する、
ことを特徴とする請求項8又は9のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項11】
無線基地局から送信される無線信号を受信する無線部を備えた無線通信装置の通信制御方法であって、
前記無線通信装置が、前記無線部が受信した、受信強度に関する条件を満たす前記無線信号により識別されるセルの個数を計数し、
前記無線通信装置が、前記セルの個数が所定の条件を満たすか否かを判定する、
通信制御方法であり、
前記無線通信装置は、当該所定の条件を、前記無線通信装置が接続している無線基地局から提供をうける、
ことを特徴とする通信制御方法。
【請求項12】
前記無線通信装置は、飛行体に搭載可能である、
ことを特徴とする請求項
11に記載の通信制御方法。
【請求項13】
前記所定の条件は、前記計数されたセルの個数が閾値以上であるか否かである、
ことを特徴とする請求項
11又は
12のいずれか1項に記載の通信制御方法。
【請求項14】
前記無線通信装置は、前記無線通信装置が送信した認証情報に基づき、前記無線通信装置が搭載された飛行体の認証が行われた後、前記セルの個数が所定の条件を満たすか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項
11から
13のいずれか1項に記載の通信制御方法。
【請求項15】
前記認証情報は、前記飛行体に搭載されるSIMカードの固有情報である、
ことを特徴とする請求項
14に記載の通信制御方法。
【請求項16】
前記無線通信装置は、前記飛行体の認証が合格した場合に、前記無線部が受信した、受信強度に関する条件を満たす前記無線信号により識別されるセルの個数を計数する、
ことを特徴とする請求項
14又は
15のいずれか1項に記載の通信制御方法。
【請求項17】
無線基地局から送信される無線信号を受信する無線部を備えた無線通信装置と、飛行制御部と、を備えた飛行体であって、
前記無線通信装置は、
前記無線部が受信した、受信強度に関する条件を満たす前記無線信号により識別されるセルの個数を計数し、
前記セルの個数が所定の条件を満たすか否かを判定し、
前記飛行制御部は、
飛行体の外部の装置から飛行体を制御するための飛行制御を受付ける、又は、飛行体の外部の装置へ飛行状態を示すデータを送信する、
飛行体であり、
前記無線通信装置は、当該所定の条件を、前記無線通信装置が接続している無線基地局から提供をうける、
ことを特徴とする飛行体。
【請求項18】
前記無線通信装置は、前記無線部が受信した前記無線信号が示すセルの識別情報により前記セルを識別して、前記セルの個数を計数する、
ことを特徴とする請求項
17に記載の飛行体。
【請求項19】
前記所定の条件は、前記計数されたセルの個数が閾値以上であるか否かである、
ことを特徴とする請求項
17又は
18のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項20】
前記飛行体の認証情報を格納した認証情報記憶部をさらに備え、
前記無線通信装置は、前記無線通信装置が送信した認証情報に基づき飛行体の認証が行われた後、前記セルの個数が所定の条件を満たすか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項
17から
19のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項21】
前記認証情報は、前記飛行体に搭載されるSIMカードの固有情報である、
ことを特徴とする請求項
20に記載の飛行体。
【請求項22】
前記無線通信装置は、前記飛行体の認証が合格した場合に、前記無線部が受信した、受信強度に関する条件を満たす前記無線信号により識別されるセルの個数を計数する、
ことを特徴とする請求項
20又は
21のいずれか1項に記載の飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、通信制御方法及び飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体端末が無線により接続する無線基地局を切り替えるハンドオーバの技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来技術では、移動体端末の位置情報と当該移動体端末における受信品質の情報とに基づいて、当該移動体端末がハンドオーバする対象となる無線基地局に関する情報を取得する。
しかしながら、上述の従来技術では、上空に存在する移動体端末がハンドオーバする対象となる適切な無線基地局に関する情報を取得することができず、上空に存在する移動体端末の通信が不安定になる可能性があった。これは、上空では地上よりも見通しがきくことに起因する。上空では地上よりも見通しがきくので、同じ水平方向の位置(緯度と経度)であっても、上空の方が地上よりも多くの無線基地局から無線信号が到達する。このため、上空ではハンドオーバ先の候補となる同レベルの受信品質の無線基地局が地上よりも増大する状況が発生することにより、上空に存在する移動体端末がハンドオーバする対象となる適切な無線基地局に関する情報を取得することができず、上空に存在する移動体端末の通信が不安定になる可能性があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、上空に存在する無線通信装置の通信の安定性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、無線基地局から送信される無線信号を受信する無線部を備えた無線通信装置であって、前記無線部が受信した、受信強度に関する条件を満たす前記無線信号により識別されるセルの個数を計数し、前記セルの個数が所定の条件を満たすか否かを判定する、無線通信装置であり、当該所定の条件を、前記無線通信装置が接続している無線基地局から提供をうける、ことを特徴とする無線通信装置である。
本発明の一態様は、前記無線通信装置は、飛行体に搭載可能である、ことを特徴とする無線通信装置である。
本発明の一態様は、前記無線部が受信した前記無線信号が示すセルの識別情報によりセルを識別する、ことを特徴とする無線通信装置である。
本発明の一態様は、前記無線部が受信した前記無線信号の周波数によりセルを識別する、ことを特徴とする無線通信装置である。
本発明の一態様は、前記所定の条件は、前記計数されたセルの個数が閾値以上であるか否かである、ことを特徴とする無線通信装置である。
本発明の一態様は、前記無線信号の受信強度は、RSSIである、ことを特徴とする無線通信装置である。
本発明の一態様は、前記無線信号の受信強度は、RSRPである、ことを特徴とする無線通信装置である。
本発明の一態様は、前記無線通信装置が送信した認証情報に基づき、前記無線通信装置が搭載された飛行体の認証が行われた後、前記セルの個数が所定の条件を満たすか否かを判定する、ことを特徴とする無線通信装置である。
本発明の一態様は、前記認証情報は、前記飛行体に搭載されるSIMカードの固有情報である、ことを特徴とする無線通信装置である。
本発明の一態様は、前記飛行体の認証が合格した場合に、前記無線部が受信した、受信強度に関する条件を満たす前記無線信号により識別されるセルの個数を計数する、ことを特徴とする無線通信装置である。
【0007】
本発明の一態様は、無線基地局から送信される無線信号を受信する無線部を備えた無線通信装置の通信制御方法であって、前記無線通信装置が、前記無線部が受信した、受信強度に関する条件を満たす前記無線信号により識別されるセルの個数を計数し、前記無線通信装置が、前記セルの個数が所定の条件を満たすか否かを判定する、通信制御方法であり、前記無線通信装置は、当該所定の条件を、前記無線通信装置が接続している無線基地局から提供をうける、ことを特徴とする通信制御方法である。
本発明の一態様は、前記無線通信装置は、飛行体に搭載可能である、ことを特徴とする通信制御方法である。
本発明の一態様は、前記所定の条件は、前記計数されたセルの個数が閾値以上であるか否かである、ことを特徴とする通信制御方法である。
本発明の一態様は、前記無線通信装置は、前記無線通信装置が送信した認証情報に基づき、前記無線通信装置が搭載された飛行体の認証が行われた後、前記セルの個数が所定の条件を満たすか否かを判定する、ことを特徴とする通信制御方法である。
本発明の一態様は、前記認証情報は、前記飛行体に搭載されるSIMカードの固有情報である、ことを特徴とする通信制御方法である。
本発明の一態様は、前記無線通信装置は、前記飛行体の認証が合格した場合に、前記無線部が受信した、受信強度に関する条件を満たす前記無線信号により識別されるセルの個数を計数する、ことを特徴とする通信制御方法である。
【0008】
本発明の一態様は、無線基地局から送信される無線信号を受信する無線部を備えた無線通信装置と、飛行制御部と、を備えた飛行体であって、前記無線通信装置は、前記無線部が受信した、受信強度に関する条件を満たす前記無線信号により識別されるセルの個数を計数し、
前記セルの個数が所定の条件を満たすか否かを判定し、前記飛行制御部は、飛行体の外部の装置から飛行体を制御するための飛行制御を受付ける、又は、飛行体の外部の装置へ飛行状態を示すデータを送信する、飛行体であり、前記無線通信装置は、当該所定の条件を、前記無線通信装置が接続している無線基地局から提供をうける、ことを特徴とする飛行体である。
本発明の一態様は、前記無線通信装置は、前記無線部が受信した前記無線信号が示すセルの識別情報により前記セルを識別して、前記セルの個数を計数する、ことを特徴とする飛行体である。
本発明の一態様は、前記所定の条件は、前記計数されたセルの個数が閾値以上であるか否かである、ことを特徴とする飛行体である。
本発明の一態様は、前記飛行体の認証情報を格納した認証情報記憶部をさらに備え、前記無線通信装置は、前記無線通信装置が送信した認証情報に基づき飛行体の認証が行われた後、前記セルの個数が所定の条件を満たすか否かを判定する、ことを特徴とする飛行体である。
本発明の一態様は、前記認証情報は、前記飛行体に搭載されるSIMカードの固有情報である、ことを特徴とする飛行体である。
本発明の一態様は、前記無線通信装置は、前記飛行体の認証が合格した場合に、前記無線部が受信した、受信強度に関する条件を満たす前記無線信号により識別されるセルの個数を計数する、ことを特徴とする飛行体である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上空に存在する無線通信装置の通信の安定性の向上を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る飛行体1の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る飛行体1の外観構成の一例を示す外観図である。
【
図3】一実施形態に係る無線通信装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】一実施形態に係る無線通信装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】一実施形態に係るハンドオーバパラメータ候補データ141の構成例を示す図である。
【
図6】一実施形態に係るパラメータ変更地域情報142の構成例を示す図である。
【
図7】一実施形態に係る隣接セルリスト143の構成例を示す図である。
【
図8】一実施形態に係る通信制御方法の例1のフローチャートである。
【
図9】一実施形態に係る通信制御方法の例2のフローチャートである。
【
図10】一実施形態に係る通信制御方法の例3のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る飛行体1の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2は、本実施形態に係る飛行体1の外観構成の一例を示す外観図である。まず
図2を参照して飛行体1の機械的構成を説明する。
図2において、飛行体1は、モータ60と、ロータRTとを備える。モータ60は、ロータRTを回転させることにより、飛行体1に揚力及び推進力を与える。この一例では、飛行体1は、モータ61~64を備える。モータ61~64は、対応するロータRT1~RT4を回転させる。それぞれのモータ60に供給する駆動電流を制御することにより、飛行体1の飛行高度、方位、進行方向を制御することができる。
【0012】
飛行体1はカメラ40を備える。撮像部、すなわちカメラ40は、飛行体1の周辺の風景を撮像する。この一例では、カメラ40の撮像方向と、飛行体1の機首方位HDGとが一致している。この場合、カメラ40は、飛行体1の前方の風景を撮像する。カメラ40は、撮像した風景の画像を出力する。
【0013】
次に
図1を参照して飛行体1の機能的構成を説明する。
図1において、飛行体1は、飛行制御部10と、飛行測位部30と、カメラ40と、モータ60と、電源部80と、無線通信装置100と、を備える。飛行制御部10は、認証情報記憶部12を備える。
【0014】
飛行測位部30は、飛行体1の位置を測定し、測定結果の測位値を出力する。該測位値は、水平方向の位置(緯度と経度)と、垂直方向の位置(高度)とを示す。飛行測位部30は、垂直方向の位置の測定手段として高度計を備える。飛行測位部30の水平方向の位置の測定手段として、例えば、GPS(Global Positioning System)を利用してもよい。
【0015】
無線通信装置100は、飛行体1の外部に存在する無線基地局と通信をする。無線通信装置100は、該無線基地局を介して、飛行体1の外部の装置(例えば、飛行体1の遠隔操縦装置など)と通信を行う。無線通信装置100が通信をする無線基地局は、例えば、LTE(Long Term Evolution)等の通信方式の携帯電話ネットワークの無線基地局であってもよく、又は、IEEE802.11等の通信方式の無線LAN(Local Area Network)の無線基地局(アクセスポイント(Access Point:AP))であってもよい。
【0016】
飛行制御部10は、モータ60に供給する駆動電流を制御することにより、飛行体1の飛行を制御する。飛行体1の飛行ルートは、飛行前に飛行制御部10に設定されてもよく、又は、飛行中に無線通信装置100の通信によって飛行制御部10に設定もしくは設定変更されてもよい。飛行制御部10は、飛行ルートと飛行測位部30から出力される測位値とを比較しながら、飛行体1が飛行ルートに沿って飛行するように、モータ60の制御を行う。
【0017】
飛行制御部10は、無線通信装置100によって、飛行体1の外部の装置からの飛行の制御を受け付けたり、又は、飛行体1の外部の装置へ飛行状態を示す飛行監視データを送信したりする。飛行監視データとして、例えば、カメラ40が撮像した画像が挙げられる。
【0018】
飛行制御部10は、認証情報記憶部12を備える。認証情報記憶部12は、飛行体1の認証情報を格納する。飛行体1の認証情報は、当該飛行体1に固有の情報である。飛行体1の認証情報が当該飛行体1の認証を行う認証サーバ(図示せず)に提供されることにより、当該認証サーバによって当該飛行体1の認証が行われる。
【0019】
飛行制御部10の機能は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、又は、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリにより構成され、飛行制御部10の機能を実現するためのコンピュータプログラムをCPUが実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0020】
電源部80は、飛行体1の電源であるバッテリと、該バッテリの充電残量を監視する電源監視部とを備える。電源部80は、バッテリの充電残量を飛行制御部10へ通知する。飛行制御部10は、電源部80から通知されたバッテリの充電残量に基づいて、所定の飛行制御処理を実行する。例えば、飛行制御部10は、バッテリの充電残量が所定の閾値以下になった場合には、飛行を開始した元の場所へ帰還するように飛行体1の飛行を制御する。
【0021】
図3は、本実施形態に係る無線通信装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3において、無線通信装置100は、CPU101と、記憶部102と、無線部103と、測位部104とを備える。これら各部はデータを交換できるように構成されている。
【0022】
CPU101は無線通信装置100の制御を行う。この制御機能は、CPU101がコンピュータプログラムを実行することにより実現される。記憶部102は、CPU101で実行されるコンピュータプログラムや各種のデータを記憶する。
【0023】
無線部103は、無線基地局から送信される無線信号を受信する。無線部103は、無線基地局に受信される無線信号を送信する。無線部103は、無線により無線基地局に接続する。無線通信装置100は、無線部103が無線により接続した無線基地局との間で通信を行う。
【0024】
測位部104は、無線通信装置100の位置を測定し、測定結果の測位値を出力する。該測位値は、水平方向の位置(緯度と経度)を示す。測位部104として、例えば、GPSを利用してもよい。
【0025】
無線通信装置100の機能は、CPU101がコンピュータプログラムを実行することにより実現される。無線通信装置100として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。無線通信装置100は、例えば、スマートフォン等の携帯通信端末装置であってもよい。
【0026】
図4は、本実施形態に係る無線通信装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4において、無線通信装置100は、無線測定部121と、セル計数部122と、通信制御部123と、水平方向位置情報取得部124と、飛行体移動方向判断部125と、認証要求部126と、データ格納部140とを備える。データ格納部140は、ハンドオーバパラメータ候補データ141と、パラメータ変更地域情報142と、隣接セルリスト143と、を格納する。データ格納部140は、無線通信装置100の記憶部102内に設けられる。
【0027】
無線測定部121は、無線部103が受信した無線信号に基づいて無線品質指標値を測定する。無線品質指標値は、無線通信装置100の無線通信の品質の指標値である。無線品質指標値は、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator、受信信号強度)、SINR(Signal to Interference Noise power Ratio、信号対干渉雑音電力比)、RSRP(Reference Signal Received Power、参照信号受信電力)などである。
【0028】
セル計数部122は、無線部103が受信した無線信号により識別される無線基地局のセルの個数を計数する。以下に、セル計数部122が無線基地局のセルを識別するセル識別方法の例を示す。
【0029】
(セル識別方法の例1)
セル識別方法の例1では、無線部103が受信した無線信号の周波数により無線基地局のセルを識別する。セル計数部122は、無線部103が受信した第1無線信号の周波数と第2無線信号の周波数とが異なる場合に、第1無線信号の第1セルと第2無線信号の第2セルとの2個のセルを検出する。
【0030】
(セル識別方法の例2)
セル識別方法の例2では、無線部103が受信した無線信号が示すセルの識別情報(セルID)により無線基地局のセルを識別する。セル計数部122は、無線部103が受信した第1無線信号の第1セルIDと第2無線信号の第2セルIDとが異なる場合に、第1セルIDの第1セルと第2セルIDの第2セルとの2個のセルを検出する。
【0031】
(セル識別方法の例3)
セル識別方法の例3では、無線部103が受信した無線信号の周波数と当該無線信号が示すセルIDとにより無線基地局のセルを識別する。セル計数部122は、無線部103が受信した無線信号の周波数毎に、第1無線信号の第1セルIDと第2無線信号の第2セルIDとが異なる場合に、第1セルIDの第1セルと第2セルIDの第2セルとの2個のセルを検出する。
【0032】
なお、セル計数部122の計数対象セルを、無線信号の受信強度により限定してもよい。例えば、無線部103が受信した無線信号のうち、無線信号の受信強度が所定の範囲(セル計数対象条件範囲)内である無線信号により識別されるセルのみを、セル計数部122の計数対象にしてもよい。無線信号の受信強度は、例えば、RSSI、RSRPなどである。セル計数対象条件範囲は、例えば、ハンドオーバ先の候補の条件の範囲である。
【0033】
通信制御部123は、無線部103を使用して行われる通信の制御を行う。通信制御部123は、無線部103を使用して行われる通信の一制御として、複数の通信相手候補の無線基地局の中から通信相手の無線基地局を選択する通信相手選択方法を変更する。本実施形態の通信相手選択方法の一例は、複数の通信相手候補の無線基地局の間のハンドオーバを制御するためのハンドオーバパラメータを変更することである。本実施形態の通信相手選択方法の他の一例は、複数の通信相手候補の無線基地局の中から同時に通信を行う無線基地局の個数を変更することである。
【0034】
通信制御部123は、飛行体1が地上から上空に上昇したと判断する上昇判断条件を満たす場合に、通信相手選択方法を所定の上空用通信相手選択方法に変更する。上空用通信相手選択方法は、飛行体1(無線通信装置100)が上空に存在する場合に適する通信相手選択方法である。通信制御部123は、飛行体1が上空から地上に下降したと判断する下降判断条件を満たす場合に、通信相手選択方法を所定の地上用通信相手選択方法に変更する。地上用通信相手選択方法は、飛行体1(無線通信装置100)が地上に存在する場合に適する通信相手選択方法である。なお、通信制御部123が通信相手選択方法を変更する通信制御方法の詳細については後述する。
【0035】
水平方向位置情報取得部124は、飛行体1の水平方向の位置を示す水平方向位置情報を取得する。本実施形態の一例として、水平方向位置情報取得部124は、飛行体1に搭載される無線通信装置100の測位部104の測位値を取得する。飛行体1に搭載される無線通信装置100の測位部104の測位値は、当該飛行体1の水平方向の位置を示す水平方向位置情報である。
【0036】
なお、水平方向位置情報取得部124は、飛行体1の飛行測位部30を利用してもよい。この場合、無線通信装置100は、飛行制御部10を介して、飛行測位部30の測位値の水平方向の位置(緯度と経度)を取得する。水平方向位置情報取得部124が飛行体1の飛行測位部30を利用する場合には、無線通信装置100は、測位部104を備えてもよく、又は、測位部104を備えなくてもよい。
【0037】
飛行体移動方向判断部125は、飛行体1の移動方向が垂直方向又は水平方向のいずれであるのかを判断する。例えば、飛行体移動方向判断部125は、飛行制御部10を介して飛行体1の飛行測位部30の測位値(「水平方向の位置(緯度と経度)」及び「垂直方向の位置(高度)」)を取得し、該測位値に基づいて、飛行体1の移動方向が垂直方向又は水平方向のいずれであるのかを判断する。なお、無線通信装置100が加速度センサとジャイロセンサとを備え、飛行体移動方向判断部125はそれらセンサの検出結果に基づいて、飛行体1の移動方向が垂直方向又は水平方向のいずれであるのかを判断してもよい。
【0038】
認証要求部126は、飛行体1に備わる飛行制御部10の認証情報記憶部12から当該飛行体1の認証情報を取得し、当該認証情報を当該飛行体1の認証を行う認証サーバに送信して当該飛行体1の認証を要求する。認証要求部126は、飛行体1の認証の要求に対する応答(認証の合格又は不合格)を認証サーバから受信する。
【0039】
データ格納部140には、ハンドオーバパラメータ候補データ141とパラメータ変更地域情報142と隣接セルリスト143とが格納される。
図5を参照してハンドオーバパラメータ候補データ141について説明する。
図5は、本実施形態に係るハンドオーバパラメータ候補データ141の構成例を示す図である。
図5において、ハンドオーバパラメータ候補データ141は、複数(
図5の例では3個)のハンドオーバ(HO)パラメータセットを有する。HOパラメータセットは、複数の通信相手候補の無線基地局の間のハンドオーバを制御するためのハンドオーバパラメータの組である。なお、
図5中のHOパラメータセットに含まれるハンドオーバパラメータの組合せは一例であり、HOパラメータセットに含めるハンドオーバパラメータの組合せは適用する無線通信システムに応じて任意に設定される。
【0040】
また、HOパラメータセットは、HOパラメータセット適用条件を有する。あるHOパラメータセットのHOパラメータセット適用条件は、当該HOパラメータセットが適用される条件である。例えば、HOパラメータセット1のHOパラメータセット適用条件「HO候補セル数<5」は、HO候補セル数が5個未満である場合に当該HOパラメータセット1が適用されることを示す。
【0041】
図6を参照してパラメータ変更地域情報142について説明する。
図6は、本実施形態に係るパラメータ変更地域情報142の構成例を示す図である。
図6において、パラメータ変更地域情報142は、ハンドオーバパラメータを変更する対象の地域のセルのセルID(パラメータ変更地域セルID)を有する。
【0042】
図7を参照して隣接セルリスト143について説明する。
図7は、本実施形態に係る隣接セルリスト143の構成例を示す図である。隣接セルリスト143は、無線部103が無線により接続する無線基地局から無線通信装置100に提供される。無線通信装置100は、無線部103が無線により接続する無線基地局から隣接セルリスト143を受信してデータ格納部140に格納する。
図7において、隣接セルリスト143には、当該隣接セルリスト143の提供元の無線基地局のセルID(接続セルID)が記載される。隣接セルリスト143には、接続セルIDのセルに隣接するセルのセルID(隣接セルID)と、隣接セルIDに関連付けて当該隣接セルIDのセルが使用する無線周波数を示す使用周波数情報とが記載される。
なお、無線基地局は、高度に応じた複数の隣接セルリスト143を無線通信装置100に提供してもよい。例えば、無線基地局は、地上用の隣接セルリスト143と、上空用の隣接セルリスト143とを無線通信装置100に提供してもよい。これは、地上と上空とでは、同じ無線基地局のセルに隣接するセルが変化する可能性があるからである。無線基地局が提供する地上用の隣接セルリスト143には、無線通信装置100が地上に存在する場合に、当該無線基地局のセルに隣接するセルの接続セルIDが記載される。無線基地局が提供する上空用の隣接セルリスト143には、無線通信装置100が上空に存在する場合に、当該無線基地局のセルに隣接するセルの接続セルIDが記載される。無線通信装置100は、地上に存在すると判断した場合には地上用の隣接セルリスト143を使用し、一方、上空に存在すると判断した場合には上空用の隣接セルリスト143を使用する。これにより、無線通信装置100の通信相手の選択の精度を向上させることができる。
【0043】
次に
図8、
図9、
図10を参照して本実施形態に係る通信制御方法の例1、例2、例3を順次説明する。
【0044】
[通信制御方法の例1]
図8を参照して本実施形態に係る通信制御方法の例1を説明する。
図8は、本実施形態に係る通信制御方法の例1のフローチャートである。通信制御方法の例1では、通信制御部123は、セル計数部122の計数結果の単位時間当りセル個数の所定期間の増加数又は減少数が所定の閾値以上である場合に、複数の通信相手候補の無線基地局の中から通信相手の無線基地局を選択する通信相手選択方法を変更する。
【0045】
図8の通信制御処理は、飛行体1の飛行の開始に合わせて開始される。例えば、飛行体1において、飛行体1の飛行の開始を示す飛行開始信号が飛行制御部10から無線通信装置100に入力されると、無線通信装置100は
図8の処理を開始する。又は、飛行体1の外部の装置から無線通信装置100に対して
図8の通信制御処理の開始を通信により指示することにより、無線通信装置100が
図8の処理を開始してもよい。
【0046】
(ステップS11)通信制御部123は、測定期間タイマT1を起動する。測定期間タイマT1は、セル計数部122の計数結果の単位時間当りセル個数の増加数又は減少数を測定する所定期間(測定期間)を計時するタイマである。測定期間タイマT1のタイマ期間は予め設定される。測定期間タイマT1のタイマ期間は、作業者が任意に設定可能である。例えば、作業者は、飛行体1の予定の上昇速度及び下降速度に応じて測定期間タイマT1のタイマ期間を決定してもよい。測定期間タイマT1のタイマ期間の決定方法の一例として、飛行体1の予定の上昇速度及び下降速度が速いほど測定期間タイマT1のタイマ期間を短くする。
【0047】
(ステップS12)通信制御部123は、セル計数部122をリセットし、単位時間タイマT2を起動する。セル計数部122がリセットされることにより、セル計数部122のセル計数値SUMは0にリセットされる。単位時間タイマT2は、セル計数部122の計数結果の単位時間当りセル個数を測定する単位時間を計時するタイマである。単位時間タイマT2のタイマ期間は予め設定される。単位時間タイマT2のタイマ期間は、作業者が任意に設定可能である。但し、単位時間タイマT2のタイマ期間は、測定期間タイマT1のタイマ期間よりも短い時間である。
【0048】
(ステップS13)無線部103は無線基地局から送信される無線信号を受信する。
【0049】
(ステップS14)セル計数部122は、無線部103が受信した無線信号により識別される無線基地局のセルの追加(追加セル)があるか否かを判断する。このセル識別方法は、予め設定される。例えば、作業者は、飛行体1の飛行場所の周辺に存在する無線基地局の通信方式に応じて、上述したセル識別方法の例1、例2又は例3のいずれかの方法を無線通信装置100に設定する。追加セルがある場合にはステップS15に進み、追加セルがない場合にはステップS16に進む。
【0050】
(ステップS15)セル計数部122は、セル計数値SUMに、追加セルの個数(追加セル数)を加算する。
【0051】
(ステップS16)通信制御部123は、単位時間タイマT2の満了を判断する。単位時間タイマT2の満了である場合にはステップS17に進み、そうではない場合にはステップS18に進む。
【0052】
(ステップS17)通信制御部123は、セル計数値SUMを、現在時刻(測定時刻)に関連付けて当該測定時刻の単位時間当りセル個数として記録する。
【0053】
(ステップS18)通信制御部123は、測定期間タイマT1の満了を判断する。測定期間タイマT1の満了である場合にはステップS19に進む。測定期間タイマT1の満了ではない場合には、ステップS12に戻り、次の単位時間当りセル個数の測定が行われる。
【0054】
(ステップS19)通信制御部123は、単位時間当りセル個数の記録に基づいて、今回の測定期間(測定期間タイマT1のタイマ期間)における単位時間当りセル個数の増加数又は減少数を計算する。この結果、今回の測定期間において、単位時間当りセル個数が増加した場合には単位時間当りセル個数の増加数が計算され、一方、単位時間当りセル個数が減少した場合には単位時間当りセル個数の減少数が計算される。
【0055】
(ステップS20)通信制御部123は、該計算結果の単位時間当りセル個数の増加数又は減少数が所定の閾値以上であるか否かを判断する。該閾値は予め設定される。該閾値は、作業者が任意に設定可能である。例えば、作業者は、飛行体1の予定の上昇速度及び下降速度に応じて該閾値を決定してもよい。該閾値の決定方法の一例として、飛行体1の予定の上昇速度及び下降速度が速いほど該閾値を小さくする。ステップS20の判断の結果、閾値以上である場合にはステップS21に進み、そうではない場合にはステップS22に進む。
【0056】
(ステップS21)通信制御部123は、通信相手選択方法を変更する。以下に、通信相手選択方法の変更方法の例を示す。
【0057】
(通信相手選択方法の変更方法の例1)
通信制御部123は、単位時間当りセル個数の増加数が所定の上昇判断閾値以上である場合(上昇判断条件を満たす場合)に、通信相手選択方法を所定の上空用通信相手選択方法に変更する。上昇判断閾値の決定方法の一例として、飛行体1の飛行場所の地上における単位時間当りセル個数の増加数に比して大きい値に決定する。上昇判断条件を満たす場合は、飛行体1が地上から上空に上昇したと判断することができる。これにより、通信制御部123は、飛行体1(無線通信装置100)が上空に存在する場合に適する上空用通信相手選択方法に、通信相手選択方法を変更する。
なお、上昇判断条件の他の例を以下に示す。
(上昇判断条件の他の例1)
所定期間において同じ単位時間当りセル個数が継続していること。
(上昇判断条件の他の例2)
無線通信装置100が接続している無線基地局(接続基地局)のセルに隣接するセル(隣接セル)の電波強度が増加しているのに、接続基地局のセルの電波強度が減少していることを検知したこと。
(上昇判断条件の他の例3)
隣接セル以外のセルの単位時間当りセル個数の増加数又は絶対数が所定の閾値以上であること。
(上昇判断条件の他の例4)
上昇判断条件に使用される閾値は、飛行体1の飛行地域に応じて設定される。上昇判断条件に使用される閾値は、飛行体1の飛行地域によって異なってもよい。
【0058】
(通信相手選択方法の変更方法の例2)
通信制御部123は、単位時間当りセル個数の減少数が所定の下降判断閾値以上である場合(下降判断条件を満たす場合)に、通信相手選択方法を所定の地上用通信相手選択方法に変更する。下降判断閾値の決定方法の一例として、飛行体1の飛行場所の地上における単位時間当りセル個数の減少数に比して大きい値に決定する。下降判断条件を満たす場合は、飛行体1が上空から地上に下降したと判断することができる。これにより、通信制御部123は、飛行体1(無線通信装置100)が地上に存在する場合に適する地上用通信相手選択方法に、通信相手選択方法を変更する。
なお、下降判断条件の他の例を以下に示す。
(下降判断条件の他の例1)
所定期間において同じ単位時間当りセル個数が継続していること。
(下降判断条件の他の例2)
隣接セルの電波強度が減少しているのに、接続基地局のセルの電波強度が増加していることを検知したこと。
(下降判断条件の他の例3)
隣接セル以外のセルの単位時間当りセル個数の減少数又は絶対数が所定の閾値以上であること。
(下降判断条件の他の例4)
下降判断条件に使用される閾値は、飛行体1の飛行地域に応じて設定される。下降判断条件に使用される閾値は、飛行体1の飛行地域によって異なってもよい。
【0059】
(ステップS22)無線通信装置100は、処理の終了を判断する。例えば、飛行体1において、飛行体1の飛行の終了を示す飛行終了信号が飛行制御部10から無線通信装置100に入力されると、無線通信装置100は
図8の処理を終了する。又は、飛行体1の外部の装置から無線通信装置100に対して
図8の通信制御処理の終了を通信により指示することにより、無線通信装置100が
図8の処理を終了してもよい。処理の終了であると判断された場合には
図8の処理を終了する。処理の終了ではない場合には、ステップS11に戻り、次の測定期間が開始される。
【0060】
[通信制御方法の例2]
図9を参照して本実施形態に係る通信制御方法の例2を説明する。
図9は、本実施形態に係る通信制御方法の例2のフローチャートである。通信制御方法の例2では、通信制御部123は、無線部103が受信した無線信号により識別される無線基地局のセルの中に隣接セルリスト143に存在しないセルが存在する場合に、複数の通信相手候補の無線基地局の中から通信相手の無線基地局を選択する通信相手選択方法を変更する。
【0061】
図9の通信制御処理は、飛行体1の飛行の開始に合わせて開始される。例えば、飛行体1において、飛行体1の飛行の開始を示す飛行開始信号が飛行制御部10から無線通信装置100に入力されると、無線通信装置100は
図9の処理を開始する。又は、飛行体1の外部の装置から無線通信装置100に対して
図9の通信制御処理の開始を通信により指示することにより、無線通信装置100が
図9の処理を開始してもよい。
【0062】
(ステップS31)無線部103は無線基地局から送信される無線信号を受信する。
【0063】
(ステップS32)通信制御部123は、隣接セルリスト143を参照する。この参照される隣接セルリスト143(参照対象隣接セルリスト143)は、無線部103が無線により接続する無線基地局のセルIDと同じ接続セルIDが記載される隣接セルリスト143である。
【0064】
(ステップS33)通信制御部123は、無線部103が受信した無線信号により識別される無線基地局のセルの中に参照対象隣接セルリスト143に存在しないセル(非隣接セル)が存在するか否かを判断する。この判断の結果、非隣接セルが存在する場合にはステップS34に進み、そうではない場合にはステップS35に進む。
なお、非隣接セルが存在するか否かの判断の対象にするセルとして、非隣接セルのうち、所定の電波強度よりも低い電波強度の非隣接セルを対象にしてもよい。
また、非隣接セルが存在すると判断する条件(非隣接セル判断条件)として、以下に示す非隣接セル判断条件の例を適用してもよい。
(非隣接セル判断条件の例1)
非隣接セルが所定期間継続して存在していること。
(非隣接セル判断条件の例2)
非隣接セルの個数が所定の閾値以上であること。
【0065】
上記した非隣接セル判断条件の例1、例2は、単独で適用されてもよく、又は、組み合わせて適用されてもよい。また、無線通信装置100がどのような非隣接セル判断条件を適用するのかの情報は、当該無線通信装置100が接続している無線基地局から当該無線通信装置100に提供されてもよい。
【0066】
(ステップS34)通信制御部123は、通信相手選択方法を所定の上空用通信相手選択方法に変更する。この理由は、上空では、地上よりも見通しがきくので、参照対象隣接セルリスト143に存在しない非隣接セルの無線信号が遠方から飛来して受信される可能性が地上よりも高いと考えられるからである。
【0067】
(ステップS35)無線通信装置100は、処理の終了を判断する。例えば、飛行体1において、飛行体1の飛行の終了を示す飛行終了信号が飛行制御部10から無線通信装置100に入力されると、無線通信装置100は
図9の処理を終了する。又は、飛行体1の外部の装置から無線通信装置100に対して
図9の通信制御処理の終了を通信により指示することにより、無線通信装置100が
図9の処理を終了してもよい。処理の終了であると判断された場合には
図9の処理を終了する。処理の終了ではない場合には、ステップS31に戻り、
図9の処理を継続する。
【0068】
上述した通信制御方法の例2に係る無線通信装置は、
飛行体に搭載される無線通信装置において、
無線基地局から送信される無線信号を受信する無線部と、
前記無線部が無線接続する前記無線基地局から受信した隣接セルリストを格納する隣接セルリスト格納部と、
前記無線部が受信した前記無線信号により識別される前記無線基地局のセルの中に前記隣接セルリストに存在しないセルが存在する場合に、複数の通信相手候補の前記無線基地局の中から通信相手の前記無線基地局を選択する通信相手選択方法を変更する通信制御部と、
を備える無線通信装置であってもよい。
【0069】
上述した通信制御方法の例2に係る通信制御方法は、
飛行体に搭載される無線通信装置の通信制御方法であって、
前記無線通信装置が、無線基地局から送信される無線信号を受信する無線受信ステップと、
前記無線通信装置が、無線接続する前記無線基地局から受信した隣接セルリストを隣接セルリスト格納部に格納する隣接セルリスト格納ステップと、
前記無線通信装置が、前記無線受信ステップにより受信した前記無線信号により識別される前記無線基地局のセルの中に前記隣接セルリストに存在しないセルが存在する場合に、複数の通信相手候補の前記無線基地局の中から通信相手の前記無線基地局を選択する通信相手選択方法を変更する通信制御ステップと、
を含む通信制御方法であってもよい。
【0070】
上述した通信制御方法の例2に係るコンピュータプログラムは、
飛行体に搭載される無線通信装置であって無線基地局から送信される無線信号を受信する無線部を備える前記無線通信装置のコンピュータに、
前記無線部が無線接続する前記無線基地局から受信した隣接セルリストを格納する隣接セルリスト格納機能と、
前記無線部が受信した前記無線信号により識別される前記無線基地局のセルの中に前記隣接セルリストに存在しないセルが存在する場合に、複数の通信相手候補の前記無線基地局の中から通信相手の前記無線基地局を選択する通信相手選択方法を変更する通信制御機能と、
を実現させるためのコンピュータプログラムであってもよい。
【0071】
[通信制御方法の例3]
図10を参照して本実施形態に係る通信制御方法の例3を説明する。
図10は、本実施形態に係る通信制御方法の例3のフローチャートである。通信制御方法の例3では、通信制御部123は、無線測定部121の測定結果の無線品質指標値が所定の上空指標条件を満たす場合に、複数の通信相手候補の無線基地局の中から通信相手の無線基地局を選択する通信相手選択方法を変更する。
【0072】
図10の通信制御処理は、飛行体1の飛行の開始に合わせて開始される。例えば、飛行体1において、飛行体1の飛行の開始を示す飛行開始信号が飛行制御部10から無線通信装置100に入力されると、無線通信装置100は
図10の処理を開始する。又は、飛行体1の外部の装置から無線通信装置100に対して
図10の通信制御処理の開始を通信により指示することにより、無線通信装置100が
図10の処理を開始してもよい。
【0073】
(ステップS41)無線部103は無線基地局から送信される無線信号を受信する。
【0074】
(ステップS42)無線測定部121は、無線部103が受信した無線信号に基づいて、自無線通信装置100が接続している無線基地局(接続基地局)のセルの無線品質指標値を測定する。測定される無線品質指標値は、例えば、RSSIとRSRPとSINRとのうち、いずれか一つであってもよく、又は、複数であってもよい。
(ステップS43)通信制御部123は、無線測定部121の測定結果の無線品質指標値が所定の上空指標条件を満たすか否かを判断する。上空指標条件は、飛行体1(無線通信装置100)が上空に存在すると判断するための条件である。以下に、上空指標条件の例を示す。
【0075】
(上空指標条件の例1)
無線品質指標値がRSSIである場合、上空指標条件は、RSSIの測定値が上空RSSI判断閾値以上であることである。上空RSSI判断閾値の決定方法の一例として、飛行体1の飛行場所の地上におけるRSSIの測定値に比して大きい値に決定する。これは、上空では、地上よりも見通しがきくので、RSSIが地上よりも増大すると考えられるからである。
【0076】
(上空指標条件の例2)
無線品質指標値がRSRPである場合、上空指標条件は、RSRPの測定値が上空RSRP判断閾値以上であることである。上空RSRP判断閾値の決定方法の一例として、飛行体1の飛行場所の地上におけるRSRPの測定値に比して大きい値に決定する。これは、上空では、地上よりも見通しがきくので、RSRPが地上よりも増大すると考えられるからである。
【0077】
(上空指標条件の例3)
無線品質指標値がSINRである場合、上空指標条件は、SINRの測定値が上空SINR判断閾値未満であることである。上空SINR判断閾値の決定方法の一例として、飛行体1の飛行場所の地上におけるSINRの測定値に比して小さい値に決定する。これは、上空では、地上よりも見通しがきくので、所望波及び干渉波の両方とも受信電力が増大する可能性があるが、所望波よりも干渉波の方がより一層地上よりも増大することにより、SINRが地上よりも劣化すると考えられるからである。
【0078】
なお、無線品質指標値として、RSSIとRSRPとSINRとのうち複数を使用する場合には、上記の該当する上空指標条件の例を組み合わせて使用する。この場合、全ての無線品質指標値の上空指標条件を満たすことをステップS43の判断「上空指標条件を満たすか?」が「YES」となる条件としてもよく、又は、いずれか複数の無線品質指標値の上空指標条件を満たすことをステップS43の判断「上空指標条件を満たすか?」が「YES」となる条件としてもよく、又は、少なくとも一つの無線品質指標値の上空指標条件を満たすことをステップS43の判断「上空指標条件を満たすか?」が「YES」となる条件としてもよい。このステップS43の判断「上空指標条件を満たすか?」が「YES」となる条件は、例えば、飛行体1の飛行場所の無線環境に応じて決定されてもよい。
【0079】
ステップS43の判断の結果、上空指標条件を満たす場合にはステップS44に進み、そうではない場合にはステップS45に進む。
【0080】
(ステップS44)通信制御部123は、通信相手選択方法を所定の上空用通信相手選択方法に変更する。
【0081】
(ステップS45)無線通信装置100は、処理の終了を判断する。例えば、飛行体1において、飛行体1の飛行の終了を示す飛行終了信号が飛行制御部10から無線通信装置100に入力されると、無線通信装置100は
図10の処理を終了する。又は、飛行体1の外部の装置から無線通信装置100に対して
図10の通信制御処理の終了を通信により指示することにより、無線通信装置100が
図10の処理を終了してもよい。処理の終了であると判断された場合には
図10の処理を終了する。処理の終了ではない場合には、ステップS41に戻り、
図10の処理を継続する。
【0082】
上述した通信制御方法の例3に係る無線通信装置は、
飛行体に搭載される無線通信装置において、
無線基地局から送信される無線信号を受信する無線部と、
前記無線部が受信した前記無線信号に基づいて無線品質指標値を測定する無線測定部と、
前記無線測定部の測定結果の無線品質指標値が所定の上空指標条件を満たす場合に、複数の通信相手候補の前記無線基地局の中から通信相手の前記無線基地局を選択する通信相手選択方法を変更する通信制御部と、
を備える無線通信装置であってもよい。
【0083】
上述した通信制御方法の例3に係る通信制御方法は、
飛行体に搭載される無線通信装置の通信制御方法であって、
前記無線通信装置が、無線基地局から送信される無線信号を受信する無線受信ステップと、
前記無線通信装置が、前記無線受信ステップにより受信した前記無線信号に基づいて無線品質指標値を測定する無線測定ステップと、
前記無線通信装置が、前記無線測定ステップの測定結果の無線品質指標値が所定の上空指標条件を満たす場合に、複数の通信相手候補の前記無線基地局の中から通信相手の前記無線基地局を選択する通信相手選択方法を変更する通信制御ステップと、
を含む通信制御方法であってもよい。
【0084】
上述した通信制御方法の例3に係るコンピュータプログラムは、
飛行体に搭載される無線通信装置であって無線基地局から送信される無線信号を受信する無線部を備える前記無線通信装置のコンピュータに、
前記無線部が受信した前記無線信号に基づいて無線品質指標値を測定する無線測定機能と、
前記無線測定機能の測定結果の無線品質指標値が所定の上空指標条件を満たす場合に、複数の通信相手候補の前記無線基地局の中から通信相手の前記無線基地局を選択する通信相手選択方法を変更する通信制御機能と、
を実現させるためのコンピュータプログラムであってもよい。
【0085】
次に本実施形態に係る通信相手選択方法の例を説明する。
【0086】
[通信相手選択方法の例1]
通信相手選択方法の例1は、複数の通信相手候補の無線基地局の間のハンドオーバを制御するためのハンドオーバパラメータを変更することである。上空では、地上よりも、ハンドオーバ先の候補となる同レベルの受信品質の無線基地局が増大する状況が発生する。この結果、ハンドオーバの失敗やハンドオーバの頻発などのハンドオーバの不具合が発生することにより、上空に存在する無線通信装置100の通信が不安定になる可能性がある。そこで、通信相手選択方法の例1では、ハンドオーバパラメータを変更することによりハンドオーバの不具合の発生を抑制して、上空に存在する無線通信装置100の通信が不安定になることを防止する。以下に、ハンドオーバパラメータの変更方法の例を挙げる。
【0087】
(ハンドオーバパラメータの変更方法の例1)
上空(上空用通信相手選択方法)でのトリガ時間(Time To Trigger:TTT)を地上(地上用通信相手選択方法)の値よりも長くする。TTTは、ハンドオーバの契機になる測定報告の送信条件が無線通信装置100において成立してから、当該無線通信装置100が測定報告の送信を行うまでの保護時間である。TTTが長くなるほど、ハンドオーバの頻発が抑制される効果が得られる。上空でのTTTの値の決定方法の一例として、飛行体1の飛行場所の地上におけるTTTの値に比して大きい値に決定する。
【0088】
(ハンドオーバパラメータの変更方法の例2)
上空(上空用通信相手選択方法)ではハンドオーバを禁止にする。例えば、TTTを無限大の設定にする。これにより、ハンドオーバは発生しなくなる。なお、ハンドオーバを禁止にする時間(ハンドオーバ禁止時間)は、一定の時間に限定してもよい。ハンドオーバ禁止時間は予め設定される。
【0089】
なお、通信制御部123は、飛行体1の飛行場所からアクセスする無線基地局からハンドオーバパラメータの候補を取得してもよい。各飛行場所の無線基地局は、当該飛行場所における、地上に適したハンドオーバパラメータの候補と、上空に適したハンドオーバパラメータの候補と、を保持する。例えば、
図5に例示されるハンドオーバパラメータ候補データ141を保持する。通信制御部123は、飛行体1の飛行場所からアクセスする無線基地局からハンドオーバパラメータの候補(例えばハンドオーバパラメータ候補データ141)を取得して使用することにより、ハンドオーバの不具合の発生を抑制することができる。また、ハンドオーバパラメータの候補と同様に、通信制御部123は、飛行体1の飛行場所からアクセスする無線基地局から、ハンドオーバ禁止時間を示す情報を取得してもよい。
【0090】
[通信相手選択方法の例2]
通信相手選択方法の例2は、複数の通信相手候補の無線基地局の中から同時に通信を行う無線基地局の個数(同時通信基地局数)を変更することである。上空では、地上よりも、同レベルの受信品質の無線基地局が増大する状況が発生する。このことから、上空に存在する無線通信装置100が同時に通信を行う通信相手の無線基地局を地上よりも増やして複数基地局連携通信を行うことにより、当該無線通信装置100の通信速度の向上や通信の信頼性の向上を図ることができる。上空に存在する無線通信装置100の同時通信基地局数(上空用通信相手選択方法)の決定方法の一例として、飛行体1の飛行場所の地上における同時通信基地局数の実績値(地上用通信相手選択方法)に比して大きい値に決定する。
【0091】
次に本実施形態に係る変形例を説明する。
【0092】
[本実施形態に係る変形例1]
認証要求部126は、飛行体1に備わる飛行制御部10の認証情報記憶部12から当該飛行体1の認証情報を取得し、当該認証情報を当該飛行体1の認証を行う認証サーバに送信して当該飛行体1の認証を要求する。この飛行体1の認証要求タイミングは、例えば、飛行体1の飛行の開始に合わせたタイミングである。例えば、飛行体1において、飛行体1の飛行の開始を示す飛行開始信号が飛行制御部10から無線通信装置100に入力されると、無線通信装置100の認証要求部126は飛行体1の認証の要求を行う。又は、飛行体1の外部の装置から無線通信装置100に対して飛行体1の認証の要求を通信により指示することにより、無線通信装置100の認証要求部126が飛行体1の認証の要求を行ってもよい。認証要求部126は、飛行体1の認証の要求に対する応答(認証の合格又は不合格)を認証サーバから受信する。通信制御部123は、認証要求部126の飛行体1の認証の要求結果が認証の合格である場合には通信相手選択方法を変更し、当該要求結果が認証の不合格である場合には通信相手選択方法を変更しない。本実施形態に係る変形例1によれば、確かに飛行体1に搭載された無線通信装置100のみが通信相手選択方法を変更するようにできる。
【0093】
なお、無線通信装置100が備えるSIM(Subscriber Identity Module)カードの固有情報を利用して飛行体1が当該無線通信装置100の認証を行い、当該認証が合格した無線通信装置100のみが通信相手選択方法の変更を実施できるようにしてもよい。又は、無線通信装置100が接続する無線基地局が当該無線通信装置100の認証を行い、当該認証が合格した無線通信装置100のみが通信相手選択方法の変更を実施できるようにしてもよい。例えば、通信相手選択方法の変更に必要な情報(例えば、ハンドオーバパラメータの候補)を暗号化しておき、認証が合格した無線通信装置100のみに復号鍵を提供して当該暗号化情報を復号できるようにしてもよい。
【0094】
[本実施形態に係る変形例2]
水平方向位置情報取得部124は、飛行体1の水平方向の位置を示す水平方向位置情報を取得する。通信制御部123は、水平方向位置情報取得部124が取得した水平方向位置情報に基づいて、飛行体1の移動範囲が一定範囲であるか否かを判断する。この判断方法の一例として、水平方向位置情報(緯度、経度)が示す位置の存在範囲の大きさが所定の大きさに収まる場合には飛行体1の移動範囲が一定範囲であると判断し、そうではない場合には飛行体1の移動範囲が一定範囲でないと判断する。通信制御部123は、飛行体1の移動範囲が一定範囲であると判断した場合に、単位時間当りセル個数の測定間隔を所定の時間(測定待機時間)長くする。単位時間当りセル個数の測定間隔を所定の時間長くする方法の一例として、
図8の通信制御方法の例1のフローチャートのステップS12において、セル計数部122をリセットしてから、測定待機時間だけ待機した後に単位時間タイマT2を起動し、ステップS13に進むようにする。本実施形態に係る変形例2によれば、飛行体1が一定範囲を移動していて無線環境に変化がない場合には、単位時間当りセル個数の測定頻度を減らして、無線通信装置100の負荷の軽減及び消費電力の削減を図ることができる。
【0095】
[本実施形態に係る変形例3]
飛行体移動方向判断部125は、飛行体1の移動方向が垂直方向又は水平方向のいずれであるのかを判断する。この判断方法の一例として、飛行体移動方向判断部125は飛行体1の飛行測位部30を利用する。無線通信装置100は、飛行制御部10を介して、飛行測位部30の測位値(「水平方向の位置(緯度と経度)」及び「垂直方向の位置(高度)」)を取得する。飛行体移動方向判断部125は、該飛行測位部30の測位値に基づいて、所定時間内における水平方向の移動量と垂直方向の移動量とを計算する。飛行体移動方向判断部125は、該計算結果において、垂直方向の移動量が水平方向の移動量よりも多い場合には、飛行体1の移動方向が垂直方向であると判断する。一方、飛行体移動方向判断部125は、該計算結果において、水平方向の移動量が垂直方向の移動量よりも多い場合には、飛行体1の移動方向が水平方向であると判断する。
なお、飛行制御部10が飛行体1の移動方向(垂直方向又は水平方向)を示す移動方向信号を出力し、飛行体移動方向判断部125は、当該移動方向信号が示す移動方向(垂直方向又は水平方向)が飛行体1の移動方向であると判断してもよい。
【0096】
通信制御部123は、上空用通信相手選択方法を使用している場合において、飛行体移動方向判断部125の判断結果により飛行体1の移動方向が水平方向であるときには、通信相手選択方法を上空用通信相手選択方法から所定の上空水平移動用通信相手選択方法に変更する。上空水平移動用通信相手選択方法は、飛行体1(無線通信装置100)が上空において水平方向に移動している場合に適する通信相手選択方法である。これは、上空であっても、飛行体1(無線通信装置100)が水平方向に移動している場合には、無線通信装置100に到達する無線信号の送信元の無線基地局が次々に異なる無線基地局に移り変わるので、当該状況に適した通信相手選択方法(上空水平移動用通信相手選択方法)を使用することが好ましいからである。以下に、上空水平移動用通信相手選択方法の例を示す。
【0097】
(上空水平移動用通信相手選択方法の例1)
上空水平移動用通信相手選択方法の例1では、上空水平移動用通信相手選択方法は地上用通信相手選択方法と同じである。上述したように、上空であっても、飛行体1(無線通信装置100)が水平方向に移動している場合には、無線通信装置100に到達する無線信号の送信元の無線基地局が次々に異なる無線基地局に移り変わる。これは、地上で移動する状況に似ていると考えられるので、地上用通信相手選択方法を上空水平移動用通信相手選択方法に使用する。
【0098】
(上空水平移動用通信相手選択方法の例2)
上空水平移動用通信相手選択方法の例2では、上空水平移動用通信相手選択方法は、地上用通信相手選択方法と上空用通信相手選択方法との中間的な方法である。例えば、地上用TTTと上空用TTTとの中間値を上空水平移動用TTTにする。又は、地上用同時通信基地局数と上空用同時通信基地局数との中間値を上空水平移動用同時通信基地局数にする。
【0099】
[本実施形態に係る変形例4]
通信制御部123は、パラメータ変更地域情報142を参照し、無線部103が受信した無線信号により識別される無線基地局のセルの中に、パラメータ変更地域情報142に含まれるパラメータ変更地域セルIDと同じセルIDのセル(パラメータ変更地域セル)が存在するか否かを判断する。この判断の結果、通信制御部123は、パラメータ変更地域セルが存在する場合には通信相手選択方法を変更し、パラメータ変更地域セルが存在しない場合には通信相手選択方法を変更しない。本実施形態に係る変形例4によれば、通信相手選択方法を変更する地域を特定することができる。
【0100】
[本実施形態に係る変形例5]
通信制御部123は、飛行体1の電源であるバッテリの充電残量を示す充電残量情報を、飛行制御部10から取得する。飛行制御部10には、電源部80から充電残量情報が通知される。通信制御部123は、充電残量情報が示す充電残量が所定の充電残量閾値未満である場合には、通信相手選択方法を上空用通信相手選択方法に変更する条件を緩くする。これにより、飛行体1(無線通信装置100)が上昇中に早く上空用通信相手選択方法を使用することになるので、例えば上空用TTTが使用されることによりハンドオーバの失敗やハンドオーバの頻発などが抑制されてバッテリの浪費を防止することができる。
【0101】
[本実施形態に係る変形例6]
通信制御部123は、セル計数部122の計数結果の単位時間当りセル個数が所定期間継続して増加又は減少のいずれかである場合に、複数の通信相手候補の無線基地局の中から通信相手の無線基地局を選択する通信相手選択方法を変更する。セル計数部122の計数結果の単位時間当りセル個数が所定期間継続して増加する状況は、飛行体1(無線通信装置100)が上昇している状況であると考えられる。これは、飛行体1(無線通信装置100)が上昇している場合、見通しが段々とよくなるので、ある程度の高度までは、当該無線通信装置100に到達する無線信号の送信元の無線基地局は増加の一途をたどるからである。このことから、通信制御部123は、セル計数部122の計数結果の単位時間当りセル個数が所定期間継続して増加である場合に、通信相手選択方法を上空用通信相手選択方法に変更する。なお、ある程度の高度よりも飛行体1(無線通信装置100)が上昇すると、当該無線通信装置100と各無線基地局との間の距離が長くなり過ぎて、今度は一転して当該無線通信装置100に到達する無線信号の送信元の無線基地局は減少の一途をたどる。
【0102】
一方、セル計数部122の計数結果の単位時間当りセル個数が所定期間継続して減少する状況は、飛行体1(無線通信装置100)が下降している状況であると考えられる。これは、飛行体1(無線通信装置100)が下降している場合、見通しが段々と悪くなるので、当該無線通信装置100に到達する無線信号の送信元の無線基地局は減少の一途をたどるからである。このことから、通信制御部123は、セル計数部122の計数結果の単位時間当りセル個数が所定期間継続して減少である場合に、通信相手選択方法を地上用通信相手選択方法に変更する。
【0103】
以上が本実施形態に係る変形例の説明である。
【0104】
上述した実施形態によれば、無線通信装置100が上空に存在する場合に上空用通信相手選択方法を使用することにより、上空に存在する無線通信装置100の通信の安定性の向上を図ることができる。また、無線通信装置100が地上に存在する場合には地上用通信相手選択方法に戻すことができる。このため、地上向けの移動体通信サービスを提供するために構築されたセルラネットワークシステムを飛行体1に搭載された無線通信装置100に適用する場合において、上空においても当該無線通信装置100に対して安定した通信を提供することに寄与できる。これにより、無線通信装置100による通信により飛行体1を遠隔で制御する際に当該通信が安定するので、飛行体1の遠隔制御の信頼性が向上する効果が得られる。
【0105】
また、上述した実施形態によれば、高度計の測定値を使用しないで、飛行体1の上昇及び下降を判断することができる。これにより、高度計の測定値に応じた例えばハンドオーバパラメータの候補の変換を行う必要がない。
【0106】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0107】
例えば、上述した実施形態に係る無線通信装置100が搭載される飛行体は、自動操縦される飛行体であってもよく、又は、遠隔操縦される飛行体であってもよく、又は、人である操縦士が飛行体に乗って操縦する有人の飛行体であってもよい。
【0108】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0109】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0110】
1…飛行体、10…飛行制御部、12…認証情報記憶部、30…飛行測位部、40…カメラ、60…モータ、80…電源部、100…無線通信装置、101…CPU、102…記憶部、103…無線部、104…測位部、121…無線測定部、122…セル計数部、123…通信制御部、124…水平方向位置情報取得部、125…飛行体移動方向判断部、126…認証要求部、140…データ格納部