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特許7247172耐火性バッチ、当該バッチから不定形耐火セラミック製品を製造するための方法、当該方法によって得られる不定形耐火セラミック製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】耐火性バッチ、当該バッチから不定形耐火セラミック製品を製造するための方法、当該方法によって得られる不定形耐火セラミック製品
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/66 20060101AFI20230320BHJP
   F27D 1/00 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
C04B35/66
F27D1/00 N
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020515871
(86)(22)【出願日】2018-11-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 EP2018080585
(87)【国際公開番号】W WO2019120737
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-03-17
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-26
(31)【優先権主張番号】17208542.5
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503069193
【氏名又は名称】リフラクトリー・インテレクチュアル・プロパティー・ゲー・エム・ベー・ハー・ウント・コ・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ハイト
(72)【発明者】
【氏名】ローラント・ニリカ
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】原 和秀
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/091041(WO,A1)
【文献】特開昭60-186481(JP,A)
【文献】特開昭59-45973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B35/05-35/107,35/622-35/84
B22D33/00-47/02
F27D1/00-1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分:
1つ又は複数のマグネシアベースの原料を含む基本成分;
1つ又は複数の炭素担体を含む炭素成分;
1つ又は複数の金属アルミニウムの担体を含むアルミニウム成分;
水性結合剤;
硫酸アルミニウム、
を含み、
前記硫酸アルミニウムが、0.05質量%から1.0質量%までの範囲の割合で存在している耐火性バッチ。
【請求項2】
前記基本成分が、少なくとも90質量%の割合でマグネシアから構成されている、請求項1に記載のバッチ。
【請求項3】
前記基本成分が、以下のマグネシアベースの原料:焼結マグネシア又は溶融マグネシア、の内の1つ又は複数から構成されている、請求項1または2に記載のバッチ。
【請求項4】
前記基本成分が、少なくとも75質量%の割合で存在している、請求項1から3のいずれか一項に記載のバッチ。
【請求項5】
前記アルミニウム成分が、以下の金属アルミニウム担体:金属アルミニウム又は少なくとも1つのアルミニウムを含む金属合金、の内の1つ又は複数から構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のバッチ。
【請求項6】
前記水性結合剤が、4.0質量%から15.0質量%までの範囲の割合で存在している、請求項1からのいずれか一項に記載のバッチ。
【請求項7】
不定形耐火セラミック製品を製造するための方法であって、以下のステップ:
請求項1からのいずれか一項に記載のバッチを供給するステップ;
鋼を加工するための設備に溶鋼を受容するための容器を供給するステップ;
前記設備内で前記容器を使用する際に溶鋼と接触する前記容器の領域上に、前記バッチを鋳造するステップ;
前記領域上に鋳造されたバッチが、不定形耐火セラミック製品を形成するように、前記容器を加熱するステップ、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火性バッチ、当該バッチから不定形耐火セラミック製品を製造するための方法、及び、当該方法によって得られる不定形耐火セラミック製品に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明において「耐火セラミック製品」という概念は、特に、600℃を超える使用温度を有する耐火物と、好ましくはDIN51060:2000-6に従う耐火材料、すなわちSK17より大きい耐火度を有する材料とを意味している。耐火度の測定は、特にDIN EN993-12:1997-06に従って行われ得る。
【0003】
よく知られているように、「耐火性バッチ」は、1つ若しくは複数の成分又は原料から成る組成物を意味しており、当該組成物によって、温度処理、すなわち特に焼成を用いて、耐火性セラミック製品が製造可能である。
【0004】
本発明に係る方法は、本発明に係るバッチから、不定形耐火セラミック製品を製造するために用いられる。従って、本発明に係るバッチは、いわゆる「耐火材料」として、特に塩基性耐火キャスタブルとして用いられる。従って、本発明に係る方法によって得られる、本発明に係る耐火セラミック製品は、不定形耐火セラミック製品として、すなわち、本発明に係るバッチが、成形されずに、耐火セラミック製品の使用箇所に導入され、特に鋳造され、当該箇所において、次に、不定形耐火物を形成するように焼成されることよって得られた製品として存在する。
【0005】
塩基性耐火キャスタブルは、典型的には、化学的に、又は、水硬性によって結合したキャスタブルの形で存在している。このような材料は、マグネシア、特に焼結マグネシア又は溶融マグネシアをベースとする、1つ又は複数の原料から成る基本成分を有している。化学的に結合した塩基性キャスタブルの場合、基本成分は例えば、リン酸塩結合剤を通じて化学的に結合している。水硬性によって結合した塩基性キャスタブルの場合、結合は、例えばアルミナセメント等の水硬性結合剤を通じて行われる。
【0006】
化学結合又は水硬性結合に対して、セラミック結合は、著しい利点を有しており、特に例えば、一般的に比較的高い耐火性及び耐食性、特に改善された熱間曲げ強さ、及び、改善された耐スラグ浸透性をも有している。セラミック結合した塩基性キャスタブルを製造するためのバッチは、特許文献1に開示されている。当該バッチは、焼結マグネシアの形の基本成分と、グラファイト及び水の形の炭素成分とを含んでいる。基本的に、このようなセラミック結合した塩基性耐火キャスタブルを製造するためのバッチは、有効であることが実証されている。しかしながら、炭素成分の酸化を抑制するために、当該バッチに、アルミニウムの形の酸化防止剤を添加することは不可能である。
【0007】
この点において、炭素を含むバッチにおいて、いわゆる酸化防止剤の存在を通じて、大気酸素による炭素の酸化を抑制することが知られている。酸化防止剤としては、特にアルミニウム、ケイ素、マグネシウム及びそれらの合金から成る粉末が知られている。当該粉末は、材料を加温する間に、バッチの炭素と反応して炭化物を生成すると共に、大気酸素とも反応し、それによって、炭素の酸化が減少する。その際、生成された炭化物は、さらに、得られた焼成物の剛性に対してポジティブに作用する。好ましくは、酸化防止剤として、アルミニウムから成る粉末が用いられる。なぜなら、アルミニウムは熱力学的な理由から、ケイ素及びマグネシウムよりも効果的な酸化防止剤であるからである。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のバッチにおいて、酸化防止剤としてアルミニウムを用いることは、特にアルカリ性の環境では、極めて難しいことが明らかになっているであろう。なぜなら、アルミニウムは、アルカリ性反応を示す基本成分の存在下では、即座に水と反応して水素を生成し、それによって、キャスタブル又はキャスタブルから焼成された不定形耐火セラミック製品内に、著しい損傷(特に亀裂の形成)が生じ得るからである。さらに、上述したアルミニウムの反応が、キャスタブルを加熱し、キャスタブルの可鍛性が低下する可能性もある。
【0009】
この点において、結合剤として、水の代わりに、樹脂又はピッチを用いることも可能であろう。しかしながら、よく知られているように、樹脂又はピッチは、バッチの加温の際に揮発し、悪臭を放つ成分、又は、有毒でもある成分を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】欧州特許第825968号明細書
【非特許文献】
【0011】
【文献】Veitsch-Radex Rundschau,1994年1-2号,p.494
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、不定形耐火塩基性セラミック製品を製造するための、炭素を含有する耐火性バッチを供給することにあり、当該バッチにおいては、アルミニウムが酸化防止剤として用いられるのと同時に、水性結合剤が使用可能である。本発明のさらなる課題は、上述したように構成された、キャスタブルの形で使用可能であるバッチを供給することにある。本発明のさらなる課題は、上述したように構成された、アルミニウムが水性結合剤の水分と反応して水素を生成しない、又は、このような反応が少なくとも大幅に抑制されているバッチを供給することにある。さらなる課題は、上述したように構成されたバッチであって、当該バッチから、優れた耐スラグ浸透性を有する、特に化学的に又は水硬性によって結合したキャスタブルから製造された製品よりも優れた耐スラグ浸透性を有する不定形耐火塩基性セラミック製品を製造することが可能であるバッチを供給することにある。さらなる課題は、上述したように構成されたバッチであって、当該バッチから、高い熱間曲げ強さを有する、特に化学的に又は水硬性によって結合したキャスタブルから製造された製品よりも優れた熱間曲げ強さを有する不定形耐火塩基性セラミック製品を製造することが可能であるバッチを供給することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によると、本課題を解決するために、耐火性バッチが供給され、当該耐火性バッチは、以下の成分を含有している:
マグネシアをベースとする1つ又は複数の原料を含む基本成分;
1つ又は複数の炭素担体を含む炭素成分;
1つ又は複数の金属アルミニウム担体を含むアルミニウム成分;
水性結合剤;及び、
水100g当たり少なくとも15gの溶解度を有する、1つ又は複数の硫酸塩。
【0014】
驚くべきことに、本発明によると、マグネシアベースの不定形耐火物を製造するための耐火性バッチ内に、水100g当たり少なくとも15gの溶解度を有する、1つ又は複数の硫酸塩(以下、「水溶性硫酸塩」とのみ表記する)が存在する場合、水性結合剤と共に、アルミニウムを酸化防止剤として使用できることが明らかになっている。なぜなら、本発明によると、驚くべきことに、当該バッチ内に、1つ又は複数の当該水溶性硫酸塩が存在する場合、アルミニウムの結合剤の水分との反応が、完全に又は少なくとも大幅に抑制可能であることが明らかになっているからである。このような背景から、本発明では、マグネシアベースの不定形耐火セラミック製品を製造するための耐火性バッチであって、マグネシアベースの基本成分、炭素成分、酸化防止剤としてのアルミニウム、及び、水性結合剤の他に、さらに水溶性硫酸塩の形の成分を含む耐火性バッチが供給されることが規定されている。
【0015】
本発明によると、水溶性硫酸塩は、その上述した有利な特性を、同種のバッチにおいて、特に水溶性硫酸塩がバッチ内に少なくとも0.05質量%の割合で存在する場合に、効果的に発揮し得ることが明らかになっている。この点に関して、好ましくは、水溶性硫酸塩が、少なくとも0.05質量%の割合でバッチ内に存在することが規定されている。水溶性硫酸塩は、0.1質量%以上の割合で、その有利な特性をさらに効果的に発揮できるので、好ましくは、当該硫酸塩はバッチ内に、少なくとも0.1質量%の割合で存在し、さらに好ましくは少なくとも0.15質量%の割合で、さらに好ましくは少なくとも0.2質量%の割合で存在することが規定されている。上述の質量%という記載は、それぞれ、バッチの全質量に対するものである。
【0016】
さらに明らかになっていることに、バッチから製造可能である不定形耐火セラミック製品の耐火特性は、水溶性硫酸塩がバッチ内に、1.0質量%を超える割合で存在する場合に、不利な影響を受ける可能性がある。この点に関しては、特に、水溶性硫酸塩の質量分率が増大すると、バッチはより速く硬化し、水溶性硫酸塩の割合が1.0質量%を超えると、当該バッチを特にキャスタブルとして加工し、用いることが、実際にはもはや不可能であるほどに速く硬化することが明らかになっている。このような硬化は、水溶性硫酸塩の割合が約0.5質量%以上である場合に観察され得るので、バッチの硬化を、意図的に、水溶性硫酸塩の質量分率を0.5質量%から1.0質量%までの範囲にすることによって調整することができる。この点に関して、一実施形態では、水溶性硫酸塩が、バッチ内で最大1.0質量%の割合で存在していること、この上限は、特に水溶性硫酸塩を通じて、バッチの硬化も調整されるべきである場合に選択され得ることが規定され得る。この点に関して、代替的な実施形態では、水溶性硫酸塩が、バッチ内で最大0.5質量%の割合で存在していること、この上限は、特に水溶性硫酸塩によって、バッチが硬化すべきではない場合に選択され得ることが規定され得る。この点に関して、水溶性硫酸塩は、好ましくはバッチ内に0.05質量%から1.0質量%までの範囲の割合で存在し、より好ましくは0.1質量%から1.0質量%までの割合で、より好ましくは0.2質量%から1.0質量%までの範囲の割合で存在し得る。水溶性硫酸塩によってバッチが硬化すべきではない場合、水溶性硫酸塩は、好ましくはバッチ内に0.05質量%から0.5質量%までの範囲の割合で存在し、より好ましくは0.1質量%から0.5質量%までの範囲の割合で存在する。水溶性硫酸塩によってバッチが意図的に硬化させられるべき場合は、水溶性硫酸塩は、好ましくは0.5質量%から1.0質量%までの範囲の割合でバッチ内に存在する。上述の質量%という記載は、それぞれ、バッチの全質量に対するものである。
【0017】
本発明によると、水溶性硫酸塩は、アルミニウムの結合剤の水分との反応を、各水溶性硫酸塩の水への溶解度が高いほど、より効果的に抑制することが判明している。この点に関して、好ましい一実施形態によると、バッチは、水100g当たり少なくとも15gの溶解度だけではなく、水100g当たり少なくとも20gの溶解度、より好ましくは水100g当たり少なくとも25gの溶解度、さらに好ましくは水100g当たり少なくとも30gの溶解度、さらに好ましくは水100g当たり少なくとも35gの溶解度を有する1つ又は複数の硫酸塩を含んでいることが規定され得る。
【0018】
水100g当たり少なくとも25gの溶解度を有しているのは、例えば、硫酸ナトリウム(NaSO、すなわちIUPAC命名法では「硫酸二ナトリウム」;溶解度:28.1g/100gHO)、硫酸鉄(FeSO、すなわちIUPAC命名法では「硫酸鉄(II);溶解度:29.5g/100gHO)、硫酸リチウム(LiSO、すなわちIUPAC命名法では「硫酸二リチウム」;溶解度:34.2g/100gHO)、硫酸マグネシウム(MgSO、すなわちIUPAC命名法では「硫酸マグネシウム」;溶解度:35.7g/100gHO)、及び、硫酸アルミニウム(Al(SO、すなわちIUPAC命名法では「三硫酸二アルミニウム」;溶解度:38.5g/100gHO)といった硫酸塩であり、好ましくは、これら水溶性硫酸塩の内、1つ又は複数の硫酸塩は、特に上述の範囲内の全質量で、バッチ内に存在し得る。特に好ましくは、その水への非常に高い溶解度ゆえに、硫酸マグネシウム及び硫酸アルミニウムの内の少なくとも1つの硫酸塩が、特に上述の範囲内の全質量で、バッチ内に存在し得る。特に極めて好ましくは、その水への特に高い溶解度ゆえに、水溶性硫酸塩は、硫酸アルミニウムの形で存在する。
【0019】
ここで、「溶解度」は、当該概念の一般的な理解によると、室温(25℃)において、飽和の際に存在する、溶解した水溶性硫酸塩の質量の、水の質量に対する比であると理解される。この点に関して、例えば、水溶性硫酸塩の「水100g当たり少なくとも25gの溶解度」は、室温で飽和した場合に、当該硫酸塩25gが、水100gに溶解していることを示している。
【0020】
溶解度を決定するために、先行技術から知られた手法を用いることが可能である。例えば、室温において、100gの蒸留水に水溶性硫酸塩を加え、沈殿物が認識可能になるまで攪拌してよい。次に、当該溶液は、透明な溶液が形成されるまで、特に少なくとも約24時間、放置され得る。次に、当該溶液をろ過し、硫酸塩の濃度を、既知の決定手法を用いて、例えば原子発光分光法(AES)又は滴定等を用いて決定することができる。場合によっては、サンプルを、濃度の決定の前にさらに希釈することが可能である。
【0021】
水溶性硫酸塩が、水に極めて良好に溶解可能であることが好ましい。この点に関して、水溶性硫酸塩は、好ましくは水に溶解して、すなわち、溶解した形でバッチ内に存在している。特に好ましくは、水溶性硫酸塩は、水性結合剤の水分内に溶解して、バッチ内に存在し得る。水溶性硫酸塩が、水中に、特に水性結合剤の水分に溶解してバッチ内に存在することによって、水溶性硫酸塩は、特に均等かつ均質に、バッチの全体積にわたって分散して、バッチ内に存在することが可能であり、それによって、水溶性硫酸塩は、そのアルミニウムの水性結合剤の水分との反応の抑制に関する有利な特性を、バッチの全体積にわたって発揮し得る。
【0022】
水溶性硫酸塩は、特に上述したように、水に溶解して存在している場合、水和した形でバッチ内に存在し得る。この点に関して、例えば、硫酸アルミニウムは、Al(SO*17HOの形で存在し得る。水溶性硫酸塩が水和した形で存在する場合、水溶性硫酸塩がバッチ内に存在する質量分率に関して本明細書で行われる記載は、つねにその純粋な硫酸塩形状、すなわちその水和していない形状に関するものである。この点に関して、例えば硫酸アルミニウムがAl(SO*17HOの形で存在する場合、当該水和物について行われる質量分率に関する記載は、水和していない硫酸アルミニウムの形、すなわちAl(SOに関する。
【0023】
本発明に係るバッチの結合剤は、水性結合剤、すなわち、水を含有する結合剤、特に水をベースとする結合剤である。好ましくは、当該結合剤は水を含んでいる。水の他に、当該結合剤は、1つ又は複数のさらなる成分、特に例えば少なくとも1つの増粘剤、特にポリアクリル酸の形の増粘剤を含み得る。好ましい一実施形態によると、当該水性結合剤は、水とポリアクリル酸とを含んでいる。
【0024】
当該水性結合剤は、バッチ内に、好ましくは例えば少なくとも4質量%の割合で、より好ましくは少なくとも7質量%の割合で存在し得る。さらに、当該水性結合剤は、バッチ内に、好ましくは最大15質量%の割合で、より好ましくは最大10質量%の割合で存在し得る。好ましくは、当該水性結合剤は、バッチ内に、4質量%から15質量%までの範囲の割合で、より好ましくは7質量%から10質量%までの範囲の割合で存在し得る。バッチに占める結合剤の割合が適切である場合、バッチは、特に有利にはキャスタブルとして用いられ得る。上述の質量%という記載は、それぞれ、バッチの全質量に対するものである。
【0025】
水性結合剤が、水及びポリアクリル酸という物質を含んでいる場合、それぞれ水性結合剤の全質量に対して、結合剤における水の割合は、80質量%から95質量%までの範囲に、ポリアクリル酸の割合は、5質量%から20質量%までの範囲にあり得る。それぞれ、水性結合剤の全質量に対して、特に好ましくは、結合剤における水の割合は、85質量%から92質量%までの範囲に、ポリアクリル酸の割合は、8質量%から15質量%までの範囲にあり得る。
【0026】
本発明に係るバッチのアルミニウム成分は、1つ又は複数の金属アルミニウム担体から成る。好ましくは、当該アルミニウム成分は、以下の金属アルミニウム担体の内の1つ又は複数から構成される:金属アルミニウム又は少なくとも1つのアルミニウムを含有する金属合金。
【0027】
本発明によると、アルミニウムは、結合した形では存在していない、すなわち例えば酸化物としては存在していない、すなわち例えばコランダム(Al)又はマグネシアスピネル(MgAl)の形では存在していない限りにおいて、「金属」アルミニウムとしてバッチ内に存在している。
【0028】
アルミニウム成分が、アルミニウムを含有する少なくとも1つの金属合金の形で存在する場合、当該金属合金は、特に金属合金AlSi、AlMg又はAlSiMgの内の1つ又は複数の形で、すなわち、金属アルミニウムと、ケイ素及びマグネシウムの内少なくとも1つの金属とから成る金属合金の形で存在し得る。極めて好ましくは、当該アルミニウム成分は、AlSiの形の当該金属合金として存在する。本発明によると、金属アルミニウムの形におけるアルミニウム成分は、本発明に係るバッチを加熱する際に、炭化アルミニウムも生成し得ることが明らかになっており、炭化アルミニウムは、例えばAl等であり、水和可能である。しかしながら、驚くべきことに、上述の金属合金の形におけるアルミニウム成分は、バッチの加熱の際に、専ら、又は、大幅に、水和できないAlC等のアルミニウムオキシカーバイドを生成することが明らかになっている。この点において、アルミニウム成分として、アルミニウムを含む金属合金が、特に上述の金属合金の内の少なくとも1つの金属合金の形で存在する場合、本発明に係るバッチから製造された不定形耐火セラミック製品の耐水和性が改善し得る。
【0029】
アルミニウム成分が、金属合金AlSi、AlMg又はAlSiMgの内の1つ又は複数の形で存在する場合、これらの合金は、金属合金の全質量に対して、好ましくは少なくとも70質量%が、特に好ましくは少なくとも80質量%が、さらに好ましくは少なくとも85質量%が、アルミニウムから構成されている。
【0030】
好ましくは、バッチは、アルミニウム成分を、少なくとも1質量%の割合で、より好ましくは少なくとも2質量%の割合で、さらに好ましくは少なくとも3質量%の割合で含有している。さらに、本発明に係るバッチは、アルミニウム成分を、好ましくは最大10質量%の割合で、より好ましくは最大8質量%の割合で、さらに好ましくは最大6質量%の割合で含有している。この点に関して、当該バッチは、アルミニウム成分を、1質量%から10質量%までの範囲の割合で、より好ましくは2質量%から8質量%までの範囲の割合で、さらに好ましくは2質量%から6質量%までの範囲の割合で含有し得る。上述の質量%という記載は、それぞれ、バッチの全質量に対するものである。
【0031】
アルミニウム成分は、好ましくは粉末又はチップの形で存在し、特に、当該アルミニウム成分は、アルミニウム成分の全質量に対して、好ましくは少なくとも90質量%の割合において、500μm未満の粒径で存在しており、当該粒径は、ISO13320:2009-10に従って決定されている。粉末形状のアルミニウム成分の使用の利点は、特に、当該アルミニウム成分が、非常に均等かつ均質に、バッチにわたって分散可能である点にある。
【0032】
当該バッチは、マグネシアベースの1つ又は複数の原料を含む基本成分を含んでいる。好ましくは、基本成分は、マグネシアベースの原料である焼結マグネシア又は溶融マグネシアの内、1つ又は複数から構成されている。特に好ましくは、基本成分は、焼結マグネシアから、特に好ましくは高純度の焼結マグネシアから構成されている。好ましい一実施形態によると、基本成分は、焼結マグネシアの全質量に対して、少なくとも97質量%の割合でMgOを有する焼結マグネシアから構成されている。
【0033】
特に、基本成分は、それぞれ基本成分の全質量に対して、少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%、さらに好ましくは少なくとも97質量%が、マグネシア、すなわちMgOから構成されていることが規定されている。基本成分が、マグネシアベースの複数の原料から構成されている場合、当該基本成分の組成は、当該基本成分が上述の割合でマグネシアを有するように選択されている。
【0034】
基本成分は、本発明に係るバッチ内に、好ましくは少なくとも75質量%の割合で、より好ましくは少なくとも80質量%の割合で存在している。さらに、基本成分が、本発明に係るバッチ内に、最大95質量%の割合で、より好ましくは最大90質量%の割合で存在すると規定することが可能である。この点において、基本成分は、本発明に係るバッチ内に、好ましくは75質量%から95質量%までの範囲の割合で、より好ましくは80質量%から90質量%までの範囲の割合で存在し得る。上述の質量%という記載は、それぞれ、バッチの全質量に対するものである。
【0035】
基本成分は、基本成分の全質量に対して、好ましくは少なくとも90質量%の割合において、5.0mm未満の粒径で存在している。好ましい一実施形態によると、さらに、基本成分は、基本成分の全質量に対して、少なくとも10質量%、より好ましくは10質量%から35質量%までの範囲の割合で、さらに好ましくは20質量%から30質量%までの範囲の割合において、100μm未満の粒径で存在している。その際、当該粒径は、DIN66165-02:2016-08に従って決定されている。
【0036】
当該バッチは、1つ又は複数の炭素担体から成る炭素成分を有している。炭素担体は、専ら遊離炭素から成る原料である。好ましくは、炭素成分は、炭素担体であるグラファイト又はカーボンブラックの内の1つ又は複数から構成されている。その際、グラファイトは、特にフレーク又は球形粒子の形で存在し得る。
【0037】
一実施形態によると、炭素成分は、炭素成分の全質量に対して、少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%、さらに好ましくは少なくとも99質量%が、遊離炭素から構成されている。当該炭素成分が、専ら遊離炭素から成る複数の原料から生成されている場合、炭素成分の組成は、炭素成分が上述の割合で遊離炭素を有するように選択されている。
【0038】
当該炭素成分は、本発明に係るバッチ内に、好ましくは少なくとも2質量%の割合、より好ましくは少なくとも3質量%の割合、さらに好ましくは5質量%の割合で存在する。さらに、好ましくは、炭素成分が、本発明に係るバッチ内に、最大12質量%の割合、より好ましくは最大9質量%の割合、さらに好ましくは最大7質量%の割合で存在することを規定し得る。この点に関して、例えば、本発明に係るバッチが、2質量%から12質量%までの範囲の割合、より好ましくは3質量%から9質量%までの範囲の割合、さらに好ましくは5質量%から7質量%までの範囲の割合で炭素成分を有すると規定し得る。上述の質量%という記載は、それぞれ、バッチの全質量に対するものである。
【0039】
炭素成分は、好ましくは粉末の形で存在する。好ましい実施形態によると、炭素成分の全質量に対して、炭素成分の少なくとも90%が、500μm未満の粒径で存在しており、粒径は、ISO13320:2009-10に従って決定されている。
【0040】
本発明によると、本発明に係るバッチが、上述の成分の他にバッチ内に存在するさらなる成分の存在に対して非常に敏感に反応し得ることが明らかになっている。従って、好ましい一実施形態によると、当該バッチは、少なくとも95質量%、より好ましくは少なくとも97質量%、さらに好ましくは少なくとも99質量%が、基本成分、炭素成分、アルミニウム成分、水性結合剤及び水溶性硫酸塩から構成されている。上述の質量%という記載は、それぞれ、バッチの全質量に対するものである。
【0041】
対応して、本発明に係るバッチが、基本成分、炭素成分、アルミニウム成分、水性結合剤及び水溶性硫酸塩の他に、さらなる成分を、バッチの全質量に対して5質量%未満の割合、より好ましくは3質量%未満の割合、さらに好ましくは1質量%未満の割合で有することを規定し得る。
【0042】
このようなさらなる成分として、バッチは、例えば以下の成分の内の1つ又は複数を有し得る:マイクロシリカ、金属ケイ素、分散剤、又は、樹脂、ピッチ、タール若しくはアスファルトの形における、少なくとも1つの結合剤。
【0043】
マイクロシリカの形のさらなる成分は、バッチ内に、バッチの全質量に対して、例えば最大5質量%の割合で存在し得る。マイクロシリカは、マイクロシリカの全質量に対して、好ましくは少なくとも90質量%が、500μm未満の粒径で、より好ましくは200μm未満の粒径で存在可能であり、当該粒径は、ISO13320:2009-10に従って決定されている。
【0044】
金属ケイ素の形のさらなる成分は、バッチ内に、バッチの全質量に対して、例えば最大5質量%の割合で存在し得る。金属ケイ素は、金属ケイ素の全質量に対して好ましくは少なくとも90質量%が、500μm未満の粒径で存在可能であり、当該粒径は、ISO13320:2009-10に従って決定されている。
【0045】
分散剤の形のさらなる成分は、バッチ内に、それぞれバッチの全質量に対して、例えば最大1.0質量%の割合で、好ましくは0.2質量%から1.0質量%までの範囲の割合で、さらに好ましくは0.2質量%から0.8質量%までの範囲の割合で存在し得る。
【0046】
分散剤は、バッチ内の炭素成分に優れた分散作用を及ぼす1つ又は複数の物質の形で存在し得る。特に、分散剤は、例えば以下の物質の内の1つ又は複数の形で存在し得る:ポリカルボン酸塩、ポリカルボン酸、ポリビニル、ポリビニル酸、又は、多価アルコール。特に好ましくは、分散剤は、ポリカルボン酸塩の形で存在し、特に変性ポリカルボン酸塩の形でも存在し得る。
【0047】
樹脂、タール、アスファルト又はピッチの形の少なくとも1つの結合剤の形におけるさらなる成分は、バッチ内に、例えば最大1.0質量%の割合で存在し得る。好ましくは、このような結合剤は、最大0.5質量%の割合で、特に好ましくは最大0.1質量%の割合で、バッチ内に存在する。上述の質量%という記載は、それぞれ、バッチの全質量に対するものである。
【0048】
不定形耐火物を製造するための方法もまた、本発明の対象であり、当該方法は、以下のステップを含んでいる:
バッチを供給するステップ;
鋼を加工するための設備に溶鋼を受容するための容器を供給するステップ;
設備内で容器を使用する際に溶鋼と接触する容器の領域上に、バッチを鋳造するステップ;
当該領域上に鋳造されたバッチが、不定形耐火セラミック製品を形成するように、容器を加熱するステップ。
【0049】
従って、本発明に係るバッチは、キャスタブルの形で用いられる。特に好ましくは、本発明に係る方法は、鋼を加工するための設備において、すなわち鋼を溶融又は鋳造するための設備、特にすなわち電気アーク炉又は連続鋳造設備において用いられる。本発明に係る方法が、連続鋳造設備で用いられる場合、本発明に係るバッチがその上に鋳造される領域を有する容器は、特に転炉又は連続鋳造設備の取鍋であり得る。その際、当該バッチは、特に継ぎ目、間隙、又は、摩耗した領域の形の、容器の領域上に鋳造され得る。
【0050】
本発明の枠内では、本発明に係るバッチが、鋼を鋳造するための取鍋のスラグ区域のライニング及び修理に、特に卓越して用いられ得ることが明らかになっている。よく知られているように、当該スラグ区域は、取鍋の、溶鋼上に存在するスラグと接触する領域である。この点に関して、本発明に係る方法の一実施形態では、溶鋼を受容するための容器が取鍋の形で供給され、バッチが取鍋のスラグ区域上に鋳造されることを規定し得る。その際、本発明に係る方法は、先行技術によると、スラグ区域における取鍋の内側輪郭をバッチによって形成するために、取鍋内に配置された鋳型が用いられるように実施され得る。先行技術に係るこのような方法は、例えば非特許文献1に記載されている。
【0051】
一実施形態によると、本発明に係る方法は、さらに以下のステップを含んでいる:
スラグ区域の領域における取鍋の内側輪郭のための鋳型を供給するステップ;
鋳型を取鍋内に、鋳型と取鍋との間に隙間が形成されるように配置するステップであって、当該隙間の境界を形成する鋳型の表面が、スラグ区域の領域における取鍋の内側輪郭に対応するステップ。
【0052】
その際、バッチの鋳造の方法ステップは、以下のように行われる:バッチを隙間内に鋳造することによって、バッチを、取鍋のスラグ区域の領域上に鋳造する。
【0053】
容器をその動作中に加熱する際、バッチ又はキャスタブルのアルミニウム成分は、まず完全に、又は、大部分が、炭素成分の炭素、並びに、大気酸素及び大気窒素と反応し、アルミニウムオキシカーバイド及びアルミニウムカーボンナイトライドを生成し、それによって、バッチには、すでに高い剛性が付与される。約1000℃以上の温度で、バッチのアルミニウムは、基本成分のマグネシアと共に、さらに部分的にマグネシアスピネル(MgAl)を形成する。容器をさらに加熱する場合、形成されるマグネシアスピネルが増加する。当該マグネシアスピネルは、特にバッチ内に基本成分に加えてアルミニウム成分が存在する領域において形成される。約1300℃以上の温度で、セラミック製品の微細構造が形成され、当該微細構造は、特にマグネシアスピネルを通じて互いに焼結された基本成分の粒子から、並びに、アルミニウムオキシカーバイドから、並びに、必要に応じてアルミニウムカーボンナイトライド及びAlから構成される。
【0054】
この点に関して、容器は、本発明に係る方法を実施する際、好ましくは少なくとも1450℃の温度に、特に好ましくは約1600℃の温度に加熱される。
【0055】
それによると、当該方法によって製造される不定形耐火セラミック製品は、不定形耐火セラミック製品、すなわち焼結結合を有する不定形耐火物か、又は、セラミック焼結体である。その際、焼結結合は、特に基本成分の粒子の間に、マグネシアスピネルから成る焼結ブリッジの形で形成される。
【0056】
本発明に係る方法によって、本発明に係るバッチを基に製造された不定形耐火物の微細構造は、同様にマグネシア及び炭素から成るバッチに基づいて製造された先行技術に係る不定形耐火物の微細構造とは持続的に異なっている。なぜなら、マグネシア及び炭素をベースとするバッチから製造された先行技術に係る不定形耐火物の微細構造内には、主に炭素結合が存在する一方で、本発明に係る不定形耐火物の微細構造内には、実に圧倒的に、焼結結合が存在するからである。
【0057】
不定形耐火セラミック製品もまた、本発明の対象であり、当該不定形耐火セラミック製品は、本発明に係る方法によって得られ、以下の相を含んでいる:
ペリクレース;
マグネシアスピネル;及び、
アルミニウムオキシカーバイド。
【0058】
本発明に係る製品の微細組織は、主に、マグネシアスピネルから成る焼結ブリッジを通じて互いに焼結した、マグネシア(ペリクレース、MgO)から成る粒子から構成されるマトリックスとして存在しており、当該マトリックスに組み込まれた、アルミニウムオキシカーバイド及び必要に応じてアルミニウムカーボンナイトライド及びコランダム(Al)から成る微細構造領域を有している。
【0059】
好ましくは、本発明に係る製品は、製品の全質量に対して、少なくとも95質量%、特に好ましくは97質量%が、上述の相から構成され得る。
【0060】
本発明に係る製品は、製品の全質量に対して、好ましくは少なくとも75質量%、より好ましくは75質量%から90質量%までの範囲の割合で、さらに好ましくは75質量%から85質量%までの範囲の割合で、ペリクレースから構成され得る。さらに、本発明に係る製品は、製品の全質量に対して、好ましくは10質量%から25質量%までの範囲の割合で、より好ましくは15質量%から25質量%までの範囲の割合で、マグネシアスピネル及びアルミニウムオキシカーバイドから構成され得る。アルミニウムオキシカーバイドは、好ましくは、AlCの形で存在し得る。
【0061】
本発明に係る不定形耐火製品は、特に16体積%から22体積%までの範囲にある開放気孔率を特徴としており、当該開放気孔率は、DIN EN ISO1927-8:2012に従って決定されている。
【0062】
このように、開放気孔率が高いのにもかかわらず、本発明に係る製品は、優れた強度値を有している。その際、本発明に係る製品は、以下の物理的特性の内少なくとも1つの物理的特性を有しており、これらの特性は、1500℃(還元雰囲気下)でのコーキングの後で、バッチから製造された耐火セラミック製品において、DIN EN ISO1927-8:2012に従って決定されている:
かさ密度:2.55g/cm~2.70g/cm
開放多孔率:16体積%~22体積%;
冷間曲げ強さ:0.5MPa~5MPa;
冷間圧縮強さ:15MPa~40MPa;
熱間曲げ強さ(1400℃、還元雰囲気下):5MPa~8MPa;
熱間曲げ強さ(1500℃、還元雰囲気下):4MPa~7MPa。
【0063】
本発明のさらなる特徴は、請求項及び本発明の以下の実施例から明らかになる。
【0064】
本発明の全ての特徴を、個別に、又は、組み合わせにおいて、任意に互いに組み合わせてよい。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0065】
本発明に係る一実施例では、バッチの全質量に対して、それぞれ以下の質量分率において、以下の成分から構成されたバッチが供給された:
焼結マグネシアから成る基本成分:82質量%;
微結晶グラファイトの形における炭素成分:5.5質量%;
AlSi合金の形におけるアルミニウム成分:3.8質量%;
水性結合剤:7質量%;
水溶性硫酸塩:0.5質量%;
マイクロシリカ:1質量%;及び、
分散剤:0.2質量%。
【0066】
基本成分の焼結マグネシアは、焼結マグネシアの全質量に対して、98.0質量%の割合でMgOを有する高純度の形において存在していた。その他に、焼結マグネシアは、0.2質量%の割合でSiOと、0.9質量%未満の割合でCaOと、を有していた。焼結マグネシアは、最大平均粒径が6mmであり、焼結マグネシアの全質量に対して、90質量%以上が、5mm未満の粒径で存在していた。
【0067】
アルミニウム成分は、AlSi合金、すなわちアルミニウム及びケイ素から成る、それぞれアルミニウム成分の全質量に対して、88質量%の金属アルミニウムと12質量%の金属ケイ素とから成る金属合金の形で存在していた。
【0068】
水性結合剤は、水とポリアクリル酸とから構成されており、それぞれ結合剤の全質量に対して、水は88質量%の割合で、ポリアクリル酸は12質量%の割合で存在しており、ポリアクリル酸は、50質量%の水に対して、50質量%のポリアクリル酸の濃度で存在していた。
【0069】
水溶性硫酸塩は、硫酸アルミニウムの形で存在し、結合剤の水分に溶解して存在していた。
【0070】
分散剤は、変性ポリカルボン酸塩ベースの自由流動粉末の形で存在していた。
【0071】
ISO13320:2009-10に従って決定された、当該成分の粒径分布が、以下の表1のように記載された。
【0072】
【表1】
【0073】
バッチの成分が完全に混和された後、均質なバッチが存在していた。当該バッチは次に、キャスタブルの形で用いられた。このために、バッチは、溶鋼の鋳造のための取鍋の、取鍋を使用する際に溶鋼のスラグ区域の領域内に位置するであろう領域上に鋳造された。次に、取鍋を使用するに際して、取鍋は、約1600℃の温度に加熱された。加熱の間に、AlSi合金は、まず炭素成分及び大気酸素と反応してアルミニウムオキシカーバイドを生成し、それによって、バッチに、基本成分の焼結が開始するまでに、すでにある程度の剛性が付与された。約1300℃以上の温度で、アルミニウムは、基本成分のマグネシアと共に、さらにマグネシアスピネルを生成した。最後に、約1450℃以上の温度で、基礎成分の粒子間で焼結結合が形成された。焼結が行われた後で、製品の全質量に対して、95質量%以上が、ペリクレース、マグネシアスピネル及びアルミニウムオキシカーバイドの相から成るバッチから形成される不定形耐火セラミック製品が得られた。
【0074】
当該製品の酸化物分析(XRF)は、以下のようであった:
MgO:89.8質量%
Al:6.6質量%
SiO:2.3質量%
CaO:0.8質量%
Fe:0.5質量%
【0075】
強熱減量は、5.8質量%であった(1050℃でのアニーリングに際するXRFによる)。炭素含有量は、炭素を有さない製品に対して、5.0質量%であった(アニーリング前のLECO-C分析による)。
【0076】
当該製品は、DIN EN ISO1927-6:2012に従って決定された、以下の物理的特性を特徴としている。
【0077】
還元性条件下の、110℃における試験値:
かさ密度:2.64g/cm
開放多孔率:14体積%
冷間曲げ強さ:8MPa
冷間圧縮強さ:34MPa。
【0078】
当該製品は、さらに、DIN EN ISO1927-8:2012に従って決定された、以下の物理的特性を特徴としている。
【0079】
還元性条件下の、1000℃における試験値:
かさ密度:2.60g/cm
開放多孔率:20体積%
冷間曲げ強さ:2MPa
冷間圧縮強さ:20MPa。
【0080】
還元性条件下の、1500℃における試験値:
かさ密度:2.57g/cm
開放多孔率:21体積%
冷間曲げ強さ:3MPa
冷間圧縮強さ:20MPa
熱間曲げ強さ(1400℃、還元雰囲気下):6.5MPa;
熱間曲げ強さ(1500℃、還元雰囲気下):5.5MPa。
【実施例2】
【0081】
第2の実施例の枠内では、本発明に係る製品の耐食性を調べるために、いわゆる「るつぼ形誘導炉試験」(ITOテスト)に従って、腐食試験が行われた。
【0082】
このために、まず、本発明に係るバッチV1の実施例と、先行技術に係るバッチV2とが作成された。
【0083】
本発明に係るバッチV1は、それぞれバッチの全質量に対して、以下の質量分率において、以下の成分から構成されていた:
焼結マグネシアから成る基本成分:81質量%;
微結晶グラファイト及びカーボンブラックの形における炭素成分:7質量%;
AlSi合金の形におけるアルミニウム成分:4質量%;
金属ケイ素:0.5質量%;
水性結合剤:7.2質量%;
水溶性硫酸塩:0.3質量%。
【0084】
先行技術に係るバッチV2は、それぞれバッチの全質量に対して、以下の質量分率において、以下の成分から構成されていた:
焼結マグネシアから成る基本成分:82質量%;
微結晶グラファイト及びカーボンブラックの形における炭素成分:6.5質量%;
金属ケイ素:2質量%;
マイクロシリカ:2.5質量%;
水性結合剤:7質量%。
【0085】
焼結マグネシア、アルミニウム成分、水性結合剤、水溶性硫酸塩、及び、マイクロシリカは、例1に従って存在していた。
【0086】
バッチV1及びV2の成分は、それぞれ互いに完全に混和された後、鋳型に流し込まれ、乾燥の後、最後に約1600℃に加熱された。
【0087】
バッチV1からは、次に、製品V1が、バッチV2からは、製品V2が得られた。
【0088】
製品V1及びV2の耐食性を検査するために、当該製品は、炉のライニングの一部として用いられ、当該ライニングにおいて、いわゆる「るつぼ形誘導炉試験」(ITOテスト)に従って、腐食試験が以下のように行われた:
まず、炉が設置され、炉の耐火性ライニングは、壁側が、石材から形成された。後のスラグ区域では、製品V1及びV2の石材から、ライニングが形成された。耐火性ライニングは、シリンダ形の炉空間を囲んでおり、当該炉空間には、適切なシリンダ形の金属インサート(60kgの鋼)が配置された。当該金属インサートは、ライニングの外側周囲に環状に誘導されたコイルを通じて、1700℃まで加熱され、溶融された。溶鋼の上に、スラグ粉末(表2に示された化学組成を有する3kgのスラグ粉末で、CaO/SiOの比は0.7)が加えられ、当該スラグ粉末は溶融し、腐食性のスラグを有するスラグ区域を形成した。スラグは、当該スラグ区域で、石材V1及びV2と反応し、それによって、これらに腐食によって損傷を与えた。これらの石材は、全部で約4時間、スラグによって腐食を受け、当該スラグは、それぞれ30分後、60分後及び90分後に、それぞれ5質量%のホタル石によって、並びに、120分後、150分後、180分後及び210分後には、それぞれ10%のホタル石によって補充された。次に、ライニングが取り外され、石材V1及びV2において、腐食の程度、すなわち摩耗深さ及び摩耗面積が試験された。
【0089】
【表2】
【0090】
表3には、当該腐食試験の結果が示されている。その際、「摩耗面積」は、石材V1及びV2の腐食した領域の最大横断面面積の平均値を示しており、「摩耗深さ」は、石材V1及びV2の最大摩耗深さの平均値を示している。表3の値が示すように、本発明に係る石材V1におけるこれらの値は、先行技術に係る石材V2における値よりも、はるかに低い。
【0091】
【表3】