IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エシコン エルエルシーの特許一覧

特許7247175外科用器具の動作状態に従って警告を提供するためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】外科用器具の動作状態に従って警告を提供するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20230320BHJP
【FI】
A61B17/072
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020517838
(86)(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 IB2018057319
(87)【国際公開番号】W WO2019064152
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】15/720,800
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ラインバック・リチャード・エル
(72)【発明者】
【氏名】パルフェット・レイモンド・イー
(72)【発明者】
【氏名】バコス・グレゴリー・ジェイ
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-090113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/03 - 17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
第1の位置と第2の位置との間で移動可能な変位部材と、
前記変位部材の位置を検出し、それを示す信号を提供するように構成されたセンサと、
前記センサに連結された制御回路であって、前記制御回路が、
前記変位部材の速度を判定することと、
前記速度がゼロに等しくなると、
前記外科用器具の動作状態を判定し、
前記第1の位置及び前記第2の位置、並びに、1つ又は2つ以上の閾値と比較した前記変位部材の前記位置に従って、前記変位部材の相対位置を判定し、
前記外科用器具の前記動作状態及び前記変位部材の前記相対位置に従ってそれぞれ異なる警告を提供することと、を行うように構成されている、制御回路と、を備える、外科用器具。
【請求項2】
前記警告が、画像を含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
表示装置を更に備え、前記制御回路が、前記表示装置に前記画像を表示させるように構成されている、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記第1の位置は、前記変位部材の移動ストロークの近位端であり、前記第2の位置は、前記変位部材の前記移動ストロークの遠位端であり、前記第1の位置の近傍かつ前記第1の位置よりも遠位側に第1の閾値が位置し、前記第2の位置の近傍かつ前記第2の位置よりも近位側に第2の閾値が位置し、前記第1の位置と前記第1の閾値との間、及び、前記第2の位置と前記第2の閾値との間が第1のゾーンであり、前記第1の閾値と前記第2の閾値との間が第2のゾーンであり、
前記外科用器具の前記動作状態が関節運動動作状態であると判定され、前記変位部材が前記第1のゾーンに位置する場合、前記外科用器具の関節運動が限界にあることを示す画像が提供され、前記外科用器具の前記動作状態が前記関節運動動作状態であると判定され、前記変位部材が前記第2のゾーンに位置する場合、前記外科用器具の関節運動が妨げられていることを示す画像が提供される、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記第1の位置は、前記変位部材の移動ストロークの近位端であり、前記第2の位置は、前記変位部材の前記移動ストロークの遠位端であり、前記第1の位置と前記第2の位置との間に第3の閾値が位置し、前記第1の位置と前記第3の閾値との間が第3のゾーンであり、前記第3の閾値と前記第2の位置との間が第4のゾーンであり、
前記外科用器具の前記動作状態がクランプ及び発射状態であると判定され、前記変位部材が前記第3のゾーンに位置する場合、前記外科用器具がロックアウト状態にあることを示す画像が提供される、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記第1の位置は、前記変位部材の移動ストロークの近位端であり、前記第2の位置は、前記変位部材の前記移動ストロークの遠位端であり、前記第1の位置と前記第2の位置との間に第3の閾値が位置し、前記第1の位置と前記第3の閾値との間が第3のゾーンであり、前記第3の閾値と前記第2の位置との間が第4のゾーンであり、
前記外科用器具の前記動作状態がクランプ及び発射状態であると判定され、前記変位部材が前記第4のゾーンに位置する場合、前記外科用器具が止まったことを示す画像が提供される、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項7】
エンドエフェクタを更に備え、前記エンドエフェクタが、
クランプ位置とクランプ解除位置との間で移動可能な顎部と、
前記変位部材によって、前記エンドエフェクタを通して後退位置と伸長位置との間で駆動可能なナイフバーと、を含み、
前記動作状態は、前記顎部がクランプされ、前記ナイフバーが前記伸長位置に駆動されているかどうかに対応する、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項8】
外科用器具であって、
第1の位置と第2の位置との間で移動可能な変位部材と、
前記変位部材の位置を検出し、それを示す信号を提供するように構成されたセンサと、
前記センサに連結された制御回路であって、前記制御回路が、
前記変位部材の速度を判定することと、
前記変位部材が移動していない場合、
前記外科用器具の動作状態を判定し、
前記第1の位置と前記第2の位置との間を1つ又は2つ以上の閾値によって分割した複数のゾーンの中から前記変位部材が位置付けられているゾーンを判定し、
前記外科用器具の前記動作状態及び前記変位部材が位置付けられている前記ゾーンに従ってそれぞれ異なる警告を提供することと、を行うように構成されている、制御回路と、を備える、外科用器具。
【請求項9】
前記警告が、画像を含む、請求項8に記載の外科用器具。
【請求項10】
表示装置を更に備え、前記制御回路が、前記表示装置に前記画像を表示させるように構成されている、請求項9に記載の外科用器具。
【請求項11】
前記第1の位置は、前記変位部材の移動ストロークの近位端であり、前記第2の位置は、前記変位部材の前記移動ストロークの遠位端であり、前記第1の位置の近傍かつ前記第1の位置よりも遠位側に第1の閾値が位置し、前記第2の位置の近傍かつ前記第2の位置よりも近位側に第2の閾値が位置し、前記第1の位置と前記第1の閾値との間、及び、前記第2の位置と前記第2の閾値との間が第1のゾーンであり、前記第1の閾値と前記第2の閾値との間が第2のゾーンであり、
前記外科用器具の前記動作状態が関節運動動作状態であると判定され、前記変位部材が前記第1のゾーンに位置する場合、前記外科用器具の関節運動が限界にあることを示す画像が提供され、前記外科用器具の前記動作状態が前記関節運動動作状態であると判定され、前記変位部材が前記第2のゾーンに位置する場合、前記外科用器具の関節運動が妨げられていることを示す画像が提供される、請求項9に記載の外科用器具。
【請求項12】
前記第1の位置は、前記変位部材の移動ストロークの近位端であり、前記第2の位置は、前記変位部材の前記移動ストロークの遠位端であり、前記第1の位置と前記第2の位置との間に第3の閾値が位置し、前記第1の位置と前記第3の閾値との間が第3のゾーンであり、前記第3の閾値と前記第2の位置との間が第4のゾーンであり、
前記外科用器具の前記動作状態がクランプ及び発射状態であると判定され、前記変位部材が前記第3のゾーンに位置する場合、前記外科用器具がロックアウト状態にあることを示す画像が提供される、請求項9に記載の外科用器具。
【請求項13】
前記第1の位置は、前記変位部材の移動ストロークの近位端であり、前記第2の位置は、前記変位部材の前記移動ストロークの遠位端であり、前記第1の位置と前記第2の位置との間に第3の閾値が位置し、前記第1の位置と前記第3の閾値との間が第3のゾーンであり、前記第3の閾値と前記第2の位置との間が第4のゾーンであり、
前記外科用器具の前記動作状態がクランプ及び発射状態であると判定され、前記変位部材が前記第4のゾーンに位置する場合、前記外科用器具が止まったことを示す画像が提供される、請求項9に記載の外科用器具。
【請求項14】
エンドエフェクタを更に備え、前記エンドエフェクタが、
クランプ位置とクランプ解除位置との間で移動可能な顎部と、
前記変位部材によって、前記エンドエフェクタを通して後退位置と伸長位置との間で駆動可能なナイフバーと、を含み、
前記動作状態は、前記顎部がクランプされ、前記ナイフバーが前記伸長位置に駆動されているかどうかに対応する、請求項9に記載の外科用器具。
【請求項15】
第1の位置と第2の位置との間で移動可能な変位部材と、前記変位部材に連結されており、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記変位部材を駆動するように構成されている、モータと、前記変位部材の位置を検出し、それを示す信号を提供するように構成されたセンサと、を備える、外科用器具を動作させるための制御回路の作動方法であって、前記制御回路の作動方法は、
前記制御回路が、前記変位部材の速度を判定することと、
前記制御回路が、前記変位部材の前記速度がゼロに等しいと判定すると、
前記制御回路が、前記外科用器具の動作状態を判定し、
前記制御回路が、前記変位部材が位置付けられている前記第1の位置と前記第2の位置との間を1つ又は2つ以上の閾値によって分割した複数のゾーンの中から前記変位部材が位置付けられているゾーンを判定し、
前記制御回路が、前記外科用器具の前記動作状態及び前記変位部材が位置付けられている前記ゾーンに従ってそれぞれ異なる警告を提供することと、を含む、制御回路の作動方法。
【請求項16】
前記警告が、画像を含む、請求項15に記載の制御回路の作動方法。
【請求項17】
前記第1の位置は、前記変位部材の移動ストロークの近位端であり、前記第2の位置は、前記変位部材の前記移動ストロークの遠位端であり、前記第1の位置の近傍かつ前記第1の位置よりも遠位側に第1の閾値が位置し、前記第2の位置の近傍かつ前記第2の位置よりも近位側に第2の閾値が位置し、前記第1の位置と前記第1の閾値との間、及び、前記第2の位置と前記第2の閾値との間が第1のゾーンであり、前記第1の閾値と前記第2の閾値との間が第2のゾーンであり、
前記制御回路が、前記外科用器具の前記動作状態が関節運動動作状態であり、前記変位部材が前記第1のゾーンに位置すると判定した場合、前記制御回路が、前記外科用器具の関節運動が限界にあることを示す画像を提供し、前記制御回路が、前記外科用器具の前記動作状態が前記関節運動動作状態であり、前記変位部材が前記第2のゾーンに位置すると判定した場合、前記制御回路が、前記外科用器具の関節運動が妨げられていることを示す画像を提供する、請求項16に記載の制御回路の作動方法。
【請求項18】
前記第1の位置は、前記変位部材の移動ストロークの近位端であり、前記第2の位置は、前記変位部材の前記移動ストロークの遠位端であり、前記第1の位置と前記第2の位置との間に第3の閾値が位置し、前記第1の位置と前記第3の閾値との間が第3のゾーンであり、前記第3の閾値と前記第2の位置との間が第4のゾーンであり、
前記制御回路が、前記外科用器具の前記動作状態がクランプ及び発射状態であり、前記変位部材が前記第3のゾーンに位置すると判定した場合、前記制御回路が、前記外科用器具がロックアウト状態にあることを示す画像を提供する、請求項16に記載の制御回路の作動方法。
【請求項19】
前記第1の位置は、前記変位部材の移動ストロークの近位端であり、前記第2の位置は、前記変位部材の前記移動ストロークの遠位端であり、前記第1の位置と前記第2の位置との間に第3の閾値が位置し、前記第1の位置と前記第3の閾値との間が第3のゾーンであり、前記第3の閾値と前記第2の位置との間が第4のゾーンであり、
前記制御回路が、前記外科用器具の前記動作状態がクランプ及び発射状態であり、前記変位部材が前記第4のゾーンに位置すると判定した場合、前記制御回路が、前記外科用器具が止まったことを示す画像を提供する、請求項16に記載の制御回路の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用器具に関し、また様々な状況では、組織を切断及びステープル留めするように設計された、外科用ステープル留め及び切断器具に関する。
【背景技術】
【0002】
外科用ステープル留め及び切断器具では、器具を使用する臨床医に警告を提供し、器具の電源を切り、外科用器具の動作状態に従って他のこのような行動をとるために、器具の表示装置及び他の構成要素を制御することが有用であり得る。外科用器具の動作状態(すなわち、器具が切断、ステープル留め、クランプ、関節運動、又は他のこのような行動をとるかどうか)は、1つ又は2つ以上のセンサによって検出することができ、センサが検出した器具の状態に従って、様々なプロセスを実行するように構成された制御回路に通信可能に連結することができる。状況によっては、外科用器具が経験したエラーについて臨床医に警告するために、臨床医に警告を提供することが有用な場合がある。他の状況では、器具がその外科用ステープル留め及び切断動作を完了したときに器具の電源を切ることが有用な場合がある。更に他の状況では、臨床医が切断の進行を見ることができるようにするために、ナイフの位置をその発射ストロークの過程中に表示することが有用な場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、外科用器具は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な変位部材と、変位部材の位置を検出し、それを示す信号を提供するように構成されたセンサと、センサに連結された制御回路であって、制御回路が、変位部材の速度を判定することと、速度がゼロに等しくなると、外科用器具の動作状態を判定し、第1の位置又は第2の位置のうちの少なくとも1つと比較した変位部材の位置に従って、変位部材の相対位置を判定し、外科用器具の動作状態及び変位部材の相対位置に従って警告を提供することと、を行うように構成された制御回路と、を備える。
【0004】
別の態様では、外科用器具は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な変位部材と、センサであって、変位部材の位置を検出し、それを示す信号を提供するように構成されたセンサと、センサに連結された制御回路であって、制御回路が、変位部材の速度を判定することと、変位部材が移動していない場合、外科用器具の動作状態を判定し、変位部材が位置付けられている第1の位置と第2の位置との間のゾーンを判定し、外科用器具の動作状態及び変位部材が位置付けられているゾーンに従って警告を提供することと、を行うように構成された制御回路と、を備える。
【0005】
更に別の態様では、外科用器具を動作させる方法は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な変位部材と、変位部材に連結されており、第1の位置と第2の位置との間で変位部材を駆動するように構成されている、モータと、変位部材の位置を検出し、それを示す信号を提供するように構成されたセンサと、を備え、この方法は、変位部材の速度を判定することと、変位部材の速度がゼロに等しいと判定すると、外科用器具の動作状態を判定し、変位部材が位置付けられているゾーンを判定し、外科用器具の動作状態及び変位部材が位置付けられているゾーンに従って警告を提供することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書に記載される態様の新規特徴は、添付の「特許請求の範囲」に具体的に記載される。しかしながら、これらの態様は、構成及び動作の方法のいずれに関しても、以下の説明文を添付の図面と共に参照することによってより深く理解され得る。
図1】本開示の一態様による、動作可能に連結された交換式シャフト組立体を有する外科用器具の斜視図である。
図2】本開示の一態様による、図1の外科用器具の一部の分解組立図である。
図3】本開示の一態様による、交換式シャフト組立体の一部の分解組立図である。
図4】本開示の一態様による、図1の外科用器具のエンドエフェクタの分解図である。
図5A】本開示の一態様による、2つの図面にまたがる、図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
図5B】本開示の一態様による、2つの図面にまたがる、図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
図6】本開示の一態様による、ハンドル組立体と電源組立体との間のインターフェース、及びハンドル組立体と交換式シャフト組立体との間のインターフェースを示す、図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
図7】本開示の一態様による、図1の外科用器具の態様を制御するように構成された制御回路を示す。
図8】本開示の一態様による、図1の外科用器具の態様を制御するように構成された組合せ論理回路を示す。
図9】本開示の一態様による、図1の外科用器具の態様を制御するように構成された順序論理回路を示す。
図10図1の外科用器具の絶対位置調整システムの図であり、絶対位置調整システムが、本開示の一態様による、センサ構成を備える制御モータ駆動回路構成を備える。
図11】本開示の一態様による、制御回路基板組立体及びセンサ構成の各要素の相対的な整合を示す、絶対位置調整システム用のセンサ構成の分解斜視図である。
図12】本開示の一態様による、磁気回転絶対位置調整システムを備える位置センサの図である。
図13】本開示の一態様による、エンドエフェクタ内に把持された組織に対する発射部材ストロークを示す、図1の外科用器具のエンドエフェクタの断面図である。
図14】本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具のブロック図を示す。
図15】本開示の一態様に従って実行された、2つの例示的な変位部材ストロークをプロットした図を示す。
図16】本開示の一態様による、明確にするためにその一部分が省略された、非関節運動方向にある細長いシャフトア組立体を示す、外科用器具のエンドエフェクタの一部分の部分斜視図である。
図17】本開示の一態様による、非関節運動方向にある細長いシャフト組立体を示す、図16のエンドエフェクタの別の斜視図である。
図18】本開示の一態様による、細長いシャフト組立体態様を示す、図16のエンドエフェクタの分解組立斜視図である。
図19】本開示の一態様による、非関節運動方向にある細長いシャフト組立体を示す、図16のエンドエフェクタの上面図である。
図20】本開示の一態様による、第1の関節運動方向にある細長いシャフト組立体を示す、図16のエンドエフェクタの別の上面図である。
図21】本開示の一態様による、第2の関節運動方向16にある細長いシャフト組立体を示す、図16のエンドエフェクタの別の上面図である。
図22】本開示の一態様による、従来の外科用ステープル/締結具カートリッジ及び高周波(RF)カートリッジと接続して使用するように構成された交換式外科用道具組立体に連結されたハンドル組立体を含む外科用システムの斜視図である。
図23】本開示の一態様による、図22の外科用システムの分解斜視組立図である。
図24】本開示の一態様による、エンドエフェクタが関節運動位置にある、図22の交換式外科用道具組立体の一部分の上部断面図である。
図25】本開示の一態様による、搭載された回路基板構成及びRF発電機を加えた構成の斜視図である。
図26】本開示の一態様による、外科用器具の関節運動及び発射運動の欠如を監視するプロセスの論理流れ図を示す。
図27】本開示の一態様による、エンドエフェクタの関節運動が妨げられていることを示す画像を示す表示画面又はその一部分の正面図を示す。
図28】本開示の一態様による、エンドエフェクタの関節運動が妨げられていることを示す画像を示す表示画面又はその一部分の正面図を示す。
図29】本開示の一態様による、エンドエフェクタが最大関節運動にあることを示す画像を示す表示画面又はその一部分の正面図を示す。
図30】本開示の一態様による、エンドエフェクタが最大関節運動にあることを示す画像を示す表示画面又はその一部分の正面図を示す。
図31】本開示の一態様による、外科用器具が止まっていることを示す画像を示す表示画面又はその一部分の正面図を示す。
図32】本開示の一態様による、外科用器具内にカートリッジがないことを示す画像を示す表示画面又はその一部分の正面図を示す。
図33A】本開示の一態様による、様々な変位部材ストロークの線図を示す。
図33B】本開示の一態様による、様々な変位部材ストロークの線図を示す。
図33C】本開示の一態様による、様々な変位部材ストロークの線図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本出願の出願人は、本出願と同時に出願された以下の特許出願を所有しており、これらの各々は、参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる。
【0008】
代理人整理番号END8313USNP/170178、2017年9月29日出願の、発明者Richard L.Leimbachらによる、表題「SYSTEMS AND METHODS OF DISPLAYING A KNIFE POSITION FOR A SURGICAL INSTRUMENT」。
【0009】
代理人整理番号END8314USNP/170179、2017年9月29日出願の、発明者Richard L.Leimbachらによる、表題「SYSTEMS AND METHODS OF INITIATING A POWER SHUTDOWN MODE FOR A SURGICAL INSTRUMENT」。
【0010】
代理人整理番号END8315USNP/170180、2017年9月29日出願の、発明者Richard L.Leimbachらによる、表題「SYSTEMS AND METHODS FOR LANGUAGE SELECTION OF A SURGICAL INSTRUMENT」。
【0011】
代理人整理番号END8316USDP/170181D、2017年9月29日出願の、発明者Tony C.Siebelらによる、表題「DISPLAY SCREEN OR PORTION THEREOF WITH ANIMATED GRAPHICAL USER INTERFACE」。
【0012】
代理人整理番号END8317USDP/170182D、2017年9月29日出願の、発明者Tony C.Siebelらによる、表題「DISPLAY SCREEN OR PORTION THEREOF WITH ANIMATED GRAPHICAL USER INTERFACE」。
【0013】
代理人整理番号END8318USDP/170183D、2017年9月29日出願の、発明者Tony C.Siebelらによる、表題「DISPLAY SCREEN OR PORTION THEREOF WITH ANIMATED GRAPHICAL USER INTERFACE」。
【0014】
代理人整理番号END8319USDP/170184D、2017年9月29日出願の、発明者Tony C.Siebelらによる、表題「DISPLAY SCREEN OR PORTION THEREOF WITH ANIMATED GRAPHICAL USER INTERFACE」。
【0015】
代理人整理番号END8320USNP/170176M、2017年9月29日出願の、発明者Richard L.Leimbachらによる、表題「SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING A DISPLAY OF A SURGICAL INSTRUMENT」。
【0016】
開示される装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の理解を提供するために、特定の態様が示され説明される。1つの実施例で示される又は説明される特徴は、他の実施例の特徴と組み合わされてもよく、修正形態及び変形形態は、本開示の範囲内にある。
【0017】
「近位」及び「遠位」という用語は、外科用器具のハンドルを操作する臨床医に対する用語であり、「近位」は臨床医により近い部分を指し、「遠位」は、臨床医からより遠い部分を指す。外科用器具は様々な向き及び位置で使用され得るので、便宜上、図面に関して使用される空間的な用語「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」は、限定的及び/又は絶対的であることを意図していない。
【0018】
腹腔鏡下及び低侵襲性の外科的処置を行うための、例示的な装置及び方法が提供される。しかしながら、そのような装置及び方法は、例えば開腹外科処置を含む、他の外科的処置及び用途に使用することができる。外科用器具は、自然開口部を通して、又は組織内に形成された切開又は穿刺穴を通して挿入することができる。器具の作用部分、すなわちエンドエフェクタ部分は、体内に直接に挿入することができ、又は、外科用器具のエンドエフェクタ及び細長いシャフトを前進させることが可能な作用通路を有するアクセスデバイスを通じて挿入することができる。
【0019】
いくつかの態様では、外科用器具は、以下で更に詳細に説明するように、切断(例えば、図1及び図22におけるような)、ステープル留め(例えば、図1におけるような)、電気外科手術(例えば、図22におけるような)、及び/又は超音波手術を行うことができる装置を含み得る。超音波外科用器具に関する更なる詳細は、その全体の開示は参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,283,981号、表題「METHOD OF BALANCING ASYMMETRIC ULTRASONIC SURGICAL BLADES」、米国特許第6,309,400号、表題「CURVED ULTRASONIC WAVEGUIDE HAVING A TRAPEZOIDAL CROSS SECTION」、及び米国特許第6,436,115号、表題「BALANCED ULTRASONIC WAVEGUIDE INCLUDING A PLURALITY OF BALANCE ASYMMETRIES」に見出すことができる。
【0020】
図1図4は、再使用されても又はされなくてもよい、切断及び締結用のモータ駆動式外科用器具10を示す。図示した実施例では、外科用器具10は、臨床医が把持し、操作し、作動させるように構成されたハンドル組立体14を備えるハウジング12を含む。ハウジング12は、1つ又は2つ以上の外科的タスク又は処置を行うように構成されたエンドエフェクタ300が動作可能に連結されている、交換式シャフト組立体200に動作可能に取り付けられるように構成されている。本開示によると、様々な形態の交換式シャフト組立体が、ロボット制御された外科用システムと関連させて効果的に使用され得る。したがって、「ハウジング」という用語は、交換式シャフト組立体を作動させるために利用できる少なくとも1つの制御運動を生成及び加えるように構成された少なくとも1つの駆動システムを収容するか又は動作可能に支持する、ロボットシステムのハウジング又は類似部分を包含することができる。「フレーム」という用語は、手持ち式外科用器具の一部分を指すことができる「フレーム」という用語はまた、ロボット制御式の外科用器具の一部分、及び/又は外科用器具を動作可能に制御するために使用され得るロボットシステムの一部分を表す場合もある。交換式シャフト組立体は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第9,072,535号、表題「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」、に開示されている、様々なロボットシステム、器具、構成要素、及び方法と共に用いられてもよい。
【0021】
図1は、本開示の一態様による、動作可能に連結された交換式シャフト組立体200を有する外科用器具10の斜視図である。ハウジング12はエンドエフェクタ300を含み、エンドエフェクタ300は、外科用ステープルカートリッジ304を動作可能に支持するように構成された外科用切断及び締結装置をその中に備える。ハウジング12は、交換式シャフト組立体と接続して使用するように構成されていてもよく、交換式シャフト組立体は、様々なサイズ及び種類のステープルカートリッジを支持するように適合されたエンドエフェクタを含み、様々なシャフト長さ、サイズ及び種類を有する。ハウジング12は、様々な交換式シャフト組立体と共に用いられてもよく、交換式シャフト組立体は、様々な外科的用途及び処置に関連して用いるように適合されたエンドエフェクタ構成に対して、高周波(RF)エネルギー、超音波エネルギー、及び/又は運動などの、他の運動及びエネルギー形態を印加するように構成された組立体を含む。エンドエフェクタ、シャフト組立体、ハンドル、外科用器具、及び/又は外科用器具システムは、組織を締結するために任意の好適な締結具を利用できる。例えば、中に着脱可能に格納された複数の締結具を備える締結具カートリッジが、シャフト組立体のエンドエフェクタに着脱可能に挿入及び/又は取り付けられ得る。
【0022】
ハンドル組立体14は、ねじ、スナップ機構、接着剤などで相互接続され得る一対の相互接続可能なハンドルハウジングセグメント16、18を備え得る。ハンドルハウジングセグメント16、18は協働して、臨床医によって把持及び操作され得るピストルグリップ部分19を形成する。ハンドル組立体14は複数の駆動システムを動作可能に支持し、駆動システムは、ハンドル組立体に動作可能に取り付けられた交換式シャフト組立体の対応部分に、制御運動を生成及び適用するように構成されている。表示装置はカバー45の下方に設けられてもよい。
【0023】
図2は、本開示の一態様による、図1の外科用器具10の一部分の分解組立図である。ハンドル組立体14は、複数の駆動システムを動作可能に支持するフレーム20を含んでもよい。フレーム20は、閉鎖駆動システム30を動作可能に支持することができ、閉鎖駆動システムは、交換式シャフト組立体200に対して閉鎖及び開放運動を適用することができる。閉鎖駆動システム30は、フレーム20によって枢動可能に支持される閉鎖トリガ32などのアクチュエータを含んでもよい。閉鎖トリガ32は、枢動ピン33によってハンドル組立体14に枢動可能に連結されて、閉鎖トリガ32が臨床医によって操作されることを可能にする。臨床医がハンドル組立体14のピストルグリップ部分19を把持する場合に、閉鎖トリガ32は、開始位置又は「非作動」位置から「作動」位置へ、より具体的には完全圧縮位置又は完全作動位置へと枢動できる。
【0024】
ハンドル組立体14及びフレーム20は発射駆動システム80を動作可能に支持してもよく、発射駆動システム80は、それに取り付けられた交換式シャフト組立体の対応する部分に対して発射運動を適用するように構成されていてもよい。発射駆動システム80は、ハンドル組立体14のピストルグリップ部分19に設置された電気モータ82を用いてもよい。電気モータ82は、例えば約25,000RPMの最大回転スピードを有するブラシ付きDCモータであってもよい。その他の構成では、モータとしては、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又はその他の任意の好適な電気モータを挙げてもよい。電気モータ82は、取り外し可能な電源パック92を備え得る電源90によって給電されてもよい。取り外し可能な電源パック92は、遠位ハウジング部分96に取り付けるように構成された、近位ハウジング部分94を備えてもよい。近位ハウジング部分94及び遠位ハウジング部分96は、その中で複数の電池98を動作可能に支持するように構成される。電池98はそれぞれ、例えば、リチウムイオン(LI)又は他の好適な電池を含んでもよい。遠位ハウジング部分96は、制御回路基板100に取り外し可能かつ動作可能に取り付けられるように構成され、制御回路基板100は電気モータ82に動作可能に連結されている。直列に接続されたいくつかの電池98は、外科用器具10に給電することができる。電源90は、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。カバー45の下方に位置する表示装置43は、制御回路基板100に電気的に連結されている。表示装置43を暴露させるために、カバー45を取り除いてもよい。
【0025】
電気モータ82は、長手方向に移動可能な駆動部材120上にある駆動歯122の組又はラックと噛合係合して装着されるギヤ減速機組立体84と動作可能にインターフェースする、回転式シャフト(図示せず)を含み得る。長手方向に移動可能な駆動部材120は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するための、その上に形成された駆動歯122のラックを有する。
【0026】
使用の際、電源90によって提供される電圧極性によって電気モータ82を時計方向に動作させることができるが、電池によって電気モータに印加される電圧極性は、電気モータ82を反時計方向に動作させるために反転させることができる。電気モータ82が一方向に回転されると、長手方向に移動可能な駆動部材120は、遠位方向「DD」に軸方向駆動されることになる。電気モータ82が反対の回転方向に駆動されると、長手方向に移動可能な駆動部材120は、近位方向「PD」に軸方向駆動されることになる。ハンドル組立体14は、電源90によって電気モータ82に印加される極性を反転させるように構成され得るスイッチを含むことができる。ハンドル組立体14は、長手方向に移動可能な駆動部材120の位置、及び/又は長手方向に移動可能な駆動部材120が動かされている方向を検出するように構成されたセンサを含んでもよい。
【0027】
電気モータ82の作動は、ハンドル組立体14上に枢動可能に支持される発射トリガ130によって制御され得る。発射トリガ130は、非作動位置と作動位置との間を枢動してもよい。
【0028】
図1に戻ると、交換式シャフト組立体200はエンドエフェクタ300を含み、エンドエフェクタ300はその中に、外科用ステープルカートリッジ304を動作可能に支持するように構成された細長いチャネル302を備える。エンドエフェクタ300は、細長いチャネル302に対して枢動可能に支持されるアンビル306を含んでもよい。交換式シャフト組立体200は、関節継手270を含んでもよい。エンドエフェクタ300及び関節継手270の構成及び動作は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0263541号、表題「ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING AN ARTICULATION LOCK」に記述されている。交換式シャフト組立体200は、ノズル部分202、203から構成される近位ハウジング又はノズル201を含んでもよい。交換式シャフト組立体200は、シャフト軸線SAに沿って延びる閉鎖管260を含んでもよく、閉鎖管260はエンドエフェクタ300のアンビル306を閉鎖及び/又は開放するために利用され得る。
【0029】
図1に戻ると、前述の参考文献である米国特許出願公開第2014/0263541号に記載されている方法で、例えば、閉鎖トリガ32の作動に応じて、閉鎖管260を遠位方向(方向「DD」)に並進させてアンビル306が閉鎖される。アンビル306は、閉鎖管260を近位方向に並進させることによって開かれる。アンビル開位置において、閉鎖管260は、その近位位置へと動かされる。
【0030】
図3は、本開示の一態様による、交換式シャフト組立体200の一部分の別の分解組立図である。交換式シャフト組立体200は、スパイン210内部で軸方向移動するように支持される発射部材220を含んでもよい。発射部材220は、遠位切断部分又はナイフバー280に取り付けるように構成された中間発射シャフト222を含む。中間発射シャフト222は、その遠位端に、ナイフバー280の近位端282にあるタブ284を収容するように構成された長手方向スロット223を含んでもよい。長手方向スロット223及び近位端282は、それらの間の相対移動が可能なように構成されてもよく、スリップ継手286を備えることができる。スリップ継手286は、ナイフバー280を動かさずに、又は少なくとも実質的に動かさずに、発射部材220の中間発射シャフト222が、エンドエフェクタ300を関節継手270の周りに関節運動させることを可能にし得る。いったんエンドエフェクタ300が好適に向けられたら、長手方向スロット223の近位側壁がタブ284に接触するまで、中間発射シャフト222を遠位方向に前進させて、ナイフバー280を前進させ、細長いチャネル302内に位置付けられたステープルカートリッジを発射することができる。スパイン210は内部に細長い開口部又は窓213を有して、スパイン210の中への中間発射シャフト222の組み付け及び挿入を容易にしている。いったん中間発射シャフト222が挿入されたら、頂部フレームセグメント215がシャフトフレーム212と係合されて、中間発射シャフト222及びナイフバー280を中に囲い込んでもよい。発射部材220の動作は、米国特許出願第2014/0263541号に見出すことができる。スパイン210は、発射部材220と、スパイン210の周りに延びる閉鎖管260とを摺動可能に支持するように構成され得る。スパイン210は、関節運動駆動部230を摺動可能に支持してもよい。
【0031】
交換式シャフト組立体200は、関節運動駆動部230を発射部材220に選択的かつ取り外し可能に連結させるように構成されたクラッチ組立体400を含み得る。クラッチ組立体400は、発射部材220の周りに位置付けられるロックカラー又はロックスリーブ402を含み、ロックスリーブ402は、ロックスリーブ402が関節運動駆動部230を発射部材220に連結する係合位置と、関節運動駆動部230が発射部材220に動作可能に連結されない係合解除位置との間で回転され得る。ロックスリーブ402がその係合位置にある場合は、発射部材220の遠位方向移動によって、関節運動駆動部230を遠位方向に動かすことができ、それに対応して、発射部材220の近位方向移動によって、関節運動駆動部230を近位方向に動かすことができる。ロックスリーブ402がその係合解除位置にある場合は、発射部材220の移動は関節運動駆動部230に伝達されず、その結果、発射部材220を関節運動駆動部230とは無関係に動かすことができる。ノズル201は、米国特許出願公開第2014/0263541号に記載されている様々な方式で、関節駆動システムと発射駆動システムとを動作可能に係合及び係合解除させるために用いることができる。
【0032】
交換式シャフト組立体200は、スリップリング組立体600を備えることができ、スリップリング組立体600は、例えば、エンドエフェクタ300に及び/若しくはエンドエフェクタ300から電力を伝え、並びに/又は、エンドエフェクタ300に及び/若しくはエンドエフェクタ300から信号を通信するように構成することができる。スリップリング組立体600は、ノズル部分202、203内に画定されたスロットの内部に位置付けられた近位コネクタフランジ604及び遠位コネクタフランジ601を備え得る。近位コネクタフランジ604は第1の面を備えることができ、遠位コネクタフランジ601は、第1の面に隣接して位置付けられ、第1の面に対して移動可能である第2の面を備えることができる。遠位コネクタフランジ601は、シャフト軸線SA-SA(図1)を中心にして、近位コネクタフランジ604に対して回転することができる。近位コネクタフランジ604は、その第1の面に画定される、複数の同心の、又は少なくとも実質的に同心の導体602を備えることができる。コネクタ607は、遠位コネクタフランジ601の近位側に装着することができ、複数の接点を有してもよく、各接点は、導体602のうちの1つに対応し、それと電気的に接触している。かかる構成により、近位コネクタフランジ604と遠位コネクタフランジ601とが、それらの間の電気的接触を維持したまま相対回転することが可能になる。近位コネクタフランジ604は、例えば、導体602をシャフト回路基板と信号通信させることができる、電気コネクタ606を含み得る。少なくとも一事例では、複数の伝導体を含むワイヤハーネスが、電気コネクタ606とシャフト回路基板との間に延び得る。電気コネクタ606は、シャーシ取り付けフランジに画定されたコネクタ開口部を通って近位に延びてもよい。スリップリング組立体600に関する更なる詳細が、米国特許出願公開第2014/0263541号に見出され得る。
【0033】
交換式シャフト組立体200は、ハンドル組立体14に固定可能に取り付けられている近位部分と、長手方向軸を中心に回転可能である遠位部分とを含み得る。回転可能な遠位シャフト部分は、スリップリング組立体600を中心にして近位部分に対して回転させることができる。スリップリング組立体600の遠位コネクタフランジ601は、回転可能な遠位シャフト部分内に位置付けることができる。
【0034】
図4は、本開示の一態様による、図1の外科用器具10のエンドエフェクタ300の一態様の分解図である。エンドエフェクタ300は、アンビル306及び外科用ステープルカートリッジ304を含んでもよい。アンビル306は、細長いチャネル302に連結されてもよい。アンビル306から延びるピン152を収容するように、細長いチャネル302内にアパーチャ199を画定することができて、細長いチャネル302及び外科用ステープルカートリッジ304に対してアンビル306を開位置から閉位置まで枢動させることができる。発射バー172が、エンドエフェクタ300の中へと長手方向に並進するように構成される。発射バー172は、1つの中実部分から構築されてもよく、又は鋼板のスタックを含む積層材料を含んでもよい。発射バー172は、Iビーム178と、その遠位端にある切断縁部182とを備える。発射バー172の遠位方向に突出する端部は、Iビーム178に取り付けることができて、アンビル306が閉位置にある場合に、細長いチャネル302内に位置付けられた外科用ステープルカートリッジ304から間隔を空けてアンビル306を配置する手助けをすることができる。Iビーム178は、Iビーム178を発射バー172によって遠位方向に前進させながら組織を切るための鋭利な切断縁部182を含んでもよい。動作時に、Iビーム178は、外科用ステープルカートリッジ304を発射してもよい。外科用ステープルカートリッジ304は、ステープル駆動部192上に載置された複数のステープル191を、対応する上向きに開いたステープルキャビティ195内に保持する成形されたカートリッジ本体194を含むことができる。楔形スレッド190は、Iビーム178によって遠位方向に駆動され、外科用ステープルカートリッジ304のカートリッジトレイ196上を摺動する。楔形スレッド190は、Iビーム178の刃先182がクランプされた組織を切る間、ステープル駆動部192を上向きにカム駆動して、ステープル191を追い出してアンビル306と変形接触させる。
【0035】
Iビーム178は、発射の間に、アンビル306に係合する上部ピン180を含むことができる。Iビーム178は、カートリッジ本体194、カートリッジトレイ196、及び細長いチャネル302の一部分に係合するために、中央ピン184及び底部フット186を含んでもよい。外科用ステープルカートリッジ304が細長いチャネル302内に位置付けられる場合、カートリッジ本体194内に画定されたスロット193を、カートリッジトレイ196内に画定された長手方向スロット197、及び細長いチャネル302内に画定されたスロット189と位置合わせすることができる。使用の際、Iビーム178は、整列された細長いスロット193、197、及び189を通って摺動することができ、図4に示されるように、Iビーム178の下部フット186は、スロット189の長さに沿って細長いチャネル302の底面に沿って通っている溝に係合することができ、中央ピン184は、長手方向スロット197の長さに沿ってカートリッジトレイ196の上面に係合することができ、上部ピン180は、アンビル306に係合することができる。発射バー172が遠位方向へと前進して、外科用ステープルカートリッジ304からステープルを発射し、及び/又はアンビル306と外科用ステープルカートリッジ304との間に捕捉された組織を切開する際に、Iビーム178は、アンビル306と外科用ステープルカートリッジ304との間の間隔を空けるか、又はそれらの相対移動を制限することができる。発射バー172及びIビーム178を近位方向へと後退させ、それによりアンビル306が開かれ、ステープル留めされ切られた2つの組織部分を解放することが可能になる。
【0036】
図5A及び図5Bは、本開示の一態様による、2つの図面にまたがる、図1の外科用器具10の制御回路700のブロック図である。主に図5A及び図5Bを参照すると、ハンドル組立体702は、モータ714を含んでもよく、このモータは、モータ駆動部715により制御可能であり、外科用器具10の発射システムにより使用され得る。様々な形態において、モータ714は、約25,000RPMの最大回転速度を有する、ブラシ付きDC駆動モータであってよい。別の構成において、モータ714はブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを含んでよい。モータ駆動部715は、例えば、電界効果トランジスタ(field-effect transistors、FET)719を含むHブリッジ駆動部を備えてもよい。モータ714は、制御電力を外科用器具10に供給するためにハンドル組立体14に解放可能に装着されている電源組立体706により給電されてもよい。電源組立体706は、外科用器具10に給電するための電源として使用され得る、直列に接続されたいくつかの電池を備えてもよい。特定の状況下では、電源組立体706の電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源組立体706に別個に連結可能であり得るリチウムイオン電池であってよい。
【0037】
シャフト組立体704は、シャフト組立体704と電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている間に、インターフェースを介して安全コントローラ及び電力管理コントローラ716と通信可能である、シャフト組立体コントローラ722を含むことができる。例えば、インターフェースは、シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている間にシャフト組立体コントローラ722と電力管理コントローラ716との間の電気通信を可能にするために、対応するシャフト組立体電気コネクタとの連結係合のために1つ又は2つ以上の電気コネクタを含み得る第1のインターフェース部分725、及び、対応する電源組立体電気コネクタとの連結係合のために1つ又は2つ以上の電気コネクタを含み得る第2のインターフェース部分727を備え得る。インターフェースを介して1つ又は2つ以上の通信信号を送信して、取り付けられて交換式シャフト組立体704の1つ又は2つ以上の電力要件を電力管理コントローラ716に送信することができる。それに応じて、電力管理コントローラは、取り付けられたシャフト組立体704の電力要件に従って、以下に更に詳細に記載されているように、電源組立体706の電池の電力出力を変調し得る。コネクタは、ハンドル組立体702の、シャフト組立体704及び/又は電源組立体706への機械的連結係合の後に活性化して、シャフト組立体コントローラ722と電力管理コントローラ716との電気的通信を可能にすることができるスイッチを備えることができる。
【0038】
インターフェースは、例えば、ハンドル組立体702に収められたメインコントローラ717を通して、通信信号の経路指定を行うことにより、電力管理コントローラ716とシャフト組立体コントローラ722との1つ又は2つ以上のこのような通信信号の伝達を容易にすることができる。他の状況下では、シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている間、インターフェースは、ハンドル組立体702を介した電力管理コントローラ716とシャフト組立体コントローラ722との間の直接線の通信を容易にし得る。
【0039】
メインコントローラ717は、Texas Instrumentsの商標名ARM Cortexとして知られるものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってよい。一態様では、メインコントローラ717は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、1つ又は2つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ又は2つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0040】
安全コントローラは、やはりTexas Instrumentsの商標名Hercules ARM Cortex R4として知られている、TMS570及びRM4xなど、2つのコントローラベースファミリを備える安全コントローラプラットフォームであってよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0041】
電源組立体706は、電力管理回路を含んでよく、電力管理回路は、電力管理コントローラ716、電力変調器738、及び電流感知回路736を含み得る。シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている間に、電力管理回路は、シャフト組立体704の電力要件に基づいて電池の電力出力を変調するように構成され得る。電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力の電力変調器738を制御するようにプログラムされ得、電流感知回路736は、電源組立体706の電力出力を監視して、電池の電力出力に関するフィードバックを電力管理コントローラ716に提供するように用いられ得るため、電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力を調節して、所望の出力を維持することができる。電力管理コントローラ716及び/又はシャフト組立体コントローラ722はそれぞれ、いくつかのソフトウェアモジュールを記憶可能な1つ又は2つ以上のプロセッサ、及び/又はメモリユニットを備えることができる。
【0042】
外科用器具10(図1図4)は、ユーザに感覚フィードバックを提供するための装置を含み得る、出力装置742を備えてもよい。このような装置は、例えば、視覚的フィードバック装置(例えば、LCD表示スクリーン、LEDインジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカー、ブザー)又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚作動装置)を含んでもよい。特定の状況下では、出力装置742は、ハンドル組立体702に含まれ得る表示装置743を備えてよい。シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716は、出力装置742を介して外科用器具10のユーザにフィードバックを提供し得る。インターフェースは、シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716を出力装置742に接続するように構成することができる。出力装置742は代わりに、電源組立体706と一体化することができる。このような状況下では、シャフト組立体704がハンドル組立体702に連結されている一方で、出力装置742とシャフト組立体コントローラ722との間の通信はインターフェースを介して成し遂げられ得る。
【0043】
制御回路700は、電動外科用器具10の動作を制御するように構成された回路セグメントを備える。安全コントローラセグメント(セグメント1)は、安全コントローラ、及びメインコントローラ717セグメント(セグメント2)を備える。安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717は、加速度セグメント、表示装置セグメント、シャフトセグメント、エンコーダセグメント、モータセグメント、及び電力セグメントなどの1つ又は2つ以上の追加の回路セグメントと相互作用するように構成されている。回路セグメントのそれぞれは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結されてよい。メインコントローラ717もまた、フラッシュメモリに連結される。メインコントローラ717は、シリアル通信インターフェースもまた備える。メインコントローラ717は、例えば、1つ又は2つ以上の回路セグメント、電池、及び/又は複数のスイッチに連結された、複数の入力を備える。セグメント化回路は、例えば、電動外科用器具10内のプリント回路基板組立体(PCBA)など、任意の好適な回路によって実装されてもよい。プロセッサという用語は、本明細書で使用するとき、任意のマイクロプロセッサ、プロセッサ、1つ若しくは複数のコントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上に組み込んだ、他の基本コンピューティングデバイスを含むと理解されるべきである。メインコントローラ717は、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的のプログラム可能装置である。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。制御回路700は、本明細書で記載される1つ又は2つ以上のプロセスを実装するように構成されてもよい。
【0044】
加速度セグメント(セグメント3)は加速度計を備える。加速度計は、電動外科用器具10の移動又は加速度を検出するように構成されている。加速度計からの入力は、スリープモードとの間での遷移、電動外科用器具の配向の識別、及び/又は外科用器具が落下したときの識別に使用されてもよい。いくつかの例では、加速度セグメントは安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結される。
【0045】
表示装置セグメント(セグメント4)は、メインコントローラ717に連結された表示装置コネクタを備える。表示コネクタは、メインコントローラ717を、表示装置の1つ又は2つ以上の集積回路駆動部を通して、表示装置に連結している。表示装置の集積回路駆動部は、表示装置と一体化されてよく、かつ/又は表示装置とは別個に配置されてよい。表示装置は、例えば、有機発光ダイオード(OLED)表示装置、液晶表示装置(LCD)、及び/又は任意の他の好適な表示装置など、任意の好適な表示装置を含んでもよい。いくつかの例では、表示装置セグメントは安全コントローラに連結される。
【0046】
シャフトセグメント(セグメント5)は、外科用器具10(図1図4)に連結されている、交換式シャフト組立体200(図1及び図3)用の制御部、及び/又は、交換式シャフト組立体200に連結されたエンドエフェクタ300用の1つ又は2つ以上の制御部を備える。シャフトセグメントは、メインコントローラ717をシャフトPCBAに連結するように構成された、シャフトコネクタを備える。シャフトPCBAは、強誘電性ランダムアクセスメモリ(FRAM)、関節運動スイッチ、シャフト解放ホール効果スイッチ、及びシャフトPCBA EEPROMを有する低電力マイクロコントローラを備える。シャフトPCBA EEPROMは、交換式シャフト組立体200及び/又はシャフトPCBAに固有の、1つ又は2つ以上のパラメータ、ルーチン、及び/又はプログラムを含む。シャフトPCBAは、交換式シャフト組立体200に連結されてもよく、かつ/又は、外科用器具10と一体であってもよい。いくつかの例では、シャフトセグメントは、第2のシャフトEEPROMを備える。第2のシャフトEEPROMは、電動外科用器具10と連係され得る1つ又は2つ以上のシャフト組立体200及び/又はエンドエフェクタ300に対応する複数のアルゴリズム、ルーチン、パラメータ、及び/又は他のデータを含む。
【0047】
位置エンコーダセグメント(セグメント6)は、1つ又は2つ以上の磁気式角度回転位置エンコーダを備える。1つ又は2つ以上の磁気回転位置エンコーダは、外科用器具10(図1図4)のモータ714、交換式シャフト組立体200(図1及び図3)、及び/又はエンドエフェクタ300の回転位置を識別するように構成されている。いくつかの例では、磁気式角度回転位置エンコーダは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結されてよい。
【0048】
モータ回路セグメント(セグメント7)は、動力式外科用器具10(図1図4)の移動を制御するように構成されたモータ714を備える。モータ714は、1つ又は2つ以上のHブリッジ電界効果トランジスタ(FET)、及びモータコントローラを備える、Hブリッジ駆動部によりメインマイクロコントローラ717に連結される。Hブリッジ駆動部はまた、安全コントローラにも連結される。モータ電流センサは、モータの電引き込み電流を測定するため、モータと直列に連結している。モータ電流センサは、メインコントローラ717及び/又は安全コントローラと信号通信している。いくつかの例では、モータ714は、モータ電磁干渉(EMI)フィルタに連結されている。
【0049】
モータコントローラは、第1のモータフラグ及び第2のモータフラグを制御して、モータ714のステータス及び位置をメインコントローラ717に示す。メインコントローラ717は、パルス幅変調(PWM)高信号、PWM低信号、方向信号、同期信号及びモータリセット信号をモータコントローラに、バッファを介して供給する。電力セグメントは、セグメント電圧を回路セグメントのそれぞれに提供するように構成される。
【0050】
電力セグメント(セグメント8)は、安全コントローラ、メインコントローラ717、及び追加の回路セグメントに連結された電池を備える。電池は、電池コネクタ及び電流センサによってセグメント化回路に連結されている。電流センサは、セグメント化回路の合計引き込み電流を測定するように構成されている。いくつかの例では、1つ又は2つ以上の電圧変換器が、所定の電圧値を1つ又は2つ以上の回路セグメントに提供するように構成されている。例えば、いくつかの例では、セグメント化回路は、3.3V電圧変換器及び/又は5V電圧変換器を備えてもよい。ブースト変換器は、例えば13V以下など、既定量以下のブースト電圧を提供するように構成されている。ブースト変換器は、電力集約的な動作の間、追加の電圧及び/又は電流を提供し、電圧低下又は低電力状態を防止するように構成されている。
【0051】
複数のスイッチは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結されている。スイッチは、外科用器具10(図1図4)の動作を制御し、セグメント化回路の動作を制御し、かつ/又は外科用器具10の状態を示すように構成されてよい。緊急離脱ドアスイッチ、及び緊急離脱用のホール効果スイッチは、緊急離脱ドアのステータスを示すように構成される。例えば、左側関節運動左スイッチ、左側関節運動右スイッチ、左側関節運動中央スイッチ、右側関節運動左スイッチ、右側関節運動右スイッチ、及び右側関節運動中央スイッチなど、複数の関節運動スイッチは、交換式シャフト組立体200(図1及び図3)並びに/又はエンドエフェクタ300(図1及び図4)の関節運動を制御するように構成されている。左側反転スイッチ及び右側反転スイッチは、メインコントローラ717に連結される。左側関節運動左スイッチ、左側関節運動右スイッチ、左側関節運動中央スイッチ、及び左側反転スイッチを備える左側スイッチは、左側可撓コネクタによってメインコントローラ717に連結されている。右側関節運動左スイッチ、右側関節運動右スイッチ、右側関節運動中央スイッチ、及び右側反転スイッチを備える右側スイッチは、右側可撓コネクタによってメインコントローラ717に連結されている。発射スイッチ、クランプ解放スイッチ、及びシャフト係合スイッチは、メインコントローラ717に連結されている。
【0052】
任意の好適な機械的スイッチ、電気機械的スイッチ、又は固体スイッチを用いて、任意の組み合わせで、複数のスイッチを実装してよい。例えば、スイッチは、外科用器具10(図1図4)に関連付けられた構成要素の動きによって、又は物体の存在によって操作されるリミットスイッチであってもよい。このようなスイッチを用いて、外科用器具10と関連した様々な機能を制御することができる。制限スイッチは、一組の接触部と機械的につながったアクチュエータからなる、電気機械装置である。対象体がアクチュエータと接触すると、装置はその接触部を操作して、電気的接続を作成する、又は破壊する。その丈夫さ、取り付けの容易さ、及び動作の信頼性により、制限スイッチは様々な用途及び環境で用いられる。制限スイッチは、対象体の有無、通過、位置付け、及び移動の終了を判定することができる。他の実装形態において、スイッチは、とりわけホール効果装置、磁気抵抗性(MR)装置、巨大磁気抵抗性(GMR)装置、磁力計などの、磁場の影響下にて動作する、固体スイッチであってもよい。他の実装形態では、スイッチは、とりわけ光センサ、赤外線センサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチであってもよい。更に、スイッチは、例えばトランジスタ(例えば、FET、接合FET、金属酸化物半導体FET(MOSFET)、バイポーラなど)などの固体装置であってもよい。他のスイッチは、とりわけ、無線スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、慣性センサを含んでもよい。
【0053】
図6は、本開示の一態様による、ハンドル組立体702と電源組立体706との間のインターフェース、及びハンドル組立体702と交換式シャフト組立体704との間のインターフェースを示す、図1の外科用器具の制御回路700の別のブロック図である。ハンドル組立体702は、メインコントローラ717、シャフト組立体コネクタ726、及び電源組立体コネクタ730を備えることができる。電源組立体706は、電源組立体コネクタ732、電力管理コントローラ716を備え得る電力管理回路734、電力変調器738、及び電流感知回路736を含むことができる。電源組立体コネクタ730、732は、インターフェース727を形成する。交換式シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている間、電力管理回路734は、交換式シャフト組立体704の電力要件に基づいて電池707の電力出力を変調するように構成され得る。例えば、電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力の電力変調器738を制御するようにプログラムされ得、電流感知回路736は、電池707の電力出力に関するフィードバックを電力管理コントローラ716に提供するため、電源組立体706の電力出力を監視するように用いられ得、そのため、電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力を調節して、所望の出力を維持することができる。シャフト組立体704は、不揮発性メモリ721及びシャフト組立体コネクタ728に連結され、シャフト組立体704をハンドル組立体702に電気的に連結する、シャフト組立体コントローラ722を備える。シャフト組立体コネクタ726、728は、インターフェース725を形成する。メインコントローラ717、シャフト組立体コントローラ722、及び/又は電力管理コントローラ716は、本明細書に記載されるプロセスの1つ又は2つ以上を実装するように構成することができる。
【0054】
外科用器具10(図1図4)は、ユーザに感覚フィードバックを与える出力装置742を備えてもよい。このような装置は、視覚的フィードバック装置(例えば、LCD表示画面、LEDインジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカー、ブザー)又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚作動装置)を含んでよい。特定の状況下では、出力装置742は、ハンドル組立体702に含まれ得る表示装置743を備えてよい。シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716は、出力装置742を介して外科用器具10のユーザにフィードバックを提供し得る。インターフェース727は、シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716を出力装置742に接続するように構成され得る。出力装置742は電源組立体706と一体化されてもよい。交換式シャフト組立体704がハンドル組立体702に連結されている間に、出力装置742とシャフト組立体コントローラ722との通信が、インターフェース725を介して成し遂げられ得る。外科用器具10(図1図4)の動作を制御するための制御回路700(図5A図5B及び図6)について説明したので、ここで本開示は、外科用器具10(図1図4)の様々な構成及び制御回路700に移る。
【0055】
図7は、本開示の一態様による、外科用器具10(図1図4)の態様を制御するように構成された制御回路800を示す。制御回路800は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。制御回路800は、少なくとも1つのメモリ回路804に連結された1つ又は2つ以上のプロセッサ802(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)を備えるコントローラを備えることができる。メモリ回路804は、プロセッサ802によって実行されると、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するための機械命令をプロセッサ802に実行させる、機械実行可能命令を記憶する。プロセッサ802は、当該技術分野で既知の多数のシングル又はマルチコアプロセッサのうち任意の1つであってよい。メモリ回路804は、揮発性及び不揮発性のストレージ媒体を含むことができる。プロセッサ802は、命令処理ユニット806及び演算ユニット808を含んでよい。命令処理ユニットは、メモリ回路804から命令を受信するように構成されてもよい。
【0056】
図8は、本開示の一態様による、外科用器具10(図1図4)又はツールの態様を制御するように構成された組合せ論理回路810を示す。組み合わせ論理回路810は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。回路810は、外科用器具10と関連付けられたデータを入力814において受信し、組合せ論理812によってデータを処理し、出力816を提供するように構成された組合せ論理回路812を含む有限状態マシンを含み得る。
【0057】
図9は、本開示の一態様による、外科用器具10(図1図4)の態様を制御するように構成された順序論理回路820を示す。順序論理回路820又は組み合わせ論理回路822は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。回路820は、有限状態マシンを含んでもよい。順序論理回路820は、例えば、組み合わせ論理回路822、少なくとも1つのメモリ回路824、及びクロック829を含んでもよい。少なくとも1つのメモリ回路820は、有限状態マシンの現在の状態を記憶することができる。特定の例では、順序論理回路820は、同期式又は非同期式であってもよい。組合せ論理回路822は、外科用器具10と関連付けられたデータを入力826において受信し、組合せ論理回路822によってデータを処理し、出力828を提供するように構成される。他の態様では、回路は、プロセッサ802と、本明細書の様々なプロセスを実装する有限状態マシンと、の組み合わせを含んでもよい。他の態様では、有限状態マシンは、組み合わせ論理回路810及び順序論理回路820の組み合わせを含むことができる。
【0058】
態様は、製造物品として実装されてもよい。製造物品は、1つ又は2つ以上の態様の様々な動作を行うための論理、命令、及び/又はデータを格納するように構成されたコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。例えば、製造物品は、汎用プロセッサ又は特定用途向けプロセッサによって実行するために好適なコンピュータプログラム命令を含む磁気ディスク、光学ディスク、フラッシュメモリ、又はファームウェアを含んでもよい。
【0059】
図10は、絶対位置調整システム1100が、本開示の一態様によるセンサ装置1102を備える制御モータ駆動回路構成を備える、外科用器具10(図1図4)の絶対位置調整システム1100の図である。絶対位置調整システム1100用のセンサ構成1102は、変位部材1111の場所に対応する固有の位置信号を提供する。図2図4を簡単に参照すると、一態様では、変位部材1111は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するための駆動歯122のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材120(図2)を表す。他の態様では、変位部材1111は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る発射部材220(図3)を表す。更に別の態様では、変位部材1111は、発射バー172(図4)及びIビーム178(図4)を表し、これらの各々が駆動歯のラックを含むように適合され構成され得る。それに応じて、本明細書で使用する場合、変位部材という用語は、駆動部材120、発射部材220、発射バー172、Iビーム178、又は変位され得る任意の要素など、外科用器具10の任意の移動可能な部材を総称して指すために使用される。一態様では、長手方向に移動可能な駆動部材120は、発射部材220、発射バー172、及びIビーム178に連結される。したがって、絶対位置調整システム1100は、実際には、長手方向に移動可能な駆動部材120の直線変位を追跡することによって、I型梁178の直線変位を追跡することができる。様々な他の態様では、変位部材1111は、直線変位を測定するために好適な任意のセンサに連結されてもよい。したがって、長手方向に移動可能な駆動部材120、発射部材220、発射バー172、又はI型梁178、又は組み合わせは、任意の好適な直線変位センサに連結され得る。直線変位センサは、接触式又は非接触式変位センサを含んでよい。直線変位センサは、線形可変差動変圧器(linear variable differential transformers、LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(differential variable reluctance transducers、DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び一連の直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、固定された磁石及び一連の移動可能な直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、移動可能な光源及び一連の直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、又は固定された光源及び一連の移動可能な直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、あるいはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0060】
電気モータ1120は、変位部材1111上の駆動歯の組又はラックと噛合係合で装着されるギヤ組立体1114と動作可能にインターフェースをとる、回転可能なシャフト1116を含んでもよい。センサ要素1126は、センサ要素1126の1回転が、変位部材1111のいくらかの直線長手方向並進に対応するように、ギヤ組立体1114に動作可能に連結されてもよい。ギヤリング及びセンサの構成を、ラックピニオン構成を介して直線作動装置に、又はスパーギヤ若しくは他の接続を介して回転作動装置に接続することができる。電源1129は、絶対位置調整システム1100に電力を供給し、出力インジケータ1128は、絶対位置調整システム1100の出力を表示することができる。図2において、変位部材1111は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するように、その上に形成された駆動歯122のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材120を表す。変位部材1111は、長手方向に移動可能な発射部材220、発射バー172、Iビーム178、又はこれらの組合せを表す。
【0061】
位置センサ1112に付随するセンサ要素1126の1回転は、変位部材1111の長手方向直線変位d1に相当し、d1は、変位部材1111に連結したセンサ要素1126の1回転した後で、変位部材1111が点「a」から点「b」まで移動する長手方向の直線距離である。センサ構成1102は、位置センサ1112が変位部材1111のフルストロークに対して1回又は2回以上の回転を完了する結果をもたらすギヤ減速機を介して接続されてもよい。位置センサ1112は、変位部材1111のフルストロークに対して複数回の回転を完了することができる。
【0062】
位置センサ1112の2回以上の回転に対する固有の位置信号を提供するために、一連のスイッチ1122a~1122n(ここでnは1より大きい整数である)が、単独で用いられても、又はギヤ減速機と共に用いられてもよい。スイッチ1122a~1122nの状態は、コントローラ1104にフィードバックされ、コントローラ1104は、論理を適用して、変位部材1111の長手方向の直線変位d1+d2+...dnに対応する固有の位置信号を判定する。位置センサ1112の出力1124は、コントローラ1104に提供される。センサ構成1102の位置センサ1112は、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する、磁気センサ、電位差計などのアナログ回転センサ、アナログホール効果要素のアレイを備えてもよい。
【0063】
絶対位置調整システム1100は、モータ1120が単に前方又は後方に経たステップの数をカウントして装置アクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推測する従来の回転エンコーダで必要となり得るような、リセット(ゼロ又はホーム)位置への変位部材1111の後退又は前進なしで、器具の電源投入時点で、変位部材1111の絶対位置を提供する。
【0064】
コントローラ1104は、ナイフ及び関節運動システムの速度及び位置に対する正確な制御などの、様々な機能を行うようにプログラムされてもよい。一態様では、コントローラ1104は、プロセッサ1108及びメモリ1106を含む。電気モータ1120は、関節運動又はナイフシステムへのギヤボックス及び機械的連結部を有するブラシ付きDCモータであってもよい。一態様では、モータ駆動部1110は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータ駆動部は、絶対位置調整システム1100における使用のために容易に代用され得る。絶対位置調整システム1100のより詳細な説明は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第15/130,590号、表題「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」に記載されている。
【0065】
コントローラ1104は、変位部材1111及び関節運動システムの速度及び位置に対する正確な制御を提供するようにプログラムされてもよい。コントローラ1104は、コントローラ1104のソフトウェア内での応答を計算するように構成されてもよい。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答が得られ、これが実際のフィードバックの判定に用いられる。観測された応答は、シミュレーションによる応答の滑らかで連続的な性質を、測定による応答と釣り合わせる好適な同調された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
【0066】
絶対位置調整システム1100は、PID、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを備えてもよく、かつ/又はこれを実装するようにプログラムされてもよい。電源1129は、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的入力、この場合は、電圧へと変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のパルス幅変調(pulse width modulation、PWM)が挙げられる。位置センサ1112によって測定される位置に加えて、物理的システムの物理パラメータを測定するために、他のセンサ(複数可)1118が提供されてもよい。いくつかの態様では、他のセンサ(複数可)1118としては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,345,481号、表題「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0263552号、表題「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」、及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第15/628,175号、表題「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」に記載されているものなどのセンサ構成を含むことができる。デジタル信号処理システムでは、絶対位置調整システム1100は、デジタルデータ取得システムに連結され、そこで絶対位置調整システム1100の出力は、有限の解像度及びサンプリング周波数を有する。絶対位置調整システム1100は、計算された応答を測定された応答に向けて駆動する加重平均及び理論制御ループなどのアルゴリズムを用いて、計算された応答を測定された応答と組み合わせるために、比較及び組み合わせ回路を備え得る。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮に入れる。コントローラ1104は、制御回路700であってもよい(図5A及び図5B)。
【0067】
モータ駆動部1110は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。A3941駆動部1110は、ブラシ付きDCモータなどの誘導負荷を目的として具体的に設計された外部Nチャネルパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(metal oxide semiconductor field effect transistor、MOSFET)と共に使用するためのフルブリッジコントローラである。駆動部1110は、固有の電荷ポンプレギュレータを備え、これは、全(>10V)ゲート駆動を7Vまでの電池電圧に提供し、A3941が5.5Vまでの低減ゲート駆動で動作することを可能にする。ブートストラップコンデンサは、NチャネルのMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を提供するために用いられてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を用いて高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードにおいて、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、抵抗器で調節可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護される。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を指示するものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。絶対位置調整システム1100で使用するために、他のモータ駆動部が容易に代用され得る。
【0068】
センサ構成1102用の絶対位置調整システム1100の態様を実装するための全般的なアーキテクチャについて説明したので、ここで、絶対位置調整システム1100のセンサ構成1102の一態様について説明するために、本開示は図11及び図12を参照する。図11は、一態様による、回路1205及びセンサ構成1102の各要素の相対的な配列を示す、絶対位置調整システム1100用のセンサ構成1102の分解斜視図である。絶対位置調整システム1100用のセンサ構成1102は、位置センサ1200と、磁石1202のセンサ要素と、変位部材1111のフルストローク毎に1回転する磁石ホルダ1204と、ギヤの減速を提供するギヤ組立体1206と、を備える。図2を簡単に参照すると、変位部材1111は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するための駆動歯のラック122を備える、長手方向に移動可能な駆動部材120を表し得る。図11を参照すると、ギヤ組立体1206、磁石ホルダ1204、及び磁石1202を支持するために、ブラケット1216などの構造要素が提供されている。位置センサ1200は、ホール要素などの磁気感知要素を備え、磁石1202に近接して定置されている。磁石1202が回転するにつれて、位置センサ1200の磁気感知要素は、1旋回にわたって磁石1202の絶対角度位置を判定する。
【0069】
センサ構成1102は、例えば、全磁場を測定するか磁場のベクトル成分を測定するかによって分類される磁気センサなどの、任意の数の磁気感知要素を備えてもよい。両タイプの磁気センサを生産するために用いられる技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含んでいる。磁場検出に用いられる技術として、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、光磁気、及び微小電気機械システム系の磁気センサが挙げられる。ギヤ組立体は、噛合係合し3:1のギヤ比接続を提供する第1のギヤ1208及び第2のギヤ1210を備える。第3のギヤ1212は、シャフト1214の周りを回転する。第3のギヤ1212は、変位部材1111(又は図2に示すように120)と噛合係合しており、変位部材1111が遠位方向Dに前進するにつれて第1の方向に回転し、変位部材1111が近位方向Pに後退するにつれて第2の方向に回転する。第2のギヤ1210もまた、シャフト1214の周りを回転し、したがって、シャフト1214の周りの第2のギヤ1210の回転は、変位部材1111の長手方向並進に対応する。したがって、遠位方向D又は近位方向Pのいずれかにおける変位部材1111のフルストロークの1つが、第2のギヤ1210の3回転、及び第1のギヤ1208の1回転に対応する。磁石ホルダ1204は、第1のギヤ1208に連結されているので、磁石ホルダ1204は、変位部材1111の各フルストロークに対して完全に1回転する。
【0070】
位置センサ1200は、アパーチャ1220を画定する位置センサホルダ1218によって支持されており、アパーチャ1220は、位置センサ1200を、下にある磁石ホルダ1204内部で回転している磁石1202に正確に整列させて収容するのに好適である。固定具が、ブラケット1216及び回路1205に連結されており、磁石1202が磁石ホルダ1204と共に回転する間、静止したままである。ハブ1222が、第1のギヤ1208及び磁石ホルダ1204と嵌合するように設けられている。シャフト1214に連結された第2のギヤ1210及び第3のギヤ1212も示されている。
【0071】
図12は、本開示の一態様による、磁気回転絶対位置調整システムを備える、絶対位置調整システム1100用の位置センサ1200の図である。位置センサ1200は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサ1200は、コントローラ1104と連係して絶対位置調整システム1100を提供する。位置センサ1200は、低電圧低電力の構成要素であり、磁石1202(図15及び図16)の上方に位置する位置センサ1200の領域1230に、4つのホール効果要素1228A、1228B、1228C、1228Dを含む。また、高解像度ADC1232及びスマート電力管理コントローラ1238がチップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、1桁毎の方法とボルダーアルゴリズム(Volder's algorithm)として知られる、CORDIC(座標回転デジタルコンピュータの略)プロセッサ1236が提供されている。角度位置、アラームビット、及び磁場情報が、SPIインターフェース1234など標準的なシリアル通信インターフェースを介してコントローラ1104に伝送される。位置センサ1200は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ1200は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0072】
ホール効果要素1228A、1228B、1228C、1228Dは、回転磁石1202(図11)の真上に配置されている。ホール効果は、周知の効果であり、便宜上、本明細書では詳細に説明されないが、一般に、ホール効果は、導体内の電流を横断する電気導体と、電流に直交する磁場との間の電圧差(ホール電圧)を生成する。ホール係数は、誘導電場と、電流密度に印加磁場を掛けたものとの比として定義される。その値は、電流を構成する電荷キャリアの種類、数、及び特性に依存するので、ホール係数は、導体を作る材料の特徴を示す。AS5055位置センサ1200において、ホール効果要素1228A、1228B、1228C、1228Dは、磁石1202の絶対位置を、磁石1202の1旋回にわたる角度で示す電圧信号を発生させることが可能である。この角度値は固有の位置信号であり、CORDICプロセッサ1236によって算出され、搭載されたAS5055位置センサ1200にオンボードでレジスタ又はメモリ内に記憶される。1回転にわたる磁石1202の位置を示す角度値は、様々な技術で、例えば、電源投入時に、又はコントローラ1104によって要求されたときに、コントローラ1104に与えられる。
【0073】
AS5055位置センサ1200は、コントローラ1104に接続されているとき、動作するために少数の外部構成要素のみを必要とする。単一電源を使用する単純な用途には6本のワイヤが必要とされ、電力用に2本のワイヤ、コントローラ1104とのSPIインターフェース1234用に4本のワイヤ1240を必要とする。割り込みをコントローラ1104に送信して、新たな有効な角度が読み込まれ得ることを知らせるために、7番目の接続が加えられてもよい。電源投入時に、AS5055位置センサ1200は、1回の角度測定を含むすべての電源投入シーケンスを行う。このサイクルの完了は、INT出力ピン1242として示され、角度値は、内部レジスタに記憶される。この出力が設定されると、AS5055位置センサ1200は、一時停止してスリープモードに移る。コントローラ1104は、SPIインターフェース1234を介してAS5055位置センサ1200から角度値を読み取ることによって、INT出力1242におけるINT要求に応答することができる。角度値がコントローラ1104によって読み取られると、INT出力1242が再びクリアされる。また、コントローラ1104によってSPIインターフェース1234で「角度読み取り」コマンドを位置センサ1200に送信すると、自動的にチップに給電され、別の角度測定が開始される。コントローラ1104が角度値の読み取りを完了すると、直ちに、INT出力1242がクリアされ、新たな結果が角度レジスタに記憶される。角度測定の完了は、再び、INT出力1242及びステータスレジスタの対応するフラグを設定することによって示される。
【0074】
AS5055位置センサ1200の測定原理により、単一の角度測定のみが、各電源投入シーケンス後のごく短い時間で(~600μs)行われる。1つの角度の測定が完了すると、直ちに、AS5055位置センサ1200は、一時停止して電源オフ状態に移る。デジタル平均化による角度値のオンチップフィルタリングは、複数回の角度測定を必要とし、その結果、電源投入時間がより長くなり、低電力用途には望ましくないので、このオンチップフィルタリングは実施されない。角度のジッターは、コントローラ1104で複数の角度サンプルを平均化することによって低減され得る。例えば、4つのサンプルを平均化すると、ジッターは、6dB(50%)低減する。
【0075】
図13は、本開示の一態様による、エンドエフェクタ2502内に把持された組織2526に対するIビーム2514発射ストロークを示す、外科用器具10(図1図4)のエンドエフェクタ2502の断面図である。エンドエフェクタ2502は、図1図4に示す外科用器具10と共に動作するように構成されている。エンドエフェクタ2502は、アンビル2516及び細長い溝2503を備え、ステープルカートリッジ2518が、細長い溝2503内に位置付けられている。発射バー2520は、エンドエフェクタ2502の長手方向軸2515に沿って遠位及び近位に並進可能である。エンドエフェクタ2502が関節運動していないとき、エンドエフェクタ2502は、器具のシャフトと一直線になっている。切刃2509を含むIビーム2514は、発射バー2520の遠位側部分に例示されている。楔形スレッド2513は、ステープルカートリッジ2518内に位置付けられている。Iビーム2514が遠位に並進すると、切刃2509は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置付けられた組織2526に接触し、それを切断し得る。また、Iビーム2514は、楔形スレッド2513に接触し、それを遠位に押し、楔形スレッド2513をステープル駆動部2511に接触させる。ステープル駆動部2511は、ステープル2505内に上昇させられて、ステープル2505を、組織を通って、ステープル2505を形状決めするアンビル2516内に画定されたポケット2507内へ前進させ得る。
【0076】
例示的なIビーム2514の発射ストロークは、エンドエフェクタ2502と並べられてチャート2529によって例示されている。例示的な組織2526もまた、エンドエフェクタ2502と並べられて示されている。発射部材ストロークは、ストローク開始位置2527及びストローク終了位置2528を含み得る。Iビーム2514の発射ストロークの間、Iビーム2514は、ストローク開始位置2527からストローク終了位置2528まで遠位に前進し得る。Iビーム2514は、ストローク開始位置2527の1つの例示的な場所で示されている。Iビーム2514の発射部材ストロークチャート2529は、5つの発射部材ストローク領域2517、2519、2521、2523、2525を例示する。第1の発射ストローク領域2517では、Iビーム2514は、遠位に前進し始め得る。第1の発射ストローク領域2517では、Iビーム2514は、楔形スレッド2513に接触し、それを遠位に移動させ始め得る。しかしながら、第1の領域にある間、切刃2509は、組織に接触しない場合があり、楔形スレッド2513は、ステープル駆動部2511に接触しない場合がある。静止摩擦に打ち勝った後、第1の領域2517内でI型梁2514を駆動する力は、実質的に一定であってよい。
【0077】
第2の発射部材ストローク領域2519では、切刃2509は、組織2526に接触して切断し始め得る。また、楔形スレッド2513は、ステープル2505を駆動するためにステープル駆動部2511に接触し始め得る。Iビーム2514を駆動する力は、上昇し始め得る。図示のように、最初に遭遇する組織は、アンビル2516がステープルカートリッジ2518に対して枢動する方式のため、圧縮され得る、及び/又はより薄くなり得る。第3の発射部材ストローク領域2521では、切刃2509は、組織2526と連続的に接触及び切断し得、楔形スレッド2513は、ステープル駆動部2511に繰り返し接触し得る。Iビーム2514を駆動する力は、第3の領域2521内で一定であり得る。第4の発射ストローク領域2523によって、Iビーム2514を駆動する力は、低下し始め得る。例えば、第4の発射領域2523に対応するエンドエフェクタ2502の部分の組織は、アンビル2516の枢動点により近い組織よりも圧縮されない場合があり、切断するために少ない力を必要とする。また、切刃2509及び楔形スレッド2513は、第4の領域2523にある間、組織2526の端に到達し得る。Iビーム2514が第5の領域2525に到達すると、組織2526は、完全に切断され得る。楔形スレッド2513は、組織の端又はその近くで1つ又は2つ以上のステープル駆動部2511に接触し得る。Iビーム2514を第5の領域2525を通して前進させる力は低減され得、いくつかの例では、Iビーム2514を第1領域2517内で駆動する力と同様であってもよい。発射部材のストロークの終わりに、Iビーム2514は、ストローク終了位置2528に到達し得る。図18の発射部材のストローク領域2517、2519、2521、2523、2525の位置付けは、単なる一例である。いくつかの例では、異なる領域は、例えば、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間の組織の位置付けに基づいて、エンドエフェクタの長手方向軸2515に沿った異なる位置で開始してもよい。
【0078】
上で議論したように、及び図10図13を参照すると、エンドエフェクタ2502内に捕捉された組織をステープル留め及び/又は切開するために、外科用器具10(図1図4)のハンドル組立体内部に位置付けられた電気モータ1122を利用して、Iビーム2514を含む、シャフト組立体の発射システムを、シャフト組立体のエンドエフェクタ2502に対して前進及び/又は後退させることができる。Iビーム2514は、所望の速度で、又は所望の速度の範囲内で前進又は後退させられ得る。制御回路1104は、Iビーム2514の速度を制御するように構成され得る。コントローラ1104は、例えば、電圧及び/若しくは電流などの、電気モータ1122に供給される電源の様々なパラメータ、並びに/又は電気モータ1122の他の動作パラメータ若しくは外的影響に基づいて、Iビーム2514の速度を予測するように構成され得る。コントローラ1104は、電気モータ1122に供給される電流及び/若しくは電圧の以前の値、並びに/又は、速度、加速度、及び/若しくは位置など、システムの以前の状態に基づいて、Iビーム2514の現在の速度を予測するように構成され得る。コントローラ1104は、本明細書に説明される絶対位置調整センサシステムを利用して、Iビーム2514の速度を感知するように構成され得る。コントローラは、Iビーム2514の予測速度と、Iビーム2514の感知速度とを比較して、電気モータ1122への電力が、Iビーム2514の速度を増加させるために増加させるべきか否か、かつ/又はIビーム2514の速度を低下させるために減少させるべきか否かを判定するように構成され得る。更に、電気モータ1122によって駆動される外科用器具10に関しては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,210,411号、表題「MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENT」に見出すことができる。センサ構成を含む外科用器具10に関する更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,845,537号、表題「SURGICAL INSTRUMENT HAVING RECORDING CAPABILITIES」に見出すことができる。
【0079】
Iビーム2514に作用する力は、様々な技術を使用して判定され得る。Iビーム2514の力は、モータ2504の電流を測定することによって判定することができ、モータ2504の電流は、遠位に前進する際にIビーム2514によって経験される負荷に基づく。Iビーム2514の力は、歪みゲージを、駆動部材120(図2)、発射部材220(図2)、Iビーム2514(Iビーム178、図20)、発射バー172(図2)上に、及び/又は切断縁部2509の近位端上に位置付けることによって判定されてもよい。Iビーム2514の力は、所定の経過期間T後にモータ2504の現在の設定速度に基づいて予測速度で移動するIビーム2514の実際の位置を監視し、Iビーム2514の実際の位置を、期間T終了時のモータ2504の現在の設定速度に基づくIビーム2514の予測位置に対して比較することによって判定されてもよい。したがって、Iビーム2514の実際の位置が、Iビーム2514の予期される位置未満である場合、Iビーム2514上の力は、公称力よりも大きい。逆に、Iビーム2514の実際の位置が、Iビーム2514の予測位置よりも大きい場合、Iビーム2514上の力は、公称力よりも小さい。Iビーム2514の実際の位置と予期される位置との間の差は、公称力からのIビーム2514上の力の偏差に比例する。このような技術は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第15/628,075号、表題「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」に記載されている。
【0080】
図14は、本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具2500のブロック図を示す。一態様では、外科用器具2500は、Iビーム2514などの変位部材1111の遠位並進を制御するようにプログラムされている。外科用器具2500は、アンビル2516、Iビーム2514(鋭い切断縁部2509を含む)、及び取り外し可能なステープルカートリッジ2518を備え得るエンドエフェクタ2502を備える。エンドエフェクタ2502、アンビル2516、Iビーム2514及びステープルカートリッジ2518は、例えば、図1~13に関して本明細書に記載されるように構成されてもよい。
【0081】
図10図12に示し、図14の位置センサ2534として表されるように、Iビーム2514などのライナー変位部材1111の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置調整システム1100、センサ構成1102、及び位置センサ1200によって測定できる。Iビーム2514が長手方向に移動可能な駆動部材120に連結されているため、Iビーム2514の位置は、位置センサ2534を用いる長手方向に移動可能な駆動部材120の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、Iビーム2514の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ2534によって達成され得る。図5A及び図5Bに記載される制御回路700などの制御回路2510は、図10図12に関連して記載されるように、Iビーム2514などの変位部材1111の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの例では、制御回路2510は、1つ又は2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又は1つ若しくは複数のプロセッサに、記載される方法で変位部材、例えば、Iビーム2514を制御させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ回路2531は、経過時間又はデジタルカウントなど出力信号を制御回路2510に提供して、位置センサ2534によって判定されたIビーム2514の位置をタイマー/カウンタ回路2531の出力と相関させ、その結果、制御回路2510は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるIビーム2514の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ回路2531は、経過時間を測定するか、外部イベントをカウントするか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0082】
制御回路2510は、モータ設定値信号2522を生成してもよい。モータ設定値信号2522は、モータコントローラ2508に提供されてもよい。モータコントローラ2508は、本明細書で説明するように、モータ2504にモータ駆動信号2524を提供してモータ2504を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの例では、モータ2504は、図1図5B図10に示すモータ82、714、1120などのブラシ付きDC電気モータであってもよい。例えば、モータ2504の速度は、モータ駆動信号2524に比例してもよい。いくつかの例では、モータ2504は、ブラシレス直流(DC)電気モータであってもよく、モータ駆動信号2524は、モータ2504の1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるパルス幅変調(pulse-width-modulated、PWM)信号を含んでよい。また、いくつかの例では、モータコントローラ2508は省略されてもよく、制御回路2510は、モータ駆動信号2524を直接生成してもよい。モータ2504は、エネルギー源2512から電力を受容することができる。エネルギー源2512は、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源2512であってよく、あるいはそれを含んでよい。モータ2504は、伝達装置2506を介してIビーム2514に機械的に連結され得る。伝達装置2506は、モータ2504をIビーム2514に連結するための1つ又は2つ以上のギヤ又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ2534は、Iビーム2514の位置を感知し得る。位置センサ2534は、Iビーム2514の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ2534は、Iビーム2514が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路2510に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路2510は、パルスを追跡してIビーム2514の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム2514の運動を示す他の信号を提供することができる。また、いくつかの例では、位置センサ2534は省略されてもよい。モータ2504がステッパモータである場合、制御回路2510は、モータ2504が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、Iビーム2514の位置を追跡することができる。位置センサ2534は、エンドエフェクタ2502内、又は器具の任意の他の部分に位置してもよい。
【0083】
制御回路2510は、1つ又は2つ以上のセンサ2538と通信してもよい。センサ2538は、エンドエフェクタ2502上に位置付けられ、外科用器具2500と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ2538は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ2502の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてよい。センサ2538は、1つ又は2つ以上のセンサを含んでもよい。
【0084】
1つ又は2つ以上のセンサ2538は、クランプされた状態中のアンビル2516における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ2538は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてよい。センサ2538は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0085】
センサ2538は、閉鎖駆動システム30によってアンビル2516に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ2538は、閉鎖管260によってアンビル2516に印加される閉鎖力を検出するために、閉鎖管260(図3)とアンビル2516との間の相互作用点に位置することができる。アンビル2516に対して及ぼされる力は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ又は2つ以上のセンサ2538は、閉鎖駆動システム30によってアンビル2516に印加される閉鎖力を検出するために、閉鎖駆動システム30(図2)に沿った様々な相互作用点に位置付けられてもよい。図5A図5Bに記載されるように、1つ又は2つ以上のセンサ2538は、クランプ動作中に、プロセッサによってリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路2510は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して、分析時間ベースの情報を提供し、アンビル2516に付加される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0086】
モータ2504によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ2536を用いることができる。Iビーム2514を前進させるのに必要な力は、モータ2504によって引き込まれる電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路2510に提供される。
【0087】
図1図13に関連して本明細書に開示される器具の物理的性質を用いて、及び図14を参照して、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように制御回路2510を構成することができる。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ2502内のIビーム2514を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具2500は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、LQR、及び/又は適応コントローラを含むがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちの1つであってもよい。外科用器具2500は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、パルス幅変調(PWM)電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの、物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
【0088】
外科用器具2500の実際の駆動システムは、ギヤボックス、並びに関節運動及び/又はナイフシステムへの機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータによって、変位部材、切断部材、又はIビーム2514を駆動するように構成されている。別の例は、交換式シャフト組立体の、例えば変位部材及び関節運動駆動部を操作する電気モータ2504である。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電気モータ2504に反して作用する障害と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0089】
外科用器具2500の態様を詳細に説明する前に、例示的態様が、適用又は使用において、添付の図面及び明細書に示される部品の構造及び構成の詳細に限定されないことに留意されたい。例示的な態様は、他の態様、変形形態、及び修正形態に実装されるか又は組み込まれてもよく、様々な方式で実施又は実行されてもよい。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的態様を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。更に、以下に記述される態様、態様の具現、及び/又は実施例のうち1つ又は2つ以上を、以下に記述される他の態様、態様の具現、及び/又は実施例のうち任意の1つ又は2つ以上と組み合わせることができるものと理解されたい。
【0090】
様々な例示的態様は、モータ駆動の外科用ステープル留め及び切断手段を有するエンドエフェクタ2502を備える外科用器具2500を対象とする。例えば、モータ2504は、エンドエフェクタ2502の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向に変位部材を駆動してもよい。エンドエフェクタ2502は、枢動可能なアンビル2516と、使用のために構成される場合は、アンビル2516の反対側に位置付けられたステープルカートリッジ2518とを備えてもよい。臨床医は、本明細書に記載されるように、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に組織を把持してもよい。器具2500を使用する準備が整った場合、臨床医は、例えば器具2500のトリガを押すことによって発射信号を提供してもよい。発射信号に応答して、モータ2504は、変位部材をエンドエフェクタ2502の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動することができる。変位部材が遠位方向に並進するにつれて、遠位端に位置付けられた切断要素を有するIビーム2514は、ステープルカートリッジ2518とアンビル2516との間の組織を切断することができる。
【0091】
様々な実施例で、外科用器具2500は、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいて、例えば、I型梁2514などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた制御回路2510を備えてもよい。制御回路2510は、本明細書に説明されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路2510は、組織状態に基づいて発射制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路2510は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路2510は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。
【0092】
いくつかの例では、制御回路2510は、最初に、モータ2504を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分に対して、開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の器具2500の応答に基づいて、制御回路2510は、発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ2504に提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などを含み得る。開ループ部分の後、制御回路2510は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路2510は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ2504を閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。
【0093】
図15は、本開示の一態様に従って実行された、2つの例示的な変位部材ストロークをプロットした図2580を示す。図2580は2つの軸を含む。横軸2584は経過時間を示す。縦軸2582は、ストローク開始位置2586とストローク終了位置2588との間のIビーム2514の位置を示す。横軸2584上で、制御回路2510は、tにおいて発射信号を受信し初期モータ設定を提供し始めてもよい。変位部材ストロークの開ループ部分は、t~tで経過し得る初期期間である。
【0094】
第1の例2592は、厚い組織がアンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置付けられたときの外科用器具2500の応答を示す。変位部材ストロークの開ループ部分の間、例えば、t~tの初期期間中に、Iビーム2514は、ストローク開始位置2586から位置2594まで横断してもよい。制御回路2510は、位置2594が、tの後の(例えば、閉ループ部分内の)例2592の傾きによって示される選択された一定速度(Vslow)にてIビーム2514を前進させる発射制御プログラムに対応すると判定してもよい。制御回路2510は、Iビーム2514の位置を監視し、モータ設定点信号2522及び/又はモータ駆動信号2524を調整することにより、Iビーム2514を速度Vslowに駆動して、Vslowを維持してもよい。
【0095】
第2の実施例2590は、薄い組織がアンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置付けられた場合の外科用器具2500の応答を示す。t~tの初期期間(例えば、開ループ期間)の間に、Iビーム2514は、ストローク開始位置2586から位置2596まで横断してもよい。制御回路は、位置2596が、選択された一定速度(Vfast)で変位部材を前進させる発射制御プログラムに対応すると判定してもよい。例2590の組織は例2592の組織よりも薄いので、Iビーム2514の動きに対する抵抗がより小さくなり得る。その結果、Iビーム2514は、初期期間中に、ストロークのより大きな部分を横断し得る。また、いくつかの実施例では、より薄い組織(例えば、初期期間中に変位部材ストロークのより大きい部分を横断する)は、初期期間後の、より速い変位部材速度に対応し得る。
【0096】
図16図21は、本開示の一態様による、エンドエフェクタ2300が、どのように関節継手2270を中心に細長シャフト組立体2200に対して関節運動させ得るのかを示す、外科用器具2010のエンドエフェクタ2300を示す。図16は、明確にするためにその一部分が省略された、非関節運動方向にある細長いシャフト組立体2200を示す、エンドエフェクタ2300の一部分の部分斜視図である。図17は、非関節運動方向にある細長いシャフト組立体2200を示す、図16のエンドエフェクタ2300の斜視図である。図18は、細長いシャフト組立体2200を示す、図16のエンドエフェクタ2300の分解組立斜視図である。図19は、非関節運動方向にある細長いシャフト組立体2200を示す、図16のエンドエフェクタ2300の上面図である。図20は、第1の関節運動方向にある細長いシャフト組立体2200を示す、図16のエンドエフェクタ2300の上面図である。図21は、第2の関節運動方向にある細長いシャフト組立体2200を示す、図16のエンドエフェクタ2300の上面図である。
【0097】
ここで図16図21を参照すると、エンドエフェクタ2300は、組織を切断及びステープル留めするように適合されており、外科用ステープルカートリッジ2304を中に動作可能に支持するように構成された細長いチャネル2302の形態をなす第1の顎部を含んでいる。エンドエフェクタ2300は、細長いチャネル2302上でそれに対して移動するように支持されるアンビル2310の形態をなす第2の顎部を更に含む。細長シャフト組立体2200は、関節運動ロック2810を用いる関節運動システム2800を含む。関節運動ロック2810は、様々な関節運動位置に外科用エンドエフェクタ2300を選択的にロックするように構成されて、操作され得る。このような構成は、関節運動ロック2810がそのロック解除状態にあるときに、外科用エンドエフェクタ2300がシャフト閉鎖管260に対して回転、又は関節運動することを可能にする。特に図18を参照すると、細長いシャフト組立体2200は、スパイン210を含んでおり、このスパインは、(1)その中に発射部材220を摺動可能に支持し、(2)スパイン210の周りに延びる閉鎖管260(図16)を摺動可能に支持するように構成されている。シャフト閉鎖管260は、二重枢動閉鎖スリーブ組立体271によって閉鎖管260に枢動可能に取り付けられるエンドエフェクタ閉鎖スリーブ272に取り付けられている。
【0098】
スパイン210はまた、近位関節駆動部230を摺動可能に支持する。近位関節運動駆動部230は、関節運動ロック2810と動作可能に係合するように構成された遠位端231を有する。関節運動ロック2810は、本明細書に開示される様々な方式でスパイン210に取り付けられるシャフトフレーム2812を更に備えている。シャフトフレーム2812は、その中で遠位関節運動駆動部2820の近位部分2821を移動可能に支持するように構成されている。遠位関節運動駆動部2820は、それに加えられた関節運動制御運動に応答して、シャフト軸線SA-SAから横方向にオフセットし、かつシャフト軸線SA-SAに対して平行である関節作動軸線AAAに沿って、遠位方向DD及び近位方向PDに選択的に長手方向に移動するように、細長いシャフト組立体2200内で移動可能に支持されている。
【0099】
図17及び18では、シャフトフレーム2812は、枢動ピン2818をその上に形成された遠位端部分2814を含んでいる。枢動ピン2818は、エンドエフェクタ装着組立体2390の枢動ベース部分2395に形成された枢動穴2397内に枢動可能に受容されるように適合されている。エンドエフェクタ装着組立体2390は、バネピン2393又は同等のものにより、細長いチャネル2302の近位端2303へと取り付けられている。枢動ピン2818は、シャフト軸線SA-SAに対して横方向の関節運動軸線B-Bを画定して、シャフトフレーム2812に対する関節運動軸線B-Bを中心としたエンドエフェクタ2300の枢動移動(すなわち、関節運動)を容易にする。
【0100】
図18に示すように、リンクピン2825は、遠位関節運動リンク2820の遠位端2823上に形成されており、クロスリンク2900の近位端2902の穴2904内に受容されるように構成されている。クロスリンク2900は、シャフト軸線SA-SAを横断して延びており、遠位端部分2906を含んでいる。遠位リンク穴2908は、クロスリンク2900の遠位端部分2906を通して設けられており、エンドエフェクタ装着組立体2390の枢動ベース部分2395の底部から延びるベースピン2398を中に枢動可能に受容するように構成されている。ベースピン2398は、関節運動軸線B-Bに平行なリンク軸線LAを画定する。図17及び図20は、関節運動していない位置にある外科用エンドエフェクタ2300を示す。細長いチャネル2302によって画定されるエンドエフェクタ軸線EAは、シャフト軸線SA-SAと整列される。「と整列される」という用語は、シャフト軸線SA-SAと「同軸状に整列される」か、又はシャフト軸線SA-SAと平行であることを意味し得る。遠位関節運動駆動部2820が近位方向PDへ移動することにより、クロスリンク2900は、図19に示すように関節運動軸線B-Bを中心として時計回りのCW方向に外科用エンドエフェクタ2300を引き込むことになる。遠位関節運動駆動部2820が遠位方向DDへ移動することにより、クロスリンク2900は、図21に示すように関節運動軸線B-Bを中心として反時計回りのCCW方向に外科用エンドエフェクタ2300を移動させることになる。図21に示すように、クロスリンク2900は、湾曲形状を有しており、この湾曲形状は、外科用エンドエフェクタ2300がその方向に関節運動されるときに、クロスリンク2900を枢動ピン2818の周りに湾曲させることを可能にするものである。外科用エンドエフェクタ2300がシャフト軸線SA-SAの両側で完全関節運動位置にあるとき、エンドエフェクタ軸線EAとシャフト軸線SA-SAとの間の関節運動角度2700は、約65度(65°)である。したがって、シャフト軸の当該いずれかの関節運動の範囲は、1度(1°)から65度(65°)である。
【0101】
図19は、一態様による、直線姿勢をなす、すなわちシャフト軸SAとして示す長手方向に対してゼロの角度θをなす関節継手2270を示している。図20は、一態様による、シャフト軸SAとエフェクタ軸EAとの間に規定される第1の角度θをなして一方向に関節運動した、図19の関節継手2270を示している。図21は、シャフト軸SAとエフェクタ軸EAとの間に規定される第2の角度θをなして別の方向に関節運動した、図19の関節継手2270を示している。
【0102】
図16~21の外科用エンドエフェクタ2300は、本明細書で説明した様々なタイプ及び構成の発射部材220を用いた外科用切断及びステープル留めデバイスを備えている。しかしながら、外科用エンドエフェクタ2300は、組織を切断及び/又はステープル留めしない他の形態の外科用エンドエフェクタを備えてもよい。中央支持部材2950がスパイン210に対して枢動可能にまた摺動可能に支持されている。図18では、中央支持部材2950はスロット2952を含んでおり、このスロットは、スパイン210から突出するピン2954をその中に受容するように適合されている。これにより、中央支持部材2950は、外科用エンドエフェクタ2300が関節運動されるときに、ピン2954に対して枢動及び並進することが可能となる。枢動ピン2958は、中央支持部材2950の下側から突出しており、エンドエフェクタ装着組立体2390のベース部分2395に設けられた対応する枢動穴2399内に枢動可能に受容されるようになっている。中央支持部材2950は、それを通じて発射部材220を受容するためのスロット2960を更に含む。中央支持部材2950は、発射部材220が外科用エンドエフェクタ2300の関節運動に適応するように屈曲するときに、発射ビームに側方支持をもたらすように働く。
【0103】
外科用器具は、エンドエフェクタ2300が方向付けられる角度を判定するように更に構成され得る。様々な態様では、センサ装置1102の位置センサ1112は例えば、とりわけ、1つ又は2つ以上の磁気センサ、アナログ回転センサ(電位差計など)、アナログホール効果センサの配列を備えてもよく、アナログホール効果センサは、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力するものである。一態様では、図16~21に示される態様の関節継手2270は、エンドエフェクタ2300の角度位置すなわち関節運動角度を判定し、それに対応する固有の位置信号を提供するように構成された関節運動センサ装置を更に備えることができる。
【0104】
関節運動センサ装置は、上記で説明し、図10~12に示されるセンサ装置1102と同様であり得る。この態様では、関節運動センサ装置は、位置センサと、関節継手2270に動作可能に連結された磁石と、を備えることができ、それにより、関節継手2270の回転と一致する様式で回転する。磁石は、例えば、ピボットピン2818に連結することができる。位置センサは、ホール効果センサなどの1つ又は2つ以上の磁気感知要素を含み、関節継手2270内又はそれに隣接して磁石に近接して定置される。したがって、磁石が回転すると、位置センサの磁気感知要素は、磁石の絶対角度位置を判定する。磁石が関節継手2270に連結されると、位置センサに対する磁石の角度位置は、エンドエフェクタ2300の角度位置に対応する。したがって、関節運動センサ装置は、エンドエフェクタが関節運動するときのエンドエフェクタの角度位置を判定することができる。
【0105】
別の態様では、外科用器具は、関節運動駆動部230(図3)の絶対位置を監視することによって、エンドエフェクタ2300が間接的に位置付けられる角度を判定するように構成される。関節運動駆動部230の位置が、エンドエフェクタ2300が既知の方法で方向付けられる角度に対応するため、関節運動駆動部230の絶対位置を追跡し、次いでエンドエフェクタ2300の角度位置に並進させることができる。この態様では、外科用器具は、関節運動駆動部230の絶対直線位置を判定し、それに対応する固有の位置信号を提供するように構成された関節運動センサ装置を備える。いくつかの態様では、関節運動センサ装置又は関節運動センサ装置に動作可能に連結されたコントローラは、固有の位置信号からエンドエフェクタ2300の角度位置を並進又は計算するように更に構成される。
【0106】
この態様における関節運動センサ装置は、同じく、上記で説明し、図10図12に示されるセンサ装置1102と同様であり得る。変位部材1111に関して図10に示される態様と同様の一態様では、関節運動センサ装置は、位置センサと、長手方向に移動可能な関節運動駆動部230の全ストローク毎に1回転する磁石と、を備える。位置センサは、ホール効果センサなどの1つ又は2つ以上の磁気感知要素を備え、磁石に近接して定置されている。したがって、磁石が回転すると、位置センサの磁気感知要素は、1回転にわたって磁石の絶対角度位置を判定する。
【0107】
一態様では、位置センサに関連付けられたセンサ要素の1回転は、長手方向に移動可能な関節運動駆動部230の長手方向の線形変位d1と等価である。換言すれば、d1は、長手方向に移動可能な関節運動駆動部230に連結されたセンサ要素が1回転した後の、長手方向に移動可能な関節運動駆動部230が点「a」から点「b」まで移動した長手方向の直線距離である。関節運動センサ装置は、ギヤ減速機を介して連結されてもよく、これにより、位置センサは、長手方向に移動可能な関節運動駆動部230の全ストロークに対して1回転のみすることになる。換言すれば、d1は、関節運動駆動部230の完全なストロークに等しくなり得る。位置センサは、次に、関節運動駆動部230の絶対位置に対応する固有の位置信号を、図10に示すそれらの態様におけるようにコントローラ1104に伝送するように構成されている。固有の位置信号を受信すると、コントローラ1104は、次いで、論理を実行して、例えば、エンドエフェクタ2300の予め計算された角度位置の値を返す参照テーブルを照会すること、関節運動駆動部230の直線位置を入力として利用してアルゴリズムによってエンドエフェクタ2300の角度位置を計算すること、又はその分野で既知であるような任意の他の方法を行うことにより、関節運動駆動部230の直線位置に対応するエンドエフェクタの角度位置を判定するように構成されている。
【0108】
様々な態様において、例えば、全磁場を測定するか磁場のベクトル成分を測定するかによって分類される磁気センサなど、任意の数の磁気感知要素が関節運動センサ装置に用いられてよい。利用される磁気感知要素の数は、関節運動センサ装置によって感知される所望の分解能に対応する。換言すれば、使用される磁気感知要素の数が多いほど、関節運動センサ装置によって感知することができる、関節運動の程度がより細かくなる。両タイプの磁気センサを生産するために用いられる技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含んでいる。磁場検出に用いられる技術として、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、光磁気、及び微小電気機械システム系の磁気センサが挙げられる。
【0109】
一態様では、関節運動センサ装置の様々な態様の位置センサは、変位部材1111の位置を追跡するための図12に示す位置調整システムと同様の方法で実装されてもよい。一態様では、関節運動センサ装置は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサは、コントローラと連係して、直接的又は間接的にエンドエフェクタ2300の絶対角度位置を判定するための絶対位置調整システムを提供している。位置センサは、低電圧低電力の構成要素であり、磁石1202(図11)の上方に位置する位置センサ1200の領域1230に、4つのホール効果要素1228A、1228B、1228C、1228Dを有している。また、高解像度ADC1232及びスマート電力管理コントローラ1238がチップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、1桁毎の方法とボルダーアルゴリズム(Volder's algorithm)でも知られる、CORDIC(座標回転デジタルコンピュータの略)プロセッサ1236が提供されている。角度位置、アラームビット、及び磁場情報が、SPIインターフェース1234など標準的なシリアル通信インターフェースを介してコントローラ1104に伝送される。位置センサ1200は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ1200は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0110】
図1図4及び図10図12を参照すると、関節継手2270の位置、及びIビーム178(図4)の位置は、絶対位置調整システム1100から絶対位置フィードバック信号/値によって判定することができる。一態様では、関節運動角度θは、外科用器具10の駆動部材120に基づいて判定することができる。上で説明したように、長手方向に移動可能な駆動部材120(図2)の移動は、絶対位置調整システム1100によって追跡されることができ、例えば、関節運動駆動部がクラッチ組立体400(図3)によって発射部材220(図3)に動作可能に連結されると、絶対位置調整システム1100は実質的に、駆動部材120を介して関節運動システムの移動を追跡することができる。関節運動システムの移動を追跡した結果として、外科用器具のコントローラは、エンドエフェクタ2300の関節運動角度θを追跡することができる。様々な状況では、結果として、関節運動角度θは、駆動部材120の長手方向変位の関数として判定されることができる。駆動部材120の長手方向変位は、絶対位置調整システム1100によって提供される絶対位置信号/値に基づいて正確に判定することができるため、関節運動角度θは、長手方向変位の関数として判定することができる。
【0111】
別の態様では、関節運動角度θは、関節継手2270上にセンサを位置することによって判定することができる。センサは、上述のように、駆動部材120の長手方向変位ではなく、関節継手2270の絶対回転を測定するように適合された方法で、絶対位置調整システム1100を使用して関節継手2270の回転を感知するように構成され得る。例えば、センサ装置1102は、位置センサ1200と、磁石1202と、関節継手2270の回転を感知するように適合された磁石ホルダ1204と、を備える。位置センサ1200は、ホール要素などの1つ又は2つ以上の磁気検出要素を備え、磁石1202に近接して定置されている。図12に記載される位置センサ1200は、関節継手2270の回転角度を測定するように適合され得る。したがって、磁石1202が回転すると、位置センサ1200の磁気感知要素は、関節継手2270上に位置する磁石1202の絶対角度位置を判定する。この情報は、関節継手2270の関節運動角度を計算するためにコントローラ1104に提供される。したがって、エンドエフェクタ2300の関節運動角度は、関節継手2270の絶対回転を測定するように適合された絶対位置調整システム1100によって判定され得る。
【0112】
一態様では、Iビーム178の発射率、つまり速度は、エンドエフェクタ2300の関節運動角度の関数として変化し、発射駆動システム80上の発射に対する力、具体的には、本明細書で論じられる発射駆動システム80の他の構成要素の中でも、Iビーム178の発射に対する力を低下させることができる。エンドエフェクタ2300の関節運動角度の関数としてIビーム178の可変発射力に適合させるために、モータ82に可変モータ制御電圧を印加してモータ82の速度を制御することができる。モータ82の速度は、Iビーム178の発射力を、エンドエフェクタ2300の関節運動角度に基づく異なる最大閾値と比較することによって制御できる。電気モータ82の速度は、例えばモータ82に印加される電圧、電流、パルス幅変調(PWM)、又はデューティサイクル(0~100%)を調節することによって変化させることができる。
【0113】
図22及び図23は、様々な異なる外科的処置を行うために使用し得る、モータ駆動式外科用器具10を示す。外科用器具10は、1つ又は2つ以上の電極を備え得るエンドエフェクタ3602を備えることができる。エンドエフェクタ3602は、電流が組織に導入され得るように、組織に対して位置付けることができる。外科用器具10は、単極性動作又は双極性動作のために構成することができる。単極性動作の間、エンドエフェクタ3602上の活性(又はソース)電極により、電流を組織に導入することができ、リターン電極により戻すことができる。リターン電極は接地パッドであってよく、患者の身体の上で別個に配置されてよい。双極性動作の間、電流は、それぞれエンドエフェクタの活性電極により組織に導入され、リターン電極により組織から戻され得る。
【0114】
エンドエフェクタ3602は、第1の顎部材3604及び第2の顎部材3608を備え得る。顎部材3604、3608のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの電極を有することができる。顎部材3604、3608のうちの少なくとも1つは、顎部材3604と顎部材3608との間の間隔が、第1の位置の間隔よりも小さくなる位置に組織を受容するために、対向する顎部から隔置された位置から移動可能であり得る。この移動可能なジョーの動きにより、その間に保持された組織が圧縮され得る。組織を通じて流れる電流によって発生する熱が、ジョーの移動によって達成される圧縮と組み合わさって、組織内及び/又は組織間に止血封止を形成し得、したがって、例えば、血管を封止するために特に有用となり得る。外科用器具10は、エンドエフェクタ3602を通って延在可能なナイフ部材3628を備えてもよい。ナイフ部材3628は、組織及び電極に対して移動可能であり、組織を切除することができる。
【0115】
外科用器具10はまた、ステープル留め装置などの組織を一緒にクランプするためのメカニズム、及び/又は組織ナイフなどの組織を切り離すためのメカニズムを含んでもよい。電気外科用器具10は、治療を受けている組織に近接してエンドエフェクタ3602を定置するためのシャフトを含んでもよい。シャフトは、直線状であっても曲線状であってもよく、屈曲可能であっても屈曲不能であってもよい。直線状の屈曲可能なシャフトを含む電気外科用器具10では、シャフトは、シャフトの制御された屈曲を可能にするための1つ又は2つ以上の関節継手を有してもよい。そのような継手は、直線状の非屈曲式シャフトを有する電気外科用装置を使用して治療されている組織に容易にアクセスできないときに、この電気外科用器具10のユーザが、シャフトに対してある角度をなしてエンドエフェクタを組織と接触させて定置することを可能にし得る。
【0116】
電気外科用装置によって付加される電気エネルギーは、ハンドル組立体3500と通信している発電機3400によって、器具へと伝達することができる。電気エネルギーは、高周波(「RF」)エネルギーの形態であってもよい。RFエネルギーは、200キロヘルツ(kHz)~1メガヘルツ(MHz)の周波数範囲であり得る電気エネルギーの一形態である。印加中、電気外科用器具は、組織を通じて低周波数RFエネルギーを伝送することができ、これはイオン撹拌又は摩擦、即ち抵抗加熱を生じさせ、これによって組織の温度を増加させることができる。罹患組織と周囲組織との間にはっきりとした境界が作り出されるため、外科医は、隣接する非標的組織を犠牲にすることなく、高レベルの正確性及び制御で手術することができる。RFエネルギーの低動作温度は、軟組織を除去、収縮、又は成形しながら、同時に血管を封止するために有用である。RFエネルギーは、主にコラーゲンから構成されかつ熱に接触した際に収縮する、結合組織に対して特に良好に作用する。
【0117】
RFエネルギーは、EN 60601-2-2:2009+A11:2011、定義201.3.218-HIGH FREQUENCYに記載される周波数の範囲内であってよい。例えば、モノポーラRF用途における周波数は、典型的には、5MHz未満に制限され得る。しかしながら、バイポーラRF用途において、周波数は、ほぼどのような周波数であってもよい。200kHz超の周波数は、典型的には、低周波数の電流の使用から生じる神経及び筋肉の不必要な刺激を避けるために、モノポーラ用途に使用され得る。神経筋刺激の可能性が許容可能なレベルにまで緩和されたことをリスク分析が示す場合、より低い周波数がバイポーラ用途に使用され得る。高周波数漏洩電流に関連する問題を最小限に抑えるために、5MHz超の周波数は、通常使用されない。しかしながら、より高い周波数は、バイポーラ用途の場合には使用され得る。一般に、10mAが、組織への熱効果の下側閾値であると認識されている。
【0118】
図示した構成では、外科用器具10は、ハンドル組立体3500に動作可能に連結された交換式外科用道具組立体3600を備える。別の外科用システムの態様では、交換式外科用道具組立体3600は、ロボット制御又は自動外科用システムの道具駆動組立体と共に効果的に使用され得る。例えば、本明細書で開示する外科用道具組立体3600は、様々なロボットシステム、器具、構成要素及び方法、例えば、限定されないが、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,072,535号、表題「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」に開示されるものと共に使用されてもよい。
【0119】
図示した態様では、ハンドル組立体3500は、臨床医が握持及び操作することが可能なピストルグリップ部分を含むハンドルハウジング3502を備えることができる。以下で簡潔に論じるように、ハンドル組立体3500は、様々な制御運動を生成して交換式外科用道具組立体3600の対応する部分に適用するように構成された複数の駆動システムを動作可能に支持する。図22に示すように、ハンドル組立体3500は、複数の駆動システムを動作可能に支持するハンドルフレーム3506を更に含むことができる。例えば、ハンドルフレーム3506は、全般的に3510として示される「第1の」、又は閉鎖駆動システムを動作可能に支持することができ、これを用いて、交換式外科用道具組立体3600に開閉運動を適用することができる。少なくとも1つの形態では、閉鎖駆動システム3510は、ハンドルフレーム3506により枢動可能に支持される閉鎖トリガ3512の形態の作動装置を含んでもよい。このような構成により、臨床医が閉鎖トリガ512を操作することが可能になり、これにより、臨床医がハンドル組立体3500のピストルグリップ部分504を握持するときに、閉鎖トリガ3512は、開始位置又は「非作動」位置から「作動」位置へ、より具体的には完全圧縮位置又は完全作動位置へと、容易に枢動できるようになっている。使用中、閉鎖駆動システム3510を作動させるために、臨床医は、閉鎖トリガ3512を、ピストルグリップ部分に向かって押し下げる。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2015/0272575号、表題「SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING A SENSOR SYSTEM」に更に詳細に記載されるように、臨床医が閉鎖トリガ3512を完全に押し下げ、完全に閉じたストロークを達成するとき、閉鎖駆動システム3510は、閉鎖トリガ3512を、完全に押し下げられた位置又は完全に作動した位置にロックするように構成されている。臨床医が閉鎖トリガ3512をロック解除して非作動位置へと付勢させるように所望する場合、臨床医は、単純に、閉鎖解放ボタン組立体3518を活性化させ、これにより、閉鎖トリガを非作動位置まで戻すことが可能である。閉鎖解放ボタン組立体3518はまた、閉鎖トリガ3512の位置を追跡するために、ハンドル組立体3500内のマイクロコントローラと連通する様々なセンサと相互作用するように構成されてもよい。閉鎖解放ボタン組立体3518の構成及び動作に関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2015/0272575号に見出すことができる。
【0120】
少なくとも1つの形態では、ハンドル組立体3500及びハンドルフレーム3506は、取り付けられている交換式外科用道具組立体の対応する部分に発射運動を適用するように構成されている、本明細書で発射駆動システム3530と称される別の駆動システムを動作可能に支持していてもよい。米国特許出願公開第2015/0272575号に詳細に記載されるように、発射駆動システム3530は、ハンドル組立体3500のピストルグリップ部分内に位置する電気モータ3505を使用してもよい。様々な形態では、モータ3505は、最大回転数が、例えば、約25,000RPMのブラシ付きDC駆動モータであってもよい。他の構成では、モータ3505は、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを含んでよい。モータ3505は、電源3522によって給電されてもよく、一形態では、取り外し可能なパワーパックを備えてもよい。パワーパックは、その中にある複数のリチウムイオン(「LI」)電池又は他の好適な電池を支持してもよい。直列に接続され得るいくつかの電池を、外科用器具10のための電源3522として使用してよい。加えて、電源3522は、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0121】
電気モータ3505は、長手方向に移動可能な駆動部材3540を、モータの極性に応じて、遠位方向及び近位方向で軸方向に駆動させるように構成されている。例えば、モータ3505がある回転方向に駆動するとき、長手方向に移動可能な駆動部材は、遠位方向「DD」に軸方向に駆動することになる。モータ3505が、反対の回転方向に駆動するとき、長手方向に移動可能な駆動部材3540は、近位方向「PD」に軸方向に駆動することになる。ハンドル組立体3500は、スイッチ3513を含んでもよく、スイッチ513は、電源3522によって電気モータ3505に適用される極性を逆転させるか、又は別の方法でモータ3505を制御するように構成され得る。ハンドル組立体3500はまた、駆動部材の位置及び/又は駆動部材が移動する方向を検出するように構成されている、1つ又は2つ以上のセンサ(図示せず)を含むことができる。モータ3505の作動は、閉鎖トリガ3512に隣接しており、ハンドル組立体3500上で枢動可能に支持される、発射トリガ(図示せず)により制御され得る。発射トリガは、非作動位置と作動位置との間で枢動されてよい。発射トリガは、バネ若しくはその他の付勢構成により非作動位置へと付勢されてよく、これにより、臨床医が発射トリガを解放する場合に、それがバネ若しくは付勢構成により非作動位置へと枢動する、又は別の方法で戻されてよい。少なくとも1つの形態では、発射トリガは、閉鎖トリガ3512の「機外」に位置付けられ得る。米国特許出願公開第2015/0272575号にて論じられるように、ハンドル組立体3500には、発射トリガの不注意による作動を防止するために、発射トリガ安全ボタン(図示せず)が設けられていてもよい。閉鎖トリガ3512が非作動位置にある場合、安全ボタンはハンドル組立体3500の中に入っており、臨床医は、これに容易に触ることができず、発射トリガの作動を防止する安全位置と、発射トリガが発射し得る発射位置との間を移動させることはできない。臨床医が閉鎖トリガを押し下げる際に、安全ボタン及び発射トリガが下方に枢動し、次に、臨床医による操作が可能になる。
【0122】
少なくとも1つの形態では、長手方向に移動可能な駆動部材3540は、モータと連係する、対応する駆動ギヤ構成(図示せず)との噛合係合のために、その上に形成された歯のラックを有してよい。これらの特徴に関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2015/0272575号に見出すことができる。しかしながら、少なくとも1つの構成において、長手方向に移動可能な駆動部材は、不注意によるRFエネルギーからその構成を保護するために絶縁されている。少なくとも1つの形態はまた、臨床医が長手方向に移動可能な駆動部材を手動で後退させ、モータ3505を使用できないようにすることが可能なように構成された、手動で作動可能な「緊急離脱」組立体を含む。緊急離脱組立体は、解放可能なドア部3550の下のハンドル組立体3500内に格納されたレバー又は緊急離脱ハンドル組立体を含んでもよい。レバーは、駆動部材内の歯とラチェット係合するように、手動で枢動するように構成されてもよい。したがって、臨床医は、緊急離脱ハンドル組立体を使用することによって駆動部材3540を手動で後退させ、駆動部材を近位方向「PD」にラチェットさせることができる。その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,608,045号、表題「POWERED SURGICAL CUTTING AND STAPLING APPARATUS WITH MANUALLY RETRACTABLE FIRING SYSTEM」は、本明細書に開示した様々な交換式外科用道具組立体のいずれか1つと共に使用可能でもある、緊急離脱構成、並びに他の構成要素、構成、及びシステムを開示する。
【0123】
図22に示すように、少なくとも1つの構成では、交換式外科用道具組立体3600は、上にノズル組立体3612を動作可能に支持する道具シャーシを備える、道具フレーム組立体3610を含む。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第15/635,631号、表題「SURGICAL INSTRUMENT WITH AXIALLY MOVABLE CLOSURE MEMBER」にて更に詳細に論じられるように、道具シャーシ及びノズル組立体3612は、道具シャーシに対してシャフト軸線SAを中心にした外科用エンドエフェクタ3602の回転を容易にする。このような回転移動は、図22において矢印Rにより示される。交換式外科用道具組立体3600は、近位閉鎖管3622を動作可能に支持し、外科用エンドエフェクタ3602に連結されたスパイン組立体3630(図3及び図24を参照)を含む。様々な状況では、組み立てを容易にするために、スパイン組立体3630は、スナップ形成体、接着剤、溶接などにより互いに接続された、上部スパインセグメント及び下部スパインセグメントから作製可能である。組み立てられた形態では、スパイン組立体3630は、道具シャーシ内に回転可能に支持される近位端を含む。ある構成では、例えば、スパイン組立体3630の近位端は、道具シャーシ内で支持されるように構成されたスパインベアリング(図示せず)に取り付けられている。このような構成により、スパイン組立体3630の道具シャーシへの取り付けが容易になり、その結果、スパイン組立体は、道具シャーシに対してシャフト軸線SAを中心に選択的に回転可能することができる。
【0124】
図示した態様では、交換式外科用道具組立体3600は、第1の顎部3604及び第2の顎部3608を備える外科用エンドエフェクタ3602を含む。ある構成では、第1の顎部は、中に従来の(機械的)外科用ステープル/締結具カートリッジ304(図4)、又は高周波(RF)カートリッジ3606(図22及び図23)を動作可能に支持するように構成された細長いチャネル3614を備える。第2の顎部3608は、細長いチャネル3614に対して枢動可能に支持されるアンビル3616を備える。アンビル3616は、閉鎖駆動システム3510を作動させることにより、開位置と閉位置との間を、細長いチャネル3614内で支持された外科用カートリッジに向かうように、及びそこから離れるように選択的に移動されてもよい。図示した構成では、アンビル3616は、シャフト軸線SAを横断する枢動軸を中心に選択的枢動移動のために、細長いチャネル3614の近位端部分に枢動可能に支持される。閉鎖駆動システム3510の作動により、関節運動コネクタ3618に取り付けられた、近位閉鎖部材又は近位閉鎖管3622の遠位軸移動がもたらされ得る。近位閉鎖管3622を作動させることにより、遠位閉鎖管セグメント3620の遠位移動がもたされ、最終的に閉鎖運動がアンビル3616に適用される。
【0125】
少なくとも1つの構成では、RFエネルギーは、従来のRF発電機3400により、供給リード3402を通って外科用道具組立体3600に供給される。少なくとも1つの構成では、供給リード3402は、搭載された回路基板3654上のセグメント化RF回路3656に取り付けられた、対応する雌型コネクタ3410にプラグ接続されるように構成された、雄型プラグ組立体3406を含む。図25を参照されたい。このような構成により、発電機3400から供給リード3402を巻回することなく、ノズル組立体3612を回転させることによって、道具シャーシに対するシャフト軸線SAを中心にしたシャフト及びエンドエフェクタ3602の回転移動が容易になる。搭載されたオン/オフ電源スイッチ3420は、RF発電機のオンとオフとを切り替えるために、掛留組立体3624及び道具シャーシ上に支持されている。道具組立体3600がハンドル組立体3500又はロボットシステムに動作可能に連結されているとき、搭載されたセグメント化RF回路3656は、コネクタ3668、及びいくつかの構成では、ハウジングコネクタ(図示せず)を通じてマイクロプロセッサ3560と通信する。図22に示すように、ハンドル組立体3500はまた、封止、ステープル留め、ナイフ場所、カートリッジの状態、組織、温度の進行に関する情報を確認するために表示画面3430も含むことができる。図25でもまた確認できるように、スリップリング組立体3652は、フレキシブルシャフト回路ストリップを含む遠位コネクタ3658、又は、RF用に使用する、関係する活動及びより幅広い導電体3664をステープル留めするための、狭い複数の導電体3662を含み得る組立体3646と連係する近位コネクタ3666を含む。図24及び図25に示すように、フレキシブルシャフト回路ストリップ3646は、ナイフバー3626を形成する積層板又は積層されたバー3636の間で、中心で支持される。このような構成により、エンドエフェクタ3602の関節運動の間に十分な硬さを残したまま、ナイフバー3626とフレキシブルシャフト回路ストリップ3646とを十分に撓曲させることが容易となり、ナイフ部材3628がクランプされた組織を通して遠位に前進することが可能となる。
【0126】
少なくとも1つの構成では、細長いチャネル3614は、細長いチャネル3614の近位端から細長いチャネル3614の底部分の遠位場所まで延びる凹部内に支持されたチャネル回路3642を含む。チャネル回路3642は、電気接触のために、フレキシブルシャフト回路ストリップ3646の遠位接触部分3644と接触する近位接触部分を含む。少なくとも1つの構成では、チャネル回路3642の遠位端は、細長いチャネル3614の壁のうちの1つに形成された対応する壁凹部内に受容され、細長いチャネル3614の壁の上縁部の上に折り畳まれて取り付けられる。一連の対応する露出接点は、チャネル回路3642の遠位端に提供される。それに対応して、カートリッジ3606は、遠位マイクロチップに取り付けられ、カートリッジ3606の本体の遠位端部分に固定されるフレキシブルカートリッジ回路を含むことができる。フレキシブルカートリッジ回路の端部は、カートリッジ3606のデッキ表面の縁部の上に折り畳まれ得、チャネル回路3642の露出接点と電気的に接触するように構成された露出接点を含む。したがって、RFカートリッジ3606が細長いチャネル3614に取り付けられるとき、電極とRFカートリッジ3606の遠位マイクロチップが給電され、フレキシブルカートリッジ回路とフレキシブルチャネル回路3642とフレキシブルシャフト回路3646とスリップリング組立体3652との接触部を通じて、搭載された回路基板3654と通信する。RFカートリッジ3606及びRFカートリッジ3606と通信及び/又は相互作用する外科用器具10の対応する回路及びセンサ構成に関する更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第15/636,096号、表題「SURGICAL SYSTEM COUPLABLE WITH STAPLE CARTRIDGE AND RADIO FREQUENCY CARTRIDGE,AND METHOD OF USING SAME」に見出すことができる。
【0127】
図26は、本開示の一態様による、コントローラ1104(図10)によって実行される、外科用器具10(図1図22)の関節運動及び発射運動の欠如を監視するプロセス4000の論理流れ図を示す。使用中、外科用器具10は、外科用器具10の移動が停止される様々な状況に遭遇する可能性がある。このような状況には、エンドエフェクタ2300の関節運動が妨げられている、エンドエフェクタ2300がその関節運動範囲の端部にある、外科用器具10が停止している、又はカートリッジはエンドエフェクタ2300内に挿入されていない場合を含む。外科用器具10は、外科用器具10が臨床医に警告するか、又は別の方法で訂正行動をとることができるように、プロセス4000などのプロセスを実行してこれらの状況の発生を監視することが望ましい場合がある。プロセス4000の以下の説明では、図3図10、及び図16図23もまた参照されたい。以下の説明される態様では、図10に示す変位部材1111は、長手方向に移動可能な駆動部材3540を表すことができる。長手方向に移動可能な駆動部材3540は、代替的に、クラッチ組立体400が係合位置にあるか(ロックスリーブ402が関節運動駆動部230を発射部材220に連結する)又は係合解除位置にあるかに従って、ナイフバー280又は関節運動駆動部230を駆動する。長手方向に移動可能な駆動部材3540がナイフバー280及び関節運動駆動部230の両方を駆動すると、長手方向に移動可能な駆動部材3540の移動を追跡することのみが、発射システム(ナイフバー280又は発射バー172、Iビーム178、及び/又は楔形スレッド190を集合的に参照する)及び関節運動システム2800の両方の移動を追跡するためのプロキシとして利用され得る。
【0128】
別の態様では、図10に示す絶対位置調整システム1100は、長手方向に移動可能な駆動部材3540の移動を追跡する代わりに、又はそれに加えて、発射システム及び関節運動システム2800の移動を無関係に追跡するように構成され得る。これらの態様では、絶対位置調整システム1100は、図10に示すような単一の変位部材1111ではなく、複数の変位部材の位置を判定するように構成することができる。例えば、絶対位置調整システム1100は、関節運動駆動部230、遠位関節運動駆動部2820、又はエンドエフェクタ2300の関節運動に対して第1の位置と第2の位置との間で移動可能である関節運動システム2800の任意の他の構成要素を表す第1の変位部材の位置を判定することができる。更に、絶対位置調整システム1100は、発射部材220、発射バー172(図4)、Iビーム178(図4)、又はエンドエフェクタ2300におけるクランプ動作、切断動作、及び/又はステープル留め動作を引き起こすために、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である発射システムの任意の他の構成要素を表す第2の変位部材の位置を判定することができる。プロセス4000は、発射システム及び関節運動システム2800(すなわち、長手方向に移動可能な駆動部材3540)の両方を駆動する単一の変位部材1111を追跡することに関して、この点から先に論じられるが、本明細書の教示は、外科用器具10に同様に適用可能であり、発射システム及び関節運動システム2800は、互いに無関係に追跡される。
【0129】
したがって、コントローラ1104は、長手方向に移動可能な駆動部材3540の速度がゼロに等しい(又はほぼ等しい)かどうか(すなわち、長手方向に移動可能な駆動部材3540が動いていないかどうか)を4002で判定する。コントローラ1104は、位置センサ1112及びタイマー/カウンタ回路2531(図14)からの出力の組み合わせを介して、長手方向に移動可能な駆動部材3540の速度を計算して、長手方向に移動可能な駆動部材3540の位置を経時的に追跡することができる。様々な態様では、コントローラ1104は、長手方向に移動可能な駆動部材3540の速度を、位置センサ1112の出力をサンプリングし、タイマー/カウンタ回路2531の出力をサンプリングし、長手方向に移動可能な駆動部材3540が現在のインスタンスとn番目前のインスタンスとの間で並進した距離を判定し、n個のインスタンスにわたる経過時間を判定し、次いで、並進した距離及び経過した時間に従って、長手方向に移動可能な駆動部材3540の速度を判定することによって、例えば、回転平均として追跡することができる。いくつかの態様では、プロセス4000は、長手方向に移動可能な駆動部材3540が任意の特定の瞬間に停止するとき、長手方向に移動可能な駆動部材3540の速度がゼロであると4002で判定する。他の態様では、プロセス4000は、長手方向に移動可能な駆動部材3540の回転平均がゼロに達すると、長手方向に移動可能な駆動部材3540の速度がゼロであると4002で判定する。
【0130】
長手方向に移動可能な駆動部材3540の速度がゼロに等しくない場合、プロセス4000は、いいえの分岐に沿って進み、ループして長手方向に移動可能な駆動部材3540の速度を監視し続ける。他の態様では、プロセス4000がいいえの分岐に沿って進む場合、プロセス4000は、単純に終了し、コントローラ1104は、次の手順に適切なプロセス又はアルゴリズムを実行する。長手方向に移動可能な駆動部材3540の速度がゼロに等しい場合、プロセス4000は、はいの分岐に沿って進み、次に、外科用器具10の動作状態を4004で判定する。外科用器具10の動作状態は、関節運動、クランプ、ステープル留め、RFエネルギーの適用、超音波エネルギーの適用、及び/又は切断を含む、外科用器具10によって現在実行されている動作として定義される。一態様では、プロセス4000は、エンドエフェクタ2300が、関節運動動作状態とは対照的に、クランプ及び発射動作状態にあるかどうかを4004で判定する。外科用器具10がどの動作状態にあるかを知ることにより、長手方向に移動可能な駆動部材3540の移動の欠如が発射システム又は関節運動システム2800との問題を示すかどうかを判定することを可能にする。明確に述べると、外科用器具10がクランプ及び発射動作状態にある場合、長手方向に移動可能な駆動部材3540は、発射システムを駆動し、長手方向に移動可能な駆動部材3540の速度の欠如は、発射システムとの潜在的な問題を示す。逆に、外科用器具10がクランプ及び発射動作状態にない場合、長手方向に移動可能な駆動部材3540は、関節運動システム2800を駆動し、長手方向に移動可能な駆動部材3540の速度の欠如は、関節運動システム2800との潜在的な問題を示す。
【0131】
プロセス4000は、外科用器具10、閉鎖駆動システム3510、エンドエフェクタ2300の顎部3604、3608(又はアンビル3616及びカートリッジ3606)、発射駆動システム3530、発射部材220、ナイフバー280、関節運動システム2800、及び/又はそれらの組み合わせの制御に関連付けられた1つ又は2つ以上のセンサを介して、エンドエフェクタ2300がクランプ及び発射されているかどうかを4004で判定することができる。例えば、他のセンサ(複数可)1118は、閉鎖トリガ3512が作動されたときを判定するように構成された閉鎖トリガセンサを含むことができる。閉鎖トリガ3512は、閉鎖駆動システム3510を作動させるので、閉鎖トリガ3512が作動したかどうかを検出することは、エンドエフェクタ2300がクランプ位置又はクランプ解除位置にあるかどうかを判定するためのプロキシとして機能する。閉鎖トリガセンサは、例えば、ハンドル組立体3500に対して閉鎖トリガ3512の位置を検出するように構成された位置センサを含むことができる。他の態様は、発射制御部の作動を検出するための発射トリガセンサ又は発射ボタンセンサを含むことができる。他のセンサ(複数可)1118は、閉鎖駆動システム3510の作動を検出するように構成された閉鎖駆動システムセンサを更に含むことができる。例えば、他のセンサ(複数可)1118は、閉鎖管3620によってアンビル3616に及ぼされる力を測定するように構成されたセンサ、あるいは閉鎖管3620又はエンドエフェクタ2300の閉鎖をもたらすために、第1の位置と第2の位置との間で並進する閉鎖駆動システムの別の移動可能な構成要素の相対位置を測定するように構成されたセンサを含むことができる。他のセンサ(複数可)1118は、エンドエフェクタ2300の顎部3604、3608がクランプ位置又はクランプ解除位置にあるかどうかを判定するように構成された顎部センサを更に含むことができる。例えば、他のセンサ(複数可)1118は、第1の顎部3604と第2の顎部3608との間の距離を検出するように構成されたセンサ、エンドエフェクタ2300が物体(例えば、組織)にクランプされたときを検出するように構成された、第1の顎部3604及び/又は第2の顎部3608の少なくとも一方に配置された圧力センサ、又は、第1の顎部3604と第2の顎部3608との間に位置する組織のインピーダンスを検出するように構成されたインピーダンスセンサを含むことができる。他のセンサ(複数可)1118は、発射駆動システム3530が作動したときを判定するように構成された発射駆動システムセンサを更に含むことができる。例えば、他のセンサ(複数可)1118は、モータ2504(図14)による電流引き込みを測定するように構成された電流センサ2536(図14)、又は、発射駆動システム3530(例えば、I-ビーム2514、関節運動駆動部230、ナイフバー280、長手方向に移動可能な駆動部材3540、発射部材220)の構成要素、又はそれらによって駆動される変位部材1111の相対位置を測定するように構成されたセンサ構成を含むことができる。様々なセンサ構成に関する更なる情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第15/628,175号、表題「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」に見出すことができる。
【0132】
外科用器具10は、上述のセンサの様々な組み合わせを含むことができ、その結果、様々なセンサ及びセンサ構成の出力の合計がコントローラ1104によって受信され、次いでコントローラ1104によって利用されて、外科用器具10がクランプ及び発射状態にあるか、又は関節運動状態にあるかを4004で判定することができる。具体的な一例として、外科用器具10は、それぞれのシステムが作動したときを検出するための閉鎖トリガセンサ及び発射ボタン又はトリガセンサを含み得る。別の具体例として、外科用器具10は、顎部3604、3608がクランプされたときを検出するように構成された顎部センサ、及びモータ2504がエネルギー源2512から電流を引き込むときを検出するように構成された電流センサ(図14)を含むことができる。更に別の具体例として、外科用器具10は、閉鎖管3620によってアンビル3616に及ぼされる力を測定するように構成されたセンサ、発射ボタン又はトリガセンサ、及びエンドエフェクタ2300の角度位置を測定するように構成された関節運動センサ構成を含むことができる。
【0133】
外科用器具10がクランプ及び発射されていない場合、外科用器具10は、関節運動動作状態にあり、プロセス4000は、いいえの分岐に沿って進み、次に、エンドエフェクタ2300がその関節運動範囲の終わりにあるかどうかを判定する。一態様では、プロセス4000は、長手方向に移動可能な駆動部材3540が、第1又は近位位置及び/又は第2又は遠位位置において、そのストロークの部分(複数可)に対応するゾーン内に位置付けられているかどうかを4006で判定することによって、エンドエフェクタ2300の相対的な関節運動位置を判定する。近位位置及び遠位位置は、例えば、長手方向に移動可能な駆動部材3540が並進される最も遠い近位位置(すなわち、近位限界)及び最も遠い遠位位置(すなわち、遠位限界)に対応することができる。エンドエフェクタ2300の関節運動は、長手方向に移動可能な駆動部材3540によって駆動されるため、長手方向に移動可能な駆動部材3540の並進範囲の限界は、エンドエフェクタ2300の関節運動範囲の限界に対応する。したがって、長手方向に移動可能な駆動部材3540の近位位置は、エンドエフェクタ2300の関節運動範囲の第1の限界に対応し、したがって、長手方向に移動可能な駆動部材3540の遠位位置は、エンドエフェクタ2300の関節運動範囲の第2の限界に対応する。したがって、コントローラ1104によって実行されるプロセス4000は、それ自体の並進範囲の限界に対する長手方向に移動可能な駆動部材3540の位置を4006で判定することによって、その関節運動範囲の限界に対するエンドエフェクタ2300の位置を判定することができる。長手方向に移動可能な駆動部材3540の近位位置及び遠位位置は、例えば、メモリ1106に記憶され、エンドエフェクタ2300の相対角度位置を計算するためにコントローラ1104によって読み出され得る。
【0134】
別の態様では、プロセス4000は、長手方向に移動可能な駆動部材3540に関して上述したように、関節運動駆動部230が並進する近位及び遠位限界に対する関節運動駆動部230(又は関節運動システム2800内の別の移動可能な構成要素)の位置を判定することによって、エンドエフェクタ2300の相対的な関節運動位置を判定する。別の態様では、プロセス4000は、関節継手2270及び/又はエンドエフェクタ2300が、例えば、関節運動センサ構成によって配向される角度を直接検出することによって、エンドエフェクタ2300の相対的な関節運動位置を判定する。エンドエフェクタ2300の検出された関節運動角度は、その関節運動範囲の限界と比較することができ、関節運動範囲は、例えば、メモリ1106内に記憶され、コントローラ1104によって読み出されて、エンドエフェクタ2300の相対位置を計算することができる。
【0135】
いくつかの態様では、プロセス4000は、長手方向に移動可能な駆動部材3540の位置がそのストロークの限界のうちの1つと一致するとき、長手方向に移動可能な駆動部材3540は、その関節運動範囲の限界にあると4006で判定する。他の態様では、プロセス4000は、長手方向に移動可能な駆動部材3540の位置がそのストロークの限界のうちの1つの閾値内にあるとき、長手方向に移動可能な駆動部材3540は、その関節運動範囲の限界にあると4006で判定する。
【0136】
長手方向に移動可能な駆動部材3540がそのストロークの終わりで停止しない場合、プロセス4000は、いいえの分岐に沿って進み、それにより、エンドエフェクタ2300の関節運動が妨げられていると4008で判定する。関節運動が妨げられているという判定は、エンドエフェクタ2300がその関節運動範囲の限界又はその近くに位置付けられていないにもかかわらず、クランプ及び発射されておらず、また関節運動していないという事実に基づいている。エンドエフェクタ2300の関節運動は、エンドエフェクタ2300が、外科手術中に外科用道具組立体3600が挿入されるアクセス装置の側壁と接触している場合など、外科用器具10が様々な理由で使用されているときに妨げられ得る。エンドエフェクタ2300の関節運動が妨げられているとプロセス4000が判定したとき、コントローラ1104は、そのように臨床医に通知するための警告を開始することができる。警告は、例えば、可聴フィードバック、触覚フィードバック、又は視覚フィードバックを含むことができる。図27図28に示す一態様では、コントローラ1104は、表示装置4050(又はその一部分)に、アクセス装置4056に接触するエンドエフェクタ4054を示す画像4052を表示させる。画像4052は、エラーが発生していることを更に示すアニメーション又は他のアイコンを更に含むことができる。エンドエフェクタ4054の画像が画像4052内に示している位置は、関節運動センサ構成によって判定されるエンドエフェクタ4054の相対位置に対応することができる。
【0137】
長手方向に移動可能な駆動部材3540がそのストロークの終わりで停止する場合、プロセス4000は、はいの分岐に沿って進み、それにより、エンドエフェクタ2300がその関節運動範囲の限度にあると4010で判定する。エンドエフェクタ2300がその関節運動範囲の限界にあるとプロセス4000が判定したとき、コントローラ1104は、そのように臨床医に通知するための警告を開始することができる。警告は、例えば、可聴フィードバック、触覚フィードバック、又は視覚フィードバックを含むことができる。図29図30に示す一態様では、コントローラ1104は、表示装置4050(又はその一部分)に、関節運動限界に位置付けられたエンドエフェクタ4060を示す画像4058を表示させる。一態様では、エンドエフェクタ4060は、それが実際に位置付けられる限度に対応する第1の関節運動限界4062又は第2の関節運動限界4064のいずれかで画像4058に示す。
【0138】
いくつかの態様では、エンドエフェクタ2300が妨げられているか、又はその関節運動限界にあると判定した後、プロセス4000は、警告を提供する前に、臨床医がエンドエフェクタ2300を再関節運動させるように試みることを可能にする更なるステップを含む。換言すれば、警告は、プロセス4000が、エンドエフェクタ2300が繰り返し妨げられるか、又はその関節運動限界に対して繰り返し関節運動していると4010で判定する場合にのみ発動される。他の態様では、プロセス4000は、エンドエフェクタ2300が妨げられていると4008で判定し、かつ/又はエンドエフェクタ2300がその関節運動限界にあると4010で判定する時間構成要素を含み、その結果、プロセス4000は、エンドエフェクタ2300が妨げられているか、又は閾値を超える期間にわたってエンドエフェクタ2300の関節運動限界にあるという場合にのみ警告を発動する。これらの態様は、エンドエフェクタ2300が繰り返し妨げられるか、又は関節運動限界に対して繰り返し関節運動している状況に警告を提供すること、又はエンドエフェクタ2300が妨げられた位置に保持されるか、又は一定期間にわたって関節運動限界に保持される状況に警告を提供することを制限し、それにより、外科用器具10は、臨床医が外科用器具10の使用に困難を感じているときにのみ、臨床医に警告を提供する。
【0139】
外科用器具10の動作状態を4004で判定するプロセス4000のステップに戻ると、プロセス4000が、外科器具10がクランプ及び発射されていると4004で判定した場合、プロセス4000は、はいの分岐に沿って進み、次に、長手方向に移動可能な駆動部材3540がその発射ストロークの閾値位置を超えて前進したかどうかを4012で判定する。別の言い方をすれば、プロセス4000は、長手方向に移動可能な駆動部材3540が、特定の閾値位置を超えて延びる発射ストロークの部分(複数可)に対応するゾーン内に位置付けられているかどうかを4012で判定し、これは遠位よりもより近位に位置してもよく、又はそうでなくてもよい。プロセス4000は、上記のように、絶対位置調整システム1100を介して、長手方向に移動可能な駆動部材3540の位置を4012で判定することができる。いくつかの態様では、長手方向に移動可能な駆動部材3540の前進(又はその欠如)が比較される閾値位置は、長手方向に移動可能な駆動部材3540の初期位置である。他の態様では、長手方向に移動可能な駆動部材3540の前進(又はその欠如)が比較される閾値位置は、発射ストロークの初期ゾーンの近位部分に対応することができる。発射ストロークの第1の又は初期ゾーンは、図15に示すように、t~tの閉ループ期間に対応することができる。特定の態様では、発射ストロークのこの初期ゾーンはまた、ロックアウトゾーンと称されてもよい。ロックアウトゾーンでは、外科用器具10は、カートリッジ3606がエンドエフェクタ2300の細長いチャネル3614内に挿入されていない場合など、特定の状況が発生した場合、ロックアウト状態に入るように発動してもよい。ロックアウト状態は、例えば、ロックアウトゾーンの間に発動される電流スパイクによって開始され得る。
【0140】
様々な態様では、外科用器具10は、カートリッジ3606がエンドエフェクタ2300内に存在しない場合にナイフバー280が前進するのを防止するための機械的又は電子的発射ロックアウトシステムを含み得る。ナイフバー280が前進することを防止する場合、ナイフバー280を駆動する長手方向に移動可能な駆動部材3540は、同様に、構成要素間の機械的連結によって特定の閾値位置を超えて前進することを防止する。発射ロックアウトシステムは、カートリッジ3606からのステープル又はRFエネルギーを介して組織の対応する封止が存在しない場合、ナイフバー280が組織を切除するのを防止する。発射ロックアウトシステムは、ナイフバー280又は長手方向に移動可能な駆動部材3540がロックアウトゾーンにあるときにロックされるか、又は別の方法で前進できない場合に、モータ電流スパイクを引き起こすことによって、ロックアウト状態を開始することができる。一態様では、外科用器具10は、電子発射ロックアウトシステムで構成されている。この態様では、コントローラ1104は、チャネル回路3642(図24)がフレキシブルシャフト回路ストリップ3646の遠位接触部分3644と接触せずにそれらの間に電気的接触を確立している場合、ロックアウト状態を開始する。別の態様では、外科用器具10は、細長いチャネル3614の両側に開口部を含む機械的発射ロックアウトシステム(図示せず)で構成され、これらの開口部は、発射バー172(図4)のチャネル係合特徴部又は足部186(図4)又はナイフバー280が開始位置にあるときのナイフバー280を受容するように構成されている。ナイフバー280の足部186が細長いチャネル3614の開口部と係合されたとき、ナイフバー280は、ロック位置に維持され、前進することができない。これらの態様では、カートリッジ3606は、カートリッジ3606が適切に設置されたときに細長いチャネル3614の開口部内に受容され、開口部を占有するパッドを更に含み、これにより、ナイフバー280の足部186が開口部と係合するのを防止し、それにより、ナイフバー280を前進させることができる。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第15/636,096号、表題「SURGICAL SYSTEM COUPLABLE WITH STAPLE CARTRIDGE AND RADIO FREQUENCY CARTRIDGE,AND METHOD OF USING SAME」にロックアウトメカニズムに関して更に説明される。
【0141】
長手方向に移動可能な駆動部材3540がその開始部分に位置しないか、あるいは別の方法でその発射ストロークの閾値位置まで、又はその位置を超えて前進している場合、プロセス4000は、はいの分岐に沿って進み、それにより、外科用器具10が止まったと4014で判定する。外科用器具10が止まっているという判定は、長手方向に移動可能な駆動部材3540が閾値位置を超えて前進した(これは、カートリッジ3606の欠如又はロックアウト状態を引き起こす別のそのような状況が発生していないことを意味する)が、外科用器具10のクランプ及び発射動作にもかかわらず、現在は前進していないという事実に基づいている。外科用器具10は、予想外に厚い又は強靱な組織に遭遇するナイフバー280、モータ1120のエラー、又は発射駆動システム3530内の機械的エラーを含む、いくつかの異なる理由により、止まる可能性がある。外科用器具10が止まったことをプロセス4000が4014で判定すると、コントローラ1104は、そのように臨床医に通知するための警告を開始することができる。警告は、例えば、可聴フィードバック、触覚フィードバック、又は視覚フィードバックを含むことができる。図31に示す一態様では、コントローラ1104は、表示装置4050(又はその一部分)に、例えば、切除中に表示される画面上に重ねられ得る注意又はエラー記号4068を示す画像4066を表示させる。
【0142】
長手方向に移動可能な駆動部材3540がその開始部分に位置するか、あるいは別の方法でその発射ストロークの閾値位置まで、又はその位置を超えて前進していない場合、プロセス4000は、いいえの分岐に沿って進み、それにより、カートリッジ3606がエンドエフェクタ2300内に存在しない(又はエンドエフェクタ2300に不適切に装填された)と4016で判定する。カートリッジ3606が存在しないか、又は不適切に装填されているという判定は、外科用器具10のクランプ及び発射動作が開始されているにもかかわらず、長手方向に移動可能な駆動部材3540がその開始位置を超えて前進していないという事実に基づいている。プロセス4000が、カートリッジ3606が存在しないと4016で判定したとき、コントローラ1104は、そのように臨床医に通知するための警告を開始することができる。警告は、例えば、可聴フィードバック、触覚フィードバック、又は視覚フィードバックを含むことができる。図32に示す一態様では、コントローラ1104は、表示装置4050(又はその一部分)に、エンドエフェクタ4072にエラーがある(例えば、エンドエフェクタ4072の上に重なる「X」)ことを示す視覚的合図を提供する画像又はアイコン4070を表示させる。
【0143】
本明細書で論じられる原理を更に説明するために、ここで説明は、図33A図33Cを参照し、本開示の一態様による、様々な例示的な変位部材ストロークの線図4100、4200、4300を示す。図33A図33Cの以下の説明では、図26もまた参照されたい。図33A図33Cに示す例示的なストロークの変位部材は、例えば、長手方向に移動可能な駆動部材3540を含むことができる。線図4100、4200、4300の各々は、変位部材がストロークの第1の位置又は第1の端部4102と第2の位置又は第2の端部4104との間で停止した(すなわち、その速度がゼロに等しい)停止位置4106を含む例示的な変位部材ストロークを代表的な形式で示している。第1の端部4102及び第2の端部4104は、変位部材ストロークの近位端及び遠位端にそれぞれ対応することができる。変位部材の停止位置4106は、線図4100、4200、4300の各々で変化し、変位部材の速度がゼロに等しいとき、図26に関連して説明するプロセス4000によって判定された変位部材位置に対応する。更に、変位部材ストロークは、1つ又は2つ以上の閾値によって複数のゾーンに分割され得る。変位部材が位置する1つ又2つ以上のゾーンは、プロセス4000がどの行動をとるかをプロセス4000が4004で判定した外科用器具10の動作状態と組み合わせて判定する。
【0144】
長手方向に移動可能な駆動部材3540の停止位置4106は、第1の閾値4108及び第2の閾値4110に関して、線図4100、4200、4300の各々に示されている。変位部材の停止位置4106は、外科用器具が関節運動動作状態にあるときに第1及び第2の閾値4108、4110と比較される。第1及び第2の閾値4108、4110は、それぞれ、変位部材が第1の端部4102又は第2の端部4104「に」又は「付近に」あると見なされる位置限界を定めることができる。第1及び第2の閾値4108、4110は、第1のゾーン及び第2のゾーンを画定する。第1のゾーンは、第1の閾値4108と第1の端部4102との間、及び第2の閾値4110と第2の端部4104との間の変位部材ストロークの部分の集合に対応する。第2のゾーンは、第1の閾値4108と第2の閾値4110との間の変位部材ストロークの部分に対応する。変位部材の停止位置4106が第1のゾーンにある場合、変位部材は、ストロークのそれぞれの端部4102、4104に位置付けられていると考えられる。動作中、器具がクランプ及び発射されていないときに変位部材の停止位置4106が第1のゾーンにある場合、プロセス4000は、エンドエフェクタ2300がその関節運動限界にあると4010で判定する。逆に、器具がクランプ及び発射されていないときに変位部材の停止位置4106が第2のゾーンにある場合、プロセス4000は、エンドエフェクタ2300の関節運動が妨げられていると4008で判定する。
【0145】
長手方向に移動可能な駆動部材3540の停止位置4106は、第3の閾値4112に更に関して線図4100、4200、4300の各々に示されている。変位部材の停止位置4106は、外科用器具がクランプ及び発射動作状態にあるときに、第3の閾値4112と比較される。第3の閾値4112は、カートリッジ3606がエンドエフェクタ2300内に存在しない場合に変位部材が前進できない位置限界を定めることができる。第3の閾値4112は、第3のゾーン及び第4のゾーンを画定する。第3のゾーンは、第1の端部4102(すなわち、発射ストロークの近位端)と第3の閾値4112との間の変位部材ストロークの部分に対応する。第4のゾーンは、第3の閾値4112と第2の端部4104(すなわち、発射ストロークの遠位端)との間の変位部材ストロークの部分に対応する。動作中、変位部材の停止位置4106が、器具がクランプ及び発射されるときに第3のゾーンにある場合、プロセス4000は、変位部材が第3の閾値4112によって引かれた発射ストロークでロックアウトゾーンを超えて前進していないため、エンドエフェクタ2300内にカートリッジが存在しないと4016で判定する。逆に、変位部材の停止位置4106が、器具がクランプ及び発射されるときに第4のゾーンにある場合、プロセス4000は、外科用器具10が止まったと4014で判定する。
【0146】
ここで、線図4100、4200、4300の各々を個別に扱うために、第1の線図4100は、第1のゾーン及び第4のゾーンにおける変位部材の停止位置4106を示す。異なる組の閾値によって区別される異なる組のゾーンは、互いに重なり合うことができることに留意されたい。停止位置4106が比較される特定の組のゾーンは、異なる閾値が異なる動作状態に関連付けられているため、外科用器具10の動作状態に依存する。変位部材がこの位置にあるとき、プロセス4000は、外科用器具10の動作状態に応じて、エンドエフェクタ2300がその関節運動限界にあると4010で判定するか、又は外科用器具10が止まっていると4014で判定することになる。第2の線図4200は、第2のゾーン及び第4のゾーンにおける変位部材の停止位置4106を示す。変位部材がこの位置にあるとき、プロセス4000は、外科用器具10の動作状態に応じて、エンドエフェクタ2300の関節運動が妨げられていると4008で判定するか、又は外科用器具10が止まっていると4014で判定することになる。第3の線図4300は、第2のゾーン及び第3のゾーンにおける変位部材の停止位置4106を示す。変位部材がこの位置にあるとき、プロセス4000は、外科用器具10の動作状態に応じて、エンドエフェクタ2300の関節運動が妨げられていると4008で判定するか、又は外科用器具10内にカートリッジが存在しないと4016で判定することになる。変位部材の他の停止位置4106についての外科用器具の動作状態によるプロセス4000がとった行動は、上記の説明から明らかであろう。
【0147】
本明細書に記載の外科用器具の動作状態に従って警告を提供する機能又はプロセスは、図5A図6に関連して説明された制御回路700、図7図9に説明された回路800、810、820、図10及び図12に関連して説明されたコントローラ1104、及び/又は図14に説明された制御回路2510などの、本明細書に説明された処理回路のいずれかによって実行され得る。
【0148】
電動外科用器具の態様は、本明細書に開示される具体的な詳細を伴わずに実施されてもよい。いくつかの態様は、詳細ではなくブロック図として示されている。本開示の一部は、コンピュータメモリに格納されたデータ上で動作する命令として、表されてもよい。アルゴリズムとは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、記憶、伝達、結合、比較及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をとることができる物理量の操作を指す。これらの信号は、ビット、値、要素、記号、文字、用語、数字と称され得る。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、またこれらの量に適用される好都合な標識であるに過ぎない。
【0149】
一般に、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができる、本明細書で説明する様々な態様を、様々な種類の「電気回路」から構成されるものと見なすことができる。結果として、「電気回路」は、少なくとも1つの個々の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムで構成された汎用コンピューティングデバイス(例えば、汎用コンピュータ、又は、本明細書で説明したプロセス及び/若しくはデバイスを少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムで構成されたプロセッサ)を形成する電気回路、メモリデバイスを形成する(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)電気回路、及び/又は、通信デバイス(例えばモデム、通信スイッチ、又は光学電気機器)を形成する電気回路を含む。これらの態様はアナログ形態若しくはデジタル形態、又はこれらの組み合わせで実装することができる。
【0150】
前述の説明は、1つ又は2つ以上の機能及び/又は動作を含み得る、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例の使用による、装置及び/又はプロセスの態様を説明している。このようなブロック図、フローチャート、又は実施例における各機能及び/又は動作は、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は実質上これらの任意の組み合わせにより、個別に、かつ/又は集合的に実装することができる。一態様では、本明細書に記載される主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラム可能論理デバイス(PLD)、回路、レジスタ並びに/又はソフトウェア構成要素、例えば、プログラム、サブルーチン、論理、及び/又はハードウェアとソフトウェア構成要素論理ゲートとの組合せ、又は他の統合された形式、を介して実装されてもよい。その全部か一部かを問わず、本明細書で開示される形態のいくつかの態様は、1台又は2台以上のコンピュータ上で稼働する1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台又は2台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、1つ又は2つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、あるいは、それらの実質的に任意の組み合わせとして、集積回路において等価に実装することができ、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれることが、当業者には理解されよう。
【0151】
開示される主題のメカニズムは、多様な形式でプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載される主題の例示的な態様は、配布を実際に行うために使用される特定の種類の信号搬送媒体に関係なく用いられる。信号搬送媒体の例としては以下:記録可能型の媒体、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなど、並びに伝送型の媒体、例えば、デジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク(例えば、送信機、受信機、送信論理、受信論理など)が挙げられる。
【0152】
これらの態様の前述の説明は、記載及び説明を目的として提示されている。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。これら態様は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な態様を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され記載されるものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0153】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
【0154】
実施例1.外科用器具は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な変位部材と、センサであって、変位部材の位置を検出し、それを示す信号を提供するように構成された、センサと、センサに連結された制御回路であって、制御回路が、変位部材の速度を判定することと、速度がゼロに等しくなると、外科用器具の動作状態を判定し、第1の位置又は第2の位置のうちの少なくとも1つと比較した変位部材の位置に従って、変位部材の相対位置を判定し、外科用器具の動作状態及び変位部材の相対位置に従って警告を提供することと、を行うように構成された制御回路と、を備える。
【0155】
実施例2.警告は、画像を含む、実施例1に記載の外科用器具。
【0156】
実施例3.表示装置を更に備え、制御回路は、表示装置に画像を表示させるように構成されている、実施例2に記載の外科用器具。
【0157】
実施例4.画像は、変位部材の位置に従って外科用器具の関節運動が妨げられているか、又はその限界にあることを示す、実施例2又は実施例3のいずれかに記載の外科用器具。
【0158】
実施例5.画像は、変位部材の位置に従って外科用器具がロックアウト状態にあることを示す、実施例2又は実施例3の1つ又は2つ以上に記載の外科用器具。
【0159】
実施例6.画像は、変位部材の位置に従って外科用器具が止まったことを示す、実施例2又は実施例3の1つ又は2つ以上に記載の外科用器具。
【0160】
実施例7.エンドエフェクタを更に備え、エンドエフェクタが、クランプ位置とクランプ解除位置との間で移動可能な顎部と、変位部材によって、エンドエフェクタを通して後退位置と伸長位置との間で駆動可能なナイフバーと、を含み、動作状態は、顎部がクランプされ、ナイフバーが伸長位置に駆動されているかどうかに対応する、実施例1~実施例6のうちの1つ又は2つ以上に記載の外科用器具。
【0161】
実施例8.外科用器具は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な変位部材と、センサであって、変位部材の位置を検出し、それを示す信号を提供するように構成された、センサと、センサに連結された制御回路であって、制御回路が、変位部材の速度を判定することと、変位部材が移動しない場合、外科用器具の動作状態を判定し、変位部材が位置付けられている第1の位置と第2の位置との間のゾーンを判定し、外科用器具の動作状態及び変位部材が位置付けられているゾーンに従って警告を提供することと、を行うように構成された制御回路と、を備える。
【0162】
実施例9.警告は、画像を含む、実施例8に記載の外科用器具。
【0163】
実施例10.表示装置を更に備え、制御回路は、表示装置に画像を表示させるように構成されている、実施例9に記載の外科用器具。
【0164】
実施例11.画像は、変位部材の位置に従って外科用器具の関節運動が妨げられているか、又はその限界にあることを示す、実施例9又は実施例10のいずれかに記載の外科用器具。
【0165】
実施例12.画像は、変位部材の位置に従って外科用器具がロックアウト状態にあることを示す、実施例9又は実施例10の1つ又は2つ以上に記載の外科用器具。
【0166】
実施例13.画像は、変位部材の位置に従って外科用器具が止まったことを示す、実施例9又は実施例10の1つ又は2つ以上に記載の外科用器具。
【0167】
実施例14.エンドエフェクタを更に備え、エンドエフェクタが、クランプ位置とクランプ解除位置との間で移動可能な顎部と、変位部材によって、エンドエフェクタを通して後退位置と伸長位置との間で駆動可能なナイフバーと、を含み、動作状態は、顎部がクランプされ、ナイフバーが伸長位置に駆動されているかどうかに対応する、実施例8~実施例13のうちの1つ又は2つ以上に記載の外科用器具。
【0168】
実施例15.第1の位置と第2の位置との間で移動可能な変位部材と、変位部材に連結されており、第1の位置と第2の位置との間で変位部材を駆動するように構成されている、モータと、変位部材の位置を検出し、それを示す信号を提供するように構成されたセンサと、を備える外科用器具を動作させる方法であって、この方法は、変位部材の速度を判定することと、変位部材の速度がゼロに等しいと判定すると、外科用器具の動作状態を判定し、変位部材が位置付けられているゾーンを判定し、外科用器具の動作状態及び変位部材が位置付けられているゾーンに従って警告を提供することと、を含む、方法。
【0169】
実施例16.警告は、画像を含む、実施例15に記載の方法。
【0170】
実施例17.画像は、変位部材の位置に従って外科用器具の関節運動が妨げられているか、又はその限界にあることを示す、実施例15に記載の方法。
【0171】
実施例18.画像は、変位部材の位置に従って外科用器具がロックアウト状態にあることを示す、実施例15に記載の方法。
【0172】
実施例19.画像は、変位部材の位置に従って外科用器具が止まったことを示す、実施例15~実施例18のうちの1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0173】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
第1の位置と第2の位置との間で移動可能な変位部材と、
前記変位部材の位置を検出し、それを示す信号を提供するように構成されたセンサと、
前記センサに連結された制御回路であって、前記制御回路が、
前記変位部材の速度を判定することと、
前記速度がゼロに等しくなると、
前記外科用器具の動作状態を判定し、
前記第1の位置又は前記第2の位置のうちの少なくとも1つと比較した前記変位部材の前記位置に従って、前記変位部材の相対位置を判定し、
前記外科用器具の前記動作状態及び前記変位部材の前記相対位置に従って警告を提供することと、を行うように構成されている、制御回路と、を備える、外科用器具。
(2) 前記警告が、画像を含む、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 表示装置を更に備え、前記制御回路が、前記表示装置に前記画像を表示させるように構成されている、実施態様2に記載の外科用器具。
(4) 前記画像は、前記変位部材の前記位置に従って前記外科用器具の関節運動が妨げられているか、又はその限界にあることを示す、実施態様2に記載の外科用器具。
(5) 前記画像は、前記変位部材の前記位置に従って前記外科用器具がロックアウト状態にあることを示す、実施態様2に記載の外科用器具。
【0174】
(6) 前記画像は、前記変位部材の前記位置に従って前記外科用器具が止まったことを示す、実施態様2に記載の外科用器具。
(7) エンドエフェクタを更に備え、前記エンドエフェクタが、
クランプ位置とクランプ解除位置との間で移動可能な顎部と、
前記変位部材によって、前記エンドエフェクタを通して後退位置と伸長位置との間で駆動可能なナイフバーと、を含み、
前記動作状態は、前記顎部がクランプされ、前記ナイフバーが前記伸長位置に駆動されているかどうかに対応する、実施態様1に記載の外科用器具。
(8) 外科用器具であって、
第1の位置と第2の位置との間で移動可能な変位部材と、
前記変位部材の位置を検出し、それを示す信号を提供するように構成されたセンサと、
前記センサに連結された制御回路であって、前記制御回路が、
前記変位部材の速度を判定することと、
前記変位部材が移動していない場合、
前記外科用器具の動作状態を判定し、
前記変位部材が位置付けられている前記第1の位置と前記第2の位置との間のゾーンを判定し、
前記外科用器具の前記動作状態及び前記変位部材が位置付けられている前記ゾーンに従って警告を提供することと、を行うように構成されている、制御回路と、を備える、外科用器具。
(9) 前記警告が、画像を含む、実施態様8に記載の外科用器具。
(10) 表示装置を更に備え、前記制御回路が、前記表示装置に前記画像を表示させるように構成されている、実施態様9に記載の外科用器具。
【0175】
(11) 前記画像は、前記変位部材の前記位置に従って前記外科用器具の関節運動が妨げられているか、又はその限界にあることを示す、実施態様9に記載の外科用器具。
(12) 前記画像は、前記変位部材の前記位置に従って前記外科用器具がロックアウト状態にあることを示す、実施態様9に記載の外科用器具。
(13) 前記画像は、前記変位部材の前記位置に従って前記外科用器具が止まったことを示す、実施態様9に記載の外科用器具。
(14) エンドエフェクタを更に備え、前記エンドエフェクタが、
クランプ位置とクランプ解除位置との間で移動可能な顎部と、
前記変位部材によって、前記エンドエフェクタを通して後退位置と伸長位置との間で駆動可能なナイフバーと、を含み、
前記動作状態は、前記顎部がクランプされ、前記ナイフバーが前記伸長位置に駆動されているかどうかに対応する、実施態様9に記載の外科用器具。
(15) 第1の位置と第2の位置との間で移動可能な変位部材と、前記変位部材に連結されており、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記変位部材を駆動するように構成されている、モータと、前記変位部材の位置を検出し、それを示す信号を提供するように構成されたセンサと、を備える、外科用器具を動作させる方法であって、前記方法は、
前記変位部材の速度を判定することと、
前記変位部材の前記速度がゼロに等しいと判定すると、
前記外科用器具の動作状態を判定し、
前記変位部材が位置付けられているゾーンを判定し、
前記外科用器具の前記動作状態及び前記変位部材が位置付けられている前記ゾーンに従って警告を提供することと、を含む、方法。
【0176】
(16) 前記警告が、画像を含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記画像は、前記変位部材の前記位置に従って前記外科用器具の関節運動が妨げられているか、又はその限界にあることを示す、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記画像は、前記変位部材の前記位置に従って前記外科用器具がロックアウト状態にあることを示す、実施態様16に記載の方法。
(19) 前記画像は、前記変位部材の前記位置に従って前記外科用器具が止まったことを示す、実施態様16に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16-17】
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33A
図33B
図33C