(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】支持ゼオライトフィルム、および製造するための方法
(51)【国際特許分類】
C01B 39/04 20060101AFI20230320BHJP
B01J 20/18 20060101ALI20230320BHJP
B01J 20/32 20060101ALI20230320BHJP
B01D 69/10 20060101ALI20230320BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20230320BHJP
B01D 71/02 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
C01B39/04
B01J20/18 A
B01J20/32 Z
B01D69/10
B01D69/12
B01D71/02
(21)【出願番号】P 2020533365
(86)(22)【出願日】2018-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2018073913
(87)【国際公開番号】W WO2019048505
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-08-26
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515232996
【氏名又は名称】ヨーナス・ヘドルンド
(73)【特許権者】
【識別番号】515233029
【氏名又は名称】アラン・ホルムグレーン
(73)【特許権者】
【識別番号】520075650
【氏名又は名称】リアン・ユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ヨーナス・ヘドルンド
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ホルムグレーン
(72)【発明者】
【氏名】リアン・ユー
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-515921(JP,A)
【文献】特表2000-507909(JP,A)
【文献】特表2002-537990(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0047864(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 39/00 - 39/54
B01J 20/18
B01J 20/32
B01D 69/10
B01D 69/12
B01D 71/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライ
ト結晶を含む結晶性フィルムを堆積させるための多孔質支持体を生成するための方法であって:
a) 多孔質支持体を、1種またはそれ以上のカチオン性ポリマーを用いて支持体を処理することにより、電荷改質する工程と、
b) その後、電荷改質された多孔質支持体を、1種またはそれ以上の疎水剤を用いて処理する工程と
を含む前記方法。
【請求項2】
多孔質支持体上に、ゼオライ
ト結晶を含む結晶性フィルムを生成するための方法であって、前記方法は請求項1に記載の工程およびさらに次の工程:
c) 電荷改質された疎水性多孔質支持体上に、微粒子ゼオライ
ト結晶を堆積させる工程と、
d) 前記堆積させられた微粒子ゼオライ
ト結晶から、ゼオライ
ト結晶を含む結晶性フィルムを成長させて、多孔質支持体上に、ゼオライ
ト結晶を含む結晶性フィルムを生成する工程と
を含む前記方法。
【請求項3】
多孔質支持体は、支持体の電荷改質前に、溶媒、溶液、またはそれらの組成物を含浸させられる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
多孔質支持体は、カチオン性ポリマーの溶液に浸漬される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
溶液は、アンモニア水溶液である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
カチオン性ポリマー(複数可)を含むアンモニア水溶液のpH
は7~12である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記電荷改質された多孔質支持体は、オルガノシラン、アルキルシラン、ハイドロシラン、ジアルキルシラン、フッ素化アルキルシラン、フッ素化ジアルキルシラン、パーフルオロ化アルキルシラン、フッ素化アルコキシシラン、クロロシラン、フッ素化クロロシラン、もしくはそれらの組合せのような1種もしくはそれ以上のシラン(複数可)を含む、1種またはそれ以上の疎水剤(複数可)を使用して処理される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記疎水剤(複数可)は、以下の化合物(複数可):オクタデシルトリヒドロシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリエトキシプロピルシラン、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリクロロシラン、トリメチルオクチルシラン、オクチルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H-パーフルオロセチルメチルジクロロシラン、1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリメトキシシラン、またはそれらの組合せのうちの1種またはそれ以上から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ゼオライト材料は、シリカライト-1、ゼオライトA、ゼオライトベータ、ゼオライトL、Y、X、ZSM-22、ZSM-11、ZSM-5、ZSM-2、LTA、SAPO-34、DDR、モルデナイト、キャバザイト、ホージャサイト、ソーダライト、フェリエライト、MFI、およびフィリップサイトを含む群から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
多孔質支持体は非対称であり、上部層は電荷改質される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
多孔質支持体の上部面は電荷改質される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程(a)~(b)の生成物は、方法の後続工程またはいずれかのさらなる方法で使用される前に、か焼されない、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
工程(c)の生成物は、工程(d)で使用される前にか焼されない、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持ゼオライトフィルムを製造するための方法、およびその方法により提供される支持ゼオライトフィルム、ならびに特に、ゼオライトのフィルムが成長できる多孔質基材の前処理を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分子篩は、例えば、それらの化学組成およびそれらの構造特性に従って、様々なカテゴリーに分類される。特に関心が持たれる分子篩の群は、ゼオライトおよびゼオライト様材料を含む群である。ゼオライトおよびゼオライト様材料は、合成的に製造できる。頻繁に製造されているゼオライト骨格は、MFI骨格であり、その骨格は、環中に10個のT原子を有することで、多くの応用に適切な孔径を持つ。この骨格は、純粋なシリカ形態で製造でき、すなわち、T原子はケイ素原子のみである。この場合、構造はシリカライト-1と表される。しかしながら、ケイ素原子のうちのいくつかがアルミニウム原子と置換される場合、構造はZSM-5と表される。特許文献1は、2.5~50のSi/Al比を有する結晶ZSM-5ゼオライトを製造するための方法を開示する。それ以来、より高い比率を有するMFIゼオライトが、特許文献において請求されてきた。より高いSi/Al比が、より少ない親水性構造を意味する一方で、シリカライト-1は、疎水特性を有する(特許文献2)。テンプレートまたは構造規定剤は、ゼオライトおよびゼオライト様材料の合成中において反応混合物に添加されて、所望の骨格への結晶化を導く。例えば、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシドは、MFIゼオライトの合成において、テンプレートとしてしばしば使用される。
【0003】
無機触媒および薄膜のための支持材料を製造するための、当技術分野で記載される多数の方法が存在する。薄いゼオライトフィルムでコーティングされた支持体は、例えば膜分離、センサー技術、触媒、電気化学、およびイオン交換の分野に応用を見出す。
【0004】
水熱合成技術を使用して、多孔質支持体上に支持ゼオライトフィルムを製造する方法、および生じた支持ゼオライトフィルムは、多くの深刻な問題を持ち、それを示す。第一に、ゼオライト材料の成長に使用される合成溶液の種が侵入し、多孔質支持体内に堆積することがあり、支持体多孔性の低下をもたらし、このことは、完全な構造(支持体+ゼオライトフィルム)を介するガスまたは液体分子の透過が減少することにより実証される。第二に、支持体材料は、使用される合成条件下において不活性ではないことがあり、許容不可能な程度に支持体からの原子の溶解がもたらされ、その後、これらの原子が、ゼオライトの目的の構造を妨害することがある。第三に、か焼が、合成されたフィルムから構造指向剤を取り除くのに好ましい場合、支持体中の侵入および堆積した種は、ゼオライトフィルムおよび支持体の熱膨張特性の差が原因で、フィルムおよび支持体における亀裂の形成を引き起こすことがある。
【0005】
様々な試みが、これらの問題を解決するために当技術分野でなされてきたが、それらはいずれも、完全に満足できるものでないか、他の問題および難題をもたらすものである。
【0006】
特許文献3および非特許文献1は、シリカおよびゼオライトの粒子が支持体上に厚いゲル層を形成する程度まで、使用される水性コーティング懸濁液中の水が支持体の細孔へ進入することを妨げるバリア層の使用を記載する。バリア層は、一時的または永久的であってもよく;一時的なバリア層は、水またはグリコールのような流体であった。これらの方法は複雑であり、満足な支持ゼオライト層を生成しない。
【0007】
特許文献4は、多孔質α-アルミナ基材上に、シリカライト-1結晶を含む結晶性フィルムを生成するための方法であって、多孔質α-アルミナ基材の表面を、水溶性のカチオン性ポリマー(Berocell 6100)と反応させることによって改質し、それによって支持体の表面に正電荷を持たせ、その結果親水性にする工程を含む、方法を開示する。続いて、シリカライト-1の微結晶は、微結晶の電荷の反対の表面電荷を有する基材上へと付着され、最終的には、結晶性フィルムを、熱水結晶化により支持体上で成長させることが可能であった。基材の細孔へのゼオライトの侵入を低減させる測定は、開示されなかった。
【0008】
特許文献5は、メソポーラスシリカおよびシランカップリング剤(3-クロロプロピルトリメトキシシラン)でコーティングし、その後、MFI種結晶を有する改質された表面をコーティングし、最終的には、結晶性フィルムを熱水結晶化により成長させることにより改質された多孔質αアルミナセラミック基材上に、ゼオライトMFI結晶を含む結晶膜を生成するための方法を開示する。侵入を低減させる測定は開示されなかった。
【0009】
特許文献6には、PMMAの除去、およびむき出しの露出した基材表面上へのカチオン性ポリマーの付着とともに、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなポリマーに関与するマスキング技術、およびパラフィンワックスを用いて支持体を満たすことが記載されている。これは、むしろ多くの時間を必要とし、実際的に複雑になった手順である。しかしながら、このマスキング手順の重大な短所は、基材をマスキングするために必要な時間だけでなく、深さの精度およびマスキングの効率である。加えて、この方法は、実際的応用に必要であるマルチチャネル管のような、複雑な幾何学的形状を有する支持体上に塗布するのが難しい。この方法は、ワックスを用いて支持体を不完全に満たすこと、ならびに合成溶液からの種のその後の侵入および/または水熱合成間の支持体細孔へのフィルムの成長をもたらす。支持体中の合成溶液の部分的な侵入に関連するさらなる問題は、多数のゼオライト骨格フィルムの合成に必要な条件が非常に厳格であるので、基材が、部分的に、溶解またはエッチングされてしまうという事実である。従って、アルミニウムが、マスキングされていないか、不完全にマスクキングされているα-アルミナ基材の上部層から溶解し、生成するように意図されていないゼオライト構造を導くこともある。このマスキングの概念に関する別の問題は、合成膜の厚さを制御できないことであり、これは、合成溶液からの種の侵入が、異なる合成フィルム/膜の間、ならびに同じフィルム/膜の異なる部分の間で変動することがあるためである。
【0010】
特許文献7は、多孔質α-アルミナ基材上にゼオライトおよび/またはゼオライト様結晶を含む結晶性フィルムを生成するための方法であって、最初に、多孔質支持体を、疎水剤(複数可)を用いて疎水性にし、その後、両親媒性物質および/またはカチオン性ポリマーを用いて疎水性表面を改質し、その後、支持体上へとシリカライト-1の微結晶を堆積させることを含む、方法を開示する。続いて、結晶性フィルムは、熱水処理により支持体上に成長させられた。一般的に満足な結果がこの方法で得ることができる一方で、疎水性支持体上の、両親媒性物質および/またはカチオン性ポリマーのむらのある被覆は、支持体上のシリカライト-1微結晶の一様でない被覆をもたらし、かつ膜合成間の膜欠陥の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第3,702,886号(1972)
【文献】米国特許第4,061,724号(1977)
【文献】国際公開第94/25151号
【文献】国際公開第97/33684号
【文献】国際公開第2004/080889号
【文献】国際公開第00/53298号
【文献】国際公開第2014140291号
【非特許文献】
【0012】
【文献】Gavalasら「Use of diffusion barriers in the preparation of supported zeolite ZSM-5 membranes」、Journal of Membrane Science、126(1997)、53~65頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、多孔質支持体上にゼオライト結晶を含むフィルムを製造するための公知の手順に関連する上記の問題を回避する、または最小化するフィルムおよび膜を生成する必要性が、当技術分野において依然として存在する。ゼオライト結晶の支持フィルムを製造するための代替的方法、特に続いて種結晶が堆積させられる多孔質支持体の前処理を使用するものを提供する一般的な必要性も、当技術分野において存在する。欠陥が少量であり、再現性が高い最終生成物を介する透過性が高く、支持体からの原子の浸出が無視できる膜を生成する当技術分野における必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このたび、当技術分野における問題は、本発明によって、多孔質または非多孔質の支持体上への薄いゼオライトフィルムの製造を可能とする新規な方法を提示することによって克服または少なくとも緩和された。これは、多孔質支持体の侵入を回避または低減させ、同時に最終ゼオライトフィルム製品の欠陥の最小化を可能にし、合成ゼオライト膜の再現性および透過性を改善する。
【0015】
驚くべきことに、支持体が特定の方法で処理および製造される場合、生じる支持ゼオライトフィルムが有利に高い品質であることが発見された。支持体が、ゼオライト結晶堆積および続く熱水ゼオライトフィルム合成の前に、特異的な方法で化学的に改質される場合、ゼオライト結晶を含む結晶性フィルムは、従来達成されていない特性を備えて生成されることが発見された。
【0016】
本発明は、支持体を、その上に種結晶が堆積する前に前処理する、新規の改善された方法を提供する。鍵となる工程は、支持体が、好ましくは、支持体がゼオライト結晶堆積および続く熱水結晶ゼオライトフィルム合成以前に疎水性になる前に、例えばカチオン性ポリマーのような電化改質剤で処理することにより電荷改質されるというものである。
【0017】
本明細書において開示される新規の改善された方法は、欠陥がほぼ無く、透過性が高く、再現性が高く、および支持体の原子の浸出が無視でき、以前に達成された結果を全体的に上回るゼオライト膜の特性をもたらす。高い再現性は、工業的応用に必要である多くの膜の生成において必須である。方法はまた、工業的応用に必須である、管状の膜および複雑な幾可学的形状を有する膜の製造を可能とする。
【0018】
本発明において提供されるような表面改質方法または前処理方法は、多孔質固体支持体に特に適切であるが、非多孔質支持体または基材にも使用できる。
【0019】
従って、本発明は、ゼオライトおよび/またはゼオライト様結晶を含む結晶性フィルムを堆積させるための基材または多孔質支持体を生成するための方法であって、
a) 基材または多孔質支持体を電荷改質する工程と
b) その後、電荷改質された基材または多孔質支持体を疎水性にする工程と
を含む、前記方法を提供する。
【0020】
従って、本発明はまた、基材または多孔質支持体上に、ゼオライトおよび/またはゼオライト様結晶を含む結晶性フィルムを生成するための方法であって、
a) 基材または多孔質支持体を電荷改質する工程と、
b) 電荷改質された基材または多孔質支持体を疎水性にする工程と、
c) 電荷改質された疎水性基材または多孔質支持体上に、微粒子ゼオライトおよび/またはゼオライト様結晶を堆積させる工程と、
d) 前記堆積させられた微粒子ゼオライトおよび/またはゼオライト様結晶から、ゼオライトおよび/またはゼオライト様結晶を含む結晶性フィルムを成長させて、基材または多孔質支持体上に、ゼオライトおよび/またはゼオライト様結晶を含む結晶性フィルムを生成する工程と
を含む前記方法を提供する。
【0021】
基材または多孔質支持体が正電荷を有するように電荷改質されることが、本発明の方法において好ましい。基材または多孔質支持体が、基材または多孔質支持体の化学処理を使用することにより電荷改質されることが好ましい。最も好ましくは、基材または多孔質支持体は、1種またはそれ以上のカチオン性ポリマーを含む組成物で処理することにより電荷改質される。
【0022】
基材または多孔質支持体の電荷改質が、多孔質支持体の少なくとも上部層および/または上部面が電荷逆転されるように制御されることが好ましい。この文脈では、基材または多孔質支持体の上部層は、ゼオライト結晶および後のゼオライトフィルムが位置できる表面に隣接するか、またはその表面に対して画定された領域であると考慮される。これは、例えば、非対称の多孔質支持体中の微細孔上部層の外部表面に存在し得る。
【0023】
電荷改質された基材または多孔質支持体は、例えば疎水剤(複数可)のような、支持体を疎水性にする1種またはそれ以上の化学物質を含む組成物で処理することにより、疎水性にされることが好ましい。基材または多孔質支持体を疎水性にすることは、疎水化と呼ばれることもある。一実施形態では、基材または多孔質支持体の疎水化は、国際公開第2014140291号において記載される通りであり、その開示は、疎水性表面の製造に関する限り、参照によって組み入れる。
【0024】
本発明はまた、本発明の方法により得られる基材または多孔質支持体を提供する。
【0025】
本発明はまた、基材または多孔質支持体であって、堆積され電荷改質された材料の第1の層、および疎水剤の第2の層を備える基材または多孔質支持体材料を含む前記基材または多孔質支持体を提供する。
【0026】
本発明はまた、基材または多孔質支持体上の結晶性フィルムであって、電荷改質材料の第1の堆積層、疎水剤の堆積層、ならびにゼオライトおよび/もしくはゼオライト様種結晶から熱水成長された結晶ゼオライトならびに/またはゼオライト様フィルムを備える基材または多孔質支持体材料を含む前記結晶性フィルムを提供する。
【0027】
本発明はまた、本発明の方法により得られるゼオライトおよび/またはゼオライト様結晶を含む結晶性フィルムを提供する。
【0028】
本発明はまた、本発明に従う結晶性フィルムを含む、物品の膜、触媒、センサー、吸着剤、および/または電極を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明(実施例1)に記載されている新規の改善された方法に従って改質された、多孔質α-アルミナ支持体表面の上部層の水滴のCCD(電荷結合デバイス)カメラ画像の図である。測定された接触角は、116°である。
【
図2a】実施例2に従って改質された多孔質α-アルミナ支持体表面の上部層の、密に充填された単層中のシリカライト-1結晶の走査型電子顕微鏡画像の図である。
【
図2b】実施例2に従って改質された多孔質α-アルミナ支持体表面の上部層の、密に充填されたシリカライト-1結晶の走査型電子顕微鏡画像の図である。
【
図3a】実施例3に記載される従来技術に従って改質された多孔質α-アルミナ支持体表面の上部層の、水滴のCCDカメラ画像の図である。
【
図3b】実施例3に記載される従来技術に従って改質されているが、カチオン性ポリマー溶液で処理した後に一度だけすすがれた多孔質α-アルミナ支持体表面の上部層の、水滴のCCDカメラ画像の図である。
【
図4a】実施例4に記載されるような従来技術に従って改質された多孔質α-アルミナ支持体表面の上部層の、水滴のCCDカメラ画像の図である。
【
図4b】実施例4に記載されるような従来技術に従って改質された多孔質α-アルミナ支持体表面の上部層の、シリカライト-1結晶の走査型電子顕微鏡画像の図である。
【
図5a】実施例5に記載されるような従来技術に従って合成された、か焼されたゼオライトMFIフィルムの表面の走査型電子顕微鏡画像の図である。
【
図5b】パームポロメトリー実験において測定されるようなヘリウムの透過性対n-ヘキサンの相対的蒸気圧のプロットを示すグラフである、ゼオライトフィルムの透過性に対するピンホールのような大きな欠陥の影響(上部掃引線)、およびピンホールのような大きな欠陥のない膜に関する透過挙動(下部掃引線)を例示している。
【
図6】実施例6に記載されるような従来技術に従ってマスキングした後に多孔質α-アルミナ支持体の上部層で合成された、シリカライト-1膜の走査型電子顕微鏡画像の図である。
【
図7】実施例8に記載されるような本発明に従って製造された多孔質の10cmのα-アルミナ管状支持体の上部層で合成された、シリカライト-1膜の走査型電子顕微鏡画像の図である。
【
図8】実施例9に記載されるような本発明に従って製造された多孔質の50cmのα-アルミナ管状支持体の上部層で合成された、シリカライト-1膜の走査型電子顕微鏡画像の図である。
【
図9】実施例10に記載されるような本発明に従って製造された、19のチャネルを有する多孔質α-アルミナ支持体の上部層で合成された、シリカライト-1膜の走査型電子顕微鏡画像の図である。
【
図10a】実施例11に記載されるような本発明に従って製造された多孔質α-アルミナ円板支持体の上部層で合成された、ZSM-5膜の走査型電子顕微鏡画像の図である。
【
図10b】実施例11に記載されるような本発明に従って製造されたZSM-5膜のXRDパターンの図である。
【
図11】実施例12に記載されるような本発明に従って製造された多孔質α-アルミナ円板支持体の上部層で合成された、ZSM-5膜の走査型電子顕微鏡画像の図である。
【
図12a】実施例13に記載されるような本発明に従って製造された多孔質α-アルミナ円板支持体の上部層で合成された、CHA膜の断面図の走査型電子顕微鏡画像の図である。
【
図12b】実施例13に記載されるような本発明に従って製造されたCHA膜のXRDパターンの図である。
【
図13a】実施例14に記載されるような本発明に従って製造された多孔質α-アルミナ円板支持体の上部層で合成された、FAU膜の断面図の走査型電子顕微鏡画像の図である。
【
図13b】実施例14に記載されるような本発明に従って合成されたFAU膜のXRDパターンの図である。アスタリスクで印付けられた反射は、支持体由来である。
【
図14】CO
2/CH
4の分離に関して報告された最良の文献データ(黒塗りの三角形)、および四角形で示される本発明の実施例15に従って製造された膜のデータを示すグラフである。
【
図15】実施例16に記載される管状MFI膜に関して測定される、パームポロメトリー実験において測定されるようなヘリウムの透過性対n-ヘキサンの相対的蒸気圧のプロットを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
支持体は、フィルム用の基材として役立ち、任意の多孔性を有する物質であるか、または明確に定義された規則的な多孔性を有する多孔質支持体、ならびに天然または合成の多孔性を有する支持体である。本明細書において生成されるようなフィルムは、膜分離、センサー技術、触媒、電気化学、および/またはイオン交換の分野における使用を見出す。本明細書において提供されるような方法において使用される支持体は、ガラス、焼結金属、金属合金、鋼、ニッケル、ケイ素、貴金属、炭素、ポリマー、無機酸化物、α-アルミナ、γ-アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ、アルミナ/ジルコニア混合物(複数可)、アルミニウムケイ酸塩、コーディエライト、ゼオライトもしくはゼオライト様材料、シリカライト-1、硫化亜鉛を含む、またはそれらからなる群から選択できる。多孔質支持体はまた、ガラス繊維、セラミックファイバー、炭素繊維、黒鉛繊維、セルロースファイバー、金属繊維、ならびに様々な高分子線維のような繊維材料であってもよい。すべての支持体は、当技術分野における公知の方法により生成できる。
【0031】
本明細書において使用するための多孔質支持体の例は、100nmの細孔の厚さ30μmの上部層、および3μmの細孔を有する厚さ3mmのベース層を含む、多孔質α-アルミナの円板(直径25mm、厚さ3mm)を含む。異なる孔寸法の層を有するそのような支持体は、非対称の支持体と呼ばれることもある。しかしながら、本明細書において提供されるような方法は、管状支持体もしくはマルチチャネル管、またはハニカムのような、複雑な幾可学的形状を有する支持体材料によく適合する。本明細書で使用するための多孔質管状支持体の例は、100nmの細孔の厚さ30μmの上部層、および3μmの細孔を有する厚さ1.5mmのベース層を含む、多孔質α-アルミナの管(長さ100mm、外径10mm、および内径7mm)を含む。
【0032】
本明細書で使用するための多孔質管状支持体の別の例は、100nmの細孔の厚さ30μmの上部層と、3μmの細孔を有する厚さ1.5mmのベース層との中間に、600nmの細孔の30μmの層を含む、多孔質α-アルミナの管(長さ500mm、外径10mm、および内径7mm)を含む。
【0033】
多孔質支持体は、0.9nm~10μmのようなナノメートル~マイクロメーターの範囲の細孔径を含むこともある。その支持体は多層であってもよく;例えば、支持体の物質移動特性を改善するために、種結晶の層または単層に接する支持体の表面領域のみが、小さな直径の細孔を有することがある一方で、上部層から離れた表面に向かう支持体の大部分が、大きな直径の細孔を有することがある。これらは、上部の面または層から支持体の底部の面または層までに孔径の非対称性が存在する場合、非対称の多孔質支持体と呼ばれることもある。
【0034】
ゼオライトおよび/またはゼオライト様フィルムでコーティングするための非多孔質支持体の例は、固体状のシリコンウェーハ、石英、酸化アルミニウム、ゲルマニウム、ダイヤモンド、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、二酸化ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム、および貴金属を含む。そのような支持体は、センサー技術の分野において使用できる。前記ゼオライトおよび/またはゼオライト様結晶は、シリカライト-1、ゼオライトA、ゼオライトベータ、ゼオライトL、Y、X、ZSM-25、ZSM-22、ZSM-11、ZSM-5、ZSM-2、LTA、SAPO-34、DDR、モルデナイト、キャバザイト、ソーダライト、フェリエライト、およびフィリップサイトを含む群から選択できるが、それらに限定されない。そのさらなる例はまた、本明細書において提供される。
【0035】
本発明の方法を使用する場合、および多孔質支持体を使用する場合、前記多孔質支持体は、支持体材料の表面が疎水性にされた後でさえ多孔性のままであろう。これは、支持体がワックスでマスキングされる場合のような当技術分野で使用される他の方法とは異なる(国際公開第2014140291号を除く)。さらに、本発明では、支持体材料のほぼ全体、特に支持体材料の最も重要な部分、すなわち以前のマスキング方法を使用すると完全に保護するのが以前は難しかった、小さな細孔を含む材料の上部層または上部面が保護される。理論に束縛されるものではないが、これは、マスキング手順で使用される粘性流体が、はるかに大きな細孔よりも極めて小さな細孔に進入することがより難しく、この難しさは、細孔径が減少するとともに増加するはずであるいう事実が原因である。加えて、例えば100nmの平均細孔径を有する支持体の上部層はまた、100nmよりもさらに小さい細孔を含む。
【0036】
さらに、本発明における支持体に関連する疎水性表面上への種結晶の堆積は、当技術分野において公知の以前の方法とは異なる(国際公開第2014140291号を除いて)が、これは、本明細書において示される堆積が、疎水化前の工程で既に電荷改質される支持体に関連する疎水性表面上への親水性種結晶の堆積であるためである。親水性の種結晶は、疎水性表面に向けて引き付けられるだけでなく、水熱合成における後の使用のために確実に付着したままであることは驚きに当たる。この挙動は反直感的である。
【0037】
基材または支持体が本発明の方法において使用される前に、それをか焼する、および/または例えばアセトンのような適切な溶媒で洗浄することが好ましい。この工程は、望まれる場合に、支持体が可能性のある汚染物質から精製されることを確実にするものである。か焼の間に、使用される場合、支持体、例えばα-Al2O3は、室温から約500℃までゆっくり加熱される。そのような温度で、支持体は、約6時間か焼することが可能であり、ここで、後に室温まで冷却される。加熱および冷却は、それぞれ約6時間かかる。この手順は、あらゆる有機残留物が支持体から除去されるように実行され、当技術分野で使用される手順である。
【0038】
か焼はまた、結晶ゼオライトのフィルムが存在する場合、本発明の方法の終了時に実行されることもある。
【0039】
これらは、本発明の方法において使用されるか焼の唯一の実例であることが好ましく;したがって、工程(a)、(b)、または(c)の各々の完了時に、各段階の生成物はか焼されることなく、方法の次の段階に移される。これが、工程(c)の最終生成物が、結晶性フィルムを成長させる工程(d)において使用される直前に、必要な疎水性を維持することを確かなものとする。段階(a)~(c)のうちのいずれかにおけるか焼は、この必要な特性を消失させるであろう。
【0040】
本発明の方法では、多孔質支持体は、電荷改質前に溶媒を含浸させられることがあり;これは、多孔質支持体の細孔を、以下の溶媒、溶液、またはそれらの組成物で満たすことにより達成できる;水、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、もしくはブタノールのようなアルコール、アンモニア水溶液、またはそれらの組合せなど。これらの材料は、疎水化工程前に除去でき、好ましくは除去される。本発明の方法はまた、代替的に、より粘性の材料を使用するマスキング手順を利用して、上部層の電荷改質前に支持体の高多孔質領域をマスキングすることもある。そのようなマスキング材料は、疎水化工程前に除去でき、好ましくは除去される。含浸またはマスキングのいずれかを用いるこの方法では、特に非対称の支持体が利用される場合に、電荷改質を、単に支持体の上部層および/または上部面に集中させることが可能である。
【0041】
本明細書において提供される本発明の方法では、基材または多孔質支持体の電荷改質が、カチオン性材料を有する基材または多孔質支持体の処理を通して達成されることが好ましい。カチオン性材料は、支持体または多孔質基材の表面に堆積して、基材または多孔質支持体に正電荷を提供できる任意の材料を意味する。カチオン性材料は、過剰なカチオン性材料または堆積溶液を含有するカチオン性材料を除去する後の洗浄工程後に、基材または多孔質支持体上での堆積が維持される組成および十分な分子量であることが好ましい。カチオン性材料が、両性イオン分子またはカチオン性ポリマー、および最も好ましくは様々な電荷密度および分子量を有するポリマーのようなカチオン性ポリマーであることが好ましい。カチオン性ポリマーは、主鎖にヒドロキシル基を有する第四級アミンのような繰り返し単位を有することもある。そのようなポリマーの例は、Sigma Aldrichにより販売されている、繰り返し単位[CH2CH(OH)CH2N(CH3)2]n+を有し、かつ75,000g/molの分子量である、ポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン-co-エチレンジアミンである。適切なカチオン性ポリマーのさらなる例は、以下の通りある:例えば、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、およびポリエチレンイミン。
【0042】
カチオン性材料は、好ましくは、適切な溶媒中のカチオン性材料の溶液または分散体から堆積させられる。理想的には、溶液または分散体の表面張力は、多孔質支持体の少なくとも上部面を濡らし、存在する場合、多孔質支持体の上部層に含浸し、濡らすことができるようなものである。カチオン性ポリマーを含むアンモニア水溶液は、7、8、9、10、11、12のpH値、または7.4、8.5、9.4、10.5、もしくは11.4のようなこれらの値の中間の任意のpH値を有する溶液であってもよい。
【0043】
電荷改質された支持体は、好ましくは、過剰なカチオン性材料、または溶液もしくは分散体を含有するカチオン性材料を除去するために、適切な溶液、溶媒、または混合物で洗浄される。適切かつ好ましい1種の洗浄剤は、アンモニア溶液である。洗浄後、電荷改質された基材または支持体を、乾燥させることが好ましい。
【0044】
電荷改質された基材または多孔質支持体は、好ましくは、基材の表面または多孔質支持体を疎水性にすることが可能な材料で処理することにより疎水性にされる。電荷改質された多孔質支持体を疎水性にする工程が、その細孔のすべてが開いており、かつマスキングまたは含浸されていない多孔質支持体で着手されることが好ましい。したがって、疎水化は、多孔質支持体のすべての内部および外部表面上に発生でき、好ましくは発生する。
【0045】
化合物または薬剤は、多孔質支持体の表面を疎水性にするために使用される場合、本明細書において疎水剤と呼ばれる。
【0046】
疎水化剤(複数可)は、後の方法の工程、例えば水熱合成条件下での種結晶の堆積またはフィルム成長の間に支持体表面に本質的に残り、かつそのような方法の条件下で、好ましくはその方法の時間中に本質的に安定している任意の疎水化剤(複数可)であってもよい。
【0047】
疎水化剤は、以下のうちの1種またはそれ以上を含むこともある:ヒドロキサメート(複数可)、フッ素化アルキルシラン、パーフルオロ化アルキルシラン、アルコキシシラン、クロロシラン、ジアルキルシラン、フェニルアルキルシラン、置換フェニルアルキルシラン、またはそれらの組合せ。
【0048】
疎水化剤は、これに限定されないが、オクチルヒドロキサメート、デシルヒドロキサメート、ドデシルヒドロキサメート、セチルヒドロキサメート、メチルオクチルジクロロシラン、デシルメチルジクロロシラン、ドデシルメチルジクロロシラン、およびオクタデシルメチルジクロロシランのようなジアルキルジクロロシラン;トリエトキシプロピルシラン、フェニルトリメトキシシラン;もしくは、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリヒドロシラン、およびセチルトリエトキシシランのようなアルキルアルコキシシラン、もしくは部分的フッ素化、もしくはフッ素化アルキルシラン、例えば、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリクロロシラン、1H,1H,2H,2H-パーフルオロドデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H-パーフルオロセチルメチルジクロロシラン、1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H-パーフルオロドデシルトリエトキシシラン、またはそれらの組合せから選択できる。
【0049】
疎水剤は、エタノール、プロパノール、または他のあらゆるアルコールのような非水溶媒に溶解されることもあり、溶液の粘度が低いことで、溶液が、支持体の細孔のすべてまたは少なくとも大部分へと進入することが可能となり、それによって疎水性にされる。疎水化は、疎水剤の溶液または分散体へと、基材または多孔質支持体を浸漬することにより達成される。
【0050】
疎水化工程後に、疎水化された基材または多孔質支持体は、過剰な疎水剤または疎水剤の溶液/分散体を除去するために、溶液または溶媒で洗浄されることもある。好ましくは、例えばエタノールのようなアルコールで実行されることも、この洗浄段階に続いて、処理された基材または多孔質支持体が、乾燥させられる。
【0051】
本明細書に提供されるような方法では、電荷改質され、疎水性の支持体は、ゼオライトに直接または間接的に対向するあらゆる表面で疎水性であってもよい。なお、多孔質管状支持体の両端を覆うグレイジングのような、基材または多孔質支持体の一部の表面は、疎水性とならないこともある。故に、「表面の少なくとも一部は、疎水性にされる」、または「前記多孔質支持体の少なくとも外部表面を疎水性にする」、または「前記多孔質基材の少なくとも一部を疎水性にする」と言及される場合、これは、依然として、多孔質支持体の表面が、本明細書に前に定義されたように、疎水性であり、および支持体の細孔の事実上いかなる侵入も可能としないための基準を満たすことを意味する。故に、これはまた、支持体、すなわち多孔質または非多孔質の支持体の表面を疎水性にする工程として言及されることもあり、その表面に、ゼオライト結晶が直接または間接的に付着することとなる。表面を疎水性にする実施例は、実験の段落において提供される。
【0052】
結晶ゼオライトフィルムの成長における第1の工程として、種結晶は、電荷改質されている疎水性基材または多孔質支持体に堆積させられる。これらは、通常分散体状で、基材または多孔質基材に通常提供されて、その上の結晶の単層または多層のような層を形成する。種結晶を含む層または単層は、第2の工程で、所望の骨格構造のフィルムへの種結晶の成長に必要である原材料または出発材料をすべて含有する合成混合物に接触させられる。結晶の種付けおよび成長は、疎水性基材または多孔質支持体で発生する。故に、第1の工程では、ゼオライト結晶の層または単層または多層が形成され、これは、最終的な結晶ゼオライトフィルムの形成における中間生成物と見なされることもある。この中間生成物は、触媒層としてそれ自体で有用性を有することもあり、本発明は、そのような層を含む処理された支持体、およびそのような支持層を作るための方法を、一態様では提供する。本発明の方法は、結晶ゼオライト種の良好な品質の単層、準単層、準二重層、二重層、または多層、好ましくは良好な品質の単層を提供する。
【0053】
本発明の好ましい方法では、その後、ゼオライト種のこの層、または単層、または多層は、熱水処理によりフィルムへと成長させることができるか、またはフィルムへと成長させるために使用される。従って、中間体種ベースの生成物は、その後、最終的な支持結晶ゼオライトフィルム内に存在する。
【0054】
本明細書において種として使用されるゼオライト結晶は、それに限定されないが、1000nm未満の、例えば500nm未満、例えば200nm未満、例えば100nm未満の長さの結晶を指すこともあり、その長さは、走査型電子顕微鏡を使用することにより特定できる。結晶は、国際公開第94/05597号として公開された国際出願PCT/SE93/00715に開示されているような方法のような、当技術分野で公知の任意の適切な方法により製造できる。この文献は、単層構造の製造において使用するのに適切な離散した分子篩の微結晶のコロイド懸濁液を合成することが可能である方法を記載する。ゼオライトまたは結晶性の微孔性金属ケイ酸塩のような分子篩は、一般的に、明確に定義された組成を有するケイ酸塩溶液の熱水処理により合成される。この組成物、ならびに温度、時間、および圧力のような合成パラメーターは、生成物のタイプおよび得られる結晶形状を決定する。
【0055】
適切な種結晶は、国際公開第93/08125号に示されるような方法、または当業者に公知の他の方法に従って製造できる。使用できる代表的な分子篩(ゼオライト)は、限定されないが、構造タイプAFI、AEL、BEA、CHA、SAPO-34、EUO、FAU(ゼオライトXおよびゼオライトYを含む)、FER、KFI、LTA、LTL、MAZ、MOR、MEL、MTN、MTT、DDR、MTW、OFF、TON、ゼオライトベータ、ソーダライト、フェリエライト、フィリップサイト、および特にMFIゼオライトのものを含む。200よりも高いSi/AI比を有するMFIゼオライトは、本明細書においてシリカライト-1と呼ばれる。上の材料のいくつかは、真のゼオライトでないが、文献においてそのように呼ばれることが多く、ゼオライトという用語は、そのような材料を含むように本明細書において広範に使用されるであろう。
【0056】
さらに、ゼオライト結晶の種を生成するための、およびフィルムへの種のその後の成長ための出発材料は、本明細書において前述されるような骨格構造を生成するように十分に反応性が高いあらゆる化合物から選択できる。ゼオライト結晶の生成に適切なシリコン源の例は、例えばケイ素アルコキシド、ケイ酸塩水和物、沈殿シリカ粉体、ヒュームドシリカおよびコロイドシリカゾルである。適切なアルミニウム源は、アルミニウムイソプロポキシドのようなアルミニウムアルコキシド、アルミニウム金属、およびアルミネートである。出発材料のさらなる例は、テトラエチルオルトシリケートのようなケイ素の単量体形、およびアルミニウムイソプロポキシドのようなアルミニウムの単量体形である。例として、ゼオライトおよび/またはゼオライト様結晶を形成するための合成混合物は、国際出願である国際公開第93/08125号に記載されている。その方法では、合成混合物は、十分な割合のシリカ源および有機構造指向剤の水溶液を沸騰させて、シリカ源の完全溶解を本質的に引き起こすことにより製造される。有機構造指向剤は、使用される場合、塩基の形態で、具体的には水酸化物の形態で、または塩、例えばハロゲン化物、特に臭化物もしくはフッ化物の形態で、合成混合物へと都合よく導入される。塩基およびその塩の混合物は、所望ならばまたは必要ならば、混合物のpHを調節するために使用できる。塩基が構造指向剤として使用される場合、混合物のpHは、HFを添加することによりほぼ中性に都合よく調節できる。結晶を生成するための他の方法は、例えば、PCT/EP96/03096、PCT/EP96/03097、およびPCT/EP96/0309698に記載されている。
【0057】
ゼオライト結晶は、水酸化物の経路もしくはフッ化物の経路、またはそれらの組合せにより生成されることもある。そのような方法は、当技術分野において公知である。
【0058】
ゼオライト結晶は、処理された基材または多孔質支持体の表面に堆積および付着した場合、分散体中に存在することもある。本文脈において堆積したと言及される場合、これは、結晶中の支持体もしくは結晶を含有する分散体を浸漬する、浸す等、または前記結晶を含有する分散体を前記支持体に注ぐことによるような、ゼオライト結晶または当該支持体にそれを接触させる分散体のあらゆる種類の提供を含む。さらに、多孔質支持体のような支持体は、本明細書において提供される方法で、溶液または分散体へと完全にまたは部分的に浸漬する、または浸すことができる。本文脈では、合成混合物、分散体等は、交換可能に使用される。
【0059】
本発明の方法は、基材または多孔質支持体上に良好な品質のゼオライト種層を提供する。基材または多孔質支持体の表面に堆積した微結晶の高密度の層は、膜フィルムのような結晶性ゼオライトフィルムの成長および連晶にとって重要である。まばらな準単層として微結晶が堆積させられる場合、結晶性ゼオライトの成長および連晶は、より厚いゼオライトフィルムをもたらすであろう。より厚いゼオライトフィルムは、例えば膜を通る気体および液体分子の透過を損なうであろう。より薄いフィルムは、連晶することなく、粒界の欠陥のような欠陥の影響を受けであろう。
【0060】
種結晶からフィルムを熱水的に成長させる手順は、従来技術から周知であり、したがって、本明細書において単に簡潔に記載される。本明細書において提供されるような方法では、結晶性ゼオライトフィルムの成長は、出発材料を含む、合成溶液、ゲル、もしくは分散体等と接触するゼオライト結晶の層を含む支持体を導くこと、または意図した骨格構造を化学的に生成するためのゼオライト結晶、および合成のために必要な任意の構造指向剤を用意することにより実行できる。その後、前記ゼオライト結晶は、構造、例えば本明細書において提供されるような結晶性フィルムへと成長することができる。処理は、約500nm厚のフィルムが形成されるまで、例えばTeflon内張りオートクレーブで実行されることもあり、これには、鉱化剤としてのOH-に基づいてゼオライトフィルムでは88℃で約70時間を必要とすることもある。
【0061】
多孔質支持体の前記疎水性の理由で、合成溶液は、全く浸透しないか、または少なくとも限られた範囲内でのみ多孔質支持体の細孔へと浸透し、従って、支持体の細孔に非結晶および/または結晶相を形成する合成溶液からの溶解種の侵入は、ほとんどまたは全く発生しないであろう。支持体の侵入は、支持体の多孔性が典型的には40%以下であるので、材料の透過性を低減させるであろう。本明細書において提供されるような方法は、侵入がほとんどまたは全くない、支持体表面の明確に定義された薄いゼオライトフィルムの合成を容易にし、選択的分離プロセス、触媒膜反応装置、選択的化学センサー、選択的電気化学における、ならびにゼオライトおよびゼオライト様結晶からの膜の製造におけるような、すべての可能性のある応用における、合成膜のフィルム厚ならびに性能の制御を容易にする。
【0062】
本発明の方法は、前記結晶の熱水処理が、密に充填されたゼオライト結晶の(単一)層を組み込む支持体表面上に例えば500nmの厚さを有する薄いゼオライトフィルムの成長をもたらすことを提供する。方法は、堅固に付着したゼオライト結晶の層または単層を介して支持体に堅固に付着した、連晶した薄いゼオライトフィルムを提供する。多孔質支持体に堆積させたゼオライトを含む結晶性フィルムは、多孔質支持体の細孔がシリカのような侵入種を含まないことを特徴とする。生じる支持結晶性ゼオライトフィルムは、多孔質支持体に堆積された結晶性ゼオライトフィルムを含む前記結晶性フィルムを含む複合異方性膜であってもよい。
【0063】
本発明の方法は、多孔質支持体上で制御された厚さおよび最小の侵入を有する薄いフィルムを生成するのに特に役立つ。薄いフィルムは、約10μm未満、例えば約1μm未満、例えば約0.5μmの平均厚さのフィルムを意味する。
【0064】
本明細書において製造され、言及されるような「ゼオライトおよび/またはゼオライト様結晶」は、結晶性固体の容易に定義可能なファミリーを含まないが、国際ゼオライト協会の構造委員会(the Structure Commission of the International Zeolite Association)(http://www.iza-structure.org/)により承認された骨格タイプのうちのいずれかの結晶であってもよい。そのようなゼオライトは、それらを高活性で選択的な触媒、吸着剤、イオン交換体、分子篩にする、大きな内部細孔容積、分子サイズの細孔、結晶構造の規則性、および多様な骨格の化学的組成の特徴を有する。[J.D.Sherman.Proc.Natl.Acad.Sci.USA.2000年5月23日;97(11);6236頁]。本明細書において言及されるような結晶という用語はまた、国際ゼオライト協会の構造委員会(http://www.iza-structure.org/)により承認された骨格タイプのうちのいずれかの、ゼオライトおよびゼオライト様材料のすべての合成結晶を指す。本明細書において開示されるような方法により生成できる代表的なゼオライトおよび/またはゼオライト様結晶は、限定されないが、構造タイプAFI、AEL、BEA、CHA、EUO、FAU、FER、KFI、LTA、LTL、MAZ、MOR、MEL、MTN、MTT、MTW、OFF、SOD、TON、および特にMFIゼオライトのものを含む。上の骨格に属するさらなる例は、シリカライト-1、TS-1、ZSM-5、ならびにゼオライトソーダライト、A、ベータ、L、Y、X、ZSM-22、ZSM-11、ZSM-2、およびSAPO-34を含む。上の材料のいくつかは真のゼオライトでないが、文献においてそのように呼ばれることが多く、ゼオライトという用語は、そのような材料を含むように本明細書において広範に使用されるであろう。さらに、結晶(a crystal)、結晶(the crystals)等が本明細書において言及される場合はいつでも、これらは、本明細書において定義されるような骨格タイプの複数の結晶も言及するようにもちろん意図される。本明細書の結晶はまた、微結晶と呼ばれることもある。本出願では、簡潔さのために、ゼオライトという用語はまた、使用される場合、「ゼオライト様」を包含する。
【0065】
ゼオライトおよびゼオライト様材料は、分子寸法の極めて規則的な細孔構造を有する微孔性固体である。チャネルの寸法が、ゼオライトの細孔に進入できる分子またはイオン種の最大サイズを制御する。チャネルのアパーチャは、従来環サイズにより定義され、ここで、例えば、「8員環」という用語は、8個のT原子および8個の酸素原子から形成される閉じたループを指す。ゼオライトおよびゼオライト様材料は、Na+、K+、Ca2+、Mg2+、その他のもののような、多種多様なカチオンを収容できる多孔性構造を有する。これらの陽イオンは容易に交換でき、これにより、ゼオライトがイオン交換体として役立つことができる理由が説明される。
【0066】
本発明において使用されるような支持体は、多孔性または非多孔性であってもよく、および基材材料と呼ばれることもあり、生成される最終製品の部分を、典型的には、および好ましくは形成する。結晶性ゼオライトフィルムを製造する際に使用される初期基材が合成後に除去されて、独立した結晶性ゼオライト材料を提供する応用が存在してもよい。
【0067】
「多孔質支持体」は、本明細書において示されるような薄い結晶性フィルムを生成するための機械的安定性を提供するために使用される支持体であり、ここで、前記支持体は特定の多孔性を含む。これらの多孔質支持体は、通常2つまたはそれ以上の別個の層を含む。多孔質支持体の目が細かい薄い上部層は、通常約1~1000nmの間の細孔径を示し、かつゼオライトフィルムを支持するが、目の粗い厚い底部またはベース層は、しばしばマイクロメートルの範囲、例えば1μm~10μm、例えば3μmのより大きい細孔を有する。支持体の細孔径は、膜に機械的安定性を依然として提供しながら、都合よく低い圧力降下を引き起こす。本明細書において示される支持体の表面改質は、任意の適切な多孔質または非多孔質の支持体に実行することができる。
【0068】
本明細書において言及される「結晶性フィルム」は、合成骨格構造のX線回折パターンの特徴を示すことにより特性決定された結晶構造である。
【0069】
本明細書において言及された「疎水性表面」は、水滴、支持体/基材、および蒸気相が接する三相接触線において、90°またはそれ以上の静的接触角を示す支持体表面である。静的接触角は、電荷結合デバイス(CCD)カメラを備えたFibroDat 1121/1122システムを使用して測定できる。好ましくは、4μL近くの容積の水滴が使用される。
【0070】
本文脈での「単層」という用語は、支持体に堆積されている離散結晶を含む1層の結晶の厚い層を指す。結晶および他の材料は、存在する場合、古典的な単層を提供するように緊密に充填されることもある。代替的に、結晶および他の材料は、存在する場合、緊密には充填されず、したがって準単層として存在する。必要とされる正確な充填密度は、ある程度まで、結晶およびこれらの結晶から成長する所望のフィルムの性質に依存する。単層の結晶の充填密度は、いかなる場合も、ゼオライトフィルムの薄層が結晶から成長および連晶することを可能とするようなものであるべきである。しかしながら、本明細書において開示されるような方法は、フィルムが準二重層、二重層、または多層からでも成長できるので、準単層または単層のみの堆積に限定されない。
【0071】
本文脈での「付着させる」、「付着させること」、および「付着」という用語は、結晶と、電荷改質された疎水性基材または多孔質支持体との間の引力相互作用を指す。
【0072】
この明細書では、「上部層」という用語は、約1nm~1000nmの間の細孔径を通常示す多孔質支持体の目が細かい層を指し、ゼオライトフィルムを支持する。「上部面」という用語は、ゼオライト結晶が堆積する基材または多孔質支持体表面を指す。
【0073】
「侵入」という用語は、多孔質支持体の細孔における材料の不要な堆積を指す。材料は、合成溶液に由来するか、または他の源に由来する非結晶または結晶性材料であってもよい。種結晶は、支持体の細孔へと成長することもあり、これにより、結晶性および/または非晶質材料による支持体の侵入がもたらされる。理想的には、フィルムは支持体の最も外側の部分のみをコーティングするべきであり、支持体の細孔は完全に開いているべきであり、すなわち支持体の侵入が最小であるべきである。
【0074】
本文脈において言及される「透過性」という用語は、以下の単位により定義される:10-7mol/(m2・s・Pa)。
【0075】
本文脈において言及される「欠陥」という用語は、隣接する粒子間の結晶間細孔、ピンホール、亀裂、遮断された結晶内のSi-O-Si結合、またはそれらの組合せであってもよい。欠陥は、[Permporometry analysis of zeolite membranes、Journal of Membrane Science 345(2009)276頁]に記載されるように、パームポロメトリーにより測定された。
【0076】
本明細書において、「分散体」、「溶液」、および「混合物」という用語は、交換可能に使用でき、水性または非水性の溶液/混合物/分散体中に存在する、1種またはそれ以上の化合物(複数可)を指す。
【0077】
本明細書において言及されるような「膜」および「フィルム」という用語は、交換可能に使用でき、気体の混合物、液体またはその混合物のような流体混合物を分離するための分離特性を有するバリアを指す。
【0078】
本明細書では、「構造」、「物品」、および「物体」という用語は、交換可能に使用される。
【0079】
本明細書では、nmはナノメートルを意味し、mmはミリメートルを意味する。
【0080】
材料、濃度、およびあらゆる範囲等の本明細書に述べられるすべての例は、具体的に述べられていない場合であっても、本発明のすべての態様に適用可能であることに留意されたい。
【0081】
実験の項
【実施例1】
【0082】
100nmの細孔の厚さ30μmの上部層、および3μmの細孔を有する厚さ3mmのベース層を備える多孔質α-アルミナ(直径25mm、厚さ3mm)の円板支持体を、空気中で、500℃で5時間か焼して、α-アルミナと、後続工程において使用される化学物質との間の相互作用に影響を及ぼすこともあるあらゆる有機物質を除去した。多孔質支持体を、浸漬することにより濾過した蒸留水で満たし、その後、支持体を、濾過したカチオン性ポリマー(ポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン-co-エチレンジアミン)、水中で1重量%、pH8)水溶液で、30分間処理した。ポリマー水溶液中で30分後、支持体を、0.1Mのアンモニア水溶液で4回すすぎ、続いて、オーブン中で2時間、105℃で乾燥させた後、支持体を、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシランの2.5重量%エタノール溶液へと1時間浸漬した。続いて、エタノールを新しいエタノールと交換した後に、支持体を、エタノール(99.7%)に4回浸した。この手順を6回繰り返した。オーブン中で2時間、105℃で乾燥させた後、milliQ水の液滴(4μL)と、円板支持体との間の接触角を、CCDカメラを備えたFibroDat 1121/1122システムで測定した。FibroDatソフトウェアによると、測定した接触角(θ)は、116°であった(
図1)。1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシランで処理する前は、接触角は、FibroDatシステムにより測定するには低すぎ(<10°)、液滴は、円板支持体へと急速に消えていった。
【実施例2】
【0083】
実施例1に記載される多孔質α-アルミナ円板支持体を、空気中で、500℃で5時間か焼した。支持体を浸漬することにより濾過された蒸留水で満たした後、支持体を、1重量%のカチオン性ポリマー(75000の平均分子量を有するポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン-co-エチレンジアミン)、Aldrich)を含有する水溶液に浸漬した。ポリマー水溶液のpHを、25重量%のアンモニア水溶液を使用して8に調節した。ポリマー水溶液中で30分後、支持体を、0.1Mのアンモニア水溶液で4回すすぎ、続いて、オーブン中で2時間、105℃で乾燥させた後、支持体を、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシランの2.5重量%エタノール溶液へと1時間浸漬した。その後、エタノールを新しいエタノールと交換した後に、支持体を、エタノール(99.7%)に4回浸した。この手順を6回繰り返した。オーブン中で2時間、105℃で乾燥させた後、疎水性支持体を、約50nmの平均直径を有する1重量%のシリカライト-1結晶を含有する水性分散液に浸漬した。支持体表面への結晶の堆積を、10分間進行させた。0.1Mのアンモニア水溶液ですすいだ後、支持体を空気中で、500℃で5時間か焼した。
【0084】
支持体への分子篩結晶の堆積を、FEI Magellan 400電界放出機器を使用して、走査型電子顕微鏡(SEM)で調査した。サンプルは、SEM画像を記録する前には、いかなるコーティングでもコーティングされていなかった。
図2aおよび2bに示されるように、支持体表面を、ゼオライトフィルムを成長および連晶させるのに適切なシリカライト-1結晶の密に充填された層で覆った。
図2aでは、倍率は50000倍であり、
図2bでは、倍率は100000倍であった。支持体のすべての部分を、シリカライト-1種の等密度層で覆った。
【実施例3】
【0085】
従来技術との比較
100nmの細孔の厚さ30μmの上部層、および3μmの細孔を有する厚さ3mmのベース層を備える多孔質α-アルミナ(直径25mm、厚さ3mm)の円板支持体を、空気中で、500℃で5時間か焼した。その後、支持体を、以下の2つの工程を伴う当技術分野で公知のマスキング手順(国際公開第00/53298号)で処理した;第1の工程は、100nmの細孔の上部面を、ポリ(メチルメタクリレート)の層でコーティングしたことを示唆し、第2の工程では、支持体の内部を、高温で溶けた炭化水素ワックスで満たした。炭化水素ワックスは冷却後に固まった。続いて、ポリ(メチルメタクリレート)を、アセトンに溶解し、表面を、0.1MのNH3水溶液ですすぎ、その後に、milliQ水の液滴(4μL)と、乾燥した円板支持体との間の接触角を、CCDカメラを備えたFibroDat 1121/1122システムで測定した。接触角は92°であった。この値は、炭化水素ワックスの測定した疎水性(接触角θ=107°)により影響を受けたと予想された。このことは、調査した表面が、疎水性部分(ワックス)および親水性部分(α-アルミナ)から成り、すなわち、表面は表面エネルギーの観点から見て不均質であることを示す。その後、支持体を、支持体表面の電荷を逆転させるために、1重量%のカチオン性ポリマー(75000の平均分子量を有するポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン-co-エチレンジアミン)、Aldrich)を含有するpH8に調節した水溶液で処理した。その後、支持体を、4つの異なる0.1Mのアンモニア水溶液中ですすぎ、層流ベンチで、12時間周囲温度で乾燥させた。
【0086】
カチオン性ポリマーで処理した後に測定した接触角は、87°であった(
図3a)。この値は、支持体表面が、カチオン性ポリマー溶液で処理した後に親水性になったことを示す。カチオン性ポリマーの影響をさらに解明するために、カチオン性ポリマーでの支持体の処理を繰り返し、支持体表面上の過剰なポリマーを、支持体を0.1MのNH
3水溶液へと一度浸すことによりすすぎ落とし、その後、それを、層流ベンチで、12時間周囲温度で乾燥させた。すすぎが少ないと、支持体表面上のカチオン性ポリマーのより高い濃度に起因して、64°の接触角、従ってより親水性の支持体表面をもたらすことが明白である(
図3b)。
【実施例4】
【0087】
従来技術との比較
100nmの細孔の厚さ30μmの上部層、および3μmの細孔を有する厚さ3mmのベース層を備える多孔質α-アルミナ(直径25mm、厚さ3mm)の円板支持体を、空気中で、500℃で5時間か焼した。か焼した支持体を、最初に、溶媒としてのエタノール中の2.5重量%の1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシランに浸漬した(国際公開第2014140291号)。浸漬時間は1時間であった。この期間後、支持体を、実施例1に記載される手順に従ってのエタノールですすぎ、オーブン中で、105℃で2時間乾燥させた。その後、疎水性支持体を、30分間、実施例1~3において使用される1重量%のカチオン性ポリマーを含有するアンモニア水溶液(pH=8)中に浸漬させ、4つの異なる0.1Mのアンモニア水溶液中ですすいだ。オーブン中で2時間、105℃で乾燥させた後、CCDカメラを備えたFibroDat 1121/1122システムを使用して測定した。FibroDatソフトウェアによると、測定した接触角は、130°であった(
図4a)。カチオン性ポリマーで処理する前の疎水性表面の接触角は、145°であり、これは、付着したカチオン性ポリマーが表面の疎水性を低下させたことを示す。続いて、支持体を、約50nmの平均直径を有するシリカライト-1結晶を含有する1重量%の水性分散液に浸漬した。支持体表面への結晶の堆積を、10分間進行させた。0.1Mのアンモニア水溶液ですすいだ後、支持体を空気中で、500℃で5時間か焼した。
【0088】
支持体表面への分子篩結晶の堆積を、FEI Magellan 400電界放出機器を使用して、走査型電子顕微鏡で調査した。サンプルは、SEM画像を記録する前には、いかなるコーティングでもコーティングされていなかった。
図4bに示されるように、支持体表面は、ゼオライトフィルムを成長および連晶させるのに適切でない被覆である、シリカライト-1結晶の準単層で覆われていた。支持体の一部の箇所は、シリカライト-1結晶で覆われていなかった。種結晶を含まないこれらの空の箇所は、合成された膜にピンホールを生じさせ、および/またはフィルム中の結晶の連晶を妨げることもある。
【実施例5】
【0089】
従来技術との比較
以下の幾何学的配置を有する多孔質α-アルミナの管状支持体を、空気中で、500℃でか焼した;L=100mm、D
outer=10mm、およびD
inner=7mm。管は、100nmの細孔を有する厚さ30μmの内部層、および3μmの細孔を有する外部層を備えていた。か焼した支持体を、最初に、溶媒としてのエタノール中の2.5重量%の1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシランに浸漬した。浸漬時間は1時間であった。この期間後に、エタノールを新しいエタノールと交換した後に、支持体を、エタノール(99.7%)に4回浸した。この手順を6回繰り返した。続いて、疎水性管状支持体を、オーブンで、105℃で2時間乾燥させ、その後、支持体を、1重量%のカチオン性ポリマー(75000の平均分子量を有するポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン-co-エチレンジアミン)、Aldrich)を含有する水溶液に浸漬した。ポリマー水溶液を、25重量%のアンモニア水溶液を使用してpH8に調節した。ポリマー水溶液中で30分後、支持体を、溶液を新鮮な溶液と交換した後に支持体をアンモニア水に4回浸すことにより、0.1Mのアンモニア水溶液ですすいだ。この手順を4回繰り返した。続いて、管状支持体を、約50nmの平均直径を有するシリカライト-1結晶を含有する重量%の水性分散液で処理した。支持体表面への結晶の堆積を、10分間進行させた。0.1Mのアンモニア水溶液ですすいだ後、支持体を、以下の組成を有する合成溶液に浸漬させ、油浴中で、88℃で71時間熱水処理した:25 SiO
2:3 TPAOH:100 EtOH:1450 H
2O。冷却後、薄いフィルムの複合異方性膜を、0.1Mのアンモニア水溶液ですすいで、緩く結合した結晶およびオリゴマーを膜の表面から除去した。膜の単一気体ヘリウム透過性は、か焼前に0.17まで測定され、このことが、膜中のピンホールのような欠陥の存在を証明する。理想的な膜は、ゼオライト細孔がテンプレート分子で遮断されるので、か焼前にゼロの透過性を有するであろう。膜の表面を、走査型電子顕微鏡により注意深く調査した。大部分の表面には欠陥が無いように見えたが、特定の位置ではフィルム中のピンホールを観察できる。膜中のピンホールの代表的な画像を、
図5aに示す。ピンホールは、種層中の空の箇所の結果である(実施例4)。
図5bは、実施例5に従って製造された膜のパームポロメトリー実験(上部掃引線)において、および本発明の実施例8に従って製造された膜(下部掃引線)のために測定された、ヘリウム透過性対n-ヘキサンの相対的蒸気圧のプロットを示す。当技術分野[Permporometry analysis of zeolite membranes、Journal of Membrane Science.345(2009)276頁]に記載されているように、パームポロメトリー実験における(p/p
0)=1のn-ヘキサンの相対的蒸気圧で測定されるヘリウム透過性は、膜中のピンホールのような欠陥の量を示す。実施例5に従って製造される膜は、この相対的蒸気圧で、1.4の高いヘリウム透過性を有し(
図5b、上部掃引線)、このことが、ピンホールのような欠陥の存在を示す。
【実施例6】
【0090】
従来技術との比較
実施例1に記載されているような多孔質α-アルミナ円板支持体を、アセトン、エタノール、および0.1Mのアンモニア水溶液で完全にすすいで、基材の表面に付着したほこりおよびあらゆる有機分子を除去した。その後、支持体を、以下の2つの工程を伴う当技術分野で公知のマスキング手順(国際公開第00/53298号)で処理した;第1の工程は、100nmの細孔の上部面を、ポリ(メチルメタクリレート)の薄層でコーティングしたことを意味し、第2の工程では、支持体の残りの部分を、炭化水素ワックスで満たした。続いて、ポリ(メチルメタクリレート)のすべてを、アセトンに溶解し、表面を、0.1MのNH3水溶液ですすぎ、その後に、支持体を、支持体表面の電荷を逆転させるために、1重量%のカチオン性ポリマー(75000の平均分子量を有するポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン-co-エチレンジアミン)、Aldrich)を含有するpH8に調節した(25重量%のNH3(水溶液)を使用する)水溶液で処理した。支持体を0.1Mのアンモニア水溶液ですすいだ後に、支持体表面の種付けを、1重量%のシリカライト-1分散体中に10分間浸漬することにより遂行した。種付け後、支持体を、0.1MのNH3水溶液で4回すすいで、過剰な種結晶を除去した。種付けした支持体を、以下の組成を有する合成溶液に浸漬させ、油浴中で、100℃で36時間熱水処理した:25 SiO2:3 TPAOH:100 EtOH:1500 H2O。冷却後、サンプルを、0.1MのNH3水溶液ですすいで、緩く結合された結晶およびオリゴマーを膜の表面から除去した。
【0091】
か焼したフィルムの断面の代表的な走査型電子顕微鏡画像を、
図6に示す。合成溶液からの侵入が検出でき;支持体中のアルミナ粒子間の細孔は、フィルム成長に使用された合成溶液からのゼオライトまたはケイ酸塩で、部分的にまたは完全に満たされている。これは、ポリ(メチルメタクリレート)が100nmの細孔へと浸透したか、または炭化水素ワックスがポリ(メチルメタクリレート)コーティングまで完全には到達しなかったためである。アルミナ支持体の多孔性が、典型的には、わずか約40%であるので、侵入により、膜の透過性を本質的に低減させるであろう。また、侵入が、合成膜の厚さを最適化することを困難なものとし、かつ支持体の浸出をもたらすこともある。
【0092】
フィルムの全断面のSi/Al比を、当技術分野[J.Membr.Sci.360(2010)265~275頁]に記載される方法を用いて、エネルギー分散型分光法(EDS)を使用して測定した。位置に応じて、Si/Al比は、45~133の範囲で変動した。これは、支持体のマスキングが一様でなかったことを示す。合成混合物にアルミニウムは含まれていなかったが、多くのアルミニウムが支持体から浸出し、アルミナ支持体の不完全なマスキングが原因で成長したフィルムに取り込まれた。従って、この従来技術の方法により、MFIフィルムを、高いSi/Al比でアルミナ支持体上に製造することはできない。
【実施例7】
【0093】
実施例1に記載される多孔質α-アルミナ円板支持体を、空気中で、500℃で5時間か焼した。支持体を蒸留水で満たした後、支持体を、アンモニア水溶液(pH=8.5)に溶解した1重量%のカチオン性ポリマー(75000の平均分子量を有するポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン-co-エチレンジアミン)、Aldrich)を含有する溶液に浸漬した。ポリマー水溶液中で10分後、支持体を、0.1Mのアンモニア水溶液中ですすぎ、続いて、層流ベンチに配置したホットプレート(110℃)上で2時間乾燥させた後、支持体を、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシランの2.5重量%のエタノール溶液に、1時間完全に浸漬した。その後、エタノールを新しいエタノールと交換した後に、支持体を、エタノール(99.7%)に4回浸した。この手順を6回繰り返した。層流ベンチに配置したホットプレート(110℃)上で2時間再び乾燥させた後、支持体を、約50nmの平均直径を有する1重量%のシリカライト-1結晶を含有する水性分散液(pH10)に完全に浸漬した。支持体表面への結晶の堆積を、10分間進行させた。0.1Mのアンモニア水溶液ですすいだ後、支持体を、以下のモル組成を有する合成溶液に完全に浸漬させ、油浴中で、100℃で36時間熱水処理した:25 SiO2:3 TPAOH:100 EtOH:1500 H2O。冷却後、サンプルを、0.1MのNH3水溶液ですすいで、緩く結合された結晶およびオリゴマーを膜の表面から除去した。
【0094】
フィルムの全断面のSi/Al比を、支持体の様々な位置で、当技術分野[J.Membr.Sci.360(2010)265~275頁]に記載される方法(EDS)を使用して測定した。位置に応じて、Si/Al比は、97~152で変動した。実施例6(従来技術)においてEDSで測定したSi/Al比は、実施例7においてEDSで測定したSi/Al比よりも低く、かつ従来技術(実施例6)と比較して、本明細書に開示される方法を用いて、より高いSi/Al比(親水特性がより低い)を有するMFIフィルムを製造する可能性を例示する。
【実施例8】
【0095】
以下の幾何学的配置を有する多孔質α-アルミナ管状支持体を、空気中で、500℃でか焼した;L=100mm、Douter=10mm、およびDinner=7mm。支持体は、100nmの細孔を有する厚さ30μmの上部層、および3μmの細孔を有する厚さ1.5mmのベース層を備えていた。これらの層の中間に、中孔径の厚さ30~40μmの層も存在する。多孔質支持体を、濾過した蒸留水で満たし、その後、1重量%のカチオン性ポリマー(75000の平均分子量を有するポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン-co-エチレンジアミン)、Aldrich)を含有する水溶液に、30分間浸漬した。ポリマー水溶液を、25重量%のアンモニア水溶液を使用してpH8に調節した。続いて、管状支持体を、濾過した0.1MのNH3溶液で満たした6本のTeflon管の各々にセラミック管を10回浸すことにより、濾過した0.1MのNH3溶液ですすぎ、その後、層流ベンチで12時間乾燥させた。その後、支持体全体を、溶媒としてのエタノール中の、濾過した2.5重量%の1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシランで1時間処理した。この処理の後、支持体全体を、濾過したエタノール(99.7%)で1時間すすぎ(6本のTeflon管、濾過したエタノール×各管10分)、かつ層流ベンチで12時間乾燥させた。続いて、管状支持体を、約50nmの平均直径を有するシリカライト-1結晶を含有する濾過した1重量%の水性分散液(pH10)で処理した。基材表面への結晶の堆積を、15分間進行させた。0.1Mのアンモニア水溶液ですすいだ後、支持体を、以下のモル組成を有する合成溶液に浸漬させ、油浴中で、88℃で71時間熱水処理した:25 SiO2:3 TPAOH:100 EtOH:1450 H2O。冷却後、サンプルを、濾過した0.1MのNH3水溶液ですすいで、緩く結合された結晶およびオリゴマーを膜の表面から除去した。か焼前の膜の単一気体ヘリウム透過性は、0.02未満であり、これにより、膜に亀裂およびピンホールが本質的に無かったことが立証された。
【0096】
か焼した膜の断面の代表的な走査型電子顕微鏡画像を、
図7に示す。
図7に例示されるように、支持体の細孔は完全に開いている。支持体のゼオライト侵入は、断面の様々な位置での多数のSEM画像を記録することにより検出することができず、このことは、合成溶液が、支持体の疎水性バリアを通って浸透することができなかったことを意味する。
【0097】
図5bは、本発明の実施例8に従って製造された膜(下部掃引線)のパームポロメトリー実験において測定されたような、ヘリウム透過性対n-ヘキサンの相対的蒸気圧のプロットを示す。本発明の実施例8に従って製造された膜は、相対応力p/p
0=1でほんの0.17の非常に低いヘリウム透過性を有し、これにより、実施例5における従来技術に従って製造された膜と比較して非常に少数のピンホールのような欠陥が確証される。
【実施例9】
【0098】
以下の幾何学的配置を有する多孔質α-アルミナ管を、空気中で、500℃でか焼した;L=500mm、Douter=10mm、およびDinner=7mm。管は、100nmの細孔を有する厚さ30μmの内部層、および3μmの細孔を有する厚さ1.5mmの外部層を備えていた。これらの層の中間に、中孔径の厚さ30~40μmの層も存在する。多孔質支持体を、濾過した蒸留水で満たし、その後、1重量%のカチオン性ポリマー(75000の平均分子量を有するポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン-co-エチレンジアミン)、Aldrich)を含有する水溶液に、30分間浸漬した。ポリマー水溶液を、25重量%のアンモニア水溶液を使用してpH8に調節した。続いて、管状支持体を、濾過した0.1MのNH3溶液で満たした6本のTeflon管の各々にセラミック管を10回浸すことにより、濾過した0.1MのNH3溶液ですすぎ、その後、層流ベンチで12時間乾燥させた。その後、管全体を、溶媒としてのエタノール中の、濾過した2.5重量%の1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシランで1時間処理した。この処理の後に、支持体全体を、濾過したエタノール(99.7%)で1時間すすぎ(6本のTeflon管、濾過したエタノール×各管10分)、かつ層流ベンチで12時間乾燥させた。続いて、管状支持体を、約50nmの平均直径を有するシリカライト-1結晶を含有する濾過した1重量%の水性分散液(pH10)で処理した。基材表面への結晶の堆積を、15分間進行させた。0.1Mのアンモニア水溶液ですすいだ後、支持体を、以下のモル組成を有する合成溶液に完全に浸漬させ、オートクレーブ中で、88℃で56時間熱水処理した:25 SiO2:3 TPAOH:100 EtOH:1450 H2O。冷却後、サンプルを、濾過した0.1MのNH3水溶液ですすいで、緩く結合された結晶およびオリゴマーを膜の表面から除去した。か焼前の膜の単一気体ヘリウム透過性は、0.02未満であり、これにより、膜にピンホールのような大きな欠陥が無かったことが立証された。
【0099】
か焼した膜の断面の代表的な走査型電子顕微鏡画像を、
図8に示す。
図8に例示されるように、支持体の細孔は完全に開いている。支持体のゼオライト侵入は、断面の様々な位置での多数のSEM画像を記録することにより検出することができず、このことは、合成溶液が、支持体の疎水性バリアを通って浸透することができなかったことを意味する。これは、本明細書に開示される方法がまた、大きな単一チャネル膜の製造に適切であることを例示する。
【実施例10】
【0100】
19のチャネルおよび以下の幾何学的配置を有する多孔質α-アルミナ管状支持体を、空気中で、500℃でか焼した;L=500、Douter=25mm、および3.5mmのチャネル径。各チャネルは、100nmの細孔を有する厚さ30μmの内部/上部層、および3μmの細孔を有する外部/ベース層を備えていた。多孔質支持体を、濾過した蒸留水で満たし、その後、1重量%のカチオン性ポリマー(75000の平均分子量を有するポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン-co-エチレンジアミン)、Aldrich)を含有する水溶液に、30分間浸漬した。ポリマー水溶液を、25重量%のアンモニア水溶液を使用してpH8に調節した。続いて、管状支持体を、濾過した0.1MのNH3溶液で満たした6本のTeflon管の各々にセラミック管を10回浸すことにより、濾過した0.1MのNH3溶液ですすぎ、その後、層流ベンチで12時間乾燥させた。その後、支持体を、溶媒としてのエタノール中の、濾過した2.5重量%の1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシランに、完全に浸漬した。この処理の後に、支持体全体を、濾過したエタノール(99.7%)で1時間すすぎ(6本のTeflon管、濾過したエタノール×各管10分)、かつ層流ベンチで12時間乾燥させた。続いて、管状支持体を、約50nmの平均直径を有するシリカライト-1結晶を含有する、濾過した1重量%の水性分散液(pH10)で処理した。基材表面への結晶の堆積を、15分間進行させた。0.1Mのアンモニア水溶液ですすいだ後、支持体を、以下のモル組成を有する合成溶液に完全に浸漬させ、オートクレーブ中で、88℃で56時間熱水処理した:25 SiO2:3 TPAOH:100 EtOH:1450 H2O。冷却後、サンプルを、濾過した0.1MのNH3水溶液ですすいで、緩く結合された結晶およびオリゴマーを膜の表面から除去し、空気中で、500℃でか焼した。
【0101】
か焼した膜の断面の代表的な走査型電子顕微鏡画像を、
図9に示す。
図9に例示されるように、支持体の細孔は完全に開いている。支持体のゼオライト侵入は、断面の様々な位置での多数のSEM画像を記録することにより検出することができず、このことは、合成溶液が、支持体の疎水性バリアを通って浸透することができなかったことを意味する。これは、本明細書に開示される方法がまた、大きなマルチチャネル膜の製造に適切であることを例示する。
【実施例11】
【0102】
実施例1に記載される多孔質α-アルミナ円板支持体を、空気中で、500℃で5時間か焼した。支持体を蒸留水で満たした後、支持体を、アンモニア水溶液(pH=8.5)に溶解した1重量%のカチオン性ポリマー(75000の平均分子量を有するポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン-co-エチレンジアミン)、Aldrich)を含有する溶液に浸漬した。ポリマー水溶液中で10分後、支持体を、0.1Mのアンモニア水溶液中ですすぎ、続いて、層流ベンチに配置したホットプレート(110℃)上で2時間乾燥させた後、支持体を、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシランの2.5重量%のエタノール溶液に、1時間完全に浸漬した。その後、エタノールを新しいエタノールと交換した後に、支持体を、エタノール(99.7%)に4回浸した。この手順を6回繰り返した。層流ベンチに配置したホットプレート(110℃)上で2時間再び乾燥させた後、支持体を、約50nmの平均直径を有する1重量%のシリカライト-1結晶を含有する水性分散液(pH10)に完全に浸漬した。支持体表面への結晶の堆積を、10分間進行させた。0.1Mのアンモニア水ですすいだ後、支持体を、モル組成25 SiO2:0.25 Al2O3:3 TPAOH:1 Na2O:100 EtOH:1600 H2Oを有する合成溶液に完全に浸漬させ、油浴中で、100℃で22時間熱水処理した。アルミニウムイソプロポキシド(≧98.0%、Aldrich)を、合成混合物中で50のSi/Al比を得るようにアルミニウム源として使用し、水酸化ナトリウム(NaOH、≧99.0、Merck)を、溶液の塩基性を増大させるために使用した。冷却後、膜を、濾過した0.1MのNH3水ですすいで、緩く結合された結晶およびオリゴマーを膜の表面から除去し、かつ空気中で、500℃でか焼した。
【0103】
50のSi/Al比を有する生じたZSM-5膜の断面の代表的な走査型電子顕微鏡画像を、
図10aに示す。
図10aに例示されるように、支持体の細孔は完全に開いており、支持体の侵入は、断面の様々な位置での多数のSEM画像を記録することにより検出することができず、このことは、合成溶液が、支持体の疎水性バリアを通って浸透することができなかったことを意味する。これは、より高いアルミニウム含有量のMFIゼオライト膜、すなわちZSM-5膜を、本侵入の方法を用いて製造できることを例示する。
【0104】
図10bは、PANalytical Empyrean X線回折計で測定したZSM-5膜のXRDパターンを示す。膜を、実施例11に記載されるような本発明に従って製造した。回折パターンがMFI構造を立証し、MFI構造からの反射が適切なミラー指数で標識される一方で、支持体からの反射は、「α-Al
2O
3」で標識される。
【実施例12】
【0105】
実施例1に記載される多孔質α-アルミナ円板支持体を、空気中で、500℃で5時間か焼した。支持体を蒸留水で満たした後、支持体を、アンモニア水(pH=8.5)に溶解した1重量%のカチオン性ポリマー(75000の平均分子量を有するポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン-co-エチレンジアミン)、Aldrich)を含有する溶液に浸漬した。ポリマー水溶液中で10分後、支持体を、0.1Mのアンモニア水溶液中ですすぎ、続いて、層流ベンチに配置したホットプレート(110℃)上で2時間乾燥させた後、支持体を、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシランの2.5重量%のエタノール溶液に、1時間完全に浸漬した。その後、エタノールを新しいエタノールと交換した後に、支持体を、エタノール(99.7%)に4回浸した。この手順を6回繰り返した。層流ベンチに配置したホットプレート(110℃)上で2時間再び乾燥させた後、支持体を、約50nmの平均直径を有する1重量%のシリカライト-1結晶を含有する水性分散液(pH10)に完全に浸漬した。支持体表面への結晶の堆積を、10分間進行させた。0.1Mのアンモニア水溶液ですすいだ後、支持体を、モル組成25 SiO2:0.50 Al2O3:3 TPAOH:1 Na2O:100 EtOH:1600 H2Oを有する合成溶液に浸漬させ、油浴中で、150℃で14時間熱水処理した。アルミニウムイソプロポキシド(≧98.0%、Aldrich)を、25のSi/Al比を得るようにアルミニウム源として使用し、水酸化ナトリウム(NaOH、≧99.0、Merck)を、溶液の塩基性を増大させるために使用した。冷却後、膜を、濾過した0.1MのNH3水溶液ですすいで、緩く結合された結晶およびオリゴマーを膜の表面から除去し、かつ空気中で、500℃でか焼した。
【0106】
25のSi/Al比を有するZSM-5膜の断面の代表的な走査型電子顕微鏡画像を、
図11に示す。
図11に例示されるように、支持体の細孔は完全に開いており、支持体の侵入は、断面の様々な位置での多数のSEM画像を記録することにより検出することができず、このことは、合成溶液が、支持体の疎水性バリアを通って浸透することができなかったことを意味する。これは、より高いアルミニウム含有量のMFIゼオライト膜、すなわちZSM-5膜を、本侵入の方法を用いて製造できることを例示する。
【実施例13】
【0107】
実施例1に記載される多孔質α-アルミナ円板支持体を、空気中で、500℃で5時間か焼した。支持体を蒸留水で満たした後、支持体を、アンモニア水(pH=10)に溶解した1重量%のカチオン性ポリマー(75000の平均分子量を有するポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン-co-エチレンジアミン)、Aldrich)を含有するに浸漬した。ポリマー水溶液中で10分後、支持体を、0.1Mのアンモニア水溶液中ですすぎ、続いて、オーブン中で2時間、105℃で乾燥させた後、支持体を、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシランの2.5重量%エタノール溶液へと1時間浸漬した。その後、エタノールを新しいエタノールと交換した後に、支持体を、エタノール(99.7%)に4回浸した。この手順を6回繰り返した。オーブン中で2時間、105℃で乾燥させた後、支持体を、動的光散乱法に従って約178nmの平均直径を有する1重量%のキャバザイト結晶を含有する水性分散液に浸漬した。キャバザイト結晶を、より大きい結晶から破砕することにより製造した。支持体表面への結晶の堆積を、10分間進行させた。0.1Mのアンモニア水溶液ですすいだ後に、支持体を、1 SiO2:1.4 N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルフッ化アンモニウム:8 H2Oのモル組成を有する合成溶液に浸漬させ、油浴中で、160℃で12時間熱水処理した。冷却後、サンプルを、濾過した0.1MのNH3水溶液ですすいで、緩く結合された結晶およびオリゴマーを膜の表面から除去した。
【0108】
か焼したCHA膜の断面の代表的な走査型電子顕微鏡画像を、
図12aに示す。代表的なSEM画像により
図12aに例示されるように、支持体の細孔は完全に開いており、支持体の侵入は検出できなかった。断面の様々な位置で多数のSEM画像を記録したが、同様な結果であった。このことは、合成溶液が、CHAゼオライト膜の合成がオートクレーブにおいて高温および圧力で行なわれたとしても、支持体の疎水性バリアを通って浸透することができなかったことを示す。
【0109】
図12bは、実施例13に記載されるような本発明に従って製造されたCHA膜のXRDパターンの図を示し、CHA構造を立証する。CHAフィルムからの反射が適切なミラー指数により示される一方で、アルミナ支持体からの反射は、「α-Al
2O
3」で示される。
【実施例14】
【0110】
実施例1に記載される多孔質α-アルミナ円板基材を、空気中で、500℃で6時間か焼した。支持体を蒸留水で満たした後、支持体を、アンモニア水(pH=10)に溶解した1重量%のカチオン性ポリマー(75000の平均分子量を有するポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン-co-エチレンジアミン)、Aldrich)を含有するに浸漬した。ポリマー水溶液中で10分後、支持体を、0.1Mのアンモニア水溶液中ですすぎ、続いて、オーブン中で2時間、105℃で乾燥させた後、支持体を、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシランの2.5重量%エタノール溶液へと1時間浸漬した。その後、エタノールを新しいエタノールと交換した後に、支持体を、エタノール(99.7%)に4回浸した。この手順を6回繰り返した。オーブン中で2時間、105℃で乾燥させた後、支持体を、0.5重量%のFAU結晶の濾過した(0.45μm)水性分散体に浸漬した。浸漬時間は10分であった。種付けした支持体を、濾過した0.1Mのアンモニア溶液ですすいだ後、支持体を、以下の組成を有する合成溶液に浸漬させ、油浴中で、100℃で3時間熱水処理した:80 Na2O:1 Al2O3:9 SiO2:5000 H2O。冷却後、サンプルを、0.1MのNH3水ですすいで、緩く結合された結晶を膜の表面に付着した合成溶液から除去した。
【0111】
か焼したFAU膜の断面の走査型電子顕微鏡画像は、支持体の細孔が完全に開いていることを示し、支持体のゼオライト侵入は、断面の様々な位置での多数のSEM画像を記録することにより検出することができず、このことは、合成溶液が、支持体の疎水性バリアを通って浸透することができなかったことを意味する(
図13a)。
図13bは、実施例14にしたがって合成されたFAU膜のXRDパターンの図を示し、FAU構造を立証する。「#」で印付けられた反射は、FAU構造から発している一方で、「
*」で印付けられた反射は、多孔質α-アルミナ支持体から生じている。
【実施例15】
【0112】
実施例1に記載される多孔質α-アルミナ円板支持体を、空気中で、500℃で5時間か焼した。支持体を蒸留水で満たした後、支持体を、アンモニア水(pH=10)に溶解した1重量%のカチオン性ポリマー(75000の平均分子量を有するポリ(ジメチルアミン-co-エピクロロヒドリン-co-エチレンジアミン)、Aldrich)を含有する溶液に浸漬した。ポリマー水溶液中で10分後、支持体を、0.1Mのアンモニア水溶液中ですすぎ、続いて、オーブン中で2時間、105℃で乾燥させた後、支持体を、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシランの2.5重量%エタノール溶液へと1時間浸漬した。その後、エタノールを新しいエタノールと交換した後に、支持体を、エタノール(99.7%)に4回浸した。この手順を6回繰り返した。オーブン中で2時間、105℃で乾燥させた後、支持体を、動的光散乱法に従って20~300nmのサイズを有する1重量%のキャバザイト結晶を含有する水性分散液に浸漬した。支持体表面への結晶の堆積を、10分間進行させた。0.1Mのアンモニア水溶液ですすいだ後に、支持体を、1 SiO2:0.35 N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルフッ化アンモニウム:160.0 H2Oのモル組成を有する合成溶液に浸漬させ、油浴中で、160℃で36時間熱水処理した。冷却後、サンプルを、濾過した0.1MのNH3水溶液ですすいで、緩く結合された結晶およびオリゴマーを膜の表面から除去した。
【0113】
CO
2/CH
4の等モルガス混合物を、253~320Kの温度での、6~10barのフィード圧および1~2barの透過圧で、CHA膜により分離した。実施例15で製造した膜に関して記録した、典型的なCO
2/CH
4の選択性対CO
2透過性データを、
図14の四角形により示す。
図14では、黒塗りの四角形は、室温での分離データを示し、白抜きの四角形は、室温(253~263K)以下の温度で記録した分離データを示す。
図14はまた、文献に公開されている、すなわちS.Li、J.L.Falconer、およびR.D.Noble、Microporous Mesoporous Mater.、2008、110、310~317頁;H.Kalipcilar、T.C.Bowen、R.D.Nobel、およびJ.L.Falconer、Chem.Mater.、2002、14、3458~3464頁;N.Kosinov、C.Auffret、C.Gucuyener、B.M.Szyja、J.Gascon、F.Kapteijn、およびE.J.M.Hensen、J.Mater.Chem.A、2014、2、13083頁;E.Kim、W.Cai、H.Baik、およびJ.Choi、Angew.Chem.Int.Ed.、2013、52、5280~5284頁;Y.Tian、L.Fan、Z.Wang、S.Qui、およびG.Zhu、J.Mater.Chem.、2009、19、7698頁;R.Zhou、E.W.Ping、H.H.Funke、J.L.Falconer、およびR.D.Noble、J.Membr.Sci.、2013、444、384頁からの、SSZ-13およびSAPO-34の膜(黒塗りの三角形)に関する最良の分離データを示す。
【0114】
高い透過性および高い選択率の組合せにより、我々の膜は、報告されている他の無機膜よりもはるかにより効率的に分離する。
【実施例16】
【0115】
多孔質α-アルミナ管状支持体を、実施例8に従って製造し、かつ実施例8に記載される方法に従って種付けした。0.1Mのアンモニア水溶液ですすいだ後、支持体を、以下のモル組成を有する合成溶液に浸漬させ、油浴中で、88℃で71時間熱水処理した:25 SiO2:3 TPAOH:100 EtOH:1450 H2O。冷却後、MFI膜を、濾過した0.1MのNH3水溶液ですすいで、緩く結合された結晶およびオリゴマーを膜の表面から除去した。か焼前のMFI膜の単一気体ヘリウム透過性は、0.02未満であり、これにより、膜に亀裂およびピンホールが本質的に無かったことが立証された。
【0116】
図15は、実施例16に従って製造されたMFI膜のパームポロメトリー実験において測定されたような、n-ヘキサンの相対的蒸気圧に対するヘリウム透過性のプロットが、か焼後に約0.01で、相対的蒸気圧が1であることを示し、これは、実施例5で従来技術に従って製造されたMFI膜に対するものよりもはるかに低い。
【0117】
CO2/H2の等モルガス混合物を、室温で、10barのフィード圧および1barの透過圧で、実施例16に記載されるMFI膜により分離した。10barのフィード圧では、20のCO2/H2選択性が測定され、CO2の透過性は99と同じ高さであった。高い選択率は、管状の膜に欠陥が本質的に無く、非常に高い透過性は、膜が非常に薄く、透過性であることを示す。
【0118】
本明細書の記載および特許請求の範囲の全体にわたって、「含む(comprise)」および「含有する(contain)」という言葉、ならびにその言葉の変化形態、例えば「含む(comprising)」および「含む(comprises)」は、「限定されないが~を含む(including but not limited to)」を意味し、かつ他の成分、整数、または工程を除外することを意図しない(および除外しない)。
【0119】
本明細書の記載および請求の全体にわたって、文脈が他に必要としない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、文脈が他に必要としない限り、本明細書は、単数および複数を考慮するものとして理解されるべきである。本発明の特定の態様、実施形態、または実施例とともに記載される、特徴、整数、特性、化合物は、本発明に適合可能でない限り、本明細書に記載される他の態様、実施形態、または実施例に適用可能であると理解されるべきである。
【0120】
本明細書(添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)で開示された特徴のすべて、および/またはそのように開示されたあらゆる方法もしくはプロセスの工程のすべては、そのような特徴および/または工程のうちの少なくともいくつかが相互排除的である組合せを除外して、任意の組合せで組合せることができる。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)で開示された各特徴は、明確に指示されない限り、同じ、同等、または同様な目的を果たす代替的な特徴と交換できる。したがって、明確に指示されない限り、開示された各特徴は、一般的な、一連の同等または同様な特徴のみの一例である。