IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サイテック インダストリーズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7247194表面処理用の剥離層及びそれを使用する接着方法
<>
  • 特許-表面処理用の剥離層及びそれを使用する接着方法 図1
  • 特許-表面処理用の剥離層及びそれを使用する接着方法 図2
  • 特許-表面処理用の剥離層及びそれを使用する接着方法 図3
  • 特許-表面処理用の剥離層及びそれを使用する接着方法 図4
  • 特許-表面処理用の剥離層及びそれを使用する接着方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】表面処理用の剥離層及びそれを使用する接着方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/48 20060101AFI20230320BHJP
【FI】
B29C65/48
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020534168
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 US2018066486
(87)【国際公開番号】W WO2019126314
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】62/608,850
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517318182
【氏名又は名称】サイテック インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マカダムス, レナード
(72)【発明者】
【氏名】コーリ, ダリップ ケー.
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-508346(JP,A)
【文献】特表2016-534868(JP,A)
【文献】特開平05-024123(JP,A)
【文献】特開2014-012403(JP,A)
【文献】特開2009-221390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00-65/82
B29C 70/00-70/88
B32B 1/00-43/00
B29B 11/16
B29B 15/08-15/14
C08J 5/04- 5/10
C08J 5/24
B29C 71/04
C08J 7/00- 7/02
C08J 7/12- 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)硬化性母材樹脂を含浸させた強化繊維を含む複合基材を提供する工程と;
(b)除去不可能な織物キャリア及び除去可能な織布がその中に埋め込まれている、硬化性樹脂層を含む樹脂含有剥離層を提供する工程と;
(c)前記樹脂含有剥離層を前記複合基材の表面と接触させて置く工程と;
(d)前記剥離層及び前記複合基材を同時硬化させる工程と;
(e)前記除去可能な織布がいくらかの剥離層の樹脂と一緒に除去されるが、前記除去不可能な織物キャリア及び残留樹脂が前記複合基材上に残り、それによって前記複合基材上に改質表面を生み出すように、前記剥離層を前記複合基材の前記表面から除去する工程と
を含む複合基材の表面処理方法であって、
前記織物キャリアが、織布、編布又は不織ベール形態にある方法。
【請求項2】
前記除去不可能な織物キャリア及び前記除去可能な織布が、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、エラストマー材料、ポリアラミド、ポリイミド、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリオキサゾール、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ガラス、及びそれらの組み合わせから選択される材料でできている繊維又は糸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記除去不可能な織物キャリアが、目の荒いメッシュニットパターンの編布である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記編布が編まれたポリエステル糸を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記除去不可能な織物キャリアが、5gsm~100gsmの範囲の目付を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記除去不可能な織物キャリアが、10μm~250μmの範囲の厚さを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記除去可能な織布が、50gsm~250gsmの範囲内の目付を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記除去可能な織布が、50μm~250μmの範囲内の厚さを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記剥離層の前記硬化性樹脂層が、
少なくとも2つのエポキシ官能性を有する少なくとも1種のエポキシ化ノボラック樹脂;
多価フェノールのジグリシジルエーテルから選択される二官能性エポキシ樹脂;
アミノフェノールのトリグリシジルエーテルから選択される三官能性エポキシ樹脂;
硬化剤;及び
無機充填材粒子
を含む組成物から形成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法であって、
前記樹脂含有剥離層が、前記剥離層の総重量を基準として少なくとも20重量%の樹脂含有量を有する、
方法。
【請求項10】
前記複合基材が同時硬化後に完全に硬化しているが、前記剥離層の樹脂層が部分的に硬化しているにすぎない、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(i)硬化性母材樹脂を含浸させた強化繊維を含む第1複合基材を提供する工程と;
(ii)請求項1~10のいずれか一項に記載の表面処理方法を用いて前記第1複合基材上に改質表面を形成する工程と;
(iii)前記改質表面を持った前記第1複合基材を、複合基材間に硬化性接着膜ありで第2複合基材に接合する工程であって、前記接着膜が前記第1複合基材の前記改質表面と接触している工程と;
(iv)前記接合した複合基材を硬化させる工程と
を含む接着方法。
【請求項12】
前記接着膜が、1種以上のエポキシ樹脂及び硬化剤を含む、請求項11に記載の接着方法。
【請求項13】
前記第2複合基材が、前記硬化した第1複合基材に接合される前に硬化させられる、請求項11又は12に記載の接着方法。
【請求項14】
前記第2複合基材が、前記第1複合基材に接合される前に未硬化又は部分硬化であり、(iv)における硬化中に、前記接着膜及び前記第2複合基材が同時に硬化させられる、請求項11又は12に記載の接着方法。
【発明の詳細な説明】
【図面の簡単な説明】
【0001】
図1】本開示の一実施形態による、剥離層がそれの上に適用された複合基材を例示する。
図2】剥離層除去後の図1の複合基材を示す。
図3】接着膜によって接着している2つの基材を例示する。
図4】剥離層中へ組み込むことができるトリコットワープニットメッシュパターンを有するキャリア布のトップビュー画像である。
図5】G1c破壊靱性試験後の拡大下の破面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0002】
金属基材及び非金属基材の接着接合は、輸送、エネルギー、自動車、及び航空宇宙などの、様々な産業において適用されている公知の方法である。エポキシ系接着剤は、応力集中を最小限にし、構造重量を減少させ、組立時間を削減し、コストを削減し、及び耐食性を改善する接着剤の能力のために、とりわけ航空宇宙部門において、基材間に恒久的な接着を形成するために広く使用されている。接着接合は、一般に、3つの方法:(1)同時硬化、(2)同時接着、及び(3)二次接着のうちの1つによって実施される。
【0003】
「同時硬化」は、同時に硬化させる及び接着させることによって未硬化複合部品を接合する工程であって、複合部品が接着材と一緒に硬化して、化学結合をもたらす工程を含む。しかしながら、複雑な形状の大きい構造部品を製造するための未硬化プリプレグの接着にこの技法を適用することは困難である。未硬化複合材料、例えばプリプレグは、粘着性であり(すなわち、触ると粘着性であり)及び自立するのに必要な剛性に欠ける。したがって、未硬化複合材料は、取り扱うのが困難である。例えば、複雑な3次元形状のツール上に未硬化複合材料を組み立てる及び接着することは困難である。
【0004】
「同時接着」は、接着接合によって硬化前の複合部品を未硬化複合部品に接合する工程であって、接着剤及び未硬化複合部品が接着中に硬化する工程を含む。硬化前の複合材は、通常、接着接合前に追加の表面処理工程を必要とする。
【0005】
「二次接着」は、接着接合による硬化前の複合部品の接合であって、接着剤のみが硬化する接合である。この接着方法は、典型的には、接着面でのそれぞれ先に硬化した複合部品の表面処理を必要とする。
【0006】
航空宇宙産業において、複合構造物は、典型的には、同時接着されるか又は二次接着され、及び硬化前の部品の表面処理は、通常、接合前に必要とされる。そのような表面処理には、グリットブラスティング、サンディング、剥離層適用、下塗り、プラズマ処理、レーザーアブレーション、及び当技術分野において公知の他の方法が含まれ得る。同時接着及び二次接着の両方は、接着接合構造物における最高レベルのボンドライン完全性を達成するために、それぞれ先に硬化した複合部品の表面処理を必要とする。「ボンドライン」は、接着構造物間の接着剤接合部を意味する。そのような表面処理は、表面で微小粗さを生み出すことによって接着性を高める。粗化表面は、接着面での機械的インターロッキングによって、より良好な接着を可能にする。
【0007】
伝統的な表面処理方法は高められた接着を提供する及び接着複合構造物における接着破壊を排除することができるが、それらは、接着構造に追加の強度を付与しない。したがって、最終的な接着強度は、凝集破壊が支配的な破壊モードである場合には、ほとんど全く接着剤に由来する。さらに、低温、例えば、75°Fよりも下(つまり24℃未満)への暴露時などの、ある種の条件では、接着構造物の破壊靱性は、従来の表面処理が用いられる場合には大きく低下し得る。
【0008】
上で議論された低温での機械的性能劣化の制限を克服するだけでなく、高い接着強度及び高い破壊靱性を提供することができる接着方法が本明細書で開示される。
【0009】
本開示の接着方法は、接着接合前の表面処理のために複合基材上への樹脂含有剥離層の適用を含む。樹脂含有剥離層は、その中に除去可能な布及び除去不可能な織物(「キャリア」と本明細書では言われる)が埋め込まれている硬化性樹脂の層からなる。用語「埋め込まれる」は、これに関連して用いられるところでは、周囲素材中に固定されていることを意味する。樹脂含有剥離層が複合基材に適用される場合、除去不可能な布は、除去可能な布と複合基材との間に位置する。すなわち、除去不可能なキャリアは、除去可能な布よりも複合基材に近い。剥離層は、それが複合基材(例えば、プリプレグレイアップ)と同時硬化することができるように設計される。同時硬化後に、除去可能な布は、剥離層樹脂のいくらかと一緒に剥離され、完全に硬化した複合基材上に、残留剥離層樹脂のフィルム中に埋め込まれている、除去不可能なキャリアを後に残す。剥離層除去後に、粗化した接着可能な表面が露出する。硬化複合基材は、接着剤によって別の基材に接着させることができる。接着接合後に、除去不可能なキャリアは、接着構造の恒久的な部分になる。
【0010】
本明細書で開示されるような接着方法は、接着剤単独が提供できるものを越えた向上した接着強度を生み出すことができる。本開示の接着方法に由来する性能便益は、低温で見ることができる。-67°Fなどの、低温にさらされた接着複合構造物は、それらの弾性率が増加するので、脆く及び堅くなることは周知である。したがって、亀裂伝播に対する複合材抵抗は、強度及び靱性の付随する低下と共に低下する。結果として、例えば、G1c破壊靱性値は、5~7in-lb/in(875~1225J/m)の出発点からおよそ2~3in-lb/in(350~525J/m)まで低下する。複合材料の多くの用途向けに、低温への暴露は不可避であり、したがって、そのようなG1cでの複合材の低温特性を改善することが望ましい。
【0011】
接着接合ラインでの除去不可能な織物キャリアの組み込みは、接着接合ラインからの亀裂伝播を最小限にすること、及び裂け目中へ織物繊維を組み込むことによって追加の接着強度及び破壊靱性をもたらしたと考えられる。破砕が織物キャリアを通って伝播するときに追加のエネルギーが繊維束を破壊するために必要とされるので、追加の強度及び靱性が達成される。
【0012】
図1及び2は、どのように本開示の樹脂含有剥離層が接着可能な表面を生み出すために使用されるかを例示する。図1に言及すると、硬化性剥離層10が、先ず、未硬化つまり硬化性複合基材20の最外表面上へ積層される。硬化性剥離層10は、硬化性母材樹脂13に埋め込まれている、除去可能な織布11及び除去不可能なキャリア12からなる。未硬化/硬化性複合基材20は、剥離層母材樹脂13のそれとは組成が異なる、未硬化つまり硬化性母材樹脂を注入された又は含浸させた強化繊維からなる。
【0013】
次に、剥離層10と複合基材20との同時硬化が、複合基材が完全に硬化するまで、所定の期間高温で加熱することによって実施される。剥離層樹脂13は、同じ硬化条件下で複合基材20が完全に硬化するときに剥離層樹脂が完全に硬化するか、又は部分的にだけ硬化するように調合することができる。同時硬化の結果として、剥離層樹脂は、複合母材樹脂と混ざり合い、及び反応する。剥離層母材樹脂のレオロジー及び硬化動力学は、剥離層母材樹脂と複合基材の母材樹脂との間に所望量の混ざり合いを得て樹脂の同時硬化を最大限にし、それによって十分な量の剥離層樹脂が同時硬化後に表面上に残ることを確実にするために制御される。
【0014】
同時硬化後に、除去可能な布11は、図2に示されるような粗い、接着可能な表面をもたらすために剥離される。除去不可能なキャリア12及び剥離層樹脂の残留薄層が、布11の除去後に複合基材20上に残る。より具体的には、除去不可能なキャリア12は、残留樹脂のフィルム中に埋め込まれている。埋め込まれたキャリアと共に残留樹脂の残っているフィルムは、除去前の剥離層の元の厚さの約50%~約25%の厚さを有し得る。残留樹脂フィルム及び埋め込まれた除去不可能なキャリア12は、改質された、接着可能な表面を生み出す。
【0015】
剥離層10と複合基材11との同時硬化は、0psi~80psi(0MPa~0.55MPa)の範囲の圧力で1時間~12時間、室温~375°F(191℃)の温度で実施され得る。さらに、同時硬化は、オートクレーブ中で又は外部圧力が加えられない脱オートクレーブ法によって達成され得る。
【0016】
図3に示されるように、前処理された、接着可能な表面(図2からの)を持った硬化複合基材20は、基材の間に挟まれている、硬化性接着膜14によって別の複合基材30に接合され得る。第2複合基材30は、カウンターパート接着可能表面を形成するために複合基材20について記載されたものと同じ剥離層表面処理を受けている硬化複合基材であり得る。接合された複合基材20及び30は、次に、接着剤を硬化させるために高温での熱処理にかけられ、接着構造をもたらす-これは、二次接着と言われる。
【0017】
或いは、第2複合基材30の接着可能な表面は、サンドブラスティング、グリットブラスティング、乾燥剥離層表面処理等を含むが、それらに限定されない他の公知の表面処理によって調製され得る。「乾燥剥離層」は、ナイロン、ガラス、又はポリエステルから通常製造された、乾燥した、(樹脂なしの)織布であり、それは、複合基材の接着面に適用され、引き続き硬化させられる。硬化後に、乾燥剥離層は、表面模様付き接着面を露出させるために除去される。
【0018】
別の実施形態において、複合基材30は、それが硬化複合基材20に接合されるときに未硬化状態にある。そのような場合に、未硬化複合基材30及び硬化性接着膜14は、その後の加熱工程において同時に硬化させられる-これは、同時接着と言われる。
【0019】
本明細書で開示される方法に従って複合基材20及び30の同時接着又は二次接着中に、除去不可能なキャリアは、最終接着構造中へ統合され、したがって、接着膜14の樹脂と一緒に融合する。結果として、荷重が接着接合部に加えられる場合に、キャリアは、エネルギーを吸収すること及び接着基材間の接着強度を増加させることができる。例えば、亀裂が接着接合ラインを通って伝播しつつある場合に、亀裂が接着構造を通って移行し続けるために、キャリア中の繊維を壊すためにエネルギーが必要とされるので、キャリアは、追加の強度を提供することができる。
【0020】
剥離層
本開示の樹脂含有剥離層は、含浸されつつある布の具体的なタイプに応じて、剥離層の総重量を基準として少なくとも20重量%の樹脂含有量を有する。ある種の実施形態において、樹脂含有量は、20重量%~80重量%又は20重量%~50重量%の範囲内にある。
【0021】
剥離層における除去可能な布は、ウィービングパターンで織られた複数の糸からなる織布である。各糸は、一緒に撚られた複数の繊維状フィラメント(つまり単一繊維)からなる。織布は、50gsm(g/m)~250gsm、好ましくは、70gsm~220gsmの範囲内の織物重量、及び50μm~250μm、好ましくは100μm~200μmの範囲内の厚さを有し得る。織布の糸は、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ乳酸、及びそれらのコポリマー)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、LYCRA(登録商標)などのゴム弾性材料及びポリアラミド(例えばKevlar)などの高性能繊維、ポリイミド、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリオキサゾール(例えばZylonポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、並びにガラスを含むが、それらに限定されない様々な合成材料から形成され得る。織布は、さらに、必要に応じてヒートセット仕上げ又は他の従来仕上げをされ得る。さらに、ウィービングパターンは、制限されず、平織、綾織、バスケット織、繻子織等であり得る。
【0022】
除去不可能なキャリアは、織布及び編布、並びにランダムに配列された繊維の不織マット又はベールから選択される織物である。除去不可能なキャリアは、好ましくは、軽量であり、一般に、剥離層の20重量%未満を構成する。キャリアは、5gsm~100gsm、いくつかの実施形態においては、5gsm~25gsmの範囲内の目付を有し得る。キャリアは、10μm~250μm、いくつかの実施形態においては、125μm~175μmの範囲内の厚さを有し得る。キャリア布/ベールの繊維は、40μm~50μmの範囲の繊維直径を有し得る。そのような布/ベールの軽量性は、接着接合のために利用可能である表面で剥離層樹脂の高濃度をもたらす繊維束中への樹脂の完全注入を可能にしない。除去不可能なキャリアの織パターン又はニットパターンは、好ましくは、流体がそれを通って容易に流れることができる目の荒いメッシュニットパターン(-スルーメッシュ生地を参照されたい)。一実施形態において、除去不可能なキャリア布は、図4に示されるものなどのトリコットワープニットメッシュパターンを有する。キャリア布用の繊維組成物は、除去可能な織布について上にリストアップされた同じ合成材料から選択され得る。一実施形態において、除去不可能なキャリアは、ポリアミド(ナイロン)又はポリエステル繊維からなる編布である。
【0023】
編布は、ニッティングによって生じる織物である。その特性は、それがより可撓性であるという点において織布とは異なる。ニッティングは、1次元糸又はスレッドから製造される2次元布を製造するための技法である。ウィービングにおいて、スレッドは、常に真っ直ぐに、縦に(縦スレッド)か横に(横スレッド)かのどちらかに平行に走る。対照的に、編布における糸は、蛇行経路(コース)をたどり、糸の平均行程の上下に対称的に対称的なループを形成する。これらの蛇行ループは、異なる方向に容易に延伸して、織布よりもはるかに多い弾性を編布に与えることができる。
【0024】
剥離層の母材樹脂は、少なくとも1種の熱硬化性樹脂、硬化剤、並びに充填材及び改質剤などの任意選択の添加剤を含む硬化性樹脂組成物から形成される。
【0025】
好適な熱硬化性樹脂には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノール類、シアネートエスエル、ビスマレイミド、ベンゾオキサジン、ポリベンゾオキサジン、ポリベンゾオキサゾン、それらの組み合わせ及びそれらの前駆体が含まれるが、それらに限定されない。
【0026】
1分子当たり複数のエポキシド基を有する多官能性エポキシ樹脂(つまりポリエポキシド)が特に好適である。ポリエポキシドは、飽和の、不飽和の、環状の、若しくは非環状の、脂肪族の、芳香族の、又は複素環のポリエポキシド化合物であり得る。好適なポリエポキシドの例には、アルカリの存在下でのエピクロロヒドリン又はエピブロモヒドリンとポリフェノールとの反応によって調製される、ポリグリシジルエーテルが含まれる。好適なポリフェノールは、それ故、例えば、レゾルシノール、ピロカテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA(ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-プロパン)、ビスフェノールF(ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン)、フッ素4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノールZ(4,4’-シクロヘキシリデンビスフェノール)及び1,5-ヒドロキシナフタレンである。ポリグリシジルエーテルの基盤としての他の好適なポリフェノールは、ノボラック樹脂型の、フェノールとホルムアルデヒド又はアセトアルデヒドとの公知の縮合生成物である。
【0027】
好適なエポキシ樹脂の例には、ビスフェノールA又はビスフェノールFのジグリシジルエーテル、例えば、Dow Chemical Co.によって供給されるEPON(商標)828(液体エポキシ樹脂)、D.E.R.331、D.E.R.661(固体エポキシ樹脂S);アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、例えばHuntsman Advanced Materials製のARALDITE(登録商標)MY 0510、MY 0500、MY 0600、MY 0610が含まれる。追加の例には、Dow Chemical CoからDEN 428、DEN 431、DEN 438、DEN 439、及びDEN 485として商業的に入手可能な、フェノール系ノボラックエポキシ樹脂;Ciba-Geigy Corp.からECN 1235、ECN 1273、及びECN 1299として商業的に入手可能なクレゾール系ノボラックエポキシ樹脂;Huntsman Advanced MaterialsからTACTIX(登録商標)71756、TACTIX(登録商標)556、及びTACTIX(登録商標)756として商業的に入手可能な炭化水素ノボラックエポキシ樹脂が含まれる。
【0028】
剥離層樹脂用の好適な硬化剤には、脂肪族及び芳香族アミン、三フッ化ホウ素錯体、グアニジン、ジシアンジアミド、ビス尿素(例えば2,4-トルエンビス-(ジメチル尿素)、4,4’-メチレンビス-(フェニルジメチル尿素))、及びジアミノ-ジフェニルスルホン(例えば4,4’-ジアミノジフェニルスルホンつまり4,4’-DDS)が含まれ得るが、それらに限定されない。1種以上の硬化剤が使用されてもよく、硬化剤の総量は、樹脂組成物の総重量を基準として2重量%から20重量%の範囲内であり得る。
【0029】
微粒子型(例えば粉末)の無機充填材もまた、樹脂組成物の流れを制御するために及びそこでの凝集を防ぐためにレオロジー改質成分として剥離層樹脂組成物に添加され得る。好適な無機充填材には、ヒュームドシリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、アルミナ、粉砕又は沈澱チョーク、石英粉末、酸化亜鉛、酸化カルシウム、及び二酸化チタンが含まれるが、それらに限定されない。存在する場合、剥離層樹脂組成物中の充填材の量は、樹脂組成物の総重量を基準として、0.5重量%~40重量%、好ましくは1~10重量%、より好ましくは1~5重量%であり得る。
【0030】
剥離層樹脂組成物の化学量論は、熱硬化性樹脂の100%と反応するために必要である量に不足の硬化剤を組成物が含有し、その結果として、この不足のために、所定の硬化サイクルの終わりに熱硬化性樹脂材料からの未反応又は非架橋官能基が存在するであろうように調整され得る。複合基材との同時硬化後に、熱硬化性樹脂材料は、本明細書で開示される、改質された、接着可能な表面のための化学的に活性な官能基源である、未反応/非架橋官能基を含有する。
【0031】
或いは、剥離層樹脂組成物は、それが、同時硬化中に複合基材の速度よりも遅い速度で硬化するように調合される。一実施形態において、剥離層樹脂及び複合基材の母材樹脂用の硬化剤は、異なる硬化速度を可能にするために選択される。別の実施形態において、1種以上の硬化防止剤が、熱硬化性樹脂と硬化剤との間の反応の速度を遅くするために剥離層樹脂に添加される。その結果、複合基材は、同時硬化後に完全に硬化しているが、剥離層樹脂は、部分的に硬化しているにすぎない。
【0032】
一実施形態において、剥離層の樹脂組成物は、樹脂組成物の総重量を基準とする重量百分率で:45%~55%のフェノールノボラックエポキシ樹脂;5%~15%のジシクロペンタジエン含有ノボラックエポキシ樹脂、20%~30%のビスフェノールAのジグリシジルエーテル;5%~25%のアミノフェノールのトリグリシジルエーテル;5%~15%の硬化剤としてのBF、及び1%~5%の無機充填材を含有する。
【0033】
樹脂含有剥離層は、従来の溶液法又はホットメルトコーティング法を用いて織物に完全に含浸させ、それによってキャリアがその中に埋め込まれた状態の樹脂層を形成するように、樹脂組成物を織物キャリア上へコートすることによって形成され得る。除去可能な布が次に、結果として生じた樹脂層中へ圧入される。ホットメルトコーティングのために、(いかなる溶媒もなしの)樹脂組成物が、融解材料を形成するために加熱される。溶液コーティングのために、1種以上の有機溶媒がまた、成分の混合を容易にするために、必要に応じて、樹脂組成物に添加され得る。そのような溶媒の例には、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジメチルアセトアミド、及びN-メチルピロリドンが含まれ得るが、それらに限定されない。
【0034】
湿った剥離層は、次に、溶媒が使用されている場合には、好ましくは、2重量%未満まで揮発性物質含有量を減らすために乾燥させられる。乾燥は、一晩室温での風乾、引き続き140°F~170°F(つまり60℃~77℃)でのオーブン乾燥、又は乾燥時間を削減するために必要に応じて高温でのオーブン乾燥によって行われ得る。その後、乾燥剥離層は、反対側上に除去可能な剥離紙又は合成フィルム(例えばポリエステルフィルム)を適用することによって保護され得る。そのような剥離紙又は合成フィルムは、表面接着用の剥離層を使用する前に除去されるべきである。
【0035】
複合基材
複合基材は、これに関連して、プリプレグ又はプリプレグレイアップ(航空宇宙複合構造物を製造するために使用されるものなど)などの、樹脂組成物を含浸させられた又は注入された強化繊維を含有する繊維強化複合材を意味する。用語「プリプレグ」は、本明細書で用いるところでは、硬化性母材樹脂を含浸させられている繊維状材料(例えば、一方向トウ若しくはテープ、不織マット、又は布プライ)の層を意味する。複合基材中の母材樹脂は、未硬化状態又は部分硬化状態にあり得る。繊維強化材料は、織布若しくは不織布プライ、又は一方向テープの形態にあり得る。「一方向テープ」は、同じ方向に配列している、強化繊維の層を意味する。用語「プリプレグレイアップ」は、本明細書で用いるところでは、積み重ね配置にレイアップされている複数のプリプレグプライを意味する。
【0036】
一実施形態によれば、複数の未硬化プリプレグプライは、最外層としての硬化性の、樹脂含有剥離層と一緒にレイアップされ、引き続きレイアップを同時硬化し得る。例として、プリプレグプライの数は、2~100プライ、又は10~50プライであり得る。
【0037】
プリプレグプライのレイアップは、手動により又は自動テープ積層(Automated Tape Laying)(ATL)などの自動プロセスによって行われ得る。レイアップ内のプリプレグプライは、互いに選択された配向に配置されてもよい。例えば、プリプレグレイアップは、繊維が、長さなどの、レイアップの最長寸法に関して、選択された角度θ、例えば0°、45°、又は90°で配向した状態で、一方向繊維構成を有するプリプレグプライを含み得る。ある種の実施形態において、プリプレグは、一方向配列繊維、多方向繊維、及び織布などの、繊維構成の任意の組み合わせを有し得ることがさらに理解されるべきである。
【0038】
プリプレグは、連続繊維又は織布の層に母材樹脂を含浸させ、材料の柔軟な及び粘着性のシートを生み出すことによって製造され得る。これは、プリプレグ化プロセスと言われることが多い。繊維、それらの配向及び樹脂母材の処方の正確な仕様は、プリプレグの意図される使用に対して最適性能を達成するために明記することができる。1平方メートル当たりの繊維の容積も、要件に応じて明記することができる。
【0039】
用語「含浸させる」は、繊維を樹脂で部分的に又は完全に封入するように硬化性母材樹脂材料を強化繊維に導入することを意味する。プリプレグを製造するための母材樹脂は、樹脂フィルム又は液体の形態をとり得る。さらに、母材樹脂は、接着前に硬化性/未硬化状態にある。含浸は、熱及び/又は圧力の適用によって促進され得る。
【0040】
複合基材中の強化繊維は、細断繊維、連続繊維、フィラメント、トウ、束、シート、プライ、及びそれらの組み合わせの形態をとり得る。連続繊維は、さらに、一方向の(一方向に配列した)、多方向の(異なる方向に配列した)、不織の、織られた、編まれた、縫い合わせられた、巻かれた、及び編み組みされた形状、並びにスワールマット、フェルトマット、及び細断マット構造物のいずれかを採用し得る。織られた繊維構造物は、複数の織られたトウを含んでもよく、各トウは、複数のフィラメント、例えば数千のフィラメントからなる。さらなる実施形態において、トウは、クロス-トウスティッチ、横糸挿入ニッティングスティッチ、又は熱可塑性樹脂などの、少量の樹脂バインダーによって適所に保持され得る。
【0041】
繊維材料には、ガラス(電気つまりE-ガラスなど)、炭素、グラファイト、アラミド、ポリアミド、高弾性率ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリ-p-フェニレン-ベンゾオキサゾール(PBO)、ホウ素、石英、玄武岩、セラミック、及びそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0042】
一般に、複合基材の母材樹脂は、剥離層のそれに似ている。それは、触媒、コモノマー、レオロジー制御剤、粘着性付与剤、レオロジー調整剤、無機又は有機充填材、熱可塑性又はゴム弾性強化剤、安定剤、防止剤、顔料/染料、難燃剤、反応性希釈剤、及び硬化前後の樹脂母材の特性を改質するための当業者に周知の他の添加剤などの添加剤と組み合わせて、主成分としての1種以上の熱硬化性樹脂及び硬化剤を含有する。
【0043】
複合基材の母材樹脂に好適である熱硬化性樹脂は、剥離層樹脂組成物に関連して上に記載されたものである。複合基材の母材樹脂用の好適なエポキシ樹脂には、芳香族ジアミン、芳香族モノ第一級アミン、アミノフェノール、多価フェノール、多価アルコール、ポリカルボン酸のポリグリシジル誘導体が含まれる。好適なエポキシ樹脂の例には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS及びビスフェノールKなどのビスフェノールのポリグリシジルエーテル;並びにクレゾール系及びフェノール系ノボラックエポキシ樹脂のポリグリシジルエーテルが含まれる。
【0044】
熱硬化性樹脂用の硬化剤は、公知の硬化剤、例えば、グアニジン(置換グアニジンなど)、尿素(置換尿素など)、メラミン樹脂、グアナミン誘導体、アミン(第一級及び第二級アミン、脂肪族及び芳香族アミンなど)、アミド、酸無水物(ポリカルボン酸無水物など)、並びにそれらの混合物から選択される。
【0045】
強化剤には、熱可塑性及びゴム弾性ポリマー、及びコア-シェルゴム粒子、ポリイミド粒子、ポリアミド粒子等などのポリマー粒子が含まれ得る。
【0046】
無機充填材には、ヒュームドシリカ 石英粉末、アルミナ、板状充填材、例えばマイカ、タルク又は粘土(例えば、カオリン)などが含まれ得る。
【0047】
接着剤
複合基材を接着させるための接着剤は、未硬化つまり硬化性複合基材と同時硬化させるのに好適な硬化性組成物である。硬化性接着剤組成物は、1種以上の熱硬化性樹脂、硬化剤及び/又は触媒、並びに任意選択的に、強化剤、充填材、流れ制御剤、染料等を含み得る。熱硬化性樹脂には、エポキシ、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド、ポリイミド、シアネートエステル、フェノール樹脂が含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
硬化性接着剤組成物用に使用され得るエポキシ樹脂には、剥離層及び複合基材の母材樹脂として開示されたものなどの、1分子当たり複数のエポキシ基を有する多官能性エポキシ樹脂が含まれる。
【0049】
硬化剤には、例えば、グアニジン(置換グアニジンなど)、尿素(置換尿素など)、メラミン樹脂、グアナミン誘導体、アミン(第一級及び第二級アミン、脂肪族及び芳香族アミンなど)、アミド、酸無水物、並びにそれらの混合物が含まれ得る。好適な硬化剤には、160°F(71℃)超、好ましくは200°F超、例えば350°Fの温度で活性化することができる、潜在性アミン系硬化剤が含まれる。好適な潜在性アミン系硬化剤の例には、ジシアンジアミド(DICY)、グアナミン、グアニジン、アミノグアニジン、及びそれらの誘導体が含まれる。特に好適な潜在性アミン系硬化剤は、ジシアンジアミド(DICY)である。
【0050】
硬化促進剤を潜在性アミン系硬化剤と組み合わせて使用して、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤との間の硬化反応を促進し得る。好適な硬化促進剤には、アルキル及びアリール置換尿素(芳香族又は脂環式ジメチル尿素など);トルエンジアミン又はメチレンジアニリンをベースとするビス尿素が含まれ得る。ビス尿素の例は、2,4-トルエンビス(ジメチル尿素)である。例として、ジシアンジアミドが、硬化促進剤としての置換ビス尿素と組み合わせて使用され得る。
【0051】
強化剤には、熱可塑性又はゴム弾性ポリマー、及びコア-シェルゴム粒子などのポリマー粒子が含まれ得る。好適な熱可塑性ポリマーには、反応性の官能基ありの又はなしのポリアリールスルホンが含まれる。官能基ありのポリアリールスルホンの例には、例えば末端アミン官能基ありのポリエーテルスルホン-ポリエーテルエーテルスルホン(PES-PEES)コポリマーが含まれる。好適なゴム弾性ポリマーには、カルボキシル末端ブタジエンニトリルポリマー(CTBN)及びアミン末端ブタジエンアクリロニトリル(ATBN)エラストマーが含まれる。
【0052】
無機充填材は、微粒子形態、例えば粉末、フレークにあってもよく、ヒュームドシリカ 石英粉末、アルミナ、マイカ、タルク及び粘土(例えば、カオリン)を含み得る。
【0053】
一実施形態において、接着剤は、200°F(93℃)よりも上の温度、例えば350°F(176.7℃)で硬化可能なエポキシ系組成物である。
【0054】
本明細書で開示されるような樹脂含有剥離層を使用する表面処理は、追加の強度及び靱性を接着構造に提供し、低温で、例えば、75°Fよりも下(つまり24℃よりも下)で破壊靱性を改善するのに特に好適である。そのような表面処理方法の別の利点は、それが、複合基材間の強い及びより長続きする接着を促進できることである。
【実施例
【0055】
硬化性剥離層樹脂組成物は、表1に示される処方に基づいて調製した。量は、重量部単位である。
【0056】
【0057】
ホットメルトプロセスを用いて、10gsm目付及び147μm厚さのポリエステルメリヤス生地(「ニットキャリア」)上へ樹脂組成物をコートしてメリヤス生地が埋め込まれた樹脂層を形成した。メリヤス生地は、図4に示されるトリコットニットパターンを有する。コーティング後に、DIATEX製の100gsmの目付及び147μm厚さの織ポリエステル布(「除去可能な剥離層布」)を真空下に同じ樹脂層へ圧入した。結果として生じた樹脂含浸布層を次に、表面処理用の剥離層として使用した。
【0058】
比較のために、除去可能な剥離層布のみが樹脂層に埋め込まれた、ニットキャリアは全く使用されなかったことを除いて同じ方法で第2剥離層を形成した。
【0059】
調製された剥離層材料のそれぞれを、10プライのCYCOM 977-2プリプレグ材料と共に手動で積み重ねて、外層としての剥離層ありのラミネートを形成した。CYCOM 977-2(Cytec Engineered Materialsから入手可能な)は、エポキシ系樹脂を含浸させた一方向炭素繊維を含有するプリプレグ材料である。未硬化ラミネートを、80psi(0.55MPa)で2時間350°F(176.7℃)で加熱することによって硬化させた。
【0060】
硬化後に、各硬化ラミネート上の剥離層(幾分硬化した樹脂と一緒のポリエステル布)を手で取り除いて接着可能な表面を持った硬化複合パネルをもたらした。ニットキャリアを含有する剥離層については、ニットキャリアと剥離層樹脂の一部とが硬化複合パネル上に残った。
【0061】
改質表面を持った硬化複合パネルを、次に、エポキシ系接着剤FM 309-1(Cytec Engineered Materials Inc.から入手可能な)を使用して別の同一の複合パネルに二次接着によって接着させた。接着パネルの硬化は、40psi(0.28MPa)で2時間350°Fで加熱することによって実施した。
【0062】
接着物品の機械的性能は、ASTM D5528に従ってG1c破壊靱性を測定することによって決定した。結果を表2に示す。
【0063】
【0064】
図5は、G1c破壊靱性試験後の拡大下の破面を示し、どれほどニットキャリアが凝集破壊に関与しているかを例示する。ニットキャリア中の破壊繊維ループは、追加強度を複合材接合部に提供してG1c性能の向上をもたらした。
【0065】
専門用語
量に関連して用いられる修飾語「およそ」又は「約」は、表示値を含み、文脈によって決められる意味を有する(例えば、特定の量の測定に関連した誤差の程度を包含する)。接尾語「(s)」は、本明細書で用いるところでは、それが修飾する用語の単数形及び複数形の両方を包含し、それによってその用語の1つ若しくは複数を包含する(例えば、金属(metal(s))は、1つ若しくは複数の金属を包含する)ことを意図する。本明細書で開示される範囲は、包括的であり、独立して組み合わせ可能である(例えば、約25重量%まで、又は、より具体的には、5重量%~20重量%の範囲は、それらの範囲の終点及び全ての中間値を含む。
図1
図2
図3
図4
図5