(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】臨床データ管理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20230320BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20230320BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
G16H10/60
A61B5/00 A
A61N1/36
(21)【出願番号】P 2020550782
(86)(22)【出願日】2018-03-23
(86)【国際出願番号】 AU2018050278
(87)【国際公開番号】W WO2019178634
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】513144730
【氏名又は名称】サルーダ・メディカル・ピーティーワイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・マーロン・ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】ディーン・マイケル・カラントニス
(72)【発明者】
【氏名】アイヴァン・グエルトン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ブルース・ゴーマン
【審査官】鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07894905(US,B1)
【文献】国際公開第2016/059556(WO,A1)
【文献】特表2016-519382(JP,A)
【文献】国際公開第2012/155185(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0243926(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0172774(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G06Q 10/00 - 99/00
A61N 1/36
A61B 5/24
A61B 5/00
A61B 5/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植込み型ニューロモデュレーションデバイスの臨床データを管理するシステムにおいて、
電気神経刺激療法を提供するように構成され、及び、前記電気神経刺激療法に対する神経反応の記録を捕捉するように構成され、
前記神経反応の記録は少なくとも1つのECAP記録トレースを含み、フィードバック治療パラメータの記録を補足し、フィードバック構成の中の前記フィードバック治療パラメータを使用してその後の電気神経刺激の印加を制御するように構成され、及び、前記神経反応の記録
と前記フィードバック治療パラメータの記録を含む臨床データを体外受信器に通信するように構成された植込み型ニューロモデュレーションデバイスと、
前記受信器を介した前記植込み型ニューロモデュレーションデバイスからの前記臨床データを受信し、前記臨床データを閲覧者による精査のために提示するように構成された監視デバイスと、
を含むシステム。
【請求項2】
前記植込み型ニューロモデュレーションデバイスは、デバイスの動作中
に連続的に前記臨床データを記録するように構成される、請求項1のシステム。
【請求項3】
前記植込み型ニューロモデュレーションデバイスは、前記体外受信器の無線通信範囲内にあるときにはいつでも、記録した臨床データのすべてを前記体外受信器に通信するように構成される、請求項1又は請求項2のシステム。
【請求項4】
前記植込み型ニューロモデュレーションデバイスはさらに、前記植込み型ニューロモデュレーションデバイスに入力された使用者のコマンドを含む臨床データを記録するように構成される、請求項1~3の何れか1項のシステム。
【請求項5】
前記植込み型ニューロモデュレーションデバイスはさらに、刺激電流、フィードバックターゲット、及びバッテリ状態の少なくとも1つを含む臨床データを記録するように構成される、請求項1~4の何れか1項のシステム。
【請求項6】
前記監視デバイスは、時間範囲によりふるい分けることによって選択された前記臨床データの小集合を提示することにより、前記臨床データを精査のために提示するように構成される、請求項1~5の何れか1項のシステム。
【請求項7】
前記監視デバイスは、前記臨床データから導き出される統計を提示するように構成される、請求項1~6の何れか1項のシステム。
【請求項8】
前記臨床データはログ記録イベントを含み、前記監視デバイスは、イベントをインディシアによって精査のために提示するように構成され、かかるインディシアの各々は、クリック又はタップされて、そのインディシアにより表されるそれぞれの前記ログ記録イベントのサマリ又は全詳細が明らかにされてよい、請求項1~7の何れか1項のシステム。
【請求項9】
前記監視デバイスは治療ログを表示するように構成される、請求項1~7の何れか1項のシステム。
【請求項10】
治療ログは治療パラメータの複数のヒストグラムを含む、請求項9のシステム。
【請求項11】
前記ヒストグラムは、前記ヒストグラムのヒートマップ表現を使ってタイムスケール上に表される、請求項10のシステム。
【請求項12】
前記治療パラメータはECAPマグニチュードである、請求項10又は11のシステム。
【請求項13】
前記治療パラメータはフィードバックターゲットを含む、
請求項10~12の何れか1項のシステム。
【請求項14】
前記治療パラメータは刺激電流値を含む、請求項10~13の何れか1項のシステム。
【請求項15】
前記提示される臨床データはデバイスプログミングデータを含む、請求項1~14の何れか1項のシステム。
【請求項16】
前記提示される臨床データは、デバイスプログラミング中に臨床医が入力するプログラミングノートを含む、請求項15のシステム。
【請求項17】
前記提示される臨床データは、治療パラメータの1つ又は複数のヒストグラムの定量分析を含む、請求項1~16の何れか1項のシステム。
【請求項18】
植込み型ニューロモデュレーションデバイスの臨床データを管理する
コンピュータ実装方法において、
植込み型ニューロモデュレーションデバイスが電気神経刺激療法を提供するステップと、
前記植込み型ニューロモデュレーションデバイスが前記電気神経刺激療法に対する神経反応の記録を捕捉するステップ
であって、前記神経反応の記録は少なくとも1つのECAP記録トレースを含む、補足するステップと、
前記植込み型ニューロモデュレーションデバイスがフィードバック治療パラメータの記録を補足するステップであって、フィードバック構成の中の前記フィードバック治療パラメータは、その後の電気神経刺激療法の印加を制御するために使用される、補足するステップと、
前記神経
反応の記録
と前記フィードバック治療パラメータの記録を含む臨床データを体外受信器に通信するステップと、
前記受信器を介した前記植込み型ニューロモデュレーションデバイスからの前記臨床データを受信し、前記臨床データを閲覧者による精査のために提示するステップと、
を含む方法
。
【請求項19】
植込み型ニューロモデュレーションデバイスの臨床データを管理するための非一時的コンピュータ可読媒体において、1つ又は複数のプロセッサにより実行されると、
前記植込み型ニューロモデュレーションデバイスから、臨床データであって、前記植込み型ニューロモデュレーションデバイスにより提供される
、前記植込み型ニューロモデュレーションデバイスにより捕捉された電気神経刺激療法に対する神経
反応の記録
とフィードバック治療パラメータの記録を含む臨床データを受信すること
であって、前記神経反応の記録は少なくとも1つのECAP記録トレースを含み、前記フィードバック治療パラメータは、その後の電気神経刺激の印加を制御するために使用される、受信することと、
前記臨床データを閲覧者による精査のために提示することと、
を実行させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は神経刺激に関し、より詳しくは、植込み型神経刺激デバイスから臨床データを回収し、かかる臨床データを最適化して効率的に提示するための管理システムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な状況において、神経刺激を与えることによって、複合活動電位(CAP:compound action potential)を上昇させることが望ましい。例えば、ニューロモデュレーションは、慢性疼痛、パーキンソン病、片頭痛をはじめとする各種の疾患の治療に使用されている。ニューロモデュレーションシステムは、電気パルスを組織に与えて、治療的効果を生じさせるものである。慢性疼痛緩和のために使用される場合、電気パルスは脊髄後柱(DC:dorsal column)に与えられ、これは脊髄刺激療法(SCS:spinal cord stimulation)と呼ばれる。ニューロモデュレーションシステムは典型的に植込み型電気パルス発生器と、経皮的誘導型電力伝送により充電可能であってよいバッテリ等の電源を含む。電極アレイがパルス発生器に接続され、脊髄後柱上方の背側硬膜外腔内に位置付けられる。電極により脊髄後柱に加えられる電気パルスにより、ニューロンの脱分極が起こり、伝搬活動電位が発生する。このように刺激された線維が、その脊髄分節から脳への痛みの伝達を阻害する。疼痛緩和効果を持続させるために、刺激は実質的に連続的に、例えば50~100Hzの周波数範囲で与えられる。
【0003】
本明細書に含まれる文献、行為、材料、デバイス、製品、又はその他の記述はすべて、本発明の内容を提供することを目的としているにすぎない。これらの事柄の何れか又はすべてが、先行技術基準の一部を形成する、又は本願の各請求項の優先権日以前に存在していた、本発明に関係の深い分野における通常の一般的知識であったことを認めるものと解釈すべきではない。
【0004】
本明細書全体を通じて、「~を含む(comprising)」又はその変化形(comprises又はcomprising)は、明記された要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群の包含を暗示しており、他の何れの要素、整数、若しくはステップ、又は要素、整数、若しくはステップの群の排除は暗示していていないと理解されたい。
【0005】
本明細書において、ある要素が一連の選択肢の「の少なくとも1つ」であってよいとの明記は、その要素が列挙された選択肢の何れの1つであってもよく、又は挙げられた選択肢の2つ以上の何れの組合せであってもよいと理解されたい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の態様によれば、本発明は植込み型ニューロモデュレーションデバイスの臨床データを管理するシステムを提供し、システムは、
電気神経刺激療法を提供するように構成され、及び、電気神経刺激療法に対する神経反応の記録を捕捉するように構成され、及び、神経反応の記録を含む臨床データを体外受信器に通信するように構成された植込み型ニューロモデュレーションデバイスと、
受信器を介した植込み型ニューロモデュレーションデバイスからの臨床データを受信し、臨床データを閲覧者による精査のために提示するように構成された監視デバイスと、
を含む。
【0007】
第二の態様によれば、本発明は、植込み型ニューロモデュレーションデバイスの臨床データを管理する方法を提供し、方法は、
植込み型ニューロモデュレーションデバイスが電気神経刺激療法を提供するステップと、
植込み型ニューロモデュレーションデバイスが電気神経刺激療法に対する神経反応の記録を捕捉するステップと、
神経応答の記録を含む臨床データを体外受信器に通信するステップと、
受信器を介した植込み型ニューロモデュレーションデバイスからの臨床データを受信し、臨床データを閲覧者による精査のために提示するステップと、
を含む。
【0008】
第三の態様によれば、本発明は植込み型ニューロモデュレーションデバイスの臨床データを管理するための非一時的コンピュータ可読媒体を提供し、これは、1つ又は複数のプロセッサにより実行されると、以下を実行させる命令を含む:
植込み型ニューロモデュレーションデバイスから、臨床データであって、植込み型ニューロモデュレーションデバイスにより提供される電気神経刺激療法に対する神経応答の植込み型ニューロモデュレーションデバイスにより捕捉された記録を含む臨床データを受信することと、
臨床データを閲覧者による精査のために提示すること。
【0009】
本発明の幾つかの実施形態において、植込み型ニューロモデュレーションデバイスは、デバイスの動作中に実質的に連続的に臨床データを記録するように構成される。例えば、本発明の幾つかの実施形態において、植込み型ニューロモデュレーションデバイスは、少なくとも8時間のデバイスの動作期間中に臨床データを記録するように構成される。本発明の幾つかの実施形態において、植込み型ニューロモデュレーションデバイスは、少なくとも2日間のデバイスの動作期間中に臨床データを記録するように構成される。本発明の幾つかの実施形態において、植込み型ニューロモデュレーションデバイスは、少なくとも5日間のデバイスの動作期間中に臨床データを記録するように構成される。
【0010】
本発明の幾つかの実施形態において、植込み型ニューロモデュレーションデバイスは、体外受信器の無線通信範囲内にあるときにはいつでも、記録した臨床データのすべてを体外受信器に通信するように構成される。本発明の幾つかの実施形態において、植込み型ニューロモデュレーションデバイスは、記録されたデータが受信器に通信されると、記録された臨床データのすべてを削除するように構成される。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態において、植込み型ニューロモデュレーションデバイスはさらに、植込み型ニューロモデュレーションデバイスに入力された使用者のコマンドを含む臨床データを記録するように構成される。本発明の幾つかの実施形態において、植込み型ニューロモデュレーションデバイスはさらに、刺激電流、フィードバックターゲット、バッテリ状態、及びその他を含む臨床データを記録するように構成される。
【0012】
本発明の幾つかの実施形態において、監視デバイスは、時間範囲によりふるい分けることによって選択された臨床データの小集合を提示することにより、臨床データを精査のために提示するように構成される。本発明の幾つかの実施形態において、ふるい分けは、異なる時間範囲の所定のリストから選択することによって行われる。本発明の幾つかの実施形態において、ふるい分けは、閲覧者がカスタマイズされた時限を定義することによって行われる。本発明の幾つかの実施形態において、ふるい分けは、グラフィカルユーザインタフェースが、閲覧者が精査のための開始及び/又は終了時間を定めることができるようにするスライダバーを提示することによって行われる。
【0013】
本発明の幾つかの実施形態において、監視デバイスは、臨床データから導き出される統計を提示するように構成される。本発明の幾つかの実施形態において、統計は、閲覧者が表示のための臨床データの小集合を選択したときに、選択された時限について再計算される。
【0014】
本発明の幾つかの実施形態において、臨床データはログ記録イベントを含み、これはインディシアによって精査のために提示され、このようなインディシアの各々をクリック又はタップして、そのインディシアにより表されるそれぞれのログ記録イベントの概要又は全詳細が明らかにされてよい。本発明の幾つかの実施形態において、ログ記録イベントは、患者コマンドイベントカテゴリ、エラーイベントカテゴリ、例外イベントカテゴリ、刺激装置応答イベントカテゴリ、プログラミングコマンドイベントカテゴリ、バッテリイベントカテゴリ、及びその他イベントカテゴリのうちの1つ、又は複数、又は全部を含む。
【0015】
本発明の幾つかの実施形態において、治療ログが表示される。本発明の幾つかの実施形態において、治療ログは治療パラメータの複数のヒストグラムを含む。本発明の幾つかの実施形態において、治療パラメータは、植込み機器により得られるフィードバック可変測定値を含み、各ヒストグラムは臨床データの小集合を表す。本発明の幾つかの実施形態において、ヒストグラムはヒストグラムのヒートマップ表現を使ってタイムスケール上に表現される。本発明の幾つかの実施形態において、フィードバック可変値はECAPマグニチュードである。本発明の幾つかの実施形態において、治療パラメータはフィードバックターゲットを含む。本発明の幾つかの実施形態において、治療パラメータは刺激電流値を含む。本発明の幾つかの実施形態において、提示される臨床データはデバイスプログラミングデータを含む。本発明の幾つかの実施形態において、提示される臨床データは、デバイスのプログラミング中に臨床医が入力するプログラミングノートの形態のデバイスプログラミングデータを含む。
【0016】
本発明の幾つかの実施形態において、提示される臨床データは、ECAP記録トレースを含む。本発明の幾つかの実施形態において、提示される臨床データは複数のECAP記録トレースを含む。
【0017】
本発明の幾つかの実施形態において、提示される臨床データは治療パラメータの1つ又は複数のヒストグラムの定量分析を含む。
【0018】
ここで、本発明の一例を下記のような添付の図面に関して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】植込み型刺激装置と神経との相互作用を示す概略図である。
【
図4】本発明の実施形態による植込み型ニューロモデュレーションデバイスの臨床データを管理するためのシステムの構成を示す。
【
図6】本発明の実施形態による臨床プログラミングアプリケーションにより実行される、第一の時限にわたり収集された臨床データの提示を示す。
【
図7】本発明の実施形態による臨床データビューワにより実行される、5分間の時限にわたり収集された臨床データの提示を示す。
【
図8】本発明の実施形態による臨床データビューワにより実行される、8週間の時限にわたり収集された臨床データの提示を示す。
【
図9a】臨床データビューワのページメニューを示す。
【
図9b】臨床データビューワのページメニューを示す。
【
図11a】本発明の実施形態による臨床データビューワによるバッテリ統計の提示と計算を示す。
【
図11b】本発明の実施形態による臨床データビューワによるバッテリ統計の提示と計算を示す。
【
図12】臨床データビューワのヒストグラムタブを示す。
【
図13b】ビューコントローラの構成及びそれらの関係するモデル及びビューを示す。
【
図15】ECAPを表示するためのシステムコンポーネントを示す。
【
図16】FBVが特定の範囲に含まれる場合の刺激装置の数の計算方法を表示する。
【
図17】臨床データビューワの中のECAPビューイングを示す。
【
図18】臨床データビューワの姿勢変更評価ページを示す。
【
図19a】臨床データビューワの患者ダッシュボードインタフェースページを示す。
【
図19b】臨床データビューワの患者ダッシュボードインタフェースページを示す。
【
図20】臨床データビューワにより表示される前の生の使用ログデータの前処理を示す。
【
図22】定量的応答の自動出力のためのヒストグラム分析を示す。
【
図23】定量的応答の自動出力のためのヒストグラム分析を示す。
【
図24】定量的応答の自動出力のためのヒストグラム分析を示す。
【
図25】定量的応答の自動出力のためのヒストグラム分析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、植込み型脊髄刺激装置100を概略的に示す。刺激装置100は、患者の下腹部又は後上電部の適切な場所に植え込まれた電子モジュール110と、硬膜上腔内に植え込まれ、モジュール110に適切なリードにより接続された電極アセンブリ150を含む。植込み型神経デバイス100の動作の様々な局面は、体外制御デバイス192により再構成可能である。さらに、植込み型神経デバイス100はデータ収集の役割を果たし、収集されたデータは何れかの適当な経皮的通信チャネル190を介して体外デバイス192に通信される。
【0021】
図2は、植込み型神経刺激装置100のブロック図である。モジュール110は、バッテリ112と、テレメトリモジュール114を含む。本発明の実施形態において、体外デバイス192と電子モジュール110との間の電力及び/又はデータ伝送のために、赤外線(IR)、電磁、容量式、及び誘導式伝送等、何れの適当な種類の経皮的通信190がテレメトリモジュール114によって使用されてもよい。モジュールコントローラ116は、本発明の焦点である臨床データを記憶120するためだけでなく、患者の設定及び制御プログラム122を保存するため、及びその他のための関連するメモリ118を有する。コントローラ116は、パルス発生器124を制御して、患者の設定及び制御プログラム122に従って電流パルスの形態の刺激を発生させる。電極選択モジュール126は、発生したパルスを電極アレイ150の中の適当な電極に切り替えて、選択された電極の周囲の組織に電流パルスが送達されるようにする。測定回路128は、電極選択モジュール126により選択される電極アレイの検知電極において検知された神経反応の測定値を捕捉するように構成され、コントローラ116はかかる神経反応測定値を、時限電圧トレース、ECAP振幅の1回の測定、又は誘発されたECAP又はそれが存在しないことに関する所望の情報を捕捉する他のあらゆる形態の何れかで臨床データ記憶装置120に保存する。
【0022】
図3は、植込み型刺激装置100と神経180との相互作用を示す概略図であり、この場合は脊髄であるが、代替的実施形態は末梢神経、内蔵神経、副交感神経、又は脳構造を含む何れの所望の神経組織に隣接して位置付けられてもよい。電極選択モジュール126は、電極アレイ150の刺激電極2を選択して、電流パルスを神経180を含む周辺組織に送達し、また、総電荷転送をゼロに保つための刺激電流回復用にアレイ150の対極板4を選択する。
【0023】
神経180への適切な刺激の送達は神経反応を誘発し、これは複合活動電位を含み、それが図のように、慢性疼痛のための脊髄刺激装置の場合では、所望の場所に刺激感覚(paraesthesia)を生じさせるという治療目的のために神経180に沿って伝搬する。このために、刺激電極は、刺激を治療的に適切な何れかの周波数、例えば30Hzで刺激を送達するために使用されるが、kHz範囲という高さを含む他の周波数が使用されてもよく、及び/又は刺激は、患者にとって適当な、バースト、すなわち単発を含む非周期で送達されてもよい。デバイスのフィッティングを行うために、臨床医は、使用者が刺激感覚として体験する感覚を誘発することを求める各種の構成の刺激を与える。使用者の体の、痛みにより影響を受ける領域と一致する場所と大きさの異常感覚を誘発する刺激構成が見つかると、臨床医はこの構成をその後の使用に指定する。
【0024】
デバイス100はさらに、神経180に沿って伝搬する複合活動電位(CAP)の存在と強度を、そのようなCAPが電極2及び4からの刺激により誘発されているか、又はそれ以外に誘発されているかを問わず、検知するように構成される。そのために、測定電極6及び測定基準電極8として機能するものとして、アレイ150のどの電極が電極選択モジュール126によって選択されてもよい。測定電極6及び8により検知された信号は、測定回路128に送られ、これは例えば、本出願人による国際公開第WO2012155183号パンフレットの教示に従って動作してよく、その内容を参照によって本願に援用する。回路128の出力は、フィードバック構成の中のコントローラ116によってその後の刺激の印加を制御するために使用され、コントローラ116はまた、神経反応又は、ECAP振幅等の1つ又は複数のそのパラメータの記録も臨床データ記憶装置120に保存する。神経経路に与えられた電気刺激によってその神経経路上で誘発された複合活動電位(CAP)の電気測定値を得ることが望ましい、様々な状況がある。神経反応は、刺激及び/又は刺激アーチファクトと同時に起こる可能性があるため、CAP測定は植込み型設計の難しい課題を提供する。しかしながら、本発明では、この問題が解決されれば、ECAP測定値及びその他のデバイスパラメータを含む大量の臨床データを植込み型神経刺激デバイスによって生成し、臨床データ記憶装置120に保存できることが認められた。したがって、本発明は、臨床データがデバイス100によって、使用中に、また臨床設定中にも捕捉できるようにし、これはバッテリ効率が良く、ひいては実地配備に有利となる。このような実地データを捕捉するシステムを提供することによって、本発明はデバイス動作のモニタリング、治療効率、動作限界との適合、及びその他を実質的に改善する。このようなデータは、植込み機器の受容者が通常の日常生活を送りながら捕捉し、後で検索及び分析するために保存でき、このようなデータを臨床看護者のいる人工的環境中で時限的に捕捉するだけではない。
【0025】
図4は、本発明の第一の実施形態による植込み型ニューロモデュレーションデバイス100の臨床データを管理するためのシステム400の構成を示す。刺激装置100は、数週間乃至数カ月間等、長期間にわたって刺激を与え、神経応答、刺激設定、異常感覚ターゲットレベル、及び後述するその他の動作パラメータを記録する。刺激装置100は、記録された神経応答がフィードバック構成の中で刺激設定を連続的又は継続的に制御するために使用されるという点で、閉ループ型刺激装置(CLS:Closed Loop Stimulator)を含む。適当なSCS治療を実行するために、刺激装置100は、1日あたり何時間にもわたり、毎分数十、数百、又はさらには数千の刺激を送達してよい。フィードバックループは、この時間のほとんど又はすべてにわたり、毎回の刺激の後に神経反応記録を取得すること、又は少なくともこのような記録を定期的に取得することによって動作してよい。各記録は、誘発された神経反応の振幅の測定値等のフィードバック可変値を生成し、それがひいては、フィードバックループによって次の刺激のための刺激パラメータを変化させることになる。刺激装置100はそれゆえ、このようなデータを数十若しくは数百Hz、又はさらにはkHzの速度で生成し、数時間又は数日の間にこのプロセスによって大量の臨床データが得られる。これは、何れの神経反応を記録する能力も一切持たないSCSデバイス等の、過去のニューロモデュレーションデバイスとは異なる。
【0026】
受信器の範囲内に入ると、刺激装置100はテレメトリモジュール114を介してデータをクリニックインタフェースの臨床プログラミングアプリケーション410へと転送し、それが臨床データログファイル412を編集し、これは操作され、最適化されて、臨床医、フィールド臨床エンジニア(FCE)、又はその他による実地診断のために臨床データビューワ414によって効率的に提示される。
【0027】
臨床データビューワ414は、刺激装置100により生成されるデータを分析するために使用されるソフトウェアアプリケーションである。臨床データビューワは、臨床インタフェース(CI)タブレットコンピュータにインストールされる。臨床データビューワは、訓練を受けたスタッフによりCIタブレットに、又はMicrosoft Windows等の何れかの適当なオペレーティングシステムを実行するその他のコンピュータ上にインストールされてもよい。データは、臨床プログラミングアプリケーション(CPA)410により刺激装置100から収集される。データは、2つの主な入手源にグループ分けされる:1.プログラミングセッション中にリアルタイムで収集されるデータと、2.患者による非臨床的使用期間後に刺激装置からダウンロードされるデータ。
【0028】
このデータは、CPA 410により臨床データログ(.h5)ファイル412に保存される。臨床データビューワ414は、1回に1つの臨床データログファイルを開くことができる。データの流れを
図4に示す。臨床データアップローダ416は、CIの背景で実行されるアプリケーションであり、CPA 410により生成されたファイルをファイルサーバへと自動的にアップロードする。データログローダ422は、データサーバ上で実行されるサービスであり、患者データファルダをモニタして新しいファイルを探し、臨床データログファイルが臨床データアップローダ416によりアップロードされると、そのデータを抽出して、データベース424にプッシュする。
【0029】
刺激装置100によりダウンロードされたログはすべて、ログのダウンロードの高速化を可能にするためにテレメトリモジュール114により転送される前に、及び/又は刺激装置100によるより高解像度データの保存を可能にするために臨床データ記憶装置120に保存される前に、適当なデータ圧縮技術を使って圧縮され、事後解析及び使用中のイベントに関するより詳細なデータマイニングのためのより多くのデータが提供される。サーバ422、424、426は、デバイス接続時にログがダウンロードされた直後に単純な1つの閲覧ページの中で、デバイス利用状況、治療アウトプット、及びエラーの概要を使用者又は臨床医に提供するように構成されてよい。このように大量のニューロモデュレーションデータの取得、保存、ダウンロード、及び解析が可能であることは、本実施形態が、重篤な状態の患者の転帰を改善し、より迅速でより費用対効果の高い、より正確なトラブルシューティング及び患者状態を可能にし、病因の診断と患者転帰の予想を目的として、後の解析のために患者集団を通じた統計を収集できることを意味する。
【0030】
システム400の主要コンポーネントは臨床データビューワ414であり、これは、臨床データログファイル412に保存されたデータの解析を容易にするソフトウェアアプリケーションである。臨床データビューワ414は、患者の問題を診断し、治療をその患者にとって最適化するために実地で使用されるものである。
【0031】
多くの略語と用語を定義する必要がある。コラムとは、表中のデータのコラムを指す。特定の可変値に関するデータは、表中のコラムに保存され、コラムと呼ばれる。CDV 414の中で見る特定の種類のデータを選択することは、そのデータの種類のコラムを選択することである。エラーログは、時間ベースのエラーイベントの記録であり、臨床医又はフィールド臨床エンジニア(FCE)とのプログラミングセッション中に刺激装置100からダウンロードできる。基準電流は、刺激装置100の1つの電流源出力により生成される電流である。基準電流は、12.5mA(1つの電流源出力の最大値)を超えることはあり得ない。特に別段の明記がないかぎり、データログ412の中に戻される値は、基準電流に関する。刺激とは、典型的に2相又は3相のパルスを指す。刺激とは、これらのパルスの1つの送達を指す。全電流は、CPA 410内に表示され、プログラミングワークシート上にFCEにより書き留められる電流レベルである。刺激セットアップに関する十分な情報が入手可能であれば、全電流は基準電流を使って計算できる。例えば、(CPA上で)各々50%に設定された2つの刺激電極があり、基準電流が5mAであるとき、全電流は10mAとなる。治療ログは、各刺激の圧縮記録であり、プログラミングセッション中に刺激装置100の記憶装置120からダウンロードできる。利用状況ログは、イベントの時間ベースの記録であり、プログラミングセッション中に刺激装置100の記憶装置120からダウンロードできる。利用状況ログは、刺激装置100と患者及び臨床医の相互作用に加え、このような相互作用に対する刺激装置100からの応答を記録する。フィードバック可変値(FBV)は、ECAP信号の振幅の測定値を表す値である。臨床データログ412は、刺激装置からダウンロードされるデータの種類の各々に関するデータログを含む多数のデータログを含む(例えば、利用状況ログ、ヒストグラム等)。
【0032】
臨床データビューワ414は、臨床プログラミングアプリケーションに統合しやすいように書かれる。
図5は、ソフトウェアモジュールのデータ解析スイートを示しており、臨床データビューワ414により使用されるモジュールがハイライトされている。コードの再使用を最大にし、ソフトウェアツールを通じた試験を簡略化するために、独立したソフトウェアモジュールが使用される。
【0033】
図6は、本発明の本実施形態による、臨床プログラミングアプリケーション410により実行される、約17分間の臨床利用期間に関する、記憶装置120からの臨床データの提示を示している。
図7は、本発明の本実施形態による臨床データビューワ414により実行される、約5分間の非臨床利用期間に関する、記憶装置120からの臨床データの提示を示している。
図8は、本発明の本実施形態による臨床データビューワ414により実行される、約8週間の非臨床利用期間に関する、記憶装置120からの臨床データの提示を示している。臨床データビューワ414は、1回に1つの臨床データログファイル412を開くことができるが、1回にアプリケーション414の複数のインスタンスが実行されてもよい。患者利用状況データ(すなわち、利用状況ログ、エラーログ、及び治療ログ)は、PatientUsageDataProviderクラスによってロードされ、これはデータをロードし、破損データをフィルタして除去し、タイムスタンプをフィックスして、データ解析API 502の中の機能を使って、BatteryChargeIntervalCollection及びStimulationIntervalCollection等の処理済みデータを生成する。これを行うためには、H5ファイル中の生データを標準フォーマットに変換しなければならない。これは、ClinicalDataLogH5Parserモジュール506の中のクラスによって行われる。
【0034】
臨床データビューワアプリケーション414は、モデル-ビュー-ビュー-モデル設計パターンに従っており、それによってビジネスロジック(すなわち、
図5のデータ解析API 502)をデータ表示方法を説明するロジックから分離できる。臨床データビューワ414は、WPFデータ結合を使ってビュー及びそれらのビューモデルとの間で通知を連携する。
【0035】
図7及び8に示されるメインウィンドウ700は、アプリケーション414の基本ビューであり、ClinicalDataViewerに結合される。メインウィンドウ700には、<Frame>コントロールが含まれ、これはPageControllerにより提供される可能性のあるページの1つを表示する。各ページは、CustomPageクラスから導き出され、それによってタイトルページ、戻るボタン、及びカスタムコマンド等の共通のページ特徴に均一性を持たせることができる。メインウィンドウ700は、ページ間のナビゲーションを制御する。これらのページは各々、それ自体のビューコントローラに結合され、その各々は親ビューコントローラであるClinicalDataViewerの特性であるが、特定のDataLogのために作られるDataLogTableViewModelは例外である。
【0036】
臨床データビューワ414は、異なるページ間のナビゲーションを制御する展開可能メニュー702を有する。メニュー702は、
図9a及び9bに示されるように、≡アイコンを押すことにより展開できる。
図9bは特に、閲覧者が、臨床データビューワ414に表示し、プロットしようとするデータの種類の選択する手段を示している。
【0037】
図7及び8の患者利用状況ページは、CPA 410とのプログミングセッション中に刺激装置100からダウンロードされた利用状況ログ、治療ログ、及びエラーログからのデータを表示しており、患者がクリニック以外で刺激装置100をどのように使用したかを解析するために使用される。患者利用状況ページは、患者が実地で刺激装置100をどのように使用していたかを評価することにおいて特に有利であり、これについては以下にさらに詳しく説明する。
【0038】
患者利用状況データは、ドロップダウンメニュー704から時間範囲を選択するとによって、カスタム又は既定時間によりふるい分けすることができる。既定時間範囲(1日、1週間、1カ月、又は3カ月)を選択すると、その範囲内の直近のデータポイントまでのすべてのデータが選択される。カスタム時間範囲が選択されると、使用者は開始及び終了点を選択できる。使用者がデータの特定のエリアにズームインしようとした場合、使用者は時間範囲を閲覧中のエリアに設定できる。時間範囲が選択されると、その時間範囲内にないデータはすべて表示から隠され、統計のすべてが選択された時間範囲について再計算される。
【0039】
各ログ記録イベント(すなわち、利用状況ログのアイテム又はエラーログのアイテム)は、患者利用状況ページのフィールド706の中にダイヤモンドとして表示され、時間(x軸)に対してプロットされる。ダイヤモンドをクリックすると、ポップアップ1010が開き、そこには
図10に示されるように、そのイベントに関連する生データが表示される。イベントは7つのカテゴリにグループ分けされ(1行につき1つ)、その中の6つのみが図のデータセットにポピュレートされるため、
図6~10のフィールド706には6つのカテゴリのみが示されている。各カテゴリは、イベント種類ごとに設定された色を有する。
【0040】
より詳しくは、ログ記録イベントのカテゴリは以下のとおりである。患者コマンドイベントカテゴリ1023は、リモートコントロールから刺激装置に送信されるコマンドを含み、これには、プログラム選択、治療停止、治療オフ、振幅増大及び振幅縮小、が含まれ、これらは各々、
図10に示されるように、カテゴリライン1023の中でそれぞれの色により表される。エラーイベントカテゴリ1021は、エラーログアイテムを含み、これには不適合、電極切断、及びエラーログアイテムが含まれる。例外イベントカテゴリは、例外ログアイテムを含み、これにはテレメトリダウンモード、治療ダウンモード、及び例外ログアイテムが含まれる。
図7~10のデータセットでは例外は発生しなかったため、例外ラインは示されていない。
【0041】
刺激装置応答イベントカテゴリ1024は、患者コマンド又はプログラミングコマンドに対する動作がなされたとの刺激装置からの確認を含み、これには振幅フィードバックON切替、振幅フィードバックOFF切替、治療終了、治療開始フィードバックオン、治療開始フィードバックオフ、及びフィードバックループが含まれる。プログラミングコマンドイベントカテゴリ1025は、臨床プログラミングアプリケーションから刺激装置に送信されるコマンドを含み、これには治療停止指示及びプログラム済みデバイスが含まれる。バッテリイベントカテゴリ1022は、バッテリ充電イベントを含み、これにはバッテリ切断、高温、充電開始、バッテリ充電済み、充電成功、充電タイムアウト、及び充電終了が含まれる。その他イベントカテゴリ1026は、刺激装置によりログ記録された、治療に影響のないその他のイベントを含み、これには、設定時間、消去、リセット、セーフモード充電可能、ハードウェアリセット、クリア、エクストラデータ、連続番号、新規RTC ID、フィラ、イベントなしが含まれる。
【0042】
図7~10において、インタバル708も計算され、示されている。インタバル708は、1つのシステム状態に対応するイベント間の時間を表す。臨床データビューワ414は、各インタバル708に関するシステムの状態を、それ以前のイベントに基づいて計算する。インタバル708は、
図7~10に示されるように、患者利用状況ページで、時間(x軸)に対してプロットされた色付きのバーとして表示される。何れかのインタバルを表すバーをクリックすると、ポップアップが開き、そこにその時間の刺激装置の状態に関する詳細な情報が表示される。インタバル708は、
図10に示されるように、3つのカテゴリ1031、1032、1033にグループ分けされる。プログラムインタバル1031は、患者が使用していた当該プログラムを示す。このカテゴリの中で、4つのプログラムのどれが選択されたかを示すために4つの色が使用され、無色は刺激オフを示す。治療インタバル1032は治療の状況を示し、開ループ刺激、閉ループ刺激、又は刺激オフが色で示される。充電インタバル1033は、刺激装置が充電中であることを示す。
【0043】
図7~10において、治療ログ710がヒートマップの形態で表示される。各ヒートマップは、各時点(x時間)で特定の大きさ(y軸)を有する刺激の割合の表現(色の強度)である。色が濃いほど、その時点でその大きさを有する刺激の割合は大きい。少なくとも3つのヒートマップ(フィードバック可変値712、フィードバックターゲット714、及び現在716)が、使用中の追加の各刺激セットに関する追加の現在のヒートマップと共に表示される。
【0044】
図7において、利用状況サマリタブ720に表示されるデータは、以下のように刺激インタバルから得られる:
【0045】
【0046】
利用状況サマリは、デフォルトでは円グラフ722として表示されるが、プロットの右クリックでその他のプロット及びデータオプションも利用可能である。
【0047】
臨床データビューワ414のバッテリタブ724はさらに
図11aに示されている。バッテリタブ724は、刺激装置100のバッテリ寿命及び充電パターンに関する詳細を示す。統計は、充電の開示及び終了時をログ記録する利用状況ログイベントとこれらの各時点におけるバッテリ電圧を使って計算される。以下の統計が利用可能である:
【0048】
【0049】
各放電インタバルについてのバッテリ放電速度計算を生成するために、刺激がオンであった総時間が計算される。
図11bに示されるように、刺激がイネーブルされている持続時間とインタバルの総持続時間がそのインタバルの全電圧変化についてプロットされる。赤い円は1回の放電インタバルを表し、オレンジの十字は総時間を表し、青い十字はそのインタバル中の総刺激時間を表す。総時間は常に刺激時間より長いことに留意されたく、差は刺激がオフの時間を表す。
【0050】
次に、図のように、総持続時間及び刺激持続中の点を通る2つのベストフィットラインが計算される。ベストフィットラインは、次式を使って計算される:
【数1】
【0051】
すると、放電速度が、対応するベストフィットラインの勾配から得られる。バッテリ寿命は、4.1V~3.25Vの間の、850mVの範囲の健全なバッテリ電圧に基づいて計算される。バッテリ寿命は、放電速度を健全電圧範囲で割ることにより計算される。バッテリ寿命予測は、平均利用状況及び刺激のみに基づいて計算される。平均電流引出しは、バッテリ容量(200mAh)を刺激中に計算されたバッテリ寿命で割ることにより計算される。
【0052】
図12は、臨床データビューワ414のヒストグラムタブ728を示す。ヒストグラムタブ728の中で、スライダバー1210はグラフィカルユーザインタフェースであり、それによって閲覧者はデータのうち8週間分の小集合を選択できる。この選択されたデータ小集合について、臨床データビューワ414は、閲覧者がタブ728の中でより詳しく評価するために、フィードバック可変値1220、フィードバックターゲット1230、及び刺激電流1240に関するヒストグラムデータを抽出する。各短期間のデータから抽出されたヒストグラムはまた、治療ログ710として提示され、これは8週間の期間全体にわたる個別ヒストグラムを示し、各ヒストグラム1220、1230、1240のコラムの高さを効率的に表すためにヒートマップが使用される。
【0053】
ヒストグラムタブ728によって、治療ログの中の個別のヒストグラムの各々を表示できる。ヒストグラムは時間によりグループ分けされる。ヒストグラムの記録は、刺激が開始されるとすぐに開始され、刺激が停止すると停止する。時間はスライダ1210を調節するか、+又は-ボタンを押すことにより選択される。時間が変更されると、以下の項目が自動的に更新される:(a)表示される個別ヒストグラムプロットの数はその時点で使用中の刺激セットサイクル数に依存する、個別ヒストグラムプロット1220、1230、1240、(b)治療ログヒートマップ上で黄色のハイライトにより示されるヒストグラム時間ウィンドウ、(c)表示中のヒストグラムの全部に適用されるヒストグラムメタデータである統計。統計は1250で示され、これには開始時間、終了時間、タイムスタンプ調整(オリジナル又は調整後であり、後者は、電源喪失によりタイムスタンプがリセットされた場合のインスタンスを補正するために、タイムスタンプが調整されたことを示す)、ヒストグラム期間、プログラム、刺激装置のモード%(開ループ、閉ループ、エラー)が含まれる。
【0054】
図13bに示されるように、ヒストグラムビューコントローラは、ヒストグラムヒートマップ710を生成するため、及び個別ヒストグラムプロット1220、1230、1240を表示するために使用されるロジックを含む。HistogramCollectionは異なる種類のヒストグラム(すなわち、FBV、CV、ターゲット)を含んでいることがあるため、正しいヒストグラムを表示するためにリストをふるい分けするのはヒストグラムビューコントローラの役割である。
【0055】
個別ヒストグラムのさらに詳細な事柄を得るか、又はそれにズームインするために、閲覧者はヒストグラムの表示をダブルクリックできる。これによって、
図13aに示されるようなヒストグラム詳細ページが開く。ヒストグラムの拡大版の表示に加えて、ヒストグラム詳細ページにはまた、最小、最大、平均、中央値、モード、及び標準偏差を含む統計も表示される。
【0056】
異なるビューコントローラ及びそれらに関連するモデルとビューが
図13bに示されている。新しいファイルがロードされると、選択されたデータログは融合され、その後、関連するUsageLog、HistogramCollection、又はErrorLogクラスのコンストラクタに渡される。利用状況ログについて、タイムスタンプをフィックスするために追加の処理が行われてよい。これらのモデルが作られると、そのビューコントローラのコンストラクタにこれを渡すことができる。
【0057】
図14は、プログラミングセッションページを示す。これは、EcapDataTemplate 1410の中にECAPトレースを表示する。プログラミングセッションページは、プログラミングセッションビューコントローラに結合されたデータである。プログラミングセッションページはさらに、刺激電流レベル1422及びフィードバック可変値(ECAP振幅)1424等の時系列データを表示し、このようなトレースはDataLogColumnsのセクション1430の中で選択可能であり、追加的又は代替的に、例えばプログラム、フィードバック状態、インピーダンス、温度、刺激装置情報等のその他のトレースが時系列データとして表示するために選択されてよい。プログラミングノート1426もまた、時間シリーズプロットに重ねて表示される。ECAPトレース1410を構成するプログラムパラメータは、ProgramDataTemplateウィンドウ1440に表示されてよい。
【0058】
ECAPの表示に関わるコンポーネントは
図15に示されている。ECAPは、1410において、EcapDataTemplate(DataTemplates.xamlの中で定義)を使って表示され、これはEcapCollectionへの参照を保持するEcapViewControllerに結合される。EcapCollectionは、臨床データログファイル内のEcapデータログへの参照を保持する。EcapViewControllerの要求に応じて、EcapCollectionはEcapデータログから1つのECAPを読み出し、新しいECAPオブジェクトを返す。この「遅延読み込み」方式(すなわち、必要な場合にのみデータをメモリに読み込む)により、臨床データビューワはメモリの消費を最小限にすることができる。
【0059】
プログラミングノート1426はすべて、ノートデータログがNoteLogクラスのコンストラクタに渡されると、臨床データログファイルから読み出される。NoteLogは、各々がタイムスタンプとディスクショナリオブジェクトを含むノートオブジェクトの集合を含む。ノート1426は、主要刺激ドメインプロット上にLineAnnotationsの形態で表示される。
【0060】
図14のプログラミングページは、プログラミングセッション中(CPA410が刺激装置100に接続されている間)に臨床プログラミングアプリケーション410により収集されたデータを表示する。
図6.1は、臨床データログファイルが開かれたときのページのデフォルト状態を示す。左上のフィールドによって、コラムをプロットに追加し、又はそこから削除することができる。右上のメインフレームは、選択された時系列プロットを提示する。左下のフレームは姿勢変更を評価する。下のプロットは、利用可能な多数の記録から選択された1つのECAP記録のプロットを示す。
【0061】
プログラミング中に収集されたデータは、5つの異なる表に書き込まれる。
【0062】
【0063】
CPA 410を使って入力されたプログラミングノート1426は、
図14の時系列プロット上に表示される。青い縦の破線は、そのノートが記録された正確な時刻を示す。ノート1426は、スクリーン左上隅のノートボタンをトグルすることによって、隠したり表示したりすることができる。プログラミングタブにより、使用者はプログラミングセッション中に収集されたデータに関する統計を計算でき、これは典型的に、各姿勢が短時間保持される、又は設定された姿勢について電流が経時的に変更される、多数の指示された姿勢変化からなる。
【0064】
例えば、
図16は、FBVが特定の範囲(これは、患者の選好による利用範囲であってよい)内に含まれる刺激数の計算方法を表す。プロセスは以下のように進められる:
1.統計を計算したいデータ(この例ではFbv)を選択する(「プロットするコラムを選択してください」の下)。コラムがクリックされると、チャートに影付きのアノテーション(この例では半透明の緑)が追加されて、選択されたデータがハイライトされる。
2.スライダをドラッグするか、スライダの横の上下ボタンを使うことによって、統計を計算する時間範囲を選択する。すると、アノテーションの幅(プロット上の緑の影付きエリア)が収縮して、選択されたエリアが示される。
3.上限(最大)及び下限(閾値)利用範囲を入力する。この例では、この患者の閾値は40uV、最大値は60uVである。
4.表から利用統計を抽出する。利用範囲中の点の数は、選択された利用範囲中にこれらの刺激がいくつあったかを示す。この例では、この時間ウィンドウ内の162の刺激のうち82が40~60uVであった。これら162の刺激の結果の平均Fbvは、39.5uVであった。
【0065】
図17のECAPプロットは、臨床データビューワ14のコンポーネントであり、それによって使用者はプログラミングセッション中に記録された個別のECAPトレース1710を見ることができる。表示中の特定のあるECAP又は複数のECAPは、+又は-ボタンを押してファイル中の多数のECAPをステップスルーするか、又はスライダ1720をドラッグすることによって変更できる。複数のECAP 1710は、「ホールド」ボタン1730を押して現在のECAPをプロットにロックすることによって比較できる。ホールドされたECAPは、「クリア」ボタンを押すと消える。
【0066】
ECAPが生成された時間は、一例を1740で示す、時系列プロット上の縦線でアノテートされる。ホールドされた各ECAPが時系列ブロット上でアノテートされる。アノテーション1740の色は、ECAPトレース1710の色と一致する。
【0067】
図18は、臨床データビューワ414の姿勢変更評価ページを示しており、これはプログラミングセッション中(CPAが刺激装置100に接続されている間)に臨床プログラミングアプリケーション410により収集されたデータを表示する。これは、プログラミングセッション中にCPA 410の中で使用者が入力したノートと特定のコマンドのログの組合せを使って、フィールドのうちの幾つかに自動入力する。すると、それによって使用者は、使用者が規定する時間及び振幅範囲のFBV(uV)及び電流(mA)に関する情報を計算できる。
図18は、開かれた臨床データログファイルの中にプログラミングデータがあるときのページのデフォルト情報を示す。
【0068】
姿勢変更評価ページは、プログラミングセッション中に1つの静止姿勢の患者についての成長曲線が計算され、各レベル(閾値、快適-、快適+、最大)がCPA 410の中でマークされるか又は他の箇所に記録され、患者に対して一連の姿勢変更を行うように依頼し、各々がノートフィールドの中にマークされる(表示された各姿勢変更の前)ことを前提としている。姿勢変更評価ページは6つのセクションに分けられ、これにはFCE(フィールド臨床エンジニア)入力1810、訪問情報1820、及び成長曲線を説明し、患者の治療ウィンドウを特定する(閾値と最大値との間(両端を含む)のFBVとして定義される)成長曲線値1830が含まれる。
【0069】
成長曲線値のセクション1830には8つのフィールドがあり、以下のように2つずつペアになっている。閾値(uV及びmA):このフィールドのデータは、選択された姿勢変更時間(「開示時間」と「終了時間」)と、その時間枠中に「T」ボタンが最後に押されたのはいつかに基づいて自動生成される。快適-(uV及びmA):このフィールドのデータは、選択された姿勢変更時間と、その時間枠中に「C-」ボタンが最後に押されたのはいつかに基づいて自動生成される。快適+(uV及びmA):このフィールドのデータは、選択された姿勢変更時間と、その時間枠中に「C+」ボタンが最後に押されたのはいつかに基づいて自動生成される。Max(uV及びmA):このフィールドのデータは、選択された姿勢変更時間と、その時間枠中に「M」ボタンが最後に押されたのはいつかに基づいて自動生成される。これらのフィールドの各々はまた、使用者が臨床データビューワ414の中で編集することもできる。これによって、解析をより自由に行うことができる。例えば、それによって、プログラミングセッション中、ノートがCPAに入力するのではなく書き留められたかもしれない場合のデータの解析が可能となる。各フィールドは、その横にインクリメント/デクリメントボタンを有し、その分解能はフィールドに応じて1uV又は1mAである。各フィールドはタイムスタンプを有し、これは、データがどこからログファイルの中に自動入力されたかを示す。フィールド内の何れかのデータが使用者により変更されると、タイムスタンプは削除され、数値が手で調整されたことを示すメッセージに置き換えられる。
【0070】
姿勢値セクション1840により、使用者はその中でFBV(uV)及び電流(mA)に関する幾つかの統計(最小、最大、平均)を計算するウィンドウを選択できる(プログラミングセッション中)。このセクションには以下の8つのフィールドがある。開始時間:分析ウィンドウの開始。上の姿勢変更開始時間から自動入力される。これは、タイムスタンプの右側の矢印を使用して、又はさらに右側のドロップダウンから「ノートを開始」を選択することによっても編集できる。ノート:これは、ファイルにログ記録されるあらゆるノートとすることもでき、姿勢変更に関している必要はない。終了時間:分析ウィンドウの終了。これは、上述の開始時間と同様に機能する。最大(uV及びmA):選択されたウィンドウ内の最大FBV(uV)及び電流(mA)。平均(uV及びmA):選択されたウィンドウ内の平均FBV(uV)及び電流(mA)。最小(uV及びmA):選択されたウィンドウ内の最小FBV(uV)及び電流(mA)。
【0071】
治療ウィンドウ統計セクション1850は、プログラミングセッション中に、時間ウィンドウ内のFBVについての幾つかの計算を含み、これは姿勢値に基づいて定義される。計算は、成長曲線値に基づく閾値、快適-(快適+ではない)、及び最大の値に基づく。このセクションには以下のような7つのフィールドがある(値は自動入力され、使用者は編集不可)。送達刺激総数:その時間ウィンドウ内に送達された刺激の総数。閾値未満刺激総数:送達された刺激のうち、FBVが閾値(uV)を下回った総数。最大値超過刺激総数:送達された刺激のうち、FBVが最大値より大きかった総数。0~10%以内刺激総数:送達された刺激のうち、FBVが快適-(uV)値の±10%以内であった総数(快適-の≧90%且つ≦110%)。11~20%以内刺激総数:送達された刺激のうち、FBVが快適-の>110%且つ≦120%、又は快適-の≧80%且つ<90%であった総数。21~40%以内刺激総数:送達された刺激のうち、FBVが快適-の>120%且つ≦140%、又は最適-の≧60%且つ<80%であった総数。40%超の刺激総数:送達された刺激のうち、FBVが快適-(uV)値の>140%又は<60%であった総数。
【0072】
姿勢変更評価ページのエクスポートセクションにより、使用者は.csvファイル又はその他をエクスポートできる。
【0073】
図19は、臨床データビューワ414の患者ダッシュボードインタフェースページを示しており、これは、ある時間内のデバイス利用状況統計の総合的なサマリであり、成長曲線データを使用し、刺激装置100からダウンロードされた治療ログを使用する。ページには幾つかのフィールドが含まれ、これはログデータから自動入力でき、幾つかは使用者が編集することもできる(オレンジの影付きボックス)。白い背景のボックスは自動入力され、使用者による編集はできない。
【0074】
CDV 414はさらに、刺激装置のバッテリがなくなったことにより不正確となったタイムスタンプを修正する。バッテリがプログラミングセッションの合間に複数回なくなった場合、最後のイベントのみが修正されることに留意されたい。代替的に、CDVはタイムスタンプを、利用状況及びエラーログ又はヒストグラム中のアイテムのタイムスタンプが時系列に並ぶようにシフトさせる。これによって、タイムスタンプにエラーが生じるが、イベントを正しい時系列で表示できることになる。総合エラーは、刺激装置のバッテリがなくなってから充電が開始されまでの時間の量と等しい。
【0075】
入力機器にとって適当であれば、CDV 414の各チャートのズーミングとパンニングが提供される。
【0076】
【0077】
利用状況ログの生のテキストファイルの中のデータは、臨床データビューワ414により表示される前に幾つかの段階で処理されなければならない。高レベル処理の概要を
図20に示す。利用状況ログをパースは、生の利用状況ログのテキストストリングをUsageLogオブジェクトに変換する。エラー/例外ログが利用可能である場合、これを利用状況ログに融合できる。これによってより詳細な統計を計算でき(例えば、刺激停止の理由を計算するとき)、これは、利用状況ログだけでは、その治療固有のエラーイベントを含まないからである。利用状況ログに保存されたタイムスタンプは、バッテリがなくなったことにより不正確であり得る。タイムスタンプの修正方法は2つある。第一の機能は、利用状況ログを順次処理して、時間がCPA 410により設定されたことを示すイベントを探すことによって果たされる。時間設定イベントが発見されると、エラーは、そのイベントの「タイムスタンプ」及び「以前のタイムスタンプ」フィールドの値の差から特定できる。すべてのタイムスタンプが「バッテリフィックス」によりフィックスできるわけではない。バッテリが複数回なくなると、最後にバッテリがなくなった時点までの間隔だけがフィックス可能である。残りの不正確なタイムスタンプは、これらが時系列になるように調整されるが、これは、ある程度のエラーが依然として存在することを意味しており、これはバッテリがなくなっていた時間の量に比例する。このエラーは
図21において、「充電ラグエラー」と表示されている。
【0078】
図20のプロセスは次に、刺激及びバッテリ充電インタバルの生成へと進む。データの補間により、デバイスの状態を各イベント間のインタバルについて特定できる。StimulationIntervalCollectionクラスのコンストラクタは、利用状況ログの中のアイテムを順次処理し、一連の状態可変数に基づいてStimulatoinIntervalsを追加する。
【0079】
前述のように、臨床データビューワ414はまた、ファームウェアから得られたヒストグラムをパースし、これらがヒートマップの形態で個別又は一緒にプロットできるようにする。これについては
図22~25及び以下においてさらに説明する。下表は、個別のヒストグラムに関する統計の計算方法を説明している。単位(刺激総数を除く)は、x軸により使用されているものと同じ単位、すなわちFBV及びFBVターゲットについてはuV、CVについてはuAであることに留意されたい。
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
臨床データビューワ414はさらに、「フィードバック可変値が快適レベルのX%以内だった時間は何%だったか?」等のクエリに対する自動出力を提供するように構成される。この問題は、あるウィンドウ、例えば
図24のウィンドウ[1
1,1
2]内のカウント数を計算することに一般化できる。このウィンドウ内のカウント数の計算は、ビン内の数値の分布が均一であることを前提しており、これは典型的に厳密には正しくないが、この前提に立つことで計算効率が大幅に改善される。
【0084】
この問題を解決する第一のステップは、エッジの値についての「ビンインデックス」xを特定することである:
【数2】
式中、xは範囲[0,N]に限定される実数である。lがx<0又はx>Nであると、xはクリップされる。上の例では、x
1=1.75、x
2=4.5である。
【0085】
次に、l
1及びl
2が当てはまる整数のビンインデックスiを計算する:
【数3】
【0086】
上の例では、i
1=1、i
2=4である。次に、使用されるビンの分数を計算できる:
【数4】
【0087】
上の例では、r
1=0.25、r
2=0.5である。最後に、ビンの合計を計算できる:
【数5】
【0088】
前述の質問の拡張は、「最近3カ月間で、フィードバック可変値が快適レベルのX%以内だった時間は何%だったか?」である。このような質問に答えるには、ある範囲内のカウント数を複数のヒストグラムにわたって合計しなければならない。
【0089】
この統計を計算するためのアルゴリズムは、前述のものと同様である。例えば、11と12の間の刺激の数を、時間t1からt2について計算するものとする。アルゴリズムは次のとおり:
1.ヒストグラムのリストの中の各ヒストグラムセットについて、そのヒストグラムのタイムスパンのどれだけが期間[t1,t2]内にあるかを計算する。
2.上述のアルゴリズムを使ってl1とl2の間の刺激の数を計算する。
3.ステップ(0)で計算された比率にステップ(0)のカウントを乗じる。
4.また、各ヒストグラムの刺激の総数を計算し、ステップ(0)からの割合を乗じる。
5.ステップ(0)からのカウントを加算して、その範囲内で発生した刺激の数を特定し、ステップ(0)から、その時間の刺激総数を計算する。
【0090】
当業者であれば、具体的な実施形態において示される本発明には、幅広く説明された本発明の本質又は範囲から逸脱することなく、数多くの改変及び/又は改良を加えてよいことがわかるであろう。したがって、本実施形態はあらゆる点において、限定的又は制約的ではなく例示的であると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0091】
2 刺激電極
4 対極板
6 測定電極
8 測定基準電極
100 植込み型刺激装置
110 電子モジュール
112 バッテリ
114 テレメトリモジュール
116 コントローラ
118 メモリ
120 臨床データ記憶装置
122 設定及び制御プログラム
124 パルス発生器
126 電極選択モジュール
128 回路
150 電極アレイ
180 神経
400 システム
410 臨床プログラミングアプリケーション
412 臨床データログファイル
414 臨床データビューワ
416 臨床データアップローダ
422 データログローダ
424 データベース
700 メインウィンドウ