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特許7247222挙動関連データを決定するための動物タグ、方法及びコンピュータープログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】挙動関連データを決定するための動物タグ、方法及びコンピュータープログラム
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20230320BHJP
   A01K 11/00 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
A01K29/00 D
A01K11/00 D
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020560962
(86)(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 SE2019050456
(87)【国際公開番号】W WO2019226100
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】1850605-5
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】500215931
【氏名又は名称】デラヴァル ホルディング アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】フロルチャク, ケルド
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-011837(JP,A)
【文献】特開2015-057067(JP,A)
【文献】特開2018-007613(JP,A)
【文献】特開2016-013112(JP,A)
【文献】特開2014-025791(JP,A)
【文献】特開2017-060407(JP,A)
【文献】米国特許第08979757(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2011/0102154(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00 - 99/00
G01P 15/00 - 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物タグ(100)であって、動物タグ(100)が、
三つの独立空間軸の各々に沿って動物タグ(100)の各加速度を表わす加速度パラメーター(a,aii,aiii)の第一組(a(t))を記録するように構成された三次元加速度計(110)、及び
加速度パラメーター(a,aii,aiii)の第一組(a(t))を受け、それに基づいて挙動関連データ(D)を決定するように構成された処理ユニット(120)
を含むものにおいて、処理ユニット(120)が、
加速度パラメーター(a,aii,aiii)の第一組(a(t))における各パラメーター中の各推定重力関連成分(g,gii,giii)を誘導し、
加速度パラメーター(a,aii,aiii)の第一組(a(t))における各推定重力関連成分(g,gii,giii)を補償して、三つの独立空間軸の各々に沿って動物タグ(100)の各加速度を表わす加速度パラメーター(b,bii,biii)の第二組(b(t))を得、そこでは前記パラメーターは、重力の影響なしでベースレベル(0)の前後でバランスされ、
ベースレベル(0)に対する加速度パラメーターの第二組(b(t))における単一パラメーターでの逸脱に基づいて、動物タグ(100)を持つ動物(A)の立ち上がり及び/又は横たわりの動きを識別する
ようにさらに構成されていることを特徴とする動物タグ(100)。
【請求項2】
処理ユニット(120)が、
加速度パラメーターの第二組(b(t))における一つのパラメーター(bii)でのベースレベル(0)からの正の逸脱を、動物タグ(100)を持つ動物(A)の立ち上がりの動きの形の挙動関連データ(D)を表わすものとして識別し、
加速度パラメーターの第二組(b(t))における一つのパラメーター(b)でのベースレベル(0)からの負の逸脱を、動物タグ(100)を持つ動物(A)の横たわりの動きの形の挙動関連データ(D)を表わすものとして識別する
ように構成される、請求項1に記載の動物タグ(100)。
【請求項3】
動物タグ(100)が、動物タグ(100)を独自に識別する無線信号(SID)を放出するように構成された信号送信器(160)を含み、無線信号(SID)が、動物タグ(100)の二次元位置の確立を可能にするために位置決定システムの複数のベースステーションによって受けられるように適応されている、請求項1又は2に記載の動物タグ(100)。
【請求項4】
少なくとも一つの挙動関連データ(D)を含む無線信号(M(D))を放出するように構成された無線インターフェース(150)をさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載の動物タグ(100)。
【請求項5】
データ貯蔵ユニット(140)を含む、請求項1~4のいずれかに記載の動物タグ(100)であって、処理ユニット(120)が、
複数の挙動関連データ(D)に各時間スタンプを割り当て、
複数の挙動関連データ(D)からなる一組をそれらに割り当てられた前記各時間スタンプとともにデータ貯蔵ユニット(140)に貯蔵する
ようにさらに配置されている、請求項1~4のいずれかに記載の動物タグ(100)。
【請求項6】
処理ユニット(120)が、
データ貯蔵ユニット(140)から少なくとも一つの挙動関連データ(D)及びそれに割り当てられた少なくとも一つの各時間スタンプを検索し、
データ貯蔵ユニット(140)から検索した少なくとも一つの挙動関連データ(D)及びそれに割り当てられた少なくとも一つの各時間スタンプを含む無線信号(M(D))を無線インターフェース(150)に放出させる
ように構成される、請求項4に依存する請求項5に記載の動物タグ(100)。
【請求項7】
処理ユニット(120)が、識別データを無線信号(M(D))に含めるように構成され、識別データが、無線信号(M(D))の受信器が動物タグ(100)の身元識別を決定できるように適応されている、請求項4~6のいずれかに記載の動物タグ(100)。
【請求項8】
動物タグ(100)が、動物(A)のネックバンド(100n)と耳(100e)の少なくとも一方に取り付けられるように構成される、請求項1~7のいずれかに記載の動物タグ(100)。
【請求項9】
動物タグ(100)が取り付けられる動物(A)に関する挙動関連データ(D)を決定するために動物タグ(100)において実施される方法であって、前記方法が、
三つの独立空間軸の各々に沿って動物タグ(100)の各加速度を表わす加速度パラメーター(a,aii,aiii)の第一組(a(t))を三次元加速度計によって記録し、
加速度パラメーター(a,aii,aiii)の第一組(a(t))に基づいて、挙動関連データ(D)を処理ユニット(120)において決定する
ことを含む方法において、処理ユニット(120)で、
加速度パラメーター(a,aii,aiii)の第一組(a(t))における各パラメーター中の各推定重力関連成分(g,gii,giii)を誘導し、
加速度パラメーター(a,aii,aiii)の第一組(a(t))における各推定重力関連成分(g,gii,giii)を補償して、三つの独立空間軸の各々に沿って動物タグ(100)の各加速度を表わす加速度パラメーター(b,bii,biii)の第二組(b(t))を得、そこでは前記パラメーターは、重力の影響なしでベースレベル(0)の前後でバランスされ、
ベースレベル(0)に対する加速度パラメーターの第二組(b(t))における単一パラメーターでの逸脱に基づいて、動物(A)の立ち上がり及び/又は横たわりの動きを識別する
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
加速度パラメーターの第二組(b(t))における一つのパラメーター(bii)でのベースレベル(0)からの正の逸脱を、動物タグ(100)を持つ動物(A)の立ち上がりの動きの形の挙動関連データ(D)を表わすものとして識別し、
加速度パラメーターの第二組(b(t))における一つのパラメーター(b)でのベースレベル(0)からの負の逸脱を、動物タグ(100)を持つ動物(A)の横たわりの動きの形の挙動関連データ(D)を表わすものとして識別すること
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
方法が、動物タグ(100)を独自に識別する無線信号(SID)を信号送信器(160)によって放出することを含み、無線信号(SID)が、動物タグ(100)の二次元位置の確立を可能にするために位置決定システムの複数のベースステーションによって受けられるように適応されている、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも一つの挙動関連データ(D)を含む無線信号(M(D))を無線インターフェース(150)によって放出することをさらに含む、請求項9~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
複数の挙動関連データ(D)に各時間スタンプを割り当て、
複数の挙動関連データ(D)からなる一組をそれらに割り当てられた前記各時間スタンプとともにデータ貯蔵ユニット(140)に貯蔵する
ことをさらに含む、請求項9~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
データ貯蔵ユニット(140)から少なくとも一つの挙動関連データ(D)及びそれに割り当てられた少なくとも一つの各時間スタンプを検索し、
データ貯蔵ユニット(140)から検索した少なくとも一つの挙動関連データ(D)及びそれに割り当てられた少なくとも一つの各時間スタンプを含む無線信号(M(D))を無線インターフェース(150)によって放出する
ことをさらに含む、請求項12に従属する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
方法が、識別データを無線信号(M(D))に含めることをさらに含み、識別データが、無線信号(M(D))の受信器が動物タグ(100)の身元識別を決定できるように適応されている、請求項12~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
処理ユニット(120)に通信可能に接続された不揮発性データキャリア(130)にロード可能なコンピュータプログラム(135)であって、コンピュータプログラム(135)が処理ユニット(120)で実行されるときに請求項9~15のいずれかに記載の方法を実行するためのソフトウェアを含む、コンピュータプログラム(135)。
【請求項17】
請求項16に記載のコンピュータプログラム(135)を含む不揮発性データキャリア(130)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に動物挙動データの記録に関する。特に、本発明は、挙動関連データを決定するための動物タグ、及び方法に関する。本発明はまた、コンピュータプログラム及び不揮発性データキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
動物の健康の理由のため、及び動物に基づく食品生産において高い品質及び効率を維持するため、家畜動物の身体状態が便利でかつ信頼できる方法で監視されることができることが重要である。この目的のため、識別タグは、それぞれの新しい世代のためにより性能が高くなっているセンサーを備えつつある。
【0003】
EP2510783は、動物の動きを監視する方法の一例を記載する。ここで、動物は、動物の動きを検出するセンサー手段を有し、かつ動物の検出された動きについての情報を有する信号を少なくとも生成する装置を与えられる。この装置は、信号中の情報を処理し、処理された情報を貯蔵するための制御ユニット、及び制御ユニットに貯蔵された情報を送信するための送信手段をさらに与えられる。この方法は、多数の連続第一期間を含む予め決められた組の期間中にカウントされた多数の予め決められたタイプの動きを制御ユニット中に貯蔵し、少なくとも一つの過去の第一期間中に検出された多数の予め決められたタイプの動きに依存して、かつ/又はセンサー手段の貯蔵された配向の少なくとも一つに依存して、カウントされた動きの多数の貯蔵された数を時々送信することを含む。センサー手段は、三次元における加速度を測定することができ、かつ地球の表面に対するセンサーの配向を測定することができるGセンサーとして実施される。
【0004】
伝統的に、配向パラメーターの測定は、ジャイロセンサーを要求し、それは、比較的エネルギーを要求する。動物タグのサイズと操作寿命期間の要件を考えると、動物タグに配向センサーを一体化することはチャレンジである。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、ジャイロセンサーを必要とせずに動物挙動データに基づいて配向を与えるための解決策を提供することである。
【0006】
本発明の一態様によれば、その目的は、三次元加速度計及び処理ユニットを含む動物タグによって達成される。三次元加速度計は、三つの独立空間軸の各々に沿って動物タグの各加速度を表わす加速度パラメーターの第一組を記録するように構成される。処理ユニットは、加速度パラメーターの第一組を受け、それに基づいて挙動関連データを決定するように構成される。より正確には、処理ユニットは、加速度パラメーターの第一組における各パラメーター中の各推定重力関連成分を誘導するように構成される。処理ユニットはさらに、三つの独立空間軸の各々に沿って動物タグの各加速度を表わす加速度パラメーターの第二組を得るために加速度パラメーターの第一組中の各推定重力関連成分を補償する(compensate)ように構成される。第二組では、各加速度パラメーターは、重力の影響なしで(with no influence of gravitation)ベースレベルの前後でバランスされる(balanced)。次いで、ベースレベルに対する加速度パラメーターの第二組における単一パラメーターでの逸脱に基づいて、処理ユニットは、動物タグを持つ動物の立ち上がり及び/又は横たわりの動きを識別するように構成される。
【0007】
この動物タグは、それがもっぱら加速度計データに基づいて高度変化の信頼できる検出を与えるので有利である。加速度計は、特にジャイロセンサーと比較して、相対的に低い電力消費であるので、本発明は、複雑な動きのパターンのエネルギー効率的な検出を可能にする。
【0008】
本発明のこの態様の一実施形態によれば、処理ユニットは、加速度パラメーターの第二組における一つのパラメーターでのベースレベルからの正の逸脱を、動物タグを持つ動物の立ち上がりの動きを表わすものとして識別し、同様に加速度パラメーターの第二組における一つのパラメーターでのベースレベルからの負の逸脱を、横たわりの動きを表わすものとして識別するように特に構成される。これは、個体の横たわり時間及び立っている時間が極めて正確に確立されることができることを意味する。
【0009】
本発明のこの態様のさらなる実施形態によれば、動物タグは、動物タグを独自に識別する無線信号を放出するように構成された信号送信器を含む。無線信号は、位置決めシステムが動物タグのための二次元位置の確立を可能にするように位置決定システムの複数のベースステーションによって受けられるように適応されている。結果として、個体の横たわり時間及び立っている時間は、位置データと相関されることができ、各活動についての正確な位置が記録されることができる。それゆえ、正確な挙動関連情報が、各動物に対して誘導されることができる。さらに、立ち上がり及び/又は横たわりの動きを統合することによって、動物タグ、及びそれを持っている動物の正確な高さ位置もまた、位置決定システムによって決定されることができる。
【0010】
好ましくは、動物タグはまた、少なくとも一つの挙動関連データを含む無線信号、例えば電波信号を放出するように構成された無線インターフェースを含む。従って、挙動関連データは、極めて都合の良い方法で外部処理及び分析のために利用可能にされる。
【0011】
本発明のこの態様の別の実施形態によれば、動物タグは、データ貯蔵ユニットを含み、処理ユニットは、複数の挙動関連データに各時間スタンプを割り当て、複数の挙動関連データからなる一組をそれらに割り当てられた前記各時間スタンプとともにデータ貯蔵ユニットに貯蔵するようにさらに配置されている。
【0012】
好ましくは、処理ユニットはまた、データ貯蔵ユニットから少なくとも一つの挙動関連データ及びそれに割り当てられた少なくとも一つの各時間スタンプを検索し、データ貯蔵ユニットから検索した少なくとも一つの挙動関連データ及びそれに割り当てられた少なくとも一つの各時間スタンプを含む無線信号を無線インターフェースに放出させるように構成される。それによって、動物タグは、挙動関連データを経時的に記録し、続いてこのデータを無線受信器に報告することができる。当然、これは、フレキシビリティを与え、さらにエネルギー貯蔵源の節約を可能にする。
【0013】
本発明のこの態様のさらに別の実施形態によれば、処理ユニットは、識別データを無線信号に含めるように構成され、識別データは、無線信号の受信器が動物タグの身元識別を決定できるように適応されている。換言すれば、無線信号の受信器は、関連する動物の身元識別について知らせられる。一般的に、これは、挙動関連データの意味のある分析のための重要な因子である。
【0014】
本発明のこの態様のさらに別の実施形態によれば、動物タグは、動物のネックバンド及び/又は耳に取り付けられるように構成される。これは、高い程度のフレキシビリティを達成する。
【0015】
本発明の別の態様によれば、上記目的は、動物タグが取り付けられる動物に関する挙動関連データを決定するために動物タグにおいて実施される方法によって達成される。この方法は、三つの独立空間軸の各々に沿って動物タグの各加速度を表わす加速度パラメーターの第一組を三次元加速度計によって記録することを含む。この方法はさらに、加速度パラメーターの第一組に基づいて、挙動関連データを処理ユニットにおいて決定することを含む。これは次に、加速度パラメーターの第一組における各パラメーター中の各推定重力関連成分を誘導し、加速度パラメーターの第一組における各推定重力関連成分を補償して、三つの独立空間軸の各々に沿って動物タグの各加速度を表わす加速度パラメーターの第二組を得、そこでは前記パラメーターは、重力の影響なしでベースレベルの前後でバランスされ;ベースレベルに対する加速度パラメーターの第二組における単一パラメーターでの逸脱に基づいて、動物の立ち上がり及び/又は横たわりの動きを識別することを含む。この方法及びその好ましい実施形態の利点は、制御ユニットについての上述の説明から明らかである。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、上記目的は、処理ユニットに通信可能に接続された不揮発性データキャリアにロード可能なコンピュータプログラムによって達成される。コンピュータプログラムは、プログラムが処理ユニットで実行されるときに上述の方法を実行するためのソフトウェアを含む。
【0017】
本発明の別の態様によれば、上記目的は、上述のコンピュータプログラムを含む不揮発性データキャリアによって達成される。
【0018】
本発明のさらなる利点、有益な特徴、及び用途は、以下の記載及び従属請求項から明らかであるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、添付図面を参照して例として開示される好ましい実施形態によってより詳細に説明されるだろう。
【0020】
図1図1は、本発明による動物タグがどのようにして動物のネックバンドに取り付けられることができるかの第一例を示す。
図2図2は、本発明による動物タグがどのようにして動物の耳に配置されることができるかの第二例を示す。
図3図3は、本発明の一実施形態による動物タグについてのブロック図を示す。
図4a-4b】図4a-4bは、動物タグの加速度がどのようにして三つの独立した次元で表わされることができるかのベクトル図の例を示す。
図5図5は、加速度パラメーターの第一組がどのようにして経時的に変化するかの例を示す。
図6図6は、加速度パラメーターの第二組がどのようにして経時的に変化するかの例を示す。
図7図7は、本発明による挙動関連データを決定する一般的な方法をフロー図によって示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1及び2は、本発明による動物タグ100がどのようにして動物Aに配置されることができるかの二つの異なる例を示す。図1では、タグ100は、ネックバンド100nに取り付けられる。図2では、タグ100は、ネックバンドの代わりに例えば穿孔軸部材100e、及び耳の反対側のバッキング部材(図示せず)によって、動物Aの耳に取り付けられる。
【0022】
図3に進むと、我々は、本発明の一実施形態による動物タグ100についてのブロック図を見ることができる。動物タグ100は、三次元加速度計110及び処理ユニット120を含む。本発明の実施形態によれば、動物タグ100はまた、不揮発性データキャリア130、データ貯蔵ユニット140、及び無線インターフェース150(例えば電波、光又は音によるもの)のうちの一つ以上を含むことができる。
【0023】
三次元加速度計110は、三つの相互に独立した空間軸の各々に沿って動物タグ100の各加速度を表わす加速度パラメーターa,aii,及びaiiiの第一組を記録するように構成されている。
【0024】
図4aは、ベクトル図の形で加速度パラメーターa,aii,及びaiiiの例を示す。ここで、第一及び第二軸(X及びY)は、海水面と平行な面を表わし、第三軸Zは、XY面に対して直交する垂直寸方の寸法を表わす。動物Aがどのようにして動くか、及び/又は位置されるかに依存して、動物タグ100及びその三次元加速度計110は、第一、第二、及び第三軸(X,Y、及びZ)のそれぞれに対して任意の配向を持つことができる。それでもなお、重力g(即ち、地球の引力から生じる動物タグ100の一定の下方の加速度)は、常に第三軸Zに平行である。
【0025】
加速度パラメーターa,aii,及びaiiiは、第一、第二、及び第三軸(X,Y、及びZ)のそれぞれに平行なベクトル成分に分離されることができる。図4bでは、第三軸Zに平行な加速度パラメーターa,aii,及びaiiiの各ベクトル成分g,gii,及びgiiiが特に示される。ほとんどの場合において、加速度パラメーターa,aii,及びaiiiのかかる分離は、ベクトル成分g,gii,及びgiiiの一つが他の二つより実質的に大きいことに導く。図4bの例では、gは、かかる優勢なベクトル成分を表わす。
【0026】
図5は、加速度パラメーターa(t)の第一組における個別の加速度パラメーターa,aii,及びaiiiがどのようにして時間tにわたって変化しうるかを説明するグラフを示す。ここで、aii及びaiiiは、図4bに示されたベクトル成分gii及びgiiiに対応する各バイアス成分の前後で変動する。見ればわかるように、aii及びaiiiのバイアス成分はともに、相対的に小さい。しかしながら、aは、図4bのベクトル成分gに対応する比較的大きいバイアス成分の前後で変動する。第三軸Zの規定された方向に対する重力gの存在のため、図5の各バイアス成分は、負である。
【0027】
処理ユニット120は、三次元加速度計110から加速度パラメーターa,aii,及びaiiiの第一組a(t)を受けるように構成される。第一組a(t)に基づいて、処理ユニット120は、挙動関連データD、即ち動物Aの動き及び/又は位置に関する記載を決定するように構成される。より正確には、処理ユニット120は、上述の重力関連成分g,gii,及びgiii、即ち第三軸Zに平行な加速度パラメーターa,aii,及びaiiiの第一組a(t)のベクトル成分の各推定を誘導するように適応されている。
【0028】
処理ユニット120は、加速度パラメーターa,aii,及びaiiiの第一組a(t)における各推定重力関連成分g,gii,及びgiiiを補償し、結果として加速度パラメーターb,bii,及びbiiiの第二組b(t)を得るようにさらに構成される。従って、第二組b(t)は、動物タグ100の加速度を表わし、そこではそれぞれの加速度b,bii,及びbiiiの各々は、重力gの影響なしでベースレベルの前後でバランスされる。
【0029】
図6は、時間tの関数として加速度パラメーターb,bii,及びbiiiのかかる補償された第二組b(t)の例を示す。ここでは、ベースレベルは、0で示される。
【0030】
加速度パラメーターb,bii,及びbiiiの第二組b(t)に基づいて、処理ユニット120は、動物タグ100を持つ動物Aの鉛直方向の再配置を決定するように構成される。従って、立ち上がり及び/又は横たわりの動きは、ベースレベル0に対する加速度パラメーターの第二組b(t)における単一パラメーターでの逸脱に基づいて識別されることができる。即ち、もしゼロでないバイアスレベルが、第二組b(t)において検出されるなら、これは、鉛直方向の動きの強い指標である。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、処理ユニット120は、動物Aの立ち上がりの動きの形の挙動関連データDを表わすために加速度パラメーターの第二組b(t)における一つのパラメーターでのベースレベル0からの正の逸脱、そして同様に横たわりの動きを表わすために第二組b(t)における一つのパラメーターでのベースレベル0からの負の逸脱を識別するように特に構成される。
【0032】
図6は、第一時間点tにおけるパラメーターbでのベースレベル0からの負の逸脱を示す。パラメーターbでの負のバイアスレベルは、第二時間点tまで残る。処理ユニット120は、これを第一と第二時間点(tとt)の間で、即ち期間TLDで起こる横たわりの動きを表わすと解釈するように構成される。いずれかの他の情報がない場合、処理ユニット120は、第二時間点tで動物が横たわっていると結論づけるように構成される。次いで、第三時間点tで、パラメーターbiiでのベースレベル0からの正の逸脱がある。処理ユニット120は、これを動物Aの立ち上がりの動きを表わすと解釈するように構成される。パラメーターbiiでの正のバイアスレベルは、第四時間点tまで残るので、処理ユニット120は、立ち上がりの動きを第四時間点tまで、即ち期間TRUで起こっていると解釈するように構成される。いずれかの他の情報がない場合、処理ユニット120は、動物が第四時間点及びそれ以降、立ち続けているか、又は歩行し続けていると結論づけるように構成される。
【0033】
好ましくは、動物タグ100は、例えば記号データによって動物タグ100を独自に識別する無線信号SIDを放出するように構成される信号送信器160を含む。無線信号SIDは、UWB(ウルトラワイドバンド)信号であることができ、位置決めシステム、一般的には、いわゆるRTLS(リアルタイム位置測位システム)の複数のベースステーションによって受けられるように適応される。それによって、位置決めシステムは、例えば三角測量に基づいて、動物タグ100の二次元位置を確立することが可能になる。結果として、個別の横たわる時間及び立っている時間は、位置データと相関されることができ、動物の各活動に対する正確な位置が記録されることができる。従って、正確な挙動関連情報が各動物について誘導されることができる。さらに、立ち上がり及び/又は横たわりの動きを統合することによって、位置決めシステムは、動物タグ100及びそれを持つ動物の正確な高さ位置を決定することができる。
【0034】
一つ以上の遠隔位置への処理ユニット120によって誘導される挙動関連データDの都合の良い読み出しを可能にするために、動物タグ100は、無線インターフェース150を含むことが好ましく、無線インターフェース150は、少なくとも一つの挙動関連データDを含む無線信号M(D)を放出するように構成される。
【0035】
もし複数の挙動関連データDが連続的に読み出されるなら、データDが特定の時間点と関係づけられることができることがさらに好ましい。それゆえ、本発明の一実施形態によれば、動物タグ100は、データ貯蔵ユニット140を含む。さらに、処理ユニット120は、複数の挙動関連データDに各時間スタンプを割り当て、複数の挙動関連データDからなる一組をそれらに割り当てられた前記各時間スタンプとともにデータ貯蔵ユニット140に貯蔵するように構成される。従って、処理ユニット120は、データ貯蔵ユニット140から少なくとも一つの挙動関連データD及びそれに割り当てられた少なくとも一つの各時間スタンプを検索し、データ貯蔵ユニット140から検索した少なくとも一つの挙動関連データD及びそれに割り当てられた少なくとも一つの各時間スタンプを含む無線信号M(D)を無線インターフェース150に放出させることができる。
【0036】
もちろん、無線信号M(D)は、送信者が誰であるかを示すことが好ましい。それゆえ、本発明の一実施形態によれば、処理ユニット120は、識別データを無線信号M(D)に含めさせるように構成される。識別データは、無線信号M(D)の受信器が例えば文字列の形で動物タグ100の身元識別を決定することができるように適応される。
【0037】
処理ユニット120が上述の手順をコンピュータプログラム135を実行することによって自動的に実行するように構成されることが、一般的に有利である。従って、処理ユニット120は、コンピュータプログラム135を記憶するメモリーユニット(即ち、不揮発性データキャリア130)を含むことができ、それは、処理ユニット120中の少なくとも一つのプロセッサの形の処理回路にコンピュータプログラム135が少なくとも一つのプロセッサで実行されたときに上述の手順を実行させるためのソフトウェアを含む。
【0038】
まとめるために、図7のフロー図を参照して、我々は、本発明によるタグが取り付けられる動物に関する挙動関連データを決定するための本発明による一般的な方法を以下に記述する。
【0039】
第一工程710では、加速度パラメーターa,aii,及びaiiiの第一組a(t)が受けとられる。加速度パラメーターa,aii,及びaiiiは、三次元加速度計によって記録され、三つの独立空間軸の各々に沿ってタグの各加速度を表わす。
【0040】
次いで、工程720では、各推定重力関連成分g,gii,及びgiiiは、加速度パラメーターa,aii,及びaiiiの第一組a(t)における各パラメーターで誘導される。
【0041】
続いて、工程730において、加速度パラメーターb,bii,及びbiiiの第二組b(t)が得られ、そこでは各推定重力関連成分g,gii,及びgiiiが補償されている。加速度パラメーターb,bii,及びbiiiの第二組b(t)は、三つの独立空間軸の各々に沿ってタグの各加速度を表わし、そこでは前記パラメーターは、重力の影響なしでベースレベルの前後でバランスされる。
【0042】
次いで、工程740は、第二組b(t)における単一パラメーターb,bii,及びbiiiでのベースレベルからのバイアスレベル逸脱があるかどうかをチェックする。もしかかる逸脱が検出されるなら、工程750に続き、そうでなければ工程710にループバックして戻る。
【0043】
工程750では、工程740で検出された逸脱が正又は負を示すかどうかに依存して立ち上がり又は横たわりの動きが識別される。ここで、いずれの立ち上がり及び/又は横たわりの動きも、タグが取り付けられる動物に関する挙動関連データを表わす。工程750の後に、工程710にループバックして戻る。
【0044】
図7を参照して記載された、方法工程の全て、並びに工程のいかなる下位順序も、プログラムされた処理装置によって制御されることができる。さらに、図面を参照して上で記載した本発明の実施形態は、処理装置、及び少なくとも一つの処理装置において実施される方法を含むが、本発明はまた、本発明を実施するために適応された、コンピュータプログラム、特にキャリア上の又はキャリア内のコンピュータプログラムに及ぶ。プログラムは、特別にコンパイルされた形のようにソースコード、オブジェクトコード、コード中間ソース及びオブジェクトコードの形、又は本発明による方法の実施に使用するために好適ないずれかの他の形であることができる。プログラムは、オペレーティングシステムの一部であってもよく、又は別個のアプリケーションであってもよい。キャリアは、プログラムを実施することができるいずれかのエンティティ又は装置であってもよい。例えば、キャリアは、フラッシュメモリー、ROM(読み出し専用メモリー)、例えばDVD(デジタルビデオ/汎用ディスク)、CD(コンパクトディスク)、又は半導体ROM、EPROM(消去可能プログラム可能読み出し専用メモリー)、EEPROM(電気消去可能プログラム可能読み出し専用メモリー)、又は磁気記録媒体、例えばフロッピーディスク又はハードディスクのような記憶媒体を含んでもよい。さらに、キャリアは、電気又は光ケーブルを介して又は無線によって又は他の手段によって運ぶことができる電気又は光学信号のような送信可能なキャリアであってもよい。プログラムがケーブル又は他の装置もしくは手段によって直接運ばれてもよい信号で具体化されるとき、キャリアは、かかるケーブル又は装置又は手段によって構成されてもよい。あるいは、キャリアは、プログラムが埋め込まれている集積回路であってもよい。集積回路は、関連方法を実施するため、又は関連方法の実施に使用するために適応される。
【0045】
本発明は、搾乳動物(例えばウシ)に関する挙動関連データを決定することを主に意図されるが、ここに記載される解決策は、いかなる他の種類の家畜又は野生動物についても同等に適用可能である。
【0046】
本明細書に使用される用語「含む(comprises/comprising)」は、述べた特徴、完全体、工程又は構成要素の存在を特定するために使用される。しかしながら、この用語は、一つ以上の追加の特徴、完全体、工程又は構成要素又はそれらの群の存在を除外しない。
【0047】
本発明は、図に記載された実施形態に制限されず、請求項の範囲内で自由に変更されることができる。
図1
図2
図3
図4a-4b】
図5
図6
図7