(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】閉鎖系カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20230320BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M25/06 514
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021153353
(22)【出願日】2021-09-21
(62)【分割の表示】P 2018544117の分割
【原出願日】2017-02-17
【審査請求日】2021-10-21
(32)【優先日】2016-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509280394
【氏名又は名称】スミスズ メディカル エーエスディー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エドワード アビタビロ
(72)【発明者】
【氏名】ギュルセル アクチャイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャイ ティー.ブレインデル
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュ ディー.チエダ
(72)【発明者】
【氏名】キャスリン フェリシート
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジェイ.ゴーラル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ムスカテロ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ロール
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0265571(US,A1)
【文献】米国特許第04627842(US,A)
【文献】特表2014-509226(JP,A)
【文献】特開平09-206375(JP,A)
【文献】特開2001-224693(JP,A)
【文献】米国特許第6332874(US,B1)
【文献】米国特許第4366817(US,A)
【文献】特表2015-500094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の血管内に挿入するように構成されたカテーテル組立体であって、
カテーテルに動作可能に連結された
カテーテルハブ遠位端部及び挿入装置に動作可能に連結されるように構成された
カテーテルハブ近位端部を有する
、近位部分及び遠位部分を含むカテーテルハブと、
前記カテーテルハブ
の半径方向に延在している一対の可撓性翼部
であって、翼部底表面を有する一対の可撓性翼部と、
前記一対の可撓性翼部の近位端部から前記
カテーテルハブ近位端部に向かって延在している
踵部分底表面を有する踵部分と、
前記カテーテルハブの
前記近位部分の周りを少なくとも部分的に巻包するカラー包装体と、を含み、
前記
翼部底表面及び前記踵部分
底表面が
前記カテーテルに対して角度付きである接触面を形成し、前記カテーテルが前記対象の前記血管内に挿入されたときに
、有意な曲がりを生ずることなく略直線構成のままであり、
前記接触面が前記対象の皮膚に対して略平行であ
る、カテーテル組立体。
【請求項2】
前記接触面が、7~9度の範囲の角度で前記カテーテルの
軸からオフセットされている、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項3】
前記接触面が、およそ8度の角度で前記カテーテルの
軸からオフセットされている、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項4】
前記一対の
可撓性翼部の遠位部分が、前記対象の前記皮膚と
接触するように前記カテーテルに対して略直角に延在する略真っ直ぐな線を形成している、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項5】
前記一対の
可撓性翼部の上表面が、臨床医が前記カテーテルハブを把持することを支援するように構成された凹状表面を画定している、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項6】
前記
一対の可撓性翼部が、前記カテーテルハブよりも低い弾性率を有する、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項7】
前記カテーテルが前記対象の前記血管内に挿入されたときに、テクスチャパターンが前記接触面内に形成されて、前記対象の前記皮膚との摩擦抵抗を増加させる、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項8】
前記
一対の可撓性翼部が、前記カテーテルハブ上に一体的に成形されている、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項9】
前記カラー包装体が、前記カテーテルハブの
中心軸の周りを
巻包している、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項10】
前記カテーテルハブが、前記一対の可撓性翼部に対する構造的な補強を提供する
ために、前記一対の可撓性翼部が成形される接合面を提供する1つ以上のレッジを含む、請求項1に記載のカテーテル組立体。
【請求項11】
装置であって、
針組立体及び針ハウジングを有する挿入装置であって、前記針組立体が、尖鋭針先端を有する針を含み、針ハウジングに動作可能に連結されており、かつ前記針の前記尖鋭針先端が前記針ハウジングから延在している使用可能位置と、前記針の前記尖鋭針先端が前記針ハウジング内に収容されている安全位置との間で移動可能である、挿入装置と、
カテーテル及び延長チューブを有する
カテーテルハブであって、前記カテーテルハブが、前記カテーテルに動作可能に連結された
カテーテルハブ遠位端部、及び前記挿入装置に動作可能に連結されるように構成された
カテーテルハブ近位端部を有する、
カテーテルハブと、
前記カテーテルハブに動作可能に連結された翼組立体であって、前記翼組立体が、前記カテーテルハブ
から半径方向に延在している
翼部底表面を有する一対の可撓性翼部、前記一対の可撓性翼部の近位端部から前記カテーテルハブ
へ延在している
踵部分底表面を有する踵部分、及び
前記カテーテルハブの近位部分の周りを少なくとも部分的に巻包するカラー包装体を含み、前記
翼部底表面及び前記踵部分
底表面が
前記カテーテルに対して角度付きである接触面を形成し、前記カテーテルが対象の血管内に挿入されたときに
、有意な曲がりを生ずることなく略直線構成のままであり、
前記接触面が前記対象の皮膚に対して略平行である、
翼組立体と、
を備える装置。
【請求項12】
前記接触面が、7~9度の範囲の角度で前記カテーテルの
軸からオフセットされている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記接触面が、およそ8度の角度で前記カテーテルの
軸からオフセットされている、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記一対の
可撓性翼部の遠位部分が、前記対象の前記皮膚と
接触するように前記カテーテルに対して略直角に延在する略真っ直ぐな線を形成している、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記一対の
可撓性翼部の上表面が、臨床医が前記カテーテルハブを把持することを支援するように構成された凹状表面を画定している、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記
一対の可撓性翼部が、前記カテーテルハブよりも低い弾性率を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記カテーテルが前記対象の血管内に挿入されたときに、テクスチャパターンが前記接触面内に形成されて、前記対象の前記皮膚との摩擦抵抗を増加させる、請求項11に記載の装置。
【請求項18】
前記
一対の可撓性翼部が、前記カテーテルハブ上に一体的に成形されている、請求項11に記載の装置。
【請求項19】
前記カラー包装体が、前記カテーテルハブの
中心軸の周りを
巻包している、請求項11に記載の装置。
【請求項20】
前記カテーテルハブが、前記一対の可撓性翼部に対する構造的な補強を提供する
ために、前記一対の可撓性翼部が成形される接合面を提供する1つ以上のレッジを含む、請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願情報
本願は、2016年2月18日に出願された、米国仮特許出願第62/296,865号、2016年6月16日に出願された、同第62/351,040号、2016年7月28日に出願された、同第62/367,748号、2016年10月27日に出願された、同第62/413,784号の利益を主張し、それらの内容は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、静脈内カテーテルに関し、より具体的には、改善されたカテーテルハブ設計を有する閉鎖系静脈内カテーテル組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
静脈内(IV)療法は、患者への医療流体の投与及び患者からの体液の採取のために使用される多目的技術である。IV療法は、液体・電解質バランスの維持、輸血、栄養補助食品の投与、化学療法、及び薬剤及び医薬品の投与等の種々の目的のために使用されている。本明細書で集合的に薬物と称されるこれらの流体は、皮下注射針を通して注射するか、または針もしくはカテーテルを使用した点滴により、断続的もしくは継続的に静脈内に投与され得る。臨床医により利用されている一般的な静脈内アクセス装置は、末梢IVカテーテルである。
【0004】
末梢IVカテーテルは、一般に14~24ゲージの大きさの軟性かつ可撓性のプラスチックまたはシリコンから製造されている。従来型の静脈穿刺手技において、カテーテルは、患者の手、足、もしくは腕の内側面内の血管内か、またはIVカテーテルを受容する体内の任意の血管内に挿入される。IVカテーテルを患者の血管内に配置するために、尖鋭な誘導針を使用して、皮膚、組織、及び血管壁を穿刺し、血管内にカテーテルを配置するための経路を提供する。
【0005】
図1A~Bを参照すると、「針上に」カテーテル52を挿入するように構成された従来型のIV針組立体50を図示している。カテーテル52は、概して、生物学的部位内に挿入するための遠位端部56、近位端部58、及びそれらの間に延在している内腔を画定している可撓性壁を有するカテーテルチューブ54を含む。カテーテルチューブ54の近位端部58は、カテーテルハブ60に動作可能に連結されていることが多い。カテーテル52は、部分的にカテーテル52を針組立体50の針62上に同軸上に位置付けることにより、針組立体50に動作可能に連結可能であり得る。よって、カテーテル52は、皮膚、組織、及び血管壁を通して患者の血管内に針62と共に移動する。いったんカテーテルチューブ54が患者の血管内に進入すると、カテーテル52は、所望のように血管内へとさらに前進され得、針62は、カテーテル52から後退され得る。次に、カテーテル52は、患者上の適所に固定され得、IV流体供給部に接続され得る。いくつかの例において、カテーテル52は、IV流体供給部に接続するためのクランプ66及びルアー係止コネクタ68を有する延長チューブ64を含み得る。そのようなカテーテルは、典型的に、針62がカテーテル52から後退された後、針経路を封止する隔壁を含み、それにより患者からの血液もしくは体液がカテーテルから周囲環境へと漏出するのを防止するため、閉鎖系カテーテルと称されることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の実施形態は、カテーテルハブの種々の構成要素が共にスナップフィットされたカテーテルハブを構成する単純かつ信頼可能な方法を提供し、そのため接着剤及び超音波溶接が必要とされず、それによりカテーテル組立体の構築中に必要とされる出費及び労働力を低減する。本開示のいくつかの実施形態は、カテーテルハブ内の種々の構成要素の回転を抑制し、ならびに針挿入装置に対するカテーテルハブの回転を抑制するための機構をさらに提供する。本開示のいくつかの実施形態は、カテーテル組立体の一部分が患者の血管内に挿入されたとき、患者の皮膚との接触を改善するように構成された改善された翼設計を有するカテーテルハブを提供している。
【0007】
本開示の一実施形態は、カテーテルハブ本体、隔壁、及び隔壁保持部を含むカテーテルハブ組立体を提供している。カテーテルハブ本体は、カテーテルチューブに動作可能に連結された遠位端部、近位端部、及びそれらの間に内側流体経路を画定している内側壁を有し得る。内側壁は、遠位端部に近位の小径部分と、近位端部に近位の大径部分との間の内側流体経路内に移行的段差を画定し得る。隔壁は、遠位端部及び近位端部を有し得る。隔壁は、隔壁の遠位端部が移行的段差に対して当接するように、内側流体経路内に位置付けられ得る。隔壁保持部は、カテーテルハブ本体の内側流体経路内に少なくとも部分的に受容可能であり得る。隔壁保持部は、外壁及び内壁を有し得る。隔壁保持部の外壁は、カテーテルハブ本体の内壁とかみ合うように形状決め及びサイズ決めされ得、カテーテルハブ本体に対する隔壁保持部の回転を抑制するように構成された1つ以上の横リブを含み得る。
【0008】
本開示の一実施形態は、針組立体及び針ハウジングを有するカテーテル挿入装置をさらに提供している。針組立体は、尖鋭針先端を提示する挿入針を含み得る。挿入針は、針ハウジングに動作可能に連結され得、挿入針の尖鋭針先端が針ハウジングから延在している使用可能位置と、挿入針の尖鋭針先端が針ハウジング内に収容されている安全位置との間で移動可能であり得る。
【0009】
一実施形態において、カテーテルハブ本体の近位端部は、カテーテルハブをカテーテル挿入装置に対して整列させ、かつカテーテル挿入装置の受動的解放機構へのカテーテルハブ組立体の連結を支援するように構成されたラグを含む。一実施形態において、隔壁は、内側流体経路を、その中を通過する針挿入装置からの針の除去時に封止するように構成されている。一実施形態において、隔壁は、孔を画定している内側表面を含む。一実施形態において、隔壁は、針の除去時に隔壁の再封止を支援するようにカテーテルハブの内側壁により円周方向に圧迫される。
【0010】
一実施形態において、カテーテルハブ本体の内側は、側部ポートをさらに画定している。一実施形態において、カテーテル組立体は、側部ポートに動作可能に連結された延長チュービングをさらに含み、延長チューブの内腔は、内側流体経路と流体連通している。一実施形態において、カテーテル組立体は、延長チューブに動作可能に連結されており、かつ延長チューブを選択的に閉塞して、延長チューブ内腔を通した流れを抑制するように構成された延長チューブクランプをさらに含む。
【0011】
一実施形態において、カテーテル組立体は、延長チューブの内腔に動作可能に連結されており、かつこれと流体連通している針なしコネクタをさらに含む。一実施形態において、針なしコネクタは、能動的開口位置と付勢された閉鎖位置との間で移動可能である。一実施形態において、カテーテル組立体は、針なしコネクタに動作可能に連結された通気キャップをさらに含む。一実施形態において、通気キャップは、針なしコネクタが閉鎖されたままである第1の保存位置と、針なしコネクタが開口し、それによりカテーテル組立体内に閉じ込められた空気を通気する第2の能動的押し下げ位置との間で移動するように構成されている。
【0012】
本開示の別の実施形態は、カテーテルハブ本体、隔壁、及び隔壁保持部を含むカテーテルハブ組立体を提供している。カテーテルハブ本体は、カテーテルチューブに動作可能に連結された遠位端部、近位端部、及びそれらの間に内側流体経路を画定している内側壁を有し得る。内側壁は、遠位端部に近位の小径部分と、近位端部に近位の大径部分との間の内側流体経路内に移行的段差を画定し得る。隔壁は、遠位端部及び近位端部を有し得る。隔壁は、隔壁の遠位端部が移行的段差に対して当接するように、内側流体経路内に位置付けられ得る。隔壁保持部は、カテーテルハブ本体の内側流体経路内に少なくとも部分的に受容可能であり得、かつ隔壁を内側流体経路内の適所に固定するように構成され得る。隔壁保持部は、外壁及び内壁を有し得る。外壁は、カテーテルハブ本体の内壁とかみ合うように形状決め及びサイズ決めされ得、かつカテーテルハブ本体に対する隔壁保持部の回転を抑制するように構成された1つ以上の横リブを含み得る。内壁は、カテーテルハブ組立体をカテーテル挿入装置に選択的に連結するように形状決め及びサイズ決めされ得、かつカテーテル挿入装置に対する隔壁保持部の回転を抑制するように構成された1つ以上の横突起を含み得る。一実施形態において、1つ以上の横リブにより提供された摩擦抵抗は、隔壁保持部が、カテーテルハブ本体に対して回転する前に、カテーテル挿入装置に対して回転するように構成されるように、1つ以上の横突起により提供された摩擦抵抗を上回り得る。
【0013】
本開示の一実施形態は、カテーテル挿入装置を含む閉鎖系カテーテル組立体をさらに提供している。カテーテル挿入装置は、針組立体及び針ハウジングを含み得る。針組立体は、尖鋭針先端を提示する挿入針を含み得る。挿入針は、針ハウジングに動作可能に連結され得、かつ挿入針の尖鋭針先端が針ハウジングから延在している使用可能位置と、挿入針の尖鋭針先端が針ハウジング内に収容されている安全位置との間で移動可能であり得る。
【0014】
一実施形態において、カテーテルハブ本体の近位端部は、カテーテルハブをカテーテル挿入装置に対して整列させ、かつカテーテル挿入装置の受動的解放機構へのカテーテルハブ組立体の連結を支援するように構成されたラグを含む。一実施形態において、内側流体経路を、その中を通過するカテーテル挿入装置の挿入針の除去時に封止するように構成され得る。一実施形態において、隔壁は、孔を画定している内側表面を含み得る。一実施形態において、隔壁は、挿入針の除去時に、隔壁の再封止を支援するようにカテーテルハブの内側壁により円周方向に圧迫され得る。
【0015】
一実施形態において、カテーテルハブ本体の内側壁は、側部ポートを画定し得る。一実施形態において、延長チューブは、側部ポートに動作可能に連結され得、延長チューブの内腔は、内側流体経路と流体連通している。一実施形態において、延長チューブクランプは、延長チューブに動作可能に連結され得、延長チューブを選択的に閉塞して、延長チューブ内腔を通した流れを抑制するように構成され得る。一実施形態において、針なしコネクタは、延長チューブの内腔に動作可能に連結され得、かつこれと流体連通し得る。一実施形態において、針なしコネクタは、能動的開口位置と付勢された閉鎖位置との間で移動可能であり得る。一実施形態において、カテーテルハブ組立体は、針なしコネクタに動作可能に連結された通気キャップをさらに含み得る。一実施形態において、通気キャップは、針なしコネクタが閉鎖されたままである第1の保存位置と、針なしコネクタが開口し、それによりカテーテルハブ組立体内に閉じ込められた空気を通気する第2の能動的押し下げ位置との間で移動するように構成され得る。
【0016】
本開示の別の実施形態は、カテーテルハブ及び翼組立体を含む、対象の血管内に挿入するように構成されたカテーテル組立体を提供している。カテーテルハブは、カテーテルチューブに動作可能に連結された遠位端部、及びカテーテル挿入装置に動作可能に連結されるように構成された近位端部を有し得る。翼組立体は、カテーテルハブに動作可能に連結され得、かつ一対の可撓性翼部、踵部分、及びカラーを含み得る。一対の可撓性翼部は、カテーテルハブの中心軸から外方に延在し得る。踵部分は、一対の可撓性翼部の近位端部からカテーテルハブの近位端部に向かって延在し得る。カラーは、カテーテルハブの中心軸の周りを巻包し得る。一対の翼部の底表面及び踵部分の底表面は、カテーテルチューブが対象の血管内に挿入されたときに略真っ直ぐであり、かつ接触面が対象の皮膚に対して略平行であるように、カテーテルチューブの軸に対して角度付きである接触面を形成し得る。
【0017】
本開示の一実施形態は、カテーテル挿入装置を含む閉鎖系カテーテル組立体をさらに提供している。カテーテル挿入装置は、針組立体及び針ハウジングを含み得る。針組立体は、尖鋭針先端を提示する挿入針を含み得る。挿入針は、針ハウジングに動作可能に連結され得、かつ挿入針の尖鋭針先端が針ハウジングから延在している使用可能位置と、挿入針の尖鋭針先端が針ハウジング内に収容されている安全位置との間で移動可能であり得る。
【0018】
一実施形態において、接触面は、7~9度の範囲でカテーテルチューブの軸からオフセットされ得る。一実施形態において、接触面は、およそ8度でカテーテルチューブの軸からオフセットされ得る。一実施形態において、一対の翼部の遠位部分は、対象の皮膚との接触を改善するようにカテーテルチューブの軸に対して略直角に延在している略真っ直ぐな線を形成し得る。別の実施形態において、一対の翼部の遠位部分は、翼部の遠位縁部がカテーテルチューブに近位の一対の翼部の遠位部分よりもさらに遠位に延在するように、緩い円弧を形成するように凹状であり得る。一実施形態において、一対の翼部の上表面は、臨床医がカテーテル組立体を把持することを支援するように構成された凹状表面を画定し得る。一実施形態において、翼組立体は、カテーテルハブよりも低い弾性率を有し得る。一実施形態において、テクスチャパターンは、カテーテルチューブが対象の血管内に挿入されたときに対象の皮膚との摩擦抵抗を増加させるように接触面内に形成され得る。一実施形態において、テクスチャパターンは、平坦または滑らかな表面と共に生じ得る汗の蓄積を防止することを支援し得る。一実施形態において、テクスチャパターンは、不快感を生じ得る高圧領域の生成を抑制する。一実施形態において、翼組立体は、カテーテルハブ上に一体的に成形されている。一実施形態において、カラーは、カテーテルハブの近位部分の周りを少なくとも部分的に巻包している。一実施形態において、カテーテルハブは、一対の可撓性翼部に対する構造的な補強を提供するように構成された1つ以上のレッジを含み得る。
【0019】
本開示の別の実施形態は、針なしコネクタに動作可能に連結されるように構成されており、かつ保存位置と能動的押し下げ通気位置との間の針なしコネクタに対して移動可能である通気キャップを提供している。通気キャップは、ノーズ部、押し板、及び1つ以上の弾性針なしコネクタ係合アームを含み得る。ノーズ部は、通気キャップが能動的押し下げ通気位置まで押し下げされたときに、少なくとも部分的に針なしコネクタ内に挿入されるように構成され得る。押し板は、ノーズ部の近位端部に動作可能に連結され得、かつ空気透過性膜を備える通気口を画定し得る。1つ以上の弾性針なしコネクタ係合アームは、ノーズ部に動作可能に連結され得、かつ針なしコネクタの一部分を把持するように構成され得、1つ以上の弾性針なしコネクタ係合アームは、通気キャップを保存位置へと付勢する。
【0020】
一実施形態において、通気キャップは、カテーテルチューブ、カテーテルハブ、延長チューブ、及び針なしコネクタを含む閉鎖系カテーテル組成物に選択的に連結されている。一実施形態において、1つ以上の弾性針なしコネクタ係合アームは、針なしコネクタへの1つ以上の弾性針なしコネクタ係合アームの把持を改善するための隆起部を含み得る。一実施形態において、能動的押し下げ通気位置への通気キャップの移動により、針なしコネクタ内に閉じ込められた空気を放出させることができる。一実施形態において、能動的押し下げ通気位置への通気キャップの移動は、1つ以上の弾性針なしコネクタ係合アームを離れるように促し、能動的押し下げ位置からの解放時に、1つ以上の弾性針なしコネクタ係合アームの弾性が、通気キャップを保存位置に戻すように付勢する。一実施形態において、通気キャップは、使用後に、針なしコネクタから除去可能である。一実施形態において、通気キャップのノーズ部は、能動的押し下げ通気位置に移動されたときに針なしコネクタとの流体密封を改善するようにテーパ状である。
【0021】
一実施形態において、ノーズ部は、空気透過性膜により一端に封止された通気経路を含む。一実施形態において、通気経路は、透明な材料及び半透明な材料のうちの少なくとも1つにより構成されている。一実施形態において、通気キャップは、流体が通気経路内に流れるときにフラッシュバック指標を提供するように構成されている。一実施形態において、押し板は、空気が通気経路から漏出するための流体経路を提供するように構成されたアイレットを画定し得る。
【0022】
本開示の別の実施形態は、カテーテル挿入装置及び閉鎖系カテーテルを含む静脈内カテーテル組立体を提供している。カテーテル挿入装置は、針組立体及び針ハウジングを含み得る。針組立体は、尖鋭針先端を提示する挿入針を含み得る。挿入針は、針ハウジングに動作可能に連結され得、かつ挿入針の尖鋭針先端が針ハウジングから延在している使用可能位置と、挿入針の尖鋭針先端が針ハウジング内に収容されている安全位置との間で移動可能であり得る。挿入針は、血液が間を流れることを可能にして、カテーテルの配置の主な指標を提供するように構成された挿入針の尖鋭針先端に近位の刻み目位置を提示する構造を含み得る。針組立体は、カテーテルの配置の二次的な指標を提供するように挿入針の内腔と連通しているフラッシュチャンバを画定している構造を含み得る。
【0023】
閉鎖系カテーテルは、カテーテルチューブ、カテーテルハブ、延長チューブ、針なしコネクタ、及び通気キャップを含み得る。通気キャップは、空気透過性バリアにより一端で封止された通気経路を画定している壁を含み得る。通気キャップは、針なしコネクタが閉鎖位置にある第1の保存位置と、針なしコネクタが開口位置に移動され、それにより閉鎖系カテーテル内に閉じ込められた空気を通気し、かつ血液が通気経路内に流れることを可能にして、カテーテルの配置の三次的な指標を提供する第2の能動的押し下げ位置との間で移動可能であり得る。
【0024】
本開示の方法は、
挿入針及びその周りに同軸上に位置付けられたカテーテルチューブを対象の血管内に導入するステップであって、環状空間が挿入針と同軸上に位置付けられたカテーテルチューブとのそれらの間に存在する、導入するステップ、
挿入針内に画定された刻み目を通した環状空間内への血液の流れを介して適切なカテーテルの配置の主な指標を受容するステップ、
挿入針の内腔を通したフラッシュチャンバ内への血液の流れを介して適切なカテーテルの配置の二次的な指標を受容するステップ、
通気キャップを保存位置から能動的押し下げ位置へと移動させることにより静脈内カテーテル組立体内からの空気を通気するステップ、ならびに
通気キャップ内への血液の流れを介して適切なカテーテルの配置の三次的な指標を受容するステップ、のうちの1つ以上を含む、フラッシュチャンバ及び通気キャップを含む静脈内カテーテル組立体を使用することを提供している。
【0025】
上の要約は、本開示の各図示されている実施形態またはあらゆる実装を記載することを企図していない。下記に続く図及び詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に実証する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
添付の図と関連して、本開示の種々の実施形態についての下記の詳細な説明を考察することで、本開示をより完全に理解することができる。
【0027】
【
図1A】カテーテルが針上に位置付けられた状態での従来型のIV針組立体を図示している斜視図である。
【
図1B】カテーテルが針から除去された状態での
図1Aの従来型のIV針組立体を図示している斜視図である。
【
図2A】本開示の実施形態による延長チューブ、延長チューブクランプ、針なしコネクタ、及び通気キャップを有するカテーテル組立体を図示している斜視図である。
【
図2B】
図2Aのカテーテル組立体を図示している平面図である。
【
図2C】
図2Aのカテーテル組立体を図示している底面図である。
【
図2D】
図2Aのカテーテル組立体を図示している右側面図である。
【
図2E】
図2Aのカテーテル組立体を図示している左側面図である。
【
図2F】
図2Aのカテーテル組立体を図示している背面図である。
【
図2G】
図2Aのカテーテル組立体を図示している正面図である。
【
図3A】本開示の実施形態によるカテーテル挿入装置に動作可能に連結されたカテーテル組立体を含む閉鎖系カテーテル組立体を図示している平面斜視図である。
【
図3B】
図3Aの閉鎖系カテーテル組立体を図示している平面図である。
【
図3C】
図3Aの閉鎖系カテーテル組立体を図示している底面図である。
【
図3D】
図3Aの閉鎖系カテーテル組立体を図示している右側面図である。
【
図3E】
図3Aの閉鎖系カテーテル組立体を図示している左側面図である。
【
図3F】
図3Aの閉鎖系カテーテル組立体を図示している背面図である。
【
図3G】
図3Aの閉鎖系カテーテル組立体を図示している正面図である。
【
図4A】カテーテル挿入装置が使用可能位置にある、本開示の実施形態によるカテーテル挿入装置に動作可能に連結されたカテーテルを有する静脈内カテーテル組立体を図示している斜視図である。
【
図4B】静脈内カテーテル組立体がカテーテル挿入装置から分離されており、かつカテーテル挿入装置が針後退安全位置にある、
図4Aの静脈内カテーテル組立体を図示している斜視図である。
【
図5A】本開示の実施形態によるカテーテル挿入装置の針組立体を図示している側面斜視図である。
【
図5B】
図5Aのカテーテル挿入装置を図示している遠位端面図である。
【
図5C】
図5Aのカテーテル挿入装置を図示している底面斜視図である。
【
図6A】針組立体が針ハウジングに対して遠位係合使用可能位置に位置付けられている、本発明の実施形態による、カテーテル挿入装置の針組立体と針ハウジングとの間の相互作用を図示している底面斜視図である。
【
図6B】針組立体が針ハウジングに対して近位係脱安全位置に位置付けられている、
図6Aのカテーテル挿入装置の針組立体と針ハウジングとの間の相互作用を図示している底面斜視図である。
【
図7A】静脈内カテーテル組立体が受動的解放機構を介してカテーテル挿入装置に動作可能に連結されたカテーテルを含み、かつカテーテル挿入装置が使用可能位置にある、本発明の実施形態による、受動的解放機構を有する静脈内カテーテル組立体を図示している斜視図である。
【
図7B】静脈内カテーテル組立体がカテーテル挿入装置から分離されており、かつカテーテル挿入装置が針後退安全位置にある、
図7Aの静脈内カテーテル組立体を図示している斜視図である。
【
図8A】本開示の実施形態による受動的解放機構の第1の側部を図示している分解斜視図である。
【
図8B】
図8Aの受動的解放機構の第2の側部を図示している分解斜視図である。
【
図9A】静脈内カテーテル組立体がカテーテルハブを使用可能位置に係合するように互いに対して位置付けられた保持部及びカラーを有する受動的解放機構を含む、本開示の実施形態による、静脈内カテーテル組立体を図示している断片的断面図である。
【
図9B】保持部及びカラーが安全位置でカテーテルハブから係脱するように互いに対して位置付けられている、
図9Aの静脈内カテーテル組立体を図示している断片的断面図である。
【
図10A】本開示の実施形態によるカテーテルチューブ、カテーテルハブ、及び翼組立体を図示しているプロファイル図である。
【
図10B】
図10Aのカテーテルチューブ、カテーテルハブ、及び翼組立体を図示している断面図である。
【
図11】本開示の実施形態によるカテーテルハブ本体及び隔壁保持部を図示している分解斜視図を図示している。
【
図12】本開示による隔壁保持部の別の実施形態を図示している斜視図である。
【
図13】本開示の実施形態によるカテーテル組立体を図示している部分的な図である。
【
図14】本開示の実施形態によるカテーテル挿入装置に動作可能に連結された組み立て後のカテーテル組立体を図示している部分的半透明図である。
【
図15】本開示の実施形態による隔壁保持部を図示している近位端部の端面図である。
【
図16】本開示の実施形態によるカテーテル挿入装置に動作可能に連結された隔壁保持部及び隔壁を図示している部分的半透明図である。
【
図17】本開示の実施形態によるカテーテル挿入装置に動作可能に連結された隔壁保持部及び隔壁を図示している部分的断面図である。
【
図18A】本開示の実施形態による静脈内カテーテル組立体を図示している断片的平面図である。
【
図18C】
図18Aの静脈内カテーテル組立体を図示している断片的プロファイル図である。
【
図19A】本開示の実施形態によるカテーテルハブ、隔壁保持部、及び隔壁を図示している部分的断面図である。
【
図19B】
図19Aのカテーテルハブ、隔壁保持部、及び隔壁を図示している断面図である。
【
図20】本開示の実施形態による、針が中を通過する切り欠きを有する隔壁を図示している端面図である。
【
図21A】本開示の実施形態による、カテーテルハブ、隔壁保持部、及び隔壁を図示している部分的断面図である。
【
図21B】
図21Aのカテーテルハブ、隔壁保持部、及び隔壁を図示している断面図である。
【
図22A】本開示の実施形態によるカテーテルハブ、隔壁保持部、及び隔壁を図示している部分的断面図である。
【
図22B】
図22Aのカテーテルハブ、隔壁保持部、及び隔壁を図示している断面図である。
【
図23A】本開示の実施形態によるカテーテルハブ、隔壁保持部、及び隔壁を図示している部分的断面図である。
【
図23B】
図23Aのカテーテルハブ、隔壁保持部、及び隔壁を図示している断面図である。
【
図24A】本開示の実施形態によるカテーテルハブ、隔壁保持部、及び隔壁を図示している部分的断面図である。
【
図24B】
図24Aのカテーテルハブ、隔壁保持部、及び隔壁を図示している断面図である。
【
図25A】本開示の実施形態によるカテーテルハブ、隔壁保持部、及び隔壁を図示している部分的断面図である。
【
図25B】
図25Aのカテーテルハブ、隔壁保持部、及び隔壁を図示している断面図である。
【
図26A】本開示の実施形態によるカテーテルハブ、隔壁保持部、及び隔壁を図示している部分的断面図である。
【
図26B】
図26Aのカテーテルハブ、隔壁保持部、及び隔壁を図示している断面図である。
【
図27A】本開示の実施形態による針なしコネクタを図示しているプロファイル図である。
【
図27C】IV流体供給部に連結された開口構成での
図27Aの針なしコネクタを図示している断面図である。
【
図28】本開示の実施形態による2つの針なしコネクタに接続する「Y」コネクタを有する静脈内カテーテル組立体の斜視図である。
【
図29A】本開示の実施形態による通気キャップを図示している斜視図である。
【
図30A】通気キャップが針なしコネクタに対して第1の保存位置にある、本開示の実施形態による通気キャップ及び針なしコネクタを図示している断面図である。
【
図30B】通気キャップが針なしコネクタに対して第2の能動的押し下げ位置にある、
図30Aの通気キャップ及び針なしコネクタを図示している断面図である。
【
図31A】本開示の実施形態によるカテーテル挿入装置を挿入するための生物学的部位の準備を図示している。
【
図31B】本開示の実施形態による患者の血管内への針及びカテーテルチューブの挿入を図示している。
【
図31C】本開示の実施形態による針及びカテーテルチューブからの針の後退を図示している。
【
図31D】本開示の実施形態による生物学的部位からのカテーテル挿入装置の除去を図示している。
【0028】
本開示の実施形態は、種々の変形例及び代替的な形態に従っているが、図中の例によって示されているそれらの仕様は、詳細に記載されるだろう。しかしながら、本開示を記載されている特定の実施形態に限定することを企図していないことが理解されるべきである。それどころか、添付の特許請求の範囲により定義されているような本開示の精神及び範囲内に該当するあらゆる変形例、等価物、及び代替例を含むことを企図している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1A~Bを参照すると、従来型のIVカテーテル組立体20が図示されている。従来型のIVカテーテル組立体20の詳細は、上の背景の節に記載されている。
【0030】
図2A~Gを参照すると、本開示の実施形態によるカテーテル組立体100が図示されている。一実施形態において、カテーテル組立体100は、閉鎖系カテーテルであり得る。
図3A~Gを参照すると、本開示の実施形態による閉鎖系カテーテル組立体101が図示されている。一実施形態において、閉鎖系カテーテル組立体101は、カテーテル挿入装置102に動作可能に連結されたカテーテル組立体100を含み得る。
【0031】
I.カテーテル挿入装置
カテーテル挿入装置102は、カテーテルチューブ108の一部分が同軸上に乗っている挿入針104を提供し得る。種々の種類のカテーテル挿入装置102は、JELCOの商標下で、米国ミネソタ州セントポール所在のSmiths Medical ASD,Inc.により販売されている。カテーテル挿入装置102の一実施形態(
図1A~Bに図示されているもの等)は、米国特許第7,291,130号及び同第8,257,322号(INTUITIVの商標下で、Smiths Medical ASD,Inc.により販売されているIVカテーテル挿入装置を図示している)に記載されており、それらの両方は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
他の実施形態において、カテーテル挿入装置102は、挿入針104の尖鋭針先端106を収容する機能を果たし、不注意による針刺しの可能性を低減する、安全針組立体(
図3A~G及び
図4A~Bに図示されているもの等)を提供し得る。
図4Aは、カテーテル組立体100がカテーテル挿入装置102に選択的に連結されている第1または使用可能位置にあるカテーテル挿入装置102を図示している。具体的には、カテーテルチューブ108及びカテーテルハブ110を含み得るカテーテル組立体100は、挿入針104の尖鋭針先端106がカテーテルチューブ108の遠位端部から突出している状態で、カテーテル挿入装置102の挿入針104上に位置付けられ得る。いくつかの実施形態において、保護シースもしくは針カバー(図示せず)は、カテーテル組立体100もしくはカテーテル挿入装置102のいずれかに動作可能に連結され得、かつ尖鋭針先端106上に位置付けられて、不要な針刺しを抑制し得る。カテーテル組立体100及びカテーテル挿入装置102を含み得る閉鎖系カテーテル組立体101は、密閉包装体内に含有された殺菌及び組み立て後の状態で使用するように提供され得る。
【0033】
カテーテルチューブ108を患者または対象の血管内に挿入するために、臨床医は、まず、閉鎖系カテーテル組立体101を包装体から除去する。針シースを除去して、カテーテルチューブ108の遠位端部から突出している挿入針104の尖鋭針先端106を露出させる。次に、臨床医は、対象の特定された部位を尖鋭針先端106により穿刺し、尖鋭針先端106が対象の血管に進入するまで、針104を前方に促す。いくつかの実施形態において、血液または体液の最初の量は、針104の内腔を通して通過し得、かつカテーテル組立体100及び/もしくはカテーテル挿入装置102に進入し得、そのため臨床医は、血液もしくは体液の「フラッシュバック」を見て血管内への進入を確認することができる。次に、カテーテル組立体100を針104上で遠位に移動させ、針104が静止して保持されたときにカテーテルチューブ108を対象の血管内に通すことができる。カテーテル組立体100が所望のように位置付けられた状態で、臨床医は、カテーテル組立体100を対象に対して略静止した状態で保持するそれらの間に、カテーテル挿入装置102の針組立体103を対象から離れるように近位に引っ張ることにより針104を後退させることができる。カテーテル挿入装置102の針104がカテーテル組立体100から分離され、かつ第2または安全位置と称される、カテーテル挿入装置102の針ハウジング105内に安全に収容されるまで、針組立体103を近位に引っ張ることができる。
図4Bは、静脈内カテーテル組立体100及び安全位置を図示している。安全位置において、臨床医は、シャープコンテナ内にカテーテル挿入装置102を廃棄することができる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「遠位」という用語は、カテーテル挿入中に対象に最も近い閉鎖系カテーテル組立体101の針104に対して平行に位置するアクセスに沿った方向を指すことが理解されるべきである。反対に、本明細書で使用される場合、「近位」という用語は、カテーテルが遠位方向に対向する対象の血管内に挿入されたときに対象からさらに離れる針104に対して平行な軸に沿って位置する方向を指す。
【0035】
図5A~Cに図示されているように、針組立体103は、針ハブ262に動作可能に連結された挿入針104を含み得る。針104は、尖鋭遠位針先端106と近位端部264とのそれらの間に延在している内腔を画定している細長い円筒形状の金属構造を含み得る。尖鋭針先端106は、カテーテル挿入中に対象の皮膚を刺し通すように構成及び配置され得る。例えば、一実施形態において、尖鋭針先端106は、対象の皮膚、組織、及び血管壁を通して針104及びカテーテル挿入組立体102の一部分を貫通させるのに使用される貫通力を減少させるように設計されたV字点を含み得る。一実施形態において、針104の長さを延長させて、肥満患者内へのカテーテル組立体100の挿入を支援することができる。
【0036】
針104は、移行部266に近位に位置する針104の一部とは異なる断面サイズ及び/または形状を有する移行部266をさらに含み得る。針104の外側表面が針軸の中心から測定されるように、針104の他の部分よりも大きい径方向位置まで延在するように、針104の対向する側部を圧着させるか、または別様に、針104の構造を分断させることにより、針移行部266(代替的に針ポンプまたはカニューレポンプと称される)を生成することができる。他の方法の中でも特に、針の外側に材料を加えることによる等、代替的な実施形態により、移行部266を異なるように形成することができる。
【0037】
針104の近位端部264は、針ハブ262に動作可能に連結され得る。針ハブ262は、臨床医がアクセスするために組み立てられたときに針ハウジング105の外側上に位置付けられる針把持部268に接続され得る。針ハブ262及び針把持部268は、針把持部268及び針ハブ262と同じ一体構造から形成され得る突起270により互いに動作可能に連結され得る。
【0038】
一実施形態において、針組立体103は、針104の尖鋭針先端106が対象の血管に進入したときにフラッシュバックの視覚的指標を提供するように構成され得る。この実施形態において、針ハブ262は、針104の内腔と流体連通しているフラッシュチャンバ272を含む。尖鋭針先端106がカテーテル挿入中に血管に進入すると、血液または体液は、血管から針内腔に進入し、針104を通してフラッシュチャンバ272内に近位に流れる。フラッシュチャンバ272は、フラッシュプラグ274により一端に封止され得る。フラッシュプラグ274は、空気の通過を可能にするが、液体の通過を抑制する空気透過性親水性材料から製造され得る。したがって、針内腔及びフラッシュチャンバ272内に存在する空気は、血液がフラッシュプラグ274に達するか、または別様に停止されるまで、流入する血液によりフラッシュプラグ274を通して押し下げられる。針ハブ262またはその一部分は、臨床医がフラッシュチャンバ272内の血液の存在を確認することを可能にするために透明または半透明材料から構成され得る。この点において、臨床医は、フラッシュチャンバ272内の血液の存在により針が対象の血液に進入したときに警告を受けることができる。
【0039】
一実施形態において、フラッシュチャンバ272以外の針組立体103の特徴は、尖鋭針先端106が対象の血液に進入したとの指標を提供することができる。例えば、針104は、刻み目276を含み得る。この実施形態において、血液の流れは、尖鋭針先端106が血管に進入したときに針内腔に進入する。血液が針内腔内に近位に流れると、一部の血液は、刻み目276を通して、針104の外側とカテーテルチューブ108の内側とのそれらの間に位置する環状空間内へと通過する。環状空間内の血液の存在は、カテーテルチューブ108の透明または半透明な部分を通して臨床医が確認することができ、尖鋭針先端106が血管内に存在するとの指標を提供することができる。
【0040】
図6A~Bに図示されているように、針ハウジング105は、近位端部280から遠位端部282まで延在している略円筒状の細長い本体278を有し得る。長手方向スロット284は、針ハウジング105の下側に沿って形成され得、かつ針ハウジング105の近位端部280近くの近位スロット端部286から、針ハウジング105の遠位端部282近くの遠位スロット端部288まで延在し得る。
【0041】
針組立体103は、針ハウジング105にスライド可能に連結され得る。例えば、針組立体103は、針組立体103が針ハウジング105から容易に分離するのを抑制し、さらに針組立体103が最小の抵抗で針ハウジング105の長手方向軸に沿ってスライドすることを可能にする方法で、針ハウジング105の外側表面の周りに嵌合するように適合された「C」字形状の断面を有し得る。一実施形態において、長手方向スロット284は、針組立体103の突起270をスライド可能に受容し得、針把持部268は、針ハウジング105の外側に位置付けられ、針ハブ262及び針104の少なくとも一部分は、針ハウジング105に対して内側に位置付けられ、それによりこれらの特徴部を少なくとも部分的に収容し得る。したがって、針組立体103は、長手方向スロット284に沿ってスライドして、針組立体103が針ハウジング105の長手方向軸の周りで回転することを制限するように構成され得る。長手方向スロット284内にスライド可能に受容された突起270は、針ハウジング105の長手方向軸に対して略平行な針ハブ262の直線移動を可能にするが、針ハウジング105に対する針組立体103の回転移動を制限する。
【0042】
長手方向スロット284は、使用可能位置(
図6Aに図示されているような)と安全位置(
図6Bに図示されているような)との間の針ハウジング105に対する動作で針組立体103を誘導し得る。使用可能位置において、針104の一部分は、針104の尖鋭針先端106が針ハウジング105を越えて突出するように、針ハウジング105から延在している。安全位置において、針104は後退され、尖鋭針先端106は、不注意による針刺しの可能性を減少または除去することを企図した方法で、針ハウジング105内に収容される。
【0043】
カテーテル挿入装置102は、針104を使用してカテーテル組立体100を挿入した後に尖鋭針先端106がアクセスされるのを抑制するように、尖鋭針先端106に近位の位置で針組立体に係合する針係止部290を含み得る。このように、針104が安全位置にあるとき、尖鋭針先端106へのアクセスは抑制される。よって、針係止部290は、安全位置で針組立体103を針ハウジング105とかみ合わせるように構成され得る。一実施形態において、針係止部290は、突起270に係合するように、近位スロット端部286において針ハウジング105の近位部分上に位置付けられ得る。この目的のために、いくつかの異なる種類の係止機構を使用することができる。例えば、一実施形態において、針ハウジング105の長手方向スロット284は、内部に画定されたボトルネック292を有し得、長手方向スロット284のボトルネック292は、長手方向スロット284の残りの部分よりも狭い幅を一般に有する。針組立体103の突起270は、くさびの頂点が使用可能位置にあるときにボトルネック292に面する形状で、三角形またはくさび状であり得る。安全位置までスライドさせるための労力で、針組立体103に外部力が加えられたとき、突起270のくさびの頂点は、ボトルネック292に接触し得る。突起270の幅よりも狭い幅を有し得るボトルネック292は、最初、ボトルネック292を通した突起270の移動に耐え得る。しかしながら、十分な力により、くさび形状の突起270は、ボトルネック292を一時的に変形させ得、それにより突起270がボトルネック292を通して通過することを可能にする。例えば、一実施形態において、くさび形状の突起270とボトルネック292との間の相互作用により、突起270がボトルネック292を通して通過したとの、聞き取れる「クリック」音、触覚または視覚的指標を生成し得る。その後、突起270は、ボトルネック292を通して反対方向に戻るように通過することはできず、針104は、針ハウジング105に対して安全位置に係止されるだろう。
【0044】
いくつかの実施形態において、カテーテル挿入装置102は、端キャップ263(
図3A~Gに図示されているような)を含み得る。端キャップ263は、針把持部268及び/または針ハブ262に連結され得、それにより針ハウジング105の近位端部280を覆う。端キャップ263は、臨床医が本明細書で考察されているようなカテーテル挿入手技中に押すことができる表面を提供し得る近位端部265を有し得る。
【0045】
図7A~Bを参照すると、一実施形態において、静脈内カテーテル組立体100は、受動的解放機構298を含み得る。受動的解放機構298は、使用可能位置(
図7Aに図示されているような)においてカテーテルハブ110をカテーテル挿入装置102に連結し、かつカテーテルハブ110をカテーテル挿入装置102及び安全位置(
図7Bに図示されているような)からを解放するように構成され得る。いくつかの実施形態において、受動的解放機構298は、カテーテル挿入装置102の尖鋭針先端106が、尖鋭針先端106へのアクセスが抑制される安全位置に来るまでカテーテル挿入装置102からのカテーテル組立体100の解放を抑制する1つ以上のカテーテルハブ接触部を含み得る。カテーテル挿入装置102からのカテーテル組立体100の解放は、針104を安全に後退させることを除く、追加のステップを行う必要なく、カテーテル挿入手技中に生じ得る。この点において、カテーテルは、「受動的な」安全を得るために、臨床医が「受動的に」解放することができる。例示によって、カテーテル組立体100は、臨床医が針104をカテーテル組立体100から後退させながら、臨床医がカテーテル挿入装置102の一部分上で引っ張るときに解放され得る。
【0046】
図8A~Bを参照すると、本開示の実施形態による受動的解放機構298の分解図が図示されている。受動的解放機構298は、保持部302及びカラー304を含み得る。保持部302は、カラー304内に受容され得、かつアクチュエータ306及びノーズ部308が一体構造を形成し得るように、アクチュエータ306及びノーズ部308を含み得る。保持部302は、カラー304とスライド可能に係合され得る。保持部302は、1つ以上の外側ハブ接触部310及び1つ以上の内側ハブ接触部312を含み得、外側ハブ接触部310及び内側ハブ接触部の両方が、カテーテルハブ110と接触し、それによりアクチュエータ306が遠位係合位置にあるときにカテーテルハブ110を受動的解放機構298に固定して係合するように構成されている。加えて、カラー304は、1つ以上の外側ハブ接触部313を含み得る。
【0047】
図9A~Bを参照すると、保持部302及びカラー304は、カテーテルハブ110が少なくとも部分的にカラー304内に、かつ少なくとも部分的にノーズ部308上に受容可能であるように形状決め及びサイズ決めされ得る。アクチュエータ306は、カラー304がカテーテルハブ110の近位端部を受容し得、かつノーズ部308がカテーテルハブ110の内側と係合し得る遠位係合使用可能位置(
図9Aに図示されているような)と、カテーテルハブ110が保持部302及びカラー304から解放されている近位係脱安全位置(
図9Bに図示されているような)との間で移動可能であり得る。
【0048】
ノーズ部308が遠位係合使用可能位置にあるとき、カテーテルハブ110の内側内に延在しているノーズ部308の長さは、ノーズ部308の直径の少なくとも2倍であり得る。カテーテルハブ110の内側は、ノーズ部308からのカテーテルハブ110の係脱を促進するように弾性であり得る。
【0049】
ノーズ部308は、より広い部分316及びより狭い部分318を含み得る針経路314を含み得る。より広い部分316は、より狭い部分318に対して遠位であり得る。より広い部分316は、針移行部266を含む針104が内部に受容され得るようにサイズ決めされ得る。より狭い部分318は、針移行部266を含まない針104の直径に非常に近似するようにサイズ決めされ得る。したがって、針移行部266は、より広い部分316及びより狭い部分318の接合点で針当接部320に接触して、針104のさらなる通過を抑制するだろう。針移行部266と針当接部320との間の接触は、針104の近位移動が保持部302を近位係脱安全位置へと近位に移動させることを可能にする。ノーズ部308は、尖鋭針先端106が係脱安全位置へと後退されたときに、尖鋭針先端106を覆うように構成され得る。
【0050】
保持部302の移動は、近位係脱安全位置において、外側ハブ接触部310、313及び/または内側ハブ接触部312がカテーテルハブ110から係脱され得、それによりカテーテルハブ110が受動的解放機構298から解放されることを可能にするように、針組立体103が安全位置に達する直前に生じ得る。具体的には、アクチュエータ306が遠位係合使用可能位置にあるとき、針組立体103の長手方向軸及びカテーテルハブ110の長手方向軸は、略同軸または平行であり得る。アクチュエータ306が近位係脱安全位置に対して移動されたとき、カテーテルハブ110は、カテーテルハブ110の長手方向軸が針組立体103の長手方向軸と整列されないように、針組立体103に対するカテーテルハブ110の角度付き回転により保持部302及びカラー304から係脱され得る。
【0051】
本明細書で使用される場合、「受動的解放機構」という用語は、カテーテル挿入装置102が安全位置に来た後までカテーテル組立体100の解放を抑制するカテーテル挿入装置102の特徴部を指すものと理解される。受動的解放機構298の特徴部のうちのいくつかまたは全部は、カテーテル挿入装置102の他の構成要素と一体的であり得る。この点において、「受動的解放機構」という用語は、必ずしも、針組立体103及び/または針ハウジング105から分離された構成要素を指すものではない。むしろ、受動的解放機構298、針組立体103、及び/または針ハウジング105は、受動的解放機構298を備え得ることが理解されるべきである。
【0052】
II.カテーテル組立体
カテーテル組立体100は、概して、カテーテルチューブ108及びカテーテルハブ110を含む。
図2A~Gに図示されているように、一実施形態において、カテーテル組立体100は、任意に、翼組立体112、延長チューブ114、延長チューブクランプ116、針なしコネクタ118、及び通気キャップ120を含み得る。したがって、カテーテル組立体100は、針104の後退後に血液が漏出するのを抑制し、それにより臨床医への血液または他の体液の曝露、特に、血液感染性疾患が存在し得る感受性の考慮の危険を低減するように構成された閉鎖系カテーテルであり得る。加えて、カテーテル組立体100の実施形態は、IV流体供給部への接続前に、カテーテル組立体100の内側への不要な汚染物の導入を抑制することができる。
【0053】
A.カテーテルチューブ、ハブ、及び翼部
図10A~Bを参照すると、本開示の実施形態によるカテーテルチューブ108及びカテーテルハブ110が図示されている。カテーテルチューブ108は、遠位端部124から近位端部126まで延在し得、カテーテルチューブ108は、カテーテルハブ110に動作可能に連結され得る。カテーテルチューブ108は、対象の血液とカテーテルハブ110とのそれらの間に流体経路を提供するように構成された内腔128を画定し得る。一実施形態において、カテーテルチューブ108は、放射線学的手技中のカテーテルチューブ108の同定を容易にするためのバリウム放射線不透明ライン129を含み得る。
【0054】
カテーテルハブ110は、カテーテルハブ本体130、隔壁132、及び隔壁保持部134を含み得る。カテーテルハブ本体130は、遠位端部136、近位端部138、及びそれらの間に第1の内側流体経路142を画定している内側壁140を有し得る。一実施形態において、カテーテルハブ本体130の遠位端部136は、カテーテルチューブ108の内腔128が第1の内側流体経路142と流体連通するように、カテーテルチューブ108の近位端部126に動作可能に連結されている。一実施形態において、内側壁140は、遠位端部136に近位の第1の内側流体経路142の小径部分146と、近位端部138に遠位の第1の内側流体経路142の大径部分148との間の第1の内側流体経路142内に移行的段差144をさらに画定している。
【0055】
一実施形態において、内側壁140は、側部ポート150をさらに画定している。一実施形態において、側部ポート150は、第1の内側流体経路142と流体連通している。一実施形態において、側部ポート150は、第1の内側流体経路142から離れるように、かつカテーテルチューブ108の内腔128に対して斜角で延在している。側部ポート150は、延長チューブ114の内側が第1の内側流体経路142と流体連通するように、1つ以上の長さの延長チューブ114に対する接続点を提供し得る。一実施形態において、内側壁は、延長チューブの接続点152をさらに含み得る。
【0056】
隔壁132は、遠位端部154、近位端部156、及び外周158を有し得る。隔壁132は、針104が隔壁132を通して後退されたとき、後退された針104により残された任意の空所が閉鎖して封止部を提供し、かつ隔壁132がその流体不浸透性を維持するように、自己封止し得る。一実施形態において、隔壁132は、隔壁132の遠位端部154が移行的段差144に対して当接し、それにより第1の内側流体経路142内の隔壁132の前方移動を抑制するように、部分的に第1の内側流体経路142内に位置付けられている。隔壁132は、カテーテルハブ本体130の内側壁140によりその外周158周りで制約され得る。隔壁132の後方移動は、隔壁保持部134により制限または抑制され得る。
【0057】
一実施形態において、第1の内側流体経路142の形状は、第1の内側流体経路142全体を通した流体のより均一な流れを促進して、カテーテル組立体100のフラッシング性を改善するように構成されている。例えば、一実施形態において、第1の内側流体経路は、死腔またはポケットの発生を減少させ、それにより微生物の増殖が生じる可能性がより高い領域を減少させるように形状決めされている。一実施形態において、第1の内側流体経路142の内側壁140の角度は、別様に、内側流体経路142の内側角部内に存在し得る死腔もしくはポケットを減少させるように面取りされるか、もしくは切り取られ得る。加えて、一実施形態において、隔壁132は、第1の内側流体経路142の死腔またはポケット及び近位部分を減少させるように、側部ポート150に非常に近位に位置付けられ得る。
【0058】
隔壁保持部134は、隔壁132を第1の内側流体経路140内の適所に固定するように構成され得る。一実施形態において、隔壁保持部134は、遠位端部160、近位端部162、それらの間にある内壁164及び外壁166を有し得る。隔壁保持部134は、カテーテルハブ本体130の第1の内側流体経路140内に少なくとも部分的に、または完全に受容可能であり得る。一実施形態において、隔壁保持部134の近位端部162は、カテーテルハブ本体130の近位端部138(
図10B及び12に図示されているような)と同一平面にあるか、またはこれに対して凹状である。一実施形態において、内壁164は、カテーテル挿入装置102の挿入針104を収容するのに使用され得る第2の内部通路168を画定している。一実施形態において、外壁166は、針104が通過することを可能にするように構成された孔170を画定している。
【0059】
図11を参照すると、本開示の実施形態によるカテーテルハブ本体130及び隔壁保持部134の分解斜視図が図示されている。
図12を参照すると、本開示による隔壁保持部134の別の実施形態の斜視図が図示されている。一実施形態において、外壁166は、カテーテルハブ本体130の内側壁140とかみ合い、それにより隔壁保持部134をカテーテルハブ本体130に連結させるように形状決め及びサイズ決めされている。
【0060】
図13を参照すると、本発明の実施形態による組み立て後のカテーテル組立体100の部分的な図が図示されている。
図14を参照すると、本開示の実施形態によるカテーテル挿入装置102に動作可能に連結された組み立て後のカテーテル組立体100の部分的半透明図が図示されている。一実施形態において、隔壁保持部134は、隔壁保持部134をカテーテルハブ本体130に連結させるための接着剤または超音波溶接の使用を伴わずに、カテーテルハブ本体130内にスナップフィットされている。スナップフィットを促進するために、一実施形態において、周方向保持部隆起部172は、外壁166及び周方向保持部隆起部172がカテーテルハブ本体130の内側壁140とかみ合うように形状決め及びサイズ決めされるように、外壁166の一部分内に形成され得る。いくつかの実施形態において、カテーテルハブ本体130の内側壁140は、周方向保持部隆起部172を受容するように構成された周方向チャネル174(
図10B及び14に図示されている)を含み得る。
【0061】
一実施形態において、隔壁保持部134は、外壁166上に位置付けられた複数の横リブ176を含み得る。横リブ176は、隔壁保持部134がカテーテルハブ本体130と共に組み立てられたときに、隔壁保持部134がカテーテルハブ本体130に対して回転することを抑制するように、隔壁保持部134とカテーテルハブ本体130との間に摩擦を提供するように構成され得る。一実施形態において、カテーテルハブ本体130の内側壁140は、複数の横リブ176の一部分を少なくとも部分的に受容するように構成され得る。
【0062】
図15を参照すると、本開示の実施形態による隔壁保持部134の近位端部162の端面図が図示されている。一実施形態において、隔壁保持部134は、内側壁164上に位置付けられた1つ以上の横突起177を含み得る。例えば、一実施形態において、3つの横突起177は、内側壁164上に位置付けられ得、かつ内側壁164から第2の内側流体経路168に向かって内方に突出するように構成され得る。
【0063】
図16を参照すると、本開示の実施形態によるカテーテル挿入装置102に動作可能に連結された隔壁保持部134及び隔壁132の部分的半透明図が図示されている。
図17を参照すると、本開示の実施形態によるカテーテル挿入装置102に動作可能に連結された隔壁保持部134及び隔壁132の部分的断面図が図示されている。一実施形態において、横突起177は、カテーテル組立体100がカテーテル挿入装置102に連結されたときに、隔壁保持部134及びカテーテルハブ110が一般にカテーテル挿入装置102に対して回転することを抑制するように、隔壁保持部134と受動的解放機構298のノーズ部308との間に摩擦を提供するように構成され得る。
【0064】
一実施形態において、横リブ176により提供される摩擦は、横突起177により提供される摩擦よりも大きく、そのため回転力が加えられたとき、隔壁保持部134がカテーテルハブ本体130に対して回転する前に、隔壁保持部134がカテーテル挿入装置102に対して回転する。
【0065】
一実施形態において、カテーテルハブ本体130の近位端部138は、ラグ139を含み得る。ラグ139は、カテーテルハブ110が受動的解放機構298により捕捉され得るように、カテーテルハブ110をカテーテル挿入装置102に対して配向するように構成され得る。例えば、一実施形態において、ラグ139は、ルアー係止接続の一部分として構成され得る。
【0066】
一実施形態において、カテーテルハブ本体130は、翼組立体112に対する支持として構造的な補強を提供するように構成された1つ以上のレッジ178を含み得る。一実施形態において、レッジ178は、1つ以上の穴180を画定し得る。穴180は、翼組立体112がカテーテルハブ本体130の一部分上に一体的に成形されたときに、翼組立体112との改善された接触を提供し得る。したがって、レッジ178は、カテーテルハブ110と翼組立体112との間の接合面積を増加させる機能を果たし得、ならびに翼組立体112がその可撓性を維持することを可能にすると同時に、翼組立体112に対する部分的で構造的な補強として機能し得る。
【0067】
図18A~Cは、本開示の実施形態による翼組立体112を有する静脈内カテーテル組立体100の部分的な図を図示する。一実施形態において、翼組立体112は、1つ以上の可撓性翼部181A/Bと、踵部分182と、カラー183とを含み得る。1つ以上の翼部181A/Bは、一般に、臨床医に対する適切な把持表面、ならびにカテーテルハブ110を患者の適所に固定することを支援する延長表面を提供するように、カテーテルチューブ108/カテーテルハブ110の中心軸から外方に延在し得る。1つ以上の翼部181A/Bは、前縁部もしくは遠位部分185及び後縁部もしくは近位部分187を有し得る。一実施形態において、翼部181の遠位部分185は、患者の皮膚との接触を改善するように、カテーテルチューブ108/カテーテルハブ110の軸に対して略直角に延在している略真っ直ぐな線を形成し得る。別の実施形態において、翼部181の遠位部分185は、翼部181の遠位端部がカテーテルチューブ108に近位の一対の翼部の遠位部分よりもさらに遠位に延在するように、緩い円弧を形成するように凹状であり得る。一実施形態において、翼部181の上表面は、臨床医がカテーテルハブ110を把持することを支援するように構成された凹状表面を画定し得る。
【0068】
踵部分182は、翼部181の近位部分187からカテーテルハブ110の近位端部138に向かって延在し得る。一実施形態において、踵部分182は、1つ以上の翼部181に近位のカテーテルハブ110の近位部分を支持するように構成されたくさび形状の構造であり得る。
【0069】
カラー183は、カテーテルハブ110の中心軸の周りを少なくとも部分的に巻包し得る。例えば、一実施形態において、翼組立体112は、カラーがカテーテルハブ110の近位部分の周りを少なくとも部分的に巻包するように、カテーテルハブ110上に一体的に成形され得る。一実施形態において、翼組立体112は、1つ以上のレッジ187が翼組立体112に対する構造的な補強及び支持を提供するように、内部に画定された1つ以上の穴180を有する1つ以上のレッジ178上に一体的に成形され得る。
【0070】
図18Cに最良に図示されているように、翼部181の底表面及び踵部分182の底表面は、接触面184を形成し得る。一実施形態において、接触面184は、カテーテルチューブ108が患者内に挿入され、翼部181が患者の皮膚に固定されたときに、カテーテルチューブ108が有意な曲げまたはヒンジ点を有しない、略真っ直ぐな線構成のままであり得るように、カテーテルチューブ108に対して角度付きであり得る。傾斜接触面184は、翼部181が患者の皮膚に対して略平行であることを可能にし、それにより1つ以上の翼部181と患者の皮膚との間の表面接触を増加させる。一実施形態において、接触面184は、7~9度の範囲の角度でカテーテルチューブ108の軸から角度的にオフセットされている。一実施形態において、接触面184は、およそ8度でカテーテルチューブ108の軸からオフセットされている。
【0071】
患者の皮膚に適合させる目的のために、翼組立体112は、低弾性率のカテーテルハブ110を有し得、それにより翼組立体112が患者の皮膚の輪郭に適合するようにより容易に捩回及び湾曲することを可能にする。一実施形態において、接触面184は、患者の皮膚との摩擦抵抗を増加させるためのトレッド等のテクスチャパターン(
図2Cに最良に図示されているような)を含み得る。例えば、一実施形態において、接触面184は、カテーテルハブ110が使用中に近位にスライドすることを抑制するように、カテーテルチューブ108の長手方向軸に対して略直角に位置付けられた複数の溝を含み得る。一実施形態において、接触面184は、カテーテルハブ110が使用中に左右にスライドすることを抑制するように、カテーテルチューブ108の長手方向軸に対して略平行に位置付けられた複数の溝を含み得る。一実施形態において、略直角な溝が、1つ以上の翼部181上に位置付けられ得、略平行な溝が、踵部分182上に位置付けられ得る。一実施形態において、テクスチャパターンは、平坦または滑らかな表面に生じ得る汗の蓄積を防止することを支援し得る。一実施形態において、テクスチャパターンは、不快感を生じ得る高圧領域の生成を抑制する。
【0072】
B.隔壁
隔壁132の1つの目的は、異なる2つの構成で、流体が第1の内側流体経路142から第2の内側流体経路168へと通過するか、またはその逆も同様に抑制することである。第1に、隔壁132は、カテーテル組立体100の挿入中、及び/または針104が隔壁132を通して延在するとき、流体の通過を抑制するように構成され得る。具体的には、いくつかの実施形態において、隔壁132の弾性設計は、静脈内カテーテル組立体100が使用前に保存されたままである、多くは3年以上の期間を超えて、隔壁132がそれを通して通過する針104により生じる開口の「セット」もしくはメモリを保持することを抑制することができる。
【0073】
第2の隔壁132は、種々の例示的な実施形態により、注射された薬物が300psi以上、最大325psi以上、または最大350psi以上まで加圧され得る圧力注射下で流体密封を提供するように構成され得る。隔壁132はまた、種々の例示的な実施形態により、注射された薬物が最大3mL/秒または最大5mL/秒の割合まで投与され得る、増加された流率仕立て流体密封を維持し得る。
【0074】
加えて、隔壁132は、流体が第1の内側流体経路142から第2の内側流体経路168へと通過することを抑制するための良好な封止特性を提供するように構成され得るが、また、針104が後退されるときの針104と隔壁132との相互作用間の過度の抵抗もしくは「抗力」を伴わずに、針104が後退されることを可能にし得る。したがって、隔壁132は、安全位置内に後退されたときに、針104上での良好な封止特性と摩擦抗力の減少との間のバランスを生成することができる。
【0075】
一実施形態において、隔壁132は、内腔128または第1の内側流体経路142内の流体がカテーテルハブ本体130の近位端部138を通して漏出することを抑制するように、内側壁140との流体密封を生成するように第1の内側流体経路142内に適合するようにサイズ決めされている。一実施形態において、隔壁132は、可撓性の流体不透過性材料から構成されている。例えば、隔壁132は、シリコン、イソプレン、または他の可撓性材料から構成され得る。隔壁132は、隔壁132内に存在するときに、カテーテルハブ本体130及び/または挿入針104との封止を促進するように、カテーテルハブ本体130内で径方向に圧迫され得る。いくつかの実施形態によると、隔壁は、最大10容量%、最大15容量%、最大20容量%、さらにはそれ以上まで圧迫される。
【0076】
図19A~Bを参照すると、隔壁126Bは、遠位端部154から近位端部156へと通過する切り欠き218を画定している内側表面216を有し得る。一実施形態において、切り欠き218は、挿入針がそこを通して通過することを可能にするように構成され得る。
図20を参照すると、本開示の実施形態による切り欠き218を通して通過する針104を有する隔壁126Bの端面図が図示されている。
【0077】
カテーテル挿入中、針104は、切り欠き218を通して隔壁126Bに対してスライドする。切り欠き218の構成は、一般に、従来型の隔壁の設計と比較して、減少された量の摩擦抵抗または抗力を提供する。抗力の減少は、針が通過したときに切り欠き218により形成される「キャッツアイ」形状に部分的に起因する。切り欠き218の幅及び/または構成は、キャッツアイ形状が形成される程度に影響を与え得る。
【0078】
図16A~Bを参照すると、隔壁126Cは、遠位端部154から近位端部156へと通過する孔220を画定している内側表面216を有し得る。一実施形態において、孔220は、挿入針104がそれを通して通過することを可能にするように構成され得る。孔220の構成は、一般に、従来型の隔壁の設計と比較して、良好な封止特性を提供する。
【0079】
図22A~Bを参照すると、隔壁126Dは、遠位端部154に生じ、かつ第1の厚さ222を通して通過する孔220、及び孔224の末端に生じ、かつ近位端部156を通して通過する切り欠き218を画定し、それにより第2の厚さ226を通して通過する内側表面216を有し得る。一実施形態において、孔220及び切り欠き218は、共に、針104がそこを通して通過することを可能にするように構成されている。一実施形態において、孔220に近位の切り欠き218の一部分は、孔220に向かってテーパ状であり得る。したがって、この実施形態は、良好な封止特性の孔220を有する切り欠き218の減少された抗力を補完する。
【0080】
図23A~26Bを参照すると、隔壁126E~Hは、遠位端部230及び近位端部232を有する第1の隔壁部分228A~Dと、遠位端部236及び近位端部238を有する第2の隔壁部分234A~Dとを含み得、第1の隔壁部分228A~Dの近位端部232は、第2の隔壁部分234A~Dの遠位端部236に動作可能に連結されている。
【0081】
図23A~24Bを参照すると、第1の隔壁部分228A~Bは、遠位端部230から近位端部232へと通過する孔220を画定している内側表面240を有し得る。第2の隔壁部分234A~Bは、遠位端部236から近位端部238へと通過する切り欠き218を画定している内側表面242を有し得る。いくつかの実施形態において、切り欠き218は、第2の隔壁部分234A~Bを通して外周158へと全体的に通過し得る。孔220及び切り欠き218は、共に、挿入針がそれを通して通過することを可能にするように構成されている。他の実施形態において、切り欠き218は、外周158まで延在しないように、より小さい可能性がある。例えば、切り欠きの長さは、0.040インチ、0.060インチ、または0.080インチであり得る。
【0082】
図25A~Bを参照すると、第1の隔壁部分228Cの厚さ244は、第2の隔壁部分234Cの厚さ246よりも大きい可能性がある。他の実施形態において、第1の隔壁部分228Cの厚さ244は、第2の隔壁部分234Cの厚さ246未満か、またはこれに略等しい可能性がある。一実施形態において、第1の隔壁部分228Cは、遠位端部230から近位端部232へと通過する孔220を画定している内側表面240を有し得る。第2の隔壁部分234Cは、遠位端部236から近位端部238へと通過する複数の切り欠き248を画定している内側表面240を有し得る。例えば、図示されているように、一実施形態において、複数の切り欠き248は、3点切り欠き構成であり得る。一実施形態において、孔220及び複数の切り欠き248は、共に、挿入針がそれを通して通過することを可能にするように構成されている。加えて、いくつかの実施形態において、第1の隔壁部分228及び/または第2の隔壁部分234は、隔壁部分228、234がカテーテルハブ本体130内に円周方向に圧迫され得るように、カテーテルハブ本体130の内側よりも大径を有し得る。
【0083】
図26A~Bを参照すると、第1の隔壁部分228Dは、遠位端部230から近位端部232へと通過する大径の孔250を画定している内側表面240を有し得る。第2の隔壁部分234Dは、遠位端部236から近位端部238へと通過する孔220を画定している内側表面242を有し得る。一実施形態において、孔220及び孔250は、共に、挿入針がそれを通して通過することを可能にするように構成されている。一実施形態において、孔250は、それを通して通過する針104の直径よりもわずかに小さい可能性がある。
【0084】
C.延長チューブ及びクランプ
図2A~Gを参照すると、本開示の実施形態による延長チューブ114及び任意の延長チューブクランプ116が図示されている。一実施形態において、延長チューブ114は、延長チューブ114内の流体の観察を可能にするように、略透明または半透明であり得る。一実施形態において、任意の延長チューブクランプ116は延長チューブ114を選択的に閉塞して流体の通過を制限するように変形され得る弾性材料から構成され得る。
【0085】
D.針なしコネクタ
図27A~Cを参照すると、本開示の実施形態による針なしコネクタ118が図示されている。一実施形態において、針なしコネクタ118は、
図27Cに部分的に図示されているように、延長チューブ114をIV流体供給部ラインのコネクタに接続するように構成されている。具体的には、針なしコネクタ118は、閉鎖または封止位置(
図27Bに図示されているような)まで付勢され得る。針なしコネクタ118のIV流体供給部186への接続により、針なしコネクタ118を開口位置(
図27Cに図示されているような)まで移動させ得る。針なしコネクタ118のIV流体供給部186からの分離時に、針なしコネクタ118は、閉鎖または封止位置に戻るように付勢され得る。
【0086】
一実施形態において、針なしコネクタ118は、IV流体供給部186に接続するためのルアー係止コネクタ119を含む。例えば、針なしコネクタ118は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,713,248号(CLAVEの商標下で、ICU Medical,Inc.により販売されている針なしコネクタを図示している)に記載されているコネクタであり得る。
【0087】
一実施形態において、針なしコネクタ118は、1つ以上の流体経路窓部190を有する円錐状内部導管188、内部導管188を選択的に覆うことができる可撓性圧迫封止部192、及び内部導管188及び圧迫封止部192を略囲むハウジング194から構成されている。ハウジング194の外側は、容易に掃除もしくは洗浄される表面を有する容易さを促進して細菌の増殖及び/もしくは存在を防止するように隙間が最小化されている略滑らかな表面を有し得る。ハウジング194の内側は、流体のより均一な流れを促進して針なしコネクタ118のフラッシング性を改善するように構成され得る。一実施形態において、ハウジング194の内側は、死腔またはポケットの発生を減少させ、それにより微生物の増殖が生じる可能性が高い領域を減少するように形状決めされ得る。
【0088】
針なしコネクタ118は、体液の漏出を防止し、かつ/または流体経路の汚染に対し保護することができる。
図27Bに図示されているように、閉鎖または封止位置において、圧迫封止部192は、内部導管188の流体経路窓部190上に延在しており、それにより流体が延長チューブ114から漏出するのを防止するための流体封止部を生成する。反対に、
図27Cに図示されているように、IV流体供給コネクタ186がハウジング194内に挿入されると、圧迫封止部192は、開口位置へと移動され、それによりIV流体供給コネクタ186の流体経路に対して流体経路窓部190を露出させる。したがって、針なしコネクタ118は、IV流体供給コネクタ186が取り付けられていないときに、静脈内カテーテル組立体100を周囲環境から封止し、かつ患者からの体液の漏出を抑制しながら、延長チューブ114を通して流体の流れを選択的に可能にする。
【0089】
よって、針なしコネクタ118は、カテーテル挿入装置102またはIV流体供給コネクタ186のいずれかに接続されていないときに、静脈内カテーテル組立体100が閉鎖系として機能することを可能にする。すなわち、針なしコネクタ118は、本明細書に記載されている通気キャップの種々の実施形態と組み合わせて、IV流体供給部186(または他の同様の種類の装置)が接続されるまで、血液が静脈内カテーテル組立体100から漏出するのを防止する。加えて、針なしコネクタ118及び延長チューブ114の内側部分は、周囲環境への曝露から保護される。対照的に、多くの従来型の設計(
図1A~Bに図示されているような)は、ルアー係止コネクタ68のみを用いている。したがって、カテーテル52をIV流体供給部に接続させる前に、延長チューブ64を圧着させるように設計されたクランプ66は、針組立体50が除去されたときに、血液が患者から自由に流れるのを防止するように係合される。さらに、クランプ66とルアー係止コネクタ68との間の延長チューブ64の内側は、IV流体供給部への接続前に、周囲環境に曝される。
【0090】
図28を参照すると、本開示の実施形態による第1の針なしコネクタ118A及び第2の針なしコネクタ118Bを有する静脈内カテーテル組立体100が図示されている。他の実施形態において、静脈内カテーテル組立体100は、2つ超の針なしコネクタを含み得る。針なしコネクタ118A/Bは、「Y」字状連結部115により延長チューブ114に動作可能に連結され得る。一実施形態において、連結部115は、一端で延長チューブ114に固定して連結されており、かつ針なしコネクタ118A/Bへのそれぞれの連結部に対する他端にルアー係止接続の1つ以上の部分を含む。
【0091】
E.通気キャップ
図29A~Cを参照すると、本開示の実施形態による通気キャップ120の種々の図が図示されている。通気キャップ120の1つの機能は、血液の漏出を防止しながら、静脈内カテーテル組立体100内に閉じ込められたガスを通気するために、IV流体供給部186が針なしコネクタ118に取り付けられていないときに、針なしコネクタ118を閉鎖または封止位置から開口位置へと移動させることである。具体的には、通常の状態下で、カテーテルチューブ108が挿入された患者からの体液は、通気キャップ120を通して閉じ込められたガスを押すために必要な圧力を提供することができる。いくつかの実施形態において、通気キャップ120は、使用後に廃棄可能であり得る。
【0092】
したがって、カテーテル挿入手技中もしくは後、患者からの血液もしくは体液は、カテーテルチューブ108及び静脈内カテーテル組立体100の他の部分に進入し、それにより通気キャップ120により作動されたときに、カテーテル組立体100内からカテーテル挿入装置102のガス多孔質バリアもしくは針なしコネクタ118のいずれかを通して空気を放出させる。いくつかの実施形態において、圧迫封止部192は、作動または開口位置において通気キャップ120がそこに組み立てられた状態で出荷され得る。しかしながら、いくつかの針なしコネクタ118の実施形態の圧迫封止部192の延長された圧迫により、圧迫封止部192を永久的に変形させ得ることが発見された。したがって、いくつかの例示的な実施形態は、針なしコネクタ118が閉鎖または封止位置にある状態で通気キャップ120が針なしコネクタ118により保持される第1の初期位置において針なしコネクタ118に連結され得る通気キャップ120と共に構成されている。カテーテル挿入手技と関連して、またはそのすぐ後、通気キャップ120は、圧迫封止部192を圧迫するように第2の位置に動くか、または移動され得、それにより針なしコネクタ118を開口位置に移動させ、かつ内部に閉じ込められた空気の放出を可能にする。
【0093】
一実施形態において、通気キャップ120は、ノーズ部196、フラッシュプラグ198、押し板202、及び1つ以上の針なしコネクタ係合アーム204を含み得る。ノーズ部196は、IV流体供給コネクタ186の適所で、針なしコネクタ118のハウジング194内に適合するようにサイズ決め及び形状決めされ得る。いくつかの実施形態において、ノーズ部196は、テーパ状であり得る。ノーズ部196は、通気経路208を画定している通気経路壁206を含み得る。通気経路208は、針なしコネクタ118の流体経路窓部190が通気経路208内に少なくとも部分的に存在するように、別様にIV供給コネクタ内に延在している内部導管188の一部分を受容するのに十分な直径を有し得る。ノーズ部196の遠位端部210は、圧迫封止部192と当接接触し得、かつその間に流体封止部を提供し得る。
【0094】
図30A~Bを参照すると、通気キャップ120は、針なしコネクタに対して組み立てられ得、かつ針なしコネクタ118の圧迫封止部192が非圧迫状態にあり、それにより流体が通気経路208を通して通過することを抑制する第1の保存位置(
図30Aに図示されているような)と、針なしコネクタ118の圧迫封止部192が圧迫状態にあり、それにより流体が通気経路208を通して通過すること可能にする第2の能動的押し下げ位置(
図30Bに図示されているような)との間で動くことができるか、または移動可能であり得る。
【0095】
空気透過性バリア198は、通気経路208の一部分内に位置付けられ得る。空気透過性バリア198は、血液もしくは体液が通気経路208を充填したときに空気もしくはガスが通気することを可能にするが、血液もしくは体液が通気経路208を通して全体的に通過することを抑制する空気透過性マトリクスから構成され得る。いくつかの実施形態において、通気キャップ120は、透明または半透明な材料から構成され得る。空気の通気中、血液または他の体液は、通気経路208の一部分を充填し得、それによりカテーテルチューブ108が患者の血管内に挿入されたとの視覚的確認を臨床医に提供し得る。そのような視覚的確認は、二次的もしくは三次的なフラッシュバックと称され得、主な及び/または二次的なフラッシュバックは、カテーテル挿入装置102と関連する1つ以上のフラッシュバック指標において生じる。例えば、一実施形態において、患者の血管内への針104の挿入時に、臨床医は、血液の流れが刻み目276を通して、針104の外側とカテーテルチューブ108の内側との間にある環状空間内へと通過するとき、フラッシュバックを最初に見ることができる。二次的なフラッシュバック指標は、患者からの血液が針104の内腔を通してフラッシュバックチャンバ272内へと近位に流れたときに存在し得る。三次的なフラッシュバック指標は、血液がカテーテルチューブ108、延長チューブ114、針なしコネクタ118を通して通気経路208内へと流れたときに存在し得る。最初のフラッシュバックと、二次的なフラッシュバックと、三次的なフラッシュバックとの間の時差により、浸潤/溢血と関連し得るような対象の血管系を越えて針が延長されていないことを臨床医が確認することを可能にし得る。
【0096】
ノーズ部196は、押し板202において終端し得る。押し板202は、通気キャップ120が第1の保存位置と第2の能動的押し下げ位置との間を手動で移動されるときに、臨床医が押す表面を提供するように構成されたフランジ212を含み得る。一実施形態において、通気経路壁206の一部分は、アイレット214をさらに画定し得る。アイレット214は、通気経路208と通気経路壁206の外側との間の空気を通気するための流体経路を提供するように構成され得る。具体的には、アイレット214は、通気キャップ120が第2の能動的押し下げ位置まで移動されたときに、臨床医がその指で通気経路208の端部を封止した場合に、空気を漏出させるための経路を提供し得る。一実施形態において、通気キャップ120の一部分は、通気キャップ120が第2の能動的押し下げ位置まで移動されたときに、聞き取れるクリック音及び/または触覚的フィードバックを提供するように構成された機構を含み得る。
【0097】
1つ以上の針なしコネクタ係合アーム204は、針なしコネクタ118の一部分を把持するように構成され得る。一実施形態において、1つ以上の針なしコネクタ係合アーム204は、針なしコネクタ118に対する1つ以上の針なしコネクタ係合アームの把持を改善するための隆起部203を含み得る。いくつかの実施形態において、針なしコネクタ係合アーム204は、弾性材料から構成され得、そのため針なしコネクタ係合アーム204は、一次的な変形後にその元の形状を取り戻す傾向がある。いくつかの実施形態において、針なしコネクタアーム204の弾性は、針なしコネクタ118に連結されたときに、通気キャップ122が第1の保存位置まで付勢されることを可能にする。いくつかの実施形態において、針なしコネクタ118のハウジング194の外側表面は、直径が増加するようにテーパ状であり得、そのため通気キャップ120が第2の能動的押し下げ位置まで移動されたときに、針なしコネクタ係合アーム204は、互いに離れるように偏向される。臨床医が通気キャップ20を解放させると、針なしコネクタ係合アーム204の弾性により、通気キャップ120が第1の保存位置まで戻るように付勢され得る。したがって、いくつかの実施形態によると、第1の保存位置への通気キャップ122の付勢により、針なしコネクタ118の圧迫封止部192が、圧迫封止部192が長時間圧迫されたときに生じ得るような永久的に変形する可能性が低減される。
【0098】
F.動作
動作時、静脈内カテーテル組立体100の配置は、概して、患者の生物学的部位の準備を含む。止血帯は、生物学的部位の近位に適用されることが多く、様々な技術を使用して患者の血管を拡張させることができる。使い捨て可能な手袋を着用している間、臨床医は、生物学的部位を洗浄し、部位から約50~75mm遠位の血管上に親指を置くことにより、血管が後退または固定される。
【0099】
図31Aを参照すると、針104及びカテーテルチューブ108は、血管の1つの壁を刺し通すために、対面する斜面と約20~30度の角度で尖鋭針先端106の斜面を血管内に挿入することにより血管内に導入される。いくつかの実施形態において、このプロセス中、臨床医は、最適な制御のためにカテーテル挿入装置102を把持する。成功した場合、血管からの血液は、針104の内腔を通して流れ、それにより1つ以上のフラッシュバック機構を通した血管進入の肯定指示を提供する。
【0100】
図31Bを参照すると、配置を完成するために、進入角度を減少させるように静脈内カテーテル組立体100を皮膚に向かって降ろし、カテーテルチューブ108を血管内にわずかに前進させる。針104を緩め、カテーテルハブ110が生物学的部位に対するまで、カテーテルチューブ108を血管内にさらに上へとゆっくり前進させる。
【0101】
図31Cを参照すると、止血帯を緩め、針104をカテーテルチューブ108から後退させる。針104を後退させると、尖鋭針先端106は、カテーテルチューブ内腔128及び隔壁132を通して後退される。尖鋭針先端106が隔壁132を通して通過すると、隔壁132の自己封止性により、針104によって残された任意の空所が閉鎖されて、流体密封バリアを生成する。針104をさらに後退させると、針移行部266は、能動的解放機構298のアクチュエータ306を近位に移動させ、それによりカテーテル挿入装置102からのカテーテル組立体100の解放を可能にする。
【0102】
次に、臨床医は、ガーゼ及び接着テープによりカテーテルハブ110及び/または翼組立体112を生物学的部位に固定することにより、カテーテル組立体100を適所に固定することができる。カテーテル組立体100内に閉じ込められた空気もしくはガス状流体は、通気キャップ120を第1の保存位置から第2の能動的押し下げ位置へと移動させることにより通気され得、それにより静脈内カテーテル組立体100内の空気を抜き、ならびにフラッシュバック機構を通した患者の血管内のカテーテルチューブ108の配置の肯定指示を提供する。
【0103】
次に、針なしコネクタ118は、患者に薬物を供給するか、または患者から流体を採取するように構成されたIV流体供給部186に接続され得る。延長チューブクランプ116は、延長チューブ114の流体経路を開閉するように所望されるように操作され得る。
【0104】
図31Dを参照すると、カテーテル組立体100を除去するのに適しているとき、臨床医は、カテーテルハブ110及び/または翼組立体112を患者の生物学的部位に固定するガーゼ及び/または接着テープを除去することができる。次に、
図31Dの矢印により示されている方向に組立体を引っ張ることにより、カテーテル組立体100をゆっくりと引き抜くことができる。
【0105】
本発明の教示の方法において使用されている個々のステップは、任意の順序で、かつ/または同時に、本教示が動作可能である限り実行され得ることが理解されるべきである。さらに、本発明の教示の装置及び方法は、本教示が動作可能である限り、記載されている実施形態の任意の数または全てを含み得ることが理解されるべきである。
【0106】
対象の血管にアクセスする際に使用するための種々の例示的な静脈内カテーテル組立体100の実施形態を本明細書に記載している。本明細書に記載されている例示的な実施形態は、代替的に、限定されないが、対象の動脈を含む血管以外の場所において対象の血管系にアクセスするために使用され得ることが理解されるべきである。加えて、「臨床医」という用語は、本明細書に記載されている例示的な実施形態のうちのいずれか、またはそれらの組み合わせを用いてカテーテル挿入手技を実行することができる任意の個人を指すことが理解されるべきである。同様に、本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒト、動物、もしくは無生物であろうと、カテーテルが挿入され得る個人もしくは物体を指すものと理解されるべきである。対象の血管にアクセスする臨床医により実行される手技に関して、利便性のために本明細書で種々の説明が行われているが、本開示は、この点に限定されるものではない。
【0107】
当該技術分野の当業者であれば、実施形態が、上に記載されている任意の個々の実施形態において図示されているものよりも少ない特徴を含む場合があることを認識しているだろう。本明細書に記載されている実施形態は、種々の特徴を組み合わせ得る方法の包括的な提示であることを意味していない。したがって、実施形態は、相互に排他的な特徴の組み合わせではなく、むしろ、実施形態は、当業者により理解されているように、異なる個々の実施形態から選択される異なる個々の特徴の組み合わせを含み得る。さらに、一実施形態に関して記載されている要素は、別段記載されない限り、そのような実施形態において記載されていない場合であっても、他の実施形態において実装され得る。特許請求の範囲において、ある従属請求項は、1つ以上の他の請求項との特定の組み合わせを指し得るが、他の実施形態は、各他の従属請求項の主題事項との従属請求項の組み合わせ、または他の従属もしくは独立請求項との1つ以上の特徴の組み合わせも含み得る。特性の組み合わせを企図していないと述べられていない限り、そのような組み合わせは、本明細書において提案されている。さらに、ある請求項が独立請求項に直接従属されていない場合であっても、任意の他の独立請求項においてこの請求項の特徴を含むことも企図されている。
【0108】
さらに、本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、または「いくつかの実施形態」の参照は、本実施形態と関連して記載されている具体的な特徴、構造、または特性が、本教示の少なくとも一実施形態に含まれることを意味している。本明細書中の種々の場所における「一実施形態において」という語句の登場は、必ずしも全て同じ実施形態を指すものではない。
【0109】
上の書類の参照によるいかなる組み込みも、本明細書の明示的な開示に反する主題事項を一切含まないように限定される。上の書類の参照によるいかなる組み込みも、本書類に含まれている請求項が本明細書の参照により一切組み込まれないようにさらに限定される。本明細書に明示的に含まれない限り、上の書類の参照によるいかなる組み込みも、本書類において提供されたいかなる定義も本明細書の参照により組み込まれないようにさらに限定される。
【0110】
特許請求の範囲を解釈するために、ある請求項に「ための手段」または「ためのステップ」という特定の用語が列挙されていない限り、米国特許法112条第6パラグラフの規定は行使されるべきではないことが明示的に企図されている。