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  • 特許-ロックばねを有する電気コネクタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】ロックばねを有する電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20230320BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
H01R13/64
H01R13/639 Z
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021156227
(22)【出願日】2021-09-27
(65)【公開番号】P2022058229
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】2010013
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518105024
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクス フランス エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ロール
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ パマール
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ ルイヤール
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-110182(JP,A)
【文献】特開2005-063752(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0154911(US,A1)
【文献】特表2005-538530(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0079118(US,A1)
【文献】特開2002-367726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0187672(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込方向(E)に沿って相手側電気コネクタに差し込むことのできる電気コネクタであって、
前記電気コネクタは、
- 圧縮ばね(16)を受け入れる大きさの凹部(34)を含む一体型ハウジング(12)と、
- 長手方向軸(A)を有する圧縮ばね(16)であって、差込位置で無負荷の前記圧縮ばね(16)は、前記圧縮ばね(16)の負荷状態で前記相手側電気コネクタへの前記電気コネクタの差込に抵抗するように構成されている、圧縮ばね(16)と、
- 前記電気コネクタの位置保証要素(18)であって、前記一体型ハウジング(12)の前記凹部(34)に配置され、かつ前記圧縮ばね(16)の第1の端部(42)を通って挿入されるように構成されているヘッド(44)を含む、位置保証要素(18)と、を備え、
前記電気コネクタが送達位置から前記差込位置に向かって前記相手側電気コネクタに差し込まれた際に、前記電気コネクタの前記位置保証要素(18)は前記差込方向(E)に変位可能であり、
前記圧縮ばね(16)の前記第1の端部(42)は前記電気コネクタの前記位置保証要素(18)のみに力を加え、
前記位置保証要素(18)は前記一体型ハウジング(12)に力を加え、
前記圧縮ばね(16)の前記長手方向軸(A)に沿って前記第1の端部(42)と反対側の前記圧縮ばね(16)の第2の端部(56)が、前記一体型ハウジング(12)の前記凹部(34)のみに力を加え

前記電気コネクタの前記位置保証要素(18)の前記ヘッド(44)は、前記位置保証要素(18)のベース(48)の第1の面(46)から横方向に延び、少なくとも2つのロックアーム(62)が前記ベース(48)の第2の面(50)から横方向に延び、前記第2の面(50)は前記第1の面(46)の反対側であり、
前記少なくとも2つのロックアーム(62)は、前記差込位置で前記相手側電気コネクタの対応するロック手段にロックするように構成されている、
電気コネクタ。
【請求項2】
前記差込方向(E)は前記圧縮ばね(16)の前記長手方向軸(A)に平行である、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記電気コネクタの少なくとも1つのピンを収容する、かつ/またはカバーを形成するための1つまたは複数の部分をさらに備え、前記圧縮ばね(16)は、前記部分に力を加えないように配置されている、
請求項1または2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記凹部(34)は半円形断面を有する溝(40)である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記溝(40)の長さ(l)が、前記圧縮ばね(16)が無負荷状態にあるときの前記長手方向軸(A)に沿った前記圧縮ばね(16)の長さ(L1)に略等しい、
請求項4に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記電気コネクタの前記位置保証要素(18)の前記ヘッド(44)は、所定の高さ(l)にわたって延び、前記高さ(l)は、前記電気コネクタが前記送達位置にあるときに前記圧縮ばね(16)の少なくとも2つの巻き(36)が前記位置保証要素(18)の前記ヘッド(44)に接触するように構成されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記電気コネクタの前記位置保証要素(18)の前記ヘッド(44)は、円形、三角形、正方形、矩形、または長円形の断面を有し、前記ヘッド(44)の最大寸法が前記圧縮ばね(16)の内径(d1)に略等しい、
請求項1から6のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記電気コネクタが送達位置から前記差込位置に向かって前記相手側電気コネクタに差し込まれると、前記圧縮ばね(16)の前記第1の端部(42)は、前記電気コネクタの前記位置保証要素(18)の前記ベース(48)の前記第1の面(46)に力を加え、前記電気コネクタの前記位置保証要素(18)の前記ベース(48)の前記第2の面(50)は、前記一体型ハウジング(12)に力を加える、
請求項1から7のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記電気コネクタは、自動車車両の安全拘束システム用のスクイブコネクタである、
請求項1から8のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記差込位置で相手側電気コネクタ(100)に差し込まれてロックされる、請求項1から9のいずれか一項に記載の電気コネクタ(10)のアセンブリであって、
前記電気コネクタ(10)の前記位置保証要素(18)が、前記差込位置で前記相手側電気コネクタ(100)の対応するロック手段(102)にロックされる少なくとも2つのロックアーム(62)を備える、
電気コネクタのアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差込方向に沿って相手側電気コネクタに差し込むことのできる電気コネクタ、特に、自動車車両の安全拘束システム用のスクイブコネクタ(squib connector)に関する。本発明はまた、そのような電気コネクタと相手側電気コネクタとのアセンブリに関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、ばねの作用と連動して、相手側電気コネクタとの接続不良を自動的に防ぐことのできる位置保証要素を備える、差込接続用の電気コネクタ、特に、自動車車両の安全拘束システム用のスクイブコネクタに関する。
【背景技術】
【0003】
自動車車両の安全ベルトまたはエアバッグに日常的に使用される電気コネクタは、車両のセンサが受信する衝撃情報または振動情報に応じてベルトの締付けまたはエアバッグの膨張を開始することのできる起爆デバイス(pyrotechnic devices)を備えることが知られている。
【0004】
また、そのような電気コネクタは、典型的には自動車車両の場合のように、衝撃または振動を日常的に受ける可能性のある環境で維持される相手側電気コネクタとの正しい結合を監視および確保するために使用することが可能な二次ロックシステムまたはコネクタ位置保証デバイス(CPA)を組み込むことができることも、従来技術から知られている。
【0005】
二次ロックが、二次ロック要素を1つの所定の位置から別の所定の位置へ変化させるために使用可能なばねを使用できる、電気コネクタも知られている。
【0006】
二次ロックのために、U字形ロッドおよびばね、またはねじりコイルばね、または圧縮コイルばねを使用することも知られている。
【0007】
これらのばねは、通常、電気コネクタを構成する2つ以上の部分の間、例えば、カバーを形成する部分とコネクタのハウジングとの間に配置される。カバーは、一般に、コネクタにスナップ嵌めされる。
【0008】
しかしながら、依然として、これらのコネクタの部分は、ばねを付勢したとき、すなわち、ばねに予負荷を加えたときにばねにより加えられる力によって、ばらばらになるおそれがあるというリスクがある。実際には、ロックばねの復元力により、コネクタを構成する2つ以上の部分が外れることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ロックばねを有する電気コネクタであって、ロックばねにより加えられる力の影響による切離しが防止された電気コネクタを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、構造、したがってアセンブリが簡略化されている、ロックばねを有する電気コネクタを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、差込方向に沿って相手側電気コネクタに差し込むことのできる、電気コネクタ、特に、自動車車両の安全拘束システム用のスクイブコネクタによって達成される。電気コネクタは、圧縮ばねを受け入れる大きさの凹部を含む一体型ハウジングと、長手方向軸を有する圧縮ばねとを備える。差込位置で無負荷の圧縮ばねは、圧縮ばねの負荷状態で相手側コネクタへのコネクタの差込に抵抗するように構成されている。
電気コネクタは、コネクタの位置保証要素を備え、位置保証要素は、一体型ハウジングの凹部に配置され、かつ圧縮ばねの第1の端部を通って挿入されるように構成されているヘッドを含む。コネクタが相手側コネクタに差し込まれた際に、コネクタの位置保証要素は、送達位置から差込位置に向かって差込方向に変位可能であり、圧縮ばねの第1の端部はコネクタの位置保証要素のみに力を加え、位置保証要素は一体型ハウジングに力を加え、ばねの長手方向軸に沿って第1の端部と反対側の圧縮ばねの第2の端部が、一体型ハウジングの凹部のみに力を加えるようになっている。
【0012】
したがって、ハウジングの一体型構造と、ハウジングの凹部に圧縮ばねを配置することとは、差込時にばねにより加えられる力がハウジングおよび位置保証要素のみに加わり、位置保証要素は、次いで反力により、一体型ハウジングのみに差込方向に力を加えるということを意味する。言い換えると、ばねにより加えられる力のすべてが一体型ハウジングのみに伝えられる。
【0013】
その結果、コネクタの一部である任意の他の部分、例えばカバー(図示せず)が、ばねにより加えられる力を受けることがない。
【0014】
言い換えると、要素またはカバーを一体型ハウジングにスナップ嵌めすることができるが、この要素またはこのカバーは、第1の端部が位置保証要素のヘッドの周りに配置されている状態で、既に凹部に保持されているばねを保持する機能を持たない。
【0015】
そのため、ばねが加え得るすべての力が一体型ハウジングのみに加わる。したがって、コネクタの切離しのリスク、例えば、ばねにより加えられる力の影響によってハウジングがカバーから予期せず係合解除されるリスクを避けることができる。
【0016】
本発明を、以下の実施形態によってさらに改良することができる。
【0017】
一実施形態によれば、差込方向は圧縮ばねの長手方向軸に平行であってよい。
【0018】
したがって、圧縮ばねの復元力は、差込方向に平行な方向に与えられる。そのため、圧縮ばねは、相手側電気コネクタとの電気コネクタの接続不良に抵抗するように構成されている。
【0019】
一実施形態によれば、電気コネクタは、コネクタの少なくとも1つのピンを収容する、かつ/またはカバーを形成するための1つまたは複数の部分をさらに備えることができ、圧縮ばねは、前記1つまたは複数の部分に力を加えないように配置されている。
【0020】
コネクタを構成し得る他の部分、例えばカバーが、圧縮ばねにより加えられる力を受けることがないため、一体型ハウジングからこの1つまたは複数の部分が係合解除されることを避けることができる。これは、ばね16による力のすべてが、単一片に形成された1つの同一の部品、すなわち一体型ハウジングのみに加わるからである。
【0021】
一実施形態によれば、凹部は半円形断面を有する溝であってよい。
【0022】
したがって、凹部は、圧縮コイルばねを収容するように適合された形状を有する。凹部におけるばねの保持が向上する。
【0023】
一実施形態によれば、溝の長さは、前記ばねが無負荷状態にあるときの長手方向軸に沿った圧縮ばねの長さに略等しくてよい。
【0024】
したがって、凹部の形状は、無負荷状態の圧縮コイルばねを収容するように適合されている。これにより、圧縮ばねが送達位置(delivery position)において小さい力を上回って力を加えることを防ぐことができる。
【0025】
一実施形態によれば、コネクタの位置保証要素のヘッドは、所定の高さにわたって延びることができ、この高さは、電気コネクタが送達位置にあるときにばねの少なくとも2つの巻きが位置保証要素のヘッドに接触するように構成されている。
【0026】
したがって、コネクタの位置保証要素のヘッドの構造および幾何形状は、ばねを前記ヘッドに十分に保持できるように適合されている。
【0027】
一実施形態によれば、コネクタの位置保証要素のヘッドは、円形、三角形、正方形、矩形、または長円形の断面を有することができ、最大寸法は圧縮ばねの内径に略等しい。
【0028】
したがって、コネクタの位置保証要素のヘッドの構造および幾何形状は、ばねを前記ヘッドに十分に保持できるように適合されている。したがって、圧縮ばねを一体型ハウジングに保持するためにカバーなどの追加の部品を使用する必要がない。ばねがそのような部品に力を加えてコネクタの切離しのリスクを生じさせ得ることを防ぐことに加えて、これにより、電気コネクタを構成する要素の数を有利に減らす可能性がもたらされる。
【0029】
一実施形態によれば、コネクタの位置保証要素のヘッドは、前記位置保証要素のベースの第1の面から横方向に延びることができ、少なくとも2つのロックアームが前記ベースの第2の面から横方向に延びることができ、第2の面は第1の面の反対側であり、少なくとも2つのロックアームを、差込位置で相手側電気コネクタの対応するロック手段にロックするように構成することができる。
【0030】
したがって、位置保証要素は、差込位置でロックする機能と、圧縮ばねを一体型ハウジングに保持する機能との両方に向けて構成されている。したがって、位置保証要素の構造は、有利なことに前記位置保証要素の多目的使用を可能にするように適合されている。その結果、これら2つの機能を実行するためにハウジングの追加の要素を使用することを避けることが可能になる。
【0031】
一実施形態によれば、コネクタが送達位置から差込位置に向かって相手側コネクタに差し込まれると、ばねの第1の端部は、コネクタの位置保証要素のベースの第1の面に力を加えることができ、コネクタの位置保証要素のベースの第2の面は、場合により、一体型ハウジングに力を加えることができる。
【0032】
したがって、最終的に、ばねの第1の端部により生じる力は、一体型ハウジングのみに伝わる。したがって、コネクタの切離しのリスクを防ぎ、避けることができる。
【0033】
本発明の目的は、差込位置で相手側コネクタに差し込まれてロックされる、前述した電気コネクタのアセンブリであって、コネクタの位置保証要素が、差込位置で相手側電気コネクタの対応するロック手段にロックされる少なくとも2つのロックアームを備える、電気コネクタのアセンブリによって達成される。
【0034】
したがって、このタイプのアセンブリは、差込位置でロックする機能と、圧縮ばねを一体型ハウジングに保持する機能との両方に向けて構成されている位置保証要素を備える。したがって、位置保証要素の構造は、有利なことに前記位置保証要素の多目的使用を可能にするように適合されている。その結果、これら2つの機能を実行するためにハウジングの追加の要素を使用することを避けることが可能になる。
【0035】
加えて、このタイプのアセンブリでは、力のすべてがばねによりコネクタの一体型ハウジングのみに加えられるため、前記コネクタの切離しのリスク、例えば、ばねにより加えられる力の影響によってハウジングとカバーとが予期せず係合解除されるリスクを避けることができる。
【0036】
本発明の有利な実施形態のさらに多くの変形形態を生み出すために、前述した実施形態を組み合わせることができる。
【0037】
以下で、好ましい実施形態を用いて、特に下記の添付図面を参照しながら、本発明およびその利点についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明による電気コネクタの概略図である。
図2a】本発明による電気コネクタを相手側コネクタに差し込むための最初のステップの概略断面図である。
図2b】本発明による電気コネクタを相手側コネクタに差し込むための中間ステップの概略断面図である。
図2c】本発明による電気コネクタを相手側コネクタに差し込むための最終ステップの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明による電気コネクタ10の概略立体図である。
【0040】
図1に示す実施形態において、電気コネクタ10は、相手側コネクタ(図示せず)に結合することのできる、自動車車両のエアバッグスクイブシステム用のばねロックコネクタである。電気コネクタ10は、相手側コネクタに不適切に挿入される、または不完全に結合されると、自動的に排出されるように構成されている。
【0041】
図示しない他の実施形態において、電気コネクタ10は別のタイプのばねロックコネクタであってよい。
【0042】
図1に示す電気コネクタ10は、主要部分14を有するハウジング12を備え、主要部分14は、ロックばね16と、以下で「CPA18」と称するコネクタの位置保証要素18とを備える。電気コネクタ10は、図1に矢印Eで示す差込方向Eに沿って相手側コネクタに接続するように構成されている、円筒形の差込部分20をさらに備える。
【0043】
電気コネクタ10のハウジング12は一体型である。したがって、ハウジング12の部分14、20は、例えば射出成形によって形成された単一部品を構成する。これにより、ハウジング12の簡単かつ安価な形成が可能になる。したがって、一体型ハウジング12を組み立てるためのステップが不要であるため、コネクタ10を組み立てるときに時間が節約される。
【0044】
以下で、ハウジング12の一体的に形成された部分(integrally formed portions)14、20についてより詳細に説明する。
【0045】
差込部分20は、2つのロックアーム(図1では1つのロックアーム22のみが見えている)を備える。各ロックアーム22は、ロックラグ26を備える自由端部24を含み、ロックラグ26は、差込位置(図1には示さず)で相手側コネクタのロック領域に収容されるように構成されている。差込位置は、電気コネクタ10が相手側コネクタに正しく差し込まれる、すなわち結合される位置に対応する。
【0046】
主要部分14は平坦ベース28を備え、平坦ベース28から、部分30が差込方向Eと反対の方向へ長さlにわたって横方向に延びる。図1に示す実施形態において、部分30は略半円形断面32を有する。
【0047】
他の実施形態において、部分30の断面は異なる形状を有することができる。
【0048】
しかしながら、実施形態のすべてに共通する方法で、部分30はロックばね16を受け入れる大きさの凹部34を含む。
【0049】
図1に示す実施形態において、ロックばね16は長手方向軸Aを有する圧縮コイルばね16である。図示しない変形形態において、ロックばね16は圧縮波形ばねであってよい。
【0050】
以下で、「ばね」、「ロックばね」、「圧縮ばね」、および「コイルばね」という用語は、同一の要素、すなわち図1に示すばね16を指す。
【0051】
ロックばね16は、差込位置で無負荷であるように構成されている。さらに、ばね16は、ばね16の負荷状態で相手側コネクタへのコネクタ10の差込に抵抗するように構成されている。ばね16の負荷状態で、ばね16の端部がそれぞれ復元力を与える。
【0052】
圧縮ばね16の長手方向軸Aは、差込方向Eに平行である。したがって、ばね16の復元力は、差込方向Eに平行な方向に与えられる。そのため、ばね16は、コネクタ10と相手側電気コネクタとの不適切な接続に抵抗するように構成されている。
【0053】
ロックばね16は、内径d1および外径d2をd1<d2となるように有する複数の巻き36を含む。ロックばね16の外径d2は凹部34の幅lに略等しいため、ばね16が凹部34に収容されているとき、ばね16の巻き36が凹部34の壁38に接触している。
【0054】
凹部34は半円形断面を有する溝40である。溝40の半円形断面の幅lは、ロックばね16の外径d2に略等しい。
【0055】
溝40の長さlは、ばね16の無負荷状態で長手方向軸Aに沿ったばね16の長さに略対応する。
【0056】
したがって、溝40は、ばね16を受け入れるように適合された相補形状を有する。
【0057】
ばね16の第1の端部42は、一体型ハウジング12の凹部34に配置されたCPA18のヘッド44の周りに配置される。
【0058】
CPA18のヘッド44は、円形、三角形、正方形、矩形、または長円形の断面を有することができる。これらの変形例の各々において、ばね16をCPA18のヘッド44に十分に保持するために、ヘッド44の断面の最大寸法は圧縮ばね16の内径d1に略等しい。さらに、保持をさらに保証するために、ばね16が無負荷状態にあるとき、すなわちいかなる力/復元力も与えていないとき、ばね16の少なくとも2つの巻き36がCPA18のヘッド44に接触している。
【0059】
コネクタ10の送達位置で、すなわちコネクタ10が相手側コネクタに差し込まれていないとき、ばね16は無負荷状態にある。
【0060】
CPA18のヘッド44は、CPA18の平坦ベース48の第1の面46から長さl4にわたって横方向に延びる。
【0061】
図1に示す実施形態において、平坦ベース48は略矩形断面を有する。CPA18のヘッド44と平坦ベース48とは一体型部品を形成する。ヘッド44は、CPA18の平坦ベース48の長辺Lの一方に隣接して配置される。したがって、図1に見られるように、ヘッド44は平面(XY)において平坦ベース48から突出する。これは、CPA18のヘッド44のみがハウジング12の凹部34に収容されることを意味する。
CPA18の残りの部分、すなわち平坦ベース48は、ハウジング12の主要部分14の平坦ベース28に載るように構成されている。したがって、平坦ベース48の第1の面46とは反対側の第2の面50は、ハウジング12の主要部分14の平坦ベース28に接触するように構成されている。
【0062】
加えて、CPA18の平坦ベース48は開口部52を備え、この開口部52は、コネクタの電気ピンの端子を導入する(図示せず)ハウジング12の中空部分54が通過できるような大きさである。
【0063】
CPA18は、平坦ベース48の第2の面50から横方向に延びる2つのロックアーム(図1では見えない、図2a~図2cの参照符号62を参照)をさらに備える。2つのロックアームは、差込位置で相手側電気コネクタ(図示せず)の対応するロック手段にロックするように構成されている。
【0064】
他の実施形態において、CPA18の平坦ベース48の構造および幾何形状は、図1に示すものと異なっていてもよい。しかしながら、実施形態のすべてに共通するのは、CPA18がヘッド44を含み、このヘッド44が、凹部34に収容され、かつロックばね16の第1の端部42を通って挿入されるように構成されていることである。
【0065】
ハウジング12は一体型であるため、主要部分14、差込部分20、部分30、中空部分54、および凹部34は、単一片として形成される1つの同一の部品を形成する。
【0066】
ハウジング12の一体型構造と、凹部34(すなわち溝40)に圧縮ばね16を配置することとは、図1で、ばね16の第1の端部42において矢印F1で示し、第2の端部56において矢印F2で示すばね16の復元力が、ハウジング12およびCPA18のみに与えられ、CPA18は、次いで反力により、ハウジング12の平坦面28のみに差込方向Eに力を加えるということを意味する。言い換えると、差込方向Eに平行な方向ならびに方向F1および方向F2の両方に加わる、ばね16により加えられる力のすべてが、一体型ハウジング12のみに伝わる。力F1と力F2とは反対向きであることに留意されたい。力F1および力F2は等しくてよい。
【0067】
したがって、コネクタ10を構成し得る任意の他の部分、例えばカバー(図示せず)が、ばね16により加えられる力を受けることがない。
【0068】
言い換えると、要素またはカバーをハウジング12、例えば平坦ベース28または部分30にスナップ嵌めすることができるが、この要素またはこのカバーは、第1の端部がCPA18のヘッド44の周りに配置され、第2の端部56が凹部34の壁38に直接当接する状態で、既に溝40に保持されているばね16を保持する機能を持たない。したがって、ばね16を保持する機能は一体型ハウジング12によって確保される。その結果、ばね16が加え得る力のすべてが一体型ハウジング12のみに加わる。
【0069】
したがって、コネクタ10は、ばね16の各端部42、56における復元力F1、F2がハウジング12のみに与えられるように構成されている。そのため、ハウジング12は一体型であり、ばね16により加えられる力の影響によるコネクタ10の切離しを防ぐ。したがって、係合解除を避けることができ、ばね16の力のすべてが、単一片として形成される1つの同一の部品、すなわち一体型ハウジング12に加わる。
【0070】
図2a~図2cは、本発明による電気コネクタ10を相手側コネクタ100に差し込む様々なステップの概略断面図である。
【0071】
図2aに示すステップでは、電気コネクタ10は送達位置にある。送達位置で、一体型ハウジング12の溝40(すなわち凹部34)に収容されたばね16は無負荷状態にある。言い換えると、ばね16には負荷が加えられておらず、ばね16の長さL1は静止時の初期長さL1に略等しい。
【0072】
CPA18のヘッド44は、ばね16の第1の端部42を通ってばね16の内径d1に収容されている。
【0073】
図2aに示すステップで、CPA18の各ロックアーム62の端部60のラグ58が、電気コネクタ100の突出部102に当接する。
【0074】
図2bに示すステップで、電気コネクタ10は、相手側コネクタ100に向かって差込方向Eに変位する。電気コネクタ10は、送達位置と差込位置との間の中間位置にある。
【0075】
CPA18の各ロックアーム62の端部60のラグ58が、電気コネクタ100の突出部102にまだ当接しているため、電気コネクタ10の変位によってばね16が圧縮される。そのため、ばね16は静止時の長さL1よりも短い長さL2を有する。この圧縮に対する反力として、ばね16は、端部42、56のそれぞれにおいて復元力F1、F2を与える。
【0076】
ばね16の第1の端部42において、復元力F1がCPA18に与えられ、図1を参照して説明したように、CPA18は、次いで反力として、一体型ハウジング12のみに力F3を加える。反力F3は、差込方向と同一方向かつ同一の向きである。
【0077】
ばね16の第2の端部56において、復元力F2が一体型ハウジング12の溝40の壁38に与えられる。
【0078】
したがって、ばね16により加えられる力のすべてが、一体型ハウジング12のみに伝わる。言い換えると、コネクタ10を構成し得る任意の他の部分、例えばカバー(図示せず)が、ばね16により加えられる力を受けることがない。
【0079】
図2cに示すステップで、電気コネクタ10は差込位置にある。言い換えると、電気コネクタ10は相手側コネクタ100に正しく結合されている。
【0080】
ばね16の弛緩および与えられる復元力F1、F2の影響によって、CPA18は差込方向Eにさらに押され、ロックアーム62が互いに離れるまでラグ58が相手側コネクタ100の突出部102に当接する。言い換えると、ラグ58が突出部102に当接している場合にCPA18に加えられる力の影響によって、ロックアーム62のそれぞれの撓みが生じる。ロックアーム62は、開くと、CPA18の差込方向への変位中に相手側コネクタ100の突出部102が通ることができる十分な間隙を形成する。
【0081】
したがって、差込位置で、CPA18のロックアーム62は、差込方向Eへの電気コネクタ10の変位の影響によって、CPA18のラグ58が電気コネクタ100の突出部102の下に収容され、したがって、CPA18をCPAのロック位置にロックするように、撓んでいる。
【0082】
そして、突出部102は、ロックアーム62のラグ58に対する当接部を形成することによって、差込方向Eと反対の向きへのCPA18の持ち上がりを防ぐことができる。
【0083】
差込位置で、ばね16はその初期状態を取り戻し、すなわち、付勢されなくなる、または予負荷を加えられなくなる。したがって、ばね16の長さL1は、静止時の初期長さL1に略等しい。
【0084】
説明した実施形態は可能な構成に過ぎず、様々な実施形態の個々の特徴を組み合わせることができ、または互いに独立して提供することができることに留意されたい。
【符号の説明】
【0085】
10 電気コネクタ
12 一体型ハウジング
14 主要部分
16 ばね
18 CPA
20 差込部分
22 ロックアーム
24 自由端部
26 ロックラグ
28 平坦ベース
30 部分
32 断面
34 凹部
36 巻き
38 壁
40 溝
42 第1の端部
44 CPAヘッド
46 第1の面
48 平坦ベース
50 第2の面
52 開口部
54 中空部分
56 第2の端部
58 ラグ
60 端部
62 ロックアーム
A 長手方向軸
d1 内径
d2 外径
E 差込方向
F1、F2 復元力
F3 CPAの力
部分の長さ
凹部の幅
溝の長さ
CPAのヘッドの高さ
L CPAの長さ
L1、L2 ばねの長さ
図1
図2a
図2b
図2c