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特許7247323マルチグループレンズ、撮像モジュール、およびそれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】マルチグループレンズ、撮像モジュール、およびそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20230320BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20230320BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20230320BHJP
【FI】
G02B7/02 A
G02B7/02 Z
G02B7/02 C
G03B30/00
H04N23/55
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021510840
(86)(22)【出願日】2019-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 CN2019096133
(87)【国際公開番号】W WO2020042788
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】201811010455.6
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518168041
【氏名又は名称】▲寧▼波舜宇光▲電▼信息有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】蒋 恒
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-016704(JP,A)
【文献】中国実用新案第207336891(CN,U)
【文献】中国実用新案第202330830(CN,U)
【文献】特開2012-203195(JP,A)
【文献】特開2011-048304(JP,A)
【文献】特開2016-110067(JP,A)
【文献】特表2017-516314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G03B 30/00
H04N 23/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチグループレンズ撮像モジュールの製造方法であって、
第2のレンズを固定高さでモーターに接続すること;
第1の接着剤を使用して、第1のレンズを固定高さで前記モーターに接続された第2のレンズに接続すること;
排気孔を提供すること;
膨張したガスが前記排気孔から排出されるように、前記第1の接着剤を焼成して硬化させること;および、
前記マルチグループレンズ撮像モジュールの製造工程におけるすべての焼成ステップが完了し且つ前記第1の接着剤が完全に硬化した後に、焼成せずに完全に硬化できる第2の接着剤を使用して前記排気孔および前記第1のレンズと前記モーターとの間の隙間を密封することを含み、
前記排気孔は、前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間に塗布された前記第1の接着剤のノッチによって形成される、マルチグループレンズ撮像モジュールの製造方法。
【請求項2】
第1のレンズ;および
モーターと、固定高さで前記モーターに接続された第2のレンズとを含む、レンズモーターアセンブリ
を含むマルチグループレンズ撮像モジュールであって、
前記第1のレンズと前記第2のレンズが第1の接着剤によって接続されており、前記マルチグループレンズ撮像モジュールがさらに第2の接着剤および排気孔を有し、焼成中に発生した膨張したガスが前記排気孔から排出され、前記マルチグループレンズ撮像モジュールの製造工程におけるすべての焼成ステップが完了し且つ前記第1の接着剤が完全に硬化した後に、焼成せずに完全に硬化できる前記第2の接着剤によって前記排気孔及び前記第1のレンズと前記モーターとの間の隙間を密封し
前記排気孔は、前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間に塗布された前記第1の接着剤のノッチによって形成されている、マルチグループレンズ撮像モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年8月31日に中国国家知識産権局に提出された第201811010455.6号中国特許出願の優先権を享有することを主張する。上記出願は、その全体が参照により本願に取り込まれる。
【0002】
本願は撮像モジュール分野に関し、具体的には、マルチグループレンズの製造方法、およびマルチグループレンズを含む撮像モジュールの製造方法、並びに対応する方法によって製造されたマルチグループレンズおよび撮像モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0003】
モバイル電子機器の普及に伴い、モバイル電子機器に使用される、ユーザーに影像(例えば、ビデオまたは画像)を取得させるための撮像モジュールの関連技術が急速な発展と進歩を得た。近年来、撮像モジュールは、医療、セキュリティ、工業生産など、多くの分野で広く使用されている。
【0004】
レンズは撮像モジュールの重要な部材であり、撮像モジュールの結像品質に直接に影響する。マルチグループレンズでは、レンズ部材を接着剤によって接続しているため、接続を実現するためにレンズモジュールを焼成(加熱)して接着剤を完全に硬化させる必要がある。この場合、上下レンズ部材間の空気が膨張し、ガスが膨張すると、上下レンズ部材に衝撃を与え、それによってレンズ部材の光学素子の相対位置が変化し、その結果、光学性能が低下する。したがって、焼成によるレンズへの悪影響を減らすように、レンズモジュールに排気孔を設ける必要がある。排気孔は、鏡筒に貫通孔を設けて排気するか、またはノッチを有する接着剤を塗布することによって排気することができるが、排気孔を設けると、ほこりや汚れによるレンズへの悪影響が大きくなる。
【0005】
そのため、排気孔によってレンズにほこりや汚れをもたらすことを防ぐと共に、焼成によるレンズモジュールへの悪影響を低減することは、本分野で解決する必要のある課題である。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態によれば、マルチグループレンズの製造方法は、第1の接着剤を使用して第1のレンズと第2のレンズを接続すること;排気孔を提供すること;膨張したガスが前記排気孔から排出されるように、前記第1の接着剤を焼成して硬化させること;および、前記第1の接着剤が完全に硬化した後、焼成せずに完全に硬化できる第2の接着剤を使用して前記排気孔を密封することを含む。
【0007】
一実施形態によれば、マルチグループレンズは、第1の接着剤を使用して接続された第1のレンズと第2のレンズを含み、マルチグループレンズは前記排気孔を有し、前記排気孔は、前記第1の接着剤を焼成して発生した膨張したガスを排出し、前記第1の接着剤が完全に硬化した後、焼成せずに完全に硬化できる第2の接着剤によって密封されるように配置されている。
【0008】
一実施形態によれば、マルチグループレンズ撮像モジュールの製造方法は、第2のレンズを固定高さでモーターに接続すること;第1の接着剤を使用して、固定高さで前記モーターに接続された前記第2のレンズに第1のレンズを接続すること;排気孔を提供すること;膨張したガスが前記排気孔から排出されるように、前記第1の接着剤を焼成して硬化させること;および、前記第1の接着剤が完全に硬化した後、焼成せずに完全に硬化できる第2の接着剤によって排気孔を密封することを含む。
【0009】
一実施形態によれば、マルチグループレンズ撮像モジュールは、第1のレンズ;および、モーターと、固定高さで前記モーターに接続された第2のレンズとを含むレンズモーターアセンブリを含み、前記第1のレンズと前記第2のレンズが第1の接着剤によって接続されており、前記マルチグループレンズ撮像モジュールは排気孔を有し、前記排気孔は、焼成中に発生した膨張したガスを前記排気孔から排出し、前記第1の接着剤が完全に硬化した後、焼成せずに完全に硬化できる第2の接着剤によって密封されるように配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
例示的な実施形態は、参照図面に示されている。本明細書に開示された実施形態および図面は、限定的ではなく例示的であるものと見なされるべきである。
図1図1は、本願の一実施形態によるマルチグループレンズの概略側面図である。
図2図2は、排気孔が充填されていない時の、図1に示されるマルチグループレンズのA-A’線に沿った断面の上面図である。
図3図3は、排気孔が充填された後の、図1に示されるマルチグループレンズのA-A’線に沿った断面の上面図である。
図4図4は、図3に示されるマルチグループレンズの概略側面図である。
図5図5は、本願の一実施形態によるマルチグループレンズ撮像モジュールの概略側面図である。
図6図6は、本願の一実施形態によるマルチグループレンズ撮像モジュールの概略側面図である。
図7図7は、排気孔が充填された後の、図6に示されるマルチグループレンズ撮像モジュール概略側面図である。
図8図8は、本願の一実施形態による、マルチグループレンズを製造するための方法の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願をよりよく理解するために、本願の各方面について図面を参照してより詳しく説明する。これらの詳細な説明は、本願の例示的な実施形態についての説明に過ぎず、決して本願の範囲を限定するためのものではないことを理解されたい。明細書を通して、同じ図面符号は同じ要素を指す。「および/または」という表現は、リストされた関連する項目の1つ又は複数のいずれか及びあらゆる組み合わせを含む。
【0012】
なお、本明細書では、第1、第2などの表現は、ある特徴を別の特徴と区別するためにのみ使用され、特徴に対するいかなる限定も表すものではない。したがって、本願の教示から逸脱しない限り、以下で論じられる第1の本体は、第2の本体と呼ばれることもできる。
【0013】
図面では、説明の便宜のため、物体の厚さ、寸法、及び形状がわずかに誇張されている。図面は単なる例示的なものに過ぎず、厳格的に縮尺で描かれたものではない。
【0014】
また、「含む」、「からなる」、「有する/存在している/ある」、「備える」および/または「含んでなる」という用語は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、全体、ステップ、操作、素子および/または部材が存在することを表すが、1つ以上の他の特徴、全体、ステップ、操作、素子、部材および/またはこれらの組み合わせの存在または追加を除外しない。さらに、列された特徴のリストの後に「‥‥‥から選択される少なくとも1つ」などの表現が現れる場合、この表現は、リストの中の個々の要素を修飾するのではなく、リストされたすべての特徴を修飾する。また、本願の実施形態を説明する時、「できる/てもよい」のような表現で「本願の1つ以上の実施形態」を修飾する。また、「例示的」という用語は、例示する、または例を挙げて説明することを表す。
【0015】
本文で使用される「実質的に」、「約」、及び類似の用語は、程度を表す用語としてではなく、近似を表す用語として使用され、当業者によって認識される、測定値または計算値の固有偏差を説明することを意図している。
【0016】
別途限定されない限り、本文で使用されるすべての用語(技術用語と科学用語を含む)は、本願が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。また、用語(例えば、常用の辞書で定義されている用語)は、関連技術のコンテキストでの意味に一致する意味を持つものとして解釈すべきであり、理想的または過度に正式な意味で解釈されないことも理解されたい。ただし、本文ではこのように明確に限定された場合は除外である。
【0017】
なお、本願における実施形態および実施形態における特徴とは、矛盾しない限り互いに組み合わせることができる。以下、図面を参照して実施形態を組み合わせて本願を詳しく説明する。
【0018】
理解を容易にするために、以下の記載において、上下2つのレンズを含むマルチグループレンズを例として本願のマルチグループレンズについて説明するが、本願のマルチグループレンズは、上下2つのレンズのみを有することに限定されず、2つ以上のレンズを有してもよいことを理解されたい。
【0019】
図1は、本願の一実施形態によるマルチグループレンズの概略側面図を示している。図1に示すように、本願によるマルチグループレンズ100は、第1のレンズ110と第2のレンズ120とを含んでもよく、第1のレンズ110は、第1のレンズフレーム111と少なくとも1つのレンズ112とを含み、第2のレンズ120は、第2のレンズフレーム121と少なくとも1つのレンズ122とを含む。第1のレンズ110と第2のレンズ120が第1の接着剤130により接続され、第1の接着剤130を塗布した後、UV照射と焼成を行って接着剤を完全に硬化させ、これによって第1のレンズ110と第2のレンズ120との間の接続を実現する。
【0020】
図2は、排気孔が充填されていない時の、図1に示されるマルチグループレンズのA-A’線に沿った断面の上面図を示している。図2に示すように、第1のレンズ110と第2のレンズ120との間に塗布される第1の接着剤130は、C形状に塗布してもよく、それにより、排気孔として使用できる開口140を有するようになる。図2に示される第1の接着剤がC形状に塗布され且つ一つの開口を有するが、第1の接着剤が他の任意の適切な形状で塗布されてもよく、排気孔として1つまたは複数の開口を有してもよいことを理解されたい。
【0021】
図3は、排気孔が充填された後の、図1に示されるマルチグループレンズのA-A’線に沿った断面の上面図を示している。図3に示すように、図2に示される開口140は、第2の接着剤150で充填されている。本願によれば、第2の接着剤150は、焼成する必要のあるすべてのステップが完了し、第1の接着剤が完全に硬化した後に施される。第2の接着剤150は、例えば、UV接着剤、湿気硬化接着剤、可視光硬化接着剤など、焼成せずに完全に硬化できる接着剤である。
【0022】
図4は、図3に示されるマルチグループレンズの概略側面図を示している。同図から分かるように、第1のレンズ110と第2のレンズ120との間で、第2の接着剤150が第1の接着剤130の開口140を充填し、それによって開口140によって形成された排気孔を密封する。
【0023】
上記の例示的な実施形態では、排気孔は、第1のレンズと第2のレンズとの間に塗布された接着剤の開口またはノッチによって形成される。オプションとして、排気孔はまた、第1のレンズと第2のレンズとの間に塗布された接着剤に関連する他の孔構造であってもよい。例えば、排気孔は、マルチグループレンズのアセンブリ中の、膨張したガスを排出するための貫通孔であってもよい。焼成せずに完全に硬化できる第2の接着剤を使用して排気孔を密封することにより、ほこりや汚れによるレンズモジュールへの悪影響を防ぐことができる。
【0024】
図1から図4は、マルチグループレンズ、すなわち、スプリットレンズを示している。スプリットレンズは、感光素子やモーターなどの部材を備えた撮像モジュールと独立して製造され、且つ撮像モジュールと一緒にアクティブキャリブレーションされない。スプリットレンズの場合、当該レンズが、感光部材、モーター部材などと一緒にFF固定焦点モジュールまたはAF焦点調整可能なモジュールを形成した後、しかもモジュールに塗布された接着剤が完全に硬化した後、例えば、UV接着剤、湿気硬化接着剤、可視光硬化接着剤など、焼成せずに完全に硬化できる第2の接着剤を最後に使用して接着剤を補充する。第2の接着剤を使用して排気孔を密封することにより、排気孔からほこりや汚れが入ることを防ぐ。本願の実施形態によれば、好ましくは、焼成する必要のあるステップはすべて、排気孔を密封する前に行われる。
【0025】
本願の実施形態によれば、マルチグループレンズ撮像モジュールが提供され、その中で、少なくとも1つのレンズ部材がまずモーターに接続され、次に他のレンズ部材が取付られ、感光アセンブリと一緒にアクティブキャリブレーションされる。例えば、マルチグループレンズにおける第2のレンズをまずモーターに接続し、次に、第1のレンズを、モーターに固定接続されている第2のレンズに取り付ける。例えば、ねじ付きモーターの場合、第2のレンズ部材をモーターにねじ込み、高さを固定した後に、UV接着剤をレンズとモーターキャリアとの間に施され、第2のレンズとモーターキャリアを接着して固定することができる。ねじのないモーターの場合、第2のレンズとモーターキャリアとの間は、接着剤で固定高さに接続することができる。第2のレンズとモーターキャリアとの間の接続は、これらに限定されないことを理解されたい。
【0026】
図5は、本願の一実施形態によるマルチグループレンズ撮像モジュールの概略側面図を示している。図5に示すように、撮像モジュール200は、第1のレンズ210と、第2のレンズ220と、モーター260とを含んでもよく、第1のレンズ210は、第1のレンズフレーム211と少なくとも1つのレンズ212とを含み、第2のレンズ220は、第2のレンズフレーム221と少なくとも1つのレンズ222とを含み、第2のレンズ220とモーター260は固定高さで接続され、接着剤270によって固定される。第2のレンズ220とモーター260が固定高さで接続されて形成されたアセンブリは、レンズモーターアセンブリと呼ばれることもできる。第1のレンズ210、固定高さで接続された第2のレンズ220とモーター260、および結像素子(図示せず)を光軸に沿って予め位置付けした後、各部材間の相対位置をアクティブキャリブレーションによって調整し、接着剤を配置して硬化させてモジュールを固定する。接着剤を配置するタイミングは、予め位置付けする前であってもよい。例えば、第1のレンズ210と第2のレンズ220を第1の接着剤230によって接続し、第1の接着剤230を塗布した後にUV照射、焼成を行って第1の接着剤230を完全に硬化させることにより、第1のレンズ210と第2のレンズ220との接続を実現することができる。
【0027】
上記のアクティブキャリブレーション、接着剤の塗布、焼成、及び硬化が完了した後、最後に接着剤を補充し、UV接着剤、湿気硬化接着剤、可視光硬化接着剤など、焼成せずに完全に硬化できる第2の接着剤250を使用して、第1の接着剤230に形成された排気孔を密封し、排気孔からのほこりや汚れの進入を防ぐ。密封後の焼成による変形を避けるために、第2の接着剤250を使用して排気孔を密封するステップは、焼成する必要のあるすべてのステップの後に行われるべきであることを理解されたい。
【0028】
図5では、接着剤塗布の隙間(すなわち、第1のレンズ210と第2のレンズ220との間のギャップ)は、モーター260の上面より高い。言い換えれば、第2のレンズ220の上面は、モーター260の上面より高い。この場合、第1のレンズ210と第2のレンズ220との間に直接に側面から第2の接着剤250を塗布して、露出した排気孔を密封することができる。
【0029】
図6は、本願の一実施形態によるマルチグループレンズ撮像モジュールの概略側面図を示している。図6では、接着剤塗布の隙間(すなわち、第1のレンズ210と第2のレンズ220との間のギャップ)は、モーター260の上面より低い。言い換えれば、第2のレンズ220の上面は、モーター260の上面より低い。この場合、第1のレンズ210と第2のレンズ220との間に直接に側面から接着剤を塗布することができない。そのため、第1のレンズ210とモーター260との間の隙間から接着剤を塗布することで、第2の接着剤250で排気孔240を密封することができる。
【0030】
図7は、排気孔が充填された後の、図6に示される撮像モジュール概略側面図を示している。図7に示すように、第2の接着剤250は、第1のレンズ210とモーター260との間の隙間に沿って塗布されて硬化し、それにより、第1の接着剤230に形成された排気孔240を密封する。
【0031】
必要に応じて、接着剤を補充する場合、排気孔を密封するだけではなく、レンズの周りに沿って第2の接着剤を一周塗布して、排気孔を密封するとともに、レンズの信頼性をさらに向上させることができる。同図に示すように、第1のレンズ210とモーター260との結合強度を強化するように、第1のレンズ210とモーター260との間の、排気孔240に対応しない位置にも第2の接着剤を塗布することができる。例えば、第1のレンズ210とモーター260との結合強度を強化するように、第1のレンズ210とモーター260との間に第2の接着剤を一周塗布することができる。
【0032】
図8は、本願の一実施形態による、マルチグループレンズを製造するための方法300のフローチャートを示している。
【0033】
図8に示すように、ステップS301において、第1の接着剤を使用して、マルチグループレンズに使用された第1のレンズと第2のレンズを互いに接続する。第1の接着剤は、レンズモジュールの製造に通常に使用される接着剤であり、後続のステップで焼成して硬化させる必要がある。ステップS302において、第1の接着剤により排気孔を提供する。例えば、排気孔は、第1のレンズと第2のレンズとの間に塗布された接着剤のノッチによって形成されてもよい。必要に応じて、排気孔はまた、マルチグループレンズのアセンブリ中の、膨張したガスを排出するための貫通孔によって形成されてもよい。排気孔は、後続の焼成ステップで膨張した空気が溢れ出るために設けられ、それによって、レンズモジュールに変形などの悪影響を回避する。ステップS303において、第1のレンズと第2のレンズとの間の第1の接着剤を焼成して硬化させる。上述のように、第1の接着剤の焼成工程中に、膨張した空気が排気孔から溢れ出る。ステップS304において、第1の接着剤が完全に硬化した後、焼成せずに完全に硬化できる第2の接着剤を使用して排気孔を充填することにより、排気孔を密封する。このようにして、ほこりや汚れが排気孔に進入してレンズモジュールに悪影響を与えることが防止される。
【0034】
上記の例示的な方法では、第1のレンズと第2のレンズとの間を、接着剤を利用して接続し、焼成によって接着剤を硬化させることのみが説明されている。本願によるマルチグループレンズおよびマルチグループレンズ撮像モジュールはさらに、接着剤によって接続し、かつ焼成によって硬化させる必要のある他の部材を有してもよい。この場合、第2の接着剤を使用して排気孔を充填密封することは、すべての焼成ステップが完了した後に行うべきであることを理解されたい。
【0035】
上記の図5から図7を参照して説明したように、本願の実施形態によるマルチグループレンズ撮像モジュールを製造するための方法は、マルチグループレンズを製造するための方法に類似する。その区別として、マルチグループレンズ撮像モジュールを製造するための方法は、第1の接着剤を使用して第1のレンズと第2のレンズを接続するステップの前に、第2のレンズを固定高さでモーターに接続するステップをさらに含んでもよい。固定高さでモーターに接続された第2のレンズの上面がモーターの上面よりも高い場合、第2の接着剤を第1のレンズと第2のレンズとの間の側面から直接に使用して排気孔を密封することができる。固定高さでモーターに接続された第2のレンズの上面がモーターの上面よりも低い場合、第1のレンズとモーターのモーターキャリアとの間の隙間から第2の接着剤を使用して排気孔を密封することができる。
【0036】
本願に記載のアクティブキャリブレーションは、複数の自由度で各レンズ部材の相対位置を調整することができる。アクティブキャリブレーションとは、光学系の実測解像度に従って、1つのレンズ部材に対して他のレンズ部材を調整して光学系全体を較正し、これにより、各レンズ部材の軸が一致に調整され、光学系の実測解像度が標準に達することをいう。その中で、レンズ部材の軸とは、レンズ部材内のすべてのレンズで構成された光学系の光軸をいう。
【0037】
以上の説明は、本願の好ましい実施形態および適用される技術原理についての説明に過ぎない。本願に係る発明の範囲は、上記の技術的特徴の特定の組み合わせによって形成される技術構成に限定されず、本発明の構想から逸脱することなく上記の技術的特徴または同等の特徴の任意の組み合わせによって形成される他の技術構成、例えば、上記特徴と、本願に開示された(これに限定されない)類似した機能を有する技術的特徴との置き換えによって形成される技術構成をも含むことは、当業者は理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8