(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】ブロックチェーンを用いたメッセージの伝送および取得のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04L 9/32 20060101AFI20230320BHJP
G09C 1/00 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
H04L9/32 200Z
G09C1/00 640D
(21)【出願番号】P 2021519655
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 US2019049218
(87)【国際公開番号】W WO2020091889
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-04-08
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522322549
【氏名又は名称】ジェイツー・クラウド・サービシース・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】アドルリ,マヘンダー
【審査官】打出 義尚
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/194350(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0359288(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2018-0029695(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0021963(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 9/32
G09C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の関係者間のメッセージ転送方法であって、
前記複数の関係者間の安全なメッセージの伝送のためのシステムが、前記複数の関係者のうちの第1の関係者が管理する第1のデバイスからメッセージ情報を受信することと、
前記システムが、前記受信したメッセージ情報に基づいて、メッセージを作成することと、
前記システムが、前記メッセージのハッシュを生成し、かつ、前記メッセージに関連するトランザクション情報を生成することと、
前記システムが、前記トランザクション情報および前記メッセージの前記ハッシュを、ブロックチェーン内の1つまたは複数のブロックに提供することと、
前記システムが、第2のデバイス上で受信したメッセージへのアクセスを提供するために、前記複数の関係者のうちの第2の関係者が管理する前記第2のデバイスに前記メッセージを転送することと、
前記システムが、前記第2のデバイスの前記第2の関係者に認証情報を要求することと、
前記システムが、前記認証情報を受信および検証したときに、前記第2のデバイス上で前記受信したメッセージへのアクセスを提供することと、
前記システムが、前記受信したメッセージのハッシュを生成し、かつ、前記受信したメッセージに関連する追加のトランザクション情報を生成することと、
前記システムが、前記受信したメッセージの前記ハッシュおよび前記追加のトランザクション情報を、前記ブロックチェーン内の1つまたは複数のブロックに提供することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第2のデバイスに
前記メッセージが転送されたことを
、前記システムが前記第2の関係者に通知することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メッセージは、音声メッセージ、視覚メッセージ、またはテキスト形式のメッセージを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記システムが、前記メッセージのハッシュを生成することは、
前記システムが、前記メッセージの電子データにハッシュ関数を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ハッシュ関数は、SHA256関数またはRIPEM
D関数を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記メッセージのトランザクション履歴を提供するために、
前記システムが、前記ブロックチェーン内の情報を表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記トランザクション情報は、トランザクション識別子、メッセージタイプ、関係者識別子、ステータス、および前記メッセージに関連する時間情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記追加のトランザクション情報は、トランザクション識別子、メッセージタイプ、関係者識別子、ステータス、および前記受信したメッセージに関連する時間情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記認証情報は、多要素認証情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記認証情報は、前記第2の関係者に提供された暗号キーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
複数の関係者間の安全なメッセージの伝送のためのシステムであって、
1つまたは複数のプロセッサと、
内部に記憶された命令を有する、1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、前記システムに、
前記複数の関係者のうちの第1の関係者が管理する第1のデバイスからメッセージ情報を受信することと、
前記受信したメッセージ情報に基づいてメッセージを作成することと、
前記メッセージのハッシュを生成し、かつ、前記メッセージに関連するトランザクション情報を生成することと、
前記トランザクション情報および前記メッセージの前記ハッシュを、ブロックチェーン内の1つまたは複数のブロックに提供することと、
第2のデバイス上で受信したメッセージを提供するために、前記複数の関係者のうちの第2の関係者が管理する前記第2のデバイスに前記メッセージを転送することと、
前記第2のデバイスを用いて前記第2の関係者から認証情報を受信することと、
前記認証情報を検証したときに、前記第2のデバイス上で前記受信したメッセージへのアクセスを提供することと、
前記受信したメッセージのハッシュを生成し、かつ、前記受信したメッセージに関連する追加のトランザクション情報を生成することと、
前記受信したメッセージの前記ハッシュおよび前記追加のトランザクション情報を、前記ブロックチェーン内の1つまたは複数のブロックに提供することと、を行わせる、1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体と、を備える、システム。
【請求項12】
前記システムは、前記メッセージが前記第2のデバイスに転送されたことを前記第2の
関係者に通知する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記メッセージは、音声メッセージ、視覚メッセージ、またはテキスト形式のメッセージを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムは、前記メッセージの前記ハッシュを生成するために、前記メッセージの電子データにハッシュ関数を適用する、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記ハッシュ関数は、SHA256関数またはRIPEMD関数を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムは、前記メッセージのトランザクション履歴を提供するために、前記第1または第2のデバイスに前記ブロックチェーン内に提供される情報を表示する、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記トランザクション情報は、トランザクション識別子、メッセージタイプ、関係者識別子、ステータス、および前記メッセージに関連する時間情報を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記追加のトランザクション情報は、トランザクション識別子、メッセージタイプ、関係者識別子、ステータス、および前記受信したメッセージに関連する時間情報を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記認証情報は、多要素認証情報を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記認証情報は、前記第2の関係者に提供された暗号キーを含む、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、メッセージの伝送および取得のためのシステムならびに方法に関し、例えば、ブロックチェーンを用いた、安全で不変的なメッセージの伝送および取得のためのシステムならびに方法に関する。また、他の態様についても説明される。
【背景技術】
【0002】
現在のメッセージの伝送および取得システムは、一般に、悪意のある行為者によるハッキング、改ざん、または他の妨害の影響を受けやすく、さらに、信頼性の高い不変的なトランザクション履歴/詳細、もしくはそのような履歴/詳細を迅速に閲覧する方法を提示しない場合がある。しかしながら、ブロックチェーン技術は、一般に、送信者と受信者との間に高い安全性、コンプライアンス、透明性、および信頼性を提供する環境を提示し、また、あらゆる関係者が瞬時に利用することができるトランザクションならびにトランザクション履歴の安全性を確保するために、暗号技術を適用することによって信頼性および安全性も提示する。したがって、ブロックチェーンを用いて、安全性が高く不変的なメッセージの伝送および取得を行うためのシステムならびに方法に対する必要性が存在することが分かる。本開示は、当該技術分野における前述の、および他の関連する、または関連しない問題に対処するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一態様では、本開示は、ブロックチェーンを用いた安全性が高く不変的なメッセージの伝送および取得のためのシステムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
システムは、関係者が管理する複数の電子デバイス(例えば、2台以上の電子デバイス)間のメッセージの伝送および取得を容易にすることができる。電子デバイスとしては、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ネットワーク家電、音声アシスタントデバイスなど、または他の好適な電子デバイス、もしくはそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0005】
いくつかの変形例では、システムは、関係者(例えば、送信者および受信者)が、テキストメッセージ、電子メールメッセージ、ファクシミリ、音声メッセージ、ビデオメッセージ、画像などを含むがこれらに限定されないメッセージの生成、送信、取得、またはアクセスを行うことができるメッセージ通信プラットフォームもしくはアプリケーションを含むことができる。例えば、送信者および受信者は、ウェブサイトまたはモバイルアプリケーションなどの電子デバイスを用いてアカウントにサインアップすることによって、メッセージ通信プラットフォームを生成、これにアクセスすることなどができる。具体的には、送信者および受信者は、関係者が生成した証明書または他の好適な検証/認証方法を用いて、ウェブサイトもしくはモバイルアプリケーションにログインすることができる。
【0006】
送信者は、メッセージ情報、例えば、テキスト、音声、ビデオなどを作成し、電子デバイス、例えば、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォン、カメラなどの1つまたは複数の入力部にアップロードすることができる。システムは、受信したメッセージ情報に基づいて、メッセージまたは複数のメッセージを生成するメッセージ生成器もしくは他の好適な構成要素あるいはモジュールをさらに含むことができる。
【0007】
加えて、システムは、例えば、ハッシュ生成器または他の好適なモジュールもしくは構成要素を用いて、メッセージのハッシュを生成することができる。例えば、システムは、組み込みハッシュ関数(例えば、SHA256関数またはRIPEMID関数)を、生成されたメッセージの電子データもしくは情報、あるいは他の関連情報に適用して、例えば、任意の入力長を固定長の出力に変換することができる。
【0008】
システムは、例えば、トランザクション生成器または他の好適なモジュールもしくは構成要素を用いて、トランザクション情報をさらに生成し、生成したトランザクション情報をブロックチェーンの現在のブロックに提供する。また、生成したハッシュは、ブロックチェーンの現在のブロックに提供することもできる。トランザクション情報には、(例えば、メッセージのハッシュを含むことができる)トランザクション識別子、メッセージタイプ、関係者の識別子、メッセージのステータス、メッセージに関連する時間情報(例えば、日付と時間)、または任意の他の好適な情報、もしくはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0009】
次に、システムは、メッセージを転送するか、またはその他の方法でメッセージを別の関係者(他の関係者)、例えば、受信者(複数可)が利用できるようにすることができる。任意に、システムは、例えば、1つまたは複数の通知生成器もしくは他の好適な構成要素もしくはモジュールを用いて、メッセージが確認できることを受信者(複数可)に通知することができる。通知を受信したときに、メッセージにアクセスするために、受信者は、ウェブサイトまたはモバイルアプリケーションにアクセスしてログインすることができるが、受信者は、追加的もしくは代替的に、例えば、暗号アプリケーションもしくは暗号電子メールにアクセスするために暗号キーあるいは他の検証情報を提供することができる。
【0010】
その後、受信者は、例えば、メッセージアクセスインターフェースまたはシステムの他の好適な構成要素/モジュールを用いて、メッセージを閲覧するか、もしくはその他の方法でメッセージにアクセスすることができ、受信者がメッセージを閲覧したとき/メッセージにアクセスしたときに、システム、例えば、システムのトランザクション生成器は、追加のトランザクション情報を生成してブロックチェーン内の現在のブロックに提供することができる。追加のトランザクション情報には、トランザクション識別子(例えば、受信したメッセージのハッシュを含む)、メッセージタイプ、関係者の識別子、メッセージのステータス、およびメッセージに関連する時間情報(例えば、日付と時間)、または任意の他の好適な情報、もしくはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
またさらに、システムは、各メッセージの生成、伝送、および受信に関する不変的なトランザクション履歴を提供するか、またはその他の方法で利用可能にする。トランザクション履歴には、ブロックチェーンからの情報を含めることができる。例えば、システムは、例えば関係者の使用状況、行動などを追跡するために、トランザクションまたはブロックチェーンに提供された追加情報に関連する情報もしくは分析/統計を提供する情報のダッシュボードあるいは他のグループ分けを表示、提供、またはその他の方法で利用可能にすることができる。
【0012】
一態様では、複数の関係者間でメッセージを伝送および取得するための方法またはプロセスが提供される。本方法/プロセスにより、第1の関係者または送信者が管理する第1のデバイスからメッセージ情報を受信することができる。次いで、受信したメッセージ情報に基づいて、メッセージまたは複数のメッセージを生成することができる。その後、メッセージのハッシュ、およびメッセージに関連するトランザクション情報を生成することができる。トランザクション情報およびメッセージのハッシュは、ブロックチェーン内の現在のブロックに提供される。メッセージはさらに、第2の関係者または受信者が管理する第2のデバイスに転送される。任意に、メッセージが利用可能であるか、もしくはメッセージが受信されたことを示す通知を、第2の関係者または受信者に提供することができる。一変形例では、受信したメッセージにアクセスするには、第2の関係者/受信者から認証情報または検証情報が要求/要請され、認証情報を受信して検証したときに、第2のデバイス上で受信したメッセージへのアクセスが提供される。追加的に、受信したメッセージのハッシュ、および受信したメッセージに関連する追加のトランザクション情報を生成することができる。また、受信したメッセージのハッシュ、および追加のトランザクション情報は、ブロックチェーン内の現在のブロックに提供することができる。
【0013】
上記の概要は、本開示の態様すべての網羅的なリストを含むものではない。本開示は、上記に要約された様々な態様のすべての好適な組み合わせ、ならびに次の詳細な説明に開示され、本出願とともに提出された特許請求の範囲で特に指摘されているものから実施することができるすべてのシステムおよび方法を含むことが企図される。このような組み合わせには、上記の概要に具体的に列挙されていない特定の利点を有する。
【0014】
本開示の様々な目的、特徴、および利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を確認したときに、当業者には明らかになるであろう。
【0015】
本開示のいくつかの態様は、例として例示され、添付図面の図を限定するものではなく、同様の参照は、同様の要素を含む。本開示では、「an」または「one」の態様への言及は、必ずしも同じ態様を意味するものではなく、少なくとも1つを意味することに留意されたい。また、図の総数を減らして簡潔にするために、所与の図は、本開示の2つ以上の態様の特徴を例示するために用いてもよく、図の中のすべての要素が所与の態様に必要とされなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の一態様による、ブロックチェーンを用いた安全なメッセージの伝送および取得のためのシステムの概略図を示す。
【
図2A】本開示の一態様による、ブロックチェーンを用いた安全なメッセージの伝送および取得のためのプロセスのフローチャートを示す。
【
図2B】本開示の一態様による、ブロックチェーンを用いた安全なメッセージの伝送および取得のためのプロセスのフローチャートを示す。
【
図3】本開示の一態様による、ブロックチェーンを用いた安全なメッセージの伝送および取得のためのプロセスまたは方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
異なる図面に同じ参照記号が使用されている場合は、同様の項目または同一の項目を示す。
【0018】
ここで、添付図面を参照しながら、本開示のいくつかの態様を説明する。記載されている部品の形状、相対位置、および他の態様が明確に定義されていないときは常に、本発明の範囲は、図示された部品にのみ限定されるものではなく、単に例示を目的とする。また、多数の詳細が記載されているが、本開示のいくつかの態様は、これらの詳細なしに実施されてもよいことを理解されたい。他の例では、本説明の理解を妨げないように、よく知られた回路、構造、および技術は詳細に示されていない。
【0019】
図1は、ブロックチェーンを用いた安全なメッセージの伝送および取得のためのシステムの概略図を示す。
図1に示すように、システムは、ウェブベースのアプリケーション、モバイルアプリケーション、電子メールアプリケーション、暗号アプリケーション(例えば、安全な電子メールを介して、または他の好適な安全な情報転送手段を使用して、暗号キーもしくは他の好適な検証情報を提供するアプリケーション)、あるいは他の好適なアプリケーション、テキスト形式のメッセージ、例えば、テキストメッセージ、電子メールメッセージ、ファクシミリ(例えば、ワード文書、PDF、または他の好適なファクシミリファイル形式)、音声メッセージ(例えば、WAVもしくは他の好適な音声ファイル形式)、あるいは視覚メッセージ(例えば、JPEG、GIFなど、またはWMVもしくは他の好適なビデオファイル形式)を含むが、これらに限定されないメッセージなどのメッセージの生成、送信、取得、あるいはアクセスを容易にするコンピュータプログラム製品などを有するか、またはこれらにアクセスするメッセージ通信プラットフォーム10を含むことができる。
【0020】
プラットフォーム10は、一般に、一人または複数の送信者14および一人または複数の受信者16など、複数の関係者12が1台または複数台の電子デバイス18を用いてアクセスする。電子デバイス18には、モバイルフォン、スマートフォン、タブレット、PDAなどのハンドヘルド型モバイルデバイス、または他の好適なモバイルコンピューティングデバイスを含むが、これらに限定されるものではない。加えて、または代替として、電子デバイス18は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーションなどのパーソナルコンピューティングデバイスを含むことができるが、本開示から逸脱することなく、任意の好適なコンピューティングデバイス(例えば、ネットワーク家電、スマートスピーカなど)を用いることができる。また、メッセージ通信プラットフォーム10にアクセスまたはこれを実行するデバイス18は、関係者がメッセージもしくはメッセージに関連する情報をアップロード、生成、およびこれらにアクセスできるように、インターネット、ピアツーピアネットワーク、あるいは任意の他の好適な私設ネットワークまたは公衆ネットワーク、もしくはそれらの組み合わせなど、1つまたは複数のネットワークにアクセスするように構成することができる。デバイス18は、有線接続、例えば、イーサネットケーブル、または無線接続、例えば、WiFi、Bluetooth(登録商標)、セルラー接続、例えば、3G、4G、LTE、5Gなど、もしくはそれらの組み合わせによってネットワークにアクセスすることができる。
【0021】
一態様では、プラットフォーム10は、一般に、関係者12に、アクセスが許可される前に認証情報または他のタイプの検証情報を提供することを要求する。例えば、関係者12は、ユーザの認証証明書(例えば、ユーザ名およびパスワード、もしくは他の好適な認証情報)を生成する、1つまたは複数の認証情報、トークンなどを取得する、あるいは他の多要素認証方法、または任意の他の好適な認証方法/検証方法、もしくはそれらの組み合わせなどを用いることによって、ウェブサイトあるいはモバイルアプリケーションに登録することができる。一変形例では、ユーザ/関係者、例えば、受信者16がプラットフォーム10に登録されていない場合、送信者14は、例えば、暗号アプリケーションを用いて、受信者16にプラットフォーム10およびメッセージへの一時的なアクセスを提供することができる場合がある。例えば、暗号アプリケーションは、安全な電子メールアプリケーション、SMSなどの安全なメッセージ転送を用いて、暗号キー(例えば、公開キー/秘密キー、RSAトークンなど)または他の認証情報を受信者16に提供することができる。その後、受信者16は、暗号キーを用いてプラットフォーム10の暗号アプリケーションまたは他の構成要素にアクセスして、受信したメッセージを閲覧するか、もしくはその他の方法でそれにアクセスすることができる。暗号キーは、6時間、12時間、1日、2日、または最大1週間などの所定の期間後に期限切れとなる場合があるが、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の好適な期間を選択することができる。
【0022】
図1にさらに示すように、システムは、送信者14が提供した、受信したメッセージ情報22に基づいて、テキストメッセージ、電子メール、ファクシミリなどのテキスト形式のメッセージ、音声メッセージ、画像もしくはビデオなどの視覚メッセージなどのメッセージを生成するメッセージ生成器20あるいは他の好適な構成要素またはモジュールを含むことができる。例えば、送信者14は、電子デバイス18の1つまたは複数の入力部(例えば、キーボード、マイクロフォン、カメラなど)を用いて、メッセージ情報22を提供することができる。次に、この受信/入力された、メッセージ化された情報22に基づいて、メッセージ生成器20は、1つまたは複数のメッセージ24を生成することができ、これらのメッセージは、受信者(複数可)16に提供することができるか、もしくはその他の方法で受信者(複数可)16が利用することができる。
【0023】
任意に、システムは、メッセージ24が利用可能であることを受信者(複数可)16に通知することができる。例えば、システムは、メッセージまたは複数のメッセージ24が送信者14から提供されたか、もしくはその他の方法で利用可能であるという通知28を受信者(複数可)16に提供する通知生成器26、あるいは他の好適なモジュールまたは構成要素を含むことができる。通知28には、アラート、例えば、テキストメッセージまたは電子メール、通知、例えば、プッシュ通知、もしくは本開示の範囲から逸脱することなく、任意の他の好適な通知あるいはアラートを含むことができる。受信者16は、メッセージアクセスインターフェース30を用いてメッセージ24にアクセスすることができ、メッセージアクセスインターフェースには、メッセージ24を表示する、示す、再生するなどのための任意の好適なインターフェースを含むことができる。
【0024】
システムには、例えば、送信者14によるメッセージ(複数可)24の生成または送信、もしくは受信者16によるメッセージ(複数可)の取得あるいは他のアクセスに関連する情報を含む、トランザクション情報を生成するトランザクション生成器32または他の好適な構成要素もしくはモジュールをさらに含むことができる。トランザクション生成器32は、生成されたメッセージ、または受信したメッセージ/アクセスされたメッセージに関連するトランザクション情報を生成することができ、トランザクション情報には、トランザクション識別子、メッセージタイプ、関係者の識別子、メッセージのステータス、ならびに生成および受信されたメッセージに関連する時間情報(例えば、日付と時間)が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
図1は、システムが、メッセージ24に関連するハッシュ値を生成するためのハッシュ生成器34または他の好適な構成要素もしくはモジュールを含むことができることをさらに示す。例えば、ハッシュ生成器34は、生成および/または取得されたメッセージ24に関連する電子データもしくは情報に、暗号ハッシュ関数を適用することができる。ハッシュ関数には、SHA256関数、RIPEMD関数、または任意の入力長を固定長の出力に変換する他の好適なハッシュ関数もしくは暗号関数を含むことができる。いくつかの変形例では、トランザクション情報に含まれるトランザクション識別子には、生成または取得されたメッセージのハッシュ値が含まれる。
【0026】
システムは、
図1に全体的に示すように、トランザクション情報を記憶する複数のブロックを有するブロックチェーン36をさらに含むことができる。例えば、各トランザクション(例えば、メッセージの生成、送信、取得、受信、アクセスなど)について、トランザクション情報およびメッセージのハッシュ値を生成し、ブロックチェーン内の現在のブロックに提供することができる。いくつかの変形例では、ブロックチェーン36は、クラウドベースの記憶装置、例えば、Amazon Web Services(「AWS」)、InterPlanetary File Systemsなどのシステムのメモリまたは記憶装置、もしくは他の好適なメモリあるいは記憶装置システムに記憶することができる。したがって、生成されたメッセージおよび受信したメッセージの不変的なトランザクション履歴を提供することができる。例えば、システムは、ブロックチェーンからの情報を含むダッシュボードを(例えば、デバイス18の表示装置、またはシステム管理者が管理するデバイスなど、システムと通信している他のデバイスに)提供することができ、例えば、迅速にアクセス可能なトランザクション履歴、ならびに関係者の行動およびメッセージ通信プラットフォーム12の使用状況を追跡するための方法を提供することができる。
【0027】
いくつかの例では、システムの様々な構成要素またはモジュール(例えば、メッセージ生成器20、通知生成器26、ハッシュ生成器34、トランザクション生成器32など)は、電子デバイス18上に常駐することができる。例えば、システムの1つまたは複数の構成要素/モジュールは、メモリに記憶することができ、電子デバイス18のプロセッサ(複数可)によって実行されるか、またはその他の方法でアクセスすることができる。しかしながら、追加的または代替的に、メッセージ通信プラットフォーム12の1つまたは複数の構成要素は、デバイス18と通信している他のコンピューティングデバイス(例えば、プロセッサおよびメモリならびに/または記憶装置を有する)に記憶および/またはそれらからアクセスすることができるか、もしくはクラウドベースとすることができる。例えば、メッセージ通信プラットフォーム12の1つまたは複数の構成要素は、ウェブベースもしくはクラウドベースとすることができ、メッセージ通信サービスプロバイダあるいは他の好適な実体が管理するデータ管理センタの一部であるコンピューティングデバイス(サーバなど)の1つまたは複数のメモリまたは記憶装置に記憶する、およびそれらからアクセスすることができる。
【0028】
当業者であれば、システムの構成要素/モジュール(例えば、メッセージ生成器20、通知生成器26、ハッシュ生成器34、トランザクション生成器32など)が
図1では別個の構成要素/モジュールとして示されているが、それによって実行される機能、動作、工程などは、等価的に、デバイス18によって実行またはアクセスされる単一の、または任意の数のモジュール/構成要素によって実行することができることを理解するであろう。
【0029】
電子デバイス18は、一般に、中央処理装置(CPU)またはハードウェアもしくはソフトウェア制御ロジックなどの少なくとも1つのプロセッサ、ROM、および/あるいは他のタイプの不揮発性メモリ、ならびにランダムアクセスメモリ(RAM)または(ROM)などの少なくとも1つの記憶装置もしくはメモリを含む。電子デバイス18は、外部デバイスと通信するための1つまたは複数のポート、およびキーボード、マウス、タッチスクリーン、ならびに/もしくはビデオ表示装置などの様々な入力および出力(I/O)デバイスをさらに含んでもよい。しかしながら、管理されたデバイス18は、任意の好適な目的のために、任意の形態の情報またはデータを計算、算出、決定、分類、処理、伝送、受信、取得、発信、切り替え、記憶、表示、通信、顕在化、検出、記録、複製、統御、もしくは利用するために動作可能な任意の好適なコンピューティング構成要素を含んでもよい。
【0030】
図2Aおよび
図2Bは、ブロックチェーンを用いて安全なメッセージを伝送および取得するための方法ならびにプロセスのフローチャートを示す。
図2Aに示すように、102において、第1の関係者または送信者14は、メッセージ通信プラットフォーム12を起動するか、もしくはその他の方法で開始する。例えば、104において、関係者または送信者14は、ウェブサイト、モバイルアプリケーション、暗号アプリケーション、もしくは電子メールサービスにアクセスしてログインし、メッセージ通信プラットフォーム12にアクセスしてもよい。メッセージ通信プラットフォーム12は、認証証明書に基づいて、送信者のアカウントを検証してもよい(106において)。例えば、メッセンジャープラットフォーム12は、送信者の認証証明書が有効であるかどうか、または既存のアカウントの認証証明書と一致するかどうかを判断してもよい。
【0031】
その後、108において、送信者14は、メッセージを生成/作成するためのメッセージ情報(例えば、音声、視覚、テキスト形式など)を提供してもよく、このメッセージ情報には、音声メッセージ、視覚メッセージ、例えば、画像またはビデオ、テキスト形式のメッセージ、例えば、テキストメッセージ、電子メールメッセージ、ファクシミリメッセージなどを含むことができ、110において、メッセージプラットフォームは、メッセージ情報に基づいて、メッセージ(もしくは複数のメッセージ)を生成することができる。さらに、112において、メッセージ通信プラットフォーム12は、メッセージのハッシュまたはハッシュ値を生成する。メッセージ通信プラットフォームは、追加的に、トランザクションを生成し(114において)、例えば、メッセージ通信プラットフォームは、生成されたメッセージに関連するトランザクション情報を生成する。
【0032】
図2Aにさらに示すように、メッセージ通信プラットフォーム12は、メッセージを受信者に転送し(またはその他の方法で利用可能にし)、任意に、メッセージが転送されたか、もしくは利用可能であるという通知を受信者に提供することができる(116において)。118において、メッセージ通信プラットフォーム12はまた、トランザクションで生成されたトランザクション情報を、ブロックチェーンの現在のブロックに提供する。トランザクション情報には、トランザクション識別子、メッセージタイプ、関係者識別子、メッセージのステータス(例えば、成功、不成功、保留中など)、時間情報、または任意の他の好適な情報、もしくはそれらの組み合わせを含めることができる。例えば、
図2Aに示すような一変形例では、トランザクション識別子は、メッセージのハッシュ値を含み、メッセージタイプには、メッセージがテキスト形式のメッセージか、音声メッセージか、または視覚メッセージかに関する情報を含み、関係者識別子は、メッセージ情報を提供する送信者もしくは関係者を識別し、ステータスには、メッセージが首尾よく生成されたか、あるいは受信者に送信されたかどうかを示す情報を含み、時間情報には、メッセージが生成されたか、または送信された時の時間(例えば、時、分、秒)および日付(例えば、月、日、年)を含む。
【0033】
図2Bを参照すると、120において、受信者は、メッセージが送信されたか、またはその他の方法で利用可能であるという通知を受信する。次に、122において、受信者がウェブサイト/モバイルアプリケーションにログインすることによって、または代替的に、暗号キーもしくは他の認証を提出することによって、メッセージへのアクセスを試みたかどうかを判断してもよい。例えば、受信者16がプラットフォームのアカウントを有していないか、またはプラットフォームにアクセスできない場合、送信者14は、受信者16にメッセージへのアクセスを提供するために暗号アプリケーションの使用を選択することができ、この暗号アプリケーションは、安全な電子メールアプリケーション、SMSなどを用いて一時的な暗号キー(例えば、公開キーもしくは秘密キー、RSAトークンなど)を生成して受信者に送信する。次に、受信者16は、暗号キーを用いて、暗号アプリケーションまたはプラットフォームの他の構成要素にアクセスし、メッセージ、例えば、テキスト形式のメッセージ、音声メッセージ、もしくは視覚メッセージを閲覧するか、あるいはその他の方法でこれらにアクセスすることができる。また、暗号アプリケーションは、本開示の範囲から逸脱することなく、受信者16が受信したメッセージに応答できるようにしてもよい。
【0034】
受信者がウェブサイトにログインしている場合、メッセージ通信プラットフォーム12は、受信者16にログイン認証情報を要求し、検証してもよい(124において)。しかしながら、受信者がウェブサイトを使用していない場合、メッセージ通信プラットフォーム12は、受信者に暗号キーの提出を要求し、さらに暗号キーを検証してもよい(126において)。ログイン認証情報または暗号キーを検証したときに、メッセージ通信プラットフォームは、送信者12からのメッセージへのアクセスを受信者16に提供してもよい。
【0035】
図2Bは、受信者がメッセージにアクセスしたときに、130において、メッセージ通信プラットフォームが追加のトランザクション情報を含むトランザクションを生成することをさらに示す。追加のトランザクション情報には、トランザクション識別子、メッセージタイプ、関係者識別子、メッセージのステータス、および時間情報を含めることができる。例えば、一変形例では、
図2Bに示すように、トランザクション識別子には、受信したメッセージまたはアクセスされたメッセージのハッシュ値を含み、メッセージタイプには、メッセージがテキストメッセージか、音声メッセージか、もしくはビデオメッセージかに関する情報を含み、関係者識別子は、メッセージ情報を受信する受信者あるいは関係者を識別し、ステータスには、受信者がメッセージを首尾よく受信したか、またはアクセスしたかどうかを示す情報を含み、時間情報には、メッセージが受信されたか、もしくはアクセスされたときの時間(例えば、時、分、秒)および日付(例えば、月、日、年)を含む。
【0036】
当業者であれば、
図2Aおよび
図2Bに示す工程または行為(例えば、102~132)のいずれかを、本開示の範囲から逸脱することなく、省略または再配置することができることを理解するであろう。さらに、生成されたメッセージおよび受信したメッセージのハッシュ値を比較する、不変的なトランザクション履歴または詳細などを提供するためにブロックチェーンに情報を表示するなど、本開示の範囲から逸脱することなく、メッセージプラットフォーム12が追加の工程を行うことができる。
【0037】
図3は、ブロックチェーンを用いた安全なメッセージの伝送および取得のためのプロセスまたは方法のフローチャートを示す。
図3に示すように、202において、メッセージ情報を送信者から受信することができる(例えば、送信者がメッセージ情報を電子デバイス18の1つまたは複数の入力部に入力したとき)。
【0038】
次に、204において、受信したメッセージ情報に基づいてメッセージを生成する。また、メッセージのハッシュまたはハッシュ値は、例えば、メッセージの電子データもしくは情報にハッシュ関数を適用することによって生成され(206において)、メッセージの作成に関連するトランザクション情報が生成される(208において)。トランザクション情報およびメッセージのハッシュ(またはハッシュ値)は、ブロックチェーン内の現在のブロックに提供される(210において)。その後、212において、メッセージは、受信者に転送されるか、またはその他の方法で利用可能になり、受信者は、214において、メッセージが転送されたか、もしくは利用可能であることが通知される。
【0039】
メッセージにアクセスするために、受信者に認証情報を要求する(216において)。受信者から認証情報を受信したときに(218において)、その認証情報が有効であるかどうかを判断する(220において)。認証情報が有効でない場合、エラーメッセージまたは他の好適な通知もしくはアラートが受信者に提供され(222において)、有効な認証情報を再度提供するように受信者に要求する/促すことができる。受信者が有効な認証情報を提供すると、受信者は、メッセージへのアクセスを提供される(224において)。
【0040】
その後、受信者が受信したメッセージにアクセスしたかどうかを判断することができる(226において)。受信者が受信したメッセージにアクセスできた場合、受信したメッセージのハッシュ値を生成することができる(228において)。受信者が、例えば、所定の期間内にメッセージ(複数可)にアクセスしなかった場合、メッセージ(複数可)にアクセスするために、受信者に認証情報を再度要求してもよい(例えば、プロセスは、218に戻るか、または代替的に、受信者に認証情報の提供を再度促す216に戻ってもよい)。
【0041】
さらに、受信したメッセージに関連する追加のトランザクション情報を生成することができる(230において)。受信したメッセージのハッシュまたはハッシュ値、および追加のトランザクション情報は、ブロックチェーン内の現在のブロックに提供することができる(232において)。またさらに、234において、ブロックチェーン内の情報またはそれに関連する情報を提供/表示して、メッセージの不変的なトランザクション履歴を提供することができる。
【0042】
当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、
図3に示す工程または行為(例えば、202~234)のいずれかを省略もしくは再配置するか、あるいは追加の工程/行為を追加することができることを理解するであろう。例えば、いくつかの変形例では、送信者が元々生成したメッセージのハッシュ値と、受信者が取得したメッセージのハッシュ値とを比較して、例えば、メッセージが改ざんされているかどうか、またはその他の方法で変更されているかどうかを判断することができる。例えば、元のメッセージのハッシュ値と受信したメッセージのハッシュ値が一致しないか、または対応していない場合、送信者もしくは受信者、あるいは他の関係者/実体にアラートまたは通知を提供することができる。
【0043】
前述の説明は、全体的に、本開示の様々な実施形態を例示し、説明している。しかしながら、当業者であれば、本明細書に開示される、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の上述の構成に様々な変更ならびに修正を加えることができること、また、上記の説明に含まれる、または添付の図面に示すすべての事項は、例示であると解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるものではないことを理解するであろう。さらに、本開示の範囲は、上記の、および上述の実施形態に対する様々な修正、組み合わせ、追加、変更などを対象にするように解釈されるものとし、本開示の範囲内にあるとみなされるものとする。したがって、本開示の様々な特徴および特性は、本明細書に説明するように、選択的に交換し、本開示の他の例示ならびに非例示の実施形態に適用してもよく、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多数の変形、修正、ならびに追加をさらに行うことができる。