(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】密閉断熱タンク
(51)【国際特許分類】
B63B 25/16 20060101AFI20230320BHJP
B65D 88/12 20060101ALI20230320BHJP
B65D 90/02 20190101ALI20230320BHJP
F17C 3/04 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
B63B25/16 103
B65D88/12 G
B65D90/02 B
F17C3/04 A
B63B25/16 P
(21)【出願番号】P 2021531533
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(86)【国際出願番号】 FR2019052856
(87)【国際公開番号】W WO2020115406
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-04-06
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドラノエ セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ブゴー ジョアン
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-214146(JP,A)
【文献】特開平7-165166(JP,A)
【文献】特開平6-270987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0299068(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 25/16
B65D 88/00- 90/66
F17C 1/00- 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多面耐力構造体に組み込まれる密閉断熱タン
クであって、前記タンクは、前記耐力構造体の耐力壁へ締め付けられるタンク壁を備え、前記タンク壁は、横方向の端壁(102)と、前記端壁へ連結される複数の長手方向壁(104、106、108)とを含み、前記複数の長手方向壁は、第1の縁(110)で前記端壁へ連結される第1の壁(108)と、前記第1の壁に隣接する、第2の縁(112、114)で前記端壁へ連結される第2の壁(104、106)とを含み、
前記長手方向壁および前記端壁は各々、前記タンクに入れられる製品と接触するように設計される密閉膜(6)と、前記密閉膜と前記耐力構造体との間に配置される断熱バリア(5)とを有し、
前記長手方向壁の前記断熱バリアは、長手方向に配向されかつ繰返しパターンに従って並置される断熱パネルの列(117、119、121)を含み、かつ前記端壁の前記断熱バリアは、前記第2の壁(104、106)に平行または垂直な方向に配向されかつ繰返しパターンに従って並置される断熱パネルの列(116)を有し、
前記端壁の前記密閉膜は、前記第2の壁に平行であって第1のピッチyで離隔される第1の連なりの波形(11
8)と、前記第2の壁に垂直であって前記第1のピッチyで離隔される第2の連なりの波形
(120)とを有し、
各長手方向壁の前記密閉膜は、複数の長手方向波形を有し、前記第2の壁の前記長手方向波形(122、124)は、前記第1のピッチyで離隔され、かつ前記第2の縁で前記端壁の第2の連なりの波形
(120)へ連続して連結され、前記第1の壁(108)の前記長手方向波形(126)は、前記第1のピッチyより大きい第2のピッチzで離隔され、かつ前記第1の縁(110)で、前記端壁の前記第1および第2の連なりの波形(120、118)の一方へ角度配置により連続して連結され、かつ複数の偏向波形(128)を含み、
前記第1の壁の平面と前記第2の壁の平面との間の角度(130、132)、および前記第1のピッチyと前記第2のピッチzとの割合は、互いに相対的に画定される、密閉断熱タン
ク。
【請求項2】
前記端壁(102)の断熱パネルの列の前記繰返しパターン、および前記第1の壁(108)の前記断熱パネルの列の前記繰返しパターンは、予め決められた大きさを共有し、かつ、前記第1の壁(108)の前記平面と前記第2の壁(104、106)の前記平面との間の前記角度(130、132)は、前記繰返しパターンの前記大きさが、まずは、前記第1のピッチyの第1の整数n1倍であって、次が前記第2のピッチzの、前記第1の倍数n1より小さい第2の整数n2倍であるように選択され、
前記角度(130、132)は、前記第2の整数n2倍と前記第1の整数n1倍との割合の逆余弦または逆正弦の関数である、請求項1に記載のタンク。
【請求項3】
前記端壁の前記
断熱パネルの列は、前記第2の壁に垂直であり、かつ前記第1の壁の前記長手方向波形は、前記端壁の前記第1の連なりの波形へ連続して連結され、
かつ、前記第1の壁の前記平面と前記第2の壁の前記平面との間の前記角度(130、132)は、前記第2の倍数n2と前記第1の倍数n1との割合の逆余弦に等しい、請求項2に記載のタンク。
【請求項4】
前記端壁の前記
断熱パネルの列は、前記第2の壁に平行であり、かつ前記第1の壁の前記長手方向波形は、前記端壁の前記第2の連なりの波形へ連続して連結され、
かつ、前記第1の壁の前記平面と前記第2の壁の前記平面との間の前記角度(130、132)は、前記第2の倍数n2と前記第1の倍数n1との割合の逆正弦に等しい、請求項2に記載のタンク。
【請求項5】
前記第2のピッチzと前記第1のピッチyとの割合は、前記第1の壁(108)の前記平面と前記第2の壁(104、106)の前記平面との間の前記角度の余弦に等しい、請求項1~4に記載のタンク。
【請求項6】
前記端壁(102)の前記断熱パネルの列の前記繰返しパターンの前記大きさは、前記第1の壁(108)の前記断熱パネルの列の前記繰返しパターンの前記大きさとは異なり、かつ具体的にはそれより大きい、請求項1または請求項5に記載のタンク。
【請求項7】
前記端壁(102)の前記断熱パネルの列の前記繰返しパターンの前記大きさは、前記第1のピッチyの整数倍である、請求項6に記載のタンク。
【請求項8】
前記第1の壁(108)の前記断熱パネルの列の前記繰返しパターンの前記大きさは、前記第2のピッチzの整数倍である、請求項6または請求項7に記載のタンク。
【請求項9】
前記第2の壁(104)は水平であって、前記第1の壁の前記長手方向波形(126)は、前記端壁の前記第1の連なりの波形(118)へ連続して連結される、請求項1~8のいずれか1項に記載のタンク。
【請求項10】
前記第1の壁(108)において、前記密閉膜は、前記第1の壁の縁に隣接する、前記端壁(102)の前記第2の連なりの波形(120)のうちの1つの波形へ連続して接続される少なくとも1つの追加の長手方向波形(127)も含む、請求項9に記載のタンク。
【請求項11】
前記第2の壁(106)は垂直であって、前記第1の壁の前記長手方向波形は、前記端壁の前記第2の連なりの波形(118)へ連続して連結される、請求項1~8のいずれか1項に記載のタンク。
【請求項12】
前記密閉膜は、一次
密閉膜(6)であって、前記断熱バリアは、一次断熱バリア(5)であり、
かつ、前記長手方向壁および前記端壁は各々、前記一次密閉膜と前記耐力構造体との間に配置される二次密閉膜(4)、および前記二次
密閉膜と前記耐力構造体との間に配置される二次断熱バリア(2)も含み、前記二次断熱バリアは、前記壁の一次列と同じ方向に配向されかつ繰返しパターンで並置される二次列(216、221)の断熱パネルを有し、 前記二次
密閉膜は、互いに平行な複数の条板(218、226)を含み、前記条板は各々、前記二次
列の上面を担持する平坦な中心部分と、前記タンクの内側へ向かって突き出す2つの隆起した縁とを有し、前記2つの縁間の距離は、前記条板の大きさであり、
前記端壁(102)の前記条板(218)および前記二次列(216)は、水平であって、前記長手方向壁の前記条板(226)および前記二次列(221)は、長手方向へ配向され、
かつ、前記一次列の繰返しパターンの前記大きさ、および前記二次列の繰返しパターンの前記大きさは、前記長手方向壁および前記端壁の各々で同じである、請求項1~11のいずれか1項に記載のタン
ク。
【請求項13】
前記第1の壁、および/または前記端壁、および/または前記第2の壁において、前記二次
列の繰返しパターンの前記大きさは、前記条板の前記大きさの整数倍である、請求項12に記載のタンク。
【請求項14】
前記第1の壁、および/または前記端壁、および/または前記第2の壁において、前記第2のピッチと前記条板の前記大きさとは、同じである、請求項12~13のいずれか1項に記載のタンク。
【請求項15】
流体を輸送するために使用される船舶(70)であって、前記船舶は、二重船殻(72)と、前記二重船殻(72)の内部に置かれる、請求項1~14のいずれか1項に記載のタン
クとを有する、船舶(70)。
【請求項16】
流体の移送システムであって、前記システムは、請求項15に記載の船舶(70)と、前記船舶の前記船殻内に設置される前記タン
クを陸上または浮体式貯蔵施設(77)へ連結するように配置される断熱管(73、79、76、81)と、前記断熱管を介して流体を前記陸上または浮体式貯蔵施設と前記船舶上の前記タンクとの間で駆動するためのポンプとを含む、移送システム。
【請求項17】
流体が断熱管(73、79、76、81)を介して陸上または浮体式貯蔵施設(77)と前記船
舶上の前記タン
クとの間で導かれる、請求項15に記載の船舶(70)の積込みまたはそこからの積出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガスなどの流体を貯蔵しかつ/または輸送するための密閉断熱膜タンクの分野に関する。
【0002】
密閉断熱膜タンクは、具体的には、液化天然ガス(LNG)を貯蔵するために使用され、これが約-163℃の大気圧で貯蔵される。これらのタンクは、陸上または浮体構造物上に設置され得る。浮体構造物において、タンクは、液化天然ガスを輸送するために、または、浮体構造物に電力を供給するための燃料として使用される液化天然ガスを受け入れるために使用され得る。
【背景技術】
【0003】
文献国際公開第89/09909号パンフレットは、耐力構造体内に配置される、液化天然ガス用の密閉断熱貯蔵タンクを開示していて、該タンクは、多層構造を有する壁、具体的には(タンクの外側からタンクの内側へ)、耐力構造体へ固定される二次断熱バリアと、該二次断熱バリアにより支持される二次密閉膜と、該二次密閉膜により支持される一次断熱バリアと、該断熱バリアにより支持される、かつタンク内に貯蔵される液化天然ガスと接触するように設計される一次密閉膜とを含む。一次断熱バリアは、二次密閉膜の溶接サポートを用いて保持される剛性プレートのアッセンブリを備える。
【0004】
ある実施形態において、一次密閉膜は、直交する2方向に波形を有する矩形シートのアッセンブリによって形成され、該シートは、互いに重ね溶接され、かつ該シートの縁は、一次断熱バリアのプレートの縁に沿ったラベットに締め付けられる金属ストリップへ溶接される。
【発明の概要】
【0005】
本発明の中心概念における1つの考案は、そのロバスト性が実証されている平行な条板により形成される二次膜の利点と、偶発的なへこみおよび他の応力、たとえば海上での熱収縮、貨物の動きおよび/または船桁の変形によって生じるもの、に対して極めて優れた強度を提供することができる波形の一次膜とを組み合わせるタンク壁を提供することを含む。
【0006】
本発明の中心概念における別の考案は、製造が比較的簡単である、かつ異なるタイプの波形密閉膜を一次膜として使用できるようにするタンク壁を提供することを含む。
【0007】
本発明の中心概念における別の考案は、異なるタンク壁上に同一の、または同様の断熱パネルを使用できるようにし、同時に、隣接する壁間の波形の連続性を容易にするタンクを提供することを含む。
【0008】
この目的に沿って、本発明は、耐力構造体、具体的には多面耐力構造体、に組み込まれる密閉断熱タンクを提案し、該タンクは、耐力構造体の1つまたは複数の耐力壁へ締め付けられる1つまたは複数のタンク壁を有する。
【0009】
ある実施形態によれば、タンク壁は、横方向の端壁と、端壁へ連結される複数の長手方向壁とを有し、該複数の壁は、第1の縁で端壁へ連結される第1の壁と、第1の壁に隣接する、第2の縁で端壁へ連結される第2の壁とを含み、
長手方向壁および端壁は各々、タンクに入れられる製品と接触するように設計される密閉膜と、密閉膜と耐力構造体との間に配置される断熱バリアとを有し、
長手方向壁の断熱バリアは、長手方向に配向されかつ繰返しパターンに従って並置される断熱パネルの列を含み、かつ端壁の断熱バリアは、第2の壁に平行または垂直な方向に配向されかつ繰返しパターンに従って並置される断熱パネルの列を有し、
端壁の密閉膜は、第2の壁に平行であって第1のピッチyで離隔される第1の連なりの波形と、第2の壁に垂直であって第1のピッチyで離隔される第2の連なりの波形とを有し、
各長手方向壁の密閉膜は、複数の長手方向波形を有し、第2の壁の長手方向波形は、前記第1のピッチyで離隔され、かつ第2の縁で端壁の第2の連なりの波形へ連続して連結され、第1の壁の長手方向波形は、第1のピッチyより大きい第2のピッチzで離隔され、かつ第1の縁で、端壁の第1および第2の連なりの波形の一方へ角度配置により連続して連結され、かつ複数の偏向波形を含み、
かつ、第1の壁の平面と第2の壁の平面との間の角度、および第1のピッチyと第2のピッチzとの割合は、互いに相対的に画定される。
【0010】
効果的な実施形態によれば、このようなタンクは、下記の特徴のうちの1つまたはそれ以上を有し得る。
【0011】
ある実施形態によれば、第2のピッチzと第1のピッチyとの割合は、第1の壁の平面と第2の壁の平面との間の角度の正弦または余弦に等しい。
【0012】
ある実施形態によれば、端壁の断熱パネルの列の繰返しパターン、および第1の壁の断熱パネルの列の繰返しパターンは、予め決められた大きさを共有し、
第1の壁の平面と第2の壁の平面との間の角度は、繰返しパターンの前記大きさが、まずは、第1のピッチyの第1の整数n1倍であって、次が第2のピッチzの、第1の倍数n1より小さい第2の整数n2倍であるように選択され、
前記角度は、第2の整数n2倍と第1の整数n1倍との割合の逆余弦または逆正弦の関数である。たとえば、n2/n1=2/3である。この角度配置は、タンクのあらゆる壁について、ピッチの倍数でありながら、単一の大きさの繰返しパターンが達成されることを可能にする。この配置の1つの利点は、第1の壁および端壁上、さらには第2の壁上でも同一の断熱パネルの使用を可能にするタンクを提供することにある。この配置の別の利点は、製造コストがより低い、より単純なタンクを達成することにある。
【0013】
ある実施形態によれば、端壁のパネルの列は、第2の壁に垂直であり、かつ第1の壁の長手方向波形は、端壁の第1の連なりの波形へ連続して連結され、
かつ、第1の壁の平面と第2の壁の平面との間の角度は、第2の倍数n2と第1の倍数n1との割合の逆余弦に等しい。
【0014】
ある実施形態によれば、端壁のパネルの列は、第2の壁に平行であり、かつ第1の壁の長手方向波形は、端壁の第2の連なりの波形へ連続して連結され、
かつ、第1の壁の平面と第2の壁の平面との間の角度は、第2の倍数n2と第1の倍数n1との割合の逆正弦に等しい。
【0015】
その余弦および正弦が有理数n2/n1である、第1の壁の平面と第2の壁の平面との間の角度を選択することは、所定の状況では満たすことが困難な要件であり得る。この角度をたとえば45゜の値に、または他の任意の値に設定するためにより大きい範囲を残す別の実施形態によれば、端壁の断熱パネルの列の繰返しパターンの大きさは、第1の壁の断熱パネルの列の繰返しパターンの大きさとは異なり、かつ具体的にはそれより大きい。
【0016】
ある実施形態によれば、端壁の断熱パネルの列の繰返しパターンの大きさは、第1のピッチyの整数倍である。
【0017】
ある実施形態によれば、第1の壁の断熱パネルの列の繰返しパターンの大きさは、第2のピッチzの整数倍である。
【0018】
ある実施形態によれば、第2の壁は水平であって、第1の壁の長手方向波形は、端壁の第1の連なりの波形へ連続して連結される。
この場合、第1の壁において、膜は、第1の壁の縁に隣接する、端壁の第2の連なりの波形のうちの1つの波形へ連続して接続される少なくとも1つの追加の長手方向波形も含むことができる。その結果、連続する2つの波形間の最大距離を、隣接する2つの長手方向壁間の界面を含み、所与の閾値未満に維持することができる。
【0019】
ある実施形態によれば、第2の壁は垂直であって、第1の壁の長手方向波形は、端壁の第1の連なりの波形へ連続して連結される。
【0020】
ある実施形態によれば、偏向波形は、長手方向波形を延長する第1の端と、第1の連なりの波形または第2の連なりの波形の波形を延長する第2の端とを有する。
【0021】
タンク壁は、貯蔵されるべき貨物の性質に依存して、単一の密閉膜および単一の断熱バリアも有し得る。タンク壁は、いくつかの断熱バリアと交互するいくつかの密閉膜も有し得る。ある対応する実施形態によれば、密閉膜は、一次膜であって、断熱バリアは、一次断熱バリアであり、かつ長手方向壁および端壁は各々、一次密閉膜と耐力構造体との間に配置される二次密閉膜、および二次膜と耐力構造体との間に配置される二次断熱バリアも含み、前記二次断熱バリアは、前記壁の一次列と同じ方向に配向されかつ繰返しパターンで並置される二次列の断熱パネルを有し、
二次膜は、互いに平行な複数の条板を含み、条板は各々、二次パネルの上面を担持する平坦な中心部分と、タンクの内側へ向かって突き出す2つの隆起した縁とを有し、2つの縁間の距離は、条板の大きさであり、
端壁の条板および二次列は、水平であって、長手方向壁の条板および二次列は、長手方向へ配向され、
かつ、一次列の繰返しパターンの大きさ、および二次列の繰返しパターンの大きさは、長手方向壁および端壁の各々で同じである。
【0022】
ある実施形態によれば、端壁の条板および二次列は、水平であって、長手方向壁の条板および二次列は、長手方向へ配向される。
【0023】
ある実施形態によれば、一次列の繰返しパターンの大きさ、および二次列の繰返しパターンの大きさは、長手方向壁および端壁の各々で同じである。
【0024】
ある実施形態によれば、第1の壁において、二次パネルの繰返しパターンの大きさは、条板の大きさの整数倍である。
【0025】
ある実施形態によれば、端壁および/または第2の壁において、二次パネルの繰返しパターンの大きさは、条板の大きさの整数倍である。
【0026】
ある実施形態によれば、第1の壁および/または端壁および/または第2の壁において、第2のピッチと条板の大きさとは、同じである。
【0027】
本発明は、長手方向壁および端壁の各々を製造するために、またはこれらのタンク壁のいくつかに使用されることが可能なタンク壁構造体も提供する。
【0028】
ある対応する実施形態によれば、タンク壁、具体的には第1の壁、第2の壁および/または端壁、は、タンクに入れられる製品と接触するように設計される一次密閉膜と、一次密閉膜と耐力壁との間に配置される二次密閉膜と、一次密閉膜と二次密閉膜との間に配置される一次断熱バリアと、二次密閉膜と耐力壁との間に配置される二次断熱バリアとを有し、
二次断熱バリアは、第1の方向に平行な複数の二次列を有し、1つの二次列は、複数の並置された平行六面体の二次断熱パネルを備え、二次列は、第1の方向に垂直な第2の方向に繰返しパターンで並置され、
二次密閉膜は、第1の方向に平行であって膨張係数が低い合金で製造される複数の条板を有し、その膨張係数は、たとえば、7・10-6K-1以下であり、条板は、二次断熱パネルの上面を担持する平坦な中心部分と、中心部分に相対してタンクの内側へ向かって突き出す2つの隆起した縁とを有し、条板は、第2の方向へ繰返しパターンで並置されかつ隆起した縁で互いに密閉式に溶接され、二次断熱パネルに固定されかつ第1の方向に平行な固定用フランジは、二次密閉膜を二次断熱バリア上で保持するために、並置された条板間に配置され、
二次列の繰返しパターンの大きさは、第2の方向における条板の大きさの整数倍であり、
耐力壁は、二次列間の界面に配置されかつ、二次断熱パネルを耐力壁上で保持するために二次断熱パネルと協働する二次保持部材を担持し、
かつ、一次断熱バリアは、第1の方向に平行な複数の一次列を有し、1つの、または各一次列は、複数の並置された平行六面体の一次断熱パネルを有し、よってたとえば、二次列に重なり、または少なくとも2つの二次列にまたがり、一次列は、第2の方向へ繰返しパターンで並置され、一次列の繰返しパターンの大きさは、二次列の第2の方向における繰返しパターンの大きさに等しい。
【0029】
ある実施形態によれば、タンク壁は、長手方向壁であって、第1の方向は、長手方向である。
【0030】
ある実施形態によれば、タンク壁は端壁であって、第1の方向は、前記第2の壁に平行または垂直である。
【0031】
ある実施形態によれば、たとえば二次保持部材により、または二次断熱パネルにより担持される一次保持部材は、一次列間の界面に配置され、かつ、一次断熱パネルを二次密閉膜上で保持するために一次断熱パネルと協働する。
【0032】
ある実施形態によれば、一次列は、二次列に相対して、第2の方向へ二次列の繰返しパターンの大きさの一部、たとえば半分、だけオフセットされる。このオフセットは、一次保持部材と二次保持部材との間の垂直の位置合わせを制限する、または排除することに寄与し、こうした位置合わせにより生じる熱橋の発生を制限する。
【0033】
一次列を第1および/または第2の方向へオフセットすることの別の利点は、二次断熱パネルおよび耐力壁に突き当たる、膜および一次断熱材を通過する力のより均一な分布を提供することにある。実際に、この場合、一次断熱パネルに加えられる圧縮力は、下にあるいくつかの、たとえば2つまたは4つの二次断熱パネルに渡って分散される。
【0034】
ある実施形態によれば、一次列における一次断熱パネル間の界面は、一次列が上に重ね合わせられる2つの二次列における二次断熱パネル間の界面に相対して、第1の方向へオフセットされる。
【0035】
好ましくは、この場合、一次保持部材は、たとえば二次断熱パネルの中心で、二次断熱パネルにより、二次断熱パネルの縁から離れて担持される。
【0036】
このような一次保持部材は、たとえば一次断熱パネルが二次断熱パネルと同じ大きさを有する場合、全ての二次保持部材上に、もしくは全ての二次断熱パネル上に提供され得、または、たとえば一次断熱パネルが二次断熱パネルより長い場合、もしくは一次断熱パネルが第1の方向にのみオフセットされる場合、一部の二次保持部材上に、もしくは一部の二次断熱パネル上に提供され得る。
【0037】
ある実施形態によれば、一次保持部材は、二次密閉膜の真下で二次断熱パネルのカバープレートへ締め付けられるプレートと、前記プレートへ堅固に、または水平方向の遊びを伴って付着される、二次密閉膜を一次断熱バリアへ向かって密閉式に横断するロッドとを有する。
【0038】
ある実施形態によれば、一次密閉膜は、第2の方向に繰返しパターンで配置される、第1の方向に平行な第1の波形と、第1の波形間に位置合わせされかつ一次断熱パネルの上面にのしかかる平坦部分とを有し、かつ、一次列の繰返しパターンの大きさは、第1の波形の繰返しパターンの大きさの整数倍、具体的には、ピッチyまたはzの整数倍であり、一次密閉膜は、第1の方向に平行な複数のシート列を有し、シート列は、縁ゾーンで相互に重なり合って、または重なり合わずに互いに密閉式に溶接される複数の矩形シートを備え、シート列は、第2の方向に並置されて互いに密閉式に溶接され、シート列の第2の方向の大きさは、一次列の繰返しパターンの大きさの整数倍である。
【0039】
第1の波形の繰返しパターンは、ピッチが規則的である1つの波形、またはピッチが不規則であるいくつかの波形を含む繰返しパターンであり得る。1つの波形を含む繰返しパターンとは、第1の波形同士が第2の方向へ第1の規則的なスペーシング、言い換えればピッチ、で離隔され、かつ繰返しパターンの大きさがこの第1の規則的なスペーシングに等しいことを意味する。この場合、一次列の繰返しパターンの大きさは、前記第1の規則的なスペーシングの整数倍である。いくつかの波形を含む繰返しパターンとは、波形間のスペーシングが必ずしも規則的ではないが、スペーシングが全て、波形の繰返しパターンの大きさとされる規則的な間隔で繰り返されることを意味する。
【0040】
ある実施形態によれば、シートの列は、シート列間の溶接接合部が一次列間の界面から離れて、すなわち具体的には保持部材から離れて、位置合わせされるように、一次列に相対して第2の方向へオフセットされる。
【0041】
これらの特徴は、一次密閉膜のシート列間の溶接接合部が、本質的に、第1の方向に平行な一次断熱パネルの縁から離れて、したがって高レベルの平坦度を有する表面上に、作られ得ることを意味する。その結果、局所的な溶接変動のリスクが下がり、かつ得られる膜の品質レベルが高まる。
【0042】
ある実施形態によれば、一次列は、複数の並置される平行六面体の一次断熱パネルを繰返しパターンで有し、かつ一次密閉膜のシート列は、繰返しパターンで並置される複数の矩形シートを有し、矩形シートの繰返しパターンの大きさは、第1の方向における一次断熱パネルの繰返しパターンの大きさの整数倍である。
【0043】
ある実施形態によれば、矩形シートの縁は、第2の方向に平行な一次断熱パネルの縁に相対して第1の方向にオフセットされ、よって、矩形シート間の溶接接合部は、第2の方向に平行な一次断熱パネルの縁から離れて位置合わせされる。
【0044】
ある実施形態によれば、一次断熱パネルおよび/または二次断熱パネルは、正方形である。
【0045】
一次列の繰返しパターンおよび/または二次列の繰返しパターンは、第2の方向に細隙を有し得るが、そうである必要はない。2つの列の間に細隙がある場合、繰返しパターンの大きさは、一次または二次断熱パネルの大きさと、細隙の大きさとの和に等しい。
【0046】
同様に、一次または二次列における一次または二次断熱パネルの繰返しパターンは、第1の方向に細隙を有し得るが、そうである必要はない。2つの一次または二次断熱パネル間に細隙がある場合、繰返しパターンの大きさは、一次または二次断熱パネルの大きさと、細隙の大きさとの和に等しい。
【0047】
ある実施形態によれば、第2の方向における条板の大きさは、前記第1の規則的なスペーシングまたはピッチの整数倍である。これらの特徴は、条板の向きを、所望される用途における局所的要件の関数として選択することを可能にする。
【0048】
ある実施形態によれば、一次密閉膜は、第2の方向に平行であって第1の方向に繰返しパターンで配置される第2の波形も有し、第1の波形同士の間および第2の波形同士の間には、平坦部分が位置合わせされる。
【0049】
第2の波形の繰返しパターンは、1つの波形またはいくつかの波形を含む繰返しパターンであり得る。1つの波形を含む繰返しパターンとは、第2の波形同士が第1の方向へ第2の規則的なスペーシングで離隔されることを意味する。この場合、第2の規則的なスペーシングは、第1の規則的なスペーシングと同じであっても、異なっていてもよい。いくつかの波形を含む繰返しパターンとは、波形間のスペーシングが必ずしも規則的ではないが、スペーシングが全て、波形の繰返しパターンの大きさとされる規則的な間隔で繰り返されることを意味する。
【0050】
実施形態によれば、第1および第2の波形は、第1および第2の波形間の交差部において連続的または不連続であり得る。連続的な波形は、たとえば不活性ガスが一次密閉膜と一次断熱バリアとの間を流れることができるように、連続チャネルを形成することを可能にする。不連続な波形は、スタンピングによってシートを形成することをより容易にする。
【0051】
ある実施形態によれば、一次断熱パネルの繰返しパターンの大きさは、第2の波形の繰返しパターンの大きさの整数倍、たとえば前記第2の規則的なスペーシングの整数倍、である。
【0052】
ある実施形態によれば、一次密閉膜の矩形シートは、第1の方向に、第2の波形の繰返しパターンの大きさの整数倍、または第2の規則的なスペーシングの整数倍、に略等しい大きさを有する。これらの2つの量の間には、隣接する2シート間の重なりの大きさより小さい僅かな差異が存在することがある。
【0053】
一次密閉膜は、異なる材料製であり得る固定手段によって一次断熱バリア上に保持される。
【0054】
ある実施形態によれば、固定手段は、矩形シートの輪郭に対応する位置に一次断熱パネルへ締め付けられる金属製の固定ストリップを有し、矩形シートの縁ゾーンは、この固定ストリップ上へ溶接され得る。一次断熱パネルは、具体的には、1つまたは複数の矩形シートの直線縁を締め付けるための固定ストリップを有することもあれば、1つまたは複数の矩形シートの角ゾーンを締め付けるための交差する2つの固定ストリップを有することもある。
【0055】
ある実施形態によれば、固定手段は、矩形シートの輪郭から離れた一次断熱パネルの縁ゾーンに対応する位置で一次断熱パネルへ締め付けられる、たとえばディスクの形態の金属インサートを有し、矩形シートの中心ゾーンは、この金属インサート上へ溶接され得る。
【0056】
ある実施形態によれば、一次断熱パネルは、一次断熱パネルの厚さ方向に、一次断熱パネルのカバープレートに通じる交差式応力除去スロットを有する。実施形態によれば、1つまたは各金属固定ストリップは、カバープレートへ締め付けられかつ応力除去スロットにより分離されるいくつかの位置合わせされたセグメントを有することが可能であり、かつ/または、金属インサートが、応力除去スロット間でカバープレートへ締め付けられることが可能である。
【0057】
ある実施形態によれば、断熱パネルのうちの少なくとも1つは、耐力構造体または二次密閉膜上に載置される底プレートと、底プレートとカバープレートとの間に配置される中間プレートと、底プレートと中間プレートとの間に挟まれる断熱ポリマーフォームの第1の層と、中間プレートとカバープレートとの間に挟まれる断熱ポリマーフォームの第2の層とを有する。このような構造は、断熱パネルにおける材料の収縮差によって生じる曲げ応力を制限することに役立つという点において、効果的である。
【0058】
ある実施形態によれば、断熱ポリマーフォームの第2の層内には、中間プレートが断熱ポリマーフォームの第2の層越しに突き出して二次保持部材のための担持ゾーンのうちの1つを形成するように、リセスが形成される。
【0059】
ある実施形態によれば、断熱ポリマーフォームの第1の層は、断熱パネルの角ゾーンの各々に、底プレートと中間プレートとの間に延在する柱を受け入れる切り欠きを有する。これは、フォームの圧潰およびクリーピングを制限することに役立つ。
【0060】
別の実施形態によれば、断熱パネルのうちの少なくとも1つは、底プレートと、カバープレートと、底プレートとカバープレートとの間でタンク壁の厚さ方向に延在し、かつパーライトなどの断熱パッキンを充填される複数の区画を画定する耐力パーティションとを有する。
【0061】
ある実施形態によれば、流体は、液化天然ガスなどの液化ガスである。
【0062】
このようなタンクは、たとえばLNGを貯蔵するための陸上貯蔵施設の一部であっても、沿岸または深海浮体構造物上、具体的にはとりわけ、液化天然ガス運搬船、浮体式貯蔵再ガス化設備(FSRU)、浮体式生産貯蔵積出し設備(FPSO)上、に設置されてもよい。
【0063】
ある実施形態によれば、極低温流体を輸送するために使用される船舶は、二重船殻と、二重船殻内に配置される前述のタンクとを有する。
【0064】
ある実施形態によれば、二重船殻は、タンクの耐力構造体を形成する内殻を有する。
【0065】
ある実施形態によれば、本発明は、流体が断熱管を介して陸上または浮体式貯蔵施設と船舶上のタンクとの間で導かれる、このような船舶への積込みまたはそこからの積出し方法も提供する。
【0066】
ある実施形態によれば、本発明は、流体の移送システムも提供し、該システムは、前述の船舶と、船舶の船殻内に設置されるタンクを陸上または浮体式貯蔵施設へ連結するように配置される断熱管と、断熱管を介して流体を陸上または浮体式貯蔵施設と船舶上のタンクとの間で駆動するためのポンプとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0067】
添付の図面を参照して、単に非限定的な例として記す本発明のいくつかの特定の実施形態に関する以下の詳細な説明において、本発明は、よりよく理解され得、かつ本発明の追加の目的、詳細、特徴および利点がより明確に記載される。
【0068】
【0069】
【
図2】タンク壁内で使用可能な二次断熱パネルの斜視図である。
【0070】
【
図3】タンク壁内で使用可能な一次断熱パネルの斜視図である。
【0071】
【
図4】一次断熱パネルおよび二次断熱パネルと協働して前記パネルを耐力構造体上に保持することができる保持デバイスの斜視図である。
【0072】
【0073】
【
図6】第1の実施形態による、一次膜の固定手段も示す、
図1のゾーンVIの拡大図である。
【0074】
【
図7】
図6の線VII-VIIに沿った拡大断面図である。
【0075】
【
図8】一次断熱バリアの架橋エレメントも示す、
図6と同様の図である。
【0076】
【
図9】
図8の線IX-IXに沿った拡大断面図である。
【0077】
【
図10】第2の実施形態による、一次膜の固定手段も示す、
図6と同様の図である。
【0078】
【
図11】液化天然ガス運搬船内のタンクおよびこのタンクの積込み/積出しターミナルを示す切欠略図である。
【0079】
【
図12】別の実施形態による、タンク壁の切欠斜視図である。
【0080】
【
図13】ある実施形態による、一次固定部材も示す、
図12のゾーンXIIIの拡大図である。
【0081】
【
図14】別の実施形態による、タンク壁の斜視図である。
【0082】
【0083】
【
図16】第1の実施形態による、
図15のゾーンXVIの部分投影図である。
【0084】
【
図17】第1の実施形態による、
図16の端壁の線XVII-XVIIに沿った断面図である。
【0085】
【
図18】第1の実施形態による、
図16の斜壁の線XVIII-XVIIIに沿った断面図である。
【0086】
【
図19】タンクの第2の実施形態による、
図16の端壁の線XVII-XVIIに沿った断面図である。
【0087】
【
図20】第2の実施形態による、
図16の斜壁の線XVIII-XVIIIに沿った断面図である。
【0088】
【
図21】第3の実施形態による、斜壁の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
図1は、液化天然ガス(LNG)などの液化流体を貯蔵するための密閉断熱タンクの壁1の多層構造体を示す。タンクの各壁1は、厚さ方向にタンクの外側から内側へ連続して配置される、耐力壁3上へ保持される二次断熱バリア2と、二次断熱バリア2に当接する二次密閉膜4と、二次密閉膜4に当接する一次断熱バリア5と、タンクに入れられる液化天然ガスに接触するように設計される一次密閉膜6とを有する。
【0090】
この耐力構造体は、具体的には、船の船殻または二重船殻によって形成されてもよい。耐力構造体は、通常は多面体であるタンクの全体形状を画定する複数の耐力壁3を備える。
【0091】
二次断熱バリア2は、後に詳述する保持デバイス98を用いて耐力壁3へ固定される複数の二次断熱パネル7を有する。二次断熱パネル7は、平行六面体の全体形状を有し、かつ平行な列に配置される。列は、文字A、BおよびCを用いて3つ示されている。二次断熱パネル7と耐力壁3との間には、耐力壁3と平坦な基準面との間の間隙を埋めるために、マスチックビード99が挿入されている。マスチックビード99と耐力壁3との間には、マスチックビード99が耐力壁3に付着することを防止するために、クラフト紙が挿入される。
【0092】
図2は、ある実施形態による、二次断熱パネル7の構造を示す。この場合、二次断熱パネル7は、3つのプレート、具体的には底プレート8、中間プレート9およびカバープレート10、を有する。底プレート8、中間プレート9およびカバープレート10は、たとえば合板製である。また、二次断熱パネル7は、底プレート8と中間プレート9との間に挟まれる第1の断熱ポリマーフォーム層11、および中間プレート9とカバープレート10との間に挟まれる第2の断熱ポリマーフォーム層12も有する。第1および第2の断熱ポリマーフォーム層11、12は、各々、底プレート8および中間プレート9、ならびに中間プレート9およびカバープレート10に接着される。断熱ポリマーフォームは、具体的には、場合によりファイバで強化されるポリウレタン系フォームであってもよい。
【0093】
第1の断熱ポリマーフォーム層11は、角ゾーンに、すみ柱13を収容するための切り欠きを有する。すみ柱13は、二次断熱パネル7の4つの角ゾーンにおいて、底プレート8と中間プレート9との間に延在する。すみ柱13は、底プレート8および中間プレート9へ、たとえばステープル、またはねじ、または接着剤を用いて締め付けられる。すみ柱13は、たとえば合板製またはプラスチック製である。すみ柱13は、使用時に圧縮荷重の一部を吸収して、フォームの圧潰およびクリーピングを制限する手助けをする。このようなすみ柱13の熱収縮率は、第1の断熱ポリマーフォーム層11の熱収縮率とは異なる。さらに、タンクが冷却されているとき、すみ柱13では、二次断熱パネル7の歪みを他のゾーンより小さくすることができる。
【0094】
さらに、二次断熱パネル7は、その角ゾーンに、後に詳述する保持デバイス98を受け入れるためのリセス14、54を有する。二次断熱パネル7は、底プレート8から中間プレート9まで、保持デバイス98のロッド15が貫通できるように設計される第1のリセス14を有する。二次断熱パネル7は、中間プレート9より上に第2のリセス54を有する。第2のリセス54の大きさは、中間プレート9が第2の断熱ポリマーフォーム層12およびカバープレート10を越えて突き出すように、第1のリセス14の大きさより大きい。したがって、中間プレート9は、二次断熱パネル7の角ゾーンに、保持デバイス98の二次担持プレート17と協働するように設計される担持ゾーン16を形成する。
【0095】
さらに、カバープレート10は、これらの4つの角ゾーンに座ぐり18を有する。各座ぐり18は、保持デバイス98の力分散プレート19を受け入れるように設計される。座ぐり18の厚さは、力分散プレート19がカバープレート10の上面と同一平面になるように、力分散プレート19の厚さと略同様である。カバープレート10は、溶接サポートを受け入れるように設計されるスロット20も有する。
【0096】
上述の二次断熱パネル7の構造は、例示である。別の実施形態において、二次断熱パネル7は、さらに、異なる全体構造、たとえば、国際公開出願第2012/127141号パンフレットに記載の構造を有することが可能である。その場合、二次断熱パネル7は、底プレートと、カバープレートと、底プレートとカバープレートとの間でタンク壁1の厚さ方向に延在し、かつパーライト、グラスウールまたはロックウールなどの断熱パッキンを充填される複数の区画を画定する耐力パーティションとを有するボックスに形成される。
【0097】
図1は、二次密閉膜4が、隆起した縁を有する金属条板21の連続層を有することも示している。条板21は、その隆起した縁32を介して、二次断熱パネル7のカバープレート10内に形成されるスロット20内に締め付けられる平行な溶接サポートへ溶接される。条板21は、たとえば、Invar(登録商標)製であり、すなわち、膨張係数が典型的には1.2・10
-6~2・10
-6K
-1間である鉄とニッケルとの合金で製造される。また、典型的には約7・10
-6K
-1の膨張係数を有する鉄とマンガンとの合金を用いることも可能である。
【0098】
一次断熱バリア5は、先に述べた保持デバイス98によって耐力壁3へ固定される複数の一次断熱パネル22を有する。一次断熱パネル22は、略平行六面体である。さらに、一次断熱パネルの大きさは、一次断熱パネル22の大きさと同一であるが、タンク壁1の厚さ方向におけるその厚さは、例外的に異なり得、典型的には、より小さくてもよい。一次断熱パネル22の各々は、タンク壁1の厚さ方向に、二次断熱パネル7のうちの1つと位置合わせされる。
【0099】
図3は、ある実施形態による一次断熱パネル22の構造を示す。一次断熱パネル22は、
図2における二次断熱パネル7の多層構造と同様の多層構造を有する。さらに、一次断熱パネル22は、連続的に、底プレート23と、第1の断熱ポリマーフォーム層24と、中間プレート25と、第2の断熱ポリマーフォーム層26と、カバープレート27とを備える。断熱ポリマーフォームは、具体的には、場合によりファイバで強化されるポリウレタン系フォームであってもよい。
【0100】
一次断熱パネル22は、底プレート23が第1の断熱ポリマーフォーム層24、中間プレート25、第2の断熱ポリマーフォーム層26およびカバープレート27を越えて突き出すように、その角ゾーンにリセス28を有する。したがって、底プレート23は、一次断熱パネル22の角ゾーンに、保持デバイス98の一次担持プレート30と協働するように設計される担持ゾーン29を形成する。底プレート23には、ウェッジ(不図示)が追加され得、該ウェッジの形状は、担持ゾーン29の形状と同様であり、かつ保持デバイス98の一次担持プレート30と協働するように設計される。
【0101】
底プレート23は、二次密閉膜4の条板21の隆起した縁32を受け入れるように設計されるスロット31を有する。カバープレート27は、一次密閉膜6を固定するための固定手段(
図1および
図3には示されていない)も有することが可能である。
【0102】
上述の一次断熱パネル22の構造は、例示である。別の実施形態において、一次断熱パネル22は、さらに、異なる全体構造、たとえば、国際公開出願第2012/127141号パンフレットに記載されているような構造を有することが可能である。
【0103】
別の実施形態において、一次断熱バリア5は、タンク内のその設置ゾーンの一機能として、少なくとも2つの異なるタイプの構造、たとえば先に述べた2つの構造、を有する一次断熱パネル22を有する。
【0104】
図1は、一次密閉膜6が、相互に垂直な2つの連なりの波形を有する矩形シート33の連続層を有することも示している。第1の連なりの波形55は、断熱パネルの列A、B、Cに対して垂直に、よって条板21の隆起した縁32に対して垂直に延在し、かつ規則的なスペーシング57を有する。第2の連なりの波形56は、断熱パネルの列A、B、Cに対して平行に、よって条板21の隆起した縁32に対して平行に延在し、かつ規則的なスペーシング58を有する。好ましくは、第1の連なりの波形55は、第2の連なりの波形56より高い。
【0105】
矩形シート33は、既知の技術を用いて、その縁に沿って小さい重なり合ったゾーン59を形成するように互いに溶接される。
【0106】
矩形シート33は、好ましくは、対応する波形間のスペーシングの整数倍であって、一次断熱パネル22の大きさの整数倍でもある大きさの幅および長さを有する。
図1は、(スペーシング57の4倍)x(スペーシング58の12倍)の大きさの矩形シート33を示している。好ましくは、スペーシング57とスペーシング58とが等しい。したがって、タンク内の波形55および56の向きは、断熱バリアの製造に重大な変更を余儀なくされることなく、用途要件に容易に適合され得る。
【0107】
たとえば、ある変形実施形態において、一次密閉膜6は、第1の連なりの波形55が断熱パネルの列A、B、Cに平行に、よって条板21の隆起した縁32に平行に延在するように、90゜回転される。
【0108】
一次断熱パネル22および二次断熱パネル7は、列A、B、Cの幅方向に同じ大きさを有する。慣例により、この寸法を断熱パネルの長さと呼ぶ。耐力壁3の略全てに渡って繰返しパターンを何度も形成することによるタンク壁のモジュール式製造を容易にするために、この列幅は、同じ方向の波形間のスペーシング、この場合はスペーシング58、の整数倍であり、かつ条板21の幅の整数倍である。
【0109】
好ましくは、条板21の幅は、同じ方向の波形間のスペーシングの整数倍、たとえば2倍、である。
【0110】
列A、B、Cの長さ方向において、一次断熱パネル22は、二次断熱パネル7と同じ大きさであっても、この大きさの整数倍であってもよい。耐力壁3の全てに渡って繰返しパターンを何度も形成することによるタンク壁のモジュール式製造を容易にするために、この大きさは、同じ方向の波形間のスペーシング、この場合はスペーシング57、の整数倍である。
【0111】
好ましくは、一次断熱パネル22および二次断熱パネル7は、正方形である。これにより、タンク内の条板および波形の相対的な向きを、断熱パネルの設計に対する重大な変更を必要とすることなく適合させることがより容易となる。
【0112】
大きさの好ましい例
波形57、58間のスペーシング:PO
一次断熱パネル22および二次断熱パネル7の幅:4PO
一次断熱パネル22および二次断熱パネル7の長さ:4PO(正方形)
条板21の幅:2PO
シート33の長さ:12PO(
図1)または8PO(不図示)
シート33の幅:4PO
PO=300mm
これらの大きさを用いれば、タンク壁を構成する部品を保持する容易さと、組み立てられなければならない部品の数との間で良い妥協点が達成される。この配置は、タンクの2壁間の波形の連結も単純化する。
【0113】
大きさの例2
波形58間のスペーシング:PO
波形57間のスペーシング:GO
一次断熱パネル22および二次断熱パネル7の幅:3GO
一次断熱パネル22および二次断熱パネル7の長さ:4PO(長方形)
条板21の幅:2PO
シート33の長さ:12PO
シート33の幅:3GO
PO=300mm
GO=340mm
【0114】
例3
波形55は、等距離ではなく、下記の連続するスペーシング:
340、340、340、180mm
を有する4つの波形55の繰返しパターンで配置される。
好ましくは、180mmの間隙は、矩形シート33の対向する2つの縁に位置決めされる2つの90mm部分に分割される。
したがって、繰返しパターンの大きさは、1200mmである。残りについては、第1の例の大きさが保持される。
【0115】
例4
波形55は、等距離ではなく、下記の連続するスペーシング:
300、400、300、200mm
を有する4つの波形55の繰返しパターンで配置される。
好ましくは、200mmの間隙は、矩形シート33の対向する2つの縁に位置決めされる2つの100mm部分に分割される。
したがって、繰返しパターンの大きさは、1200mmである。残りについては、第1の例の大きさが保持される。
【0116】
図1に示すように、保持デバイス98は、一次断熱パネル22および二次断熱パネル7の4つの角に位置合わせされる。したがって、1つの二次断熱パネル7および1つの一次断熱パネル22による各スタックが、保持デバイス98を用いて耐力壁3へ固定される。したがって、この場合の保持デバイス98は、二次保持部材上へ重ね合わされる一次保持部材を備える。さらに、各保持デバイス98は、隣接する4つの二次断熱パネル7の角および隣接する4つの一次断熱パネル22の角と協働する。
【0117】
図4および
図5は、ある実施形態による保持デバイス98の構造をより具体的に示している。
【0118】
保持デバイス98は、ソケット34を有し、ソケット34のベースは、隣接する4つの二次断熱パネル7の角ゾーンにおける隙間に対応するポジションで耐力壁3へ溶接される。ロッド15の下端は、ソケット34内に位置づけられる、
図5に示すナット35にねじ込まれる。ロッド15は、隣接する二次断熱パネル7の間を通る。
【0119】
ロッド15は、絶縁プラグ36内に形成される、保持デバイス98内の連続的な二次断熱を確実にするように設計されたボアを貫通する。絶縁プラグ36は、タンク壁1の厚さ方向に直交する面内に4つの分岐によって画定される十字形の断面を有する。4つの分岐は各々、隣接する4つの二次断熱パネル7のうちの2つの間に形成される細隙へ挿入される。
【0120】
保持デバイス98は、隣接する4つの二次断熱パネル7の各々を耐力壁3に対して保持するために、耐力壁3へ向かってこれらのパネルの各々に形成される担持ゾーン16に当接する二次担持プレート17も有する。図示の実施形態において、二次担持プレート17は、二次断熱パネル7の各々の第2の断熱ポリマーフォーム層12内に形成される第2のリセス54内に位置づけられ、中間プレート9の担持ゾーン16を形成するゾーンに当接する。
【0121】
ナット37は、ロッド15の上端に形成されるねじ山と協働して、二次担持プレート17をロッド15上に保持する。
【0122】
図示の実施形態において、保持デバイス98は、1つまたは複数のベルビルばねワッシャ38も有する。ばねワッシャ38は、ナット37と二次担持プレート17との間でロッド15上に通され、これが、二次断熱パネル7を耐力壁3へ弾性的に確実に固定することを手助けする。さらに、かつ効果的には、ナット37をロッド15上の所定位置に締め付けるために、ロッド15の上端へロック部材39が局所的に溶接される。
【0123】
保持デバイス98は、二次担持プレート17へ締め付けられる力分散プレート19、上部プレート40およびスペーサ41も有する。
【0124】
力分散プレート19は、隣接する4つの二次断熱パネル7のカバープレート10内に形成される座ぐり18の各々に位置づけられる。したがって、力分散プレート19は、カバープレート10および4つの二次断熱パネルの各々と、二次密閉膜4との間に位置合わせされる。力分散プレート19の意図は、隣接する二次断熱パネル7の角間の高低差の発生を軽減することにある。さらに、力分散プレート19は、二次断熱パネル7の角ゾーンにおける二次密閉膜4および一次断熱パネル22に加わりがちな応力を分散させることに役立つ。結果的に、力分散プレート19は、二次断熱パネル7の角ゾーンにおける、一次断熱パネル22の底プレート23のかみ込み、および一次断熱パネル22の断熱ポリマーフォーム層24、26のかみ込みおよび圧縮を制限することに役立つ。
【0125】
力分散プレート19は、効果的には、ステンレス鋼、典型的には1.2・10-6~2・10-6K-1間の膨張係数を有する、Invarなどの鉄とニッケルとの合金、および2・10-5K-1未満、典型的には7・10-6K-1、の膨張係数を有する鉄とマンガンとの合金から選択される金属で製造される。力分散プレート19の厚さは、1mm~7mm、好ましくは2mm~4mm、たとえば約3mm、である。力分散プレート19は、効果的には正方形であって、一辺の長さは、100mm~250mm、たとえば約150mm、である。
【0126】
上部プレート40は、力分散プレート19の真下に配置されて、力分散プレート19の大きさより小さい大きさを有し、よって、力分散プレート19は、上部プレート40を完全に覆う。上部プレート40は、担持ゾーン16と同じ高さである二次断熱パネル7の角ゾーンに形成されるリセス15内に、すなわち、
図5に示す実施形態では、二次断熱パネル7の第2の断熱ポリマーフォーム層12に形成されるリセス54内に、位置づけられる。
【0127】
上部プレート40は、一次断熱パネル22を固定するように設計されるピン43のねじ切りされたベースが内部に取り付けられるねじ切りされたボア42を有する。ピン43を上部プレート40へ締め付けることができるように、力分散プレート19は、上部プレート40のねじ切りされたボアとは反対側に形成されるボアも有し、これにより、ピン43が力分散プレート19を貫通することができるようになる。
【0128】
上部プレート40は、耐力壁3に平行な2つの対向する大きい面と、2つの大きい面を連結する、タンク壁1の厚さ方向に平行に延在する4つの面とを備える全体的には平行六面体の矩形形状を有する。
図4および
図5に示す実施形態において、タンク壁1の厚さ方向に平行して延在する4つの面は、フィレット44によって連結される。これは、いかなる鋭角をもなくし、よって、一次断熱パネル22の底プレート23のかみ込みを、応力集中の制限によりさらに制限することに役立つ。
【0129】
ある実施形態(不図示)において、上部プレート40および力分散プレート19は、1つの一体部品から形成され得る。
【0130】
二次担持プレート17と上部プレートとの間には、スペーサ41が配置され、これにより、二次担持プレート17と上部プレート40との間の間隙を保つことが促進される。
図4および
図5に示す実施形態において、スペーサ41は、タンク壁1の厚さ方向に見えるように、上部プレート40の設置面積の内側に嵌合するためのベベル45を有する。言い換えれば、上部プレート40は、スペーサ41を完全に覆う。
【0131】
スペーサ41は、効果的には木製であり、これは、保持デバイス98における耐力壁3への熱橋を制限することに役立つ。スペーサ41の形状は、逆「U」であって、これにより、「U」の分岐間に中央座46が形成される。中央座46は、ロッド15の上端、ロック部材39、ナット37およびばねワッシャ38を受け入れる。スペーサ41はまた、担持面16と同じ高さに形成されるリセス15内にも位置づけられる。
【0132】
ロック部材39は、対角線が「U」の2つの分岐間の中央座46の大きさより長い正方形または長方形であって、これにより、ロッド15のスペーサ39に対する回転が阻止され、かつロッド15がナット35から外れることが防止される。
【0133】
力分散プレート19、上部プレート40、スペーサ41および二次担持プレート17を互いに締め付けるために、これらのエレメントの各々には、2つのボアが設けられ、その各々をねじ47、48が通り抜ける。二次担持プレート17内に形成されるボアの各々は、前述のエレメントを互いに締め付けるためにねじ47、48のうちの一方と協働するねじ山を有する。
【0134】
さらに、ピン43は、二次密閉膜4の条板21を抜けて形成される穴を貫通する。ピン43は、穴の回りに、二次密閉膜4の密封を確実にするためにその周囲に溶接されるフランジ49を有する。したがって、二次密閉膜は、ピン43のフランジ49と力分散プレート19との間に挟まれる。
【0135】
保持デバイス98は、隣接する4つの一次断熱パネル22の各々を耐力壁3に対して保持するために、耐力壁3へ向かってこれらのパネルの各々に形成される担持ゾーン29に当接する一次担持プレート30も有する。図示の実施形態において、各担持ゾーン29は、一次断熱パネル22のうちの1つの底プレート23の突出部分により形成される。一次担持プレート30は、担持ゾーン29と同じ高さである一次断熱パネル22の角ゾーンに形成されるリセス28内に位置づけられる。
【0136】
ナット50は、ピン43の上端に形成されるねじ山と協働して、一次担持プレート30をピン43へ締め付ける。図示の実施形態において、保持デバイス98は、一次断熱パネル22が耐力壁3へ弾性的に固定されることを確実にするために、ナット50と一次担持プレート30との間でピン43上へ通される1つまたは複数のベルビルばねワッシャ51も有する。
【0137】
さらに、隣接する4つの一次断熱パネル22の角ゾーンに形成されるリセス28には、保持デバイス98における一次断熱バリア5の連続性を保証するために、
図5に示す絶縁プラグ52が保持デバイス98の上に挿入される。さらに、
図5に示す木製の塞ぎプレート53は、一次密閉膜6の担持面の平坦さを保証する。塞ぎプレート53は、一次断熱パネル22の角ゾーンに形成される座ぐりに受け入れられる。
【0138】
以下、
図6~
図14を参照するいくつかの実施例を用いて、一次密閉膜6の、一次断熱パネル22への締付けについて述べる。
【0139】
図6に示す実施形態では、金属製の固定ストリップ60が、矩形シート33の輪郭に沿って一次断熱パネル22のカバープレート27へ締め付けられている。矩形シート33の縁は、次に、固定ストリップ60に沿って溶接により締め付けられてもよい。固定ストリップ60は、座ぐり内でカバープレート27へ、ねじまたはリベットなどの任意の適切な手段によって締め付けられる。
【0140】
図6および
図7は、一次断熱パネル22のカバープレート27へ他のロケーションにおいて、追加の締付け場所を提供する目的で、たとえば矩形シート33の輪郭から離れて一次断熱パネル22の縁沿いに、締め付けられ得る金属プレート61も示している。金属プレート61は、座ぐり内でカバープレート27へ、ねじまたはリベットなどの任意の適切な手段によって締め付けられる。
【0141】
2つの一次断熱パネル22間の界面62における断面である
図7においてより明確に示されているように、矩形シート33の平坦なゾーンは、金属プレート61へ透明式に溶接され得る。
【0142】
図8および
図9は、一次断熱パネル22の縁が、たとえば合板製である架橋プレート64を受け入れるための座ぐり63を有する、一次断熱パネル22の別の実施形態を示す。架橋プレート64は、界面62における2つの一次断熱パネル22間のいかなる間隙も防止すべく、2つの一次断熱パネル22のカバープレート27へ締め付けられ、これにより、一次密閉膜6が当接する担持面の一様性が高められる。
【0143】
図6および
図8では、カバープレート27および断熱ポリマーフォーム層26に、カバープレート27および断熱ポリマーフォーム層26をいくつかの部分にセグメント化する応力除去スロット65が設けられ、これにより、冷却中の平行割れが防止される。
【0144】
図10は、公開文献仏国特許第3001945号明細書に記載されているような、応力除去スロット65が固定ストリップ60の隣接ゾーンに限定される、一次断熱パネル22の別の実施形態を示す。
【0145】
矩形シート33の輪郭の所与の部分には、溶接中にカバープレート27に損傷が生じることを防止するために、たとえば複合材料製の熱防護ストリップ66が固定ストリップ60と位置合わせされている。
【0146】
図12に示すタンク壁101は、一次断熱パネル22の1列が二次断熱パネル7の1列と重なり合わず、2列の二次断熱パネル7にまたがる一実施形態を示す。
図1~
図10におけるエレメントと同一または類似のエレメントは、同じ参照符号を用いて示してあり、よって、相違点についてのみ説明する。
【0147】
【0148】
第1に、一次保持部材97が、二次保持部材から分離されかつオフセットされている。二次保持部材(不図示)は、様々な異なる方法で、たとえば、分散プレート19より上に配置されるエレメントが全てが除去されている保持デバイス98として、製造され得る。この場合は、力分散プレート19および該プレートを受け入れるように設計される座ぐり18も除去することができる。たとえば二次パネルの角に、かつ/または2つの二次パネル間の細隙に第1の方向または第2の方向のいずれかで配置される二次保持部材(不図示)は、可変数、たとえば二次断熱パネル7につき2~5個、で存在してもよい。二次保持部材の他の実施形態は、国際公開第2013093262号パンフレットに記載されている。
【0149】
一次保持部材97は、様々な異なる方法で、たとえば、
図13の拡大図に示すように、または、公開文献仏国特許第2887010号明細書に記載されているように、製造され得る。
【0150】
図13において、一次保持部材97は、たとえば接着によりカバープレート10の表面に形成される座ぐり内に締め付けられる、かつ第1の断熱ポリマーフォーム層11に向かって回される、たとえば正方形または円形の輪郭を有するプレート119を有する。プレート119は、カバープレート10の上面に開いたねじ穴を有し、先に述べたピン43と同一のピン143は、この中にねじ込まれることが可能である。
【0151】
さらに、タンク壁の第1段全体、具体的には、一次断熱バリア5およびこれにより担持される一次密閉膜6、は、平面の両方向に、二次断熱パネル7の長さの半分だけオフセットされている。したがって、一次保持部材97は、二次保持部材の真上に存在する代わりに、二次断熱パネル7のカバープレートの中心に存在する。
【0152】
このオフセットにも関わらず、二次保持部材は、依然として、隣接する4つの二次断熱パネル7の角と協働し、かつ一次保持部材97は、依然として、隣接する4つの一次断熱パネル22の角と協働する。このオフセットの振幅は、異なるものである可能性もあり、かつ一次保持部材97は、二次断熱パネル7のカバープレート上の他の場所に存在する可能性もあるが、隆起した縁32から離れていてこれを妨害しないことが好ましい。オフセットの振幅は、平面の2方向で異なってもよい。
【0153】
図14に略示するタンク壁201は、一次断熱パネル22の1列が二次断熱パネル7の1列に重ね合わされているが、第1の方向に断熱パネル1枚の長さの一部だけ、この場合は該長さの半分だけオフセットされる一実施形態を示す。したがって、第1の列における一次断熱パネル22は、下にある二次列における2つの二次断熱パネル7にまたがる。
図1~
図13におけるエレメントと同一または類似のエレメントは、同じ参照符号を用いて示してあり、よって、相違点についてのみ説明する。
【0154】
図14に略示する実施形態において、一次断熱パネル22は、二次密閉膜(不図示)上へ、一次断熱パネル22の側面中央に配置される保持部材によって保持される。したがって、二次断熱パネル7のカバープレートの中央に配置される一次保持部材97は、第1の列の2つの一次断熱パネル22と協働し、かつ第1の列の幅に沿った中間に位置合わせされる。さらに、二次保持部材92は、先行する実施形態の場合と同様に、二次断熱パネル7の角に位置合わせされる。二次保持部材92は、一次保持部材91を担持する。二次保持部材92およびこれにより担持される一次保持部材91は、保持デバイス98と同様に製造されても、異なって製造されてもよい。
図1とは異なり、この場合の一次保持部材91は、専ら2つの一次断熱パネル22と、これらの一次断熱パネル22の片側の真ん中で協働する。
【0155】
一次保持部材91へのアクセスを容易にするために、一次断熱パネル22の形状は、アクセスシャフト93を形成するように設計され得る。この場合、シャフト93は、一次保持部材91の設置後に、たとえば、剛性プレート、たとえば合板製(不図示)、で覆われたポリウレタン・フォーム・プラグで塞がれる。
【0156】
図15は、多面体タンク100の部分切欠き斜視図である。タンク100は、多面耐力構造体103を有する。タンク100は、耐力構造体101を横切る端壁102と、複数の長手方向壁104、106および108とを有する。壁104は、タンクの水平な底壁および天井壁である。壁106は、垂直壁であり、壁108は、各々水平壁104を垂直壁106に連結する斜壁である。
【0157】
図1~
図14を参照してこれまでに述べた、タンク壁を作るための構造は、多面体タンク100の壁のうちの1つ、全て、または一部に適用され得る。以下、斜壁108と端壁102との間の連結ゾーンについて、より詳細に述べる。
【0158】
図16は、ある実施形態による、
図15のゾーンXVIの平坦な部分投影図である。端壁102は、まず、第1の縁110において斜壁108へ連結され、次に、第2の縁112において水平壁104へ連結される。
【0159】
タンク壁は各々、
図1または
図12に示す構造体と同様の多層構造体を有することが可能である。
図16は、単に、一次膜6の波形(一点鎖線を用いて示す)と、いくつかの正方形の一次断熱パネル22の輪郭とを示している。これらのパネルは、端壁102内に一次列116を、水平壁104内に一次列117を、垂直壁106内に一次列119を、かつ斜壁108内に一次列121を形成する。
【0160】
図17および
図18の断面図には、ある例示的な実施形態における関連する二次バリアが示されている。
【0161】
端壁102上で、一次密閉膜6は、ピッチyで離隔されかつ水平壁104に平行である第1の連なりの波形118と、第1のピッチyで離隔されかつ水平壁104に垂直である第2の連なりの波形120とを有する。
【0162】
水平壁104上で、一次膜6は、第1の連なりの長手方向波形122を有し、各波形は、縁112において、第2の連なりの波形120のうちの1つへ連続的に連結される。
【0163】
斜壁108における一次膜は、第2のピッチzで離隔されかつ縁110において第1の連なりの波形118へ連続的に連結される波形126と、壁108の長手方向上縁に沿って配置され、かつ端壁102の第2の連なりの波形120へ連続的に連結される波形127とを含む、一連の長手方向波形を有する。
【0164】
追加的な波形127は、斜壁108の幅に依存して任意である。この波形127は、最後の波形126と壁の縁との距離が所定の距離より大きい場合に追加される。その結果、連続する2つの波形間の最大距離は、隣接する2つの長手方向壁間の界面を含み、所与の閾値未満のままである。したがって、追加の波形127を加えることにより、斜壁108の幅の調整が可能となり、建設中のタンクの大きさに、より大きい公差が与えられる。
【0165】
長手方向波形126は、第1の連なりの波形118のうちの1つへ、第1の連なりの波形118へ連結される第1の端と長手方向波形126へ連結される第2の端との間のエルボを形成する偏向波形128によって連結される。
【0166】
端壁102の一次列116および斜壁108の一次列121の繰返しパターンは、予め決められた大きさLを共有する。これは、水平壁104の一次列117および垂直壁106の一次列119の繰返しパターンと同じ寸法であることが可能である。たとえば、この大きさは、1000mm~1500mmであってもよい。したがって、一次断熱パネル22の幅は、これらの壁の全てにおいて同一であってもよい。図示されていないが、繰返しパターンは、一次断熱パネル22間の細隙も含み得、その幅は、好ましくは50mm以下である。この場合、パネル間の細隙は、断熱材、たとえばガラスウール、低密度ポリウレタンフォームまたは他の任意の断熱材料、によって覆われる。
【0167】
図16では、斜壁108の平面と水平壁104の平面との間に角度130が画定され、かつ垂直壁106の平面と斜壁108の平面との間に角度132が画定されている。角度130および角度132は、相補的である。2つの平面間の角度は、0゜~90゜である。
【0168】
角度130は、大きさLが、まずは第1のピッチyの第1の整数n1倍であり、次に、第2のピッチzの第2の整数n2倍であり、よってL=n1*y=n2*zであるように選択され、ここで、第2の整数倍n2は、第1の整数倍n1より小さい。この目的に沿って、角度130は、割合n2/n1の逆余弦である。
【0169】
図示の例では、n1=3およびn2=2である。したがって、角度130は、arccos(2/3)=48.19゜である。したがって、角度131は、相補的な角度、すなわちarcsin(2/3)=41.81゜である。
【0170】
一次膜6は、垂直壁106上に一連の長手方向波形124を有する。各波形124は、縁114において第1の連なりの波形118のうちの1つへ連続的に連結される。
【0171】
ある変形実施形態において、一次列116は、垂直壁106に対して平行に配向され得る。
【0172】
図17および
図18は、各々、第1の例示的実施形態による、線XVII-XVIIに沿った端壁102の断面、および線XVIII-XVIIIに沿った斜壁108の断面を示す。この例示的実施形態において、端壁102は、一次列116に平行な複数の二次列216と、第1の連なりの波形118に平行な複数の条板218を含む二次膜とを有する。第1の壁108も同じく、一次列121に平行な複数の二次列221と、長手方向波形126に平行な複数の条板226を含む二次膜とを有する。この実施形態では、一次断熱パネル22の全て、および二次断熱パネル7の全てが、少なくとも端壁102および斜壁108上で、但し潜在的には他の全ての壁上でも、同じ幅であってもよい。
【0173】
大きさの例
ある例示的実施形態において、
-端壁102の一次列116の繰返しパターンの大きさは、1200mmであり、かつ第1のピッチyの第1の整数n1倍、具体的には3倍であり、よって、第1のピッチyは、400mmに等しく、
-斜壁108の一次列121の繰返しパターンの大きさも、1200mmであり、かつ第2のピッチzの第2の整数n2倍、具体的には2倍であり、よって、第2のピッチzは、600mmに等しく、
-端壁102の二次列216の繰返しパターン、および斜壁108の二次列221の繰返しパターンの大きさも、各々1200mmであり、
-端壁102の条板218、および斜壁108の条板226の幅は、この大きさの全体部分であり、この場合は、600mmである。
【0174】
したがって、本例において、条板226の幅は、斜壁108のピッチzに等しい。
【0175】
図19および
図20は、角度130が上述の条件を満たさない第2の実施形態による、
図17および
図18と同様の図である。この場合、角度130は、たとえば45゜に設定される。したがって、ピッチ間の割合は、y/z=cos(45゜)=0.707である。
【0176】
この第2の例示的実施形態では、一次断熱パネル22の大きさが、端壁102上と斜壁108上とで同じではあり得ない。実際に、端壁102の一次列116の繰返しパターンの大きさは、ピッチyの整数n1倍(この場合、n1=3)であり、一方で、斜壁108の一次列121の繰返しパターンの大きさは、ピッチzの整数n2倍(この場合、n2=2)である。双方が一次断熱パネル22の取り扱い易さを保証するに足る小値であり、かつn2/n1≒cos(45゜)を満たす2つの整数を選択することは、不可能である。したがって、この場合、タンクの建造には、少なくとも斜壁において、異なる大きさの断熱パネルが使用される。倍数n1およびn2は、この差が限定されるように、たとえば10%未満であるように、選択され得る。
【0177】
大きさの例1
【0178】
端壁102の一次列116の繰返しパターンの大きさは、1200mmであり、かつ第1のピッチyの第1の整数n1倍、具体的には3倍であり、よって第1のピッチyは、400mmに等しい。
【0179】
第2のピッチzは、斜壁108の長手方向波形126と端壁102の第1の連なりの波形118との連続性を確実にするように、角度130の余弦の関数として選択される。第2のピッチzは、566mmである。斜壁108の一次列121の繰返しパターンの大きさは、第2の整数n2倍、具体的には2倍であり、これは、それでも端壁102の一次列116の繰返しパターンの大きさに比較的近い異なる大きさを達成するように選択される。第1の壁108の一次列121の繰返しパターンの大きさは、1132mmである。
【0180】
さらに、端壁102において、二次列216の繰返しパターンの大きさは、一次列116の繰返しパターンの大きさに等しい。第1の壁108において、二次列221の繰返しパターンの大きさは、一次列121の繰返しパターンの大きさに等しい。さらに、第1の壁108の条板226の大きさは、第2のピッチzに等しい。
【0181】
大きさの例2
-端壁102の一次列116の繰返しパターンの大きさは、1020mmであり、かつ第1のピッチyの第1の整数n1倍、具体的には3倍であり、よって第1のピッチyは、340mmに等しく、
-第2のピッチzは、480.8mmである。斜壁108の一次列121の繰返しパターンの大きさは、961.6mmであり、かつピッチzの第2の整数n2倍、具体的には2倍である。
【0182】
図21は、ある実施形態による、斜壁108の斜視図である。
図16とは異なり、この場合は、矩形シート33の輪郭が示されている。
【0183】
波形が2つの連なりの波形間の交差部で連続している一次密閉膜については、先に述べている。一次密閉膜は、2つの連なりの間の交差部においていくつかの波形に不連続性がある、2つの相互に垂直な連なりの波形も有することが可能である。この場合、中断部は、第1の連なりの波形および第2の連なりの波形において交互に分散され、かつ所定の連なりの波形内では、波形の中断部が、隣接する平行な波形の中断部に対してオフセットされる。このオフセットは、2つの平行な波形間のスペーシングに等しくてもよい。
【0184】
図11を参照すると、液化天然ガス運搬船70の切欠き図が、船舶の二重船殻72内に取り付けられた、角柱状の全体形状を有する密閉断熱タンク71を示している。タンク71の壁は、タンクに入れられるLNGと接触するように設計される一次密閉バリアと、第1の密閉バリアと船舶の二重船殻72との間に配置される二次密閉バリアと、各々第1の密閉バリアと第2の密閉バリアとの間、および第2の密閉バリアと二重船殻72との間に配置される2つの断熱バリアと、を有する。
【0185】
ある既知の方法で、船舶の上甲板に配置される積込み/積出しパイプ73は、LNG貨物をタンク71へ、またはタンク71から移送するために、適切なコネクタを用いて海洋または港湾ターミナルへ連結され得る。
【0186】
図11は、積込み/積出し地点75と、海底ライン76と、陸上施設77とを備える例示的な海洋ターミナルを示す。積込み/積出し地点75は、可動アーム74と、可動アーム74を保持するカラム78とを備える定位の沖合施設である。可動アーム74は、積込み/積出しパイプ73へ連結可能な断熱ホース79の束を担持する。方向づけ可能な可動アーム74は、あらゆるサイズの液化天然ガス運搬船に適合させることができる。連結ライン(不図示)は、カラム78の内部に延びる。積込み/積出し地点75は、液化天然ガス運搬船70と陸上施設77との間の積込みおよび積出しを可能にする。この施設77は、液化ガス貯蔵タンク80と、海底ライン76を介して積込み/積出し地点75へ連結される連結ライン81とを有する。海底ライン76は、積込み/積出し地点75と陸上施設77との間で液化ガスが長い距離を、たとえば5kmに渡って移送されることを可能にし、これにより、積込みおよび積出し作業の間に液化天然ガス運搬船70を遙か沖合に留め置くことが可能にされる。
【0187】
液化ガスの移送に必要な圧力の生成には、船舶70に搭載されるポンプ、および/または陸上施設77に設置されるポンプ、および/または積込み/積出し地点75に設置されるポンプが使用される。
【0188】
本発明をいくつかの具体的な実施形態に関連して説明してきたが、本発明が、いかなる場合もこれらの実施形態に限定されないことは明白であり、よって本発明は、本発明の範囲に含まれる場合の記載された手段の技術的等価物およびそれらの組合せを全て包含する。
【0189】
「備える(comprise)」または「含む(include)」という動詞の使用は、活用形を含み、特許請求の範囲に記載されたもの以外の他の要素または他のステップの存在を排除するものではない。
【0190】
特許請求の範囲において、括弧内の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。