(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】保護板、電池セル組立体、電池モジュール及び車両
(51)【国際特許分類】
H01M 50/35 20210101AFI20230320BHJP
H01M 50/383 20210101ALI20230320BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20230320BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20230320BHJP
【FI】
H01M50/35 101
H01M50/383
H01M50/342 101
H01M50/249
(21)【出願番号】P 2021551844
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 CN2020083058
(87)【国際公開番号】W WO2020207329
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-08-31
(31)【優先権主張番号】201920461091.7
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201920461524.9
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【氏名又は名称】平山 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100086807
【氏名又は名称】柿本 恭成
(74)【代理人】
【識別番号】100178906
【氏名又は名称】近藤 充和
(72)【発明者】
【氏名】チェン シン ディ
(72)【発明者】
【氏名】ヨウ カイ ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ジン ハイ ズー
(72)【発明者】
【氏名】ヂョウ リン ガン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ポン
(72)【発明者】
【氏名】シー ドン ヤン
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-003843(JP,A)
【文献】特開2012-221837(JP,A)
【文献】特開2014-216315(JP,A)
【文献】特開2004-355914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30-50/392
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防爆弁に対応して設けられ、且つ前記防爆弁から噴出された火炎の流れ方向をガイドすることに用いられるガイド溝を備え、
電池セルの前記防爆弁を遮蔽することに用いられ
、
前記防爆弁と保護板とが水平方向に向いており、且つ前記ガイド溝の上端部が封止され、底部に開口する構成を有する、
前記保護板。
【請求項2】
前記保護板は本体と防火部材を備え、
前記本体に開口が設けられ、前記
本体の開口の形状が前記防火部材の外輪郭の形状と同じであり、
前記防火部材が前記
本体の開口内に嵌入し設けられ、前記ガイド溝が前記防火部材に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の保護板。
【請求項3】
前記防火部材の個数が複数であり、前記
本体の開口の個数が複数であり、前記防火部材は前記
本体の開口に1対1対応で設けられる、
ことを特徴とする請求項2に記載の保護板。
【請求項4】
前記本体に第1の逃げ部と第2の逃げ部が設けられ、
前記第1の逃げ部と前記第2の逃げ部はいずれも薄化構造であり、
各前記防爆弁は1つの第1の逃げ部と2つの第2の逃げ部に対応し、
前記第1の逃げ部は前記防爆弁を待避することに用いられ、
2つの前記第2の逃げ部はそれぞれ前記第1の逃げ部の両側に位置し、前記電池セルに接続している高圧接続部材及び/又はサンプリングラインを待避することに用いられる、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の保護板。
【請求項5】
前記防火部材は外部折曲板と内部仕切板を備え、
前記内部仕切板が前記外部折曲板の内壁に対して垂直に交差することで前記ガイド溝を形成する、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の保護板。
【請求項6】
前記内部仕切板は前記外部折曲板の一方側に封止される、
ことを特徴とする請求項5に記載の保護板。
【請求項7】
前記内部仕切板が前記外部折曲板の中間位置に設けられることにより、前記外部折曲板を2つの異なる方向へ延出している第1の延出部と第2の延出部に仕切り、
前記第1の延出部と前記内部仕切板の第1の面により第1のガイド溝が囲まれ、
前記第2の延出部と前記内部仕切板の第2の面により第2のガイド溝が囲まれ、前記第1の面と前記第2の面が対向して設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の保護板。
【請求項8】
前記外部折曲板は、上部が狭い且つ下部が広い形状に折り曲げて形成されている、
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の保護板。
【請求項9】
前記本体は射出成形される、
ことを特徴とする請求項2乃至8のいずれか一項に記載の保護板。
【請求項10】
前記防火部材の材質はマイカである、
ことを特徴とする請求項2乃至9のいずれか一項に記載の保護板
。
【請求項11】
前記保護板は、間隔を空けて設けられた上固定部と下固定部をさらに備え、
前記上固定部は前記電池セルの上面に係合することに用いられ、
前記下固定部は前記電池セルの底面に係合することに用いられる、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の保護板。
【請求項12】
ケースと、防爆弁が設けられた蓋板とを有する電池セルと、
前記電池セルに固定的に設けられ、且つ前記蓋板のある一方側に位置している請求項1乃至10のいずれか一項に記載の保護板と、を備え、
前記保護板に前記ガイド溝が設けられ、前記ガイド溝は、位置が前記防爆弁に対応し、前記ケースから噴出された火炎の流れ方向をガイドすることに用いられる、電池セル組立体。
【請求項13】
前記保護板は上固定部と下固定部を備え、
前記上固定部は前記ケースの上面に係合することに用いられ、
前記下固定部は前記ケースの底面に係合することに用いられる、
ことを特徴とする請求項12に記載の電池セル組立体。
【請求項14】
前記ケースは、前記上面と前記底面が平行であり、
前記上固定部は前記ケースの前記上面に沿って前記ケースの位置する方向へ延出し、
前記下固定部は前記ケースの前記底面に沿って前記ケースの位置する方向へ延出している、
ことを特徴とする請求項13に記載の電池セル組立体。
【請求項15】
前記上固定部は、別の1つの前記電池セルのケースの上面に当接するように、さらに前記ケースの前記上面に沿って前記ケースから離れた方向へ延出し、
前記下固定部は、前記別の1つの前記電池セルのケースの底面に当接するように、さらに前記ケースの前記底面に沿って前記ケースから離れた方向へ延出している、
ことを特徴とする請求項14に記載の電池セル組立体。
【請求項16】
前記保護板と前記蓋板との間に構造用接着剤が設けられている、
ことを特徴とする請求項12乃至15のいずれか一項に記載の電池セル組立体。
【請求項17】
防爆弁が設けられている複数の電池セルを有する電池ブロックと、
前記電池モジュールに固定される請求項1乃至10のいずれか一項に記載の保護板と、を備え、
前記保護板に複数のガイド溝が設けられ、前記複数のガイド溝が前記防爆弁に向いて、前記ガイド溝が前記防爆弁に1対1で対応し、前記電池セルから噴出された火炎の流れ方向をガイドすることに用いられる、電池モジュール。
【請求項18】
前記電池モジュールの前記複数の電池セルは、上下方向及び/又は水平方向に沿って配列している、
ことを特徴とする請求項17に記載の電池モジュール。
【請求項19】
前記保護板は前記電池セルの配列方向に沿って延出し、前記保護板は前記電池モジュールにおける全ての前記電池セルの前記防爆弁を遮蔽する、
ことを特徴とする請求項18に記載の電池モジュール。
【請求項20】
前記保護板はさらに上固定部と下固定部を備え、
前記上固定部は前記電池セルの上面に係合することに用いられ、
前記下固定部は前記電池セルの底面に係合することに用いられる、
ことを特徴とする請求項17乃至19のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項21】
前記電池セルの前記上面と前記底面は平行であり、
前記上固定部は前記電池セルの前記上面に沿って前記電池セルの位置する方向へ延出し、
前記下固定部は前記電池セルの前記底面に沿って前記電池セルの位置する方向へ延出している、
ことを特徴とする請求項20に記載の電池モジュール。
【請求項22】
前記上固定部は、別の1つの電池モジュールの電池セルの上面に当接するように、さらに前記電池セルの前記上面に沿って前記電池セルから離れた方向へ延出し、
前記下固定部は、前記別の1つの電池モジュールの電池セルの底面に当接するように、さらに前記電池セルの前記底面に沿って前記電池セルから離れた方向へ延出している、
ことを特徴とする請求項21に記載の電池モジュール。
【請求項23】
前記保護板は構造用接着剤によって前記電池モジュールに固定される、
ことを特徴とする請求項17乃至22のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項24】
請求項12乃至16のいずれか一項に記載の電池セル組立体を備える車両。
【請求項25】
請求項17乃至23のいずれか一項に記載の電池モジュールを備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互引用
本願は、2019年04月08日に提出された発明の名称が「電池モジュール」である中国特許出願第201920461091.7号の優先権を主張し、当該出願の全ての内容は引用により本明細書に援用される。
【0002】
本願は、2019年04月08日に提出された発明の名称が「電池セル組立体」である中国特許出願第201920461524.9号の優先権を主張し、当該出願の全ての内容は引用により本明細書に援用される。
【0003】
本願は、蓄積エネルギー素子の技術分野に関し、特に、保護板、電池セル組立体、電池モジュール及び車両に関する。
【背景技術】
【0004】
電気自動車の発展に伴い、電池の安全問題は顕在化している。車両の衝突、放熱不十分又は長時間動作等が発生する場合、電池が発火しやすく乗客及び走行の安全に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術において、電池セルの防爆弁が上向きであり、すなわち電池パックの上方にいる乗客に直接向いている。電池セルが熱暴走した場合、電池セルから放出されたエネルギー、火炎が上向きに噴出し、乗客の生命を直接に脅かす。
本願は、電池から火炎が偶発的に噴出された場合、乗客の安全を守るために、保護板、電池セル組立体、電池モジュール及び車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、防爆弁に対応して設けられ、且つ防爆弁から噴出された火炎の流れ方向をガイドすることに用いられるガイド溝を備え、電池セルの防爆弁を遮蔽することに用いられ、防爆弁と保護板とが水平方向に向いており、且つガイド溝の上端部が封止され、底部に開口する構成を有する、保護板を提供する。
【0007】
本願は、ケースと、防爆弁が設けられた蓋板とを有する電池セルと、電池セルに固定的に設けられ、且つ蓋板のある一方側に位置している上記の保護板と、を備え、保護板にガイド溝が設けられ、ガイド溝の位置が防爆弁に対応し、ケースから噴出された火炎の流れ方向をガイドすることに用いられる、電池セル組立体を提供する。
【0008】
本願は、防爆弁が設けられた複数の電池セルを有する電池モジュールと、電池モジュールに固定される上記の保護板と、を備え、保護板に複数のガイド溝が設けられ、複数のガイド溝が防爆弁に向いて且つガイド溝が防爆弁に1対1で対応し、電池セルから噴出された火炎の流れ方向をガイドすることに用いられる、電池モジュールを提供する。
【0009】
本願は、上記電池セル組立体を備える車両を提供する。
【0010】
本願は、上記電池モジュールを備える車両を提供する。
【0011】
理解すべきことは、上記の一般な説明及び後の詳細な説明は、例示的なものだけであり、本願を限定するものではない。
【発明の効果】
【0012】
本願により提供された技術的手段は以下の有益な技術的効果を達成することが可能である。
【0013】
本願により提供された保護板は電池セルの防爆弁を遮蔽することに用いられる。防護板には防爆弁に対応してガイド溝が設けられる。電池セルが熱暴走した場合、防爆弁の位置から放出されたエネルギー、火炎がガイド溝によりガイドされて乗客から離れた方向へ流れ、乗客の安全性を向上させる。また、複数のガイド溝を設け、かつ各ガイド溝がそれぞれ1つの防爆弁に対応していることにより、熱暴走した電池セルによってその防爆弁に隣接している電池セルの熱暴走を引き起こす可能性を低減することができる。
【0014】
以下、本願の具体的な実施例又は従来技術の技術手段をより明瞭に説明するために、具体的な実施例又は従来技術の説明に用いられる図面を簡単に説明する。なお、以下の記載の図面は本願の一部の実施例であり、当業者にとって、創造性な仕事を必要とせずに、他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本願の実施例に係る第1の種の電池モジュールの分解構造概略図である。
【
図2】本願の実施例に係る第1の種の電池セルの分解構造概略図である。
【
図3】本願の一実施例に係る電池セルの分解構造図である。
【
図4】本願の一実施例に係る巻回式構造の電極組立体を備える電池セルの断面概略図である。
【
図5】本願の一実施例に係る積層式構造の電極組立体を備える電池セルの断面概略図である。
【
図6】本願の実施例に係る第2の種の電池モジュールの構造概略図である。
【
図7】本願の実施例に係る第2の種の電池モジュールの分解構造概略図である。
【
図8】本願の実施例に係る第1の種の保護板の構造概略図である。
【
図10】本願の実施例に係る第1の種の防火部材の構造概略図である。
【
図11】本願の実施例に係る第3の種の電池モジュールの分解構造概略図である。
【
図12】本願の実施例に係る第2の種の保護板の構造概略図である。
【
図13】本願の実施例に係る第2の種の保護板の分解構造概略図である。
【
図15】本願の実施例に係る第2の種の防火部材の構造概略図である。
【
図16】本願の実施例に係る第3の種の電池モジュールの構造側面図である。
【
図18】本願の実施例に係る第4の種の電池モジュールの分解構造概略図である。
【
図19】本願の実施例に係る第4の種の電池モジュールの構造概略図である。
【
図20】本願の実施例に係る第4の種の電池モジュールの構造側面図である。
【
図22】本願の実施例に係る電池セル組立体の第1の種の構造の分解図である。
【
図23】本願の実施例に係る電池セル組立体における保護板の構造概略図である。
【
図24】本願の実施例に係る電池セル組立体の第2の種の構造の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面は、本明細書に組み込まれて、本明細書の一部を構成し、本願に適合する実施例を示し、明細書と共に本願の原理を説明することに用いられる。
【0017】
本願の実施例における技術案については、本願の実施例における図面を参照して以下に明確かつ完全に説明する。明らかに、説明された実施例は、すべての実施例ではなく、本願の実施例の一部にすぎない。本願の実施例に基づいて、創造的な仕事を行うことなく当業者によって得られる他のすべての実施例は、本願の保護範囲に含まれる。
【0018】
本願の説明において、すべての図面において、矢印Xで示す方向は長手方向であり、矢印Yで示す方向は幅方向であり、矢印Zで示す方向は上下方向である。水平方向は水平面に対して平行な方向であり、上記長手方向であってもいいし、上記幅方向であってもよい。また、水平方向は、水平面に対して完全に平行な方向であるだけでなく、工学における一般的な認識中の水平面に対してほぼ平行な方向も含まれる。上下方向は水平面に対して垂直な方向であり、上下方向は、水平面に対して完全に垂直な方向であるだけでなく、工学における一般的な認識の水平面に対してほぼ垂直な方向も含まれる。また、本願の説明において、「上」、「下」、「頂」、「底」等が示す方位詞は、いずれも上下方向に対する方向であると理解される。「複数」とは、2つ以上を意味する。
【0019】
図1及び
図2に示すように、本願の実施例は、電池ブロック1を備える電池モジュールを提供する。1つの電池モジュールは複数の電池ブロック1を備えることが可能である。
図1に示す実施例において、電池モジュールは1つの電池ブロック1を備える。電池ブロック1は、複数の電池セル11を備える。
図2に示すように、電池セル11に防爆弁14が設けられている。
【0020】
図3に示すように、電池セル11は、電極組立体111、電池ケース112、電極端子コネクタ113、及び蓋板114を備える。電池ケース112は、六面体形状又は他の形状を有してもよい。電池ケース112は、電極組立体111と電解液を収容する内部空間を有し、かつ電池ケース112は開口を有する。電極組立体111が電池ケース112内に収容される。蓋板114は、開口を覆い、かつ電極組立体111を電池ケース112内に封止することに用いられる。電極組立体111と電極端子115との間は電極端子コネクタ113を介して電気的に接続されている。本実施例において、電極端子コネクタ113は2つであり、即ち、それぞれ正極端子コネクタ及び負極端子コネクタである。電池ケース112は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、またはプラスチックなどの材料によって製造されることができる。電解液が電極組立体111と電気化学反応を行ってエネルギーを生成し、かつ反応過程においてガスを生成するので、通常通りに蓋板114に排気口が設けられている。防爆弁14が当該排気口に設けられることにより、爆破が発生した防爆弁14によって当該ガスを放出することができる。
【0021】
図4及び
図5に示すように、電極組立体111が電池ケース112内に収容される。電極組立体111は、第1の極片111aと、第2の極片111bと、第1の極片111aと第2の極片111bとの間に設けられているダイヤフラム111cと、を備える。第1の極片111aは正極シート又は負極シートであってもよいが、第2の極片111bと第1の極片111aとが逆極性であり、それに応じて、第2の極片111bは負極シート又は正極シートである。ここで、ダイヤフラム111cは、第1の極片111aと第2の極片111bとの間に介在している絶縁体である。
図4に示すように、電極組立体111は巻回式構造であってもよい。又は、
図5に示すように、電極組立体111は積層式構造であってもよい。
【0022】
第1の極片111aを正極シートとし、第2の極片111bを負極シートとして例示的に説明する。他の実施例において、第1の極片111aが負極シートであってもよく、第2の極片111bが正極シートであってもよい。正極活物質が正極シートの塗布領域に塗布され、負極活物質が負極シートの塗布領域に塗布される。塗布領域から延出している未塗布領域がタグとされ、電極組立体111は正極タグ及び負極タグである2つのタグを備える。正極タグは正極シートの塗布領域から延出し、負極タグは負極シートの塗布領域から延出している。正極タグと正電極端子との間は正極端子コネクタを介して電気的に接続され、負極タグと負電極端子との間は負極端子コネクタを介して電気的に接続されている。
【0023】
図3~
図5に示すように、電池ケース112はほぼ六面体構造である。電池ケース112は、2つの第1の表面112aと2つの第2の表面112bとを有する。第1の表面112aの面積は、第2の表面112bの面積より大きい。各電池セル11の2つの第2の表面112bは水平方向(例えば、
図3における矢印Xで示す方向の長手方向)に沿って互いに対向し、各電池セル11の2つの第1の表面112aは上下方向(矢印Zで指す方向)に沿って互いに対向している。
【0024】
図3に示すように、電極組立体111が巻回式構造である場合、電極組立体111は扁平状であり、かつ電極組立体111の外表面は2つの扁平面111dを有する。2つの扁平面111dはいずれも上下方向(矢印Zで示す方向)に沿って互いに対向し、すなわち扁平面111dと第1の表面112aは互いに対向している。扁平面111dは、巻回軸線に対してほぼ平行であり、且つ面積が最も大きい外表面である。扁平面111dは相対的に平坦な表面であってもよく、完全平面である必要がない。
【0025】
図5に示すように、電極組立体111が積層式構造である場合、第1の極片111a、ダイヤフラム111c及び第2の極片111bが上下方向(矢印Zで示す方向)に沿って積層され、すなわち第1の極片111aの表面と第1の表面112aは互いに対向している。
【0026】
電極組立体111は、充放電過程で不可避的に第1の極片111aの厚さ方向に沿って膨張する。巻回式構造の電極組立体111において、扁平面111dに対して垂直な方向に沿って膨張力が最大である。積層式構造の電極組立体111において、第1の極片111a及び第2の極片111bの積層方向に沿って膨張力が最大である。
【0027】
本実施例において、電極組立体111は巻回式構造又は積層式構造を使用することができる。電極組立体111が巻回式構造である場合、扁平面111dは上下方向(矢印Zで示す方向)に向いている。電極組立体111が積層式構造である場合、第1の極片111aと第2の極片111bは上下方向(矢印Zで示す方向)に沿って積層している。上記により、電極組立体111は、巻回式構造又は積層式構造にかかわらず、電極組立体111が電池ケース112に対して最大膨張力を印加する方向はいずれも上下方向に向いている。
【0028】
従来技術において、電池モジュールの電池セル11において、電極組立体111が電池ケース112に対して最大膨張力を印加する方向はいずれも水平方向に向いている。電池モジュールの水平方向の寸法が上下方向の寸法よりはるかに大きい(例えば、車両のシャーシの高さの制限のため、より多くの電池セル11が水平方向に沿って積層する必要があるので、膨張力が蓄積されて大きくなる)ので、既存の電池モジュールの水平方向で受けられた膨張力が非常に大きいため、膨張力に抗するために電池モジュールの水平方向の両側に非常に厚いエンドプレートが設けられて、エンドプレートを厚くさせると電池モジュールのエネルギー密度を低下させる。本願の実施例において、電極組立体111が電池ケース112に対して最大膨張力を印加する方向は上下方向に向き、上下方向で積層された電池セル11の個数が少ないため、従来技術に比べ、電池モジュールの最大膨張力を大幅に減少させることができ、膨張力に抗するために電池モジュールの水平方向の両側に非常に厚いエンドプレートを設ける必要がなく、エンドプレートの重量を軽減して電池モジュールのエネルギー密度を向上させることに役立つ。
【0029】
また、電池セル11は充放電過程でさらに電池ケース112の内部にガスを生成する。生成されたガスが電池ケース112に作用力を印加して電池ケース112が外向きに膨張することは進んでいる。本願の第1の表面112aの面積は第2の表面112bの面積より大きく、かつ電池セル11における2つの第1の表面112aは上下方向に沿って互いに対向しているので、生成されたガスが電池ケース112に印加する最大作用力の方向も上下方向に向いている。従来技術に比べて、電池ブロック1の最大膨張力をさらに減少させる。
【0030】
図1及び
図2を併せて参照すると、電池モジュールはエンドプレート12をさらに備える。2つのエンドプレート12はそれぞれ複数の電池セル11の水平方向(X方向)に沿う両端に設けられる。電池ブロック1は高圧接続部材13をさらに備え、各電池セル11の間が高圧接続部材13を介して電気的に接続されている。
【0031】
電池モジュールは保護板2をさらに備える。保護板2と電池ブロック1が固定されている。
図8に示すように、保護板2には、複数のガイド溝221が設けられている。複数のガイド溝221が防爆弁14に向いて、かつガイド溝221と防爆弁14が1対1の対応である。ガイド溝221は電池セル11内から噴出された火炎の流れ方向をガイドすることに用いられる。1つの例では、保護板2が電池セル11に固定され、かつ蓋板114がある一方側に位置している。
【0032】
自動車が強く衝突すること、又は動力電池が放熱不十分になること、長時間に動作する場合、電池発火の現象を容易に発生する。上記保護板2を設けること及び保護板2にガイド溝221を設けることにより、火炎が乗客から離れた方向へガイドして流れさせることができ、乗客に危害を及ぼすことを避ける。好ましくは、電池モジュールはセルが横になるように設けられ、すなわち、電池セル11の上面と底面が互いに平行であるように設けられる。電池セル11の上面及び底面は、電池セル11における面積が大きい2つの面である。電池ボックス内に取り付けられた後、電池セル11の上面及び底面はいずれも電池ボックスの上面及び底面に対してほぼ平行になる。1つの例では、電池ケース112の2つの第1の表面112aのうちの1つが電池セル11の上面であり、もう1つが電池セル11の底面である。それにより、電池ボックスを車両に取り付けた後、ガイド溝221の開口を下向きにさせることができ、電池の発火の現象を発生すると、ガイド溝221によって火炎が下方へ流れるようにガイドされることができ、乗客に危害を及ぼすことを避ける。
【0033】
本実施例において、複数の電池セル11が上下方向及び/又は水平方向に沿って配列されている。
図1及び
図2に示すように、複数の電池セル11は水平方向のみに沿って配列されている。
図1及び
図2において、電池セル11の個数は7個であるが、これに限定されるものではない。
【0034】
図6及び
図7に示すように、複数の電池セル11は上下方向及び/又は水平方向に沿って配列されている。1つの例では、本実施例において、電池セル11が水平方向に沿って7個が配列されている。
図6及び
図7に示す実施例における電池ブロック1は2つであり、かつ上下方向に沿って積層されている。もちろん、電池セル11の個数、長さ、高さ、または容積などを必要に応じて調整することができる。
【0035】
本実施例において、電池ブロック1はエンドプレート12をさらに備える。2つのエンドプレート12はそれぞれ複数の電池セル11の水平方向(例えば、矢印Xで示す長手方向)に沿う両端に位置し、かつ複数の電池セル11を固定することに用いられる。複数の電池セル11が2層を形成する場合、上層および下層の複数の電池セル11の水平方向に沿う両端には、いずれもエンドプレート12が設けられる。
【0036】
1つの実施例において、保護板2は電池セル11の配列方向に沿って延出している。保護板2は電池ブロック1内の全ての電池セル11の防爆弁14を遮蔽する。このような設計により、任意の熱暴走した電池セル11によりその防爆弁14に隣接している電池セル11の熱暴走を引き起すことを回避できる。
【0037】
本実施例において、保護板2が構造用接着剤によって電池ブロック1に固定されることができる。1つの例では、保護板2と電池セル11の蓋板114との間に構造用接着剤が設けられている。
【0038】
図8及び
図9を参照すると、好ましくは、保護板2は本体21と防火部材22とを備える。本体21に開口211が設けられている。開口211の形状は、防火部材22の外輪郭の形状と同じである。防火部材22が開口221内に嵌入して設けられる。ガイド溝221が防火部材22に設けられている。1つの例では、防火部材22の個数は複数である。開口211の個数は複数である。複数の防火部材22が複数の開口211に1対1で対応して複数の開口211に嵌入して設けられる。
【0039】
当業者であれば理解されるのは、本体21と防火部材22は一体成形された構造であり、かつ同じ材質であってもよい。しかしながら、噴出が発生した位置は防爆弁14の位置であるため、本実施例において、本体21と防火部材22が別体構造に設けられ、かつ防火部材22が防爆弁14を遮蔽するとともに、本体21と防火部材22が異なる材質により形成されることで、コストを低減するだけでなく、加工しやすくかつ軽量化を実現する。好ましくは、本体21を射出成形された射出部品として設置することにより、車両の軽量化要求を満たすことができる。
【0040】
さらに、防火部材22は高い融点の材質を使用することにより、火炎が防火部材22を燃やさせない。1つの例では、本実施例の防火部材22の材質はマイカである。マイカの融点が高い(約1723℃)ので、防火部材22の耐火要件を満たすことができ、かつマイカボードは優れた加工性能を有する。しかしながら、本願はマイカという実施形態に限定されない。
【0041】
1つの実施例において、
図8及び
図9を参照し、本体21に第1の逃げ部212及び第2の逃げ部213が設けられている。開口211が第1の逃げ部212の位置に設けられてもよく、防火部材22が開口211内に嵌入して設けられる。1つの例では、各防爆弁14は1つの第1の逃げ部212及び2つの第2の逃げ部213に対応している。第1の逃げ部212は、防爆弁14の十分な取付空間を有するように、防爆弁14を待避することに用いられる。2つの第2の逃げ部213はそれぞれ第1の逃げ部212の両側に位置し、高圧接続部材13及び/又はサンプリングラインを回避することに用いられる。本実施例において、第1の逃げ部212及び第2の逃げ部213は、本体21を加工して成形された後に、部分的に薄化処理を行って凹部を形成する薄化構造であってもよい。
【0042】
さらに、
図8及び
図9を参照し、本体21は上固定部214と下固定部215をさらに備える。上固定部214は電池セル11の上面と係合することに用いられ、下固定部215は電池セル11の底面と係合することに用いられる。上固定部214及び下固定部215を設け、かつ電池セル11の上面及び底面を使用して保護板2を電池セル11に仮止めすることにより、取り付けやすいだけでなく、保護板2と電池セル11の蓋板114との間に接着剤によって固定され、さらに結合の強さを確保できる。そして、車両が揺れ及び振動を繰り返す場合、設けられた上固定部214及び下固定部215により、本体21のねじれ、変形、さらに破断を防止することができる。
【0043】
さらに、電池セル11の上面と底面は平行である。上固定部214は電池セル11の上面に沿って電池セル11の位置する方向へ延出し、下固定部215は電池セル11の底面に沿って電池セル11の位置する方向へ延出している。これにより、上固定部214と下固定部215は火炎と高温粒子の拡散方向を制限することができ、火炎と高温粒子をガイド溝221に沿って乗客から離れた方向へ流れさせ、電池モジュールの安全性をさらに向上させる。
【0044】
1つの実施例において、
図10に示すように、防火部材22は外部折曲板222と内部仕切板223を備える。内部仕切板223が外部折曲板222の内壁に対して垂直に交差することでガイド溝221を形成する。
図10に示す実施例では、内部仕切板223が外部折曲板222の電池セル11から離れた一方側に封止されるので、当該防火部材22のこのような設置方式は電池モジュールの片側に電池ブロック1を設ける場合に適用される。ガイド溝221の上端部が封止され、底部に開口する。電池セル11の内部から噴出された炎及び高温粒子が内部仕切板223に噴出された時、ガイド溝221の底部の開口に沿って流れ出し、火炎が乗客から離れた方向へ流れる。本実施例において、ガイド溝221の上方が外部折曲板222により封止されるので、火炎と高温粒子が下方に向いて流れる。
【0045】
1つの例では、外部折曲板222を上部が狭くて下部が広い形状に折り曲げさせ、このような形状により火炎及び高温粒子がガイド溝221に沿ってよりスムーズに流れ出す。
【0046】
図11及び
図12に示すように、電池モジュールは対向して設けられた2つの電池ブロック1を備える。各電池ブロック1は複数の電池セル11を備える。電池セル11には防爆弁14が設けられている。
【0047】
電池モジュールはさらに保護板2を備える。保護板2と電池ブロック1が固定されている。保護板2には、複数のガイド溝221が設けられている。複数のガイド溝221が防爆弁14に向いて、かつガイド溝221は防爆弁14に1対1で対応し、電池セル11内から噴出された火炎の流れ方向をガイドすることに用いられる。
【0048】
本実施例において、2つの電池ブロック1が対向して設けられ、すなわち2つの電池ブロック1の電池セル11の防爆弁14が対向して設けられ、保護板2が2つの電池ブロック1の電池セル11の防爆弁14の間に位置している。2つの電池ブロック1は同一の保護板2を共用する。自動車が強く衝突すること、又は動力電池が放熱不十分になること、長時間に動作する場合、電池の発火の現象が発生しやすく、上記保護板2を設けること及び保護板2にガイド溝221を設けることにより、火炎を乗客から離れた方向へガイドして流れさせることができ、乗客に危害を及ぼすことを避ける。
【0049】
図12~
図14に示すように、保護板2は本体21と複数の防火部材22とを備える。
図13に示すように、本体21に複数の開口211が設けられる。複数の防火部材22が複数の開口211に1対1で対応して複数の開口211に嵌入して設けられる。開口211の形状は、防火部材22の外輪郭の形状と同じである。ガイド溝221が防火部材22に設けられている。
【0050】
1つの実施例において、本体21に第1の逃げ部212及び第2の逃げ部213が設けられている。開口211が第1の逃げ部212の位置に設けられてもよく、防火部材22が開口211内に嵌入して設けられる。各防爆弁14はいずれも1つの第1の逃げ部212及び2つの第2の逃げ部213に対応している。第1の逃げ部212は、防爆弁14の十分な取付空間を有するように、防爆弁14を待避することに用いられる。2つの第2の逃げ部213はそれぞれ第1の逃げ部212の両側に位置し、高圧接続部材13及び/又はサンプリングラインを待避することに用いられる。本実施例において、第1の逃げ部212及び第2の逃げ部213は、本体21を加工して成形された後に、部分的に薄化処理を行って凹部を形成する薄化構造であってもよい。そして、電池ブロック1は対向して設けている2つの電池モジュールであるので、本体21の2つの電池ブロック1に向いている方向にはいずれも第1の逃げ部212と第2の逃げ部213が設けられている。
【0051】
さらに、
図12に示すように、本体21は上固定部214と下固定部215とをさらに備える。上固定部214は電池セル11の上面と係合することに用いられ、下固定部215は電池セル11の底面と係合することに用いられる。上固定部214及び下固定部215を設け、かつ電池セル11の上面及び底面を使用して保護板2を電池セル11に仮止めすることにより、取り付けやすいだけでなく、保護板2と電池セル11の蓋板114との間に接着剤によって固定され、さらに結合の強さを確保できる。そして、車両が揺れ及び振動を繰り返す場合、設けられた上固定部214及び下固定部215により、本体21のねじれ、変形、さらに破断を防止することができる。
【0052】
さらに、電池セル11の上面と底面は平行である。上固定部214は1つの電池ブロック1の電池セル11の上面に沿って当該側の電池セル11のある方向へ延出し、下固定部215は電池セル11の底面に沿って当該側の電池セル11のある方向へ延出している。これにより、上固定部214と下固定部215は火炎と高温粒子の拡散方向を制限することができ、火炎と高温粒子をガイド溝221に沿って乗客から離れた方向へ流れさせ、電池モジュールの安全性をさらに向上させる。
【0053】
上固定部214はさらに電池セル11の上面に沿って上記電池セル11から離れた方向へ延出して、上固定部214が別の1つの電池ブロック1の電池セル11の上面に当接することができる。すなわち、
図14に示すように、上固定部214は第3の延出部214aと第4の延出部214bとを備える。第3の延出部214aの上下方向(
図14におけるZ方向)に沿う投影は電池セル11の上下方向に沿う投影と少なくとも部分的に重なり、かつ第4の延出部214bの上下方向(
図14におけるZ方向)に沿う投影は電池セル11の上下方向に沿う投影と少なくとも部分的に重なっている。
【0054】
下固定部215はさらに電池セル11の底面に沿って上記電池セル11から離れた方向へ延出して、下固定部215が別の1つの電池ブロック1の電池セル11の底面に当接することができる。すなわち、下固定部215は第5の延出部215aと第6の延出部215bを備える。第5の延出部215aの上下方向(
図14におけるZ方向)に沿う投影は電池セル11の上下方向に沿う投影と少なくとも部分的に重なり、かつ第6の延出部215bの上下方向(
図14におけるZ方向)に沿う投影は電池セル11の上下方向に沿う投影と少なくとも部分的に重なっている。
【0055】
このように設けることで、上固定部214及び下固定部215はいずれも両側に向いて延出するので、1つの保護板2が対向している2つの電池ブロック1に同時に固定されることができ、保護板2の個数を減少させ、かつ取り付け難度を低下させる。この場合、2つの電池セル11の防爆弁14の方向は対向し、いずれも水平方向(例えば、矢印Yで示す方向)に向いている。複数の電池ブロック1が電池パックを形成した後、共用の保護板2を使用して電池パックの部品数及び電池パックの体積を減少させ、電池パックの軽量化性能を向上させる。
【0056】
1つの実施例において、
図15に示すように、内部仕切板223が外部折曲板222の中間位置に設けられることで、外部折曲板222を2つの異なる方向に延出している第1の延出部222a及び第2の延出部222bに仕切る。第1の延出部222aと内部仕切板223の第1の面により第1のガイド溝221aが囲まれる。第1のガイド溝221aは1つの電池ブロック1の防爆弁14と係合する。第2の延出部222bと内部仕切板223の第2の面により第2のガイド溝221bが囲まれる。第2のガイド溝221bは別の1つの電池ブロック1の防爆弁14と係合する。この場合、2つの電池ブロック1の防爆弁14はいずれも水平方向に向いて対向して設けられる。防火部材22のこのような設置方式により、1つの保護板2が2つの電池ブロック1に共用されることができ、コストを低減させる。
【0057】
1つの実施例において、
図16に示すように、2つの電池ブロック1は1つの保護板2を共用する。
図16及び
図17を併せて参照すると、防火部材22は防爆弁14の位置に対応している。電池の発火の現象が発生すると、火炎が防火部材22に沿って下方に向いて流れ、乗客の安全を確保する。
【0058】
図18及び
図19に示す実施例において、電池モジュールは4つの電池ブロック1を備える。保護板2の両側にはいずれも2つの電池ブロック1が設けられる。2つの電池ブロック1が上下方向に沿って積層されている。このような実現方式において、1つの保護板2は同時に4つの電池ブロック1を保護することができる。保護板2を中心とし、両側にそれぞれ三層の電池ブロック1を積層する可能であると考えられるべきである。当業者にとって、実際の状況に応じて設定することができる。
【0059】
図20及び
図21に示すように、4つの電池ブロック1は1つの保護板2を共用する場合である。見れば分かるように、1つの保護板2の防火部材22は、両側にはいずれも二層の電池ブロック1の二層の防爆弁14の位置に対応している。電池の発火の現象が発生すると、火炎が防火部材22に沿って下向きに流れるので、乗客の安全を確保する。
【0060】
本願は、上記電池モジュールを備える車両を提供する。本願に提供された電池モジュールにより、電池セル11が熱暴走した場合、防爆弁14から放出された火炎及び高温粒子が保護板2のガイド溝221に沿って乗客から離れた方向へ流れるので、電池モジュールを備える車両が乗客の安全を確保することができる。
【0061】
図22に示すように、本願の実施例は、電池セル11を備える電池セル組立体10を提供する。ここで、電池セル11は電池ケース112と蓋板114を備える。電池ケース112内には電極組立体111と電解質が設けられ、電解質が電極組立体111と電気化学反応を行ってエネルギーを生成し、反応過程においてガスを生成するので、通常通りに蓋板114に排気口が設けられ、防爆弁14が当該排気口に設けられて該ガスを放出することができる。
【0062】
図22及び
図23を併せて参照すると、電池セル組立体10は、電池セル11に固定されかつ蓋板114のある一方側に位置している保護板2をさらに備える。保護板2にはガイド溝221が設けられている。当該ガイド溝221は、位置が防爆弁14に対応し、電池ケース112内から噴出された火炎の流れ方向をガイすることに用いられる。
【0063】
自動車が強く衝突すること、又は動力電池が放熱不十分になること、長時間に動作する場合、電池の発火が容易に発生する。上記保護板2を設けること及び保護板2にガイド溝221を設けることにより、火炎を乗客から離れた方向へガイドして流すことができ、乗客に危害を及ぼすことを避ける。
図22に示すように、ケース112は2つの第1の表面112aを有する。2つの第1の表面112aはそれぞれケース112の上面と底面である。好ましくは、電池セル組立体10はセルが横になるように設けられ、すなわち、電池ケース112の上面と底面は、電池ケース112における面積がより大きい2つの面であり、上面と底面が互いに平行になり、電池ボックス内に取り付けられた後、上面及び底面はいずれも電池ボックスの上面及び底面とほぼ平行になる。それにより、電池ボックスを車両に取り付けた後、ガイド溝221の開口を下向きにさせることができ、電池の発火が発生すると、火炎が下方へ流れるようにガイドされることができ、乗客に危害を及ぼすことを避ける。
【0064】
図22を参照すると、電池セル組立体10は高圧接続部材13を更に備え、複数の電池セル組立体10により電池モジュールが形成される場合、高圧接続部材13を介して各電池セル11を電気的に接続されている。
【0065】
図9及び
図23を併せて参照すると、好ましくは、保護板2は本体21と防火部材22を備える。ここで、本体21に開口211が設けられ、開口211の形状が防火部材22の外輪郭の形状と同じである。防火部材22が開口221内に嵌入して設けられ、上記のガイド溝221が防火部材22に設けられている。当業者は、本体21と防火部材22は一体成形された構造であり、かつ同じ材質であると考えられるべきである。しかしながら、火炎が噴出した位置は防爆弁14の位置であるため、本実施例において、本体21と防火部材22は別体構造に設けられ、防火部材22が防爆弁14を遮蔽して、本体21と防火部材22が異なる材質により形成されるので、コストを低減するだけでなく、加工しやすくかつ軽量化を実現する。具体的に、本体21を射出成形された射出部品として設置することにより、車両の軽量化要件を満たすことができる。
【0066】
さらに、防火部材22は高い融点の材質を使用することにより、火炎が防火部材22を熔かさない。具体的に、本実施例の防火部材22の材質はマイカである。マイカの融点が高い(約1723℃)ので、防火部材22の耐火要件を満たすことができ、かつマイカボードが優れた加工性能を有する。しかしながら、本願はマイカという実施形態に限定されない。
【0067】
図9及び
図23を参照して、好ましくは、本体21に第1の逃げ部212及び第2の逃げ部213が設けられていて、開口211が第1の逃げ部212の位置に設けられてもよく、防火部材22が開口211内に嵌入して設けられる。第1の逃げ部212は、防爆弁14を回避することに用いられるので、防爆弁14の十分な取付空間を有する。第2の逃げ部は2つであり、2つの第2の逃げ部213はそれぞれ第1の逃げ部212の両側に位置し、高圧接続部材13及び/又はサンプリングラインを待避することに用いられる。本実施例において、第1の逃げ部212及び第2の逃げ部213は、本体21を加工して成形された後に、部分的に薄化処理を行って凹部を形成する薄化構造であってもよい。
【0068】
さらに、
図9、
図23及び
図24を参照すると、本体21は上固定部214と下固定部215をさらに備える。上固定部214は電池ケース112の上面と係合することに用いられ、下固定部215は電池ケース112の底面と係合することに用いられる。上固定部214及び下固定部215を設け、かつ電池ケース112の上面及び底面を使用して、保護板2を電池ケース112に仮止めすることにより、取り付けやすいだけでなく、保護板2と電池セル11の蓋板114との間に接着剤によって固定され、さらに結合の強さを確保できる。好ましくは、保護板2と蓋板114との間に構造用接着剤が設けられている。そして、車両が揺れ及び振動を繰り返す場合、設けられた上固定部214及び下固定部215により、本体21のねじれ、変形、さらに破断を防止することができる。
【0069】
さらに、電池ケース112の上面と底面は平行である。上固定部214は電池ケース112の上面に沿って電池ケース112の位置する方向へ延出し、下固定部215は電池ケース112の底面に沿って電池ケース112の位置する方向へ延出している。これにより、上固定部214と下固定部215は火炎と高温粒子の拡散方向を制限することができ、火炎と高温粒子をガイド溝221に沿って乗客から離れた方向へ流れさせ、電池セル組立体10の安全性をさらに向上させる。
【0070】
図14に示すように、好ましくは、上固定部214はさらに電池ケース112の上面に沿って電池ケース112から離れた方向へ延出して、上固定部214を別の1つの電池セル11の電池ケース112の上面に当接させることができる。すなわち、上固定部214は第3の延出部214aと第4の延出部214bを備える。第3の延出部214aの上下方向(
図14におけるZ方向)に沿う投影は電池セル11の上下方向に沿う投影と少なくとも部分的に重なり、かつ第4の延出部214bの上下方向(
図14におけるZ方向)に沿う投影は電池セル11の上下方向に沿う投影と少なくとも部分的に重なっている。
【0071】
下固定部215はさらに電池ケース112の底面に沿って電池ケース112から離れた方向へ延出して、下固定部215を別の1つの電池セル11の電池ケース112の底面に当接させることができる。すなわち、下固定部215は第5の延出部215aと第6の延出部215bを備え、第5の延出部215aの上下方向(
図14におけるZ方向)の投影は電池セル11の上下方向の投影と少なくとも部分的に重なり、かつ第6の延出部215bの上下方向(
図14におけるZ方向)の投影は電池セル11の上下方向の投影と少なくとも部分的に重なっている。
【0072】
このように設けられていることで、上固定部214及び下固定部215はいずれも両側に向いて延出し、1つの保護板2が対向している2つの電池セル11に同時に固定されることができ、保護板2の個数を減少させ、かつ取り付け難度を低下させる。この場合、2つの電池セル11の防爆弁14の方向は対向し、いずれも水平方向(例えば、矢印Yで示す方向)に向いている。複数の電池セル組立体10が電池パックを形成した後、共用の保護板2を使用して電池パックの部品数及び電池パックの体積を減少させ、電池パックの軽量化性能を向上させる。
【0073】
図10に示すように、1つの具体的な実施形態として、防火部材22は外部折曲板222と内部仕切板223を備え、内部仕切板223が外部折曲板222の内壁に対して垂直に交差することでガイド溝221を形成する。
図10に示す実施例では、内部仕切板223が外部折曲板222の電池セル11から離れた一方側に封止されるので、当該防火部材22のこのような設置方式は片側に電池セル11を設ける場合に適用される。ガイド溝221の上端部が封止され、底部に開口し、電池セル11の内部から噴出された火炎及び高温粒子が内部仕切板223に噴出された時、ガイド溝221の底部の開口に沿って流れ出し、乗客から離れた方向へ流れる。本実施例において、ガイド溝221の上方が外部折曲板222により封止されるので、火炎と高温粒子が下方に向いて流れる。
【0074】
好ましくは、
図15に示すように、内部仕切板223が外部折曲板222の中間位置に設けられ、外部折曲板222を2つの異なる方向に延出している第1の延出部222a及び第2の延出部222bに仕切る。第1の延出部222aと内部仕切板223の第1の面により第1のガイド溝221aが囲まれる。第1のガイド溝221aは電池セル11の防爆弁14と係合する。第2の延出部222bと内部仕切板223の第2の面により第2のガイド溝221bが囲まれる。第2のガイド溝221bは別の電池セル11の防爆弁14と係合する。この場合、2つの電池セル11の防爆弁14はいずれも水平方向に向いて対向して設けられる。防火部材22のこのような設置方式により、1つの保護板2が2つの電池セル11に共用されることができ、コストを低減させる
【0075】
好ましくは、外部折曲板222を上部が狭くて下部が広い形状に折り曲げて、このような形状により火炎及び高温粒子がガイド溝221に沿ってよりスムーズに流れ出さす。
【0076】
別の1つの実施例において、
図24に示すように、2つの電池セル11は1つの保護板2を共用し、即ち、電池セル組立体10は2つの電池セル11を備える。
図24及び
図25を併せて参照すると、見れば分かるように、防火部材22は防爆弁14の位置に対応し、電池の発火の現象が発生すると、火炎が防火部材22に沿って下方に向いて流れ、乗客の安全を確保する。
【0077】
本願は、上記電池セル組立体10を備える車両を提供する。本願で提供された電池セル組立体10により、電池の発火の現象が発生すると、防爆弁14から放出された火炎及び高温粒子が保護板2のガイド溝221に沿って乗客から離れた方向へ流れるので、電池セル組立体10を備える車両は乗客の安全を確保することができる。
【0078】
以上の説明は、本願の好ましい実施例にすぎず、本願を限定するものではない。当業者にとって、本願は、様々な修正および変更が可能である。本願の精神及び原則の範囲内で行われた補正、均等の置換、変更等は、いずれも本願の範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0079】
1 電池モジュール
10 電池セル組立体
11 電池セル
111 電極組立体
111a 第1の極片
111b 第2の極片
111c ダイヤフラム
111d 扁平面
112 電池ケース
112a 第1の表面
112b 第2の表面
113 電極端子コネクタ
114 蓋板
115 電極端子
12 エンドプレート
13 高圧接続部材
14 防爆弁
2 保護板
21 本体
211 開口
212 第1の逃げ部
213 第2の逃げ部
214 上固定部
214a 第3の延出部
214b 第4の延出部
215 下固定部
215a 第5の延出部
215b 第6の延出部
22 防火部材
221 ガイド溝
221a 第1のガイド溝
221b 第2のガイド溝
222 外部折曲板
222a 第1の延出部
222b 第2の延出部
223 内部仕切板