(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】ウエハスケールのイメージインテンシファイア
(51)【国際特許分類】
H01J 9/12 20060101AFI20230320BHJP
H01J 40/06 20060101ALI20230320BHJP
H01J 43/18 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
H01J9/12 D
H01J9/12 B
H01J40/06
H01J43/18
(21)【出願番号】P 2021576122
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(86)【国際出願番号】 US2020038071
(87)【国際公開番号】W WO2020257239
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-03-17
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512169604
【氏名又は名称】エルビット システムズ オブ アメリカ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】スミス,アーリン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】チルコット,ダン
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/078759(WO,A1)
【文献】米国特許第5712490(US,A)
【文献】特開平8-153462(JP,A)
【文献】特開2011-138684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 9/12
H01J 40/06
H01J 43/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層イメージインテンシファイアウエハを製造する工程であり、
第1及び第2のガラスウエハを作製し、各ガラスウエハが、それぞれのガラスウエハの第1及び第2の表面内のそれぞれの開口の間を延在するキャビティのアレイを有し、
半導体ウエハをドープして、該半導体ウエハの第1の表面に衝突する各電子に対して複数の電子を生成し、該複数の電子を該半導体ウエハの第2の表面の放出領域のアレイに導くようにし、
フォトカソードウエハの放出面を前記第1のガラスウエハの前記第1の表面に接合し、
前記第1のガラスウエハの前記第2の表面を前記半導体ウエハの前記第1の表面に接合し、
前記半導体ウエハの前記第2の表面を前記第2のガラスウエハの前記第1の表面に接合し、
前記第2のガラスウエハの前記第2の表面をアノードウエハの表面に接合する、
ことを含む工程と、
前記多層イメージインテンシファイアウエハのセクションをスライスして、多層イメージインテンシファイアを提供する工程と、
を有する方法。
【請求項2】
スライスした前記セクションの前記第1及び第2のガラスウエハの前記キャビティを真空排気する工程、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ガラス及びガリウム砒素のうちの1つ以上を用いて前記フォトカソードウエハを作製する工程、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記半導体ウエハを前記ドープすることは、
遮光領域を含めるために前記半導体ウエハをドープすること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記半導体ウエハを前記ドープすることは、
局所的な光強度を低減させるために前記半導体ウエハをドープすること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
コンピュータプログラムをエンコードした非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体であって、前記コンピュータプログラムは、プロセッサに製造装置を制御させて、
多層イメージインテンシファイアウエハを製造し、当該製造は、
第1及び第2のガラスウエハを作製し、各ガラスウエハが、それぞれのガラスウエハの第1及び第2の表面内のそれぞれの開口の間を延在するキャビティのアレイを有し、
半導体ウエハをドープして、該半導体ウエハの第1の表面に衝突する各電子に対して複数の電子を生成し、該複数の電子を該半導体ウエハの第2の表面の放出領域のアレイに導くようにし、
フォトカソードウエハの放出面を前記第1のガラスウエハの前記第1の表面に接合し、
前記第1のガラスウエハの前記第2の表面を前記半導体ウエハの前記第1の表面に接合し、
前記半導体ウエハの前記第2の表面を前記第2のガラスウエハの前記第1の表面に接合し、
前記第2のガラスウエハの前記第2の表面をアノードウエハの表面に接合する、
ことを含み、且つ
前記多層イメージインテンシファイアウエハのセクションをスライスして、多層イメージインテンシファイアを提供する、
ための命令を含む、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項7】
前記コンピュータプログラムは更に、前記プロセッサに前記製造装置を制御させて、
スライスした前記セクションの前記第1及び第2のガラスウエハの前記キャビティを真空排気する、
ための命令を含む、請求項6に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項8】
前記コンピュータプログラムは更に、前記プロセッサに前記製造装置を制御させて、
前記半導体ウエハの前記第2の表面に接触する迷走電子及び迷走光子のうちの一方以上を吸収するために前記半導体ウエハをドープする、
ための命令を含む、請求項6に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項9】
複数のフォトカソードを有するウエハと、
複数の第1のキャビティを有する第1のガラスウエハと、
複数の電子増幅領域を有するように構成された半導体ウエハであり、
電子増幅領域が、当該半導体ウエハの第1の表面に衝突する各電子に対して複数の電子を生成し、該複数の電子を当該半導体ウエハの第2の表面の放出領域のアレイに導く、
半導体ウエハと、
複数の第2のキャビティを有する第2のガラスウエハと、
複数のアノードを有するアノードウエハと、
を有し、
前記第1のガラスウエハの第1の表面が前記フォトカソードウエハの出力面に接合され、前記第1のガラスウエハの第2の表面が前記半導体ウエハの入力面に接合され、且つ
前記複数の第2のキャビティの各キャビティが前記複数の第1のキャビティのそれぞれのキャビティとアライメントされるように、前記第2のガラスウエハの第1の表面が前記半導体ウエハの出力面に接合され、前記第2のガラスウエハの第2の表面が前記アノードウエハの入力面に接合されている、
ウエハスケールデバイス。
【請求項10】
当該ウエハスケールデバイスは、複数の多層イメージインテンシファイアを提供するようにスライスされている、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
スライスされた前記多層イメージインテンシファイアの前記第1及び第2のガラスウエハのキャビティは真空排気されている、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記フォトカソードウエハは、ガラス及びガリウム砒素のうちの1つ以上を有する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項13】
前記半導体ウエハは、遮光領域を含むようにドープされている、請求項9に記載のデバイス。
【請求項14】
前記半導体ウエハは、局所的な光強度を低減させるためにドープされている、請求項9に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1のガラスウエハのキャビティが前記第2のガラスウエハのそれぞれのキャビティとアライメントされている、請求項9に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第1のガラスウエハのキャビティが前記シリコンウエハの電子増幅領域とアライメントされ、該電子増幅領域が前記第2のガラスウエハのキャビティとアライメントされ、前記第2のガラスウエハのキャビティがアノードとアライメントされている、請求項9に記載のデバイス。
【請求項17】
前記シリコンウエハの前記電子増幅領域は、阻止構造とチャネルとを有し、前記衝突する電子の増幅中に、前記阻止構造が、隣接するチャネルに電子を導く、請求項9に記載のデバイス。
【請求項18】
前記電子増幅領域の表面はテクスチャ加工されている、請求項9に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1のドープ領域は、約100-300オングストロームの深さである、請求項9に記載のデバイス。
【請求項20】
真空シールを維持するために前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティの周囲にゲッタが配置されている、請求項9に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
近接焦点型イメージインテンシファイアは成熟した技術である。これらのデバイスのサイズ及び重量の改善が、過去数十年間にわたって徐々に進められてきた。
【0002】
従来のイメージインテンシファイアは、コンポーネントアライメント、コンポーネント製造、及び間隔における誤差を生じやすく、且つユニット全体を使用不能にしてしまい得るものである汚染物質への曝露を受けやすい労働集約的プロセスを用いて、個々の(すなわち、一度に1つの)ユニットとして製造される。さらに、得られるイメージインテンシファイアは比較的大きくて重いものである。
【0003】
図1は、従来技術におけるイメージインテンシファイアの一例を示している。製造において、米国特許第6,086,944号(特許文献1)などに記載されているように、これらのコンポーネントはグループとして処理されることができるは、これらの部分の大部分が個別に処理されている。この種の個別デバイス製造プロセスは、主にコンポーネントの幾何学構成に起因して、1970年代のインテンシファイア製造に用いられた製造モデルからの遺物である。マイクロチャネルプレート(MCP)をウエハスケール様式で製造してそのコンポーネントの製造プロセスを改善する技術が、米国特許第7,109,644号(特許文献2)に提供されており、また、最終デバイスを処理する前にMCPを個別にする技術が米国特許第7,126,263号(特許文献3)に提供されている。
【0004】
従来技術に基づいてイメージインテンシファイアを構築することの欠点は、デバイスが一度に1つずつ構築されるとともにコンポーネントの間隔/アライメントが制御困難である労働集約的プロセスを含む。加えて、そのインテンシファイアデバイスは大きくて重いことが多く、製造中に導入される小粒子がデバイス全体を動作不能にしてしまい得る。
【0005】
従って、従来のイメージインテンシファイアは、現代のウエハスケール製造技術には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第6,086,944号明細書
【文献】米国特許第7,109,644号明細書
【文献】米国特許第7,126,263号明細書
【発明の概要】
【0007】
一実施形態において、多層イメージインテンシファイアウエハを製造する方法は、第1及び第2のガラスウエハを作製し、各ガラスウエハが、それぞれのガラスウエハの第1及び第2の表面内のそれぞれの開口の間を延在するキャビティのアレイを有し、半導体ウエハをドープして、該半導体ウエハの第1の表面に衝突する各電子に対して複数の電子を生成し、該複数の電子を該半導体ウエハの第2の表面に導くようにし、フォトカソードウエハを第1のガラスウエハに接合し、半導体ウエハを第1のガラスウエハと第2のガラスウエハとの間に接合し、第2のガラスウエハを上記半導体ウエハとアノードウエハ(例えば、蛍光スクリーン又は他の電子検出器)との間に接合する、ことを含む。この多層イメージインテンシファイアウエハのセクションをスライス及び真空排気して、多層イメージインテンシファイアを提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】従来技術に従ったイメージインテンシファイアの説明図である。
【
図2A】本発明の実施形態に従った、単一のウエハスケールイメージインテンシファイアの説明図である。
【
図2B】
図2B-2Cは、本発明の実施形態に従った、ウエハスケールイメージインテンシファイアの製造プロセスの説明図である。
【
図2C】
図2B-2Cは、本発明の実施形態に従った、ウエハスケールイメージインテンシファイアの製造プロセスの説明図である。
【
図3】本発明の実施形態に従った、多層イメージインテンシファイアウエハのレイヤ群の説明図である。
【
図4】本発明の実施形態に従った、多層イメージインテンシファイアデバイス内の真空キャビティとなる開口を有するガラスウエハ層を示している。
【
図5】本発明の実施形態に従った、処理されたシリコンウエハ層に接合されて利得層ウエハを作り出す、開口を有するガラスウエハ層を示している。
【
図6】本発明の実施形態に従った、多層イメージインテンシファイアウエハのレイヤ群を拡大図にて示している。
【
図7】本発明の実施形態に従った、半透明の頂部ウエハとして個々のインテンシファイアデバイスを示す、多層イメージインテンシファイアウエハの封止されたレイヤ群を示している。
【
図8】本発明の実施形態に従った、封止されたウエハレイヤ群からの多層イメージインテンシファイアデバイス(ウエハダイ)を示している。
【
図9】本発明の実施形態に従った、
図6の個々の多層イメージインテンシファイアデバイスの断面図を示している。
【
図10】本発明の実施形態に従った、多層イメージインテンシファイアウエハを製造するための処理と、ウエハをスライスして複数の多層イメージインテンシファイアデバイスを提供する処理とを有するフローチャートである。
【
図11】多層イメージインテンシファイアウエハを製造又は作製するように、及び多層イメージインテンシファイアウエハをスライスして複数の多層イメージインテンシファイアデバイスを提供するように、製造装置を制御するよう構成されたコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図2Aは、表示装置304上に表示する像302を増倍するためのウエハスケールイメージインテンシファイア300(以下、“イメージインテンシファイア”)の概略図である。イメージインテンシファイア300は、像302の光子308を自由電子310に変換するためのフォトカソード層306と、自由電子の数を増加させるためのシリコン利得層312と、数が増加された自由電子316を検出して表示装置304上に増倍像318を生成するためのスクリーン層314とを含む。ここに記載されるように、当該イメージインテンシファイアは、フォトカソードウエハ600、ガラススペーサ/分離ウエハ610、シリコン利得ウエハ620、別のガラス分離ウエハ630、及びスクリーン/アノードウエハ640を含んだ、互いに積み重ねられて接合された一連のウエハ(複数のイメージインテンシファイアを有する)を有する。これらのウエハを接合した後、イメージインテンシファイアデバイスを分離するよう、イメージインテンシファイアが分割される。
【0010】
電子衝撃デバイス(electron bombarded device;EBD)312とも呼ばれるシリコン利得層312は、基本的に、限定するものではないが暗視装置に見られるイメージインデントを含め、電子増倍が必要とされる任意の用途で使用され得る。
【0011】
フォトカソード層306は、入力面306a及び出力面306bを含む。光子308がフォトカソード306の入力面306aに衝突するとき、各衝突光子308がある確率を持って自由電子を作り出す。衝突光子308から生じた自由電子310は、フォトカソード306を通り抜けて出力面306bから放出される。出力面306bは、フォトカソード306の出力面306bからの電子310の流れを支援するために、よく知られた方法で負の電子親和力(negative electron affinity;NEA)状態に活性化され得る。フォトカソード306の周囲表面は、フォトカソード306への電気コンタクトを設けるために、例えばクロムなどの導電材料(図示せず)で被覆され得る。
【0012】
例示的な一実施形態において、フォトカソード306は、光電子放出効果を示す例えばガラス及びガリウム砒素(GaAs)などの半導体材料製のフォトカソードウエハから形成される。なお、例えばGaP、GaInAsP、InAsP、InGaAsなどの、他のIII-V族材料が使用されてもよい。代わりに、フォトカソードは、既知のバイアルカリを用いて形成されてもよい。この例示的なフォトカソード306では、光電子放出半導体材料が光子を吸収する。吸収された光子が、半導体材料のキャリア密度を増加させ、それにより、材料に、フォトカソード306を通り抜けて出力面306bから放出される電子からなる光電流を生成させる。フォトカソードは、分割、コンタクト形成、及び個別エッチングをウエハアセンブリ後まで回避するよう、ウエハ全体として作製される。
【0013】
半導体構造である利得層又はEBD312が、フォトカソード306の出力面306bから放出された電子を増倍する。EBD312は、入力面320aと、入力面320aとは反対側の放出面320bとを含む。以下に詳細に説明するように、半導体構造EBD312は、電子の流れを放出面320b上の放出領域(放出領域324によって表す)に導くために、例えば第1のドープ領域383及び第2のドープ領域(又は阻止領域)330内でドープされる。従って、ドープされた領域が、放出領域324を予め画成する。放出領域324は、半導体構造の放出領域324からの電子の流れを支援するために、よく知られた方法で負の電子親和力(NEA)状態に活性化される。例示的な一実施形態において、半導体構造はシリコンであり、およそ20-30ミクロンの厚さである。代わりに、半導体構造316は、例えばGaAsなどの他のタイプの半導体材料から形成されてもよい。
【0014】
阻止領域330に近接して、阻止領域(阻止領域326によって表す)が放出面320bにある。阻止領域326は、放出面320bを通って半導体構造に出入りする電子の流れを抑止し、それにより空間的忠実性を維持する。また、阻止構造322が、電子の流れを阻止することに加えて、例えば暗電流を抑制すること及び阻止領域330へのダメージを防止することなどの他の機能を果たし得る。特定の例示的な実施形態では、半導体構造が、阻止構造322なしで好適な電子増倍を提供することが企図される。それらの実施形態によれば、阻止構造322は排除され得る。
【0015】
EBD312は、複数の電子衝撃セル(electron bombarded cell;EBC)を含む。図示したEBC(例えば、
図2A)において、第1のドープ領域383は半導体構造312の入力面320aと接触しており、第2のドープ領域(阻止領域)330は、放出面320bと接触するとともに、入力面320aに向かって延在している。阻止構造322は、半導体構造の放出面320b上に配置されている。
【0016】
EBD312の入力面320aに衝突した電子310が、増加した数の電子316を作り出す。EBD312の入力面にある第1のドープ領域383は、増加した数の電子316を入力面320aから遠ざけてEBD312内へと押し入れ、従って、入力面320aでの電子の再結合を抑止する。入力面での電子の再結合を抑止することは、より多くの電子が放出面320bまで半導体構造を流れ抜けることを確保し、それにより効率を高める。例示的な一実施形態において、第1のドープ領域383は、シリコンを有する半導体構造312にとって従来通りのボロン(例えば、ピュアB堆積プロセスを用いて)又はアルミニウムなどのp型ドーパントでドープされる。この例示的な実施形態では、第1のドープ領域383は、例えば1018又は1019cm-3以上といった高濃度にドープされ、およそ約100-300Åの深さである。半導体製造技術の当業者には、シリコン半導体及び例えばGaAsといった他の半導体材料とともに使用する他の好適なドーパント、濃度及び寸法が容易に明らかになる。
【0017】
第2のドープ領域330は、電子316として放出された増加した数の電子を、放出領域324に向けて導くためにドープされる。第2のドープ領域330は、基本的に入力面320a上のどこにでも衝突する電子から生成され得るものである増加した数の電子を、第2のドープ領域330同士の間のチャネル領域331を通して、放出面320b上の放出領域324に向かわせるじょうご(漏斗)として作用する。チャネル領域331は、入力面320aから放出領域324まで延在し、入力面320aの近くで広めの断面積を持ち、放出領域324に近づくにつれて狭くなる。例示的な一実施形態において、第2のドープ領域330は、シリコン半導体構造にとって従来通りのボロン又はアルミニウムなどのp型ドーパントで、例えば1017cm-3といった中程度にドープされる。半導体製造技術の当業者には、シリコン半導体及び例えばGaAsといった他の半導体材料とともに使用する他の好適なドーパント、濃度及び寸法が容易に明らかになる。
【0018】
この例示的な実施形態では、第2のドープ領域330は、入力面320aでの増加した数の電子316の生成を第2のドープ領域330が妨げないように、入力面320aにおいて狭くなっており、それにより、EBC312が、例えば100%に至るまでなど、100%に近い有効電子増倍領域を持つことを可能にする。
【0019】
EBD312についての更なる詳細は、
図2B-2Cに示す製造プロセスに関して提供される。
【0020】
図示した放出領域324は、阻止構造322によって画成される幾何学形状である。放出領域324は、正方形、円形、又は基本的に任意の幾何学形状とし得る。例示的な一実施形態において、阻止構造322は、放出領域324同士の間で10-20ミクロン延在し、放出領域324は直径で約0.5-2.0ミクロンである。従って、この実施形態によれば、阻止構造322は、EBD312の放出面320b(
図2A)のうち80%より多くをカバーする。
【0021】
これらの個々のEBC(個々のEBCは、EBD312の領域、チャネル領域331、及び放出領域324に対応する)が、EBD312内にアレイを形成し得る。図示したアレイは正方形であるが、アレイは、入力及び/又は出力電子のフォーマット(例えば、レンズ適合のための円形、及び集積回路適合のための正方形/長方形)に応じて、例えば円形又は長方形といった任意の好適な幾何学形状を有し得る。例示的な一実施形態において、画像増倍管に使用される従来通りのマイクロチャネルプレートを再現するには、3000×3000個を超えるEBC332の正方形アレイが使用されることになる。EBCの各々及びそれらに付随する放出領域324は、半導体構造312の入力面320aで受けた電子をEBCのアレイがピクセル化するような入力面320aの領域に対応する。アレイに実際に使用されるEBCの数は、個々のEBCのサイズ及びイメージインテンシファイア300の所望の解像度に応じて、もっと多くてもよいし少なくてもよい。
【0022】
図2Aを参照するに、アノード314が、入力面314aで、EBD312から増加した数の電子を受ける。例示的な一実施形態において、アノード又はセンサ314は、従来技術の画像増倍管で一般的に使用されるCMOS基板及び複数の収集ウェルを有する従来からの集積回路である。収集ウェル内に集められた電子が、CMOSセンサ向けの標準的な信号処理装置を用いて、出力を通して従来からの画像表示装置304に送られる増倍画像信号を生成するように処理される。これに代わる一実施形態では、アノード314は、増加した数の電子を直接的に光子に変換する蛍光スクリーンである。アノード314の周囲表面は、アノード314への電気コンタクトを設けるために、例えばクロムなどの導電材料(図示せず)で被覆され得る。
【0023】
バイアス回路350が、イメージインテンシファイア300にバイアス電流を提供し得る。バイアス回路350は、第1の電気回路352、第2の電気回路354、及び第3の電気回路356を含み得る。第1の電気回路352は、フォトカソード306とEBD312との間にバイアス電圧を提供し、第2の電気回路354は、EBDの入力面320aと阻止構造322との間にバイアス電圧を提供し、第3の電気回路356は、EBD312とアノード314との間にバイアス電圧を提供する。
【0024】
一部の態様において、EBD312は、電子を受ける各EBC内で数百個の電子を生成し得る。EBD312内の電子を受ける各EBCによって数百個の電子が生成され得るので、EBD312を出て行く電子の数は、EBD312に入った電子の数よりも大幅に多い。放出された電子は、センサ314の入力面314aに衝突し、それが、表示装置304上での表示のために、増倍像の表現を生成し、あるいはそれらの電子を増倍像318の光子へと変換する。
【0025】
図2B及び2Cは、ウエハスケールイメージインテンシファイアの多工程製造プロセスを示している。製造を一連の工程として表すが、理解されることには、他の一連の処理も可能であり、この開示の範囲に入る。
【0026】
工程1は、ハンドリングウエハH1、酸化物層、及びH1のデバイス層を備えた、その上にデバイスが生成される基板を示している。デバイス層は、単結晶シリコン(エピタキシャルシリコン)の成長に好適な厚さのものである。
【0027】
工程2は、例えば30-50ミクロンの間での、エピタキシャルシリコン層の成長を示している。工程3-6は、最終的に阻止領域330を作るのに使用されるものであるトレンチの形成のためのエピタキシャルシリコン層の準備を含む。工程3は、室温で液体であって二酸化シリコンを製造するために典型的に使用されるものであるオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)の堆積を含む。工程4は、製造の後続段階におけるアライメントのためのゼロ層マークを配することを含む。工程5は、TEOSを二酸化シリコンに転換することと、スピンレジストコーティングを設けることとを含む。工程6にて、トレンチリソグラフィーが実行され、約1-1.4ミクロンの幅を持つトレンチが生成される。工程7に示すように、トレンチ形成の後、エピタキシャルシリコン内にチャネルがエッチングされている。工程にて、トレンチが例えばドープトシリコンで充填され、工程9にて、表面が研磨されて酸化物が除去され、エピタキシャルシリコン及びトレンチ充填物(例えばドープトシリコン)が残される。工程10にて、アニーリングプロセスを用いて、トレンチ充填物がエピタキシャルシリコンにアニールされる。工程11にて、充填されたトレンチ間の表面上にレジストが存在するように、マスクを用いて別のレジスト層が配置され、工程12にて、レジスト層の間及び各充填トレンチの上に注入層が配される。
【0028】
工程13にて、レジスト層が除去され、表面再構成及びドーパント活性化のために、注入されたシリコン上で少々のドライブ及びアニール工程が実行される。工程14にて、エピタキシャル及び充填表面上に薄い酸化物層が成長される。工程15にて、酸化物層の上にレジスト層が配置され、リソグラフィを用いて、電子放出領域324の位置でレジスト層に開口が形成される。工程16にて、電子放出領域の位置で酸化物層が除去され、下に位置するエピタキシャルシリコンが露出される。工程17にて、例えば、マスクを除去し、ハンドルウエハH2への結合のために酸化物層を成長させることによって、ウエハが準備される(この工程はオプションとし得る)。工程19にて、工程1の層(例えば、ウエハハンドルH1、ウエハハンドルH1に隣接する酸化物層、及びH1のデバイス層)が除去され、ウエハが回転される。工程20にて、TEOSが、エピタキシャルシリコン上に堆され、重合され、そして、レジスト層で覆われる。該レジスト層は、トレンチ形成のためにパターニングされる。
【0029】
工程21にて、シリコンの前面に(例えば、約30-50ミクロン)、阻止領域330に接触するまでトレンチが形成される。工程22にて、トレンチ充填が実行され、レジスト及び酸化シリコン(TEOS)層が除去される。1050℃で短い時間だけ、充填されたトレンチにドーパントがドライブインされる。工程24にて、別のレジスト層が塗布され、テクスチャエッチングの準備のためにレジストに開口が設けられる。工程25にて、テクスチャエッチングが実行され、工程26にて、レジスト及びハードマスクが除去される。工程27にて、KOHを用いたウェット化学エッチングが実行されて、エピタキシャルシリコンの上面にテクスチャが生成される。工程28にて、ピュアB(純粋ボロン)堆積が実行される。ピュアBは、半導体層の上面に高濃度ドープされたシリコンのシェルを作り出し、EBD312内に受け取った電子をトラップする助けとなる。残りの工程は、半導体層、すなわち、EBD312を、その他のウエハに接合して、インテンシファイアデバイスを形成することを含む。
【0030】
工程29にて、半導体ウエハにガラススペーサウエハが接合され、工程30にて、ガラススペーサにガラスハンドルウエハH3が接合される。工程31にて、ハンドルウエハH2が除去される。半導体ウエハは、スクリーン、抵抗性アノード、又はイメージャとし得るものであるアノードに結合される下部ガラススペーサウエハに接合されることができる。上部ハンドルウエハH3が除去され、上部ガラススペーサウエハがフォトカソードに結合される。一部の態様において、第1のガラス開口及び第2のガラス開口が第1及び第2の真空領域に相当するように、接合プロセスは真空中で行われ得る。
【0031】
他の態様において、当業者は、ここに記載されるウエハスケールイメージインテンシファイアデバイスを生成するメガブール(megaboule)MCPアプローチの適用を容易に理解することになる。
【0032】
図3は、複数の多層イメージインテンシファイアデバイスを有する多層イメージインテンシファイアウエハのレイヤ群の説明図である。
【0033】
フォトカソードウエハ600は、多層イメージインテンシファイアデバイスの頂部層を提供し、デバイスへの光入力を提供する。光子がこの層に接触すると、光子は通過して電子に変換される。一部の態様において、この層は、GaAsウエハに接着されたガラスで形成され得る。他の態様において、カソードは、ガラス層上にインサイチュで成長されてもよい。
【0034】
例えば、第3世代フォトカソードスタートは、ガラスウエハ及びGaAsウエハを使用して生成され得る。これら2つのウエハが、以下に限られないが、熱圧縮、陽極接合、表面活性化接合、又は接合後の熱サイクルを乗り切ることができる任意の他の接合技術を含む任意の好適技術を用いて、共に接合され得る。一部の態様において、
図1のインテンシファイアに関するカソードプロセス(米国特許第6,086,944号参照)に記載されるように、GaAs基板ウエハは除去される。
【0035】
他の一例において、第2世代インテンシファイア(Gen IIカソード)が使用されてもよく、ガラスウエハが用意され、該ガラスウエハ上にカソードがインサイチュ成長される。このアプローチは、大気圧を退ける最小限のガラス厚さを有するカソード構造を生成し、従来技術におけるカソード構造よりも薄い。接合されて活性化された半導体カソードの詳細は当業者に知られている(米国特許第8,906,470号参照)。ガラス/GaAs層は、デバイスのレイヤ群が結合されて封止された後に、ガラススペーサウエハ610によって形成される真空キャビティの頂部層を形成する。
【0036】
このウエハは、複数のフォトカソード領域を有し、組み立てられたウエハをスライスすることを受けて、各フォトカソード領域が単一のイメージインテンシファイアデバイス内に組み立てられるように構成される。
【0037】
ガラススペーサウエハ610は、複数の開口を有することができ、大きい開口の各々が、真空キャビティを形成するために使用され、ガラスが真空キャビティの壁を形成する。他のイメージインテンシファイア製造技術とは異なり、ガラススペーサウエハは、コンポーネント間に一貫した間隔を提供する。残ったガラスが、イメージインテンシファイアデバイスのための電圧スタンドオフを提供する。
【0038】
一部の態様において、ガラススペーサウエハ610は、真空を維持するためにゲッタを保持する構造を含み得る(米国特許第8,847,373号及び加国特許第2,557,740号参照)。ガラススペーサウエハ610と処理されたシリコン利得ウエハ620との間の接合は、フォトカソード上の放出材料を維持するための真空キャビティを生成する気密シールを提供する。
【0039】
一部のケースにおいて、例えば、インサイチュで実行される場合に、イメージ増倍デバイスにとって有害なガスを放出し得るものである例えば熱圧縮プロセス又は陽極プロセスなどの高温プロセスのために、真空キャビティの外側に接合が形成され得る。真空を維持するために、ゲッタがガス分子を吸収し得る。これらの層の接合は典型的に、カソード上の光電子放出材料の低い熱バジェットのために低温で行われる。
【0040】
ガラススペーサウエハ620は、複数のキャビティ領域を有し、組み立てられたウエハをスライスすることを受けて、各キャビティ領域が単一のイメージインテンシファイアデバイス内に組み立てられるように構成される。
【0041】
電子増幅器/シリコン利得ウエハ620は、多層イメージインテンシファイアデバイスが動作するための電子増幅を提供する。電子増幅器は、開口を有するガラスウエハを、処理されたシリコンウエハに接合することによって形成され得る。処理されたシリコンウエハは、2つの以下の選択肢:(1)米国特許第7,109,644号で提供されるようなMCP、又は(2)負の電子親和力に対して活性な、米国特許第6,836,059号で提供されるようなシリコンデバイス、のうちのいずれかによって形成され得る。
【0042】
シリコンウエハ620は、複数の増幅領域を有し、組み立てられたウエハをスライスすることを受けて、各増幅領域が単一のイメージインテンシファイアデバイス内に組み立てられるように構成される。
【0043】
ガラススペーサウエハ630は、開口を有する別のガラス層であり、この場合、スクリーンウエハ640の前の別の真空キャビティを形成するためのものであり、前述のガラススペーサウエハ610の全ての属性を含む。
【0044】
ガラススペーサウエハ630は、複数のキャビティ領域を有し、組み立てられたウエハをスライスすることを受けて、各キャビティ領域が単一のイメージインテンシファイアデバイス内に組み立てられるように構成される。
【0045】
アノードウエハとし得るものであるスクリーンウエハ640は、多層イメージインテンシファイアウエハの底部層を提供する。スクリーンウエハは、以下のタイプのウエハ、すなわち、抵抗性アノード構造、蛍光スクリーン、リードアウトチップなどを含むウエハのうちのいずれかとし得る。
【0046】
スクリーンウエハ640は、複数のアノード/スクリーン領域を有し、組み立てられたウエハをスライスすることを受けて、各アノード/スクリーン領域が単一のイメージインテンシファイアデバイス内に組み立てられるように構成される。
【0047】
従って、ウエハ600、610、620、630、及び640を含む組み立てられたウエハは、単一のイメージインテンシファイアにスライスすることを受けて、各インテンシファイアが、(順に)フォトカソード、ガラスウエハ610によって境界付けられたキャビティ、(利得層312を形成する処理されたシリコンウエハからの)増幅領域、第2のガラスウエハによって境界付けられた第2のキャビティ、及びスクリーン層を含むように、アライメントされて製造される。
【0048】
一部の態様において、光ファイバにおける像反転は、検出器のイメージング領域と同等の長さを有する。フェイスプレートの厚さは、より薄くすることができ、大気圧を退けるための機械的剛性をなおも提供することができる。フェイスプレートの厚さは、既存システムの光学的規定を満足することになる。本体幾何学構成の残りの部分が、真空の包み込み、電気コンタクト、及び表面経路長を提供する。
【0049】
図4は、デバイス組立時に真空キャビティとなる開口を有するガラススペーサウエハ710を示している。一部の態様において、フラッシオーバ保護のために、封止後にデバイスの真空を維持するために、ガラス開口の周辺に沿って非蒸発性のゲッタを設けることができ(米国特許第9,969,611号参照)、また、ゲッタの周辺に沿って低温封止機構を設けることができる。小さい方の開口は、デバイスの異なるレイヤへの電気接続を提供するためのボンドパッド位置を表している。
【0050】
図5は、利得ウエハの生成を示している。この例では、スペーサウエハ710がシリコンウエハ720に接合されて、利得層(820、830)を作り出す。一部の態様において、スペーサウエハ710は、米国特許第6,836,059号に記載されるように、処理されたシリコンウエハに接合されて、利得層を形成する。他の態様では、米国特許第7,109,644号に記載されるように、スペーサウエハと、その上の処理されたシリコンウエハとが接合されて、MCPウエハを作り出してもよい。一部の態様において、利得ウエハは、利得層としてシリコンを用いる代わりに、MCPデバイスを用いて作製されてもよい。いずれの場合にも、シリコン又はMCPのウエハボンディングは、プロセスが気密シールを形成するのであれば、陽極ボンディング、熱圧縮、又は表面活性化ボンディングを用いて行われ得る。
【0051】
図6は、4層イメージインテンシファィアウエハの拡大図を示している。このウエハスタックの各層を、以下のように詳細に説明する。Gen III構成の場合の頂部層であるカソードウエハ810は半導体ウエハに接合されたガラス層であり、その表面に透過モードカソードを有する。半導体ウエハの基板は、上の1つ以上の例に記載されるような通常の除去プロセスによって除去されている。
【0052】
2番目の層である利得ウエハ820は、シリコン利得ウエハに接合されたガラススペーサウエハを有する。3番目の層である利得ウエハ830は、シリコン利得ウエハに接合された別のガラススペーサウエハを有する。4番目の層であるスクリーンウエハ840は、ガラススクリーンウエハ、光ファイバスクリーンウエハ、又は電子センシングデバイスウエハのいずれかに接合された別のガラススペーサウエハである。
【0053】
図6に示す構成は、多層イメージインテンシファイアウエハ製造の一実装である。別の構成では、ウエハ820及び830が、シェブロン構成で直接一緒に結合された2つのMCPウエハ及び1つのスペーサウエハで置き換えてもよい。あるいは、多層イメージインテンシファイアウエハは、1つのスペーサ/シリコン利得ウエハ(820又は830)のみを有する想定であってもよく、あるいは、単一のスペーサ/シリコン利得ウエハが単一のスペーサ/MCPウエハで置き換えられてもよい。
【0054】
図7は、積み重ねて接合され且つ封止された
図6のレイヤ群を有する封止された多層イメージインテンシファイアウエハを示しており、半透明の前面ウエハが個々のデバイスを示している。封止は、ウエハが完全にガス抜きされた後に、超高真空システムで実行され得る。封止プロセスは、封止したデバイス内にトラップされることになり得るガスを発生すべきでない。従って、封止は典型的に低温プロセスを用いて行われる。
【0055】
図8は、ウエハボンディング及びスライシングの後の多層イメージインテンシファイアデバイスを示している。
図6からの接合ウエハアセンブリが超高真空システムから取り出されると、ウエハから個々のデバイスがダイシングされる。この図には1つのダイが示されている。封止/真空領域は外側リング(1110)によって境界付けられ、内側リング(1115)は、表面に(真空を保つための)ゲッタを有する電圧スタンドオフ領域(2010)を境界付けている。開口(1120)はデバイス領域を表している。小さい方の開口(1125)は、カソードウエハの薄片が除去されるときに露出されるボンドパッド位置に相当する。
【0056】
図9は、真空キャビティを有する(
図6に示した)個々の多層イメージインテンシファイアデバイスの断面を示している。3つの個別のキャビティが、電圧スタンドオフ構造2010とともに見えている。
【0057】
図10は、多層イメージインテンシファイアウエハを製造すること、及びウエハをスライスして多層イメージインテンシファイアデバイスを提供することの方法400のフローチャートである。方法400は、上の1つ以上の例に記載されるデバイスを製造するのに使用され得る。しかしながら、方法400は、上の例に限定されるものではない。
【0058】
処理402にて、第1及び第2のガラスウエハを作製し、各ガラスウエハが、それぞれのガラスウエハの第1及び第2の表面内のそれぞれの開口の間を延在するキャビティのアレイを有する。
【0059】
処理404にて、半導体ウエハをドープし、該半導体ウエハの第1の表面に衝突する各電子に対して複数の電子を生成し、該複数の電子を該半導体ウエハの第2の表面の放出領域のアレイに導くようにする。
【0060】
処理404でのドーピングは、例えばここでの1つ以上の例に記載されるように、半導体ウエハの第2の表面に接触する迷走電子及び/又は迷走光子を吸収するために半導体ウエハをドープすることを含み得る。
【0061】
処理404でのドーピングは、例えばここでの1つ以上の例に記載されるように、局所的な強い光を低減させるために半導体ウエハをドープすることを含み得る。
【0062】
処理406にて、フォトカソードウエハの放出面を第1のガラスウエハの第1の表面に接合する。
【0063】
処理408にて、第1のガラスウエハの第2の表面を半導体ウエハの第1の表面に接合する。
【0064】
処理410にて、半導体ウエハの第2の表面を第2のガラスウエハの第1の表面に接合する。
【0065】
処理412にて、第2のガラスウエハの第2の表面をアノードウエハの表面に接合する。
【0066】
処理402乃至412で説明したプロセスは、多層イメージインテンシファイアウエハを提供する。
【0067】
処理414にて、多層イメージインテンシファイアウエハをスライスして、複数の多層イメージインテンシファイアデバイスを提供する。
【0068】
方法400は更に、第1及び第2のガラスウエハのキャビティを真空排気することを含み得る。
【0069】
方法400は更に、ガラス及び/又はガリウム砒素のうちの1つ以上を用いてフォトカソードウエハを作製することを含み得る。
【0070】
図11は、例えば方法400に関して上述したようにして、多層イメージインテンシファイアウエハを製造又は作製するように、及び多層イメージインテンシファイアウエハをスライスして複数の多層イメージインテンシファイアデバイスを提供するように、製造装置を制御するよう構成されたコンピュータシステム500のブロック図である。しかしながら、コンピュータシステム500は、方法400の例に限定されるものではない。
【0071】
コンピュータシステム500は、コンピュータ読み取り可能媒体504にエンコードされたコンピュータプログラム506の命令を実行するための、ここではプロセッサ502として例示する1つ以上のプロセッサを含む。媒体504は、一時的又は非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を含み得る。
【0072】
プロセッサ502は、1つ以上の命令プロセッサ及び/又はプロセッサコアと、該(1つ以上の)命令プロセッサ/コアとコンピュータ読み取り可能媒体504との間のインタフェースとなる制御ユニットとを含み得る。プロセッサ502は、限定するものではないが、マイクロプロセッサ、グラフィックスプロセッサ、物理プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、ネットワークプロセッサ、フロントエンド通信プロセッサ、コプロセッサ、マネジメントエンジン(ME)、コントローラ若しくはマイクロコントローラ、中央演算処理ユニット(CPU)、汎用命令プロセッサ、及び/又は特定用途向けプロセッサを含み得る。
【0073】
コンピュータ読み取り可能媒体504は更に、コンピュータプログラム506の実行中にプロセッサ502によって使用され得る及び/又はコンピュータプログラム506の実行中にプロセッサ502によって生成され得るデータ508を含む。
【0074】
図11の例において、コンピュータプログラム506は、例えば上の1つ以上の例にて説明したように、多層イメージインテンシファイアウエハを製造するように、及び多層イメージインテンシファイアウエハをスライスして複数の多層イメージインテンシファイアデバイスを提供するように、プロセッサ502に(1つ以上の)ウエハスケール製造装置550を制御させる製造命令510を含んでいる。
【0075】
コンピュータは更に、製造命令510により、以下の処理、すなわち、ウエハ(例えば、ウエハ600、610、620、630、640を含む全てのウエハ)を熱的にガス抜きし、GaAsフォトカソードウエハ600を負の電子親和力に活性化し(又はマルチアルカリフォトカソードを堆積させ)、利得層のためにシリコンウエハ620を負の電子親和力に活性化し、アノードウエハ640を電子スクラブして残留ガスを除去し、ゲッタを活性化してウエハをシールし、及び真空下でシールを生成する、ことを制御することができる。
【0076】
ウエハは、第1のウエハのキャビティがシリコンウエハの増幅/利得領域とアライメントされ、シリコンウエハの増幅領域が第2のウエハのキャビティとアライメントされることができ、且つ第2のウエハのキャビティがアノードウエハのアノードとアライメントされることができるように、アライメントされて製造され得る。これらのアライメントされたウエハが、第1及び第2のガラスウエハのそれぞれのキャビティ内を真空にして封止され、そして、スライスされる。
【0077】
コンピュータシステム500は更に、コンピュータシステム500の装置及び/又はリソースの間で通信するための通信インフラストラクチャ540をさらに含む。
【0078】
コンピュータシステム500は更に、ここでは(1つ以上の)ウエハスケール製造装置550を含むものとして説明する1つ以上の他の装置とインタフェースするための入力/出力(I/O)装置542を含む。
【0079】
本発明実施形態の利点は、以下に限られないが、ウエハの一度の製造運転の間に多層イメージインテンシファイアデバイスを製造できることを含み、これは、時間を節約するとともに労力を削減するものである。本発明実施形態は、軽量で小型の多層イメージインテンシファイアデバイスを可能にする。
【0080】
さらに、本技術は、ウエハ上の迷走粒子が単一の多層イメージインテンシファイアを破壊するかもしれないが、他のデバイスは生きたままであるという点で、製造エラーに対してロバストである。加えて、本技術は、微細構造のアライメント及び間隔を単純化し、それが、ウエハ上の複数の多層イメージインテンシファイアデバイスの製造複雑性を低減させる。
【0081】
本発明の特定の実施形態を示して詳細に説明したが、当業者には適応及び改変が明らかになる。発明のそのような適応及び改変は、以下の請求項に記載される発明の範囲から逸脱することなく為され得るものである。