(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-17
(45)【発行日】2023-03-28
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230320BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022156023
(22)【出願日】2022-09-29
【審査請求日】2022-11-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】大野 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】小岩井 航介
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-020643(JP,A)
【文献】特開2014-038608(JP,A)
【文献】特開2002-366675(JP,A)
【文献】特開2021-114051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人情報を保有する複数の機関それぞれを識別するための機関識別情報と、前記機関が保有する個人情報の信頼度である保有情報信頼度とを関連付けた、機関保有情報の信頼度情報を記憶する記憶部と、
ユーザが所定の申込を行うために所定の機関の保有する個人情報から、ユーザの個人情報を取得する要求である取得要求を、前記ユーザの端末から取得する要求受付部と、
前記取得要求を取得すると、前記所定の申込に対して要求される保有情報信頼度である要求信頼度を特定する信頼度特定部と、
前記機関保有情報の信頼度情報において前記所定の機関の機関識別情報に関連付けられている保有情報信頼度が、前記信頼度特定部により特定された要求信頼度以上であることを条件として、前記所定の機関のサーバである機関サーバが前記所定の申込に対して前記ユーザの個人情報を提供することが可能となるように前記機関サーバを制御する提供制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記提供制御部は、前記所定の申込を行うために必要な個人情報の種別を特定し、前記所定の機関が、特定した全ての種別それぞれに対応する個人情報を保有していることを条件として、機関サーバが前記所定の申込に対して前記ユーザの個人情報を提供することが可能となるように前記機関サーバを制御する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記機関保有情報の信頼度情報において前記所定の機関の機関識別情報に関連付けられている保有情報信頼度が、前記信頼度特定部により特定された要求信頼度未満である場合、前記機関保有情報の信頼度情報を参照し、特定された要求信頼度以上の保有情報信頼度に関連付けられている機関識別情報を特定し、特定した機関識別情報が示す機関のリストを生成するリスト生成部と、
生成した前記リストを前記端末に送信するリスト送信部と、
をさらに有し、
前記提供制御部は、前記機関保有情報の信頼度情報において前記所定の機関の機関識別情報に関連付けられている保有情報信頼度が、前記信頼度特定部により特定された要求信頼度未満である場合、前記端末において前記リストに含まれる複数の機関の中から一の機関が選択されると、前記一の機関のサーバである機関サーバが前記所定の申込に対して前記ユーザの個人情報を提供することが可能となるように前記機関サーバを制御する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
個人情報を保有する複数の機関それぞれを識別するための機関識別情報と、前記機関が保有する個人情報の信頼度である保有情報信頼度とを関連付けた、機関保有情報の信頼度情報を記憶する記憶部と、
ユーザが所定の申込を行うために機関の保有する個人情報から、ユーザの個人情報を取得する要求である取得要求を前記ユーザの端末から取得する要求受付部と、
前記取得要求を取得すると、前記所定の申込に対して要求される保有情報信頼度である要求信頼度を特定する信頼度特定部と、
前記機関保有情報の信頼度情報を参照し、特定された要求信頼度以上の保有情報信頼度に関連付けられている機関識別情報を特定し、特定した機関識別情報が示す機関のリストを生成するリスト生成部と、
生成した前記リストを前記端末に送信するリスト送信部と、
前記端末において前記リストに含まれる複数の機関の中から一の機関が選択されると、前記一の機関のサーバである機関サーバが前記所定の申込に対して前記ユーザの個人情報を提供することが可能となるように前記機関サーバを制御する提供制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項5】
前記リスト生成部は、前記所定の申込を行うために必要な個人情報の種別を特定し、特定した全ての種別それぞれに対応する個人情報を保有している機関を特定し、特定した機関を示す前記リストを生成する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記信頼度特定部は、前記所定の申込の種別を特定し、特定した種別に基づいて前記所定の申込に対して要求される信頼度を特定する、
請求項1又は4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記機関における所定の契約の履行状況に基づいて前記機関保有情報の信頼度情報に含まれている前記機関の機関識別情報に関連付けられている保有情報信頼度を更新する更新部をさらに有する、
請求項1又は4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記更新部は、前記機関における所定の契約の不履行が発生した場合、前記機関保有情報の信頼度情報に含まれている前記機関の機関識別情報に関連付けられている保有情報信頼度を低くする、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記更新部は、単位期間における前記所定の契約の不履行の発生回数に基づいて前記保有情報信頼度を更新する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記更新部は、前記所定の契約の不履行が発生していない期間の長さに基づいて前記保有情報信頼度を更新する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記機関が属する国と、前記機関の種別とに基づいて前記機関に関連付けられる保有情報信頼度の初期値を設定する設定部をさらに有する、
請求項1又は4に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータが実行する、
ユーザが所定の申込を行うために所定の機関からユーザの個人情報を取得する要求である取得要求を、前記ユーザの端末から取得するステップと、
前記取得要求を取得すると、前記所定の申込に対して要求される、機関が保有する個人情報の信頼度である保有情報信頼度を示す要求信頼度を特定するステップと、
個人情報を保有する複数の機関それぞれを識別するための機関識別情報と、機関が保有する個人情報の信頼度である保有情報信頼度とを関連付けた、機関保有情報の信頼度情報において、前記所定の機関の機関識別情報に関連付けられている保有情報信頼度が、特定された要求信頼度以上であることを条件として、前記所定の機関のサーバである機関サーバが前記所定の申込に対して前記ユーザの個人情報を提供することを可能となるように前記機関サーバを制御するステップと、
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの個人情報を保有する機関から、当該個人情報を当該機関とは異なる機関に提供することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
個人情報を保有する機関は複数存在し、複数の機関それぞれに登録されている個人情報の精度が異なることがある。一方で、ユーザがサービスの利用申込時においてサービスの提供者が、登録する個人情報に一定の精度を求める場合があることから、サービス提供者が求める精度を満たす個人情報をサービスの提供者に提供できるようにすることが求められている。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、サービス提供者が求める精度を満たす個人情報をサービスの提供者に提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、個人情報を保有する複数の機関それぞれを識別するための機関識別情報と、前記機関が保有する個人情報の信頼度である保有情報信頼度とを関連付けた、機関保有情報の信頼度情報を記憶する記憶部と、ユーザが所定の申込を行うために所定の機関の保有する個人情報から、ユーザの個人情報を取得する要求である取得要求を、前記ユーザの端末から取得する要求受付部と、前記取得要求を取得すると、前記所定の申込に対して要求される保有情報信頼度である要求信頼度を特定する信頼度特定部と、前記機関保有情報の信頼度情報において前記所定の機関の機関識別情報に関連付けられている保有情報信頼度が、前記信頼度特定部により特定された要求信頼度以上であることを条件として、前記所定の機関のサーバである機関サーバが前記所定の申込に対して前記ユーザの個人情報を提供することが可能となるように前記機関サーバを制御する提供制御部と、を有する。
【0007】
前記提供制御部は、前記所定の申込を行うために必要な個人情報の種別を特定し、前記所定の機関が、特定した全ての種別それぞれに対応する個人情報を保有していることを条件として、機関サーバが前記所定の申込に対して前記ユーザの個人情報を提供することが可能となるように前記機関サーバを制御してもよい。
【0008】
前記情報処理装置は、前記機関保有情報の信頼度情報において前記所定の機関の機関識別情報に関連付けられている保有情報信頼度が、前記信頼度特定部により特定された要求信頼度未満である場合、前記機関保有情報の信頼度情報を参照し、特定された要求信頼度以上の保有情報信頼度に関連付けられている機関識別情報を特定し、特定した機関識別情報が示す機関のリストを生成するリスト生成部と、生成した前記リストを前記端末に送信するリスト送信部と、をさらに有し、前記提供制御部は、前記機関保有情報の信頼度情報において前記所定の機関の機関識別情報に関連付けられている保有情報信頼度が、前記信頼度特定部により特定された要求信頼度未満である場合、前記端末において前記リストに含まれる複数の機関の中から一の機関が選択されると、前記一の機関のサーバである機関サーバが前記所定の申込に対して前記ユーザの個人情報を提供することが可能となるように前記機関サーバを制御してもよい。
【0009】
本発明の第2の態様に係る情報処理装置は、個人情報を保有する複数の機関それぞれを識別するための機関識別情報と、前記機関が保有する個人情報の信頼度である保有情報信頼度とを関連付けた、機関保有情報の信頼度情報を記憶する記憶部と、ユーザが所定の申込を行うために機関の保有する個人情報から、ユーザの個人情報を取得する要求である取得要求を前記ユーザの端末から取得する要求受付部と、前記取得要求を取得すると、前記所定の申込に対して要求される保有情報信頼度である要求信頼度を特定する信頼度特定部と、前記機関保有情報の信頼度情報を参照し、特定された要求信頼度以上の保有情報信頼度に関連付けられている機関識別情報を特定し、特定した機関識別情報が示す機関のリストを生成するリスト生成部と、生成した前記リストを前記端末に送信するリスト送信部と、前記端末において前記リストに含まれる複数の機関の中から一の機関が選択されると、前記一の機関のサーバである機関サーバが前記所定の申込に対して前記ユーザの個人情報を提供することが可能となるように前記機関サーバを制御する提供制御部と、を有する。
【0010】
前記リスト生成部は、前記所定の申込を行うために必要な個人情報の種別を特定し、特定した全ての種別それぞれに対応する個人情報を保有している機関を特定し、特定した機関を示す前記リストを生成してもよい。
前記信頼度特定部は、前記所定の申込の種別を特定し、特定した種別に基づいて前記所定の申込に対して要求される信頼度を特定してもよい。
【0011】
前記情報処理装置は、前記機関における所定の契約の履行状況に基づいて前記機関保有情報の信頼度情報に含まれている前記機関の機関識別情報に関連付けられている保有情報信頼度を更新する更新部をさらに有してもよい。
前記更新部は、前記機関における所定の契約の不履行が発生した場合、前記機関保有情報の信頼度情報に含まれている前記機関の機関識別情報に関連付けられている保有情報信頼度を低くしてもよい。
【0012】
前記更新部は、単位期間における前記所定の契約の不履行の発生回数に基づいて前記保有情報信頼度を更新してもよい。
前記更新部は、前記所定の契約の不履行が発生していない期間の長さに基づいて前記保有情報信頼度を更新してもよい。
前記情報処理装置は、前記機関が属する国と、前記機関の種別とに基づいて前記機関に関連付けられる保有情報信頼度の初期値を設定する設定部をさらに有するものとしてもよい。
【0013】
本発明の第3の態様に係る情報処理方法は、ユーザが所定の申込を行うために所定の機関からユーザの個人情報を取得する要求である取得要求を、前記ユーザの端末から取得するステップと、前記取得要求を取得すると、前記所定の申込に対して要求される、機関が保有する個人情報の信頼度である保有情報信頼度を示す要求信頼度を特定するステップと、個人情報を保有する複数の機関それぞれを識別するための機関識別情報と、機関が保有する個人情報の信頼度である保有情報信頼度とを関連付けた、機関保有情報の信頼度情報において、前記所定の機関の機関識別情報に関連付けられている保有情報信頼度が、特定された要求信頼度以上であることを条件として、前記所定の機関のサーバである機関サーバが前記所定の申込に対して前記ユーザの個人情報を提供することを可能となるように前記機関サーバを制御するステップと、を有する、コンピュータが実行する情報処理方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、サービス提供者が求める精度を満たす個人情報をサービスの提供者に提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施の形態に係る情報処理システムの概要を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る情報処理装置の機能構成を示す図である。
【
図4】機関保有情報の信頼度情報の一例を示す図である。
【
図6】第1の実施の形態に係るユーザ端末の機能構成を示す図である。
【
図7】第1の実施の形態に係る情報処理システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図8】
図7に示す処理の流れに続く処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図12】第2の実施の形態に係る情報処理システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施の形態]
[情報処理システムSの概要]
図1は、第1の実施の形態に係る情報処理システムSの概要を示す図である。情報処理システムSは、ユーザが所定の申込を行う際に必要な個人情報を銀行等の機関から取得して所定の申込を行うことができるようにするシステムである。情報処理システムSは、情報処理装置1と、ユーザが使用する携帯通信端末としてのユーザ端末2と、機関が使用する機関サーバ3とを有する。
【0017】
所定の申込は、例えば、各種サービスの利用申込又は商品の購入サービスの利用申込である。情報処理装置1は、所定の申込を受け付ける申込受付サーバとして機能する。ユーザ端末2は、例えばスマートフォン等の携帯電話機である。機関は、例えば金融機関、通信キャリア、店舗等であり、機関サーバ3は、機関を利用するユーザの個人情報を保有している。情報処理装置1とユーザ端末2と機関サーバ3とは、インターネットや無線LAN等の通信ネットワークを介して通信可能に接続されている。なお、
図1においてユーザ端末2及び機関サーバ3は、それぞれ1つずつ示されているが、実際には複数のユーザ端末2及び複数の機関サーバ3が存在するものとする。
【0018】
ユーザ端末2は、ユーザが所定の申込を行うために、ユーザが指定した所定の機関からユーザの個人情報を取得する要求である取得要求を情報処理装置1に送信する(
図1における(1))。情報処理装置1は、取得要求を取得すると、所定の申込に対して要求される、機関が保有する個人情報の信頼度である要求信頼度を特定する(
図1における(2))。なお、以下の説明において、機関が保有する個人情報の信頼度を保有情報信頼度ともいう。
【0019】
情報処理装置1は、複数の機関それぞれを識別する機関識別情報としての機関コードと、機関が保有する個人情報の信頼度である保有情報信頼度とを関連付けた、機関保有情報の信頼度情報を記憶している。情報処理装置1は、機関保有情報の信頼度情報に基づいて特定される、取得要求に対応する所定の機関の保有情報信頼度が、所定の申込に対して要求される要求信頼度以上であることを条件として、所定の機関に対応する機関サーバ3から所定の申込に対してユーザの個人情報を提供可能とする。
【0020】
例えば、情報処理装置1は、機関サーバ3が所定の申込に対してユーザの個人情報を提供することの許諾を機関サーバ3が受け付ける許諾画面をユーザ端末2に表示させるために、許諾画面の表示を指示する表示指示情報をユーザ端末2に送信する(
図1における(3))。
【0021】
ユーザ端末2は、表示指示情報を受信すると、許諾画面取得要求を選択された一の機関に対応する機関サーバ3に送信し(
図1における(4))、機関サーバ3から許諾画面を受信する(
図1における(5))。機関サーバ3は、所定の申込に対してユーザの個人情報を提供することの許諾をユーザ端末2から受け付けると(
図1における(6))、ユーザ端末2のユーザの個人情報を情報処理装置1に送信する(
図1における(7))。
【0022】
情報処理装置1は、所定の申込を行うためのユーザの個人情報を機関サーバ3から取得し、所定の申込を受け付ける。このようにすることで、情報処理装置1は、所定の申込に係るサービスを提供する提供者が求める精度を満たす個人情報を当該提供者に提供することができる。
【0023】
[情報処理装置1の機能構成]
続いて、情報処理装置1の構成の詳細を説明する。
図2は、第1の実施の形態に係る情報処理装置1の機能構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
通信部11は、インターネット等のネットワークを介してユーザ端末2、機関サーバ3等の外部装置とデータを送受信するための通信インターフェースである。
【0024】
記憶部12は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、及びSSD(Solid State Drive)等を有する。記憶部12は、制御部13が実行することにより、制御部13を、登録部131、更新部132、開始受付部133、リスト生成部134、リスト送信部135、要求受付部136、信頼度特定部137、提供制御部138、及び申込受付部139として機能させるプログラムを記憶する。
【0025】
また、記憶部12は、複数の国それぞれの機関を示す国別機関情報を記憶する。
図3は、国別機関情報の一例を示す図である。
図3に示すように、国別機関情報は、国名と、当該国名が示す国において利用可能な機関の機関コードと、機関の種別と、機関の名称と、機関が保有している個人情報である保有個人情報とを関連付けた情報である。国別機関情報に含まれる機関は、ユーザの許諾に応じて当該ユーザの個人情報を提供することを許可している機関である。機関コードは、複数の機関それぞれを識別するための機関識別情報である。国別機関情報は、ユーザが利用している機関を選択するための機関リストを生成するために参照される。
【0026】
個人情報は、例えば、ユーザの氏名、生年月日、年齢、性別、居住地の住所、家族構成等である。個人情報には、ユーザが利用している金融機関における口座情報が含まれていてもよい。
【0027】
また、記憶部12は、機関を示す機関コードと、当該機関が保有する個人情報の信頼度である保有情報信頼度とを関連付けた、機関保有情報の信頼度情報を記憶する。
図4は、機関保有情報の信頼度情報の一例を示す図である。
図4に示すように、複数の機関の機関コードそれぞれに対して、保有情報信頼度が関連付けられていることが確認できる。
【0028】
また、記憶部12は、情報処理装置1が利用申込を受け付ける複数の申込それぞれの申込の種別を識別するための申込IDと、当該利用申込に対して要求される保有情報信頼度と、必要とされる個人情報の種別とを関連付けた申込要件情報を記憶する。
図5は、申込要件情報の一例を示す図である。
図5に示すように、複数の申込それぞれの申込IDに対し、当該申込に対して要求される保有情報信頼度と、必要とされる個人情報の種別とが関連付けられていることが確認できる。以下の説明において、申込に対して要求される保有情報信頼度を要求信頼度ともいう。
【0029】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、登録部131、更新部132、開始受付部133、リスト生成部134、リスト送信部135、要求受付部136、信頼度特定部137、提供制御部138、及び申込受付部139として機能する。
【0030】
登録部131は、情報処理装置1の管理者等が使用する管理端末(不図示)から、国別機関情報の登録を受け付ける。例えば、登録部131は、管理端末から、国名と、機関の種別と、機関の名称と、保有個人情報とを受け付けると、機関コードを生成する。登録部131は、生成した機関コードと、受け付けた国名、機関の種別、機関の名称、及び保有個人情報とを関連付けて国別機関情報として記憶部12に記憶させる。
【0031】
また、登録部131は、設定部として機能し、機関コードと、保有情報信頼度とを関連付けて、機関保有情報の信頼度情報として記憶部12に記憶させる。例えば、登録部131は、機関が属する国と、機関の種別とに基づいて、機関に関連付けられる保有情報信頼度の初期値を設定し、設定した保有情報信頼度と機関コードとが関連付けて記憶されるようにしてもよい。
【0032】
更新部132は、機関における所定の契約の履行状況に基づいて機関保有情報の信頼度情報に含まれている機関コードに関連付けられている保有情報信頼度を更新する。所定の契約は、例えば、所定の融資に係る契約や、携帯通信サービスの利用料金等の各種の定期支払に係る契約である。
【0033】
更新部132は、機関において、所定の契約の不履行が発生した場合、機関保有情報の信頼度情報に含まれている機関の機関コードに関連付けられている保有情報信頼度を低くする。例えば、更新部132は、機関と所定の契約を締結している契約者の人数に対する、契約不履行となった人数の割合を算出する。そして、更新部132は、契約不履行となった人数の割合が多くなればなるほど、保有情報信頼度が低くなるように保有情報信頼度を更新する。
【0034】
例えば、契約不履行となった人数が多い場合には、信用性が低いユーザが多く含まれている確率が高く、信用性が低いユーザが多ければ多いほど、当該機関において管理されている複数のユーザの個人情報の精度も低いと考えられる。これに対し、情報処理装置1は、契約不履行となった人数の割合が多くなればなるほど、保有情報信頼度が低くなるように保有情報信頼度を更新することにより、保有情報信頼度を適切な値に更新することができる。
【0035】
なお、更新部132は、所定の契約の不履行が発生した場合、機関保有情報の信頼度情報に含まれている機関の機関コードに関連付けられている保有情報信頼度を低くしたが、これに限らない。更新部132は、単位期間における所定の契約の不履行の発生回数に基づいて保有情報信頼度を更新してもよい。この場合、更新部132は、単位期間における所定の契約の不履行の発生回数が多ければ多いほど、保有情報信頼度が低くなるように保有情報信頼度を更新する。
【0036】
また、更新部132は、所定の契約の不履行が発生していない期間の長さに基づいて保有情報信頼度を更新してもよい。この場合、更新部132は、所定の契約の不履行が発生していない期間の長さが長ければ長いほど、保有情報信頼度が高くなるように保有情報信頼度を更新する。このようにすることで、契約不履行となった人数の割合に基づいて保有情報信頼度を更新する場合と同様に、保有情報信頼度を適切な値に更新することができる。
【0037】
開始受付部133、リスト生成部134、リスト送信部135、要求受付部136、信頼度特定部137、提供制御部138、及び申込受付部139の機能の詳細については後述する。
【0038】
[ユーザ端末2の機能構成]
続いて、ユーザ端末2の構成の詳細を説明する。
図6は、第1の実施の形態に係るユーザ端末2の機能構成を示す図である。ユーザ端末2は、操作部21と、通信部22と、撮像部23と、表示部24と、記憶部25と、制御部26とを有する。
【0039】
操作部21は、ユーザの操作を受け付ける操作デバイスであり、例えば表示部24の表面に設けられたタッチパネルである。操作部21は、ユーザがタッチした位置を示す信号を制御部26に通知する。
通信部22は、インターネット等のネットワークを介して情報処理装置1、機関サーバ3等の外部装置とデータを送受信するための通信インターフェースである。
【0040】
撮像部23は、例えば、カメラである。
表示部24は、各種の情報を表示するディスプレイである。
記憶部25は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM、RAM、ハードディスク、及びSSD等を有する。記憶部25は、制御部26が実行するプログラムを記憶する。記憶部25は、制御部26を、申込要求部261、リスト取得部262、選択受付部263、許諾受付部264、個人情報取得部265、申請部266として機能させるプログラムを記憶する。
【0041】
制御部26は、例えばCPUである。制御部26は、記憶部25に記憶されたプログラムを実行することにより、申込要求部261、リスト取得部262、選択受付部263、許諾受付部264、個人情報取得部265、申請部266として機能する。
【0042】
続いて、情報処理システムSにおける処理の流れを示すシーケンス図を参照しながら、所定の申込を受け付ける処理に係る制御部13及び制御部26の機能の詳細について説明する。
図7は、第1の実施の形態に係る情報処理システムSにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
図8は、
図7に示す処理の流れに続く処理の流れを示すシーケンス図である。
【0043】
まず、ユーザ端末2の申込要求部261は、ユーザから所定の申込に係る申込を開始するための申込開始画面の表示操作を受け付けると、申込開始画面の表示要求を情報処理装置1に送信する(S1)。本実施の形態では、情報処理装置1は、複数のサービスの利用申込を受け付けるものとし、申込要求部261は、複数のサービスの利用申込のうち、ユーザが選択したサービスの利用申込を受け付けるものとする。申込開始画面の表示要求には、ユーザが選択した申込の種別に対応する申込IDが含まれている。
【0044】
情報処理装置1の開始受付部133は、申込開始画面の表示要求を受信したことに応じて、申込開始画面をユーザ端末2に送信する(S2)。申込要求部261は、受信した申込開始画面を表示部24に表示させる。
【0045】
図9は、申込開始画面の一例を示す図である。
図9に示すように、申込開始画面には、ユーザの個人情報を記憶している機関を絞り込むための絞込用情報をユーザ端末2に取得させるために、複数の国の中からプルダウン形式で一の国の選択を受け付けるリストが表示されていることが確認できる。また、
図9には、決定ボタンが設けられており、決定ボタンが押下されると、選択された国を示す国選択情報が絞込用情報として情報処理装置1に送信される。
【0046】
なお、絞込用情報は、選択された国を示す国選択情報に限らず、ユーザが属する国を特定するための情報であってもよい。この場合、申込開始画面には、「搭乗券の二次元コードを読み取ってください。」等のメッセージが表示されているとともに、撮像部23を起動するための起動ボタンが設けられていてもよい。申込要求部261は、申込開始画面において起動ボタンが押下されたことに応じて撮像部23を起動し、撮像部23が撮像した二次元コードから抽出した情報を、ユーザが属する国を特定するための絞込用情報として取得してもよい。
【0047】
情報処理装置1のリスト生成部134は、ユーザ端末2から国選択情報を受信すると(S3)、複数の機関の中から、国選択情報に基づいて機関を選択し、選択した機関を含むリストである機関リストを生成する(S4)。
【0048】
具体的には、リスト生成部134は、受信した国選択情報に基づいてユーザ端末2のユーザが属する国を特定する。なお、リスト生成部134は、撮像部23が撮像した二次元コードから抽出した情報を絞込用情報として受信した場合、絞込用情報を解析することにより、ユーザが属する国を特定してもよい。例えば、航空機の搭乗券の二次元コードから抽出した情報に基づいて、ユーザの渡航元の国を特定してもよい。リスト生成部134は、記憶部12に記憶されている国別機関情報において、特定した国に関連付けられている機関を選択し、選択した機関を含む機関リストを生成する。
【0049】
リスト生成部134は、生成した機関リストを含むリスト画面を生成する。
図10は、リスト画面の一例を示す図である。
図10には、機関リストに含まれる複数の機関の中からプルダウン形式で一の機関の選択を受け付けるリストが表示されていることが確認できる。また、
図10には、「銀行IDでログイン」と表示された決定ボタンが設けられており、決定ボタンが押下されると、選択された機関を示す選択情報が情報処理装置1に送信される。
【0050】
情報処理装置1のリスト送信部135は、生成された機関リストを含むリスト画面をユーザ端末2に送信する(S5)。ユーザ端末2のリスト取得部262は、機関リストを示すリスト画面を取得する。
【0051】
ユーザ端末2の選択受付部263は、リスト取得部262が取得したリスト画面を表示部24に表示させ、当該リスト画面が示す機関リストに含まれる機関の中から一の機関の選択を受け付ける。選択受付部263は、リスト画面において一の機関が選択されたことに応じて、選択された一の機関(所定の機関)を示す機関選択情報を含み、選択された一の機関から個人情報を取得する要求である取得要求を情報処理装置1に送信する(S6)。
【0052】
情報処理装置1の要求受付部136は、ユーザが所定の申込を行うために選択された一の機関から個人情報を取得する要求である取得要求を、ユーザ端末2から取得する。
情報処理装置1の信頼度特定部137は、所定の申込に対して要求される保有情報信頼度である要求信頼度を特定する(S7)。例えば、信頼度特定部137は、所定の申込の種別を特定し、特定した種別に基づいて、要求信頼度を特定する。
【0053】
具体的には、信頼度特定部137は、申込開始画面の表示要求に含まれる申込IDを取得することにより、所定の申込の種別を特定する。信頼度特定部137は、記憶部12に記憶されている申込要件情報を参照し、取得した申込IDに関連付けられている、要求される保有情報信頼度を、要求信頼度として特定する。
【0054】
提供制御部138は、記憶部12に記憶されている機関保有情報の信頼度情報において、選択された一の機関の機関コードに関連付けられている保有情報信頼度が、信頼度特定部137により特定された要求信頼度以上であることを条件として、当該一の機関のサーバである機関サーバ3が所定の申込に対して個人情報を提供可能となるように機関サーバ3を制御する。
【0055】
例えば、まず、提供制御部138は、記憶部12に記憶されている機関保有情報の信頼度情報を参照し、選択された一の機関の機関コードに関連付けられている保有情報信頼度を特定する。続いて、提供制御部138は、選択された一の機関に対して特定した保有情報信頼度が、信頼度特定部137により特定された要求信頼度以上である場合(S8のYES)、機関サーバ3が所定の申込に対してユーザの個人情報を提供することの許諾を機関サーバ3が受け付けるための許諾画面をユーザ端末2に表示させる。
【0056】
ここで、提供制御部138は、所定の申込を行うために必要な個人情報の種別を特定し、選択された一の機関が、特定した全ての種別それぞれに対応する個人情報を保有していることを条件として、機関サーバ3が所定の申込に対してユーザの個人情報を提供可能してもよい。
【0057】
例えば、提供制御部138は、記憶部12に記憶されている申込要件情報を参照し、申込開始画面の表示要求に含まれている申込IDに関連付けられている個人情報の種別を特定することにより、所定の申込を行うために必要な個人情報の種別を特定する。また、提供制御部138は、国別機関情報を参照し、選択された一の機関が保有している個人情報の種別を特定する。そして、提供制御部138は、選択された一の機関が、特定した全ての種別それぞれに対応する個人情報を保有していることを条件として、機関サーバ3から所定の申込に対する個人情報の提供を可能とする。このようにすることで、情報処理装置1は、所定の申込を行うために必要な個人情報が不足することを抑制することができる。
【0058】
提供制御部138は、例えば、IDA(OpenID Connect for Identity Assurance)において規定された処理の流れに従って、許諾画面をユーザ端末2に表示させ、機関サーバ3が所定の申込に対して個人情報を提供可能となるように機関サーバ3を制御する。
【0059】
例えば、提供制御部138は、機関サーバ3が所定の申込に対して個人情報を提供することの許諾を機関サーバ3が受け付ける許諾画面をユーザ端末2に表示させるために、許諾画面の表示を指示する表示指示情報をユーザ端末2に送信する(S9)。表示指示情報には、選択された一の機関に対応する機関サーバ3を宛先とし、ユーザの認証を行うためのログイン画面のURLが含まれている。
【0060】
ユーザ端末2の許諾受付部264は、表示指示情報を受信すると、表示指示情報に含まれているログイン画面のURLに基づいて機関サーバ3に対し、ログイン画面の取得要求を送信する(S10)。機関サーバ3は、ログイン画面の取得要求を受信すると、ユーザ端末2にログイン画面を送信する(S11)。許諾受付部264は、ログイン画面を表示部24に表示させ、ユーザからログイン情報の入力を受け付けたことに応じて、ログイン情報を機関サーバ3に送信する(S12)。
【0061】
機関サーバ3は、ログイン情報に基づいてユーザの認証を行う。機関サーバ3は、ユーザの認証に成功したと判定すると、所定の申込に対して機関サーバ3が個人情報を提供することの許諾を受け付ける許諾画面をユーザ端末2に送信する(S13)。ユーザ端末2の許諾受付部264は、許諾画面を表示部24に表示させ、ユーザから、所定の申込に対して機関サーバ3が個人情報を提供することの許諾を受け付ける。
【0062】
図11は、許諾画面の一例を示す図である。
図11に示す例では、A銀行から、所定の申込に対応するサービスXに対して個人情報を提供することの許諾を受け付けていることが確認できる。許諾受付部264は、ユーザから許諾を受け付けると、許諾されたことを示す許諾情報を機関サーバ3に送信する(S14)。
【0063】
図8に説明を移す。機関サーバ3は、許諾情報を受信すると、所定の申込を受け付ける情報処理装置1が、個人情報の提供先であることを特定するための認可コードをユーザ端末2に送信する(S15)。ユーザ端末2の許諾受付部264は、機関サーバ3から認可コードを受信する。
【0064】
ユーザ端末2の個人情報取得部265は、許諾受付部264が許諾を受け付けたことに応じて、一の機関の機関サーバ3から個人情報を取得、又は情報処理装置1に機関サーバ3から個人情報を取得させる。また、情報処理装置1の申込受付部139は、機関サーバ3がユーザ端末2から、個人情報を提供することの許諾を受け付けた後、機関サーバ3が保有している個人情報を取得し、所定の申込を受け付ける。
【0065】
具体的には、ユーザ端末2の個人情報取得部265は、機関サーバ3から受信した認可コードを情報処理装置1に送信する(S16)。情報処理装置1の申込受付部139は、ユーザ端末2から認可コードを受信する。
【0066】
申込受付部139は、ユーザ端末2から受信した認可コードを機関サーバ3に送信する(S17)。機関サーバ3は、情報処理装置1から受信した認可コードと、ユーザ端末2に送信した認可コードとが一致するか否かを判定する。機関サーバ3は、認可コードが一致すると判定すると、情報処理装置1が個人情報の提供先であると特定し、IDトークンを発行して情報処理装置1に送信する(S18)。IDトークンは、個人情報を提供するユーザ、すなわちユーザ端末2のユーザを識別するユーザIDと関連付けられているものとする。情報処理装置1の申込受付部139は、IDトークンを受信すると、IDトークンを含む個人情報の取得要求を機関サーバ3に送信する(S19)。
【0067】
機関サーバ3は、個人情報の取得要求を受信すると、受信した取得要求に含まれるIDトークンに関連付けられているユーザの個人情報を情報処理装置1に送信する(S20)。情報処理装置1の申込受付部139は、機関サーバ3からユーザの個人情報を受信すると、個人情報の入力を受け付ける入力画面に、受信した個人情報のうち所定の申込に必要となる個人情報を入力する。そして、申込受付部139は、個人情報が入力された入力画面をユーザ端末2に送信し(S21)、所定の申込を受け付ける。ユーザ端末2の申請部266は、入力画面を表示部24に表示させ、ユーザから所定の申込の申請を受け付ける。入力画面にはユーザが入力することなく、機関サーバ3から取得した個人情報が表示されるので、ユーザの負担を軽減することができる。
【0068】
申請部266は、ユーザから所定の申込の申請を受け付けると、申請情報を情報処理装置1に送信する(S22)。申請情報には、入力画面に入力された個人情報が含まれる。申込受付部139は、ユーザ端末2から申請情報を受信することにより、所定の申込を受け付ける。
【0069】
なお、
図7、
図8に示すシーケンスでは、機関保有情報の信頼度情報を参照して特定した一の機関に関連付けられている保有情報信頼度が、信頼度特定部137により特定された要求信頼度以上であるときの処理の流れを説明したが、特定した一の機関に関連付けられている保有情報信頼度が、信頼度特定部137により特定された要求信頼度未満であることもある。
【0070】
これに対応して、リスト生成部134は、特定した一の機関に対応する保有情報信頼度が、信頼度特定部137により特定された要求信頼度未満である場合(S8のNO)、機関保有情報の信頼度情報を参照し、ユーザが属する国と、信頼度特定部137により特定された要求信頼度以上の保有情報信頼度とに関連付けられている機関コードを特定する。そして、リスト生成部134は、特定した機関コードが示す機関のリストを含むリスト画面を再生成する。リスト送信部135は、生成されたリスト画面をユーザ端末2に再送信する。
【0071】
提供制御部138は、特定した一の機関に対応する保有情報信頼度が、信頼度特定部137により特定された要求信頼度未満である場合、ユーザ端末2においてリスト送信部135が再送信したリストに含まれる複数の機関の中から一の機関が選択されると、当該一の機関のサーバである機関サーバ3が所定の申込に対して個人情報を提供することを可能となるように機関サーバ3を制御する。このようにすることで、ユーザが初めに機関リストから選択した一の機関に対応する保有情報信頼度が、所定の申込に必要とされる要求信頼度未満であった場合であっても、ユーザに、他の機関を選択させ、要求信頼度を満たした個人情報を入力画面に表示させることができる。
【0072】
[変形例1]
上述の実施の形態において、リスト生成部134は、ユーザ端末2から受信した国選択情報が示す国に関連付けられている機関コードに対応する機関を示す機関リストを生成したが、これに限らない。リスト生成部134は、ユーザ端末2から一以上の機関の種別を受け付け、受け付けた機関の種別に対応する機関を含み、受け付けていない機関の種別に対応する機関を含まない機関リストを生成してもよい。このようにすることで、ユーザは、自身が希望する機関の種別に対応する機関を、個人情報の取得元の機関として選択することができる。
【0073】
[変形例2]
また、上述の実施の形態において、申込要求部261は、二次元コードを読み込み、当該二次元コードが示す情報を絞込用情報として取得したが、これに限らない。申込要求部261は、搭乗券に表示されたバーコード、又は搭乗ゲートにおいてユーザが搭乗券を提示することにより搭乗ゲートの表示部等に表示される渡航情報の画像等を読み込み、当該バーコード又は画像が示す情報を絞込用情報として取得してもよい。
【0074】
また、申込要求部261は、ユーザ端末2に割り当てられている電話番号を絞込用情報として取得してもよい。この場合、申込開始画面には、絞込用情報としての電話番号をユーザ端末2に取得させるために、「空のメッセージを#1234に送ってください。」等のメッセージが表示されている。申込要求部261は、ユーザからショートメッセージの送信操作を受け付けると、ユーザ端末2に割り当てられており、記憶部25に記憶されている電話番号を取得し、当該電話番号を用いてショートメッセージを情報処理装置1又は情報処理装置1と連携する連携装置に送信する。
【0075】
情報処理装置1のリスト生成部134は、ユーザ端末2又は連携装置から、ユーザ端末2が送信したショートメッセージを受信することにより、当該ショートメッセージの送信元である、ユーザ端末2に割り当てられている電話番号を絞込用情報として取得する。そして、リスト生成部134は、絞込用情報としての電話番号に基づいて、ユーザが属する国を特定する。このようにすることで、情報処理装置1は、ショートメッセージを送信するという簡単な操作をユーザに行わせることによりユーザが属する国を特定することができる。
【0076】
[第1の実施の形態に係る情報処理装置1による効果]
以上説明したように、第1の実施の形態に係る情報処理装置1は、ユーザが所定の申込を行うために所定の機関からユーザの個人情報を取得する要求である取得要求を、ユーザ端末2から取得すると、所定の申込に対して要求される保有情報信頼度である要求信頼度を特定する。そして、情報処理装置1は、所定の機関の機関コードに関連付けられている保有情報信頼度が、特定した要求信頼度以上であることを条件として、所定の機関のサーバである機関サーバ3が所定の申込に対してユーザの個人情報を提供することを可能となるように機関サーバ3を制御する。このようにすることで、情報処理装置1は、サービス提供者が求める精度を満たす個人情報をサービスの提供者に提供することができる。
【0077】
[第2の実施の形態]
続いて、第2の実施の形態について説明する。第2の実施形態に係る情報処理システムSは、情報処理装置1が、所定の申込を行うために個人情報を取得する要求である取得要求を受け付けると、当該所定の申込に必要な保有情報信頼度である要求信頼度以上の保有情報信頼度の個人情報を保有する機関のリストを作成する点で第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態に係る情報処理システムSについて説明する。なお、第1実施形態と同じ部分については適宜説明を省略する。
【0078】
図12は、第2の実施形態に係る情報処理システムSにおける処理の流れを示すシーケンス図である。まず、ユーザ端末2の申込要求部261は、ユーザから所定の申込に係る申込を開始するための申込開始画面の表示操作を受け付けると、申込開始画面の表示要求を情報処理装置1に送信する(S101)。
【0079】
情報処理装置1の開始受付部133は、申込開始画面の表示要求を受信したことに応じて、申込開始画面をユーザ端末2に送信する(S102)。申込要求部261は、受信した申込開始画面を表示部24に表示させる。申込開始画面は、
図9に示す画面と同じである。ユーザ端末2の申込要求部261は、国が選択され、決定ボタンが押下されると、国選択情報を、ユーザが所定の申込を行うために個人情報を取得する要求である取得要求として、情報処理装置1に送信する(S103)。
【0080】
情報処理装置1の要求受付部136は、ユーザ端末2から取得要求を受信する。
信頼度特定部137は、所定の申込に対して要求される保有情報である要求信頼度を特定する(S104)。
リスト生成部134は、信頼度特定部137が要求信頼度を特定すると、記憶部12に記憶されている機関保有情報の信頼度情報を参照し、特定された要求信頼度以上の保有情報信頼度に関連付けられている機関コードを特定する。そして、リスト生成部134は、国別機関情報を参照し、特定した機関コードの中から、受信した国選択情報が示す国に関連付けられている機関コードをさらに特定し、特定した機関コードが示す機関のリストである機関リストを生成する(S105)。
【0081】
ここで、リスト生成部134は、所定の申込を行うために必要な個人情報の種別を特定し、特定した全ての種別それぞれに対応する個人情報を保有している機関であって、信頼度特定部137が特定した要求信頼度以上の保有情報信頼度に対応する機関を示す機関リストを生成してもよい。
【0082】
この場合、リスト生成部134は、記憶部12に記憶されている申込要件情報を参照し、所定の申込を行うために必要な個人情報の種別を示す情報を特定する。また、リスト生成部134は、国別機関情報を参照し、信頼度特定部137が特定した要求信頼度以上の保有情報信頼度に対応する機関の中から、所定の申込を行うために必要な全ての個人情報の種別を保有している複数の機関を選択する。そして、リスト生成部134は、選択した機関のみを含む機関リストを生成する。このようにすることで、情報処理装置1は、所定の申込を行うための個人情報が不足している機関が選択されることを防止することができる。
リスト送信部135は、生成された機関リストを含むリスト画面をユーザ端末2に送信する(S106)。
【0083】
ユーザ端末2の選択受付部263は、リスト取得部262が取得したリスト画面を表示部24に表示させ、当該リスト画面が示すリストに含まれる機関の中から一の機関の選択を受け付ける。選択受付部263は、リスト画面において一の機関が選択されたことに応じて、選択された一の機関を示す機関選択情報を情報処理装置1に送信する(S107)。
【0084】
情報処理装置1の提供制御部138は、ユーザ端末2においてリスト画面に示される機関リストに含まれる複数の機関の中から一の機関が選択されると、一の機関のサーバである機関サーバ3が所定の申込に対して個人情報を提供することを可能となるように機関サーバ3を制御する。第2の実施の形態に係る情報処理システムSにおけるS108以降の処理の流れは、
図7、
図8に示すS9以降の処理の流れと同じであるため、説明を省略する。
【0085】
[第2の実施の形態に係る情報処理装置1による効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る情報処理装置1は、ユーザが所定の申込を行うために所定の機関が保有する個人情報からユーザの個人情報を取得する要求である取得要求を、ユーザ端末2から取得すると、所定の申込に対して要求される機関が保有する個人情報の信頼度である保有情報信頼度を特定し、機関保有情報の信頼度情報において、特定された保有情報信頼度以上の保有情報信頼度に関連付けられている機関コードが示す機関の機関リストを生成し、ユーザ端末2に送信する。そして、情報処理装置1は、機関リストに含まれる複数の機関の中から一の機関が選択されると、当該一の機関のサーバである機関サーバ3が所定の申込に対してユーザの個人情報を提供することを可能となるように機関サーバ3を制御する。このようにすることで、情報処理装置1は、第1の実施の形態と同様に、サービス提供者が求める精度を満たす個人情報をサービスの提供者に提供することができる。
【0086】
また、1の機関の持っている個人情報に対しては、一つの信頼度を持たせてもよいが、保有する複数の個人情報毎に、それぞれ信頼度を持たせる(例えば、機関Aについて、個人情報1と個人情報2とを保有していたとした場合に、個人情報1と個人情報2とで別の点数をつける)ことにしてもよい。
【0087】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0088】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0089】
1 情報処理装置
2 ユーザ端末
3 機関サーバ
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 登録部
132 更新部
133 開始受付部
134 リスト送信部
135 リスト送信部
136 要求受付部
137 信頼度特定部
138 提供制御部
139 申込受付部
21 操作部
22 通信部
23 撮像部
24 表示部
25 記憶部
26 制御部
261 申込要求部
262 リスト取得部
263 選択受付部
264 許諾受付部
265 個人情報取得部
266 申請部
【要約】 (修正有)
【課題】サービス提供者が求める精度を満たす個人情報をサービスの提供者に提供する情報処理装置及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】情報処理装置1は、個人情報を保有する複数の機関それぞれを識別するための機関コードと、当該機関が保有する個人情報の信頼度である保有情報信頼度とを関連付けた、機関保有情報の信頼度情報を記憶する記憶部12と、ユーザが所定の申込を行うために所定の機関からユーザの個人情報を取得する要求である取得要求をユーザ端末から取得する要求受付部136と、機関保有情報の信頼度情報において所定の機関の機関コードに関連付けられている保有情報信頼度が、所定の申込に対して要求される保有情報信頼度である要求信頼度以上であることを条件として、所定の機関のサーバである機関サーバが所定の申込に対してユーザの個人情報を提供することを可能となるように機関サーバを制御する提供制御部138と、を有する。
【選択図】
図2