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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】生産管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20230322BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20230322BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018043087
(22)【出願日】2018-03-09
(65)【公開番号】P2019159561
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】都築 俊行
(72)【発明者】
【氏名】押海 龍生
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-296592(JP,A)
【文献】特開2008-71023(JP,A)
【文献】特開平4-307608(JP,A)
【文献】特開2004-334509(JP,A)
【文献】特開平5-53639(JP,A)
【文献】特開2004-265034(JP,A)
【文献】特開2017-199150(JP,A)
【文献】特開平7-132446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物が取り付けられ、前記工作物の情報が記録された識別コードを有する取付部材と、
複数の工具、第一作業者により搬入された前記工作物に対して前記複数の工具を用いた加工を行う設備本体、前記設備本体に前記工作物及び前記取付部材が前記第一作業者により搬入された際に前記識別コードを認識する検出器、前記第一作業者の起動操作に起因して処理データに基づく加工を開始するための起動開始手段をそれぞれ備える複数の生産設備と、
前記複数の生産設備に対する前記第一作業者による作業を指示対象とする作業指示装置であり、生産計画及び前記複数の生産設備の稼働状態に基づいて、前記複数の生産設備に対する前記工作物の搬入出作業を前記第一作業者に指示すると共に前記第一作業者による作業の状態を取得する第一作業指示装置と、
前記複数の生産設備のそれぞれにおいて前記検出器が前記識別コードを認識したことに起因して、当該識別コードを認識した前記生産設備に対して、当該設備本体による加工を行うための処理データを送信すると共に、前記処理データ、前記複数の生産設備のそれぞれから取得した前記生産設備の稼働状態情報として前記生産設備の正常/異常に関する情報前記第一作業指示装置から取得した前記工作物の搬入を行った前記第一作業者の情報、及び、前記第一作業指示装置から取得した前記第一作業者による作業の状態情報を関連付けて記憶する管理装置と、
前記管理装置に関連付けて記憶される情報としての前記処理データ、前記複数の生産設備のそれぞれの前記稼働状態情報としての前記生産設備の正常/異常に関する情報前記工作物の搬入を行った前記第一作業者の情報、及び、前記第一作業者の作業状況を表示する管理用表示装置と、
を備え、
前記複数の生産設備のそれぞれは、前記第一作業者により前記工作物及び前記取付部材が搬入され、前記管理装置から前記処理データが送信され、且つ、前記第一作業者による起動操作が行われた場合に、前記処理データに基づく加工を開始する、生産管理システム。
【請求項2】
前記検出器は、前記第一作業者により前記設備本体に前記工作物及び前記取付部材が搬入された際に前記第一作業者の検出操作により前記識別コードを認識し、
前記管理装置は、前記第一作業者による検出操作によって前記検出器が前記識別コードを認識したことに起因して、前記生産設備に対して前記処理データを送信する、請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記検出器は、前記第一作業者により前記設備本体に前記工作物及び前記取付部材が搬入された際に自動的に前記識別コードを認識し、
前記管理装置は、前記検出器が前記識別コードを自動的に認識したことに起因して、前記生産設備に対して前記処理データを送信する、請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項4】
前記管理装置は、
前記生産設備に対して、前記処理データの一つとして、前記工作物が搬入された前記設備本体を制御するためのNCプログラムを送信すると共に、
前記処理データの一つとしての前記NCプログラム、前記複数の生産設備のそれぞれから取得した前記生産設備の前記稼働状態情報、及び、前記第一作業指示装置から取得した前記第一作業者による作業の状態情報を関連付けて記憶する、請求項1-3の何れか一項に記載の生産管理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、
前記工作物がパレットに取り付けられた状態において、前記パレットの基準位置に対する前記工作物の取付位置の補正量を取得し、
前記生産設備に対して、前記処理データの一つとして、前記第一作業者により搬入された前記工作物に対応する前記補正量を送信すると共に、
前記処理データの一つとしての前記補正量、前記複数の生産設備のそれぞれから取得した前記生産設備の前記稼働状態情報、及び、前記第一作業指示装置から取得した前記第一作業者による作業の状態情報を関連付けて記憶する、請求項1-の何れか一項に記載の生産管理システム。
【請求項6】
前記生産管理システムは、さらに、前記生産計画に基づいて、前記パレットに前記工作物を取り付ける作業、及び、前記補正量を取得する作業を第二作業者に指示する第二作業指示装置を備え、
前記管理装置は、
前記第二作業指示装置の指示に基づく前記第二作業者の作業によって前記補正量を取得し、
前記処理データの一つとして、前記第一作業者により搬入された前記工作物に対応する前記補正量を前記生産設備に送信すると共に、
前記処理データの一つとしての前記補正量、前記複数の生産設備のそれぞれから取得した前記生産設備の前記稼働状態情報、及び、前記第一作業指示装置から取得した前記第一作業者による作業の状態情報を関連付けて記憶する、請求項に記載の生産管理システム。
【請求項7】
前記第一作業指示装置は、前記搬入出作業に加えて、前記搬入出作業の対象である前記生産設備に取り付けられている前記工具の交換作業を前記第一作業者に指示し、
前記管理装置は、
前記複数の工具の寿命を管理し、
前記第一作業者による前記搬入出作業の対象である前記生産設備に取り付けられている前記複数の工具の中に寿命による交換対象工具が存在する場合に、前記第一作業指示装置に対して前記交換対象工具の交換作業を指示させる、請求項1-の何れか一項に記載の生産管理システム。
【請求項8】
前記管理装置は、
前記複数の工具の寿命を管理し、
前記生産計画に基づいて次の前記工作物の処理に用いる前記複数の工具を判定し、
前記第一作業者による前記搬入出作業の対象である前記生産設備に取り付けられている前記複数の工具の中において、前記次の前記工作物の処理中に寿命に到達すると予測される工具が存在する場合に、当該工具を前記寿命による交換対象工具として、前記第一作業指示装置に対して当該交換対象工具の交換作業を指示させる、請求項に記載の生産管理システム。
【請求項9】
前記生産管理システムは、さらに、前記複数の生産設備のそれぞれに、前記生産設備における駆動装置の駆動情報、及び、前記生産設備に設けられた前記生産設備の状態を検出する状態検出器による検出情報の少なくとも一方の情報を、前記生産設備の前記稼働状態情報として取得する設備状態情報取得部を備え、
前記管理装置は、前記処理データに関連付けて、前記設備状態情報取得部が取得した前記稼働状態情報を記憶する、請求項1-の何れか一項に記載の生産管理システム。
【請求項10】
前記管理用表示装置は、前記処理データ、前記稼働状態情報、及び、前記第一作業者の作業状況に加えて、前記生産計画、及び、生産実績を表示する、請求項1-の何れか一項に記載の生産管理システム。
【請求項11】
前記管理装置は、前記管理装置に関連付けて記憶された情報の少なくとも一部に基づいて決定された複数の前記第一作業者のそれぞれの作業能力を記憶しており、
前記第一作業指示装置は、前記生産計画及び前記第一作業者の前記作業能力に基づいて、前記複数の生産設備に対する前記工作物の前記搬入出作業を前記第一作業者に指示する、請求項1-10の何れか一項に記載の生産管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の生産設備(例えば、工作機械、産業ロボット等)は、複数の工作物を処理するための生産計画に従って実行される。生産設備には、作業者が全く関与しない完全自動化設備や、作業者が関与する非完全自動化設備が存在する。作業者が関与する作業には、生産設備に対する生産準備作業、例えば、生産設備に対する工作物の搬入出、生産設備が備える工具の交換等を含む。
【0003】
ここで、特許文献1には、非完全自動化設備において、作業者の作業能力を予め記憶しておき、作業能力に応じて作業者に対する次の作業指示を行うことが記載されている。特許文献2には、各作業者が担当する作業に要した時間がグラフに示され、管理者が生産ラインにおけるバランスを確認することが記載されている。特許文献3には、複数の生産設備を制御するためのNCデータのバージョンを管理することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-199150号公報
【文献】特開2017-207889号公報
【文献】特許第4299005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業者が生産準備作業を行う場合、作業者の判断により行われることがある。そのため、効率良く作業が行われるとは限らない。
本発明は、作業効率を高めると共に生産計画に従ってより効率的に生産を行うことができる生産管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
工作物が取り付けられ、前記工作物の情報が記録された識別コードを有する取付部材と、
複数の工具、第一作業者により搬入された前記工作物に対して前記複数の工具を用いた加工を行う設備本体、前記設備本体に前記工作物及び前記取付部材が前記第一作業者により搬入された際に前記識別コードを認識する検出器、前記第一作業者の起動操作に起因して処理データに基づく加工を開始するための起動開始手段をそれぞれ備える複数の生産設備と、
前記複数の生産設備に対する前記第一作業者による作業を指示対象とする作業指示装置であり、生産計画及び前記複数の生産設備の稼働状態に基づいて、前記複数の生産設備に対する前記工作物の搬入出作業を前記第一作業者に指示すると共に前記第一作業者による作業の状態を取得する第一作業指示装置と、
前記複数の生産設備のそれぞれにおいて前記検出器が前記識別コードを認識したことに起因して、当該識別コードを認識した前記生産設備に対して、当該設備本体による加工を行うための処理データを送信すると共に、前記処理データ、前記複数の生産設備のそれぞれから取得した前記生産設備の稼働状態情報として前記生産設備の正常/異常に関する情報前記第一作業指示装置から取得した前記工作物の搬入を行った前記第一作業者の情報、及び、前記第一作業指示装置から取得した前記第一作業者による作業の状態情報を関連付けて記憶する管理装置と、
前記管理装置に関連付けて記憶される情報としての前記処理データ、前記複数の生産設備のそれぞれの前記稼働状態情報としての前記生産設備の正常/異常に関する情報、前記工作物の搬入を行った前記第一作業者の情報、及び、前記第一作業者の作業状況を表示する管理用表示装置と、
を備え、
前記複数の生産設備のそれぞれは、前記第一作業者により前記工作物及び前記取付部材が搬入され、前記管理装置から前記処理データが送信され、且つ、前記第一作業者による起動操作が行われた場合に、前記処理データに基づく加工を開始する、生産管理システムにある。
【0007】
第一作業指示装置が、生産計画に基づいて第一作業者に作業指示を行うと共に、第一作業者の作業の状態を取得する。そして、管理装置が、第一作業者によって工作物が搬入された生産設備に対して、生産設備を稼働させるための処理データを送信している。従って、処理データの送信処理は、第一作業者の作業に対応して、管理装置によって自動的に行われる。その結果、作業効率を高めることができる。また、管理装置は、処理データ、生産設備の稼働状態情報、及び、第一作業者による作業の状態情報を関連付けて記憶する。これらの関連付けられた情報を用いることにより、生産計画に従った生産を行うことが可能となると共に、生産異常の発生の抑制につなげることが可能となる。結果として、生産効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】生産管理システム1の構成を示す配置図である。
図2】搬送台車12,13とその搬送物を示す拡大図である。
図3】工作物段取エリア2bの作業台22におけるパレットP及び工作物Wを示す図である。
図4】工具Tを示す図である。
図5】生産設備MCの機械構成図である。
図6】生産設備MCの機能ブロック構成図である。
図7】第一作業者A1,A2に第一作業指示を行うための入出力装置11の画面である。
図8】第二作業者Bに第二作業指示を行うための入出力装置21の画面である。
図9】管理エリア3における管理用表示装置43の画面である。
図10】生産管理システム1を示す機能ブロック構成図である。
図11A】生産管理システム1の処理動作を示すフロー図である。
図11B】生産管理システム1の処理動作を示すフロー図である。
図11C】生産管理システム1の処理動作を示すフロー図である。
図11D】生産管理システム1の処理動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1.生産管理システム1の構成)
生産管理システム1の構成について、図1図3を参照して説明する。生産管理システム1は、生産計画に基づいて、複数の生産設備MCを用いて、複数の工作物Wの生産を行うためのシステムである。複数の生産設備MCのそれぞれは、搬入された工作物Wに対して複数の工具Tを用いた処理を行う。複数の生産設備MCは、例えば、切削加工、研削加工、鍛造加工、放電加工等を行う工作機械、及び、部品の組立等を行う組立機械等、工作物Wの生産を行うことができる装置である。ここでいう工具Tは、切削加工機における切削工具、組立機械における組立工具等である。
【0010】
生産設備MCは、第一作業者A1,A2によって起動ボタンが操作されることにより、複数の工具Tを用いた処理を開始することができる装置である。本実施形態においては、生産設備MCは、工作物Wに対して切削加工又は研削加工を行うNC工作機械を例にあげる。
【0011】
図1に示すように、生産管理システム1の構成装置の配置エリアは、生産エリア2と、管理エリア3とに分けられる。生産エリア2は、複数の生産設備MC(MC1,MC2,MC3,MC4,MC5)が配置されるエリアであって、工作物Wに対する直接の生産処理、例えば、加工等を行うエリアである。管理エリア3は、管理者Cによって、生産エリア2内の各機器を管理するコントロールエリアである。
【0012】
生産エリア2は、設備エリア2a、工作物段取エリア2b、及び、工具段取エリア2cに分けられ、相互に隣接している。設備エリア2aには、複数の生産設備MCが、配列されている。図1においては、生産設備MCの数は、5台を例にあげるが、任意の数とすることができる。複数の生産設備MCは、例えば、U字状、一本の直線状、平行に対向する二本の直線状等に配列されている。図1においては、複数の生産設備MCは、U字状に配列されている場合を例にあげる。
【0013】
また、複数の生産設備MCは、それぞれ独立して生産工程を処理する装置を例にあげる。複数の生産設備MCは、同種のマシニングセンタのように、それぞれ同種の生産工程を処理する装置としてもよいし、マシニングセンタと旋盤等のように、それぞれ異種の生産工程を処理する装置としてもよい。
【0014】
設備エリア2aには、複数の第一作業者A1,A2が所在しており、第一作業指示を行う入出力装置11に指示された指示内容に従って、第一作業を実行する。入出力装置11は、U字状に配列された複数の生産設備MCのU字状開口側に配置される。入出力装置11の位置が、第一作業者A1,A2による第一作業のホームポジション(作業基準位置)としている。
【0015】
第一作業者A1,A2は、搬送台車12,13を用いて、第一作業を行う。ここで、搬送台車12,13は、図2に示すように、第一作業者A1,A2によって手動搬送可能な台車である。搬送台車12,13には、工作物Wが取り付けられたパレットPが載置可能である。さらに、搬送台車12,13には、交換するための工具Tが載置可能である。ここで、搬送台車12,13は、本実施形態の作業手順によれば、1台の生産設備MCに対する作業に関するパレットP及び工具Tのみを載置可能としている。ただし、搬送台車12,13は、複数台の生産設備MCに対する作業に関するパレットP及び工具Tを載置するようにしてもよい。
【0016】
つまり、図1において、第一作業者A1,A2は、工作物段取エリア2bにおいて準備された工作物Wを、搬送台車12,13を用いて、生産設備MCへ搬送する。また、第一作業者A1,A2は、生産設備MCにより生産処理が完了した工作物Wを、搬送台車12,13を用いて、生産設備MCから工作物段取エリア2bへ搬送する。さらに、第一作業者A1,A2は、複数の生産設備MCの起動操作も行う。つまり、第一作業者A1,A2が、工作物Wを生産設備MCに搬入し、起動操作を行うことにより、当該生産設備MCが工作物Wに対する生産処理を実行する。
【0017】
また、第一作業者A1,A2は、必要に応じて、工具段取エリア2cに保管されている工具Tを、搬送台車12,13を用いて、生産設備MCに搬送する。また、第一作業者A1,A2は、必要に応じて、生産設備MCに取り付けられている工具Tを、搬送台車12,13を用いて、工具段取エリア2cに搬送する。このように、生産設備MCは、作業者が全く関与しない完全自動化設備ではなく、作業者が関与する非完全自動化設備である。
【0018】
なお、複数の生産設備MCの一部は、例えば、生産ラインを構成する装置とすることもできる。例えば、生産設備MC1と生産設備MC2が、生産工程の第一工程と第二工程とを担当し、生産設備MC1から生産設備MC2へ工作物Wが自動搬送される構成とすることもできる。ただし、この場合においても、第一作業者A1,A2が、工作物Wの搬入出を行うことにより、当該生産設備MC1,MC2が生産処理を開始する。
【0019】
工作物段取エリア2bは、図1に示すように、設備エリア2aに隣接しており、例えば、U字状に配列された複数の生産設備MCのU字状開口側に配置される。従って、本実施形態においては、工作物段取エリア2bは、第一作業指示を行う入出力装置11の近傍に位置する。
【0020】
工作物段取エリア2bには、1又は複数の第二作業者Bが所在しており、第二作業指示を行う入出力装置21に指示された指示内容に従って、第二作業を実行する。第二作業者Bは、第二作業として、工作物段取エリア2bの作業台22において、図3に示すように、未加工の工作物WをパレットPに取り付ける。このとき、第二作業者Bは、第二作業として、カメラやタッチセンサ等の測定器23を用いて、工作物WがパレットPに取り付けられた状態において、パレットPの基準位置Paに対する工作物Wの取付位置の補正量を測定する。
【0021】
さらに、第二作業者Bは、第二作業として、図1に示す情報書込機器24を用いて、工作物Wを取り付けられたパレットPに付されたIDタグTag(図1及び図3に示す)に、工作物Wの種類、測定器23により測定された工作物Wの取付位置の補正量等を書き込む。このIDタグTagは、識別コードであって、例えば、RFタグ、二次元コード、バーコード等である。
【0022】
そして、第二作業者Bは、第二作業として、図1に示すように、上記作業を完了したパレットPを作業台22からストッカ棚25に移動する。また、工作物段取エリア2bは、第一作業者A1,A2が生産設備MCから搬出してきた工作物Wを受け取るエリアでもある。
【0023】
工具段取エリア2cでは、第一作業者A1,A2が工具Tの段取作業を行うエリアである。ただし、工具Tの段取作業は、第一作業者A1,A2ではなく、第二作業者B又は他の作業者が行うこともできる。工具段取エリア2cには、工具セット装置31、共通工具保管庫32、及び、常設工具一時保管庫33が配置されている。
【0024】
ここで、工具Tは、図4に示すように、工具ホルダTaと、工具ホルダTaに固定される刃具Tbとを備える。工具ホルダTaは、共用され、刃具Tbのみを交換することが可能となる。例えば、刃具Tbが寿命に到達した場合には、工具ホルダTaから寿命に到達した刃具Tbを取り外して、新しい刃具Tbを工具ホルダTaに取り付ける。
【0025】
工具セット装置31は、上記のように、刃具Tbを工具ホルダTaから取り外す処理、及び、刃具Tbを工具ホルダTaに取り付ける処理を行う装置である。さらに、工具セット装置31は、工具ホルダTaからの刃具Tbの突き出し長さを測定する。そして、工具セット装置31は、刃具Tbの種類(例えば、エンドミル、タップ、フライス、旋削工具等)、刃具Tbの外径、及び、測定された刃具Tbの突き出し長さ等である工具Tの固有情報を登録することができる。
【0026】
共通工具保管庫32には、図1に示すように、複数の工具Tの一部である複数の共通工具Tcが保管されている。共通工具Tcは、複数の生産設備MCで共通される工具Tである。共通工具Tcは、例えば、使用頻度の低い工具、高価な工具等である。常設工具一時保管庫33には、複数の工具Tの残部である複数の常設工具Tpが保管されている。常設工具Tpは、複数の生産設備MCのそれぞれが単独で所有可能な工具Tである。常設工具Tpは、通常、各生産設備MCに保管されている。ただし、寿命により刃具交換を行う場合に、常設工具Tpが常設工具一時保管庫33に保管される。
【0027】
管理エリア3には、管理者Cが所在しており、生産エリア2内の各機器を管理するコントロールエリアである。管理エリア3には、コントロールサーバ41、管理者C用の入出力機器42、管理用表示装置43が配置されている。コントロールサーバ41は、生産エリア2内の各機器に接続されており、各種情報の通信を行う。なお、コントロールサーバ41は、管理エリア3に配置されたサーバに限られず、クラウドサーバを用いることも可能である。入出力機器42は、コントロールサーバ41に対して、入力を行ったり、表示画面への表示や外部機器への情報出力を行ったりするための機器である。
【0028】
管理用表示装置43は、コントロールサーバ41に記憶されている情報を表示するための表示装置であって、遠く離れた位置からも視認可能な画面サイズを有する。管理用表示装置43は、コントロールサーバ41に記憶される情報のうち、複数の生産設備MCのそれぞれの稼働状態情報、第一作業者A1,A2の作業状況、生産計画、及び、生産実績等を表示する。管理者Cは、管理用表示装置43の表示内容を確認しながら、生産状況を把握し、適切な対策を実行する。
【0029】
(2.生産設備MCの詳細構成)
次に、生産設備MCの詳細構成について、図5及び図6を参照して説明する。生産設備MCの一例は、マシニングセンタである。生産設備MCとしてのマシニングセンタは、複数の工具T、搬入された工作物Wに対して複数の工具Tを用いた処理を行う設備本体51、CNC(Computerized Numerical Control)装置52、PLC(Programmable Logic Controller)53、状態検出器54a,54b、情報コントローラ55、及び、ID検出器56を備える。
【0030】
設備本体51は、以下のように構成される。設置面にベッド61が固定され、ベッド61には、コラム62がX軸方向(図5の紙面前後方向)に移動可能に支持されている。コラム62の前面(図5の右面)には、サドル63がY軸方向(図5の上下方向)に移動可能に支持されている。サドル63には主軸装置64が設けられ、主軸装置64における回転体である主軸(図示せず)が、1つの工具T(共通工具Tc又は常設工具Tp)を交換可能に保持する。
【0031】
また、ベッド61上において、コラム62に対してZ軸方向(図5の左右方向)に対向する位置に、テーブル66がZ軸方向に移動可能に支持されている。テーブル66上には、パレットPが固定されている。パレットPには、1つ又は複数の工作物Wが固定されている。さらに、ベッド61上において、コラム62の側方には、工具マガジン67が設けられている。工具マガジン67には、複数の工具T(共通工具Tc及び常設工具Tp)が収容されている。さらに、工具交換装置68が設けられており、工具マガジン67に収容されている複数の工具Tのうち指定された工具番号の工具Tと、主軸装置64に保持されている工具Tとを交換する。
【0032】
CNC装置52は、NCプログラムに従って、主軸装置64における主軸を回転するためのモータ(図示せず)を制御し、且つ、主軸装置64に取り付けられた工具Tと工作物Wとを相対移動させるためのモータ(図示せず)を制御する。CNC装置52は、生産設備MCの状態を検出する状態検出器54aによる検出情報を取得して、各モータの制御を行う。状態検出器54aは、モータ等の駆動装置の駆動情報を検出する。例えば、状態検出器54aは、主軸装置64のモータの駆動電流を検出する検出器、コラム62、サドル63及びテーブル66を移動するためのモータの駆動電流を検出する検出器、コラム62のX軸位置、サドル63のY軸位置及びテーブル66のZ軸位置などを検出する検出器等である。
【0033】
PLC53は、CNC装置52と連携を図りながら、ラダー回路やシーケンシャルファンクションチャート(SFC)等に従って、シーケンス制御を行う。PLC53は、生産設備MCの状態を検出する状態検出器54bによる検出情報を取得する。状態検出器54bは、例えば、生産設備MCに設けられるON/OFFの状態を検出する。例えば、PLC53は、指定の工具番号の工具Tを、工具交換装置68における交換位置に移動するための動作を制御したり、工具交換装置68の動作を制御したりする。また、PLC53は、クーラント装置(図示せず)のポンプを制御することで、クーラントの供給を制御する。
【0034】
情報コントローラ55は、生産設備MC内部においてCNC装置52及びPLC53にEthernet(登録商標)やEtherCAT(登録商標)等により接続されている。さらに、情報コントローラ55は、管理エリア3に配置されているコントロールサーバ41に、Ethernet(登録商標)やEtherCAT(登録商標)等により接続されている。仮に、コントロールサーバ41がクラウドサーバの場合には、情報コントローラ55は、コントロールサーバ41にインターネット等により接続される。
【0035】
情報コントローラ55は、CNC装置52及びPLC53が取得した情報、及び、CNC装置52及びPLC53が生成した情報を取得し、取得した情報をそのまま又は取得した情報を編集・解析して、コントロールサーバ41に送信する。また、情報コントローラ55は、コントロールサーバ41より情報を受信し、受信した情報をCNC装置52及びPLC53に転送する。
【0036】
つまり、情報コントローラ55は、CNC装置52及びPLC53とコントロールサーバ41との情報送受信の仲介役として機能する。ただし、情報コントローラ55は、CNC装置52及びPLC53から取得した情報全てをコントロールサーバ41へ送信するとなると、ネットワークにおける情報通信量が膨大となるため、必要に応じて編集又は解析を行っている。例えば、情報コントローラ55は、編集処理又は解析処理の一つとして、生産設備MCの異常判定、工作物Wの加工精度の異常判定等を行っている。
【0037】
ID検出器56は、第一作業者A1,A2が操作する機器であり、第一作業者A1,A2が工作物Wを搬入する際に、当該工作物Wが取り付けられているパレットPに付されたIDタグTagを認識して、IDタグTagの情報を読み取る機器である。IDタグTagへの情報の書き込みは、上述したように、第二作業者Bによって、工作物段取エリア2bにて行われる。ここで、ID検出器56は、第一作業者A1,A2によって操作される機器としたが、第一作業者A1,A2の操作によらずに、自動的に行うようにしてもよい。つまり、ID検出器56は、第一作業者A1,A2が生産設備MCに工作物Wを搬入した場合に、自動的にIDタグTagの情報を読み取るようにしてもよい。
【0038】
(3.第一作業指示を行う入出力装置11の指示画面)
第一作業者A1,A2に対して第一作業指示を行う入出力装置11の指示画面について、図7を参照して説明する。図7に示すように、入出力装置11の指示画面には、次の第一作業又は現在の第一作業を表示するための作業表示欄71、生産計画の順序一覧を表示するための生産計画欄72、作業者名ボタン、第一作業者毎に第一作業の開始ボタン、完了ボタン、キャンセルボタンを表示する入力欄73、生産設備MCの状態を表示する設備状態欄74を備える。
【0039】
作業表示欄71には、作業対象の生産設備MC、当該生産設備MCが現在処理を完了するまでの時間、及び、第一作業者A1,A2が行う第一作業内容が記載される。例えば、図7においては、作業対象の生産設備MCは、「MC3」である。生産設備MC3は、加工完了まで、後10分である。つまり、第一作業者A1,A2は、次の第一作業を10分以内に行うことが理想となる。
【0040】
また、図7の指示画面には、第一作業者A1,A2への作業指示内容として、生産設備MC3にパレットP001を搬送することが表示されている。つまり、第一作業者A1,A2は、工作物段取エリア2bに準備されたパレットP001を生産設備MC3に搬送することが必要となる。ここで、パレットP001には、工作物W1,W3,W4が取り付けられていることも表示されている。
【0041】
さらに、図7の指示画面には、第一作業者A1,A2への作業指示内容として、共通工具Tcとしての「Tc55」、「Tc56」を、生産設備MC3へ追加する工具とすることが表示されている。つまり、第一作業者A1,A2は、共通工具保管庫32から生産設備MC3へ、共通工具Tcとしての「Tc55」、「Tc56」を搬送することが必要となる。
【0042】
さらに、図7の指示画面には、第一作業者A1,A2への作業指示内容として、生産設備MC3の常設工具Tpのうち「Tp17」、「Tp19」を、生産設備MC3へ新品と交換することが表示されている。これは、生産設備MC3に現在取り付けられている常設工具Tp17,Tp19が寿命に到達する工具であることを意味する。つまり、第一作業者A1,A2は、常設工具Tpとしての「Tp17」、「Tp19」を常設工具一時保管庫33から生産設備MC3へ搬送し、現在取り付けられている常設工具Tpとしての「Tp17」、「Tp19」と交換することが必要となる。
【0043】
さらに、図7の指示画面には、第一作業者A1,A2への作業指示内容として、生産設備MC3に取り付けられている共通工具Tcとしての「Tc51」、「Tc58」を、共通工具保管庫32に返却する工具とすることが表示されている。つまり、第一作業者A1,A2は、生産設備MC3から共通工具保管庫32へ、共通工具Tcとしての「Tc51」、「Tc58」を搬送することが必要となる。
【0044】
生産計画欄72には、生産計画により規定されている工作物Wの生産順序が記載されており、当該工作物Wが取り付けられるパレットPの番号が記載されている。パレットP001には、工作物W1,W3,W4が取り付けられることを意味し、パレットP002には、工作物W2,W5が取り付けられることを意味する。
【0045】
入力欄73は、第一作業者A1,A2が操作するボタンである。第一作業者A1が入力欄73の操作を行う場合について、説明する。第一作業者A1が、次の第一作業を開始する場合において、自分自身の作業者名ボタン「Mr.A1」をタッチする。そうすると、作業表示欄71には、次の第一作業が表示される。続いて、第一作業者A1は、開始ボタンをタッチして、指示された次の第一作業に取りかかる。
【0046】
次に、第一作業者A1が現在作業を完了する場合において、自分自身の作業者名ボタン「Mr.A1」をタッチする。そうすると、作業表示欄71には、現在行っていた第一作業が表示される。つまり、第一作業者A1は、作業表示欄71にて、現在行っていた第一作業を確認できる。続いて、第一作業者A1は、完了ボタンをタッチして、現在行っていた第一作業を完全に完了する。
【0047】
設備状態欄74には、加工終了までの時間が短い順に生産設備MCの名称が表示されており、生産設備MC毎に加工終了までの時間が表示されている。さらに、設備状態欄74には、異常の生産設備MCが存在する場合に、異常の生産設備MCを表示する。
【0048】
(4.第二作業指示を行う入出力装置21の指示画面)
第二作業者Bに対して第二作業指示を行う入出力装置21の指示画面について、図8を参照して説明する。図8に示すように、入出力装置21の指示画面には、次の第二作業又は現在の第二作業を表示するための第一番作業表示欄81、第一番作業表示欄81に表示されている第二作業以降に行う第二作業を表示するための次番作業表示欄82、生産計画の順序一覧を表示するための生産計画欄83を備える。
【0049】
第一番作業表示欄81には、作業対象のパレットPの番号、当該パレットPに取り付ける工作物Wの番号、対象の工作物W毎に取付位置の補正量(X,Y,Z)の入力欄、識別情報の書込ボタンが表示されている。取付位置の補正量の入力は、測定器23により測定された値が自動的に入力される。対象の全ての取付位置の補正量が入力された後に、第二作業者Bが、情報書込機器24をパレットPのIDタグTagに近づけて、書込ボタンをタッチすることで、取付位置の補正量等をIDタグTagに書き込む。第二作業者Bが書込ボタンをタッチすれば、第二作業者Bに対する当該第二作業は完了となる。
【0050】
生産計画欄83には、生産計画により規定されている工作物Wの生産順序が記載されており、当該工作物Wが取り付けられるパレットPの番号が記載されている。パレットP001には、工作物W1,W3,W4が取り付けられることを意味し、パレットP002には、工作物W2,W5が取り付けられることを意味する。
【0051】
(5.管理用表示装置)
管理用表示装置43の左欄には、生産設備MCのそれぞれの稼働状態情報として、(a)正常/異常に関する情報、(b)処理中/停止中に関する情報が表示されている。また、生産設備MCが生産処理中である場合には、(c)生産処理対象の工作物W、(d)工作物Wの取付位置の補正量、(e)実行されているNCプログラム、(f)第一作業者A1,A2の作業状況として、第一作業者A1,A2によってNCプログラムの実行が起動された時刻、(g)生産処理の完了予定時刻、(h)工作物Wの搬入を行った第一作業者A1,A2の名前及び作業能力等が表示される。また、第一作業者A1,A2が生産設備MCに対して工作物Wの搬入準備中である場合には、(i)第一作業者A1,A2の作業状況として、工作物Wの搬入準備中であること、(j)第一作業者A1,A2の作業状況として、第一作業の開始時刻等が表示される。
【0052】
また、管理用表示装置43の右欄には、生産計画と生産実績とが比較可能となるように表示されている。生産計画と生産実績とを比較することで、生産実績が生産計画に対して遅れが生じているのかを把握することができる。
【0053】
(6.生産管理システム1の詳細構成)
図1においては、生産管理システム1をエリアに分けた場合の構成について説明した。すなわち、生産管理システム1は、設備エリア2aに配置された、複数の生産設備MC及び第一作業指示を行う入出力装置11、工作物段取エリア2bに配置された、第二作業指示を行う入出力装置21、測定器23及び情報書込機器24、工具段取エリア2cに配置された工具セット装置31、管理エリア3に配置された、コントロールサーバ41、管理者C用の入出力機器42及び管理用表示装置43を備える。
【0054】
ここでは、生産管理システム1の機能に関する詳細構成について、コントロールサーバ41及び情報コントローラ55の機能を中心に、図10を参照して説明する。生産管理システム1は、複数の生産設備MC、管理装置100、第一作業指示装置200、第二作業指示装置300、工具セット装置31、管理者C用の入出力機器42、管理用表示装置43を備える。
【0055】
管理装置100は、コントロールサーバ41の一部により構成される。第一作業指示装置200は、コントロールサーバ41の他の一部と、第一作業指示の入出力装置11とにより構成される。第二作業指示装置300は、コントロールサーバ41の残りの一部と、第二作業指示の入出力装置21と、測定器23と、情報書込機器24とにより構成される。
【0056】
管理装置100は、生産計画を記憶する記憶部111を備える。生産計画には、工作物Wの生産処理を完了する計画時刻、工作物Wの生産処理の順番、工作物Wを取り付けるパレットPの情報等が含まれている。管理装置100は、設備本体51を制御するためのNCプログラムを記憶する記憶部112を備える。
【0057】
管理装置100は、作業者情報を記憶する記憶部113を備える。作業者情報とは、第一作業者A1,A2のそれぞれの作業能力、第一作業者A1,A2のそれぞれの作業状態情報等が含まれる。作業能力は、第一作業者A1,A2のそれぞれが行うことができる作業種別、作業種別毎の平均作業スピード、作業種別毎の作業スピード及び作業品質に関する作業レベル等を含む。作業状態情報は、第一作業者A1,A2が第一作業指示の入出力装置11の入力により特定された対象作業としての、作業対象である工作物W及びパレットPに関する情報、当該入力により特定された作業開始時刻及び作業完了時刻、生産設備MCの起動操作時刻等を含む。
【0058】
管理装置100は、設備情報を記憶する記憶部114を備える。設備情報は、生産設備MCの種別、生産設備MCの稼働状態情報を含む。稼働状態情報は、生産設備MCの正常/異常に関する情報、処理中/停止中に関する情報等を含む。記憶部114は、情報コントローラ55の設備状態情報取得部415により取得された稼働状態情報を記憶する。
【0059】
管理装置100は、工具情報を記憶する記憶部115を備える。工具情報は、共通工具Tc及び常設工具Tpに関する情報、生産設備MCのそれぞれに現在取り付けられている常設工具Tpに関する情報、共通工具Tcの所在地、工具Tのそれぞれの現在使用時間及び寿命到達時間等を含む。
【0060】
管理装置100は、統括情報を記憶する統括情報記憶部116を備える。統括情報記憶部116は、情報コントローラ55の設備状態情報取得部415にて取得した稼働状態情報を記憶する。すなわち、統括情報記憶部116には、生産設備MCのそれぞれの稼働状態情報として、(a)正常/異常に関する情報、(b)処理中/停止中に関する情報が記憶されている。
【0061】
また、統括情報記憶部116には、生産設備MCが生産処理中である場合には、(c)生産処理対象の工作物W、(d)工作物Wの取付位置の補正量、(e)実行されているNCプログラム、(f)第一作業者A1,A2の作業状況として、第一作業者A1,A2によってNCプログラムの実行が起動された時刻、(g)生産処理の完了予定時刻、(h)工作物Wの搬入を行った第一作業者A1,A2の名前及び作業能力等が記憶されている。
【0062】
また、統括情報記憶部116には、第一作業者A1,A2が生産設備MCに対して工作物Wの搬入準備中である場合には、(i)第一作業者A1,A2の作業状況として、工作物Wの搬入準備中であること、(j)第一作業者A1,A2の作業状況として、第一作業の開始時刻等が記憶されている。また、統括情報記憶部116には、(k)生産計画と生産実績に関する情報が記憶されている。そして、統括情報記憶部116は、上記情報が相互に関連付けられて記憶されている。
【0063】
さらに、統括情報記憶部116は、管理用表示装置43に記憶している情報を送信する。さらに、統括情報記憶部116は、情報コントローラ55の補正量転送部414からパレットPの情報を受信したか否かを判定する。統括情報記憶部116は、当該情報を受信したことを補正量の転送要求と認識して、受信したパレットPに取り付けられている工作物Wに対応する補正量を、補正量転送部414に送信する。
【0064】
管理装置100は、工具固有情報取得部121を備える。工具固有情報取得部121は、工具セット装置31における工具固有情報取得装置31aによって取得された工具Tの固有情報を、工具固有情報取得装置31aから取得する。工具Tの固有情報は、刃具Tbの種類、刃具Tbの外形、刃具Tbの突き出し長さ等である。工具固有情報取得部121は、取得した工具Tの固有情報を、情報コントローラ55の工具固有情報転送部411に送信する。
【0065】
管理装置100は、NCプログラム転送部122を備える。NCプログラム転送部122は、情報コントローラ55のNCプログラム転送部412から生産設備MCに搬入されたパレットPの情報を受信したか否かを判定する。NCプログラム転送部122は、当該情報を受信したことをNCプログラムの転送要求と認識して、受信したパレットPに取り付けられている工作物Wに対応するNCプログラムを、NCプログラムを記憶する記憶部112から取得する。そして、NCプログラム転送部122は、記憶部112から取得したNCプログラムを、情報コントローラ55のNCプログラム転送部412に送信する。
【0066】
先読み処理部123は、生産計画及びNCプログラムに基づいて次の工作物Wの処理に用いる複数の工具Tを判定する。さらに、先読み処理部123は、次の工作物Wの処理に用いる工具Tの使用時間を、NCプログラムから算出する。
【0067】
寿命判定部124は、記憶部115に記憶されている工具情報、及び、先読み処理部123により算出された工具Tの使用時間に基づいて、工作物Wの搬入出作業の対象である生産設備MCに取り付けられている複数の工具Tの中において、次の工作物Wの処理中に寿命に到達すると予測される工具Tが存在するか否かを判定する。寿命判定部124は、当該工具Tが存在する場合に、当該工具Tを寿命による交換対象工具として、第一作業指示装置200に対して交換対象工具の交換作業を指示させる。
【0068】
パレット情報読込部125は、第二作業者Bが情報書込機器24を用いてIDタグTagに書き込まれた情報を読み込む。そして、パレット情報読込部125は、読み込んだ情報を統括情報記憶部116に記憶する。
【0069】
作業能力決定部126は、統括情報記憶部116に記憶されている情報のうち、作業能力の決定に用いる情報を取得し、当該情報に基づいて第一作業者A1,A2の作業能力を決定する。作業能力決定部126は、例えば、所定の第一作業について、作業開始時刻及び作業完了時刻から所要時間を算出し、当該所要時間が予め設定された上位レベルの基準時間より短くなると、作業能力のレベルを上昇させる。反対に、所要時間が現在レベルの基準時間より長くなると、作業能力のレベルを下降させる。そして、作業能力決定部126は、決定した第一作業者A1,A2の作業能力を、作業者情報を記憶する記憶部113に記憶する。
【0070】
第一作業指示装置200は、第一作業指示制御部210と、入出力装置11とを備える。第一作業指示制御部210は、記憶部111に記憶されている生産計画、記憶部113に記憶されている作業者情報、記憶部114に記憶されている設備情報を取得する。第一作業指示制御部210は、生産計画及び複数の生産設備MCの稼働状態に基づいて、複数の生産設備MCに対する工作物Wの搬入出作業(第一作業)を第一作業者A1,A2に指示するために、当該情報を入出力装置11に表示する。さらに、第一作業指示制御部210は、生産計画及び対象の生産設備MCに取り付けられている共通工具Tcに基づいて、追加する共通工具Tc及び返却する共通工具Tcを決定する。そして、第一作業指示制御部210は、共通工具Tcの追加及び返却に関する工具交換作業(第一作業)を、第一作業者A1,A2に指示するために、当該情報を入出力装置11に表示する。
【0071】
さらに、第一作業指示制御部210は、寿命判定部124による判定結果に基づいて、対象の生産設備MCに取り付けられている常設工具Tpが寿命による交換対象工具であるか否かを決定する。そして、第一作業指示制御部210は、寿命による交換対象工具が存在する場合には、工具交換作業(第一作業)を第一作業者A1,A2に指示するために、当該情報を入出力装置11に表示する。
【0072】
さらに、第一作業指示制御部210は、第一作業者A1,A2が入出力装置11により入力された情報を取得し、統括情報記憶部116に記憶する。例えば、第一作業指示制御部210は、第一作業者A1,A2が作業開始ボタンをタッチした場合や作業完了ボタンをタッチした場合等に、当該情報及びその時刻を統括情報記憶部116に記憶する。
【0073】
さらに、入出力装置11に指示された作業内容に共通工具Tcの追加及び返却の作業が含まれる場合には、第一作業者A1,A2が作業開始ボタンをタッチしたときに、第一作業指示制御部210は、記憶部115に記憶されている共通工具Tcの所在地を更新する。
【0074】
第二作業指示装置300は、第二作業指示制御部310と、入出力装置21と、測定器23と、情報書込機器24とを備える。第二作業指示制御部310は、記憶部111に記憶されている生産計画に基づいて、パレットPに工作物Wを取り付ける作業(第二作業)、及び、測定器23を用いて工作物Wの取付位置の補正量を取得する作業(第二作業)を第二作業者Bに指示するために、当該情報を入出力装置21に表示する。
【0075】
複数の生産設備MCのそれぞれが備える情報コントローラ55は、工具固有情報転送部411、NCプログラム転送部412、常設工具寿命管理部413、補正量転送部414、設備状態情報取得部415を備える。
【0076】
工具固有情報転送部411は、工具固有情報取得部121が取得した工具Tの固有情報をCNC装置52に転送する。NCプログラム転送部412は、ID検出器56によって検出されたIDタグTagに書き込まれている情報に含まれているパレットPの情報を取得し、当該パレットPの情報を管理装置100のNCプログラム転送部122に送信する。そして、NCプログラム転送部412は、管理装置100のNCプログラム転送部122から送信されたNCプログラムを受信し、さらに当該NCプログラムをCNC装置52に送信する。
【0077】
常設工具寿命管理部413は、生産設備MCに取り付けられている常設工具Tpについて、CNC装置52の情報に基づいて寿命管理を行う。つまり、常設工具寿命管理部413は、常設工具Tpが使用開始から現在までの使用時間を記憶し、且つ、寿命到達までの使用時間を予測する。そして、常設工具寿命管理部413は、常設工具Tpの使用時間、寿命到達までの使用時間を、管理装置100の記憶部115に送信し、記憶部115に記憶させる。さらに、常設工具寿命管理部413は、寿命判定部124により寿命による交換対象工具が存在する場合に、当該常設工具Tpが交換された場合には、当該常設工具Tpの寿命管理情報をリセットする。
【0078】
補正量転送部414は、ID検出器56によって検出されたIDタグTagに書き込まれている情報に含まれているパレットPの情報を取得し、当該パレットPの情報を管理装置100の統括情報記憶部116に送信する。そして、補正量転送部414は、管理装置100の統括情報記憶部116から送信された工具Tの取付位置の補正量を受信し、さらに当該補正量をCNC装置52に送信する。
【0079】
設備状態情報取得部415は、CNC装置52、PLC53、状態検出器54a,54bから各種情報を取得する。設備状態情報取得部415は、取得した情報の一部をそのまま統括情報記憶部116及び記憶部114に送信する。そのまま送信される情報は、例えば、加工中/停止中に関する情報、NCプログラムの起動時刻、NCプログラムの終了時刻、正常/異常に関する情報等である。ただし、設備状態情報取得部415は、取得した情報の他の一部はそのまま送信するのではなく、編集した情報又は解析を行った結果を、統括情報記憶部116及び記憶部114に送信する。編集又は解析される情報は、例えば、モータ等の駆動装置の駆動情報(駆動電流等)を編集又は解析し、生産設備MCの異常の兆候を示す情報等である。
【0080】
(7.生産管理システム1の処理動作)
次に、生産管理システム1の処理動作について、図11A図11B図11C及び図11Dを参照して説明する。管理装置100と、第一作業者A1,A2と、第二作業者Bと、情報コントローラ55と、CNC装置52、PLC53及び状態検出器54a,54bとに区分して、それぞれの処理動作の順序及び相互に関連する処理動作について説明する。
【0081】
まず、第二作業者Bによる第二作業に関する処理について説明する。第二作業者Bが、第二作業指示装置300の指示に従って、工作物WをパレットPに取り付ける(3a)。さらに、第二作業者Bは、取り付けた工作物Wについて、測定器23を用いて、取付位置の補正量を取得する(3a)。さらに、第二作業者Bは、取得した補正量を、IDタグTagに書き込む(3a)。続いて、第二作業者Bは、上記処理を完了したパレットPを、ストッカ棚25に移動する。管理装置100は、第二作業者BがIDタグTagの書込みを行うことによって、パレット情報読込部125が、パレットPのIDタグTagに書き込まれた情報を読み込む(1a)。
【0082】
次に、第一作業者A1,A2及び第二作業者Bとは関わりなく、管理装置100単独で行う処理について説明する。管理装置100の先読み処理部123が、生産計画及びNCプログラムに基づいて、次の工作物Wの処理に用いる複数の工具Tを判定し、工具Tの使用時間をNCプログラムから算出する(1b)。続いて、管理装置100の寿命判定部124が、記憶部115に記憶されている工具情報、及び、先読み処理部123により算出された工具Tの使用時間に基づいて、生産設備MCに取り付けられている工具Tが寿命に到達するか否かを判定する(1c)。そして、寿命に到達する工具Tが存在する場合には、寿命判定部124は、当該工作物Wが第一作業者A1,A2により搬入される対象となるときに、当該工具Tを寿命による交換対象工具として指示できるように記憶しておく。
【0083】
次に、第一作業者A1,A2によるパレットPの搬送に関する第一作業について説明する。第一作業者A1,A2が入出力装置11により自分自身の作業者を選択する(2a)。そうすると、入出力装置11には、第一作業者A1,A2に対する第一作業の内容が表示される。
【0084】
続いて、第一作業者A1,A2が入出力装置11の開始ボタンをタッチする(2b)。そうすると、管理装置100の統括情報記憶部116に、第一作業者A1,A2による第一作業の開始時刻が記憶される(1d)。さらに、共通工具Tcの交換作業が含まれる場合には、管理装置100の記憶部115に記憶されている共通工具Tcの所在地に関する工具情報が更新される(1e)。
【0085】
また、第一作業者A1,A2は、入出力装置11の開始ボタンをタッチすると、入出力装置11に表示された第一作業の指示内容に従い、搬送台車12,13に、対象のパレットP、及び、必要に応じて工具Tを載置する(2c)。続いて、第一作業者A1,A2は、搬送台車12,13を対象の生産設備MCへ搬送する(2d)。続いて、第一作業者A1,A2は、必要に応じて、生産設備MCに取り付けられている工具Tを交換する。続いて、第一作業者A1,A2は、加工済みの工作物Wが取り付けられたパレットP(旧パレット)を生産設備MCから搬出する(2f)。さらに、第一作業者A1,A2は、未加工の工作物Wが取り付けられているパレットP(新パレット)を、生産設備MCに搬入する(2f)。このとき、第一作業者A1,A2は、ID検出器56を用いて、搬入するパレットPに付されたIDタグTagの情報を読み取る(2f)。
【0086】
そうすると、情報コントローラ55のNCプログラム転送部412及び補正量転送部414が、IDタグTagに書き込まれている情報に含まれているパレットPの情報を取得する(4a)。続いて、情報コントローラ55のNCプログラム転送部412及び補正量転送部414は、取得したパレットPの情報を、管理装置100のNCプログラム転送部122及び統括情報記憶部116にそれぞれ送信する(4b)。
【0087】
そして、管理装置100のNCプログラム転送部122及び統括情報記憶部116が、情報コントローラ55からパレットPの情報を取得する(1f)。続いて、管理装置100のNCプログラム転送部122は、受信したパレットPに取り付けられている工作物Wに対応するNCプログラムを、NCプログラムを記憶する記憶部112から取得し、当該NCプログラムを情報コントローラ55のNCプログラム転送部412に送信する(1g)。さらに、管理装置100の統括情報記憶部116は、受信したパレットPに取り付けられている工作物Wに対応する取付位置の補正量を、情報コントローラ55の補正量転送部414に送信する(1g)。
【0088】
続いて、情報コントローラ55のNCプログラム転送部412及び補正量転送部414は、受信したNCプログラム及び補正量を、CNC装置52に送信する(4c)。そして、CNC装置52は、受信したNCプログラム及び補正量を記憶する(5a)。
【0089】
続いて、第一作業者A1,A2は、生産設備MCの起動ボタンを操作する(2g)。そうすると、生産設備MCのCNC装置52等が動作を開始して、工作物Wの加工が開始される(5b)。このとき、情報コントローラ55の設備状態情報取得部415は、加工開始時刻を取得し(4d)、管理装置100の記憶部114及び統括情報記憶部116に送信する(4e)。そして、管理装置100の記憶部114及び統括情報記憶部116が、受信した加工開始時刻を記憶する(1h)。
【0090】
CNC装置52等が加工開始した後には、状態検出器54a,54bにより加工中データを検出する(5c)。そして、情報コントローラ55の設備状態情報取得部415が、CNC装置52及びPLC53から、加工中データを取得する(4f)。そして、設備状態情報取得部415は、管理装置100の記憶部114及び統括情報記憶部116に、取得した加工中データの一部をそのまま送信する(4g)。そうすると、管理装置100の記憶部114及び統括情報記憶部116が、受信した加工中データを記憶する(1j)。
【0091】
さらに、情報コントローラ55の設備状態情報取得部415は、取得した加工中データを編集又は解析して、編集・解析データを生成する(4h)。そして、設備状態情報取得部415は、生成した編集・解析データを、管理装置100の記憶部114及び統括情報記憶部116に送信する(4j)。そうすると、管理装置100の記憶部114及び統括情報記憶部116が、受信した編集・解析データを記憶する(1k)。
【0092】
そして、工作物Wの加工が終了すると、CNC装置52等は、加工動作を停止する(5d)。このとき、情報コントローラ55の設備状態情報取得部415は、加工終了時刻を取得し(4k)、管理装置100の記憶部114及び統括情報記憶部116に送信する(4m)。そして、管理装置100の記憶部114及び統括情報記憶部116が、受信した加工終了時刻を記憶する(1m)。
【0093】
また、第一作業者A1,A2は、生産設備MCの起動ボタンを操作した後には、生産設備MCによる処理に並行して、搬送台車12,13を生産設備MCの近傍から工作物段取エリア2bへ搬送する(2h)。つまり、第一作業者A1,A2は、加工済みの工作物Wが取り付けられているパレットP(旧パレット)、及び、必要に応じて、生産設備MCから取り外した工具Tを搬送する。続いて、第一作業者A1,A2は、加工済みの工作物Wが取り付けられているパレットP(旧パレット)を、工作物段取エリア2bの作業台22に返却し、必要に応じて、工具Tを共通工具保管庫32又は常設工具一時保管庫33に返却する(2j)。第二作業者Bは、返却されたパレットPから加工済みの工作物Wを取り外す(3c)。
【0094】
そして、第一作業者A1,A2は、入出力装置11の完了ボタンをタッチする(2k)。そうすると、管理装置100の統括情報記憶部116に、第一作業者A1,A2による第一作業の開始完了が記憶される(1n)。さらに、共通工具Tcの交換作業が含まれる場合には、管理装置100の記憶部115に記憶されている共通工具Tcの所在地に関する工具情報が更新される(1p)。
【0095】
次に、第一作業者A1,A2による工具セット装置31を用いた処理について説明する。第一作業者A1,A2が、工具セット装置31を用いて工具ホルダTaに刃具Tbを取り付ける作業を行う(2m)。そうすると、工具セット装置31の工具固有情報取得装置31aによって、工具Tの固有情報が取得される(図示せず)。そうすると、管理装置100の工具固有情報取得部121が、工具セット装置31の工具固有情報取得装置31aにより取得された工具Tの固有情報を、情報コントローラ55の工具固有情報転送部411に転送する(1q)。そうすると、情報コントローラ55の工具固有情報転送部411が、CNC装置52等に工具Tの固有情報を転送して(4n)、CNC装置52等が当該情報を更新する(5e)。
【0096】
(8.効果)
管理装置100は、複数の生産設備MCのそれぞれにおける工作物Wの搬入出状況に基づいて、第一作業者A1,A2によって工作物Wが搬入された生産設備MCに、当該生産設備MCを稼働させるための処理データ(NCプログラム、位置補正量等)を送信する。従って、処理データ(NCプログラム、位置補正量等)の送信処理は、第一作業者A1,A2の第一作業に対応して、管理装置100によって自動的に行われる。その結果、第一作業者A1,A2による作業効率を高めることができる。
【0097】
詳細には、管理装置100は、ID検出器56により工作物Wの搬入が検出された場合に、処理データの一つとして、当該工作物Wに対応するNCプログラムを生産設備MCに送信している。従って、誤ったNCプログラムが送信されることがなく、生産設備MCにとって必要なタイミングにてNCプログラムが送信されている。第一作業者A1,A2がNCプログラムの登録処理を行う場合に比べて、作業効率及び作業品質が向上する。
【0098】
さらに、管理装置100は、ID検出器56により工作物Wの搬入が検出された場合に、処理データの一つとして、当該工作物Wに対応する取付位置の補正量を生産設備MCに送信している。この場合も、誤った取付位置の補正量が送信されることがなく、生産設備MCにとって必要なタイミングにて補正量が送信されている。第一作業者A1,A2が取付位置の補正量の登録処理を行う場合に比べて、作業効率及び作業品質が向上する。
【0099】
ここで、工作物Wの取付位置の補正量は、第二作業者Bが第二作業指示装置300の指示に基づいて行っている。このように、工作物Wを生産設備MCに搬入する第一作業者A1,A2と、当該工作物Wの取付位置の補正量を取得する第二作業者Bとが異なる場合において、上記のように第一作業者A1,A2が生産設備MCに登録しないようにすることで、情報の誤登録を防止できる。
【0100】
また、生産管理システム1は、生産計画及び複数の生産設備MCの稼働状態に基づいて、複数の生産設備MCに対する工作物Wの搬入出作業(第一作業)を第一作業者A1,A2に指示すると共に第一作業者A1,A2による作業の状態を取得する第一作業指示装置200を備える。第一作業指示装置200により、第一作業者A1,A2の作業状況を把握することが容易となる。
【0101】
さらに、管理装置100は、処理データ(NCプログラム、位置補正量等)、複数の生産設備MCのそれぞれから取得した生産設備MCの稼働状態情報、及び、第一作業指示装置200の入出力装置21から取得した第一作業者A1,A2による作業の状態情報を関連付けて記憶する。これらの関連付けられた情報を用いることにより、生産計画に従った生産を行うことが可能となると共に、生産異常の発生の抑制につなげることが可能となる。結果として、生産効率を高めることができる。
【0102】
さらに、管理用表示装置43に、管理装置100の統括情報記憶部116に記憶される情報として、複数の生産設備MCのそれぞれの稼働状態情報、生産計画、及び、生産実績を表示する。従って、管理者Cは、容易に生産状況を把握することができる。さらに、管理用表示装置43には、第一作業者A1,A2の作業状況を関連付けて表示することができる。そのため、管理者Cは、生産状況を把握する上で、第一作業者A1,A2の作業状況と対応付けながら把握することができる。これにより、管理者Cは、生産状況をより詳細に把握することができ、結果として生産計画に従った生産を行うことが可能となる。
【0103】
また、複数の生産設備MCのそれぞれに、情報コントローラ55を設けて、情報コントローラ55が、生産設備MCにおける駆動装置の駆動情報、及び、生産設備MCに設けられた生産設備MCの状態を検出する検出情報の少なくとも一方の情報を、生産設備MCの稼働状態情報として取得する設備状態情報取得部415を備える。
【0104】
そして、設備状態情報取得部415は、取得した情報をそのまま管理装置100に送信することもできるし、取得した情報を編集又は解析して、編集・解析データを管理装置100に送信することもできる。そして、管理装置100の統括情報記憶部116は、それぞれの種類の情報を他の情報と関連付けて記憶する。特に、生産設備MCのそれぞれが、データの編集又は解析を行うことができる設備状態情報取得部415を備えることで、データ処理のリアルタイム性を向上することができる。さらに、生産設備MCのそれぞれから管理装置100へのデータ通信量を抑制することができるため、この点からも、リアルタイム性を向上することができる。結果として、管理者Cは、より早期に、生産状況や生産設備MCの異常の把握をすることができる。
【0105】
さらに、管理装置100は、複数の工具T(Tc,Tp)の寿命を管理し、工作物Wの搬入出作業の対象である生産設備MCに取り付けられている複数の工具T(Tc,Tp)の中に寿命による交換対象工具が存在する場合に、第一作業指示装置200に対して交換対象工具の交換作業を指示させる。これにより、生産処理中に、工具Tが寿命に到達することを抑制できる。
【0106】
特に、管理装置100は、生産計画に基づいて次の工作物Wの処理に用いる複数の工具Tを判定している。そして、搬入出作業の対象である生産設備MCに取り付けられている複数の工具Tの中において、次の工作物Wの処理中に寿命に到達すると予測される工具Tが存在する場合には、管理装置100は、当該工具Tを寿命による交換対象工具として、第一作業指示装置200に対して交換対象工具の交換作業を指示させる。これにより、交換対象工具の交換作業のタイミングが、当該工具が生産処理に必要となるタイミングに一致させることができる。換言すると、工具Tが寿命到達間近であるとしても、当該工具Tがすぐに使用されないのであれば、当該工具Tの交換は緊急性が極めて低い。そこで、上記のようなタイミングになるまでは、当該工具Tが交換されないようにしている。従って、第一作業者A1,A2は、無駄な工具Tの交換作業を行うことがないため、作業効率が非常に良好となる。
【0107】
また、管理装置100は、搬入出作業の対象である生産設備MCに取り付けられている共通工具Tcの中に次の処理に用いない共通工具Tcが存在する場合に、第一作業指示装置200に対して当該共通工具Tcの交換作業を指示させる。従って、次の処理に用いない共通工具Tcを常に共通工具保管庫32に保管しておくことが可能となる。これにより、使用頻度の低い工具Tや高価な工具Tを、効率的に利用することが可能となる。
【0108】
さらに、管理装置100は、第一作業者A1,A2が工具セット装置31を用いて工具ホルダTaに刃具Tbを取り付けた場合に、工具Tの固有情報を情報コントローラ55を介してCNC装置52に送信する。従って、第一作業者A1,A2が、CNC装置52において工具Tの固有情報を登録する必要がない。従って、刃具Tbを交換した場合において、最新の情報がCNC装置52に記憶されることができる。その結果、作業効率が向上すると共に、仮に誤情報が登録されている場合に、工作物Wの加工精度に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0109】
さらに、管理装置100は、複数の第一作業者A1,A2のそれぞれの作業能力を記憶している。そして、第一作業指示装置200は、生産計画及び第一作業者A1,A2の作業能力に基づいて、複数の生産設備MCに対する工作物Wの搬入出作業を第一作業者A1,A2に指示する。そして、第一作業者A1,A2の作業能力を、生産設備MCの稼働状態情報と関連付けて記憶することで、管理者Cは、現在の生産状況をより適格に把握することができる。さらに、例えば、作業能力が原因で生産実績に遅れを生じている場合に、管理者Cは、遅れの原因を追及することも容易となる。
【符号の説明】
【0110】
1:生産管理システム、 2:生産エリア、 3:管理エリア、 11:第一作業指示装置の入出力装置、 12,13:搬送台車、 21:第二作業指示装置の入出力装置、 23:測定器、 24:情報書込機器、 31:工具セット装置、 31a:工具固有情報取得装置、 32:共通工具保管庫、 33:常設工具一時保管庫、 41:コントロールサーバ、 42:入出力機器、 43:管理用表示装置、 51:設備本体、 52:CNC装置、 53:PLC、 54a,54b:状態検出器、 55:情報コントローラ、 56:ID検出器、 71:第一作業指示装置の作業表示欄、 81:第二作業指示装置の第一番作業表示欄、 100:管理装置、 111,112,113,114,115:記憶部、 116:統括情報記憶部、 121:工具固有情報取得部、 122:NCプログラム転送部、 123:先読み処理部、 124:寿命判定部、 125:パレット情報読込部、 126:作業能力決定部、 200:第一作業指示装置、 300:第二作業指示装置、 415:設備状態情報取得部、 A1,A2:第一作業者、 B:第二作業者、 C:管理者、 MC:生産設備、 P:パレット、 Pa:基準位置、 T:工具、 Tc:共通工具、 Tp:常設工具、 Ta:工具ホルダ、 Tb:刃具、 W:工作物、 Tag:IDタグ(識別コード)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D