(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】現像装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/06 20060101AFI20230322BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20230322BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230322BHJP
G03G 15/09 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
G03G15/06 101
G03G15/08 235
G03G15/00 303
G03G15/09 Z
(21)【出願番号】P 2018232566
(22)【出願日】2018-12-12
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】中川 純一
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-197464(JP,A)
【文献】特開2010-054815(JP,A)
【文献】特開2002-258588(JP,A)
【文献】特開2015-042118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/06
G03G 15/08
G03G 15/00
G03G 15/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体に担持される静電潜像を二成分現像方式により現像する現像装置であって、
第1接続部と、
前記第1接続部に並列に接続される第2接続部と、
トナーを担持するトナー担持体と
、
トナー電流を検出するトナー電流検出部と、
前記トナー担持体と直列に接続された電源とを備え、
前記第1接続部は、
キャパシタと、
前記キャパシタに並列に接続される第1抵抗と、
前記キャパシタ及び前記第1抵抗の各々に直列に接続される第2抵抗と
を有し、
前記第2接続部は、前記トナー担持体と前記潜像担持体との間に
現像剤を含む現像領域を有
し、
前記トナー電流検出部は、
前記第1接続部を流れる電流を検出する第1電流検出部と、
前記第2接続部を流れる電流を検出する第2電流検出部とを有し、
前記第2電流検出部の検出値から前記第1電流検出部の検出値を引いた値を前記トナー電流として検出し、
前記トナー電流は、前記現像領域に前記電源からの電圧が印加されることで、前記トナーが前記トナー担持体と前記潜像担持体との間で移動することによって生じる電流であり、
前記第2抵抗は、前記第1電流検出部と前記電源との間において、前記電源及び前記第1電流検出部と直列に接続されている、現像装置。
【請求項2】
前記第1接続部は、前記キャパシタ、及び前記第1抵抗の各々に直列に接続される第3抵抗をさらに有し、
前記第2接続部は、前記現像領域に直列に接続される第4抵抗をさらに有する、請求項
1に記載の現像装置。
【請求項3】
シートにトナー画像を形成する画像形成部を備え、
前記画像形成部は、
請求項1
又は請求項
2に記載の現像装置と、
前記潜像担持体と
を有する、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の現像装置は、トナー担持体と、潜像担持体と、電圧印加手段と、トナー電流検出手段と、制御手段とを備える。トナー担持体は、現像に供するためトナーを担持する。潜像担持体は、トナー担持体に対して非接触に配置される。電圧印加手段は、トナー担持体と潜像担持体との間に電圧を印加する。トナー電流検出手段は、トナー電流を検出する。トナー電流は、トナーがトナー担持体から潜像担持体との間を移動することにより生ずる電流である。制御手段は、トナー電流検出手段により検出されたトナー電流の値に応じて現像条件を制御する。電圧印加手段は、トナー担持体と潜像担持体との間に交流電圧を印加する。トナー電流検出手段は、交流電圧の印加によりトナー担持体と潜像担持体との間に流れる充放電電流を相殺するためのキャパシタを有する。
【0003】
特許文献1に記載の現像装置は、ハイブリッド現像方式の装置である。この場合、トナー担持体と潜像担持体とが互いに間隔を空けて配置されており、トナー担持体と潜像担持体との間に空気層が形成される。トナーは、トナー担持体と潜像担持体との間を移動する際、空気層を移動する。
【0004】
トナー担持体と潜像担持体とが互いに間隔を空けて配置されることで、トナー担持体と潜像担持体との間にはキャパシタ成分が存在している。キャパシタ成分は、トナー担持体と潜像担持体との隙間に生成される静電容量である。特許文献1に記載の現像装置は、キャパシタによりキャパシタ成分による充放電電流を相殺することで、トナー電流検出手段によるトナー電流の検出精度を向上させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、現像装置が二成分現像方式の装置の場合、トナー担持体と潜像担持体との間の領域は、現像剤で満たされる。そして、トナーは、トナー担持体と潜像担持体との間を移動する際、現像剤中を移動する。この場合、トナー担持体と潜像担持体との間には、キャパシタ成分のみならず、現像剤による抵抗成分も存在している。従って、キャパシタ成分のみならず抵抗成分も充放電電流の発生に寄与するので、現像装置がキャパシタを有するだけでは、キャパシタ成分と抵抗成分とに起因した充放電電流を相殺することが困難であった。その結果、トナー電流を精度よく検出することが困難であった。
【0007】
本発明は、トナー電流を精度よく検出することが可能な現像装置、及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面によれば、現像装置は、潜像担持体に担持される静電潜像を二成分現像方式により現像する。前記現像装置は、第1接続部と、第2接続部と、トナー担持体とを備える。前記第2接続部は、前記第1接続部に並列に接続される。前記トナー担持体は、トナーを担持する。前記第1接続部は、キャパシタと、第1抵抗と、第2抵抗とを有する。前記第1抵抗は、前記キャパシタに並列に接続される。前記第2抵抗は、前記キャパシタ及び前記第1抵抗の各々に直列に接続される。前記第2接続部は、前記トナー担持体と前記潜像担持体との間に位置する領域である現像領域を有する。
【0009】
本発明の他の一局面によれば、画像形成装置は、画像形成部を備える。前記画像形成部は、シートにトナー画像を形成する。前記画像形成部は、前記現像装置と、前記潜像担持体とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トナー電流を精度よく検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の模式的断面図である。
【
図2】画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】比較用の現像装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0013】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置100について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の模式的断面図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、搬送路1と、給送装置2と、画像形成部3と、定着装置5と、排出装置6とを備える。
【0014】
搬送路1は、給送装置2から画像形成部3及び定着装置5を介して排出装置6まで亘って設けられる。搬送路1は、給送装置2から送り出されたシートを、画像形成部3、定着装置5、及び排出装置6の順番に案内する。
【0015】
給送装置2は、カセット21と、給紙部22とを有する。カセット21は、シートを収容する。給紙部22は、カセット21から搬送路1にシートを送り出す。シートは、例えば、普通紙、コピー紙、再生紙、薄紙、厚紙、光沢紙、又はOHP(Overhead Projector)用紙である。
【0016】
画像形成部3は、トナーコンテナXから供給されるトナーを用いてシートにトナー画像を形成する。
【0017】
トナーコンテナXは、現像剤を収容する。現像剤は、トナーと、キャリアとを含む。キャリアは、例えば、磁性体を含む。
【0018】
画像形成部3は、現像装置30と、転写ローラー32と、露光装置33と、感光体ドラム34と、帯電装置35と、クリーニング装置36とを有する。
【0019】
感光体ドラム34は、本発明の潜像担持体の一例である。
【0020】
現像装置30は、複数の攪拌パドル30aと、現像スリーブ30bとを有する。
【0021】
現像スリーブ30bは、本発明のトナー担持体の一例である。
【0022】
現像装置30には、トナーコンテナXから現像剤が供給される。攪拌パドル30aは、現像剤を攪拌しつつ搬送する。その結果、現像剤中のトナーが所定の電位レベルに帯電される。
【0023】
現像スリーブ30bは、感光体ドラム34と対向配置される。現像スリーブ30bは、内部にマグネットを有する。現像スリーブ30bは、マグネットにより現像剤を担持する。
【0024】
現像装置30は、二成分現像方式により感光体ドラム34に担持される静電潜像を現像する。現像装置30が二成分現像方式により静電潜像を現像する手順について説明する。まず、現像装置30は、感光体ドラム34と現像スリーブ30bとの間に位置する現像領域30kに磁界を形成する。そして、現像装置30は、現像領域30kに存在する現像剤を磁界によりブラシ状に穂立ちさせることで、磁気ブラシを形成する。そして、現像装置30は、磁気ブラシを感光体ドラム34に摺擦させることによって、感光体ドラム34に担持される静電潜像にトナーを付着させる。その結果、静電潜像が現像される。
【0025】
転写ローラー32は、感光体ドラム34と対向配置される。クリーニング装置36は、感光体ドラム34の周面に残るトナーを除去する。
【0026】
画像形成部3がシートにトナー画像を形成する手順について説明する。
【0027】
まず、画像形成装置100が画像データを取得する。画像形成装置100は、例えば、PC(Personal Computer)のような外部端末、又は、画像形成装置100が複合機の場合、画像形成装置100に設けられるスキャナーから、画像データを取得する。
【0028】
次に、帯電装置35が、感光体ドラム34の周面を帯電させる。次に、露光装置33が、帯電された感光体ドラム34の周面に、画像データに基づいてレーザー光を照射する。その結果、感光体ドラム34の周面には、静電潜像が担持される。
【0029】
次に、現像装置30は、感光体ドラム34にトナーを付着させることで、感光体ドラム34上の静電潜像をトナーにより現像する。その結果、感光体ドラム34には画像データを示すトナー画像が形成される。
【0030】
次に、感光体ドラム34と転写ローラー32とは、感光体ドラム34上のトナー画像をシートに転写する。その結果、シートにトナー画像が形成される。
【0031】
定着装置5は、画像形成部3により形成されたトナー画像をシートに定着させる。
【0032】
排出装置6は、排出部61と、排出トレイ62とを有する。排出部61は、定着装置5を通過したシートを排出トレイ62へ排出する。
【0033】
なお、現像装置30の個数は、特に限定されない。例えば、画像形成部3がカラーのトナー画像を形成する場合は、画像形成部3は、複数の現像装置30を備えていてもよい。この場合、複数の現像装置30には、それぞれ、複数のトナーコンテナXから各色のトナーが供給される。
【0034】
次に、
図2を参照して、画像形成装置100についてさらに説明する。
図2は、画像形成装置100の構成を示すブロック図である。
【0035】
図2に示すように、画像形成装置100は、入力部7と、記憶部8と、制御部9とをさらに備える。
【0036】
入力部7は、例えば、タッチパネル、及び複数の操作キーを含む。タッチパネルは、表示部7a及びタッチセンサーを含む。入力部7は、複数の操作キーに対する操作、及び/又は、表示部7aに対するタッチ操作により画像形成装置100に対する指示を受け付ける。
【0037】
表示部7aは、各種画面を表示する。表示部7aは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、又は有機ELD(Electro Luminescence Display)を含む。本実施形態では、表示部7aは、タッチパネルとして機能するので、入力部7の構成部材である。しかし、本発明はこれに限定されない。表示部7aは、タッチパネルとして機能せず、入力部7とは別体の部材でもよい。
【0038】
記憶部8は、記憶装置を含む。記憶装置は、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置(例えば、半導体メモリー)を含み、補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)をさらに含んでもよい。主記憶装置及び/又は補助記憶装置は、制御部9によって実行される種々のコンピュータープログラムを記憶する。
【0039】
制御部9は、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。制御部9は、画像形成装置100の各要素を制御する。具体的には、制御部9のプロセッサーは、記憶装置に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、給送装置2と、画像形成部3と、定着装置5と、排出装置6と、入力部7と、記憶部8とを制御する。
【0040】
次に、
図3を参照して、現像装置30についてさらに説明する。
図3は、現像装置30の構成を示す模式図である。
【0041】
現像装置30は、電源部30cと、電源制御部30nと、第1接続部Aと、第2接続部Bと、トナー電流検出部Cとをさらに有する。
【0042】
第1接続部A、及び第2接続部Bの各々は、電源部30cに直列に接続される。第1接続部A、及び第2接続部Bの各々は、接地点(基準電位点)に接続される。接続されることは、通電可能であることを示す。
【0043】
電源部30cは、第1接続部A、及び第2接続部Bの各々に電圧を印加する。電源部30cは、交流電圧を印加する。電源部30cが第1接続部A、及び第2接続部Bの各々に電圧を印加することによって、第1接続部A、及び第2接続部Bの各々に電流が流れる。
【0044】
電源制御部30nは、電源部30cを制御する。本実施形態では、
図2に示す制御部9が電源制御部30nとして機能する。
【0045】
トナー電流検出部Cは、第1電流検出部30dと、第2電流検出部30eとを有する。第1電流検出部30dは、第1接続部Aを流れる電流を検出する。第2電流検出部30eは、第2接続部Bを流れる電流を検出する。トナー電流検出部Cは、第2電流検出部30eの検出値から第1電流検出部30dの検出値を引いた値をトナー電流として検出する。トナー電流の説明は後述する。
【0046】
第1接続部Aは、第1抵抗30gと、第2抵抗30hと、キャパシタ30iと、第3抵抗30jとを有する。
【0047】
第2抵抗30h、キャパシタ30i、第1電流検出部30d、及び第3抵抗30jは、電源部30cに対して、キャパシタ30i、第1電流検出部30d、及び第3抵抗30jの順番に直列に接続される。第3抵抗30jは、接地点に接続される。
【0048】
第1抵抗30gは、キャパシタ30iに並列に接続される。第1抵抗30gは、第2抵抗30h、第1電流検出部30d、及び第3抵抗30jと直列に接続される。第1抵抗30gは、第2抵抗30hと第1電流検出部30dとの間に配置される。
【0049】
第2接続部Bは、現像領域30kと、第4抵抗30mとを有する。
【0050】
現像領域30kは、現像スリーブ30bと感光体ドラム34との間に位置する領域である。
【0051】
電源部30cにより現像領域30kに電圧が印加されることで、帯電したトナーが現像領域30kを通じて現像スリーブ30bと感光体ドラム34との間で移動する。帯電したトナーが現像スリーブ30bと感光体ドラム34との間を移動することで、現像領域30kに電流が流れる。現像領域30kに電圧を印加することは、現像スリーブ30bと感光体ドラム34との間に電位差を生じさせることを示す。
【0052】
電源部30cにより現像領域30kに電圧が印加されることで、現像スリーブ30bの担持するトナーが感光体ドラム34に供給される。その結果、感光体ドラム34に担持される静電潜像が現像される。
【0053】
トナーが現像スリーブ30bと感光体ドラム34との間を移動する際、現像領域30kが現像剤で満たされているので、トナーが現像剤中を移動する。従って、現像スリーブ30bと感光体ドラム34との間には、キャパシタ成分のみならず、現像剤による抵抗成分も存在している。キャパシタ成分は、現像スリーブ30bと感光体ドラム34との間の静電容量である。
【0054】
現像領域30k、第2電流検出部30e、及び第4抵抗30mは、電源部30cに対して、現像領域30k、第2電流検出部30e、及び第4抵抗30mの順番に直列に接続される。第4抵抗30mは、接地点に接続される。
【0055】
トナー電流について説明する。
【0056】
トナー電流は、トナーが現像スリーブ30bと感光体ドラム34との間を移動することによって生じる電流である。トナー電流は、トナーが現像スリーブ30bと感光体ドラム34との間を移動することによってのみ生じる電流であり、現像スリーブ30bと感光体ドラム34との間を流れる電流がキャパシタ成分の影響と抵抗成分の影響とを受けない場合の電流値である。
【0057】
以下では、現像スリーブ30bと感光体ドラム34との間を移動するトナーを移動トナーと記載することがある。
【0058】
トナー電流は、移動トナーの量と相関を有し、移動トナーの量に応じた値を有する。詳細には、移動トナーの量が多くなる程、トナー電流が大きくなる。
【0059】
次に、
図3を参照して、キャパシタ30iの静電容量と、第1抵抗30gの値と、第2抵抗30hの値と、第3抵抗30jの値と、第4抵抗30mの値とが設定される手順について説明する。
【0060】
キャパシタ30iの静電容量と、第1抵抗30gの値と、第2抵抗30hの値と、第3抵抗30jの値と、第4抵抗30mの値とは、電源部30cにより所定の電圧が印加された状態で、第1電流検出部30dの検出値と第2電流検出部30eの検出値とが同じになるような値に設定される。
【0061】
所定の電圧は、現像スリーブ30bと感光体ドラム34との間をトナーが移動しないような値である。
【0062】
第1電流検出部30dの検出値と第2電流検出部30eの検出値とが同じになることは、トナー電流検出部Cの検出値が0Aになることを示す。
【0063】
本実施形態では、所定の電圧は、Vpp(Volt peak to peak)=0.1kv、Vdc(Volt direct current)=0kV、f(周波数)=4kHz、及びduty(デューティ比)=50%の交流電圧である。
【0064】
本実施形態では、キャパシタ30iの静電容量が21pFに設定され、第1抵抗30gが670MΩに設定され、第2抵抗30hが735kΩに設定され、第3抵抗30jが1kΩに設定され、第4抵抗30mが1kΩに設定される。
【0065】
次に、
図3及び
図4を参照して、第1実験の実験結果について説明する。第1実験は、現像装置30のトナー電流検出部Cによりトナー電流を検出する実験である。
【0066】
【0067】
第1実験では、Vpp=1kv、Vdc=0.3kV、f=4kHz、及びduty=50%の現像バイアス電圧が印加された。
【0068】
図4は、第1グラフG1と、第2グラフG2とを示す。
【0069】
第1グラフG1は、現像バイアス電圧と、現像バイアス電圧の印加時間との関係を示す。現像バイアス電圧は、電源部30cにより印加される電圧を示す。
【0070】
第2グラフG2は、トナー電流検出部Cの検出値と、トナー電流検出部Cによるトナー電流の検出時間との関係を示す。
【0071】
図3及び
図4に示すように、第1グラフG1によると、現像バイアス電圧の立ち上がり時と、立ち下がり時との各々で、現像バイアス電圧が略0VになるタイミングTがある。
【0072】
現像バイアス電圧が略0Vになると、現像領域30kに電圧が印加されないので、現像スリーブ30bと感光体ドラム34との間でトナーが移動しない。その結果、現像バイアス電圧が略0になるタイミングTでは、トナー電流が流れないので、トナー電流検出部Cの検出値が、理論上、略0Aになる。
【0073】
しかし、現像スリーブ30bと感光体ドラム34との間にキャパシタ成分と抵抗成分とが存在していると、トナー電流検出部Cには、キャパシタ成分と抵抗成分とに起因した充放電電流が流れる。この場合、現像バイアス電圧が略0VになるタイミングTでは、トナー電流が流れないのでトナー電流検出部Cの検出値が略0Aになるはずであるが、充放電電流が流れることにより略0Aにならず、上記理論上の値と異なる。従って、充放電電流により、トナー電流検出部Cが検出するトナー電流の値と、実際のトナー電流の値との間に差異が生じる。その結果、キャパシタ成分と抵抗成分とに起因した充放電電流を相殺しない場合、トナー電流検出部Cによりトナー電流を精度よく検出することが困難となる。
【0074】
図4に示す第2グラフG2によると、トナー電流検出部Cの検出値は、タイミングTの時点で略0Aになる。従って、タイミングTの時点において、トナー電流検出部Cの検出値が上記理論上の値と略同じである。その結果、キャパシタ成分と抵抗成分とに起因した充放電電流を相殺することができたと推定できる。よって、トナー電流検出部Cによりトナー電流を精度よく検出できる。また、トナー電流検出部Cによりトナー電流を精度よく検出できることで、ドット及び細線のような画質に関わる現像性を適切に評価し、現像条件に反映することができる。
【0075】
次に、
図5を参照して、比較用の現像装置Zについて説明する。
図5は、比較用の現像装置Zの構成を示す模式図である。現像装置Zは、本実施形態の現像装置30とトナー電流検出部Cの検出精度を比較する実験を行うために用意された装置である。以下では、主に、本実施形態の現像装置30と異なる点を説明する。
【0076】
図5に示すように、現像装置Zは、第1抵抗30gと、第2抵抗30hとを有しない点が現像装置30と異なる。
【0077】
次に、
図5及び
図6を参照して、第2実験の実験結果について説明する。第2実験は、現像装置Zのトナー電流検出部Cによりトナー電流を検出する実験である。
【0078】
【0079】
第2実験では、第1実験と同様に、Vpp=1kv、Vdc=0.3kV、f=4kHz、及びduty=50%の現像バイアス電圧が印加された。
【0080】
図6は、第1グラフG1と、第3グラフG3とを示す。第3グラフG3は、トナー電流検出部Cの検出値と、トナー電流検出部Cによるトナー電流の検出時間との関係を示す。
【0081】
図3及び
図4に示すように、第3グラフG3によると、トナー電流検出部Cの検出値は、タイミングTの時点で略0Aになる。従って、タイミングTの時点において、トナー電流検出部Cの検出値が上記理論上の値と異なっている。また、第3グラフG3によると、タイミングTが到達する頃に、充放電電流のピークPが存在している。その結果、現像装置Zは、キャパシタ成分と抵抗成分とに起因した充放電電流を相殺することができないので、トナー電流検出部Cによりトナー電流を精度よく検出できない。
【0082】
図4に示す第1実験の結果と、
図6に示す第2実験の結果とを比較すると、
図5に示す比較用の現像装置Zではトナー電流検出部Cによりトナー電流を精度よく検出できなかったが、
図3に示す本実施形態の現像装置30ではトナー電流検出部Cによりトナー電流を精度よく検出できたことが確認された。その結果、
図3に示す本実施形態の現像装置30が、比較用の現像装置Zに対して追加した部材である第1抵抗30gと第2抵抗30hとによって、キャパシタ成分と抵抗成分とに起因した充放電電流を効果的に相殺できたと推定できる。
【0083】
以上、図面(
図1~
図6)を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、現像装置、及び画像形成装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0085】
3 画像形成部
34 感光体ドラム(潜像担持体)
30 現像装置
30b 現像スリーブ(トナー担持体)
30d 第1電流検出部
30e 第2電流検出部
30g 第1抵抗
30h 第2抵抗
30i キャパシタ
30j 第3抵抗
30k 現像領域
30m 第4抵抗
100 画像形成装置
A 第1接続部
B 第2接続部
C トナー電流検出部