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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】中和装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/66 20230101AFI20230322BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20230322BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20230322BHJP
【FI】
C02F1/66 530G
C02F1/66 510R
C02F1/66 522B
C02F1/66 530C
C02F1/66 530L
C02F1/66 530Q
B01F23/23
B01F25/40
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019017481
(22)【出願日】2019-02-01
(65)【公開番号】P2020124657
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 啓
(72)【発明者】
【氏名】吉田 有香
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-040288(JP,A)
【文献】特開2014-054615(JP,A)
【文献】特開昭49-025764(JP,A)
【文献】特開2011-031210(JP,A)
【文献】特開昭51-122955(JP,A)
【文献】特開昭49-104459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/66- 1/68
B01F 21/00- 25/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口から排出口に向かって廃水が流れる流路の一部に二酸化炭素を供給する第1バブリング部と、
前記流路における前記第1バブリング部の供給箇所より前記排出口側に、前記第1バブリング部による供給量より少量の二酸化炭素を供給する第2バブリング部と、
前記流路内に設けられる1つのpHセンサと、
前記pHセンサの測定値に基づき、前記第1バブリング部および前記第2バブリング部によって供給される二酸化炭素の量を制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、前記第1バブリング部による前記二酸化炭素の供給量が最大に到達したら、前記第2バブリング部による二酸化炭素の供給を開始する中和装置。
【請求項2】
前記pHセンサは、前記第1バブリング部の供給箇所と前記第2バブリング部の供給箇所との間、または、前記第2バブリング部の供給箇所と前記排出口との間に設けられる請求項1に記載の中和装置。
【請求項3】
前記第1バブリング部および前記第2バブリング部のいずれにも接続された二酸化炭素ボンベを備える請求項1または2に記載の中和装置。
【請求項4】
前記第1バブリング部および前記第2バブリング部は、前記流路を流れる前記廃水に、平均粒径が2.5mm以下の二酸化炭素の泡を供給する請求項1からのいずれか1項に記載の中和装置。
【請求項5】
前記流入口は、前記排出口より上方に位置する請求項1から4のいずれか1項に記載の中和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高いpH(水素イオン指数)の廃水をそのまま放流することは、法律で禁じられている。このため、高いpHの廃水を中和して、放流基準値までpHを低下させる必要がある。高いpHの廃水は、セメントと水とを接触させた結果生じる廃水等である。
【0003】
上記廃水を中和する技術として、廃水中に希硫酸を導入する技術が開発されている。しかし、希硫酸は、相対的に粘性が高く、拡散速度が遅いため、高機能な攪拌装置が必要となる。また、希硫酸の取り扱いには、特定化学物質等作業主任者が必要であったり、労働基準監督署や消防署への届出が必要であったりするため、使用者にとって制約が多い。
【0004】
そこで、エジェクタを用いて廃水に二酸化炭素を導入する中和装置が開発されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4430204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記中和装置において、効率よく廃水を中和することができる技術の開発が希求されている。
【0007】
本開示は、このような課題に鑑み、廃水を効率よく中和することが可能な中和装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る中和装置は、流入口から排出口に向かって廃水が流れる流路の一部に二酸化炭素を供給する第1バブリング部と、流路における第1バブリング部の供給箇所より排出口側に、第1バブリング部による供給量より少量の二酸化炭素を供給する第2バブリング部と、流路内に設けられる1つのpHセンサと、pHセンサの測定値に基づき、第1バブリング部および第2バブリング部によって供給される二酸化炭素の量を制御する制御部と、を備え、制御部は、第1バブリング部による二酸化炭素の供給量が最大に到達したら、第2バブリング部による二酸化炭素の供給を開始する。
【0010】
また、pHセンサは、第1バブリング部の供給箇所と第2バブリング部の供給箇所との間、または、第2バブリング部の供給箇所と排出口との間に設けられてもよい。
【0011】
また、第1バブリング部および第2バブリング部のいずれにも接続された二酸化炭素ボンベを備えてもよい。
【0012】
また、第1バブリング部および第2バブリング部は、流路を流れる廃水に、平均粒径が2.5mm以下の二酸化炭素の泡を供給してもよい。
【0013】
また、流入口は、排出口より上方に位置してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、効率よく廃水を中和することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態の中和装置を説明する図である。
図2】第1の実施形態の中和方法の処理の流れを説明するフローチャートである。
図3】第2の実施形態の中和装置を説明する図である。
図4】第3の実施形態の中和装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
[第1の実施形態:中和装置100]
図1は、第1の実施形態の中和装置100を説明する図である。図1に示すように、中和装置100は、二酸化炭素ボンベ110と、第1バブリング部120と、第2バブリング部130と、pHセンサ140と、制御部150とを含む。なお、図1中、実線の矢印は廃水の流れを示す。また、図1中、破線の矢印は信号の流れを示す。
【0018】
二酸化炭素ボンベ110は、高圧圧縮された二酸化炭素を貯留する。二酸化炭素ボンベ110には、第1バブリング部120および第2バブリング部130のいずれにも接続される。
【0019】
第1バブリング部120および第2バブリング部130は、流路102の一部に、平均粒径(平均の気泡径)が2.5mm以下の二酸化炭素の泡を供給する。第1バブリング部120および第2バブリング部130は、流路102を流れる廃水に、好ましくは、平均粒径が1mm未満の二酸化炭素の泡を供給する。
【0020】
また、本実施形態において、第2バブリング部130は、第1バブリング部120による供給量より少量の二酸化炭素を供給する。
【0021】
流路102は、廃水が流れる通路である。流路102は、流入口102aと、排出口102bとが設けられる。本実施形態において、流入口102aが、排出口102bより上方(鉛直方向の上方)に位置するように流路102が形成される。詳細に説明すると、流入口102aの下端が、排出口102bの下端より上方に位置するように流路102が形成される。したがって、廃水は、自重で流入口102aから排出口102bに向かって流路102内を流れる。
【0022】
第1バブリング部120は、散気板122と、接続管124と、流量調整弁126とを含む。散気板122は、流路102の底面に設けられる。散気板122は、多孔質体で構成される。多孔質体は、樹脂、ガラス、セラミック、金属、軽石で構成される。
【0023】
接続管124は、二酸化炭素ボンベ110と散気板122とを接続する。流量調整弁126は、接続管124に設けられる。流量調整弁126は、後述する制御部150によって開度が調整される。制御部150による流量調整弁126の開度調整については、後に詳述する。
【0024】
第2バブリング部130は、散気板132と、接続管134と、流量調整弁136とを含む。散気板132は、流路102における散気板122の設置箇所より排出口102b側に設けられる。散気板132は、散気板122と同様に、多孔質体で構成される。
【0025】
接続管134は、二酸化炭素ボンベ110と散気板132とを接続する。流量調整弁136は、接続管134に設けられる。流量調整弁136は、制御部150によって開度が調整される。制御部150による流量調整弁136の開度調整については、後に詳述する。
【0026】
したがって、制御部150によって流量調整弁126が開弁されると、第1バブリング部120は、流路102を流れる廃水に二酸化炭素を供給することになる。また、制御部150によって流量調整弁136が開弁されると、第2バブリング部130は、流路102における第1バブリング部120の供給箇所(散気板122)より排出口102b側を流れる廃水に二酸化炭素を供給することになる。
【0027】
pHセンサ140は、第1バブリング部120の供給箇所と、第2バブリング部130の供給箇所との間に設けられる。つまり、pHセンサ140は、散気板122と散気板132との間を流れる廃水のpHを測定する。
【0028】
制御部150は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。制御部150は、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。制御部150は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して中和装置100全体を管理および制御する。制御部150は、pHセンサ140の測定値に基づき、第1バブリング部120および第2バブリング部130によって供給される二酸化炭素の量を制御する。本実施形態において、制御部150は、pHセンサ140の測定値に基づき、流量調整弁126および流量調整弁136の開度を調整する。
【0029】
[中和方法]
続いて、上記中和装置100を用いた廃水の中和方法について説明する。図2は、第1の実施形態の中和方法の処理の流れを説明するフローチャートである。図2に示すように、本実施形態にかかる中和方法は、第1全開判定処理S110と、第1開度調整処理S120と、第2全閉判定処理S130と、第2開度調整処理S140とを含む。以下、各処理について説明する。
【0030】
[第1全開判定処理S110]
制御部150は、第1バブリング部120の流量調整弁126が全開であるか否かを判定する。その結果、流量調整弁126が全開ではないと判定した場合(S110におけるNO)、制御部150は、第1開度調整処理S120に処理を移す。一方、流量調整弁126が全開であると判定した場合(S110におけるYES)、制御部150は、第2全閉判定処理S130に処理を移す。
【0031】
[第1開度調整処理S120]
制御部150は、pHセンサ140の測定値が目標値となるように、第1バブリング部120の流量調整弁126の開度を調整する。なお、目標値は、放流基準値以下の所定の値である。
【0032】
[第2全閉判定処理S130]
制御部150は、第2バブリング部130の流量調整弁136が全閉であるか否かを判定する。その結果、流量調整弁136が全閉ではないと判定した場合(S130におけるNO)、制御部150は、第2開度調整処理S140に処理を移す。一方、流量調整弁136が全閉であると判定した場合(S130におけるYES)、制御部150は、第1全開判定処理S110に処理を移す。
【0033】
[第2開度調整処理S140]
制御部150は、pHセンサ140の測定値と目標値との差分に基づき、排出口102bに到達する廃水のpHが目標値となるように、第2バブリング部130の流量調整弁136の開度を調整する。
【0034】
以上説明したように、本実施形態にかかる中和装置100およびこれを用いた中和方法は、第1バブリング部120および第2バブリング部130を備える。中和装置100を備えた流路102を流れる廃水のpHは、上流側の方が下流側よりも高い。したがって、本実施形態の第1バブリング部120は、第2バブリング部130よりも大量の二酸化炭素を供給する。つまり、第1バブリング部120のみで廃水を中和できる(廃水のpHを目標値にできる)場合、制御部150は、第1バブリング部120の流量調整弁126の開度のみを制御する。一方、第1バブリング部120に加えて第2バブリング部130を用いなければ廃水を中和できない場合、制御部150は、第1バブリング部120の流量調整弁126を全開にし、第2バブリング部130の流量調整弁136の開度を調整する。これにより、中和装置100は、効率よく廃水を中和することができる。
【0035】
また、上記したように、中和装置100は、pHセンサ140および制御部150を備える。これにより、中和装置100は、排出口102bから排出される廃水のpHを確実に目標値とすることが可能となる。また、中和装置100は、過剰の二酸化炭素を廃水に供給してしまう事態を回避することができる。したがって、中和装置100は、二酸化炭素を無駄に消費することなく、廃水を中和することが可能となる。
【0036】
また、第1バブリング部120と、第2バブリング部130とが、容量は同じものの異なる二酸化炭素ボンベ110に接続される比較例では、第1バブリング部120に接続される二酸化炭素ボンベ110と、第2バブリング部130に接続される二酸化炭素ボンベ110とで、交換頻度にバラツキが生じる。詳細に説明すると、第1バブリング部120に接続される二酸化炭素ボンベ110は、第2バブリング部130に接続される二酸化炭素ボンベ110よりも交換頻度が高くなる。したがって、比較例は、作業者の作業負担が大きくなってしまうという問題がある。一方、上記したように、本実施形態の中和装置100は、第1バブリング部120および第2バブリング部130が、1の二酸化炭素ボンベ110に接続される。これにより、比較例と比較して、二酸化炭素ボンベ110の交換頻度を低減することができる。したがって、中和装置100は、作業者の作業負担を低減することが可能となる。
【0037】
また、上記したように、第1バブリング部120および第2バブリング部130は、平均粒径が2.5mm以下の二酸化炭素の泡(マイクロバブルまたはナノバブルを含む)を廃水に供給する。したがって、第1バブリング部120および第2バブリング部130は、エジェクタや噴流装置によって二酸化炭素を導入する従来技術(以下、「エジェクタの従来技術」という)と比較して、廃水における二酸化炭素の滞留時間を長くすることが可能となる。つまり、中和装置100は、廃水と二酸化炭素の接触時間を長くすることができる。したがって、中和装置100は、廃水への二酸化炭素の溶解効率を向上させることが可能となる。これにより、中和装置100は、廃水を連続して、効率よく中和することができる。
【0038】
また、第1バブリング部120および第2バブリング部130は、エジェクタの従来技術と比較して、二酸化炭素の比表面積を大きくすることができる。このため、中和装置100は、廃水への二酸化炭素の溶解効率を向上させることが可能となる。
【0039】
また、中和装置100は、エジェクタの従来技術と比較して、廃水の中和に要する時間を著しく短縮することが可能となる。しがって、中和装置100は、エジェクタの従来技術と比較して、少量の二酸化炭素で中和反応を行うことができる。このため、中和装置100は、中和のために要する二酸化炭素のコストを低減することが可能となる。
【0040】
また、上記したように、流入口102aは、排出口102bより上方に位置するように流路102が形成される。これにより、流路102は、廃水を自重で流入口102aから排出口102bに向かって流すことができる。したがって、流路102は、ポンプ等の駆動機構を利用せずとも、廃水を流入口102aから排出口102bに向かって流すことが可能となる。
【0041】
[第2の実施形態:中和装置200]
上記第1の実施形態において、pHセンサ140が第1バブリング部120の供給箇所と第2バブリング部130の供給箇所との間に設けられる構成を例に挙げた。しかし、pHセンサは、流路102内に設けられれば、設置位置に限定はない。
【0042】
図3は、第2の実施形態の中和装置200を説明する図である。図3に示すように、中和装置200は、二酸化炭素ボンベ110と、第1バブリング部120と、第2バブリング部130と、pHセンサ240と、制御部150とを含む。なお、図3中、実線の矢印は廃水の流れを示す。また、図3中、破線の矢印は信号の流れを示す。
【0043】
なお、上記中和装置100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
pHセンサ240は、第2バブリング部130の供給箇所と、排出口102bとの間に設けられる。つまり、pHセンサ240は、散気板132と排出口102bとの間を流れる廃水のpHを測定する。
【0045】
また、第2の実施形態では、第2開度調整処理S140において、制御部150は、pHセンサ240の測定値が目標値となるように、流量調整弁136の開度を調整する。
【0046】
以上説明したように、中和装置200は、pHセンサ240および制御部150を備える。これにより、中和装置200は、排出口102bから排出される廃水のpHを確実に目標値とすることが可能となる。また、中和装置200は、過剰の二酸化炭素を廃水に供給してしまう事態を回避することができる。したがって、中和装置200は、二酸化炭素を無駄に消費することなく、廃水を中和することが可能となる。
【0047】
[第3の実施形態:中和装置300]
上記第1の実施形態および第2の実施形態において、1の二酸化炭素ボンベ110に第1バブリング部120および第2バブリング部130が接続される場合を例に挙げた。しかし、中和装置が備える二酸化炭素ボンベ110の数に限定はない。
【0048】
図4は、第3の実施形態の中和装置300を説明する図である。図3に示すように、中和装置300は、二酸化炭素ボンベ110A、110Bと、第1バブリング部120と、第2バブリング部130と、pHセンサ140と、制御部350と、360とを含む。なお、図4中、実線の矢印は廃水の流れを示す。また、図4中、破線の矢印は信号の流れを示す。
【0049】
なお、上記中和装置100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
第1バブリング部120の接続管124は、二酸化炭素ボンベ110Aと散気板122とを接続する。また、第2バブリング部130の接続管134は、二酸化炭素ボンベ110Bと散気板132とを接続する。二酸化炭素ボンベ110Aは、二酸化炭素ボンベ110Bよりも容量が大きい。
【0051】
制御部350、360は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。制御部350、360は、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。制御部350は、pHセンサ140の測定値に基づき、第1バブリング部120によって供給される二酸化炭素の量(流量調整弁126の開度)を制御する。制御部360は、pHセンサ140の測定値に基づき、第2バブリング部130によって供給される二酸化炭素の量(流量調整弁136の開度)を制御する。
【0052】
以上説明したように、中和装置300は、第1バブリング部120に接続される二酸化炭素ボンベ110Aの容量が、第2バブリング部130に接続される二酸化炭素ボンベ110Bよりも大きい。これにより、容量は同じものの異なる二酸化炭素ボンベ110に接続される比較例と比較して、二酸化炭素ボンベ110Aの交換頻度を低減することができる。したがって、中和装置300は、作業者の作業負担を低減することが可能となる。
【0053】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0054】
例えば、上記実施形態において、中和装置100、200、300が、第1バブリング部120および第2バブリング部130を備える構成を例に挙げた。しかし、バブリング部の数に限定はない。例えば、中和装置は、3以上のバブリング部を備えてもよい。
【0055】
また、上記実施形態において、流量調整弁126を全開にする場合を例に挙げて説明した。しかし、第1バブリング部120は、第2バブリング部130よりも大量の二酸化炭素を供給できれば、流量調整弁126の開度に限定はない。
【0056】
また、上記実施形態において、第1バブリング部120および第2バブリング部130は、散気板122、132を備える構成を例に挙げた。しかし、第1バブリング部120および第2バブリング部130は、散気板122、132に代えて、散気管を備えてもよい。
【0057】
また、上記実施形態において、中和装置100、200、300が二酸化炭素ボンベ110、110A、110Bを備える構成を例に挙げた。このように、中和装置100、200、300が、二酸化炭素ボンベ110、110A、110Bを備えることにより、第1バブリング部120および第2バブリング部130は、ポンプを用いずとも二酸化炭素を圧送することができる。しかし、中和装置100、200、300は、二酸化炭素ボンベ110、110A、110Bに代えて、大気圧の二酸化炭素、または、圧縮率の低い二酸化炭素を貯留した貯留部、または、大気圧の二酸化炭素、または、圧縮率の低い二酸化炭素を生成する生成装置を備えてもよい。この場合、第1バブリング部120および第2バブリング部130は、ポンプを含んで構成され、ポンプを駆動して、貯留部または生成装置から接続管124、134(散気板122、132)へ二酸化炭素を圧送するとよい。
【0058】
また、上記実施形態において、第1バブリング部120および第2バブリング部130が、平均粒径が2.5mm以下の二酸化炭素の泡を供給する場合を例に挙げた。しかし、第1バブリング部120および第2バブリング部130が供給する二酸化炭素の粒径に限定はない。
【0059】
また、上記実施形態において、流路102の流入口102aは、排出口102bより上方に位置する場合を例に挙げた。しかし、流入口102aおよび排出口102bの位置に限定はない。例えば、流入口102aは、排出口102bより下方に位置してもよい。この場合、中和装置100、200、300は、流入口から排出口に向かって流路内に廃水を流すポンプを備えるとよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示は、中和装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
100 中和装置
102 流路
102a 流入口
102b 排出口
110 二酸化炭素ボンベ
120 第1バブリング部
130 第2バブリング部
140 pHセンサ
150 制御部
200 中和装置
240 pHセンサ
300 中和装置
350 制御部
360 制御部
図1
図2
図3
図4