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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】埋設物用RFタグ検出システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/59 20060101AFI20230322BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20230322BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20230322BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20230322BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20230322BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20230322BHJP
   G01V 15/00 20060101ALI20230322BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20230322BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230322BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
H04B1/59
H04B5/02
H01Q7/00
H01Q21/24
G06K19/07 090
G06K19/07 040
G06K19/077 296
G06K19/077 264
G06K19/077 240
G01V15/00
H02J50/40
H02J50/10
H02J7/00 301D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019035864
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020141278
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田崎 陽治
(72)【発明者】
【氏名】小倉 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】中田 庸
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/183662(WO,A1)
【文献】特開2003-035782(JP,A)
【文献】特開2011-221783(JP,A)
【文献】特開2008-058219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/00
H04B 1/30
H04B 1/59
H04B 1/72
H04B 11/00-13/02
G01V 1/00-99/00
G06K 19/00-19/18
H02J 50/00-50/90
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01Q 3/00-3/46
H01Q 21/00-25/04
H01Q 5/00-11/20
H04B 5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋設物に付随するRFタグを検出する埋設物用RFタグ検出システムであって、
埋設物用RFタグと、
前記埋設物用RFタグを地上から検出する検出装置を有し、
前記埋設物用RFタグは、100kHz~500kHzの駆動用エネルギー及び制御信号を電磁誘導方式で受信する受電コイルと、100MHz~1GHzの応答信号を電波方式で送信する送信アンテナと、前記受電コイルと電気的に接続されて前記駆動用エネルギーを蓄電する蓄電装置と、前記受電コイル及び前記送信アンテナ及び前記蓄電装置に電気的に接続されて前記蓄電装置から供給された電力を利用して前記制御信号に基づいて前記応答信号を前記送信アンテナから送信させる制御回路を備え
前記検出装置は、100kHz~500kHzの駆動用エネルギー及び制御信号を前記埋設物用RFタグに送信する給電コイルと、前記埋設物用RFタグからの前記応答信号を受信する受信アンテナを有する埋設物用RFタグ検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の埋設物用RFタグ検出システムであって、
前記検出装置は、前記受信アンテナを複数個有し、前記複数の受信アンテナが相互に離間して配置されている埋設物用RFタグ検出システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の埋設物用RFタグ検出システムであって、
前記受電コイルは、
所定方向をX方向、前記X方向に直交する方向をY方向、前記X方向及び前記Y方向の双方に直交する方向をZ方向とした場合、
前記X方向に延びるX軸回りに導電線が巻回されたX軸用受電コイルと、
前記Y方向に延びるY軸回りに導電線が巻回されたY軸用受電コイルと、
前記Z方向に延びるZ軸回りに導電線が巻回されたZ軸用受電コイル
を含む埋設物用RFタグ検出システム
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の埋設物用RFタグ検出システムであって、
前記埋設物用RFタグは、導電体で形成されて前記送信アンテナからの送信を補う補助アンテナを有し、
前記補助アンテナと前記送信アンテナとが互いに非接触である埋設物用RFタグ検出システム
【請求項5】
請求項に記載の埋設物用RFタグ検出システムであって、
前記補助アンテナが前記埋設物用RFタグから地上に向けて延出するように配設される埋設物用RFタグ検出システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋設物を地上から検出するために埋設物に取り付けられる埋設物用RFタグ、及び該埋設物用RFタグを用いた埋設物用RFタグ検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
わが国では、高度経済成長期に社会インフラ(公共設備)の整備が急速に進んだ。しかし、今後、社会インフラの老朽化が急速に進行することが予測される。例えば、2033年には河川管理施設の約64%、港湾岸壁の約58%が建設後50年以上経過した状態となる(非特許文献1)。社会インフラが老朽化することに伴い危険性が増大する。そのため、それを維持・管理するための費用の増加も問題視されている。この問題を解決するため、ICT技術(情報通信技術)の応用による効率的かつ効果的な社会インフラの管理が国策として推進されている(非特許文献2)。
【0003】
社会インフラと言っても、地上に存在しているダムや防波堤であれば、複雑化された構造物であっても対処はそれ程難しくない。一方、地中に埋設された埋設物である上下水道、ガス、電気、通信用の社会インフラは、相互に複雑化された状態で張り巡らせられている。そのため、埋設物の埋設状況を正確に把握できていないことが大きな問題になっている。例えば、新たな社会インフラ設備を地中に埋設しようとした際に、既存の埋設物の位置が想定と異なっている場合がある。この場合、新たな設備の埋設予定地に既存の埋設物が存在することが着工後に判明する。その結果、埋設物の配置の再検討を余儀なくされる等の問題事例が現実に山ほど存在する。
【0004】
社会インフラの埋設状況を正確に把握するため、RFタグ(RFID)を利用した埋設物の検出システムの開発がかねてより進められている(例えば、特許文献1、2)。埋設物用RFタグは、設置後の自然放電により作動不能に陥る恐れがある電池電源を備えるアクティブ型を用いることはできない。そのためRFタグは、作動電力を外部給電によって得るパッシブ型にする必要がある。しかし、地上の検出装置から地中のRFタグに無線で電力を供給する際、水分を含む岩石や土砂等の介在物によって影響を受けやすいという問題が存在する。
【0005】
電磁誘導方式の給電の場合、到達可能深度は周波数に依存するために、使用する周波数に応じた限界が生じてしまう。さらに到達深度の範囲内においても介在物により影響を受けるため、RFタグの深度が深くなるほど給電効率は低下する。一方、電波方式の給電の場合、到達可能深度は電磁誘導方式よりも伸びる。しかし電波方式は、介在物の影響を大きく受けるためRFタグの作動に必要な電力量を供給することが困難になる。そのため従来の検出システムにおける検出深度は約0.6m前後を基準に想定されている。しかし現在の社会インフラ構築コンセプトは、より深い深度に至る地下空間の高度利用を前提としている。そのため従来の検出システムは、検出可能深度を超えており、適用することが難しい。
【0006】
検出可能深度を改善する様々な方法が開発されている。特許文献3には、検出装置のアンテナを回転させてRFタグに対して最適な位置及び角度に調節することにより、通信距離を最大限に伸ばす方法が開示されている。特許文献4には、地表付近に恒常的に設置した標柱を介してRFタグに対して給電を兼ねた通信を行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-099946号公報
【文献】特開2003-035782号公報
【文献】特開2011-221783号公報
【文献】特開2008-058219号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】国土交通省,「平成27年度 国土交通白書-第1章第2節:経済動向と社会インフラ整備」,第15~44頁,2016年6月10日公表
【文献】総務省,「平成29年版 情報通信白書-第3章第5節:第4次産業革命の総合分析」,第154~169頁,2017年7月公表
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし特許文献3に記載の方法による検出可能深度の向上は十分ではない。特許文献4に記載の方法は、設置した標柱そのものが今後のインフラ設置の障害となる可能性があるため、特許文献4に記載の方法も好ましくない。
【0010】
そのため、地中の比較的深い場所でも地上からの無線給電を受けかつ効果的に地中から地上へ応答信号を送信できる埋設物用RFタグが従来必要とされている。あるいは地下埋設物に付随するRFタグを的確に検出できる埋設物用RFタグ検出システムが従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、地中における電波減衰についての特有の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、地中へ低周波数電磁帯でより大きなエネルギーを送り、そのエネルギーを用いて高周波電波をより高出力で補助アンテナから地上に送り返すことによって、埋設物に付設された送信用のアンテナが小さくとも、上記の課題を解決することの知見を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明に開示される特徴は下記の通りである。
【0012】
本開示の1つの特徴は、埋設物に付随される埋設物用RFタグを検出する埋設物用RFタグ検出システムに関する。埋設物用RFタグ検出システムは、埋設物用RFタグと、埋設物用RFタグを地上から検出する検出装置を有する。埋設物用RFタグは、受電コイルと、送信アンテナと、蓄電装置と、制御回路を有する。受電コイルは、100kHz~500kHzの駆動用エネルギー及び制御信号を電磁誘導方式で受信する。送信アンテナは、100MHz~1GHzの応答信号を電波方式で送信する。蓄電装置は、受電コイルと電気的に接続されており駆動用エネルギーを蓄電する。制御回路は、受電コイル及び送信アンテナ及び蓄電装置に電気的に接続されており、蓄電装置から供給された電力を利用して制御信号に基づいて応答信号を送信アンテナから送信させる。検出装置は、給電コイルと受信アンテナを有する。給電コイルは、100kHz~500kHzの駆動用エネルギー及び制御信号を埋設物用RFタグに送信する。受信アンテナは、埋設物用RFタグからの応答信号を受信する。なお、本明細書において数値範囲を示す「○○~△△」の記載は、上限及び下限を含む数値範囲を意味する。つまり、「○○~△△」は「○○以上かつ△△以下」を意味する。
【0013】
したがって受電コイルが受信する周波数は介在物の影響が少ない100kHz~500kHzである。そのため磁界の範囲内であれば駆動用エネルギー及び制御信号を効率良く受信できる。送信アンテナの送信周波数は比較的介在物を透過しやすい100MHz~1GHzである。そのため効率良く応答信号を送信できる。駆動用エネルギー及び制御信号の周波数帯と応答信号の周波数帯は相互に重複していない。そのため両者が混信する恐れが少ないまたは無く、応答信号の送信中も駆動用エネルギー及び制御信号の受信が可能である。
【0014】
本開示の他の特徴によると、受電コイルはX軸用受電コイルと、Y軸用受電コイルと、Z軸用受電コイルを含む。所定方向をX方向、X方向に直交する方向をY方向、X方向及びY方向の双方に直交する方向をZ方向とした場合、X軸用受電コイルは、X方向に延びるX軸回りに導電線が巻回されている。Y軸用受電コイルは、Y方向に延びるY軸回りに導電線が巻回されている。Z軸用受電コイルは、Z方向に延びるZ軸回りに導電線が巻回されている。したがってX軸用受電コイルは、X方向の磁界成分に対して駆動用エネルギー及び制御信号を効率良く受信できる。Y軸用受電コイル及びZ軸用受電コイルはそれぞれY方向及びZ方向の磁界成分に対して駆動用エネルギー及び制御信号を効率良く受信できる。これにより受電コイルは種々の方向の磁界成分に対して駆動用エネルギー及び制御信号を効率良く受信できる。
【0015】
本開示の他の特徴によると、埋設物用RFタグは、導電体で形成されて送信アンテナからの送信を補う補助アンテナを有する。補助アンテナと送信アンテナとが互いに非接触である。したがって応答信号の送信効率を向上できる。
【0016】
本開示の他の特徴によると、補助アンテナは埋設物用RFタグから地上に向けて延出するように配設される。したがって応答信号の発信深度が浅くなる。その結果、介在物による応答信号の減衰を抑制できるため、応答信号の送信効率を向上できる。
【0018】
本開示の他の特徴によると、検出装置は受信アンテナを複数個有する。複数の受信アンテナは、相互に離間して配置されている。したがって応答信号を効率良く受信できる。また、それぞれの受信アンテナによる応答信号の受信状態の差を解析することにより、RFタグの位置を特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1に係るRFタグ検出システムの概略図である。
図2】RFタグ検出システムのブロック図である。
図3】RFタグの斜視図である。
図4】タグ本体の斜視図である。
図5】RFタグ検出システムの動作を示すフローチャートである。
図6】実施形態2に係るRFタグの平面図である。
図7】埋設物に取り付けられたRFタグを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を用いて本発明の実施形態1を説明する。図1に示すように埋設物用のRFタグ検出システム1は、地中の埋設物2に付随される埋設物用のRFタグ10を検出することで、埋設物2の位置や情報を地上から把握するために用いられる。RFタグ検出システム1は、RFタグ(RFID)10と、検出装置50とを有する。RFタグ10は、地中に埋設された埋設物2に取り付けられている。埋設物2としては、社会インフラである公共設備が挙げられる。公共設備は、例えば上水道、下水道、電気、ガス、通信等の管路がある。あるいはRFタグ10は、埋設物2に付随する部分に間接的に取付けられる。付随する部分は、例えば管路の分岐や結合部、マンホール等の導入部、配管を配置するための配管スペース、管路に設けられる流量計や圧力計等の計装機器である。
【0021】
図1,2に示すように検出装置50は、地上に移動可能に配置される。検出装置50は、ディスプレイ等の表示装置54と入力装置52を有する。入力装置52は、例えばキーボードやスイッチ、タッチパネルである。検出装置50は、さらにGPS等の位置情報検出装置56と電流・信号送受信装置58を有する。電流・信号送受信装置58の稼働状態や位置情報検出装置56が検出した検出装置50の位置情報等が表示装置54に表示される。作業者は、表示装置54に表示された情報を確認しながら、入力装置52を操作する。入力装置52の操作に基づいて電流・信号送受信装置58が駆動用エネルギーや制御信号をRFタグ10へ発信する。
【0022】
図1,2に示すように電流・信号送受信装置58は、給電コイル60及び受信アンテナ62を有する。給電コイル60は、駆動用エネルギー及び制御信号を電磁誘導方式で送信するために円環状に巻き回されたコイルを有する。給電コイル60は、銅線等の導電線で構成される。コイルの巻き数は、1周以上であり、例えば10周以上である。給電コイル60は、その軸方向を鉛直方向に向けた状態で、地面から0~1m程度の距離だけ離れた位置に設置される。給電コイル60には、電流・信号送受信装置58から電流及び信号が供給される。給電コイル60に電流が流されることにより、駆動用エネルギー及び制御信号を送信するための磁界が給電コイル60の周囲に発生する。
【0023】
図1,2に示す給電コイル60は、数W~数十W程度の比較的小電力で磁界を発生できる。磁界を発生させるために給電コイル60に流される電流の周波数は、100kHz~500KHzである。周波数を500kHzより高くすると土砂中の水分による減衰が多くなる。給電コイル60は、地面からコイルのおよそ半径分の距離において磁界をとりわけ有効に提供できる。そのため給電コイル60の直径は、RFタグ10を検出する深度に応じて変更可能であり、例えば5cm~2mである。制御信号は、交信準備開始信号、データ要求信号、データ書き込み信号等を含む。
【0024】
図1,2に示す受信アンテナ62は、例えば円環状に巻回されたコイル状アンテナや、ポール状のアンテナである。受信アンテナ62がコイル状アンテナである場合、コイルの巻き数は、例えば1周以上である。受信アンテナ62は、特定の電磁場に曝されることにより、特定の周波数、振幅、波長の電流が発生し、かかる電流を応答信号として受信できる。受信アンテナ62は、給電コイル60に供給される電流の周波数と異なる100MHz~1GHzの周波数の受信に特化している。これにより応答信号が駆動用エネルギーや制御信号と混信する可能性が小さくなる効果がある。ここで、応答信号の送信周波数は、受信周波数に比してより減衰しやすい周波数帯であるが、上記の通り給電コイルから十分に高いエネルギーを供給されているため応答信号の減衰が問題となることはない。なお、給電コイル60は受信アンテナ62を兼ねるように構成されてもよい。
【0025】
図1,2に示す受信アンテナ62は、鉛直方向に向け、地面から0~1m程度の距離だけ離れた位置に設置される。電流・信号送受信装置58は、受信アンテナ62を1つのみ有していても良いし、受信アンテナ62を複数有していても良い。複数の受信アンテナ62を有する場合は、受信アンテナ62は、相互に5cm~1m離間し、地面に対して互いに異なる角度で設置する。これによりRFタグ10が発する様々な角度の電磁波を受信できる。複数の受信アンテナ62を有することで、埋設物2の深度、距離等の埋設位置を特定することもできる。すなわち異なる場所に埋設された埋設物2が発信した電磁波を複数の受信アンテナ62で受信する。それぞれの受信アンテナ62における電磁波の受信状態に差が生じる。この受信状態の差を解析することで埋設物2の深度、距離等の埋設位置を特定できる。
【0026】
図2に示すように電流・信号送受信装置58は、制御回路64、給電・送信回路66及び受信回路68を有する。制御回路64は、例えばCPU等の電子回路を備える。制御回路64は、入力装置52から受領した指示に基づいて、給電・送信回路66を介して給電コイル60から駆動用エネルギー及び制御信号を供給する。
【0027】
図2に示すように給電・送信回路66は、制御回路64からの信号に基づいて特定の周波数、振幅、波長の電流を給電コイル60に供給する。受信回路68は、受信アンテナ62から受けた電流を解析して信号を抽出し、制御回路64に送信する。制御回路64は、受信回路68から受信した信号を解析し、表示装置54に表示するための信号を発信する。電流・信号送受信装置58は、制御回路64等に電力を供給する電源70も有する。
【0028】
図3に示すようにRFタグ10は、RFタグ本体12とRFタグ本体12を収容する保護ケース22を有する。図4に示すようにRFタグ本体12は、制御部14及び収容部16を有する。制御部14は、扁平な直方体状であり、送信アンテナ18や各種回路を有する。収容部16は、中空の扁平な直方体状であり、後端(図4における-X方向)が開口している。制御部14は、収容部16の開口から収容部16内に収容される。制御部14及び収容部16は、電磁波が透過しやすい材料で形成されることが好ましい。例えば制御部14及び収容部16は、ABS樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等で形成されることが好ましい。
【0029】
図4に示すように送信アンテナ18は、例えば、電子回路基板の平面上にプリントした数cm程度のアンテナにて実現することが可能である。そのため、図4に示すように送信アンテナ18を制御部14と一体化することが容易である。送信アンテナ18は、制御部14と導電線にてあるいは制御部14の基板に一体化されて電気的に接続される。図2に示すように送信アンテナ18は、送信回路42を介して制御回路32に接続される。
【0030】
図2に示すように制御回路32が送信回路42に信号を発信する。送信回路42は、制御回路32からの信号に基づいて特定の周波数、振幅、波長の電流を送信アンテナ18に供給する。これにより送信アンテナ18周囲に電場または磁場が発生し、特定の電磁波を応答信号として発信する。この際の電磁波の周波数は、100MHz~1GHzである。周波数を100MHzより小さくすると、より大型の送信アンテナ18が必要になるため好ましくない。周波数を1GHzより高くすると、電磁波が介在物を透過しにくいので、あまり好ましくない。応答信号は、交信準備完了信号、ID番号、データ信号等を含む。ID番号は、それぞれのRFタグ10に固有の番号であり、複数のRFタグ10を互いに識別するために用いられる。
【0031】
図4に示すように収容部16の外表面に受電コイル20が設けられる。受電コイル20は、銅線等の導電線で構成される。受電コイル20は、検出装置50が発生した磁界に曝されることにより、特定の周波数、振幅、波長の電流を発生し、かかる電流を制御信号及び駆動用エネルギーとして受信できる。受電コイル20が受信する制御信号及び駆動用エネルギーの周波数は、100kHz~500kHzである。
【0032】
図4に示すように受電コイル20は、X方向に延びるX軸回りに導電線が巻回されているX軸用受電コイル20Xと、X方向に直交するY方向に延びるY軸回りに導電線が巻回されているY軸用受電コイル20Yと、X方向及びY方向の双方に直交するZ方向に延びるZ軸回りに導電線が巻回されているZ軸用受電コイル20Zを有する。各受電コイル20X、20Y,20Zはシート状に形成されている。X軸用受電コイル20Xは、収容部16の前面16Xに配置される。Y軸用受電コイル20Yは、収容部16の左側面16Yに配置される。Z軸用受電コイル20Zは、収容部16の上面16Zに配置される。これにより各受電コイル20X、20Y,20Zは、相互に直交する方向に向けられる。3つの受電コイル20X、20Y,20Zを有するために受電コイル20は、種々の方向の磁界成分に対して駆動用エネルギー及び制御信号を効率良く受信できる。例えば図1を参照するように検出装置50が真上に存在しておらず、受電コイル20が斜め方向から磁界に曝される場合がある。このような場合でも、受電コイル20は、検出装置50が発した磁界成分に対して駆動用エネルギー及び制御信号を効率良く受信できる。
【0033】
図3に示すように保護ケース22は、例えば直方体状であり、タグ本体12を密閉状態で収納する。保護ケース22は、防水性を有する材料で形成される。これにより、RFタグ10を地中に長期間に設置した場合であっても、地中の水分によりRFタグ10が作動不良を起こす可能性が小さくなる。保護ケース22は、電磁波が透過しやすい材料で形成されることが好ましい。例えば保護ケース22は、ABS樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等で形成されることが好ましい。タグ本体12が厚みの小さい板状等の場合、ラミネート加工等により防水処理を施すこともできる。
【0034】
図3に示すように保護ケース22には、送信アンテナ18からの送信を補う補助アンテナ24が設けられる。図1に示すようにRFタグ10は、地中に埋設された埋設物2に付随される。従って、埋設物2が地中深く埋設されている場合、送信アンテナ18も地中深い位置となる。このため、RFタグ10の周囲の地質等によっては、送信アンテナ18からの電磁波が遮断されてしまい、電磁波を検出装置50に向けて効率良く送信できない可能性がある。そこで、保護ケース22が補助アンテナ24を有することで、送信アンテナ18からの送信が補われる。
【0035】
図3に示すように補助アンテナ24は、送信アンテナ18に接続されることなく保護ケース22の外部に取り付けられる。補助アンテナ24は、金属やカーボン等の導電体である誘導部26と、リード部28を有する。誘導部26は、金属やカーボン等の導電体で細長いシート状に形成される。誘導部26は、保護ケース22の外面に取り付けられ、保護ケース22の一端から他端まで延伸している。誘導部26は、送信アンテナ18と非接触であるが、誘導部26から送信アンテナ18までの最短部の距離は、できるだけ短いことが好ましい。誘導部26は、送信アンテナ18が発した応答信号を、送信アンテナ18に対して非接触で受信し、受信した応答信号をリード部28に伝播する。
【0036】
図1,3に示すようにリード部28は、絶縁体で被覆された導電線を有する。リード部28の基端部は、ハンダ等により誘導部26の一端に接合される。リード部28は、送信アンテナ18に非接続であり、保護ケース22から離れるように延ばされる。リード部28は、誘導部26から伝播された応答信号を、検出装置50に向けて送信する。したがって補助アンテナ24は、RFタグ10からの応答信号を効率良く検出装置50に送信することを促進する。
【0037】
図4に示すRFタグ10の制御部14は、図2に示す制御回路32などの各種電子回路を含む。制御部14の電子回路は、受電コイル20及び送信アンテナ18に電気的に接続される。制御部14の電子回路は、受電コイル20または送信アンテナ18の上に配置されてもよい。例えば受電コイル20または送信アンテナ18がスパイラルアンテナであれば、その中心部に制御部14の電子回路を配置することができる。
【0038】
図2に示すようにRFタグ10は、受電コイル20の下流に同調回路34A,34B,34C、三軸合成回路36及び検波回路38を有する。X軸用受電コイル20Xは、同調回路34Aを介して三軸合成回路36に接続される。Y軸用受電コイル20Y及びZ軸用受電コイル20Zは、それぞれ同調回路34B及び同調回路34Cを介して三軸合成回路36に接続される。各同調回路34A,34B,34Cは、可変コンデンサ等で構成される。各同調回路34A,34B,34Cは、対応する受電コイル20X,20Y,20Zの共振周波数を調整し、三軸合成回路36及び検波回路38へと送信する。
【0039】
図2に示す三軸合成回路36は、同調回路34A,34B,34Cを介して入力される電流を合成する。三軸合成回路36は、径路R2を通ってレギュレータ44に駆動用エネルギーである電流を供給する。レギュレータ44は、供給された電流を整流し、かつ定電圧化する。定電圧化された電力は、レギュレータ44から制御回路32等の電源として供給され、かつ蓄電装置30にも供給される。レギュレータ44は、蓄電装置30から制御回路32へ電力が供給される際にも、電流を定電圧化する。
【0040】
図2に示すように蓄電装置30は、蓄電可能なコンデンサ等で構成され、制御回路32に電気的に接続される。蓄電装置30は、受電コイル20で駆動用エネルギーとして受領した電力を蓄え、制御回路32等に電力を供給する。蓄電装置30は、制御回路32の基板に実装されてもよい。
【0041】
図2に示すように同調回路34A,34B,34Cの信号は、径路R1を通って検波回路38で復調される。検波回路38は、制御信号の波長、振幅、周波数を検出して制御回路32へ送信する。制御回路32は、例えばCPU等を備える。制御回路32は、受信した制御信号に基づいて三軸合成回路36の制御を行う。制御回路32は、ID記憶装置40と電気的に接続される。
【0042】
図2に示すID記憶装置40は、メモリ等で構成される。ID記憶装置40には、RFタグ10に付随する埋設物に関連する固有の識別情報が記録される。ID記憶装置40は、制御回路32の基板に搭載されてもよい。
【0043】
ID記憶装置40に記憶される識別情報は、例えば、RFタグ10のID番号;RFタグ10が付随される埋設物2のID番号、種別、施設名、形式、路線名、引込先、届出番号管路番号等の識別情報;距離標、土被り、離れ等の位置情報;内寸、首長等の寸法情報;クロージャ、タイプ等の個体情報;入溝歴、届出番号、管路番号、占用者名、入線月日、都市計画法用途地域12種別、延伸方角等の工事情報が挙げられる。情報の書換え可否についても変更可能である。
【0044】
図2に示すように制御回路32は、制御信号に基づいてID記憶装置40から識別情報を読む。あるいは制御回路32は、制御信号に基づいてID記憶装置40に情報を追記または書き換える。制御回路32は、ID記憶装置40から識別情報を得ると、送信回路42に応答信号を発信する。
【0045】
図2に示すように送信回路42は、応答信号に基づいて特定の周波数、振幅、波長の電流を送信アンテナ18に供給する。送信アンテナ18に電流が流れることで、送信アンテナ18が100MHz~1GHzの周波数の電磁波を発信する。
【0046】
図1に示すようにRFタグ10は、地中に埋設された埋設物2に取り付けられる。補助アンテナ24は、RFタグ10から地上に向けて延出するように配設される。補助アンテナ24を上方に延出できない場合、補助アンテナ24は埋設物2に沿って延伸させてもよい。これにより送信アンテナ18から発信された電磁波は、補助アンテナ24に案内されつつ地上に向けて発信される。各受電コイル20X,20Y,20Zのいずれかが軸方向を鉛直方向に向けて配置されることが好ましい。これにより検出装置50が給電コイル60を鉛直方向に向けて発生した磁界から駆動用エネルギー及び制御信号を効率良く受信できる。
【0047】
図1に示すRFタグ10は、例えば接着剤によって埋設物2に接着、あるいは鋲、釘、螺子によって固定、あるいは紐、針金によって結索される。RFタグ10は、現場で埋設物2に取り付けられてもよいし、埋設物2の工場出荷時に取り付けられてもよい。
【0048】
図5に基づきRFタグ検出システム1によるRFタグ10の検出方法について説明する。先ず作業者が検出装置50の入力装置52を操作する。入力装置52からの信号に基づいて制御回路64が交信準備開始信号(制御信号)を給電・送信回路66へ送信する(ステップS1)。給電・送信回路66が交信準備開始信号を電流に変換する(ステップS2)。電流が給電コイル60に流れて、給電コイル60の周囲に磁界が発生する(ステップS3)。
【0049】
受電コイル20の各受電コイル20X,20Y,20Zが磁界に曝され、電磁誘導方式で電流を発生させる(ステップS4)。電流が受電コイル20X,20Y,20Zから三軸合成回路36に流れ、三軸合成回路36が電流を合成する(ステップS5)。合成された電流がレギュレータ44を介して蓄電装置30に流れて、蓄電装置30が駆動用エネルギーとして蓄電する(ステップS6)。蓄電装置30からの電力により制御回路32が駆動する。制御回路32が蓄電装置30の充電が完了したことを検知し、その際にID記憶装置40からRFタグ10のID番号を読み出す(ステップS7)。
【0050】
制御回路32が交信準備完了信号とID番号を送信回路42へ送信する(ステップS8)。送信回路42が交信準備完了信号及びID番号を所定の電流に変換し、送信アンテナ18に供給する(ステップS9)。送信アンテナ18が電波方式で電磁波を発信する(ステップS10)。補助アンテナ24は送信アンテナ18から電磁波を受信すると、送信アンテナ18から受信した電磁波を検出装置50に向けて応答信号として発信する(ステップS11)。
【0051】
受信アンテナ62が応答信号である電磁波を受信し、電流を発生させ、受信回路68に供給する(ステップS12)。受信回路68が電流を応答信号である交信準備完了信号及びID番号に変換し、増幅する(ステップS13)。制御回路64が受信回路68から送信された交信準備完了信号及びID番号が制御回路64を受信する(ステップS14)。制御回路64が、受信したID番号を有するRFタグ10の交信準備が完了したことを表示装置54に表示させる(ステップS15)。
【0052】
制御回路64は、交信準備完了信号を受信すると、給電・送信回路66にデータ要求信号(制御信号)を送信する(ステップS16)。給電・送信回路66がデータ要求信号を特定の周波数の電流に変換する(ステップS17)。電流が給電コイル60に流れ、給電コイル60の周囲に磁界が発生する(ステップS18)。
【0053】
受電コイル20の各受電コイル20X,20Y,20Zが磁界に曝され、電磁誘導方式で信号を構成する電流を発生させる(ステップS19)。検波回路38が各受電コイル20X,20Y,20Zからの信号をデータ要求信号に復調し、制御回路32へデータ要求信号を送信する(ステップS20)。制御回路32は、受信したデータ要求信号に基づいてID記憶装置40に記憶されている識別情報を読み出す(ステップS21)。制御回路32がID記憶装置40から読み出した識別情報を応答信号であるデータ信号として送信回路42へ送信する(ステップS22)。送信回路42は、制御回路32からデータ信号を受信し、所定の電流に変換し、送信アンテナ18に供給する(ステップS23)。送信アンテナ18が電波方式で特定の電磁波を発信する(ステップS24)。補助アンテナ24は、送信アンテナ18から電磁波を受信すると、送信アンテナ18から受信した電磁波を検出装置50に向けて応答信号として発信する(ステップS25)。
【0054】
受信アンテナ62は応答信号である電磁波を受信し、電流を発生させ、受信回路68に供給する(ステップS26)。受信回路68が電流をデータ信号に変換し、増幅する(ステップS27)。制御回路64がデータ信号を受信する(ステップS28)。制御回路64が、データ信号に基づいて表示装置54に識別情報を表示させる(ステップS29)。作業者は、これによりRFタグ10が有する識別情報を認識できる。作業者は、上記検出方法と同様の方法でデータ書き込み信号をRFタグ10へ送ることにより、ID記憶装置40が記憶する情報を追加または上書きすることもできる。
【0055】
作業者は、検出装置50を移動させながらRFタグ10の検出を行うことにより、複数のRFタグ10のID記憶装置40に記憶された情報を連続的に取得できる。またRFタグ10の埋設位置の特定も並行して行うことができる。位置情報検出装置56から検出装置50の位置情報を取得すると共に平均移動速度で補正をかけることで、RFタグ10の位置情報精度を向上できる。
【0056】
上述するようにRFタグ検出システム1では、100kHz~500kHzの駆動用エネルギー及び制御信号が給電コイル60から受電コイル20へ電磁誘導方式で供給される。100kHz~500kHzの周波数は介在物による影響が少ない。そのため磁界が到達可能な深度範囲内であれば駆動用エネルギー及び制御信号を効率良く受信できる。
【0057】
送信アンテナ18から送信される応答信号の周波数は比較的介在物を透過しやすい100MHz~1GHzである。そのため効率良く応答信号を送信できる。さらに駆動用エネルギー及び制御信号の周波数帯と応答信号の周波数帯は相互に重複していない。そのため両者が混信する恐れが少ないまたは無い。したがって相手側の周波数を考慮することなく、それぞれの周波数帯内において周波数を自由に選択することができる。
【0058】
給電コイル60は、鉛直方向に向けられて配置される。そのため給電コイル60に電流が流れると、鉛直方向を軸とする磁界が発生する。RFタグ10の受電コイル20は、当該軸の回りに導電線が巻回されている場合に、最も効率良く駆動用エネルギー及び制御信号を受信することができる。しかし検出装置50は、連続的に多くのRFタグ10の情報を取得するために、一定速度で移動を続けている。このため検出装置50の直下から外れたRFタグ10は、斜め方向に弱くなった磁界を受ける。受電コイル20は、相互に直交する方向に向けられたX軸用受電コイル20X、Y軸用受電コイル20Y及びZ軸用受電コイル20Zを有するために、種々の方向の磁界成分に対して駆動用エネルギー及び制御信号を効率良く受信できる。さらに受電コイル20は、X軸用受電コイル20X、Y軸用受電コイル20Y及びZ軸用受電コイル20Zで受信した駆動用エネルギーを三軸合成回路36で合成する。そのためRFタグ10は、斜め方向からでも効率良く駆動用エネルギー及び制御信号を受信できる。したがってRFタグ10の検出において、検出装置50とRFタグ10の位置関係の影響を抑制できる。
【0059】
図1及び図3に示すようにRFタグ10は、送信アンテナ18から受信した応答信号を発信する補助アンテナ24を有する。そのため効率良く応答信号を送信できる。また補助アンテナ24は、地上に向けて延出されている。そのため応答信号の発信深度が浅くなる。その結果、介在物による応答信号の減衰を抑制できるため、応答信号の送信効率を向上できる。
【0060】
以上の理由から、RFタグ10を用いるRFタグ検出システム1は、埋設物2を検出可能な深度限界を改善できる。国連開発計画(UNDP)の「持続可能な開発目標(SDGs)」に「都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする」ことが定められており、社会インフラの正確な構築及び把握は全世界における課題の一つである。RFタグ検出システム1によって、地下の埋設物2を検出可能な深度限界が改善されるため、世界規模の技術展開を図ることが出来る。また作業者は、過去の検査データに基づいて現場でRFタグ検出システム1によりRFタグ10を検出し、検出できたことを示す確認データを含む新たな検査データをクラウド上に提供することもできる。他の社会インフラ等の埋設物のデータとの総合的な見地から、持続性のより高い開発を提案できる工事施工者に公平性・透明性をもって、工事発注を行うことができる。取得される公共設備埋設物情報確認データは、ブロックチェーンのシステムにより維持管理することができ、管理コストの削減とともに、より一層の公平性・透明性をもってその利用を推進することができる。
【0061】
続いて本発明の実施形態2を図に基づいて説明する。なお、実施形態1と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。図6に示すように実施形態2のRFタグ80は、タグ本体82及び受電コイル84を有する。タグ本体82は、四角形板状に形成されており、制御回路32等の各種電子回路を内蔵する。タグ本体82の表面には、送信アンテナ86が配置されている。タグ本体82は、電磁波透過性材料で形成されることが好ましい。そのためタグ本体82は、ABS樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等で形成されることが好ましい。タグ本体82は、ラミネート加工等により防水処理されることが好ましい。
【0062】
図6に示すように受電コイル84は、X軸用受電コイル84X,Y軸用受電コイル84Y及びZ軸用受電コイル84Zを有する。各受電コイル84X,Y軸用受電コイル84Y及びZ軸用受電コイル84Zは相互に同一の構成を有するため、X軸用受電コイル84Xのみを説明し、Y軸用受電コイル84Y及びZ軸用受電コイル84Zの説明は省略する。X軸用受電コイル84Xは、銅線等の導電線で構成される。X軸用受電コイル84Xは、正方形板状の基板88の上に巻回される。基板88は、電磁波透過性の材料で形成されることが好ましい。そのため基板88は、ABS樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等で形成されることが好ましい。X軸用受電コイル84Xは、ラミネート加工等により防水処理されることが好ましい。
【0063】
X軸用受電コイル84Xは、タグ本体82に内蔵される制御回路32(図示しない)等の電子回路に電気的に接続される。X軸用受電コイル84Xは検出装置50が発した磁界に曝されることにより、電磁誘導方式で100kHz~500kHzの電流を発生する。これによりX軸用受電コイル84は、駆動用エネルギー及び制御信号を受信する。
【0064】
図6に示すように送信アンテナ86は、例えばタグ本体82の表面にプリントされた数cm程度のアンテナで構成される。送信アンテナ86は、タグ本体82の内部に配置されていてもよい。送信アンテナ86はタグ本体82内の送信回路42(図示しない)を介して制御回路32に電気的に接続される。送信回路42から供給された電流が送信アンテナ86に流れることにより、送信アンテナ18は100MHz~1GHzの電磁波を応答信号として発信する。
【0065】
図6に示すようにRFタグ80は、送信アンテナ86からの送信を補う補助アンテナ90を有する。補助アンテナ90は、送信アンテナ86に接続されることなくタグ本体82に取り付けられる。補助アンテナ90は、誘導部92及びリード部94を有する。誘導部92は、金属やカーボン等の導電体で細長いシート状に形成されており、タグ本体82の外面に取り付けられている。誘導部92は、送信アンテナ86と接触していない状態で、送信アンテナ86が発した応答信号を受信し、受信した応答信号をリード部94に伝播する。
【0066】
図6に示すようにリード部94の基端部は、ハンダ等により誘導部92の一端に接合される。リード部94は、絶縁体で被覆された金属やカーボン等の導電線で構成される。リード部94は、送信アンテナ86に非接続であり、タグ本体82から離れるように延ばされている。リード部94は、誘導部92から伝播された応答信号を送信する。
【0067】
図7に示すようにRFタグ80は、補助アンテナ90が上方に向けて延出するように、地中に埋設された埋設物2に取り付けられる。補助アンテナ90を地上に向けて上方に延出出来ない場合は、補助アンテナ90は埋設物2に沿って延伸させてもよい。図7に示すようにX軸用受電コイル84Xは、所定方向であるX方向に延びるX軸回りに導電線が巻回するよう配置される。Y軸用受電コイル84Yは、X方向に直交するY方向に延びるY軸回りに導電線が巻回するよう配置される。Z軸用受電コイル84Zは、X方向及びY方向の双方に直交するZ方向に延びるZ軸回りに導電線が巻回するよう配置される。図7におけるZ方向は鉛直方向である。
【0068】
RFタグ10を埋設物2に取り付ける方法は、特に限定されないが、例えば接着剤によって接着、あるいは鋲、釘、螺子によって固定、あるいは紐、針金によって結索することができる。RFタグ80は、各受電コイル84X,84Y,84Zのいずれか1つが鉛直方向に延びる軸回りに導電線が巻回するよう配置されることが好ましいが、各受電コイル84X,84Y,84Zが相互に直交する向きに配置されていればよい。
【0069】
上述したように各受電コイル84X,84Y,84Zは、タグ本体82ではなく、埋設物2上に配置される。そのため受電コイル84を大型化しても小さなタグ本体82を使用することができ、設置スペースの問題が生じにくい。したがって電磁波の受信効率を向上するために各受電コイル84X,84Y,84Zを容易に大型化できる。
【0070】
本発明のRFタグおよびRFタグ検出システムは、上記実施形態に限定されず、様々な変更が可能である。例えば、図1に示すRFタグ10は地中に埋設された埋設物2に付随しているが、地中以外のトンネル壁部等に埋設された埋設物2に付随してもよい。
【0071】
図1に示すように検出装置50の給電コイル60及び受信アンテナ62は電流・信号送受信装置58に内蔵されているが、給電コイル60及び受信アンテナ62は電流・信号送受信装置58の外部に設置されてもよい。
【0072】
図1に示すように検出装置50の給電コイル60と受信アンテナ62は互いに独立しているが、給電コイル60が受信アンテナ62を兼ねてもよい。
【0073】
受電コイル20,84は3個のコイルを有するが、1個、2個、又は4個以上のコイルで構成されてもよい。
【0074】
図4に示すようにX軸用受電コイル20X,Y軸用受電コイル20Y及びZ軸用受電コイル20Zはシート状に形成されているが、設置スペースが確保できる場合は、受信効率を向上するために筒状であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 RFタグ検出システム
2 埋設物
10,80 RFタグ
18,86 送信アンテナ
20,84 受電コイル
20X,84X X軸用受電コイル
20Y,84Y Y軸用受電コイル
20Z,84Z Z軸用受電コイル
24,90 補助アンテナ
30 蓄電装置
32 制御回路
50 検出装置
60 給電コイル
62 受信アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7