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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20230322BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
H01F27/29 123
H01F17/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019048009
(22)【出願日】2019-03-15
(65)【公開番号】P2020150191
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】西川 朋永
(72)【発明者】
【氏名】奥村 武史
(72)【発明者】
【氏名】川村 浩司
(72)【発明者】
【氏名】筒井 秀徳
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-190828(JP,A)
【文献】特開2017-069523(JP,A)
【文献】特開2002-151331(JP,A)
【文献】特開2016-004917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/29
H01F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の磁性体層と、前記第1の磁性体層と前記第2の磁性体層の間に位置し、複数の導体層と複数の層間絶縁層が積層方向に交互に積層されたコイル部と、前記第2の磁性体層を貫通して設けられた第1及び第2のバンプ電極とを有する素体と、
前記素体の表面に形成された第1及び第2の外部端子と、を備え、
前記素体は、前記積層方向に対して垂直であり、前記第1及び第2のバンプ電極が露出する実装面と、前記積層方向と平行であり、前記第1のバンプ電極が露出する第1の側面と、前記積層方向と平行であり、前記第1の側面の反対側に位置し、且つ、前記第2のバンプ電極が露出する第2の側面とを有し、
前記第1の外部端子は、前記実装面及び前記第1の側面に形成され、
前記第2の外部端子は、前記実装面及び前記第2の側面に形成され、
前記複数の導体層のそれぞれは、コイル導体パターンと、前記第1の側面に露出する第1の電極パターンと、前記第2の側面に露出する第2の電極パターンとを有し、
前記複数の導体層にそれぞれ含まれる前記第1の電極パターン及び前記第1のバンプ電極は、前記複数の層間絶縁層を貫通して設けられた複数の第1のビア導体を介して互いに接続され、
前記複数の導体層にそれぞれ含まれる前記第2の電極パターン及び前記第2のバンプ電極は、前記複数の層間絶縁層を貫通して設けられた複数の第2のビア導体を介して互いに接続され、
前記複数の層間絶縁層の少なくとも一つは、前記第1の電極パターン間に位置する部分、並びに、前記第1の電極パターンと前記第1のバンプ電極の間に位置する部分が前記第1の側面に露出し、
前記複数の層間絶縁層の少なくとも一つは、前記第2の電極パターン間に位置する部分、並びに、前記第2の電極パターンと前記第2のバンプ電極の間に位置する部分が前記第2の側面に露出し、
前記第1の外部端子のうち前記第1の側面に形成された部分は、前記層間絶縁層の前記露出する部分を避けるよう、前記第1の側面に露出する前記第1のバンプ電極及び前記複数の第1の電極パターンの表面に形成され、
前記第2の外部端子のうち前記第2の側面に形成された部分は、前記層間絶縁層の前記露出する部分を避けるよう、前記第2の側面に露出する前記第2のバンプ電極及び前記複数の第2の電極パターンの表面に形成され、
前記複数の導体層は、前記積層方向にこの順に積層された第1、第2及び第3の導体層を含み、
前記複数の第1のビア導体は、前記第1の導体層に含まれる前記第1の電極パターンと前記第2の導体層に含まれる前記第1の電極パターンを接続する単一の第1の接続部と、前記第2の導体層に含まれる前記第1の電極パターンと前記第3の導体層に含まれる前記第1の電極パターンを接続する単一の第2の接続部と、前記第3の導体層に含まれる前記第1の電極パターンと前記第1のバンプ電極を接続する単一の第3の接続部を含み、
前記複数の第2のビア導体は、前記第1の導体層に含まれる前記第2の電極パターンと前記第2の導体層に含まれる前記第2の電極パターンを接続する第4の接続部と、前記第2の導体層に含まれる前記第2の電極パターンと前記第3の導体層に含まれる前記第2の電極パターンを接続する第5の接続部と、前記第3の導体層に含まれる前記第2の電極パターンと前記第2のバンプ電極を接続する第6の接続部を含み、
前記第1乃至第3の接続部は、前記第1の側面に露出し、
前記第4乃至第6の接続部は、前記第2の側面に露出し、
前記第1及び第3の接続部のうち前記第1の側面に露出する部分と、前記第2の接続部のうち前記第1の側面に露出する部分は、前記積層方向から見て重なりを有しておらず、
前記第1の接続部のうち前記第1の側面に露出する部分と、前記第3の接続部のうち前記第1の側面に露出する部分は、前記積層方向から見て重なりを有しており、
前記第4及び第6の接続部のうち前記第2の側面に露出する部分と、前記第の接続部のうち前記第2の側面に露出する部分は、前記積層方向から見て重なりを有しておらず、
前記第4の接続部のうち前記第2の側面に露出する部分と、前記第6の接続部のうち前記第2の側面に露出する部分は、前記積層方向から見て重なりを有しており、
前記第1の外部端子のうち前記第1の側面に形成された部分は、前記第1の側面に露出する前記第1のビア導体の表面にさらに形成され、これにより前記第1の外部端子のうち前記第1の側面に形成された部分はミアンダ状となり、
前記第2の外部端子のうち前記第2の側面に形成された部分は、前記第2の側面に露出する前記第2のビア導体の表面にさらに形成されていることを特徴とするコイル部品。
【請求項2】
前記第4の接続部は、前記第1の導体層に含まれる前記第2の電極パターンと前記第2の導体層に含まれる前記第2の電極パターンを接続する単一の接続部であり、前記第5の接続部は、前記第2の導体層に含まれる前記第2の電極パターンと前記第3の導体層に含まれる前記第2の電極パターンを接続する単一の接続部であり、前記第6の接続部は、前記第3の導体層に含まれる前記第2の電極パターンと前記第2のバンプ電極を接続する単一の接続部であり、これにより、前記第2の外部端子のうち、前記第2の側面に形成された部分がミアンダ状であることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記複数の導体層は、前記第1の導体層と前記積層方向に隣接する第4の導体層をさらに含み、
前記複数の第1のビア導体は、前記第1の導体層に含まれる前記第1の電極パターンと前記第4の導体層に含まれる前記第1の電極パターンを接続する単一の第7の接続部をさらに含み、
前記複数の第2のビア導体は、前記第1の導体層に含まれる前記第2の電極パターンと前記第4の導体層に含まれる前記第2の電極パターンを接続する単一の第8の接続部をさらに含み、
前記第7の接続部は、前記第1の側面に露出し、
前記第8の接続部は、前記第2の側面に露出し、
前記第1及び第3の接続部のうち前記第1の側面に露出する部分と、前記第7の接続部のうち前記第1の側面に露出する部分は、前記積層方向から見て重なりを有しておらず、
前記第2の接続部のうち前記第1の側面に露出する部分と、前記第7の接続部のうち前記第1の側面に露出する部分は、前記積層方向から見て重なりを有しており、
前記第4及び第6の接続部のうち前記第2の側面に露出する部分と、前記第8の接続部のうち前記第2の側面に露出する部分は、前記積層方向から見て重なりを有しておらず、
前記第5の接続部のうち前記第2の側面に露出する部分と、前記第8の接続部のうち前記第2の側面に露出する部分は、前記積層方向から見て重なりを有していることを特徴とする請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第1及び第2の磁性体層の少なくとも一方は、磁性粉を含有する樹脂からなる複合磁性材料からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記積層方向から見て前記素体は矩形であり、前記積層方向から見た第1、第2、第3及び第4の角部は前記複合磁性材料によって構成されていることを特徴とする請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記素体は、前記実装面と直交し、前記第1及び第2の側面と直交し、且つ、互いに反対側に位置する第3及び第4の側面をさらに有し、
前記複数の層間絶縁層は、非磁性材料からなり、前記第3及び第4の側面に露出していることを特徴とする請求項5に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル部品に関し、特に、複数の導体層と複数の層間絶縁層が交互に積層された構造を有するチップ型のコイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の導体層と複数の層間絶縁層が交互に積層された構造を有するチップ型のコイル部品としては、特許文献1に記載されたコイル部品が知られている。特許文献1に記載されたコイル部品は、一般的な積層コイル部品とは異なり、積層方向が回路基板と平行となるよう立てて実装される。これにより、コイル部品に内蔵されるコイル導体パターンの径を拡大しても、回路基板上における実装面積の増大量が抑えられることから、高密度実装に有利である。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のコイル部品は、立てて実装されるため低背化を実現することが困難である。このため、特許文献1に記載のコイル部品は、回路基板上における実装面積よりも低背化が優先される用途には必ずしも適していない。回路基板上における実装面積よりも低背化が優先される用途においては、回路基板に対して積層方向が垂直となるよう寝かせて搭載するタイプのコイル部品が有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-76735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、回路基板上における実装面積は、コイル部品そのものの面積のみならず、回路基板とコイル部品を接続するハンダの占有面積も考慮しなければならない。このため、実装面積と低背化の両方が求められる用途においては、ハンダの占有面積が小さくなるよう、コイル部品の表面に設けられた外部端子の形状及び構造を工夫する必要がある。
【0006】
また、コイル部品を小型化すると、その分インダクタンスが低下する。このため、必要なインダクタンスを確保するためには、コイル導体パターンを2つの磁性体層によって積層方向から挟み込むだけでなく、積層方向から見てコイル導体パターンの内径部及び周囲領域にも磁性部材を配置することによって閉磁路を形成することが望ましい。
【0007】
しかしながら、コイル導体パターンの周囲領域に磁性部材を配置すると、その分チップサイズが増大することから、特に、回路基板に対して積層方向が垂直となるよう寝かせて搭載するタイプのコイル部品においては、回路基板上における実装面積がさらに増大するという問題があった。
【0008】
したがって、本発明は、低背化に適しており、且つ、回路基板上における実装面積が小さい、改良されたコイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるコイル部品は、第1及び第2の磁性体層と、第1の磁性体層と第2の磁性体層の間に位置し、複数の導体層と複数の層間絶縁層が積層方向に交互に積層されたコイル部とを有する素体と、素体の表面に形成された第1及び第2の外部端子とを備え、素体は、積層方向に対して垂直な実装面と、積層方向と平行であり互いに反対側に位置する第1及び第2の側面を有し、第1の外部端子は、実装面及び第1の側面に形成され、第2の外部端子は、実装面及び第2の側面に形成され、複数の導体層のそれぞれは、コイル導体パターンと、第1の側面に露出する第1の電極パターンと、第2の側面に露出する第2の電極パターンとを有し、複数の導体層にそれぞれ含まれる第1の電極パターンは、複数の層間絶縁層を貫通して設けられた複数の第1のビア導体を介して互いに接続され、複数の導体層にそれぞれ含まれる第2の電極パターンは、複数の層間絶縁層を貫通して設けられた複数の第2のビア導体を介して互いに接続され、複数の層間絶縁層の少なくとも一つは、第1の電極パターン間に位置する部分が第1の側面に露出し、複数の層間絶縁層の少なくとも一つは、第2の電極パターン間に位置する部分が第2の側面に露出し、第1の外部端子のうち第1の側面に形成された部分は、層間絶縁層の露出する部分を避けるよう、第1の側面に露出する複数の第1の電極パターンの表面に形成され、第2の外部端子のうち第2の側面に形成された部分は、層間絶縁層の露出する部分を避けるよう、第2の側面に露出する複数の第2の電極パターンの表面に形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、回路基板に対して積層方向が垂直となるよう寝かせて搭載するタイプのコイル部品において、第1及び第2の外部端子のうち第1及び第2の側面に形成された部分がいわゆるベタパターンではなく、層間絶縁層の露出部分を避ける形状を有していることから、ハンダを用いて回路基板に実装した場合、フィレットの広がりが層間絶縁層の露出部分によって制限される。これにより、フィレットのサイズが小型化されることから、回路基板上における実装面積を縮小することが可能となる。しかも、第1及び第2の外部端子がベタパターンである場合と比べ、温度変化などによって第1及び第2の外部端子に応力が加わった場合であっても、層間絶縁層の露出部分によって応力が緩和されることから、応力に起因するクラックの発生などを防止することも可能となる。
【0011】
本発明において、複数の第1のビア導体の少なくとも一つは第1の側面に露出し、複数の第2のビア導体の少なくとも一つは第2の側面に露出し、第1の外部端子のうち第1の側面に形成された部分は、第1の側面に露出する第1のビア導体の表面にさらに形成され、第2の外部端子のうち第2の側面に形成された部分は、第2の側面に露出する第2のビア導体の表面にさらに形成されていても構わない。これによれば、第1及び第2のビア導体の表面にも第1及び第2の外部端子が形成されることから、直流抵抗を低減することが可能となる。
【0012】
本発明において、複数の導体層は、積層方向にこの順に積層された第1、第2及び第3の導体層を含み、複数の第1のビア導体は、第1の導体層に含まれる第1の電極パターンと第2の導体層に含まれる第1の電極パターンを接続する第1の接続部と、第2の導体層に含まれる第1の電極パターンと第3の導体層に含まれる第1の電極パターンを接続する第2の接続部を含み、複数の第2のビア導体は、第1の導体層に含まれる第2の電極パターンと第2の導体層に含まれる第2の電極パターンを接続する第3の接続部と、第2の導体層に含まれる第2の電極パターンと第3の導体層に含まれる第2の電極パターンを接続する第4の接続部を含み、第1の接続部のうち第1の側面に露出する部分と、第2の接続部のうち第1の側面に露出する部分は、積層方向から見て重なりを有しておらず、第3の接続部のうち第2の側面に露出する部分と、第4の接続部のうち第2の側面に露出する部分は、積層方向から見て重なりを有していなくても構わない。これによれば、第1及び第2の側面に形成される第1及び第2の外部端子がミアンダ状となることから、フィレットの積層方向への広がりを効果的に抑制することが可能となる。
【0013】
本発明において、第1及び第2の磁性体層の少なくとも一方は、磁性粉を含有する樹脂からなる複合磁性材料からなるものであっても構わない。これによれば、例えば第1又は第2の磁性体層の形成と同時に、コイル導体パターンの内径部に磁性材料を充填することが可能となる。
【0014】
本発明において、積層方向から見て素体は矩形であり、積層方向から見た第1、第2、第3及び第4の角部は複合磁性材料によって構成されていても構わない。これによれば、素体の磁気抵抗が小さくなることから、高いインダクタンスを得ることが可能となる。
【0015】
本発明において、素体は、実装面と直交し、第1及び第2の側面と直交し、且つ、互いに反対側に位置する第3及び第4の側面をさらに有し、複数の層間絶縁層は、第3及び第4の側面に露出していても構わない。これによれば、コイル部品の平面サイズをより小型化することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
このように、本発明によれば、低背化に適しており、且つ、回路基板上における実装面積が小さい、改良されたコイル部品を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態によるコイル部品1の外観を示す略斜視図であり、(a)は一方向側から見た図、(b)は逆方向側から見た図である。
図2図2は、コイル部品1の積層方向に沿った略断面図である。
図3図3は、素体10の第1の側面11に形成された第1の外部端子E1の形状を示す側面図である。
図4図4は、素体10の第2の側面12に形成された第2の外部端子E2の形状を示す側面図である。
図5図5は、コイル部品1を回路基板2に搭載した状態を示す略側面図である。
図6図6は、コイル部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図7図7は、コイル部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図8図8は、コイル部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図9図9は、コイル部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図10図10は、コイル部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図11図11は、コイル部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図12図12は、コイル部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図13図13は、コイル部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図14図14は、コイル部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図15図15は、コイル部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図16図16は、コイル部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図17図17は、コイル部品1の製造方法を説明するための工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるコイル部品1の外観を示す略斜視図であり、(a)は一方向側から見た図、(b)は逆方向側から見た図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態によるコイル部品1は、略直方体形状を有する素体10と、素体10の表面に形成された第1及び第2の外部端子E1,E2を備えている。素体10は、第1及び第2の磁性体層M1,M2と、第1の磁性体層M1と第2の磁性体層M2の間に位置するコイル部20を有している。
【0021】
素体10は、第1~第4の側面11~14、実装面15および上面16を有しており、実使用時においては実装面15が回路基板と向かい合うよう搭載される。したがって、実装後は、実装面15および上面16が回路基板と平行となり、第1~第4の側面11~14が回路基板に対して垂直となる。また、第1及び第2の11,12は互いに反対側に位置し、第3及び第4の13,14は互いに反対側に位置する。そして、第1及び第2の側面11,12と第3及び第4の側面13,14は、互いに直交する。
【0022】
第1の外部端子E1は、実装面15に形成された電極部分E11と、第1の側面11に形成された電極部分E12,E13からなる。このうち、電極部分E12は第2の磁性体層M2の表面に形成されており、電極部分E13はコイル部20の表面に形成されている。同様に、第2の外部端子E2は、実装面15に形成された電極部分E21と、第2の側面12に形成された電極部分E22,E23からなる。このうち、電極部分E22は第2の磁性体層M2の表面に形成されており、電極部分E23はコイル部20の表面に形成されている。
【0023】
第1及び第2の磁性体層M1,M2は、フェライト粉や金属磁性粉などの磁性粉を含有する樹脂からなる複合磁性材料からなり、本実施形態によるコイル部品1に電流を流すことによって生じる磁束の磁路を構成する。磁性粉として金属磁性粉を用いる場合、鉄粉を用いることが好適である。また、樹脂としては、液状又は粉体のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。但し、本発明において第1の磁性体層M1と第2の磁性体層M2の両方を複合磁性材料によって構成することは必須でなく、例えば、第1の磁性体層M1については、焼結フェライトなどの磁性材料からなる基板であっても構わない。
【0024】
コイル部20は、後述するように、複数の導体層と複数の層間絶縁層が積層方向に交互に積層された構造を有している。本実施形態によるコイル部品1は、第1~第4の側面11~14において層間絶縁層30が露出している。したがって、層間絶縁層30が露出する部分には磁性材料が存在しない。
【0025】
図2は、本実施形態によるコイル部品1の積層方向に沿った略断面図である。
【0026】
図2に示すように、コイル部品1に含まれるコイル部20は、導体層21~24と層間絶縁層31~35が積層方向に交互に積層された構造を有している。具体的には、第1の磁性体層M1から第2の磁性体層M2に向かって、層間絶縁層31、導体層21、層間絶縁層32、導体層22、層間絶縁層33、導体層23、層間絶縁層34、導体層24、層間絶縁層35がこの順に積層された構造を有している。層間絶縁層31~35は非磁性の樹脂材料などからなり、図1に示した層間絶縁層30に対応する。また、コイル部20には、第1の磁性体層M1と第2の磁性体層M2を接続する磁性体ピラーM3が設けられている。第1の磁性体層M1と磁性体ピラーM3は接触していても構わないし、図2に示す例のように、両者間に層間絶縁層31が介在していても構わない。
【0027】
導体層21~24は、それぞれスパイラル状に巻回されたコイル導体パターンC1~C4を有している。後述するように、コイル導体パターンC1~C4は互いに接続されて単一のコイルを構成し、その一端が第1の外部端子E1に接続され、他端が第2の外部端子E2に接続される。本実施形態においては、コイル導体パターンC1~C3のターン数がいずれも4ターン、コイル導体パターンC4のターン数が3.5ターンであり、合計で15.5ターンのコイルが構成される。
【0028】
さらに、導体層21~24は、それぞれ第1の電極パターンP11,P21,P31,P41と、第2の電極パターンP12,P22,P32,P42を有している。第1の電極パターンP11,P21,P31,P41は、第1のビア導体V1を介して互いに接続されているが、図2に示す断面には第1のビア導体V1のうち接続部V21,V41のみが現れている。第1のビア導体V1の残り接続部(V11,V31)の形成位置については後述する。同様に、第2の電極パターンP12,P22,P32,P42は、第2のビア導体V2を介して互いに接続されているが、図2に示す断面には第2のビア導体V2のうち接続部V22,V42のみが現れている。第2のビア導体V2の残り接続部(V12,V32)の形成位置については後述する。
【0029】
第1の電極パターンP11,P21,P31,P41及び第1のビア導体V1は、いずれも素体10の第1の側面11に露出している。このうち、最上層に位置する電極パターンP41は、第1のビア導体V1の接続部V41を介して第1のバンプ電極B1に接続される。同様に、第2の電極パターンP12,P22,P32,P42及び第2のビア導体V2は、いずれも素体10の第2の側面12に露出している。このうち、最上層に位置する電極パターンP42は、第2のビア導体V2の接続部V42を介して第2のバンプ電極B2に接続される。第1及び第2のバンプ電極B1,B2は、いずれも第2の磁性体層M2を貫通して設けられる。
【0030】
図2に示すように、第1の外部端子E1の電極部分E11は、第1のバンプ電極B1に接続される。また、第1のバンプ電極B1は素体10の第1の側面11に露出しており、第1のバンプ電極B1の露出面に第1の外部端子E1の電極部分E12が形成される。さらに、第1の電極パターンP11,P21,P31,P41及び第1のビア導体V1の露出面に第1の外部端子E1の電極部分E13が形成される。同様に、第2の外部端子E2の電極部分E21は、第2のバンプ電極B2に接続される。また、第2のバンプ電極B2は素体10の第2の側面12に露出しており、第2のバンプ電極B2の露出面に第2の外部端子E2の電極部分E22が形成される。さらに、第2の電極パターンP12,P22,P32,P42及び第2のビア導体V2の露出面に第2の外部端子E2の電極部分E23が形成される。
【0031】
図2に示す断面においては、層間絶縁層32,34が素体10の第1及び第2の側面11,12に露出している。図示しない他の断面においては、層間絶縁層33,35も素体10の第1及び第2の側面11,12に露出している。そして、第1の外部端子E1の電極部分E13は、層間絶縁層32~35の露出部分を避けるよう、第1の電極パターンP11,P21,P31,P41及び第1のビア導体V1の露出面に形成される。同様に、第2の外部端子E2の電極部分E23は、層間絶縁層32~35の露出部分を避けるよう、第2の電極パターンP12,P22,P32,P42及び第2のビア導体V2の露出面に形成される。
【0032】
図3は、素体10の第1の側面11に形成された第1の外部端子E1の形状を示す側面図である。
【0033】
図3に示すように、第1の外部端子E1の電極部分E12についてはいわゆるベタパターンであるのに対し、第1の外部端子E1の電極部分E13はベタパターンではなく、複数のスリットSLが形成されている。スリットSLは、層間絶縁層32~35が露出しているために第1の外部端子E1が形成されていない部分である。これに対し、第1のビア導体V1が露出している部分には、第1の外部端子E1が形成されている。図3に示す例では、積層方向に隣接する第1のビア導体V1の露出部分は、積層方向から見て重なりを有していない。つまり、接続部V11と接続部V12は積層方向から見て重なりを有しておらず、接続部V12と接続部V13は積層方向から見て重なりを有しておらず、接続部V13と接続部V14は積層方向から見て重なりを有していない。これに対し、接続部V11と接続部V13の横方向位置は一致しており、接続部V12と接続部V14の横方向位置は一致している。これにより、第1の外部端子E1の電極部分E13は、いわゆるミアンダ状となる。つまり、電極部分E13,E23は、スリットSLによって完全には分断されないことから、直流抵抗の増加はほとんど生じない。
【0034】
第2の外部端子E2の電極部分E23の形状は、図3に示す形状と同じであっても構わない。或いは、図4に示す例のように、第2の外部端子E2の電極部分E23の形状は、第1の外部端子E1の電極部分E13の形状を反転させた形状であっても構わない。第1の外部端子E1の電極部分E13と第2の外部端子E2の電極部分E23が互いに反転した形状であれば、後述する製造プロセスにおいて、第1及び第2のビア導体V1,V2の形成が容易となる。
【0035】
図5は、本実施形態によるコイル部品1を回路基板2に搭載した状態を示す略側面図である。
【0036】
図5に示す回路基板2には、2つのランドパターン3,4が設けられており、ランドパターン3,4上に本実施形態によるコイル部品1が実装される。コイル部品1に設けられた第1及び第2の外部端子E1,E2は、ハンダ5を介してそれぞれランドパターン3,4に接続される。ハンダ5は、素体10の第1及び第2の側面11,12を覆うフィレットを形成するが、本実施形態によるコイル部品1は、第1及び第2の外部端子E1,E2の電極部分E13,E23にスリットSLが設けられており、いわゆるミアンダ状の平面形状を有していることから、電極部分E13,E23へのフィレットの広がりが抑制される。つまり、ハンダ5のフィレットは、第1及び第2の外部端子E1,E2の電極部分E12,E22で止まり、電極部分E13,E23にはフィレットが全く形成されないか、或いは、形成されても僅かな量となる。
【0037】
これにより、フィレットのサイズが小さくなることから、隣接する他の電子部品とのショート不良が生じにくくなり、回路基板上における実装面積を縮小することが可能となる。図5には、第1及び第2の外部端子E1,E2の電極部分E13,E23がベタパターンである場合におけるフィレットの広がりが破線5aで示されている。破線5aが示すように、電極部分E13,E23がベタパターンであると、フィレットの高さ方向におけるサイズだけでなく、平面方向におけるサイズも大きくなることから、隣接する他の電子部品とのショート不良を防止するためには、電子部品の実装間隔をより広げる必要がある。これに対し、本実施形態によるコイル部品1は、ハンダ5のフィレットの広がりが抑制されることから、より高密度な実装を行うことが可能となる。
【0038】
しかも、ハンダ5で覆われる面積が小さいことから、温度変化などによって第1及び第2の外部端子E1,E2に応力が加わった場合であっても、第1及び第2の外部端子E1,E2にクラックが発生しにくくなる。これは、電極部分E13,E23がミアンダ状であり、スリットSL部分において柔軟性の高い層間絶縁層32~35が露出していることから、温度変化などによって第1及び第2の外部端子E1,E2に応力が加わっても、電極部分E13,E23がベタパターンである場合と比べて、比較的大きく変形することができる。これにより、応力が解放されることから、第1及び第2の外部端子E1,E2にクラックなどが生じにくくなる。
【0039】
次に、本実施形態によるコイル部品1の製造方法について説明する。
【0040】
図6図17は、本実施形態によるコイル部品1の製造方法を説明するための工程図である。本実施形態によるコイル部品1は、集合基板上に多数のコイル部品1を同時に作製し、最終的にこれらを個片化することによって多数個取りされる。図6図14及び図16は、このうち4個のコイル部品1に対応する部分のみを示す略平面図である。図6図14及び図16に示す破線Dx,Dyはダイシングラインであり、これらに囲まれた個々の領域が一つのコイル部品1に相当する。
【0041】
まず、第1の磁性体層M1の表面に層間絶縁層31を形成した後、図6に示すように、層間絶縁層31の表面に第1の導体層21を形成する。層間絶縁層31の形成は、スピンコート法によって樹脂材料を塗布することにより行うことが好ましい。以降に形成する層間絶縁層32~35の形成方法も同様である。尚、第1の磁性体層M1がフェライトなどからなる基板である場合には、これを集合基板として用いれば良いが、第1の磁性体層M1として複合磁性材料を用いる場合には、別の支持体を用い、最終的に支持体を研削除去した後、複合磁性材料からなる第1の磁性体層M1を形成すれば良い。
【0042】
第1の導体層21の形成方法としては、スパッタリング法などの薄膜プロセスを用いて下地金属膜を形成し、これをフォトリソグラフィー法などを用いてパターニングした後、電解メッキ法を用いて所望の膜厚までメッキ成長させることが好ましい。以降に形成する導体層22~24の形成方法も同様である。第1の導体層21は、第1のコイル導体パターンC1と第1及び第2の電極パターンP11,P12を含んでいる。第1のコイル導体パターンC1は、外周端から内周端に向かって右回り(時計回り)に巻回されており、その外周端は、第1の電極パターンP11に接続されている。第2の電極パターンP12は、対応する第1のコイル導体パターンC1には面内で接続されていない。一方、x方向に隣接するコイル部品1の第1の電極パターンP11と第2の電極パターンP12は一体化されている。
【0043】
次に、図7に示すように、全面を層間絶縁層32で覆った後、層間絶縁層32に開口部32a,32bを形成する。開口部32a,32bの形成は、フォトリソグラフィー法によってパターニングすることによって行うことが好ましい。以降に形成する開口部の形成方法も同様である。開口部32aは、第1のコイル導体パターンC1の内周端を露出させる位置に設けられ、開口部32bは、第1及び第2の電極パターンP11,P12を露出させる位置に設けられる。特に、開口部32bは、x方向に隣接するコイル部品1の第1の電極パターンP11と第2の電極パターンP12に対して共通に設けられる。したがって、開口部32bはダイシングラインDy上に位置する。開口部32bは、第1のコイル導体パターンC1の中心に対してy方向の一方側(図7における上側)にオフセットした位置に設けられる。
【0044】
次に、図8に示すように、層間絶縁層32の表面に第2の導体層22を形成する。第2の導体層22は、第2のコイル導体パターンC2と第1及び第2の電極パターンP21,P22を含んでいる。第2のコイル導体パターンC2は、内周端から外周端に向かって右回り(時計回り)に巻回されている。第1及び第2の電極パターンP21,P22は、対応する第2のコイル導体パターンC2には面内で接続されていない。一方、x方向に隣接するコイル部品1の第1の電極パターンP21と第2の電極パターンP22は一体化されている。
【0045】
これにより、第1のコイル導体パターンC1の内周端と第2のコイル導体パターンC2の内周端は、開口部32aに設けられた接続部V10を介して接続される。また、第1及び第2の電極パターンP11,P12と第1及び第2の電極パターンP21,P22は、開口部32bに設けられた接続部V11,V12を介して接続される。この時点では、接続部V11,V12は一体化しており、ダイシングラインDy上に位置する。
【0046】
次に、図9に示すように、全面を層間絶縁層33で覆った後、層間絶縁層33に開口部33a,33bを形成する。開口部33aは、第2のコイル導体パターンC2の外周端を露出させる位置に設けられ、開口部33bは、第1及び第2の電極パターンP21,P22を露出させる位置に設けられる。特に、開口部33bは、x方向に隣接するコイル部品1の第1の電極パターンP21と第2の電極パターンP22に対して共通に設けられる。したがって、開口部33bはダイシングラインDy上に位置する。開口部33bは、第2のコイル導体パターンC2の中心に対してy方向の他方側(図9における下側)にオフセットした位置に設けられる。
【0047】
次に、図10に示すように、層間絶縁層33の表面に第3の導体層23を形成する。第3の導体層23は、第3のコイル導体パターンC3と第1及び第2の電極パターンP31,P32を含んでいる。第3のコイル導体パターンC3は、外周端から内周端に向かって右回り(時計回り)に巻回されている。第1及び第2の電極パターンP31,P32は、対応する第3のコイル導体パターンC3には面内で接続されていない。一方、x方向に隣接するコイル部品1の第1の電極パターンP31と第2の電極パターンP32は一体化されている。
【0048】
これにより、第2のコイル導体パターンC2の外周端と第3のコイル導体パターンC3の外周端は、開口部33aに設けられた接続部V20を介して接続される。また、第1及び第2の電極パターンP21,P22と第1及び第2の電極パターンP31,P32は、開口部33bに設けられた接続部V21,V22を介して接続される。この時点では、接続部V21,V22は一体化しており、ダイシングラインDy上に位置する。
【0049】
次に、図11に示すように、全面を層間絶縁層34で覆った後、層間絶縁層34に開口部34a,34bを形成する。開口部34aは、第3のコイル導体パターンC3の内周端を露出させる位置に設けられ、開口部34bは、第1及び第2の電極パターンP31,P32を露出させる位置に設けられる。特に、開口部34bは、x方向に隣接するコイル部品1の第1の電極パターンP31と第2の電極パターンP32に対して共通に設けられる。したがって、開口部34bはダイシングラインDy上に位置する。開口部34bは、第3のコイル導体パターンC3の中心に対してy方向の一方側(図11における上側)にオフセットした位置に設けられる。
【0050】
次に、図12に示すように、層間絶縁層34の表面に第4の導体層24を形成する。第4の導体層24は、第4のコイル導体パターンC4と第1及び第2の電極パターンP41,P42を含んでいる。第4のコイル導体パターンC4は、内周端から外周端に向かって右回り(時計回り)に巻回されており、その外周端は、第2の電極パターンP42に接続されている。第1の電極パターンP41は、対応する第4のコイル導体パターンC4には面内で接続されていない。一方、x方向に隣接するコイル部品1の第1の電極パターンP41と第2の電極パターンP42は一体化されている。
【0051】
これにより、第3のコイル導体パターンC3の内周端と第4のコイル導体パターンC4の内周端は、開口部34aに設けられた接続部V30を介して接続される。また、第1及び第2の電極パターンP31,P32と第1及び第2の電極パターンP41,P42は、開口部34bに設けられた接続部V31,V32を介して接続される。この時点では、接続部V31,V32は一体化しており、ダイシングラインDy上に位置する。
【0052】
次に、図13に示すように、全面を層間絶縁層35で覆った後、層間絶縁層35に開口部35bを形成する。開口部35bは、第1及び第2の電極パターンP41,P42を露出させる位置に設けられる。開口部35bは、x方向に隣接するコイル部品1の第1の電極パターンP41と第2の電極パターンP42に対して共通に設けられる。したがって、開口部35bはダイシングラインDy上に位置する。開口部35bは、第4のコイル導体パターンC4の中心に対してy方向の他方側(図13における下側)にオフセットした位置に設けられる。
【0053】
次に、図14に示すように、コイル導体パターンC1~C4の内径部及び周囲領域に第1の磁性体層M1に達する開口部40~44を形成する。このうち、開口部40は、コイル導体パターンC1~C4の内径部に位置し、開口部41~44は、コイル部品1の4つの角部51~54にそれぞれ位置する。各角部51~54は、4つのコイル部品1の境界に位置するため、開口部41~44の集合体が4つのコイル部品1に共有される。その後、開口部35bに露出する第1及び第2の電極パターンP41,P42をメッキ成長させることにより、バンプ電極B1,B2を形成する。バンプ電極B1,B2のうち、開口部35bの内部に形成された部分は、それぞれ接続部V41,V42を構成する。
【0054】
開口部40~44の形成は、層間絶縁層31~35のパターニングにより行っても構わないし、開口部40~44を形成すべき平面位置に導体層21~24の犠牲パターンを設けておき、酸などを用いて犠牲パターンを除去することにより形成しても構わない。これらの方法によれば、最下層に位置する層間絶縁層31が残存し、図2に示す断面構造が得られる。
【0055】
この状態で、全面を複合磁性材料で覆った後、バンプ電極B1,B2の表面が露出するまで複合磁性材料を研磨除去する。これにより、図14のA-A線に対応する断面図である図15に示すように、コイル部20の上面に第2の磁性体層M2が形成される。バンプ電極B1,B2は、接続部V41,V42を介して第1及び第2の電極パターンP41,P42に接続される。
【0056】
次に、図16に示すように、バンプ電極B1,B2と接するよう、第2の磁性体層M2の表面に第1及び第2の外部端子E1,E2を形成する。これにより、図16のB-B線に対応する断面図である図17に示すように、第1の外部端子E1が第1のバンプ電極B1を介して第1の電極パターンP41に接続され、第2の外部端子E2が第2のバンプ電極B2を介して第2の電極パターンP42に接続される。
【0057】
そして、ダイシングラインDx,Dyに沿って切断することによりコイル部品1を個片化した後、切断面に露出する導体層21~24にメッキを形成すれば、本実施形態によるコイル部品1が完成する。切断面に露出する導体層21~24のうち、第1の電極パターンP11,P21,P31,P41と、第1のビア導体V1を構成する接続部V11,V21,V31,V41の表面には、第1の外部端子E1の電極部分E13が形成される。また、切断面に露出する導体層21~24のうち、第2の電極パターンP12,P22,P32,P42と、第2のビア導体V2を構成する接続部V12,V22,V32,V42の表面には、第2の外部端子E2の電極部分E23が形成される。
【0058】
ここで、第1及び第2の外部端子E1,E2の電極部分E13,E23は、層間絶縁層32~35の露出面を避けて形成されるとともに、開口部32b~35bのy方向における位置が交互に入れ替わることから、ミアンダ状とすることが可能となる。
【0059】
また、コイル導体パターンC1~C4の内径部と、コイル導体パターンC1~C4の周囲領域であって4つの角部51~54に対応する位置に、第2の磁性体層M2と同じ材料からなる磁性体ピラーM3が設けられることから、磁性体層M1,M2及び磁性体ピラーM3によって閉磁路が構成される。これにより、高いインダクタンスを得ることが可能となる。
【0060】
ここで、コイル導体パターンC1~C4の周囲領域に位置する磁性体ピラーM3は、コイル部品1の4つの角部51~54に対応する位置に設けられ、第1~第4の側面11~14の略中央部には磁性体ピラーM3が設けられていない。これにより、コイル導体パターンC1~C4の全周囲を磁性体ピラーM3によって取り囲む構造と比較して、コイル部品1の平面サイズを小型化することが可能となる。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0062】
例えば、上記実施形態においては、第1及び第2のビア導体V1,V2がそれぞれ第1及び第2の側面11,12に露出しているが、本発明においてこの点は必須でない。したがって、第1及び第2のビア導体V1,V2が素体10の内部にのみ存在し、第1及び第2の側面11,12に露出しない構造であっても構わない。この場合、第1の外部端子E1の電極部分E13が第1の側面11において分断された形状となり、第2の外部端子E2の電極部分E23が第2の側面12において分断された形状となるため、ハンダ5のフィレットをより小さくすることが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
1 コイル部品
2 回路基板
3,4 ランドパターン
5 ハンダ
10 素体
11 第1の側面
12 第2の側面
13 第3の側面
14 第4の側面
15 実装面
16 上面
20 コイル部
21 第1の導体層
22 第2の導体層
23 第3の導体層
24 第4の導体層
30~35 層間絶縁層
32a~34a,32b~35b,40~44 開口部
51~54 角部
B1 第1のバンプ電極
B2 第2のバンプ電極
C1 第1のコイル導体パターン
C2 第2のコイル導体パターン
C3 第3のコイル導体パターン
C4 第4のコイル導体パターン
Dx,Dy ダイシングライン
E1 第1の外部端子
E2 第2の外部端子
E11~E13,E21~E23 電極部分
M1 第1の磁性体層
M2 第2の磁性体層
M3 磁性体ピラー
P11,P21,P31,P41 第1の電極パターン
P12,P22,P32,P42 第2の電極パターン
SL スリット
V1 第1のビア導体
V2 第2のビア導体
V10~V14,V20~V22,V30~V32,V41,V42 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17