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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】パーソナルケア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/64 20060101AFI20230322BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20230322BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230322BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20230322BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20230322BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20230322BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230322BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20230322BHJP
   A61K 8/20 20060101ALI20230322BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230322BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20230322BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
A61K8/64
A61K8/39
A61K8/34
A61K8/44
A61K8/46
A61K8/60
A61K8/86
A61K8/36
A61K8/20
A61K8/02
A61Q5/02
A61Q19/10
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2019063977
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020164430
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】小薗 脩平
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-121091(JP,A)
【文献】特開2017-210416(JP,A)
【文献】特開2017-218383(JP,A)
【文献】特開2005-298359(JP,A)
【文献】特開2014-024875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-99
A61Q1/00-90/00
C11D1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)N-アシル酸性アミノ酸又はその塩、
(B)N-アシルペプチド又はその塩、
(C)多価アルコール、
(D)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩、
【化1】
(上記一般式(1)中、Rは炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムを示す。)
(E)炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタインおよび炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる少なくとも1種の両性界面活性剤、
(F)(A)、(B)及び(D)以外のアニオン界面活性剤、及び
(G)アルキルグリコシド
を含むパーソナルケア用組成物であって、成分(A)と(B)の合計量に対する成分(B)の割合(B)/((A)+(B))×100が、質量比で、20、
成分(E)と(F)の合計に対する成分(B)の割合が、質量比で、(B)/((E)+(F))×100=1~15である、組成物。
【請求項2】
成分(A)の酸性アミノ酸が、グルタミン酸である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分(A)のアシル基が、ココイル基である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
成分(B)のペプチドが、ジペプチド又はトリペプチドである請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
成分(B)のペプチドが、グルタミン酸から構成されるペプチドである請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
成分(B)のアシル基が、ココイル基である請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
成分(D)が、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸又はその塩である請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
分(E)が、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸、ココアンホ酢酸、ラウロアンホジ酢酸およびココアンホジ酢酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の両性界面活性剤である請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
成分(A)の含有量が、組成物の総質量に対して、1~10質量%である請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
成分(B)の含有量が、組成物の総質量に対して、0.005~4質量%である請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
成分(C)の含有量が、組成物の総質量に対して、1~30質量%である請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
成分(D)の含有量が、組成物の総質量に対して、0.3~8質量%である請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
成分(E)の含有量が、組成物の総質量に対して、0.05~10質量%である請求項8~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
分(F)が、スルホン酸型アニオン界面活性剤、硫酸塩型アニオン界面活性剤およびリン酸塩型アニオン界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
成分(F)が、ラウレス硫酸ナトリウムである請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
成分(E)と(F)の合計に対する成分(B)の割合が、質量比で、(B)/((E)+(F))×100=15である、請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項17】
分(G)が、ラウリルグルコシド、ココグルコシド及びデシルグルコシドからなる群から選ばれる少なくともひとつである請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
さらに成分(H)脂肪酸またはその塩を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
成分(H)が、高級脂肪酸である請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
成分(H)が、ヤシ油脂肪酸である、請求項18又は19に記載の組成物。
【請求項21】
さらに成分(I)無機塩を含む請求項1~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
成分(I)が、塩化カリウム、塩化ナトリウム又はその混合物である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
さらに成分(J)酸性アミノ酸又はその塩を含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
成分(J)酸性アミノ酸が、グルタミン酸である請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
さらに成分(K)アシル中性アミノ酸またはその塩を含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
成分(K)の中性アミノ酸が、アラニン又はグリシンである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
成分(K)のアシル基が、ココイル基である請求項25又は26に記載の組成物。
【請求項28】
pHが弱酸性である、請求項1~27のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
フォーマー容器で使用するための、請求項1~28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
25℃での粘度が、300mPa・s未満である、請求項1~29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
皮膚又は毛髪の洗浄用である、請求項1~30のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N-アシル酸性アミノ酸、N-アシルペプチド、多価アルコール及びアルキルエーテルカルボン酸を含有するパーソナルケア用組成物、詳しくはフォーマー容器に充填して使用するのに最適な前記パーソナルケア用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、身体や毛髪用の洗浄剤に対しては、高い洗浄力だけでなく、皮膚に対する刺激性が少なく、使用感に優れた洗浄剤組成物が望まれている。中でも、アミノ酸系の洗浄剤組成物に対する注目が集まっているが、例えば、N-アシルグルタミン酸塩等を洗浄剤組成物として用いた洗浄剤が検討されている(特許文献1)。また、身体や毛髪用の洗浄剤は、洗浄時の皮膚や毛髪へのダメージを軽減させるために、十分な泡量を示すことが求められる。しかし、一般的にN-アシルグルタミン酸塩等を洗浄剤組成物として用いた場合、構造中の親水基が大きい影響で、気液界面への界面活性剤のパッキングが悪くなるため、十分な泡量が得られにくいという問題があった。
【0003】
また、油性成分を水系の化粧品処方に添加することで、製品の透明性や安定性に影響が生じるという問題があった。例えば、油性成分の一つである香料は、リラックス効果や上品な香りを楽しむなどの目的で、多くの化粧品に配合されている。一般的に、水に難溶な香料を配合する方法として、エタノールや多価アルコール類を溶解剤として使用する技術や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン界面活性剤で香料を水系化粧品の中に可溶化させる技術やそれらを組み合わせた技術(特許文献2)が開発されてきた。しかし、エタノールや多価アルコール類を溶解剤として使用する場合には、配合できる溶解剤に限りがあったり、溶解剤として使用するエタノールの匂いが逆に強くなったりする等の問題があった。また、ノニオン界面活性剤で香料を水系化粧品の中に可溶化する場合では、低温において香料が十分に水に溶解できないことがあり、その為加熱を必要とし、香料が揮発してしまうという問題があった。さらに特定のポリオキシエチレンアルキルエーテル及び多価アルコールを組み合わせることによる香料可溶化剤(特許文献3)では、ノニオン界面活性剤の脱脂力により、洗浄後の感触は必ずしも満足いくものではなかった。
【0004】
近年人気のあるフォーマー容器に充填される洗浄剤は、その容器から押し出すことによって、フォーマー容器内部のメッシュを通過させて、簡便にクリーミィな泡を吐出することが可能である。したがって、使用性に優れたフォーマー容器入り洗浄剤は、洗顔料、毛髪用シャンプー、ハンドソープといった、様々なパーソナルケア用品として使用されている。例えば、N-アシルアミノ酸又はその塩、ポリオキシアルキルエーテルカルボン酸又はその塩、両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び多価アルコールを特定の割合で組み合わせて用いることにより、きめが細かく泡の厚みが感じられながら泡の肌への滑りがよく、すすぎ時にぬるつかずにさっと洗い流すことができ、繰り返し行われる洗浄にも十分なマイルド性を有するフォーマー容器入り液体洗浄剤が提案されている(特許文献4)。また、N-アシルアミノ酸、両性界面活性剤、グリセリン及び特定の数平均分子量のポリエチレングリコールを特定の含有量及び合計量並びに特定の比率で用いつつ、粘度を特定の範囲内に調整することにより、高性能な泡を実現して、洗いあがりの皮膚にも良好な使用感をもたらすとともに、吐出性にも優れる液体洗浄剤が提案されている(特許文献5)。また、N-アシル酸性アミノ酸又はその塩、アルキルエーテルカルボン酸又はその塩、アルキルアミドプロピルベタインを特定の割合で組み合わせて用いることにより、低温での貯蔵安定性に優れると共に、濃厚でありつつも皮膚に伸ばしやすく持続性の高い泡性能を有し、すすぎやすいが、洗い上りの肌がつるつるして保護感があり、洗浄による肌の刺激感が低減された液体洗浄剤が提案されている(特許文献6)。
しかし、いずれの提案も身体や毛髪洗浄時の感触や、身体や毛髪へのダメージを軽減させるための泡量や、油性成分の可溶化能には改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-9146号公報
【文献】特開平11-193208号公報
【文献】特開2007-84520号公報
【文献】特開2017-110170号公報
【文献】特許第5947121号公報
【文献】特許第6336334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明における課題は、感触や起泡力に優れ、かつ洗浄力が高く油性成分の可溶化能に優れ、フォーマー容器で簡便に使用しうるパーソナルケア用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、(A)N-アシル酸性アミノ酸又はその塩、(B)N-アシルペプチド又はその塩、(C)多価アルコール及び(D)アルキルエーテルカルボン酸又はその塩を含み、(A)と(B)を特定の割合で含む組成物が、感触や起泡力に優れ、かつ洗浄力が高く油性成分の可溶化能に優れパーソナルケアに最適であり、さらにその組成物はフォーマー容器に最適な組成物であることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1](A)N-アシル酸性アミノ酸又はその塩、
(B)N-アシルペプチド又はその塩、
(C)多価アルコール、
(D)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩、
【0009】
【化1】
【0010】
(上記一般式(1)中、Rは炭素数4~22のアルキル基を示し、nは0~20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムを示す。)
を含むパーソナルケア用組成物であって、成分(A)と(B)の合計量に対する成分(B)の割合(B)/((A)+(B))×100が、質量比で、0.1~40である、組成物。
[2]成分(A)の酸性アミノ酸が、グルタミン酸である[1]に記載の組成物。
[3]成分(A)のアシル基が、ココイル基である[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]成分(B)のペプチドが、ジペプチド又はトリペプチドである[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]成分(B)のペプチドが、グルタミン酸から構成されるペプチドである[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]成分(B)のアシル基が、ココイル基である[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]成分(D)のアルキルエーテルカルボン酸又はその塩が、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンセチルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル酢酸及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種である[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]さらに成分(E)炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタインおよび炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる少なくとも1種の両性界面活性剤を含む[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]成分(A)の含有量が、組成物の総質量に対して、1~10質量%である[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10]成分(B)の含有量が、組成物の総質量に対して、0.005~4質量%である[1]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]成分(C)の含有量が、組成物の総質量に対して、1~30質量%である[1]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]成分(D)の含有量が、組成物の総質量に対して、0.3~8質量%である[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[13]成分(E)の含有量が、組成物の総質量に対して、0.05~10質量%である[8]~[12]のいずれかに記載の組成物。
[14]さらに(A)、(B)及び(D)以外のアニオン界面活性剤である成分(F)を含む[1]~[13]のいずれかに記載の組成物。
[15]成分(F)がラウレス硫酸ナトリウムである[14]に記載の組成物。
[16]成分(E)と(F)の合計に対する成分(B)の割合が、質量比で、(B)/((E)+(F))×100が0.05~40である、[14]又は[15]に記載の組成物。
[17]さらに成分(G)アルキルグリコシドを含む[1]~[16]のいずれかに記載の組成物。
[18]さらに成分(H)脂肪酸またはその塩を含む、[1]~[17]のいずれかに記載の組成物。
[19]成分(H)が高級脂肪酸である[18]に記載の組成物。
[20]成分(H)がヤシ油脂肪酸である、[18]又は[19]に記載の組成物。
[21]さらに成分(I)無機塩を含む[1]~[20]のいずれかに記載の組成物。
[22]成分(I)が、塩化カリウム、塩化ナトリウム又はその混合物である、[21]に記載の組成物。
[23]さらに成分(J)酸性アミノ酸又はその塩を含む、[1]~[22]のいずれかに記載の組成物。
[24]成分(J)酸性アミノ酸がグルタミン酸である[23]に記載の組成物。
[25]さらに成分(K)アシル中性アミノ酸又はその塩を含む、[1]~[24]のいずれかに記載の組成物。
[26]成分(K)の中性アミノ酸がアラニン又はグリシンである、[25]に記載の組成物。
[27]成分(K)のアシル基が、ココイル基である[25]又は[26]に記載の組成物。
[28]pHが弱酸性である、[1]~[27]のいずれかに記載の組成物。
[29]フォーマー容器で使用するための、[1]~[28]のいずれかに記載の組成物。
[30]25℃での粘度が、300mPa・s未満である、[1]~[29]のいずれかに記載の組成物。
[31]皮膚又は毛髪の洗浄用である、[1]~[30]のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、気泡力が良好な、洗浄力が強く香料等の油性成分も容易に添加できる液体洗浄剤を提供することができる。
本発明によれば、低刺激で洗い上がりのさらさら感を有する使用感に優れた液体洗浄剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、(A)N-アシル酸性アミノ酸又はその塩、(B)N-アシルペプチド又はその塩、(C)多価アルコール、及び(D)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩、
【0013】
【化2】
【0014】
(置換基の定義は後述)を含むパーソナルケア用組成物であって、成分(A)と(B)の合計量に対する成分(B)の割合(B)/((A)+(B))×100=0.1~40である、組成物に関する(以下本発明の組成物と略することもある)。
【0015】
本発明において、パーソナルケア用組成物とは、身だしなみのため、身体を手入れするための組成物であり、主に皮膚、毛髪、頭皮及び爪に適用する。具体的なパーソナルケア用組成物としては、ボディケア(石鹸・ボディソープ・ハンドソープなど)、ヘアケア(シャンプー・コンディショナー・ヘアスプレー・育毛剤など)、フェイスケア(洗顔フォーム・メイク落とし・クレンジングオイル・あぶらとり紙など)、スキンケア(リップクリーム・ハンドクリーム・日焼け止めクリーム・制汗剤など)、シェービング(剃刀・むだ毛処理剃刀・シェービングフォームなど)、口腔用洗浄料(ハミガキ、口臭予防剤、歯磨き粉など)、ヘアカラー、入浴剤などが挙げられるが、ボディケア、ヘアケア、フェイスケア用組成物が好ましく、ボディソープ、ハンドソープ、シャンプー、洗顔フォーム、シェービングフォーム、ハミガキなどの洗浄剤組成物がより好ましい。
【0016】
本発明における成分(A)N-アシル酸性アミノ酸及びその塩は、D体、L体およびDL体のいずれも使用することができる。またこれらのN-アシル酸性アミノ酸及びその塩は、夫々単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
【0017】
本発明における成分(A)N-アシル酸性アミノ酸及びその塩のアシル基は、炭素原子数8~22の脂肪酸から誘導されるアシル基であり、炭素原子数8~20の脂肪酸から誘導されるアシル基が好ましく、炭素原子数8~18の脂肪酸から誘導されるアシル基がより好ましい。
例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等や、それらの混合物である牛脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等から誘導されるアシル基が挙げられ、ラウロイル基、ミリストイル基、ココイル基が好ましく、ラウロイル基、ココイル基がより好ましく、ココイル基がより好ましい。
【0018】
本発明における成分(A)における酸性アミノ酸としては、酸性アミノ酸であれば特に限定されないが、グルタミン酸、アスパラギン酸等が挙げられ、グルタミン酸が好ましい。
【0019】
N-アシル酸性アミノ酸の塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン(TEA)塩等のアルカノールアミン塩;アンモニウム塩;および塩基性有機物塩等が挙げられる。これらのうち、気泡力や保存安定性に優れたものを得るうえで、アルカリ金属塩およびアルカノールアミン塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩がより好ましい。
またN-アシル酸性アミノ酸の塩は、モノ塩及びジ塩が好ましい。
また成分(A)は、本発明のパーソナルケア用組成物を調製するときに、N-アシル酸性アミノ酸と上記塩を形成する物質(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、TEA等)と一緒に加えて中和し塩の形態としてもよい。
【0020】
本発明に用いられるN-アシル酸性アミノ酸又はその塩は、具体的には、N-ラウロイルグルタミン酸、N-ミルストイルグルタミン酸、N-ココイルグルタミン酸、N-ラウロイルアスパラギン酸、N-ミルストイルアスパラギン酸、N-ココイルアスパラギン酸又はそのモノナトリウム塩、ジナトリウム塩、モノカリウム塩、ジカリウム塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。これらは1種でも2種以上混合して使用してもよい。なかでもN-ココイルグルタミン酸又はそのモノナトリウム塩、ジナトリウム塩、モノカリウム塩、ジカリウム塩、トリエタノールアミン塩、またはそれらの混合物が好ましい。
【0021】
成分(A)N-アシル酸性アミノ酸又はその塩は1種あるいは2種以上を組合せて用いることができる。また、(A)の含有量は、洗い時の泡のすべり性と洗い上がりのさらさら感の観点から、組成物の総質量に対して、通常1~10質量%、好ましくは1.5~8質量%、より好ましくは2~5質量%である。
【0022】
本発明における成分(B)N-アシルペプチドのアシル基は、炭素原子数8~22の脂肪酸から誘導されるアシル基であり、炭素原子数8~20の脂肪酸から誘導されるアシル基が好ましく、炭素原子数8~18の脂肪酸から誘導されるアシル基がより好ましい。
例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等や、それらの混合物である牛脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等から誘導されるアシル基が挙げられ、ラウロイル基、ミリストイル基、ココイル基が好ましく、ラウロイル基、ココイル基がより好ましく、ココイル基がより好ましい。
【0023】
本発明における成分(B)におけるペプチドとしては、アルギニン、リジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、グリシン、アラニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、スレオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、システイン、シスチン、ピロリドンカルボン酸、メチオニンなどのアミノ酸の1種以上から構成されるジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドが挙げられるが、水への溶解のしやすさ、製造の簡便さの観点から、ジペプチド又はトリペプチドが好ましい。
またジペプチド又はトリペプチドの中でも、気泡力、油性成分の可溶化能の観点から、グルタミン酸から構成されるジペプチド又はトリペプチドが好ましく、グルタミルグルタミン酸(Glu-Glu)、グルタミルグルタミルグルタミン酸がより好ましい。
【0024】
N-アシルペプチドの塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩;アンモニウム塩;および塩基性有機物塩等が挙げられる。
これらのうち、気泡力や保存安定性に優れたものを得る上で、アルカリ金属塩およびアルカノールアミン塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩がより好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がさらに好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
【0025】
具体的には、N-ココイルグルタミルグルタミン酸、N-ラウロイルグルタミルグルタミン酸、N-ココイルグルタミルグルタミルグルタミン酸、N-ラウロイルグルタミルグルタミルグルタミン酸又はそれらの塩等が挙げられ、なかでもN-ココイルグルタミルグルタミン酸ナトリウムが好ましい。
【0026】
成分(B)N-アシルペプチド又はその塩は、夫々単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。また、成分(B)の含有量は、気泡力、油性成分の可溶化能、洗い時のすべり性の観点から、組成物の総質量に対して、通常0.005~4質量%、好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.05~1質量%、さらに好ましくは0.1~1質量%、さらに好ましくは0.15~1質量%である。
【0027】
また本発明の組成物においては、気泡力、油性成分の可溶化能、洗い時のすべり性の観点から、成分(A)と(B)の合計量に対する成分(B)の割合(B)/((A)+(B))×100は、質量比で、通常0.1~40であり、0.5~30が好ましく、1~20がより好ましく、3~20がさらに好ましく、5~20が特に好ましい。
【0028】
本発明における成分(C)多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどのグリセリン類、ソルビトール、エリトリトールやキシリトールなどの糖アルコール、イソプレングリコール、1,2-プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール(DPG)、エトキシジグリコール、1,3-ブチレングリコール(BG)などのグリコール類が挙げられる。これらは単独で、もしくは2種以上を混合してよい。なかでも、洗い上がりのさらさら感、パーソナルケア用品としての汎用性の観点から、グリセリン類、グリコール類が好ましく、グリセリン、DPG、BG、PG、エトキシジグリコール等がより好ましく、グリセリン、DPG、エトキシジグリコールがさらに好ましく、グリセリン、DPGが特に好ましい。
【0029】
成分(C)多価アルコールは1種あるいは2種以上を組合せて用いることができる。また、(C)の含有量は、フォーマー容器からの押し出し易さ、低温での保存安定性、洗い上がりのさらさら感の観点から、組成物の総質量に対して、通常1~30質量%、好ましくは3~20質量%、より好ましくは5~20質量%、さらに好ましくは7~20質量%である。
【0030】
本発明における成分(D)は、下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸又はその塩である。
【0031】
【化3】
【0032】
式中、Rは、炭素数4~22のアルキル基を示し、好ましくは炭素数6~20のアルキル基、より好ましくは炭素数8~16、さらに好ましくは12~16のアルキル基を示す。
の平均炭素数は、10.8~14.8が好ましく、より好ましくは11.0~13.5、さらに好ましくは11.5~13.5、とりわけ好ましくは12.3~13.5である。
nは、0~20の数を示し、好ましくは0~15、より好ましくは1~15、さらに好ましくは3~12、特に好ましくは3~11である。
なお、nは、エチレンオシキシドの付加モル数を示し、成分(D)の組成中の平均付加モル数(nの平均値)は、好ましくは1.5~15であり、より好ましくは2.5~12であり、さらに好ましくは3.0~11であり、とりわけ好ましくは3.5~5.0である。
Mは、水素原子、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属またはアンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン由来のアンモニウム、アルギニン、リジンなどの塩基性アミノ酸由来のカチオン、その他の有機アンモニウムを示し、好ましくは水素原子、アルカリ金属である。
【0033】
本発明における具体的な成分(D)としては、化粧品用途での汎用性が高く、肌への刺激が少なく、生分解性が高いという観点から、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸又はその塩(ラウレス-6カルボン酸、ラウレス-5カルボン酸、ラウレス-11カルボン酸)、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸又はその塩(トリデセス-4カルボン酸、トリデセス-7カルボン酸、トリデセス-8カルボン酸)、ポリオキシエチレンセチルエーテル酢酸又はその塩、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル酢酸又はその塩が挙げられ、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸が好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸がより好ましい。
【0034】
成分(D)は1種あるいは2種以上を組合せて用いることができる。また、(D)の含有量は、洗い上がりのさらさら感の観点から、組成物の総質量に対して、通常0.3~8質量%、好ましくは0.5~5質量%、より好ましくは1~5質量%である。
【0035】
本発明において、気泡力や、低温での保存安定性の観点から、上記成分(A)~(D)に加えて成分(E)両性界面活性剤を添加してもよい。
【0036】
本発明における成分(E)両性界面活性剤としては、(1)グリシン型及びアミノプロピオン酸型などのアミノ酸型両性界面活性剤、(2)アミノ酸酢酸ベタイン型、スルホベタイン型などのベタイン型両性界面活性剤、ならびに(3)リン酸型両性界面活性剤などが挙げられる。
なかでもパーソナルケア製品の汎用性と、低温での保存安定性の観点からは、ベタイン型界面活性剤が好ましく、炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタインおよび炭素数8~14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインがより好ましく、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸、ココアンホ酢酸、ラウロアンホジ酢酸、ココアンホジ酢酸がさらに好ましく、ラウラミドプロピルベタインが特に好ましい。
【0037】
成分(E)は1種あるいは2種以上を組合せて用いることができる。また、(E)の含有量は、300mPa・s以下の粘度を保ちながら、十分な気泡力を示し、油性成分の可溶化能が高さの観点から、組成物の総質量に対して、通常0.05~10質量%、好ましくは0.1~8質量%、より好ましくは0.5~8質量%、さらに好ましくは、0.5~5質量%である。
【0038】
本発明において、300mPa・s以下の粘度を保ちながら、十分な気泡力を示し、身体を洗うのに十分な泡のすべり性を示す観点から、上記成分(A)~(E)に加えて、成分(F)として、(A)、(B)及び(D)以外のアニオン界面活性剤を添加してもよい。
【0039】
成分(F)としては、(A)、(B)及び(D)以外のカルボン酸塩型、スルホン酸型、硫酸塩型、リン酸塩型アニオン界面活性剤が挙げられるが、弱酸性での水への溶解性の観点からは、スルホン酸型、硫酸塩型、リン酸塩型アニオン界面活性剤が好ましく、ラウレス硫酸ナトリウムがより好ましい。
【0040】
成分(F)は1種あるいは2種以上を組合せて用いることができる。また、(F)の含有量は、洗い上がりのさらさら感、洗い時の泡のすべり性の観点から、組成物の総質量に対して、通常0.05~10質量%、好ましくは0.1~8質量%、より好ましくは1~6質量%、さらに好ましくは2.5~6質量%である。
【0041】
成分(E)と(F)の合計に対する成分(B)の割合が、300mPa・s以下の粘度を保ちながら、洗い上がりのさらさら感を得る観点から、質量比で、(B)/((E)+(F))×100は、0.05~40であり、0.1~30が好ましく、1~20がより好ましく、3~15がさらに好ましい。
【0042】
本発明において、十分な気泡力を獲得しながら、油性成分の可溶化能を高めるという観点から、上記成分(A)~(F)に加えて、成分(G)として、アルキルグリコシドを添加してもよい。
【0043】
成分(G)としては、炭素数6~30のアルキルグリコシドが挙げられるが、製品の汎用性の観点からは、炭素数7~26のアルキルグリコシドが好ましく、8~22のアルキルグリコシドがより好ましく、ラウリルグルコシド、ココグルコシド、デシルグルコシドがさらに好ましい。
【0044】
成分(G)は1種あるいは2種以上を組合せて用いることができる。また、(G)の含有量は、油性成分の可溶化能、洗い時の泡のすべり性、洗い上がりのさらさら感の観点から、組成物の総質量に対して、通常0.1~20質量%、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~8質量%である。
【0045】
本発明において、洗い上がりにさっぱりとした感触を獲得でき、気泡力が向上する観点から、上記成分(A)~(G)に加えて、成分(H)として、脂肪酸またはその塩を添加してもよい。
【0046】
脂肪酸としては、高級脂肪酸が挙げられる。具体的には、炭素原子数8~22の飽和または不飽和脂肪酸が挙げられ、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等が挙げられる。なかでも、ヤシ油脂肪酸が好ましい。
脂肪酸塩の具体例としては、例えば上記脂肪酸のナトリウム塩やカリウム塩、アルギニン塩などが挙げられ、ヤシ油脂肪酸カリウム、ヤシ油脂肪酸ナトリウム等が好ましい。
【0047】
成分(H)は1種あるいは2種以上を組合せて用いることができる。また、(H)の含有量は、弱酸性のpHでの低温保存安定性や、十分な気泡力を獲得する観点から、組成物の総質量に対して、通常0.05~5質量%、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.5~2質量%である。
【0048】
本発明において、フォーマー容器から吐出される泡がクリーミーな感触になるという観点から、上記成分(A)~(K)に加えて、成分(I)として、無機塩を添加してもよい。
【0049】
成分(I)としては、特に限定されないが、フォーマー容器の目詰まり防止と、フォーマー容器から吐出される泡のクリーミーさの観点からは、塩化カリウム、塩化ナトリウム又はその混合物が挙げられ、塩化カリウム、塩化ナトリウム又はその混合物が好ましい。
【0050】
成分(I)は1種あるいは2種以上を組合せて用いることができる。また、(I)の含有量は、洗い上がりのさらさら感、洗い時の泡のすべり性の観点から、組成物の総質量に対して、通常0.1~5質量%、好ましくは0.5~3質量%である。
【0051】
本発明において、フォーマー容器から吐出される泡がクリーミーな感触になり、肌の保湿感を高めるという観点から、上記成分(A)~(I)に加えて、成分(J)として、酸性アミノ酸又はその塩を添加してもよい。
【0052】
成分(J)としては、グルタミン酸、アスパラギン酸などの酸性アミノ酸又はその塩が挙げられるが、フォーマー容器から吐出される泡がクリーミーな感触になるという観点からは、グルタミン酸又はその塩が好ましく、グルタミン酸ナトリウムがより好ましい。
【0053】
成分(J)は1種あるいは2種以上を組合せて用いることができる。また、(J)の含有量は、油性成分の可溶化能の観点から、組成物の総質量に対して、通常0.1~5質量%、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.5~3質量%である。
【0054】
本発明において、洗い上がりのさっぱりとした感触と十分な泡量を獲得でき、泡立てた時の泡がクリーミーな泡である観点から、上記成分(A)~(J)に加えて、成分(K)として、アシル中性アミノ酸またはその塩を添加してもよい。
【0055】
成分(K)アシル中性アミノ酸又はその塩のアシル基としては、炭素原子数8~22の脂肪酸から誘導されるアシル基であり、炭素原子数8~20の脂肪酸から誘導されるアシル基が好ましく、炭素原子数8~18の脂肪酸から誘導されるアシル基がより好ましい。
例えば、上記成分(A)で挙げた脂肪酸から誘導されるアシル基が挙げられ、ラウロイル基、ミリストイル基、ココイル基が好ましく、ココイル基がより好ましい。
【0056】
本発明における成分(K)における中性アミノ酸としては、アラニン、グリシン等が挙げられ、アラニン、グリシンが好ましい。
【0057】
本発明に用いられるN-アシル中性アミノ酸又はその塩は、具体的には、N-ココイルグリシン、N-ココイルアラニン等が挙げられる。なかでもN-ココイルグリシン、N-ココイルアラニン、またはそれらの混合物が好ましい。
【0058】
成分(K)は1種あるいは2種以上を組合せて用いることができる。また、(K)の含有量は、低温での保存安定性、油性成分の可溶化能、洗い上がりのさらさら感の観点から、組成物の総質量に対して、通常0.05~10質量%、好ましくは0.1~5質量%である。
【0059】
本発明における成分(A)~(K)は、自体公知の方法で製造した合成品や市販品を用いることができる。
【0060】
本発明のパーソナルケア用組成物においては、油性成分を含むことができる。油性成分としては、天然香料や合成香料である、バラ油、リモネン、リナロールなどの香料や、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、油脂、ロウ類(ワックス)、エステル油、シリコーン油や、エモリエント効果が期待できる成分などが挙げられる。本発明のパーソナルケア用組成物では、低温でも油性成分を溶解することができ、溶解状態を長時間保つことができる。例えば660nmでの吸光度は、通常0.2以下であり、0.075未満が好ましい。なお吸光度は紫外可視光分光光度計や、吸光光度計、分光光度計などの機械を用いて測定でき、吸光度は溶液の濁度の指標となり吸光度が小さいほど油性成分が溶解していることを示す。
【0061】
油性成分は1種あるいは2種以上を組合せて用いることができる。また、油性成分は、組成物の総質量に対して、通常0.0001~30質量%、好ましくは0.001~25質量%、より好ましくは0.001~15質量%、より好ましくは0.001~10質量%の範囲で配合することが望ましい。
【0062】
本発明のパーソナルケア用組成物の形態は、特に限定されず、固形、液体、ペースト、ゲル、粉末、顆粒、クリーム等の任意の形態が挙げられる。なかでも取扱いに優れるという観点から、液体、ゲルが好ましく、液体が特に好ましい。したがって本発明のパーソナルケア用組成物を液体組成物又はゲル状組成物として使用する場合には、上記成分を配合する固形分を水などと配合して液体洗浄剤組成物又はゲル状洗浄剤組成物とする組成物も本願に含まれる。すなわち液体洗浄剤組成物又はゲル状洗浄剤組成物として使用する前に用時調製する組成物も本発明の組成物に含まれる。
【0063】
本発明のパーソナルケア用組成物は、自体公知の方法で製造することができる。例えば、上記した各成分の混合物およびその他の添加物を混合し、この混合物を通常15~60℃で、1分~3時間程度加熱して各成分を均一に溶解し、本発明の組成物を得ることができる。
【0064】
本発明のパーソナルケア用組成物のpHは、肌表面のpHが弱酸性であるという観点から、通常弱酸性であり、4.5~7が好ましく、5~7がより好ましく、5.5~7がさらに好ましい。ここで本発明の組成物のpHは、それぞれの組成物を10~15質量部に、残余を水で希釈した時の水溶液(25℃)でのpHと定義される。
【0065】
本発明の組成物の粘度は、25℃での粘度が300mPa・s未満であり、フォーマー容器に充填して使用するという観点からは、200mPa・s未満が好ましく、150mPa・s未満がより好ましく、100mPa・s未満がさらに好ましい。粘度の下限は特に限定されないが、1mPa・s以上が挙げられる。粘度は慣用の方法で測定することができるが、例えば25℃での組成物の粘度はB型粘度計を用いて測定することができる。
【0066】
本発明のパーソナルケア用組成物において、本発明の効果を阻害しない範囲で通常使用される各種添加剤を添加することができる。
例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ミリスチルアルコール等の高級アルコール、トリメチルグリシン等の保湿剤、(A)、(B)、(D)及び(F)成分以外のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、植物油、動物系油脂、天然系油脂誘導体、鉱物系油脂、低級および高級脂肪酸エステル、N-アシルグルタミン酸エステル等の合成系油脂、シリコーン化合物、高分子物質、動植物抽出物、酸性アミノ酸以外のアミノ酸、核酸、ビタミン、酵素、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、キレート剤、制汗剤、酸化染料、pH調整剤、パール化剤等の化粧品原料基準、化粧品種別配合成分規格、医薬部外品原料規格、日本薬局方、日本薬局方外医薬品成分規格、食品添加物公定書等の各種公定書記載の原料等が挙げられる。
【0067】
本発明のパーソナルケア用組成物は通常使用されている容器に充填して使用することが可能であるが、なかでもフォーマー容器に充填して使用することで起泡性が良く、泡安定性が良好なものとなるため好ましい。
本発明のパーソナルケア用組成物を充填するフォーマー容器としては、特に限定されないが、例えばスクイズフォーマー及びポンプフォーマー等のノンエアゾール容器、エアゾール缶等のエアゾール容器などの吐出容器等が挙げられるが、機構が簡便で、かつ噴射剤が不要であるため環境に優しいという点でノンエアゾール容器が好ましい。
【実施例
【0068】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例における配合量は特に断らない限り、界面活性剤の固形分の含有量(質量%)を示す。
【0069】
サンプルの調製
表1に示す割合で各成分を秤量し混合して、非加熱工程にて各サンプルを調製した。
【0070】
起泡力測定
サンプルの起泡力測定は、ハンドミキサー(DL-0202、貝印株式会社製)を用いた。まず、50倍希釈した各サンプルを100mL秤量し500mLガラスビーカーに加えた。次に、ガラスビーカーに入れたサンプルをハンドミキサーで10秒間、ダイアル1の強さで泡立て、泡立てた直後の泡の高さを測定し、下記の基準で評価した。結果は表1に示した。
【0071】
<判定基準>
A:泡の高さが356mm以上
B:泡の高さが331mm以上356mm未満
C:泡の高さが331mm未満
【0072】
油性成分の可溶化能評価
20mLガラスバイアルに各サンプルを5g秤量し加えた。次に、(±)-リモネン(東京化成工業株式会社)を0.1g添加し、ふたを閉めた状態で、室温にて15分間撹拌した。その後、紫外可視分光光度計(V-570、日本分光株式会社製)を用いて、660nmの吸光度を測定した。一般に、溶液の濁度は660nmでの吸光度から測定できることが知られているので、下記の基準で評価した。結果は表1に示した。
【0073】
<判定基準>
A:660nmでの吸光度が0.075未満
B:660nmでの吸光度が0.075以上、0.2以下
C:660nmでの吸光度が0.2より大きい
【0074】
感触測定(洗浄後のさらさら感)
表1に示す各サンプルを、容量100mLのフォーマー容器(竹本容器株式会社、ネット200メッシュ、100メッシュ、各1枚入り)に充填した。各サンプル4プッシュ(約1.4mL)を手のひらに取り、20回両手のひらをこすり合わせた後、流速67mL/秒、35℃の水道水で15秒間泡を洗い流し、タオルドライ後、下記評価基準に基づいて洗浄後の肌のさらさら感を2名の専門パネルにより官能評価した。結果は表1に示した。
【0075】
<判定基準>
3点:比較例1よりも洗浄後のさらさら感を感じる。
2点:比較例1と同程度の洗浄後のさらさら感を感じる。
1点:比較例1よりも洗浄後のさらさら感を感じない。
【0076】
2名の専門パネルの得点を合計し、下記評価基準に基づいて洗浄後のさらさら感を評価した。
A:2名の専門パネルの平均点が2.1点以上
B:2名の専門パネルの合計点が1.1点以上2点以下
C:2名の専門パネルの合計点が1点以下
【0077】
感触測定(洗浄時のすべり感)
各容器入りサンプル4プッシュ(約1.4mL)を手のひらに取り、20回両手のひらをこすり合わせ、下記評価基準に基づいて洗浄時のすべり感を2名の専門パネルにより官能評価した。
<判定基準>
3点:比較例1よりも洗浄時のすべり感を感じる。
2点:比較例1と同程度の洗浄時のすべり感を感じる。
1点:比較例1よりも洗浄時のすべり感を感じない。
【0078】
2名の専門パネルの得点を合計し、下記評価基準に基づいて洗浄時のすべり感を評価した。
A:2名の専門パネルの平均点が2.1点以上
B:2名の専門パネルの合計点が1.1点以上2点以下
C:2名の専門パネルの合計点が1点以下
【0079】
物性の測定
25℃における各サンプルの粘度をB型粘度計で測定した。
また25℃における10質量%に希釈した各サンプルのpHをpH測定器(F-52、株式会社堀場製作所)で測定した。結果を表1に示す。
【0080】
総合評価
Aを5点、Bを4点、Cを1点として、下記評価基準に基づいて総合評価をした。
<判定基準>
A:16点以上
B:13点以上15点以下
C:12点以下
【0081】
【表1】
【0082】
実施例1~18は、いずれも良好な使用性を示した。
【0083】
表中で使用した成分の詳細は以下の通りである。
*1:ラウレス-6カルボン酸:カオーアキポ RLM-45(花王株式会社)
*2:ラウラミドプロピルベタイン:アンヒトール 20AB(花王株式会社)
*3:エトキシジグリコール:トランスキトール CG(CBC株式会社)
*4:ラウリルグルコシド;PLANTACARE 1200UP(BASF)
*5:ラウレス硫酸Na;エマール E-27C(花王株式会社)
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、香料等の油性成分も添加が容易であり、泡量や感触等に優れたパーソナルケア用組成物を提供することができる。