(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】発信端末制御装置、ネットワークシステム、及び発信端末制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 74/04 20090101AFI20230322BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20230322BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20230322BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20230322BHJP
H04W 72/1268 20230101ALI20230322BHJP
【FI】
H04W74/04
H04M11/00 301
H04W4/38
H04W52/02 130
H04W72/1268
(21)【出願番号】P 2019097112
(22)【出願日】2019-05-23
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】野呂 正明
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-195705(JP,A)
【文献】特表2018-506920(JP,A)
【文献】特開2016-162406(JP,A)
【文献】特開2015-088807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
H04M 11/00-11/10
H04L 12/28
H04L 12/44-12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発信端末から受信する発信信号の発信周期別に受信信号数の分布を求める分布生成部と、
前記分布における受信信号数が所定数以上の発信周期に含まれる発信端末、又は、前記分布の受信信号数に基づいて求まる受信確率が所定確率以下の発信周期に含まれる発信端末の中から所定条件を満たす発信端末を制御対象として抽出する制御対象抽出部と、
前記制御対象抽出部によって制御対象として抽出される発信端末に対して、当該発信端末の発信周期を前記受信信号数が前記所定数未満の発信周期、又は、前記受信確率が前記所定確率よりも高い発信周期にシフトさせる指令を出力する指令出力部と
を含む、発信端末制御装置。
【請求項2】
前記分布における受信信号数が所定数以上の発信周期に含まれる発信端末、又は、前記分布に基づいて求まる受信確率が所定確率以下の発信周期に含まれる発信端末を制御対象の候補として抽出する候補抽出部をさらに含み、
前記制御対象抽出部は、前記候補抽出部によって前記候補として抽出される発信端末の中から前記所定条件を満たす発信端末を前記制御対象として抽出する、請求項1記載の発信端末制御装置。
【請求項3】
前記候補抽出部は、前記分布から前記発信周期別に受信信号数を読み取り、読み取った受信信号数が前記所定数以上の発信周期に含まれる発信端末を前記制御対象の候補として抽出する、又は、前記分布の受信信号数から前記発信周期別に受信確率を求め、求めた受信確率が所定確率以下の発信周期に含まれる発信端末を制御対象の候補として抽出する、請求項2記載の発信端末制御装置。
【請求項4】
前記所定条件は、前記発信端末のバッテリの残量、前記発信信号の受信電波強度、前記発信信号の受信確率、又は、前記発信周期に関する条件である、請求項1乃至3のいずれか一項記載の発信端末制御装置。
【請求項5】
前記所定条件は、前記発信端末のバッテリの残量が所定残量以上の発信端末であること、前記バッテリの残量と前記バッテリの交換基準値との差が所定差以下である発信端末であること、前記発信信号の受信電波強度が所定強度以上の発信端末であること、前記受信確率が所定確率以上の発信端末であること、又は、前記発信周期と前記複数の発信端末の発信周期の平均値との差が所定差以上の発信端末であることである、請求項1乃至4のいずれか一項記載の発信端末制御装置。
【請求項6】
前記分布生成部は、前記発信端末から受信する発信信号に含まれる発信周期に基づいて前記発信信号の発信周期別に受信信号数の分布を求める、又は、前記発信端末から複数回にわたって受信する複数の発信信号の受信時刻の差のうちの最小値を前記発信周期として用いて前記発信信号の発信周期別に受信信号数の分布を求める、請求項1乃至5のいずれか一項記載の発信端末制御装置。
【請求項7】
前記指令出力部が出力する前記指令は、前記発信端末の発信周期をシフト後の発信周期に書き換えさせる指令、又は、前記発信端末にシフト前の発信周期とシフト後の発信周期との差分を前記シフト前の発信周期に加算又は減算させる指令である、請求項1乃至6のいずれか一項記載の発信端末制御装置。
【請求項8】
発信信号を発信する複数の発信端末と、前記発信端末の発信周期を制御する発信端末制御装置とを含むネットワークシステムであって、
前記発信端末制御装置は、
前記複数の発信端末から受信する発信信号の発信周期別に受信信号数の分布を求める分布生成部と、
前記分布における受信信号数が所定数以上の発信周期に含まれる発信端末、又は、前記分布の受信信号数に基づいて求まる受信確率が所定確率以下の発信周期に含まれる発信端末の中から所定条件を満たす発信端末を制御対象として抽出する制御対象抽出部と、
前記制御対象抽出部によって制御対象として抽出される発信端末に対して、当該発信端末の発信周期を前記受信信号数が前記所定数未満の発信周期、又は、前記受信確率が前記所定確率よりも高い発信周期にシフトさせる指令を出力する指令出力部と
を有する、ネットワークシステム。
【請求項9】
複数の発信端末から受信する発信信号の発信周期別に受信信号数の分布を求めることと、
前記分布における受信信号数が所定数以上の発信周期に含まれる発信端末、又は、前記分布の受信信号数に基づいて求まる受信確率が所定確率以下の発信周期に含まれる発信端末の中から所定条件を満たす発信端末を制御対象として抽出することと、
前記制御対象として抽出される発信端末に対して、当該発信端末の発信周期を前記受信信号数が前記所定数未満の発信周期、又は、前記受信確率が前記所定確率よりも高い発信周期にシフトさせる指令を出力することと
を含む処理をコンピュータに実行させる、発信端末制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信端末制御装置、ネットワークシステム、及び発信端末制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数台のセンサ子機と親機とを備えるセンサデータ収集システムがある。
【0003】
前記センサ子機は、各々の前記センサ子機に設定された測定間隔が経過する毎に測定対象の状態量を測定するセンサ部と、各々の前記センサ子機に設定された送信間隔が経過する毎に前記センサ部の測定データを前記親機に無線送信する第1通信部を備える。
【0004】
前記親機は、前記第1通信部との間で無線通信を行う第2通信部と、複数台の前記センサ子機の各々について前記測定間隔及び前記送信間隔のうち少なくとも何れか一方の情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部が取得した情報をもとに前記センサ子機の送信タイミングをずらすオフセット時間を求め、前記第2通信部から前記センサ子機へ前記オフセット時間を送信させる時間調整部とを備える。
【0005】
前記センサ子機は、前記親機から送信された前記オフセット時間を前記第1通信部が受信すると、前回の送信タイミングを前記オフセット時間だけずらした時刻を基準にして前記送信間隔が経過する毎に前記第1通信部から測定データを無線送信させる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来のセンサデータ収集システムは、オフセット時間を用いて送信間隔による送信タイミングをずらしているが、各送信タイミングにおけるセンサ子機の台数の分布を考慮していない。
【0008】
このため、ある送信タイミングで送信するセンサ子機の数が多い場合には、測定データ同士が混信により正常に受信できなくなる。
【0009】
そこで、混信を抑制した発信端末制御装置、ネットワークシステム、及び発信端末制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施の形態の発信端末制御装置は、発信端末から受信する発信信号の発信周期別に受信信号数の分布を求める分布生成部と、前記分布における受信信号数が所定数以上の発信周期に含まれる発信端末、又は、前記分布の受信信号数に基づいて求まる受信確率が所定確率以下の発信周期に含まれる発信端末の中から所定条件を満たす発信端末を制御対象として抽出する制御対象抽出部と、前記制御対象抽出部によって制御対象として抽出される発信端末に対して、当該発信端末の発信周期を前記受信信号数が前記所定数未満の発信周期、又は、前記受信確率が前記所定確率よりも高い発信周期にシフトさせる指令を出力する指令出力部とを含む。
【発明の効果】
【0011】
混信を抑制した発信端末制御装置、ネットワークシステム、及び発信端末制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態のセンサネットワークシステム300を示す図である。
【
図2】サーバ100を実現するコンピュータシステム20の斜視図である。
【
図3】コンピュータシステム20の本体部21内の要部の構成を説明するブロック図である。
【
図5】センサデバイス200の構成を示す図である。
【
図6】制御装置110が実行する処理を示す図である。
【
図7】分布生成部112によって生成される分布データを示す図である。
【
図8】制御装置110が分布データとバッテリ残量リストを生成する処理を示す図である。
【
図11】候補抽出部113が制御対象の候補を抽出する手法を説明する図である。
【
図12】制御装置110が候補IDリストを生成する処理を示す図である。
【
図13】制御装置110の制御対象抽出部114が制御対象を抽出する処理を示す図である。
【
図15】サーバ100におけるビーコン信号Aの受信状況と受信タイミングの一例を示す図である。
【
図16】サーバ100におけるビーコン信号Aの受信間隔と受信回数の関係の一例を示す図である。
【
図17】第1変形例において制御装置110が分布データとバッテリ残量リストを生成する処理を示す図である。
【
図18】
図17のステップS116のサブルーチン処理を示す図である。
【
図19】第2変形例において候補抽出部113が制御対象の候補を抽出する手法を説明する図である。
【
図20】第2変形例において制御装置110が候補IDリストとバッテリ残量リストを生成する処理を示す図である。
【
図21】
図20のステップS136のサブルーチン処理を示す図である。
【
図22】
図20のステップS137のサブルーチン処理を示す図である。
【
図23】第4変形例の制御装置110の制御対象抽出部114が制御対象を抽出する処理を示す図である。
【
図24】サーバ100におけるビーコン信号A、Bの受信状況(受信又は失敗)と受信タイミングの一例を示す図である。
【
図25】第5変形例において、制御装置110が分布データを生成する処理を示す図である。
【
図26】第5変形例において、制御装置110の制御対象抽出部114が制御対象を抽出する処理を示す図である。
【
図27】複数のセンサデバイス200をグループ分けした状態を示す図である。
【
図28】第6変形例において、制御装置110の制御対象抽出部114が制御対象を抽出する処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の発信端末制御装置、ネットワークシステム、及び発信端末制御プログラムを適用した実施の形態について説明する。
【0014】
<実施の形態>
図1は、実施の形態のセンサネットワークシステム300を示す図である。センサネットワークシステム300は、ネットワークシステムの一例であり、サーバ100、センサデバイス200、及び基地局50を含む。サーバ100は、発信端末制御装置の一例であり、センサデバイス200は、発信端末の一例である。
【0015】
1つのサーバ100は、ネットワーク10を介して複数の基地局50と通信可能である。ネットワーク10は、例えばインターネット又は公衆通信回線等である。また、各基地局50は、周囲にある複数のセンサデバイス200と通信可能である。
【0016】
各センサデバイス200には、ID(Identifier)が割り振られている。センサデバイス200は、一例としてBLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))形式の通信部を含み、サーバ100から送信される指令等を基地局50経由で受信可能であるとともに、内蔵するセンサで検出されるセンサデータとIDをビーコン信号に含ませて出力可能である。ビーコン信号は、基地局50によって受信され、サーバ100に転送される。
【0017】
センサデバイス200のIDは固有であり、ビーコン信号に含まれるため、ビーコン信号のIDとして捉えることもできる。ビーコン信号に含まれるIDでビーコン信号同士を識別することができ、ビーコン信号に含まれるIDでセンサデバイス200を識別することができる。
【0018】
センサデバイス200は、所定のセンサを内蔵しており、所定の発信周期でセンサの検出値を含むビーコン信号を発信する。発信周期とは、各センサデバイス200がビーコン信号を発信する周期である。各センサデバイス200の発信周期は、サーバ100から基地局50を介して送信される設定指令によって複数種類の発信周期のうちのいずれかに設定される。また、各センサデバイス200の発信周期は、混信を抑制するために、サーバ100から基地局50を介して送信されるシフト指令によって変更される。
【0019】
所定のセンサは、どのようなセンサであってもよく、例えば、温度センサ、湿度センサ、気圧センサ、加速度センサ、歪みセンサ、圧力センサ等である。また、センサデバイス200は、ユーザがPC(Personal Computer)60を介してサーバ100にアクセスしてIDと設置場所を登録することにより、追加的に設置することができる。
【0020】
このようなセンサデバイス200を基地局50を介してサーバ100と通信可能に接続することにより、所定のセンサによって検出されるセンサデータを収集可能なセンサネットワークシステム300を構築している。
【0021】
センサネットワークシステム300では、上述のような構成により、サーバ100と複数のセンサデバイス200とが複数の基地局50を介して通信可能である。
【0022】
図2は、サーバ100を実現するコンピュータシステム20の斜視図である。
図2に示すコンピュータシステム20は、本体部21、ディスプレイ22、キーボード23、マウス24、及びモデム25を含む。
【0023】
本体部21は、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)、及びディスクドライブ等を内蔵する。ディスプレイ22は、本体部21からの指示により画面22A上に処理結果等を表示する。ディスプレイ22は、例えば、液晶モニタであればよい。キーボード23は、コンピュータシステム20に種々の情報を入力するための入力部である。マウス24は、ディスプレイ22の画面22A上の任意の位置を指定する入力部である。モデム25は、外部のデータベース等にアクセスして他のコンピュータシステムに記憶されているプログラム等をダウンロードする。
【0024】
コンピュータシステム20にサーバ100としての機能を持たせるプログラムは、ディスク27等の可搬型記録媒体に格納されるか、モデム25等の通信装置を使って他のコンピュータシステムの記録媒体26からダウンロードされ、コンピュータシステム20に入力されてコンパイルされる。
【0025】
コンピュータシステム20にサーバ100としての機能を持たせるプログラムは、コンピュータシステム20をサーバ100として動作させる。このプログラムは、例えばディスク27等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されていてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、ディスク27、ICカードメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記録媒体に限定されるものではない。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、モデム25又はLAN等の通信装置を介して接続されるコンピュータシステムでアクセス可能な各種記録媒体を含む。
【0026】
図3は、コンピュータシステム20の本体部21内の要部の構成を説明するブロック図である。本体部21は、バス30によって接続されたCPU31、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等を含むメモリ部32、ディスク27用のディスクドライブ33、及びハードディスクドライブ(HDD)34を含む。
【0027】
なお、コンピュータシステム20は、
図2及び
図3に示す構成のものに限定されず、各種周知の要素を付加してもよく、又は代替的に用いてもよい。
【0028】
図4は、サーバ100の構成を示す図である。サーバ100は、制御装置110及び通信部120を含む。制御装置110及び通信部120は、それぞれ、
図2に示す本体部21及びモデム25に相当する。
【0029】
制御装置110は、主制御部111、分布生成部112、候補抽出部113、制御対象抽出部114、指令出力部115、及びメモリ116を有する。これらのうち、主制御部111、分布生成部112、候補抽出部113、制御対象抽出部114、指令出力部115は、制御装置110が実行するプログラムの機能(ファンクション)を機能ブロックとして示したものである。また、メモリ116は、制御装置110のメモリを機能的に表したものである。
【0030】
主制御部111は、制御装置110の処理を統括する処理部であり、分布生成部112、候補抽出部113、制御対象抽出部114、及び指令出力部115が実行する処理以外の処理を実行する。
【0031】
分布生成部112は、センサデバイス200から受信するビーコン信号の発信周期別に受信数の分布を求め、分布を表す分布データを生成する。発信周期とは、各センサデバイス200がビーコン信号を発信する周期であり、各センサデバイス200には、複数種類の発信周期のうちのいずれかが割り当てられる。ビーコン信号の受信数は、サーバ100によってビーコン信号が受信されたセンサデバイス200の台数であり、分布データでは発振周期毎にカウントされる。なお、分布生成部112が行う具体的な処理については、
図6及び
図8を用いて後述する。
【0032】
候補抽出部113は、分布生成部112によって生成される分布データにおける受信数が所定数以上の発信周期に含まれるセンサデバイス200を制御対象の候補として抽出する。候補抽出部113が行う具体的な処理については、
図6及び
図12を用いて後述する。
【0033】
制御対象抽出部114は、候補抽出部113によって抽出される候補としてのセンサデバイス200の中から所定条件を満たすセンサデバイス200を制御対象として抽出する。制御対象抽出部114が行う具体的な処理については、
図6及び
図13を用いて後述する。
【0034】
指令出力部115は、制御対象抽出部114によって制御対象として抽出されるセンサデバイス200に対して、当該センサデバイス200の発信周期を分布データにおける受信数が所定数未満の発信周期にシフトさせるシフト指令を出力する。
【0035】
メモリ116は、主制御部111、分布生成部112、候補抽出部113、制御対象抽出部114、及び指令出力部115が処理を実行する際に用いるプログラム及びデータ等を格納する。
【0036】
通信部120は、ネットワーク10に接続するモデム等である。
【0037】
図5は、センサデバイス200の構成を示す図である。センサデバイス200は、制御部210、センサ220、通信部230、太陽電池240、及びバッテリ250を有する。制御部210は、例えばマイクロコンピュータであり、CPU、RAM、及びROM等を含む。制御部210は、サーバ100から受信する設定指令に基づく発信周期の設定処理、サーバ100から受信するシフト指令に基づく発信周期の変更処理、及び、センサ220によって検出される検出値を表すセンサデータの送信処理等を行う。
【0038】
通信部230は、一例としてBLE形式でのデータの受信及びビーコン信号の出力を行う。太陽電池240は、光電変換によって電力を生成する。バッテリ250は、太陽電池240によって生成される電力を充電し、制御部210、センサ220、及び通信部230に電力を供給する。バッテリ250は、充電及び放電が可能な二次電池であればよい。
【0039】
ユーザがPC(Personal Computer)60(
図1参照)を介してサーバ100にアクセスしてIDと設置場所を登録すると、サーバ100が発信周期を設定する設定指令を基地局50経由で送信し、センサデバイス200の発信周期が設定される。制御部210は、設定された発信周期でセンサ220からセンサデータを入手し、入手したセンサデータをビーコン信号に含ませて通信部230から放射する。
【0040】
また、ここでは、センサデバイス200が発信するビーコン信号には、発信周期とバッテリ250の残量(充電量)とを表すデータが含まれるものとする。
【0041】
図6は、制御装置110が実行する処理を示す図である。
図6には、制御装置110が実行する処理を示す図である。
【0042】
制御装置110は、分布データとバッテリ残量リストを生成する(ステップS1)。分布データは、センサデバイス200の発信周期毎のビーコン信号の受信数の分布を表す分布データであり、バッテリ残量リストは、センサデバイス200のバッテリの残量を登録したリスト形式のデータである。
【0043】
ステップS1の処理は、制御装置110のうちの主制御部111及び分布生成部112によって行われるが、具体的な処理の説明は
図8を用いて後述する。
【0044】
制御装置110は、候補IDリストを生成する(ステップS2)。候補IDリストとは、制御装置110が制御対象の候補として抽出するセンサデバイス200のIDと発信周期を登録したリスト形式のデータである。ステップS2の処理は、制御装置110のうちの候補抽出部113によって行われるが、具体的な処理の説明は
図12を用いて後述する。
【0045】
制御装置110は、制御対象を抽出する(ステップS3)。ステップS3は、ステップS2で生成される候補IDリストに含まれるセンサデバイス200の中から制御対象としてのセンサデバイス200を抽出する処理である。ステップS3の処理は、制御装置110のうちの制御対象抽出部114によって行われるが、具体的な処理の説明は
図13を用いて後述する。
【0046】
制御装置110は、ステップS3で抽出される制御対象としてのセンサデバイス200に対して、発信周期をシフトさせるシフト指令を出力する(ステップS4)。ステップS4の処理は、制御装置110のうちの指令出力部115によって行われる。また、シフト指令は、変更後の発信周期を表す指令である。
【0047】
ステップS4の処理により、シフト指令を受信したセンサデバイス200は、自己の発信周期を発信周期毎の受信数が少ない発信周期にシフトする。この結果、発信周期毎の受信数の分布が緩和され、混信しにくい状態を得ることができる。
【0048】
制御装置110は、所定の制御周期で
図6に示すステップS1からステップS4の処理を実行すればよい。
【0049】
図7は、分布生成部112によって生成される分布データを示す図である。
図7において、横軸は発信周期を表し、縦軸は各発信周期におけるビーコン信号の受信数を表す。
【0050】
分布生成部112は、複数のセンサデバイス200から受信するビーコン信号に含まれる発信周期を読み出し、発信周期毎の受信数の分布を表す分布データを生成する。発信周期は、一例として、50秒から70秒の間で1秒刻みで設定されるものとする。
【0051】
図8は、制御装置110が分布データとバッテリ残量リストを生成する処理を示す図である。
図9は、テーブル形式の分布データを示す図である。
図10は、バッテリ残量リストを示す図である。
【0052】
主制御部111は、通信部120によってビーコン信号を受信する処理を開始すると(スタート)、開始時刻をメモリ116に記録する(ステップS11)。
【0053】
主制御部111は、通信部120によってビーコン信号が受信されたかどうかを判定する(ステップS12)。
【0054】
分布生成部112は、ビーコン信号が受信された(S12:YES)と主制御部111によって判定されると、センサデバイス200のIDと発信周期との組み合わせをメモリ116に記録する(ステップS13A)。
【0055】
また、主制御部111は、ビーコン信号が受信された(S12:YES)と判定すると、ステップS13Aの処理と平行して、センサデバイス200のIDとバッテリ残量を関連付けてバッテリ残量リスト(
図10参照)に登録する(ステップS13B)。
【0056】
主制御部111は、分布生成部112によるステップS13Aの処理と、自己が行うステップS13Bの処理とが完了すると、処理を開始してから所定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS14)。所定時間は、分布データを生成するために予め決められた測定時間であり、例えば60分である。
【0057】
分布生成部112は、主制御部111によって所定時間が経過した(S14:YES)と判定されると、発信周期毎にビーコン信号の受信数を集計することによって、
図9に示すようなテーブル形式の分布データを生成する(ステップS15)。
【0058】
主制御部111は、分布生成部112によってテーブル形式の分布データが生成されると一連の処理を終了する(エンド)。
【0059】
このようにして生成したテーブル形式の分布データ(
図9参照)は、発信周期毎にビーコン信号の受信数とIDを関連付けて登録したデータである。分布データをグラフ化すると
図7のように発信周期に対する受信数の分布が得られる。
【0060】
また、ステップS13Bの処理によって、センサデバイス200のIDとバッテリ残量とを関連付けて登録したバッテリ残量リスト(
図10参照)が生成される。
【0061】
なお、主制御部111は、ステップS12においてビーコン信号が受信されていない(S12:NO)と判定すると、フローをステップS14に進行させる。
【0062】
また、主制御部111は、ステップS14において所定時間が経過していない(S14:NO)と判定すると、フローをステップS12にリターンさせる。所定時間にわたってセンサデバイス200のIDと発信周期の組み合わせを記録するとともに、センサデバイス200のIDとバッテリ残量の組み合わせを記録することによって分布データとバッテリ残量リストを生成するためである。
【0063】
ステップS13Bの処理によって生成されるバッテリ残量リストには、
図10に示すように、センサデバイス200のIDと、各センサデバイス200のバッテリ250の残量(%)とが関連付けられて登録されている。また、バッテリ残量リストには、ビーコン信号の受信を開始した開始時刻と測定時間が関連付けて登録される。バッテリ残量リストは、主制御部111によって繰り返し生成される。
【0064】
図11は、候補抽出部113が制御対象の候補を抽出する手法を説明する図である。候補抽出部113は、分布生成部112によって生成される分布データを参照し、制御対象の候補として、各発信周期における受信数が所定の閾値以上の発信周期に属するセンサデバイス200を抽出する。
【0065】
図11では、一例として、58秒、59秒、60秒、61秒、62秒の発信周期における受信数が所定の閾値以上になっているため、候補抽出部113は、発信周期が58秒、59秒、60秒、61秒、62秒のセンサデバイス200のIDを分布データから抽出し、候補IDリストに登録する。候補IDリストとは、候補抽出部113が制御対象の候補として抽出するセンサデバイス200のIDと発信周期を登録したリスト形式のデータである。候補IDリストのデータ形式は、
図9に示す分布データから発信周期における受信数が所定の閾値以上の発信周期に関連付けられたIDを抽出したものである。
【0066】
図12は、制御装置110が候補IDリストを生成する処理を示す図である。
【0067】
候補抽出部113は、分布生成部112によって分布データが生成されると処理をスタートし、分布データの中から候補抽出部113による抽出処理が行われていない発信周期のうちで最も短い発信周期における受信数を取得する(ステップS21)。
【0068】
抽出処理とは、候補抽出部113が分布データから制御対象の候補を抽出する処理である。ステップS21の処理を繰り返し実行することにより、分布データの中から発信周期が短い方から順番に受信数を表すデータが取得されることになる。
【0069】
候補抽出部113は、取得した受信数が所定の閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS22)。
【0070】
候補抽出部113は、受信数が所定の閾値以上である(S22:YES)と判定すると、当該発信周期に属するセンサデバイス200のIDを候補IDリストに登録する(ステップS23)。
【0071】
候補抽出部113は、分布データに含まれるすべての発信周期について抽出処理を行ったかどうかを判定する(ステップS24)。
【0072】
候補抽出部113は、すべての発信周期について抽出処理を行った(S24:YES)と判定すると、すべての抽出処理を終えたことを主制御部111に通知する(ステップS25)。以上により、一連の処理が終了する(エンド)。
【0073】
なお、候補抽出部113は、ステップS22において受信数が所定の閾値以上ではない(S22:NO)と判定すると、フローをステップS24に進行させる。受信数が所定の閾値以上ではない場合は、候補IDリストへの登録を行わないからである。
【0074】
また、候補抽出部113は、ステップS24において、すべての発信周期について抽出処理を行っていない(S24:NO)と判定すると、フローをステップS21にリターンさせる。未処理の発信周期について抽出処理を行うためである。
【0075】
図13は、制御装置110の制御対象抽出部114が制御対象を抽出する処理を示す図である。
図13に示す処理は、制御装置110の制御対象抽出部114によって実行される。
【0076】
制御対象抽出部114は、候補抽出部113によって候補IDリストが生成されると、候補IDリストに含まれるセンサデバイス200のIDを1つ抽出する(ステップS31)。ステップS31が繰り返されることにより、候補IDリストからIDが1つずつ順番に抽出される。
【0077】
制御対象抽出部114は、最新のバッテリ残量リストからステップS31で抽出したIDに関連するバッテリ残量を読み出し、IDと関連付けて候補残量リストに登録する(ステップS32)。候補残量リストは、候補IDリストに含まれるIDと、対応するバッテリ残量とを関連付けたデータである。
【0078】
制御対象抽出部114は、候補IDリストに含まれるすべてのIDを抽出したかどうかを判定する(ステップS33)。
【0079】
制御対象抽出部114は、すべてのIDを抽出した(S33:YES)と判定すると、候補残量リストの中で最もバッテリ残量が多いIDを抽出する(ステップS34)。
【0080】
なお、制御対象抽出部114は、ステップS33においてすべてのIDを抽出していない(S33:NO)と判定すると、フローをステップS31にリターンさせる。候補IDリストに含まれるすべてのIDを抽出するためである。
【0081】
図14は、候補残量リストを示す図である。候補残量リストは、候補IDリストに含まれるIDと、対応するバッテリ残量とを関連付けたデータである。ここでは、IDが001、014、023・・・のセンサデバイス200についてのバッテリ残量を登録した候補残量リストを示す。候補残量リストには、ビーコン信号の受信を開始した開始時刻と測定時間が関連付けて登録される。
【0082】
以上のようにして制御対象抽出部114によって候補残量リストの中で最もバッテリ残量が多いIDが抽出されると、指令出力部115は、制御対象抽出部114によって抽出されるIDのセンサデバイス200に対して、シフト指令を出力する。シフト指令は、変更後の発信周期を表す指令である。
【0083】
シフト指令を出力する処理は、
図6のステップS4に相当する処理である。シフト指令が表す変更後の発信周期は、分布データにおける発信周期毎の受信数が候補IDリストを生成する際の判定に用いる所定の閾値未満の発信周期であればよい。変更前よりも受信数が少ない発信周期に属すれば混信を抑制できるからである。
【0084】
より確実に混信を抑制する観点から、シフト指令が表す変更後の発信周期は、例えば、分布データにおいて受信数が最も少ない発信周期、分布データにおいて受信数が比較的少ない発信周期、又は、分布データにおいて受信数が所定数以下の発信周期に設定すればよい。所定数は、例えば、すべてのセンサデバイス200の台数の5%以下のように設定すればよい。指令出力部115は、このようにして選択した発信周期にシフトさせるシフト指令を通信部120を介して出力すればよい。
【0085】
シフト指令を受信したセンサデバイス200は、自己の発信周期を変更前よりも発信周期毎の受信数が少ない発信周期に変更する。この結果、発信周期毎の受信数の分布が緩和され、混信しにくい状態を得ることができる。
【0086】
したがって、混信を抑制したサーバ100(発信端末制御装置)、センサネットワークシステム300(ネットワークシステム)、及び発信端末制御プログラムを提供することができる。
【0087】
なお、以上では、制御装置110が候補抽出部113を有し、候補抽出部113によって生成される候補IDリストに含まれるセンサデバイス200の中から、制御対象抽出部114が制御対象としてのセンサデバイス200を抽出する形態について説明した。
【0088】
しかしながら、制御装置110が候補抽出部113を有さずに、制御対象抽出部114が、分布データにおける受信数が所定数以上の発信周期に含まれるセンサデバイス200の中から、バッテリ残量が多いセンサデバイス200を制御対象として抽出してもよい。この場合には、候補IDリストが作成されることなく、制御対象抽出部114が、分布データから制御対象を抽出することになる。
【0089】
また、以上では、指令出力部115が、変更後の発信周期を表すシフト指令を出力する形態について説明したが、シフト指令は、変更前の発信周期と、変更後の発信周期との差分を表す指令であってもよい。例えば、シフト指令が変更後の発信周期から変更前の発信周期を減算して得る差分を表すようにすれば、シフト指令を受信したセンサデバイス200は、変更前の発信周期にシフト指令が表す差分を加算した発信周期に変更することができる。差分の値は、正又は負の値であればよい。
【0090】
また、以上では、候補残量リストの中で最もバッテリ残量が多いIDに対応するセンサデバイス200を制御対象として抽出する形態について説明したが、バッテリ残量が多いものに限らず、バッテリ残量が所定残量以上の1又は複数のIDに対応するセンサデバイス200を制御対象として抽出してもよい。
【0091】
また、以上では、センサデバイス200が太陽電池240を含み、太陽電池240によって生成される電力をバッテリ250に充電し、制御部210、センサ220、及び通信部230に電力を供給する形態について説明した。しかしながら、センサデバイス200は太陽電池240を含まなくてもよく、バッテリ250は、例えば交換式のバッテリであってもよい。
【0092】
<第1変形例>
第1変形例は、
図6に示すステップS1の変形である。第1変形例では、センサデバイス200が発信するビーコン信号には、発信周期を表すデータが含まれないものとする。
【0093】
第1変形例では、主制御部111は、IDによって識別可能な各ビーコン信号について、通信部120によって受信される受信間隔から発信周期を推定する。そして、分布生成部112は、主制御部111によって推定される発信周期を用いて、センサデバイス200から受信するビーコン信号の発信周期別に受信数の分布を求め、分布を表す分布データを生成する。
【0094】
図15は、サーバ100におけるビーコン信号Aの受信状況と受信タイミングの一例を示す図である。
図15において横軸は時間である。ビーコン信号Aの発信周期はTであるが、ここでは発信周期Tは分かっていないこととして説明する。
【0095】
ビーコン信号Aは、時刻t1で受信され、時刻t2では混信によって受信されず、時刻t3で受信され、時刻t4及びt5では混信によって受信されず、時刻t6で受信されたとする。ビーコン信号Aが受信された時刻t1とt3の間隔をTA、ビーコン信号Aが受信された時刻t3とt6の間隔をTBとする。
【0096】
ビーコン信号は、発信周期Tで発信されるため、発信間隔TAとTBは発信周期Tの整数倍になると考えられる。ここで、発信間隔TAは2Tであり、発信間隔TBは3Tである。
【0097】
図16は、サーバ100におけるビーコン信号Aの受信間隔と受信回数の関係の一例を示す図である。
図16では、受信間隔Tで2回、受信間隔2Tで5回、受信間隔3Tで10回受信していたとする。このように、整数倍の関係がある受信間隔T、2T、3Tで樹脂している場合には、最も短い受信間隔Tをビーコン信号Aの発信周期として推定すればよい。
【0098】
図17は、第1変形例において制御装置110が分布データとバッテリ残量リストを生成する処理を示す図である。
【0099】
主制御部111は、通信部120によってビーコン信号を受信する処理を開始すると(スタート)、開始時刻をメモリ116に記録する(ステップS111)。
【0100】
主制御部111は、通信部120によってビーコン信号が受信されたかどうかを判定する(ステップS112)。
【0101】
主制御部111は、ビーコン信号を受信した(S112:YES)と判定すると、センサデバイス200のIDと受信時刻との組み合わせをメモリ116に記録する(ステップS113A)。
【0102】
また、主制御部111は、ビーコン信号を受信した(S112:YES)と判定すると、ステップS113Aの処理と平行して、センサデバイス200のIDとバッテリ残量を関連付けてバッテリ残量リスト(
図10参照)に登録する(ステップS113B)。
【0103】
主制御部111は、ステップS113A及びS113Bの処理が完了すると、処理を開始してから所定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS114)。所定時間は、発信周期を推定し、分布データを生成するために予め決められた測定時間であり、例えば60分である。
【0104】
主制御部111は、所定時間が経過した(S114:YES)と判定すると、ID毎にビーコン信号の受信時刻の差分を計算する(ステップS115)。受信時刻の差分は、
図15における受信間隔TA、TBに相当するものである。
【0105】
主制御部111は、ステップS115で計算された受信時刻の差分から発信周期を推定する(ステップS116)。
【0106】
分布生成部112は、主制御部111によって発信周期が推定されると、発信周期毎にビーコン信号の受信数を集計することによって、分布データ(
図9参照)を生成する(ステップS117)。
【0107】
主制御部111は、分布生成部112によって分布データが生成されると一連の処理を終了する(エンド)。
【0108】
図18は、
図17のステップS116のサブルーチン処理を示す図である。
【0109】
主制御部111は、
図17に示すステップS115の処理を終えると、
図18に示す処理を開始し(スタート)、除算に用いる値Nを2に設定する(ステップS121)。
【0110】
主制御部111は、ある1つのIDを選択し、当該IDについての受信時刻の差分のうち最も短いものを取得する(ステップS122)。
【0111】
主制御部111は、ステップS122で取得した受信時刻の差分が所定の範囲内の値であるかどうかを判定する(ステップS123)。所定の範囲は、センサデバイス200がビーコン信号を発信する発信周期として有り得る発信周期のうち最も短い発信周期から1秒を引いた周期を下限とし、センサデバイス200がビーコン信号を発信する発信周期として有り得る発信周期のうち最も長い発信周期に1秒を足した周期を上限とする範囲である。
【0112】
各センサデバイス200の発信周期が分からなくても、センサデバイス200がビーコン信号を発信する発信周期として有り得る発信周期は仕様値等で分かる。
【0113】
このため、ステップS122で取得した受信時刻の差分が上述した所定の範囲内にあるかどうかを判定すれば、ステップS122で取得した受信時刻の差分が発信周期であるかどうかを推定できるからである。
【0114】
主制御部111は、所定の範囲内の値ではない(S123:NO)と判定すると、ステップS122で取得した受信時刻の差分を値Nで除算し、値Nに1を加算する(ステップS124)。
【0115】
主制御部111は、ステップS124の処理を終えると、フローをステップS123にリターンする。フローがステップS124に進行するのは、ステップS122で取得した受信時刻の差分が発信周期Tの2倍以上の場合であるため、値Nで除算し、値Nに1を加えることとしたものである。値Nの初期値は2であるため、フローが最初にステップS124に進行した場合は、ステップS122で取得した受信時刻の差分が2で割られる。そして、さらに2回目にステップS124に進行した場合に備えて値Nがインクリメントされる。
【0116】
主制御部111は、所定の範囲内の値である(S123:YES)と判定すると、ステップS122で取得した受信時刻の差分を発信周期と推定する(ステップS125)。
【0117】
主制御部111は、すべてのIDについて発信周期を推定したかどうかを判定する(ステップS126)。ステップS126の処理は、メモリ116に記録されたすべてのIDについての処理が終了したかどうかで判定すればよい。
【0118】
主制御部111は、すべてのIDについて発信周期を推定していない(S126:NO)と判定すると、フローをステップS121にリターンする。
【0119】
一方、主制御部111は、すべてのIDについて発信周期を推定した(S126:YES)と判定すると、サブルーチン処理を終え(エンド)、分布生成部112に
図17に示すステップS117の処理を実行させる。
【0120】
以上のように、センサデバイス200が発信するビーコン信号に発信周期を表すデータが含まれない場合には、主制御部111が発信周期を推定すれば、実施の形態と同様に、混信を抑制したサーバ100(発信端末制御装置)、センサネットワークシステム300(ネットワークシステム)、及び発信端末制御プログラムを提供することができる。
【0121】
<第2変形例>
第2変形例は、
図6に示すステップS1、S2、S4の変形である。第2変形例では、制御装置110が制御対象の候補を抽出する手法が実施の形態と異なる。
【0122】
制御装置110は、分布データから各発振周期におけるビーコン信号の受信確率を求め、制御対象の候補として、各発信周期における受信確率が所定の閾値以下の発信周期に属するセンサデバイス200を抽出する。
【0123】
受信確率とは、センサデバイス200から発信されたビーコン信号がサーバ100によって受信される確率である。受信確率は、例えば次のようにして求めることができる。すべてのセンサデバイス200の発信周期は仕様値等で分かるため、例えば、すべてのセンサデバイス200の発信周期をIDと設置場所とともにメモリ116に登録しておく。
【0124】
このようにすれば、各発振周期でビーコン信号を発信するセンサデバイス200の台数(発信台数)が分かるため、分布生成部112によって生成される分布データに含まれる受信数を発信台数で除算すれば、各発振周期におけるビーコン信号の受信確率を求めることができる。
【0125】
図19は、第2変形例において候補抽出部113が制御対象の候補を抽出する手法を説明する図である。
図19において、横軸は発信周期(秒)であり、縦軸は受信数と受信確率を示す。ここでは、受信数を破線で示し、受信確率を実線で示す。
【0126】
各発振周期におけるビーコン信号の数が増えると、混信する確率が上昇するため、受信確率は低下する。このため、受信数が多い58秒、59秒、60秒、61秒、62秒あたりの発信周期における受信確率は他の発振周期よりも低くなっている。
【0127】
第2変形例では、受信確率が所定の閾値以下の発信周期に属するセンサデバイス200を制御対象の候補として抽出し、制御対象抽出部114が制御対象の候補の中から
図13に示す処理で制御対象としてのセンサデバイス200を決定する。
【0128】
そして、指令出力部115は、制御対象としてのセンサデバイス200の発信周期を受信確率が所定の閾値よりも高い発信周期にシフトさせるシフト指令を出力する。
【0129】
シフト指令が表す変更後の発信周期は、受信確率が所定の閾値よりも高い発信周期であればよい。変更前よりも受信確率が高くなれば混信を抑制できるからである。
【0130】
より確実に混信を抑制する観点から、シフト指令が表す変更後の発信周期は、例えば、受信確率が所定の閾値よりも高い中で最も高い発信周期、又は、受信確率が所定の閾値よりも高い中でも比較的高い発信周期に設定すればよい。指令出力部115は、このようにして選択した発信周期にシフトさせるシフト指令を通信部120を介して出力すればよい。
【0131】
【0132】
図20は、第2変形例において制御装置110が候補IDリストとバッテリ残量リストを生成する処理を示す図である。
【0133】
主制御部111は、通信部120によってビーコン信号を受信する処理を開始すると(スタート)、開始時刻をメモリ116に記録する(ステップS131)。
【0134】
主制御部111は、通信部120によってビーコン信号が受信されたかどうかを判定する(ステップS132)。
【0135】
主制御部111は、ビーコン信号を受信した(S132:YES)と判定すると、センサデバイス200のIDと受信時刻との組み合わせをメモリ116に記録する(ステップS133A)。
【0136】
また、主制御部111は、ビーコン信号を受信した(S132:YES)と判定すると、ステップS133Aの処理と平行して、センサデバイス200のIDとバッテリ残量を関連付けてバッテリ残量リストに登録する(ステップS133B)。
【0137】
主制御部111は、ステップS133A及びS133Bの処理が完了すると、処理を開始してから所定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS134)。所定時間は、発信周期を推定し、候補IDリストを生成するために予め決められた時間であり、例えば60分である。
【0138】
主制御部111は、所定時間が経過した(S134:YES)と判定すると、ID毎にビーコン信号の受信時刻の差分を計算し、発信周期を求める(ステップS135)。発信周期は、ステップS116と同様の手法で推定することによって求めればよい。
【0139】
主制御部111は、ID毎に受信確率を計算する(ステップS136)。受信確率は、発信周期と受信時刻とから計算すればよい。
【0140】
候補抽出部113は、主制御部111によって受信確率が計算されると、受信確率に基づいて候補IDリストを生成する(ステップS137)。
【0141】
主制御部111は、候補抽出部113によって候補IDリストが生成されると一連の処理を終了する(エンド)。
【0142】
図21は、
図20のステップS136のサブルーチン処理を示す図である。
【0143】
主制御部111は、
図20のステップS135の処理を終えると、ステップS133Aでメモリ116に記録したセンサデバイス200のIDと受信時刻との組み合わせの中から、ある1つのIDに組み合わされているすべての受信時刻を選択する(ステップS141)。
【0144】
主制御部111は、ステップS141で選択したすべての受信時刻と、ステップS135で求めた発信周期とを用いて、選択したIDのセンサデバイス200のビーコン信号がサーバ100で受信された受信確率を求める(ステップS142)。
【0145】
センサデバイス200は発信周期毎にビーコン信号を発信するため、受信時刻と発信周期が分かれば、ステップS134で判定した所定時間(ここでは一例として60分)の間にセンサデバイス200がビーコン信号を何回発信し、サーバ100で何回受信したかが分かる。このため、サーバ100でビーコン信号を受信する回数(受信回数)をビーコン信号の発信回数で除算すれば、ステップS141で選択したIDのセンサデバイス200のビーコン信号の受信確率を求めることができる。
【0146】
主制御部111は、IDと受信確率と発信周期との組み合わせをメモリ116に記録する(ステップS143)。
【0147】
主制御部111は、ステップS133Aでメモリ116に記録したセンサデバイス200のIDと受信時刻との組み合わせの中に含まれる、すべてのIDについて処理を行ったかどうかを判定する(ステップS144)。
【0148】
主制御部111は、すべてのIDについて処理を行っていない(S144:NO)と判定すると、フローをステップS141にリターンする。すべてのIDについて処理を行うためである。
【0149】
主制御部111は、すべてのIDについて処理を行った(S144:YES)と判定すると、IDと受信確率と発信周期とのリストをメモリ116に格納する(ステップS145)。
【0150】
ステップS145でメモリ116に格納されるリストは、
図21に示すステップS141からステップS144の処理が繰り返されることによって、ステップS143の処理においてメモリ116に記録された、すべてのIDと受信確率と発信周期との組み合わせを含む。
【0151】
以上で、
図20のステップS136のサブルーチン処理が終了する。
【0152】
図22は、
図20のステップS137のサブルーチン処理を示す図である。
【0153】
候補抽出部113は、主制御部111が
図20のステップS136の処理を終えると(
図21のステップS145の処理を終えると)、ステップS145でメモリ116に格納されたリストから、ある発信周期の受信確率を抽出する(ステップS151)。
【0154】
候補抽出部113は、ステップS151で抽出したすべての受信確率の平均値を求める(ステップS152)。
【0155】
候補抽出部113は、ステップS152で求めた受信確率の平均値が所定の閾値以下であるかどうかを判定する(ステップS153)。所定の閾値は、ステップS153の判定閾値になる所定確率の一例であり、例えば70%~80%程度の値に設定すればよい。ここでは、一例として、所定の閾値を70%に設定する。
【0156】
候補抽出部113は、受信確率の平均値が所定の閾値以下である(S153:YES)と判定すると、ステップS145でメモリ116に格納されたリストの中で、ステップS151で受信確率を抽出した発信周期に該当するIDと当該発信周期とを候補IDリストに登録する(ステップS154)。
【0157】
候補抽出部113は、ステップS145でメモリ116に格納されたリストから、すべての発信周期の受信確率を抽出したかどうかを判定する(ステップS155)。
【0158】
候補抽出部113は、すべての発信周期の受信確率を抽出した(S155:YES)と判定すると、候補IDリストをメモリ116に格納する(ステップS156)。
【0159】
なお、候補抽出部113は、ステップS153において、受信確率の平均値が所定の閾値以下ではない(S153:NO)と判定すると、フローをステップS155に進行させる。
【0160】
また、候補抽出部113は、ステップS155において、すべての発信周期の受信確率を抽出していない(S155:NO)と判定すると、フローをステップS151にリターンさせる。すべての発信周期の受信確率を抽出するためである。
【0161】
以上で、
図20のステップS137のサブルーチン処理が終了する。
【0162】
以上のように、第2変形例では、各発振周期におけるビーコン信号の受信確率を求め、制御対象の候補として、各発信周期における受信確率が所定の閾値以下の発信周期に属するセンサデバイス200を抽出する。抽出された制御対象の候補のIDは、候補IDリストに登録されている。
【0163】
制御対象の候補の中から、どのセンサデバイス200を制御対象として選択するかは、一例として、実施の形態において
図13に示す処理を実行することによって行えばよく、制御対象として選択されたセンサデバイス200にシフト指令を出力すればよい。
【0164】
指令出力部115が実施の形態と同様にシフト指令を送信すれば、発信周期毎の受信数の分布が緩和され、混信しにくい状態を得ることができる。
【0165】
したがって、混信を抑制したサーバ100(発信端末制御装置)、センサネットワークシステム300(ネットワークシステム)、及び発信端末制御プログラムを提供することができる。
【0166】
<第3変形例>
第3変形例は、実施の形態の
図13のステップS34の変形である。第3変形例では、実施の形態のステップS34において候補残量リストの中でバッテリ残量が多いIDを抽出することの代わりに、バッテリ残量が所定の閾値に最も近いセンサデバイス200を制御対象として抽出する。
【0167】
ここで、バッテリ残量の所定の閾値とは、例えば、定期保守時におけるバッテリ250(
図5参照)の交換基準値である。交換基準値は、センサデバイス200としての機能を確保するための最小電圧値に近い値である。
【0168】
混信するとセンサデバイス200がリトライして電力の消費が増えるため、バッテリ250の交換時期が近いセンサデバイス200は、混信が生じ難い発信周期にシフトさせた方が、サーバ100がビーコン信号を受信できる可能性が高くなるからである。
【0169】
以上のようにして第3変形例で制御対象として抽出されたセンサデバイス200に対して、指令出力部115が実施の形態と同様にシフト指令を送信すれば、発信周期毎の受信数の分布が緩和され、混信しにくい状態を得ることができる。
【0170】
したがって、混信を抑制したサーバ100(発信端末制御装置)、センサネットワークシステム300(ネットワークシステム)、及び発信端末制御プログラムを提供することができる。
【0171】
なお、以上では、バッテリ残量が所定の閾値に最も近いセンサデバイス200を制御対象として抽出する形態について説明したが、最も近いセンサデバイス200に限らず、バッテリ残量と所定の閾値との差(絶対値での差)が所定差以下の1又は複数のセンサデバイス200を制御対象として抽出してもよい。
【0172】
<第4変形例>
第4変形例は、実施の形態の
図6のステップS1及びS3の変形である。第4変形例では、実施の形態における
図8に示すステップS13Bの処理において、センサデバイス200のIDとバッテリ残量とを関連付けて登録したバッテリ残量リスト(
図10参照)を生成する代わりに、センサデバイス200のIDとビーコン信号の信号強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度)値)とを関連付けて登録した信号強度リストを生成する。信号強度は、サーバ100がビーコン信号を受信する際に測定すればよい。また、第4変形例では、ビーコン信号にバッテリ残量を含ませなくてよい。
【0173】
また、第4変形例では、実施の形態の
図13の処理でバッテリ残量が所定の閾値に最も近いセンサデバイス200を制御対象として抽出する代わりに、ビーコン信号の信号強度(RSSI値)が最も高いセンサデバイス200を制御対象としてを抽出する。RSSI値が高いビーコン信号を出力するセンサデバイス200が混信によってビーコン信号の送信を失敗すると、リトライを行うことによって消費電力が増えるからである。
【0174】
図23は、第4変形例の制御装置110の制御対象抽出部114が制御対象を抽出する処理を示す図である。
図23に示す処理は、制御装置110の制御対象抽出部114によって、
図13に示す処理の代わりに実行される。
【0175】
制御対象抽出部114は、候補抽出部113によって候補IDリストが生成されると、候補IDリストに含まれるセンサデバイス200のIDを1つ抽出する(ステップS161)。ステップS161が繰り返されることにより、候補IDリストからIDが1つずつ順番に抽出される。
【0176】
制御対象抽出部114は、最新の信号強度リストからステップS161で抽出したIDに関連する信号強度を読み出して複数回受信されたビーコン信号の信号強度の平均値を求め、平均値とIDとを関連付けて候補強度リストに登録する(ステップS162)。候補強度リストは、候補IDリストに含まれるIDと、対応する信号強度とを関連付けたデータである。
【0177】
制御対象抽出部114は、候補IDリストに含まれるすべてのIDを抽出したかどうかを判定する(ステップS163)。
【0178】
制御対象抽出部114は、すべてのIDを抽出した(S163:YES)と判定すると、候補強度リストの中で最も信号強度の平均値が高いIDを抽出する(ステップS164)。
【0179】
なお、制御対象抽出部114は、ステップS163においてすべてのIDを抽出していない(S163:NO)と判定すると、フローをステップS161にリターンさせる。候補IDリストに含まれるすべてのIDを抽出するためである。
【0180】
以上のようにして第4変形例で制御対象として抽出されたセンサデバイス200に対して、指令出力部115が実施の形態と同様にシフト指令を送信すれば、発信周期毎の受信数の分布が緩和され、混信しにくい状態を得ることができる。
【0181】
したがって、混信を抑制したサーバ100(発信端末制御装置)、センサネットワークシステム300(ネットワークシステム)、及び発信端末制御プログラムを提供することができる。
【0182】
なお、以上では、ビーコン信号の信号強度が最も高いセンサデバイス200を制御対象として抽出する形態について説明したが、信号強度が最も高いセンサデバイス200に限らず、信号強度が所定強度以上の1又は複数のセンサデバイス200を制御対象として抽出してもよい。
【0183】
<第5変形例>
第5変形例は、実施の形態における
図8に示す処理で生成する分布データに受信時刻を含ませる一方でバッテリ残量リストを作成しない点が実施の形態と異なる。また、実施の形態における
図13に示す処理でバッテリ残量に基づいて制御対象を抽出する代わりに、受信確率に基づいて制御対象を抽出する点が実施の形態と異なる。
【0184】
図24は、サーバ100におけるビーコン信号A、Bの受信状況(受信又は失敗)と受信タイミングの一例を示す図である。
図24において横軸は時間である。説明を簡単にするために、ビーコン信号A、Bの発信周期は等しいものとして説明する。なお、受信状況における失敗とは、ある発信周期において、サーバ100がビーコン信号を受信できなかったことをいう。主な要因は、混信等である。
【0185】
ビーコン信号Aは、時刻t11、t12、t13で受信され、時刻t14では受信されず(失敗)、時刻t15、t16で受信されたとする。受信回数は5回、失敗回数は1回である。
【0186】
ビーコン信号Bは、時刻t11から時刻t16にかけて、受信と失敗を交互に繰り返したとする。受信回数は3回、失敗回数は3回である。
【0187】
このような場合に、受信確率は、ビーコン信号Aの方がビーコン信号Bよりも高い。第5変形例では、制御対象の候補の中から受信確率が高いビーコン信号を出力するセンサデバイス200を制御対象として抽出する。
【0188】
図25は、第5変形例において、制御装置110が分布データを生成する処理を示す図である。
【0189】
主制御部111は、通信部120によってビーコン信号を受信する処理を開始すると(スタート)、開始時刻をメモリ116に記録する(ステップS171)。
【0190】
主制御部111は、通信部120によってビーコン信号が受信されたかどうかを判定する(ステップS172)。
【0191】
分布生成部112は、ビーコン信号が受信された(S172:YES)と主制御部111によって判定されると、センサデバイス200のIDと発信周期と受信時刻との組み合わせをメモリ116に記録する(ステップS173)。
【0192】
主制御部111は、処理を開始してから所定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS174)。所定時間は、分布データを生成するために予め決められた測定時間であり、例えば60分である。
【0193】
分布生成部112は、主制御部111によって所定時間が経過した(S174:YES)と判定されると、発信周期毎にビーコン信号の受信数を集計することによって、分布データを生成する(ステップS175)。第5変形例における分布データは、
図9に示すようなテーブル形式の分布データに受信時刻を追加したものである。
【0194】
主制御部111は、分布生成部112によってテーブル形式の分布データが生成されると一連の処理を終了する(エンド)。
【0195】
なお、主制御部111は、ステップS172においてビーコン信号が受信されていない(S172:NO)と判定すると、フローをステップS174に進行させる。
【0196】
また、主制御部111は、ステップS174において所定時間が経過していない(S174:NO)と判定すると、フローをステップS172にリターンさせる。
【0197】
図26は、第5変形例において、制御装置110の制御対象抽出部114が制御対象を抽出する処理を示す図である。
図26に示す処理は、制御装置110の制御対象抽出部114によって実行される。
【0198】
制御対象抽出部114は、候補抽出部113によって候補IDリストが生成されると、候補IDリストに含まれるセンサデバイス200のIDを1つ抽出する(ステップS181)。ステップS181が繰り返されることにより、候補IDリストからIDが1つずつ順番に抽出される。
【0199】
制御対象抽出部114は、ステップS173でメモリ116に記録したセンサデバイス200のIDと発信周期と受信時刻との組み合わせの中から、抽出した1つのIDに組み合わされているすべての受信時刻を選択し、抽出した1つのIDに組み合わされているすべての受信時刻と、ステップS135で推定した発信周期とを用いて、抽出したIDのセンサデバイス200のビーコン信号がサーバ100で受信された受信確率を求める(ステップS182)。
【0200】
ステップS182で求まる受信確率は、分布データを生成する所定時間(ここでは一例として60分)において、ある1つのIDで特定されるセンサデバイス200が複数回にわたってビーコン信号を発信し、サーバ100で受信された受信確率である。
【0201】
制御対象抽出部114は、ステップS182で求めた受信確率とIDとの組み合わせをメモリ116に記録する(ステップS183)。
【0202】
制御対象抽出部114は、候補IDリストに含まれるすべてのIDについて処理を行ったかどうかを判定する(ステップS184)。
【0203】
制御対象抽出部114は、すべてのIDについて処理を行った(S184:YES)と判定すると、生成したリストの中で受信確率が最も高いIDを抽出する(ステップS185)。
【0204】
なお、制御対象抽出部114は、ステップS184においてすべてのIDについて処理を行っていない(S184:NO)と判定すると、フローをステップS181にリターンさせる。候補IDリストに含まれるすべてのIDについて処理を行うためである。
【0205】
以上のようにして第5変形例では、受信確率が最も高いIDのセンサデバイス200を制御対象として抽出し、抽出されたセンサデバイス200に対して、指令出力部115が実施の形態と同様にシフト指令を送信すれば、発信周期毎の受信数の分布が緩和され、混信しにくい状態を得ることができる。
【0206】
したがって、混信を抑制したサーバ100(発信端末制御装置)、センサネットワークシステム300(ネットワークシステム)、及び発信端末制御プログラムを提供することができる。
【0207】
なお、以上では、受信確率が最も高いIDのセンサデバイス200を制御対象として抽出する形態について説明したが、受信確率が最も高いセンサデバイス200に限らず、受信確率が所定確率以上の1又は複数のセンサデバイス200を制御対象として抽出してもよい。
【0208】
<第6変形例>
図27は、複数のセンサデバイス200をグループ分けした状態を示す図である。第6変形例では、各センサデバイス200については、IDと設置場所に加えて、グループ1~4のいずれに属するかを表すデータ(グループデータ)がサーバ100に登録されている。第6変形例は、実施の形態の
図13の処理の変形である。
【0209】
前提条件として、実施の形態の
図8のステップS13Aの処理では、センサデバイス200のIDと発信周期とグループデータとの組み合わせがメモリ116に記録されるとともに、実施の形態の
図12の処理によって候補IDリストが生成されていることとする。
【0210】
図28は、第6変形例において、制御装置110の制御対象抽出部114が制御対象を抽出する処理を示す図である。
【0211】
制御対象抽出部114は、グループ1~4に属するすべてのIDに関連付けられた発信周期の平均値を計算する(ステップS191)。ステップS191の処理により、すべてのグループ1~4に属するすべてのセンサデバイス200の発信周期の平均値(発信周期の全体平均値)が求められる。
【0212】
制御対象抽出部114は、グループ1~4毎に、IDに関連付けられた発信周期の平均値を計算し、発信周期の全体平均値との差分が大きいグループから順番に並べる(ステップS192)。
【0213】
ステップS192の処理では、グループ1~4の各々について、各グループに含まれるすべてのセンサデバイス200の発信周期の平均値(発信周期のグループ平均値)が求められ、さらに発信周期の全体平均値との差分が求められ、差分が大きいグループから順番に並べられることになる。
【0214】
制御対象抽出部114は、グループを1つ選択する(ステップS193)。ステップS193を繰り返し行うことによって、一例として、差分が大きいグループから1つずつ選択することとする。
【0215】
制御対象抽出部114は、選択したグループ内に候補IDリストに含まれるIDが存在するかどうかを判定する(ステップS194)。
【0216】
制御対象抽出部114は、IDが存在する(S194:YES)と判定すると、当該IDのセンサデバイス200を制御対象として抽出する(ステップS195)。
【0217】
なお、制御対象抽出部114は、ステップS194にいてIDが存在しない(S194:NO)と判定すると、フローをステップS193にリターンし、差分が次に大きいグループを選択してステップS194の判定処理を行う。
【0218】
このようにグループが選択されることにより、発信周期の全体平均値と、発信周期のグループ平均値との差が第2所定値以上のグループに含まれるセンサデバイス200が制御対象として抽出される。
【0219】
制御対象抽出部114によって制御対象としてのセンサデバイス200が抽出されると、指令出力部115は、制御対象抽出部114によって抽出されるIDのセンサデバイス200に対して、シフト指令を出力する。
【0220】
第6変形例では、指令出力部115は、発信周期のグループ平均値と発信周期の全体平均値との差分が縮まる方向に発振周波数をシフトするシフト指令を出力する。
【0221】
すなわち、指令出力部115は、発信周期のグループ平均値から発信周期の全体平均値を減算して得る差分が正の値であれば、発信周期のグループ平均値が低周波数側にシフトするように、制御対象としてのセンサデバイス200の発信周期を低周波数側にシフトさせるシフト指令を出力する。
【0222】
これとは逆に、指令出力部115は、発信周期のグループ平均値から発信周期の全体平均値を減算して得る差分が負の値であれば、発信周期のグループ平均値が高周波数側にシフトするように、制御対象としてのセンサデバイス200の発信周期を高周波数側にシフトさせるシフト指令を出力する。
【0223】
第6変形例では、発信周期のグループ平均値と発信周期の全体平均値との差分が大きいグループに含まれる候補を制御対象として抽出し、発信周期のグループ平均値と発信周期の全体平均値との差分が少なくなるようにすることで、各グループ内の発信周期のバランスを取っている。
【0224】
このようにすることで、混信を抑制したサーバ100(発信端末制御装置)、センサネットワークシステム300(ネットワークシステム)、及び発信端末制御プログラムを提供することができる。
【0225】
なお、第6変形例では、発信周期のグループ平均値と発信周期の全体平均値との差分が大きいグループに含まれる候補を制御対象として抽出する形態について説明した。差分が大きいグループとは、制御対象の候補を含むグループの中で差分が最も大きいグループである。
【0226】
しかしながら、制御対象の候補を含むグループの中で差分が所定値以上のグループから制御対象を抽出してもよい。
【0227】
また、複数のセンサデバイス200がグループ分けされていない場合は、発信周期の全体平均値との差分が所定差以上の発信周期のセンサデバイス200を制御対象として候補IDリストの中から抽出してもよい。この場合に、発信周期の全体平均値との差分が最も大きい発信周期のセンサデバイス200を制御対象として抽出してもよい。
【0228】
以上、本発明の例示的な実施の形態の発信端末制御装置、ネットワークシステム、及び発信端末制御プログラムについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0229】
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
複数の発信端末から受信する発信信号の発信周期別に受信信号数の分布を求める分布生成部と、
前記分布における受信信号数が所定数以上の発信周期に含まれる発信端末、又は、前記分布の受信信号数に基づいて求まる受信確率が所定確率以下の発信周期に含まれる発信端末の中から所定条件を満たす発信端末を制御対象として抽出する制御対象抽出部と、
前記制御対象抽出部によって制御対象として抽出される発信端末に対して、当該発信端末の発信周期を前記受信信号数が前記所定数未満の発信周期、又は、前記受信確率が前記所定確率よりも高い発信周期にシフトさせる指令を出力する指令出力部と
を含む、発信端末制御装置。
(付記2)
前記分布における受信信号数が所定数以上の発信周期に含まれる発信端末、又は、前記分布に基づいて求まる受信確率が所定確率以下の発信周期に含まれる発信端末を制御対象の候補として抽出する候補抽出部をさらに含み、
前記制御対象抽出部は、前記候補抽出部によって前記候補として抽出される発信端末の中から前記所定条件を満たす発信端末を前記制御対象として抽出する、付記1記載の発信端末制御装置。
(付記3)
前記候補抽出部は、前記分布から前記発信周期別に受信信号数を読み取り、読み取った受信信号数が前記所定数以上の発信周期に含まれる発信端末を前記制御対象の候補として抽出する、又は、前記分布の受信信号数から前記発信周期別に受信確率を求め、求めた受信確率が所定確率以下の発信周期に含まれる発信端末を制御対象の候補として抽出する、付記2記載の発信端末制御装置。
(付記4)
前記所定条件は、前記発信端末のバッテリの残量、前記発信信号の受信電波強度、前記発信信号の受信確率、又は、前記発信周期に関する条件である、付記1乃至3のいずれか一項記載の発信端末制御装置。
(付記5)
前記所定条件は、前記発信端末のバッテリの残量が所定残量以上の発信端末であること、前記バッテリの残量と前記バッテリの交換基準値との差が所定差以下である発信端末であること、前記発信信号の受信電波強度が所定強度以上の発信端末であること、前記受信確率が所定確率以上の発信端末であること、又は、前記発信周期と前記複数の発信端末の発信周期の平均値との差が所定差以上の発信端末であることである、付記1乃至4のいずれか一項記載の発信端末制御装置。
(付記6)
前記複数の発信端末は複数のグループに分けられており、
前記発信周期と前記複数の発信端末の発信周期の平均値との差が所定差以上の発信端末であることは、前記複数の発信端末の発信周期の平均値と、前記グループ毎の発信端末の発信周期の平均値との差が第2所定差以上のグループに含まれる発信端末であることである、付記5記載の発信端末制御装置。
(付記7)
前記分布生成部は、前記発信端末から受信する発信信号に含まれる発信周期に基づいて前記発信信号の発信周期別に受信信号数の分布を求める、又は、前記発信端末から複数回にわたって受信する複数の発信信号の受信時刻の差のうちの最小値を前記発信周期として用いて前記発信信号の発信周期別に受信信号数の分布を求める、付記1乃至5のいずれか一項記載の発信端末制御装置。
(付記8)
前記指令出力部が出力する前記指令は、前記発信端末の発信周期をシフト後の発信周期に書き換えさせる指令、又は、前記発信端末にシフト前の発信周期とシフト後の発信周期との差分を前記シフト前の発信周期に加算又は減算させる指令である、付記1乃至6のいずれか一項記載の発信端末制御装置。
(付記9)
発信信号を発信する複数の発信端末と、前記発信端末の発信周期を制御する発信端末制御装置とを含むネットワークシステムであって、
前記発信端末制御装置は、
前記複数の発信端末から受信する発信信号の発信周期別に受信信号数の分布を求める分布生成部と、
前記分布における受信信号数が所定数以上の発信周期に含まれる発信端末、又は、前記分布の受信信号数に基づいて求まる受信確率が所定確率以下の発信周期に含まれる発信端末の中から所定条件を満たす発信端末を制御対象として抽出する制御対象抽出部と、
前記制御対象抽出部によって制御対象として抽出される発信端末に対して、当該発信端末の発信周期を前記受信信号数が前記所定数未満の発信周期、又は、前記受信確率が前記所定確率よりも高い発信周期にシフトさせる指令を出力する指令出力部と
を有する、ネットワークシステム。
(付記10)
複数の発信端末から受信する発信信号の発信周期別に受信信号数の分布を求めることと、
前記分布における受信信号数が所定数以上の発信周期に含まれる発信端末、又は、前記分布の受信信号数に基づいて求まる受信確率が所定確率以下の発信周期に含まれる発信端末の中から所定条件を満たす発信端末を制御対象として抽出することと、
前記制御対象として抽出される発信端末に対して、当該発信端末の発信周期を前記受信信号数が前記所定数未満の発信周期、又は、前記受信確率が前記所定確率よりも高い発信周期にシフトさせる指令を出力することと
を含む処理をコンピュータに実行させる、発信端末制御プログラム。
【符号の説明】
【0230】
100 サーバ
110 制御装置
111 主制御部
112 分布生成部
113 候補抽出部
114 制御対象抽出部
115 指令出力部
200 センサデバイス
300 センサネットワークシステム