(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/28 20060101AFI20230322BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
H01L23/28 K
H01L21/56 R
(21)【出願番号】P 2019124223
(22)【出願日】2019-07-03
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【氏名又は名称】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】谷山 昌喜
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-057250(JP,A)
【文献】特開2012-204366(JP,A)
【文献】特開2010-056355(JP,A)
【文献】特開2011-211107(JP,A)
【文献】国際公開第2018/078705(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 23/28
H01L 25/07-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の空間に第1部分および前記第1部分と離れて配置される第2部分を有するケースと、
回路パターンを有し、前記ケース内に配置される基板と、
前記回路パターン上に配置される半導体チップと、
前記基板および前記半導体チップを覆う充填剤と、
前記基板の板厚方向に見て、前記第1部分から前記第2部分に至る流路を形成する仕切り部と、を備え、
前記仕切り部は、前記第1部分から前記第2部分に至るように前記第1部分から前記ケース内の空間に前記充填剤を供給した場合に、前記流路を形成しない場合よりも前記第1部分から供給した前記充填剤の流速が上がるように前記流路を形成する、半導体装置。
【請求項2】
前記流路は、前記基板を全域にわたって覆うように形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記流路は、前記第1部分から前記第2部分に至るまで、分岐することなく繋がっている、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記基板の板厚方向に見て、前記半導体チップは、前記流路上に配置される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記仕切り部は、平板状であって、前記基板に対して垂直に配置されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記仕切り部は、前記ケースの内壁面に接続されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記基板の板厚方向に見て、前記ケースの内壁面は、長方形の形状を有し、
前記ケースの内壁面は、
第1内壁面と、
前記第1内壁面に対向する第2内壁面と、
前記第1内壁面および前記第2内壁面と連なる第3内壁面と、を含み、
前記半導体装置は、複数の前記仕切り部を備え、
前記複数の仕切り部は、
平板状の第1の仕切り部と、
平板状の第2の仕切り部と、を含み、
前記第1の仕切り部は、前記第1内壁面に対して垂直になるよう前記第1内壁面に接続され、
前記第2の仕切り部は、前記第2内壁面に対して垂直になるよう前記第2内壁面に接続される、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記流路は、前記基板の板厚方向に見て、前記第1の仕切り部と前記第2の仕切り部とによって挟まれる第1領域を有し、
前記半導体チップは、前記第1領域に配置される、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記基板の板厚方向に見て、
前記ケースの内壁面は、長方形の形状を有し、
前記ケースの内壁面は、
第1内壁面と、
前記第1内壁面に対向する第2内壁面と、
前記第1内壁面および前記第2内壁面と連なる第3内壁面と、
前記第1内壁面および前記第2内壁面と連なり、前記第3内壁面と対向する第4内壁面と、を含み、
前記仕切り部は、板状であって、
前記仕切り部は、前記第1内壁面に接続され、前記第3内壁面と間隔をあけて前記第3内壁面に沿って配置され、前記第1内壁面に接続される端部から前記第2内壁面側に位置する端部までの長さが前記第1内壁面と第2内壁面との距離よりも短い領域である第1仕切り領域と、
前記第1仕切り領域の、前記第1内壁面と接続される端部と反対側の端部に接続され、前記第2内壁面と間隔をあけて前記第2内壁面に沿って配置され、前記第1仕切り領域と接続される端部から前記第4内壁面側に位置する端部までの長さが前記第1仕切り領域と第4内壁面との距離よりも短い領域である第2仕切り領域と、
前記第2仕切り領域の、前記第1仕切り領域と接続される端部と反対側の端部に接続され、前記第4内壁面と間隔をあけて前記第4内壁面に沿って配置され、前記第2仕切り領域と接続される端部から前記第1内壁面側に位置する端部までの長さが前記第1仕切り領域の長さよりも短い領域である第3仕切り領域と、
前記第3仕切り領域の、前記第2仕切り領域と接続される端部と反対側の端部に接続され、前記第1内壁面と間隔をあけて前記第1内壁面に沿って配置され、前記第3仕切り領域と接続される端部から前記第1仕切り領域側に位置する端部までの長さが前記第2仕切り領域の長さよりも短い領域である第4仕切り領域と、を含み、
前記第1部分および前記第2部分のうちの一方は、前記第1仕切り領域と前記第3内壁面との間に配置され、
前記第1部分および前記第2部分のうちの他方は、前記第2仕切り領域と前記第4仕切り領域との間に配置される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回路パターンが形成された基板上に半導体チップを実装した半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。半導体装置は、基板を取り囲むケースを含む。ケースによって取り囲まれた空間に樹脂(充填剤)が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケース内の空間には、充填剤が充填される。充填剤の中に気泡が含まれると、半導体装置の絶縁破壊を引き起こすおそれがある。このような半導体装置は、安定した動作が確保できず、信頼性が損なわれることになる。
【0005】
そこで、信頼性の向上を図ることができる半導体装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従った半導体装置は、内部の空間に第1部分および第1部分と離れて配置される第2部分を有するケースと、回路パターンを有し、ケース内に配置される基板と、回路パターン上に配置される半導体チップと、基板および半導体チップを覆う充填剤と、第1部分から第2部分に至る流路を形成する仕切り部と、を備える。仕切り部は、第1部分から第2部分に至るように第1部分からケース内の空間に充填剤を供給した場合に、流路を形成しない場合よりも第1部分から供給した充填剤の流速が上がるように流路を形成する。
【発明の効果】
【0007】
上記半導体装置によれば、信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態1における半導体装置を放熱板の板厚方向に見た場合の概略平面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す半導体装置の製造に用いる治具を半導体装置に併せて図示した概略斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す治具を半導体装置に取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2における半導体装置の概略斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す半導体装置の製造に用いる治具を半導体装置に併せて図示した状態を示す概略斜視図である。
【
図8】
図8は、実施の形態3における半導体装置の概略斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す半導体装置において、半導体装置に含まれる蓋部を破線で示した概略斜視図である。
【
図10】
図10は、実施の形態4における半導体装置の概略平面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態5における半導体装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示に係る半導体装置は、内部の空間に第1部分および第1部分と離れて配置される第2部分を有するケースと、回路パターンを有し、ケース内に配置される基板と、回路パターン上に配置される半導体チップと、基板および半導体チップを覆う充填剤と、基板の板厚方向に見て、第1部分から第2部分に至る流路を形成する仕切り部と、を備える。仕切り部は、第1部分から第2部分に至るように第1部分からケース内の空間に充填剤を供給した場合に、流路を形成しない場合よりも第1部分から供給した充填剤の流速が上がるように流路を形成する。
【0010】
ケースの外部からケース内の空間に充填剤を充填する際に、周囲にある空気を巻き込んでケース内に供給してしまうおそれがある。また、例えば半導体チップを回路パターン上に配置した基板の形状が複雑であると、充填剤が微細な部分に回り込みにくくなり、気泡が残存するおそれがある。充填剤が充填される空間内に気泡が存在すると、半導体装置の絶縁破壊を引き起こしやすくなる。よって、半導体装置の安定した動作を確保して半導体装置の信頼性を向上する観点から、充填剤が充填される空間内から気泡を取り除くことが求められる。
【0011】
本開示の半導体装置によると、上記仕切り部を含むため、第1部分から第2部分に至るように充填剤を供給した場合に、流路を形成しない場合よりも第1部分から供給した充填剤の流速を上げて、充填剤が充填される空間内に存在する気泡を下流側である第2部分側へ流しやすくすることができる。よって、充填剤が充填される空間内の気泡をケース外へ排出しやすくすることができる。その結果、半導体装置の安定した動作を確保して、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0012】
上記半導体装置において、流路は、基板を全域にわたって覆うように形成されていてもよい。このようにすることにより、気泡が残存するおそれを低減しながら、基板上を全て充填剤によって覆うようにすることができる。
【0013】
上記半導体装置において、流路は、第1部分から第2部分に至るまで、分岐することなく繋がっていてもよい。このようにすることにより、充填剤を供給する入り口を第1部分とし、充填剤が最後に到達する領域を第2部分として、第1部分から第2部分に至るまでの流路において確実に充填剤の流速を上げることができる。よって、気泡が残存するおそれをより低減することができる。
【0014】
上記半導体装置において、基板の板厚方向に見て、半導体チップは、流路上に配置されてもよい。半導体チップが配置される部分は充填剤が回り込みにくく、気泡が残存しやすい。このようにすることにより、半導体チップが配置される部分における流速を上げることができ、気泡が残存するおそれを確実に低減することができる。
【0015】
上記半導体装置において、仕切り部は、平板状であって、基板に対して垂直に配置されていてもよい。このようにすることにより、基板の板厚方向において、流路内の狭い部分と広い部分とが形成されるおそれを低減することができ、充填剤の流速が部分的に遅くなることを回避することができる。よって、気泡が残存するおそれをより確実に低減することができる。なお、基板に対して「垂直」とは幾何学的に厳密に基板に対して90度の角度をなすことに限らず、例えば基板に対する仕切り部の角度が85度以上95度以下のものも含むものである。
【0016】
上記半導体装置において、仕切り部は、ケースの内壁面に接続されていてもよい。このようにすることにより、仕切り部を容易に形成することができる。
【0017】
上記半導体装置において、基板の板厚方向に見て、ケースの内壁面は、長方形の形状を有してもよい。ケースの内壁面は、第1内壁面と、第1内壁面に対向する第2内壁面と、第1内壁面および第2内壁面と連なる第3内壁面と、を含んでもよい。半導体装置は、複数の仕切り部を備えてもよい。複数の仕切り部は、平板状の第1の仕切り部と、平板状の第2の仕切り部と、を含んでもよい。第1の仕切り部は、第1内壁面に対して垂直になるよう第1内壁面に接続されてもよい。第2の仕切り部は、第2内壁面に対して垂直になるよう第2内壁面に接続されてもよい。このようにすることにより、第1内壁面と第2内壁面との間の流路を折り返すようにして形成することができ、充填剤の流速を上げる流路を形成することが容易になる。なお、長方形の形状については、厳密に幾何学的に長方形の形状を有するもののみならず、長方形の四つの角部のうちの少なくとも一部が直角ではないものや丸みを帯びているもの、対向する辺同士が厳密に平行でないもの、直交する辺によって形成される角部の角度が厳密に90度でないものも含むものである。
【0018】
上記半導体装置において、流路は、基板の板厚方向に見て、第1の仕切り部と第2の仕切り部とによって挟まれる第1領域を有してもよい。半導体チップは、第1領域に配置されてもよい。このようにすることにより、半導体チップが配置される部分における流速を確実に上げて、気泡が残存するおそれを低減することができる。
【0019】
上記半導体装置において、基板の板厚方向に見て、ケースの内壁面は、長方形の形状を有してもよい。ケースの内壁面は、第1内壁面と、第1内壁面に対向する第2内壁面と、第1内壁面および第2内壁面と連なる第3内壁面と、第1内壁面および第2内壁面と連なり、第3内壁面と対向する第4内壁面と、を含んでもよい。仕切り部は、板状であって、仕切り部は、第1内壁面に接続され、第3内壁面と間隔をあけて第3内壁面に沿って配置され、第1内壁面に接続される端部から第2内壁面側に位置する端部までの長さが第1内壁面と第2内壁面との距離よりも短い領域である第1仕切り領域と、第1仕切り領域の、第1内壁面と接続される端部と反対側の端部に接続され、第2内壁面と間隔をあけて第2内壁面に沿って配置され、第1仕切り領域と接続される端部から第4内壁面側に位置する端部までの長さが第1仕切り領域と第4内壁面との距離よりも短い領域である第2仕切り領域と、第2仕切り領域の、第1仕切り領域と接続される端部と反対側の端部に接続され、第4内壁面と間隔をあけて第4内壁面に沿って配置され、第2仕切り領域と接続される端部から第1内壁面側に位置する端部までの長さが第1仕切り領域の長さよりも短い領域である第3仕切り領域と、第3仕切り領域の、第2仕切り領域と接続される端部と反対側の端部に接続され、第1内壁面と間隔をあけて第1内壁面に沿って配置され、第3仕切り領域と接続される端部から第1仕切り領域側に位置する端部までの長さが第2仕切り領域の長さよりも短い領域である第4仕切り領域と、を含んでもよい。第1部分および第2部分のうちの一方は、第1仕切り領域と第3内壁面との間に配置されてもよい。第1部分および第2部分のうちの他方は、第2仕切り領域と第4仕切り領域との間に配置されてもよい。
【0020】
このようにすることにより、第1部分および第2部分のうちの一方を長方形の角部付近とし、第1部分および第2部分のうちの他方を長方形の中央部付近として、渦巻き状に充填剤を充填させることができる。このようにすることによっても、充填剤が充填される空間内に気泡が残存するおそれを低減することができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の半導体装置の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0022】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1における半導体装置の構成について説明する。
図1は、実施の形態1における半導体装置を放熱板の板厚方向に見た場合の概略平面図である。
図2は、
図1に示す半導体装置の概略斜視図である。
図3は、
図1に示す半導体装置の概略断面図である。
図3は、半導体チップを含み、X-Z平面に平行な面で切断した場合の断面図である。
図3において、後述する仕切り部の図示を省略している。
【0023】
図1、
図2および
図3を参照して、実施の形態1における半導体装置11aは、放熱板12と、放熱板12上に配置される枠体13と、放熱板12上に配置される基板17a,17bと、板状の電極(バスバー)19a,19b,19c,19dと、端子18a,18b,18c,18dと、半導体チップ21a,21b,21c,21d,21e,21f,22a,22b,22c,22d,22e,22fと、充填剤40と、を備える。放熱板12および枠体13によって、半導体装置11aに備えられるケース20が構成される。ケース20は、内部の空間30に第1部分41aおよび第1部分41aと離れて配置される第2部分42aを有する。
図1中の一点鎖線で、第1部分41aを示す。
図1中の二点鎖線で、第2部分42aを示す。第1部分41aおよび第2部分42aについては、後述する。
【0024】
放熱板12は、金属製である。放熱板12は、例えば銅製である。放熱板12の表面には、ニッケルめっき処理が施されてもよい。放熱板12は、板厚方向に見て、X方向に延びる辺を長辺とし、Y方向に延びる辺を短辺とした長方形である。基板17a,17bは、放熱板12の一方の主面12a上に図示しないはんだによって接合される。放熱板12の他方の主面12bには、例えば、放熱を効率的に行う放熱フィン(図示しない)等が取り付けられる場合がある。放熱板12の板厚方向および基板17a,17bの板厚方向は、Z方向である。
【0025】
枠体13は、例えば絶縁性を有する樹脂製である。枠体13は、第1の壁部13aと、第2の壁部13bと、第3の壁部13cと、第4の壁部13dと、を含む。第1の壁部13aと第2の壁部13bとは、放熱板12の板厚方向に見て放熱板12の短辺に対応する方向(Y方向)において対向して配置される。第3の壁部13cと第4の壁部13dとは、放熱板12の板厚方向に見て放熱板12の長辺に対応する方向(X方向)において対向して配置される。ケース20の内壁面27a,27b,27c,27dを構成する枠体13の内壁面27a,27b,27c,27dは、放熱板12の板厚方向に見て、長方形である。具体的には、枠体13は、第1内壁面27aと、第1内壁面27aに対向する第2内壁面27bと、第1内壁面27aおよび第2内壁面27bと連なる第3内壁面27cと、第1内壁面27aおよび第2内壁面27bと連なり、第3内壁面27cと対向する第4内壁面27dと、を含む。枠体13は、放熱板12の一方の主面12a上に配置される。枠体13は、例えば接着剤により放熱板12に固定される。
【0026】
基板17aは、絶縁性を有する絶縁板14aと、回路パターン16aと、を有する。絶縁板14aは、例えばセラミック製である。絶縁板14aは、具体的にはAlN、SiNまたはAl2O3から構成される。絶縁板14aは、ガラス製であってもよい。回路パターン16aは、絶縁板14aの上に配置される。基板17aは、絶縁板14aの上に回路パターン16aを積層した構成である。回路パターン16aは、複数の回路板から構成される。本実施形態においては、回路パターン16aは、第1回路板15aと、第2回路板15bと、第3回路板15cと、第4回路板15dと、を含む。本実施形態においては、回路パターン16aは、銅配線である。同様に基板17bは、絶縁性を有する絶縁板14bと、銅配線である回路パターン16bと、を有する。回路パターン16bは、絶縁板14bの上に配置される。回路パターン16bは、第5回路板15eと、第6回路板15fと、第7回路板15gと、を含む。
【0027】
半導体チップ21a,21b,21c,22a,22b,22cは、回路パターン16aの第1回路板15a上に配置される。半導体チップ21d,21e,21f,22d,22e,22fは、回路パターン16bの第5回路板15e上に配置される。半導体チップ21a,21b,21c,21d,21e,21f,22a,22b,22c,22d,22e,22fは、ワイドバンドギャップ半導体を含む。ワイドバンドギャップ半導体としては、例えば、SiC、GaN等といった化合物半導体が挙げられる。半導体チップ21a,21b,21c,21d,21e,21fは、例えばショットキーバリアダイオード(SBD)である。半導体チップ22a,22b,22c,22d,22e,22fは、例えば金属-酸化物-半導体電界効果型トランジスタ(MOSFET)である。
【0028】
電極19a,19b,19c,19dはそれぞれ、板状であって、金属製である。電極19a,19bは、第3の壁部13cに取り付けられている。電極19c,19dは、第4の壁部13dに取り付けられている。電極19a~19dは、それぞれ屈曲した帯状の形状を有する。本実施形態においては、電極19a~19dは、それぞれ例えば、帯状の銅板を折り曲げて形成される。半導体装置11aは、電極19a~19dによって外部との電気的な接続を確保する。なお、端子18a,18b,18c,18dも外部との電気的な接続を確保するために設けられている。端子18a,18bは、第4の壁部13dに取り付けられている。端子18c,18dは、第3の壁部13cに取り付けられている。
【0029】
電極19aと第1回路板15aとは、ワイヤ23aで接続されている。電極19bと第2回路板15bとは、ワイヤ23bで接続されている。電極19cと第5回路板15eとは、ワイヤ23cで接続されている。電極19dと第5回路板15eとは、ワイヤ23dで接続されている。半導体チップ21aと半導体チップ22aとは、ワイヤ24aで接続されている。半導体チップ21bと半導体チップ22bとは、ワイヤ24bで接続されている。半導体チップ21cと半導体チップ22cとは、ワイヤ24cで接続されている。半導体チップ21dと半導体チップ22dとは、ワイヤ24dで接続されている。半導体チップ21eと半導体チップ22eとは、ワイヤ24eで接続されている。半導体チップ21fと半導体チップ22fとは、ワイヤ24fで接続されている。半導体チップ22aと第4回路板15dとは、ワイヤ25aで接続されている。半導体チップ22bと第4回路板15dとは、ワイヤ25bで接続されている。半導体チップ22cと第4回路板15dとは、ワイヤ25cで接続されている。半導体チップ22dと第6回路板15fとは、ワイヤ25dで接続されている。半導体チップ22eと第6回路板15fとは、ワイヤ25eで接続されている。半導体チップ22fと第6回路板15fとは、ワイヤ25fで接続されている。
【0030】
第2回路板15bと第6回路板15fとは、ワイヤ29aで接続されている。第4回路板15dと第5回路板15eとは、ワイヤ29bで接続されている。端子18aと第3回路板15cとは、ワイヤ26aで接続されている。端子18bと第4回路板15dとは、ワイヤ26bで接続されている。端子18cと第6回路板15fとはワイヤ26cで接続されている。端子18dと第7回路板15gとは、ワイヤ26dで接続されている。また、半導体チップ22a,22b,22cと第3回路板15cとは、それぞれワイヤで接続されており、半導体チップ22d,22e,22fと第7回路板15gとは、それぞれワイヤで接続されている。ワイヤには、アルミニウム太線を採用してもよいし、リボンワイヤを採用してもよい。
【0031】
半導体装置11aは、基板17a,17bの板厚方向に見て、
図1中の一点鎖線で示す第1部分41aから
図1中の二点鎖線で示す第2部分42aに至る流路43aを形成する複数の仕切り部28a,28b,28c,28dを含む。仕切り部28a,28b,28c,28dは、第1部分41aから第2部分42aに至るように第1部分41aからケース20内の空間30に充填剤40を供給した場合に、流路43aを形成しない場合よりも第1部分41aから供給した充填剤40の流速が上がるように流路43aを形成する。なお、後述する
図5中の複数の矢印によって流路43aにおいて充填剤40が流れる向きを示す。
【0032】
仕切り部28a~28dはそれぞれ、平板状であって、基板17a,17bに対して垂直に配置されている。仕切り部28a~28dは、X方向に間隔をあけてY-Z平面に平行になるよう形成されている。仕切り部28a~28dは、ケース20の内壁面27a~27d、本実施形態においては、枠体13の内壁面27a~27dに接続されている。具体的には、第1の仕切り部28aおよび第3の仕切り部28cはそれぞれ、第1内壁面27aに対して垂直になるよう第1内壁面27aに接続されている。第2の仕切り部28bおよび第4の仕切り部28dはそれぞれ、第2内壁面27bに対して垂直になるよう第2内壁面27bに接続されている。本実施形態においては、枠体13と仕切り部28a~28dは一体である。仕切り部28a~28dのZ方向の長さは、枠体13のZ方向の長さと同じである。仕切り部28a~28dによって形成される流路43aは、ケース20内における基板17a,17b上の空間30の全域にわたっている。流路43aは、第1部分41aから第2部分42aに至るまで、分岐することなく繋がっている。
【0033】
第1の仕切り部28aおよび第2の仕切り部28bは、基板17aの板厚方向に見て基板17aと重なるように形成されている。第3の仕切り部28cおよび第4の仕切り部28dは、基板17bの板厚方向に見て基板17bと重なるように形成されている。流路43aは、基板17a,17bの板厚方向に見て、第1の仕切り部28aと第2の仕切り部28bとによって挟まれる第1領域44aを有する。半導体チップ21a,21b,21c,22a,22b,22cは、第1領域44aに配置される。流路43aは、基板17a,17bの板厚方向に見て、第3の仕切り部28cと第4の仕切り部28dとによって挟まれる第1領域45aを有する。半導体チップ21d,21e,21f,22d,22e,22fは、第1領域45aに配置される。
【0034】
次に、半導体装置11aの製造方法について、簡単に説明する。
図4は、
図1に示す半導体装置11aの製造に用いる治具を半導体装置11aに併せて図示した概略斜視図である。
図5は、
図4に示す治具を半導体装置11aに取り付けた状態を示す概略斜視図である。
【0035】
図4および
図5を参照して、まず治具の構成について説明する。治具31aは、板状部32aと、筒状部33a,34aと、を含む。板状部32aは、板状部32aの板厚方向に見て、長方形である。板状部32aの板厚方向の一方の面35aを枠体13のZ方向の端面と接触させて治具31aを枠体13に取り付けることができる。一方の筒状部33aは、板状部32aの板厚方向において一方の面35aおよび他方の面36aからZ方向に突出している。筒状部33aは、長方形の形状の板状部32aにおいて、一つの角部に近い位置に形成されている。筒状部33aは、板状部32aの板厚方向に貫通する貫通孔37aを有する。筒状部34aは、他方の面36aから突出している。筒状部34aは、長方形状の板状部32aにおいて、筒状部33aが形成された角部と対角線上に位置する角部に近い位置に形成される。筒状部34aは、板状部32aの板厚方向に貫通する貫通孔38aを有する。
【0036】
このような構成の治具31aを用意して枠体13上に取り付ける。
図5において、取り付けた治具31aを、破線で示す。まず、板状部32aの一方の面35aと枠体13の端面とが接触するように治具31aを取り付け、枠体13の上面を押さえる。この時、基板17a,17bの板厚方向に見て、一方の筒状部33aが位置する部分が、第1部分41aとなり、他方の筒状部34aが位置する部分が、第2部分42aとなる。このようにしてケース20の空間30を治具31aによって覆う。
【0037】
一方の筒状部33aの貫通孔37aから充填剤を注入する。注入された充填剤は、
図5中の矢印に示す流路43aに沿って基板17a,17b上を流れる。すなわち、充填剤は第3の壁部13cの内壁面27cと第1の仕切り部28aとの間の流路43aをY方向に進み、第2の壁部13bの内壁面27bに到達した後、Y方向に折り返し、第1の仕切り部28aと第2の仕切り部28bとの間に形成される流路43aをY方向に進む。第1の壁部13aの内壁面27aに到達した後、Y方向に折り返し、第2の仕切り部28bと第3の仕切り部28cとの間に形成される流路43aをY方向に進む。第2の壁部13bの内壁面27bに到達した後、Y方向に折り返し、第3の仕切り部28cと第4の仕切り部28dとの間に形成される流路43aをY方向に進む。第1の壁部13aの内壁面27aに到達した後、Y方向に折り返し、第4の仕切り部28dと第4の壁部13dの内壁面27dとの間に形成される流路43aをY方向に進む。
【0038】
充填剤は、第2部分42aに到達する。このようにして、充填剤は、基板17a,17bおよび半導体チップ21a~21f、22a~22fを覆うようにしてケース20の空間30を満たす。ここで、第2部分42aには筒状部34aが設けられているため、空間30内の気泡は筒状部34aに形成される貫通孔38aから外部へ排出される。他方の筒状部34aが形成された第2部分42aに充填剤が到達すると、治具31aを取り外す。その後、充填剤を加熱等により硬化させる。このようにして、実施の形態1における半導体装置11aを得る。
【0039】
上記半導体装置11aでは、上記仕切り部28a~28dを含むため、第1部分41aから第2部分42aに至るように充填剤を供給した場合に、流路43aを形成しない場合よりも第1部分41aから供給した充填剤の流速を上げて、充填剤が充填される空間30内に存在する気泡を下流側である第2部分42a側へ流しやすくすることができる。よって、充填剤が充填される空間30内の気泡をケース20外へ排出しやすくすることができる。その結果、半導体装置11aは、安定した動作を確保することができ、信頼性が向上した半導体装置となっている。
【0040】
上記半導体装置11aにおいて、流路43aは、基板17a,17bを全域にわたって覆うように形成されている。よって、上記半導体装置11aは、気泡が残存するおそれを低減しながら、基板17a,17b上を全て充填剤によって覆うようにすることができる半導体装置となっている。
【0041】
上記半導体装置11aにおいて、流路43aは、第1部分41aから第2部分42aに至るまで、分岐することなく繋がっている。よって、充填剤を供給する入り口を第1部分41aとし、充填剤が最後に到達する領域を第2部分42aとして、第1部分41aから第2部分42aに至るまでの流路43aにおいて確実に充填剤の流速を上げることができる。よって、このような半導体装置11aは、気泡が残存するおそれをより低減することができる半導体装置となっている。
【0042】
上記半導体装置11aにおいて、基板17a,17bの板厚方向に見て、半導体チップ21a~21f、22a~22fは、流路43a上に配置されている。半導体チップ21a~21f、22a~22fが配置される部分は充填剤が回り込みにくく、気泡が残存しやすい。上記半導体装置11aは、半導体チップ21a~21f、22a~22fが配置される部分における流速を上げることができ、気泡が残存するおそれを確実に低減することができる半導体装置となっている。
【0043】
上記半導体装置11aにおいて、仕切り部28a~28dは、平板状であって、基板17a,17bに対して垂直に配置されている。よって、基板17a,17bの板厚方向において、流路43a内の狭い部分と広い部分とが形成されるおそれを低減することができ、充填剤の流速が部分的に遅くなることを回避することができる。したがって、上記半導体装置11aは、気泡が残存するおそれをより確実に低減することができる半導体装置となっている。
【0044】
上記半導体装置11aにおいて、仕切り部28a~28dは、ケース20の内壁面27a~27dに接続されている。よって、上記半導体装置11aは、仕切り部28a~28dを容易に形成することができる半導体装置となっている。
【0045】
上記半導体装置11aにおいて、第1の仕切り部28aは、第1内壁面27aに対して垂直になるよう第1内壁面27aに接続されている。第2の仕切り部28bは、第2内壁面27bに対して垂直になるよう第2内壁面27bに接続されている。よって、第1内壁面27aと第2内壁面27bとの間の流路43aを折り返すようにして形成することができる。したがって、上記半導体装置11aは、充填剤の流速を上げる流路43aを形成することが容易となっている。
【0046】
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2について説明する。
図6は、実施の形態2における半導体装置の概略斜視図である。
図7は、
図6に示す半導体装置の製造に用いる治具を半導体装置に併せて図示した状態を示す概略斜視図である。実施の形態2における半導体装置において、実施の形態2の半導体装置は、仕切り部28a~28dが接続されている壁部が異なる点において実施の形態1の場合とは異なっている。
【0047】
まず
図6を参照して、実施の形態2における半導体装置11bは、仕切り部28e、28f、28gを含む。仕切り部28e~28gはそれぞれ、平板状であって、基板17a,17bに対して垂直に配置されている。仕切り部28e~28gは、Y方向に間隔をあけてX-Z平面に平行になるよう形成されている。仕切り部28e~28gは、ケース20の内壁面27a~27d、本実施形態においては、枠体13の内壁面27a~27dに接続されている。具体的には、第1の仕切り部28eおよび第3の仕切り部28gはそれぞれ、第4内壁面27dに対して垂直になるよう第4内壁面27dに接続されている。第2の仕切り部28fは、第3内壁面27cに対して垂直になるよう第3内壁面27cに接続されている。本実施形態においては、枠体13と仕切り部28e~28gは一体である。仕切り部28e~28gのZ方向の長さは、枠体13のZ方向の長さと同じである。
【0048】
仕切り部28e,28gはそれぞれ、基板17aの板厚方向に見て基板17aの一部および基板17bと重なるように形成されている。仕切り部28fは、基板17aの板厚方向に見て基板17aおよび基板17bの一部と重なるように形成されている。流路43bは、基板17a,17bの板厚方向に見て、第1の仕切り部28eと第2の仕切り部28fとによって挟まれる第1領域44bを有する。半導体チップ21a~21fは、第1領域44bに配置される。流路43bは、基板17a,17bの板厚方向に見て、第2の仕切り部28fと第3の仕切り部28gとによって挟まれる第1領域45bを有する。半導体チップ22a~22fは、第1領域45bに配置される。
【0049】
次に、半導体装置11bの製造方法について、簡単に説明する。まず治具の構成について説明する。治具31bは、板状部32bと、筒状部33b,34bと、を含む。板状部32bは、板状部32bの板厚方向に見て、長方形である。板状部32bの板厚方向の一方の面35aを枠体13のZ方向の端面と接触させて治具31bを枠体13に取り付けることができる。一方の筒状部33bは、板状部32bの板厚方向において一方の面35aおよび他方の面36aからZ方向に突出している。筒状部33bは、長方形の形状の板状部32bにおいて、一つの角部に近い位置に形成されている。筒状部33bは、板状部32bの板厚方向に貫通する貫通孔37bを有する。筒状部34bは、他方の面36aから突出している。筒状部34bは、長方形状の板状部32bにおいて、筒状部33bが形成された角部とY方向において隣り合う角部に近い位置に形成される。筒状部34bは、板状部32bの板厚方向に貫通する貫通孔38bを有する。
【0050】
このような構成の治具31bを用意して枠体13上に取り付け、枠体13の上面を押さえる。この時、一方の筒状部33bが位置する部分が、第1部分41bとなり、他方の筒状部34bが位置する部分が、第2部分42bとなる。一方の筒状部33bの貫通孔37bから充填剤を注入する。注入された充填剤は、
図6中の矢印に沿って基板17a,17b上を流れる。そして、他方の筒状部34bが形成された領域に充填剤が到達する。充填剤で基板17a,17bの全面が覆われた後、治具31bを取り外す。その後、充填剤を硬化させて、実施の形態2における半導体装置11bを得る。
【0051】
このような構成の半導体装置11bにおいても、上記仕切り部28e~28gを含むため、第1部分41bから第2部分42bに至るように充填剤を供給した場合に、流路43bを形成しない場合よりも第1部分41bから供給した充填剤の流速を上げて、充填剤が充填される空間30内に存在する気泡を下流側である第2部分42b側へ流しやすくすることができる。その結果、半導体装置11bは、安定した動作を確保することができ、信頼性が向上した半導体装置となっている。
【0052】
(実施の形態3)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態3について説明する。
図8は、実施の形態3における半導体装置の概略斜視図である。
図9は、
図8に示す半導体装置において、半導体装置に含まれる蓋部を破線で示した概略斜視図である。実施の形態3の半導体装置は、半導体装置が蓋部を含む点において実施の形態1の場合とは異なっている。
【0053】
図8および
図9を参照して、実施の形態3における半導体装置11cは、
図1に示す半導体装置11aに加え、蓋部31cを含む。蓋部31cは、板状部32cと、筒状部33c,34cとを含む。蓋部31cの構成は、筒状部33c,34cにおいて、一方の面35aおよび他方の面36aから突出する長さが異なる以外は、基本的に上記した実施の形態2に示す治具31aと同様である。
【0054】
蓋部31cを用意して枠体13上に取り付け、枠体13の上面を押さえる。この時、一方の筒状部33cが位置する部分が、第1部分となり、他方の筒状部34cが位置する部分が、第2部分となる。一方の筒状部33cの貫通孔37cから充填剤を注入する。注入された充填剤は、
図9中の矢印に沿って基板17a,17b上を流れる。そして、他方の筒状部34cが形成された領域に充填剤が到達する。この時、例えば、充填剤が筒状部34cに到達したことを、貫通孔38cからあふれ出る充填剤によって検知する。その後、充填剤の注入を停止する。次に、蓋部31cを取り外さずに充填剤を硬化させて、実施の形態3における半導体装置11cを得る。
【0055】
上記半導体装置11cは、安定した動作を確保することができ、信頼性が向上した半導体装置となっている。本実施形態においては、半導体装置11cは、蓋部31cを含むため、充填剤を確実にケース20内の空間に封入することができる。
【0056】
(実施の形態4)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態4について説明する。
図10は、実施の形態4における半導体装置の概略平面図である。実施の形態4の半導体装置は、半導体装置に含まれる仕切り部の数および配置が実施の形態1の場合とは異なっている。
【0057】
図10を参照して、実施の形態4における半導体装置11dは、それぞれX方向に間隔をあけて配置される第1の仕切り部28hと、第2の仕切り部28iと、第3の仕切り部28jと、第4の仕切り部28kと、第5の仕切り部28lと、第6の仕切り部28mと、第7の仕切り部28nと、第8の仕切り部28oと、を含む。第1の仕切り部28h、第3の仕切り部28j、第5の仕切り部28lおよび第7の仕切り部28nはそれぞれ、第1内壁面27aに対して垂直になるよう第1内壁面27aに接続されている。第2の仕切り部28i、第4の仕切り部28k、第6の仕切り部28mおよび第8の仕切り部28oはそれぞれ、第2内壁面27bに対して垂直になるよう第2内壁面27bに接続されている。
【0058】
第1の仕切り部28hと第2の仕切り部28iによって挟まれる第1領域に、半導体チップ21a,22aが配置される。第2の仕切り部28iと第3の仕切り部28jによって挟まれる第1領域に、半導体チップ21b,22bが配置される。第3の仕切り部28jと第4の仕切り部28kによって挟まれる第1領域に、半導体チップ21c,22cが配置される。第5の仕切り部28lと第6の仕切り部28mによって挟まれる第1領域に、半導体チップ21d,22dが配置される。第6の仕切り部28mと第7の仕切り部28nによって挟まれる第1領域に、半導体チップ21e,22eが配置される。第7の仕切り部28nと第8の仕切り部28oによって挟まれる第1領域に、半導体チップ21f,22fが配置される。
【0059】
上記半導体装置11dは、安定した動作を確保することができ、信頼性が向上した半導体装置となっている。本実施形態においては、流路43dを実施の形態1における流路43aよりも狭くすることができ、充填剤の流速を実施の形態1の場合よりも上げて、充填剤が充填される空間30内の気泡をケース20外へ排出しやすくすることができる。その結果、半導体装置11dは、より安定した動作を確保することができ、より信頼性が向上した半導体装置となっている。
【0060】
(実施の形態5)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態5について説明する。
図11は、実施の形態3における半導体装置の概略斜視図である。実施の形態5の半導体装置は、半導体装置に含まれる仕切り部の形状が実施の形態1の場合とは異なっている。
【0061】
図11を参照して、実施の形態5における半導体装置11eは、仕切り部51eを含む。実施の形態1の場合と同様に、基板17a,17bの板厚方向に見て、ケース20の内壁面27a,27b,27c,27dは、長方形の形状を有する。ケース20の内壁面27a~27dは、第1内壁面27aと、第1内壁面27aに対向する第2内壁面27bと、第1内壁面27aおよび第2内壁面27bと連なる第3内壁面27cと、第1内壁面27aおよび第2内壁面27bと連なり、第3内壁面27cと対向する第4内壁面27dと、を含む。
【0062】
仕切り部51eは、板状である。仕切り部51eは、第1仕切り領域53aと、第2仕切り領域53bと、第3仕切り領域53cと、第4仕切り領域53dと、を含む。第1仕切り領域53aは、第1内壁面27aに接続され、第3内壁面27cと間隔をあけて第3内壁面27cに沿って配置され、第1内壁面27aに接続される端部から第2内壁面27b側に位置する端部までの長さが第1内壁面27aと第2内壁面27bとの距離よりも短い領域である。第2仕切り領域53bは、第1仕切り領域53aの、第1内壁面27aと接続される端部と反対側の端部に接続され、第2内壁面27bと間隔をあけて第2内壁面27bに沿って配置され、第1仕切り領域53aと接続される端部から第4内壁面27d側に位置する端部までの長さが第1仕切り領域53aと第4内壁面27dとの距離よりも短い領域である。第3仕切り領域53cは、第2仕切り領域53bの、第1仕切り領域53aと接続される端部と反対側の端部に接続され、第4内壁面27dと間隔をあけて第4内壁面27dに沿って配置され、第2仕切り領域53bと接続される端部から第1内壁面27a側に位置する端部までの長さが第1仕切り領域53aの長さよりも短い領域である。第4仕切り領域53dは、第3仕切り領域53cの、第2仕切り領域53bと接続される端部と反対側の端部に接続され、第1内壁面27aと間隔をあけて第1内壁面27aに沿って配置され、第3仕切り領域53cと接続される端部から第1仕切り領域53a側に位置する端部までの長さが第2仕切り領域53bの長さよりも短い領域である。
【0063】
本実施形態においては、仕切り部51eは、第5仕切り領域53eと、第6仕切り領域53fと、第7仕切り領域53gと、第8仕切り領域53hと、第9仕切り領域53iと、第10仕切り領域53jと、を含む。第5仕切り領域53eは、第4仕切り領域53dの、第3仕切り領域53cと接続される端部と反対側の端部に接続され、第1仕切り領域53aと間隔をあけて第1仕切り領域53aに沿って配置され、第4仕切り領域53dと接続される端部から第2仕切り領域53b側に位置する端部までの長さが第3仕切り領域53cの長さよりも短い領域である。第6仕切り領域53fは、第5仕切り領域53eの、第4仕切り領域53dと接続される端部と反対側の端部に接続され、第2仕切り領域53bと間隔をあけて第2仕切り領域53bに沿って配置され、第5仕切り領域53eと接続される端部から第3仕切り領域53c側に位置する端部までの長さが第4仕切り領域53dの長さよりも短い領域である。第7仕切り領域53gは、第6仕切り領域53fの、第5仕切り領域53eと接続される端部と反対側の端部に接続され、第3仕切り領域53cと間隔をあけて第3仕切り領域53cに沿って配置され、第6仕切り領域53fと接続される端部から第4仕切り領域53d側に位置する端部までの長さが第5仕切り領域53eの長さよりも短い領域である。第8仕切り領域53hは、第7仕切り領域53gの、第6仕切り領域53fと接続される端部と反対側の端部に接続され、第4仕切り領域53dと間隔をあけて第4仕切り領域53dに沿って配置され、第7仕切り領域53gと接続される端部から第5仕切り領域53e側に位置する端部までの長さが第6仕切り領域53fの長さよりも短い領域である。第9仕切り領域53iは、第8仕切り領域53hの、第7仕切り領域53gと接続される端部と反対側の端部に接続され、第5仕切り領域53eと間隔をあけて第5仕切り領域53eに沿って配置され、第8仕切り領域53hと接続される端部から第6仕切り領域53f側に位置する端部までの長さが第7仕切り領域53gの長さよりも短い領域である。第10仕切り領域53jは、第9仕切り領域53iの、第8仕切り領域53hと接続される端部と反対側の端部に接続され、第6仕切り領域53fと間隔をあけて第6仕切り領域53fに沿って配置され、第9仕切り領域53iと接続される端部から第7仕切り領域53g側に位置する端部までの長さが第8仕切り領域53hの長さよりも短い領域である。
【0064】
第1部分は、長方形の角部付近、具体的には、第1仕切り領域53aと第3内壁面27cとの間に配置される。第2部分は、長方形の中央部付近、具体的には、第2仕切り領域53bと第4仕切り領域53dとの間、より具体的には、第8仕切り領域53hと第10仕切り領域53jとの間に配置される。
【0065】
実施の形態5においては、充填剤を充填する際に、破線で示す治具31eが取り付けられる。治具31eは、板状部32eと、筒状部33e,34eとを含む。筒状部33eには、貫通孔37eが形成されており、筒状部34eには、貫通孔38eが形成されている。筒状部33eは、板状部32eの角部付近に形成され、筒状部34eは、板状部32eの中央部付近に形成される。筒状部33eの貫通孔37eから充填剤を供給し、ケース20の空間30内の気泡について、筒状部34eの貫通孔38eから排出する。
【0066】
このようにすることにより、第1部分を長方形の角部付近とし、第2部分を長方形の中央部付近として、渦巻き状に充填剤を充填させることができる。このようにすることによっても、充填剤が充填される空間内に気泡が残存するおそれを低減することができる。
【0067】
なお、上記の実施の形態において、第5仕切り領域53e~第10仕切り領域53jの形成を省略してもよい。すなわち、仕切り部51eは、第1仕切り領域53a、第2仕切り領域53b、第3仕切り領域53cおよび第4仕切り領域53dから構成されていてもよい。
【0068】
(他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態においては、仕切り部は、ケースに含まれる枠体の内壁面に接続されていることとしたが、これに限らず、仕切り部は、例えば実施の形態3における蓋部に接続されていてもよい。
【0069】
また、上記の実施の形態においては、第2部分から余剰の充填剤が流れ出るまで充填剤を供給し、流れ出た充填剤について、再び第1部分から供給するようにしてもよい。すなわち、充填剤を循環させて用いることにしてもよい。また、上記の実施の形態において、第1部分と第2部分との配置を入れ替える構成としてもよい。
【0070】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本開示の半導体装置は、信頼性の向上が求められる場合に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0072】
11a,11b,11c,11d,11e 半導体装置
12 放熱板
12a,12b 主面
13 枠体
13a,13b,13c,13d 壁部
14a,14b 絶縁板
15a,15b,15c,15d,15e,15f,15g 回路板
16a,16b 回路パターン、
17a,17b 基板
18a,18b,18c,18d 端子
19a,19b,19c,19d 端子
20 ケース
21a,21b,21c,21d,21e,21f,22a,22b,22c,22d,22e,22f 半導体チップ
23a,23b,23c,23d,24a,24b,24c,24d,24e,24f,25a,25b,25c,25d,25e,25f,26a,26b,26c,26d,29a,29b ワイヤ
27a,27b,27c,27d 内壁面
28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28h,28i,28j,28k,28l,28m,28n,28o,51e 仕切り部
30 空間
31a,31b,31e 治具
31c 蓋部
32a,32b,32c,32e 板状部
33a,33b,33c,33e,34a,34b,34c,34e 筒状部
35a,36a 面
37a,37b,37c,37e,38a,38b,38c,38e 貫通孔
40 充填剤
41a,41b 第1部分
42a,42b 第2部分
43a,43b 流路
44a,44b,45a,45b 第1領域
53a,53b,53c,53d,53e,53f,53g,53h,53i,53j 仕切り領域