(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】荷役車両の操作支援装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20230322BHJP
【FI】
B66F9/24 Z
(21)【出願番号】P 2019150504
(22)【出願日】2019-08-20
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小野 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】岡本 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】井上 順治
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0119087(US,A1)
【文献】特開2003-212494(JP,A)
【文献】特開2019-048696(JP,A)
【文献】特開2006-096457(JP,A)
【文献】特開2015-174705(JP,A)
【文献】特開2003-089500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮像するカメラと、
前記カメラにより撮像したカメラ画像を表示するための表示部と、
前記表示部において前記カメラ画像に荷役時の位置合わせのための荷役ガイドを重畳して表示させる荷役ガイド重畳部と、
前記表示部での前記荷役ガイドの表示と非表示とを切り替える荷役ガイド切替部と、
を備え
、
前記荷役ガイド切替部は、操作者が操作するスイッチの状態から荷役中か否かを判定し、荷役中と判定した場合には前記荷役ガイドを表示し、荷役中ではないと判定した場合には前記荷役ガイドを非表示にすることを特徴とする荷役車両の操作支援装置。
【請求項2】
車両の周辺を撮像するカメラと、
前記カメラにより撮像したカメラ画像を表示するための表示部と、
前記表示部において前記カメラ画像に荷役時の位置合わせのための荷役ガイドを重畳して表示させる荷役ガイド重畳部と、
前記表示部での前記荷役ガイドの表示と非表示とを切り替える荷役ガイド切替部と、
を備え
、
前記荷役ガイド切替部は、操作部材の操作量から荷役中か否かを判定し、荷役中と判定した場合には前記荷役ガイドを表示し、荷役中ではないと判定した場合には前記荷役ガイドを非表示にすることを特徴とする荷役車両の操作支援装置。
【請求項3】
前記表示部において前記カメラ画像に前記荷役車両の予想軌跡を示す走行ガイドを重畳して表示させる走行ガイド重畳部と、
前記表示部での前記走行ガイドの表示と非表示とを切り替える走行ガイド切替部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の荷役車両の操作支援装置。
【請求項4】
前記走行ガイド切替部は、車両に搭載したセンサから取得した荷役部材の位置から荷役中か否かを判定し、荷役中ではないと判定した場合には前記走行ガイドを表示し、荷役中と判定した場合には前記走行ガイドを非表示にすることを特徴とする請求項
3に記載の荷役車両の操作支援装置。
【請求項5】
車両の周辺を撮像するカメラと、
前記カメラにより撮像したカメラ画像を表示するための表示部と、
前記表示部において前記カメラ画像に荷役時の位置合わせのための荷役ガイドを重畳して表示させる荷役ガイド重畳部と、
前記表示部での前記荷役ガイドの表示と非表示とを切り替える荷役ガイド切替部と、
を備え
、
前記表示部において前記カメラ画像に荷役車両の予想軌跡を示す走行ガイドを重畳して表示させる走行ガイド重畳部と、
前記表示部での前記走行ガイドの表示と非表示とを切り替える走行ガイド切替部と、
を更に備え、
前記走行ガイド切替部は、操作者が操作するスイッチの状態から荷役中か否かを判定し、荷役中ではないと判定した場合には前記走行ガイドを表示し、荷役中と判定した場合には前記走行ガイドを非表示にすることを特徴とする荷役車両の操作支援装置。
【請求項6】
車両の周辺を撮像するカメラと、
前記カメラにより撮像したカメラ画像を表示するための表示部と、
前記表示部において前記カメラ画像に荷役時の位置合わせのための荷役ガイドを重畳して表示させる荷役ガイド重畳部と、
前記表示部での前記荷役ガイドの表示と非表示とを切り替える荷役ガイド切替部と、
を備え
、
前記表示部において前記カメラ画像に荷役車両の予想軌跡を示す走行ガイドを重畳して表示させる走行ガイド重畳部と、
前記表示部での前記走行ガイドの表示と非表示とを切り替える走行ガイド切替部と、
を更に備え、
前記走行ガイド切替部は、操作部材の操作量から荷役中か否かを判定し、荷役中ではないと判定した場合には前記走行ガイドを表示し、荷役中と判定した場合には前記走行ガイドを非表示にすることを特徴とする荷役車両の操作支援装置。
【請求項7】
荷役車両はフォークリフトであることを特徴とする請求項1~
6のいずれか1項に記載の荷役車両の操作支援装置。
【請求項8】
前記荷役車両の操作支援装置は、荷役車両用遠隔操作システムに用いられるものであって、
前記荷役車両用遠隔操作システムは、前記荷役車両と、遠隔操作装置とを備え、
前記荷役車両は、機台に荷役装置を備えるとともに車両通信部を有し、
前記遠隔操作装置は、前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部を有し、前記荷役車両の走行及び前記荷役装置による荷役を遠隔操作するのに用いられることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の荷役車両の操作支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両の操作支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のフォークリフトの作業支援装置においては、カメラで少なくともフォークの先端部を含む前方の視界を撮影し、検出したタイヤ角で前進した際のフォークの先端部またはフォークにより支持された被搬送物の先端部の予想軌跡を演算し、カメラによる映像を運転席の近傍に配置したモニタに表示すると共に演算された予想軌跡をモニタ上に重畳表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
荷役操作においては、フォークの予想軌跡だけではなく、荷役時の位置合わせのためにレグ先の位置やパレット幅等を示す荷役ガイドをモニタ上に重畳表示させると、荷役操作がし易くなる。しかし、多くの種類の荷役ガイドがモニタ上に重畳表示されているとカメラ画像が荷役ガイドに遮られ、走行時にはかえって操作の邪魔になる場合がある。
【0005】
本発明の目的は、走行時に荷役ガイドが操作の邪魔とならない荷役車両の操作支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための荷役車両の操作支援装置は、車両の周辺を撮像するカメラと、前記カメラにより撮像したカメラ画像を表示するための表示部と、前記表示部において前記カメラ画像に荷役時の位置合わせのための荷役ガイドを重畳して表示させる荷役ガイド重畳部と、前記表示部での前記荷役ガイドの表示と非表示とを切り替える荷役ガイド切替部と、を備えることを要旨とする。
【0007】
これによれば、走行時には荷役ガイド切替部により荷役ガイドを非表示に切り替えることにより、走行時に荷役ガイドが操作の邪魔となることがなくなる。
また、荷役車両の操作支援装置において、前記荷役ガイド切替部は、車両に搭載したセンサから取得した荷役部材の位置から荷役中か否かを判定し、荷役中と判定した場合には前記荷役ガイドを表示し、荷役中ではないと判定した場合には前記荷役ガイドを非表示にするとよい。
【0008】
また、荷役車両の操作支援装置において、前記荷役ガイド切替部は、操作者が操作するスイッチの状態から荷役中か否かを判定し、荷役中と判定した場合には前記荷役ガイドを表示し、荷役中ではないと判定した場合には前記荷役ガイドを非表示にするとよい。
【0009】
また、荷役車両の操作支援装置において、前記荷役ガイド切替部は、操作部材の操作量から荷役中か否かを判定し、荷役中と判定した場合には前記荷役ガイドを表示し、荷役中ではないと判定した場合には前記荷役ガイドを非表示にするとよい。
【0010】
また、荷役車両の操作支援装置において、前記表示部において前記カメラ画像に前記荷役車両の予想軌跡を示す走行ガイドを重畳して表示させる走行ガイド重畳部と、前記表示部での前記走行ガイドの表示と非表示とを切り替える走行ガイド切替部と、を更に備えるとよい。
【0011】
また、荷役車両の操作支援装置において、前記走行ガイド切替部は、車両に搭載したセンサから取得した荷役部材の位置から荷役中か否かを判定し、荷役中ではないと判定した場合には前記走行ガイドを表示し、荷役中と判定した場合には前記走行ガイドを非表示にするとよい。
【0012】
また、荷役車両の操作支援装置において、前記走行ガイド切替部は、操作者が操作するスイッチの状態から荷役中か否かを判定し、荷役中ではないと判定した場合には前記走行ガイドを表示し、荷役中と判定した場合には前記走行ガイドを非表示にするとよい。
【0013】
また、荷役車両の操作支援装置において、前記走行ガイド切替部は、操作部材の操作量から荷役中か否かを判定し、荷役中ではないと判定した場合には前記走行ガイドを表示し、荷役中と判定した場合には前記走行ガイドを非表示にするとよい。
【0014】
また、荷役車両の操作支援装置において、荷役車両はフォークリフトであるとよい。
また、荷役車両の操作支援装置において、前記荷役車両の操作支援装置は、荷役車両用遠隔操作システムに用いられるものであって、前記荷役車両用遠隔操作システムは、前記荷役車両と、遠隔操作装置とを備え、前記荷役車両は、機台に荷役装置を備えるとともに車両通信部を有し、前記遠隔操作装置は、前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部を有し、前記荷役車両の走行及び前記荷役装置による荷役を遠隔操作するのに用いられるとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、走行時に荷役ガイドが操作の邪魔とならない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】リーチ式フォークリフト用遠隔操作システムの電気的構成を示すブロック図。
【
図3】リーチ式フォークリフトの一部を破断して示す概略斜視図。
【
図4】リーチ式フォークリフトを模式的に示す平面図。
【
図6】(a),(b)は表示部での表示内容を説明するための図。
【
図10】(a),(b)は別例の表示部での表示内容を説明するための図。
【
図11】比較例における表示部での表示内容を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
本実施形態では、荷役車両の操作支援装置は、荷役車両用遠隔操作システムとしてのリーチ式フォークリフト用遠隔操作システムに用いられるものである。
【0018】
図1に示すように、リーチ式フォークリフト用遠隔操作システム10は、荷役車両としてのリーチ式フォークリフト20と、リーチ式フォークリフト20の走行及び荷役装置による荷役を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置40と、を備えている。リーチ式フォークリフト20は作業場に配置される。そして、遠隔操作装置40を用いて操作室から作業場のリーチ式フォークリフト20を遠隔操作することができるようになっている、
作業場においてフォークにパレットを差し込んだ状態のリーチ式フォークリフト20を走行・荷役するが、操作者はリーチ式フォークリフト20を遠隔操作して、リーチ式フォークリフト20をラック(棚)まで走行させてラックにパレットを置く動作等を行わせる。
【0019】
図2、
図3に示すように、リーチ式フォークリフト20は機台21を備える。機台21の前側には左右一対のリーチレグ22a,22bが配置され、リーチレグ22a,22bは前方に向かって延びている。詳しくは、リーチレグ22aは進行方向右側に設けられ、リーチレグ22bは進行方向左側に設けられている。リーチレグ22a,22bの前部には前輪23a,23bが配設されている。詳しくは、右前輪23aは進行方向右側のリーチレグ22aに設けられ、左前輪23bは進行方向左側のリーチレグ22bに設けられている。このように、機台21の前側に左右一対の前輪23a,23bが設けられている。
【0020】
機台21の後部には、後輪24とキャスタホイール(補助輪)25が配設されている。後輪24は機台21の左方に設けられており、キャスタホイール25は機台21の右方に設けられている。後輪24は、駆動輪及び操舵輪である。右側のリーチレグ22aは先端部E1を有し、左側のリーチレグ22bは先端部E2を有する。
【0021】
図2に示すように、リーチ式フォークリフト20は、2つの前輪23a,23b、及び、1つの後輪24の3つの車輪で走行する。機台21には、リーチ式フォークリフト20の駆動源となる走行モータ26と、走行モータ26の電力源となるバッテリ27が搭載されている。そして、後輪24が走行モータ26により回転駆動される。
【0022】
リーチ式フォークリフト20は、機台21の前方に、荷役装置28を備える。荷役装置28は、リーチシリンダ(図示せず)の駆動により、各リーチレグ22a,22bに沿って前後動作するマスト29を備える。マスト29の前方には、左右一対のフォーク30a,30bがバックレスト31を介して設けられている。フォーク30a,30bは、マスト29に沿って昇降する。
【0023】
本実施形態のリーチ式フォークリフト20は、運転者が着座して操作することが可能に構成されている。なお、運転席の無い無人リーチ式フォークリフトであってもよい。
図3に示すように、リーチ式フォークリフト20は、立席タイプの運転室32を機台21の後部に備える。運転室32の前方及び左方には、ステアリングテーブル33a,33bが設けられている。運転室32の前方に位置するステアリングテーブル33aには、リーチ式フォークリフト20を走行動作させるディレクションレバー(操作部材)34、荷役装置28を動作させる複数の荷役レバー(操作部材)35が設けられている。ディレクションレバー34は、後輪24を回転駆動させて車両を走行させるべく操作される。運転室32の左方に位置するステアリングテーブル33bには、後輪24の操舵を行うハンドル(操作部材)36が設けられている。また、運転室32の床面にはブレーキペダル(操作部材)37が備えられている。
【0024】
運転室32は、機台21において立設された2本のピラー38と、ピラー38の上端に固定されたヘッドガード39とにより囲まれている。
図1に示すように、リーチ式フォークリフト20は、フォークリフト搭載機器50として、コントローラ51と、車両通信部としての無線ユニット52と、画像処理部53と、車両通信部としての無線機54と、カメラ71を有する。
【0025】
遠隔操作装置40は、コントローラ61と、操作部62と、表示部(モニタ)63と、操作装置通信部としての無線機64,65を有する。遠隔操作装置40において、操作室側機器60として、コントローラ61と操作部62と表示部(モニタ)63を備える。
【0026】
遠隔操作装置40の無線機64は作業場に配置されている。また、遠隔操作装置40の無線機65は作業場に配置されている。操作室に配置されるコントローラ61は有線L1により作業場に配置した無線機64と接続されている。コントローラ61は有線L2により作業場に配置した無線機65と接続されている。
【0027】
作業場において、遠隔操作装置40の無線機64とフォークリフト搭載機器50の無線ユニット52とは双方向に無線通信できる。また、作業場において、フォークリフト搭載機器50の無線機54から遠隔操作装置40の無線機65に無線で通信できる。
【0028】
このようにして、リーチ式フォークリフト20は無線ユニット52及び無線機54を有し、遠隔操作装置40は、無線ユニット52及び無線機54と無線通信を行う無線機64,65を有する。
【0029】
遠隔操作装置40のコントローラ61は操作部62及び表示部(モニタ)63と接続されている。操作部62は、操作者によりリーチ式フォークリフト20を遠隔操作するためのものであり、操作者によるリーチ式フォークリフト20の操作内容(リフト、リーチ、ティルトの操作指令値、及び、速度、加速度、操舵角の操作指令値等)がコントローラ61に送られる。コントローラ61は、リフト、リーチ、ティルトの操作指令値、及び、速度、加速度、操舵角の操作指令値等の車両制御信号を、無線機64を介してフォークリフト搭載機器50の無線ユニット52に無線送信する。
【0030】
フォークリフト搭載機器50において、コントローラ51と無線ユニット52と画像処理部53とは、それぞれ相互に通信(例えばCAN通信)可能に接続されている。コントローラ51は遠隔操作装置40側からの指示により走行系アクチュエータ(走行モータ26、図示しない操舵モータ等)及び荷役系アクチュエータ(図示しないリフトシリンダ、リーチシリンダ、ティルトシリンダ等)を駆動することができる。
【0031】
無線ユニット52は、リーチ式フォークリフト20の車速等の車両情報、異常情報(障害物検知情報等)を、無線機64を介してコントローラ61に無線送信する。
図1において、コントローラ61は、無線機64、無線ユニット52及びコントローラ51を介してリーチ式フォークリフト20の走行及び荷役装置28による荷役を遠隔操作することができるようになっている。つまり、
図3での操作部(ディレクションレバー34、荷役レバー35、ハンドル36、ブレーキペダル37等)に代わり遠隔操作装置40の操作部62により遠隔操作することができるようになっている。
【0032】
そして、遠隔操作装置40において、操作部62を用いて操作者が所望の操作を行うとコントローラ61により操作内容が無線機64を介してリーチ式フォークリフト20側に送られる。リーチ式フォークリフト20において、無線ユニット52で遠隔操作装置40からの操作内容が受信され、コントローラ51によりアクチュエータ部が駆動されて所望の動作が実行される。
【0033】
図4に示すように、リーチ式フォークリフト20は、機台21において右の後角部P1及び左の後角部P2を有する。
図2及び
図4に示すように、リーチ式フォークリフト20においてカメラ71により車両の周辺が撮像される。詳しくは、バックレスト31の上にカメラ71が前方下方を向くように取り付けられており、カメラ71は、リーチ式フォークリフト20の進行方向前方を撮像する。
【0034】
図1に示すように、リーチ式フォークリフト20において、カメラ71により撮像された画像はコントローラ51により画像処理部53及び無線機54を介して遠隔操作装置40側に送られる。遠隔操作装置40において、無線機65でリーチ式フォークリフト20からのカメラ画像が受信されてコントローラ61により表示部63で表示される。表示部63は、例えばディスクトップ型ディスプレイである。
【0035】
遠隔操作装置40に設けられる表示部63において、カメラ71により撮像したカメラ画像が表示される。操作者は表示部63におけるカメラ71の画像を見ながら操作することになる。
【0036】
ここで、リーチ式フォークリフト20が走行するときのリーチ式フォークリフト20の状態は、ある程度決まっており、フォーク30a,30bを高く上げすぎると重心が上になってしまい好ましくなく、荷が落ちにくくすべくティルト角を大きくし、マスト29を最も機台21側に引いたリーチインの状態のほうが安定走行できる。
【0037】
リーチ式フォークリフト20に搭載されたカメラ71は、
図6(a)に示すように、左右一対のリーチレグ22a,22bの先端部(レグ先)E1,E2及びその前方を撮像する。
【0038】
リーチ式フォークリフト20には、実位置センサ群80(
図1参照)が搭載されている。実位置センサ群80により、フォーク30a,30bの実高さ(リフト高さ)、実ティルト角、マスト29のリーチ量、即ち、マスト29の前後方向の実位置(実リーチ量)が検出される。
【0039】
図1に示すように、コントローラ61には、フォークリフト搭載機器50である実位置センサ群80の検出信号が、無線ユニット52、無線機64を経由して送られてくる。これにより、コントローラ61は、荷役部材(フォーク30a,30b、マスト29等)の位置として、フォーク30a,30bの実高さ(リフト高さ)、実ティルト角、マスト29の実位置(実リーチ量)を検知する。
【0040】
コントローラ61は、
図6(b)に示すように、リーチレグ22a,22bの先端部E1,E2の延長線であるレグ先ガイド線Lg1,Lg2を生成する。詳しくは、右側レグ先ガイド線Lg1は、右側のリーチレグ22aの先端部E1から右側に延びる。左側レグ先ガイド線Lg2は、左側のリーチレグ22bの先端部E2から左側に延びる。操作者は、表示部63に表示されるカメラ画像において、映し出された棚とレグ先ガイド線Lg1,Lg2とを見比べることにより、荷役中にフォークリフト20を適切に位置合わせすることができる。レグ先ガイド線Lg1,Lg2は、荷役時の位置合わせのための荷役ガイドである。
【0041】
また、コントローラ61は、
図6(b)に示すように、フォーク30a,30bにパレットPa(
図2参照)を差し込んだ状態で走行する場合におけるパレットPaの左右の端の予想軌跡であるパレット幅ガイド線Lg3,Lg4を生成する。パレット幅ガイド線Lg3,Lg4は、その時のハンドル角で前進した際のパレット端部の予想軌跡であり、右側パレット幅ガイド線Lg3は、パレットの右側の端に対応し、左側パレット幅ガイド線Lg4は、パレットの左側の端に対応している。操作者は、表示部63に表示されるカメラ画像において、映し出された棚の幅とパレット幅ガイド線Lg3,Lg4とを見比べることにより、荷役の際にフォークリフト20を適切に位置合わせすることができる。パレット幅ガイド線Lg3,Lg4は、荷役時の位置合わせのための荷役ガイドである。
【0042】
また、コントローラ61は、
図6(a)に示すように、機台21の左右の端の予想軌跡である車幅ガイド線Lg5,Lg6を生成する。車幅ガイド線Lg5,Lg6は、その時のハンドル角で前進した際の機台21の後角部P1,P2の予想軌跡であり、右側車幅ガイド線Lg5は、機台21の右の後角部P1に対応し、左側車幅ガイド線Lg6は、機台21の左の後角部P2に対応している。操作者は、表示部63に表示されるカメラ画像において、映し出される通路幅と車幅ガイド線Lg5,Lg6とを見比べることにより、走行中にフォークリフト20を障害物等と衝突することなく走行させることができる。車幅ガイド線Lg5,Lg6は、フォークリフト20(荷役車両)の予想軌跡を示す走行ガイドである。
【0043】
図6(a)に示すように、コントローラ61は、表示部63においてカメラ画像に、生成した車幅ガイド線Lg5,Lg6を重畳して表示させることができるようになっている。
図6(b)に示すように、コントローラ61は、表示部63においてカメラ画像に、生成したレグ先ガイド線Lg1,Lg2及びパレット幅ガイド線Lg3,Lg4を重畳して表示させることができるようになっている。
【0044】
コントローラ61は、表示部63での荷役ガイドの表示と非表示とを切り替えることができるようになっている。コントローラ61は、車両に搭載したセンサである実位置センサ群80から取得した荷役部材の位置からフォークリフト20が荷役中か否かを判定する。コントローラ61は、荷役中と判定した場合には荷役ガイドとしてのガイド線Lg1,Lg2,Lg3,Lg4を表示し、荷役中ではないと判定した場合には荷役ガイドとしてのガイド線Lg1,Lg2,Lg3,Lg4を非表示にすることができるようになっている。
【0045】
コントローラ61は、表示部63においてカメラ画像に走行ガイドとしての車幅ガイド線Lg5,Lg6を重畳して表示させることができるようになっている。コントローラ61は、表示部63での走行ガイドとしての車幅ガイド線Lg5,Lg6の表示と非表示とを切り替えることができるようになっている。コントローラ61は、車両に搭載したセンサである実位置センサ群80から取得した荷役部材の位置からフォークリフト20が荷役中でないと判定した場合には走行ガイドとしての車幅ガイド線Lg5,Lg6を表示し、荷役中であると判定した場合には走行ガイドとしての車幅ガイド線Lg5,Lg6を非表示にすることができるようになっている。
【0046】
次に、作用について説明する。
コントローラ61は、
図5の処理を実行する。
図5において、コントローラ61はステップS100においてリーチ量がゼロであるか、即ち、リーチイン状態か否か判定する。つまり、コントローラ61は、マスト29がリーチレグ22a,22bに沿って前方に移動させるとリーチアウト操作であり、後方に移動させるとリーチイン操作となるが、マスト29がリーチレグ22a,22bの最も後方に位置しているか否か判定する。
【0047】
コントローラ61はリーチイン状態である(マスト29がリーチレグ22a,22bの最も後方に位置している)と、ステップS101においてリフトの高さが閾値未満か否か判定する。コントローラ61はリフトの高さが閾値未満であると、ステップS102においてティルト角が閾値より大きいか否か判定する。
【0048】
コントローラ61はティルト角が閾値より大きいと、ステップS103において走行ガイドを表示するとともに荷役ガイドを非表示にする。具体的には、
図6(a)に示すように、表示部63において、カメラ71にて撮像された画像にコントローラ61で生成した車幅ガイド線Lg5,Lg6を重畳して表示する。
【0049】
一方、コントローラ61はステップS100においてリーチイン状態でない場合、あるいは、ステップS101においてリフトの高さが閾値未満でない場合、あるいは、ステップS102においてティルト角が閾値より大きくない場合には、コントローラ61はフォークリフト20が荷役中であると判定し、ステップS104において走行ガイドを非表示にするとともに荷役ガイドを表示する。具体的には、
図6(b)に示すように、表示部63において、カメラ71にて撮像された画像にコントローラ61で生成したレグ先ガイド線Lg1,Lg2及びパレット幅ガイド線Lg3,Lg4を重畳して表示する。
【0050】
このように、荷役中か否かの判定結果に基づいてガイド表示を切り替える。つまり、リーチ式フォークリフト20の状態に応じて、ガイド表示を切り替える。一般的な走行時のリーチ式フォークリフト20の状態からリーチ式フォークリフト20の状態を検知して、表示を切り替える。その結果、走行又は荷役に適したガイドが表示される。
【0051】
図11は、比較例である。
図11に示すように、リーチ式フォークリフト20の遠隔操作支援のためのガイド表示として、走行のためのフォークリフト20の機台21の予想軌跡を示す軌跡ガイドである車幅ガイド線Lg5,Lg6や荷役のためのレグ先ガイド線Lg1,Lg2やパレット幅ガイド線Lg3,Lg4などがあるが、これらが走行中も全て表示部63に表示されていると、これらのガイド表示にカメラ画像が遮られてしまい走行時にはかえって操作の邪魔となってしまう。
【0052】
これに対し本実施形態では、フォークリフト20の状態に応じたガイド表示の切り替えにより、荷役ガイドは走行時に表示されないので操作の邪魔となることはない。また、荷役中には表示部63に荷役ガイド(ガイド線Lg1,Lg2,Lg3,Lg4)を表示して荷役操作を支援することができる。
【0053】
つまり、走行時には走行ガイド(車幅ガイド線Lg5,Lg6)を表示しており、
図5のステップS100でYES、ステップS101でYES、ステップS102でYESのときにはフォークリフト20が荷役中ではないと判定し、ステップS103において、荷役ガイド(レグ先ガイド線Lg1,Lg2及びパレット幅ガイド線Lg3,Lg4)を非表示にすることにより、フォークリフトの状態に適したガイド表示をすることができる。
【0054】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)荷役車両の操作支援装置の構成として、車両の周辺を撮像するカメラ71と、カメラ71により撮像したカメラ画像を表示するための表示部63と、コントローラ61と、を備える。荷役ガイド重畳部としてのコントローラ61は、表示部63においてカメラ画像に荷役時の位置合わせのための荷役ガイドとしてのガイド線Lg1,Lg2,Lg3,Lg4を重畳して表示させる。荷役ガイド切替部としてのコントローラ61は、表示部63での荷役ガイドとしてのガイド線Lg1,Lg2,Lg3,Lg4を走行中には非表示に切り替える。よって、走行時に荷役ガイドが操作の邪魔とならない。
【0055】
(2)詳しくは、荷役ガイド切替部としてのコントローラ61は、車両に搭載したセンサとしてのセンサ群80から取得した荷役部材の位置としてのフォーク30a,30bの実高さ(リフト高さ)、実ティルト角、マスト29の実位置(実リーチ量)から荷役中か否かを判定する。
図5のステップS100でNO、ステップS101でNO、ステップS102でNOであれば荷役中と判定し、ステップS104において荷役ガイドとしてのガイド線Lg1,Lg2,Lg3,Lg4を表示し、ステップS100でYES、ステップS101でYES、ステップS102でYESであれば荷役中ではないと判定し、ステップS103において荷役ガイドとしてのガイド線Lg1,Lg2,Lg3,Lg4を非表示にする。よって、走行時に荷役ガイドが操作の邪魔とならない。
【0056】
(3)走行ガイド重畳部としてのコントローラ61は、表示部63においてカメラ画像にフォークリフト20の予想軌跡を示す走行ガイドとしての車幅ガイド線Lg5,Lg6を重畳して表示させる。走行ガイド切替部としてのコントローラ61は、表示部63での走行ガイドとしての車幅ガイド線Lg5,Lg6を荷役中には非表示に切り替える。よって、荷役時に走行ガイドが操作の邪魔とならない。
【0057】
(4)詳しくは、走行ガイド切替部としてのコントローラ61は、車両に搭載したセンサとしてのセンサ群80から取得した荷役部材の位置としてのフォーク30a,30bの実高さ(リフト高さ)、実ティルト角、マスト29の実位置(実リーチ量)から荷役中か否かを判定し、
図5のステップS100でYES、ステップS101でYES、ステップS102でYESであれば荷役中ではないと判定し、ステップS103において走行ガイドとしての車幅ガイド線Lg5,Lg6を表示し、ステップS100でNO、ステップS101でNO、ステップS102でNOであれば荷役中と判定し、ステップS104において走行ガイドとしての車幅ガイド線Lg5,Lg6を非表示にする。よって、荷役時に走行ガイドが操作の邪魔とならない。
【0058】
(5)荷役車両の操作支援装置は、荷役車両用遠隔操作システムとしてのリーチ式フォークリフト用遠隔操作システム10に用いられるものであって、リーチ式フォークリフト用遠隔操作システム10は、荷役車両としてのリーチ式フォークリフト20と、遠隔操作装置40とを備え、荷役車両としてのリーチ式フォークリフト20は、機台21に荷役装置28を備えるとともに車両通信部としての無線ユニット52及び無線機54を有し、遠隔操作装置40は、車両通信部としての無線ユニット52及び無線機54と無線通信を行う操作装置通信部としての無線機64,65を有し、荷役車両としてのリーチ式フォークリフト20の走行及び荷役装置28による荷役を遠隔操作するのに用いられる。よって、カメラの画像のみにしたがって遠隔操作する際に、走行時に荷役ガイドが操作の邪魔とならない。
【0059】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○
図7に示すように、操作者が操作するスイッチとしてのフォークリフト20が走行中か否かを示すスイッチ100(
図1において仮想線で示す)を用いて走行ガイド及び荷役ガイドの表示/非表示を切り替えるようにしてもよい。操作者は、走行時にはスイッチ100の状態をオン(走行中)とし、荷役時にはスイッチ100の状態をオフ(荷役中)とする。
図7においてコントローラ61はステップS200でスイッチ100の状態が走行中か否か(荷役中でないか否か)判定してスイッチ100の状態が走行中であると(荷役中でないと)、ステップS201において走行ガイドを表示するとともに荷役ガイドを非表示にする。一方、コントローラ61はステップS200でスイッチ100の状態が走行中でないと(荷役中であると)、ステップS202において走行ガイドを非表示にするとともに荷役ガイドを表示する。
【0060】
○
図8に示すように、荷役部材の操作量に応じて走行ガイド及び荷役ガイドの表示または非表示を切り替えてもよい。
図8においてコントローラ61は、ステップS300でリーチ操作量がゼロでないか判定するとともにステップS301でリフト操作量がゼロでないか判定し、さらに、ステップS302でティルト操作量がゼロでないか判定する。コントローラ61は、リーチ操作量がゼロかつリフト操作量がゼロかつティルト操作量がゼロならばフォークリフト20が荷役中ではないと判定し、ステップS303において走行ガイドを表示するとともに荷役ガイドを非表示にする。一方、コントローラ61は、リーチ操作量、リフト操作量、ティルト操作量のいずれかがゼロでない場合は荷役中と判定し、ステップS304において走行ガイドを非表示にするとともに荷役ガイドを表示する。
【0061】
○
図9に示すように、荷役ガイドのみの表示または非表示を切り替えてもよい。
図9において、コントローラ61はステップS400においてリーチイン状態か否か判定するとともにステップS401においてリフトの高さが閾値未満か否か判定し、さらに、ステップS402においてティルト角が閾値より大きいか否か判定する。
【0062】
コントローラ61は、リーチイン状態でない場合、あるいは、リフトの高さが閾値未満でない場合、あるいは、ティルト角が閾値より大きくない場合には荷役中と判定し、ステップS404において荷役ガイドを走行ガイドとともに表示する。具体的には、
図10(b)に示すように、車幅ガイド線Lg5,Lg6、レグ先ガイド線Lg1,Lg2及びパレット幅ガイド線Lg3,Lg4を重畳して表示する。
【0063】
一方、コントローラ61は、リーチイン状態かつリフトの高さが閾値未満かつティルト角が閾値より大きいならば荷役中ではないと判定し、ステップS403において荷役カイドを非表示とし、走行ガイドのみを表示する。具体的には、
図10(a)に示すように、表示部63において、カメラ71にて撮像された画像にコントローラ61で生成した車幅ガイド線Lg5,Lg6を重畳して表示する。
【0064】
このように、
図9のステップS400でYES、ステップS401でYES、ステップS402でYESのときには、荷役中ではないと判定してステップS403において荷役ガイドを非表示とすることにより走行時に荷役ガイドが操作の邪魔とならない。
【0065】
○ パレットを用いないで荷を搬送する場合にも有用である。
○ 荷役車両の操作支援装置はリーチ式フォークリフト用遠隔操作システムに用いられるものであったが、これに限るものではない。例えば、有人リーチ式フォークリフトに用いてもよい。つまり、カメラを搭載した無人リーチ式フォークリフトと、表示部を有する遠隔操作装置とを備えるではなく、例えば、カメラと表示部を搭載した有人リーチ式フォークリフトに適用してもよい。
【0066】
○ フォークリフトはリーチ式フォークリフトであったが、これに限るものではなく、リーチ式フォークリフト以外のフォークリフトであってもよい。例えば、カウンタ式フォークリフトでもよい。
【0067】
○ 荷役車両はフォークリフトであったが、フォークリフト以外の荷役車両に適用してもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…リーチ式フォークリフト用遠隔操作システム、20…リーチ式フォークリフト、21…機台、28…荷役装置、40…遠隔操作装置、52…無線ユニット、54…無線機、61…コントローラ、63…表示部、64,65…無線機、71…カメラ、Lg1…荷役ガイドとしてのレグ先ガイド線、Lg2…荷役ガイドとしてのレグ先ガイド線、Lg3…荷役ガイドとしてのパレット幅ガイド線、Lg4…荷役ガイドとしてのパレット幅ガイド線、Lg5…走行ガイドとしての車幅ガイド線、Lg6…走行ガイドとしての車幅ガイド線。