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特許7247848PONシステム、管理サーバ、管理方法、及び設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】PONシステム、管理サーバ、管理方法、及び設置方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20230322BHJP
   H04L 61/5014 20220101ALI20230322BHJP
【FI】
H04L12/44 200
H04L61/5014
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019186849
(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公開番号】P2021064828
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】高柳 賢
【審査官】宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-124935(JP,A)
【文献】特開2000-209237(JP,A)
【文献】特開2016-149689(JP,A)
【文献】特開2017-050712(JP,A)
【文献】特開2005-130512(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0025165(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-0584342(KR,B1)
【文献】特開2008-054086(JP,A)
【文献】特開2013-118604(JP,A)
【文献】特開2015-046660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-13/18,41/00-49/9057,61/00-65/80,69/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅側装置が接続される複数の局側装置と、前記複数の局側装置を制御する管理サーバと、を備えるPONシステムであって、
前記管理サーバは、
前記複数の局側装置のサブネット毎に設定された、前記宅側装置のマックアドレスによらずに前記宅側装置がリンクアップ可能となる初期立ち上げ用コンフィグファイルを記憶するコンフィグ記憶部と、
前記宅側装置が接続された前記局側装置からのDHCP要求を受信して、該DHCP要求に係る前記宅側装置のIPアドレスを取得すると共に、該DHCP要求に係る前記局側装置のサブネットに対応する前記初期立ち上げ用コンフィグファイルが前記DHCP要求に係る前記宅側装置に適用されるように、前記初期立ち上げ用コンフィグファイルを払い出す第1払い出し部と、
前記第1払い出し部によって取得されたIPアドレスに基づいて、前記DHCP要求に係る前記宅側装置のマックアドレス及び該宅側装置が接続される前記局側装置のサブネットの情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記マックアドレス及び前記サブネットの情報に基づき、前記DHCP要求に係る前記宅側装置に対して通信サービスの提供が可能となる通常サービス用コンフィグファイルを生成する生成部と、
前記DHCP要求に係る前記宅側装置に前記通常サービス用コンフィグファイルが適用されるように前記通常サービス用コンフィグファイルを払い出す第2払い出し部と、を備えるPONシステム。
【請求項2】
宅側装置が接続される局側装置を制御する管理サーバであって、
前記宅側装置のマックアドレスによらずに前記宅側装置がリンクアップ可能となる初期立ち上げ用コンフィグファイルを記憶するコンフィグ記憶部と、
前記宅側装置が接続された前記局側装置からのDHCP要求を受信して、該DHCP要求に係る前記宅側装置のIPアドレスを取得すると共に、前記初期立ち上げ用コンフィグファイルが前記DHCP要求に係る前記宅側装置に適用されるように、前記初期立ち上げ用コンフィグファイルを払い出す第1払い出し部と、
前記第1払い出し部によって取得されたIPアドレスに基づいて、前記DHCP要求に係る前記宅側装置のマックアドレス及び該宅側装置が接続される前記局側装置のサブネットの情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記マックアドレス及び前記サブネットの情報に基づき、前記DHCP要求に係る前記宅側装置に対して通信サービスの提供が可能となる通常サービス用コンフィグファイルを生成する生成部と、
前記DHCP要求に係る前記宅側装置に前記通常サービス用コンフィグファイルが適用されるように前記通常サービス用コンフィグファイルを払い出す第2払い出し部と、を備える管理サーバ。
【請求項3】
前記局側装置に接続され得る複数の宅側装置候補それぞれについて、マックアドレスと、通信種別とを少なくとも対応付けた宅側装置候補情報を記憶する候補記憶部を更に備え、
前記生成部は、マックアドレスが前記取得部によって取得されたマックアドレスと一致する前記宅側装置候補の前記宅側装置候補情報に、前記取得部によって取得された前記サブネットの情報を加えて、前記通常サービス用コンフィグファイルを生成する、請求項2に記載の管理サーバ。
【請求項4】
前記生成部は、前記通常サービス用コンフィグファイルの生成が完了すると、前記DHCP要求に係る前記宅側装置に対してコンフィグファイルのリセット指示を出力し、
前記第2払い出し部は、前記生成部によって前記リセット指示が出力された後に、前記通常サービス用コンフィグファイルを払い出す、請求項2または請求項3に記載の管理サーバ。
【請求項5】
宅側装置が接続される局側装置の管理方法であって、
前記宅側装置が接続された前記局側装置からのDHCP要求を受信して、該DHCP要求に係る前記宅側装置のIPアドレスを取得すると共に、前記宅側装置のマックアドレスによらずに前記宅側装置がリンクアップ可能となる初期立ち上げ用コンフィグファイルが前記DHCP要求に係る前記宅側装置に適用されるように、前記初期立ち上げ用コンフィグファイルを払い出す第1払い出し工程と、
前記第1払い出し工程において取得されたIPアドレスに基づいて、前記DHCP要求に係る前記宅側装置のマックアドレス及び該宅側装置が接続される前記局側装置のサブネットの情報を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得された前記マックアドレス及び前記サブネットの情報に基づき、前記DHCP要求に係る前記宅側装置に対して通信サービスの提供が可能となる通常サービス用コンフィグファイルを生成する生成工程と、
前記DHCP要求に係る前記宅側装置に前記通常サービス用コンフィグファイルが適用されるように前記通常サービス用コンフィグファイルを払い出す第2払い出し工程と、を含む管理方法。
【請求項6】
宅側装置の設置方法であって、
局側装置に接続され得る複数の宅側装置候補を保管すると共に、各宅側装置候補について、マックアドレスと通信種別とを少なくとも対応付けた宅側装置候補情報をデータベースに登録することと、
前記宅側装置候補の中から選択した一の宅側装置の電源をオンにして、前記宅側装置を前記局側装置に接続することにより、管理サーバから初期立ち上げ用コンフィグファイルの払い出しを受け、前記宅側装置をリンクアップ可能な状態とすることと、
前記管理サーバからの指示に基づき、前記宅側装置の設定をリセットして、前記宅側装置を前記局側装置に再接続することにより、前記宅側装置候補情報に基づいて前記管理サーバにおいて生成された前記宅側装置の通常サービス用コンフィグファイルの払い出しを受け、前記宅側装置を通常サービスの提供が受けられる状態とすることと、を含む設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PONシステム、管理サーバ、管理方法、及び設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FTTH(Fiber to the Home)等のサービスにおいて、光信号を複数に分岐して一心の光ファイバを複数ユーザで共有するPON(Passive Optical Network)システムが利用されている(例えば特許文献1参照)。PONシステムにおいては、例えば局側装置としてOLT(Optical Line Terminal)が用いられると共に宅側装置としてONU(OpticalNetwork Unit)が用いられ、OLTとONUとの間に光信号を合分波する光スプリッタが設けられることにより、1つのOLTに複数のONUが接続される。
【0003】
OLTを制御する管理サーバにおいては、ONUのマックアドレスを在庫として事前登録し、予めONUを利用する顧客毎の速度等の情報を設定しておくことにより、ONUの通信に係るコンフィグファイルを生成しておくことが考えられる。この場合、事前登録されたマックアドレスを持つONUがOLTに接続された際に、PON管理サーバからコンフィグファイルがOLT経由でONUに設定され、ONUは通信可能な状態になる(Online)。または、予めマックアドレスとサービス情報を対応付けたデータベースを作成しておくことにより(在庫登録)、登録があるONUがOLTにつながった際に自動的にコンフィグファイルを生成及び設定する方法が考えられる。このような方法によれば、PON管理サーバが制御するどのOLTに対しても、各ONUを接続しONUを通信可能な状態とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-82499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、PON管理サーバを運用する事業者には、複数のOLT毎に配下で使用されるONUの通信サービスに用いられるVLAN(Virtual LAN)を分けて管理したいとの要望がある。この場合、上述したコンフィグファイルにおいて予めOLTとONUとの対応関係を規定しておく必要があり、コンフィグファイルにおいて対応関係が規定されていないOLT及びONUを接続すると、ONUは通信を行うことができない(OLTに接続されてもトラフィックが流れない)。この点、通常、事業者としては加入者(ONU)がどのOLTに接続されるかまでは管理できておらず、工事担当者が倉庫からONUを持ち出して現場で設置してはじめてOLTとONUとの接続関係が決まることが一般的であることから、施工性を考慮すると、予めOLT毎に配下のONUを管理する方法(コンフィグファイルにおいて予めOLTとONUとの対応関係を規定する方法)は好ましくない。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、局側装置(OLT)との対応関係を気にせずに宅側装置(ONU)の設置を可能にし、事業者の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るPONシステムは、宅側装置が接続される複数の局側装置と、複数の局側装置を制御する管理サーバと、を備えるPONシステムであって、管理サーバは、複数の局側装置のサブネット毎に設定された、宅側装置のマックアドレスによらずに宅側装置がリンクアップ(局側装置に宅側装置が認証した状態。以下同様)可能となる初期立ち上げ用コンフィグファイルを記憶するコンフィグ記憶部と、宅側装置が接続された局側装置からのDHCP要求を受信して、該DHCP要求に係る宅側装置のIPアドレスを取得すると共に、該DHCP要求に係る局側装置のサブネットに対応する初期立ち上げ用コンフィグファイルがDHCP要求に係る宅側装置に適用されるように、初期立ち上げ用コンフィグファイルを払い出す第1払い出し部と、第1払い出し部によって取得されたIPアドレスに基づいて、DHCP要求に係る宅側装置のマックアドレス及び該宅側装置が接続される局側装置のサブネットの情報を取得する取得部と、取得部によって取得されたマックアドレス及びサブネットの情報に基づき、DHCP要求に係る宅側装置に対して通信サービスの提供が可能となる通常サービス用コンフィグファイルを生成する生成部と、DHCP要求に係る宅側装置に通常サービス用コンフィグファイルが適用されるように通常サービス用コンフィグファイルを払い出す第2払い出し部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る管理サーバは、宅側装置が接続される局側装置を制御する管理サーバであって、宅側装置のマックアドレスによらずに宅側装置がリンクアップ可能となる初期立ち上げ用コンフィグファイルを記憶するコンフィグ記憶部と、宅側装置が接続された局側装置からのDHCP要求を受信して、該DHCP要求に係る宅側装置のIPアドレスを取得すると共に、初期立ち上げ用コンフィグファイルがDHCP要求に係る宅側装置に適用されるように、初期立ち上げ用コンフィグファイルを払い出す第1払い出し部と、第1払い出し部によって取得されたIPアドレスに基づいて、DHCP要求に係る宅側装置のマックアドレス及び該宅側装置が接続される局側装置のサブネットの情報を取得する取得部と、取得部によって取得されたマックアドレス及びサブネットの情報に基づき、DHCP要求に係る宅側装置に対して通信サービスの提供が可能となる通常サービス用コンフィグファイルを生成する生成部と、DHCP要求に係る宅側装置に通常サービス用コンフィグファイルが適用されるように通常サービス用コンフィグファイルを払い出す第2払い出し部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る管理方法は、宅側装置が接続される局側装置の管理方法であって、宅側装置が接続された局側装置からのDHCP要求を受信して、該DHCP要求に係る宅側装置のIPアドレスを取得すると共に、宅側装置のマックアドレスによらずに宅側装置がリンクアップ可能となる初期立ち上げ用コンフィグファイルがDHCP要求に係る宅側装置に適用されるように、初期立ち上げ用コンフィグファイルを払い出す第1払い出し工程と、第1払い出し工程において取得されたIPアドレスに基づいて、DHCP要求に係る宅側装置のマックアドレス及び該宅側装置が接続される局側装置のサブネットの情報を取得する取得工程と、取得工程において取得されたマックアドレス及びサブネットの情報に基づき、DHCP要求に係る宅側装置に対して通信サービスの提供が可能となる通常サービス用コンフィグファイルを生成する生成工程と、DHCP要求に係る宅側装置に通常サービス用コンフィグファイルが適用されるように通常サービス用コンフィグファイルを払い出す第2払い出し工程と、を含む。
【0010】
本発明の一態様に係る設置方法は、宅側装置の設置方法であって、局側装置に接続され得る複数の宅側装置候補を保管すると共に、各宅側装置候補について、マックアドレスと通信種別とを少なくとも対応付けた宅側装置候補情報をデータベースに登録することと、宅側装置候補の中から選択した一の宅側装置の電源をオンにして、宅側装置を局側装置に接続することにより、管理サーバから初期立ち上げ用コンフィグファイルの払い出しを受け、宅側装置をリンクアップ可能な状態とすることと、管理サーバからの指示に基づき、宅側装置の設定をリセットして、宅側装置を局側装置に再接続することにより、宅側装置候補情報に基づいて管理サーバにおいて生成された宅側装置の通常サービス用コンフィグファイルの払い出しを受け、宅側装置を通常サービスの提供が受けられる状態とすることと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
上記によれば、局側装置(OLT)との対応関係を気にせずに宅側装置(ONU)の設置を可能にし、事業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係るPONシステムの構成図である。
図2図2は、管理サーバの処理イメージの説明図である。
図3図3は、管理サーバの機能ブロック図である。
図4図4は、PONシステムにおける処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態を列記して説明する。本発明の一態様に係るPONシステムは、宅側装置が接続される複数の局側装置と、複数の局側装置を制御する管理サーバと、を備えるPONシステムであって、管理サーバは、複数の局側装置のサブネット毎に設定された、宅側装置のマックアドレスによらずに宅側装置がリンクアップ可能となる初期立ち上げ用コンフィグファイルを記憶するコンフィグ記憶部と、宅側装置が接続された局側装置からのDHCP要求を受信して、該DHCP要求に係る宅側装置のIPアドレスを取得すると共に、該DHCP要求に係る局側装置のサブネットに対応する初期立ち上げ用コンフィグファイルがDHCP要求に係る宅側装置に適用されるように、初期立ち上げ用コンフィグファイルを払い出す第1払い出し部と、第1払い出し部によって取得されたIPアドレスに基づいて、DHCP要求に係る宅側装置のマックアドレス及び該宅側装置が接続される局側装置のサブネットの情報を取得する取得部と、取得部によって取得されたマックアドレス及びサブネットの情報に基づき、DHCP要求に係る宅側装置に対して通信サービスの提供が可能となる通常サービス用コンフィグファイルを生成する生成部と、DHCP要求に係る宅側装置に通常サービス用コンフィグファイルが適用されるように通常サービス用コンフィグファイルを払い出す第2払い出し部と、を備える。
【0014】
本発明の一態様に係るPONシステムでは、局側装置に接続された宅側装置に対して、最初に、初期立ち上げ用コンフィグファイルが適用される。当該初期立ち上げ用コンフィグファイルは、宅側装置のマックアドレスによらずに宅側装置がリンクアップ可能となるコンフィグファイルであり、宅側装置が接続した局側装置のサブネットに対応するコンフィグファイルである。初期立ち上げ用コンフィグファイルによって宅側装置のリンクアップが可能になることから、宅側装置のマックアドレス及び宅側装置が接続される局側装置のサブネットの情報が取得される。そして、当該宅側装置のマックアドレス及び局側装置のサブネットの情報に基づいて、宅側装置に対して通信サービスの提供が可能となる通常サービス用コンフィグファイルが生成されて宅側装置に適用されている。例えば、複数の局側装置毎に宅側装置のVLANを分けて管理したい(サブネットを分けて管理したい)場合においては、コンフィグファイルにおいて予め局側装置と宅側装置との対応関係を規定し、工事担当者は局側装置に対応する正しい宅側装置を選択して現場に設置する必要があり、施工性が悪く事業者の負担が大きくなると考えられる。この点、本発明のPONシステムのように、初期立ち上げ用コンフィグファイルと通常サービス用コンフィグファイルとを段階的に適用する構成においては、まずは初期立ち上げ用コンフィグファイルによって宅側装置をリンクアップ可能な状態として宅側装置のマックアドレス(宅側装置を特定する情報)及び宅側装置が接続される局側装置のサブネットの情報を取得し、その後に、取得した情報に基づき、例えば局側装置(局側装置のサブネット)と宅側装置とを対応付けて、通常サービス用コンフィグファイルを生成・適用することができる。このような構成によれば、局側装置と宅側装置とが対応付けられていない状態で宅側装置が接続された場合であっても、宅側装置に通常サービス用コンフィグファイルが適用されることにより、局側装置毎に宅側装置のVLANを分けて管理することが可能となる。以上のように、本発明の一態様に係るPONシステムによれば、複数の局側装置毎に宅側装置のVLANを分けて管理したいような場合においても、局側装置との対応関係を気にせずに宅側装置の設置を可能にし、事業者の負担を軽減することができる。
【0015】
本発明の一態様に係る管理サーバは、宅側装置が接続される局側装置を制御する管理サーバであって、宅側装置のマックアドレスによらずに宅側装置がリンクアップ可能となる初期立ち上げ用コンフィグファイルを記憶するコンフィグ記憶部と、宅側装置が接続された局側装置からのDHCP要求を受信して、該DHCP要求に係る宅側装置のIPアドレスを取得すると共に、初期立ち上げ用コンフィグファイルがDHCP要求に係る宅側装置に適用されるように、初期立ち上げ用コンフィグファイルを払い出す第1払い出し部と、第1払い出し部によって取得されたIPアドレスに基づいて、DHCP要求に係る宅側装置のマックアドレス及び該宅側装置が接続される局側装置のサブネットの情報を取得する取得部と、取得部によって取得されたマックアドレス及びサブネットの情報に基づき、DHCP要求に係る宅側装置に対して通信サービスの提供が可能となる通常サービス用コンフィグファイルを生成する生成部と、DHCP要求に係る宅側装置に通常サービス用コンフィグファイルが適用されるように通常サービス用コンフィグファイルを払い出す第2払い出し部と、を備える。このような管理サーバによれば、上述したPONシステムと同様に、複数の局側装置毎に宅側装置のVLANを分けて管理したいような場合においても、局側装置との対応関係を気にせずに宅側装置の設置を可能にし、事業者の負担を軽減することができる。
【0016】
上記管理サーバは、局側装置に接続され得る複数の宅側装置候補それぞれについて、マックアドレスと、通信種別とを少なくとも対応付けた宅側装置候補情報を記憶する候補記憶部を更に備え、生成部は、マックアドレスが取得部によって取得されたマックアドレスと一致する宅側装置候補の宅側装置候補情報に、取得部によって取得されたサブネットの情報を加えて、通常サービス用コンフィグファイルを生成してもよい。このように、通常サービス用コンフィグファイルを生成するために必要な情報のうち、宅側装置がリンクアップ可能となる前の状態で把握している情報(宅側装置候補情報)を予め準備しておき、リンクアップ可能となった後に、準備していた情報に取得した情報(サブネットの情報)を加えて通常サービス用コンフィグファイルを生成することにより、確実且つ簡易に通常サービス用コンフィグファイルを生成することができる。
【0017】
生成部は、通常サービス用コンフィグファイルの生成が完了すると、DHCP要求に係る宅側装置に対してコンフィグファイルのリセット指示を出力し、第2払い出し部は、生成部によってリセット指示が出力された後に、通常サービス用コンフィグファイルを払い出してもよい。これにより、初期立ち上げ用コンフィグファイルから通常サービス用コンフィグファイルへの切り替えを確実に行うことができる。
【0018】
本発明の一態様に係る管理方法は、宅側装置が接続される局側装置の管理方法であって、宅側装置が接続された局側装置からのDHCP要求を受信して、該DHCP要求に係る宅側装置のIPアドレスを取得すると共に、宅側装置のマックアドレスによらずに宅側装置がリンクアップ可能となる初期立ち上げ用コンフィグファイルがDHCP要求に係る宅側装置に適用されるように、初期立ち上げ用コンフィグファイルを払い出す第1払い出し工程と、第1払い出し工程において取得されたIPアドレスに基づいて、DHCP要求に係る宅側装置のマックアドレス及び該宅側装置が接続される局側装置のサブネットの情報を取得する取得工程と、取得工程において取得されたマックアドレス及びサブネットの情報に基づき、DHCP要求に係る宅側装置に対して通信サービスの提供が可能となる通常サービス用コンフィグファイルを生成する生成工程と、DHCP要求に係る宅側装置に通常サービス用コンフィグファイルが適用されるように通常サービス用コンフィグファイルを払い出す第2払い出し工程と、を含む。このような管理方法によれば、上述したPONシステム及び管理サーバと同様に、複数の局側装置毎に宅側装置のVLANを分けて管理したいような場合においても、局側装置との対応関係を気にせずに宅側装置の設置を可能にし、事業者の負担を軽減することができる。
【0019】
本発明の一態様に係る設置方法は、宅側装置の設置方法であって、局側装置に接続され得る複数の宅側装置候補を保管すると共に、各宅側装置候補について、マックアドレスと通信種別とを少なくとも対応付けた宅側装置候補情報をデータベースに登録することと、宅側装置候補の中から選択した一の宅側装置の電源をオンにして、宅側装置を局側装置に接続することにより、管理サーバから初期立ち上げ用コンフィグファイルの払い出しを受け、宅側装置をリンクアップ可能な状態とすることと、管理サーバからの指示に基づき、宅側装置の設定をリセットして、宅側装置を局側装置に再接続することにより、宅側装置候補情報に基づいて管理サーバにおいて生成された宅側装置の通常サービス用コンフィグファイルの払い出しを受け、宅側装置を通常サービスの提供が受けられる状態とすることと、を含む。このような設置方法によれば、上述したPONシステム、管理サーバ、及び管理方法と同様に、複数の局側装置毎に宅側装置のVLANを分けて管理したいような場合においても、局側装置との対応関係を気にせずに宅側装置の設置を可能にし、事業者の負担を軽減することができる。
【0020】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係るPONシステムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、説明において、同一要素または同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0021】
図1は、本実施形態に係るPONシステム1のシステム構成図である。PONシステム1は、例えばケーブルテレビ事業者等の事業者により運用されるシステムである。PONシステム1は、FTTHサービスの提供において、光信号を複数に分岐して一心の光ファイバを複数ユーザで共有するネットワークシステムである。図1に示されるように、PONシステム1は、管理サーバ10と、複数のOLT20(局側装置)と、複数のONU30(宅側装置)と、管理サーバ10及び複数のONU30間においてデータの転送処理を行うL3スイッチ100と、を備える。OLT20及び複数のONU30は、FTTHネットワークを介して互いに接続されている。
【0022】
図1に示されるように、管理サーバ10及びL3スイッチは、例えば事業者のセンタ内に設けられている。また、複数のOLT20は、例えば互いに異なるロケーションのサブセンタ(図1中では、サブセンタ1、サブセンタ2、サブセンタ3)に設けられている。例えばG-EPONでは、光伝送路の区間は、パッシブ部品の光カプラ等で分岐して20Km範囲内とされる。このように、サービス区間が距離による制約で決まることから、サービス範囲を広げるべく、本実施形態に係るPONシステム1では、中継地点としてサブセンタを設置している。すなわち、PONシステム1では、複数のサブセンタに局側装置であるOLT20を設置すると共に、センタに管理サーバ10等の管理及び監視に係る装置を設置して、各拠点のOLT20及びONU30を管理している。
【0023】
また、図1に示されるように、本実施形態に係るPONシステム1では、各サブセンタのOLT20毎に配下で使用されるONU30の通信サービスに用いられるVLAN(Virtual LAN)が分けて管理されている。すなわち、PONシステム1では、OLT毎にサブネットが分けられている。図1に示される例では、サブセンタ1のOLT20の配下で使用されるONU30のVLANはVLAN-Aに属しており、サブセンタ2のOLT20の配下で使用されるONU30のVLANはVLAN-Bに属しており、サブセンタ3のOLT20の配下で使用されるONU30のVLANはVLAN-Cに属している。このようなONU30が使用するIPアドレスのサブネットは、管理サーバ10のDHCPサーバに対して予め設定されている。
【0024】
管理サーバ10の詳細について、図2及び図3も参照しながら説明する。図2は、管理サーバ10の処理イメージの説明図である。図3は、管理サーバ10の機能ブロック図である。
【0025】
管理サーバ10は、ONU30が接続される複数のOLT20を制御する装置である。図2に示されるように、管理サーバ10は、例えば、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ、TFTP(Trivial File Transfer Protocol)サーバ、
及びバッチファイル等で構成されたプロビジョニングサーバである。DHCPサーバは、OLT20からDHCP情報要求を受信し、ONU30に設定されるIPアドレスを割り当てるサーバである。TFTPサーバは、OLT20からコンフィグファイル要求を受信し、OLT20に対してコンフィグファイルを転送するサーバである。管理サーバ10は、OLT20の登録及び状態監視(SNMP:Simple Network Management Protocol)、ONU30の登録及び状態確認、ONU30のサービスの管理等を行う。ONU30のサービスとは、使用するVLANの情報、通信帯域、速度、端末台数許可数等の情報である。
【0026】
管理サーバ10は、ONU30に適用(設定)されるコンフィグファイルを管理している。管理サーバ10は、初期立ち上げ用コンフィグファイルと、通常サービス用コンフィグファイルとを管理している。初期立ち上げ用コンフィグファイルとは、複数のOLT20のサブネット毎に設定された、ONU30のマックアドレスによらずにONU30がリンクアップ(OLT20にONU30が認証した状態。以下同様)可能となるコンフィグファイルである。図2の例では、3つあるOLT20のうち一番上に図示されたOLT20のサブネットAの初期立ち上げ用コンフィグファイル(AA.cfg)と、真ん中に図示されたOLT20のサブネットBの初期立ち上げ用コンフィグファイル(BB.cfg)と、一番下に図示されたOLT20のサブネットCの初期立ち上げ用コンフィグファイル(CC.cfg)とがTFTPサーバで管理されている。通常サービス用コンフィグファイルとは、事業者が提供する通信サービスの提供が可能となるコンフィグファイルである。図2の例では、3つあるOLT20のうち一番上のOLT20に接続されたONU-1の通常サービス用コンフィグファイル(ONU-1.cfg)と、真ん中に図示されたOLT20に接続されたONU-2の通常サービス用コンフィグファイル(ONU-2.cfg)と、一番下に図示されたOLT20に接続されたONU-3の通常サービス用コンフィグファイル(ONU-3.cfg)とがTFTPサーバで管理されている。
【0027】
コンフィグファイルの適用は以下のように行われる。すなわち、例えば、図2に示されるONU-1が初めてOLT20に接続された場合には、管理サーバ10によって、ONU-1が接続されたOLT20のサブネットAに対応する初期立ち上げ用コンフィグファイル(AA.cfg)がONU-1に適用されて、ONU-1がリンクアップ可能になる。なお、この状態においては、通常サービス用コンフィグファイルは生成されていない。そして、リンクアップ可能になったONU-1の情報(ONU-1のマックアドレス及びサブネットAの情報等)に基づき、管理サーバ10によってONU-1の通常サービス用コンフィグファイル(ONU-1.cfg)が生成され、該通常サービス用コンフィグファイル(ONU-1.cfg)がONU-1に適用される。このように、最初に初期立ち上げ用コンフィグファイルを適用してONU30がどこのサブネットのOLT20に接続されたかを把握した後に、当該サブネットに応じた通常サービス用コンフィグファイルを生成しONU30に適用することにより、複数のOLT20毎に配下で使用されるONU30のVLAN(Virtual LAN)を分けて管理しながら、ONU30に対して通信サービスを適切に提供することができる。
【0028】
図3に示されるように、管理サーバ10は、その機能として、コンフィグファイルDB(コンフィグ記憶部)11と、待ちリストDB12(候補記憶部)と、第1払い出し部13と、取得部14と、生成部15と、第2払い出し部16と、を備えている。
【0029】
コンフィグファイルDB11は、複数のOLT20のサブネット毎に設定(図2参照)された、ONU30のマックアドレスによらずにONU30がリンクアップ可能となる初期立ち上げ用コンフィグファイルを記憶している。「ONUのマックアドレスによらずにONUがリンクアップ可能となる」とは、どのようなONU30であってもリンクアップ可能となるものであってもよいし、例えば後述する待ちリストDBに規定されたONU30であればどのようなONU30であってもリンクアップ可能となるとなるものであってもよい。初期立ち上げ用コンフィグファイルには、具体的には、上り下りの通信設定、通信が有効になる設定、適当なVLAN情報等の情報が規定されている。コンフィグファイルDB11は、さらに、DHCP要求に係る(すなわち、OLT20に接続を試みた)ONU30に対して通信サービスの提供が可能となる通常サービス用コンフィグファイルを記憶している。コンフィグファイルDB11は、当初は初期立ち上げ用コンフィグファイルのみを記憶しており、その後、初期立ち上げ用コンフィグファイルが適用されてリンクアップ可能となったONU30について、順次、生成部15によって生成された通常サービス用コンフィグファイルを記憶する。
【0030】
待ちリストDB12は、管理サーバ10配下の各OLT20に接続され得る複数のONU30それぞれについての各種情報を対応付けたONU候補情報を記憶している。ONU候補情報は、例えばONU30のマックアドレス(ONU識別情報)と、ONU30がどの機種かを識別するONU種別と、最低限ONU30がオンライン(ONU30が通信可能な状態。以下同様)になるための内部の通信情報(上り及び下りの通信経路を設定する情報)である通信種別と、ONU30に端末を接続するポートの有効化/無効化の情報等である通信ポート情報と、UNI(User-Network Interface)配下に接続する端末の台数である接続端末台数とを対応付けた情報である。生成部15による通常サービス用コンフィグファイルの生成に用いられたONU候補情報(通常サービス用コンフィグファイルが生成されたONU30のONU候補情報)は、待ちリストDB12から削除される。
【0031】
第1払い出し部13は、ONU30が接続されたOLT20からのDHCP要求を受信して、該DHCP要求に係るONU30のIPアドレスを取得すると共に、該DHCP要求に係るOLT20のサブネットに対応する初期立ち上げ用コンフィグファイルがDHCP要求に係るONU30に適用されるように、初期立ち上げ用コンフィグファイルを払い出す。第1払い出し部13は、より詳細には、OLT20からコンフィグファイル要求を受けることにより、上述したDHCP要求に係るOLT20のサブネットを特定すると共に、コンフィグファイルDB11を参照し、特定したサブネットに対応する初期立ち上げ用コンフィグファイルを取得しOLT20に払い出す。
【0032】
取得部14は、第1払い出し部13によって取得されたIPアドレスに基づいて、DHCP要求に係るONU30のマックアドレス及びONU30が接続されるOLT20のサブネットの情報を取得する。具体的には、取得部14は、ONU30のIPアドレスに対して、例えばMIB(Management Information Base)により状態取得のバッチ処理を行い、ONU30がオンラインであることを示すオンライン情報、ONU30のマックアドレス、及びONU30が接続されるOLT20のサブネットの情報を取得する。
【0033】
生成部15は、取得部14によって取得されたONU30のマックアドレス及びサブネットの情報に基づき、DHCP要求に係るONU30に対して通信サービスの提供が可能となる通常サービス用コンフィグファイルを生成する。具体的には、生成部15は、待ちリストDB12を参照し、マックアドレスが取得部14によって取得されたマックアドレスと一致するONU30のONU候補情報に、取得部14によって取得されたサブネットの情報(VLAN情報)を加えて、通常サービス用コンフィグファイル(ONU30にとっての正規のコンフィグファイル)を生成する。生成部15は、生成した通常サービス用コンフィグファイルをコンフィグファイルDB11に格納する。また、生成部15は、通常サービス用コンフィグファイルの生成が完了すると、DHCP要求に係るONU30に対してコンフィグファイルのリセット指示を出力する。これにより、ONU30は、リンクアップのための初期立ち上げ用コンフィグファイルから正規のコンフィグファイルである通常サービス用コンフィグファイルに切り替えることができる。
【0034】
第2払い出し部16は、DHCP要求に係るONU30に通常サービス用コンフィグファイルが適用されるように通常サービス用コンフィグファイルを払い出す。第2払い出し部16は、生成部15によってリセット指示が出力された後に、通常サービス用コンフィグファイルを払い出す。第2払い出し部16は、より詳細には、コンフィグファイル記憶部11を参照することにより生成部15によって生成された通常サービス用コンフィグファイルを特定し、特定した通常サービス用コンフィグファイルをOLT20に払い出す。
【0035】
次に、図4を参照して、本実施形態に係るPONシステム1における処理について説明する。図4は、PONシステム1における処理を示すシーケンス図である。なお、図4は、OLT20の管理方法を示すシーケンス図であると共に、ONU30の設置方法を示すシーケンス図でもある。
【0036】
図4に示される処理が行われる前提として、管理サーバ10配下の各OLT20に接続され得る複数のONU30が在庫として保管されると共に、当該複数のONU30それぞれについて、上述したONU候補情報が待ちリストDB12に登録されている。
【0037】
そして、図4に示されるように、最初に、施工時においてランダムに選択された一のONU30の電源がONされる(ステップS1)。ONU30の電源がONされると、OLT20(詳細にはOLT20におけるEPONに関する機能)は、該ONU30に対してONU認証要求を送信する(ステップS2)。ONU30は、該ONU認証要求を受信すると、OLT20に対してONU認証応答を送信する(ステップS3)。これにより、ONU30の認証(登録)が完了し、OLT20とONU30とが紐づく(接続される)。OLT20のEPONに関する機能は、OLT20における専用のソフトウェア(バーチャルケーブルモデム)に対してONU登録完了通知を送信する(ステップS4)。OLT20は、管理サーバ10に含まれるDHCPサーバに対してDHCP情報要求を送信する(ステップS5)。DHCPサーバは、該DHCP情報要求を受信すると、OLT20に対してDHCP情報応答を送信する(ステップS6)。これにより、OLT20は、DHCPサーバからONU30のIPアドレスを取得する。つづいて、OLT20は、管理サーバ10に含まれるTFTPサーバに対してコンフィグファイル要求を送信し(ステップS7)、TFTPサーバからコンフィグファイルをダウンロードする(ステップS8)。
【0038】
この場合、管理サーバ10において払い出されるコンフィグファイルは、コンフィグファイル要求を送信したOLT20のサブネットに対応する初期立ち上げ用コンフィグファイルである。OLT20は、ONU30に対してONU30のIPアドレスを送信しONU設定を行う(ステップS9)。これにより、ONU30のIPアドレスとMACアドレスとが紐づけて設定されると共に、ONU30がリンクアップ可能となり、ONU30においてオンラインデータ通信が可能になる(ステップS10)。
【0039】
つづいて、管理サーバ10は、ONU30のIPアドレスに対して、例えばMIB(ManagementInformation Base)により状態取得のバッチ処理を行い(ステップS11)、ONU30がオンラインであることを示すオンライン情報、ONU30のマックアドレス、及びONU30が接続されるOLT20のサブネットの情報(VLAN情報)を取得する(ステップS12)。
【0040】
つづいて、管理サーバ10は、待ちリストDB12を参照し、マックアドレスが取得部14によって取得されたマックアドレスと一致するONU30のONU候補情報に、取得部14によって取得されたサブネットの情報(VLAN情報)を加えて、通常サービス用コンフィグファイル(ONU30にとっての正規のコンフィグファイル)を生成する(ステップS13)。そして、管理サーバ10は、DHCP要求に係るONU30に対してコンフィグファイルのリセット指示を出力する(ステップS14)。ONU30は、当該リセット指示に基づきONU30コンフィグファイルのリセットを行う(ステップS15)。具体的には、上述したステップS2~ステップS9の処理が再度実行され、初期立ち上げ用コンフィグファイルではなく通常サービス用コンフィグファイルがONU30に適用されることにより、ONU30に対する通信サービスの提供が開始される(ステップS16)。すなわち、管理サーバ10からの指示に基づき、ONU30の設定がリセットされ、ONU30がOLT20に再接続され、ONU候補情報に基づいて管理サーバ10において生成されたONU30の通常サービス用コンフィグファイルの払い出しを受け、ONU30を通常サービスの提供が受けられる状態とする。
【0041】
次に、本実施形態に係るPONシステム1及び管理サーバ10の作用効果について説明する。
【0042】
本実施形態に係るPONシステム1は、ONU30が接続される複数のOLT20と、複数のOLT20を制御する管理サーバ10と、を備えるPONシステムであって、管理サーバ10は、複数のOLT20のサブネット毎に設定された、ONU30のマックアドレスによらずにONU30がリンクアップ可能となる初期立ち上げ用コンフィグファイルを記憶するコンフィグファイルDB11と、ONU30が接続されたOLT20からのDHCP要求を受信して、該DHCP要求に係るONU30のIPアドレスを取得すると共に、該DHCP要求に係るOLT20のサブネットに対応する初期立ち上げ用コンフィグファイルがDHCP要求に係るONU30に適用されるように、初期立ち上げ用コンフィグファイルを払い出す第1払い出し部13と、第1払い出し部13によって取得されたIPアドレスに基づいて、DHCP要求に係るONU30のマックアドレス及び該ONU30が接続されるOLT20のサブネットの情報を取得する取得部14と、取得部14によって取得されたマックアドレス及びサブネットの情報に基づき、DHCP要求に係るONU30に対して通信サービスの提供が可能となる通常サービス用コンフィグファイルを生成する生成部15と、DHCP要求に係るONU30に通常サービス用コンフィグファイルが適用されるように通常サービス用コンフィグファイルを払い出す第2払い出し部16と、を備える。
【0043】
本実施形態に係るPONシステム1では、OLT20に接続されたONU30に対して、最初に、初期立ち上げ用コンフィグファイルが適用される。当該初期立ち上げ用コンフィグファイルは、ONU30のマックアドレスによらずにONU30がリンクアップ可能となるコンフィグファイルであり、ONU30が接続したOLT20のサブネットに対応するコンフィグファイルである。初期立ち上げ用コンフィグファイルによってONU30のリンクアップが可能になることから、ONU30のマックアドレス及びONU30が接続されるOLT20のサブネットの情報が取得される。そして、当該ONU30のマックアドレス及びOLT20のサブネットの情報に基づいて、ONU30に対して通信サービスの提供が可能となる通常サービス用コンフィグファイルが生成されてONU30に適用されている。複数のOLT毎にONUのVLANを分けて管理したい(サブネットを分けて管理したい)場合においては、コンフィグファイルにおいて予めOLTとONUとの対応関係を規定し、工事担当者はOLTに対応する正しいONUを選択して現場に設置する必要があり、施工性が悪く事業者の負担が大きくなると考えられる。この点、本実施形態のPONシステム1のように、初期立ち上げ用コンフィグファイルと通常サービス用コンフィグファイルとを段階的に適用する構成においては、まずは初期立ち上げ用コンフィグファイルによってONU30をリンクアップ可能な状態としてONU30のマックアドレス(ONU30を特定する情報)及びONU30が接続されるOLT20のサブネットの情報を取得し、その後に、取得した情報に基づき、例えばOLT20(OLT20のサブネット)とONU30とを対応付けて、通常サービス用コンフィグファイルを生成・適用することができる。このような構成によれば、OLT20とONU30とが対応付けられていない状態でONU30が接続された場合であっても、ONU30に通常サービス用コンフィグファイルが適用されることにより、OLT20毎にONU30のVLANを分けて管理することが可能となる。以上のように、本実施形態に係るPONシステム1によれば、複数のOLT20毎にONU30のVLANを分けて管理したいような場合においても、OLT20との対応関係を気にせずにONU30の設置を可能にし、事業者の負担を軽減することができる。また、本実施形態に係るPONシステム1によれば、間違えてONU30を設置してオンラインにならないという事態を回避することができる。
【0044】
上記管理サーバ10は、OLT20に接続され得る複数のONU30それぞれについて、マックアドレスと、通信種別とを少なくとも対応付けたONU候補情報を記憶する待ちリストDB12を更に備え、生成部15は、マックアドレスが取得部14によって取得されたマックアドレスと一致するONU30のONU候補情報に、取得部14によって取得されたサブネットの情報を加えて、通常サービス用コンフィグファイルを生成する。このように、通常サービス用コンフィグファイルを生成するために必要な情報のうち、ONU30がリンクアップ可能となる前の状態で把握している情報(ONU候補情報)を予め準備しておき、リンクアップ可能となった後に、準備していた情報に取得した情報(サブネットの情報)を加えて通常サービス用コンフィグファイルを生成することにより、確実且つ簡易に通常サービス用コンフィグファイルを生成することができる。
【0045】
生成部15は、通常サービス用コンフィグファイルの生成が完了すると、DHCP要求に係るONU30に対してコンフィグファイルのリセット指示を出力し、第2払い出し部16は、生成部15によってリセット指示が出力された後に、通常サービス用コンフィグファイルを払い出してもよい。これにより、初期立ち上げ用コンフィグファイルから通常サービス用コンフィグファイルへの切り替えを確実に行うことができる。
【0046】
以上、本実施形態に係るPONシステムについて説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変形を適用することができる。また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0047】
1…PONシステム、10…管理サーバ、11…コンフィグファイルDB(コンフィグ記憶部)、12…待ちリストDB(候補記憶部)、13…第1払い出し部、14…取得部、15…生成部、16…第2払い出し部、20…OLT(局側装置)、30…ONU(宅側装置)。
図1
図2
図3
図4