(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】蓄電素子
(51)【国際特許分類】
H01M 50/15 20210101AFI20230322BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20230322BHJP
H01M 50/169 20210101ALI20230322BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20230322BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20230322BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20230322BHJP
H01G 11/14 20130101ALI20230322BHJP
【FI】
H01M50/15
H01M50/103
H01M50/169
H01M50/342 101
H01M50/55 101
H01G11/78
H01G11/14
(21)【出願番号】P 2019559541
(86)(22)【出願日】2018-11-29
(86)【国際出願番号】 JP2018044032
(87)【国際公開番号】W WO2019116914
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】P 2017237584
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】前田 憲利
(72)【発明者】
【氏名】上林 広和
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-179793(JP,A)
【文献】特開2002-367583(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0227564(US,A1)
【文献】特開2014-160617(JP,A)
【文献】国際公開第2010/146700(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/021939(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/033906(WO,A1)
【文献】特開2015-133300(JP,A)
【文献】特開2014-041770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 50/30-50/392
H01G 11/78
H01G 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と延設方向に
最も長く延設される蓋体とを有する容器と、前記蓋体から突出方向に突出し前記蓋体に固定される電極端子とを備える蓄電素子であって、
前記容器の、前記電極端子が配置される前記突出方向側の外面には、前記容器本体と前記蓋体との接合部が形成されており、
前記蓋体は、
前記延設方向及び前記突出方向と直交する方向である直交方向における前記電極端子と前記接合部との間には配置されることなく、前記接合部と隣り合う位置に前記接合部に沿って配置された凹部を有
し、
前記凹部は、前記蓋体の外面に形成されており、
前記蓋体の内面には、前記凹部に沿って延びる突起が形成されている
蓄電素子。
【請求項2】
前記蓋体は、ガス排出弁を有し、
前記蓄電素子は、前記延設方向に並ぶ一対の前記電極端子を有し、
前記凹部は、前記直交方向における前記ガス排出弁と前記接合部との間には配置されることなく、前記一対の前記電極端子の間の領域において前記接合部に沿って延設されて配置される
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
容器本体と延設方向に
最も長く延設される蓋体とを有する容器と、前記蓋体から突出方向に突出し前記蓋体に固定される電極端子とを備える蓄電素子であって、
前記容器の、前記電極端子が配置される前記突出方向側の外面には、前記容器本体と前記蓋体との接合部が形成されており、
前記蓋体は、
前記延設方向及び前記突出方向と直交する方向である直交方向における前記電極端子と前記接合部との間には配置されることなく、前記接合部と隣り合う位置に前記接合部に沿って配置された凹部を有
し、
前記蓋体は、ガス排出弁を有し、
前記蓄電素子は、前記延設方向に並ぶ一対の前記電極端子を有し、
前記凹部は、前記直交方向における前記ガス排出弁と前記接合部との間には配置されることなく、前記一対の前記電極端子の間の領域において前記接合部に沿って延設されて配置される
蓄電素子。
【請求項4】
前記蓋体は、ガス排出弁を有し、
前記凹部は、前記凹部の延設方向から見て、前記ガス排出弁と重ならない位置に配置される
請求項1
~3のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記凹部は、前記接合部に沿って延びる溝部によって形成される
請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項6】
前記凹部は、前記蓋体の外面の法線方向から見て、前記容器の内部空間と重なる位置に配置されている
請求項1~5のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体と蓋体とを有する容器を備える蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器本体と蓋体とを有する容器を備え、容器本体に蓋体が接合された蓄電素子が広く知られている。例えば、特許文献1には、容器本体(電池缶)に蓋体(電池蓋)が溶接されて蓋体の外周端に全周に亘って溶接部が形成され、容器本体の開口部を蓋体が封止する構成の蓄電素子(角形二次電池)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の蓄電素子では、蓄電素子を精度良く構成できない場合がある。
【0005】
本発明は、精度良く構成できる蓄電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る蓄電素子は、容器本体と蓋体とを有する容器と、前記蓋体に固定される電極端子とを備える蓄電素子であって、前記容器の前記電極端子側の面には、前記容器本体と前記蓋体との接合部が形成されており、前記蓋体は、前記電極端子と前記接合部との間には配置されることなく、前記接合部と隣り合う位置に前記接合部に沿って配置された凹部を有する。
【0007】
本発明は、蓄電素子として実現できるだけでなく、当該蓄電素子が備える、容器、または、容器の蓋体としても実現できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明における蓄電素子によれば、精度良く構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る蓄電素子の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る蓄電素子が備える各構成要素を分解して示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る蓋体の構成を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る蓋体を容器本体に接合した場合の構成を示す平面図及び断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態の変形例1に係る蓋体を容器本体に接合した場合の構成を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態の変形例2に係る蓋体を容器本体に接合した場合の構成を示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態の変形例3に係る蓋体を容器本体に接合した場合の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明者は、容器本体に蓋体を接合する際に、蓋体の外周の一辺目を容器本体に接合すると、蓋体の当該一辺目に対向する二辺目と容器本体との間にずれが生じてしまう場合があることを見出した。例えば、上記特許文献1に記載の蓄電素子のように容器本体に蓋体を溶接によって接合する場合、蓋体の外周の一辺目を容器本体に溶接すると、溶接箇所の凝固による収縮作用で、蓋体の当該一辺目に対向する二辺目が浮き上がってしまう場合がある。その他の接合方法によっても、蓋体の当該二辺目と容器本体との間にずれが生じてしまう場合がある。このような場合には、蓋体の当該二辺目を容器本体に精度良く接合できなかったり、蓋体が傾いたまま固定されてしまって蓋体の平面度を確保できなかったりするおそれがある。このように、上記従来の蓄電素子では、蓄電素子を精度良く構成できない場合がある。
【0011】
本発明の一態様に係る蓄電素子は、容器本体と蓋体とを有する容器と、前記蓋体に固定される電極端子とを備える蓄電素子であって、前記容器の前記電極端子側の面には、前記容器本体と前記蓋体との接合部が形成されており、前記蓋体は、前記電極端子と前記接合部との間には配置されることなく、前記接合部と隣り合う位置に前記接合部に沿って配置された凹部を有する。
【0012】
これによれば、蓄電素子において、容器の電極端子側の面には、容器本体と蓋体との接合部が形成されており、蓋体は、電極端子と接合部との間には配置されることなく、接合部と隣り合う位置に接合部に沿って配置された凹部を有している。このように、蓋体の接合部近傍に接合部に沿った凹部が形成されているため、蓋体の一辺目を容器本体に接合した際に蓋体が傾いても、接合部に沿った凹部が蓋体の傾きを吸収し、蓋体が傾くのを抑制できる。一方、蓋体の、電極端子が配置される位置の側方(電極端子と接合部との間)に凹部を形成すると、凹部の加工時に蓋体に力が加わり、蓋体の電極端子が配置される面の平面度が確保できなくなるおそれがある。このため、凹部を、電極端子の側方(電極端子と接合部との間)には形成しないことで、蓋体の電極端子が配置される面の平面度を確保できる。これらにより、精度良く蓄電素子を構成できる。
【0013】
前記蓋体は、さらに、ガス排出弁を有し、前記凹部は、前記凹部の延設方向から見て、前記ガス排出弁と重ならない位置に配置されてもよい。
【0014】
これによれば、蓋体に形成された凹部は、当該凹部の延設方向から見て、ガス排出弁と重ならない位置に配置されている。凹部を、当該凹部の延設方向から見てガス排出弁と重なる位置(凹部を延伸するとガス排出弁と交差する位置)に配置すると、ガス排出弁の開口圧(作動圧)に影響を及ぼすおそれがある。このため、凹部を、当該延設方向から見てガス排出弁と重ならない位置に配置することで、凹部がガス排出弁の開口圧に影響を及ぼすのを抑制できる。これにより、精度良く蓄電素子を構成できる。
【0015】
前記凹部は、前記ガス排出弁と前記接合部との間とは異なる位置に配置されてもよい。
【0016】
これによれば、蓋体に形成された凹部は、ガス排出弁と接合部との間とは異なる位置に配置されている。ガス排出弁は、一般的に、蓋体の厚みを薄くして形成するため、ガス排出弁の側方(ガス排出弁と接合部との間)に凹部を形成すると、ガス排出弁の加工精度に影響を及ぼすおそれがある。このため、凹部を、ガス排出弁の側方には形成しないことで、ガス排出弁の加工精度を確保できる。これにより、精度良く蓄電素子を構成できる。
【0017】
前記凹部は、前記蓋体の外面に形成されており、前記蓋体の内面には、前記凹部に沿って延びる突起が形成されていてもよい。
【0018】
これによれば、蓋体に形成された凹部は、蓋体の外面に形成されており、蓋体の内面には、当該凹部に沿って延びる突起が形成されている。例えば、蓋体の外面を凹ませて凹部を形成する際に、蓋体の内面を突出させて凹部に沿った突起を形成できる。これにより、この突起を蓋体と容器本体との位置決めに用いることで、蓋体を容器本体に位置決めしてから接合できるため、精度良く蓄電素子を構成できる。
【0019】
前記凹部は、前記接合部に沿って延びる溝部によって形成されてもよい。
【0020】
これによれば、蓋体に形成された凹部は、接合部に沿って延びる溝部によって形成されている。このように、蓋体に、接合部に沿って延びる溝部を加工することで、容易に、凹部を形成できる。これにより、容易に、精度良く蓄電素子を構成できる。
【0021】
前記凹部は、前記蓋体の外面の法線方向から見て、前記容器の内部空間と重なる位置に配置されていてもよい。
【0022】
これによれば、蓋体に形成された凹部は、蓋体の外面の法線方向から見て、容器の内部空間と重なる位置に配置されている。このように、凹部が容器の内部空間と重なる位置に配置されていることで、容器本体と蓋体との接合時に、凹部によって蓋体の傾きを吸収しやすくできる。これにより、精度良く蓄電素子を構成できる。
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(及びその変形例)に係る蓄電素子について説明する。以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0024】
以下実施の形態での説明及び図面中において、蓄電素子が有する一対の電極端子(正極端子及び負極端子)の並び方向、一対の集電体(正極集電体及び負極集電体)の並び方向、容器の短側面の対向方向、または、容器の蓋体の延設方向(長手方向)をX軸方向と定義する。容器の長側面の対向方向、容器の短側面の短手方向、容器の蓋体の短手方向、または、容器の厚さ方向をY軸方向と定義する。蓄電素子の容器本体と蓋体との並び方向、蓋体の厚さ方向、容器の短側面の長手方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。
【0025】
(実施の形態)
[1 蓄電素子10の全般的な説明]
まず、
図1及び
図2を用いて、本実施の形態における蓄電素子10の全般的な説明を行う。
図1は、本実施の形態に係る蓄電素子10の外観を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る蓄電素子10が備える各構成要素を分解して示す分解斜視図である。
【0026】
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電できる二次電池であり、具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子10は、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)もしくはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車用電源、電子機器用電源、または、電力貯蔵用電源などに使用される。蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子10は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。蓄電素子10は、固体電解質を用いた電池であってもよい。本実施の形態では、直方体形状(角形)の蓄電素子10を図示しているが、蓄電素子10の形状は、直方体形状には限定されず、円柱形状または長円柱形状等であってもよいし、ラミネート型の蓄電素子とすることもできる。
【0027】
図1に示すように、蓄電素子10は、蓋体110と容器本体120とを有する容器100と、正極端子200と、負極端子300とを備えている。
図2に示すように、容器100内方には、電極体400と、正極集電体500と、負極集電体600とが収容されている。
【0028】
蓋体110と正極端子200との間、及び蓋体110と正極集電体500との間には、絶縁性及び気密性を高めるためにガスケット等が配置されているが、同図ではこれらを省略して図示している。負極側についても、同様である。容器100の内部には、電解液(非水電解質)が封入されているが、図示は省略する。当該電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択できる。上記の構成要素の他、正極集電体500及び負極集電体600の側方に配置されるスペーサ、容器100内に電解液を注入するための注液部、または、電極体400等を包み込む絶縁フィルムなどが配置されていてもよい。
【0029】
容器100は、開口が形成された容器本体120と、容器本体120の開口を閉塞する蓋体110とを有する直方体形状(角形)のケースである。容器本体120は、容器100の本体部を構成する矩形筒状で底を備える部材であり、Y軸方向両側の側面に2つの平板状かつ矩形状の長側面部、X軸方向両側の側面に2つの平板状かつ矩形状の短側面部、並びに、Z軸方向マイナス側に平板状かつ矩形状の底面部を有している。蓋体110は、容器100の蓋部を構成するX軸方向に延設された平板状かつ矩形状の部材であり、容器本体120のZ軸方向プラス側に配置されている。
【0030】
具体的には、容器100は、電極体400等を容器本体120の内方に収容後、容器本体120と蓋体110とが溶接等によって接合されて接合部130が形成されることにより、内部が密封される構造となっている。つまり、容器100の側面(X軸方向両側及びY軸方向両側の面)には、容器本体120と蓋体110とが互いに接合された接合部130が形成されている。容器100(容器本体120及び蓋体110)の材質は、特に限定されないが、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能(接合可能)な金属であるのが好ましい。蓋体110と容器本体120とは、同じ材質で形成されているのが好ましいが、異なる材質で形成されていてもかまわない。
【0031】
蓋体110には、中央部分にガス排出弁110a、X軸方向プラス側の端部に開口部110b、及び、X軸方向マイナス側の端部に開口部110cが設けられている。ガス排出弁110aは、容器100の内部の圧力が上昇した場合に、容器100の内部の圧力を開放する部位(安全弁)である。つまり、ガス排出弁110aは、薄肉部を有しており、容器100の内部の圧力が所定の開口圧になった場合に当該薄肉部が破れて開口することで、容器100の内部の圧力が開放される。開口部110b及び110cは、正極端子200及び負極端子300を蓋体110に取り付けるための円形状の貫通孔である。この蓋体110の構成のさらに詳細な説明については、後述する。
【0032】
電極体400は、正極板と負極板とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる蓄電要素(発電要素)である。正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる長尺帯状の集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成された極板である。負極板は、銅または銅合金などからなる長尺帯状の集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成された極板である。セパレータは、樹脂等からなる微多孔性のシートである。電極体400は、正極板と負極板との間にセパレータが配置され巻回されて形成されている。
【0033】
本実施の形態では、電極体400の断面形状として長円形状を図示しているが、楕円形状、円形状、多角形状などでもよい。電極体400は、
図2のようにX軸方向を巻回軸として巻回した形状であってもよいし、Z軸方向を巻回軸として巻回した形状であってもよいし、巻回型ではなく、平板状極板を積層した積層型、または、極板を蛇腹状に折り畳んだ蛇腹型の形状等を有していてもよい。
【0034】
正極端子200は、電極体400の正極板に電気的に接続された電極端子であり、負極端子300は、電極体400の負極板に電気的に接続された電極端子である。つまり、正極端子200及び負極端子300は、電極体400に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、電極体400に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。正極端子200及び負極端子300は、電極体400の上方に配置された蓋体110に取り付けられている。
【0035】
具体的には、
図2に示すように、正極端子200は、軸部210を有しており、軸部210が蓋体110の開口部110bと正極集電体500の開口部510とに挿入されて、かしめられることにより、正極集電体500とともに蓋体110に固定される。同様に、負極端子300は、軸部310を有しており、軸部310が蓋体110の開口部110cと負極集電体600の開口部610とに挿入されて、かしめられることにより、負極集電体600とともに蓋体110に固定される。つまり、正極端子200及び負極端子300は、蓋体110を貫通した状態で蓋体110に固定される。
図2では、軸部210及び軸部310は、かしめられる前の形状が図示されている。
【0036】
正極集電体500及び負極集電体600は、電極体400と容器100の側面との間に配置され、正極端子200及び負極端子300と、電極体400の正極板及び負極板とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。正極集電体500の材質は限定されないが、電極体400の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。負極集電体600についても、材質は限定されないが、電極体400の負極基材層と同様、銅または銅合金などで形成されている。
【0037】
[2 蓋体110の構成の詳細な説明]
次に、蓋体110の構成について、詳細に説明する。
図3は、本実施の形態に係る蓋体110の構成を示す斜視図である。具体的には、
図3の(a)は、
図2における蓋体110の構成を拡大して示す斜視図であり、
図3の(b)は、
図2における蓋体110の裏面側(Z軸方向マイナス側の面)の構成を拡大して示す斜視図である。
図4は、本実施の形態に係る蓋体110を容器本体120に接合した場合の構成を示す平面図及び断面図である。具体的には、
図4の(a)は、
図1における蓄電素子10をZ軸方向プラス側から見た場合の構成を示す平面図であり、
図4の(b)は、
図4の(a)における蓋体110及び容器本体120をIVb-IVb断面で切断した場合の構成を示す断面図である。
【0038】
これらの図に示すように、蓋体110は、上述のガス排出弁110aと開口部110b及び110cとに加えて、膨出部110d及び110eと、外周部110fと、凹部111~118と、突起111a~118aとを有している。
【0039】
[2.1 凹部111~118及び突起111a~118a以外の構成の説明]
ガス排出弁110aは、上述したように、蓋体110の中央位置(X軸方向の中央位置かつY軸方向の中央位置)に配置されている。本実施の形態では、ガス排出弁110aは、蓋体110に一体的に形成されている。つまり、板材をプレス加工等することによって、ガス排出弁110aが形成された蓋体110を製造できている。このため、ガス排出弁110aは、蓋体110と同じ材質で形成されている。ガス排出弁110aは、蓋体110とは元々は別体で構成されたものであってもよい。例えば、蓋体110の中央位置に開口部が形成され、当該開口部にガス排出弁110aが嵌め込まれて、溶接などによって蓋体110と接合されることで、蓋体110の中央位置に配置されてもよい。この場合、ガス排出弁110aの材質は、特に限定されないが、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、銅、銅合金、ステンレス鋼、メッキ鋼板、メッキ銅、クラッド材(Fe-Ni、Ni-Cu、Al-Ni)などによって形成できる。
【0040】
膨出部110d及び110eは、X軸方向においてガス排出弁110aを挟む位置に配置された上面視(Z軸方向から見て)矩形状の部位であり、蓋体110の外面が凹み、かつ、蓋体110の内面が突出した形状を有している。具体的には、膨出部110dは、ガス排出弁110aのX軸方向プラス側の側方に配置され、ガス排出弁110aの当該側方を覆うように、Y軸方向に延設されて配置されている。膨出部110eは、ガス排出弁110aのX軸方向マイナス側の側方に配置され、ガス排出弁110aの当該側方を覆うように、Y軸方向に延設されて配置されている。このような構成により、膨出部110d及び110eは、ガス排出弁110aの側方の強度を補強して、ガス排出弁110aの開口圧の安定化を図っている。
【0041】
開口部110b及び110cは、上述の通り、正極端子200及び負極端子300が取り付けられる貫通孔である。つまり、開口部110bの周囲の矩形状の端子取付領域R1に、正極端子200が取り付けられ、開口部110cの周囲の矩形状の端子取付領域R2に、負極端子300が取り付けられる。
【0042】
外周部110fは、蓋体110の外周部分に形成された段差状の部位である。具体的には、外周部110fは、蓋体110の外周部分の全周に亘って形成された環状の部位であり、内面が凹むことで薄肉部となっている。この外周部110fは、蓋体110が容器本体120に載置された際に、容器本体120に当接する部位である。つまり、
図4に示すように、蓋体110と容器本体120との接合において、この外周部110fと容器本体120とが接合されることで、接合部130が形成される。
【0043】
[2.2 凹部111~118の構成の説明]
凹部111~118は、蓋体110の外面(Z軸方向プラス側の面)に形成された凹部(当該外面が凹んだ凹部)であり、外周部110fと隣り合う位置に、外周部110fに沿って延設されて配置されている。具体的には、凹部111~118は、外周部110fに沿って延びる溝部によって形成されている。本実施の形態では、凹部111~118は、断面(YZ平面で切断した場合の断面)が矩形状を有しているが、凹部111~118の断面形状は、三角形状、台形状、その他の多角形状、半円形状、半楕円形状、半長円形状等であってもよく、特に限定されない。
【0044】
上述の通り、外周部110fには、容器本体120と蓋体110との接合部130が形成されている。つまり、
図4の(b)に示すように、例えば、容器100の側方からレーザ光が照射されるなどにより、容器100の側面に、容器本体120と外周部110fとが溶接された接合部130が形成されている。このため、凹部111~118は、接合部130と隣り合う位置に、接合部130に沿って配置されている。凹部111~118は、接合部130に沿って延びる溝部によって形成されている。つまり、凹部111、113、115及び117は、蓋体110のY軸方向プラス側の外周部110fに形成された接合部130に沿って延設された溝部であり、凹部112、114、116及び118は、蓋体110のY軸方向マイナス側の外周部110fに形成された接合部130に沿って延設された溝部である。
【0045】
図3に示すように、凹部111~118は、凹部111~118の延設方向(本実施の形態では、X軸方向)から見て、端子取付領域R1及びR2と重ならない位置に配置されている。端子取付領域R1及びR2は、正極端子200及び負極端子300が取り付けられる領域である。このため、
図4に示すように、凹部111~118は、凹部111~118の延設方向(X軸方向)から見て、電極端子(正極端子200及び負極端子300)と重ならない位置に配置されている。例えば、凹部111及び112は、X軸方向プラス側に延長した場合でも、正極端子200(及び端子取付領域R1)と交差しない位置に配置されている。凹部113及び114は、X軸方向マイナス側に延長した場合でも、負極端子300(及び端子取付領域R2)と交差しない位置に配置されている。
【0046】
凹部111~118は、凹部111~118の延設方向(本実施の形態では、X軸方向)から見て、ガス排出弁110a、並びに、膨出部110d及び110eと重ならない位置に配置されている。例えば、凹部115及び116は、X軸方向マイナス側に延長した場合でも、ガス排出弁110aと交差しない位置に配置されており、凹部117及び118は、X軸方向プラス側に延長した場合でも、ガス排出弁110aと交差しない位置に配置されている。凹部111及び112は、X軸方向マイナス側に延長した場合でも、膨出部110dと交差しない位置に配置されており、凹部115及び116は、X軸方向プラス側に延長した場合でも、膨出部110dと交差しない位置に配置されている。膨出部110e側についても同様である。
【0047】
さらに、
図3に示すように、凹部111~118は、端子取付領域R1及びR2と外周部110fとの間とは異なる位置に配置されている。このため、
図4に示すように、凹部111~118は、電極端子(正極端子200及び負極端子300)と接合部130との間には配置されることなく、電極端子と接合部130との間とは異なる位置に配置されている。例えば、凹部111は、正極端子200(及び端子取付領域R1)とY軸方向プラス側の接合部130(及び外周部110f)との間までは延設されていない。凹部112は、正極端子200(及び端子取付領域R1)とY軸方向マイナス側の接合部130(及び外周部110f)との間までは延設されていない。負極端子300側についても同様である。
【0048】
図3に示すように、凹部111~118は、ガス排出弁110a、並びに、膨出部110d及び110eと外周部110fとの間とは異なる位置に配置されている。このため、
図4に示すように、凹部111~118は、ガス排出弁110a、並びに、膨出部110d及び110eと接合部130との間とは異なる位置に配置されている。例えば、凹部115は、ガス排出弁110aとY軸方向プラス側の接合部130(及び外周部110f)との間までは延設されておらず、凹部116は、ガス排出弁110aとY軸方向マイナス側の接合部130(及び外周部110f)との間までは延設されていない。凹部117及び118についても同様である。凹部111及び115は、膨出部110dとY軸方向プラス側の接合部130(及び外周部110f)との間までは延設されておらず、凹部112及び116は、膨出部110dとY軸方向マイナス側の接合部130(及び外周部110f)との間までは延設されていない。膨出部110e側についても同様である。
【0049】
図4に示すように、凹部111~118は、蓋体110の外面の法線方向から見て、容器100の内部空間と重なる位置に配置されている。つまり、凹部111~118は、電極体400等が収容されている容器本体120の内方の空間(
図4の(b)に示す内部空間S)の直上に配置されることにより、Z軸方向から見て、当該内部空間Sと重なる位置に配置されている。
【0050】
本実施の形態では、凹部111~118は、蓋体110のX軸方向及びY軸方向のそれぞれにおける中心線に対して線対称、かつ、蓋体110の中心位置に対して点対称の位置に配置されているが、凹部111~118の配置位置及び形状等は、上記を満たすものであれば特に限定されない。例えば、凹部111または112が、X軸方向プラス側にもう少し移動または延設されていてもよいし、X軸方向に並ぶ複数の溝部から構成されていてもよいし、Y軸方向にもう少し広がっていてもよいし、X軸方向に対して少し傾斜していてもよい。凹部115、116等が設けられていなくてもよい。膨出部110dが設けられておらず、凹部111と凹部115とが一体化されていてもよい。その他の凹部についても同様である。
【0051】
[2.3 突起111a~118aの構成の説明]
突起111a~118aは、蓋体110の内面(Z軸方向マイナス側の面)に形成された突起(当該内面から突出した突出部)であり、凹部111~118に沿って延設されて配置されている。具体的には、突起111a~118aは、凹部111~118のそれぞれと同じ長さを有しており、かつ、凹部111~118のそれぞれと対向して配置されている。これにより、蓋体110に凹部111~118が形成されていても、厚みが薄くなるのを抑制できている。
【0052】
つまり、突起111a~118aは、外周部110fと隣り合う位置に外周部110fに沿って配置され、容器本体120の上端部に内面から当接する。例えば、突起111aは、Y軸方向において凹部111と同じ位置(凹部111の裏側)に、外周部110fに沿って配置され、容器本体120のY軸方向プラス側の上端部の内面に、Y軸方向マイナス側から当接する。突起112aは、Y軸方向において凹部112と同じ位置(凹部112の裏側)に、外周部110fに沿って配置され、容器本体120のY軸方向マイナス側の上端部の内面に、Y軸方向プラス側から当接する。他の突起についても同様である。
【0053】
このような突起111a~118aは、蓋体110に凹部111~118を形成する際に、形成できる。例えば、プレス加工によって蓋体110の外面を凹ませて凹部111~118を形成する際に、蓋体110の内面の凹部111~118に対向する位置が盛り上がってくるため、これを突起111a~118aの形状に形成する。突起111a~118aを形成する方法は、上記には限定されず、どのような加工を行って形成してもよい。
【0054】
突起111a~118aの配置位置及び形状等も、特に限定されない。例えば、突起111aまたは112aが、X軸方向プラス側にもう少し移動または延設されていてもよいし、X軸方向に並ぶ複数の突起から構成されていてもよいし、Y軸方向にもう少し広がっていてもよいし、X軸方向に対して少し傾斜していてもよい。突起115a、116a等が設けられていなくてもよい。突起111aと突起115aとが一体化されていてもよい。その他の突起についても同様である。本実施の形態では、突起111a~118aは、断面(YZ平面で切断した場合の断面)が矩形状を有しているが、突起111a~118aの断面形状は、三角形状、台形状、その他の多角形状、半円形状、半楕円形状、半長円形状等であってもよく、特に限定されない。
【0055】
[3 効果の説明]
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10によれば、容器100には、容器本体120と蓋体110との接合部130が形成されており、蓋体110は、電極端子(正極端子200及び負極端子300)と接合部130との間には配置されることなく、接合部130と隣り合う位置に接合部130に沿って配置された凹部111~118を有している。
【0056】
このように、蓋体110の接合部130近傍に接合部130に沿った凹部111~118が形成されているため、蓋体110の一辺目を容器本体120に接合した際に蓋体110が傾いても、接合部130に沿った凹部111~118が蓋体110の傾きを吸収し、蓋体110が傾くのを抑制できる。特に、容器本体120に蓋体110を溶接によって接合する場合、接合箇所が融けて収縮することで、蓋体110が容器本体120に対して傾くため、凹部111~118を形成することによる効果が高い。接合後においては、容器100の内圧の変化によって容器100が膨張及び収縮を繰り返しても、凹部111~118が、容器100の膨張及び収縮による力を吸収できる。容器100の内圧が上昇した際に、蓋体110に加えられた応力が、凹部111~118によって、接合部130へ直接的に伝わるのを緩和できる。
【0057】
一方、蓋体110の、電極端子が配置される位置の側方(電極端子と接合部130との間)に凹部を形成すると、凹部の加工時に蓋体110に力が加わり、蓋体110の電極端子が配置される面の平面度が確保できなくなるおそれがある。このため、凹部111~118を、電極端子の側方(電極端子と接合部130との間)には形成しないことで、蓋体110の電極端子が配置される面の平面度を確保できる。蓋体110に電極端子が固定されると、電極端子の側方に凹部111~118を形成しなくても、蓋体110の電極端子が固定された部分は、撓んだり膨張及び収縮したりするのが抑制される。これらにより、精度良く蓄電素子10を構成できる。
【0058】
蓋体110に形成された凹部111~118は、当該凹部の延設方向から見て、電極端子と重ならない位置に配置されている。凹部111~118を、当該凹部の延設方向から見て電極端子と重なる位置(凹部111~118を延伸すると電極端子と交差する位置)に配置すると、蓋体110の電極端子が配置される面の平面度に影響を及ぼすおそれがある。このため、凹部111~118を、当該延設方向から見て電極端子と重ならない位置に配置することで、凹部111~118が蓋体110の電極端子が配置される面の平面度に影響を及ぼすのを抑制できる。これにより、精度良く蓄電素子10を構成できる。
【0059】
蓋体110に形成された凹部111~118は、当該凹部の延設方向から見て、ガス排出弁110aと重ならない位置に配置されている。凹部111~118を、当該凹部の延設方向から見てガス排出弁110aと重なる位置(凹部111~118を延伸するとガス排出弁110aと交差する位置)に配置すると、ガス排出弁110aの開口圧(作動圧)に影響を及ぼすおそれがある。このため、凹部111~118を、当該延設方向から見てガス排出弁110aと重ならない位置に配置することで、凹部111~118がガス排出弁110aの開口圧に影響を及ぼすのを抑制できる。これにより、精度良く蓄電素子10を構成できる。
【0060】
蓋体110に形成された凹部111~118は、ガス排出弁110aと接合部130との間とは異なる位置に配置されている。ガス排出弁110aは、一般的に、蓋体110の厚みを薄くして形成するため、ガス排出弁110aの側方(ガス排出弁110aと接合部130との間)に凹部を形成すると、ガス排出弁110aの加工精度に影響を及ぼすおそれがある。このため、凹部111~118を、ガス排出弁110aの側方には形成しないことで、ガス排出弁110aの加工精度を確保できる。これにより、精度良く蓄電素子10を構成できる。
【0061】
蓋体110に形成された凹部111~118は、蓋体110の外面に形成されており、蓋体110の内面には、凹部111~118に沿って延びる突起111a~118aが形成されている。つまり、蓋体110の外面を凹ませて凹部111~118を形成する際に、蓋体110の内面を突出させて凹部111~118に沿った突起111a~118aを形成できる。これにより、この突起111a~118aを蓋体110と容器本体120との位置決めに用いることで、蓋体110を容器本体120に位置決めしてから接合できる。容器本体120に蓋体110を接合する際に、突起111a~118aが配置されている位置で容器本体120を押さえることで、溶接箇所を押さえやすい。これらによって、精度良く蓄電素子10を構成できる。
【0062】
蓋体110に形成された凹部111~118は、接合部130に沿って延びる溝部によって形成されている。このように、蓋体110に、接合部130に沿って延びる溝部を加工することで、容易に、凹部111~118を形成できる。これにより、容易に、精度良く蓄電素子10を構成できる。
【0063】
蓋体110に形成された凹部111~118は、蓋体110の外面の法線方向から見て、容器100の内部空間と重なる位置に配置されている。このように、凹部111~118が容器100の内部空間と重なる位置に配置されていることで、容器本体120と蓋体110との接合時に、凹部111~118によって蓋体110の傾きを吸収しやすくできる。接合後においては、凹部111~118が、容器100の膨張及び収縮による力を吸収しやすくなる。これにより、精度良く蓄電素子10を構成できる。
【0064】
[4 実施の形態の変形例の説明]
(変形例1)
次に、上記実施の形態の変形例1について、説明する。
図5は、本実施の形態の変形例1に係る蓋体140を容器本体120に接合した場合の構成を示す断面図である。同図は、
図4の(b)に対応する図である。
【0065】
図5に示すように、本変形例における蓋体140は、上記実施の形態における蓋体110の外周部110fに代えて、外周部140fを有している。外周部140fは、上記実施の形態における外周部110fのように段差状の部位(薄肉部)にはなっていない。このため、蓋体140を容器本体120に配置する際に、外周部140fは容器本体120の内方に深く嵌り込むため、本変形例における蓋体140は、上記実施の形態における突起111a~118aは有していない。ただし、本変形例においても、蓋体140は、上記実施の形態における突起111a~118aと同様の突起を有していてもよい。つまり、蓋体140の内面には、凹部141、142等に沿って延びる突起が形成されていてもよい。本変形例における蓋体140が有する凹部141、142等は、上記実施の形態における凹部111、112等と同様の構成を有している。
【0066】
このような構成において、蓋体140は、外周部140fが容器本体120の内方に嵌り込んで、容器本体120と外周部140fとが接合され、容器の上面に接合部131が形成される。つまり、上記実施の形態では、容器100の側方からレーザ光を照射するなどして容器100の側面に接合部130を形成したが、本変形例では、容器の上方からレーザ光を照射するなどして容器の上面に接合部131を形成する。本変形例のその他の構成については、上記実施の形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0067】
このように、本変形例では、容器の電極端子側の面に、容器本体120と蓋体140との接合部131が形成されており、蓋体140は、電極端子と接合部131との間には配置されることなく、接合部131と隣り合う位置に接合部131に沿って配置された凹部141、142等を有している。蓋体140は、ガス排出弁(図示せず)を有しており、凹部141、142等は、凹部141、142等の延設方向から見て、ガス排出弁と重ならない位置に配置され、かつ、ガス排出弁と接合部131との間とは異なる位置に配置されている。さらに、凹部141、142等は、接合部131に沿って延びる溝部によって形成され、かつ、蓋体140の外面の法線方向から見て、容器の内部空間と重なる位置に配置されている。
【0068】
以上のように、本変形例に係る蓄電素子によれば、容器の上面(電極端子側の面)に接合部131を形成する場合でも、容器本体120と蓋体140との接合時に蓋体140が傾く場合があるため、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、容器の上面に接合部131を形成する場合には、蓋体140の一辺目を容器本体120に接合した際に蓋体140が傾きやすい傾向にあるため、本変形例における効果は高い。本変形例では、上記実施の形態のように外周部140fを段差状に加工したり、突起111a~118aを形成したりする必要がないため、蓋体140を容易に作製できる。
【0069】
(変形例2)
次に、上記実施の形態の変形例2について、説明する。
図6は、本実施の形態の変形例2に係る蓋体150を容器本体120に接合した場合の構成を示す断面図である。同図は、
図4の(b)に対応する図である。
【0070】
図6に示すように、本変形例における蓋体150は、上記変形例1における蓋体140の凹部141、142等に代えて、凹部151等を有している。凹部151は、上記変形例1における凹部141の位置から凹部142の位置に至るまで、蓋体150の外面がY軸方向に亘って連続して凹んで形成された凹部である。本変形例における接合部132は、上記変形例1における接合部131と同様の構成を有している。本変形例のその他の構成についても、上記変形例1と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0071】
以上のように、本変形例に係る蓄電素子によれば、上記変形例1と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、形成する凹部の数を低減できるため、蓋体150を容易に作製できる。
【0072】
(変形例3)
次に、上記実施の形態の変形例3について、説明する。
図7は、本実施の形態の変形例3に係る蓋体160を容器本体120に接合した場合の構成を示す断面図である。同図は、
図4の(b)に対応する図である。
【0073】
図7に示すように、本変形例における蓋体160は、上記変形例1における蓋体140の凹部141、142等に代えて、凹部161、162等を有している。凹部161は、上記変形例1における凹部141の位置から蓋体160のY軸方向プラス側の端縁に至るまで、蓋体160の外面がY軸方向に亘って連続して凹んで形成された凹部(段差部)である。凹部162は、上記変形例1における凹部142の位置から蓋体160のY軸方向マイナス側の端縁に至るまで、蓋体160の外面がY軸方向に亘って連続して凹んで形成された凹部(段差部)である。これにより、蓋体160は、薄肉の外周部160fを有することとなり、この外周部160fと容器本体120とが接合された接合部133が形成されている。本変形例のその他の構成については、上記変形例1と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0074】
以上のように、本変形例に係る蓄電素子によれば、上記変形例1と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、凹部161、162等の簡単な形状の凹部を形成すればよいため、蓋体160を容易に作製できる。
【0075】
(その他の変形例)
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電素子について説明したが、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0076】
上記実施の形態及びその変形例では、容器の蓋体の外面が凹んで凹部111~118等の凹部が形成されていることとした。しかし、容器の蓋体の内面が凹んで当該凹部が形成されていてもよい。
【0077】
上記実施の形態及びその変形例では、容器の蓋体に形成された凹部111~118等の凹部は、隣接する部分よりも厚みが薄い薄肉部を形成していることとした。しかし、当該凹部は、当該薄肉部を形成しない、つまり、当該凹部が形成されても蓋体の厚みは薄くなっていなくてもよい。
【0078】
上記実施の形態及びその変形例では、接合部130等の接合部は、容器本体120と蓋体とが溶接によって接合された溶接部であることとした。しかし、容器本体120と蓋体との接合方法は、溶接には限定されず、例えば、当該接合部は、容器本体120と蓋体とが接着剤等によって接着、または熱溶着等によって溶着された部位であってもよい。この場合でも、接合時に蓋体が傾く場合に、蓋体が傾くのを抑制し、精度良く蓄電素子を構成できる。
【0079】
上記実施の形態及びその変形例では、蓋体は、ガス排出弁110aを有しており、凹部111~118等の凹部は、当該凹部の延設方向から見て、ガス排出弁110aと重ならない位置に配置されていることとした。しかし、当該凹部は、当該凹部の延設方向から見て、ガス排出弁110aと重なる位置に配置されていてもよいし、蓋体は、ガス排出弁110aを有していない構成でもよい。
【0080】
上記実施の形態及びその変形例では、容器の蓋体に形成された凹部111~118等の凹部は、ガス排出弁110aと接合部130等の接合部との間とは異なる位置に配置されていることとした。しかし、当該凹部は、ガス排出弁110aと当該接合部との間に配置されていてもよい。
【0081】
上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0082】
本発明は、蓄電素子として実現できるだけでなく、当該蓄電素子が備える、容器、または、容器の蓋体としても実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子等に適用できる。
【符号の説明】
【0084】
10 蓄電素子
100 容器
110、140、150、160 蓋体
110a ガス排出弁
110b、110c 開口部
110d、110e 膨出部
110f、140f、160f 外周部
111~118、141、142、151、161、162 凹部
111a~118a 突起
120 容器本体
130、131、132、133 接合部
200 正極端子
210、310 軸部
300 負極端子
400 電極体
500 正極集電体
510、610 開口部
600 負極集電体