(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】電気回路及び電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20230322BHJP
H02M 1/08 20060101ALI20230322BHJP
H03K 17/16 20060101ALI20230322BHJP
H03K 17/06 20060101ALI20230322BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
H02M3/155 X
H02M1/08 C
H03K17/16 M
H03K17/06 063
H03K17/687 A
(21)【出願番号】P 2020002855
(22)【出願日】2020-01-10
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2019089231
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】児玉 和也
(72)【発明者】
【氏名】豊田 真希
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-023802(JP,A)
【文献】特開2013-211711(JP,A)
【文献】特開2011-061953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
H02M 1/08
H03K 17/16
H03K 17/06
H03K 17/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、
負荷と、
前記電池と前記負荷との間のハイサイドの電源ラインに設けられる第1の電界効果トランジスタと、
前記第1の電界効果トランジスタを駆動する駆動部と、
トランスの2次コイルに電流が流れることによって発生するフライバック電圧及び前記トランスの漏れインダクタンスにより発生するサージ電圧をダイオードによってクランプしてコンデンサに蓄積し抵抗で消費させるスナバ回路を備えるフライバック方式のDCDCコンバータと、
を備え、
前記コンデンサにかかる電圧を前記第1の電界効果トランジスタのゲート端子にかける
ことを特徴とする電気回路。
【請求項2】
請求項1に記載の電気回路であって、
前記電池と前記負荷との間のローサイドの電源ラインに設けられるNチャネルの第2の電界効果トランジスタを備え、
前記駆動部は、前記電池から前記負荷に流れる電流を停止させるとき、前記第1及び第2の電界効果トランジスタをそれぞれオフさせる
ことを特徴とする電気回路。
【請求項3】
請求項1に記載の電気回路であって、
前記DCDCコンバータは、前記電池の電圧を所定電圧に変換して前記駆動部に供給する
ことを特徴とする電気回路。
【請求項4】
請求項1に記載の電気回路であって、
前記駆動部は、
前記コンデンサと前記第1の電界効果トランジスタのゲート端子との間に接続される第1のスイッチと、
前記DCDCコンバータから出力される電圧により起動した後、前記第1のスイッチをオンさせることで前記コンデンサにかかる電圧を前記第1の電界効果トランジスタのゲート端子にかけて前記第1の電界効果トランジスタをオンさせる制御部と、
を備えることを特徴とする電気回路。
【請求項5】
請求項4に記載の電気回路であって、
前記駆動部は、前記第1の電界効果トランジスタのゲート端子とグランドとの間に接続される第2のスイッチを備え、
前記制御部は、前記第1の電界効果トランジスタをオフさせるとき、前記第2のスイッチをオンさせることで前記第1の電界効果トランジスタのゲート端子の電荷を引き抜く
ことを特徴とする電気回路。
【請求項6】
請求項5に記載の電気回路であって、
Pチャネルの電界効果トランジスタにより構成される前記第1のスイッチのソース端子と前記コンデンサとの接続点と、前記第1のスイッチのゲート端子との間に接続される第1の抵抗と、
前記第1のスイッチのゲート端子に一方端が接続される第2の抵抗と、
前記第2の抵抗の他方端と前記グランドとの間に接続される第3のスイッチと、
前記第2の抵抗の他方端と前記第3のスイッチとの接続点と、前記第2のスイッチの制御端子との間に接続される第3の抵抗と、
を備え、
前記制御部は、前記第1の電界効果トランジスタをオンさせるとき、ハイレベルの制御信号を前記第3のスイッチに出力することで前記第3のスイッチをオンさせ、前記第1の電界効果トランジスタをオフさせるとき、ローレベルの制御信号を前記第3のスイッチに出力することで前記第3のスイッチをオフさせる
ことを特徴とする電気回路。
【請求項7】
接続される負荷に対して電力を供給する電池と、
前記電池と前記負荷との間のハイサイドの電源ラインに設けられる第1の電界効果トランジスタと、
前記第1の電界効果トランジスタを駆動する駆動部と、
トランスの2次コイルに電流が流れることによって発生するフライバック電圧及び前記トランスの漏れインダクタンスにより発生するサージ電圧をダイオードによってクランプしてコンデンサに蓄積し抵抗で消費させるスナバ回路を備えるフライバック方式のDCDCコンバータと、
前記コンデンサにかかる電圧を前記第1の電界効果トランジスタのゲート端子にかける制御部と、
を有することを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に電力を供給する電気回路及び電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気回路として、電池と負荷との間のハイサイドの電源ラインに設けられるNチャネルの電界効果トランジスタと、その電界効果トランジスタを駆動する駆動部とを備えるものがある。
【0003】
関連する技術として、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記電気回路では、電界効果トランジスタのゲート端子に電界効果トランジスタのソース端子の電圧より高い電圧をかける必要があり、電池の電圧を昇圧して電界効果トランジスタのゲート端子にかける機能を駆動部に追加する場合、駆動部が大型化してしまうという懸念がある。
【0006】
本発明の一側面に係る目的は、電池と負荷との間のハイサイドの電源ラインにNチャンネルの電界効果トランジスタが設けられる電気回路において、電界効果トランジスタを駆動する駆動部の大型化を抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一つの形態である電気回路は、電池と、負荷と、電池と負荷との間のハイサイドの電源ラインに設けられるNチャネルの第1の電界効果トランジスタと、第1の電界効果トランジスタを駆動する駆動部と、トランスの2次コイルに電流が流れることによって発生するフライバック電圧及びトランスの漏れインダクタンスにより発生するサージ電圧をダイオードによってクランプしてコンデンサに蓄積し抵抗で消費させるスナバ回路を備えるフライバック方式のDCDCコンバータとを備え、コンデンサにかかる電圧を第1の電界効果トランジスタのゲート端子にかける。
【0008】
スナバ回路のコンデンサにかかる電圧は、電池の電圧より高く、第1の電界効果トランジスタのソース端子の電圧より高い電圧になるため、第1の電界効果トランジスタのソース端子の電圧より高い電圧を第1の電界効果トランジスタのゲート端子にかけることができ、ハイサイドの電源ラインに設けられる第1の電界効果トランジスタを駆動させることができる。このように、スナバ回路から得られる電圧を流用して第1の電界効果トランジスタを駆動させることができるため、電池の電圧を昇圧して第1の電界効果トランジスタのゲート端子にかける機能を駆動部に追加する場合に比べて、駆動部の大型化を抑えることができる。
【0009】
また、電気回路は、電池と負荷との間のローサイドの電源ラインに設けられるNチャネルの第2の電界効果トランジスタを備え、駆動部は、電池から負荷に流れる電流を停止させるとき、第1及び第2の電界効果トランジスタをそれぞれオフさせるように構成してもよい。
【0010】
このように、ハイサイドの電源ラインに第1の電界効果トランジスタを設け、ローサイドの電源ラインに第2の電界効果トランジスタを設けているので、電池から負荷に流れる電流を停止させるときに第1及び第2の電界効果トランジスタのうちの一方の電界効果トランジスタがオンからオフに切り替わらない状況になっても、他方の電界効果トランジスタをオンからオフにすることで、電池から負荷に流れる電流を停止させることができる。
【0011】
また、DCDCコンバータは、電池の電圧を所定電圧に変換して駆動部に供給するように構成してもよい。
【0012】
また、駆動部は、コンデンサと第1の電界効果トランジスタのゲート端子との間に接続される第1のスイッチと、DCDCコンバータから出力される電圧により起動した後、第1のスイッチをオンさせることでコンデンサにかかる電圧を第1の電界効果トランジスタのゲート端子にかけて第1の電界効果トランジスタをオンさせる制御部とを備えるように構成してもよい。
【0013】
これにより、制御部が起動する前に、コンデンサに電圧がかかっても、コンデンサと第1の電界効果トランジスタのゲート端子との間に接続される第1のスイッチがオフしているため、制御部の制御に反して第1の電界効果トランジスタが誤ってオンすることを防止することができる。
【0014】
また、駆動部は、第1の電界効果トランジスタのゲート端子とグランドとの間に接続される第2のスイッチを備え、制御部は、第1の電界効果トランジスタをオフさせるとき、第2のスイッチをオンさせることで第1の電界効果トランジスタのゲート端子に蓄積されていた電荷を引き抜くように構成してもよい。
【0015】
これにより、第1の電界効果トランジスタを比較的早くオンからオフに切り替えることができる。
【0016】
また、電気回路は、Pチャネルの電界効果トランジスタにより構成される第1のスイッチのソース端子とコンデンサとの接続点と、第1のスイッチのゲート端子との間に接続される第1の抵抗と、第1のスイッチのゲート端子に一方端が接続される第2の抵抗と、第2の抵抗の他方端とグランドとの間に接続される第3のスイッチと、第2の抵抗の他方端と第3のスイッチとの接続点と、第2のスイッチの制御端子との間に接続される第3の抵抗とを備え、制御部は、第1の電界効果トランジスタをオンさせるとき、ハイレベルの制御信号を第3のスイッチに出力することで第3のスイッチをオンさせ、第1の電界効果トランジスタをオフさせるとき、ローレベルの制御信号を第3のスイッチに出力することで第3のスイッチをオフさせるように構成してもよい。
【0017】
このように、第1のスイッチをPチャネルの電界効果トランジスタにより構成しているため、第1の電界効果トランジスタをオフさせるとき、第2のスイッチの制御端子に電流が流れても、第1のスイッチをオンさせないようにすることができるため、第1の電界効果トランジスタをオフさせることができる。また、第2のスイッチの制御端子が第3の抵抗を介して第2の抵抗の他方端と第3のスイッチとの接続点に接続されているため、制御部から出力される制御信号を、レベルを反転させて第2のスイッチの制御端子に入力させることができる。これにより、制御信号のレベルを反転させるための回路を備える必要がないため、電気回路の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電池と負荷との間のハイサイドの電源ラインにNチャンネルの電界効果トランジスタが設けられる電気回路において、電界効果トランジスタを駆動する駆動部の大型化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】実施形態の電気回路の変形例1を示す図である。
【
図3】実施形態の電気回路の変形例2を示す図である。
【
図4】実施形態の電気回路の変形例3を示す図である。
【
図5】実施形態の電気回路の変形例4を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
図1は、実施形態の電気回路の一例を示す図である。
【0021】
図1に示す電気回路LCは、負荷Loと、電源回路PCとを備える。
負荷Loは、特に限定されないが、例えば、車両に備えられるサイドブレーキ(ハンドブレーキ)、フットブレーキ、または電磁式リレーなどを駆動させるインダクタを含む回路とする。
【0022】
電源回路PCは、電池Bと、スイッチSWと、NチャネルのMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)1(第1の電界効果トランジスタ)と、NチャネルのMOSFET2(第2の電界効果トランジスタ)と、ダイオードD1と、フライバック方式のDCDCコンバータ3と、駆動部4とを備える。
【0023】
電池Bは、例えば、鉛バッテリまたはリチウムイオン電池などであり、負荷Loに電力を供給する。
【0024】
スイッチSWは、例えば、MOSFETなどの半導体スイッチや電磁式スイッチにより構成される。電源回路PCの起動時、スイッチSWがオフからオンに切り替わり、電池BからDCDCコンバータ3に電力が供給される。
【0025】
MOSFET1のドレイン端子は電池Bのプラス端子に接続され、MOSFET1のソース端子は負荷Loのプラス端子に接続されている。すなわち、MOSFET1は、電池Bと負荷Loとの間のハイサイドの電源ラインに設けられている。また、MOSFET2のドレイン端子は負荷Loのマイナス端子に接続され、MOSFET2のソース端子はグランドに接続されている。すなわち、MOSFET2は、電池Bと負荷Loとの間のローサイドの電源ラインに設けられている。また、MOSFET1が常時オンしているとき、MOSFET2が交互にオン、オフすると、負荷Loのインダクタに磁界が発生する。例えば、負荷Loのインダクタに磁界が発生すると、サイドブレーキによるタイヤのロックが解除されるものとする。また、MOSFET2が常時オンしているとき、MOSFET2が常時オフすると、または、MOSFET1、2が常時オフすると、負荷Loのインダクタに磁界が発生しない。例えば、負荷Loのインダクタに磁界が発生しなくなると、サイドブレーキによりタイヤがロックされるものとする。
【0026】
ダイオードD1のカソード端子は負荷Loのプラス端子に接続され、ダイオードD1のアノード端子は負荷Loのマイナス端子に接続されている。すなわち、ダイオードD1は、負荷Loのインダクタに電流が流れなくなったときに発生するサージ電圧を低減するためのものである。
【0027】
DCDCコンバータ3は、電源部Pと、トランスTと、NチャネルのMOSFET5と、ダイオードD2と、コンデンサC1と、制御部6と、スナバ回路7とを備える。
【0028】
トランスTの1次コイルL1の一方の端子は電池Bのプラス端子に接続され、トランスTの1次コイルL1の他方の端子はMOSFET5のドレイン端子に接続されている。MOSFET5のソース端子はグランドに接続されている。トランスTの2次コイルL2の一方の端子はダイオードD2のアノード端子に接続されている。ダイオードD2のカソード端子はコンデンサC1の一方の端子に接続されている。2次コイルL2の他方の端子はコンデンサC1の他方の端子に接続されている。
【0029】
電源部Pは、電源回路PCの起動時、電池Bから供給される電力を所定の電力に変換して制御部6に供給する。制御部6は、所定の電力が供給されると、起動する。
【0030】
制御部6は、図示しない汎用なゲートICなどにより構成され、MOSFET5を交互にオン、オフさせる。制御部6は、後述するトランスTの二次コイルL2によって発生する電圧V1が入力され、電圧V1を常時フィードバックしており、電圧V1が所望の電圧となるように、MOSFET5を交互にオン、オフする制御をしている。MOSFET5がオンすると、トランスTにエネルギーが蓄積され、MOSFET5がオフすると、トランスTに蓄積されたエネルギーがダイオードD2及びコンデンサC1を介して駆動部4などに出力される。すなわち、DCDCコンバータ3は、MOSFET5を交互にオン、オフさせることで電池Bの電圧を所定電圧V1に変換して駆動部4などに供給する。なお、制御部6は汎用なICの代わりに、CPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、またはプログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device))などにより構成されていてもよい。
【0031】
スナバ回路7は、抵抗R1と、コンデンサC2と、ダイオードD3とを備え、MOSFET5のドレイン端子に接続される。すなわち、抵抗R1の一方の端子はコンデンサC2の一方の端子及び1次コイルL1の一方の端子に接続され、抵抗R1の他方の端子はコンデンサC2の他方の端子及びダイオードD3のカソード端子に接続されている。ダイオードD3のアノード端子は1次コイルL1の他方の端子及びMOSFET5のドレイン端子に接続されている。スナバ回路7は、トランスTの2次コイルL2に電流が流れることによって発生するフライバック電圧及びトランスTの漏れインダクタンスにより発生するサージ電圧をダイオードD3によってクランプしてコンデンサC2に蓄積し抵抗R1で消費させる。これにより、過電圧によりMOSFET5が故障することを抑制することができる。
【0032】
また、スナバ回路7は、コンデンサC2にかかる電圧V2を流用してMOSFET1を駆動させる。
【0033】
駆動部4は、MOSFET1、2をそれぞれ駆動するものであって、npnバイポーラトランジスタTrと、抵抗R2、R3と、制御部8とを備える。なお、制御部8は、DCDCコンバータ3から供給される所定電圧V1により駆動する。
【0034】
npnバイポーラトランジスタTrのコレクタ端子はMOSFET1のゲート端子及び抵抗R2の一方の端子に接続され、npnバイポーラトランジスタTrのエミッタ端子は抵抗R3を介してグランドに接続されている。抵抗R2の他方の端子はスナバ回路7の抵抗R1の他方の端子とコンデンサC2の他方の端子との接続点pに接続されている。すなわち、MOSFET5が交互にオン、オフしているとき、コンデンサC2にかかる電圧が抵抗R2を介してMOSFET1のゲート端子にかかる。このときにコンデンサC2にかかる電圧は常に電池Bの電圧より高く、MOSFET1のソース端子の電圧より高い電圧になるため、MOSFET1のソース端子の電圧より高い電圧をMOSFET1のゲート端子にかけることができ、ハイサイドの電源ラインに設けられるMOSFET1を駆動させることができる。
【0035】
制御部8は、CPU、マルチコアCPU、またはプログラマブルなデバイスなどにより構成され、npnバイポーラトランジスタTrのオン、オフを制御するとともに、MOSFET2のオフ、オフを制御する。MOSFET5が交互にオン、オフしているときで、かつ、npnバイポーラトランジスタTrがオフしているとき、MOSFET1のソース端子の電圧より高い電圧がMOSFET1のゲート端子にかかり、MOSFET1がオンする。また、MOSFET5が交互にオン、オフしているときで、かつ、npnバイポーラトランジスタTrがオンすると、MOSFET1のゲート端子の電圧がグランドの電圧になり、MOSFET1がオフする。また、制御部8は、電池Bから負荷Loに流れる電流を停止させるとき、MOSFET1、2をそれぞれオフさせる。すなわち、駆動部4は、電池Bから負荷Loに流れる電流を停止させるとき、MOSFET1、2をそれぞれオフさせる。
【0036】
このように実施形態の電気回路LCまたは電源回路PCでは、スナバ回路7から得られる電圧V2を流用してハイサイドの電源ラインに設けられるMOSFET1を駆動させることができるため、電池Bの電圧を昇圧してMOSFET1のゲート端子にかける機能を駆動部4に追加する場合に比べて、駆動部4の大型化を抑えることができるとともに、エネルギーの効率を向上させることができる。
【0037】
また、実施形態の電気回路LCまたは電源回路PCでは、ハイサイドの電源ラインにMOSFET1を設け、ローサイドの電源ラインにMOSFET2を設けているので、電池Bから負荷Loに流れる電流を停止させるときにMOSFET1、2のうちの一方のMOSFETが故障などによってオンからオフに切り替わらない状況になっても、他方のMOSFETをオンからオフにすることで、電池Bから負荷Loに流れる電流を停止させることができる。
【0038】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【0039】
<変形例1>
図2は、実施形態の電気回路の変形例1を示す図である。なお、
図1に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0040】
図2に示す電気回路LCにおいて、
図1に示す電気回路LCと異なる点は、駆動回路3が、コンデンサC2とMOSFET1のゲート端子との間に接続されるスイッチSW1(第1のスイッチ)と、DCDCコンバータ3から出力される電圧V1により起動した後、スイッチSW1をオンさせることで、コンデンサC2にかかる電圧V2をMOSFET1のゲート端子にかけてMOSFET1をオンさせる制御部9とを備える点である。なお、制御部9は、MOSFET2のオフ、オフを制御する。
【0041】
また、
図2に示す電気回路LCにおいて、
図1に示す電気回路LCと異なる他の点は、駆動部4が、MOSFET1のゲート端子とグランドとの間に接続されるスイッチSW2(第2のスイッチ)を備え、制御部9が、MOSFET1をオフさせるとき、スイッチSW2をオンさせることでMOSFET1のゲート端子に蓄積されていた電荷を引き抜く点である。
【0042】
すなわち、駆動部4は、スイッチSW1~SW3と、抵抗R4~R9と、制御部9と、NOT回路10とを備える。NOT回路10は、スイッチSW4と、抵抗R10とを備える。なお、スイッチSW1は、pnpバイポーラトランジスタやPチャネルのMOSFETなど特に限定されないが、
図2に示す例では、pnpバイポーラトランジスタにより構成されるものとする。また、スイッチSW2~SW4は、npnバイポーラトランジスタやNチャネルのMOSFETなど特に限定されないが、
図2に示す例では、npnバイポーラトランジスタにより構成されるものとする。また、NOT回路10は
図2に示す回路構成に限定されない。また、
図2に示す電気回路LCにおいて、スイッチSW2、SW4及び抵抗R5、R10を省略してもよい。また、制御部9は、電源回路PCの内部に設けられていれば、駆動部4の外部に設けられていてもよい。
【0043】
スイッチSW1のエミッタ端子はスナバ回路7の抵抗R1の他方の端子とコンデンサC2の他方の端子との接続点pに接続され、スイッチSW1のコレクタ端子は抵抗R4を介してMOSFET1のゲート端子に接続されている。スイッチSW2のコレクタ端子は抵抗R5及び抵抗R4を介してMOSFET1のゲート端子に接続され、スイッチSW2のエミッタ端子はグランドに接続されている。スイッチSW3(第3のスイッチ)のコレクタ端子は抵抗R6を介してスイッチSW1のベース端子に接続され、スイッチSW3のエミッタ端子はグランドに接続されている。スイッチSW3のベース端子は抵抗R7を介して制御部9の出力端子に接続されている。抵抗R8はスイッチSW1のエミッタ端子とベース端子との間に接続されている。抵抗R9は制御部9の出力端子とスイッチSW3のエミッタ端子との間に接続されている。スイッチSW4のコレクタ端子はスイッチSW2のベース端子に接続され、スイッチSW4のエミッタ端子はグランドに接続され、スイッチSW4のベース端子はスイッチSW3のベース端子に接続されている。なお、DCDCコンバータ3から出力される電圧V1が抵抗R10を介してスイッチSW4のコレクタ端子にかかっているものとする。
【0044】
電源回路PCが駆動していないとき(スイッチSWがオフしているとき)、制御部9が駆動していないため、スイッチSW3がオフしている。そのため、スイッチSW1がオフし、コンデンサC2とMOSFET1のゲート端子とが電気的に切断されている。これにより、電源回路PCの起動時(スイッチSWのオン時)、制御部9が起動する前に、電池BからスイッチSW、1次コイルL1、及びダイオードD3を介してコンデンサC2に電流が流れてコンデンサC2に電圧V2がかかっても、その電圧V2がMOSFET1のゲート端子にかからないため、MOSFET1がオフからオンに切り替わることを防止することができる。
【0045】
また、DCDCコンバータ3から出力される電圧V1により制御部9が起動した後、MOSFET1をオフからオンに切り替えるとき、制御部9は、スイッチSW3をオンさせる。すると、スイッチSW1がオンし、MOSFET1がオフからオンに切り替わる。このとき、スイッチSW4がオンし、スイッチSW2がオフしている。
【0046】
また、MOSFET1をオンからオフに切り替えるとき、制御部9は、スイッチSW3をオフさせる。すると、スイッチSW1がオフし、MOSFET1がオンからオフに切り替わる。このとき、スイッチSW4がオフし、スイッチSW2がオンし、MOSFET1のゲート端子に蓄積されていた電荷が引き抜かれるため、MOSFET1を比較的早くオンからオフに切り替えることができる。
【0047】
このように、変形例1の電気回路LCでは、電源回路PCの起動時、制御部9が起動する前に、コンデンサC2に電圧V2がかかっても、コンデンサC2とMOSFET1のゲート端子との間に接続されるスイッチSW1がオフしているため、制御部9の制御に反してMOSFET1が誤ってオンすることを防止することができる。
【0048】
また、変形例1の電気回路LCでは、MOSFET1をオンからオフに切り替えるとき、スイッチSW2をオンさせることでMOSFET1のゲート端子に蓄積されていた電荷を引き抜く構成であるため、MOSFET1を比較的早くオンからオフに切り替えることができる。これにより、負荷Loの故障時などにおいて、MOSFET1をすぐにオフさせて電池Bから負荷Loへの電力供給をすぐに停止させることができる。
【0049】
また、変形例1の電気回路LCは、抵抗R5に電流が常時流れるような構成ではないため、抵抗R5の抵抗値を比較的小さくすることができ、MOSFET1を比較的早くオフからオンに切り替えることができる。
【0050】
また、変形例1の電気回路LCでは、NOT回路10をスイッチSW4及び抵抗R10により構成しているため、スイッチSW2のベース端子に流れる電流を容易に調整することができ、スイッチSW2のオン、オフを容易に制御することができる。
【0051】
<変形例2>
図3は、実施形態の電気回路の変形例2を示す図である。なお、
図2に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
図3に示す電気回路LCにおいて、
図2に示す電気回路LCと異なる点は、制御部9がNOT回路10を用いてスイッチSW2をオン、オフさせるのではなく、制御部9が直接スイッチSW2をオン、オフさせる点である。
【0053】
すなわち、制御部9の出力端子が抵抗R11を介してスイッチSW2のベース端子に接続されているとともに抵抗R12を介してスイッチSW2のエミッタ端子に接続されている。制御部9は、スイッチSW3をオンさせているとき、スイッチSW2をオフさせ、スイッチSW3をオフさせているとき、スイッチSW2をオンさせている。これにより、MOSFET1がオンからオフに切り替わるとき、スイッチSW2をオフからオンに切り替えて、MOSFET1のゲート端子に蓄積されていた電荷を引き抜くことができる。
【0054】
このように、変形例2の電気回路LCでは、制御部9が直接スイッチSW2をオン、オフさせる構成であるため、制御部9がNOT回路10を用いてスイッチSW2をオン、オフさせる構成に比べてNOT回路10の動作遅延分スイッチSW2を早くオフさせることができ、MOSFET1をオンからオフにさらに早く切り替えることができる。
【0055】
<変形例3>
図4は、実施形態の電気回路の変形例3を示す図である。なお、
図2に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
図4に示す電気回路LCにおいて、
図2に示す電気回路LCと異なる点は、抵抗R13とツェナーダイオードD4がそれぞれMOSFET1のゲート端子とソース端子との間に並列接続されている点である。
【0057】
このように、変形例3の電気回路LCでは、抵抗R13とツェナーダイオードD4がそれぞれMOSFET1のゲート端子とソース端子との間に並列接続されている構成であるため、MOSFET1がオンしているときにMOSFET1のゲート端子とソース端子との間にかかる電圧を安定させることができるとともに、MOSFET1のゲート端子とソース端子との間にかかる電圧が定格電圧を超えないようにすることができる。
【0058】
<変形例4>
図5は、実施形態の電気回路の変形例4を示す図である。なお、
図2に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、
図5に示す電気回路LCにおいて、
図4に示すように、抵抗R13とツェナーダイオードD4をそれぞれMOSFET1のゲート端子とソース端子との間に並列接続させてもよい。
【0059】
図5に示す電気回路LCにおいて、
図2に示す電気回路LCと異なる点は、スイッチSW1がPチャネルのMOSFET(電界効果トランジスタ)により構成されている点と、NOT回路10の代わりに抵抗R14を備えている点である。すなわち、抵抗R8(第1の抵抗)の一方端はスイッチSW1のソース端子とコンデンサC2との接続点に接続され、抵抗R8の他方端はスイッチSW1のゲート端子に接続されている。また、抵抗R6(第2の抵抗)の一方端はスイッチSW1のゲート端子に接続され、抵抗R6の他方端はスイッチSW3のコレクタ端子に接続されている。また、抵抗R14(第3の抵抗)の一方端は抵抗R6とスイッチSW3のコレクタ端子との接続点に接続され、抵抗R14の他方端はスイッチSW2のベース端子(制御端子)に接続されている。
【0060】
[MOSFET1をオンさせるときの電気回路LCの動作]
まず、制御部9からスイッチSW3へ出力される制御信号がローレベルからハイレベルに切り替わると、スイッチSW3がオフからオンに切り替わる。
【0061】
次に、スイッチSW3がオフからオンに切り替わると、スイッチSW3のコレクタ端子の電圧がグランドの電圧となり、電圧V2を抵抗R8と抵抗R6で分圧した電圧がスイッチSW1のゲート端子に印加される。このとき、スイッチSW1のゲート端子とソース端子との間にスイッチSW1の閾値電圧より高い電圧が印加され、スイッチSW1がオフからオンに切り替わる。
【0062】
そして、スイッチSW1がオフからオンに切り替わると、MOSFET1のゲート端子にMOSFET1の閾値電圧より高い電圧V2が印加され、MOSFET1がオフからオンに切り替わる。
【0063】
また、スイッチSW3がオンしているとき、スイッチSW2のベース端子に印加されている電圧はグランドの電圧であるため、スイッチSW2のベース端子に電流が流れず、スイッチSW2がオンしない。すなわち、MOSFET1がオンしているとき、スイッチSW2はオフしている。そのため、MOSFET1がオンしているとき、抵抗R5に電流が流れないようにすることができる。このように、MOSFET1をオン、オフさせる際、抵抗R5に電流が常時流れないようにすることができるため、抵抗値が比較的小さい安価な抵抗R5を採用することができ、電気回路LCを小型化することができる。
【0064】
[MOSFET1をオフさせるときの電気回路LCの動作]
まず、制御部9からスイッチSW3へ出力される制御信号がハイレベルからローレベルに切り替わると、スイッチSW3がオンからオフに切り替わる。
【0065】
次に、スイッチSW3がオンからオフに切り替わると、スイッチSW1のゲート端子に印加される電圧が上昇し、スイッチSW1のゲート端子とソース端子との間に印加される電圧が低下する。
【0066】
次に、スイッチSW1のゲート端子とソース端子との間に印加される電圧がスイッチSW1の閾値電圧より低くなると、スイッチSW1がオンからオフに切り替わる。
【0067】
そして、スイッチSW1がオンからオフに切り替わると、MOSFET1のゲート端子にMOSFET1の閾値電圧より高い電圧V2が印加されなくなり、MOSFET1がオンからオフに切り替わる。
【0068】
また、スイッチSW3がオンからオフに切り替わると、スイッチSW2のベース端子に印加される電圧が上昇し、スイッチSW2に電流が流れスイッチSW2がオフからオンに切り替わる。スイッチSW2がオフからオンに切り替わると、MOSFET1のゲート端子が抵抗R4及び抵抗R5を介してグランドに接続されるため、MOSFET1のゲート端子に蓄積されていた電荷が比較的素早く引き抜かれる。このように、MOSFET1をオフさせるとき、MOSFET1のゲート端子に蓄積されていた電荷が比較的素早く引き抜かれるため、MOSFET1のターンオフ速度を上昇させることができる。
【0069】
ところで、変形例4の電気回路LCにおいて、スイッチSW1をpnpバイポーラトランジスタにより構成する場合では、MOSFET1をオンからオフに切り替える際、スイッチSW2のベース端子に電流が流れると、スイッチSW1のベース端子にも電流が流れてスイッチSW1をオフさせることができず、MOSFET1をオンからオフに切り替えることができない。一方、変形例4の電気回路LCにおいて、スイッチSW1をPチャネルのMOSFETにより構成する場合では、MOSFET1をオンからオフに切り替える際、スイッチSW2のベース端子に電流が流れても、スイッチSW1をオンさせないようにすることができるため、MOSFET1をオンからオフに切り替えることができる。
【0070】
また、変形例4の電気回路LCでは、スイッチSW2のベース端子が抵抗R14を介して抵抗R6の他方端とスイッチSW3のコレクタ端子との接続点に接続されているため、、制御部9から出力される制御信号を、レベルを反転させてスイッチSW2のベース端子に入力させることができる。
【0071】
すなわち、変形例4の電気回路LCでは、スイッチSW1をPチャネルのMOSFETにより構成するとともに、抵抗R6の他方端とスイッチSW3のコレクタ端子との接続点と、スイッチSW2のベース端子との間に抵抗R14を接続する構成とすることにより、NOT回路10(スイッチSW4など)を備える必要がなく、電気回路LCの小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0072】
1、2 MOSFET
3 DCDCコンバータ
4 駆動部
5 MOSFET
6 制御部
7 スナバ回路
8、9 制御部
LC 電気回路
PC 電源回路
B 電池
Lo 負荷