IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IHIの特許一覧

特許7248112フィルム冷却構造及びガスタービンエンジン用タービン翼
<>
  • 特許-フィルム冷却構造及びガスタービンエンジン用タービン翼 図1
  • 特許-フィルム冷却構造及びガスタービンエンジン用タービン翼 図2
  • 特許-フィルム冷却構造及びガスタービンエンジン用タービン翼 図3
  • 特許-フィルム冷却構造及びガスタービンエンジン用タービン翼 図4
  • 特許-フィルム冷却構造及びガスタービンエンジン用タービン翼 図5
  • 特許-フィルム冷却構造及びガスタービンエンジン用タービン翼 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】フィルム冷却構造及びガスタービンエンジン用タービン翼
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/18 20060101AFI20230322BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
F01D5/18
F01D9/02 102
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021524767
(86)(22)【出願日】2020-05-25
(86)【国際出願番号】 JP2020020550
(87)【国際公開番号】W WO2020246289
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】P 2019107005
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】久保 世志
(72)【発明者】
【氏名】服部 均
(72)【発明者】
【氏名】大北 洋治
(72)【発明者】
【氏名】藤本 秀
(72)【発明者】
【氏名】池原 伶
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0153283(US,A1)
【文献】特開2006-242187(JP,A)
【文献】特表2016-519236(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0201474(US,A1)
【文献】国際公開第2013/089255(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0071977(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第2389330(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/18
F01D 9/02
F02C 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面及び内面を有すると共に、前方から後方に延伸する壁部と、
前記内面に開口する入口及び前記外面に開口する出口を形成する管状の内周面を有し、前記出口が前記入口よりも後方に位置するように傾斜した状態で前記壁部を貫通する冷却孔と
を備え、
前記冷却孔は、最小の断面積をもつスロートと、前記スロートから前記出口まで延伸すると共に前記出口に近づくにつれて後方及び前記壁部に沿って拡大する流路断面を含むディフューザ部とを含み、
前記冷却孔の内周面は、
当該内周面のうちの前側の部位において前記冷却孔の延伸方向に直交し且つ前記壁部に沿った方向に延伸する平面部と、
前記内周面のうちの後側の部位から前記平面部に向けて突出し且つ前記平面部と平行に延伸すると共に前記平面部との間に前記スロートを形成する第1の凸部と
前記内周面のうちの前側の部位において後方に突出すると共に前記出口まで延伸する第2の凸部と
を含む、
フィルム冷却構造。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルム冷却構造を備えるガスタービンエンジン用タービン翼。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はフィルム冷却構造及びガスタービンエンジン用タービン翼に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンのタービンは、静翼及び動翼を構成するタービン翼を備えている。タービン翼は燃焼器からの燃焼ガスに晒される。この燃焼ガスによる熱的損傷を防止するため、タービン翼の翼面には多数のフィルム冷却孔が形成されている(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5600449号明細書
【文献】特開2013-124612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガスタービンエンジンの効率を向上させるためには、燃焼ガスの温度(燃焼温度)を高めることが重要である。この燃焼温度の上昇に伴って、タービン翼の冷却効率の更なる向上が求められている。
【0005】
本開示は上述の事情を鑑みてなされたものあり、冷却効率を向上させることが可能なフィルム冷却構造及びガスタービンエンジン用タービン翼の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様はフィルム冷却構造であって、外面及び内面を有すると共に、前方から後方に延伸する壁部と、前記内面に開口する入口及び前記外面に開口する出口を形成する管状の内周面を有し、前記出口が前記入口よりも後方に位置するように傾斜した状態で前記壁部を貫通する冷却孔とを備え、前記冷却孔は、最小の断面積をもつスロートと、前記スロートから前記出口まで延伸すると共に前記出口に近づくにつれて後方及び前記壁部に沿って拡大する流路断面を含むディフューザ部とを含み、前記冷却孔の内周面は、当該内周面のうちの前側の部位において前記冷却孔の延伸方向に直交し且つ前記壁部に沿った方向に延伸する平面部と、前記内周面のうちの後側の部位から前記平面部に向けて突出し且つ前記平面部と平行に延伸すると共に前記平面部との間に前記スロートを形成する第1の凸部と、前記内周面のうちの前側の部位において後方に突出すると共に前記出口まで延伸する第2の凸部とを含むことを要旨とする。
【0008】
本開示の第2の態様はガスタービンエンジン用タービン翼であって、本開示の第1の態様に係るフィルム冷却構造を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、冷却効率を向上させることが可能なフィルム冷却構造及びガスタービンエンジン用タービン翼を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施形態に係る冷却孔の上面図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係るフィルム冷却構造の断面図である。
図3図3は、冷却孔の延伸方向に沿って当該冷却孔を出口側から見た図である。
図4図4は、冷却孔における冷却媒体の流れを示す図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、冷却孔における冷却媒体の流れの速度分布を説明するための図であり、図5(a)はスロートにおける速度分布の模式的な一例を示す図、図5(b)はディフューザ部における速度分布の模式的な一例を示す図である。
図6図6は、本開示の実施形態に係るタービン翼(静翼)の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
本実施形態に係るフィルム冷却構造は、高温の熱媒体(例えば燃焼ガス)HGに曝される構造体に設けられる。構造体は、例えば、ガスタービンエンジン(図示せず)のタービン翼(動翼及び静翼)、燃焼器ライナ又はロケットエンジンのノズルなどである。構造体の壁部には多数の冷却孔が形成される。冷却孔は、壁部と共にフィルム冷却構造を構成する。冷却孔から流出する冷却媒体CG(例えば空気)は、当該壁部上に断熱層を形成し、構造体を熱媒体HGから保護する。以下、説明の便宜上、熱媒体HGの流れ方向の上流側を「前方」、熱媒体HGの流れ方向の下流側を「後方」と定義する。
【0013】
図1は本実施形態に係るフィルム冷却構造10における冷却孔30の上面図である。図2は本実施形態に係るフィルム冷却構造10の断面図である。また、図3は、冷却孔30の延伸方向EDに沿って当該冷却孔を出口側から見た図である。以下、説明の便宜上、冷却孔30の延伸方向EDと直交し且つ壁部20に沿った方向を幅方向WDと称する。また、冷却孔30の延伸方向ED及び幅方向WDと直交する方向を、高さ方向HDと称する。さらに、幅方向WDにおける長さを「幅」と称する。高さ方向HDにおける長さを「高さ」と称する。
【0014】
図2に示すように、フィルム冷却構造10は、壁部20と、冷却孔30とを備えている。壁部20は、内面21及び外面22を有すると共に、前方から後方に延伸している。外面22は熱媒体HGに曝される。一方、内面21は、所定の圧力が掛けられた冷却媒体CGに面する。なお、壁部20の材料は、公知の耐熱合金を適用できる。
【0015】
冷却孔30は冷却媒体CGの流路であり、管状(筒状)に延伸する内周面31を有する。冷却孔30は、壁部20の内面21に開口する入口32と、壁部20の外面22に開口する出口33とを含む。即ち、管状の内周面31は、内面21に開口する入口32、及び外面22に開口する出口33を形成する
【0016】
冷却孔30は、出口33が入口32よりも後方に位置するように傾斜した状態で壁部20を貫通している。換言すれば、冷却孔30は、壁部20の厚さ方向TDに対して熱媒体HGの流れ方向に傾斜した角度で、内面21から外面22まで延伸している。冷却媒体CGは冷却孔30の入口32から流入し、冷却孔30の出口33から流出する。
【0017】
図1及び図2に示すように、冷却孔30は直管部34と、スロート35と、ディフューザ部36とを含む。直管部34は、冷却孔30の入口32を有する。直管部34は、当該入口32からディフューザ部36に向けて延伸し、スロート35を介してディフューザ部36に接続(連通)している。直管部34は、楕円や前方に湾曲した半円状の流路断面を有する。なお、直管部34の流路断面は、三角形や矩形などの多角形でもよい。何れも、直管部34の流路断面は、後述のスロート35に近づくにつれて、スロート35の流路断面(断面形状)に近づくように壁部20に沿った扁平な形状に変化する。
【0018】
スロート35は、冷却孔30がもつ断面積のなかで最小の断面積(面積)の流路断面35Aをもつ流路(狭窄部、狭小部)である。流路断面35Aは、壁部20に沿って扁平である。即ち、スロート35の幅は、スロート35の高さに比べて十分に大きい。なお、ここでいう断面積は、冷却孔30の延伸方向EDと直交する断面の面積を指す。また、スロート35の幅は、直管部34の幅に等しくてもよく、直管部34の幅より大きくてもよい。何れも場合も、スロート35の幅はディフューザ部36の最小幅に等しい。
【0019】
ディフューザ部36は、スロート35から出口33まで延伸している。ディフューザ部36は、流路断面36Aを含む。流路断面36Aは、出口33に近づくにつれて後方及び壁部20に沿って(即ち幅方向WDに)拡大する。例えば、図3に示すように、流路断面36Aは壁部20に沿って扁平な半円状に形成される。この場合、ディフューザ部36は、半円状の流路断面36Aを形成する内周面31としての平面37及び曲面38を有する。平面37は曲面38よりも前方に位置し、幅方向に延伸している。一方、曲面38は平面37よりも後方に位置し、後方に湾曲している。つまり、平面37は上述の半円状断面の外縁における弦、曲面38は当該外縁における弧とも言える。ただし、後述の通り、この「弦」は直線に限られない。なお、平面37と曲面38は、両者を滑らかに接続するための微小な曲面(フィレット)を介して一体的に(連続的に)形成されている。
【0020】
図1及び図3に示すようにディフューザ部36の流路断面36Aの幅は、出口33に近づくにつれて増加する。また、図3に示すように、流路断面36Aの高さも、出口33に近づくにつれて増加する。ただし、冷却孔30の延伸方向から見たスロート35の流路断面35Aの位置を基準として、流路断面36Aの高さは、出口33に近づくにつれて前方よりも後方へ大きく増加する。
【0021】
図2及び図3に示すように、冷却孔30の内周面31は、平面部31aと、凸部(第1の凸部)31bとを含む。平面部31aは、内周面31のうちの前側の部位31cにおいて幅方向WDに延伸する帯状の平面である。なお、冷却孔30の延伸方向EDにおける平面部31aの長さは、平面部31aに最も近接する凸部31bの頂部に対向できている限り任意である。
【0022】
凸部31bは、平面部31aとの間で最小面積の流路断面35Aをもつスロート35を形成する。換言すれば、凸部31bと平面部31aは、両者の間で最小面積の流路断面35Aをもつスロート35を構成する。凸部31bは、内周面31のうちの後側の部位31dから平面部31aに向けて突出し、平面部31aと平行に延伸する。凸部31bの頂部は、高さ方向HDに所定の間隔だけ平面部31aから離れており、その結果、上述のスロート35が形成される。換言すれば、平面部31aと凸部31bは、内周面31においてスロート35が形成される位置に設けられる。
【0023】
図3に示すように、直管部34、スロート35及びディフューザ部36のそれぞれにおける内周面31のうち、最も前方に位置する部位(スロート35においては平面部31a)は、冷却孔30の延伸方向EDから見て、高さ方向HDで同一の位置(高さ、レベル)に位置している。例えば、直管部34、スロート35及びディフューザ部36は何れも、前側において、冷却孔30の延伸方向ED及び幅方向WDに延伸する仮想面50に接していてもよい。
【0024】
図4は、冷却孔30における冷却媒体CGの流れを示す図である。図4では冷却媒体CGの主流を実線で示している。図5は、冷却孔における冷却媒体CGの流れの速度分布を説明するための図であり、(a)はスロート35における速度分布の模式的な一例を示す図、(b)はディフューザ部36における速度分布の模式的な一例を示す図である。
【0025】
図4に示すように、冷却媒体CGの主流は直管部34からディフューザ部36に向けて流れている。一方、ディフューザ部36の上流側(入口32に近い側)には、スロート35を形成する凸部31bが設けられている。上述の通り、凸部31bは内周面31のうちの後側の部位31dから内周面31のうちの前側の部位31cに向けて突出している。従って、凸部31bは、冷却媒体CGの主流を前方に(換言すれば、前側の部位31c又は平面部31aに向けて)偏向させる。
【0026】
凸部31bは、内周面31の平面部31aと共にスロート35を形成する。スロート35において冷却孔30の断面積は最小となっており、その流路断面35Aは幅方向WDに沿って扁平な形状となっている。従って、冷却媒体CGの主流は、スロート35に向かうにつれて、圧縮されつつ加速する。
【0027】
スロート35を通過した後も、冷却媒体CGの流れは、前方に偏った状態で出口33に流れる。一方、冷却孔30の流路は、ディフューザ部36において幅方向WDに拡大している。従って、冷却媒体CGの主流は、前方に偏った状態を維持しつつ、幅方向に拡大し、出口33から流出する。
【0028】
上述の通り、冷却媒体CGの主流は、前方に圧縮されながら加速される。これにより、加速された冷却媒体CGと熱媒体HGの主流との速度差が減少する。その結果、冷却孔30の出口33から流出したときの冷却媒体CGと熱媒体HGとの混合時に生じる空力損失(圧力損失)を抑えることができる。
【0029】
また、ディフューザ部36によって冷却媒体CGの主流は、幅方向WDに拡大(分散)する。従って、空力損失を抑えつつ広範囲なフィルム冷却を行うことができる。即ち、冷却媒体CGによる冷却効率を向上させることができる。
【0030】
なお、図1図3において点線で示すように、ディフューザ部36における冷却孔の内周面31のうちの前側の面(前側の部位31c、例えば平面37)は、凸部(第2の凸部)39を含んでもよい。凸部39は、後方に突出すると共に出口33まで延伸する。また、凸部39の幅は延伸方向EDに沿って一定でもよく、或いは、出口33に近づくにつれて増加してもよい。また、凸部39は、最も後方に突出する頂部39aを含む。図3に示すように、この頂部39aは、幅方向WDにおけるディフューザ部36の中央に位置してもよい。何れの場合も、凸部39は、冷却孔30の延伸方向EDから見て、スロート35の一部を塞いでいる。従って、凸部39は、前方に偏った冷却媒体CGの主流の、ディフューザ部36による幅方向への拡大を促進させる。この拡大の促進により、フィルム冷却の範囲を幅方向WDに拡大させることができる。
【0031】
本実施形態のフィルム冷却構造10は、ガスタービンエンジン用タービン翼に適用できる。図6は、当該タービン翼(静翼60)の概略構成を示す斜視図である。静翼60は、動翼(図示せず)と共にガスタービンエンジン(図示せず)のタービン(図示せず)を構成する。なお、フィルム冷却構造10は、タービン(図示せず)を構成するタービン翼である動翼(図示せず)にも適用できる。
【0032】
図6は、静翼60の概略構成を示す斜視図である。この図に示すように、静翼60は、翼体61と、バンド部62と、冷却孔30とを備えている。翼体61は、上述の熱媒体HGとしての燃焼ガスを排出する燃焼器(図示せず)の下流側に配置されており、燃焼ガスの流路に配置されている。
【0033】
翼体61は、前縁61aと、後縁61bと、正圧面(腹側)61cと、負圧面(背側)61dとを有する。熱媒体HGとしての燃焼ガスは、正圧面61c及び負圧面61dに沿って、前縁61aから後縁61bに向かう方向に流れている。
【0034】
翼体61は、冷却媒体CGとしての冷却空気が導入される内部空間(空洞、冷却流路、図示せず)を有している。冷却空気は、例えば圧縮機(図示せず)から抽気される。バンド部62は、スパン方向SDにおいて翼体61を挟み込むように設けられ、燃焼ガスの流路壁(エンドウォール、プラットフォーム、シュラウド)の一部として機能する。これらのバンド部62は、翼体61のチップとハブに一体化されている。
【0035】
本実施形態において、フィルム冷却構造10は、翼体61の正圧面61c及び負圧面61dのうちの少なくとも一方に適用される。即ち、翼体61の正圧面61c及び負圧面61dのうちの少なくとも一方が、フィルム冷却構造10の壁部20として機能し、且つ、そこに複数の冷却孔30が形成されている。以下、説明の便宜上、フィルム冷却構造10が正圧面61cに設けられている例を挙げて説明する。
【0036】
冷却孔30は、出口33が入口32よりも後縁61bの近くに位置するように傾斜した状態で、正圧面61cに形成されている。また、ディフューザ部36の平面37は、冷却孔30の延伸方向ED及び翼体61のスパン方向SDに延伸している。
【0037】
正圧面61cにおいて、燃焼ガスの主流は前縁61aから後縁61bに向かう方向に流れている。一方、翼体61に導入された冷却空気は、冷却孔30の入口32から流入し、出口33から流出する。出口33から流出した冷却空気は、燃焼ガスの主流に合流しつつ下流に流れる。出口33から流出の際、冷却空気はスパン方向SDに拡大されている。従って、正圧面61c上の冷却範囲をスパン方向SDに広げることができる。
【0038】
また、冷却空気は、出口33から流出するまでに加速される。これにより、冷却空気の主流と燃焼ガスの主流との速度差が減少し、空力損失を抑えることができる。即ち、空力損失を抑えつつ広範囲なフィルム冷却を行うことが可能なタービン翼を提供することができる。
【0039】
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6