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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】車両用電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6563 20140101AFI20230322BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230322BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20230322BHJP
   H01M 10/6566 20140101ALI20230322BHJP
【FI】
H01M10/6563
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6566
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021562547
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(86)【国際出願番号】 JP2020042555
(87)【国際公開番号】W WO2021111850
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2019220919
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177460
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】宮地 崇史
(72)【発明者】
【氏名】平岩 義雄
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-345454(JP,A)
【文献】特開2008-260458(JP,A)
【文献】特開2011-093427(JP,A)
【文献】特開2014-229560(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157263(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/158829(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6563
H01M 10/6566
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の内部に収容されて車両に搭載される二次電池と、
前記容器の内部にて前記二次電池に隣接して配置され、前記車両に搭載された電気回路と前記二次電池との間で電圧を変換するように構成されたコンバーターと、
前記コンバーターの前記車両の上下方向において上方に配置され、前記コンバーターの近傍の空気を前記二次電池から離隔する方向に送給するファンとを備える、車両用電池パック。
【請求項2】
前記容器に形成され、前記容器の外部から内部へと空気を導入させる入口開口部と、
前記容器に形成され、前記ファンが送給する前記空気を前記容器の内部から外部へと流出させる出口開口部と、をさらに備え、
前記コンバーター及び前記ファンが、前記容器の内部にて上面視で前記二次電池を挟んで前記入口開口部とは反対側に配置される、請求項1記載の車両用電池パック。
【請求項3】
前記出口開口部が、前記上面視で前記コンバーター及び前記ファンを挟んで前記二次電池とは反対側において、前記容器の底面に形成される、請求項2記載の車両用電池パック。
【請求項4】
前記ファンが、該ファンの下面側に前記空気の取り入れ口を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用電池パック。
【請求項5】
前記コンバーターが、該コンバーターの上面側にヒートシンクを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用電池パック。
【請求項6】
前記二次電池及び前記コンバーターが前記車両の幅方向に隣接して配置される、請求項1~5のいずれか1項に記載の車両用電池パック。
【請求項7】
前記二次電池よりも前方にて前記車両の幅方向に延在し、前記二次電池と前記コンバーターと前記ファンとが固定される第一横架材と、
前記二次電池よりも後方にて前記幅方向に延在し、前記二次電池と前記コンバーターと前記ファンとが固定される第二横架材とを備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の車両用電池パック。
【請求項8】
上面視で前記二次電池と前記コンバーターとの間を区画するように、第一横架材と第二横架材との間を前記車両の前後方向に接続するフレーム部材を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の車両用電池パック。
【請求項9】
前記二次電池と前記容器との間の隙間は、前記二次電池の下面側に形成される第一隙間と、前記二次電池の上面側に形成される第二隙間と、を含み、
前記第一隙間は前記第二隙間よりも大きい、請求項1~8のいずれか1項に記載の車両用電池パック。
【請求項10】
前記二次電池が、前記第一隙間に対して露出した電池セルを含む、請求項9記載の車両用電池パック。
【請求項11】
前記ファンが、該ファンの上下方向に延在する回転軸を有するとともに該ファンの水平方向に前記空気を圧送するシロッコファンである、請求項1~10のいずれか1項に記載の車両用電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載される二次電池の電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、車両に搭載される二次電池(セル,セルスタックなど)をファンで空冷することで、温度上昇による二次電池の劣化や性能低下を抑制する技術が存在する。例えば、冷却ファンを電池パックに内蔵させ、電池パック内で空気を循環させて二次電池を冷却するものが知られている。また、冷却風を電池パックの外部から取り込むことで冷却効率を高めたものも知られている(例えば、日本国特開2014-229560号公報、及び国際公開第2016/157263号を参照)。
【0003】
二次電池だけでなくコンバーターや制御回路が電池パックに内蔵される場合には、それらについても冷却することが好ましい。このような課題を踏まえて、国際公開第2016/157263号に記載の技術では、二次電池とコンバーターとの間に区画壁を設け、冷却風の流路を分離することで風量バランスを維持することが記載されている。これにより、二次電池とコンバーターとの両方が効率的に冷却され、冷却性能が確保されうる。
【0004】
しかしながら、国際公開第2016/157263号に記載の構造では、二次電池とコンバーターとの各々に独立した冷却風の流路が設けられることから、電池パックのサイズが大きくなりやすく、ダウンサイジングが困難である。特に、車両に搭載される電池パックにおいては、電池パックの大きさが車両搭載性に多大な影響を与える。一方、国際公開第2016/157263号に記載の構造において、隔壁を設けることなく、単に二次電池とコンバーターとを電池パックに内蔵させてしまうと、コンバーターで発生した熱が二次電池の温度を上昇させ、二次電池の劣化や性能低下を招くおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、冷却性能及び車両搭載性を改善できるようにした車両用電池パックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、車両用電池パックは、二次電池とコンバーターとファンとを備える。二次電池は、容器の内部に収容されて車両に搭載される。コンバーターは、容器の内部にて二次電池に隣接して配置され、車両に搭載された電気回路と二次電池との間で電圧を変換する。コンバーターの上方に配置され、コンバーターの近傍の空気を二次電池から離隔する方向に送給する。
【0007】
ファンを用いてコンバーターの近傍の空気を二次電池から離隔する方向に送給することで、コンバーターで発生した熱による、二次電池の温度上昇を抑制することができ、冷却性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、車両用電池パックの模式的な分解斜視図である。
図2図2は、車両用電池パックの模式的な断面図である。
図3図3は、車両用電池パックの内部構造を示す模式的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1.構成]
図1は、実施例としての電池パック1(車両用電池パック)の構造を分解して示す斜視図である。また、図2は電池パック1の縦断面図であり、図3は電池パック1の上面図である。図中の前後左右上下は、電池パック1が搭載された車両の運転者を基準にして定められる方向を表す。また、図2中に示す太矢印は、空気が流れる方向を表す。
【0010】
電池パック1は、車両のフロア下や車室内,荷室内などに搭載される。電池パック1が搭載される車両の種類には、電気自動車やハイブリッド自動車だけでなく、エンジン車両(例えば、ガソリン自動車,ディーゼル自動車など)が含まれる。車両には、少なくとも電池パック1の電力が供給される電気回路(例えば、モーター駆動回路や電装品駆動回路など)が搭載される。図1図3に示すように、電池パック1は、容器5,6の内部に二次電池2,コンバーター3,ファン4を備えた構造を持つ。
【0011】
二次電池2は、例えばリチウムイオン二次電池やリチウムイオンポリマー電池,ニッケル水素二次電池,鉛蓄電池などである。ここでいう二次電池2には、単電池(電池セル)だけでなく組電池(電池モジュール)が含まれる。二次電池2の電圧(開放電圧)は、電池パック1の電力が供給される電気回路に応じて設定される。例えば、電池パック1がマイルドハイブリッド自動車に搭載される場合には、二次電池2の電圧が48[V]前後に設定される。なお、マイルドハイブリッド自動車には、走行用モーターを駆動するための第一電気回路(48ボルト動力回路)と、補機類を駆動するための第二電気回路(12ボルト動力回路)とが設けられる。二次電池2に蓄えられている電力は、第一電気回路に対して直接的に供給される。第二電気回路に対しては、コンバーター3を介して降圧された後に供給されることになる。
【0012】
図2に示すように、二次電池2は容器5,6の内部で上方寄りの位置に配置される。二次電池2と容器5,6との隙間に着目すると、二次電池2の下面側の第一隙間21は、上面側の第二隙間22よりも大きく形成される。第一隙間21は、二次電池2と下容器6(後述する)との間の隙間であり、第二隙間22は、二次電池2と上容器5(後述する)との間の隙間である。これにより、冷却風が二次電池2の下方を通過しやすくなっている。本実施形態の二次電池2は組電池であり、電池セル20が二次電池2の下面側に露出している。電池セル20を第一隙間21に対して露出させることで、電池セル20の放熱性が改善される。
【0013】
コンバーター3は、二次電池2と車両に搭載された電気回路との間に介装される変圧器(DC-DCコンバーター)であり、二次電池2に蓄えられた電力を変圧して車両側に給電する機能と、車両側で生成された電力(例えば発電電力や回生電力など)を変圧して二次電池2を充電する機能とを併せ持つ。例えば、電圧が48[V]前後に設定された二次電池2に対し、コンバーター3はその電圧を12[V]に降圧して補機類に供給する役割を担う。なお、コンバーター3における電力の供給方向や電圧の変化方向(昇圧,降圧)はこれに限定されない。
【0014】
コンバーター3は、容器5,6の内部において、二次電池2に隣接する位置に配置される。コンバーター3の発熱量は二次電池2の発熱量と比較して大きいため、コンバーター3は、二次電池2よりも冷却風の下流側に取り付けられる。図1に示す二次電池2,コンバーター3は、車幅方向に並ぶように配置されている。二次電池2とコンバーター3との間は、バスバー17で接続される。また、コンバーター3の上面側には、放熱用のヒートシンク12が設けられる。ヒートシンク12は、伝熱性の高い金属で形成され、空気との接触面積が大きくなる形状(例えば、針や櫛などの形状)に成型される。
【0015】
ファン4は、二次電池2とコンバーター3とを冷却する空気の流れを生成するための送風装置である。このファン4は、コンバーター3の上方に配置され、コンバーター3の近傍の空気を二次電池2から離隔する方向に送給する機能を持つ。ファン4の内部には、電動モーターに接続されたフィン(図示せず)が回動可能に設けられる。また、コンバーター3(ヒートシンク12)と対向するファン4の下面側には、空気の取り入れ口11が形成される。
【0016】
図1に示すファン4はシロッコファン(遠心式送風機)であり、フィンの回転軸が上下方向に延在するように配置される。フィンを回転させることで、ファン4の下面に設けられた取り入れ口11から空気が吸い込まれ、フィンの遠心方向である水平方向に空気が圧送される。圧送された空気は、ファンダクト18を通過してその先端の吹き出し口10から下向きに送給される。ファンダクト18は、回転軸を中心としてファン4の前面側から時計回りに延設され、二次電池2とは反対側(ファン4の右側面側)で開口している。
【0017】
容器5,6は、上容器5と下容器6とを組み合わせて形成される電池パック1の外装材である。上容器5は、下方が開放された容器状に形成され、下容器6は上方が開放された容器状に形成される。これらの開口部同士を合わせて合体させることで、中空の容器5,6が形成される。容器5,6の材質は、所定の強度や剛性を持った合成樹脂や発泡樹脂とされる。なお、容器5,6の内部は厳密に気密にする必要はないが、保護性を向上させるためには、大きな隙間ができないように上容器5,下容器6の形状を設計することが好ましい。
【0018】
上容器5には、空気を内部に導入させるための入口開口部7が設けられる。入口開口部7は、上容器5の側面に形成される。入口開口部7の位置は、図3に示すように、上面視で二次電池2を挟んでコンバーター3やファン4とは反対側に設定される。図1図3に示す入口開口部7の位置は、二次電池2よりも左側である。これにより、入口開口部7を介して容器5,6の外部から内部へと導入される空気は、コンバーター3の近傍を通過する前に二次電池2の近傍を通過する。したがって、コンバーター3で発生した熱が二次電池2へと伝達されにくくなり、二次電池2の冷却性能が向上する。なお、入口開口部7には車室内に連通したダクト9が接続される。これにより、車室内の空気が電池パック1の冷却風として活用される。
【0019】
下容器6には、ファン4が送給する空気を容器5,6の内部から外部へと流出させる出口開口部8が設けられる。出口開口部8は、下容器6の下面(底面)に形成される。出口開口部8の位置は、上面視でコンバーター3を挟んで二次電池2とは反対側に設定される。図3に示すように、上面視で入口開口部7と出口開口部8とを結ぶ仮想線(図3中の二点鎖線)を描いたときに、その仮想線上で二次電池2がコンバーター3よりも入口開口部7に近接し、コンバーター3が二次電池2よりも出口開口部8に近接するレイアウトが実現される。
【0020】
二次電池2,コンバーター3,ファン4の前後には、車両の第一横架材13と第二横架材14とが配置される。これらの第一横架材13,第二横架材14は、左右のサイドメンバーに固定されるフレームである。第一横架材13は、二次電池2,コンバーター3,ファン4よりも前方にて車幅方向に延在し、第二横架材14は、それらの後方にて車幅方向に延在する。サイドメンバーは、車長方向に延在するフレームであり、車幅方向に所定の間隔をあけて左右に一対設けられる。二次電池2,コンバーター3,ファン4の各々は、ブラケット16を介して第一横架材13と第二横架材14とに固定される。
【0021】
本実施形態の第一横架材13はシートクロスメンバーであり、乗員用の座席(シート)の足元が第一横架材13に固定されるようになっている。第二横架材14はサブシートクロスメンバーであり、第一横架材13よりも後方において、第一横架材13に対してほぼ平行に配置される。これらの第一横架材13,第二横架材14は、下容器6の側面を貫通するように設けてもよい。あるいは、容器5,6の接合面を第一横架材13,第二横架材14の形状に見合った形に形成しておいてもよい。
【0022】
第一横架材13と第二横架材14との間は、フレーム部材15で接続される。フレーム部材15は、二次電池2とコンバーター3との間に延在するフレームであり、前後方向の荷重(例えば、後突荷重や前突荷重)を支える補強部材として機能する。また、フレーム部材15は、上面視で二次電池とコンバーターとの間を区画するように配置される。なお、フレーム部材15を省略することで、容器5,6の内部における冷却風の流路抵抗を低減させてもよい。あるいは、図2に示すように、フレーム部材15を二次電池2の下面よりも上方に位置させることで、冷却風の流路抵抗を低減させてもよい。
【0023】
[2.効果]
(1)上記の電池パック1には、二次電池2とコンバーター3とファン4とが設けられる。ファン4は、コンバーター3の上方に配置され、コンバーター3の近傍の空気を二次電池2から離隔する方向に送給する。これにより、コンバーター3で発生した熱が二次電池2へと伝達されにくくなり、二次電池2の温度上昇が抑制される。したがって、二次電池2の冷却性能を向上させることができる。また、コンバーター3の上方にファン4が配置されることから、コンバーター3で発生した熱を効率よくファン4で遠くまで移送することができ、コンバーター3の冷却性能を向上させることができる。さらに、コンバーター3は二次電池2に隣接して配置されることから、電池パック1のサイズを小さくすることができ、車両搭載性を向上させることができる。このように、上記の電池パック1によれば、電池パック1の冷却性能及び車両搭載性を改善することができる。
【0024】
(2)上記の電池パック1には、入口開口部7と出口開口部8とが設けられる。図3に示すように、コンバーター3及びファン4は、上面視で二次電池2を挟んで入口開口部7とは反対側に配置される。これにより、二次電池2からコンバーター3に向かう冷却風の流れを生じさせることが容易となり、電池パック1の冷却性能を向上させることができる。また、構成が簡素であることから、電池パック1の製造にかかるコストを削減することができ、商品性を高めることができる。
【0025】
(3)上記の電池パック1では、出口開口部8が下容器6の底面に形成される。出口開口部8は、上面視でコンバーター3及びファン4を挟んで二次電池2とは反対側に配置される。これにより、コンバーター3で発生した熱を確実に二次電池2から離れた方向へ移動させることができ、電池パック1の冷却性能を向上させることができる。また、電池パック1の内部で発生した熱を車両下面側(路面側)に廃棄することが容易となり、電池パック1の冷却性能を向上させることができる。
【0026】
(4)図2に示すように、ファン4の下面側には空気の取り入れ口11が設けられる。これにより、コンバーター3から上方向に向かって移動する高温の空気を効率よくファン4で回収することができ、コンバーター3の冷却性能を向上させることができる。
(5)また、コンバーター3の上面側にはヒートシンク12が設けられる。これにより、コンバーター3で発生した熱を効率よく発散させることができ、コンバーター3の冷却性能を向上させることができる。また、ヒートシンク12を空気の取り入れ口11に対向させることで、コンバーター3の冷却性能をさらに向上させることができる。
【0027】
(6)上記の電池パック1では、二次電池2とコンバーター3とが車幅方向に隣接して配置される。これにより、電池パック1の車長方向(前後方向)の寸法をコンパクトにまとめることができ、車両搭載性を向上させることができる。また、車両の走行風に対して、二次電池2の下面部分とコンバーター3の下面部分とが均等に冷却されやすくなることから、走行風による容器5,6の冷却効率を向上させることができる。
【0028】
(7)図1に示すように、二次電池2の前後には、車両のフレームの一部である第一横架材13と第二横架材14とが設けられる。二次電池2,コンバーター3,ファン4のそれぞれは、第一横架材13と第二横架材14とに固定される。第一横架材13は、二次電池2,コンバーター3,ファン4の前方側を保護するように機能し、第二横架材14は、二次電池2,コンバーター3,ファン4の後方側を保護するように機能する。したがって、電池パック1の保護性能を向上させることができる。また、二次電池2,コンバーター3,ファン4を車両のフレームに固定することで、取り付け状態の安定性を向上させることができる。
【0029】
(8)第一横架材13と第二横架材14との間には、フレーム部材15が設けられる。これにより、前後方向の荷重に対する強度や剛性を高めることができ、電池パック1の保護性能を向上させることができる。また、図3に示すように、フレーム部材15を二次電池2の下面よりも上方に位置させた場合には、容器5,6の内部における冷却風の流路抵抗を低減させることができ、電池パック1の冷却性能を向上させることができる。
【0030】
(9)上記の電池パック1では、二次電池2が容器5,6の内部で上方寄りの位置に配置される。図2に示すように、二次電池2の下面側の隙間である第一隙間21は、上面側の隙間である第二隙間22よりも大きく形成される。このような構造により、二次電池2の下方に冷却風の通路を形成することができ、二次電池2の冷却性能を向上させることができる。
(10)また、二次電池2の電池セル20を第一隙間21に対して露出させることで、電池セル20の放熱性を改善することができ、二次電池2の冷却性能をさらに向上させることができる。
【0031】
(11)上記の電池パック1には、シロッコファンが用いられる。シロッコファンは、フィンの回転軸から放射方向外側(遠心方向)に空気を圧送する送風機である。それゆえ、ファンダクト18を二次電池2から離れる方向に延設することで、コンバーター3の近傍の空気を容易に二次電池2から遠くへと移動させることができる。したがって、コストを抑えつつ、簡素な構成で冷却性能の高い電池パック1を実現することができる。
【0032】
[3.変形例]
上記の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、本実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。少なくとも、二次電池2に隣接して配置されたコンバーター3の上方にファン4を配置して、コンバーター3の近傍の空気を二次電池2から離隔する方向に送給させることで、上述の実施形態と同様の効果を奏するものとなる。
【0033】
本出願は、2019年12月6日出願の日本特許出願特願2019-220919に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0034】
1 電池パック
12 ヒートシンク
2 二次電池
13 第一横架材
3 コンバーター
14 第二横架材
4 ファン
15 フレーム部材
5 上容器
16 ブラケット
6 下容器
17 バスバー
7 入口開口部
18 ファンダクト
8 出口開口部
20 電池セル
9 ダクト
21 第一隙間
10 吹き出し口
22 第二隙間
11 取り入れ口
図1
図2
図3