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特許7248214非連続的な製造方法によるアルキル2-アセチル-5,9,13-トリメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアート及び誘導体の合成
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  • 特許-非連続的な製造方法によるアルキル2-アセチル-5,9,13-トリメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアート及び誘導体の合成 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】非連続的な製造方法によるアルキル2-アセチル-5,9,13-トリメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアート及び誘導体の合成
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/343 20060101AFI20230322BHJP
   C07C 69/738 20060101ALI20230322BHJP
   C07C 49/203 20060101ALI20230322BHJP
   C07C 45/67 20060101ALI20230322BHJP
   C07C 45/62 20060101ALI20230322BHJP
   C07C 49/04 20060101ALI20230322BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230322BHJP
【FI】
C07C67/343
C07C69/738 Z
C07C49/203 E
C07C45/67
C07C45/62
C07C49/04 E
C07B61/00 300
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020529133
(86)(22)【出願日】2018-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 EP2018084270
(87)【国際公開番号】W WO2019121134
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】17208961.7
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ジョレー, マーセル
(72)【発明者】
【氏名】ステムラー, レネ トビアス
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-045111(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0044084(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105859534(CN,A)
【文献】Bortoletto, M. H. et al.,Catalytic carbon-carbon coupling reaction inbiphasic liquid-liquid systems: Mechanistic aspects in vitamin E precursor synthesis,Applied Catalysis A: General,1997年,156(2),pp. 347-357
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C67/343
C07C69/738
C07C49/203
C07C45/62-45/67
C07C49/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

の化合物を、式(II)
【化2】

の化合物と、式(III)
【化3】

の化合物とを非連続プロセスにおいて、
i)ロジウム錯体及び式(IV-a)若しくは(IV-b)の水溶性ホスフィン塩の混合物、又は
ii)ロジウム錯体及び式(IV-a)若しくは(IV-b)の水溶性ホスフィン塩の反応から得られるロジウム錯体
【化4】

のいずれかの存在下且つ水並びにC~Cアルコール、C~Cアルコールのアルキルエーテル、C~Cアルカンジオール、C~Cアルカンジオールのモノアルキルエーテル、C~Cアルカンジオールのジアルキルエーテル、C~Cカルボン酸又はジカルボン酸のエステル、ラクトン及びラクタムからなる群から選択される有機溶媒の存在下で反応させることによって製造する方法であって、式中、
残基Rは、C1~10-アルキル基を表し、
nは、1~4の値を表し、
n+は、電荷+nの有機又は無機カチオンを表し、
式(I)中の点線は、2つの表示された位置の一方に位置する炭素-炭素二重結合を示す、方法。
【請求項2】
前記水溶性ホスフィン塩は、式(IV-a)のものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ロジウム錯体は、配位子として2つのアルケン又はジエンを配位させるロジウム(I)錯体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ロジウム錯体は、[Rh(COD)X]であり、式中、CODは、シクロオクタ-1,5-ジエンを表し、及びXは、ハロゲン化物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記ロジウム錯体及び式(IV-a)又は(IV-b)の水溶性ホスフィン塩のモル比は、3~50であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記式(III)の化合物の前記式(II)の化合物に対するモル比は、1~5であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ロジウム錯体のモル比は、前記式(II)の化合物の量に対して0.01~0.5モル%の濃度で使用されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記式(II)の化合物と式(III)の化合物との前記反応は、5:1~1:10の水対アルコールの体積比において水及びアルコールの存在下で実施されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
式(V)
【化5】

の化合物を製造する方法であって、
a)請求項1~8のいずれか一項に記載の方法に従って式(I)の化合物を製造するステップと、
b)ステップa)で得られた前記式(I)の化合物を水の存在下で脱炭酸して、式(V)の化合物を生じさせるステップと
を含む方法において、式(V)中の点線は、2つの表示された位置の一方に位置する炭素-炭素二重結合を示すことを特徴とする方法。
【請求項10】
式(VI)
【化6】

の化合物を製造する方法であって、
c)請求項9に記載の方法に従って式(V)の化合物を製造するステップと、
d)ステップc)で得られた前記式()の化合物を水素化して、式(VI)の化合物を生じさせるステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、アルキル2-アセチル-5,9,13-トリメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアート及びアルキル2-アセチル-9,13-ジメチル-5-メチレンテトラデカ-8,12-ジエノアート並びに6,10,14-トリメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン及び10,14-ジメチル-6-メチレンペンタデカ-9,13-ジエン-2-オン及び6,10,14-トリメチルペンタデカン-2-オンの製造に関する。
【0002】
[発明の背景]
6,10,14-トリメチルペンタデカン-2-オン(=ヘキサヒドロファルネシルアセトン)は、それぞれビタミンEの合成のために重要な中間体又は出発材料である化合物である。
【0003】
6,10,14-トリメチルペンタデカン-2-オンを目的とする既知の経路は、6,10,14-トリメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン(=ファルネシルアセトン)及び/又はその二重結合位置異性体、例えば10,14-ジメチル-6-メチレンペンタデカ-9,13-ジエン-2-オンの水素化からなる。
【0004】
6,10,14-トリメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オンの合成のためのいくつかの経路が存在する。これらの経路の1つは、ベータ-ファルネセンから出発する。ベータ-ファルネセンは、天然に存在する化合物である。ベータ-ファルネセンの生物工学的合成における最近の発展により、この経路への関心が高まっている。
【0005】
中国特許出願公開第105859534A号明細書は、連続反応器内でロジウム錯体及びスルホン化トリフェニルホスフィンを用いてベータ-ファルネセンから6,10,14-トリメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン及び10,14-ジメチル-6-メチレンペンタデカ-9,13-ジエン-2-オンを合成するための連続プロセスを開示している。しかしながら、反応時間がかなり長く、非常に高い反応温度が使用される。より高い温度では、主にベータ-ファルネセンの二量体化反応に起因して、選択性が明らかに著しく低下することが観察されている。結果として、このようなプロセスは、工業的な大規模プロセスのために非常に限られた関心のみがもたれている。
【0006】
国際公開第2016/165959A1号パンフレットは、ベータ-ファルネセンから出発し、トリス(3-スルホナトフェニル)ホスフィン三ナトリウム(=TPPTS)及びロジウム錯体を用いて6,10,14-トリメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン及び10,14-ジメチル-6-メチレンペンタデカ-9,13-ジエン-2-オンを合成するための、十分な乱流攪拌条件(レイノルズ数Rが10’000を超える)での攪拌下の不連続プロセスを開示している。
【0007】
欧州特許出願公開第0044771A1号明細書は、同様に、ベータ-ファルネセンから出発してメチル-2-アセチル-9,13-ジメチル-5-メチレンテトラデカ-8,12-ジエノアート及びメチル-2-アセチル-5,9,13-トリメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアートを合成するためのトリス(3-スルホナトフェニル)ホスフィン三ナトリウム(=TPPTS)及びロジウム錯体)の使用を開示している。
【0008】
あらゆるコスト面の重要性のために、産業界では、工業規模での製品の合成の改善に対して持続的な必要性及び関心が示されている。
【0009】
したがって、反応収率が高いにもかかわらず、高容量、低触媒負荷量及び反応時間短縮の可能性を含む、非常に費用効率の高い合成が必要とされている。
【0010】
[発明の概要]
したがって、本発明によって解決すべき問題は、ベータ-ファルネセンからのアルキル2-アセチル-5,9,13-トリメチルテトラデカ-4,8,12-トリエノアート及びアルキル2-アセチル-9,13-ジメチル-5-メチレンテトラデカ-8,12-ジエノアート並びに6,10,14-トリメチルペンタデカ-5,9,13-トリエン-2-オン及び10,14-ジメチル-6-メチレンペンタデカ-9,13-ジエン-2-オン及び6,10,14-トリメチルペンタデカン-2-オンの合成の魅力を高めることである。
【0011】
特に、本発明は、費用効率の高いプロセスを可能にすることが示された。これは、特に、一方では非連続プロセスを使用し、且つ他方では式(IV-a)又は(IV-b)のモノ又はジスルホン化トリフェニルホスフィンの水溶性ホスフィン塩を使用することによって達成することができる。驚くべきことに、これらの水溶性ホスフィン塩の使用により、従来技術の文献で使用されるそれぞれのトリスルホン化トリフェニルホスフィン塩と比べて、高収率にもかかわらず、著しく速い反応を達成可能であることが見出された。
【0012】
本発明のさらなる態様は、さらなる独立請求項の主題である。特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】TPPMSを用いる反応は、TPPTSを用いる場合よりも著しく速い(転化率がより高い)ことを示す。
図2】連続反応において、高転化率及び低選択性又は低転化率及び高選択性のいずれかが達成可能であることを示す。
図3】連続反応において、高転化率及び低選択性又は低転化率及び高選択性のいずれかが達成可能であることを示す。
【0014】
[発明の詳細な説明]
第1の態様では、本発明は、式(I)
【化1】

の化合物を、式(II)
【化2】

の化合物と、式(III)
【化3】

の化合物とを非連続プロセスにおいて、
i)ロジウム錯体及び式(IV-a)若しくは(IV-b)の水溶性ホスフィン塩の混合物、又は
ii)ロジウム錯体及び式(IV-a)若しくは(IV-b)の水溶性ホスフィン塩の反応から得られるロジウム錯体
【化4】

のいずれかの存在下且つ水並びにC~Cアルコール、C~Cアルコールのアルキルエーテル、C~Cアルカンジオール、C~Cアルカンジオールのモノアルキルエーテル、C~Cアルカンジオールのジアルキルエーテル、C~Cカルボン酸又はジカルボン酸のエステル、ラクトン及びラクタムからなる群から選択される有機溶媒の存在下で反応させることによって製造する方法であって、式中、
残基Rは、C1~10-アルキル基、好ましくはC1~5-アルキル基、より好ましくはメチル基を表し、
nは、1~4の値、好ましくは1を表し、
n+は、電荷+nの有機又は無機カチオン、好ましくはアルカリ金属イオン、最も好ましくはNaを表し、
式(I)中の点線は、2つの表示された位置の一方に位置する炭素-炭素二重結合を示す、方法に関する。
【0015】
明確にするために、本明細書で使用されるいくつかの用語は、以下のように定義される。
【0016】
本明細書において、「Cx~y-アルキル」基は、x~y個の炭素原子を含むアルキル基であり、すなわち、例えば、C1~3-アルキル基は、1~3個の炭素原子を含むアルキル基である。アルキル基は、線状又は分枝状であり得る。例えば、-CH(CH)-CH-CHは、C-アルキル基であると考えられる。
【0017】
「Cx~y-アルキレン」基は、x~y個の炭素原子を含むアルキレン基であり、すなわち、例えば、C1~3-アルキレン基は、1~3個の炭素原子を含むアルキレン基である。アルキレン基は、線状又は分枝状であり得る。例えば、-CH-CH-CH-及び-CH(CH)-CH-及び-C(CH-CH)-及び-C(CH-は、全てC-アルキレン基であると考えられる。
【0018】
本明細書において、いくつかの式中に記号又は基の同一のラベルが存在する場合、1つの特定の式との関連でなされる前記基又は記号の定義は、同じ前記ラベルを含む他の式にも当てはまる。
【0019】
上記の反応が非連続プロセスであることは、本発明の鍵である。これは、プロセスがバッチ式又は半バッチ式のいずれかで実施されることを意味する。出発材料が連続的に添加され、生成物が反応容器から連続的に取り出される連続プロセスとは対照的に、バッチ式プロセスは、反応器に反応パートナーを添加することを含み、反応が生じた後にのみ、反応器から全部の反応混合物が取り出される。半バッチ式プロセスでは、1つ又は複数の試薬は、時間をかけて反応容器に添加され、反応が生じた後にのみ、反応器から全部の反応混合物が取り出される。
【0020】
バッチ式プロセス及び半バッチ式プロセスは、高い費用効率で且つ標準の実用的な設備を用いて大量の式(I)の化合物を製造可能であるという利点を有する。反応時間は、重要な要素の1つであるため、低コストの大量製造のために反応速度が速いことが重要である。本発明の方法は、この利点を正確に示していることが分かった。
【0021】
この反応のための連続プロセス、特に微小流反応器を使用するプロセスでは、転化率を増大させるために温度を上昇させることが必要であると示されている。しかしながら、そうすることにより、反応の選択性、すなわち式(I)の化合物の特異的な形成が著しく低下する。この選択性の低下の結果として、反応生成物中により多量の二量体化生成物が見出され得る。これに反して、本発明は、非常に低い温度において非常に高い転化率と同時に非常に高い選択性を有する、式(I)の化合物の合成を可能にする。特に、二量体化生成物の量が最小限である。
【0022】
上記の方法において、式(II)の化合物は、式(III)の化合物と反応される。
【化5】
【0023】
ベータ-ファルネセンとしても知られている式(II)の化合物は、天然に存在する化合物であり、市販されている。
【0024】
式(III)の化合物は、ベータ-ケトエステルである。適切なベータ-ケトエステルは、当業者に知られている方法によって合成することができ、また市販もされている。
【0025】
式(II)の化合物は、式(III)の化合物と、非連続プロセスにおいて、
i)ロジウム錯体及び式(IV-a)若しくは(IV-b)の水溶性ホスフィン塩の混合物、又は
ii)ロジウム錯体及び式(IV-a)若しくは(IV-b)の水溶性ホスフィン塩の反応から得られるロジウム錯体
【化6】

のいずれかの存在下且つ水並びにC~Cアルコール、C~Cアルコールのアルキルエーテル、C~Cアルカンジオール、C~Cアルカンジオールのモノアルキルエーテル、C~Cアルカンジオールのジアルキルエーテル、C~Cカルボン酸又はジカルボン酸のエステル、ラクトン及びラクタムからなる群から選択される有機溶媒の存在下で反応される。
【0026】
この反応のためにロジウム錯体が必要である。このロジウム錯体は、その場で形成する(上記の変形i)を参照されたい)か、又は事前に調製して、それ自体を添加することができる(上記の変形ii)を参照されたい)。
【0027】
ロジウム錯体及び式(IV-a)又は(IV-b)の水溶性ホスフィン塩並びにその合成の詳細は、欧州特許出願公開第0044771A1号明細書、欧州特許出願公開第0441708A1号明細書及び米国特許第4,621,165号明細書から分かる。
【0028】
好ましいロジウム錯体は、配位子として2つのアルケン又はジエン、特にシクロオクタ-1,5-ジエン又はノルボルナジエンを配位させるロジウム(I)錯体である。
【0029】
ロジウム錯体[Rh(COD)X]は、本発明の目的に特に適していることが示されており、式中、CODは、シクロオクタ-1,5-ジエンを表し、及びXは、ハロゲン化物、好ましくはClである。最も好ましいロジウム錯体は、[Rh(COD)Cl]である。
【0030】
式(IV-a)又は(IV-b)の水溶性ホスフィン塩は、欧州特許出願公開第0107006A1号明細書で示される方法に従って合成することができる。
【0031】
式(IV-a)の水溶性ホスフィン塩は、(m-スルホナトフェニル)-ジフェニルホスフィン塩であり、式(IV-b)の水溶性ホスフィン塩は、ビス(m-スルホナトフェニル)フェニルホスフィン塩である。したがって、このホスフィン塩は、1つ又は2つのスルホナト(SO )基を有する。換言すると、従来技術の文献で分かるように、例えばトリス(3-スルホフェニル)ホスフィン三ナトリウム塩(=トリス(3-スルホナトフェニル)-ホスフィン三ナトリウム=TPPTS)の場合のように、トリフェニルホスフィンの3つのフェニル環の全てがスルホン化されるわけではない。
【0032】
n+は、電荷+nの有機又は無機カチオン、好ましくはアルカリ金属イオン、最も好ましくはNaを表す。
【0033】
したがって、式(IV-a)の好ましい水溶性ホスフィン塩は、(m-スルホナトフェニル)ジフェニルホスフィンナトリウム(=トリフェニルホスフィン-モノスルホン酸ナトリウム=TPPMS)であり、式(IV-b)の好ましい水溶性ホスフィン塩は、ビス(3-スルホナトフェニル)フェニルホスフィン二ナトリウム(=トリフェニルホスフィンジスルホン酸二ナトリウム=TPPDS)である。
【0034】
本発明者らは、式(IV-a)の化合物、特にTPPMS及び式(IV-b)の化合物、特にTPPDSがそれぞれの水溶性トリスルホン化ホスフィン塩(例えば、TPPTS)と比べて著しく速い反応を示すことを見出した。それにもかかわらず、高い収率及び選択性が維持される。これらの利点は、式(IV-a)の水溶性ホスフィン塩、好ましくはTPPMSが使用される場合に特に明白であることが示された。
【0035】
したがって、式(IV-a)の化合物、好ましくはTPPMSは、本発明において好ましい水溶性ホスフィン塩である。
【0036】
式(II)の化合物及び式(III)の化合物の上記反応は、水並びにC~Cアルコール、C~Cアルコールのアルキルエーテル、C~Cアルカンジオール、C~Cアルカンジオールのモノアルキルエーテル、C~Cアルカンジオールのジアルキルエーテル、C~Cカルボン酸又はジカルボン酸のエステル、ラクトン及びラクタムからなる群から選択される有機溶媒の存在下で実施される。
【0037】
~Cアルカンジオールとして特に適しているのは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、例えばPEG-200又はPEG-600及びポリプロピレングリコール(PPG)である。
【0038】
~Cアルカンジオールのモノアルキルエーテルとして特に適しているのは、特に、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、例えばPEG-200又はPEG-600及びポリプロピレングリコール(PPG)のモノ-C~Cアルキルエーテルである。
【0039】
~Cアルカンジオールのジアルキルエーテルとして特に適しているのは、特に、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、例えばPEG-200又はPEG-600及びポリプロピレングリコール(PPG)のジ-C~Cアルキルエーテルである。
【0040】
ロジウム錯体及び式(IV-a)又は(IV-b)の水溶性ホスフィン塩のモル比は、3~50、好ましくは5~40、より好ましくは10~25であることが好ましい。
【0041】
さらに、式(III)の化合物の式(II)の化合物に対するモル比は、1~5、好ましくは1.2~3、最も好ましくは1.7~2.5であることが好ましい。
【0042】
ロジウム錯体のモル比は、好ましくは、式(II)の化合物の量に対して0.01~0.5モル%、好ましくは0.01~0.05モル%の濃度で使用される。
【0043】
式(II)の化合物及び式(III)の化合物の反応は、好ましくは、5:1~1:10、特に2:1~1:4、好ましくは1.5:1~1:2の水対アルコールの体積比において水及びアルコール、特にエタノールの存在下で実行される。
【0044】
上記の方法は、式(I)
【化7】

の化合物を生じさせる。
【0045】
式(I)中の点線は、2つの表示された位置の一方に位置する炭素-炭素二重結合を示す。
【0046】
換言すると、上で示されるこの化合物の式(I)は、以下の2つの式(I-a)及び(I-b)の概略図である。
【化8】
【0047】
通常、本製造方法は、式(I-a)及び(I-b)の化合物の混合物を生じさせる。このような混合物を式(I-a)及び(I-b)の個々の異性体に分離することは、通常、適切な分離技術を使用することによって可能であるが、達成するのが非常に困難である。しかしながら、本明細書において後に記載されるように、式(I)の化合物が式(V)の化合物に変換可能であり、式(V)の化合物が、次に、好ましくはステップd)において水素化されて、式(VI)の化合物になることを考慮すれば、対象の炭素-炭素二重結合は、水素化され、両方の異性体は、水素化されると同じ生成物、すなわち式(VI)の化合物を生じるため、2つの異性体、すなわち式(I-a)及び(I-b)の単離は必要でない。
【化9】
【0048】
さらなる態様では、本発明は、式(V)
【化10】

の化合物を製造する方法であって、
a)上記で非常に詳細に記載された方法に従って式(I)の化合物を製造するステップと、
b)ステップa)で得られた式(I)の化合物を水の存在下で脱炭酸して、式(V)の化合物を生じさせるステップと
を含む方法に関する。
【0049】
式(I)の化合物は、ステップa)後に単離するか、又はステップb)によって式(V)の化合物に直接変換することができる。
【0050】
脱炭酸ステップb)は、塩基を用いて又は用いずに実行することができる。
【0051】
脱炭酸ステップb)を塩基の存在下で実施する場合、適切な塩基は、特に、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属炭酸水素塩、アルカリ金属及びアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩又はC~C-アルカノールのアルカリ金属アルカノラートである。塩基として、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム若しくは炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩、NaPO若しくはKPOなどのアルカリ金属リン酸塩又はナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド若しくはカリウムブトキシドなどのアルカリ金属アルカノラートを使用することが好ましい。
【0052】
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及びリン酸ナトリウムを使用することが特に好ましい。炭酸ナトリウムを使用することが非常に特に好ましい。
【0053】
特定の実施形態では、ステップb)は、炭酸ナトリウムの存在下で実行される。
【0054】
さらなる態様では、本発明は、式(VI)
【化11】

の化合物を製造する方法であって、
c)上記で非常に詳細に記載された方法に従って式(V)の化合物を製造するステップと、
d)ステップc)で得られた式(VI)の化合物を水素化して、式(VI)の化合物を生じさせるステップと
を含む方法に関する。
【0055】
換言すると、上記方法は、
a)上記で非常に詳細に記載された方法に従って式(I)の化合物を製造するステップと、
b)ステップa)で得られた式(I)の化合物を水の存在下で脱炭酸して、式(V)の化合物を生じさせるステップと、
d)ステップc)で得られた式(VI)の化合物を水素化して、式(VI)の化合物を生じさせるステップと
を含む。
【0056】
式(VI)の化合物を式(VI)の化合物に水素化するステップd)は、通常、水素化触媒の存在下での分子水素との反応によって実施される。水素化触媒は、好ましくは、貴金属触媒である。
【0057】
適切な水素化触媒は、担持パラジウム触媒である。適切な担体は、多数の材料、例えば酸化アルミニウム、セラミック担持材料又は炭素若しくは黒鉛を含む。これらの触媒のための担持材料は、当業者に知られており、一般に微粉化形態(任意選択的に押圧してペレットにすることができる)で使用される。担持材料として炭素、特に活性炭を使用することが特に好ましい。担持材料として酸化アルミニウムを使用することも同様に好ましい。パラジウム炭素を使用することが非常に特に好ましい。
【0058】
特に好ましいのは、パラジウム炭素、シリカ(SiO)上のパラジウム、TiO上のパラジウム及び酸化アルミニウム(Al)上のパラジウムからなる群から選択される水素化触媒である。
【0059】
ステップd)における水素化は、好ましくは、加圧下、特に1~20bar、より好ましくは1~6barの圧力下で実行される。
【0060】
前記反応は、良好な収率、転化率及び選択性で所望の化合物、すなわち式(VI)の化合物を提供する。式(VI)の化合物は、必要に応じて、水素化ステップd)後、抽出、クロマトグラフィ、蒸留及び当業者に知られている他の技術によって反応混合物から単離及び精製することができる。
【0061】
この反応は、Rhone-Poulenc特許の米国特許第4,460,786号明細書及び米国特許第4,621,165号明細書(その全内容が参照によって本明細書に援用される)に記載される方法に従って有利に実施される。
【0062】
[実施例]
本発明は、以下の実験によってさらに説明される。
【0063】
非連続プロセスにおける式(I-Me)の化合物の合成
【化12】

アルゴン入口、マグネチックスターラー、オイルバス及び温度計を備えた350mLの四ツ口フラスコに、表1に示されるような各モル量の(m-スルホナトフェニル)ジフェニルホスフィンナトリウム(=トリフェニルホスフィン-モノスルホン酸ナトリウム=TPPMS)又はビス(3-スルホナトフェニル)フェニルホスフィン二ナトリウム(=トリフェニルホスフィンジスルホン酸二ナトリウム=TPPDS)又はトリス(3-スルホフェニル)ホスフィン三ナトリウム塩(=トリス(3-スルホナトフェニル)ホスフィン三ナトリウム=TPPTS)(比較用)を入れ、それをアルゴン雰囲気下で表1に示される溶媒系(20mL)に溶解させた。次に、表1に示されるような各量のクロロ(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)二量体及び炭酸ナトリウム(0.3mol%)を添加し、均一な黄~オレンジ色の溶液を形成した。続いて、アセト酢酸メチル(MAA)(BFNに対して2.5当量)及びトランス-β-ファルネセン(BFN、48.2mmol、d=0.83g/mL、GCにより98.2%、1.0当量)を添加した。2相反応混合物を攪拌し、表1に示される時間にわたって加熱還流させた(溶媒系に応じて77~87℃の内部温度;例えば、Ref.6(水のみ)の内部温度は、80℃に保持した)。次に、混合物を23℃まで冷却した。
【0064】
表1の水を含まない例(Ref.4、Ref.5、Ref.7)では、ヘキサン(80mL)及び水20mL)を添加し、上側のヘキサン相を分離し、水相をヘキサン(40mL)で抽出した。合わせた上側の単極性相を真空で濃縮し(40℃、150~40mbar)、式(I-Me)の粗化合物を得た。転化率、選択性及び収率は、表1に示される。
【0065】
表1の他の全ての例では、ヘキサン(50mL)を添加した。2分間攪拌した後、相を分離し、下側の極性HO/アルコール相をヘキサン(25mL)で抽出した。合わせた上側の無極性相を真空で濃縮し(40℃、150~40mbar)、式(I-Me)の粗化合物を得た。転化率、選択性及び収率は、表1に示される。
【0066】
式(I-Me)の化合物(両方の異性体の混合物(点線を参照されたい))の同一性は、HNMR及び13CNMR分光法によって検証された。
【0067】
HNMR(異性体の混合物,比率約55:45,300MHz,クロロホルム-d)δ1.51(brs,1.3H),1.52(brs,4.7H),1.56(s,1.3H),1.60(d,J=1.3Hz,3H),1.85-2.09(m,9.1H),2.14(s,1.3H),2.15(s,1.7H),2.48(t,J=7.4Hz,0.9H),3.38(m,1H),3.64(s,1H),3.64,(s,1.3H),3.66(s,1.7H),4.66(brs,0.55H),4.70(brs,0.55H),4.93-5.07(m,2.45H)ppm。
【0068】
13CNMR(異性体比約55:45の混合物,75MHz,クロロホルム-d)δ15.86,15.89,15.95,17.55,25.55,26.03,26.09,26.37,26.59,26.64,26.85,28.88,29.03,33.54,35.57,39.57,39.59,52.14,52.20,58.72,59.46,110.19,119.51,123.67,123.74,124.22,131.09,135.03,135.20,138.40,147.73,169.88,170.07,202.72,202.74ppm。
【0069】
【表1】
【0070】
Ref.1~Ref.3及び1~4の表1の結果を比較すると、TPPMSを用いる反応は、TPPTSを用いる場合よりも著しく速い(転化率がより高い)ことが示される。これは、図1によっても可視化することができる。実施例5及び6は、TPPMS及びTPPDSが非常に効率的であり、ホスフィン塩の濃度が半分でも、TPPTS(Ref.3)と比べて反応が23時間後により高い転化率を示すことを示す。反応は、非常に高い選択性で起こる。実施例7~10は、水と種々のアルコール(メタノール、エタノール、イソ-プロパノール及び1-ブタノール)との混合物が同様に速い反応(及び高い転化率)をもたらすことを示す。アルコールが別の溶媒と組み合わせて使用される場合(Ref.4)又はアルコールのみ(Ref.5)若しくは水のみ(Ref.6)が使用される場合、反応は、著しく遅くなり(転化率がより低い)、所望の生成物に対する選択性は、低くなる。
【0071】
実施例11の結果と、Ref.7及びRef.8の結果とを比較すると、アルコール又は水のいずれかを単独で使用すると、反応は、著しく遅くなることが示される。最後に、実施例12及び13の比較は、アルコール/水の体積比=1:1が10:1の各体積比よりも速い転化率を有することを示す。
【0072】
式(V)の化合物の合成
アルゴン入口、マグネチックスターラー、オイルバス、短路リービッヒ冷却器及び温度計を備えた500mLのフラスコに式(I-Me)の粗化合物(上記で合成)(271.8g、670mmol、qNMRによる純度約79.0wt.%、いくらかのMAAを含有)を入れた。85℃(オイルバス温度)及び15~1mbarで6時間かけて混合物からMAAを留去した。蒸留残渣は、無色の油としての234gの式(I-Me)の濃縮粗化合物で構成された(660mmol、qNMRにより90.4wt.%、収率98.5%)。
【0073】
アルゴン入口、マグネチックスターラー、オイルバス、温度計シリンジポンプ、セプタム及びディーンスタークトラップを備えた500mLの四ツ口丸底フラスコに229gのこの式(I-Me)の濃縮粗化合物(646mmol)を入れ、内部温度180℃(オイルバス190℃)に加熱した。続いて、脱イオン水(18.1mL、1.01mol、1.56当量)を基材表面より下側でシリンジポンプにより6.5時間かけて投与した。反応の進行をGCでモニターした。添加完了の1時間後、反応を室温まで冷却した。反応混合物を分液漏斗に移し、ヘキサン(50mL)で希釈した。混合物を脱イオン水(2x100mL)で抽出した。合わせた水相をヘキサン(50mL)で抽出した。次に、合わせた有機相をNaSO上で乾燥させ、真空で濃縮し(45℃/200~40mbar)、式(V)の粗化合物を透明な薄黄色の油として得た[184.9g、641mmol、異性体の合計としてqNMRによる純度91.0%、式(I-Me)の化合物からの収率97.8%]。式(V)の化合物(両方の異性体の混合物(点線を参照されたい))の同一性は、HNMRによって検証された。
【0074】
HNMR(異性体の混合物,比率約56:44,300MHz,クロロホルム-d)δ1.60(brs,6H),1.57-1.63(m,1H)による重なり,1.68(brd,J=1.3Hz,3H),1.67-1.79(m,1.2H)による重なり,1.91-2.14(m,10H),2.13(s,3H)による重なり,2.19-2.32(m,0.9H),2.43(t,J=7.4Hz,1.4H),4.69-4.77(m,1.1H),5.03-5.21(m,2.4H)ppm。
【0075】
式(VI)の化合物の合成
1Lの鋼オートクレーブに式(V)の化合物(150g、qNMRにより89.5%、512mmol)を入れ、ヘプタン(150g)中に溶解させた。Pd触媒(木炭上に5%、1.0g、0.47mmol、0.1mol%)を添加した。不活性化後、攪拌した懸濁液を周囲圧力で60℃に加熱した。続いて、10barHに加圧することにより反応を開始させた。10時間後、反応混合物を室温まで冷却した。反応混合物をろ過し、フィルターを少量のヘプタンで洗浄した。ろ液を真空で濃縮し、粗6,10,14-トリメチルペンタデカン-2-オン(式(VI)の化合物)(151.9g)を得た。
【0076】
ビグリューカラム(15cm)を備えた蒸留装置を用いて、146.8gの粗6,10,14-トリメチルペンタデカン-2-オンを精製した。108℃/0.26mbar(ポンプで測定される真空)において主要画分を集め、精製された6,10,14-トリメチルペンタデカン-2-オン(129.4g、qNMRにより98.4%、474mmol、収率96%)を得た。式(VI)の化合物の同一性は、HNMRによって検証された。
【0077】
HNMR(300MHz,クロロホルム-d)δ0.84(d,J=7.4Hz,3H),0.86(d,J=6.6Hz,3H)による重なり,0.87(d,J=6.8Hz,6H)による重なり,0.98-1.68(m,19H),2.14(s,3H),2.40(t,J=7.5Hz,2H)ppm。
【0078】
連続プロセスにおける式(I-Me)の化合物の合成(比較)
更なる一連の実験では、水溶性ホスフィン塩としてTPPTS又はTPPMSを用いる反応を微小流反応器において使用した。
【0079】
Syrris Asia マイクロリアクター装置を使用し、それぞれ250μL及び1000μLのフローセルを用いた流れにおいて反応を実行した。2つの入力の流れを適用した:β-ファルネセン(純)並びにMeOH/水の混合物中の[Rh(cod)Cl]、ホスフィン配位子、アセト酢酸メチル及び炭酸ナトリウムの溶液。
【0080】
TPPTS
第1の一連の連続反応実験では、ホスフィン塩としてTPPTSを用いて、種々の温度及び滞留時間(表2に表示される)において反応を実施した。
【0081】
以下の条件を使用した:Syrris Asia 250μLフローセル、MeOH/水1:5(v/v、40mL)、15bar、MAA/BFNモル比=2.3、[Rh(cod)Cl](0.4mol%)、TPPTS/Rh比20:1、NaCO(0.25mol%)。
【0082】
【表2】
【0083】
TPPMS
第2の一連の連続反応実験では、ホスフィン塩としてTPPMSを用いて、種々の温度及び滞留時間(表3に表示される)において反応を実施した。
【0084】
以下の条件を使用した:Syrris Asia 1000μLフローセル、MeOH/水7.5:2.5(v/v、40mL)、19bar、MAA/BFNモル比=1.7、[Rh(cod)Cl](0.6mol%)、TPPMS/Rh比10:1、NaCO(1mol%)。
【0085】
【表3】
【0086】
表2及び表3の結果は、図2及び図3において可視化されるように、連続反応において、高転化率及び低選択性又は低転化率及び高選択性のいずれかが達成可能であることを示す。
【0087】
表1からのデータとの比較により、非連続プロセスを用いると、90%よりも高い、さらに95%よりも高い転化率と、90%よりも高い、さらに92%よりも高い、特に95%よりも高い選択性との両方を容易に達成可能であることが明白である。
【0088】
さらに、表2及び表3のデータは、連続プロセスにおける反応の場合にも、水溶性ホスフィン塩TPPMSがTPPTSより有利であることも示す。
図1
図2
図3